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特表2024-538770白色光照明を使用する光投影システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】白色光照明を使用する光投影システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20241016BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241016BHJP
   G02B 27/18 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 F
G02B27/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522078
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022046709
(87)【国際公開番号】W WO2023064556
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/255,694
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】22163730.9
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/322,669
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,ジョン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ウェインライト,ネイサン ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ポラディッシュ,フランク ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘニガン,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】デワルド,ドゥエイン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ペルティエラ,フアン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,マーティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リッピー,バレット
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジョン スコット
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィーズ,トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ケッセル,ピーター フランシス
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,ダグラス リード ボイド
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA04
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA34
2K203FA62
2K203GA22
2K203GA33
2K203GA34
2K203HA02
2K203HA10
2K203HA82
2K203HA83
2K203HA95
2K203MA02
(57)【要約】
白色光照明を使用する光投影システム。一実施形態は、白色光照明を使用する投影システムを提供する。投影システムは、白色光入力を受け取るように構成された照明アセンブリを含む。プリズムが、白色光入力をカラー光入力に分離し、それらのカラー光入力をそれぞれの変調器に向け直し、それぞれの変調器からの変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせるように構成される。光学フィルタが、白色光出力を空間的にフーリエ変換して、フィルタリングされた白色光出力を生成するように構成される。投影レンズ・アセンブリが、フィルタリングされた白色光出力を投影するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光照明を使用する投影システムであって:
白色光入力を受け取るように構成された照明アセンブリと;
前記白色光入力を別個のカラー光入力に分離し、それらのカラー光入力をそれぞれの変調器に向け直し、前記それぞれの変調器からの変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムと;
前記白色光出力を空間的にフーリエ変換して、フィルタリングされた白色光出力を生成するように構成された光学フィルタと;
前記フィルタリングされた白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリとを有する、
投影システム。
【請求項2】
前記カラー光入力は、赤色光、緑色光、および青色光を含み、前記それぞれの変調器は、前記赤色光を変調するように構成された第1の変調器と、前記緑色光を変調するように構成された第2の変調器と、前記青色光を変調するように構成された第3の変調器とを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記光学フィルタは、前記白色光出力をフーリエ面に合焦させるように構成されたレンズを含み、前記フーリエ面は、前記レンズの焦点面と一致する、請求項1または2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記複数の変調器のうちの前記少なくとも1つと前記投影レンズ・アセンブリとの間に光学的に配置されたウォビュレータをさらに有する、請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項5】
前記光学フィルタは、前記白色光出力の一つまたは複数の回折次数を遮断するように構成されている、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記光学フィルタは、前記投影レンズ・アセンブリ内に統合されている、請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項7】
前記プリズムは、前記白色光を前記カラー光入力に分離するように構成された内部全反射(TIR)プリズム・セグメントを含む、請求項1ないし6のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項8】
前記カラー光入力のそれぞれは、同じ照明角度を有する、請求項1ないし7のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項9】
前記プリズムに広帯域反射防止コーティングが施されている、請求項1ないし8のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項10】
前記複数の変調器のうちの第1の変調器がオフ状態にあるとき、前記第1の変調器によって変調されたそれぞれのカラー光入力は、光ダンプに向けられる、請求項1ないし9のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項11】
前記白色光入力を前記プリズムに向けるように構成された折り曲げミラーをさらに有する、
請求項1ないし10のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項12】
前記それぞれの変調器は、デジタルマイクロミラーデバイス、微小電気機械システム・アレイ、および液晶オンシリコン・アレイからなる群から選択される1つである、請求項1ないし11のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項13】
プロジェクター・システムにおいて白色光を使用する方法であって、当該方法は:
プリズム・アセンブリを用いて、白色光入力を受け取る段階と;
前記プリズム・アセンブリを用いて、前記白色光を複数の別個のカラー光入力に分離する段階であって、各カラー光入力が、ある照明角度で別個のプリズム経路に提供される、段階と;
各別個のプリズム経路におけるカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調する段階と;
前記プリズム・アセンブリ内で、各変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせる段階と;
前記白色光出力を投影レンズ・アセンブリに提供する段階と;
前記投影レンズ・アセンブリ内で前記白色光出力をフィルタリングする段階と;
フィルタリングされた白色光出力を投影する段階とを含む、
方法。
【請求項14】
前記カラー光入力は、赤色光、緑色光、および青色光を含み、各別個のプリズム経路におけるカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調する段階は、第1のカラー光変調器を用いて前記赤色光を変調し、第2のカラー光変調器を用いて前記緑色光を変調し、第3のカラー光変調器を用いて前記青色光を変調することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投影レンズ・アセンブリに含まれるレンズを用いて、前記白色光出力をフーリエ面上に合焦させる段階をさらに含み、前記フーリエ面が前記レンズの焦点面と一致する、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記投影レンズ・アセンブリ内で前記白色光出力をフィルタリングすることは、前記白色光出力の一つまたは複数の回折次数を遮断することを含む、請求項13ないし15のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
白色光照明を使用する投影システムであって:
白色光を複数の色チャネルに分離し、それらの色チャネルをそれぞれの変調器に向け直し、前記それぞれの変調器からの変調された色チャネルを白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムと;
前記白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリとを有しており、前記投影レンズ・アセンブリは、前記白色光出力を空間的にフーリエ変換するように構成された光学フィルタを含む、
投影システム。
【請求項18】
前記複数の色チャネルは、赤の色チャネル、緑の色チャネル、および青の色チャネルを含み、前記それぞれの変調器は、前記赤の色チャネルを変調するように構成された第1の変調器と、前記緑のチャネルを変調するように構成された第2の変調器と、前記青のチャネルを変調するように構成された第3の変調器とを含む、請求項17に記載の投影システム。
【請求項19】
前記プリズムは、前記白色光を前記複数の色チャネルに分離するように構成された内部全反射(TIR)プリズム・セグメントを含む、請求項17ないし18のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項20】
前記色チャネルのそれぞれは、同じ照明角度を有する、請求項17ないし19のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、以下の優先権出願の優先権を主張する:欧州特許出願第22163730.9号(整理番号D21099EP)(2022年3月23日出願)、米国仮特許出願第63/322,669号(整理番号D21099USP2)(2022年3月23日出願)、および米国仮特許出願第63/255,694号(整理番号D21099USP1)(2021年10月14日出願)(これらのそれぞれの全内容は、本明細書中に参考として援用される)。
【0002】
分野
本願は、概括的には投影システムに関し、特に、色分割反射プリズムと、プリズムによって提供される像のコントラストを高めるための光学フィルタとの関連で白色光を送達する単一照明アセンブリを含む投影システムに関する。
【背景技術】
【0003】
