(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】摩耗性シール要素を有する無潤滑式圧縮機及び関連するその組立方法
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20241016BHJP
F04C 18/22 20060101ALI20241016BHJP
F04C 27/00 20060101ALI20241016BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20241016BHJP
F16J 10/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F04B39/00 104A
F04C18/22 A
F04C27/00
F16J15/16 B
F16J10/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521272
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 IB2022059489
(87)【国際公開番号】W WO2023062479
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ルイクス ピエール-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ブルス バーテル
(72)【発明者】
【氏名】マリアン カレン
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
3J043
3J044
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AC02
3H003BC01
3H003CD01
3H129AA01
3H129AB02
3H129BB16
3H129CC05
3H129CC09
3J043AA16
3J043CB18
3J044AA04
3J044AA08
3J044AA14
3J044CC14
3J044DA10
3J044EA02
(57)【要約】
ガスを圧縮するための無潤滑式圧縮機(10)は、底壁(22)、頂壁(24)、及び底壁(22)と頂壁(24)とを連結する側壁(26)によって境界が定められたロータキャビティ(20)を含むハウジング(18)を備えた静止したステータ(12)と、内部でガスを圧縮するために、ロータキャビティ(20)内で軸(z)の周りに回転するように配置されロータ要素(14)と、ロータキャビティ(20)内に配置された自立したシール要素(16)と、を備え、シール要素(16)は、摩耗性炭素材料で作られており、ロータキャビティ(20)の側壁(26)の内面に配置された壁部(34)を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮するための無潤滑式の圧縮機(10)であって、
底壁(22)、頂壁(24)、及び前記底壁(22)と前記頂壁(24)とを連結する側壁(26)によって境界が定められたロータキャビティ(20)を含むハウジング(18)を備えた静止したステータ(12)と、
内部でガスを圧縮するために、前記ロータキャビティ(20)内で軸(z)の周りに回転するように配置されたロータ要素(14)と、
前記ロータキャビティ(20)内に配置された自立したシール要素(16)と、
を備え、
前記圧縮機(10)は、
前記シール要素(16)が、摩耗性炭素材料で作られており、
前記シール要素(16)が、前記ロータキャビティ(20)の側壁(26)の内面に配置された壁部(34)を備える、
ことを特徴とする、圧縮機(10)。
【請求項2】
前記シール要素(16)は、前記シール要素(16)の前記壁部(34)と連結された又は一体になった板状部分(36)をさらに備え、前記板状部分(36)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)の内面に配置されている、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記シール要素(16)の前記壁部(34)は、前記ロータキャビティ(20)の内側に向く内面(34a)と、反対側の外面(34b)とを有し、前記内面(34a)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)に平行な平面上、又は前記中心軸(z)と直交する平面上の断面において、外トロコイド形状を有する、請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記シール要素(16)の前記壁部(34)の前記外面(34b)は、前記ロータキャビティ(20)の前記側壁(26)と全体的に接触している、請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記シール要素(16)は、前記ロータキャビティ(20)の頂壁(24)の内面に配置されたさらなる板状部分(38)を備える、請求項1から4のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項6】
前記シール要素(16)の前記板状部分(36)と壁部(34)とは一体部品で作られており、前記さらなる板状部分(38)は、別個のカバー構成要素として設けられている、請求項5に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記シール要素(16)は、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mmの最小厚さを有する、請求項1から6のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項8】
