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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】バッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241016BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/383
H01M50/342 201
H01M50/271 Z
H01M50/291
H01M50/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521299
(86)(22)【出願日】2023-09-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2023013143
(87)【国際公開番号】W WO2024053956
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0112016
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ファ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ナム・フン・ホ
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC10
5H012DD07
5H012JJ10
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY10
5H040CC05
5H040NN01
(57)【要約】
本発明のバッテリーパックは、複数個のバッテリーモジュールを収容する下部ケースと、上記下部ケースを覆い、下部ケースに結合される上部ケースと、上記下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つに備えられるベンティングホールと、上記ベンティングホールを覆うように上記下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つに設置され、所定圧力および/または所定温度以上で変形して上記ベンティングホールを開放する密封部材と、上記ベンティングホールおよび密封部材を覆うように上記下部ケースの側壁内面および上部ケース内面のうち少なくとも一つに装着され、複数個の火炎排出ホールが備えられた火炎遮断表面と、上記火炎排出ホールと連通し、上記ベンティングホールおよび密封部材に向かって開放される内部空間を有する火炎制御ブロックと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のバッテリーモジュールを収容する下部ケースと、
前記下部ケースを覆い、下部ケースに結合される上部ケースと、
前記下部ケースの側壁および前記上部ケースのうち少なくとも一つに備えられるベンティングホールと、
前記ベンティングホールを覆うように前記下部ケースの前記側壁および前記上部ケースのうち少なくとも一つに設置され、所定圧力および/または所定温度以上で変形して前記ベンティングホールを開放する密封部材と、
前記ベンティングホールおよび前記密封部材を覆うように前記下部ケースの前記側壁の内面および前記上部ケースの内面のうち少なくとも一つに装着される火炎制御ブロックであって、前記火炎制御ブロックは、複数個の火炎排出ホールが備えられた火炎遮断表面と、前記火炎排出ホールと連通し、前記ベンティングホールおよび前記密封部材に向かって開放される内部空間と、を有する、火炎制御ブロックと、
を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記密封部材の前面または後面側の前記ベンティングホールに設置されるメッシュ形状消炎部材をさらに含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記火炎制御ブロックは、
前記ベンティングホールおよび前記密封部材を囲んで覆い、前記バッテリーパックの内側に向かって突出する突出フレームを備え、
前記突出フレームの突出面が前記火炎遮断表面を形成し、前記突出フレームの内面と前記ベンティングホールおよび前記密封部材との間に前記内部空間が形成される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記突出フレームの前記火炎遮断表面の反対側端部に装着ブラケットが備えられ、
前記装着ブラケットが、前記下部ケースの側壁の内面および前記上部ケースの内面のうち少なくとも一つに装着される、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記突出フレームの角部にガス流入口が備えられる、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記突出フレームの前記火炎遮断表面は、前記バッテリーパックの外側に向かって凹状に形成される、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記火炎遮断表面の中心部に配置された前記火炎排出ホールの直径が、前記火炎遮断表面の両側部に配置された前記火炎排出ホールの直径より小さい、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記突出フレームの前記火炎遮断表面は、
平面部と、前記平面部の両側に位置し、前記平面部から前記バッテリーパックの内側に向かって傾斜する傾斜面部とを含む、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記平面部に配置された前記火炎排出ホールの直径が、前記傾斜面部に配置された前記火炎排出ホールの直径より小さい、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記ベンティングホールを覆い、前記下部ケースの側壁および前記上部ケースのうち少なくとも一つの外側面に装着されるベンティングデバイスをさらに含み、
前記ベンティングデバイスは、
前記ベンティングホールと連通する中空ベンティングチャネルを備えたハウジングと、
前記ベンティングホールと連通する前記中空ベンティングチャネルの入口に結合されるメッシュ形状消炎部材とを含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記密封部材が前記ハウジングの前記中空ベンティングチャネル内に設置される、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記火炎制御ブロックは、