プロジェクターのコントラストは、プロジェクターの最も暗い出力に対するプロジェクターの最も明るい出力を示す。コントラスト比は、プロジェクターの最も明るい出力のルミナンスとプロジェクターの最も暗い出力のルミナンスとの比として定義される、コントラストの定量化可能な尺度である。コントラスト比のこの定義は、「静的」または「ネイティブ」コントラスト比とも呼ばれる。
【0004】
人間の視覚系の視覚順応のため、閲覧者によって検出可能なルミナンスの範囲は、約1,000,000,000:1のコントラスト比に対応するが、任意の瞬間において、検出可能なルミナンスの範囲は、この値よりも小さいコントラスト比に対応する。たとえば、人間の眼の桿体細胞によってのみ媒介される暗所視では、観察されるシーン、ユーザーの順応状態、および生物学的要因に依存して、任意の瞬間における検出可能なコントラスト比は、一部の閲覧者について1,000,000:1もの高さになることがある。
【0005】
映画館環境における閲覧者は、任意の瞬間に異なる順応状態にあることがあり、したがって、同じシーンを異なるコントラスト比で閲覧しうる。閲覧者間の順応状態の変化は、スクリーンに対する異なる座席位置、スクリーン上のどこに各閲覧者が焦点を合わせるか、および各閲覧者がいつ、どのくらいの頻度で目を閉じるかによるものでありうる。映画館は複数の閲覧者によって使用されるので、理想的なプロジェクターは、すべての閲覧者について画像を正確に再生するのに十分な高いコントラスト比を有する。
【0006】
デジタルシネマイニシアチブ(DCI)仕様に準拠するいくつかのプロジェクターは、2,000:1以下のコントラスト比を有する。これらのデジタル・プロジェクターについては、画像の暗い領域および/または黒い領域が、意図されたよりも明るく見えるほど十分に高いルミナンスで投影されることがある。
【0007】
さらに、多くのデジタルライトプロセッシング(DLP)プロジェクターは、カラープリズムを双方向に通る共通の光路を有する3チャネル・プリズム・アセンブリを使用する。カラープリズムは、各色チャネル(赤、緑、および青)の光を受け取り、各色チャネルを変調器に伝送し、変調器チャネルを白色光出力に組み合わせる。そのようなプロジェクターは、デュアルおよび/またはマルチ変調器プロジェクター・ディスプレイ・システムを有しうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数の色チャネルを受領して別々に変調するプロジェクター・ディスプレイ・システムは、たとえば70K:1などの高いコントラストを達成することができる。しかしながら、30K:1などのいくつかのプロジェクター・ディスプレイ・システムでは、より低いコントラストも許容可能でありうる。より低いコントラストが許容可能であるとき、各色チャネルは、独立した照明角度調整を必要としない。よって、本明細書に記載される実施形態は、白色光プリズムに白色光を送達する単一の照明アセンブリを提供する。白色光プリズムによる白色光の分割に続いて、各色チャネルは、色チャネルを変調する変調器に提供される。各色チャネルは同じ白色光入力から分離されたので、各色チャネルは同じ照明角度を有する。変調された色チャネルは、次いで、白色光出力として白色光プリズム内で再結合される。白色光出力は、白色光プリズムからの白色光出力を空間的にフーリエ変換するように構成された光学フィルタに提供される。
【0009】
本開示のさまざまな側面は、プロジェクター・システムにおける白色光照明のためのデバイス、システム、および方法に関する。ある実施形態は、白色光照明を使用する投影システムを提供する。投影システムは、白色光入力を受け取るように構成された照明アセンブリを含む。プリズムが、白色光入力を別個のカラー光入力に分離し、それらのカラー光入力をそれぞれの変調器に向け直し、それぞれの変調器からの変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせるように構成される。光学フィルタが、白色光出力を空間的にフーリエ変換して、フィルタリングされた白色光出力を生成するように構成される。投影レンズ・アセンブリが、フィルタリングされた白色光出力を投影するように構成される。
【0010】
別の実施形態は、プロジェクター・システムにおいて白色光を変調する方法を提供する。この方法は、プリズム・アセンブリを用いて、白色光入力を受け取るステップと、プリズム・アセンブリを用いて、白色光を複数の別個のカラー光入力に分離するステップであって、各カラー光入力が、ある照明角度で別個のプリズム経路に提供される、ステップとを含む。この方法は、各別個のプリズム経路内のカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調するステップと、プリズム・アセンブリ内で、各変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせるステップとを含む。この方法は、白色光出力を投影レンズ・アセンブリに提供するステップと、投影レンズ・アセンブリ内で白色光出力をフィルタリングするステップと、フィルタリングされた白色光出力を投影するステップとを含む。
【0011】
別の実施形態は、白色光照明を使用する投影システムを提供する。投影システムは、白色光を複数の色チャネルに分離し、それらの色チャネルをそれぞれの変調器に向け直し、それぞれの変調器からの変調された色チャネルを白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムを含む。投影システムは、白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリを含み、投影レンズ・アセンブリは、白色光出力を空間的にフーリエ変換するように構成された光学フィルタを含む。
【0012】
このように、本開示のさまざまな側面は、高ダイナミックレンジおよび高解像度を有する画像の表示を提供し、少なくとも画像投影、ホログラフィー、信号処理などの技術分野における改善をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
さまざまな実施形態のこれらのおよび他のより詳細で具体的な特徴は、添付の図面を参照して、以下の説明においてより完全に開示される。
【0014】
図1】ある実施形態による、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを改善するように構成された光学フィルタを示す。
【0015】
図2】デジタル・プロジェクターの一部として画像を生成するために使用される従来技術のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)200の一例の正面図である。
図3】デジタル・プロジェクターの一部として画像を生成するために使用される従来技術のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)200の一例の側面図である。
【0016】
図4】ある実施形態による、DMDからの変調光をフィルタリングするように構成された光学フィルタの側面図である。
【0017】
図5】DMDおよびプロジェクター・レンズを有するデジタル・プロジェクターの一例の側面図である。
図6】DMDおよびプロジェクター・レンズを有するデジタル・プロジェクターの一例の側面図である。
【0018】
図7】オン変調光の例示的なフラウンホーファー回折パターンの強度プロットである。
図8】オフ変調光の例示的なフラウンホーファー回折パターンの強度プロットである。
【0019】
図9図4の光学フィルタ・マスクの例の正面図であり、光学フィルタ・マスクの透過領域の構成例を示す。
図10図4の光学フィルタ・マスクの例の正面図であり、光学フィルタ・マスクの透過領域の構成例を示す。
図11図4の光学フィルタ・マスクの例の正面図であり、光学フィルタ・マスクの透過領域の構成例を示す。
図12図4の光学フィルタ・マスクの例の正面図であり、光学フィルタ・マスクの透過領域の構成例を示す。
図13図4の光学フィルタ・マスクの例の正面図であり、光学フィルタ・マスクの透過領域の構成例を示す。
図14図4の光学フィルタ・マスクの例の正面図であり、光学フィルタ・マスクの透過領域の構成例を示す。
【0020】
図15】ある実施形態による、空間多重化方式での各色チャネルの光学フィルタリングを通じてコントラスト比の増大を達成する多色デジタル・プロジェクターを示す。
【0021】
図16】ある実施形態による、異なる色チャネルの時間多重化された光学フィルタリングを通じてコントラスト比の増大を達成するマルチカラー・デジタル・プロジェクターを示す。
【0022】
図17】ある実施形態による、図16のデジタル・プロジェクターへの入力光として使用される時間多重化された光についての光パワー対時間のプロットである。
【0023】
図18】3つのセクタを有する例示的なフィルタ・ホイールの正面図であり、セクタのそれぞれは、1つの光学フィルタ・マスクを有する。
【0024】
図19】6つのセクタを有する例示的なフィルタ・ホイールの正面図であり、セクタのそれぞれは、1つの光学フィルタ・マスクを有する。
【0025】
図20】ある実施形態による、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを改善するための方法を示す。
【0026】
図21】ある実施形態による、空間多重化方式で各色チャネルの光学フィルタリングを通して、コントラストが増大したカラー画像を投影するための方法を示す。
【0027】
図22】ある実施形態による、コントラストが増大したカラー画像を生成し投影する時間多重化方法を示す。
【0028】
図23】シミュレーションされた実験の側面図である。
【0029】
図24図23のシミュレーションされた実験について数値的に得られた、コントラスト比および光学効率対半頂角のプロットである。
図25図23のシミュレーションされた実験について数値的に得られた、コントラスト比および光学効率対半頂角のプロットである。
図26図23のシミュレーションされた実験について数値的に得られた、コントラスト比および光学効率対半頂角のプロットである。
【0030】
図27】光の波長が532nmであり、DMDのすべてのマイクロミラーがオン位置にあるときの、図23のシミュレーションされた実験についてのフラウンホーファー回折パターンである。
【0031】
図28】光の波長が617nmであり、DMDのすべてのマイクロミラーがオン位置にあるときの、図23のシミュレーションされた実験のフラウンホーファー回折パターンである。
【0032】
図29】マイクロミラーのオン傾斜角およびオフ傾斜角がそれぞれ+12.1度および-12.1度であるときに、617nmの波長で動作する図23のシミュレーションされた実験について数値的に得られたコントラスト比および光学効率のプロットである。
【0033】
図30図23のシミュレーション実験について数値的に得られた、コントラスト比対マイクロミラー傾斜角のプロットである。
図31図23のシミュレーション実験について数値的に得られた、コントラスト比対マイクロミラー傾斜角のプロットである。
【0034】
図32】532nmの波長で図23のシミュレーションされた実験について数値的に得られた、入力光の角度ダイバーシティの関数としてのコントラスト比および光学効率のプロットである。
【0035】
図33図23のシミュレーションされた実験のフラウンホーファー回折パターンであり、入力光の角度ダイバーシティによる回折ピークの広がりを示す。
図34図23のシミュレーションされた実験のフラウンホーファー回折パターンであり、入力光の角度ダイバーシティによる回折ピークの広がりを示す。
【0036】
図35】本開示のさまざまな側面による例示的な投影レンズ・システムを示す。
【0037】
図36図35の例示的な投影レンズ・システムの一部の例示的なレンズ構成を示す。
【0038】
図37図35の例示的な投影レンズ・システムの別の一部の例示的なレンズ構成を示す。
【0039】
図38図35の例示的な投影レンズ・システムの例示的な組み立てられたレンズ構成を示す。
【0040】
図39】投影システムの一例を示す。
【0041】
図40】9ピース・プリズム・システムおよび複数の照明アセンブリを含む、例示的投影システムを図示する。
【0042】
図41】白色光プリズム・システムおよび単一の照明アセンブリを含む例示的な投影システムを示す。
【0043】
図42】別個の色チャネル入力のための例示的な9ピース・プリズムを示す。
【0044】
