(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】無線周波数(RF)源及びバイアス信号波形を用いたプラズマ処理
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241016BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
H01L21/302 101E
H05H1/46 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521229
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022040424
(87)【国際公開番号】W WO2023064031
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジイン
(72)【発明者】
【氏名】レーン,バートン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC33
2G084CC34
2G084DD02
2G084DD15
2G084EE11
2G084EE17
2G084HH05
2G084HH22
2G084HH28
2G084HH56
5F004BA09
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB22
5F004CA03
5F004CA06
(57)【要約】
プラズマ処理のための方法であって、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、プラズマ処理チャンバは、第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含む、維持することを含み、プラズマを維持することは、RF源信号を第1のRF電極に結合することと、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合することであって、バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、結合することとを含み、B-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間とを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理のための方法であって、
第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含むプラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、前記プラズマを維持することは、
RF源信号を前記第1のRF電極に結合することと、
バイアス信号を前記第1のRF電極と前記第2のRF電極との間に結合することであって、前記バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、結合することと、を含む、プラズマを維持することを含み、
前記B-DCパルスの各々は、
前記パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、
前記パルスが前記基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、
前記パルスが前記基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間と
を含む、方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理チャンバの壁の導電性部分を前記基準電位に結合することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のRF電極を前記基準電位に結合することと、
前記バイアス信号を前記第1のRF電極に結合することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バイアス信号を前記第2のRF電極に結合することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RF源信号は、連続波(CW)RF波形を有し、及び前記バイアス信号は、連続B-DC波形を有し、前記連続B-DC波形は、B-DCパルスの連続列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記B-DCパルスの各々は、前記基準電位に対する前記中性極性が、前記中性バイアス持続時間であるように定義される、単一のパルスセグメントを有し、前記中性バイアス持続時間は、時間的に連続する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記中性バイアス持続時間は、第1の中性バイアスパルスセグメントと、第2の中性バイアスパルスセグメントとに分割され、前記第1の中性バイアスパルスセグメントは、前記負バイアス持続時間の終了を次の正バイアス持続時間の開始から分離し、前記第2の中性バイアスパルスセグメントは、前記正バイアス持続時間の終了を次の負バイアス持続時間の開始から分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記バイアス信号は、B-DCバーストパルスの列を含むB-DCバースト波形を有し、前記B-DCバーストパルスの各々は、B-DCバースト持続時間中に存在し、その後、バイアス信号が存在しないB-DCバースト分離時間が続く、複数の連続B-DCパルスを有し、前記B-DCバースト持続時間と前記B-DCバースト分離時間との合計は、バースト期間として定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記RF源信号は、連続波(CW)RF波形を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記RF源信号は、RFバーストパルスの列を含むRFバースト波形を有し、前記RFバーストパルスの各々は、RFバースト持続時間中に存在し、その後、RF源信号が存在しないRFバースト分離時間が続く、RF波形を有し、
前記RFバースト持続時間と前記RFバースト分離時間との合計は、前記バースト期間に等しく、
前記方法は、前記B-DCバースト波形を前記RFバースト波形と同期させることを更に含み、前記同期させることは、前記B-DCバーストパルスを前記RFバーストパルスから一定のバースト遅延だけ遅延させることである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記RFバースト持続時間は、前記B-DCバースト持続時間以上であり、
前記バースト遅延は、ゼロ以上であり、且つ前記RFバースト持続時間と前記B-DCバースト持続時間との間の差分以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記B-DCバースト持続時間は、前記RFバースト分離時間以下であり、
前記バースト遅延は、前記RFバースト持続時間以上であり、且つ前記B-DCバースト分離時間以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記バースト遅延は、ゼロよりも大きく、且つ前記RFバースト持続時間及び前記B-DCバースト分離時間のうちのより小さい方以下であり、
前記バースト遅延と前記B-DCバースト持続時間との合計は、前記RFバースト持続時間よりも大きい、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
プラズマ処理のためのシステムであって、
プラズマ処理チャンバであって、
第1の無線周波数(RF)電極と、
第2のRF電極と、
前記プラズマ処理チャンバ内に半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、を含むプラズマ処理チャンバと、
プロセッサと、
前記プロセッサにおいて実行されるプログラムを記憶する非一時的メモリと、
を含み、前記プログラムは、
RF源信号を前記第1のRF電極に結合する命令と、
バイアス信号を前記第1のRF電極と前記第2のRF電極との間に結合する命令であって、前記バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、命令と、を含み、前記B-DCパルスの各々は、
前記パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、
前記パルスが前記基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、
前記パルスが前記基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間と、を含む、システム。
【請求項15】
連続波(CW)RF源信号源と、
プログラム可能な連続B-DCバイアス信号源と、
前記CW-RF源信号源に結合されたプログラム可能な第1のチョッパと、
前記連続B-DCバイアス信号源に結合されたプログラム可能な第2のチョッパと、
前記連続B-DCバイアス信号源、前記第1のチョッパ及び前記第2のチョッパに結合されたタイミングコントローラであって、実行されると、前記第1のチョッパの出力信号、前記第2のチョッパの出力信号及び前記連続B-DCバイアス信号源の出力信号を同期して制御するコマンドを前記プロセッサから受信するように構成されるタイミングコントローラと、
を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムの構成は、
前記第1のチョッパからの前記出力信号及び前記第2のチョッパからの前記出力信号に結合された前記第1のRF電極と、
前記基準電位に結合された前記第2のRF電極と、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムの構成は、
前記第1のチョッパからの前記出力信号に結合された前記第1のRF電極と、
前記第2のチョッパからの前記出力信号に結合された前記第2のRF電極と、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
プラズマ処理のための方法であって、
第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含むプラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、前記プラズマを維持することは、
RF源信号を前記第1のRF電極に結合することと、
バイアス信号を前記第1のRF電極と前記第2のRF電極との間に結合することであって、前記バイアス信号は、第1のユニポーラDC(U-DC)波形と、第2のユニポーラDC波形との差分であるバイポーラDC(B-DC)波形を有し、前記第1のU-DC波形の極性は、前記第2のU-DC波形の極性と同じである、結合することと、を含む、維持することと、を含み、
前記バイアス信号を結合することは、
第1のU-DC信号を前記第1のRF電極に結合することであって、前記第1のU-DC信号は、第1の複数のU-DCパルスを含む前記第1のU-DC波形を有し、前記第1の複数のU-DCパルスの各々は、
前記パルスが基準電位に対して第1のバイアス極性を有する第1のU-DCパルス幅と、
