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特表2024-538752冗長性緩和のためのCPM重要性指標を用いた協調型高度道路交通システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】冗長性緩和のためのCPM重要性指標を用いた協調型高度道路交通システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/40 20180101AFI20241016BHJP
   H04W 72/56 20230101ALI20241016BHJP
【FI】
H04W4/40
H04W72/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521320
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2022037750
(87)【国際公開番号】W WO2023063273
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21202059.8
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】ラインミュラー ティム
(72)【発明者】
【氏名】ミッタル プラチ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067DD17
5K067DD20
5K067HH22
5K067HH23
(57)【要約】
協調型高度道路交通システム(C-ITS)を構成するステーション間における情報の交換の方法は、無線通信チャネルを使用する。この方法には、それぞれのステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、または、ステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信された共有メッセージに含まれる、複数のオブジェクトを検出することと、少なくとも1つのセンサ及び/または共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得することと、オブジェクトのオブジェクトデータを集団認知メッセージ(CPM)に充填することと、オブジェクトデータで満たされた集団認知メッセージ(CPM)ごとに、集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出することと、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定することと、最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから順に、利用可能なチャネルリソースに従って集団認知メッセージ(CPM)の送信を実行することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
協調型高度道路交通システム(C-ITS)を構成するステーション間における無線通信チャネルを用いた協調型高度道路交通システムの情報の交換の方法であって、前記情報の交換は、車載センサについての情報、及び/または、交通環境内において前記車載センサによって検出されたオブジェクトに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を、送信、受信、処理、及び/または破棄することを含み、
それぞれのステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、または前記ステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信した共有メッセージに含まれる複数のオブジェクトを検出することと、
前記少なくとも1つのセンサ及び/または前記共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得することと、
複数のオブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を満たすことと、
オブジェクトデータで満たされたそれぞれの集団認知メッセージ(CPM)について、集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出することと、
前記無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定することと、
利用可能なチャネルリソースに従って、集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)が最も高いCPMから、集団認知メッセージ(CPM)を送信することと、を含む方法。
【請求項2】
前記オブジェクトデータに基づいて、検出された各オブジェクトのオブジェクト重要性指標(O-SI)を算出することをさらに含み、
オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填することは、算出されたオブジェクト重要性指標に従って実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オブジェクト重要性指標(O-SI)は、異なるオブジェクトデータ要素の値を加算し、その結果を整数型の重要性指標(SI)値に正規化することによって算出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)は、前記集団認知メッセージ内のすべてのオブジェクトのオブジェクト重要性指標(O-SI)の平均を取ることによって算出される、値を有する整数型のパラメータである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記オブジェクト重要性指標は、オブジェクトのキネマティック、オブジェクトの検出の新規性、オブジェクトの最終更新からの経過時間、オブジェクトの分類、及びオブジェクトの検出の信頼度のうちの少なくとも1つに基づいて算出される、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記オブジェクト重要性指標は、他のステーションの需要に基づいて算出されるものであって、
前記需要は、オブジェクトのキネマティック、隣接ステーションによる検出の困難性または不可能性、オブジェクトのオクルージョンの状態、オブジェクトが隣接車両のセンサの視野の境界上または視野外にあること、隣接ステーションにおける検出の信頼度が低いこと、又はステーション間で検出位置が異なることのうちの少なくとも1つを含む、請求項2から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
無線通信は、直接的なV2X通信である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記集団認知メッセージ(CPM)は、定期的に送信される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記利用可能なチャネルリソースは、チャネル負荷に関連しており、
前記チャネル負荷が輻輳チャネルを示す所定の閾値以上であると判定された場合、複数の集団認知メッセージ(CPMs)は、最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから送信される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
協調型高度道路交通システム(C-ITS)のステーション間において無線通信チャネルを用いて情報を交換するための協調型高度道路交通システムであって、前記情報の交換は、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されたオブジェクトに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理、及び/又は破棄することを含み、
それぞれのステーションに設けられてあって、視野(FOV)内に存在する複数のオブジェクトを検出可能に構成されている少なくとも1つのセンサと、