図43】白色光入力のための内部全反射プリズムを有する例示的な白色光プリズムを示す。
【0045】
図44】内部全反射プリズムなしの例示的な白色光プリズムを示す。
【0046】
図45図41の例示的なプリズムとの関連で使用される例示的なウォビュレータを示す。
【0047】
図46】A~Bは、図41および図42の例示的なプリズムとの関連で使用される例示的なウォビュレータを示す。
【0048】
図47図41の投影システム内で白色光照明を使用する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示およびその諸側面は、コンピュータ実装される方法によって制御されるハードウェア、デバイス、または回路、コンピュータ・プログラム・プロダクト、コンピュータ・システムおよびネットワーク、ユーザーインターフェース、ならびにアプリケーションプログラミングインターフェース、ならびにハードウェア実装される方法、信号処理回路、メモリアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含む、さまざまな形態で具現されうる。上記の概要は、本開示のさまざまな側面の一般的な概念を与えることのみを意図しており、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【0050】
以下の説明では、本開示の一つまたは複数の側面の理解を与えるために、光学デバイス構成、タイミング、動作など、多数の詳細が記載される。これらの具体的な詳細は単に例であり、本願の範囲を限定することを意図していないことは、当業者には容易に明らかであろう。
【0051】
光学フィルタ
図1は、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを改善するように構成された1つの光学フィルタ110を示す機能図である。図1は、1つの使用シナリオにおける光学フィルタ110を示し、光学フィルタ110は、デジタル・プロジェクター100によって投影される画像のコントラストを増加させるためにデジタル・プロジェクター100において実装される。デジタル・プロジェクター100は、デジタル・プロジェクター100によって投影される画像を表す入力データに従って、入力光106を変調光104に変調する空間光変調器(SLM)102を含む。
【0052】
光学フィルタ110は、変調光104の一部114を遮断することによって変調光104をフィルタリングする。遮断部分114は、SLM 102がスクリーン116に向けて光を出力しないように制御されているときであっても、光学フィルタ110がない場合にデジタル・プロジェクター100がスクリーン116上に投影する光を含む。光フィルタ110は、変調光104の透過部分をフィルタリングされた光108として出力する。デジタル・プロジェクター100は、フィルタリングされた光108をスクリーン116上に投影する投影レンズ112を含む。光学フィルタ110がない場合、変調光104の遮断部分114は、デジタル・プロジェクター100の光度の下限に対応し、したがって、投影される画像がどれほど暗いかを決定する。変調光104の遮断部分114を遮断することによって、光学フィルタ110は下限を低減し、それによりデジタル・プロジェクター100のコントラストを増大させる。
【0053】
以下でより詳細に説明するように、変調光104の遮断部分114は、SLM 102から回折する入力光106によって生成される変調光104の一つまたは複数の回折次数に対応する。SLM 102は、(1)回折格子として作用する周期的構造を有し、(2)2つの状態(たとえば、オン状態およびオフ状態)の間で光をステアリングするように、入力光106の光学位相を変調する、任意のタイプの空間光変調器でありうる。一例では、図1のSLM 102は、複数のマイクロミラーを傾斜させることによって光をステアリングし、それにより入力光106の光位相を変調するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。他の例では、SLM 102は、反射型の液晶オンシリコン(LCOS)位相変調器、または透過型の液晶(LC)位相変調器であり、これらのそれぞれは、液晶の屈折率を変調することによって光をステアリングする。
【0054】
図2および図3は、それぞれ、デジタル・プロジェクター(たとえば、デジタル・プロジェクター100)の一部として画像を生成するために使用される1つの従来技術のDMD 200の正面図および側面図である。DMD 200は、SLM 102の一例である。以下の説明において、図2および図3を一緒に見るのが最善である。
【0055】
DMD 200は、マイクロ光電気機械システム(micro-opto-electromechanical systemMOEMS) SLMであり、xy平面(右手座標系220を参照)内に位置する基板204上に2次元長方形アレイで配置された複数の正方形マイクロミラー202を有する。ある種の実施形態では、DMD 200は、Texas Instrumentsからのデジタル光プロセッサ(DLP)である。各マイクロミラー202は、画像の1つのピクセルに対応してもよく、入力光206をステアリングするために、静電作動によって、x軸に対して-45度に配向された回転軸208のまわりに傾斜されてもよい。明確のために、図2は、DMD 200の四隅および中心にある代表的なマイクロミラー202のみを示し、図3では、すべてのマイクロミラー202にラベルが付けられているわけではない。
【0056】
図3は、入力光206をステアリングするために傾斜されたマイクロミラー202を示す。マイクロミラー202(1)は、オン位置で作動されて、入力光206をz軸(座標系120を参照)に平行なオン反射光306に鏡面反射する。マイクロミラー202(2)は、オフ位置で作動され、入力光206を、オフ反射光320を吸収するビームダンプ(図示せず)のほうに向けられたオフ反射光320に鏡面反射する。マイクロミラー202(3)は、非作動であり、基板204(たとえば、xy平面)に平行にフラットな状態で位置する。マイクロミラー202のそれぞれの前面304は、入力光206を反射するための反射面として作用する堆積金属(たとえば、アルミニウム)の層でコーティングされてもよい。ギャップ310は吸収性であってもよく、すなわち、ギャップ310に入る入力光206は基板204によって吸収される。明確のため、マイクロミラー202を基板204に物理的に結合する機械的構造は示されていない。本明細書の範囲から逸脱することなく、DMD 200は、オン反射光306およびオフ反射光320を図3に示されるものとは異なるそれぞれの方向に向けるように実装されてもよい。さらに、DMD 200は、マイクロミラー202が非作動時に基板204に対して角度をなすように構成されてもよい。
【0057】
DMD 200を有するデジタル・プロジェクターは、マイクロミラー202からの入力光206の鏡面反射のみを考慮することによって設計されてもよい。しかしながら、マイクロミラー202と、マイクロミラー202を分離するギャップ310とは、入力光206を回折する2次元格子を形成するように協働する。したがって、DMD 200から離れるほうに伝搬する変調光は、DMD 200の遠視野領域またはレンズの焦点面において、フラウンホーファー回折パターン(それぞれ、図7および図8の回折パターン700および800を参照)として観察可能な複数の回折次数を形成しうる。各回折次数は、DMD 200からそれぞれ固有の方向に伝播する1つの光ビームに対応する。設計により、DMD 200からの変調光の光パワーのほとんどは、鏡面反射されたオン反射光306およびオフ反射光320に対応するゼロ次回折次数にある。
【0058】
DMD 200による入力光206の回折は、DMD 200を使用するデジタル・プロジェクター(たとえば、光学フィルタ110がない場合の図1のデジタル・プロジェクター100)のプロジェクターコントラスト比(projector contrast ratio、PCR)を低減することがある。プロジェクターのPCRは、本明細書では、プロジェクターによって照明された投影スクリーンで測定されたオン光度とオフ光度(または、等価だが、第1の測光ルミナンスと第2の測光ルミナンス)の比として定義される。オン光度およびオフ光度は、プロジェクターがその最も明るい出力(たとえば、白)およびその最も暗い出力(たとえば、黒)をそれぞれ出力するように制御されるときに生成される。デジタル・プロジェクターがDMD 200を使用する場合、ONおよびOFF光度は、すべてのマイクロミラー202がそれぞれオンおよびオフ位置にあるときに生成される。
【0059】
DMD 200が入力光206をどのように回折するかは、多様なパラメータ、たとえば(1)入力光206の波長、(2)入力光206の方向、(3)DMD 200のピッチ212、(4)DMD 200のギャップ310の幅210、および(5)マイクロミラー202のオンおよびオフ傾斜角によって決定されうる。DMD 200のx方向およびy方向の両方において、ピッチ212は、図2に示されるように、幅210とマイクロミラーのエッジ長208との合計に等しい。ピッチ212は、5~15ミクロンであってもよい。幅210は1ミクロン未満であってもよい。一例では、ピッチ212は7~8ミクロンであり、幅210は0.7~0.9ミクロンである。
【0060】
図4は、デジタル・プロジェクター100のPCRを増加させるよう、DMD 200からの変調光402を空間的にフィルタリングするように構成された1つの光学フィルタ400の側面図である。光学フィルタ400は、光学フィルタ110の一実施形態である。DMD 200は、SLM 102の一実施形態である。光学フィルタ400において、DMD 200は、本発明の範囲から逸脱することなく、SLM 102の別の実施形態(たとえば、反射型LCOSまたは透過型LC位相変調器)によって置き換えられてもよい。光学フィルタ400は、変調光402をフーリエ面408上に合焦させることによって変調光402を空間的にフーリエ変換するレンズ404を含む。変調光402は、図4において複数の矢印として示されており、各矢印は、それぞれの回折次数に対応し、回折次数が伝播する固有の方向を指す。レンズ404は、光軸422を定義する。ある実施形態では、DMD 200は、図4に示されるように、光軸422上に中心がある。別の実施形態では、DMD 200は、光軸422から中心がずれている。レンズ404は焦点距離410を有し、フーリエ面408はレンズ404の焦点面と一致する。フーリエ面408に配置された光学フィルタ・マスク412は、レンズ404によってフーリエ変換された変調光402を空間的にフィルタリングする。レンズ404によって課される空間フーリエ変換は、変調光402の各回折次数の伝播角度をフーリエ面408上のそれぞれの空間位置に変換する。レンズ404は、それにより、フーリエ面408における空間フィルタリングによって、所望される回折次数の選択、および所望されない回折次数の拒否を可能にする。フーリエ面408における変調光402の空間フーリエ変換は、変調光402のフラウンホーファー回折パターンと等価である。
【0061】
光学フィルタ・マスク412は、少なくとも1つの透過領域416を有し、該透過領域は、少なくとも1つの回折次数の変調光402を、フィルタリングされた光414として光学フィルタ・マスク412を通して完全にまたは部分的に透過させるように構成される。ある種の実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、変調光402の望まれない回折次数が入射するところでは実質的に不透明である。いくつかの実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、光学フィルタ・マスク412が透過領域416を有しないところでは実質的に不透明である。他の実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、所望される回折次数を所望されない回折次数から空間的に分離するように、所望される回折次数を透過ではなく、反射するように構成される。
【0062】