前記シール要素(16)は、層状構造を含む、請求項1から7のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項9】
前記シール要素(16)が、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましく大部分は、グラファイト、さらに好ましくは細粒グラファイトの形態の炭素マトリックスで作られている、請求項1から8のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項10】
前記シール要素(16)は、約60と約70の間に含まれる、最も好ましくは約65のC2ショア硬度を有する、請求項1から9のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項11】
前記ロータキャビティ(20)は、ヴァンケル型圧縮室であり、前記ロータ要素(14)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)に実質的に直交する軸(z)の周りで偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータである、請求項1から10のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項12】
少なくとも1つの入口開口(30)及び少なくとも1つの出口開口(32)は、それぞれガスの供給及び排気のために、前記ロータキャビティ(20)の前記側壁及び/又は前記底壁(22)に設けられている、請求項1から11のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の無潤滑式圧縮機(10)を組み立てるための方法であって、
a)摩耗性炭素材料のブロックを、外側形状が前記ロータキャビティ(20)の内側形状を模倣するように、及び、前記ブロックが、底壁によって及び一定の厚さを有する側壁によって境界が定められる、開いている内側キャビティを有するように、機械加工することにより、半完成シール要素(16)を製造するステップと、
b)前記ステータ(12)の前記ハウジング(18)を少なくとも350℃の温度に加熱するステップと、
c)前記ハウジング(18)が少なくとも350℃の温度にある間に、前記半完成シール要素(16)を前記ハウジング(18)の前記ロータキャビティ(20)内に嵌め込むステップと、
d)前記ロータ要素(14)を前記半完成シール要素(16)の内側キャビティに取り付けるステップと、
e)前記半完成シール要素(16)の前記内側キャビティが前記ロータ要素(14)によってさらに機械加工されるように、前記ロータ要素(14)を動かすステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記ロータ要素(14)は、前記軸(z)の周りで偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータであり、ステップe)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)に平行な平面上、又は前記軸(z)に直交する平面上の断面において、外トロコイド形状を有するシール要素(16)の内面(34a)を得るために実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
f)ステップc)の後、ステップd)の前に、前記半完成シール要素(16)の前記底壁を一定の厚さになるまで機械加工するステップをさらに含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
g1)ステップc)の後、圧縮されるガスの供給のために、前記シール要素(16)の前記壁部(34)を貫通しかつ前記ロータキャビティ(20)の前記側壁(26)を貫通する少なくとも1つの入口開口(30)を、単一の孔加工ステップによって機械加工するステップと、
g2)ステップc)の後、圧縮ガスの排気のために、前記シール要素(16)の前記壁部(34)を貫通しかつ前記ロータキャビティ(20)の側壁(26)を貫通する少なくとも1つの出口開口(32)を、単一の孔加工ステップによって機械加工するステップと、
をさらに含む、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップc)は、前記半完成シール要素(16)と前記ロータキャビティ(20)との間に接着剤層を塗布することをさらに含む、請求項13から16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータキャビティ、ロータキャビティ内に配置されたロータ要素、及びロータキャビティ内に配置された摩耗性炭素材料で作られているシール要素を備える、ガスを圧縮するための無潤滑式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
無潤滑式圧縮機は、ロータとハウジングとの間にシールを形成するために液体潤滑剤を使用しない。一般に、公知の無潤滑式圧縮機では、機能表面、すなわちロータの表面及び/又はロータキャビティを区切る壁の内側に、摩耗性コーティング層が塗布され、コーティング層は、圧縮機の慣らし運転期間中に部分的に摩耗して、可能な限り気密なシールを形成する傾向がある。
【0003】
これらの公知の実施形態の欠点は、複数のコーティング層を積層する必要があるため、摩耗性コーティングの塗布に比較的長い時間がかかり、プロセスが比較的高価になることである。さらに、コーティングは、機械加工公差を許容するための制限されたマージン量をもたらし、結果的に、部品は、厳格な公差限界で製造する必要がある。
【0004】