他のステーションから、前記ステーションの近傍に存在する少なくとも1つのオブジェクトに関する情報を含む共有メッセージを受信するように構成されている受信ユニットと、
前記少なくとも1つのセンサ及び/または前記共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得するように配置されているデータ取得ユニットと、
複数のオブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填するように構成されている充填ユニットと、
複数のオブジェクトのオブジェクトデータで充填された各集団認知メッセージ(CPM)について集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出するように構成されている第2の算出ユニットと、
前記無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定するように構成されている特定ユニットと、
最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから、利用可能なチャネルリソースに従って集団認知メッセージ(CPM)を送信するように構成されている送信ユニットと、を備える協調型高度道路交通システム。
【請求項11】
前記オブジェクトデータに基づいて、検出されたオブジェクト毎のオブジェクト重要性指標(O-SI)を算出するように構成されている第1の算出ユニットをさらに備え、
前記充填ユニットは、算出されたオブジェクト重要性指標に従って、複数のオブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填するように構成されている、請求項10に記載の協調型高度道路交通システム。
【請求項12】
協調型高度道路交通システム(C-ITS)のステーション間において無線通信チャネルを用いて情報を交換するためのコンピュータ実装システムであって、前記情報の交換は、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されたオブジェクトに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理、及び/又は破棄することを含み、
前記コンピュータ実装システムは、プロセッサによる実行時に、前記プロセッサに、
個々のステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、または前記ステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信した共有メッセージに含まれる複数のオブジェクトを検出することと、
前記少なくとも1つのセンサ及び/または前記共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得することと、
複数のオブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填することと、
複数のオブジェクトのオブジェクトデータで満たされた集団認知メッセージ(CPM)ごとに集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出することと、
前記無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定することと、
最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから、利用可能なチャネルリソースに従って複数の集団認知メッセージ(CPM)を送信することと、を実行させる命令を記憶するためのメモリを備える、コンピュータ実装システム。
【請求項13】
前記命令は前記プロセッサにさらに、
前記オブジェクトデータに基づいて、検出されたオブジェクト毎のオブジェクト重要性指標(O-SI)を算出することと、
算出されたオブジェクト重要性指標に従って、複数のオブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填することと、を実行させる、請求項12に記載のコンピュータ実装システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月12日に出願された欧州特許出願第EP21202059.8号の利益を主張する。上記出願の全ての開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、協調型高度道路交通システム(C-ITS)における情報の交換に関し、より具体的には、無線通信チャネルを使用してC-ITSのステーション間で情報を交換する方法、協調型高度道路交通システム、及びコンピュータ実装システムに関する。
【背景技術】
【0003】
公知の協調型高度道路交通システム(C-ITS)は、(直接的な)無線通信を使用して情報を交換するステーション(例えば、車両及び/または路側機)で構成されている。当該無線通信は、車両対Xまたは車両対すべて(V2X、ダイレクト)として知られている。
【0004】
V2Xは、車両対車両(V2V)、車両対インフラ(V2I)、車両対ネットワーク(V2N)、車両対歩行者(V2P)の形式での道路利用者同士の電子通信としての交通ネットワーキングの総称である。無線通信は、IEEE 802.11 WLAN規格(802.11p拡張、及び、例えばその欧州プロファイルITS-G5)に基づくことができ、特にWLAN-V2Xと呼ばれる。あるいは、無線通信は、特にセルラーV2X、C-V2X、又はサイドリンクと呼ばれる、3GPP規格に基づくこともできる。V2Xでは、インターネットやデータベースコンテンツだけでなく、安全メッセージや、交通メッセージ、緊急データ、サービスデータ、料金請求、ナビゲーションが交換される。V2Vの目的には、危機的で危険な状況を早期の段階でドライバに通知すること、周囲に対する車両の認識を向上させること、車両のドライバ支援システムをサポートすること、協調型自動モビリティをサポートすること、それによって交通の安全性を向上させ、交通の流れを最適化することが含まれる。
【0005】
C-ITSのITSステーション(ITS-Ss)は、CAM(協調認識メッセージ)を共有し、自身の位置、キネマティック、及びその他のデータを互いに通知し合う。ITSステーションは、DENM(分散型環境通知メッセージ)を使用して、急ブレーキ又は道路上の障害物などといった専用イベントを互いに通知し合う。
【0006】
もう1つのV2Xメッセージは、ITS-Sの車載センサによって交通環境内に検出される視野(FOV)、空きスペース、及びオブジェクトなどといった、車載センサに関する情報を含む、集団認知メッセージ(CPM)である。図1は、それぞれ所定の視野を有するセンサ1~6を備えた車両の車両セットアップの一例を示している。例示的なオブジェクトが車両の周辺に示されている。
【0007】
CPMは、定期的に送信され、1つまたは複数の検出されたオブジェクト、視野、及び、レーダやカメラなどといった車載センサの他の特性に関する情報を含む。CPSを中心に据えた視点でETSI ITSスタックとCPSを示す図2に示されているように、CPMは、ETSI ITSスタックのファシリティ層内の集団認知サービス(CPS)によって作成される。図3にはCPSの現在の機能は示されており、以下の図4に関連してさらに参照される。
【0008】
C-ITSでは、輻輳したチャネルを処理するために分散輻輳制御(DCC)の概念が採用される。DCCは、ETSI ITSスタックの全ての層で動作する。
【0009】
これまでに参照した技術分野では、文献DE102015105784A1は、脆弱な道路利用者を検知し保護するための分散システムにおいて、脆弱な道路利用者に関するオブジェクト情報を送信すること、及び、オブジェクトのキネマティック、新規性、他者による検知可能性などに基づいてこの情報の送信を制御することを開示している。
【0010】
さらに、文献EP3462754A1は、CPMにおける重複を避けるために2つのオブジェクトが同じかどうかを検出するように構成されたV2X通信の装置及び方法を開示する。
【0011】