ある実施形態では、光学フィルタ400は、フィルタリングされた光414をコリメート光420にコリメートするコリメート・レンズ418を伴って構成される。コリメーション・レンズ418は、光学フィルタ400と他の光学素子または光学系との統合を容易にしうる。たとえば、レンズ418は、フィルタリングされた光414を、光学フィルタ400の後に位置する追加的な光学系(たとえば、図15を参照して以下に説明する投影レンズ112またはビーム組み合わせ器1504)に光学的に結合することができる。コリメート・レンズ418は、焦点距離424を有し、コリメート・レンズ418の焦点面がフーリエ面408と一致するように位置決めされる。焦点距離410および424は、図4では等しいものとして示されているが、焦点距離410および424は、ある種の実施形態では、互いに異なっていてもよい。別の実施形態では、光学フィルタ400は、フィルタリング光414を光学フィルタ400の後に位置する付加的な光学系(たとえば、プロジェクター・レンズ112)に光学的に結合するコリメート・レンズ418と同様のレンズを伴って構成される。
【0063】
明確のため、図4は、1つの次元(たとえば、x方向)に回折する回折ビームのみを示す。しかしながら、DMD 200は、変調光402が、光軸422に垂直な第2の次元(たとえば、y方向)にDMD 200によって回折された回折ビームも含むように、2次元的回折する。2次元回折パターンにおける各回折ビームは、2つの次元のそれぞれについて回折ビームの回折次数を識別する整数の対によってラベル付けされてもよい。本明細書では、「ゼロ次」は、2つの次元の両方において次数ゼロを有する1つの回折ビームを指す。また、本明細書の範囲から逸脱することなく、変調光402の一部として図4に示される各矢印は、ゼロ次回折次数および複数の1次回折次数などの隣接する回折次数のグループを示すことができる。
【0064】
図5および図6は、DMD 200およびプロジェクター・レンズ112を含むが、光学フィルタ110を含まない1つのデジタル・プロジェクター500の側面図である。図5および図6は、DMD 200からの変調光402の回折次数がデジタル・プロジェクター500のPCRをどのように低減するかを示す。DMD 200は、SLM 102の一実施形態である。デジタル・プロジェクター500において、DMD 200は、本発明の範囲から逸脱することなく、SLM 102の別の実施形態(たとえば、反射型LCOSまたは透過型LC位相変調器)によって置き換えられてもよい。図5において、デジタル・プロジェクター500は、DMD 200のすべてのマイクロミラー202をオン位置に作動させることによってオン光度を生成する(拡大図516のマイクロミラー202(1)を参照)。図6において、デジタル・プロジェクター500は、DMD 200のすべてのマイクロミラー202をオフ位置に作動させることによってオフ光度を生成する(拡大図616におけるマイクロミラー202(2)を参照)。図5および図6において、DMD 200およびプロジェクター・レンズ112は、x方向およびy方向(座標系220を参照)において、光軸422を中心としている。以下の説明において、図5および図6を一緒に見るのが最善である。
【0065】
図5において、DMD 200は、入力光206を複数のオン回折ビーム504を有するオン変調光502に回折する。図6において、DMD 200は、入力光206を複数のオフ回折ビーム604を有するオフ変調光602に回折する。DMD 200の遠視野(far-field)領域において、オン回折ビーム504のそれぞれは、オン変調光502によって形成されるフラウンホーファー回折パターンの1つの回折次数またはピークに対応し、オフ回折ビーム604のそれぞれは、オフ変調光602によって形成されるフラウンホーファー回折パターンの1つの回折次数またはピークに対応する。DMD 200の遠視野領域では、オン回折ビーム504およびオフ回折ビーム604のそれぞれは、複数の伝播方向510のうちの1つを有するkベクトルに対応する。図5および図6の例では、伝搬方向510は破線で表され、オン回折ビーム504およびオフ回折ビーム604のそれぞれは、伝搬方向510のうちの1つと整列され、回折ビームのパワーまたは強度に対応する長さを有する実線の矢印によって表される。
【0066】
本願の諸実施形態のある側面は、入力光206の固定された方向について、DMD 200のマイクロミラー202がオン位置とオフ位置との間で切り換えられるときに、オン回折ビーム504およびオフ回折ビーム604のパワー/強度が変化し、一方で、DMD 200のマイクロミラー202がオン位置とオフ位置との間で切り換えられるときに、オン回折ビーム504およびオフ回折ビーム604の伝播方向510が同じままであるという認識である。
【0067】
図5の例では、入力光206は、DMD 200を照明し、DMD 200に向かって伝搬する単色平面波であり、オン回折ビーム504(1)が光軸422に沿って伝搬する。オン回折ビーム504(1)は、オン変調光502のパワーの大部分を含む。オン回折ビーム504(1)は、オン変調光502のゼロ次回折次数、または複数の隣接する回折次数(たとえば、ゼロ次回折次数およびいくつかの1次回折次数)を表すことができる。
【0068】
図5はまた、オン回折ビーム504(1)とは異なる方向に沿って伝搬するが、依然としてプロジェクター・レンズ112のクリアなアパーチャ508を通過するオン回折ビーム504(2)を示す。オン回折ビーム504(2)のパワーは、オン回折ビーム504(1)のパワーより小さい。オン回折ビーム504(1)および504(2)を含む複数のオン回折ビーム518は、プロジェクター・レンズ112のクリアなアパーチャ508を通過し、プロジェクター・レンズは、この複数のオン回折ビーム518をオン投影光514として投影スクリーン上に投影する。
【0069】
図5はまた、クリアなアパーチャ508を外れる方向に沿って伝播するオン回折ビーム504(3)を示す。投影レンズ112は、オン回折ビーム504(3)を投影スクリーン上に投影しない。オン回折ビーム504(3)のパワーは、ON変調光502のパワーのごく一部である。したがって、オン投影光514からオン回折ビーム504(3)を除外することは、デジタル・プロジェクター500の光パワー効率に最小限の影響しか与えない。
【0070】
図6は、図5のそれぞれのオン回折ビーム504(1)、504(2)、504(3)に対応するオフ回折ビーム604(1)、604(2)、604(3)を示す。オフ回折ビーム604(3)は、光軸422から離れるほうに伝播し、クリアなアパーチャ508を外す。オフ変調光602のパワーの大部分はオフ回折ビーム604(3)内にあり、したがって投影スクリーン上に投影されない。
【0071】
図6において、オフ回折ビーム604(1)および604(2)は、クリアなアパーチャ508を通過して、オフ投影光614の一部として投影される。オフ回折ビーム604(1)および604(2)のパワーは、オフ回折ビーム604(3)のパワーと比較して小さい。しかしながら、オフ回折ビーム604(1)および604(2)のパワーは、デジタル・プロジェクター500のオフ光度を増加させ、それにより、デジタル・プロジェクター500のPCRを減少させる。
【0072】
オン変調光502の光パワーの大部分はオン回折ビーム504(1)内にあるので、クリアなアパーチャ508を通過してオン投影光514を形成する複数のオン回折ビーム504のうちの他のオン回折ビーム518は、比較的小さいパワーを含み、したがって、オン投影光514におけるパワーに無視できるほどしか寄与しない。しかしながら、クリアなアパーチャ508を通過する対応するオフ回折ビーム604は、オフ投影光614におけるパワーを著しく増加させ、デジタル・プロジェクター500のPCRを減少させることがある。
【0073】
本願の諸実施形態の別の側面は、上述のオン回折ビーム504(2)のような低い光パワーを有するオン回折ビームに対応する回折次数をフィルタリングして、デジタル・プロジェクター500の光パワー出力および効率の低下を最小限に抑えながらPCRを増加させることができるという認識である。フィルタリングする回折次数を識別するために、回折次数コントラスト比(diffraction order contrast ratio、DOCR)が使用されうる。クリアなアパーチャ508を通過する伝播方向510のそれぞれについて、DOCRは、同じ回折次数および伝播方向の対応するオン回折ビームおよびオフ回折ビームの対の光パワーの比として定義されうる。たとえば、図5および図6のオン回折ビーム504(1)およびオフ回折ビーム604(1)に対応する回折次数は、高いDOCRを有する。高いDOCRを有する回折次数は、PCRを増加させるのに有益であり、投影スクリーンへの投影のために有利に選択されうる。一方、オン回折ビーム504(2)およびオフ回折ビーム604(2)は、低いDOCRを有する回折次数に対応する。低いDOCRを有する回折次数はPCRを減少させ、有利には、デジタル・プロジェクター500のPCRを増加させるためにフィルタ除去されうる。
【0074】
明確のため、図5および図6は、1つの次元(たとえば、x方向)において回折する回折ビーム504、604のみを示す。しかしながら、DMD 200は、入力光206を2次元において回折するので、変調光502および602は、光軸512に垂直な第2の次元(たとえば、y方向)においてDMD 200によって回折された回折ビームも含む。2次元回折パターンにおける各回折ビームは、2つの次元のそれぞれについて回折ビームの回折次数を識別する整数の対によってラベル付けされてもよい。本明細書では、「ゼロ次」は、2つの次元の両方において次数ゼロを有する1つの回折ビームを指す。
【0075】
図7および図8は、それぞれ、オン変調光502およびオフ変調光602の例示的なフラウンホーファー回折パターン700および800の強度プロットである。回折パターン700および800は、DMD 200を用いて構成されるデジタル・プロジェクター100のある実施形態において実装される光学フィルタ400のある実施形態において、フーリエ面408においてレンズ404の一例によって生成されるフーリエ変換に対応する。回折パターン700および800は、以下の「数値解析」の項でより詳細に説明する手順に従って数値的に生成された。各回折パターンは、図5および図6の回折ビーム504または604のそれぞれに対応する複数の等間隔の回折ピークを含む。図7および図8の水平軸704および垂直軸706は、それぞれ、座標系220のx軸およびy軸に対する回折ピークの方向余弦を示す。図7および図8は、強度スケール708に従って回折パターン700および800の強度を示す。
【0076】
図7および図8の円702は、図5および図6の有効アパーチャ508を表す。円702内にある回折ピークは、それぞれオン投影光514およびオフ投影光614としてプロジェクター・レンズ112によって投影される回折ビーム518、618を表す。図7において、円702の中心における最も明るい(たとえば、最も高い強度の)回折ピーク710は、図5のオン回折ビーム504(1)および/またはゼロ次のON変調光502に対応する。円702の外側にある回折ピークは、投影スクリーン上に投影されない。
【0077】
図8において、オフ回折ビーム604(3)に対応する最も明るい回折ピーク810は、円702の外側の方向余弦のより高い値のところにあり、したがって、投影スクリーン上に投影されない。しかしながら、円702内の複数の低パワー回折ピーク812は、オフ投影光614として投影スクリーン上に投影され、オフ光度を増加させ、PCRを減少させる。
【0078】
PCRを増加させるために、光学フィルタ400は、オン光度よりもオフ光度に相対的に多く寄与する円702内にある回折次数を遮断することによってオフ光度を低減するように実装されうる。フラウンホーファー回折パターン700および800は、変調光402のフーリエ変換を表し、光学フィルタ・マスク412が投影のための所望される回折次数を透過させ、そうでなければ投影されるであろう他の全ての所望されない回折次数を遮断するように、透過領域416がどのように構成されうるかを示す。具体的には、レンズ404のパラメータを使用して、各所望される回折ピークに関連する方向余弦が、所望される回折ピークを光学フィルタ・マスク412を通して透過させるよう透過領域416が配置されうる光学フィルタ・マスク412上の空間位置に変換されうる。同様に、各所望されない回折ピークに関連する方向余弦は、所望されない回折ピークを遮断(たとえば、フィルタリング)するよう、光学フィルタ・マスク412が不透明である光学フィルタ・マスク412上の空間位置に変換されうる。
【0079】
