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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】がん及び腫瘍を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4965 20060101AFI20241016BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61K31/4965
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521109
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022077702
(87)【国際公開番号】W WO2023060200
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/253,332
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517282078
【氏名又は名称】ビヨンドスプリング ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロイド,ジョージ ケネス
(72)【発明者】
【氏名】モハンラル,ラモーン
(72)【発明者】
【氏名】トンラ,ジェームス アール.
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ラン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA07
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、がん又は腫瘍に関連する疾患又は病気を治療、予防又は改善する方法である。幾つかの実施形態は、がん細胞の増殖を阻害する方法に関する。幾つかの実施形態は、がん細胞においてアポトーシスを誘導する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、式(I)で示される化合物を必要とする対象に投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする対象においてがんを治療する方法であって、前記方法が、単剤療法としての式(I)で示される化合物
【化1】

(I)
又はその医薬的に許容できる塩を前記対象に投与することを含み、式中、
、R、及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
R、R’及びR’’は、互いに共有結合されている、又は互いに共有結合されていない、のどちらかであり;
、R及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C12アルキル、不飽和C~C12アルケニル、アシル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ及び置換ニトロ基、スルホニル及び置換スルホニル基からなる群から選択され;
mは、0、1又は2の整数であり;
及びXは、別々に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択され;
Yは、NR、酸素原子、硫黄原子、酸化硫黄原子、メチレン基及び置換メチレン基か
らなる群から選択され;
0でない場合の各別々のnについてのZ、並びにZ、Z、Z及びZは、それぞれ別々に、炭素原子、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択され;
破線の結合は、単結合又は二重結合のどちらでもよく、
ここで、前記がんが、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、方法。
【請求項2】
前記がんが、胃がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、小細胞肺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記がんが、トリプルネガティブ乳がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記式(I)で示される化合物が、約5mg/m~150mg/mの用量で投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)で示される化合物が、約10mg/m~50mg/mの用量で投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)で示される化合物が、約20mg/m~30mg/mの用量で投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(I)で示される化合物が、約20mg/mの用量で投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記式(I)で示される化合物が、約30mg/mの用量で投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記式(I)で示される化合物が、約40mg/mの用量で投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記式(I)で示される化合物が、14日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記式(I)で示される化合物が、21日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記式(I)で示される化合物が、プリナブリン、(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-d-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニルメチレン-d)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニルメチレン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-d-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,
5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(4-フルオロ-(フェニル-2,3,5,6-d))-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(4-フルオロ-(フェニル-2,3,5,6-d))-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-フルオロベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-ベンゾイルベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(4-フルオロベンゾイル)ベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(4-メトキシベンゾイル)ベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-メトキシベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(トリフルオロメチエンジデン(trifluoromethyenzydene))-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン、及びそれらの医薬的に許容できる塩から選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
式(I)で示される化合物が、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記がんが、腫瘍を含み、前記腫瘍の質量が、約50%~約100%低減される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記腫瘍の質量が、約50%~約70%低減される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対象の進行がんを停止又は逆行させる方法であって、前記方法が、単剤療法としての式(I)で示される化合物
【化2】

(I)
又はその医薬的に許容できる塩を投与することを含み、式中、
、R、及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びに
カルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
R、R’及びR’’は、互いに共有結合されている、又は互いに共有結合されていない、のどちらかであり;
、R及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C12アルキル、不飽和C~C12アルケニル、アシル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ及び置換ニトロ基、スルホニル及び置換スルホニル基からなる群から選択され;
mは、0、1又は2の整数であり;
及びXは、別々に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択され;
Yは、NR、酸素原子、硫黄原子、酸化硫黄原子、メチレン基及び置換メチレン基からなる群から選択され;
0でない場合の各別々のnについてのZ、並びにZ、Z、Z及びZは、それぞれ別々に、炭素原子、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択され;
破線の結合は、単結合又は二重結合のどちらでもよく、
ここで、前記がんが、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、方法。
【請求項18】
前記がんが、胃がんである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記がんが、小細胞肺がんである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、トリプルネガティブ乳がんである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記式(I)で示される化合物が、約5mg/m~150mg/mの用量で投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記式(I)で示される化合物が、約10mg/m~50mg/mの用量で投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記式(I)で示される化合物が、約20mg/m~30mg/mの用量で投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記式(I)で示される化合物が、約20mg/mの用量で投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記式(I)で示される化合物が、約30mg/mの用量で投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記式(I)で示される化合物が、約40mg/mの用量で投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記式(I)で示される化合物が、14日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項17~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記式(I)で示される化合物が、21日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項17~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