また、文献WO2021/040352A1は、サイドリンクを支援するための無線通信システムにおいて、デバイスがCPMを送受信する方法、及び、そのためのデバイスを開示する。この方法では、ITS-Sによって認知されたオブジェクトが、別のITS-Sによって既に送信されているかどうかを検出し、それに基づいて、そのようなオブジェクトの送信が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE102015105784A1
【特許文献2】EP3462754A1
【特許文献3】WO2021/040352A1
【発明の概要】
【0013】
本開示は、特にCPMのために、混雑したV2X無線チャネルにおいて、重要な情報を含むパケットを安全に送信し、ドロップされないようにすることができる方法、協調型高度道路交通システム、及びコンピュータ実装システムを提供する。本開示の一局面によれば、協調型高度道路交通システム(C-ITS)内のステーション間における情報の交換の方法は、無線通信チャネルを使用する。上記の情報の交換は、車載センサについての情報、及び/又は、交通環境内において車載センサによって検出されたオブジェクトに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理、及び/又は破棄することを含む。上記の第1の局面による方法は、それぞれのステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、またはステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信された共有メッセージに含まれる複数のオブジェクトを検出することと、少なくとも1つのセンサ及び/または共有メッセージから、検出された個々のオブジェクトのオブジェクトデータを取得することと、オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填することと、オブジェクトのオブジェクトデータで満たされた各集団認知メッセージ(CPM)について集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出することと、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定することと、利用可能なチャネルリソースに従って最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから集団認知メッセージ(CPM)を送信することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示をよく理解できるようにするため、以下では添付図面を参照しながら、例示としてその様々な形態について説明する。
図1図1は、車両がそれぞれ所定の視野を有するセンサを備え、車両の近傍に例示的なオブジェクトが配置されている場合の例示的な車両のセットアップを示す。
図2図2は、CPS中心の視点でのETSI ITSスタックとCPSを示す。
図3図3は、現在のETSI規格で規定される図2のCPSの機能を示す。
図4図4は、図3との比較による、1つの実施形態によるCPS機能の変化を示している。
図5図5は、実施形態による追加が現行のETSI CPMフォーマットに好適に織り込まれうる箇所を概略的に示している。
図6図6は、実施形態においてCPMに導入された重要性インデックスの概念を含む、ETSI ITSスタックの各層におけるITS-Sで実行されるCPM伝送とDCCの相互接続を示す図である。
図7図7は、オブジェクトの重要性がキネマティック及び単一の車両に基づいて決定される実施形態における例示的な車両セットアップを示す。
図8図8は、オブジェクトの重要性がオブジェクトのオクルージョン及び2台の車両に基づいて決定される実施形態における別の例示的な車両セットアップを示す。
図9図9は、オブジェクトの重要性が(部分的に)FOV外側との判断と2台の車両に基づいて決定される実施形態における別の例示的な車両セットアップを示す。
図10図10は、第2車両のAPRエリアに基づいて、第1車両に対するオブジェクトの重要性が決定される実施形態における別の例示的な車両セットアップを示す。
図11図11は、実施形態による方法の例示的なフローチャートである。
【0015】
本明細書に記載された図面は、説明のみを目的としており、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態の説明の前に、関連技術における技術的課題について説明する。
【0017】
CPMは、多数の検出されたオブジェクトを含むことができ、それは、比較的大きなCPMサイズを招き、その結果、送信レートが低い場合であっても、CPMの送信はV2X無線チャネルの輻輳を引き起こしうる。輻輳したV2X無線チャネルでは、DCCがすべてのITS-Sにて(ETSI ITSスタックの様々な層で)実行される。DCCは、輻輳のレベルに応じて、ITS-Sのための特定のチャネル容量を決定する。ITS-Ssによって生成されたすべてのメッセージの合計が、前述の容量を超える場合、DCCアクセス層機能(DCC_ACC)は、パケットを無差別に、つまりパケットの内容やその中の情報の重要性についてまったく考慮せずにドロップする。特に、CPMの場合、これは重要な情報(例えば、ITS-Sの安全性と高い関連性を持つオブジェクト)を含むパケットがドロップされる可能性があることを意味する。CPM伝送とDCCの相互接続を図6に示す。
【0018】
本開示の目的は、特にCPMのために、混雑したV2X無線チャネルにおいて、重要な情報を含むパケットを安全に伝送し、ドロップされないようにすることができる方法、協調型高度道路交通システム、及びコンピュータ実装システムを提供することである。本開示において、情報の交換は、車載センサについての情報、及び/又は、交通環境内において車載センサによって検出されたオブジェクト及び/又は空きスペースに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理、及び/又は破棄することを含む。
【0019】
本開示の第1の態様によれば、協調型高度道路交通システム(C-ITS)のステーション間における情報の交換の方法は、無線通信チャネルを使用する。情報の交換は、交通環境内の車載センサによって検出されたオブジェクト及び/又は車載センサに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理及び/又は破棄することを含む。第1の態様による方法は、それぞれのステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、またはステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信された共有メッセージに含まれる、複数のオブジェクトを検出することと、少なくとも1つのセンサ及び/または共有メッセージから、検出された個々のオブジェクトのオブジェクトデータを取得することと、オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填することと、オブジェクトのオブジェクトデータで充填された各集団認知メッセージ(CPM)について集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出することと、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定することと、利用可能なチャネルリソースに従って最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから各集団認知メッセージ(CPM)を送信することと、を含む。
【0020】
第1の態様に従属する本開示の第2の態様によれば、オブジェクトデータに基づいて、検出されたオブジェクト毎にオブジェクト重要性指標(O-SI)が算出され、算出されたオブジェクト重要性指標に従って、オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)が充填される。
【0021】