ある実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、デジタル・プロジェクターのPCRおよび/または光パワー効率を最適化するように選択されたサイズ、幾何形状、位置、および配向を有する1つの透過領域416を含む。別の実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、複数の透過領域416を有し、サイズ、幾何形状、位置、および配向は、デジタル・プロジェクターのPCRおよび/または光パワー効率を最適化するように各透過領域416について選択される。
【0080】
図9図14は、図4の光学フィルタ・マスク412の例の正面図であり、透過領域(単数または複数)416の例示的な構成を示す。図9図14のそれぞれにおいて、対応するオン回折ビーム504およびオフ回折ビーム604の異なる対に関連する回折次数などの回折次数の複数の位置902が、2次元格子を形成するXによって示される。たとえば、図9において、位置902(2)は、光学フィルタ・マスク900によって遮断される1つの回折次数を示し、位置902(1)は、光学フィルタ・マスク900によって透過される1つの回折次数を示す。
【0081】
図9および図10は、それぞれ円形の透過領域904および1004を有する例示的な光学フィルタ・マスク900および1000を示す。円形透過領域904および1004のそれぞれは、穴または光に対して少なくとも部分的に透過性である材料でありうる。円形透過領域904および1004は、透過領域416の例である。円形透過領域904は、光学フィルタ・マスク900を通して1つの回折次数を透過させるような大きさにされる。円形透過領域1004は、光学フィルタ・マスクを通して複数の回折次数、たとえば、図9に示されるように、3×3グリッドを形成する9つの回折次数を透過させるような大きさにされる。図9および図10は、円形透過領域904および1004が、それぞれ光学フィルタ・マスク900および1000と中心を合わされ、光軸422を中心とするように示されているが、本明細書の範囲から逸脱することなく、円形透過領域904および1004は、中心から外れていてもよい。
【0082】
図11および図12は、それぞれ正方形の透過領域1104および1204を有する例示的な光学フィルタ・マスク1100および1200を示す。正方形の透過領域1104および1204のそれぞれは、穴または光に対して少なくとも部分的に透過性である材料でありうる。正方形の透過領域1104および1204は、透過領域416の例である。正方形の透過領域1104は、光学フィルタ・マスク1100と中心を合わされ、図11に示されるように、3×3グリッドを形成する9つの回折次数などの複数の回折次数を光学フィルタ・マスク1100を通して透過させるようにサイズ決定される。正方形の透過領域1204は、光学フィルタ・マスク1200と中心が外れており、2×2グリッドを形成する4つの回折次数などの複数の回折次数を光学フィルタ・マスク1200を通して透過させるようにサイズ決定される。
【0083】
図13は、光学フィルタ・マスク1300を通して3つの隣接する回折次数を透過させるように構成された不規則な多角形透過領域1304を有する例示的な光学フィルタ・マスク1300を示す。不規則な多角形の透過領域1304は、透過領域416の一例であり、穴または光に対して少なくとも部分的に透過性である材料であってもよい。
【0084】
図14は、複数の円形透過領域1404を有する例示的な光学フィルタ・マスク1400を示し、各円形透過領域は、4つの透過領域1404など、光学フィルタ・マスク1400を通して1つの回折次数を透過させるように位置決めされ、サイズ決めされる。円形透過領域1404は、複数の透過領域416の一例である。
【0085】
透過領域416は、本明細書の範囲から逸脱することなく、図9図14の例に示されるものとは別の形状、サイズ、および位置を有してもよい。あるクラスの実装では、図9図14に示される透過領域416の例のそれぞれは、(たとえば、ドリル加工、フライス加工、またはエッチングによって)光学フィルタ・マスク412に形成された穴である。別のクラスの実装では、図9図14に示される透過領域416の例のそれぞれは、光学フィルタ・マスク412に物理的に結合された、または光学フィルタ・マスク412内に埋め込まれた、光学的に透明な窓、光学的に半透明な窓、またはカラーフィルタ(たとえば、ダイクロイックフィルタまたは薄膜フィルタ)である。図9図14の例では、光学フィルタ・マスク(たとえば、光学フィルタ・マスク900)は円形であり、これらの光学フィルタ・マスクのそれぞれは、本明細書の範囲から逸脱することなく、代わりに別の形状(たとえば、正方形または長方形)を有してもよい。図9図14の例のうちのいくつか(たとえば、光学フィルタ・マスク900および1000)では、光学フィルタ・マスクは、光軸422を中心とするように構成され、これらの光学フィルタ・マスクのそれぞれは、その代わりに、本明細書の範囲から逸脱することなく、光軸422から中心がずれるように構成されてもよい。
【0086】
光学フィルタ・マスク412は、アルミニウムまたはステンレス鋼などの金属から形成されてもよい。金属は、光学フィルタ・マスク412によって遮断される光の吸収を高めるために、陽極酸化または黒色化されてもよい。あるいはまた、光学フィルタ・マスク412は、透過領域416がエッチングまたは研削されるシリコンなどの半導体基板から形成されてもよい。別の実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、透過領域416と一致しないエリア内の光を遮断するために、光吸収材料(たとえば、黒色塗料)でコーティングされた光学的に透明な基板(たとえば、ガラス)から形成される。別の実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、電子制御ミラーのアレイなどの動的に構成可能な透過領域416を有するアクティブ光学フィルタ・マスクである。
【0087】
図15は、空間的に多重化された方式で各色チャネルの光学フィルタリングを通じてPCRの増加を達成する1つのマルチカラー・デジタル・プロジェクター1500を示す。デジタル・プロジェクター1500は、複数の光学フィルタ400と、対応する数のDMD 200とを有する。各光学フィルタ400は、それぞれのDMD 200と対になって、異なるそれぞれの原色で機能する。各DMD 200は、SLM 102の一実施形態である。デジタル・プロジェクター1500において、各DMD 200は、本明細書の範囲から逸脱することなく、SLM 102の別の実施形態(たとえば、反射型LCOSまたは透過型LC位相変調器)によって置き換えられてもよい。図15は、3つの色チャネルを有するものとしてデジタル・プロジェクター1500を示し、以下の説明は、これらの3つの色チャネルに関する。しかしながら、デジタル・プロジェクター1500は、代わりに、2つの色チャネルのみ、または3つよりも多い色チャネルを用いて構成されてもよいことを理解されたい。
【0088】
DMD 200(1)、200(2)、および200(3)は、それぞれの入力光206(1)、206(2)、および206(3)をそれぞれの変調光402(1)、402(2)、および403(3)に変調し、これらの変調光は、それぞれの光フィルタ400(1)、400(2)、および400(3)によってそれぞれのフィルタリングされた光414(1)、414(2)、および414(3)に光学的にフィルタリングされる。デジタル・プロジェクター1500は、フィルタリングされた光414(1)、414(2)、および414(3)を多色光1510に組み合わせるビーム組み合わせ器1504をさらに含む。プロジェクター・レンズ112は、多色光1510を投影スクリーンに投影するように構成される。デジタル・プロジェクター1500は、多色光を出力するよう、3つの別個の色入力を扱うように拡張されたデジタル・プロジェクター100の実施形態である。
【0089】
ある実施形態では、デジタル・プロジェクター1500は、それぞれのフィルタリングされた光414(1)、414(2)、および414(3)をそれぞれのコリメートされた光420(1)、420(2)、および420(3)にコリメートするコリメート・レンズ418(1)、418(2)、および418(3)を含む。この実施形態では、ビーム組み合わせ器1504は、図15に示されるように、コリメートされた光420(1)、420(2)、および420(3)を組み合わせる。コリメート・レンズ418を含まないデジタル・プロジェクター1500の実施形態では、ビーム組み合わせ器1504は、コリメートされていないフィルタリングされた光414(1)、414(2)、および414(3)を組み合わせる。
【0090】
ある実施形態では、デジタル・プロジェクター1500は、入力光206(1)、206(2)、および206(3)をそれぞれのDMD 200(1)、200(2)、および200(3)に反射し、それぞれの変調光402(1)、402(2)、および402(3)をそれぞれの光フィルタ400(1)、400(2)、および400(3)に透過させる内部全反射(TIR)プリズム1502(1)、1502(2)、および1503(3)を含む。デジタル・プロジェクター1500は、図15に示されるように、コリメートされた光420(1)および420(3)をビーム組み合わせ器1504にステアリングするミラー1506および1508を備えて構成されてもよい。図15では、クロスダイクロイック、またはxキューブプリズムとして示されているが、ビーム組み合わせ器1504は、当技術分野で知られている別のタイプのビーム組み合わせ器であってもよい。
【0091】
デジタル・プロジェクター1500の一実装では、第1、第2、および第3の原色は、それぞれ赤、緑、および青である。入力光206(1)、206(2)、および206(3)が単色であるとき、各入力光206(1)、206(2)、および206(3)の波長は、入力光206(1)、206(2)、および206(3)がそれぞれ、スペクトル的に純粋である赤、緑、および青の原色を表すように選ばれてもよい。1つのそのような例では、赤の原色を表す入力光206(1)の波長は、615nm、640nm、および655nmのうちの1つであり、緑の原色を表す入力光206(2)の波長は、525nm、530nm、および545nmのうちの1つであり、青の原色を表す入力光206(3)の波長は、445nm、450nm、および465nmのうちの1つである。あるいはまた、入力光206(1)、206(2)、および206(3)は、赤、緑、および青の原色がスペクトル的に純粋な色ではないように、多色であってもよい。本発明の範囲から逸脱することなく、三原色は、赤、緑、および青とは異なる色の組であってもよい。
【0092】
デジタル・プロジェクター1500は、各原色(たとえば、赤、緑、および青)のPCRを増加させることによってPCRを増加させる。デジタル・プロジェクター1500によって使用されるいくつかの光学プロセスは、DMD 200による入力光206の回折、TIRプリズム1502による変調光402の屈折、およびレンズ404による変調光402の合焦を含めて、波長に依存する。したがって、変調光402(1)、402(2)、402(3)のそれぞれのフラウンホーファー回折パターンは波長に依存する。ある実施形態では、光学フィルタ・マスク412(1)、412(2)、および412(3)は、それぞれ、第1、第2、および第3の原色のPCRを増加させるように、それぞれの入力光206(1)、206(2)、および206(3)のそれぞれの波長に基づいて個々に構成される。
【0093】
図16は、異なる色チャネルの時分割多重化された光フィルタリングを通じてPCRの増加を達成するマルチカラー・デジタル・プロジェクター1600の一例を示す。デジタル・プロジェクター1600は、1つのDMD 200と、フィルタ・ホイール1612を有する1つの光学フィルタ1610とを含む。図17は、デジタル・プロジェクター1600への入力光として使用される時間多重化光1601についての光パワー対時間のプロットである。図18および図19は、フィルタ・ホイール1612の例を示す。図16図19は、以下の説明において一緒に閲覧されるのが最善である。
【0094】