式(I)で示される化合物が、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である、請求項17~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが、腫瘍を含み、前記腫瘍の質量が、約50%~約100%低減される、請求項17~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記腫瘍の質量が、約50%~約70%低減される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
がん細胞の増殖を阻害する方法であって、前記方法が、
前記がん細胞を、他の化学療法剤の存在しないプリナブリンの有効量と接触させること、を含み、
前記がん細胞が、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択されるがんのものである、方法。
【請求項33】
前記がん細胞が、胃がんである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記がん細胞が、小細胞肺がんである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記がん細胞が、トリプルネガティブ乳がんである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記式(I)で示される化合物が、約5mg/m~150mg/mの用量で投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記式(I)で示される化合物が、約10mg/m~50mg/mの用量で投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記式(I)で示される化合物が、約20mg/m~30mg/mの用量で投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記式(I)で示される化合物が、約20mg/mの用量で投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記式(I)で示される化合物が、約30mg/mの用量で投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記式(I)で示される化合物が、約40mg/mの用量で投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記式(I)で示される化合物が、14日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項32~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記式(I)で示される化合物が、21日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項32~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
式(I)で示される化合物が、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である、請求項32~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記がん細胞が、腫瘍細胞を含み、前記腫瘍細胞の質量が、約50%~約100%低減される、請求項32~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記腫瘍細胞の質量が、約50%~約70%低減される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
がん細胞においてアポトーシスを導入する方法であって、前記方法が、
前記がん細胞を、他の化学療法剤の存在しないプリナブリンの有効量と接触させること、
を含み、
前記がんが、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、方法。
【請求項48】
前記式(I)で示される化合物が、約10mg/m~50mg/mの用量で投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記がん細胞が、腫瘍細胞を含み、前記腫瘍細胞の質量が、約50%~約100%低減される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記式(I)で示される化合物が、21日の投薬サイクルの1日目に投与される、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年10月7日出願の米国特許仮出願第63/253,332号の優先権の利益を主張するものである。前述の出願のすべてが、すべての目的のために全体として参照により本明細書に完全に援用される。
【0002】
開示の分野
本開示は、化学及び薬品の分野に関する。より詳細には、本開示はプリナブリンを含有する組成物、及び治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
胃がん(Gastric cancer)は、悪性腫瘍細胞が胃の内膜に形成する疾患である。胃がん(Stomach cancer)又は胃がん(gastric cancer)は、胃の任意の部分に発生し得て、胃の至る所へ、そして他の臓器へ、特に食道、肺、及び肝臓へ転移する場合がある。胃がんは、世界で4番目に多いがんであり、2002年には930,000例が診断されている。加えて、それは死亡率の高い疾患であり(約800,000/年)、世界で肺がんに次いで2番目に多いがん死亡原因となっている。
【0004】
小細胞肺がん(SCLC)は、顕微鏡下で観察された場合のがん細胞のサイズに従って命名されており、非小細胞肺がん(NSCLC)と識別されなければならない。SCLCは、すべての肺がんの約10%~15%を占める(American Cancer Society, 2015a)。
【0005】
両肺がん(SCLC及びNSCLC)は、男性及び女性の両方で2番目に多いがんである。肺がんは、がん死亡の主たる原因であり、約25%を占める。したがって、毎年、大腸がん、乳がん及び前立腺がんを合わせた数より多くの人々が、肺がんで死亡している。さらに、肺がんはすべての新しいがんの約13%(180万例より多い)を占める。肺がんは、主に高齢者に生じる。診断時の平均年齢は、約70歳である。全症例の2%未満が、45歳未満の人々で診断されている。SCLCの治療及び予後は、診断されたがん病期に大きく依存する。臨床結果に基づくSCLCの病期分類が、病理学的病期分類より一般的である。臨床病期分類には、健康診断、様々な画像テスト、及び生検の結果が利用される。American Cancer Societyにより導入されたデータに従えば、5年相対生存率は、病期Iが31%、病期IIが19%、病期IIIが8%、及び病期IVが2%を占める。
【0006】
エストロジェン受容体(ER)及びプロゲステロン受容体(PR)発現、並びにヒト上皮成長因子受容体2(HER2)増幅を欠くトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の患者の治療は、疾患の不均一性及び明確な分子ターゲットが存在しないことから困難であった(Pegram M D, et al. J Clin Oncol. 1998;
16(8):2659-2671; Wiggans R G, et al. Cancer Chemother Pharmacol. 1979;3(1):45-48; Carey L A, et al. Clin Cancer Res. 2007; 13(8):2329-2334)。TNBCは、全乳がんの10%~20%を構成し、若い患者ほど多く罹患し、アフリカ・アメリカ系の女性における有病率がより高い(Morris G J, et al. Cancer. 2007; 110(4):876-884)。TNBC腫瘍は一般に、サイズがより大きく、より高グレードで
あり、診断時にリンパ節転移を有し、生物学的によりアグレッシブである(Haffty
B G, et al. J Clin Oncol. 2006; 24(36):5652-5657)。TNBC患者は、術前(ネオアジュバント)化学療法へのより高率の臨床応答を有するにもかかわらず、他の乳がんサブタイプの女性より高率で明確な再発及び悪い予後を有する(Haffty B G, et al. J Clin Oncol. 2006; 24(36):5652-5657; Dent R, et al. Clin Cancer Res. 2007; 13(15 pt 1):4429-4434)。転移TNBCの女性の30%未満が5年生存し、それらのほぼ全員が、治療の頼みの綱であるアジュバント化学療法にもかかわらずその疾患で死亡する(Dent R, et al. Clin Cancer Res. 2007; 13(15 pt 1):4429-4434)。
【0007】
そのため、これら及び他の侵襲型がんへの効果的治療を開発することが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの態様は、必要とする対象においてがんを治療する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、単剤療法としての式(I)で示される化合物
【化1】

(I)
又はその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含み、式中、
、R、及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びに
カルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
R、R’及びR’’は、互いに共有結合されている、又は互いに共有結合されていない、のどちらかであり;
、R及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C12アルキル、不飽和C~C12アルケニル、アシル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ及び置換ニトロ基、スルホニル及び置換スルホニル基からなる群から選択され;
mは、0、1又は2の整数であり;
及びXは、別々に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択され;
Yは、NR、酸素原子、硫黄原子、酸化硫黄原子、メチレン基及び置換メチレン基からなる群から選択され;
0でない場合の各別々のnについてのZ、並びにZ、Z、Z及びZは、それぞれ別々に、炭素原子、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択され;
破線の結合は、単結合又は二重結合のどちらでもよく、
ここで、該がんは、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。
【0009】
幾つかの実施形態において、該がんは、胃がんである。幾つかの実施形態において、該がんは、小細胞肺がんである。幾つかの実施形態において、該がんは、トリプルネガティブ乳がんである。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約5mg/m~150mg/mの用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、30mg/mを超える用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約40mg/mの用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、14日の投薬サイクルの1日目に投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、21日の投薬サイクルの1日目に投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン、(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-d-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニルメチレン-d)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニルメチレン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-d-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(4-フルオロ-(フェニル-2,3,5,6-d))-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(4-フルオロ-(フェニル-2,3,5,6-d))-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-フルオロベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラ
ジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-ベンゾイルベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(4-フルオロベンゾイル)ベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(4-メトキシベンゾイル)ベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-メトキシベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(トリフルオロメチエンジデン(trifluoromethyenzydene))-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン、及びそれらの医薬的に許容できる塩から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である。幾つかの実施形態において、該がんは、腫瘍を含み、該腫瘍の質量は、約50%~約100%低減される。幾つかの実施形態において、該腫瘍の質量は、約50%~約70%低減される。
【0010】
幾つかの態様は、対象の進行がんを停止又は逆行させる方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、単剤療法としての式(I)で示される化合物
【化2】

(I)
又はその医薬的に許容できる塩を投与することを含み、式中、
、R、及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びに
カルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
R、R’及びR’’は、互いに共有結合されている、又は互いに共有結合されていない、のどちらかであり;
、R及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C12アルキル、不飽和C~C12アルケニル、アシル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ及び置換ニトロ基、スルホニル及び置換スルホニル基からなる群から選択され;
mは、0、1又は2の整数であり;
及びXは、別々に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択され;
Yは、NR、酸素原子、硫黄原子、酸化硫黄原子、メチレン基及び置換メチレン基からなる群から選択され;
0でない場合の各別々のnについてのZ、並びにZ、Z、Z及びZは、それぞれ別々に、炭素原子、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択され;
破線の結合は、単結合又は二重結合のどちらでもよく、
ここで、該がんは、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。
【0011】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である。
【0012】
幾つかの態様は、がん細胞の増殖を阻害する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、がん細胞を、他の化学療法剤の存在しないプリナブリンの有効量と接触させることを含み、該がん細胞は、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択されるがんのものである。
【0013】
幾つかの態様は、がん細胞においてアポトーシスを誘導する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、がん細胞を、他の化学療法剤の存在しないプリナブリンの有効量と接触させることを含み、該がんは、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】クローン形成法においてプリナブリン一水和物の有効性を示したグラフである。
図2】絶対IC70の順に並べられた試験のIC70値を示したヒートマップである。
図3】プリナブリン一水和物及び小細胞肺がんの濃度-効果曲線を示した折れ線グラフである。
図4】プリナブリン一水和物及び胃がんの濃度-効果曲線を示した折れ線グラフである。
図5】プリナブリン一水和物及びトリプルネガティブ乳がんの濃度-効果曲線を示した折れ線グラフである。
図6】クローン形成法でのプリナブリン一水和物の有効性をIC50値で示したグラフである。
図7】クローン形成法でのプリナブリン一水和物の有効性をIC70値で示したグラフである。
図8】絶対IC50の順に並べられた試験のIC50値を示したヒートマップである。
図9】絶対IC70の順に並べられた試験のIC70値を示したヒートマップである。
図10】プリナブリン一水和物及び小細胞肺がんの濃度-効果曲線を示した折れ線グラフである。
図11】プリナブリン一水和物及び胃がんの濃度-効果曲線を示した折れ線グラフである。
図12】プリナブリン一水和物及びトリプルネガティブ乳がんの濃度-効果曲線を示した折れ線グラフである。
図13A】プリナブリンで得られたIC50/IC70値を示したヒートマップである。
図13B図13Aのヒートマップの続きである。
図14A】プリナブリンで得られたT/C値を示したヒートマップである。
図14B図14Aのヒートマップの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、がん又は腫瘍を治療するための方法を提供する。幾つかの実施形態は、非限定的に、小細胞肺がん、胃がん、及びトリプルネガティブ乳がんをはじめとするがん又は腫瘍を治療するためにプリナブリンを使用することに関する。幾つかの実施形態において、本明細書に提供された方法は、非限定的に、小細胞肺がん、胃がん、及びトリプルネガティブ乳がんをはじめとするがん又は腫瘍を治療すること、その進行を遅延させること、その再発を予防すること、又はその症状を緩和すること、において有用である。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリンである。プリナブリンの(3Z,6Z)-3-ベンジリデン-6-{[5-(2-メチル-2-プロパニル)-1H-イミダゾール-4-イル]メチレン}-2,5-ピペラジンジオンは、天然化合物のフェニラヒスチンの合成類縁体である。本明細書に記載されたとおり、驚くべきことに、プリナブリンが非限定的に小細胞肺がん、胃がん、及びトリプルネガティブ乳がんをはじめとするがん又は腫瘍に対して単剤療法として効果的になる可能性が発見された。
【0016】
本開示を詳述する前に、本開示は当然のことながら変動し得るので、記載された特有の実施形態に限定されないことを理解されたい。同じく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲のみにより限定されるため、本明細書で用いられる用語法が、特有の実施形態のみを記載することを目的とし、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0017】
値の範囲が提供される場合、文脈で他に明確に指示されていない下限の単位の10倍までの各介入値、その範囲の上限と下限の間、及びその述べられた範囲内の任意の他の述べられた値又は介入値が本開示に包含されることが、理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲内に含まれてもよく、また本開示に包含され、述べられた範囲内における任意の、具体的に除外される限界の対象となる。述べられた範囲が、その限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のどちらか又は両方を除外した範囲もまた、本開示に含まれる。
【0018】
本明細書に列挙された方法は、論理的に可能である列挙された事象の任意の順序、及び事象の列挙された順序で実行されてもよい。
【0019】
他に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者により共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本開示の実施又は試行で用いられ得るが、好ましい方法及び材料が、ここに記載される。
【0020】
本明細書で言及されたすべての刊行物は、刊行物が関連で引用される方法及び/又は材料を開示及び記載するために、参照により本明細書に援用される。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈で他に明確に指示されない限り、複数の対象を包含することが、留意されなければならない。さらに、特許請求の範囲が任意の選択的要素を除外するように立案され得ることが、留意される。そのためこの言明は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「単に」、「唯一の」及び同様のもののような除外用語法の使用、又は「負の」限界の使用のための先行詞として働くものとする。
【0022】
本明細書で議論された刊行物は、単に本出願の出願日以前のそれらの開示のために提供される。本明細書内のいずれも、本開示が先行の開示のおかげでそのような刊行物に先行する権利を与えられないことの認証と解釈されてはならない。さらに、提供された発行日は、実際の発行日と異なる場合があり、実際の発行日は、独立して確認される必要があり得る。
【0023】
定義
他に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者により共通して理解されるものと同じ意味を有する。すべての特許、出願、発行された出願、及びの他の刊行物は、全体として参照により援用される。本明細書の用語に複数の定義が存在する場合、他に述べられない限り、この段落での定義を優先する。
【0024】
用語「薬剤」は、本明細書において、化合物、化合物の混合物、生体高分子、又は生物学的材料から作製された抽出物を表すために用いられる。
【0025】
本明細書で用いられる用語「改善する」は、特有の病気に特徴的な症状又は臨床徴候の程度、重症度、頻度、及び/又は確率の任意の低減をいう。
【0026】
用語「がん」、「新生物」、及び「がん腫」は、細胞増殖の制御の著しい損失を特徴とする異常な増殖表現型を呈するような、相対的に自立的な増殖を呈する細胞をいうために本明細書において互換的に用いられる。一般に、本出願における検出又は治療に該当する細胞としては、前がん(例えば、良性)、悪性、前転移、転移、及び非転移細胞が挙げられる。がん細胞の検出が、特に該当する。
【0027】
用語「医薬的に許容できる担体」又は「医薬的に許容できる賦形剤」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、並びに同様のものを包含する。医薬活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が、有効成分と不適合である場合を除き、治療組成物中のその使用が企図される。加えて、当該技術分野で共通して用いられるような様々なアジュバントが、含まれてもよい。医薬組成物中の様々な成分の含有のための検討事項は、例えば、Gilman et al.(Eds.) (1990);Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Pressに記載されており、該文献は、全体として参照により本明細書に援用される。医薬的に許容できる賦形剤は、単糖類又は単糖類誘導体であり得る。