第2の態様に従属する本開示の第3の態様によれば、オブジェクト重要性指標(O-SI)は、異なるオブジェクトデータ要素の値を加算し、その結果を整数型の重要性指標(SI)値に正規化することによって算出される。整数型の重要性指標は、好ましい実施形態では、1から10の間になるように構成されるが、これに限定されるものではない。
【0022】
第2の態様または第3の態様に従属する本開示の第4の態様によれば、集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)は、集団認知メッセージ内のすべてのオブジェクトのオブジェクト重要性指標(O-SI)の平均を取ることによって算出される、値を有する整数型のパラメータである。整数型の重要性指標は、好ましい実施形態では、1~10の間になるように構成されているが、これに限定されるものではない。
【0023】
第1から第4の態様のいずれか1つに従属する本開示の第5の態様によれば、オブジェクト重要性指標は、オブジェクトのキネマティック、オブジェクトの検出の新規性、オブジェクトの最終更新からの経過時間、オブジェクトの分類、及びオブジェクトの検出の信頼度のうちの少なくとも1つに基づいて算出される。
【0024】
第1から第5の態様のいずれか1つに従属する本開示の第6の態様によれば、オブジェクト重要性指標は、他のステーションの需要に基づいて算出され、その需要は、オブジェクトのキネマティック、隣接ステーションによる検出の困難性または不可能性、オブジェクトのオクルージョン状態、オブジェクトが隣接車両のセンサの視野の境界上または視野外にあること、隣接ステーションにおける検出の信頼度が低いこと、及びステーション間で検出位置が異なることのうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
第1から第6の態様のいずれか1つに従属する本開示の第7の態様によれば、無線通信は、直接的なV2X通信である。
【0026】
第1から第7の態様のいずれか1つに従属する本開示の第8の態様によれば、集団認知メッセージ(CPM)は定期的に送信される。
【0027】
第1から第8の態様のいずれか1つに従属する本開示の第9の態様によれば、利用可能なチャネルリソースはチャネル負荷に関連しており、チャネル負荷が輻輳チャネルを示す所定の閾値以上であると判定された場合、複数の集団認知メッセージ(CPMs)は、最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから送信される。
【0028】
本開示の第10の態様によれば、協調型高度道路交通システム(C-ITS)を構成するステーション間における情報の交換のための協調型高度道路交通システムは、無線通信チャネルを使用する。上記の情報の交換は、車載センサ及び/又は交通環境内で前述の車載センサによって検出されたオブジェクトに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理、及び/又は破棄することを含む。第9の態様による協調型高度道路交通システムは、それぞれのステーションに設けられてあって、視野(FOV)内に存在する複数のオブジェクトを検出可能に構成されている少なくとも1つのセンサと、他のステーションからステーションの近傍に存在する少なくとも1つのオブジェクトに関する情報を含む共有メッセージを受信するように構成されている受信ユニットと、少なくとも1つのセンサ及び/または共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得するように配置されているデータ取得ユニットと、オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填するように構成されている充填ユニットと、オブジェクトのオブジェクトデータで充填された各集団認知メッセージ(CPM)について集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出するように構成されている第2の算出ユニットと、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定するように構成されている特定ユニットと、最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから利用可能なチャネルリソースに従って集団認知メッセージ(CPM)を送信するように構成されている送信ユニットと、を備える。
【0029】
本開示の第11の態様によれば、協調型高度道路交通システム(C-ITS)内のステーション間で協調型高度道路交通システムにおける情報を交換するためのコンピュータ実装システムは、無線通信チャネルを使用する。その情報の交換は、交通環境内の車載センサによって検出されたオブジェクト及び/または車載センサに関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理及び/または破棄することを含む。第10の態様によるシステムは、プロセッサによって実行されるときに、個々のステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、またはステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信した共有メッセージに含まれる、複数のオブジェクトを検出することと、少なくとも1つのセンサ及び/または共有メッセージから、検出されたオブジェクトごとのオブジェクトデータを取得することと、オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)を充填することと、オブジェクトのオブジェクトデータで満たされた各集団認知メッセージ(CPM)について集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を算出することと、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定することと、最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから、利用可能なチャネルリソースに従って複数の集団認知メッセージ(CPM)を送信することと、をプロセッサに実行させる命令を記憶するためのメモリを備える。
【0030】
上記の第2から第9の態様は、本開示の第10及び第11の態様によるシステムにも同様に適用可能であることが理解されよう。
【0031】
本開示は、有利にも、重要性判定のための追加パラメータ(例えば、検出信頼度、位置の不一致)の考慮、(例えばVRUに限定されない)あらゆる種類のオブジェクトの考慮、(例えば車両に限定されない)あらゆる種類のITS-Sの考慮、エリア認知要求(APR)の考慮、重要性パラメータ自体の送信、オブジェクトの選択的な集約(オブジェクトごとの1つのメッセージ、又は、検出されたすべてのオブジェクトを1つのメッセージへの集約とは異なるもの)、及び、特定のV2Xメッセージ(CPM)の考慮を提供するように設計される。
【0032】
上記の概念において、処理能力が限られている場合には、少なくとも受信されたCPMsのなかで高いCSIを有するCPMが最初に処理されるような構成が好ましいことが理解されよう。
【0033】
さらに理解されるように、限定される訳ではなく、上記の文脈において、ITS-Ssは、前述の態様が適用可能な、交通環境における車両及び/又は路側ユニットを少なくとも含む。
【0034】
冒頭で述べたように、V2Xは、車両対車両(V2V)、車両対インフラ(V2I)、車両対ネットワーク(V2N)、及び車両対歩行者(V2P)の形式での、道路利用者間の相互の電子通信としての交通ネットワークの総称である。無線通信は、IEEE 802.11 WLAN規格(802.11p拡張、及び、例えば、その欧州プロファイル ITS-G5)に基づくことができ、特にWLAN-V2Xと呼ばれる。あるいは、無線通信は、特に、セルラーV2X、C-V2X、又はサイドリンクと呼ばれる3GPP規格に基づくこともできる。例えば、V2Xでは、安全メッセージ、交通メッセージ、緊急データ、サービスデータ、料金請求、及びナビゲーションのほか、インターネット及びデータベースのコンテンツが交換される。V2Xの目的には、早期の段階でドライバに重要な状況及び危険な状況を通知すること、周囲に対する車両の認識を向上させること、車両の運転者支援システムをサポートすること、協調型自動モビリティをサポートすること、それにより、交通安全を向上させ、交通の流れを最適化することが含まれる。
