(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラのコントローラ出力量を決定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B62D6/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521811
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022075970
(87)【国際公開番号】W WO2023061703
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021211421.0
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グリューナー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン グオ
(72)【発明者】
【氏名】バルトシュ ケペルニク
【テーマコード(参考)】
3D232
【Fターム(参考)】
3D232CC02
3D232CC08
3D232CC12
3D232DA15
3D232DA62
3D232DD06
3D232DD07
3D232DD14
3D232DD17
3D232EA01
3D232EC22
3D232EC37
3D232GG01
(57)【要約】
制御対象システム(102)のためのコントローラ(108)、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラ(108)を備えた制御システム(104)のコントローラ出力量(106)を決定するための装置及び方法において、コントローラ(108)の所定のコントローラ特性が、所定の適合部(116)によって適合させられ、所定の適合部(116)がコントローラ特性に対して及ぼす影響が、パラメータ(114)に依存して連続的に変更され(202)、パラメータ(114)は、制御対象システム(102)の動作状況、特に車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定され、コントローラ出力量(106)が、コントローラ(108)によって決定される、装置及び方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象システム(102)のためのコントローラ(108)、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラ(108)を備えた制御システム(104)のコントローラ出力量(106)を決定するための方法において、
前記コントローラ(108)の所定のコントローラ特性が、所定の適合部(116)によって適合させられ(202)、
前記所定の適合部(116)が前記コントローラ特性に対して及ぼす影響が、パラメータ(114)に依存して連続的に変更され(202)、
前記パラメータ(114)は、前記制御対象システム(102)の動作状況、特に前記車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定され(202)、前記コントローラ出力量(106)が、前記コントローラ(108)によって決定される(204)
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定の適合部(116)は、前記コントローラ(108)の動作量に依存して決定される(202)、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントローラ出力量(106)は、前記制御システム(104)の伝達関数に依存して決定され(204)、
前記伝達関数は、前記制御対象システム(102)の既約分解に依存して定義されており、前記適合部(116)は、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、
前記ユーラパラメトリゼーションは、前記パラメータ(114)によってスケーリングされる、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御システム(104)と前記制御対象システム(102)とが含まれる閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制が、前記パラメータ(114)によって修正され、少なくとも1つの他の伝達挙動は、修正されない、
請求項1乃至3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ(114)の勾配は、制限されない、
請求項1乃至4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
制御対象システム(102)のためのコントローラ(108)、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラ(108)を備えた制御システム(104)のコントローラ出力量(106)を決定するための装置(100)において、
前記装置は、
・前記コントローラ(108)の所定のコントローラ特性を、所定の適合部(116)によって適合させ、
・前記所定の適合部(116)が前記コントローラ特性に対して及ぼす影響を、パラメータ(114)に依存して連続的に変更し、
・前記パラメータ(114)を、前記制御対象システム(102)の動作状況、特に前記車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定し、
・前記コントローラ出力量(106)を、前記コントローラ(108)によって決定する