前記パルスが、前記基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第1のU-DCパルス分離時間と、を含む、結合することと、 第2のU-DC信号を前記第2のRF電極に結合することであって、前記第2のU-DC信号は、第2の複数のU-DCパルスを含む前記第2のU-DC波形を有し、前記第2の複数のU-DCパルスの各々は、
前記パルスが前記基準電位に対して前記第1のバイアス極性を有する第2のU-DCパルス幅と、
前記パルスが、前記基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第2のU-DCパルス分離時間と、
を含む、結合することと、
前記第1のU-DC信号を前記第2のU-DC信号と同期させることであって、
を前記同期させることは、前記第1のU-DC信号の前記U-DCパルスを前記第2のU-DC信号の前記U-DCパルスから一定のU-DC遅延時間だけ遅延させることである、同期することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記プラズマ処理チャンバの壁の導電性部分を前記基準電位に結合することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のバイアス極性は、前記基準電位に対して正バイアス極性である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月15日に出願された米国非仮特許出願第17/451,094号明細書に対する優先権を主張するものであり、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、プラズマ処理に関し、具体的な実施形態では、無線周波数(RF)源及びバイポーラDCバイアス信号波形を用いたプラズマ処理のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、集積回路(IC)は、基板の上方に誘電体、金属及び半導体の層を順次堆積及びパターニングして、金属線及びビアによって接続された電子構成要素のネットワークを形成し、その全てを1つのモノリシック構造体内に集積することによって製造される。フォトリソグラフィ並びにゲート全周囲電界効果トランジスタ(GAAFET)及び3D NANDメモリなどの3次元(3D)デバイスにおける進歩により、構成要素の密度は、約2年ごとに倍増して、ICの1機能あたりのコストを低減している。プラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)、高アスペクト比接触(HARC)エッチング、選択的堆積などのプラズマ処理は、ナノスケールの特徴部を有する3Dデバイスの製造に多くの場合に使用されているため、エッジプロファイル、粗さ、異方性、均一性、適合性及び選択的堆積の選択性などの幅広い指標にわたって原子スケールの制御を提供する挑戦的なプラズマ技術が求められている。プラズマ処理の指標は、イオンエネルギー及びイオン角度分布、イオン及びラジカル密度並びにラジカル対イオンフラックス比率などのプラズマ特性に依存する。プラズマの特性並びに表面における及び深いトレンチ内の化学的環境は、処理中にプラズマを維持するために使用されるRF信号によって影響を受ける。したがって、RF信号波形生成の更なる革新は、プラズマ処理の精度及び制御に役立つであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
プラズマ処理のための方法は、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、プラズマ処理チャンバは、第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含む、維持することを含み、プラズマを維持することは、RF源信号を第1のRF電極に結合することと、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合することであって、バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、結合することとを含み、B-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間とを含む。
【0005】
プラズマ処理のためのシステムであって、プラズマ処理チャンバであって、第1の無線周波数(RF)電極と、第2のRF電極と、プラズマ処理チャンバ内に半導体基板を保持するように構成された基板ホルダとを含むプラズマ処理チャンバ、プロセッサ、プロセッサにおいて実行されるプログラムを記憶する非一時的メモリを含み、プログラムは、RF源信号を第1のRF電極に結合する命令と、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合する命令であって、バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、命令と、を含み、B-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間とを含む、システムである。
【0006】
プラズマ処理のための方法は、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、プラズマ処理チャンバは、第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含む、維持することを含み、プラズマを維持することは、RF源信号を第1のRF電極に結合することと、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合することであって、バイアス信号は、第1のユニポーラDC(U-DC)波形と第2のユニポーラDC波形との差分であるバイポーラDC(B-DC)波形を有し、第1のU-DC波形の極性は、第2のU-DC波形の極性と同じである、結合することとを含み、バイアス信号を結合することは、第1のU-DC信号を第1のRF電極に結合することであって、第1のU-DC信号は、第1の複数のU-DCパルスを含む第1のU-DC波形を有し、第1の複数のU-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して第1のバイアス極性を有する第1のU-DCパルス幅と、パルスが、基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第1のU-DCパルス分離時間とを含む、結合することと、第2のU-DC信号を第2のRF電極に結合することであって、第2のU-DC信号は、第2の複数のU-DCパルスを含む第2のU-DC波形を有し、第2の複数のU-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して第1のバイアス極性を有する第2のU-DCパルス幅と、パルスが、基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第2のU-DCパルス分離時間とを含む、結合することと、第1のU-DC信号を第2のU-DC信号と同期させることとを含み、同期させることは、第1のU-DC信号のU-DCパルスを第2のU-DC信号のU-DCパルスから一定のU-DC遅延時間だけ遅延させることである。
【0007】
本発明及びその利点のより詳細な理解のために、ここで、以下の記載を添付図面とともに参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実施形態による、プラズマ処理システムの概略図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、RF源信号及びパルス化バイポーラDC(B-DC)バイアス信号の様々なパラメータ化波形のプロットを示す。
【
図2B】いくつかの実施形態による、RF源信号及びパルス化バイポーラDC(B-DC)バイアス信号の様々なパラメータ化波形のプロットを示す。
【
図2C】いくつかの実施形態による、RF源信号及びパルス化バイポーラDC(B-DC)バイアス信号の様々なパラメータ化波形のプロットを示す。
【
図2D】いくつかの実施形態による、RF源信号及びパルス化バイポーラDC(B-DC)バイアス信号の様々なパラメータ化波形のプロットを示す。
【
図3A】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持するためにRF源信号の連続波(CW)RF波形とともに使用されるバイアス信号の様々なB-DC波形のプロットを示す。
【
図3B】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持するためにRF源信号の連続波(CW)RF波形とともに使用されるバイアス信号の様々なB-DC波形のプロットを示す。
【
図4A】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持するためにRF源信号のRFバースト波形とともに使用されるバイアス信号の様々なB-DC波形のプロットを示す。
【
図4B】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持するためにRF源信号のRFバースト波形とともに使用されるバイアス信号の様々なB-DC波形のプロットを示す。
【
図4C】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持するためにRF源信号のRFバースト波形とともに使用されるバイアス信号の様々なB-DC波形のプロットを示す。
【
図5A】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバの2つの電極間にB-DCバイアス信号を結合するためのプラズマ処理システムの2つの代替構成の概略図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、プラズマ処理チャンバの2つの電極間にB-DCバイアス信号を結合するためのプラズマ処理システムの2つの代替構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、半導体基板のプラズマ処理のためのシステム及び方法に関する。プラズマ及びプラズマ処理の特性は、一般に、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを点火及び維持するために使用される、無線周波数(RF)源信号及びバイアス信号として知られる2つの電気信号の特性に依存する。本開示では、パラメータ化されたRF源信号及び時間変動バイアス信号をプラズマ処理チャンバのRF電極に結合することによってプラズマが点火及び維持される、プラズマ処理システム及び方法の例示的な実施形態を説明する。プラズマ処理システムは、システムを構成する命令を有するプログラムを実行するプロセッサを含み、プログラムは、システムに含まれるメモリに記憶される。プログラムを実行すると、プロセッサは、コマンドをタイミングコントローラに送信し、RF源及びバイアス信号波形を調整して同期させるために選択されたタイミングパラメータを提供する。タイミングパラメータを用いて、タイミングコントローラは、プラズマ処理チャンバのRF電極に結合されたRF源及びバイアス信号を生成する電子機器の出力信号を同期して制御するための適切な制御信号を送信することができる。RF源及びバイアス信号波形を調整して同期させることにより、タイミングコントローラは、深いトレンチ内部の表面を含む、基板の表面におけるプラズマ環境を調整することができる。
【0010】