【0035】
ITS用の2つの択一的なアクセスレイヤテクノロジが、それぞれ、電気電子学会(IEEE)と第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって定義されている。
【0036】
1番目のアプローチは、しばしば専用狭域通信(DSRC)と呼ばれる、IEEE 802.11pとして規格化された無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)テクノロジを使用して車両のアドホック接続をサポートするものであって、これは、欧州規格ETSI ITS-G5の基礎となっている。2番目のアプローチは、ロングタームエボリューション(LTE)に基づく3GPPによる提案である、セルラーベースV2X(C-V2X)であって、これはLTE-V2X又はサイドリンクとしても知られている。
【0037】
これに関連して、道路交通における協調認識とは、道路利用者と路側インフラが、互いの位置、ダイナミクス、属性について情報を知らせ合うことを意味する。道路利用者とは、自動車、トラック、オートバイ、自転車、さらには歩行者、並びに、道路標識、信号機、遮断機、ゲートを含む路側インフラ設備などといった、交通の安全及び制御において役割を果たす道路上又は道路近傍の、あらゆる種類の利用者である。ETSI TR 102638に記載されているように、相互の認識は、多くのユースケースを伴う、いくつかの交通安全及び交通効率化アプリケーションの基礎となっている。これは、車両から車両(V2V)だけでなく、V2Xネットワークと呼ばれる、無線ネットワークに基づくV2I、I2V、又はX2Xなどといった、インフラから任意の道路利用者への、及び、道路利用者間での、情報の定期的なブロードキャストによって実現されるものであり、高度道路交通システム(ITS)の一部である。
【0038】
協調的な安全性と交通効率のアプリケーションでは、近傍の道路利用者の存在と行動を含む状況認識を実現するため、高度道路交通システム(ITS)のサブシステム(道路利用者、路側ユニットなど)と、それら複数のITS-ステーション(ITS-Ss)が必要とされる。車両サブシステムと路側サブシステムは、それぞれの認知センサから、及び、周囲の他のITS-Ssとの通信を通じて、状況認識を利用できるようにする。CA基本サービスEN302637-2は、ITS-Sが、EN302637-2に従って協調認識メッセージ(CAMs)を送信することで、自身が関連するサブシステムの位置、ダイナミクス、及び属性を他のステーションに通知する方法を指定する欧州規格(EN)である。
【0039】
集団認知サービス(CPサービス又はCPS)は、CA基本サービスを補完する。CPS仕様は、ITS-Sが、ローカル認知センサによって検出された、近隣の道路利用者、他のオブジェクト、及び空きスペースの位置、ダイナミクス、及び属性を、他のステーションに通知する方法を定義する。CPSにより、ITSサブシステムは、レーダやカメラなどのローカル認知センサによって検出された他の道路利用者や障害物に関する情報を共有できるようになる。その意味において、CPSは、ITSサブシステムが認識したオブジェクトに関する情報を個々のサブシステムの知識ベースに相互に提供することで、ITSサブシステム間の認識を高めることを目的としている。
【0040】
集団認知メッセージ(CPM)により、散在するITSサブシステムにより検出されるオブジェクトに関する情報の共有が可能となる。当該メッセージは、散在しているITSサブシステム、その認知能力、及び検出されたオブジェクトに関する情報で構成される。このため、メッセージは、散在するITSサブシステムの参照フレーム内で検出されたオブジェクトを記述するための一般的なデータ要素を提供する。CPMは、動的道路環境の変化を報告することに焦点を当てつつ、結果として生じるチャネル負荷を軽減するために、適応的なメッセージ生成レートで周期的に送信される。
【0041】
特に、ETSI技術仕様草案ETSI TS103324は、現在、V0.2.22草案(2021-05)において、V2Xネットワークに参加しているITS-Sによって送信されるCPMsの仕様、及びCPMsを送信するためのトリガ条件を有するCPSの仕様に焦点を当てている。
【0042】
本明細書で使用される、CPSの文脈におけるオブジェクトは、センサの認知範囲内で物理的に検出されたオブジェクトの状態空間表現として定義され、オブジェクトリストは、同じタイムスタンプに時間的に揃えられたオブジェクトの集合として定義され、集団認知(CP)サービスは、CPMを生成し、受信し、及び処理するためのITS-Sファシリティ層における機能として定義され、集団認知メッセージ(CPM)はCPサービスPDU(プロトコルデータユニット)として定義され、集団認知メッセージ(CPM)データは、部分的又は完全なCPMペイロードとして定義され、集団認知(CPM)プロトコルは、CPM送受信の動作のためのITSファシリティ層プロトコルとして定義され、ITSステーションは、ITSステーション参照アーキテクチャによって指定される機能エンティティとして定義され、オブジェクト信頼度は、検出されたオブジェクトが実際に存在する、つまりセンサによって以前に検出され、継続的に検出されているとの信頼度の定量化として定義され、路側ITSステーションは、路側ITSサブシステムのITSステーションとして定義され、センサ測定は、検出されたオブジェクトの状態空間表現を生成する動作原理に基づくセンサの動作として定義され、状態空間表現は、距離、速度、オブジェクトの寸法などの状態変数からなる、検出されたオブジェクトの数学的記述として定義され、そして、車両ITSステーションは、車両ITSサブシステム内のITSステーションとして定義される。ITS-S内のCPU(s)は、アプリケーション層、ファシリティ層、並びに、ネットワーク層、及びトランスポート層といった、各層の機能を実行する。
【0043】
図2は、ファシリティ層内の他の層及びエンティティとの論理インターフェースとともに、ITS-Sアーキテクチャ内の集団認知(CP)サービスをより詳細に示す。CPSは、ITS-S-Sアーキテクチャのファシリティ層エンティティである。CPSは、ファシリティ層の他のエンティティ及びITSアプリケーションとインターフェース接続し、CPM生成のための、及びさらなる処理のために受信したCPMコンテンツを転送するための関連情報を収集する。
【0044】
CPMを生成するためのデータ収集のエンティティは、デバイスデータプロバイダ(DDP)、位置及び時間管理(POTI)、及びローカルダイナミックマップ(LDM)である。車両のITSサブシステムにおいては、DDPは車載ネットワークに接続され、車両状態情報を提供する。路側ITSサブシステムにおいては、DDPは支柱やガントリなどの路側インフラに取り付けられたセンサに接続される。POTIエンティティは、ITS-Sの位置と時刻情報を提供する。LDMは、ITS-Sのデータベースであり、車載センサデータに加えて、CAMやCPMなどのメッセージから受信したデータで更新されるように構成されている。ITSアプリケーションは、さらなる処理のためにLDMから情報を取得する。また、CPSは、サービスアナウンスメント(SA)サービスとインターフェース接続して、CPMを生成するため、及び、使用される通信技術に関する詳細を提供するためのITS-Sの能力を示す。
【0045】
現在のチャネル使用率に関連するメッセージ発信固有の情報が、DCC-FAC(ファシリティ層の分散型輻輳制御)エンティティ、及びDCC-Crossエンティティ(管理プレーンに位置し、図2には示されていない)とインターフェース接続することによって受信される。CPSは、他のITS-SとCPMの交換のために、NF-SAP(ネットワーキングファシリティ層インターフェース用のSAP)を介してネットワーキング及びトランスポート層(N&T)とインターフェース接続し、CPM送信とCPM受信のためのセキュリティサービスにアクセスするために、SF-SAP(セキュリティファシリティ層インターフェース用のSAP)を介してセキュリティエンティティとインターフェース接続し、MF-SAP(マネジメントファシリティ層インターフェース用のSAP)を介してマネジメントエンティティとインターフェース接続し、そして、受信されたCPMデータがアプリケーショに直接提供される場合に備えて、FA-SAP(ファシリティアプリケーション層インターフェース用のSAP)を介してアプリケーション層とインターフェース接続する。SAPはサービスアクセスポイントの略であり、SAはサービスアナウンスメントの略であることに留意されたい。