ように構成されていることを特徴とする、装置(100)。
【請求項7】
前記装置は、前記所定の適合部(116)を、前記コントローラ(108)の動作量に依存して決定するように構成されている、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記コントローラ出力量(106)を、前記制御システム(104)の伝達関数に依存して決定するように構成されており、
前記伝達関数は、前記制御対象システム(102)の既約分解によって定義されており、前記適合部(116)は、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、
前記装置は、前記ユーラパラメトリゼーションを前記パラメータ(114)によってスケーリングするように構成されている、
請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記制御システム(104)と前記制御対象システム(102)とが含まれる閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制を、前記パラメータ(114)によって修正し、少なくとも1つの他の伝達挙動を、修正しないように構成されている、
請求項6乃至8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記パラメータ(114)の勾配を制限しないように構成されている、
請求項6乃至9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項6乃至10までのいずれか一項に記載の装置(100)を含む
ことを特徴とする車両(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、特に、車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラのコントローラ出力量を決定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアバイワイヤ式の操舵システムにおいては、運転者のための所望の操舵感覚が、閉ループ制御によって生成される。この場合、対応する実際トルクが測定され、コントローラにフィードバックされる。この場合、所望の操舵感覚は、コントローラに供給される目標トルクによって表現される。コントローラは、実際トルクが可能な限りいつでも目標トルクに等しくなるように、対応する出力信号を計算する。この場合、コントローラは、コントローラに対して定義された仕様が満たされるように設計される。この仕様には、通常、例えば良好な追従挙動、十分な外乱抑制、十分なロバスト性、触覚的な非顕著性等のような複数の目標量が含まれる。一義的なパラメータ表示及び/又はパラメトリゼーションを有するコントローラを用いて、全ての目標設定を同時に満たすことは非常に困難である。なぜなら、これらの目標設定は、典型的には相互に独立しておらず、したがって妥協策を必要とするからである。
【0003】
したがって、動作状況に適合可能であり、特に良好な追従挙動、十分な外乱抑制、十分なロバスト性、及び/又は、触覚的な非顕著性に関する、対応する所望の目標設定を満たすようなコントローラが望まれている。
【0004】
独国特許出願公開第102019202769号明細書は、閉ループ制御による自動車のモーションコントロールに関する。この閉ループ制御の目標は、良好な追従挙動を達成すること、すなわち、目標値と実際値との間の制御偏差を最適化することにある。
【0005】
米国特許第7130729号明細書は、ゲインスケジューラを用いた車両の動的パラメータ推定によって、後車軸のステアリング装置の閉ループ制御を適応的に補償することに関する。このゲインスケジューラは、車両のパラメータの所定の関数として実現されており、開ループにおいてコントローラユニットに対して並列に構成され、この場合、操作量は、コントローラユニットの操作量と、ゲインスケジューラの操作量との合計に依存して決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019202769号明細書
【特許文献2】米国特許第7130729号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに対して、操舵状況及び走行状況に合わせて調整される種々の妥協策により、複数の互いに矛盾する目標設定を満たすことができる閉ループ制御コンセプトを提供することが望まれている。この場合、特に関心が持たれていることは、追従挙動の他に、システムの信号によって時間的に定量化することができない他の目標量にも関連する目標設定である。そのような目標量の例は、例えば触覚的な顕著性又はロバスト性である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
このことは、独立請求項に記載の装置及び方法によって達成される。
【0009】
閉じられた閉ループ制御回路の伝達関数は、特定の周波数範囲におけるその振幅及び位相によって種々の目標量、例えば、追従挙動、触覚的な顕著性、又は、ロバスト性を特徴付ける。独国特許出願公開第102019202769号明細書に記載されている手法においては、ゲインスケジューラは、実際値の経路において生じる。このことはつまり、ゲインスケジューラは、閉じられた閉ループ制御回路においてシステム挙動に関して非線形に生じるということを意味する。すなわち、例えばゲインスケジューラのゲインが上昇すると、ゲインスケジューリングパラメータによってまず始めにロバスト性が改善され、さらに上昇すると再び悪化するという可能性がある。したがって、ロバスト性を向上させるために、ゲインスケジューラにおいてゲインスケジューリングパラメータをどの方向に変更すべきかを示すことは困難である。これに対して、独立請求項に記載の装置及び方法による、閉じられた閉ループ制御回路における挙動は、その適合に基づいて、ゲインスケジューリングパラメータに線形に依存している。したがって、目標量とゲインスケジューリングパラメータとの間の関係は、単調である。
