IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図1
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図2
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図3
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図4
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図5
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図6
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図7
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図8
  • 特表-バッテリーモジュール部品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール部品
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241016BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/227
H01M50/224
H01M50/342 201
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521163
(86)(22)【出願日】2023-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2023009408
(87)【国際公開番号】W WO2024010332
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0083860
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヨン・キム
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB08
5H012EE01
5H012FF08
5H040AA33
5H040AA37
5H040AY04
5H040LL01
(57)【要約】
開示される発明はバッテリーモジュール部品に関するものであって、一つの例において、合成樹脂材質の本体と、上記本体内に埋め込まれた金属材質のメッシュと、を含み、上記本体は上記メッシュより融点が低いことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材質の本体と、
前記本体内に埋め込まれた金属材質のメッシュと、
を含み、
前記本体は、前記メッシュより融点が低い、バッテリーモジュール部品。
【請求項2】
前記メッシュは、前記本体内にインサート射出で埋め込まれて一体をなし、
前記メッシュは、前記本体の内側面において少なくともその一部が露出している、請求項1に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項3】
前記本体は、
バッテリーモジュールフレームのエンドプレートを形成する、請求項1に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項4】
前記本体の外側面の一部には、周辺より耐熱性が弱い脆弱部が備えられる、請求項2に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項5】
前記脆弱部は、
前記本体より融点がより低い異種の合成樹脂材質からなるか、または周辺より厚さが薄く形成される、請求項4に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項6】
前記メッシュの金属材質は耐熱性ステンレススチールである、請求項1に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項7】
前記メッシュは、前記本体内にインサート射出で埋め込まれて一体をなし、
前記メッシュは、前記本体に対して外部に露出しない、請求項1に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項8】
前記本体の内側面には、周辺より耐熱性が弱い第1脆弱部が備えられる、請求項7に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項9】
前記本体の外側面の一部には、周辺より耐熱性が弱い第2脆弱部が備えられる、請求項8に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項10】
前記第1脆弱部および第2脆弱部はそれぞれ、
前記本体より融点がより低い異種の合成樹脂材質からなるか、または周辺より厚さが薄く形成される、請求項9に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項11】
前記第1脆弱部は、複数個で備えられ、
前記第2脆弱部は、1つで備えられ、それによって、前記第2脆弱部は、複数の前記第1脆弱部に対して均等距離をなすように配置される、請求項9に記載のバッテリーモジュール部品。
【請求項12】
前記第2脆弱部は、
前記メッシュより稠密な寸法のフィルターを備える、請求項9に記載のバッテリーモジュール部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリーモジュール部品に関するものであって、モジュールフレームの内部に搭載されたバッテリーセルが過熱して火炎が発生してもモジュールフレームの外部には火炎が露出しないようにすることにより、外部の火災や爆発などの二次被害の拡散を抑制し得るバッテリーモジュール部品に関するものである。