摩耗性シール要素は、例えば、本出願人の国際公開第2050/157567号によって示されている。この特許公報は、静止したステータと回転可能なロータ要素を備える無潤滑式システムが開示されており、摩耗性コーティングは、ロータキャビティに組み込まれたシール要素のロータ要素に対向する少なくとも1つの表面に塗布されている。それにもかかわらず、この特許公報によって示されたシール要素は、ロータキャビティの上壁と底壁を覆うだけであり、側壁を覆っておらず、十分な気密シールを提供するものではない。さらに、シールは、ヴァンケル型機械、詳細にはウィンクル(Winkle)圧縮機に適用するのは容易ではない。
【0005】
ヴァンケル型機械、詳細にはヴァンケルエンジンに適用するための、非摩耗性金属材料で作られている3次元シール要素(ライナー)は、米国特許第4021163号に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2050/157567号
【特許文献2】米国特許第4021163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の欠点に悩まされることのない無潤滑式圧縮機、詳細には、製造が容易で安価であると同時に、十分に気密なシール要素を備えた無潤滑式圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的及び他の目的は、請求項1に記載の無潤滑式圧縮機及び請求項13に記載の関連するそのような無潤滑式圧縮機の組立方法によって完全に達成される。
【0009】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に規定されており、その内容は、以下の説明の不可欠な部分として理解される。
【0010】
要約すると、本発明の第1の態様は、ガスを圧縮するための無潤滑式圧縮機を提供するという考え方に基づいており、この圧縮機は、
底壁、頂壁、及び上記底壁と上記頂壁とを連結する側壁によって境界が定められたロータキャビティを含むハウジングを備えた静止したステータと、
内部でガスを圧縮するために、ロータキャビティ内で軸zの周りに回転するように、好ましく上記軸zの周りに偏心運動するように配置されたロータ要素と、
ロータキャビティ内に配置された自立したシール要素と、
を備え、
圧縮機は、
シール要素が、摩耗性炭素材料で作られており、
シール要素が、ロータキャビティの側壁の内面に配置された壁部を備える、
ことを特徴とする。
【0011】
本明細書及び添付の請求項で使用される場合、「軸の周りに回転するように配置される」という表現は、要素が軸の周りに単純な回転のために配置された状態、及び要素が偏心運動のために配置された状態、すなわち、ヴァンケル型回転機械の場合のように、要素がその中心に配置されていない軸の周りに回転する状態の両方を含む。
【0012】
本明細書及び添付の請求項で使用される場合、「自立した」とは、シール要素がそれ自体で、無潤滑式圧縮機の組み立て時に取り扱えるだけの強度を有することを意味する。その結果、シール要素は、別個に製造され、その後、ハウジングのロータキャビティに挿入又は嵌め込まれ、例えば、ロータキャビティに接着される、ねじ止めされる、付着される、クランプされる、ロックされる、又は他の方法で固定される。
【0013】
本明細書及び添付の請求項で使用される場合、「摩耗性炭素材料」とは、粉末状で摩耗する炭素材料、又は機械的挙動が脆い炭素材料、すなわち微粒子が無潤滑式圧縮機の回転するロータ要素の関連する端面との接触によって摩耗する炭素材料を指す。理想的には、これらの摩耗した微粒子は、1pmより小さい数平均粒径を有する。
【0014】
摩耗性炭素材料は、システムの慣らし運転(run-in)中に発生する熱を考慮して、慣らし運転中の摩耗を制御することを可能にし、これにより、上記で規定したような微粒子が摩耗する。従って、ロータ要素の適切な回転を可能にするのに十分な量の磨耗性材料が除去され、シール要素に残った磨耗性材料が十分な密閉性を提供するまで(すなわち、残りの隙間は例えば10μmより小さい)、例えば厚さ50μmの磨耗性材料の層がシール要素から除去される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、シール要素は、シール要素の壁部と連結された、又は一体になった板状部分をさらに含み、板状部分は、ロータキャビティの底壁の内面に配置されている。好ましくは、シール要素は、ロータキャビティの頂壁の内面に配置されたさらなる板状部分も含む。この実施形態では、板状部分とシール要素の壁部とは、好ましくは一体部品で作られており、より好ましくは、さらなる板状部分は、別個のカバー構成要素として設けられている。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、シール要素の壁部は、ロータキャビティの内側に向く内面と、反対側の外面とを有し、内面は、ロータキャビティの底壁に平行な平面上の断面において、内トロコイド形状又は外トロコイド形状を有する。この実施形態では、シール要素の壁部の外面は、好ましくは、ロータキャビティの側壁と全体的に接触している。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、自立したシール要素は、好ましくは少なくとも2mm、さらに好ましくは少なくとも2.5mm、さらに好ましくは少なくとも3mmの最小厚さを有することができる。
【0018】
シール要素は、例えば、摩耗性炭素材料の単層から構成することができるが、実施形態では、シール要素は、摩耗性炭素材料層で作られている層状構造を含む。
【0019】
好ましい実施形態によれば、シール要素は、少なくとも部分的に炭素マトリックスで作られている、すなわち、摩耗性炭素材料は、炭素マトリックスを含む又は炭素マトリックスで構成されている。炭素マトリックスは、少なくとも部分的に、好ましくは大部分が、グラファイト、例えば細粒グラファイトの形態である。実施形態によれば、グラファイト化度は、隣接する六方晶炭素層がグラファイト関係(graphite relationship)を有する確率として定義されるPIであり、60%を超える、80%を超える又は95%を超える。X線回折分光法は、グラファイト化度を決定する適切な方法をもたらす。