【0028】
本明細書で用いられる用語「対象」は、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば、犬、猫、マウス、ラット、雌牛、羊、豚、山羊、非ヒト霊長類、又は鳥、例えば鶏、及び任意の他の
脊椎動物又は無脊椎動物を意味する。
【0029】
用語「哺乳動物」は、通常の生物学的意味で用いられる。したがって哺乳動物としては、具体的には、サル(チンパンジー、類人猿、猿)及びヒト、畜牛、馬、羊、山羊、ブタ、ウサギ、犬、猫、げっ歯類、ラット、マウス、モルモット、又は同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で用いられる用語「有効量」又は「治療有効量」は、疾患又は病気の症状の1つ又は複数をある程度まで緩和するのに、又はその発病の確率を低減するのに効果的であり、疾患又は病気を治癒することを包含し得る治療薬の量をいう。
【0031】
本明細書で用いられる用語「治療する」、「治療」、又は「治療すること」は、予防及び/又は治療目的のために化合物又は医薬組成物を対象に投与することをいう。用語「予防的治療」は、疾患又は病気の症状をまだ呈していないが、特有の疾患又は病気に罹り易い、又はさもなければそのリスクのある対象を治療することをいい、それによりその治療は、患者が疾患又は病気を発症する確率を低減する。用語「治療的処置」は、疾患又は病気に既に罹患している対象に治療を施すことをいう。
【0032】
本明細書で用いられる用語「化学療法剤」は、転移又は新生物の増殖を低減する、予防する、軽減する、限定する、及び/又は遅延させる薬剤、或いは新生物の壊死若しくはアポトーシス、又は任意の他の機構により直接、新生物細胞を殺傷する薬剤、或いはさもなければ新生物疾患を有する対象において転移又は新生物の増殖を低減する、予防する、軽減する、限定する、及び/又は遅延させるために医薬有効量で用いられ得る薬剤をいう。化学療法剤としては、例えば、フルオロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;葉酸代謝拮抗剤;白金系薬剤;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン;カンプトテシン;ホルモン;ホルモン複合体;抗ホルモン;酵素;タンパク質;ペプチド及びポリクローナル及び/又はモノクローナル抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;エポチロン;微小管阻害薬;アルキル化剤;代謝抑制剤;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス薬;並びに様々な他の細胞障害及び細胞増殖抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
化合物
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたがん又は腫瘍を治療するための化合物及び治療組成物は、式(I):
【化3】

(I)
により表される化合物を包含し、式中、
、R、及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロ
アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基、ヒドロキシ、カルボキシ、-CO-O-R、シアノ、アルキルチオ、ポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキル、ハロゲン化カルボニル、並びにカルボニル-CHCO-Rからなる群から選択され、ここでRは、水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アジド、置換ニトロ、フェニル、及び置換フェニル基から選択され;
R、R’及びR’’は、互いに共有結合されている、又は互いに共有結合されていない、のどちらかであり;
、R及びRは、それぞれ別々に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、及び飽和C~C12アルキル、不飽和C~C12アルケニル、アシル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ及び置換ニトロ基、スルホニル及び置換スルホニル基からなる群から選択され;
mは、0、1又は2の整数であり;
及びXは、別々に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択され;
Yは、NR、酸素原子、硫黄原子、酸化硫黄原子、メチレン基及び置換メチレン基からなる群から選択され;
0でない場合の各別々のnについてのZ、並びにZ、Z、Z及びZは、それぞれ別々に、炭素原子、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択され;破線の結合は、単結合又は二重結合のどちらでもよい。
【0034】
式(I)で示される化合物は、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第7,064,201号及び同第7,919,497号に詳述された方法及び手順により即座に調製され得る。
【0035】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された化合物は、式(II):
【化4】

(II)
により表されるデヒドロフェニラヒスチンであって、式中、
及びRは、それぞれ別々に、水素原子;ハロゲン原子;以下の残基の一置換、多置換若しくは非置換の直鎖若しくは分枝鎖変種:C~C12アルキル、C~C12アルケニル、アシル、及びアルコキシ;並びに以下の残基の一置換、多置換若しくは非置換変種:シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、ニトロ及びスルホニルからなる群から選択されるか;又はRは、Arへの結合であり;
及びRは、それぞれ別々に、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;以下の残基の一置換、多置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖変種:C~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニル、アルコキシ、アシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルオキシカルボニルオキシ、エステル、アリールアルコキシ、アルコキシ、及びアルキルチオ;以下の残基の一置換、多置換又は非置換変種:アシルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロシクロアルキル、カルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオオキシスルホニル、チオフェン、カルボキシ、及びシアノからなる群から選択され;
及びXは、別々に、R基で置換された酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群から選択され;
は、水素原子、ハロゲン原子、並びに飽和C~C12アルキル、不飽和C~C12アルケニル、アシル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、及び置換ニトロ基、スルホニル及び置換スルホニル基からなる群から選択され;
Yは、NR、酸素原子、硫黄原子、酸化硫黄原子、メチレン基、及び置換メチレン基からなる群から選択され;
nは、0、1、2、3、又は4であり;
Arは、単環~3環の間の環を含む環式又は多環式アリール又はヘテロアリール環系であり、ここで
前記系の各環は、別々に、5員環、6員環、7員環、又は8員環であり;
前記系の各環は、酸素、硫黄、及び窒素からなる群から選択されるヘテロ原子を0、1、2、3、又は4個含み;
前記系の各環は、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;以下の残基の一置換、多置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖変種:C~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニル、アルコキシ、アシル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルオキシカルボニルオキシ、エステル、アリールアルコキシ、アルコキシ、及びアルキルチオ;以下の残基の一置換、多置換又は非置換変種:アシルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロシクロアルキル、カルボ
ニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオフェン、オキシスルホニル、スルホニル、カルボキシ、及びシアノ;並びにジオキソール、ジチオール、オキサチオール、ジオキシン、ジチイン、及びオキサチインからなる群から選択される場合により置換された縮合環からなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換される。
【0036】
式(II)で示される化合物は、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第7,064,201号及び同第7,919,497号に詳述された方法及び手順により即座に調製され得る。
【0037】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン、(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-d-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニルメチレン-d)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニルメチレン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(フェニル-2,3,4,5,6-d)-メチレン-d-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(4-フルオロ-(フェニル-2,3,5,6-d))-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(4-フルオロ-(フェニル-2,3,5,6-d))-メチレン-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-フルオロベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-ベンゾイルベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(4-フルオロベンゾイル)ベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(4-メトキシベンゾイル)ベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-メトキシベンジリデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;(3Z,6Z)-3-(3-(トリフルオロメチエンジデン)-6-((5-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-4-イル)メチレン-d)ピペラジン-2,5-ジオン;及びそれらの医薬的に許容できる塩から選択される。
【0038】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリンである。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン一水和物である。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリンの塩形態である。プリナブリンは、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第7,064,201号及び同第7,919,497号に詳述された方法及び手順により即座に調製され得る。