【0002】
本出願は、2022年7月7日付の韓国特許出願第10-2022-0083860号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は一次電池とは異なって再充電が可能であり、また、小型および大容量化の可能性により近年多く研究開発されている。モバイル機器に対する技術開発と需要が増加し、また、環境保護の時代的要求に合わせて浮上する電気自動車とエネルギー貯蔵システムなどにより、エネルギー源としての二次電池の需要はさらに急激に増加している。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、コイン型電池、円筒型電池、角型電池およびパウチ型電池に分類される。二次電池において電池ケースの内部に装着される電極組立体は、電極および分離膜の積層構造からなる充放電が可能な発電素子である。
【0005】
二次電池は、長期間連続的な使用が要求されるため、充放電過程中に発生する熱を効果的に制御する必要がある。二次電池の冷却が円滑に行われない場合には、温度上昇が電流の増加を引き起こし、電流の増加が再び温度上昇の原因となる正帰還の連鎖反応が起こり、結局熱暴走(Thermal Runaway)の破局状態に至ることになる。
【0006】
また、二次電池がモジュールやパックの形態として集団をなしている場合には、いずれか1つの二次電池に発生した熱暴走により周辺の他の二次電池が連続的に過熱する熱伝播(Thermal Propagation)現象が起こることになる。さらに、過熱した二次電池で発生した火炎が外部に露出すると、周辺装置を傷つけることはもちろん、火災や爆発などの二次被害に拡散し得るため、このような火災危険に対する対策を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2020-0078344号(2020年7月1日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、内部に搭載されたバッテリーセルが過熱して火炎が発生してもフレームの外部には火炎が露出しないようにすることによって、外部の火災や爆発などの二次被害の拡散を抑制し得るバッテリーモジュール部品を提供することにその目的がある。
【0009】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されない別の課題は、下記に記載された発明の説明から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はバッテリーモジュール部品に関するものであって、一つの例において、合成樹脂材質の本体と、上記本体内に埋め込まれた金属材質のメッシュと、を含み、上記本体は上記メッシュより融点が低いことを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記メッシュは、上記本体内にインサート射出で埋め込まれて一体をなし、上記メッシュは、上記本体の内側面において少なくともその一部が露出している。
【0012】
実施形態に従って、上記本体は、バッテリーモジュールフレームのエンドプレートを形成し得る。
【0013】
そして、上記本体の外側面の一部には、周辺より耐熱性が弱い脆弱部が備えられ得る。
【0014】
上記脆弱部は、上記本体より融点がより低い異種の合成樹脂材質からなるか、または周辺より厚さが薄く形成され得る。
【0015】
そして、上記メッシュの金属材質は、耐熱性ステンレススチールであることが好ましいと言える。
【0016】
本発明の他の実施形態によると、上記メッシュは、上記本体内にインサート射出で埋め込まれて一体をなし、上記メッシュは、上記本体に対して外部に露出しない。
【0017】
ここで、上記本体の内側面には、周辺より耐熱性が弱い第1脆弱部が備えられ、さらに、上記本体の外側面の一部には、周辺より耐熱性が弱い第2脆弱部が備えられる。
【0018】
上記第1脆弱部および第2脆弱部はそれぞれ、上記本体より融点がより低い異種の合成樹脂材質からなるか、または周辺より厚さが薄く形成され得る。
【0019】
そして、上記第1脆弱部は、複数個で備えられ、
上記第2脆弱部は、1つで備えられ、それによって、上記第2脆弱部は、上記複数の第1脆弱部に対して均等距離をなすように配置され得る。
【0020】
そして、上記第2脆弱部は、上記メッシュより稠密な寸法のフィルターを備え得る。
【発明の効果】
【0021】
上記のような構成を備えた本発明のバッテリーモジュール部品は、合成樹脂材質の本体内に金属材質のメッシュが埋め込まれた複合素材からなることにより、バッテリーモジュール内で火炎が発生した場合にメッシュ構造を介して消炎作用を起こす一方で、融点が低い樹脂材質の本体が溶けて排出口を形成しても高温のガスが排出されるのみで火炎が外部に排出されなくなる。
【0022】
そして、本体に脆弱部を形成して高温ガスの排出位置を脆弱部に限定することにより、外部火災の危険をさらに低減し得る。
【0023】
ただし、本発明によって得ることができる技術的効果は上述した効果に制限されず、言及されない別の効果は、下記に記載された発明の説明から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に添付される下記の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述される発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