【0020】
本発明による炭素マトリックスの形態の摩耗性炭素材料は、複合材料の炭化(例えば、酸素の存在下又は非存在下での高温での炭化)によって利用可能であり、複合材料は、ポリマーマトリックス及び炭素(例えば、炭素繊維又は炭素粒子の形態)を含む。実施形態において、ポリマーは、ポリエステル、ビニルエステル、ポリエポキシド、ポリフェノール、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、及びポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択され、さらなる選択によれば、ポリマーはポリエポキシドである。
【0021】
好ましくは、本発明による炭素マトリックスの形態の摩耗性炭素材料は、上記のような炭化複合材料を、高温処理などのグラファイト化度を高める別のグラファイト形成ステップにもさらすことによって入手可能である。実施形態において、本発明による炭素マトリックスの形態の摩耗性炭素材料は、随意的に別のグラファイト形成ステップにさらされる炭化複合材料を含浸させることによって得られる。含浸は、金属、塩又はポリマーで行うことができる。
【0022】
好ましい実施形態では、摩耗性炭素材料は、80重量%を超える、90重量%を超える又は95重量%を超える炭素を含む。
【0023】
好ましい実施形態では、シール要素の摩耗性炭素材料の好ましいC2ショア硬度は、60と70の間であり、最も好ましくは約65である。ここで使用され、当業者に知られているように、「C2ショア硬度」とは、ASTM D2240規格によって定義されるショア硬度を指す。
【0024】
本発明の実施形態によれば、ロータ要素は、ステンレス鋼で作ること、好ましくは硬化ステンレス鋼で作ることができる。
【0025】
本発明の最も好ましい実施形態によれば、ロータキャビティは、ヴァンケル型圧縮室であり、ロータ要素は、ロータキャビティの底壁に実質的に直交する中心軸の周りで偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータである。
【0026】
本発明の実施形態によれば、ロータ要素の表面の少なくとも一部は、粗さRa>1.0μm、好ましくはRa>2.5μmの接触面を有する。これは、例えば、当業者に公知の手段を用いて端面を粗面化することによって達成することができる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、シール要素は、ロータキャビティへの及び/又はロータキャビティからのガスの供給及び/又は排気のための1又は2以上の開口を備えることができる。換言すれば、これらの開口は、ハウジングの入口/出口ポートへの/これらからの通路を形成する。詳細には、少なくとも1つの入口開口及び少なくとも1つの出口開口は、それぞれ、圧縮されるガスの供給と圧縮ガスの排気のために、シール要素の側壁及び/又は底壁に設けることができる。
【0028】
さらに、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による無潤滑式圧縮機を組み立てるための方法に関し、本方法は、
a)摩耗性炭素材料のブロックを、上記ブロックの外側形状が上記ロータキャビティの内側形状を模倣するように、及び、上記ブロックが、底壁によって及び一定の厚さを有する側壁によって境界が定められる、開いている内側キャビティを有するように、機械加工することにより、半完成シール要素を製造するステップと、
b)ステータのハウジングを少なくとも350℃の温度に加熱するステップと、
c)ハウジングが少なくとも350℃の温度である間に、半完成シール要素をハウジングのロータキャビティ内に嵌め込むステップと、
d)ロータ要素を半完成シール要素の内側キャビティに取り付けるステップと、
e)半完成シール要素の内側キャビティがロータ要素によってさらに機械加工されるように、ロータ要素を動かすステップと、
を含む。
【0029】
動かすステップe)は、所定の時間、例えば5から15分間行うことができる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、本方法は、ロータ要素の少なくとも1つの端面を粗面化するステップをさらに含むことができる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、ステップc)は、シール要素とハウジングのロータキャビティの壁の内面との間の十分な気密シールを保証する又は促進するために、及び/又はシール要素をハウジングに接着するために、シール要素とハウジングの側壁のそれぞれの内面との間に封止剤及び/又は付着剤及び/又は接着剤及び/又は熱ペーストを塗布することを含むことができる。
【0032】
本方法の最も好ましい実施形態によれば、ロータ要素は、ロータキャビティの上記底壁に実質的に直交する中心軸の周りに偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータであり、さらに好ましくは、ステップe)は、ロータキャビティの底壁に平行な断面において内トロコイド形状又は外トロコイド形状を有するシール要素の内面を得るように行われる。
【0033】
本方法の一実施形態によれば、本方法は、
f)ステップc)の後、又はステップa)の後、及びステップd)の前に、半完成シール要素の底壁を一定の厚さになるまで機械加工するステップ、
を含む。
【0034】
本方法の一実施形態によれば、本方法は、
g1)ステップc)の後、圧縮されるガスの供給のために、シール要素の側壁を貫通しかつロータキャビティの側壁を貫通する少なくとも1つの入口開口を、単一の孔加工ステップによって機械加工するステップ、及び
g2)ステップc)の後、圧縮されたガスの排気のために、シール要素の側壁を貫通しかつロータキャビティの側壁を貫通する少なくとも1つの出口開口を、単一の孔加工ステップによって機械加工するステップ、
を含む。