【0010】
本方法においては、制御対象システムのためのコントローラ、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラを備えた制御システムのコントローラ出力量が決定され、コントローラの所定のコントローラ特性が、所定の適合部によって適合させられ、所定の適合部がコントローラ特性に対して及ぼす影響が、パラメータに依存して連続的に変更され、パラメータは、制御対象システムの動作量、特に車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定され、コントローラ出力量が、コントローラによって決定される。これにより、コントローラは、状況に依存しているコントローラのパラメータ表示によって動作させられ、車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して、コントローラ特性が連続的に適合させられ、この際、例えば車両の運転者が認識する不連続性が生じることはない。
【0011】
好ましくは、所定の適合部は、コントローラの動作量に依存して決定される。
【0012】
好ましくは、コントローラ出力量は、制御システムの伝達関数に依存して決定され、伝達関数は、制御対象システムの既約分解に依存して定義されており、適合部は、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、ユーラパラメトリゼーションは、パラメータによってスケーリングされる。これにより、コントローラと制御対象システムとが含まれる、閉じられた閉ループ制御回路の安定性が、コントローラ特性の適合にもかかわらず、又は、コントローラのパラメータ表示の変更にもかかわらず、保証される。これにより、切り換え動作なしにコントローラ特性を連続的に変更することが可能となり、それと同時に、閉ループ制御回路の安定性を保証することが可能となる。
【0013】
好ましくは、制御システムと制御対象システムとが含まれる閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制が、パラメータによって修正され、少なくとも1つの他の伝達挙動は、修正されない。これにより、車両の操舵状況及び/又は走行状況から結果的に生じる、コントローラへの目標量を、連続的かつ個別的に達成することが可能となる。
【0014】
好ましくは、パラメータの勾配は、制限されない。このことはつまり、勾配を制限する必要がないということを意味する。これにより、不安定性を誘発することなく、パラメータのダイナミクスを任意に選択することが可能となる。
【0015】
さらに、制御対象システムのためのコントローラ、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラを備えた制御システムのコントローラ出力量を決定するように構成された装置が企図されており、本装置は、コントローラの所定のコントローラ特性を、所定の適合部によって適合させ、所定の適合部がコントローラ特性に対して及ぼす影響を、パラメータに依存して連続的に変更し、パラメータを、制御対象システムの動作状況、特に車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定し、コントローラ出力量を、コントローラによって決定するように構成されている。
【0016】
本装置は、所定の適合部を、コントローラの動作量に依存して決定するように構成可能である。
【0017】
本装置は、コントローラ出力量を、制御システムの伝達関数に依存して決定するように構成可能であり、伝達関数は、制御対象システムの既約分解によって定義されており、適合部は、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、本装置は、ユーラパラメトリゼーションをパラメータによってスケーリングするように構成されている。
【0018】
本装置は、制御システムと制御対象システムとが含まれる閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制を、パラメータによって修正し、少なくとも1つの他の伝達挙動を、修正しないように構成可能である。
【0019】
本装置は、パラメータの勾配を制限しないように構成可能である。
【0020】
車両を閉ループ制御するために、車両は、本装置を含む。
【0021】
さらなる有利な実施形態は、以下の説明及び図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ステアバイワイヤ式の操舵システムの一部の概略図である。
【
図2】コントローラのコントローラ出力量を決定するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、制御対象システム102を閉ループ制御するための装置100の概略図を示す。装置100は、制御システム104を含み、制御システム104は、コントローラ108によって制御対象システム102にコントローラ出力量106を供給する。以下においては、この閉ループ制御を、ステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御する例において説明する。コントローラ出力量106は、本例においてはステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルク調整器のためのモータトルクを特徴付ける。手動トルク調整器の実際トルク110を特徴付ける、ステアバイワイヤ式の操舵システムの信号は、コントローラ108に入力量として供給される。さらに、コントローラ108には、所望の手動トルクのための目標トルク112と、以下においてはパラメータГとも称されるパラメータ114とが、さらなる入力量として供給される。