本開示の例示的な実施形態は、連続波RF(CW-RF)波形又はRFバーストパルスの列を含むRFバースト波形のいずれかを有するRF源信号を使用する。各RFバーストパルスは、RFバーストパルスのRFバースト持続時間中に存在するRF波形(例えば、RF正弦波)を有する。RFバースト持続時間後、RF源信号が存在しないRFバースト分離時間が続く。RFバースト持続時間とRFバースト分離時間との合計は、RFバースト波形の1つの期間であり、RFバースト期間と呼ばれる。RFバースト期間の長さは、約1マイクロ秒~約10ミリ秒であり得る。
【0011】
時間変動バイアス信号は、本開示ではB-DC波形と呼ばれる、パルス化バイポーラDC波形を有する。B-DC波形は、正極性及び負極性のDCパルス並びに中性極性の持続時間を含むB-DCパルスの高周波列を含む。様々な極性は、0Vに等しいように定義されたRFシステムの基準電位に対して相対的なものである。基準電位は、接地電位又は接地である。パルス列の各B-DCパルスは、3つのタイミングパラメータ:負バイアス持続時間(パルスが負極性である間)、正バイアス持続時間(パルスが正極性である間)及び中性バイアス持続時間(パルスが中性極性である間)でパラメータ化される。いくつかの実施形態では、第4のタイミングパラメータは、以下で更に詳細に説明するように、中性バイアス持続時間を、第1の中性バイアスパルスセグメントと、第2の中性バイアスパルスセグメントとに分割して、負バイアス持続時間と正バイアス持続時間とを分離することによって導入され得る。3つ(又は4つ)のタイミングパラメータの合計であるB-DCパルスの1つのサイクルは、約100ナノ秒~約400マイクロ秒の長さであり得る。バイアス信号のB-DC波形は、B-DCパルスの連続列を含む連続B-DC波形であり得るか、又はB-DCバーストパルスの列を含むB-DCバースト波形であり得る。各B-DCバーストパルスは、B-DCバースト持続時間中に存在し、その後、バイアス信号が存在しないB-DCバースト分離時間が続く、複数の連続B-DCパルスを含み、B-DCバースト持続時間とB-DCバースト分離時間との合計は、1つのB-DCバースト期間である。以下で更に詳細に説明するように、RFバースト期間は、B-DCバースト期間に等しくなければならず、本開示ではバースト期間と呼ばれる。
【0012】
最初に、プラズマ処理システムの一実施形態を、
図1を用いて説明する。プラズマ処理システムの代替実施形態を、
図5A~
図5Bを用いて説明する。RF源信号及びパルス化バイポーラDC(B-DC)バイアス信号波形の代替実施形態を、
図2A~
図2Dを用いて説明する。RF源信号の連続波(CW)RF波形とともに使用されるバイアス信号のB-DC波形の代替実施形態を、
図3A~
図3Dを用いて説明する。RF源信号のRFバースト波形とともに使用されるバイアス信号のB-DC波形の代替実施形態を、
図4A~
図4Cを用いて説明する。
【0013】
図1は、プラズマ処理チャンバ110と、CW-RF源信号源120と、連続B-DCバイアス信号源130と、タイミングコントローラ140と、プロセッサ142とを含むプラズマ処理システム100の概略図である。CW-RF源信号源120及び連続B-DCバイアス信号源130は、プログラム可能であり得る。タイミングコントローラ140は、プロセッサ142からコマンドを受信するように構成され、コマンドが実行されると、連続B-DCバイアス信号源130を、プロセッサ142から受信した選択されたタイミングパラメータを用いてB-DCパルスを生成するようにプログラムする。RF源信号源120及び連続B-DCバイアス信号源130からの信号は、それぞれプログラム可能な第1のチョッパ124及び第2のチョッパ134を通してルーティングされる。第1のチョッパ124及び第2のチョッパ134は、タイミングコントローラ140により、入力信号を変調せずに送信するか、又は入力信号をパルス化ゲート信号で変調して変調された信号を送信するようにプログラムされ得る。それぞれの第1のチョッパ124及び第2のチョッパ134において生成されたゲート信号は、バースト持続時間中、入力信号を定期的に通過させ(入力を出力に直接結合し)、バースト分離時間中、信号を遮断し(出力を入力から切り離し)、バースト時間とバースト分離時間との合計がバースト期間となる。第1のチョッパ124内の第1のゲート信号及び第2のチョッパ134内の第2のゲート信号は、同じバースト期間を有し、2つのゲート信号は、一定のバースト遅延によって同期してずらされる。B-DCバースト波形をRFバースト波形と同期させることにより、B-DCバーストパルスをRFバーストパルスから一定のバースト遅延だけ遅延させる。このバースト遅延は、プラズマ処理チャンバ110内でRFバースト波形とB-DCバースト波形との重畳を同期させるために使用される。2つのバースト時間、バースト期間及びバースト遅延は、
図1でタイミングコントローラ140に向けられたブロック矢印で示されるように、プラズマ処理システム100のプロセッサ142によってタイミングコントローラ140に送信されるコマンドで指定される。タイミングコントローラは、タイミングコントローラ140から第1のチョッパ124及び第2のチョッパ134の各々に向けられた2つのブロック矢印並びにタイミングコントローラ140から連続B-DCバイアス信号源130に向けられた第4の角度付きブロック矢印で示されるように、第1のチョッパ124の出力信号、第2のチョッパ134の出力信号及び連続B-DCバイアス信号源130の出力信号を同期して制御するように命令を実行する。
【0014】
いくつかの実施形態では、CW-RF源信号源120は、低電力源であり得、プログラム可能なチョッパ124などの信号発生器と1つのユニットに組み合わされ得る。信号発生器は、タイミングコントローラ140から受信した制御信号を使用して、CW-RF信号をスイッチングすることにより、低電力信号を生成する。低電力信号は、次いで、RF電力増幅器(
図1に示されていない)によってフル電力に増幅されることになる。増幅器は、低電力RF源及び信号発生器とも1つのユニットに組み合わされ得る。
【0015】
一般に、プラズマ処理チャンバは、プラズマ処理チャンバの外部から送信されるRF源信号及び/又はバイアス信号に結合するように構成され得る2つのRF電極を含む。プラズマ処理チャンバの外壁は、通常、RFシステムの基準電位(又は接地)に結合された導電性部分を有し、プラズマ処理チャンバの接地電極と呼ばれ得る。RF源信号、バイアス信号及びそれに対して信号が生成される基準電位は、プラズマ処理チャンバに伝達される。RF源信号及びバイアス信号は、RF電極に結合され、基準電位は、プラズマ処理チャンバの接地電極に結合される。例えば、
図1でRF源信号及びバイアス信号をプラズマチャンバ110に結合するために2つの同軸ケーブルが使用されている場合、同軸ケーブルの2つの内部導体の各々は、上部RF電極116又は下部RF電極118のいずれかに接続され得る。2つの外側導体は、プラズマチャンバ110の外壁の導電性部分119に接続され得る。
【0016】
RF源信号は、第1のRF電極に結合され得、バイアス信号は、第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合され得る。上述したように、本開示で説明する実施形態では、バイアス信号は、B-DC波形を有する。RF源が第1のRF電極に結合される、第1のRF電極と第2のRF電極との間にバイアス信号を結合するために使用され得るいくつかの構成が存在する。一実施形態では、B-DC波形を有するバイアス信号は、第1のRF電極に結合され、第2のRF電極は、基準電位に結合される。別の実施形態では、B-DC波形を有するバイアス信号は、第2のRF電極に結合される。更に別の実施形態では、B-DC波形を有するバイアス信号は、第1のユニポーラDC(U-DC)信号と第2のU-DC信号との差分である。この実施形態では、第1のU-DC信号は、第1のRF電極に結合され、第2のU-DC信号は、第2のRF電極に結合される。以下で更に詳細に説明するように、B-DC波形の選択されたタイミングパラメータは、2つのU-DC信号の適切なパルス幅及びパルス分離時間を選択するとともに、第1のU-DC信号のU-DCパルスを第2のU-DC信号のU-DCパルスから一定のU-DC遅延時間だけ遅延させることにより、第1のU-DC信号を第2のU-DC信号と同期させることによって達成され得る。
【0017】
図1のプラズマ処理チャンバ110は、容量性結合プラズマ(CCP)チャンバとして構成された真空チャンバである。CCPチャンバは、プラズマ処理チャンバ内部の対向する側部上に配置された2つの円板形状のRF電極を含み得、各RF電極は、対向するRF電極に面する平坦面を有する。
図1に示される例示的な構成では、上部RF電極116は、RF源信号に結合され、下部RF電極118は、バイアス信号に結合される。基準電位(
図1ではGNDで示されている)は、外壁の導電性部分119である、プラズマ処理チャンバ110の接地電極に結合される。
【0018】
CCP構成は、例として選択されているにすぎず、誘導性結合プラズマ(ICP)などの他の構成も使用され得る。ICP構成では、RF源信号は、厚い誘電体窓によってプラズマから物理的に分離されたRF電極(ICPアンテナと呼ばれる)に結合される。RF源電力は、プラズマチャンバ外部のICPアンテナからプラズマに結合される。いくつかの実施形態では、パルス化バイポーラDC波形は、RF電力の代わりにマイクロ波電力を使用して形成されたプラズマに使用され得る。
【0019】
図1のプラズマ処理チャンバ110は、ガス流システムに結合されたガス流入口112及び排気口114を有して構成される。当業者に既知であるように、ガス流システムは、プラズマ処理チャンバ110を通る低圧ガス混合物の流れを維持するガスキャニスタ、バルブ及び真空ポンプを含む。供給ガスと呼ばれる、プロセスガスとキャリアガスとの混合物は、流入口112を通して導入され、プラズマ処理チャンバ110を通して流れる。プラズマ処理チャンバ110内部の周囲は、一般に、低圧及び通常の炉の温度、例えば室温と比較して比較的低い温度に維持される。プラズマ処理チャンバ110内の圧力は、通常、約1mTorr~約1Torrであるが、いくつかのプラズマ処理では高圧(例えば、大気圧)で実行され得る。
【0020】
供給ガスがRF電極116及び118において生成された電磁界に露出されると、ガス分子のごく一部がイオン化され、電極間にプラズマ(多くの場合に弱イオン化プラズマと呼ばれる)を形成することができる。
【0021】
CCPチャンバ(例えば、プラズマ処理チャンバ110)では、プラズマとRF電極との間の容量性結合により、エネルギーがRF源及びバイアス信号からプラズマ(例えば、プラズマ150)に伝達される。プラズマは、プラズマ(例えば、プラズマ150)とプラズマチャンバの接地電極(例えば、外壁の導電性部分119)との間の容量のインピーダンスによっても接地に結合される。上述したように、RF源信号は、第1のチョッパ124から送信されるCW-RF又はRFバースト波形であり得る。同様に、第2のチョッパ134から送信されるバイアス信号は、連続B-DCパルス列であり得るか、又はB-DCバースト波形を有し得る。プラズマ処理チャンバ110内の下部RF電極118は、例えば、半導体基板である、基板108を保持する基板ホルダ(例えば静電チャック)に含まれ得る。いくつかの実施形態では、基板108の導電性バルクは、誘電体層によって下部RF電極118から物理的に分離される。いくつかの実施形態では、基板ホルダ(例えば、静電チャック)は、下部RF電極118と、基板108の裏面と接触している基板ホルダの表面との間に誘電体層を含み得る。
【0022】
供給ガスは、一般に、電荷中性であり、プラズマ処理チャンバ110内の周囲温度に等しい温度Tで熱平衡状態にある。供給ガスに付与されたエネルギーの一部分は、