【0035】
本方法の一実施形態によれば、ステップc)は、半完成シール要素とロータキャビティとの間に接着剤層を塗布することをさらに含むことができる。
【0036】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付図面を参照して単に非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明によって明らかになるであろう
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態による無潤滑式圧縮機の部分断面斜視図である。
【
図2】
図1の無潤滑式圧縮機のシール要素の部分断面斜視図である。
【
図3】
図1の無潤滑式圧縮機の部分断面透視図であり、ロータ要素が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明は、いくつかの好ましい実施形態に関して、図面を参照して説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ定義される。図面は、概略的なものであり、非制限的である。図面において、特定の要素の大きさは、単なる例示を目的としており、縮尺通りに描かれていない場合がある。寸法及び相対寸法は、必ずしも本発明の実際の実用的な実施形態に対応するものではない。
【0039】
図面を参照すると、本発明による無潤滑式圧縮機は、参照番号10で示されている。
【0040】
図に示す圧縮機10は、例えば空気のようなガス又はガス混合物を圧縮するための、無潤滑式システムである。無潤滑とは、潤滑、冷却、又はシールのためにガス流に液体が注入されないことを意味する。ハウジングのロータキャビティに対するロータ要素のシールは、本明細書に説明するように行われるが、圧縮機10は、シールのための追加的な設備、例えば、環境に対するシールを含むこともできる。そのような追加の設備は、当業者には公知であるため、ここではさらに説明しない。
【0041】
本発明による圧縮機10は、基本的に、静止したステータ12、ロータ要素14、及びシール要素16を備える。
【0042】
それ自体公知の方法で、静止したステータ12は、ロータキャビティ20を含むハウジング18を有する。
【0043】
ロータキャビティ20は、底壁22と、頂壁24と、底壁22を頂壁24に連結する側壁26とによって境界が定められている。底壁22は、基本的にロータキャビティ20の内側に向く平面を有する。好ましい実施形態では、頂壁24は、同様に基本的にロータキャビティ20の内側に向く平面を有し、より好ましくは、頂壁24は底壁22と平行である。図に示すように、好ましい実施形態では、側壁26は、底壁22及び頂壁24の両方に対して直角である。側壁26は、任意の形状とすることができるが、好ましい実施形態では、スタジアム形状、円盤矩形形状、又は長円形状を有する、すなわち、これは、対向する一対の半円形の壁によって連結された、互いに対向する2つの平坦な壁部を含む。
【0044】
ロータ要素14は、それ自体公知の方法で、軸zの周りの回転時にその中のガスを圧縮するために、ロータキャビティ20の内部に又はその中に配置される。
図3に示すように、ロータ要素14は、軸zの周りで回転するロータシャフト28に取り付けることができ、このロータシャフト28は、ハウジング18の両側又はどちらか一方を貫通して延びることができ、ロータ要素14は、回転のために適切な歯車の噛み合いによってロータシャフト28に対して駆動的に連結される。
【0045】
最も好ましい実施形態では、圧縮機10は、ヴァンケル型圧縮機とすることができる。従って、この実施形態では、ロータキャビティ20は、ヴァンケル型圧縮室として作られ、ロータ要素14は、ヴァンケル型ロータである。公知の方法で、ヴァンケル型ロータは、ルーローの三角形に似た形状であり、軸zの周りで偏心運動のために配置されている。従って、ロータ要素14は、ロータキャビティ20の底壁22に実質的に直交する軸zの周りで偏心回転運動するように配置することができる。
【0046】
それ自体公知の方法で、圧縮機10は、圧縮されるガスが供給され、それ自体、圧縮ガスを供給する。一実施形態では、少なくとも1つの入口開口30及び少なくとも1つの出口開口32が、圧縮されるガスの供給及び圧縮ガスの排気のためにそれぞれ設けられている。好ましくは、少なくとも1つの入口開口30及び少なくとも1つの出口開口32の両方は、ロータキャビティ20の底壁22に貫通孔として設けられている。当業者には明らかなように、少なくとも1つの入口開口30及び少なくとも1つの出口開口32は、シール要素16の厚さを貫通して画定されたそれぞれの貫通孔に対応し、ガスは、ロータキャビティ20の内側及び外側に流れることができるようになっている。しかしながら、少なくとも1つの入口開口30及び/又は少なくとも1つの出口開口32は、ロータキャビティ20の異なる位置に配置することもできる。例えば、図示の実施形態では、一対の入口開口30は、ロータキャビティ20の底壁22を貫通して設けられ、一対の出口開口32は、ロータキャビティ20の側壁26を貫通して設けられている。
【0047】
シール要素16は、自立したシール要素16であり、ロータ要素14とロータキャビティ20の内面との間に十分な気密シールを提供するために、ロータキャビティ20内に又はその内部に配置又は嵌め込まれている。この目的のために、シール要素16は、ロータキャビティの側壁26の内面に、好ましくはそのような内面に直接接触して配置される壁部34を備える。ここで「内面」とは、ロータキャビティ20の内側に向かう表面を指す。
【0048】