前記火炎遮断表面の火炎排出ホールと連通する火炎排出ホールを備え、前記内部空間を区画し、前記突出フレーム内に少なくとも1つ設置される隔壁フレームをさらに含む、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記隔壁フレームの火炎排出ホールは、前記火炎遮断表面の火炎排出ホールの少なくとも一部と重なるように配置される、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記突出フレームの火炎遮断表面と前記隔壁フレームは、前記バッテリーパックの外側に向かって凹状に形成され、
前記火炎遮断表面および前記隔壁フレームの中心部に配置された火炎排出ホールの直径が、前記火炎遮断表面および前記隔壁フレームの両側部に配置された火炎排出ホールの直径よりそれぞれ小さい、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記突出フレームの前記火炎遮断表面と前記隔壁フレームは、平面部と、前記平面部の両側に位置して前記平面部から前記バッテリーパックの内側に向かって傾斜する傾斜面部と、をそれぞれ含み、
前記平面部に配置された火炎排出ホールの直径が、前記傾斜面部に配置された火炎排出ホールの直径より小さい、請求項12に記載のバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールを収容するバッテリーパックに関するものであって、より詳しくは、バッテリーパックの内部で発生する火炎を制御された方式で外部に排出し得るバッテリーパックに関するものである。
【0002】
本出願は、2022年9月5日付の韓国特許出願第10-2022-0112016号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
電気自動車などに適用されるバッテリーパックは、高出力を得るために複数の二次電池を含む多数のバッテリーモジュールを直列または並列に連結した構造を有している。そして、上記二次電池は、正極および負極集電体、セパレーター、活物質、電解液などを含む構成要素間の電気化学的反応により繰り返し充放電が可能である。
【0004】
図1および図2は、従来のバッテリーパック1におけるガス排出経路を示す概略図である。
【0005】
バッテリーパック1に収容されたバッテリーモジュール4で熱暴走(thermal runway)が発生すると、隣接するバッテリーモジュールに熱が伝播し、結果としてバッテリーパック内にガスが発生し、スパークや火炎が噴出する。
【0006】
バッテリーパック1には、このようなガスを排出するためのガス排出経路とガス排出開口3が形成されている。
【0007】
図1は、ガスが直接バッテリーパックの側壁2に形成されたガス排出開口3に排出されることを示している。
【0008】
図2は、ガスがバッテリーパック1の側壁2に形成されたベンティングチャネルとガス排出開口3を介して外部に排出されることを示している。
【0009】
一方、上記ベンティングチャネルおよびガス排出開口を介してガスの他に火炎が共に放出される。何の規制もなく火炎がバッテリーパックの外部に直接排出されると、パック外部の他の機械的または電気的装置が損傷し得る。また、外部に排出された火炎によって火災や爆発が誘発され得るので、安全性を損ない得る。
【0010】
火炎を規制するために、上記ガス排出開口にメッシュ形状の部材を装着することが考えられる。この場合、メッシュ形状部材によってある程度火炎を低減させ得る。しかしながら、このようなメッシュ形状部材による火炎抑制効果は制限的であり、火炎を完全に防止することは困難である。
【0011】
一方、ガス排出開口の内側、すなわちバッテリーパックの内側に火炎遮断板を形成して火炎を防止することが考えられる。この場合には、パック外部への火炎排出は遮断し得る。しかしながら、火炎遮断板が外部に排出されるガスの流れを妨げ、ガスが迅速に外部に排出されないことがあり得る。さらに、外部に排出されなかった火炎がパック内部に広がり、火炎が発生しない他のバッテリーモジュールに火炎が伝播して、いわゆる熱伝播(thermal propagation)の問題がより深刻になり得る。
【0012】
したがって、バッテリーパックの内部で火炎が発生したときにそれを制御された方式で効果的に排出するようにして、バッテリーパックの内部および外部で発生する問題を解消し得る技術の開発が要望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2018-0039986号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであって、バッテリーパック内部で発生する火炎を制御された方式で低減させて外部に排出し得るバッテリーパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックは、複数個のバッテリーモジュールを収容する下部ケースと、上記下部ケースを覆い、下部ケースに結合される上部ケースと、上記下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つに備えられるベンティングホールと、上記ベンティングホールを覆うように上記下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つに設置され、所定圧力および/または所定温度以上で変形して上記ベンティングホールを開放する密封部材と、上記ベンティングホールおよび密封部材を覆うように上記下部ケースの側壁内面および上部ケース内面のうち少なくとも一つに装着される火炎制御ブロックであって、複数個の火炎排出ホールが備えられた火炎遮断表面と、上記火炎排出ホールと連通し、上記ベンティングホールおよび密封部材に向かって開放される内部空間と、を有する火炎制御ブロックと、を含む。
【0016】
一実施形態のバッテリーパックは、上記密封部材の前面または後面側のベンティングホールに設置されるメッシュ形状消炎部材をさらに含み得る。
【0017】
上記火炎制御ブロックは、上記ベンティングホールおよび密封部材を囲んで覆い、上記バッテリーパック内側に向かって突出する突出フレームを備え、上記突出フレームの突出面が上記火炎遮断表面を形成し、上記突出フレームの内面と上記ベンティングホールおよび密封部材との間に上記内部空間が形成され得る。
【0018】