図1】本発明のバッテリーモジュール部品を含むバッテリーモジュールの一例を図示した図面である。
図2】本発明の一実施形態に係るエンドプレートの断面構造を図示した図面である。
図3】エンドプレートの本体内にメッシュをインサート射出で結合する一例を図示した図面である。
図4図2のエンドプレートがバッテリーモジュールフレームに対して結合した一例を図示した図面である。
図5】それぞれ本体に脆弱部を形成する例を図示した図面である。
図6】それぞれ本体に脆弱部を形成する例を図示した図面である。
図7】本発明の他の実施形態に係るエンドプレートの断面構造を図示した図面である。
図8】第1脆弱部と第2脆弱部の相対的な配置関係を図示した図面である。
図9図7のエンドプレートに形成された第2脆弱部にフィルターが備えられた一例を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有し得るので、特定の実施形態を以下に詳細に説明する。
【0026】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0027】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0028】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0029】
本発明はバッテリーモジュール部品に関するものであって、一つの例において、合成樹脂材質の本体と、上記本体内に埋め込まれた金属材質のメッシュと、を含み、上記本体は上記メッシュより融点が低いことを特徴とする。
【0030】
上記のような構成を備えた本発明のバッテリーモジュール部品は、合成樹脂材質の本体内に金属材質のメッシュが埋め込まれた複合素材からなることにより、バッテリーモジュール内で火炎が発生した場合にメッシュ構造を介して消炎作用を起こす一方で、融点が低い樹脂材質の本体が溶けて排出口を形成しても高温のガスが排出されるのみで火炎が外部に排出されなくなる。
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明のバッテリーモジュール部品の具体的な実施形態について詳細に説明する。参考として、以下の説明で使用される相対的な位置を指定する前後や上下左右の方向は発明の理解を助けるためのものであって、特に定義がない限り図面に図示された方向を基準とする。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本発明のバッテリーモジュール部品200を含むバッテリーモジュール10の一例を図示した図面である。バッテリーモジュール10は、バッテリーセル410を外部の衝撃と熱、振動などから保護するために一定の個数で束ねてフレームに入れたバッテリー組立体を指すものである。バッテリーモジュール10は、互いに直列および/または並列に連結された多数のバッテリーセル410からなっており、機械的構造物、すなわち、バッテリーモジュールフレーム100内に埋め込まれる。
【0033】
バッテリーセル410は、それぞれがエネルギーを蓄えて必要なときに外部に供給する源泉的な役割を果たすが、バッテリーセル410のみでは容量が小さいため、それをまとめたモジュールを作り、さらにモジュールを大きく合わせてバッテリーパックを作ることになる。
【0034】
本発明は、多数のバッテリーセル410を保護するバッテリーモジュール10に適用されるバッテリーモジュール部品200に関するものである。図1に一つの例として図示されたバッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセル410が直列および/または並列に連結されて1つの組立体をなすバッテリーセルアセンブリ400を含んでいる。
【0035】
そして、多数のバッテリーセル410を保護する機械的構造物であるバッテリーモジュールフレーム100は、「U」字状の断面をなし、その内部にバッテリーセルアセンブリ400を収容する空間を形成するメインフレーム102と、メインフレーム102の開放された上面を覆う上部プレート104と、を含む。ここで、バッテリーモジュールフレーム100の開放された両側面には、エンドプレート200’が結合してバッテリーモジュール10を密封するが、本発明がバッテリーモジュール部品200の1つとして例示したいものがエンドプレート200’である。
【0036】
バッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセル410を収容する多面体状、図1では六面体状をなしているが、両側面にエンドプレート200’が結合する。ここで、エンドプレート200’は、バッテリーセルアセンブリ400の電極リード側に結合し、これにより、エンドプレート200’には、バッテリーセルアセンブリ400と電気的に連結されるバスバーが備えられ得る。
【0037】
この点から、エンドプレート200’がバスバーを備える場合には、バスバーフレームと呼ぶこともできる。したがって、本発明の明細書で称するエンドプレート200’は、その用語の使用例に拘束されずに、バッテリーモジュール10の両側面を密封するバッテリーモジュール部品200として広く理解する必要がある。
【0038】
図2は、本発明の第1実施形態に係るバッテリーモジュール部品200、すなわち、エンドプレート200’の断面構造を図示したものである。エンドプレート200’は、合成樹脂材質の本体210と、上記本体210内に埋め込まれた金属材質のメッシュ230と、を含んでいる。特に、合成樹脂材質の本体210は、金属材質のメッシュ230より融点が低いことを特徴とする。
【0039】