シール要素16の壁部34は、内面34a及び外面34bを有し、内面34はロータキャビティ20の内側に向かい、外面34bはロータキャビティの外側に向かう、すなわち外面34bは、内面34aの反対に又は壁部34の反対側に配置される。本発明の最も好ましい実施形態では、内面34bは、ロータキャビティ20の底壁22に平行な平面上、又はロータ要素14が回転する軸zに直交する平面上の断面において、外トロコイド形状、又は内トロコイド形状を有する。シール要素16の壁部34の外面34bは、内面34aと平行である必要はない。それにもかかわらず、好ましい実施形態では、外面34bは、ロータキャビティ20の側壁26に完全に又は全体的に接触している。この場合、シール要素16の壁部34の外面34bは、側壁26の形状を模倣することができる、すなわち、例えば、これは、任意の形状とすることができるが、好ましい実施形態では、スタジアム形状、円盤矩形形状、又は長円形状を有する、すなわち、これは、対向する一対の半円形の壁部によって連結された、互いに対向する2つの平坦な壁部を含む。
【0049】
シール要素16は、ロータキャビティ20内に締まり嵌めされるので、壁部34の内面34aは、さもなければロータ要素14がその上で動くことになる接触部、すなわちロータキャビティ20の内側に向くロータキャビティ20の側壁26の内面又は表面に取って代わる。
【0050】
シール要素16は、ロータキャビティ20の底壁22の内面上に配置される板状部分36をさらに含むことができる。板状部分36は、シール要素16の残りの部分、すなわちシール要素16の壁部34と結合すること、又は一体にすることができる(すなわち、一体部品で作られている)。少なくとも1つの入口開口30及び/又は少なくとも1つの出口開口32がロータキャビティ20の底壁22に設けられている場合、ガスがロータキャビティ20の内側及び外側に流れることを可能にするために、シール要素の板状部分36は、それぞれ少なくとも1つの入口開口30及び/又は少なくとも1つの出口開口32に向かう、それぞれの貫通孔を同様に備える。
【0051】
好ましい実施形態では、シール要素16は、ロータキャビティ20の頂壁24の内面上に配置される又は(少なくとも部分的に)接触するさらなる板状部分38を備えることもできる。さらなる板状部分38の代わりに又はそれと組み合わせて、摩耗性炭素材料の単層又は多層コーティングを頂壁24の内面に塗布することもできる。
【0052】
好ましい実施形態では、シール要素16の板状部分36とシール要素16の壁部34とは一体部品で又は互いに一体となって作られるが、さらなる板状部分38は、ロータキャビティ20を覆って囲むための別個の構成要素として設けられている。例えば、さらなる板状部分38は、ロータキャビティ20を閉じるように意図されたハウジング18のカバー40の内側に向いた側面に取り付けることができる。
【0053】
好ましい実施形態では、シール要素16は、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mmの最小厚さを有する。この厚さは、壁部34、及び存在する場合には板状部分36及びさらなる板状部分38において評価される。
【0054】
シール要素16は、摩耗性炭素材料で作られており、好ましくは、全体が摩耗性炭素材料で作られている。好ましい実施形態では、シール要素16は、摩耗性炭素材料で作られている層状構造を含む。さらに好ましい実施形態では、シール要素は、上述したような炭素マトリックスで作られている。最後に、シール要素16は、好ましくは約60と約70の間に含まれる、より好ましくは約65のC2ショア硬度を有する。
【0055】
予想されるように、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による無潤滑式圧縮機10を組み立てるための方法に関する。本方法は、
a)半完成シール要素16を製造するステップ、
b)ステータ12のハウジング18を加熱するステップ、
c)半完成シール要素16をハウジング18内に嵌め込むステップ、
d)ロータ要素14を半完成シール要素16の内側に取り付けるステップ、
e)半完成シール要素16がロータ要素14によってさらに機械加工されるように、ロータ要素14を動かすステップ、
を少なくとも含む。
【0056】
詳細には、半完成シール要素16を製造するステップa)は、ブロックの外側形状がロータキャビティ20の内側形状を模倣するように、摩耗性炭素材料のブロックを機械加工することで実行される。詳細には、ブロックは、底壁及び一定の厚さを有する側壁によって境界が定められている、上方に開いた内側キャビティを有するように機械加工される。
【0057】
ステータ12のハウジング18は、少なくとも350℃の温度まで加熱される。当業者には明らかなように、ハウジング18を加熱する必要のある最低温度と、加熱可能な最高温度は、いずれもハウジング18の材料の熱膨張係数、ハウジング18のサイズ、及びハウジング18内に締まり嵌めされる必要のある半完成シール要素16のサイズに依存する。最も好ましくは、ハウジング18は、150℃と450℃の間の温度まで加熱される。
【0058】
ハウジング18が少なくとも350℃の温度にある間に、半完成シール要素16は、ハウジング18のロータキャビティ20内に嵌め込まれる。実際には、ハウジング18の高温のおかげで、ロータキャビティ20の大きさは熱膨張のために拡大し、半完成シール要素16はロータキャビティ20内に容易に嵌め込むことができる。ハウジング18が室温まで冷却されると、ロータキャビティ20の大きさは、より小さい値に戻る。従って、半完成シール要素16は、壁部34がロータキャビティ20の側壁26を押した状態で、ロータキャビティ20内にうまく位置決めされて締まり嵌めされる。
【0059】
ロータキャビティ20内に半完成シール要素16を嵌め込むステップc)は、本発明の方法の好ましい実施形態では、半完成シール要素16とロータキャビティ20との間に、詳細には半完成シール要素16の側壁とロータキャビティ20の側壁26との間に、接着剤層、又は接着剤の層、又は熱ペースト材料の層を塗布するステップをさらに含むこともできる。
【0060】
本発明の方法の一実施形態では、ステップc)を実施する前に、すなわち半完成シール要素16をロータキャビティ20内に嵌め込む前に、例えばある値の表面粗さを得るために、半完成シール要素16をさらに機械加工することができる。