図1に概略的に示されるように、中性ガス分子及び原子の一部を、プラズマ150の正電荷イオン(「+」で示されている)及び負電荷自由電子(「e」で示されている)を含むネット中性の弱イオン化プラズマに解離させる。更なるエネルギーは、電磁界から運動エネルギーとして移動電荷粒子に伝達され得る。以下で更に説明するように、一般に、運動エネルギーは、(様々な粒子間の衝突をランダム化することによる)ランダム成分と、加速電界の方向への指向性成分とを有する。電界が低く、衝突頻度が高い領域では、ランダム成分が支配的となり、電界が高く、衝突頻度が低い領域では、(電気力の方向における)指向性成分が支配的となり得る。
【0023】
電荷イオン及び自由電子の生成に加えて、供給ガスに付与されたエネルギーの一部分は、中性ラジカル(
図1では「R」で示されている)を生成する。中性ラジカルとは、不対電子を有する電荷中性の原子(又は原子)のグループである。不対電子の存在により、ラジカルは、高い化学反応性を有する。
【0024】
初期では、全てのタイプの粒子のうちの1粒子あたりの平均運動エネルギーは、その熱平衡値である(3/2)k
BTにほぼ等しく、ここで、Tは、周囲温度(ケルビン単位)であり、k
Bは、ボルツマン定数である。例えば、室温、すなわち300Kにおいて、供給ガスの各粒子の平均運動エネルギーは、39meVである。イオン化されると、電荷粒子は、加速され、電界から運動エネルギーを獲得し、獲得されたエネルギーは、過剰な運動エネルギーである。加速は、電界に対して平行に方向付けられるが、電界から得られた運動量は、様々な粒子(弱イオン化プラズマでは大部分が中性粒子)とのランダムな衝突により、全ての可能な方向に急速に散乱する。したがって、プラズマのバルクにおいて電界から獲得された運動エネルギーの多くは、運動エネルギーのランダム成分を増加させる方向に伝達される。電荷粒子の各種(イオン及び電子)に対して、その運動エネルギーのランダム成分の平均値は、それぞれの非平衡実効温度:電子温度T
e及びイオン温度T
ionで均等に表され得る。初期の過渡状態中、実効温度は、初期の熱平衡値Tから上昇する。熱平衡値を超えてエネルギーが増加すると、電界から獲得された過剰エネルギーと、非弾性衝突における過剰エネルギーの損失とがバランスする定常状態が確立されるまで、非弾性衝突の頻度が増加する。実効温度の定常値は、非弾性衝突の頻度に依存する。衝突頻度は、それぞれの種の粒子(例えば、自由電子又はイオン)のアンサンブルにわたって平均化された非弾性衝突(顕著なエネルギー損失を引き起こす衝突)の確率に依存する。非弾性衝突の頻度が低いほど、定常状態が確立される実効温度が高くなる。自由電子と中性粒子との間の衝突の大部分は、ほぼ弾性衝突(エネルギー損失は無視できる)であるのに対して、イオンは、大部分が常に衝突(例えば、イオンと中性粒子との間の衝突)においてエネルギーを失う。したがって、T
eは、一般に、T
ionよりもはるかに高い。自由電子の運動エネルギーにおける優先的な増加は、圧力が低いほど、より顕著である。したがって、
図1のプラズマ150では、衝突によって非平衡定常状態が確立される場合があり、このとき、イオンの平均運動エネルギーのランダム成分は、T=300Kにおける気体分子の場合よりもそれほど高くないが、自由電子のランダム化平均運動エネルギーは、100倍高い(例えば、約1eV~約10eV)場合がある。以下で更に説明するように、イオンを使用して表面に衝突させる、スパッタリング及び異方性反応性イオンエッチング(RIE)プロセスなどのプラズマ処理では、基板に衝突させる前に高電界の領域を通過するとき、イオンは、高い指向性運動エネルギー(例えば、約50eV~約1000eV)を獲得することができる。
【0025】
一般に、イオン及び自由電子の大部分が集中しているプラズマのバルクは、移動電荷によるスクリーニングのために電界が低い、広い中央の準中性領域にある。準中性領域は、プラズマシースとして知られる、電界が高い、枯渇した狭い空間電荷領域によって囲まれる。通常、自由電子の移動度及び拡散度は、イオンのものよりもはるかに高い。正電荷イオンは、負電荷自由電子よりはるかに遅いため、周辺部に近い自由電子は、プラズマからより速く失われて、ネット正電荷を残し、これが中央の準中性領域の周りにシースを形成する。シース内の電荷分布は、自由電子を準中性領域に向かって押し戻し、イオンを導電性部分119に向かって外向きに加速し、且つチャンバ壁及び基板108に衝突させる方向において電界を確立する。一般に、シース内の電荷密度及び電界は、準中性領域における電荷密度及び電界に対して高い。
【0026】
準中性領域では、定常状態の電荷密度分布を維持するためにイオン及び自由電子の流れを平衡化するために生じる、アンバイポーラ電界と呼ばれる小さい(シースにおける電界に対して小さい)電界が存在する。イオン及び自由電子は、アンバイポーラ電界から運動量及び運動エネルギーを獲得する。しかしながら、過剰な運動量及びエネルギーの方向成分は、小さく、すなわち、イオン及び自由電子は、全ての可能な方向にランダムに移動し、様々な粒子、特に弱イオン化プラズマ内の多数の中性粒子と比較的頻繁に衝突する。換言すれば、角度に対するイオン及び自由電子の分布は、ほぼ均一である。更に、衝突がランダム化するため、エネルギー分布は、非平衡平均運動エネルギーを表す温度の上昇を伴うマックスウェルボルツマン分布関数によって近似され得る。エネルギーバランスは、電荷粒子(例えば、自由電子及びイオン)が非弾性衝突において中性粒子に対してエネルギーを失うことによって大部分が達成される。中性粒子は、電界によって加速されないため、熱平衡値Tに非常に近いより低温にとどまる。上記で説明したように、電子及びイオンの両方は、非弾性衝突によるエネルギー損失のそれぞれのレートに従い、それぞれの上昇した実効温度Te及びTionに平衡化する。典型的には、Te>>Tionであり、比率は、(Te/Tion)>10である。
【0027】
プラズマ処理は、一般に、プラズマ処理に応じて、高エネルギーのイオンの影響で、基板の露出した表面に物理的に衝突させ、且つ/又は供給ガス中に存在するプラズマ内で生成されたラジカルを化学的に反応させることにより、基板材料において実施される。物理的及び化学的相互作用により、排気口114を通してプラズマ処理チャンバ110から送り出される揮発性副生成物(
図1では「B」で示されている)が生成される場合がある。
【0028】
弱イオン化プラズマでは、中性供給ガス粒子のわずかな一部のみがイオン化されるが、イオン及び自由電子は、プラズマ処理に不可欠である。マックスウェルボルツマン分布の高エネルギー側における中性ガス分子と高エネルギー自由電子との衝突は、供給ガス分子を解離及びイオン化させることにより、プラズマ150の準中性領域においてラジカル及びイオンを生成する際に主要な役割を果たす。準中性領域からの低エネルギーの「冷たい」イオンは、基板に近い、狭いプラズマシースに入るときにエネルギーを与えられ、シースの電界から指向性運動エネルギーを獲得する。このイオンエネルギーは、主にシースをわたる電位差によって決定され、ラジカルが(例えば、化学気相成長(CVD)プロセスにおける)ガス中の他のラジカル及び基板と化学反応するのに役立つ。経時的に、基板へのイオンの流れは、望ましくない正電荷の蓄積をもたらす場合がある。ラジカル及びイオンを生成する役割に加えて、負電荷自由電子は、以下で更に説明するように、正電荷の蓄積を中和するために使用され得る。
【0029】
本開示では、革新的なRF源信号及びB-DCバイアス信号波形を用いたプラズマ処理の方法について説明する。電磁界、したがってRF源信号及びB-DCバイアス信号波形は、プラズマ内の電荷粒子(例えば、自由電子及びイオン)の流れ並びにエネルギーに直接影響を与える。RF源信号及びB-DCバイアス信号波形が中性種(例えば、中性ラジカル並びに化学的及び物理的相互作用の副生成物)に対して与える影響は、パルスのタイミング及び同期を通して間接的に達成される。例えば、いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ110内のプラズマ150は、以下で更に詳細に説明するように、約1マイクロ秒~約1ミリ秒の持続時間中、定期的に消火され、反応副生成物の蓄積及び再堆積を防止するために再点火され得る。いくつかの実施形態では、イオン衝突によって基板からスパッタリングされた材料と反応するのに十分な密度のラジカルが存在することを確実にするために、イオンフルエンスに対するラジカルフルエンスの所望の比率を達成するように中性バイアス持続時間が約100ナノ秒~約1ミリ秒の範囲で調整され得る。中性バイアス持続時間は、シース内の電界によってプラズマから抽出されたイオンを補充するための時間も可能にする。
【0030】
上記で定義されたように、中性バイアス持続時間は、バイアス信号が中性である単一のB-DCパルス内の持続時間を指す。B-DCバースト分離時間中、バイアス信号は、オフであることが理解される。しかしながら、定義上、中性バイアス持続時間には、バイアス極性が基準電位に対して正でも負でもないときのそれぞれの個々のB-DCパルス内の持続時間のみが含まれる。
【0031】
例示を目的として、
図1のプラズマ処理チャンバ110の概略図では、正電荷イオン(「+」で示されている)が下部RF電極118及び基板108に向かって優先的に引き寄せられている一方、場合によりバイアス信号の影響下において、負電荷電子(「e」で示されている)が上部RF電極116に向かって反対方向に反発されている、プラズマ150のスナップショットを示す。中性ラジカル(「R」で示されている)は、ガス流とともにドリフトするか、又はRF電極に向かって拡散し得るが、電荷が中性であるため、ラジカルのフラックスは、プラズマ処理チャンバ110内の電磁界によって変調されない。反応副生成物(「B」で示されている)が基板108の近くに見られる。正電荷イオン及び負電荷電子は、上部RF電極116と下部RF電極118との間に印加される時間変動バイアス信号の瞬間的な極性に応じて、電界によって反対方向に、例えば下部又は上部に向かって押される場合がある。以下で更に詳細に説明するように、この依存性は、RF源信号と同期してバイアス信号のB-DC波形を形成することによってプラズマ処理に影響を与えるために、本開示で説明する実施形態において利用され得る。
【0032】
RF源信号及びバイアス信号のパラメータ化及び同期を、
図2A~
図2Dを参照して説明する。
【0033】
図2Aは、
図1のプラズマ処理システム100の、CW-RF源信号源120から出力されたCW-RF波形2A1及び連続B-DCバイアス信号源130から出力された連続B-DC波形2A2の例示的なプロットを示す。
【0034】
図2Aでは、CW-RF波形2A1は、固定された周波数及び振幅の連続RF正弦波である。他の連続RF波形、例えばRFノコギリ波形も使用され得ることが理解される。
【0035】
破線の二重矢印「A」は、
図2Aの連続B-DC波形2A2の1つのB-DCパルスを示す。例示的なB-DC波形2A2は、各B-DCパルスが3つのパルスセグメントを有するパルス列であり、タイミングパラメータは、単一のB-DCパルス2A2’の拡大プロットにおいて実線の二重矢印で示されている3つのパルスセグメントの持続時間である。パラメータは、パルスが負極性を有する負バイアス持続時間212、パルスが正極性を有する正バイアス持続時間214及びパルスが基準電位(0V)に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間216である。
図2Aのそれぞれのプロットに示されるように、B-DCパルス2A2’では、負バイアス持続時間は、正バイアス持続時間前に発生しているが、B-DCパルス2A3ではその逆である。B-DCパルス2A3は、B-DCパルス2A2’の負バイアスセグメント及び正バイアスセグメントの極性を単に反転させることによって得ることができる。したがって、