上記突出フレームの火炎遮断表面の反対側端部に装着ブラケットが備えられ、上記装着ブラケットが、上記下部ケースの側壁の内面および上部ケースの内面のうち少なくとも一つに装着され得る。
【0019】
上記突出フレームの角部にガス流入口が備えられ得る。
【0020】
上記突出フレームの火炎遮断表面は、バッテリーパックの外側に向かって凹状に形成され得る。
【0021】
上記火炎遮断表面の中心部に配置された火炎排出ホールの直径は、火炎遮断表面の両側部に配置された火炎排出ホールの直径より小さいことがあり得る。
【0022】
上記突出フレームの火炎遮断表面は、平面部と、上記平面部の両側に位置し、平面部からバッテリーパックの内側に向かって傾斜する傾斜面部とを含み得る。
【0023】
上記平面部に配置された火炎排出ホールの直径が上記傾斜面部に配置された火炎排出ホールの直径より小さいことがあり得る。
【0024】
一実施形態のバッテリーパックは、上記ベンティングホールを覆い、下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つの外側面に装着されるベンティングデバイスをさらに含み、上記ベンティングデバイスは、上記ベンティングホールと連通する中空ベンティングチャネルを備えたハウジングと、上記ベンティングホールと連通する中空ベンティングチャネルの入口に結合されるメッシュ形状消炎部材とを含み得る。
【0025】
上記密封部材が上記ハウジングの中空ベンティングチャネル内に設置され得る。
【0026】
上記火炎制御ブロックは、上記火炎遮断表面の火炎排出ホールと連通する火炎排出ホールを備え、上記内部空間を区画し、上記突出フレーム内に少なくとも1つ設置される隔壁フレームをさらに含み得る。
【0027】
上記隔壁フレームの火炎排出ホールは、上記火炎遮断表面の火炎排出ホールの少なくとも一部と重なるように配置され得る。
【0028】
上記突出フレームの火炎遮断表面と上記隔壁フレームは、バッテリーパック外側に向かって凹状に形成され、上記火炎遮断表面および隔壁フレームの中心部に配置された火炎排出ホールの直径が、上記火炎遮断表面および隔壁フレームの両側部に配置された火炎排出ホールの直径よりそれぞれ小さいことがあり得る。
【0029】
上記突出フレームの火炎遮断表面と上記隔壁フレームは、平面部と、上記平面部の両側に位置して平面部からバッテリーパック内側に向かって傾斜する傾斜面部とをそれぞれ含み、上記平面部に配置された火炎排出ホールの直径が上記傾斜面部に配置された火炎排出ホールの直径より小さいことがあり得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、パックケースの内面に火炎制御ブロックを備えることにより、火炎を制御された方式で外部に排出し得る。
【0031】
これにより、火炎が外部にストレートに放出されず、ある程度消炎された状態で外部に排出されるので、パック外部の安全性を改善し得る。
【0032】
また、火炎がバッテリーパック内部に滞留して他のバッテリーモジュールに伝播することも防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来のバッテリーパックにおけるガス排出経路を示す概略図である。
図2】従来のバッテリーパックにおけるガス排出経路を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態のバッテリーパックを示す概略斜視図である。
図4】本発明の一実施形態のバッテリーパックを示す概略斜視図である。
図5】火炎制御ブロックの他の例を示す概略図である。
図6】本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
図7】本発明のバッテリーパックの構成要素であるベンティングデバイスの側断面図である。
図8】ベンティングデバイスの後面斜視図である。
図9】火炎制御ブロックの他の例を示す正面図および断面図である。
図10】火炎制御ブロックの他の例を示す正面図および断面図である。
図11図9および図10の火炎制御ブロックが適用されたバッテリーパックを示す概略図である。
図12】火炎制御ブロックの他の例を示す正面図および断面図である。
図13】火炎制御ブロックの他の例を示す正面図および断面図である。
図14】火炎制御ブロックの他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明することによってより明らかになる。ここで説明される実施形態は、発明の理解を助けるために例示的に示したものであり、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なるように多様に変形されて実施され得る。また、発明の理解を助けるために添付された図面は実際の縮尺で図示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されて図示され得る。
【0035】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパックは、複数個のバッテリーモジュールを収容する下部ケースと、上記下部ケースを覆い、下部ケースに結合される上部ケースと、上記下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つに備えられるベンティングホールと、上記ベンティングホールを覆うように上記下部ケースの側壁および上部ケースのうち少なくとも一つに設置され、所定圧力および/または所定温度以上で変形して上記ベンティングホールを開放する密封部材と、上記ベンティングホールおよび密封部材を覆うように上記下部ケースの側壁内面および上部ケース内面のうち少なくとも一つに装着される火炎制御ブロックであって、複数個の火炎排出ホールが備えられた火炎遮断表面と、上記火炎排出ホールと連通し、上記ベンティングホールおよび密封部材に向かって開放される内部空間と、を有する火炎制御ブロックと、を含む。
【0036】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図3および図4は、本発明の一実施形態のバッテリーパックを示す概略斜視図である。