【0024】
コントローラ108の所定のコントローラ特性は、所定の適合部116によって適合させられる。所定の適合部116がコントローラ特性に対して及ぼす影響は、パラメータГによって連続的に変更される。パラメータГは、ステアバイワイヤ式の操舵システムの動作状況、特に車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定される。これにより、動作状況に適したコントローラ特性が選択される。
【0025】
パラメータГによってコントローラ特性が適合させられる際には、制御システム104と制御対象システム102とが含まれる閉ループ制御回路が、安定したまま維持されることが保証されるべきである。このために、制御対象システム102は、既約分解によって
G(s)=N(S)/M(S)
のように分解され、ここで、制御対象システム102は、G(s)によって表されており、伝達関数N(s)及びM(s)は、安定である。既約特性に基づき、さらなる安定した伝達関数X(s)及びY(s)が存在するので、ベズーの等式
N(s)X(s)+M(s)Y(s)=1
が成り立つ。以下の伝達行列K(s)
【数1】
を有し、かつ、所定の安定した伝達関数K
ff(s)と、任意の安定した伝達関数Q(s)とによってパラメトリゼーションされるあらゆる制御システムは、制御対象システムG(s)を安定化させ、それによって閉ループ制御回路も安定化させる。安定した伝達関数Q(s)は、適合部116を表している。伝達関数Q(s)と一緒に伝達行列K(s)をもたらすコントローラ108は、以下の伝達行列J(s)
【数2】
を有する。
【0026】
適合部116としての伝達関数Q(s)は、本例においては、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、ユーラパラメトリゼーションは、パラメータГによってスケーリングされる。コントローラ108は、前述した手順に従って設計され、これによって、制御システム104のコントローラ特性を、パラメータГを介して適合させることができる。この場合、閉ループ制御回路の安定性は、維持されたままである。
【0027】
したがって、制御システム104は、ユーラパラメトリゼーションに従ってパラメータГによってスケーリングされた適合部116と組み合わせられた、所定のコントローラ108から得られる。適合部116は、例えば、車両の操舵状況及び/又は走行状況を考慮して規定され、又は、コントローラ108の動作量に依存して決定される。
【0028】
図2は、車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラ108のコントローラ出力量106を決定するための方法のフローチャートを示す。ステップ200においては、制御対象システムの動作状況が、車両の操舵状況及び/又は走行状況の形態で決定される。
【0029】
ステップ202においては、動作状況に依存してパラメータГが決定され、パラメータГに依存して適合部116の影響が変更され、これにより、コントローラ特性が適合させられる。
【0030】
所定の適合部116は、例えばコントローラ108の動作量のうちの1つに依存して決定される。
【0031】
ステップ204においては、事前に適合させられたコントローラ特性を有するコントローラ108によって、コントローラ108のコントローラ出力量106が決定され、ステアバイワイヤ式の操舵システムに供給される。
【0032】
コントローラ出力量106は、本例においては制御システム104の伝達関数K(s)に依存して決定される。
【0033】
伝達関数K(s)は、制御対象システム102の、すなわち、本例においてはG(s)の既約分解に依存して定義される。適合部116は、本例においてはユーラパラメトリゼーションQ(s)によってパラメトリゼーションされている。ユーラパラメトリゼーションQ(s)は、本例においてはパラメータ114によってスケーリングされる。
【0034】
閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制を、パラメータ114によって修正することができ、少なくとも1つの他の伝達挙動を、修正しないようにすることができる。
【0035】
パラメータ114の勾配を、制限しないようにすることができる。
【0036】
図3には、車両300の一部が概略的に示されている。車両300は、ステアバイワイヤ式の操舵システムを含む。ステアバイワイヤ式の操舵システムは、ステアリング装置302と、手動トルク調整器304とを含む。
【0037】
本例においては、車両300は、2つの後車輪306と2つの前車輪308とを含む。後車輪306は、本例においては操舵不能である。前車輪308は、本例においてはステアリング装置302によって操舵可能である。
【0038】
前車輪308に加えて又は前車輪308に代えて、後車輪306を、後車軸のステアリング装置によって操舵可能とすることもできる。
【0039】
手動トルク調整器304は、運転者の方向設定を受信し、運転者のための操舵感覚を生成する。手動トルク調整器304は、操舵感覚を生成するためにモータ310を含み、モータ310は、対応するモータトルクをロータシャフト312に出力し、次いで、ロータシャフト312は、伝動機構314及びトーションバー316を介してステアリングハンドル318に伝達される。ステアリングハンドル318として、例示的にステアリングホイールが示されている。