【0046】
図3に示すように、それぞれのITS-SにおけるCPS機能には、DCCからの入力(例えば、利用可能なチャネルリソースに関する情報を含むもの)、車載センサからの入力(例えば、センサ特性、FOV、オブジェクト、空きスペースに関する情報を含むもの)、(それぞれのITS-Sの外部からの、例えば1つ以上の他のITS-Sからの)CAMs及びCPMsに基づく、CPM送信管理、CPM受信管理、CPM符号化、及びCPM復号が含まれる。
【0047】
図4は、本実施形態に係るCPS機能の変更を図3と対比して示す。CPS機能の変更は、図4において下線付きの太字斜体で示されており、以下でより詳細に参照される。
【0048】
図5は、ETSI CPMフォーマットの現在の状態を示し、本開示がこのフォーマットのどこに組み込まれるかを特定する。CPSサービスを指定するための現在のETSIの開発は、ETSI TS 103324のCPS仕様のベースラインとして、CPMフォーマットとCPM生成ルールを記述するテクニカルレポートに記載されている。
【0049】
図5に示すように、CPMメッセージには、ITS(高度道路交通システム)PDU(プロトコルデータユニット)ヘッダ、並びに、4種類のコンテナ、すなわち、管理コンテナ、ステーションデータコンテナ、複数のセンサ情報コンテナ(SICs)、及び複数の認知オブジェクトコンテナ(POCs)が含まれている。
【0050】
ITS PDUヘッダには、プロトコルバージョン、メッセージID、及びステーションIDといったデータ要素が含まれる。管理コンテナは必須であり、送信車両に関する基本情報(送信車両の位置など)を提供する。位置情報は、検出されたオブジェクトを参照するために受信者によって使用される。ステーションデータコンテナはオプションであり、送信車両に関する追加情報(例えば、速度、進行方向、又は加速度)を含む。さらに、CPMは、送信車両に組み込まれたセンサの能力を記述するために、最大128個までのSICを収容することができる。最後に、POCsは、検出されたオブジェクトに関する情報(例えば検出されたオブジェクトと送信車両の間の距離など)、オブジェクトの速度とサイズ、及びこれらの測定が行われた時刻を提供する。単一のCPMは、最大で128個のPOCsを収容可能である。
【0051】
CPM生成ルールは、車両がCPMを生成して送信すべきタイミング、及びCPMに含めるべき情報を定義する。現在のETSI CPM生成ルールでは、車両は、新しいCPMを生成して送信する必要があるかどうかを所定の間隔でチェックする必要があると定められている。デフォルトでは、所定の間隔は100msに設定されるが、100ms~1000msの範囲で100msの任意の倍数に設定されて良い。新しいオブジェクトが検出された場合、又は、最後に絶対位置データがCPMに含まれてから車両の絶対位置が所定の量(例えば4m)を超えて変化した場合、又は、最後に絶対速度データがCPMに含まれてから車両の絶対速度が所定の値(例えば0.5m/s)を超えて変化した場合、又は、最後に検出されたオブジェクトがCPMに含まれたのが、所定の時間期間(例えば1秒以上)前である場合、所定の間隔ごとに、車両は新しいCPMを生成する必要がある。車両は、新しいCPMに、新たに検出されたすべてのオブジェクトと、前述の条件の少なくとも1つを満たすオブジェクトを含める。前述の条件のいずれかを満たす検出済みのオブジェクトが1つもない場合であっても、車両はCPMを毎秒生成する。車載センサに関する情報は、CPMに1秒あたり1回だけ含まれる。
【0052】
図5によれば、さらに示されるように、本開示は、管理コンテナ(CSI(「CPM-SI」)とマークされたボックスを参照)、POCs(インデックス1~128のOSI(「O-SI」)とマークされたボックスを参照)、及び、新しいAPRコンテナ1~n(図5の右側参照)をオプションで追加することにより、ペンディング中のETSI CPMフォーマットに織り込むことができる。
【0053】
上記の文脈において、図6は、本実施形態によるCPMsに導入される重要性指標の概念を含む、ETSI ITSスタックの層におけるITS-S内のCPM送信とDCCの連携を示している。図6のステップ10では、CPSがITS-Sのセンサ及び/またはCAM/CPMから、データを受信する。ステップ20では、ステップ10にてセンサ及び/または他のITS-SのCAM/CPMからCPSがデータを受信した後、オブジェクト重要性指標(O-SI)に従ってCPMがオブジェクトのオブジェクトデータで充填される。ステップ30では、検出されたオブジェクトのためのSIが算出される。ステップ40で、CPSはCPMを作成する。その際、CPMサイズとレートは、DCCからのチャネル輻輳情報に基づいて適応される。ステップ50で、CPMはネットワーキングを介してアクセス層までスタックを通過する。ステップ60で、アクセス層は現在のチャネル負荷に応じてCPMを送信またはドロップする(アクセス・レイヤDCC機能 DCC-ACC)。
【0054】
本開示は複数の態様を有しており、以下にその概要を示す。
【0055】
図3によると、CPM送信管理、CPM受信管理、CPM符号化、及びCPM復号を含むCPS機能の文脈内で、既存のCPS機能は、重要性指標(SI)を組み込むことによって拡張及び/又は適応される。
【0056】
重要な情報の損失を回避する役割を果たすSIの組み込みに付随して、CPMの重要性は、組み込むオブジェクト情報の重要性指標(SI)に基づいており、CPSは(現在のV2Xチャネル負荷に応じて)適応的にCPM内に(例えば、安全性の観点から)最も重要なオブジェクトだけが含まれるようにする。
【0057】
ここで、(自分の)ホストITS-S以外のITS-Sは、オブジェクト情報を受信したいエリアのリクエストを送信することで、ホストITS-SのSI計算に影響を与えうると考えることができ、さらには、オンデマンドのCPM送信などといったC-ITSシステム内の他のアプリケーションも同様に考えられる。
【0058】
好ましくは、SIは、検出されたオブジェクトについてホストITS-Sで取得される、キネマティック、新規性、最後の更新からの経過時間、分類、検出の信頼度の少なくとも1つを含むデータに基づいて、及び/又は他のITS-Ssのニーズに基づいて、CPSによって計算される。
【0059】
本明細書で使用される場合、キネマティックには、位置、速度、及び加速度のうちの少なくとも1つが含まれるものとするが、これに限定されない。すなわち、キネマティックには、オブジェクトが1人以上の道路利用者にとって安全上の障害となる可能性を示すのに適したパラメータが含まれる。例えば、ある車両がゆっくりと移動し、別の車両が素早く移動しており、速い方の車両が安全上の障害となる可能性が高いと判定されたケースにおいては、安全上の障害となる可能性が高いほど、その重要性はより高くなる。
【0060】
本明細書で使用される場合、新規性とは、これまでに検出されていなかったオブジェクトを意味する。新規なオブジェクトは重要性が高くなる。最後の更新からの経過時間は、所定の期間報告されていなかったオブジェクトに関連する。最終更新からの経過時間が長くなるほど、その重要性が高くなる。分類は通常、オブジェクトのタイプを参照し、交通弱者(VRUs)などといった、より「価値」の高いオブジェクトを考慮する。そして、このような価値の高いオブジェクトを含むクラスほど重要性がより高いと判断される。検出の信頼度(値)も同様に、信頼度(値)が高いほどその重要性が高くなる。
【0061】
他のITS-Ssのニーズについては、特に1人以上の道路利用者(付近、衝突経路など)に関連するキネマティック(例えば、位置、速度、加速度)を持つオブジェクトが、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。図7は、車両のITS-Sが第1のオブジェクト(オブジェクト1)と第2のオブジェクト(オブジェクト2)を検出したとき、第1のオブジェクトとは衝突経路の可能性がある一方、第2のオブジェクトとはその可能性がないため、第1のオブジェクトが第2のオブジェクトよりも重要であるとみなされる例を示している。