【0038】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパック100は、複数個のバッテリーモジュールを収容する下部ケース10と、上記下部ケース10を覆い、下部ケースに結合される上部ケース20と、上記下部ケースの側壁および上部ケース20のうち少なくとも一つに備えられるベンティングホール30と、上記ベンティングホール30を覆うように上記下部ケースの側壁11および上部ケース20のうち少なくとも一つに設置され、所定圧力および/または所定温度以上で変形して上記ベンティングホール30を開放する密封部材40と、上記ベンティングホール30および密封部材40を覆うように上記下部ケースの側壁内面および上部ケース内面21のうち少なくとも一つに装着される火炎制御ブロック50であって、複数個の火炎排出ホールHが備えられた火炎遮断表面51aと、上記火炎排出ホールHと連通し、上記ベンティングホール30および密封部材40に向かって開放される内部空間Sを有する火炎制御ブロック50と、を含む。
【0039】
本発明は、複数個のバッテリーモジュール(図示せず)を収容するためのバッテリーパック100に関するものである。複数個のバッテリーモジュールのうち1つのモジュールで火炎が発生した場合に、本発明の火炎制御ブロック50により火炎を制御された方式によって排出し得るので、他のバッテリーモジュールへの火炎伝播を抑制し得る。上記バッテリーモジュールは、複数個のバッテリーセルが積層されたバッテリーセル積層体と、上記バッテリーセル積層体が収容されるモジュールハウジングとを含む。また、バッテリーセル積層体の前端および後端に結合される端部板を備える。また、本発明の適用対象となるバッテリーモジュールは、バッテリーセル積層体を収容するモジュールハウジングの全部または一部がないモジュールレス構造のバッテリーモジュールも含む。このようなモジュールレス構造のバッテリーモジュールをバッテリーパック100内に設置することにより、いわゆるセルツーパック構造のバッテリーパック100を達成し得る。したがって、本発明は、セルツーパック構造のバッテリーパック100の熱伝播または火炎伝播を防止するのにも効果的である。
【0040】
下部ケース10は、複数個のバッテリーモジュールを収容する。通常、下部ケース10は、バッテリーモジュール搭載領域を形成するベース板12と、上記ベース板12を囲む側壁11とを含む。ベース板12は冷媒流路を備えるか、またはベース板12の下部に別途のヒートシンクが設置され得る。ベース板12と側壁11との結合体が下部ケース10となる。側壁11は、内部にガスベンティングチャネルを備え得る。また、側壁11は、所定の位置にバッテリーパック100内で発生するガスを外部に排出し得るベンティングホール30を備え得る。上記ガスベンティングチャネルは上記ベンティングホール30と連通し得る。
【0041】
複数個のバッテリーモジュールを下部ケース10内で整列させるために隔壁部材13が備えられ得る。すなわち、隔壁部材13は、バッテリーモジュール搭載領域を複数個に区画し、上記隔壁部材13間のバッテリーモジュール搭載領域にバッテリーモジュールがそれぞれ収容される。隔壁部材13は、バッテリーモジュール搭載領域、すなわちベース板12に固定設置される。
【0042】
上記下部ケース10には、隔壁部材13の他にセンターフレーム14を設置し得る。センターフレーム14は、バッテリーモジュール搭載領域を横切るように延在する。上記センターフレーム14を中心に両側に複数個の隔壁部材13が配列され得る。センターフレーム14が配置されることによって、センターフレーム14の左右のバッテリーモジュールが離隔して電気的に絶縁され得る。センターフレーム14とバッテリーモジュールは、所定の絶縁距離を置いて離隔し得る。
【0043】
上部ケース20は下部ケース10を覆い、下部ケース10に結合される。図4に図示されたように、上記下部ケース10に上部ケース20が結合されてパックケースが構成される。上記上部ケース20の内部にもガスベンティングチャネルが備えられ得る。また、上部ケース20は、所定の位置にバッテリーパック100内で発生したガスを外部に排出し得るベンティングホール30を備え得、上記ガスベンティングチャネルは上記ベンティングホール30と連通し得る。
【0044】
上述したように、ベンティングホール30は、上記下部ケースの側壁11および上部ケース20のうち少なくとも一つに備えられる。すなわち、図3に図示されたように、下部ケース10の側壁11にベンティングホール30が備えられ得る。または、図4に図示されたように、上部ケース20にベンティングホール30が備えられるか、または下部ケースの側壁11および上部ケース20のいずれにもベンティングホール30が備えられ得る。したがって、本発明によると、バッテリーパック100内部で発生するガスおよび火炎が下部ケースの側壁11を介して、または上部ケース20を介して、またはその両方を介して外部に排出され得る。
【0045】
ベンティングホール30は複数個に備えられ得る。また、複数個のベンティングホール30は、下部ケースの側壁11に沿ってまたは上部ケース20に沿って所定距離を離隔して配置され得る。例えば、パックケース内に配置されるバッテリーモジュールの配置方向に対応して、図3のように、下部ケース10の両側壁にベンティングホール30が配置され得る。または、下部ケース10の4側壁のすべてにベンティングホール30が配置され得る。また、上部ケース20の長手方向に沿って間隔を置いてベンティングホール30を配置し得る。図4には、上部ケース20と側壁に複数個のベンティングホール30が間隔を置いて配置された例が示されている。ベンティングホール30の位置、大きさ、個数および設置間隔などは、バッテリーパック100内のガスおよび火炎を容易に排出し得るように好適に決定し得る。
【0046】
密封部材40は、上記ベンティングホール30の設置位置に対応して、下部ケースの側壁11および上部ケース20のうち少なくとも一つに設置され得る。火炎が発生しない通常のバッテリーパック100の運転状態での気密を維持するために、上記ベンティングホール30を覆うように密封部材40が設置される。密封部材40は、所定圧力および/または所定温度以上で変形してベンティングホール30を開放する。
【0047】
密封部材40は、例えばシート状の部材であり得る。例えば、上記密封部材40は、ガスの圧力が一定圧力以上になった場合に破裂するように構成された破裂シートであり得る。あるいは、上記密封部材40は、所定温度以上で溶融しながら上記ベンティングホール30を開放し得る物質で作られ得る。例えば、高温に脆弱なフィルムまたはフォーム(foam)物質でシート状の密封部材40を製作し得る。上記密封部材40は、圧力条件および温度条件のうち1つを満たすか、あるいは2つの条件すべてを満たしたときに破裂または溶融してベンティングホール30を開放するようにその変形条件を特定し得る。
【0048】