すなわち、本発明のエンドプレート200’は、合成樹脂材質の本体210と、本体210内に埋め込まれた金属材質のメッシュ230が合体された複合素材からなっている。ここで、合成樹脂材質の本体210は、エンドプレート200’の機械的構造を維持する構造体としての役割を果たす。この点から、本体210としては、機械的強度に優れた合成樹脂、例えば、ポリカーボネートなどの合成樹脂が使用され得る。
【0040】
そして、合成樹脂材質の本体210内に入っているメッシュ230は、広義の概念としては多孔性の金属体と理解し得る。例えば、金属材質の網、ワイヤーメッシュ230、多数の貫通孔が形成された金属薄膜などがメッシュ230として適用され得る。または、細い金属糸を螺旋状に巻いた平らなワイヤーのかたまりを金属材質のメッシュ230に挿入することもできる。
【0041】
このような本発明のエンドプレート200’は、構造体として合成樹脂材質の本体210を適用しながら、その中に多孔性のメッシュ230を含んでいるので、合成樹脂素材による軽量化とメッシュ230構造による重量削減により、軽量なバッテリーモジュール部品200を具現し得るようになる。
【0042】
また、本発明のエンドプレート200’は、本体210内に埋め込まれた金属材質のメッシュ230がバッテリーセル410の熱暴走時に発生する火炎を通過させながら細かく砕くのみならず、火炎のエネルギーを吸収する吸熱反応を起こして温度下降および消炎の効果をもたらす。
【0043】
より具体的には、金属材質のメッシュ230は多数の小さな穴を有するので、ガスや蒸気などの気体はメッシュ230を容易に通過し得るが、火炎は相対的に通過しにくい。
【0044】
そして、バッテリーセル410内部の可燃性気体と空気の混合物が点火されたときに、エンドプレート200’内部のメッシュ230は燃焼する気体混合物から発生する熱を吸収して発散することにより、周辺の気体が自然発火温度に上がらないように燃焼温度を下げる役割を果たす。これは、高温の気体がメッシュ230を通過しながら金属材質の多孔構造に熱を奪われるためである。すなわち、メッシュ230は、数多くの穴を含む金属材質からなっており、非常に広い断面積を有する引火防止網(flame arrester)として機能する。
【0045】
したがって、バッテリーセル410の熱暴走によって発生した火炎は、本発明のバッテリーモジュール部品200を通過しながら、それ以上火炎が維持し得ないほどの熱量を奪われることになる。これにより、熱伝播現象や外部火災が効果的に抑制される。
【0046】
そして、合成樹脂材質の本体210は金属材質のメッシュ230より融点が低いため、メッシュ230を通過する火炎は熱を奪われる過程中に本体210の外側面の一部を溶かして貫通された穴を作ることができる。それでも引火防止網として機能するメッシュ230により火炎の炎はほとんど除去されるので、火炎によって溶けて作られた本体210の貫通孔を介しては高温のガスが主に排出され、火炎はほとんど排出されなくなる。
【0047】
一方、金属材質のメッシュ230は、長時間消炎機能を維持するために熱に強い性質を有する必要があり、また、メッシュ230は、火炎を阻止する消炎能力のみならず、爆発圧力に耐える機械的特性を有する材質を選ぶことが好ましい。この点から、メッシュ230の素材としては、熱に強く機械的強度に優れたスチールまたはステンレススチール素材が選定され得る。
【0048】
例えば、メッシュ230は、耐熱性ステンレススチールで作られ得る。耐熱ステンレススチールは、X10CrAlSi7、X10CrAl13、X10CrAl18およびX18CrN28などのフェライト系ステンレススチール合金や、X15CrNiSi20-12、X15CrNiSi25-20、X15CrNiSi25-21およびX12CrNiTi18-10などのオーステナイト系ステンレススチール合金、またはNiCr15Fe、NiCr23Fe、NiCr22Mo9Nb、NiCr21MoおよびNiCr28FeSiCeなどのニッケル-クロムステンレススチール合金であり得る。
【0049】
そして、本体210内に埋め込まれるメッシュ230は薄い板状であるため、バッテリーモジュールフレーム10のサイズ増加を抑制し得る。また、メッシュ230は多数の穴を有しているので、重量の増加も抑制し得る。したがって、本発明のバッテリーモジュール部品200は、バッテリーモジュール10、さらにバッテリーモジュール10が集合されたバッテリーパックのサイズや重量の増加を抑制しながら、バッテリーセル410から火炎が噴出する事態が発生した場合にも外部への火炎の噴出を防止することにより、バッテリーモジュール10の安全性を向上させる。
【0050】
本発明の一実施形態において、メッシュ230は、本体210内にインサート射出で埋め込まれて一体をなし得る。図3は、上型UMと下型BMの金型内にメッシュ230が固定された状態で溶融した合成樹脂が射出されてバッテリーパック部品を製造する過程を例示的に図示している。
【0051】
そして、図3の実施形態によると、メッシュ230が下型の底面に密着して固定されているので、図2のように、エンドプレート200’の本体210の内側面において少なくともメッシュ230の一部が露出している。メッシュ230を本体210内に埋め込んで固定するために、メッシュ230の一部分に合成樹脂の溶融物が浸透するための段差が形成されているが、下型の底面に密着したメッシュ230の一部分は本体210の内側面に対して露出面を形成することになる。
【0052】
図2のエンドプレート200’がバッテリーモジュールフレーム100に対して結合した一例は図4に図示されている。図4のバッテリーモジュール10において、バッテリーセル410に火災が発生した場合に、エンドプレート200’のメッシュ230は本体210の内側面に対して露出しており、膨張する火炎がメッシュ230に到達する場合には火炎を阻止する消炎能力を発揮することになる。したがって、本体210の外側面に高熱による貫通孔が生じても高温のガスが主に排出されるのみで、火炎はエンドプレート200’の外部に噴出しない。