時間多重化光1601は、複数の時間的に分離された入力光206の繰り返しシーケンス1702を含む。デジタル・プロジェクター1600は、3つの異なる色の入力光を受け入れて出力するように構成されてもよいが、図17図19および以下の説明は、デジタル・プロジェクター1600の3色の実施形態に関する。この実施形態では、時間多重化光1601は、時間的に分離された入力光206(1)、206(2)、および206(3)を含む。図17は、時間多重化光1601の一例を示し、シーケンス1702は、入力光206(1)の第1のパルス、入力光206(2)の第2のパルス、および入力光206(3)の第3のパルスを含む。入力光206(1)、206(2)、および206(3)は、それぞれ、赤、緑、および青の原色を表すことができる。入力光206(1)、206(2)、206(3)のパルスは、同じDMD 200、光学フィルタ1610、投影レンズ112を使用するように空間的に重ね合わされる。図17の例では、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスは、同様のパワー(たとえば、パルス高さ)、持続時間(たとえば、パルス幅)、およびパルス間の「オフ」時間(たとえば、パルス間隔)を有するものとして示されている。デジタル・プロジェクター1600は、本明細書の範囲から逸脱することなく、パワー、持続時間、および「オフ」時間の他の構成によって特徴付けられる入力光206を受け入れることができる。たとえば、入力光206(1)、206(2)、および206(3)の第1、第2、および第3のパルスのうちの選択された1つは、選択されたパルスに対応する入力光の波長におけるDMD 200のより低い回折効率を補償するために、より高いパワーを有しうる。
【0095】
DMD 200は、画像に従って、時間多重化光1601の入力光206(1)、206(2)、および206(3)を時間多重化変調光1602に同期的に変調するように構成される。言い換えれば、DMD 200のマイクロミラー202は、時間多重化変調光1602が第1の入力光206(1)であるときに第1の構成を有し、時間多重化変調光1602が第2の入力光206(2)であるときに第2の構成を有し、時間多重化変調光1602が第3の入力光206(3)であるときに第3の構成を有するように操作される。第1、第2、および第3の構成は、異なってもよい。DMD 200は、SLM 102の一実施形態である。デジタル・プロジェクター1600において、DMD 200は、本発明の範囲から逸脱することなく、SLM 102の別の実施形態(たとえば、反射型LCOSまたは透過型LC位相変調器)によって置き換えられてもよい。
【0096】
光学フィルタ1610は、フィルタ・ホイール1612が光学フィルタ・マスク412に取って代わることを除いて、図4の光学フィルタ400と同様である。フィルタ・ホイール1612は、時間多重化変調光1602の入力光206(1)、206(2)、および206(3)を同期的にフィルタリングするように構成された複数の光フィルタ・マスク412を含む。たとえば、フィルタ・ホイール1612が第1、第2、および第3の入力光206(1)、206(2)、および206(3)に対応する第1、第2、および第3の光学フィルタ・マスクを含む実施形態では、モーター1614は、時間多重化変調光1602が第1の入力光206(1)であるときに、第1の光学フィルタ・マスク412がフーリエ面408において時間多重化変調光1602を受け止めてフィルタリングし、時間多重化変調光1602が第2の入力光206(2)であるときに、第2の光学フィルタ・マスク412がフーリエ面408において時間多重化変調光1602を受け止めてフィルタリングし、時間多重化変調光1602が第3の入力光206(3)であるときに、第3の光学フィルタ・マスク412がフーリエ面408において時間多重化変調光1602を受け止めてフィルタリングするように、フィルタ・ホイール1612を回転させる。
【0097】
デジタル・プロジェクター1600のある実施形態では、モーター1614は、フィルタ・ホイール1612をステップ式に回転させて、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスのシーケンスと同期的に異なる光学フィルタ・マスク412の間で切り換え、一方で、フーリエ面408を通るこれらのパルスのそれぞれの伝搬中にフィルタ・ホイール1612の静止位置を維持する。この実施形態では、モーター1614は以下のように動作する。入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスがフーリエ面408に到達する前に、モーター1614は、フィルタ・ホイール1612を回転させて、対応する光学フィルタ・マスク412をフーリエ面408における時間多重化変調光1602の経路内に位置決めする。フィルタリングされた光の対応するパルスが光学フィルタ・マスク412を通って伝搬し終えた後、モーター1614は、フィルタ・ホイール1612を回転させて、次の光学フィルタ・マスク412をフーリエ面408において時間多重化された変調光1602の経路内に位置決めする。
【0098】
ある種の実施形態では、時間多重化変調光1602を合焦させるために光学フィルタ1610内に実装されるようなレンズ404は、レンズ404の焦点距離を波長とともに変化させる色収差を低減させるように構成されてもよい。そのようなある実施形態では、レンズ404は、3つの波長のそれぞれに対応するフーリエ面が同様に位置決めされるように、入力光206(1)、206(2)、206(3)の波長で同様に合焦するように設計された色消しレンズである。別のそのような実施形態では、レンズ404は、アポクロマティック・レンズ、超色消しレンズ、対物レンズ、複数のレンズ要素を有する複合レンズ、いくつかのレンズおよび/または他の光学要素のアセンブリ、あるいは当技術分野で知られている別のタイプのレンズである。レンズ404は、入力光206(1)、206(2)、206(3)の波長でレンズ404を通る時間多重化変調光1602の透過を高める一つまたは複数の反射防止コーティングを有していてもよい。
【0099】
ある実施形態では、デジタル・プロジェクター1600は、フィルタ・ホイール1612によって透過されるようなフィルタリングされた時間多重化光を、プロジェクター・レンズ112によってスクリーン上に投影されるコリメートされた時間多重化光1606にコリメートするコリメート・レンズ1618を備えて構成される。別の実施形態では、プロジェクター・レンズ112は、コリメートされていない時間多重化光を受け入れるように構成され、コリメート・レンズ1618は、デジタル・プロジェクター1600に含まれない。
【0100】
図18は、それぞれが1つの光学フィルタ・マスクを含む3つのセクタ1802を有する1つのフィルタ・ホイール1800の正面図である。フィルタ・ホイール1800は、フィルタ・ホイール1612の一例である。モーター1614は、フィルタ・ホイール1800を軸1804のまわりに回転させ、フィルタ・ホイール1800の各回転は、時間多重化光1602の1つのシーケンス1702に対応する。いくつかの実施形態では、モーター1614は、前述のように、フィルタ・ホイール1800をステップ式に回転させる。図18の例では、第1のセクタ1802(1)の第1の光学フィルタ・マスクは、図9の例示的な光学フィルタ・マスク900として示され、第2のセクタ1802(2)の第2の光学フィルタ・マスクは、図13の例示的な光学フィルタ・マスク1300として示され、第3のセクタ1802(3)の第3の光学フィルタ・マスクは、図14の例示的な光学フィルタ・マスク1400として示される。しかしながら、セクタ1802の光学フィルタ・マスクは、本明細書の範囲から逸脱することなく、図18に示されるもの以外の形状、サイズ、および位置を有する透過領域(たとえば、透過領域416)を備えて構成されてもよい。
【0101】
ある実施形態では、デジタル・プロジェクター1600は、ある種の時間的アーチファクトなしに画像を表示するように構成され、シーケンス1702の持続時間は、この目的のために、人間の視覚系の応答時間よりも短い。たとえば、シーケンス1702の持続時間の逆数に等しい時間多重化光1601の多重化周波数は、視覚の持続性を利用するように、フリッカー融合レートよりも高くてもよい。多重化周波数は、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のそれぞれについて1ミリ秒未満のパルス幅に対応する1キロヘルツ以上であってもよい。
【0102】
図19は、それぞれが1つの光学フィルタ・マスクを含む6つのセクタ1902を有する別のフィルタ・ホイール1900の正面図である。モーター1614は、フィルタ・ホイール1900のそれぞれの完全な回転がシーケンス1702の2回の連続した逐次反復に対応するように、フィルタ・ホイール1900を軸1804の周りで回転させる。フィルタ・ホイール1800に対するフィルタ・ホイール1900の1つの利点は、フィルタ・ホイール1900が時間多重化光1601の多重化周波数の半分で回転し、それによりモーター1614の電力消費および速度要件を低減することである。別の実施形態では、フィルタ・ホイール1612は3×n個のセクタを有し、nは正の整数である。3つのセクタの各セットは3つの光学フィルタ・マスクを含み、フィルタ・ホイール1900のそれぞれの完全な回転はシーケンス1702のn回の連続する逐次反復に対応し、それによりモーター1614およびフィルタ・ホイール1612が時間多重光1601の多重周波数の1/n倍の周波数で回転することを許容する。1つの使用シナリオでは、モーター1614は、フィルタ・ホイール1900をステップ式に回転させて、フィルタ・ホイール1900の各光学フィルタ・マスクが、入力光206の対応するパルスをフィルタリングする間、静止しているようにする。
【0103】
図20は、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを改善するための方法2000を示す。方法2000は、光学フィルタ400によって実行されてもよい。方法2000は、空間光変調器からの変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するステップ2002を含む。変調された光は、複数の回折次数を含む。ステップ2002の一例では、レンズ404は、変調光402をフーリエ面408上に空間的にフーリエ変換する。方法2000は、ステップ2002によってフーリエ変換された変調光をフィルタリングするステップ2004も含む。ステップ2004は、同時に発生しうる2つのステップ2006および2008を含む。ステップ2006は、フーリエ面で変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させる。ステップ2008は、フーリエ面で変調光の残りの部分を遮断する。ステップ2006および2008の一例では、光学フィルタ・マスク412は、フーリエ面408において、変調光402の少なくとも1つの回折次数を透過領域(単数または複数)416を通して透過させ、フーリエ面408において、変調光402の残りの部分を遮断する。ステップ2006および2008の別の例では、光学フィルタ・マスク412は、フーリエ面408において透過領域416を通して変調光402のゼロ次の回折次数を透過させ、フーリエ面408において変調光402の残りの部分を遮断する。方法2000の別の例では、変調光402は単色光である。方法2000の別の例では、変調光402は、赤色光、緑色光、および青色光のうちの1つである。方法2000の別の例では、変調光402は、赤色光、緑色光、および青色光を組み合わせることによって形成される多色光である。この例では、変調光402は白色光であってもよい。ある実施形態では、方法2000は、ステップ2006の後に、透過された変調光の少なくとも1つの回折次数をコリメートするステップ2010をさらに含む。ステップ2010の一例では、コリメート・レンズ418が、フィルタリングされた光414をコリメートする。
【0104】