上記密封部材40は、ベンティングホール30の内側または外側を覆うように設置され得る。すなわち、上記密封部材40は、ベンティングホール30が形成された下部ケース10または上部ケース20の内面21上でベンティングホール30を覆うように結合されるか、または下部ケース10または上部ケース20の外側面上でベンティングホール30を覆うように結合され得る。あるいは、後述するように、所定のベンティングデバイスを上記ベンティングホール30に設置する場合には、パックケースではなくベンティングデバイス内に上記密封部材40を設置し得る。ただし、この場合にも密封部材40は、上記ベンティングホール30を覆って密封機能を達成する必要がある。
【0049】
密封部材40は、側壁または上部ケース20に沿って所定の長さで備えられ、上記ベンティングホール30をすべてカバーする大きさに形成され得る。
【0050】
上記密封部材40の前面または後面側のベンティングホール30には、メッシュ形状消炎部材60が設置され得る。
【0051】
図3を参照すると、下部ケース10の前方側壁に形成されたベンティングホール30には、説明の便宜のために密封部材40とメッシュ形状消炎部材60を示さない。しかしながら、実際には、このベンティングホール30にも密封部材40とメッシュ形状消炎部材60が設置され得る。上記前方側壁と反対側の後方側面には、これらの部材がすべて設置されていることを図示している。図3の要部拡大図を参照すると、密封部材40がベンティングホール30の内側に設置され、メッシュ形状消炎部材60が密封部材40と反対側、すなわち側壁外面側に設置されている。しかしながら、密封部材40をベンティングホール30の外側に、メッシュ形状消炎部材60をベンティングホール30の内側に設置することも可能である。後述するように、所定のベンティングデバイスを上記ベンティングホール30に設置する場合には、ベンティングデバイスに上記メッシュ形状消炎部材60を設置し得る。メッシュ形状消炎部材60は、網状に火炎をガイドしながら排出し得る。これにより、バッテリーパック100内の火炎が直接的に強く外部に排出されることを防止し得る。
【0052】
しかしながら、火炎が非常に強い場合には、上記メッシュ形状消炎部材60を介しても多量の火炎が排出され、火災や爆発の危険性があり得る。すなわち、上述したように、メッシュ形状消炎部材60による火炎抑制効果は制限的であり、火炎を完全に防止することは困難である。
【0053】
本発明は、バッテリーパック100内の火炎を制御された方式で排出するために、火炎制御ブロック50を備える。火炎制御ブロック50は、上記ベンティングホール30および密封部材40を覆うように上記下部ケースの側壁11の内面および上部ケース内面21のうち少なくとも一つに装着される。図3は、火炎制御ブロック50が下部ケースの側壁11の内面に設置された例であり、図4は、火炎制御ブロック50が上部ケース内面21に設置された例であるが、火炎制御ブロック50は、下部ケースの側壁の内面および上部ケースの内面21のすべてに設置されることもできる。
【0054】
火炎制御ブロック50は、複数個の火炎排出ホールHが備えられた火炎遮断表面51aを有する。また、上記火炎排出ホールHと連通し、上記ベンティングホール30および密封部材40に向かって開放される内部空間Sを有する。
【0055】
火炎は直進性を有するので、ほとんどの火炎は上記火炎制御ブロック50の火炎遮断表面51aに向かうことになる。火炎制御ブロック50がないと、火炎が上記密封部材40およびベンティングホール30にすぐに向かうので、上述した安全性の問題が発生し得る。しかしながら、本発明は火炎制御ブロック50を備えるので、火炎が上記火炎遮断表面51aによって一部遮断されてベンティングホール30にすぐに向かわないので、上述した問題を防止し得る。また、上記火炎遮断表面51aは、完全に塞がれているものではなく、複数個の火炎排出ホールHを備えている。したがって、火炎遮断表面51aによって遮断されて停滞した火炎が、上記火炎排出ホールHを介して火炎制御ブロック50の内部空間Sに流入する。これにより、火炎が他のバッテリーモジュールに伝播することを防止し得る。
【0056】
火炎遮断表面51aの面積と火炎排出ホールHの個数、大きさ、配列位置などを調節することにより、火炎制御ブロック50の内部空間Sに流入する火炎の量、火炎速度などを調節し得る。したがって、火炎制御ブロック50によってパック内で発生する火炎の量と速度などを調節して、バッテリーパック100の外部に火炎を排出し得る。また、上記火炎制御ブロック50は、上記火炎排出ホールHと連通し、ベンティングホール30および密封部材40に向かって開放される内部空間Sを有する。すなわち、火炎遮断表面51aとベンティングホール30との間に所定体積の内部空間Sが形成される。この内部空間Sの体積の大きさに応じて、内部空間Sに滞留する火炎の滞留時間などを制御し得る。なお、火炎遮断表面51aの面積、火炎排出ホールHの個数、大きさ、配列位置および内部空間Sの体積を調節することにより、バッテリーパック100の外部に排出される火炎の量、火炎速度、火炎の滞留時間などを制御し得る。これにより、火炎が火炎制御ブロック50を介して制御された方式でパックの外部に排出される。また、この過程でほとんどの火炎が消散し得る。したがって、ベンティングホール30および/またはメッシュ形状消炎部材60を介して排出される火炎またはスパークの量を大幅に低減し得る。これにより、実際にはメッシュ形状消炎部材60に火炎が触れないか、または微量の火炎のみが接触するので、消炎部材60の損傷も防止し得る。本発明の火炎制御ブロック50によると、パック内部で火炎が発生しても、他のバッテリーモジュールへの火炎が伝播することを防止しながら、パック外部に排出される火炎のレベルを実際に非常に僅かなレベルに管理し得る。したがって、バッテリーパック100内外の安全性を大幅に改善し得る。
【0057】
図3および図4に図示されたように、上記火炎制御ブロック50は、ベンティングホール30および密封部材40を囲んで覆い、バッテリーパック100の内側に向かって突出する突出フレーム51を備える。上記突出フレーム51の突出面が上記火炎遮断表面51aを形成する。上記突出面には、所定直径の火炎排出ホールHが離隔して複数個で配置される。上記突出フレーム51の内面と上記ベンティングホール30および密封部材40との間に内部空間Sが形成される。
【0058】
上記突出フレーム51は、ベンティングホール30を完全に囲んで覆う形態になっている。したがって、突出面を除いて突出フレーム51の側面51bには火炎が進入し得ない。火炎は直進性を有するので、ほとんどの火炎は火炎遮断表面51aに向かう。しかしながら、火炎発生状況に応じて、微量の火炎が突出フレーム51の側面51bに向かうことができる。また、火炎と共に発生するガスの流れに乗って火炎の一部が上記側面に向かうことができる。上記突出フレーム51は、ベンティングホール30を完全に囲んで覆う形態になっているので、このような一部の火炎が火炎制御ブロック50内に進入することを防止し得る。