図1に示されるプラズマ処理システム100の例示的な構成では、B-DCパルス2A2’を下部RF電極118に印加することにより、まず(負バイアス持続時間212中に)イオンを基板108に引き付け、次いで正バイアス持続時間214中、正電荷の蓄積を中和するために自由電子を引き付けることになる。別の実施形態では、RF源信号とバイアス信号との接続を反転させて、上部RF電極116をRF源信号に結合させ、下部RF電極118をバイアス信号に結合させ得る。この構成では、B-DCパルス2A3は、
図1に示される構成におけるB-DCパルス2A2’と同じ効果を達成することになる。したがって、連続B-DCバイアス信号源130は、B-DCパルス2A3を生成するようにプログラムされ得る。バイアス信号は、中性バイアス持続時間216中、ほぼ0V(基準電位)であり、表面に再びイオンを衝突させる前に十分なラジカル及びイオンが表面に拡散する時間を可能にする。いくつかの実施形態では、中性バイアス持続時間216は、
図2AのB-DCパルス2A4で示されるように、第1の中性バイアスパルスセグメント215と、第2の中性バイアスパルスセグメント217とに分割され得る。稀にのみ使用されるが、第1の中性バイアスパルスセグメント215は、負バイアス持続時間212の終了に続く過渡的なイオン流中に自由電子の中和フラックスを遅延させる場合がある。
【0036】
図2Aの例示的なB-DC波形2A2並びにB-DCパルス2A2’、2A3及び2A4は、負バイアス及び正バイアスの等しい大きさを描いているが、等しくない大きさも使用され得ることが理解される。
【0037】
図2Bは、CW-RF波形2A1、例えば第1のプログラム可能なチョッパ124(
図1を参照されたい)において生成される例示的なゲート波形2B1及びCW-RF波形2A1をゲート波形2B1で変調することによって生成されるRFバースト波形2B2のプロットを示す。
図2Bに示されるように、ゲート波形2B1の1つのバースト期間226は、1つのバースト持続時間222と、1つのバースト分離時間224との合計である。ゲート波形2B1を有するゲート信号は、バースト持続時間222中、CW-RF波形2A1を通過させ、バースト分離時間224中、CW-RF波形2A1を遮断することを可能にし、それによりRFバースト波形2B2を生成する。一般に、プラズマ処理チャンバ(例えば、プラズマ処理チャンバ110)内のプラズマ(例えば、プラズマ150)を維持する主な電力源は、RF源信号である。そのため、弱イオン化プラズマは、バースト分離時間224中に消滅され、次のRFバーストパルスの開始後に再点火され得る。
【0038】
図2Cは、連続B-DC波形2A2、例えば第2のチョッパ134(
図1を参照されたい)において生成される別のゲート波形2C1及びB-DC波形2A2をゲート波形2C1で変調することによって生成されるB-DCバースト波形2C2のプロットを示す。ゲート波形2C1により、バースト持続時間232中、連続B-DC波形2A2を変化させずに通過させ、バースト分離時間234中、連続B-DC波形2A2を遮断することを可能にし、それにより、
図2Cに示されるように、各B-DCバーストパルスが3つのB-DCパルスのバーストであるB-DCバースト波形2C2を生成する。様々な実施形態では、B-DCバーストパルスは、単一のB-DCパルス又は異なる数の複数のB-DCパルスを含み得る。
【0039】
図2Cのゲート信号波形2C1に対して、
図2Bのゲート信号波形2B1に使用されるのと同じバースト期間226が使用されることに留意されたい。上述したように、本開示で説明するプラズマ処理システム(例えば、プラズマ処理システム100)の実施形態では、第1のチョッパ124及び第2のチョッパ134の両方は、タイミングコントローラ140により、B-DCバースト波形のバースト期間及びそれぞれのRFバースト波形のバースト期間として単一の値を使用するように制御される。
図2Dの波形のプロットを参照して説明したように、RF源信号及びそれぞれのバイアス信号は、一定のバースト遅延242によって同期されるため、2つのバースト期間は、同じ値に設定される。
【0040】
図2Dは、
図2Bにも示されるように、ゲート波形2B1及びそれぞれのRFバースト波形2B2とともに、ゲート波形2D1及びそれぞれのB-DCバースト波形2D2のプロットを示す。この例では、ゲート波形2D1のバースト持続時間232は、ゲート波形2B1のバースト持続時間222と異なる。同様に、ゲート波形2D1のバースト分離時間234は、ゲート波形2B1のバースト分離時間224と異なる。しかしながら、ゲート波形2B1及び2D1の両方は、同じバースト期間226を有する。
図2Dでは、ゲート波形2D1は、ゲート信号2B1に対してバースト遅延242だけ遅延している。したがって、B-DCバースト波形2D2もRFバースト波形2B2からバースト遅延242だけ遅延している。B-DCバースト波形2D2の各B-DCバーストパルスは、RFバースト波形2B2の各RFバーストパルスの開始後、一定の遅延時間で開始することに留意されたい。一定の分離は、バースト遅延に等しく、RFバースト波形2B2を有するRF源信号をB-DCバースト波形2D2を有するバイアス信号と同期させる。バースト期間226がゲート信号波形2B1と2D1に対して共通であるため、固定された遅延での同期が可能となった。
【0041】
図3A及び
図3Bは、RF源信号がCW-RF波形を有する実施形態において使用されるRF源信号及びバイアス信号の対のプロットを示す。各対に対して、RF源信号及びバイアス信号は、プラズマ処理のためのプラズマを維持するために互いに組み合わせて使用される。
【0042】
図3Aでは、CW-RF波形3A1は、連続B-DCパルス列を含む連続B-DC波形3A3を有するバイアス信号と対になっている。パルス列の各B-DCパルスは、
図2Aを参照して上述したB-DCパルス2A2’と同様に、3つのタイミングパラメータ:負バイアス持続時間312、正バイアス持続時間314及び中性バイアス持続時間316を有する。
【0043】
図3Bでは、同じCW-RF波形3B1は、B-DCバーストパルスの列を含むB-DCバースト波形3B3を有するバイアス信号と対になっており、各B-DCバーストパルスは、3つのB-DCパルスのバーストである。この例では、1つのバーストにおける3つのB-DCパルスの各々は、連続B-DC波形3A3(
図3Aを参照されたい)のB-DCパルスに使用されるのと同じ3つのタイミングパラメータを使用する。加えて、B-DCバースト波形3B3は、3つのB-DCパルスの定期的バーストの列であるため、B-DCバースト波形3B3を生成するために使用されているゲート信号波形3B2に由来するバースト持続時間332及びバースト分離時間334である2つの更なるタイミングパラメータを有する。
図3Bに示されるように、バースト持続時間332とバースト分離時間334との合計は、バースト期間326である。
【0044】
3A3及び3B3のB-DCパルスのための3つのパラメータ並びにB-DCバーストパルスのための2つの追加のパラメータは、例えば、プロセッサ142によって選択され、プラズマ処理システム100(
図1に示されている)内のタイミングコントローラ140によって制御され得る。RF源信号波形は、連続的に存在するため、バースト遅延は、存在せず、同期は、実施されない。
【0045】
プラズマ(例えば、プラズマ150)は、イオン、自由電子及びラジカルを生成するエンジンに類似しており、RF源信号からのRF電力によってかなりの程度まで燃料供給される。したがって、RF源信号がCW-RF波形を有する場合、イオン及びラジカルは、中央の準中性領域で連続的に生成される。これらのイオン及びラジカルは、準中性領域のエッジにあるプラズマシースに向かってゆっくりと外向きに拡散する。プラズマシースの電界が電荷粒子(正イオン及び負自由電子)を加速(又は遅延)させる一方、中性ラジカルは、シースを通して基板(及びチャンバ壁)に向かって拡散し続ける。時間変動バイアス信号は、プラズマシース内の電界に対して強い影響を有し得る。本開示に記載される実施形態では、バイアス信号は、B-DC波形を有する。B-DCパルスの異なるセグメントは、以下で更に説明するように、イオン、ラジカル及び自由電子の基板との相互作用に異なる方法で影響を与える。これらの相互作用の副生成物の除去及び/又は再堆積は、
図3Bのバースト分離時間334などのB-DC波形3A3及び3B3のパラメータによっても影響を受ける。
【0046】
基板(例えば、基板108)が負にバイアスされると、プラズマシース内の電界は、準中性領域から基板に向かってイオンを加速させる方向に増加させる。イオンは、非常に高い指向性運動エネルギーを獲得し、その結果、イオンのバーストが表面に衝突する。高エネルギーのイオンのエネルギー分布における狭い広がりを達成するために、立ち上がり時間及び立ち下がり時間が非常に短い矩形パルスが好ましい場合がある。この負極性バイアスの持続時間は、比較的移動度の低いイオンの応答時間が遅いため、過度に短くなくてもよい。
【0047】
一方、負極性バイアスの長い持続時間を使用することが望ましくない理由がいくつか存在する。負極性バイアスが長時間存在する場合、表面に衝突するイオンのフルエンスが大きく存在し、プラズマから基板へのラジカルの遅い拡散によって供給されるラジカルの低いフルエンスにより、化学反応することができる量をはるかに超える量の材料が物理的に除去される。除去された材料と化学反応するのに利用可能なラジカルが不十分であるため、エッチング速度が遅く、剥離された材料の一部が揮発性副生成物に変換される代わりにランダムに再堆積する場合があり、エッチング機構は、化学的であるよりも物理的なものであるため、他の露出した材料に対する選択性も低い。更に、イオンの供給が枯渇する場合があるため、イオンによる衝突は、時間とともに非効率になり得る。
【0048】
負極性バイアスの持続時間をあまり長くすることができない別の理由は、いくつかのプロセスでは、正イオンが基板内に電荷の蓄積を引き起こす場合があることである。正電荷の蓄積を中和するために、負バイアスを基板に印加するパルスセグメント後、正バイアスを基板に印加するセグメントを続け得る。正にバイアスされた基板は、負電荷自由電子を引き寄せて正電荷の蓄積を中和する。電子は、軽く、移動性が高いため、基板が正極性を有する時間は、短く保持され得る。
【0049】
中性バイアス持続時間(バイアス信号が中性極性を有する単一のB-DCパルス内の持続時間)は、各B-DCパルスにおけるイオンのフルエンスに対するラジカルのフルエンスを調整するために使用され得る。中性バイアス持続時間が短すぎる場合、すなわちイオンバーストの頻度が高すぎる場合、ラジカルのイオンのフルエンスに対する比率が許容できないほど低くなる場合があり、特に深いトレンチでは、表面がプラズマから更に除去されているため、ラジカルは、より長い距離にわたって拡散しなければならない。RF源信号(例えば、
図3BのCW波形3B1を有するRF源信号)は、連続的に存在し、したがってラジカルが連続的に生成されるため、バースト分離時間(例えば、
図3Bのバースト分離時間334)も、ラジカルが長距離にわたって拡散するのに役立つ。
【0050】
バースト分離時間334によって提供される別の利点は、化学的及び物理的相互作用の揮発性副生成物が、排気口(例えば、
図1の排気口114)を通して真空ポンプによって除去されることを可能にすることである。いくつかの実施形態では、揮発性副生成物は、不安定であり、二次化学反応で分解して露出した表面上に堆積し、例えばエッチングされた特徴部の側壁のプロファイルを歪ませ得る固体副生成物を形成する場合がある。いくつかの実施形態では、固体副生成物は、例えば、トレンチ側壁である表面をパッシベーションするために使用され得ることに留意されたい。
【0051】
図4A~