図21は、空間的に多重化された方式で、各色チャネルの光学フィルタリングを通して、増加されたコントラストをもつカラー画像を投影するための方法2100を示す。方法2100は、デジタル・プロジェクター1500によって実行されてもよい。方法2100は、第1、第2、および第3の入力光を画像に従って空間的に変調して、それぞれの第1、第2、および第3の変調光を生成するステップ2102を含む。第1、第2、および第3の入力光は、たとえば図15を参照して上述したように、カラー画像の3つの異なるそれぞれの色チャネルの光を表す。第1、第2、および第3の変調光のそれぞれは、複数の回折次数を含む。ステップ2102の一例では、図15のDMD 200(1)、200(2)、および200(3)は、それぞれの第1、第2、および第3の入力光206(1)、206(2)、および206(3)をそれぞれの第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)に空間的に変調する。方法2100はまた、第1、第2、および第3の変調光(ステップ2102で生成された)をそれぞれの第1、第2、および第3のフィルタリングされた光にフィルタリングするステップ2104を含む。ある実施形態では、ステップ2104は、第1、第2、および第3の変調光のそれぞれに対して方法2002を実行して、第1、第2、および第3のフィルタリングされた光を生成する。ステップ2104のそのような実施形態の一例では、デジタル・プロジェクター1500の光学フィルタ・マスク412(1)、412(2)、および412(3)は、フーリエ変換されたそれぞれの第1、第2、および第3の変調された光402(1)、402(2)、および402(3)を、それぞれの第1、第2、および第3のフィルタリングされた光414(1)、414(2)、および414(3)にフィルタリングする。ステップ2104は、同時に行われてもよいステップ2106および2108を含む。ステップ2106は、第1、第2、および第3の変調光のそれぞれの少なくとも1つの回折次数を透過させる。ステップ2108は、第1、第2、および第3の変調光の残りの部分を遮断する。ステップ2106および2108の一例では、デジタル・プロジェクター1500の光学フィルタ・マスク412(1)、412(2)、および412(3)は、フーリエ変換された第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)のそれぞれの少なくとも1つの回折次数を透過し、第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)の残りの部分を遮断する。方法2100は、ステップ2104で生成された第1、第2、および第3のフィルタリングされた光を組み合わせて出力光を形成するステップ2110も含む。ステップ2110の一例では、ビーム組み合わせ器1504が、第1、第2、および第3のフィルタリングされた光414(1)、414(2)、および414(3)を出力光1510に組み合わせる。ある実施形態では、方法2100は、出力光をスクリーン上に投影するステップ2112をさらに含む。ステップ2112の一例では、プロジェクター・レンズ112は、出力光1510をスクリーン116などのスクリーン上に投影する。
【0105】
本明細書の範囲から逸脱することなく、方法2100は、2つの色チャネルのみ、または3つよりも多い色チャネル、たとえば4つの色チャネルを処理するように拡張されうる。
【0106】
図22は、コントラストを高めたカラー画像を生成し投影する時間多重化方法2200を示す。方法2200は、デジタル・プロジェクター1600によって実行されてもよい。方法2200は、投影されるカラー画像に従って、空間光変調器を用いて時間多重化光を変調して、第1、第2、および第3の変調光の繰り返しシーケンスを有する時間多重化変調光を生成するステップ2202を含む。第1、第2、および第3の変調光は、たとえば図16を参照して上述したように、カラー画像の3つの異なるそれぞれの色チャネルの光を表す。ステップ2202の一例では、デジタル・プロジェクター1600のDMD 200は、時間多重化光1601を時間多重化された変調光1602に変調する。方法2200は、(ステップ2202で生成された)時間多重化された変調光をレンズで空間的にフーリエ変換するステップ2204も含む。ステップ2204の一例では、レンズ1604が、時間多重化された変調光1602を空間的にフーリエ変換する。方法2200は、時間多重化された変調光と同期してフィルタ・ホイールを回転させることによって、ステップ2204によって空間的にフーリエ変換された時間多重化された変調光をフィルタリングするステップ2206をさらに含む。フィルタ・ホイールは、複数の光学フィルタ・マスクを含み、各光学フィルタ・マスクは、ステップ2204においてレンズによって空間的にフーリエ変換された第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つをフィルタリングするように構成される。ステップ2206は、フィルタ・ホイールを回転させて、各光学フィルタ・マスクを、時間多重化された変調光が第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つであるときに空間フーリエ変換された光の中に位置決めする。ステップ2206の一例では、図16を参照して上述したように、モーター1614は、時間多重化された変調光1602と同期してフィルタ・ホイール1612を回転させる。ステップ2206の別の例では、モーター1614は、各光学フィルタ・マスクが、対応する変調された光をフィルタリングする間、静止しているように、フィルタ・ホイール1612をステップ式に回転させる。ある実施形態では、方法2200は、フィルタリングされた時分割多重化された変調光をスクリーン上に投影するステップ2208をさらに含む。ステップ2208の一例として、プロジェクター・レンズ112が、光学フィルタ・マスク1612によってフィルタリングされ、任意的にはコリメート・レンズ1618によってコリメートされた時間多重化光をプロジェクター・スクリーン上に投影する。
【0107】
本明細書の範囲から逸脱することなく、方法2200は、2つの色チャネルのみ、または3つよりも多い色チャネル、たとえば4つの色チャネルを処理するように拡張されうる。
【0108】
数値解析
以下の説明は、DMD 200を備えて構成されたデジタル・プロジェクターのコントラスト比が、波長、マイクロミラー202のオンおよびオフ傾斜角、オンおよびオフ傾斜角の公差、光学フィルタ・マスク412の透過領域416の幾何形状、入力光206の角度およびスペクトル・ダイバーシティ、ならびに入力光206を生成する照明源の有効サイズを含むさまざまなパラメータにどのように依存するかを研究するための数値解析に関する。デジタル・プロジェクター100、500、1500、および1600は、これらの数値解析で調べられたパラメータに従って構成されてもよい。
【0109】
図23は、数値的な結果がこのセクションに提示されるシミュレーション実験2300の側面図である。シミュレーション実験2300では、DMD 200は、入力光206を複数の回折次数を含む変調光402に変調する。変調光402のフラウンホーファー回折パターンが計算され、空間フィルタ2302の幾何形状および構成に依存して、フラウンホーファー回折パターンの各回折次数を空間フィルタ2302によって透過されるかまたは遮断されるかのいずれかとしてラベル付けすることによって、空間フィルタ2302がモデル化される。空間フィルタ2302は、光学フィルタ・マスク412の一例である。シミュレーション実験2300のコントラスト比は、DMD 200のマイクロミラー202がオン位置にあるように構成されるときに一度、DMD 200のマイクロミラー202がオフ位置にあるように構成されるときに再び、空間フィルタ2302によって透過されるものとしてラベル付けされた回折次数を数値的に積分することによって得られる。これら2つの数値積分は、それぞれオンおよびオフ光度に対応し、その比はコントラスト比を定義する。
【0110】
シミュレーション実験2300について、フラウンホーファー回折パターンは、スカラー回折理論のレイリー・ゾンマーフェルト形式を用いて計算されうる。この形式は、回折された電場の複素振幅を球面波にわたる積分(たとえば、和)として表すレイリー・ゾンマーフェルト積分を特徴とする。
【0111】
本明細書に提示される数値解析は、DMD 200に限定されず、反射型LCOS位相変調器または透過型LC位相変調器などのSLM 102の他の実施形態に容易に拡張されることが理解される。
【0112】
図24図26は、シミュレーション実験2300について数値的に得られた、コントラスト比および光学効率対半頂角(semi-angle)のプロットである。図24図26の結果を生成するために、空間フィルタ2302は、光軸422を中心とし、アパーチャ直径2304を有する円形アパーチャとしてモデル化された。空間フィルタ2302は、変調光402のゼロ次回折次数(たとえば、第1のオン回折ビーム504(1)およびオフ回折ビーム604(1))を中心とした。空間フィルタ2302の円形アパーチャは、DMD 200の前面の中心に位置する頂点を有する円錐の底面を形成し、円錐は、光軸422と一致する軸を有する。半頂角2308は、本明細書では、円錐の頂角の半分として定義される。
【0113】
図24図26では、532nm、465nm、および617nmの波長が、それぞれ、シミュレーション実験2300における光のために使用された。DMD 200のマイクロミラー202について、それぞれ+12度および-12度の公称オン位置およびオフ位置傾斜角が使用された。DMD 200について、それぞれ81%および90%の寸法および面積充填率を使用した。
【0114】
図24において半頂角2308が減少すると、変調光402の回折次数が空間フィルタ2302によってますます遮断されにつれて、緑のコントラスト比2402が一連の「ステップ」として増加する。757,000:1の最も高い緑のコントラスト比は、変調光402のゼロ次回折次数のみが空間フィルタ2302によって透過されるときに得られる。半頂角2308が増加すると、空間フィルタ2302によって諸回折次数がますます透過されるので、緑の光学効率2404は一連の「ステップ」として増加する。緑の変調光の光パワーのほとんどは低回折次数(たとえば、ゼロ次、1次、および2次の回折次数)にあるので、緑の光学効率2404における最大のステップは、半頂角2308の小さい値で発生する。最も高い緑のコントラスト比では、緑の光学効率2404は約80%であり、すなわち、変調光402の80%が空間フィルタ2302によって透過される。
【0115】
図25では、青のコントラスト比2502および青の光学効率2504は、それぞれ、緑のコントラスト比2402および緑の光学効率2404と同様に振る舞う。変調光402のゼロ次回折次数のみが空間フィルタ2302によって透過されるとき、850,000:1の最も高い青のコントラスト比が得られる。最も高い青のコントラスト比では、青の光学効率2504は、80%から50%未満に急速に低下する。
【0116】
図26では、赤のコントラスト比2602および赤の光学効率2604は、それぞれ、緑および青のコントラスト比2402、2502ならびに緑および青の光学効率2404、2504と同様に振る舞う。しかしながら、最も高い赤のコントラスト比は、450,000:1に過ぎない。最も高い赤のコントラスト比が、対応する最も高い緑および青のコントラスト比よりも低い1つの理由は、617nmの赤の波長では、DMD 200がブレーズ条件(blaze condition)から遠いところで照明されることである。最も高い赤のコントラスト比では、赤の光学効率2604は約80%である。
【0117】
図27は、光の波長が532nmであり、DMD 200のすべてのマイクロミラー202がオン位置にあるときのシミュレーション実験2300のフラウンホーファー回折パターンである。図27において、4つの最も明るい回折次数のそれぞれは、ボックス2702のうちの1つによって囲まれている。ボックス2702(1)は、最大の光パワーを含み、変調光402のゼロ次回折次数に対応する。各ボックス2702について、DOCRは、空間フィルタ2302の長方形アパーチャ(たとえば、透過領域416)としてボックス2702を使用して計算された。数値的に計算されたDOCRは、各ボックス内に印刷される。たとえば、ボックス2702(1)では、変調光402のゼロ次回折次数は、758,075:1のDOCRを有する。ある実施形態では、光学フィルタ・マスク412は、変調光402のゼロ次回折次数を透過させ、他のすべての回折次数を遮断するように構成され、光学フィルタ・マスク900は、この実施形態とともに使用されうる光学フィルタ・マスク412の一例である。別の実施形態では、デジタル・プロジェクター1500の光学フィルタ・マスク412(1)、412(2)、および412(3)がそれぞれ、変調光402(1)、402(2)、および402(3)のゼロ次回折次数を透過させ、他のすべての回折次数を遮断するように構成されてもよい。
【0118】