【0039】
使用及び治療方法
複数の態様において、本開示は、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)又はその医薬的に許容できる塩を単剤療法として投与することにより、対象のがん又は腫瘍を治療、予防、又は改善するための方法及び治療組成物を提供する。幾つかの実施形態において、該がん又は腫瘍は、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。幾つかの実施形態において、該がん又は腫瘍は、胃がんである。幾つかの実施形態において、該がん又は腫瘍は、小細胞肺がんである。幾つかの実施形態において、該がん又は腫瘍は、トリプルネガティブ乳がんである。
【0040】
幾つかの実施形態において、該方法は、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)を約5mg/m~150mg/mの用量で投与することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)を約10mg/m~50mg/mの用量で投与することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)を約20mg/m~30mg/mの用量で投与することを含む。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)は、20mg/mを超える用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)は、30mg/mを超える用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)は、約40mg/mの用量で投与される。幾つかの実施形態において、プリナブリンは、約30mg~約40mgの用量で投与される。幾つかの実施形態において、プリナブリンは、約40mgの用量で投与される。
【0041】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)は、14日の投薬サイクルの1日目に投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物(例えば、プリナブリン)は、21日の投薬サイクルの1日目に投与される。
【0042】
幾つかの実施形態は、対象の進行がんを停止又は逆行させる方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、式(I)で示される化合物を対象に投与することを含む。幾つかの実施形態において、該がん細胞は、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択されるがんのものである。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である。
【0043】
幾つかの態様は、がん細胞の増殖を阻害する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、がん細胞を対象への式(I)で示される化合物と接触させることを含む。幾つかの実施形態において、該がん細胞は、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択されるがんのものである。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である。
【0044】
幾つかの態様は、がん細胞においてアポトーシスを誘導する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、がん細胞を対象への式(I)で示される化合物と接触させることを含む。幾つかの実施形態において、該がん細胞は、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、膀胱がん、及びトリプルネガティブ乳がんから選択されるがんのものである。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩である。
【0045】
幾つかの実施形態は、がんの進行を阻害する方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、プリナブリンの有効量を必要とする対象に投与することを含む。
【0046】
投与
本明細書に記載された医薬組成物の投与は、非限定的に、経口、舌下、口腔、皮下、静脈内、鼻内、腫瘍内、局所、経皮、皮内、腹腔内、筋肉内、肺内、腟内、直腸、又は眼内をはじめとする、類似の有用性を提供する薬剤のための許容される投与様式のいずれかを介し得る。経口及び非経口投与が、好まし実施形態の対象となる適応症を治療するのに慣例的である。
【0047】
本明細書に記載された組成物は、単位投与剤形で提供されてもよい。本明細書で用いられる「単位投与剤形」は、適正診療規範(good medical practice)に従った動物、好ましくは哺乳動物対象への単一用量での投与に適した化合物又は組成物の量を含有する組成物である。しかし、単一又は単位投与剤形の調製は、投与剤形が1日1回又は治療過程あたり1回投与されることを示唆するものではない。そのような投与剤形は、1日1回、2回、3回以上投与されることが企図され、ある期間(例えば、約30分から約2~6時間まで)にわたり輸液として投与されても、又は連続輸液として投与されてもよく、治療過程の間に1回より多く与えられてもよいが、単回投与が、具体的に除外されない。当業者は、製剤が治療過程全体を具体的に企図せず、そのような決定は製剤よりむしろ治療の当業者に委ねられることを認識するであろう。
【0048】
先に記載されたとおり有用な組成物は、種々の投与経路のための、例えば、経口、舌下、口腔、鼻内、直腸、局所(経皮及び皮内など)、眼内、脳内、頭蓋内、クモ膜下、動脈内、静脈内、筋肉内、又は他の非経口投与経路のための種々の適切な形態のいずれかでもよい。当業者は、経口及び鼻内組成物が吸入により投与され、利用可能な方法論を利用して作製される組成物を包含することを認識するであろう。望ましい特定の投与経路に応じて、当該技術分野で周知の種々の医薬的に許容できる担体が、用いられてもよい。医薬的に許容できる担体としては、例えば、固体又は液体充填剤、希釈剤、ヒドロトロープ(hydrotropies)、界面活性剤、及びカプセル化物質が挙げられる。該化合物又は組成物の阻害活性を実質的に妨害しない任意選択による医薬活性材料が、含まれてもよい。該化合物又は組成物と併せて用いられる担体の量は、該化合物の単位用量あたりに投与のための実践的な材料量を提供するのに充分である。本明細書に記載された方法において有用な投与剤形を作製するための技術及び組成が、以下の参考資料に記載され、それらのすべてが、参照により本明細書に援用される:Modern Pharmaceutics, 4th Ed., Chapters 9及び10(Banker & Rhodes, editors, 2002);Lieberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1989);及びAnsel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 8th Edition(2004)。
【0049】
錠剤、カプセル(例えば、固形ジェルカプセル及び液体ジェルカプセル)、顆粒及び原薬粉末のような固体剤形をはじめとする様々な経口投与剤形が、用いられ得る。錠剤は、圧縮され得る、錠剤研和物(compressed, tablet triturates)であり得る、腸溶性コーティングされ得る、糖衣され得る、フィルムコーティングされ得る、又は多重圧縮(multiple-compressed)され得て、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘発剤、及び溶融剤(melting agent)を含有する。液体経口投与剤形としては、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味剤、溶融剤、着色剤及び香味剤を含有する水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成された発泡調製物が挙げられる。
【0050】
経口投与のための単位投与剤形の調製に適した医薬的に許容できる担体は、当該技術分野で周知である。錠剤は、典型的には炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロースなどの不活性希釈剤;デンプン、ゼラチン及びスクロースなど
の結合剤;デンプン、アルギン酸及びクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクなどの滑沢剤、としての従来の医薬適合性アジュバントを含む。二酸化ケイ素などの滑剤が、粉末混合物の流動特性を改善するために用いられ得る。FD&C染色剤などの着色剤が、外観のために添加され得る。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、及び果汁フレーバなどの甘味剤及び香味剤が、チュワブル錠のための有用なアジュバントである。カプセルは、典型的には先に開示された1種又は複数の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、重大でない風味、経費、及び貯蔵安定性のような二次的検討事項に依存し、当業者により即座に行われ得る。
【0051】
経口組成物としては、液体溶液、エマルジョン、懸濁液及び同様のものも挙げられる。そのような組成物の調製に適した医薬的に許容できる担体は、当該技術分野で周知である。シロップ、エリキシル、エマルジョン及び懸濁液のための担体の典型的成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液の場合、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガカント及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ;典型的な防腐剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物はまた、先に開示された甘味剤、香味剤及び着色剤などの1種又は複数の成分を含有してもよい。
【0052】
そのような組成物はまた、対象組成物が所望の局所適用の付近の消化管内で、又は所望の作用を延長するために様々な時間に放出されるように、従来の方法により、典型的にはpH又は時間依存性コーティングを用いて、コーティングされてもよい。そのような投与剤形としては、典型的には酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックス及びシェラクのうちの1種又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書に記載された組成物は、追加の薬物活性物質を場合により含んでもよい。
【0054】
対象化合物の全身送達を達成するのに有用な他の組成物としては、舌下、口腔及び鼻内投与剤形が挙げられる。そのような組成物は、典型的にはスクロース、ソルビトール及びマンニトールなどの可溶性充填物質;並びにアラビアゴム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のうちの1種又は複数を含む。先に開示された滑剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、抗酸化剤及び香味剤もまた、含まれてよい。
【0055】
局所眼科使用のために配合される液体組成物は、目に局所投与され得るように配合される。快適性が、可能な限り最大にされてもよいが、時には、配合剤の検討事項(例えば、薬物安定性)が、最適なほどの快適性を必要としない場合がある。快適性が、最大になり得ない場合、液体は、局所眼科使用の患者に忍容性であるように配合されてもよい。加えて、眼科的に許容できる液体が、単回使用のために包装される、又は反復使用での汚染を予防するための防腐剤を含有する、のどちらでもよい。
【0056】
眼科適用の場合、溶液又は医薬は多くの場合、生理食塩水溶液を主なビヒクルとして用いて調製される。眼科溶液は、好ましくは適正な緩衝系で快適なpHを維持されてもよい。配合剤はまた、従来の医薬的に許容できる防腐剤、安定化剤及び界面活性剤を含有してもよい。