図4Cは、両方の信号がバーストパルス波形を有するRF源信号とバイアス信号との例示的な対のプロットを示す。RF源信号は、RFバースト波形を有するため、RFバースト分離時間中にRF信号が遮断されると、プラズマは、消滅され得、それにより自由電子を「冷却」してイオン及びラジカルの生成を一時停止する。次のバースト持続時間の開始時にRF源信号が再び印加されると、プラズマが再点火され得、生成プロセスが再開される。各対のRFバースト波形及びB-DCバースト波形は、
図2Dの同期された波形の対(RFバースト波形2B2及びB-DCバースト波形2D2)と同様に、バースト遅延によって同期される。(それぞれ
図4A、4B及び4Cの)B-DCバースト波形4A4、4B4及び4C4の各B-DCパルスは、例示のみを目的として、同じ負パルス持続時間412と、正パルス持続時間414と、中性パルス持続時間416とを有する。
【0052】
図4Aでは、RFバースト波形4A2を有するRF源信号は、B-DCバースト波形4A4を有するバイアス信号と組み合わせて使用される。この例では、ゲート波形4A1は、RFバースト波形4A2を生成するために使用され、同じ波形は、B-DCバースト波形4A4を生成するために使用される。バースト持続時間432及びバースト分離時間434がバースト期間426に加算されて使用されている。この実施形態例では、バースト遅延は、ゼロである。同じゲート波形(例えば、ゲート波形4A1)及びゼロバースト遅延を使用することにより、同相バースト波形の対:RFバースト波形4A2とB-DCバースト波形4A4との対が生成される。
図4Aの例は、同相バースト波形の特殊な事例である。一般に、同相バースト波形では、RF源信号がない場合、B-DCバースト波形は、存在しない。したがって、RFバースト持続時間は、B-DCバースト持続時間以上であり、バースト遅延は、ゼロと、RFバースト持続時間とB-DCバースト持続時間との間の差分との間であり得る。RF源信号もバイアス信号も存在しないパルスセグメントを有することにより、副生成物が生成され得ない持続時間を生成する。ガス流システムは、連続的に動作するため、副生成物は、ガス流システムの真空ポンプによってプラズマ処理チャンバ(例えば、
図1のプラズマ処理チャンバ110)から効率的に除去され得る。
【0053】
図4Bは、ゲート波形4B1を使用して生成されたRFバースト波形4B2を示す。RFバースト波形4B2及びゲート波形4B1は、例示のみを目的として、
図4Aに示されるそれぞれのRFバースト波形4A2及びゲート波形4A1と同じである。
図4Bは、RFバースト波形4B2と組み合わせて使用されるB-DCバースト波形4B4(及びそれぞれのゲート波形4B3)も示す。RFバーストパルス波形4B2のバースト持続時間432及びバースト分離時間434(したがってバースト期間426)は、同様に例示のみを目的として、B-DCバースト波形4B4と同じになるように選択される。
図4Aの例示的な波形と異なり、
図4Bでは、バースト遅延442は、ゼロではない。
図4Bに示されるように、B-DCバーストパルスのRFバーストパルスとのオーバーラップは、存在しないことに留意されたい。B-DCバーストパルスのRFバーストパルスとのオーバーラップが存在しないため、この例示的な波形の対は、位相のずれたバースト波形と呼ばれる。一般に、同相バースト波形では、B-DCバースト波形及びRF源信号は、決して同時に存在しない。したがって、B-DCバースト持続時間は、RFバースト分離時間以下であり、バースト遅延は、RFバースト持続時間以上であり、且つB-DC分離時間以下である。
【0054】
例えば、
図1に示されるプラズマ処理システム100の構成において、RFバースト波形4B2を有するRF源信号及びB-DCバースト波形4B4を有するバイアス信号がそれぞれ上部RF電極116及び下部RF電極118に結合される場合を考える。バースト遅延442は、RFバースト持続時間432よりも大きいため、以下の一連の事象が定期的に発生する場合がある。プラズマ150は、各RFバーストパルスの開始時に点火され、バースト持続時間432を通して持続し、イオン、自由電子及びラジカルを生成する。しかし、バイアス信号がない場合、一部のイオンは、プラズマシースを通して加速して表面に衝突するが、非常に高いエネルギーのイオンを基板の表面に衝突させるバーストが頻繁に発生することはない。しかしながら、バイアス信号がない場合、シースを通して加速することによって得られるエネルギーは、比較的低い。上記で説明したように、プラズマ処理チャンバ110におけるラジカル及び他の粒子種の拡散は、バイアス信号の有無にほとんど関係なく連続的に発生する。RFバーストパルスの終了時、電子温度T
eは、低下し、プラズマ150は、消滅する。
【0055】
バースト遅延442は、RFバースト持続時間432よりも大きいため、RF信号又はバイアス信号が存在しない間に短い待機時間が存在する。この短い待機後、B-DCバーストパルスが開始する。通常、イオン及びラジカルが熱平衡濃度に達するまでのリラクゼーション時間は、短い待機時間に比べて比較的長い。そのため、イオン及びラジカルは、B-DCバースト持続時間中、プラズマ処理チャンバ110内に非平衡濃度で存在する。この時点でのいくつかのB-DCパルスのバーストにより、イオンを加速させ、高エネルギーのイオンが基板に衝突し、ラジカルが基板材料及び他のラジカルと化学反応して、揮発性副生成物を形成する場合がある。Teが低下したときにイオンを加速させることの1つの利点は、イオンの運動エネルギーのランダム成分を減少させるのに役立つことである。イオンの運動エネルギーのランダム成分の減少(又は均等にイオン温度の低下)は、基板の表面に対して平行なイオン速度の成分を減少させ、それにより衝突角を表面に対する法線に近づける。この結果、高エネルギーのイオンの角度分布における広がりが狭くなる。換言すれば、より多くの高エネルギーのイオンが表面に対して垂直に方向付けられる。垂直に近いイオンフラックスは、高アスペクト比コンタクトホールの形成に使用され得るRIEプロセス(多くの場合にHARCエッチングと呼ばれる)に対して高い異方性を達成するのに役立つ。角度の広がりが狭いことは、HARCエッチングプロセス中に深いトレンチの側壁との望ましくない衝突を回避するうえで有益である。
【0056】
図4Cは、ゲート波形4C1を使用して生成されたRFバースト波形4C2を有するRF源信号の、ゲート波形4C3を使用して生成されたB-DCバースト波形4C4を有するバイアス信号と組み合わせた別の対のプロットを示す。例示を目的として、バースト遅延444を除いて、波形4C1、4C2、4C3及び4C4の全てのタイミングパラメータは、
図4A及び
図4Bのそれぞれの波形におけるそれぞれのパラメータに等しく設定される。
図4Cでは、バースト遅延444は、ゼロよりも大きく、RFバースト持続時間432以下である。したがって、各B-DCバーストパルスの一部分は、RFバーストパルスとオーバーラップし、B-DCバーストパルスの残りの持続時間は、RFバーストパルスの終了を越えて延びる。一般に、オーバーラップバースト波形では、B-DCバースト波形の一部分は、RF源信号が存在する間に存在し、B-DC波形の残りの持続時間は、RF源信号が存在しない間に存在する。上述したように、バースト遅延は、ゼロよりも大きいが、いくつかのオーバーラップが存在することを確実にするために、RFバースト持続時間以下である。B-DCバーストパルスがRFバースト分離時間内に延びることを確実にするため、バースト遅延(例えば、バースト遅延444)は、バースト遅延とB-DCバースト持続時間との合計がRFバースト持続時間よりも大きくなるように選択される。B-DCバースト波形がRFバースト分離を越えて延びて、次のRFバーストパルスとオーバーラップすることを防止するため、バースト遅延は、B-DCバースト分離時間を越えないようにするべきである。
【0057】
ここで、RF源信号(RFバースト波形4C2)及びバイアス信号(B-DCバースト波形4C4)がプラズマ処理チャンバ110の上部RF電極116及び下部RF電極118にそれぞれ印加されたときに起こる一連の事象を考える。RFバーストパルスが開始すると、プラズマ150が点火される。バイアス信号がない状態でイオン、自由電子、ラジカルが生成される。この時間中、ラジカルは、基板に拡散するが、イオンを非常に高い指向性運動エネルギーまで加速するバイアス信号が存在しないため、基板108に衝突している高エネルギーのイオンの数は、少ない。
【0058】
図4Cに示されるように、バースト遅延444の終了時、バイアス信号のB-DCバーストパルスが開始する。B-DCパルスの負極性セグメントは、イオンを加速させる。高エネルギーのイオンは、ラジカルとともに基板と物理的且つ化学的に相互作用し、揮発性副生成物を生成する。RF正弦波及びB-DCパルスは、RFバースト持続時間432の終了時にRF源信号が遮断されるまで両方とも存在する。RF源信号の存在により、電子温度T
e及びイオン温度T
ionが上昇した状態に維持される。RF源信号がオフになると直ちに、T
e及びT
ionの両方が低下し始める。上記で説明したように、イオン運動エネルギーのランダム成分は、異方性プラズマエッチング、例えばHARCエッチングプロセスにとって望ましくない。したがって、RF源信号は、遮断されるが、バイアス信号が存在する持続時間は、ランダム成分を過度に増加させることなく、非常に高い指向性運動エネルギーを獲得するためにイオンを加速させる利点を提供する。
【0059】
図4Cに示されるように、RFバーストパルスの終了を越えてB-DCバースト持続時間を継続することにより、電子温度T
eが低下した時間中にエッチングプロセスを継続することを可能にする。上記で説明したように、これは、高アスペクト比トレンチの高い異方性エッチング(例えば、HARCエッチングプロセス)に有利である。
【0060】
RF源信号及びバイアス信号は、B-DCバースト持続時間の終了から次のRFバースト持続時間の開始までの間、両方とも遮断される。
図3B及び
図4Aを参照して上述したように、RF源及びバイアス信号の両方が存在しない持続時間は、プラズマ処理チャンバ110(
図1を参照されたい)の排気口114を通して揮発性副生成物を除去するように調整され得る。
【0061】
図5A及び
図5Bは、第1の電極と第2の電極との間に同じバイアス信号を印加するための2つの構成を示し、バイアス信号は、B-DC波形5A1を有する。第1のユニポーラDC(U-DC)波形5B1を有する第1のU-DC信号と、第2のU-DC波形5B2を有する第2のU-DC信号との差分により、B-DC波形5A1を有するバイアス信号を提供することができる。
図5A及び
図5Bでは、第1の電極は、プラズマ処理チャンバ110の下部RF電極118であり、第2の電極は、プラズマ処理チャンバ110の上部電極RF116である。
図5A及び
図5Bに示されるプラズマチャンバ110は、
図1に示される処理チャンバ110と同様である。下部RF電極118は、基板108を保持する基板ホルダに含まれる。プラズマチャンバ110の壁の導電性部分119は、基準電位に結合される。
【0062】
図5Aに概略的に示される構成では、下部RF電極118(第1の電極)は、B-DCパルス列を含むB-DC波形5A1を有するバイアス信号に結合される。上部RF電極116(第2の電極)は、0Vに等しく、GNDとして示された基準電位に結合される。例示を目的として、正バイアスは、+V
B Vであり、負バイアスは、-V
B Vであり、0Vは、中性バイアスである。不均等な大きさのバイアスも使用され得ることが理解される。B-DC波形5A1の各B-DCパルスは、
図2Aを参照して上述したB-DCパルス2A2’と同様である。
図2Aを参照して説明した2A3又は2A4と同様のものなどの他のB-DCパルスも使用され得ることが理解される。