【0059】
上記火炎遮断表面51aに形成される火炎排出ホールHの直径は、上記メッシュ形状消炎部材60のメッシュ目の大きさより大きいかまたは小さいことがあり得る。火炎排出ホールHの直径がメッシュ目の大きさより大きい場合には、一次的に火炎制御ブロック50により相当量の火炎を除去し、二次的にメッシュ形状消炎部材60により残りの火炎を除去し得る。あるいは、必要に応じて火炎排出ホールHの直径をメッシュ目の大きさより小さくし得る。この場合は、初期火炎の速度を抑制し、内部空間Sに火炎を比較的長く滞留させるように制御するのに有利である。
【0060】
上記火炎制御ブロック50は、装着ブラケット52によって下部ケースの側壁の内面および上部ケースの内面のうち少なくとも一つに装着され得る。例えば、上記突出フレーム51の火炎遮断表面51a(突出面)の反対側端部に装着ブラケット52が備えられ得る。上記装着ブラケット52は、下部ケースの側壁内面および上部ケース内面21に密接に接触して溶接、締結部材または他の方式によって固定結合され得る。
【0061】
上記突出フレーム51の角部にはガス流入口Vが備えられ得る。バッテリーパック100内での熱暴走状況時にパック内で発生したガスは、パック内に備えられた別途のベンティング開口やベンティング通路を介して外部に排出される。また、上記火炎制御ブロック50の火炎排出ホールHを介しても一部のガスが排出され得る。しかしながら、パック内のガス圧力が過度になり、より迅速にパック内のガス圧力を下げる必要がある場合がある。このために、突出フレーム51の角部にガス流入口Vを設けることができる。上記ガス流入口Vは、突出フレーム51の内部空間Sを介してベンティングホール30にガスを排出し得る。上記ガス流入口Vは突出フレームの角部に小さく形成されるので、火炎の直進性を考慮すると、このような角部まで火炎が到達することは困難である。一方、ガスは圧力によってこのような角部まで進入し得る。したがって、本発明によると、バッテリーパック100内の熱暴走状況時に火炎制御ブロック50によって火炎を制御しながら、過度なガスの圧力を下げることができるという長所がある。
【0062】
上記突出フレーム51は、火炎に強い材質、例えば高融点の金属で製作し得る。例えば、スチール、ステンレス、その他の高融点金属またはこれらの合金を使用し得る。必要に応じて絶縁性が高く高融点である耐火プラスチックなどを使用し得る。
【0063】
本発明の火炎制御ブロック50は、下部ケースの側壁11のみならず上部ケース20にも設置し得るので、火炎発生時のバッテリーパック100の側面と上面を介して火炎を迅速に低減して排出し得る。このように、熱暴走状況を迅速に解消し得るので、他のバッテリーモジュールに火炎が伝播し得る時間自体を減らし得る。これにより、熱暴走状況時の安全性を大幅に改善し得る。
【0064】
(第2実施形態)
図5は、火炎制御ブロックの他の例を示す概略図である。
【0065】
本実施形態の火炎制御ブロック50’、50’’の火炎遮断表面51aは、平坦な表面ではなく凹状の表面や傾斜度が異なる表面からなっている。
【0066】
図5の(a)の突出フレーム51の火炎遮断表面51aは、バッテリーパック100の外側に向かって凹状に形成されている。すなわち、火炎遮断表面51aの中心がバッテリーパック100の外側に向かって収束する形態の凹面で構成されている。凹面の火炎遮断表面51aは火炎を集束することが容易である。すなわち、平坦面で構成された火炎遮断表面51aに比べて、火炎遮断表面51aの中心に向かって火炎を収集することが容易である。
【0067】
また、それに加えて、火炎排出ホールHの直径を異ならせて火炎収集効率を高めることができる。例えば、図5の(a)に図示されたように、凹状の火炎遮断表面51aの中心部に配置された火炎排出ホールH1の直径を火炎遮断表面51aの両側部に配置された火炎排出ホールH2の直径より小さくし得る。火炎の一部は、火炎排出ホールHが形成されない火炎遮断表面51aによって遮断される。遮断された火炎は、上記火炎排出ホールHに向かうことになる。このとき、火炎遮断表面51aが凹状になっているので、凹面の中心に向かって火炎が容易にガイドされ得る。また、火炎は直進性が強いので、バッテリーモジュールと正面から向き合う火炎遮断表面51aの中心部には火炎排出ホールH1の直径を小さくしても、大量の火炎がこの小さい直径の火炎排出ホールH1に流入し得る。一方、火炎遮断表面51aの両側部に向かう火炎は斜線方向に流入し、このような斜線方向に流入する火炎の量が比較的少ないことを勘案して、両側部に配置された火炎排出ホールH2の直径を大きくし得る。これにより、斜線方向に流入する火炎を両側部の火炎遮断表面51aに容易に導入し得る。
【0068】
図5の(b)の突出フレーム51の火炎遮断表面51aは、平面部51aと、上記平面部の両側に位置して平面部からバッテリーパック100内側に向かって傾斜する傾斜面部51a’とを含んでいる。
【0069】
図5の(b)の火炎遮断表面51aも、図5の(a)の火炎遮断表面51aと同様に、火炎遮断表面51aの中心に向かって火炎を集束することが容易な形態である。上記傾斜面51a’は、バッテリーパック100の内側に向かって所定角度で傾斜している。したがって、斜線方向に進入する火炎が、この傾斜面51a’に乗って内部空間Sに容易にガイドされ得る。また、上記平面部に配置された火炎排出ホールH1の直径を上記傾斜面部51a’に配置された火炎排出ホールH2の直径より小さくし得る。これにより、直進性が強い火炎は、中心部に位置する平面部の小さい直径の火炎排出ホールH1を介して容易に火炎制御ブロック50の内部空間Sに流入し得る。また、斜線方向に進入する火炎は、両側部に位置する傾斜面部51a’の大きい直径の火炎排出ホールH2を介して容易に火炎制御ブロック50の内部空間Sに流入し得る。
【0070】
このように、本実施形態の火炎制御ブロック50、または上記火炎制御ブロック50を備えたバッテリーパック100は、火炎遮断表面51aの形態、火炎排出ホールHの直径を調節して、火炎を容易に火炎制御ブロック50の内部空間Sに誘導し得る。この場合、上記凹面の曲率を変えたり、上記傾斜面の傾斜度を変えたりして、火炎遮断表面51aに向かう火炎の集束度を調節し得る。凹面の曲率および傾斜面の傾斜度が異なると、上記内部空間Sの体積も変わり得る。これにより、内部空間Sに滞留する火炎の滞留時間も調節し得る。
【0071】