【0061】
本発明の方法の別の実施形態では、半完成シール要素16の底壁は、一定の厚さになるまで、又は少なくとも半完成シール要素16の内側キャビティの内側に向かう表面が本質的に平坦になるまで機械加工されている。
【0062】
ロータ要素14は、半完成シール要素16の内側キャビティ内に取り付けられ、従って、ロータ要素14は、半完成シール要素16の内側キャビティが、ロータ要素14の回転時に、ロータ要素14によってさらに機械加工されるように動かされる。
【0063】
好ましい実施形態では、ロータ要素14は、偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータであるので、ステップe)が実行されると、ロータ要素14は、半完成シール要素16の内側キャビティを摩耗させ、ロータキャビティ20の底壁22に平行な断面又は軸zに本質的に直交する断面で切断すると外トロコイド形状又は内トロコイド形状を有するシール要素16の内面34aを機械加工する。
【0064】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、本方法は、圧縮されるガスの供給のためもに、シール要素16の壁部34を貫通しかつロータキャビティ20の側壁26を貫通する少なくとも1つの入口開口30を機械加工するステップをさらに含むことができる。さらに好ましくは、シール要素16の壁部34を貫通する少なくとも1つの開口30及びロータキャビティ20の側壁26を貫通する開口は、ステップc)の実行後又はその直後に、公知の方法で、単一の孔加工ステップ、例えばレーザー孔加工によって同時に機械加工される。
【0065】
同様に、本発明の方法の好ましい実施形態によれば、本方法は、圧縮ガスの排気のために、シール要素16の壁部34を貫通しかつロータキャビティ20の側壁26を貫通する少なくとも1つの出口開口32を機械加工するステップをさらに含むことができる。さらに好ましくは、シール要素16の壁部34を貫通する少なくとも1つの出口開口32及びロータキャビティ20の側壁26を貫通する出口開口は、ステップc)の実行後又はその直後に、公知の方法で、単一の孔加工ステップ、例えばレーザー孔加工によって同時に機械加工される。
【0066】
上記の説明から明らかなように、本発明による無潤滑式圧縮機にはいくつかの利点がある。
【0067】
ハウジングの内壁に1層又は2層以上の摩耗性コーティングを塗布するのではなく、摩耗性炭素材料を自立したシール要素として設けることにより、ハウジングの製造及び/又は組み立てが簡素化され、時間と費用が節約され、無潤滑式圧縮機においてより気密なシールがもたらされる。
【0068】
さらに、シール要素の自立性により(ハウジングの関連部分に磨耗性コーティングを直接塗布する必要がない)、より高い耐熱性及び/又はより優れた耐食性を有する材料を磨耗性コーティングに使用することができ、その結果、高い動作温度及び/又は腐食に対してより耐性のあるシールを得ることができ、これにより無潤滑式システムの寿命を延ばすことができる。より具体的には、自立したシール要素は、それによって覆われたハウジングの部分の腐食保護をもたらし、これは、従来技術を考慮すると、コーティングよりも優れた腐食に対する保護をもたらす。達成できる高い耐熱性は、より高い温度での適用性を保証する。このようなシステムでのより高い温度は、主により高い入口温度及び/又はより高い圧力比の結果である。その結果、より高い熱耐性は動作範囲の拡大を可能にする。しかしながら、材料の熱容量の範囲内であっても、機械的耐久性は、依然として耐用年数を決定する。より高い耐熱性は、従来技術の有機コーティングの代わりに、本明細書に記載されているような炭素材料又は炭素系材料を使用することによって達成される。さらに、シール要素とロータキャビティとの間の可能性のある接着剤及び/又は熱ペーストの層の塗布は、熱伝達を促進し、結果として圧縮機全体の耐熱性をさらに向上させることができる。
【0069】
もちろん、本発明の原理を損なうことなく、実施形態及び構成の詳細は、単に非限定的な例として説明及び図示されたものに対して、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく幅広く変更することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 圧縮機
12 ステータ
14 ロータ要素
16 シール要素
18 ハウジング
20 ロータキャビティ
22 底壁
24 頂壁
26 側壁
34 壁部
z 軸
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮するための無潤滑式の圧縮機(10)であって、
底壁(22)、頂壁(24)、及び前記底壁(22)と前記頂壁(24)とを連結する側壁(26)によって境界が定められたロータキャビティ(20)を含むハウジング(18)を備えた静止したステータ(12)と、
内部でガスを圧縮するために、前記ロータキャビティ(20)内で軸(z)の周りに回転するように配置されたロータ要素(14)と、
前記ロータキャビティ(20)内に配置された自立したシール要素(16)と、
を備え、
前記圧縮機(10)は、
前記シール要素(16)が、摩耗性炭素材料で作られており、
前記シール要素(16)が、前記ロータキャビティ(20)の側壁(26)の内面に配置された壁部(34)を備える、
ことを特徴とする、圧縮機(10)。
【請求項2】