【0063】
図5Aに示されるように、B-DC波形5A1のB-DCパルスは、パルスが負極性を有する負バイアス持続時間512と、パルスが正極性を有する正バイアス持続時間514と、パルスが基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間516とを有する。3つのバイアス持続時間512、514、516の合計は、B-DC波形5A1のB-DCパルスのパルス期間526である。
図2AのB-DCパルス2A2’の中性バイアス持続時間216と同様に、中性バイアス持続時間516は、連続パルスセグメントであり、負バイアス持続時間512の終了と正バイアス持続時間514の開始との間に分離が存在しない。
【0064】
図5Bに概略的に示される構成では、下部RF電極118は、負極性のユニポーラパルス列を含む第1のU-DC波形5B1を有する第1のU-DC信号に結合される。上部RF電極116は、同様に負極性のユニポーラパルス列を含む第2のU-DC波形5B2を有する第2のU-DC信号に結合される。
【0065】
第1のU-DC波形5B1の各U-DCパルスのパルス幅は、負バイアス持続時間512に等しくなるように選択され、パルス分離時間536は、パルス幅(負バイアス持続時間512)とパルス分離時間536との合計がB-DC波形5A1のB-DCパルスのパルス期間526に等しくなるように選択される。
【0066】
第2のU-DC波形5B2の各U-DCパルスのパルス幅は、正バイアス持続時間514に等しくなるように選択され、パルス分離時間546は、パルス幅(正バイアス持続時間514)とパルス分離時間546との合計がB-DC波形5A1のB-DCパルスのパルス期間526にも等しくなるように選択される。B-DC波形5A1並びに第1及び第2のU-DC波形5B2、5B3は、全て等しいパルス期間を有することに留意されたい。
【0067】
第1のU-DC波形5B1を有する第1のU-DC信号は、第2のU-DC波形5B2を有する第2のU-DC信号と同期される。この同期は、
図5Bに示されるように、第1のU-DC波形5B1のU-DCパルスを第2のU-DC波形5B2のU-DCパルスから一定のU-DC遅延時間544だけ遅延させることによって達成される。この例では、一定のU-DC遅延時間544は、B-DC波形5A1のB-DCパルスの負バイアス持続時間512に等しくなるように選択されている。この選択により、差分信号のタイミング(又は位相)をB-DC波形5A1のタイミングに一致させる。ここで、差分信号は、差分波形を有し、差分波形は、第1のU-DC波形5B1と第2のU-DC波形5B2との間の差分によって定義される。差分波形は、B-DC波形5A1と正確に一致する。この正確な一致は、一定のU-DC遅延時間544の特定の選択(
図5Aの負バイアス持続時間512に等しい
図5BのU-DC遅延時間544である選択)及びB-DC波形5A1における負バイアス持続時間512の終了と正バイアス持続時間514の開始との間に分離が存在しない(中性バイアス持続時間は、連続パルスセグメントである)ことから生じる。
【0068】
例示的なU-DC波形5B1及び5B2は、負極性であるが、B-DC波形5A1は、正極性のU-DCパルスを有する2つのU-DC波形の差分を使用しても実現され得ることが理解される。
【0069】
本開示に記載される実施形態を使用して、パルス化信号のタイミングは、例えば、プラズマ特性、化学的環境並びに正電荷イオン及び負電荷電子のそれぞれによる基板の表面の電荷及び中和を調節するように調整及び同期され得る。プラズマ処理方法は、プラズマ処理チャンバの電極に結合されたRF源信号及びパルス化B-DCバイアス信号の様々なパルス波形を同期して調整するように構成されたタイミングコントローラに送信されるコマンドを含む、プラズマ処理システムのプロセッサからのコマンドを使用して実施され得る。
【0070】
例1.プラズマ処理のための方法であって、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、プラズマ処理チャンバは、第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含む、維持することを含み、プラズマを維持することは、RF源信号を第1のRF電極に結合することと、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合することであって、バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、結合することとを含み、B-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間とを含む、方法。
【0071】
例2.プラズマ処理チャンバの壁の導電性部分を基準電位に結合することを更に含む、例1に記載の方法。
【0072】
例3.第2のRF電極を基準電位に結合することと、バイアス信号を第1のRF電極に結合することとを更に含む、例1又は2に記載の方法。
【0073】
例4.バイアス信号を第2のRF電極に結合することを更に含む、例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
例5.RF源信号は、連続波(CW)RF波形を有し、及びバイアス信号は、連続B-DC波形を有し、連続B-DC波形は、B-DCパルスの連続列を含む、例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
例6.B-DCパルスの各々は、基準電位に対する中性極性が、中性バイアス持続時間であるように定義される、単一のパルスセグメントを有し、中性バイアス持続時間は、時間的に連続する、例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
例7.中性バイアス持続時間は、第1の中性バイアスパルスセグメントと、第2の中性バイアスパルスセグメントとに分割され、第1の中性バイアスパルスセグメントは、負バイアス持続時間の終了を次の正バイアス持続時間の開始から分離し、第2の中性バイアスパルスセグメントは、正バイアス持続時間の終了を次の負バイアス持続時間の開始から分離する、例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
例8.バイアス信号は、B-DCバーストパルスの列を含むB-DCバースト波形を有し、B-DCバーストパルスの各々は、B-DCバースト持続時間中に存在し、その後、バイアス信号が存在しないB-DCバースト分離時間が続く、複数の連続B-DCパルスを有し、B-DCバースト持続時間とB-DCバースト分離時間との合計は、バースト期間として定義される、例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
例9.RF源信号は、連続波(CW)RF波形を有する、例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
例10.RF源信号は、RFバーストパルスの列を含むRFバースト波形を有し、RFバーストパルスの各々は、RFバースト持続時間中に存在し、その後、RF源信号が存在しないRFバースト分離時間が続く、RF波形を有し、RFバースト持続時間とRFバースト分離時間との合計は、バースト期間に等しく、方法は、B-DCバースト波形を前記RFバースト波形と同期させることを更に含み、同期させることは、B-DCバーストパルスをRFバーストパルスから一定のバースト遅延だけ遅延させることである、例1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
例11.RFバースト持続時間は、B-DCバースト持続時間以上であり、バースト遅延は、ゼロ以上であり、且つRFバースト持続時間とB-DCバースト持続時間との間の差分以下である、例1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
例12.B-DCバースト持続時間は、RFバースト分離時間以下であり、バースト遅延は、RFバースト持続時間以上であり、且つB-DCバースト分離時間以下である、例1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
例13.バースト遅延は、ゼロよりも大きく、且つRFバースト持続時間及びB-DCバースト分離時間のうちのより小さい方以下であり、バースト遅延とB-DCバースト持続時間との合計は、RFバースト持続時間よりも大きい、例1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
例14.プラズマ処理のためのシステムであって、プラズマ処理チャンバであって、第1の無線周波数(RF)電極と、第2のRF電極と、プラズマ処理チャンバ内に半導体基板を保持するように構成された基板ホルダとを含むプラズマ処理チャンバ、プロセッサ、プロセッサにおいて実行されるプログラムを記憶する非一時的メモリを含み、プログラムは、RF源信号を第1のRF電極に結合する命令と、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合する命令であって、バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有する、命令と、を含み、B-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、パルスが基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間とを含む、システム。
【0084】
例15.連続波(CW)RF源信号源と、プログラム可能な連続B-DCバイアス信号源と、CW-RF源信号源に結合されたプログラム可能な第1のチョッパと、連続B-DCバイアス信号源に結合されたプログラム可能な第2のチョッパと、連続B-DCバイアス信号源、第1のチョッパ及び第2のチョッパに結合されたタイミングコントローラであって、実行されると、第1のチョッパの出力信号、第2のチョッパの出力信号及び連続B-DCバイアス信号源の出力信号を同期して制御するコマンドをプロセッサから受信するように構成されるタイミングコントローラと、を更に含む、例14に記載のシステム。
【0085】
例16.システムの構成は、第1のチョッパからの出力信号及び第2のチョッパからの出力信号に結合された第1のRF電極と、基準電位に結合された第2のRF電極とを含む、例14又は15に記載のシステム。
【0086】
例17.システムの構成は、第1のチョッパからの出力信号に結合された第1のRF電極と、第2のチョッパからの出力信号に結合された第2のRF電極とを含む、例14~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0087】