【0057】
本明細書で開示された医薬組成物中で用いられ得る防腐剤としては、塩化ベンザルコニ
ウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀が挙げられるが、これらに限定されない。有用な界面活性剤は、例えばTween80である。同様に様々な有用なビヒクルが、本明細書に開示された眼科調製物中で用いられてもよい。これらのビヒクルとしては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び精製水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
必要に応じて、又は利便性のために、等張化剤が、添加されてもよい。それらには、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン、又は任意の他の適切な眼科的に許容できる等張化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
得られた調製物が、眼科的に許容できる限り、pHを調整するための様々な緩衝剤及び手段が、用いられてもよい。多くの組成物で、pHは、4~9の間であろう。したがって緩衝剤としては、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤及びホウ酸緩衝剤が挙げられる。必要に応じてこれらの配合物のpHを調整するために、酸又は塩基が、用いられてもよい。
【0060】
眼科的に許容できる抗酸化剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化されたヒドロキシアニソール及びブチル化されたヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
眼科調製物中に含まれ得る他の賦形剤成分は、キレート化剤である。有用なキレート化剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート化剤が、代わりに、又はそれと併せて用いられてもよい。
【0062】
局所使用の場合、本明細書で開示された組成物を含有するクリーム、軟膏、ジェル、溶液又は懸濁液などが、用いられる。局所配合物は一般に、医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系、及び皮膚軟化剤で構成されてもよい。
【0063】
静脈内投与の場合、本明細書に記載された組成物は、生理食塩水又はデキストロース溶液などの医薬的に許容できる希釈剤に溶解又は分散されてもよい。非限定的にNaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、及びクエン酸をはじめとする適切な賦形剤が、所望のpHを実現するために含まれてもよい。様々な実施形態において、最終組成物のpHは、2~8、又は好ましくは4~7の範囲内である。抗酸化賦形剤としては、重亜硫酸ナトリウム、アセトン重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウム、スルホキシル酸塩、チオ尿素、及びEDTAを挙げることができる。幾つかの実施形態において、静脈内送達に用いられる賦形剤としては、Kolliphor HS15(ポリオキシ15ヒドロキシステアリン酸塩又はSolutol HS-15)、プロピレングリコール及び5%デキストロース水(D5W)を挙げることができる。最終的な静脈内組成物中で見出される適切な賦形剤の他の非限定的例としては、リン酸ナトリウム又はカリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びにデキストロール、マンニトール、及びデキストランなどの炭水化物を挙げることができる。さらなる許容できる賦形剤は、Powell, et
al., Compendium of Excipients for Parenteral Formulations, PDA J Pharm Sci and Tech 1998, 52 238-311、及びNema et al., Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future
Directions, PDA J Pharm Sci and Tech 2011, 65 287-332に記載されており、それらは両者とも、全体として参照により本明細書に援用される。静菌性又は静真菌性溶液を実現するために、非限定的に、硝
酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、及びクロロブタノールをはじめとする抗菌剤もまた、含まれてよい。幾つかの実施形態において、0.08mg/ml~0.2mg/mlプリナブリンを実現するために、プリナブリンが、少なくとも200mlのD5Wを含有する遮光バッグに添加される。幾つかの実施形態において、プリナブリン生薬40mgが、取り出され、プロピレングリコール6.0gに添加され、その後、D5W 200mlに添加された。幾つかの実施形態において、プリナブリンは、濃縮溶液(プロピレングリコール/ポリオキシ15ヒドロキシステアリン酸塩 60:40(wt:wt)中の4mg/mlプリナブリン)である。幾つかの実施形態において、濃縮溶液中のプリナブリンは、D5W注射に添加される(例えば、1:10希釈レベル又は1:20希釈レベル)。
【0064】
静脈内投与のための組成物が、投与前の短期間のうちに滅菌水、生理食塩水又は水中のデキストロースなどの適切な希釈剤で再構成されるもう1種の固体の形態で看護者に提供されてもよい。他の実施形態において、該組成物は、即座に非経口投与することが可能な溶液中で提供される。さらなる他の実施形態において、該組成物は、投与前にさらに希釈される溶液中で提供される。本明細書に記載された化合物と別の薬剤との組合せを投与することを含む実施形態において、該組合せは、混合物として看護者に提供されてもよく、又は看護者が、2種の薬剤を投与前に混合してもよく、又は2種の薬剤が、別々に投与されてもよい。
【0065】
本明細書に記載された活性化合物の実際の用量は、特異的な化合物及び治療される病気に依存し;適正な用量の選択は、充分に当業者の知識の範囲内である。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約1mg/m~約50mg/mの範囲内の用量で投与されてもよい。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約1~50mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~13.75、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~22.5、1~25、1~27.5、1~30、1.5~2、1.5~3、1.5~4、1.5~5、1.5~6、1.5~7、1.5~8、1.5~9、1.5~10、1.5~11、1.5~12、1.5~13、1.5~13.75、1.5~14、1.5~15、1.5~16、1.5~17、1.5~18、1.5~19、1.5~20、1.5~22.5、1.5~25、1.5~27.5、1.5~30、2.5~2、2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~11、2.5~12、2.5~13、2.5~13.75、2.5~14、2.5~15、2.5~16、2.5~17、2.5~18、2.5~19、2.5~20、2.5~22.5、2.5~25、2.5~27.5、2.5~30、2.5~7.5、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、3~13、3~13.75、3~14、3~15、3~16、3~17、3~18、3~19、3~20、3~22.5、3~25、3~27.5、3~30、3.5~6.5、3.5~13.75、3.5~15、2.5~17.5、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、4~13、4~13.75、4~14、4~15、4~16、4~17、4~18、4~19、4~20、4~22.5、4~25、4~27.5、4~30、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、5~13、5~13.75、5~14、5~15、5~16、5~17、5~18、5~19、5~20、5~22.5、5~25、5~27.5、5~30、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、6~13、6~13.75、6~14、6~15、6~16、6~17、6~18、6~19、6~20、6~22.5、6~25、6~27.5、6~30、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、7~13、7~13.75、7~14、7~15、7~16、7~17、7~18、7~19、7~20
、7~22.5、7~25、7~27.5、7~30、7.5~12.5、7.5~13.5、7.5~15、8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~13.75、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~22.5、8~25、8~27.5、8~30、9~10、9~11、9~12、9~13、9~13.75、9~14、9~15、9~16、9~17、9~18、9~19、9~20、9~22.5、9~25、9~27.5、9~30、10~11、10~12、10~13、10~13.75、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~22.5、10~25、10~27.5、10~30、11.5~15.5、12.5~14.5、7.5~22.5、8.5~32.5、9.5~15.5、15.5~24.5、5~35、17.5~22.5、22.5~32.5、25~35、25.5~34.5、27.5~32.5、2~20、2.5~22.5、9.5~21.5、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、又は40~50mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50mg/m体表面積の用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50mg/m体表面積未満の用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mg/m体表面積を超える用量で投与される。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、約40mg/m体表面積の用量で投与される。
【0066】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物の用量は、約5mg~300mg、5mg~200mg、7.5mg~200mg、10mg~100mg、15mg~100mg、20mg~100mg、30mg~100mg、40mg~100mg、10mg~80mg、15mg~80mg、20mg~80mg、30mg~80mg、40mg~80mg、10mg~60mg、15mg~60mg、20mg~60mg、30mg~60mg、又は約40mg~60mgである。幾つかの実施形態において、投与される式(I)で示される化合物は、約20mg~60mg、27mg~60mg、20mg~45mg又は27mg~45mgである。幾つかの実施形態において、投与される式(I)で示される化合物は、約5mg~7.5mg、5mg~9mg、5mg~10mg、5mg~12mg、5mg~14mg、5mg~15mg、5mg~16mg、5m