【0053】
ただし、エンドプレート200’のどの部分に貫通孔が発生するかはランダムである。すなわち、火炎が発生した位置やエンドプレート200’の形状などに依存して熱に脆弱なある部分に貫通孔が生じることになる。貫通孔を介して火炎が噴出しないとしても高温のガスは排出されるため、もし貫通孔周辺に高温のガスに脆弱であるかまたは引火性がある装置や部品が位置すると、これにより外部火災や二次被害が引き起こされ得る。
【0054】
したがって、本発明の一実施形態によると、本体210の外側面の一部に周辺より耐熱性が弱い脆弱部220を備えることにより、脆弱部220側に貫通孔が形成されるように誘導し得る。言い換えれば、高温ガスが排出される貫通孔の好適な位置を脆弱部220に限定し得るのである。
【0055】
脆弱部220は多様な方式で設計され得る。例えば、図5のように、本体210より融点がより低い異種の合成樹脂材質を本体210に挿入して脆弱部220を形成するか、または図6のように、脆弱部220を周辺より厚さを薄く形成することにより、同じ熱を受けてもより速く溶融するようにし得る。ただし、図5および図6は、脆弱部220を形成する例示的な方案に関するものであるため、この例示的な方案によって具体的な脆弱部220の構成が制限されるものではない。
【0056】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係るエンドプレート200’を図示した図面である。図7の第2実施形態によると、メッシュ230は、本体210内にインサート射出で埋め込まれて一体をなしており、メッシュ230は本体210に対して外部に露出しない。
【0057】
すなわち、第2実施形態のエンドプレート200’は、メッシュ230が本体210内に完全に埋め込まれている構造であって、本体210の内側面はもちろん、外側面のどこからもメッシュ230は露出していない。したがって、バッテリーモジュール10の内部で火災が発生した場合に高温の火炎が本体210の内側面を溶融させた後にメッシュ230が露出するとメッシュ230内に流入し、その後メッシュ230が火炎を阻止する消炎機能が作用することになる。
【0058】
第2実施形態のエンドプレート200’は、本体210にメッシュ230を露出する切開面がないため、構造的にさらに強いという長所がある。したがって、第2実施形態は、バッテリーモジュール10のサイズと重量が大きい場合により適した実施形態と言える。
【0059】
ただし、第2実施形態は、高温の火炎が本体210の内側面を溶融させた後にメッシュ230が露出するため、即刻的に消炎機能が作用せず、本体210の内側面のどこに貫通孔が形成されるかがランダムである。したがって、図7に図示されたように、本体210の内側面には、周辺より耐熱性が弱い第1脆弱部221が備えられることにより、第1脆弱部221に貫通孔が形成されるように誘導することが好ましいと言える。
【0060】
また、第1実施形態で説明したように、本体210の外側面の一部には、周辺より耐熱性が弱い第2脆弱部222を形成することにより、高温ガスが排出される貫通孔の好適な位置を第2脆弱部222に限定し得る。そして、第1脆弱部221および第2脆弱部222は、それぞれ、本体210より融点がより低い異種の合成樹脂材質からなるか、または周辺より厚さが薄く形成され得る。図7は、第1脆弱部221および第2脆弱部222が、融点が本体210よりさらに低い異種の合成樹脂材質からなる実施形態を図示している。
【0061】
そして図8は、第1脆弱部221と第2脆弱部222の相対的な配置関係を図示した図面であり、第1脆弱部221は複数個が備えられており、第2脆弱部222は1つが備えられ、複数の第1脆弱部221に対して均等距離をなすように配置されている。これは、個々の第1脆弱部221に進入した火炎ができる限り長い移動距離を経た後に第2脆弱部222から排出されるようにすることにより、メッシュ230の消炎作用が十分に発揮されるようにするためである。
【0062】
図9は、第2実施形態のエンドプレート200’において、本体210内部のメッシュ230より稠密な寸法のフィルター300を第2脆弱部222に備える構成を示す。メッシュ230を通過した火炎は、第2脆弱部222を介して噴出するときに炎はほとんど残らず高温のガス状に排出されるが、高温ガスには外部火災の点火源として作用する高温のパーティクルが含まれ得る。
【0063】
図9の実施形態は、高温のパーティクルによる火災を防止するためのものであり、第2脆弱部222に備えられたフィルター300、特にメッシュ230を通過したサイズのパーティクルをろ過し得るようにメッシュ230よりさらに稠密なフィルター300を第2脆弱部222に備えることによって、外部火災の危険をより効果的に防止し得る。
【0064】
以上、図面と実施形態などにより本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載された図面または実施形態などに記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0065】
10:バッテリーモジュール
100:バッテリーモジュールフレーム
102:メインフレーム
104:上部プレート
200:バッテリーモジュール部品
200’:エンドプレート
210:本体
220:脆弱部
221:第1脆弱部
222:第2脆弱部
230:メッシュ
300:フィルター
400:バッテリーセルアセンブリ
410:バッテリーセル
UM:上型
M:下型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】