例18.プラズマ処理のための方法であって、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、プラズマ処理チャンバは、第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含む、維持することを含み、プラズマを維持することは、RF源信号を第1のRF電極に結合することと、バイアス信号を第1のRF電極と第2のRF電極との間に結合することであって、バイアス信号は、第1のユニポーラDC(U-DC)波形と第2のユニポーラDC波形との差分であるバイポーラDC(B-DC)波形を有し、第1のU-DC波形の極性は、第2のU-DC波形の極性と同じである、結合することとを含み、バイアス信号を結合することは、第1のU-DC信号を第1のRF電極に結合することであって、第1のU-DC信号は、第1の複数のU-DCパルスを含む第1のU-DC波形を有し、第1の複数のU-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して第1のバイアス極性を有する第1のU-DCパルス幅と、パルスが、基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第1のU-DCパルス分離時間とを含む、結合することと、第2のU-DC信号を第2のRF電極に結合することであって、第2のU-DC信号は、第2の複数のU-DCパルスを含む第2のU-DC波形を有し、第2の複数のU-DCパルスの各々は、パルスが基準電位に対して第1のバイアス極性を有する第2のU-DCパルス幅と、パルスが、基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第2のU-DCパルス分離時間とを含む、結合することと、第1のU-DC信号を第2のU-DC信号と同期させることとを含み、同期させることは、第1のU-DC信号のU-DCパルスを第2のU-DC信号のU-DCパルスから一定のU-DC遅延時間だけ遅延させることである、方法。
【0088】
例19.プラズマ処理チャンバの壁の導電性部分を基準電位に結合することを更に含む、例18に記載の方法。
【0089】
例20.第1のバイアス極性は、基準電位に対して正バイアス極性である、例18又は19に記載の方法。
【0090】
本発明について、複数の例示的な実施形態を参照して記述してきたが、限定的な意味で解釈されることを意図されない。例示的な実施形態の様々な変更形態及び組み合わせ並びに本発明の他の実施形態は、上の記述を参照して当業者に明らかになるであろう。したがって、添付の請求項は、そのような変更形態又は実施形態を包含することを意図する。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理のための方法であって、
第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含むプラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、前記プラズマを維持することは、
RF源信号を前記第1のRF電極に結合することと、
バイアス信号を前記第1のRF電極と前記第2のRF電極との間に
印加することであって、前記バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有
し、前記B-DCパルスの各々は
、パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、前記パルスが前記基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、前記パルスが前記基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間と
、を含
み、
前記バイアス信号は、B-DCバーストパルスの列を含むB-DCバースト波形を有し、前記B-DCバーストパルスの各々は、B-DCバースト持続時間中に存在する複数の連続するB-DCパルスを有し、その後にバイアス信号が存在しないB-DCバースト分離時間が続き、前記B-DCバースト持続時間と前記B-DCバースト分離時間との合計がバースト期間として定義される、印加することと、を含む、維持することを含む、方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理チャンバの壁の導電性部分を前記基準電位に結合することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のRF電極を前記基準電位に結合することと、
バイアス信号
源を前記第1のRF電極に結合すること
であって、前記バイアス信号源は、前記バイアス信号を印加する、結合することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
バイアス信号
源を前記第2のRF電極に結合すること
であって、前記バイアス信号源は、前記バイアス信号を印加する、結合することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
RF源信号
源は、連続波(CW)RF波形を
生成し、及び前記バイアス信号は、連続B-DC波形を有し、前記連続B-DC波形は、B-DCパルスの連続列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記中性バイアス持続時間は、第1の中性バイアスパルスセグメントと、第2の中性バイアスパルスセグメントとに分割され、前記第1の中性バイアスパルスセグメントは、前記負バイアス持続時間の終了を次の正バイアス持続時間の開始から分離し、前記第2の中性バイアスパルスセグメントは、前記正バイアス持続時間の終了を次の負バイアス持続時間の開始から分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
RF信号源は、連続波(CW)RF波形を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
RF信号源は、RFバーストパルスの列を含むRFバースト波形を生成し、前記RFバーストパルスの各々は、RFバースト持続時間中に存在するRF波形を有し、その後にRFバースト分離時間が続き、その間にRF源信号がなく、
RFバースト持続時間とRFバースト分離時間との和は、前記バースト期間に等しく、
前記方法は、前記B-DCバースト波形を前記RFバースト波形と同期させることであって、前記同期させることは、前記RFバーストパルスから一定のバースト遅延だけ前記B-DCバーストパルスを遅延させることである、同期させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記RFバースト持続時間は、前記B-DCバースト持続時間以上であり、
前記バースト遅延は、ゼロ以上であり、且つ前記RFバースト持続時間と前記B-DCバースト持続時間との間の差分以下である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記B-DCバースト持続時間は、前記RFバースト分離時間以下であり、
前記バースト遅延は、前記RFバースト持続時間以上であり、且つ前記B-DCバースト分離時間以下である、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記バースト遅延は、ゼロよりも大きく、且つ前記RFバースト持続時間及び前記B-DCバースト分離時間のうちのより小さい方以下であり、
前記バースト遅延と前記B-DCバースト持続時間との合計は、前記RFバースト持続時間よりも大きい、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
プラズマ処理のためのシステムであって、
プラズマ処理チャンバであって、
第1の無線周波数(RF)電極と、
第2のRF電極と、
前記プラズマ処理チャンバ内に半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、を含む
、プラズマ処理チャンバと、
プロセッサと、
前記プロセッサにおいて実行されるプログラムを記憶する非一時的メモリ
であって、前記プログラムは、
RF源信号を前記第1のRF電極に結合する命令と、
バイアス信号を前記第1のRF電極と前記第2のRF電極との間に
印加する命令であって、前記バイアス信号は、複数のバイポーラDC(B-DC)パルスを含むB-DC波形を有
し、前記B-DCパルスの各々は、
パルスが基準電位に対して負極性を有する負バイアス持続時間と、
前記パルスが前記基準電位に対して正極性を有する正バイアス持続時間と、
前記パルスが前記基準電位に対して中性極性を有する中性バイアス持続時間と、を含む
、命令と、を含む、非一時的メモリと、
連続波(CW)RF源信号源と、
プログラム可能な連続B-DCバイアス信号源と、。
連続波(CW)RF源信号源と、
プログラム可能な連続B-DCバイアス信号源と、
前記CW-RF源信号源に結合されたプログラム可能な第1のチョッパと、
前記連続B-DCバイアス信号源に結合されたプログラム可能な第2のチョッパと、
前記連続B-DCバイアス信号源、前記第1のチョッパ及び前記第2のチョッパに結合されたタイミングコントローラであって、前記タイミングコントローラは、実行されると、前記第1のチョッパの出力信号、前記第2のチョッパの出力信号及び前記連続B-DCバイアス信号源の出力信号を同期して制御するコマンドを前記プロセッサから受信するように構成される、タイミングコントローラと、を含む、システム。
【請求項13】
前記システムの構成は、
前記第1のチョッパからの前記出力信号及び前記第2のチョッパからの前記出力信号に結合された前記第1のRF電極と、
前記基準電位に結合された前記第2のRF電極と、を含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムの構成は、
前記第1のチョッパからの前記出力信号に結合された前記第1のRF電極と、
前記第2のチョッパからの前記出力信号に結合された前記第2のRF電極と、を含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
プラズマ処理のための方法であって、
第1の無線周波数(RF)電極及び第2のRF電極を含むプラズマ処理チャンバ内でプラズマを維持することであって、前記プラズマを維持することは、
RF
信号源を前記第1のRF電極に結合することと、
バイアス信号を前記第1のRF電極と前記第2のRF電極との間に
印加することであって、前記バイアス信号は、第1のユニポーラDC(U-DC)波形と、第2のユニポーラDC波形との差分であるバイポーラDC(B-DC)波形を有し、前記第1のU-DC波形の極性は、前記第2のU-DC波形の極性と同じであ
り、前記バイアス信号を印加することは、
第1のU-DC信号を前記第1のRF電極に結合することであって、前記第1のU-DC信号は、第1の複数のU-DCパルスを含む前記第1のU-DC波形を有し、前記第1の複数のU-DCパルスの各々は、
パルスが基準電位に対して第1のバイアス極性を有する第1のU-DCパルス幅と、
前記パルスが、前記基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第1のU-DCパルス分離時間と、を含む、結合することと、
第2のU-DC信号を前記第2のRF電極に
印加することであって、前記第2のU-DC信号は、第2の複数のU-DCパルスを含む前記第2のU-DC波形を有し、前記第2の複数のU-DCパルスの各々は、
前記パルスが前記基準電位に対して前記第1のバイアス極性を有する第2のU-DCパルス幅と、
前記パルスが、前記基準電位に実質的に等しい中性バイアス極性を有する第2のU-DCパルス分離時間と、を含む、
印加することと、
前記第1のU-DC信号を前記第2のU-DC信号と同期させることであって
、前記同期させることは、前記第1のU-DC信号の前記U-DCパルスを前記第2のU-DC信号の前記U-DCパルスから一定のU-DC遅延時間だけ遅延させることである、同期することと、を含む、
印加することと、を含む、維持することを含む、方法。
【請求項16】
前記プラズマ処理チャンバの壁の導電性部分を前記基準電位に結合することを更に含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のバイアス極性は、前記基準電位に対して正バイアス極性である、請求項
15に記載の方法。
【国際調査報告】