本実施形態では、火炎排出ホールHの直径を火炎遮断表面51aの位置によって異なるようにしたが、必要に応じて火炎排出ホールHの個数を異ならせることも可能である。すなわち、火炎遮断表面51aの中心部(または中心部の平面部)に配置した火炎排出ホールH1の個数より、火炎遮断表面51aの両側部(または両側部の傾斜面部)に配置する火炎排出ホールH2の個数を多くして同一の効果を達成し得る。
【0072】
(第3実施形態)
図6は、本発明の他の実施形態のバッテリーパック100を示す概略図であり、図7は、本発明のバッテリーパック100の構成要素であるベンティングデバイス70の側断面図であり、図8は、ベンティングデバイス70の後面斜視図である。
【0073】
本実施形態のバッテリーパック100は、上記ベンティングホール30にガスおよび火炎ベンティングのための専用部品であるベンティングデバイス70が設置される。
【0074】
すなわち、本実施形態のバッテリーパック100は、上記ベンティングホール30を覆い、下部ケースの側壁11および上部ケース20のうち少なくとも一つの外側面に装着されるベンティングデバイス70をさらに含む。
【0075】
図7および図8を参照すると、上記ベンティングデバイス70は、上記ベンティングホール30と連通する中空ベンティングチャネル72を備えたハウジング71と、上記ベンティングホール30と連通する中空ベンティングチャネル72の入口72aに結合されるメッシュ形状消炎部材60’とを含み得る。上記メッシュ形状消炎部材60’が装着された側面(ベンティングデバイス70の後面)を下部ケースの側壁11の外側面または上部ケース20の外側面上に装着し得る。
【0076】
図6には、下部ケースの側壁11にベンティングデバイス70が装着された例が図示されているが、後述する図11のように、上部ケース20の外側面にベンティングデバイス70を装着し得る。
【0077】
ベンティングデバイス70は、上記ベンティングホール30の個数および設置間隔に対応して複数個で所定間隔を離隔して設置し得る。
【0078】
また、ベンティングホール30を覆う密封部材40をベンティングホール30に直接設置せずに、上記ハウジングの中空チャネル内に設置し得る。すなわち、密封部材40’およびメッシュ形状消炎部材60’をベンティングデバイス70に設置することにより、バッテリーパック100のベンティングのための別途の専用部品としてベンティングデバイス70を製作し得る。このようになると、バッテリーパック100の下部ケース10と上部ケース20にはベンティングホール30のみを備えるように別途に製作し、このベンティングホール30にメッシュ形状消炎部材60や密封部材40を設置する必要はない。代わりに、ベンティングデバイス70を別途に製作し、専用部品化およびモジュール化することによって、バッテリーパック100の製造効率を高めることができる。この場合に、それぞれ別途にパックケースとベンティングデバイス70を製作し、ベンティングデバイス70をパックケースのベンティングホール30に結合することによって、バッテリーパック100の密封作業を簡便に行い得る。また、火炎によって火炎排出時に破損したベンティングデバイス70のみを除去し、新しいベンティングデバイス70と取り替えてバッテリーパック100に再結合し得るので、再使用効率を高めることができる。この場合、上記火炎制御ブロック50も別途の部品として製作し得る。これにより、ベンティングデバイス70および火炎制御ブロック50を部品化、規格化、標準化し得、これらの別途の部品をパックケースに結合することにより、火炎伝播を防止し得る本発明のバッテリーパック100を容易に製造し得る。
【0079】
上記ベンティングデバイス70のハウジング71は、パックケースに装着される大径部71bと、上記大径部から延在する小径部71aとを備え得る。中空ベンティングチャネル72は、上記小径部および大径部を貫通して備えられる。小径部71aの前端には、上記中空ベンティングチャネル72と連通するベンティング出口72bが位置する。大径部71bには密封部材40’が装着され得る。このために、上記大径部の中空ベンティングチャネルを構成する内側面には、密封部材40’を装着し得るように段差部Pが形成される。密封部材40’は、上記段差部Pに付着され得る。大径部の縁には、パックケースに装着され得るように締結部材挿入孔Cが形成され得る。メッシュ形状消炎部材60’は、上記大径部の後面に付着され得る。上記密封部材40’およびメッシュ形状消炎部材60’がパックケース(下部ケース10および上部ケース20)に形成されたベンティングホール30を覆うように、上記ベンティングデバイス70は、パックケースの外側面に装着され得る。
【0080】
(第4実施形態)
図9および図10は、火炎制御ブロックの他の例を示す正面図および断面図であり、図11は、図9および図10の火炎制御ブロックが適用されたバッテリーパック100を示す概略図であり、図12および図13は、火炎制御ブロックの他の例を示す正面図および断面図である。
【0081】
本実施形態の火炎制御ブロック50’’’、50’’’’は、上記突出フレーム51内に内部空間Sを区画する隔壁フレーム53を少なくとも1つ備えている。また、上記隔壁フレーム53は、上記火炎遮断表面51aの火炎排出ホールH(第1火炎排出ホールH)と連通する火炎排出ホール(第2火炎排出ホールh1および第3火炎排出ホールh2)を備える。図10を参照すると、火炎は火炎遮断表面51aの第1火炎排出ホールHを通過して火炎制御ブロック50の内部空間Sに流入し、その後隔壁フレーム53の第2火炎排出ホールh1を通過して隔壁フレーム53の後面の内部空間Sに流入した後に、密封部材40およびベンティングホール30に向かう。密封部材40が溶融するかまたは破損すると、上記火炎をベンティングホール30を介して外部に排出し得る。火炎はこのような進行経路に沿って移動しながら冷却され、この過程でほとんどの火炎が消炎される。したがって、上述したメッシュ形状消炎部材60が設置された位置では、火炎がほとんど除去されるか、または極微量の火炎のみが上記消炎部材60を介してパックケース外部に排出され得る。
【0082】
本実施形態は、内部空間Sを区画する隔壁フレーム53を設置することにより、火炎の進行経路を増加させて火炎除去効果を最大化した。図10は、内部空間S内に1つの隔壁フレーム53を設置した例であり、図13は、内部空間S内に2つの隔壁フレーム53を設置したものである。理論上、隔壁フレーム53の数が増加すると、火炎進行経路が長くなるため、消炎効果を極大化し得る。ただし、パック内部の設置空間と火炎制御ブロック50の大きさなどを考慮して内部空間S内に設置し得る隔壁フレーム53の個数が制限され得る。