【0062】
また、他のITS-Ssのニーズに関して、近隣のITS-Sによって検出することが困難又は不可能なオブジェクト、例えば、他の既知のオブジェクトの位置に基づいて部分的又は完全に隠された隠蔽オブジェクト、及び既知の近隣車両のセンサのFOVsも、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。図8は、第1及び第2の車両、並びに第1及び第2のオブジェクトを含む交通環境において、第2の車両のセンサのFOVにおいて、第1のオブジェクトが第2のオブジェクトによって隠されているので、第1の車両(車両1)は第2のオブジェクト(オブジェクト2)よりも第1のオブジェクト(オブジェクト1)が重要であるとみなす例を示している。
【0063】
検出が困難又は不可能なオブジェクトには、近隣のITS-SのセンサのFOVの境界上又は完全に外側にあるオブジェクト、及びホストITS-Sよりも低い信頼度で他のITS-Ssによって検出されたオブジェクトがさらに含まれてもよい。図9は、第1及び第2の車両、並びに第1及び第2のオブジェクトを含む交通環境において、第1のオブジェクトは第2の車両(車両2)のFOVの完全に外部にあるので、第1の車両(車両1)が第2のオブジェクト(オブジェクト2)よりも第1のオブジェクト(オブジェクト1)は重要であるとみなす例を示している。
【0064】
また、他のITS-Ssのニーズに関して、ITS-S間で検出位置が異なるオブジェクト、例えばCAMに示される位置が他のITS-Sのセンサによって検出された位置と異なる車両ITS-Sタイプのオブジェクトが、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。
【0065】
さらに他のITS-Ssのニーズに関して、ホストITS-Sによって検出されたオブジェクトが位置するエリアの他のITS-Ssによるいくつかのエリア認知要求(APRs)が、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。ここで、非限定的な例として、このエリアに対する要求は、近隣のITS-Sによって明示的に送信されてもよく、及び/又は、当該要求は、送信側ITS-Sがオブジェクト情報の受信を所望するエリアを示すことができるCPM内のオプションのコンテナの一部であってもよい。図10は、第1及び第2の車両、第1及び第2のオブジェクト、並びに例えば建物を含む交通環境において、第1のオブジェクトが第2の車両(車両2)のエリア認知要求(APR)に属するため、第1の車両(車両1)によって第1のオブジェクト(オブジェクト1)が第2のオブジェクト(オブジェクト2)よりも重要とみなされる例を示す。
【0066】
図11は、実施形態による方法の例示的なフローチャートである。
【0067】
ステップ100で開始されると、CPSが重要性指標(SI)を計算して送信するための方法ステップは、各ステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、またはステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信した共有メッセージに含まれる複数のオブジェクトを検出するステップ110を含む。
【0068】
次に、ステップ120にて、少なくとも1つのセンサ及び/又は共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータ(該当する場合、キネマティック及び軌跡)が取得される。検出されたオブジェクトは、CAMsを介して検出されたオブジェクトを含む。
【0069】
共有メッセージには、他のITS-Ssから取得した、それらのFOVs及び/又はAPRsを含むCPMが含まれることに留意されたい。さらに、処理能力が限られており、且つ、他のITS-Ssから取得したCPMsが集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を含む場合、共有メッセージは、高いCPM-SIを有するCPMsが最初に処理されるように構成されることが好ましいことに留意されたい。
【0070】
続くステップ130では、集団認知メッセージ(CPM)がオブジェクトのオブジェクトデータで充填される。非限定的な例として、単純な充填モデルは、最も重要なオブジェクトから詰め込みを開始し、CPMサイズに関するCPMの構成ルールが許す限り、重要性の高い順にオブジェクトの充填が継続される。
【0071】
ステップ140では、オブジェクトのオブジェクトデータで満たされた集団認知メッセージ(CPM)ごとの集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)が算出される。言い換えれば、このステップでは、各CPMのCPM-SIを計算して、入力する。非限定的な単純モデルの例は、その中のすべてのオブジェクトのO-SIの平均を取ることを含む。O-SIとCPM-SIはどちらも整数型のパラメータで、値は例えば1~10であることに留意されたい。CPM-SIは、「CSI」と略称されてもよい。
【0072】
次のステップ150では、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを特定する。
【0073】
最後に、ステップ160では、複数の集団認知メッセージ(CPMs)が、利用可能なチャネルリソースに従って、集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)が最も高いCPMから送信される。好ましくは、チャネルが輻輳している場合、複数のCPMは、最も高いCPM-SIから順に、(DCCエンティティによって決定される)利用可能なチャネルリソースが使い果たされるまで送信される。
【0074】
変形例では、ステップ120に続く次のステップでは、検出された各オブジェクトのオブジェクト重要性指標(O-SI)がオブジェクトデータに基づいて算出される。その際、O-SIの計算は、上述した様々な要素に基づいて行われる。非限定的な例として、単純な計算モデルは、SI値を得るために、因子毎の値を加算し、その加算結果を1から10までの値に正規化することを含む。次に、ステップ130で、集団認知メッセージ(CPM)に、算出されたオブジェクト重要性指標に従って、オブジェクトのオブジェクトデータが充填される。非限定的な例として、単純な充填モデルは、最も重要なオブジェクトから充填が開始され、CPMサイズに関するCPMの構成ルールが許す限り、重要性の高い順にオブジェクトの充填が継続される。O-SIを計算し、そのO-SIに従ってオブジェクトのオブジェクトデータをCPMに充填することは、CPM-SIを計算する例示的な方法であることに留意されたい。CPM-SIを計算する他の方法も考えられ、本明細書で変形例として開示される方法は、CPMの優先順位を決定する方法に制限を課すものではない。
【0075】
この実施形態では、CPM-SIによって、複数のCPMは、利用可能なチャネルリソースに従って集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)が最も高いCPMから順に送信される。CPM-SIは、重要なCPMが廃棄される可能性を低減しうる。
【0076】
O-SIの技術的効果は、CPM内に最も重要なオブジェクトのみを適応的に含めることで、CPMサイズを縮小及び又は制限し、それにより、V2X無線チャネルの負荷を軽減することにある。CPMに追加される最も重要なオブジェクトは、算出されたO-SIに基づいて特定される。例えば重要性封入閾値などに基づいてCPM内に最も重要なオブジェクトのみを適応的に含めることで、CPMに多数の検出オブジェクトが含まれることを防ぎ、冗長な情報を緩和し、CPMサイズを低減し、特に(潜在的または実際に)輻輳したV2X無線チャネルにおける使用容量をより少なくし(または解放し)、関連性の高いオブジェクトに関する重要な情報を含むパケットがドロップされることを防ぐ。適応的な封入の基準には、現在のチャネル負荷と安全性の観点が含まれるが、これに限定されるものではない。本明細書で説明するように、オブジェクトを適応的に含めることによってCPM内のオブジェクトの数を減らすことも、処理負荷を減らし、応答時間を速くすることを可能にする。