前記シール要素(16)は、前記シール要素(16)の前記壁部(34)と連結された又は一体になった板状部分(36)をさらに備え、前記板状部分(36)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)の内面に配置されている、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記シール要素(16)の前記壁部(34)は、前記ロータキャビティ(20)の内側に向く内面(34a)と、反対側の外面(34b)とを有し、前記内面(34a)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)に平行な平面上、又は前記中心軸(z)と直交する平面上の断面において、外トロコイド形状を有する、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記シール要素(16)の前記壁部(34)の前記外面(34b)は、前記ロータキャビティ(20)の前記側壁(26)と全体的に接触している、請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記シール要素(16)は、前記ロータキャビティ(20)の頂壁(24)の内面に配置されたさらなる板状部分(38)を備える、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記シール要素(16)の前記板状部分(36)と壁部(34)とは一体部品で作られており、前記さらなる板状部分(38)は、別個のカバー構成要素として設けられている、請求項5に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記シール要素(16)は、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mmの最小厚さを有する、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記シール要素(16)は、層状構造を含む、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記シール要素(16)が、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましく大部分は、グラファイト、さらに好ましくは細粒グラファイトの形態の炭素マトリックスで作られている、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項10】
前記シール要素(16)は、約60と約70の間に含まれる、最も好ましくは約65のC2ショア硬度を有する、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記ロータキャビティ(20)は、ヴァンケル型圧縮室であり、前記ロータ要素(14)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)に実質的に直交する軸(z)の周りで偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータである、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項12】
少なくとも1つの入口開口(30)及び少なくとも1つの出口開口(32)は、それぞれガスの供給及び排気のために、前記ロータキャビティ(20)の前記側壁及び/又は前記底壁(22)に設けられている、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項13】
請求項1に記載の無潤滑式圧縮機(10)を組み立てるための方法であって、
a)摩耗性炭素材料のブロックを、外側形状が前記ロータキャビティ(20)の内側形状を模倣するように、及び、前記ブロックが、底壁によって及び一定の厚さを有する側壁によって境界が定められる、開いている内側キャビティを有するように、機械加工することにより、半完成シール要素(16)を製造するステップと、
b)前記ステータ(12)の前記ハウジング(18)を少なくとも350℃の温度に加熱するステップと、
c)前記ハウジング(18)が少なくとも350℃の温度にある間に、前記半完成シール要素(16)を前記ハウジング(18)の前記ロータキャビティ(20)内に嵌め込むステップと、
d)前記ロータ要素(14)を前記半完成シール要素(16)の内側キャビティに取り付けるステップと、
e)前記半完成シール要素(16)の前記内側キャビティが前記ロータ要素(14)によってさらに機械加工されるように、前記ロータ要素(14)を動かすステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記ロータ要素(14)は、前記軸(z)の周りで偏心運動するように配置されたヴァンケル型ロータであり、ステップe)は、前記ロータキャビティ(20)の前記底壁(22)に平行な平面上、又は前記軸(z)に直交する平面上の断面において、外トロコイド形状を有するシール要素(16)の内面(34a)を得るために実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
f)ステップc)の後、ステップd)の前に、前記半完成シール要素(16)の前記底壁を一定の厚さになるまで機械加工するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
g1)ステップc)の後、圧縮されるガスの供給のために、前記シール要素(16)の前記壁部(34)を貫通しかつ前記ロータキャビティ(20)の前記側壁(26)を貫通する少なくとも1つの入口開口(30)を、単一の孔加工ステップによって機械加工するステップと、
g2)ステップc)の後、圧縮ガスの排気のために、前記シール要素(16)の前記壁部(34)を貫通しかつ前記ロータキャビティ(20)の側壁(26)を貫通する少なくとも1つの出口開口(32)を、単一の孔加工ステップによって機械加工するステップと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ステップc)は、前記半完成シール要素(16)と前記ロータキャビティ(20)との間に接着剤層を塗布することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】