g~18mg、5mg~20mg、5mg~22mg、5mg~24mg、5mg~26mg、5mg~28mg、5mg~30mg、5mg~32mg、5mg~34mg、5mg~36mg、5mg~38mg、5mg~40mg、5mg~42mg、5mg~44mg、5mg~46mg、5mg~48mg、5mg~50mg、5mg~52mg、5mg~54mg、5mg~56mg、5mg~58mg、5mg~60mg、7mg~7.7mg、7mg~9mg、7mg~10mg、7mg~12mg、7mg~14mg、7mg~15mg、7mg~16mg、7mg~18mg、7mg~20mg、7mg~22mg、7mg~24mg、7mg~26mg、7mg~28mg、7mg~30mg、7mg~32mg、7mg~34mg、7mg~36mg、7mg~38mg、7mg~40mg、7mg~42mg、7mg~44mg、7mg~46mg、7mg~48mg、7mg~50mg、7mg~52mg、7mg~54mg、7mg~56mg、7mg~58mg、7mg~60mg、9mg~10mg、9mg~12mg、9mg~14mg、9mg~15mg、9mg~16mg、9mg~18mg、9mg~20mg、9mg~22mg、9mg~24mg、9mg~26mg、9mg~28mg、9mg~30mg、9mg~32mg、9mg~34mg、9mg~36mg、9mg~38mg、9mg~40mg、9mg~42mg、9mg~44mg、9mg~46mg、9mg~48mg、9mg~50mg、9mg~52mg、9mg~54mg、9mg~56mg、9mg~58mg、9mg~60mg、10mg~12mg、10mg~14mg、10mg~15mg、10mg~16mg、10mg~18mg、10mg~20mg、10mg~22mg、10mg~24mg、10mg~26mg、10mg~28mg、10mg~30mg、10mg~32mg、10mg~34mg、10mg~36mg、10mg~38mg、10mg~40mg、10mg~42mg、10mg~44mg、10mg~46mg、10mg~48mg、10mg~50mg、10mg~52mg、10mg~54mg、10mg~56mg、10mg~58mg、10mg~60mg、12mg~14mg、12mg~15mg、12mg~16mg、12mg~18mg、12mg~20mg、12mg~22mg、12mg~24mg、12mg~26mg、12mg~28mg、12mg~30mg、12mg~32mg、12mg~34mg、12mg~36mg、12mg~38mg、12mg~40mg、12mg~42mg、12mg~44mg、12mg~46mg、12mg~48mg、12mg~50mg、12mg~52mg、12mg~54mg、12mg~56mg、12mg~58mg、12mg~60mg、15mg~16mg、15mg~18mg、15mg~20mg、15mg~22mg、15mg~24mg、15mg~26mg、15mg~28mg、15mg~30mg、15mg~32mg、15mg~34mg、15mg~36mg、15mg~38mg、15mg~40mg、15mg~42mg、15mg~44mg、15mg~46mg、15mg~48mg、15mg~50mg、15mg~52mg、15mg~54mg、15mg~56mg、15mg~58mg、15mg~60mg、17mg~18mg、17mg~20mg、17mg~22mg、17mg~24mg、17mg~26mg、17mg~28mg、17mg~30mg、17mg~32mg、17mg~34mg、17mg~36mg、17mg~38mg、17mg~40mg、17mg~42mg、17mg~44mg、17mg~46mg、17mg~48mg、17mg~50mg、17mg~52mg、17mg~54mg、17mg~56mg、17mg~58mg、17mg~60mg、20mg~22mg、20mg~24mg、20mg~26mg、20mg~28mg、20mg~30mg、20mg~32mg、20mg~34mg、20mg~36mg、20mg~38mg、20mg~40mg、20mg~42mg、20mg~44mg、20mg~46mg、20mg~48mg、20mg~50mg、20mg~52mg、20mg~54mg、20mg~56mg、20mg~58mg、20mg~60mg、22mg~24mg、22mg~26mg、22mg~28mg、22mg~30mg、22mg~32mg、22mg~34mg、22mg~36mg、22mg~38mg、22mg~40mg、22mg~42mg、22mg~44mg、22mg~46mg、22mg~48mg、22mg~50mg、
22mg~52mg、22mg~54mg、22mg~56mg、22mg~58mg、22mg~60mg、25mg~26mg、25mg~28mg、25mg~30mg、25mg~32mg、25mg~34mg、25mg~36mg、25mg~38mg、25mg~40mg、25mg~42mg、25mg~44mg、25mg~46mg、25mg~48mg、25mg~50mg、25mg~52mg、25mg~54mg、25mg~56mg、25mg~58mg、25mg~60mg、27mg~28mg、27mg~30mg、27mg~32mg、27mg~34mg、27mg~36mg、27mg~38mg、27mg~40mg、27mg~42mg、27mg~44mg、27mg~46mg、27mg~48mg、27mg~50mg、27mg~52mg、27mg~54mg、27mg~56mg、27mg~58mg、27mg~60mg、30mg~32mg、30mg~34mg、30mg~36mg、30mg~38mg、30mg~40mg、30mg~42mg、30mg~44mg、30mg~46mg、30mg~48mg、30mg~50mg、30mg~52mg、30mg~54mg、30mg~56mg、30mg~58mg、30mg~60mg、33mg~34mg、33mg~36mg、33mg~38mg、33mg~40mg、33mg~42mg、33mg~44mg、33mg~46mg、33mg~48mg、33mg~50mg、33mg~52mg、33mg~54mg、33mg~56mg、33mg~58mg、33mg~60mg、36mg~38mg、36mg~40mg、36mg~42mg、36mg~44mg、36mg~46mg、36mg~48mg、36mg~50mg、36mg~52mg、36mg~54mg、36mg~56mg、36mg~58mg、36mg~60mg、40mg~42mg、40mg~44mg、40mg~46mg、40mg~48mg、40mg~50mg、40mg~52mg、40mg~54mg、40mg~56mg、40mg~58mg、40mg~60mg、43mg~46mg、43mg~48mg、43mg~50mg、43mg~52mg、43mg~54mg、43mg~56mg、43mg~58mg、42mg~60mg、45mg~48mg、45mg~50mg、45mg~52mg、45mg~54mg、45mg~56mg、45mg~58mg、45mg~60mg、48mg~50mg、48mg~52mg、48mg~54mg、48mg~56mg、48mg~58mg、48mg~60mg、50mg~52mg、50mg~54mg、50mg~56mg、50mg~58mg、50mg~60mg、52mg~54mg、52mg~56mg、52mg~58mg、又は52mg~60mgである。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物の用量は、約5mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、又は約200mgを超える。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物の用量は、約5mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、又は約200mg未満である。
【0067】
幾つかの実施形態において、治療計画は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、又は8週間に1回の式(I)で示される化合物の投与を含む。幾つかの実施形態において、治療計画は、1週間に2回、2週間に2回、3週間に2回、4週間に2回、5週間に2回、6週間に2回、7週間に2回、又は8週間に2回の式(I)で示される化合物の投与を含む。幾つかの実施形態において、治療計画は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の治療サイクルで1週間に1回の式(I)で示される化合物の投与を含む。幾つかの実施形態において、治療計画は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の治療サイクルで1週間に2回の式(I)で示される化合物の投
与を含む。幾つかの実施形態において、治療計画は、21日の治療サイクルの1日目、8日目及び15日目の式(I)で示される化合物の投与を含む。
【0068】
レジメンが、臨床的に忍容性がある限り、治療サイクルが、反復され得る。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物の治療サイクルは、n回反復され、ここでnは、2~30の範囲内の整数である。幾つかの実施形態において、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。幾つかの実施形態において、新しい治療サイクルが、過去の治療サイクルの完了直後に行われ得る。幾つかの実施形態において、新しい治療サイクルが、過去の治療サイクルの完了後に一定期間をおいて行われ得る。幾つかの実施形態において、新しい治療サイクルが、過去の治療サイクルの完了の1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、又は7週間後に行われ得る。
【実施例
【0069】
本開示をさらに例示するために、以下の実施例が含まれる。実施例は、もちろん本開示を具体的に限定するものと解釈されるべきでない。特許請求の範囲の範囲内でのこれらの実施例の変形は、当業者の権限の範囲内であり、本明細書に記載されて特許請求の範囲に示された本開示の範囲に含まれると見なされる。読者は、本開示及び当該技術分野の技能を把握した当業者が網羅的な実施例を用いずに本開示を調製及び使用し得ることを認識するであろう。
【0070】
実施例1
本試験において、プリナブリンは、半固形培地での腫瘍細胞の接着非依存性増殖及びエクスビボコロニー形成を阻害する能力について特徴づけられた。該化合物は、96ウェル形式の3Dクローン形成法と、リードアウトとしての画像解析に基づくコロニーカウントと、を利用して、すべての主要ながんタイプを代表する93の当初計画された腫瘍異種移植片のうちの87において検討された。このアッセイを利用することにより、試験化合物は、半固形培地での腫瘍細胞の接着非依存性増殖及びエクスビボコロニー形成を阻害する能力について評価された。
【0071】
プリナブリンのマスターストック溶液が、該化合物をDMSOに9.9mMの濃度で溶解することにより調製された。作業ストック溶液が、マスターストック溶液をDMSOで0.99mM(最大テスト濃度の330倍)に希釈することにより調製された。マスターストック及び作業ストックの少量のアリコートが、-20℃で貯蔵された。各実験日に、作業ストックのアリコートが、処理前及び処理中に室温で使用及び貯蔵された。液体取扱いステップはすべて、Tecan Freedom EVO 200ロボティクプラットフォームを用いて実施された。最初に、作業ストック溶液の系列希釈が、DMSOで実施された。その後、DMSO希釈物が、中間希釈プレート内で細胞培養培地(20%(v/v)ウシ胎仔血清及び50μg/mlゲンタマイシンを補充されたIMDM)中に1:22希釈された。最後に、中間希釈プレートから採取された10μlが、140μl/ウェルの最終アッセイプレートに移された。こうしてDMSO作業ストックが、1:330希釈され、アッセイ内のDMSO濃度は、すべてのウェルで0.3%v/vとなった。
【0072】
プリナブリンが、複数のがんタイプを代表する87のPDXモデルで検討された。腫瘍は、NMRI nu/nuマウスにおいて皮下異種移植片として継代された。腫瘍体積400~1000mmの時点で、関連のSOP、並びにFELASA及びGV-SOLASにより発行された関連の動物福祉ガイドラインに従い、腫瘍担持マウスが安楽死され、腫瘍が滅菌条件下で速やかに回収された。腫瘍は、機械的に細分化され、次にRPMI1640培地(Life Technologies)中のコラゲナーゼIV型(41U/ml)、DNaseI(125U/ml)、ヒアルロニダーゼIII型(100U/ml)及びディスパーゼII(1U/ml)からなる酵素カクテルと共に37℃で60~12