【0083】
図11には、このような隔壁フレーム53を備えた火炎制御ブロック50が上部ケースの内側面上に装着されていることが図示されている。
【0084】
また、突出フレーム51内に隔壁フレーム53を設置すると、火炎制御ブロック50の剛性を向上させ得る。この場合、突出フレーム51の第1火炎排出ホールHと隔壁フレーム53の第2火炎排出ホールh1の位置を交互に配列すると、火炎進行経路をさらに増加させ得る。しかしながら、火炎は直進性が強いので、第1火炎排出ホールHおよび第2火炎排出ホールh1が交互に配置されて重ならない場合には、第1火炎排出ホールHを通過した火炎が第2火炎排出ホールh1を通過せずに、隔壁フレーム53の表面に衝突して内部空間Sに滞留し得る。ガスは流動性が強いので、第1火炎排出ホールHおよび第2火炎排出ホールh1によって構成される排出経路に沿って容易に排出され得る。しかしながら、直進性が強い火炎の場合には、上記排出経路に沿って進行し得ない可能性が高い。
【0085】
したがって、本実施形態では、このような火炎の直進性を考慮して、上記隔壁フレーム53の火炎排出ホールh1が上記火炎遮断表面51aの火炎排出ホールHの少なくとも一部と重なるように配置している。
【0086】
図9および図10を参照すると、第1火炎排出ホールHが水平に長く形成された長孔となっており、上記第1火炎排出ホールHの一側と重なるように第2火炎排出ホールh1が垂直に長く形成された長孔となっている。これにより、第1火炎排出ホールHを垂直に通過した火炎またはその火炎の一部が第2火炎排出ホールh1を介しても進行し得る。したがって、相当量の火炎をベンティングホール30により迅速に誘導し得る。第2火炎排出ホールh1と重ならない第1火炎排出ホールHに流入する火炎は、内部空間Sで相対的に長く滞留し得る。
【0087】
図12および図13には、2つの隔壁フレーム53が火炎制御ブロック50の内部空間Sに設置されている。第1隔壁フレーム53の火炎排出ホールを第2火炎排出ホールh1、第2隔壁フレーム53の火炎排出ホールを第3火炎排出ホールh2と称する。
【0088】
この場合、火炎遮断表面51aの火炎排出ホールH(第1火炎排出ホール)の少なくとも一部と重なるように第2火炎排出ホールh1および第3火炎排出ホールh2が配置されている。第1火炎排出ホールHの一部が第2火炎排出ホールh1と重なるので、直進性が強い火炎をベンティングホール30側に容易に誘導し得る。第1火炎排出ホールHと重ならない部分に流入した火炎は、より長い経路に沿って内部空間Sを通過することになる。
【0089】
必要に応じて、第2火炎排出ホールh1および第3火炎排出ホールh2も少なくとも一部が重なるように配置し得る。
【0090】
このような火炎排出ホールの配置、重なりの程度に応じて、より細かく制御された方式で火炎を火炎制御ブロック50に誘導し得る。また、火炎制御ブロック50の内部空間Sに流入した火炎をより細かく制御された方式でベンティングホール30に誘導し得る。
【0091】
(第5実施形態)
図14は、火炎制御ブロック50の他の例を示す概略図である。
【0092】
本実施形態の火炎制御ブロック50は、図5の火炎制御ブロック50と図10および図13の火炎制御ブロックが混合された形態である。
【0093】
すなわち、図14の火炎制御ブロックは、火炎遮断表面51aの曲率および/または傾斜度を異ならせたものであって、火炎制御ブロックの内部空間Sを区画する隔壁フレーム53を少なくとも1つ以上備えたものである。
【0094】
図14の(a)では、突出フレーム51の火炎遮断表面51aと隔壁フレーム53がバッテリーパック100の外側に向かって凹状に形成され、火炎を容易に内部空間Sにガイドし得る形態である。また、火炎遮断表面51aおよび隔壁フレーム53の中心部に配置された火炎排出ホールの直径を、上記火炎遮断表面51aおよび隔壁フレーム53の両側部に配置された火炎排出ホールの直径よりそれぞれ小さくすることによって火炎収集効果をより拡大した。
【0095】
図14の(b)では、上記突出フレーム51の火炎遮断表面51aと上記隔壁フレーム53が、平面部51aと、上記平面部の両側に位置し、平面部からバッテリーパック100の内側に向かって傾斜する傾斜面部51a’とをそれぞれ含んでいる。これにより、火炎を容易に突出フレーム51の内部空間Sにガイドするようにした。また、上記平面部に配置された火炎排出ホールの直径を上記傾斜面部に配置された火炎排出ホールの直径より小さくして火炎収集効果をより拡大した。図14の突出フレーム51はまた、その内部空間Sに隔壁フレーム53を備えることによって、火炎の進行経路をより容易に調節し得る。この場合、突出フレーム51の火炎排出ホールと隔壁フレーム53の火炎排出ホールを一部重なるようにして、直進性が強い火炎をベンティングホール30側に容易にガイドし得る。
【0096】
必要に応じて、火炎遮断表面51aのみが凹面または傾斜面部を備えた形態とし、少なくとも1つの隔壁フレーム53は平坦面で製作し得る。このような変形により、火炎遮断表面51aと隔壁フレーム53との間の内部空間Sの体積も自由に調節し得る。
【0097】
このように本発明によると、火炎遮断表面51aの面積、火炎遮断表面の曲率、傾斜度、そして火炎排出ホールHの大きさ、個数、隔壁フレーム53の曲率、傾斜度、および隔壁フレーム53が備えた火炎排出ホールの大きさ、個数、そして火炎遮断表面と隔壁フレーム53の火炎排出ホールの重なりの程度、内部空間Sの大きさなどを調節し得る。これにより、バッテリーパック100内で発生する火炎を非常に制御された方式でベンティングホール30に誘導するか、またはその前に全部または大部分の火炎を除去し得る。
【0098】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能である。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0099】
100:バッテリーパック
10:下部ケース
11:側壁
12:ベース板
13:隔壁部材
14:センターフレーム
20:上部ケース
21:上部ケース内面
30:ベンティングホール
40:密封部材
50:火炎制御ブロック
51:突出フレーム
51a:火炎遮断表面
51b:火炎制御ブロックの側面
V:ガス流入口
S:内部空間
H:(第1火炎排出ホール)
52:装着ブラケット
53:隔壁フレーム
60:メッシュ形状消炎部材
70:ベンティングデバイス
71:ハウジング
72:中空ベンティングチャネル
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
【国際調査報告】