【0077】
APRコンテナは、他のITS-SがAPRを使用してオブジェクト情報を受信したいエリアの情報を要求することによって、ホストITS-SにおけるSIの計算に影響を与えるという点で、同様または類似の技術的効果をサポートする。言い換えれば、他のITS-Sから要求された関心領域のオブジェクトは、ホストITS-Sにおいてより重要なものとしてランク付けされ、そのようなオブジェクトに関する情報が優先され、好ましくは送信される一方、(他のITS-Sにとって決定的に関心が低い)他の領域のオブジェクトは、より低いランクに設定されうる。ここでもまた、より重要であるとランク付けされたオブジェクトが、適応的な封入の工程において優先され、同様に上述の効果をサポートする。
【0078】
本開示は、その好ましい一実施形態を用いて説明されている。しかしながら、本開示は、具体的に記載された実施形態に限定されるものではなく、記載され、特許請求された主題の範囲から逸脱することなく、追加の態様、構成、及び変更を含み、網羅し得るものと理解されたい。このような追加の態様、構成及び変更は、例えば、CPM内のオブジェクトのSIに基づいてCPMの各々のSIを計算し、CPMパケット内にSI値を入力し、個々のSIに基づいてCPMをオブジェクトで満たすための方法、計算プログラム及び装置を含み得る。
【0079】
このような追加の態様、構成、及び修正は、例えば、オブジェクトのキネマティック、オブジェクトの履歴、視認性、検出可能性、及び検出の質、ならびに/またはオブジェクトの分類などといった、オブジェクトデータ内のパラメータに基づいて、オブジェクトの各々についてSIを算出するための方法、計算プログラム、及び装置、あるいは、ホストITS-Sによって検出されたオブジェクトが位置するエリアの他のITS-SからのAPRの数に基づいて、またはそれぞれの情報の組み合わせに基づいて、各オブジェクトのSIを計算する方法、計算プログラム、及び装置をさらに含むことができる。
【0080】
さらに別の態様、構成、及び変更は、例えば、送信側のITS-Sのセンサによっては一部のみしか又は全く検出されない地理的エリアに関する情報、及び/又は、送信側のITS-Sにとっての上記エリアの重要性を含むITSメッセージ又はITSメッセージの一部を構成し、送信し、受信し、及び復号するための方法、コンピュータプログラム、及び装置、及び/又は、SIと利用可能なチャネルリソースに基づいてCPMの送信を決定するための方法、コンピュータプログラム、及び装置に関連し得る。
【0081】
概して、本開示の実施形態は、ハードウェア又は専用回路、ソフトウェア、ロジック、またはそれらの任意の組み合わせで実施されてよい。例えば、いくつかの態様はハードウェアで実施されることができ、他の態様は、コントローラ、マイクロプロセッサ又は他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェア又はソフトウェアで実施されることができるが、本開示はそれらに限定されない。本開示の様々な態様は、ブロック図、フローチャート、または他の図表示を使用して図示及び説明され得るが、本明細書に記載されたブロック、装置、システム、技術又は方法は、非限定的な例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路又はロジック、汎用ハードウェア又はコントローラ、あるいは他のコンピューティングデバイス、もしくはそれらの組み合わせによって実施されえる。
【0082】
本開示の実施形態は、プロセッサエンティティなどのシステムエンティティのデータプロセッサによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって、又はハードウェアによって、もしくはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実施され得る。さらにこれに関連して、図に示される論理フローの任意のブロックは、プログラムステップ、相互接続された論理回路、ブロック及び機能、あるいはプログラムステップと論理回路、ブロックと機能の組み合わせを表し得ることに留意されたい。ソフトウェアは、メモリチップやプロセッサ内に実装されるメモリブロックなどの物理媒体、ハードディスクやフロッピーディスクなどの磁気媒体、及び例えばDVDやそのデータ変種のCDなどの光学媒体に保存されてよい。
【0083】
メモリは、ローカルの技術環境に適した任意のタイプであってもよく、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイス及びシステム、光メモリデバイス及びシステム、固定メモリ及びリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実現され得る。データプロセッサは、ローカルの技術環境に適した任意のタイプであってもよく、非限定的な例として、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ゲートレベル回路、及びマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含むことができる。
【0084】
本開示の実施形態は、集積回路モジュールなどのさまざまなコンポーネントで実施することができる。集積回路の設計は、概して高度に自動化されたプロセスである。論理レベル設計を、エッチングして半導体基板上に形成されるように準備された半導体回路設計に変換するための、複雑で強力なソフトウェアツールが利用可能である。
【0085】
電子設計自動化(EDA)プログラムとツールは、十分に確立された設計ルールと事前に保存された設計モジュールのライブラリを使用して、半導体チップ上の導体の配線とコンポーネントの位置を自動的に決定する。半導体回路の設計が完了すると、その結果得られた設計は、標準化された電子フォーマットで半導体製造施設又は製造のための「ファブ」に送信され得る。
【0086】
これまでの説明は、例示的かつ非限定的な例として、本開示の例示的な実施形態の完全かつ有益な説明を提供した。しかしながら、添付の図面及び添付の特許請求の範囲と併せて読めば、上記の説明を考慮して、関連技術の当業者には様々な変更及び適応が明らかになり得る。本開示の教示のそのような及び同様の変更はすべて、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0087】
上述した本開示により、無線通信チャネルを使用して、協調型高度道路交通システム(C-ITS)内のステーション間で協調型高度道路交通システムにおける情報を交換するための方法、協調型高度道路交通システム、及びコンピュータ実装システムにおいては、情報の交換は、車載センサの情報及び/又は交通環境内の車載センサによって検出された物体に関する情報を含む集団認知メッセージ(CPM)を送信、受信、処理、及び/又は破棄することを含み、それぞれのステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、またはステーションの近傍に存在するものとして他のステーションから受信された共有メッセージに含まれる複数の物体が検出され、少なくとも1つのセンサ及び/又は共有メッセージから検出された各オブジェクトのオブジェクトデータが取得され、オブジェクトのオブジェクトデータで集団認知メッセージ(CPM)が適応的に充填され、オブジェクトのオブジェクトデータで満たされた各集団認知メッセージ(CPM)について集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)が算出され、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースが特定され、最も高い集団認知メッセージ重要性指標(CPM-SI)を有するCPMから順に利用可能なチャネルリソースに従って集団認知メッセージ(CPM)が送信及び/又は受信される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】