【0040】
車両300は、装置100を含み、この場合、手動トルク調整器304は、制御対象システム102を表している。本例においては、モータ310は、コントローラ出力量106によって手動トルク調整器304の実際トルク110に依存して駆動される。
【0041】
本装置及び本方法は、車両300用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御する例において説明されている。本方法は、他の制御対象システムのためのコントローラのコントローラ出力量にも適用可能である。装置100は、他の制御対象システムのための制御システム、特にステアバイワイヤ式の操舵システムの他の部分又は車両300の他の部分のための制御システムのコントローラ出力量のために構成可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象システム(102)のためのコントローラ(108)、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラ(108)を備えた制御システム(104)のコントローラ出力量(106)を決定するための方法において、
前記コントローラ(108)の所定のコントローラ特性が、所定の適合部(116)によって適合させられ(202)、
前記所定の適合部(116)が前記コントローラ特性に対して及ぼす影響が、パラメータ(114)に依存して連続的に変更され(202)、
前記パラメータ(114)は、前記制御対象システム(102)の動作状況、特に前記車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定され(202)、前記コントローラ出力量(106)が、前記コントローラ(108)によって決定される(204)
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定の適合部(116)は、前記コントローラ(108)の動作量に依存して決定される(202)、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントローラ出力量(106)は、前記制御システム(104)の伝達関数に依存して決定され(204)、
前記伝達関数は、前記制御対象システム(102)の既約分解に依存して定義されており、前記適合部(116)は、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、
前記ユーラパラメトリゼーションは、前記パラメータ(114)によってスケーリングされる、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御システム(104)と前記制御対象システム(102)とが含まれる閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制が、前記パラメータ(114)によって修正され、少なくとも1つの他の伝達挙動は、修正されない、
請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ(114)の勾配は、制限されない、
請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
制御対象システム(102)のためのコントローラ(108)、特に車両用のステアバイワイヤ式の操舵システムの手動トルクを閉ループ制御するためのコントローラ(108)を備えた制御システム(104)のコントローラ出力量(106)を決定するための装置(100)において、
前記装置は、
・前記コントローラ(108)の所定のコントローラ特性を、所定の適合部(116)によって適合させ、
・前記所定の適合部(116)が前記コントローラ特性に対して及ぼす影響を、パラメータ(114)に依存して連続的に変更し、
・前記パラメータ(114)を、前記制御対象システム(102)の動作状況、特に前記車両の操舵状況及び/又は走行状況に依存して決定し、
・前記コントローラ出力量(106)を、前記コントローラ(108)によって決定する
ように構成されていることを特徴とする、装置(100)。
【請求項7】
前記装置は、前記所定の適合部(116)を、前記コントローラ(108)の動作量に依存して決定するように構成されている、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記コントローラ出力量(106)を、前記制御システム(104)の伝達関数に依存して決定するように構成されており、
前記伝達関数は、前記制御対象システム(102)の既約分解によって定義されており、前記適合部(116)は、ユーラパラメトリゼーションによってパラメトリゼーションされており、
前記装置は、前記ユーラパラメトリゼーションを前記パラメータ(114)によってスケーリングするように構成されている、
請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記制御システム(104)と前記制御対象システム(102)とが含まれる閉ループ制御回路の少なくとも1つの伝達挙動、特に外乱抑制を、前記パラメータ(114)によって修正し、少なくとも1つの他の伝達挙動を、修正しないように構成されている、
請求項
6に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記パラメータ(114)の勾配を制限しないように構成されている、
請求項
6に記載の装置。
【請求項11】
請求項
6に記載の装置(100)を含む
ことを特徴とする車両(300)。
【国際調査報告】