0分間インキュベートされた。細胞は、100μm及び40μmメッシュサイズのシーブス(セルストレーナ、BD Falcon(商標))に通され、RPMI1640培地(Biochrom)で洗浄された。生存可能細胞のパーセンテージが、トリパンブルー色素排除法を利用してノイバウエル血球計算盤で測定された。細胞のアリコートが、凍結され、液体窒素の気相中で貯蔵された。各実験日に、腫瘍細胞の凍結アリコートが、解凍され、アッセイプレートの調製に用いられた。
【0073】
クローン形成法が、超低接着プレートを用いて96ウェルプレート形式で実行された。各テストのために、細胞が、先に記載されたとおり調製され、アッセイプレートが、以下のとおり調製された:各テストウェルは、腫瘍細胞(50μl)を含む半固形培地層と、テスト化合物(100μl)を含む、又は含まない第二の培地上清層と、を含有した。細胞層は、ウェルあたり2.5~12.5×10腫瘍細胞からなり、それが50μl/ウェル細胞培養培地(20%(v/v)ウシ胎仔血清、50μg/mlゲンタマイシン及び0.4%(w/v)寒天を補充されたIMDM)中で0日目(d0)に播種された。24時間後に、軟寒天層が、寒天を含まない同じ培養培地90μlで覆われた。播種の7日後に、テスト化合物又は対照培地10μlが、添加され、細胞上に24時間放置された。各96ウェルプレートは、6つのDMSO処理対照ウェルと、2組ずつ9種の濃度の薬物処理ウェルと、を含んだ。24時間のインキュベーション時間の後、上清(寒天を含まない培地90μl+化合物/対照10μl)が、薬物不含培地に交換され、試験終了までインキュベートされた。培養物が、加湿雰囲気下、37℃及び7.5%COで合計13日間インキュベートされ、倒立顕微鏡を用いてコロニーの増殖を綿密にモニタリングされた。この期間内に、エクスビボ腫瘍の増殖が、50μmを超える直径(2000μmを超える面積)のコロニー形成に導いた。最大量ビヒクル(Max vehicle)処理ウェルでの最大コロニー形成の時点で、活力のあるコロニーが、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-フェニルテトラゾリウムクロリド(INT、1mg/ml、25μl/ウェル)の滅菌水溶液で48時間染色されて、コロニーカウントが、自動画像解析システム(Bioreader 5000 V-alpha、BIO-SYS GmbH)で実施された。
【0074】
半固形培地において足場非依存的に増殖する可能性を有する細胞のエクスビボコロニー形成を阻害するプリナブリンの能力が、3Dクローン形成法を利用して様々な組織型の87のPDXモデルで調査された。結果が図1に、そして図2の絶対及び相対IC70値のヒートマップ表示に要約される。小細胞肺がん、胃がん、及びトリプルネガティブ乳がんの濃度-効果曲線が、図3~5に示される。
【0075】
プリナブリンは、ほぼすべての細胞株において腫瘍コロニー形成を濃度依存的に阻害し、図3~5に示されるようなシグモイド濃度-効果曲線が得られ、幾何平均絶対IC70値は0.166μMであった。テストされたすべての腫瘍モデルで、87のうち40のモデルが、プリナブリンに対して感受性があり、すべてのモデルに対比して感受性モデルでは6.8倍差の絶対IC70となった(表1)。
【0076】
【表1】
【0077】
幾何平均の絶対IC70値に基づく最大感受性の組織型は、小細胞肺がん(幾何平均絶対IC70=0.035μM;n=7)、膀胱がん(幾何平均絶対IC70=0.038μM;n=9)、及び軟部組織肉腫(幾何平均絶対IC70=0.057μM;n=10)であった。
【0078】
総括すると、最大応答性モデルは、BXF1258、BXF2211、BXF2775、及びSXFS627で、絶対IC70は3nMであり、メラノーマモデルが最大耐性モデルで、幾何平均絶対IC70が1.105μMであることが、観察された(n=19)。
【0079】
実施例2
本試験は、主要ながんタイプを代表する71の当初計画された患者由来異種移植片(PDX)モデルのうちの68モデルにおいてエクスビボでの抗がん活性についてプリナブリンを検討した。実験は、96ウェル形式の3Dクローン形成法と、リードアウトとしての画像解析基づくコロニーカウントと、を利用して実施された。このアッセイを利用することにより、試験化合物が、半固形培地での腫瘍細胞の接着非依存性増殖及びエクスビボコロニー形成を阻害する能力について評価された。
【0080】
プリナブリンのマスターストック溶液が、該化合物をDMSOに9.9mMの濃度で溶解することにより調製された。作業ストック溶液が、マスターストック溶液をDMSOで0.99mM(最大テスト濃度の330倍)の濃度に希釈することにより調製された。マスターストック及び作業ストックの少量のアリコートが、-20℃で貯蔵された。各実験日に、作業ストックのアリコートが、治療前及び治療中に室温で使用及び貯蔵された。液体取扱いステップはすべて、Tecan Freedom EVO 200ロボティクプラットフォームを用いて実施された。最初に、作業ストック溶液の系列希釈が、DMSOで実施された。その後、DMSO希釈物が、中間希釈プレート内で細胞培養培地(20%(v/v)ウシ胎仔血清及び50μg/mlゲンタマイシンを補充されたIMDM)に1:22希釈された。最後に、中間希釈プレートから採取された10μlが、140μl/ウェルの最終アッセイプレートに移された。こうしてDMSO作業ストックが、1:330希釈され、アッセイ内のDMSO濃度は、すべてのウェルで0.3%v/vとなった。
【0081】
プリナブリンが、複数のがんタイプを代表する68のPDXモデルで検討された。腫瘍は、NMRI nu/nuマウスに皮下異種移植片として継代された。腫瘍体積400~1000mmの時点で、関連のSOP、並びにFELASA及びGV-SOLASにより発行された関連の動物福祉ガイドラインに従い、腫瘍担持マウスが、安楽死され、腫瘍が、滅菌条件下で速やかに回収された。腫瘍は、機械的に細分化され、次にRPMI1640培地(Life Technologies)中のコラゲナーゼIV型(41U/ml)、DNaseI(125U/ml)、ヒアルロニダーゼIII型(100U/ml)及びディスパーゼII(1U/ml)からなる酵素カクテルと共に37℃で60~120
分間インキュベートされた。細胞は、100μm及び40μmメッシュサイズのシーブス(セルストレーナ、BD Falcon(商標))に通され、RPMI1640培地(Biochrom)で洗浄された。生存可能細胞のパーセンテージが、トリパンブルー色素排除法を利用してノイバウエル血球計算盤で測定された。細胞のアリコートが、凍結され、液体窒素の気相中で貯蔵された。各実験日に、腫瘍細胞の凍結アリコートが、解凍され、アッセイプレートの調製に用いられた。
【0082】
クローン形成法が、超低接着プレートを用いて96ウェルプレート形式で実行された。各テストのために、細胞が、先に記載されたとおり調製され(6.6節)、アッセイプレートが、以下のとおり調製された:各テストウェルは、腫瘍細胞(50μl)を含む半固形培地層と、テスト化合物(100μl)を含む、又は含まない第二の培地上清層と、を含有した。細胞層は、ウェルあたり2.5~12.5×10腫瘍細胞からなり、それが50μl/ウェル細胞培養培地(20%(v/v)ウシ胎仔血清、50μg/mlゲンタマイシン及び0.4%(w/v)寒天を補充されたIMDM)中で0日目(d0)に播種された。24時間後に、軟寒天層が、寒天を含まない同じ培養培地90μlで覆われた。播種の7日後に、テスト化合物又は対照培地10μlが、添加され、細胞上に24時間放置された。各96ウェルプレートは、6つのDMSO処理対照ウェルと、2組ずつ9種の濃度の薬物処理ウェルと、を含んだ。24時間のインキュベーション時間の後、上清(寒天を含まない培地90μl+化合物/対照10μl)が、薬物不含培地に交換され、試験終了までインキュベートされた。培養物が、加湿雰囲気下、37℃及び7.5%COで合計13日間インキュベートされ、倒立顕微鏡を用いてコロニーの増殖を綿密にモニタリングされた。この期間内に、エクスビボ腫瘍の増殖が、50μmを超える直径(2000μmを超える面積)のコロニー形成に導いた。最大量ビヒクル処理ウェルでの最大コロニー形成の時点で、活力のあるコロニーが、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-フェニルテトラゾリウムクロリド(INT、1mg/ml、25μl/ウェル)の滅菌水溶液で48時間染色されて、コロニーカウントが、自動画像解析システム(Bioreader 5000 V-alpha、BIO-SYS GmbH)で実施された。
【0083】
半固形培地において足場非依存的に増殖する可能性を有する細胞のエクスビボコロニー形成を阻害するプリナブリンの能力が、3Dクローン形成法を利用して様々な組織型の68のPDXモデルで調査された。結果は、散布図としてのIC50及びIC70(それぞれ図6及び図7)、並びに絶対及び相対IC値(それぞれ図8及び図9)のヒートマップに基づいて表される。個々の結果、即ち、相対及び絶対IC50/IC70値(図13A及び13B)、並びにT/C値を含有する濃度応答表が、決定された(図14A及び図14B)。小細胞肺がん、胃がん、及びトリプルネガティブ乳がんの濃度応答曲線が、それぞれ図10~12に示される。
【0084】
プリナブリンは、図10図11、及び図12に示されたとおり、ほぼすべての細胞株において腫瘍コロニー形成を濃度依存的に阻害し、シグモイド濃度-効果曲線をもたらした。細胞が2日目~3日目に処理された実施例1で得られた濃度-効果曲線に比較して、本試験での7日目~8日目の処理は、より高い最小平坦域と、IC50及びIC70値の増加に導いた。しかし、小細胞肺がんモデルは、実施例1及び実施例2の両試験において最大感受性モデルであることが観察された。
【0085】
プリナブリンは、腫瘍コロニー形成を阻害し、幾何平均絶対IC50値が0.6μMであった(図6及び図9)。絶対IC50に基づくと、68の腫瘍モデルのうち24モデルが、プリナブリンに対して感受性があり、全モデルに対比して感受性モデルでは10.7倍差の絶対IC50であった(表2)。
【0086】
【表2】
【0087】
幾何平均絶対IC50値に基づく最大感受性組織型(図6)は、小細胞肺がん(幾何平均絶対IC50=0.074μM;n=7)、骨肉腫(幾何平均絶対IC50=0.117μM;n=3)、胃がん(アジア人、幾何平均絶対IC50=0.166μM、n=3)、及び中枢神経系がん(幾何平均絶対IC50=0.426μM;n=6)であった。総括すると、絶対IC50に基づく最大応答モデル(図8)は、小細胞肺がんモデルLXFS2156(絶対IC50=0.007μM)及びLXFS650(絶対IC50=0.022μM)、骨肉腫モデルSXFO1186(絶対IC50=0.019μM)、並びに(アジア人の)胃がんモデルGXA3067(絶対IC50=0.026μM)であった。メラノーマモデル(幾何平均絶対IC50=1.367μM;n=9)、Her2陽性乳がんモデル(幾何平均絶対IC50=2.252μM;n=6)、及び軟部組織肉腫モデル(幾何平均絶対IC50=2.584μM;n=8)が、最大耐性腫瘍タイプであることが観察された。
【0088】
プリナブリンは、腫瘍コロニー形成を阻害し、幾何平均絶対IC70値が1.78μMであった(図7及び図9)。絶対IC70に基づくと、68の腫瘍モデルのうち9モデルが、プリナブリンに対して感受性があり、全モデルに対比して感受性モデルでは27.1倍差の絶対IC70であった(表3)。
【0089】
【表3】
【0090】
幾何平均絶対IC70値に基づく最大感受性組織型(図7)は、胃がん(アジア人、幾何平均絶対IC70=0.319μM;n=3)、小細胞肺がん(幾何平均絶対IC70=0.385μM;n=7)、骨肉腫(幾何平均絶対IC70=0.624μM;n=3)、及び中枢神経系がん(幾何平均絶対IC70=1.521μM;n=6)であった。総括すると、絶対IC70に基づく最大応答モデル(図9)は、小細胞肺がんモデルLXFS2156(絶対IC70=0.015μM)、LXFS1129(絶対IC70=0.032μM)及びLXFS650(絶対IC70=0.032μM)、並びに骨肉腫モデルSXFO1186(絶対IC70=0.027μM)であった。トリプルネガティブ乳がん(MAXFTN)もまた、プリナブリンに対して感受性があることが観察された(図7参照)。軟部組織肉腫モデル(n=8)、Her2陽性乳がんモデル(n=6)、メ
ラノーマモデル(n=9)、膀胱がんモデル(n=6)、及び胃がんモデル(白人、n=3)が最大耐性腫瘍タイプで、幾何平均絶対IC70値が3μMを超えることが、観察された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
【国際調査報告】