図28は、光の波長が617nmであり、DMD 200のすべてのマイクロミラー202がオン位置にあるときのシミュレーション実験2300についてのフラウンホーファー回折パターンである。図28では、4つの回折次数が変調光402の光パワーの大部分を含む。532nmの波長が使用された図27と比較すると、617nmの波長はDMD 200のブレーズ条件からより離れているので、光パワーは4つの回折次数の間でより均一に分散される。ボックス2802(1)内の回折次数のみを透過させるように空間フィルタ2302を形成することによって、852,000:1もの高いコントラスト比を得ることができる。しかしながら、ボックス2802(2)、2802(3)、および2802(4)内の回折次数を遮断することによって、光学効率は、有意に劣化するであろう。
【0119】
コントラスト比と光学効率との間の妥協点として、空間フィルタ2302は、ボックス2802(1)、2802(2)、および2802(4)に対応する、最も高いDOCRを有する3つの回折次数を透過させるように構成されてもよい。空間フィルタ2302のこの例では、ボックス2802(1)、2802(2)、および2802(4)に対応するアパーチャは、光軸422のまわりに対称的に位置されない。ある実施形態では、光学フィルタ400は、図28に従って、変調光402の3つの回折次数を透過させるように構成され、光学フィルタ・マスク1300は、本実施形態とともに使用されうる光学フィルタ・マスク412の一例である。他の実施形態では、光学フィルタ412は、レンズ404のクリアなアパーチャによって決定される最大数までの、変調光402のゼロでない整数個の回折次数を透過させるように構成される。
【0120】
図29は、マイクロミラー202のオンおよびオフ傾斜角がそれぞれ+12.1度および-12.1度であるときに、617nmの波長で動作するシミュレーション実験2300について数値的に得られたコントラスト比2902および光学効率2904のプロットである。コントラスト比は、マイクロミラーの傾斜角の小さな変化に敏感でありうる。図26と比較して、傾斜角を0.1度だけ変化させることは、最高の赤のコントラスト比を2倍より大きく増加させ、ほぼ1,000,000:1にする。一方、赤の光学効率2904は、約80%のままである。比較のために、市販のDMDは、典型的には、±0.5度の傾斜角公差を有するように指定される。
【0121】
図30および図31は、シミュレーション実験2300について数値的に得られた、コントラスト比対マイクロミラー傾斜角のプロットである。図30では、オフ位置傾斜角は-12度に固定され、オン位置傾斜角が11.5度から12.5度の間で変化させられる。図31では、オン位置傾斜角は+12度に固定され、オフ位置傾斜角が-12.5度から-11.5度の間で変化させられる。図30において、コントラスト比3002、3004、3006は、それぞれ波長617nm、465nm、532nmに対応する。図31において、コントラスト比3102、3104、3106は、それぞれ波長617nm、465nm、532nmに対応する。図30および図31は、以下の説明において一緒に見るのが最善である。
【0122】
コントラスト比の値は、一般に、オン光度よりもオフ光度の変動に対してより敏感である。したがって、コントラスト比は、オン傾斜角よりもオフ傾斜角に強く依存することがある。図30に示されるように、コントラスト比3002、3004、および3006は、傾斜角公差範囲±0.5度では、オン傾斜角に伴う変動をほとんど示さない。一方、図31のコントラスト比3102、3104、および3106は、同様の角度公差範囲にわたってオフ傾斜角とともにより強く変化する。
【0123】
図32は、532nmの波長でのシミュレーション実験2300について数値的に得られた、入力光206の角度ダイバーシティの関数としてのコントラスト比3202および光学効率3204のプロットである。図33および図34は、シミュレーション実験2300のフラウンホーファー回折パターンであり、入力光206の角度ダイバーシティに起因する回折ピークの広がりを示す。図33において、入力光206は、角度ダイバーシティを有さない平面波である。図34において、入力光206は、角度ダイバーシティの8度の片側角を有する。図32のデータを得るために、空間フィルタ2302は、図33および図34のボックス3302によって表される長方形アパーチャを有するように構成された。図32図34は、以下の説明において一緒に見るのが最善である。
【0124】
映画館および他の重要な閲覧環境において、画像のデジタル・レーザー投影は、レーザー照明における角度ダイバーシティおよび低減されたコヒーレンスから利益を受ける。なぜなら、これは、ダストおよび他の不快な回折アーチファクトの可視性を低減するからである。また、スクリーン上のスペックルの可視性を減少させるために、レーザー照明が増加した帯域幅を有し、ことも有益である。
【0125】
レーザー照明の角度ダイバーシティおよび帯域幅を増加させることは、本明細書に提示される光学フィルタリング・システムおよび方法のコントラスト比を劣化させうる。具体的には、フーリエ面において、角度ダイバーシティおよび帯域幅の増加は、回折ピークを広げ、それらのテールを、隣接するピークの他のテールと一緒にぼやけさせることがある。ピークのそのような広がりは、個々の回折次数が、遮断されることが意図される隣接する回折次数の一部をも透過することなく空間フィルタ2302を透過されることを妨げうる。図32に示されるように、入力光206の片側角(half-angle)が8度に増加すると、コントラスト比は721,000:1から346,000:1に半減する。
【0126】
したがって、角度ダイバーシティおよびスペクトル帯域幅を考慮するとき、(1)ダストの可視性および低減されたスペックルと、(2)コントラスト比との間にトレードオフがある。
【0127】
コントラスト劣化は、マイクロミラー202の表面からの入力光206の散乱、映画館の室内の望ましくない迷光および反射、光学収差、および/または偏光効果など、DMD 200による入力光206の回折以外の要因から生じる場合があることが理解される。しかしながら、ほとんどのデジタル・プロジェクターでは、DMD 200による回折は、コントラスト低下の支配的な原因、または少なくとも支配的な原因の1つであると予想される。本開示のシステムおよび方法は、上に列挙したものなど回折に加えて他の要因によってコントラストが劣化するシナリオに容易に拡張される。本開示のシステムおよび方法は、他のそのような要因の存在下でさえもコントラストを向上させることができる。
【0128】
光学フィルタの実験結果
上記の数値解析は、図4に示すものと同様の実験セットアップを用いて検証された。最も高いコントラストを実証するために、実験セットアップは、532nmでゼロ次の回折次数をフィルタリングするように構成された。光学フィルタ・マスク412は、光軸422を中心とする円形アパーチャを有するように構成された。円形アパーチャの直径およびレンズ(たとえば、レンズ404)は、フーリエ面で2度の半頂角を形成するように選択された。DMD 200への入力光は、M2<1.1の偏光532nmレーザーによって提供された。入力光は、2つのダブレットから形成されたガリレイ式ビーム拡大器を使用して、DMD 200の前面を満たすように拡大され、これが回折限界の性能をもたらした。簡単のため、DMD 200に光を結合するためにTIRプリズムは使用されなかった。DMD 200は、最も明るい(たとえば、白レベル)出力および最も暗い(たとえば、黒レベル)出力で動作させられ、分光計を用いてコントラストが測定された。
【0129】
2つの同一の4K DMDのコントラスト比が測定された。532nmおよび2度の半頂角では、シミュレーションされた実験2300によって予測されるコントラスト比は、約757,000:1である(図24の最高の緑のコントラスト比を参照)。254,234:1および277,966:1のコントラスト比が測定された。これらの値は、予測された値よりも約3倍小さく、この不一致は、DMDの過剰充填〔オーバーフィル〕から生じる迷光、DMDのマイクロミラー間のギャップから生じる迷光、およびマイクロミラーの表面およびエッジからの散乱に起因する。
【0130】
また、コントラスト比がオフ傾斜角に依存することを考えると予想されるように、DMD 200に向かう入力光206の伝播方向がコントラスト比に影響を及ぼすことも観察されている。さらに、入力光106の偏光がDMD 200の黒レベルに影響を及ぼし、それによりコントラスト比に影響を及ぼすことが観察されている。上述の実験結果について、入力光の偏光は、コントラストを最大化するために波長板を用いて回転された。
【0131】
マイクロミラーの傾斜角および入力光206の伝播方向に対するコントラスト比の感度を考慮すると、同様の傾斜角を有するDMDをグループ化するためにビニングを使用してもよい。3色デジタル・プロジェクター1500のある実施形態では、同様の傾斜角を有する3つのビニングされたDMDが、DMD 200(1)、200(2)、および200(3)のために使用される。別の実施形態では、(たとえば、3つの異なるビンからの)異なる傾斜角を有する3つのビニングされたDMDが、DMD 200(1)、200(2)、および200(3)のために使用され、DMDのそれぞれは、DMDとともに使用される入力光206の特定の波長についてのコントラスト比を最大にするように選択された傾斜角を有する。
【0132】
光学フィルタの利点
本明細書に提示される光学フィルタ・システムおよび方法の1つの利点は、追加的なDMDを使用せずに、コントラスト比が増加されうることである。たとえば、本明細書に開示されたシステムおよび方法の代替として、コントラスト比は、複数ステージ変調、すなわち、第1のDMDからのオフ回折ビームが第2のDMDによって遮断されるように直列に接続された2つ以上のDMDを使用することによって増加されうる。コントラスト比を増加させる方法として、複数ステージ変調は、第2のDMDおよび対応する電子回路のため、デジタル・プロジェクターのコストおよび複雑さを増加させるという欠点がある。さらに、あるタイプのデジタル・プロジェクターは、赤色光、緑色光、および青色光のそれぞれについて1つのDMDである3つのDMDを使用し、このタイプのデジタル・プロジェクターにおいて各色について2つのDMDを使用することは、DMDの総数を3つから6つに増加させ、さらにコストおよび複雑さを追加する。
【0133】
本明細書に提示される光学フィルタリング・システムおよび方法の別の利点は、光学的にフィルタリングされた投影光が、フィルタリングされていない投影光と、投影光が投影されるスクリーンの周期的な穿孔との間の干渉によって引き起こされるモアレ・パターンの出現を低減しうることである。具体的には、光学フィルタリングは、投影光の高周波成分を低減するように構成されてもよく、それにより、スクリーン上に現れるピクセル間のハード・エッジを「平滑化」する。平滑化は、投影光の周期的な強度とスクリーンの周期的な穿孔との間のうなりを低減する。
【0134】
本明細書に提示される光学フィルタリング・システムおよび方法のさらに別の利点は、光学フィルタリングが、Texas Instrumentsからのティルトアンドロールピクセル(tilt-and-roll pixel、TRP)DLPチップを有するデジタル・プロジェクターのコントラスト比を増加させうることである。TRP DLPチップのマイクロミラーは、45度に配向された軸(たとえば、図2のマイクロミラー回転軸208)のまわりで傾斜しない。結果として、他のタイプのDMDチップと比較して、変調光は、オフ状態光(たとえば、図6のオフ回折ビーム604)の回折次数がより明るくなるようにTRPチップから離れるほうに伝播し、それにより、オフ光度を増加させ、コントラスト比を減少させる。オフ光度を減少させることにより、本明細書に提示される光学フィルタリング・システムおよび方法は、有利なことに、TRPチップが、デジタルシネマイニシアチブ(DCI)仕様による投影のような高いコントラスト比を要求する用途のためにプロジェクターと一緒に含まれることを可能にする。
【0135】
例示的な投影レンズ・システム
いくつかの実装では、光学フィルタは、投影レンズ・アーキテクチャー内に設けられる。図35は、本開示のさまざまな側面による、例示的な投影レンズ・システムの分解図である。投影レンズ・システム3500は、図1に示される投影レンズ112の一例である。フーリエ・アパーチャへのアクセスを許容するために、投影レンズ・システム3500はモジュール設計を有する。投影レンズ・システム3500は、前述のように射出瞳において物体のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエ部3501(たとえば、フーリエ・レンズ・アセンブリ、レンズ404)と、アパーチャ3502と、ズーム部3503(ズーム・レンズ・アセンブリとも呼ばれる)とを含む。フーリエ部3501によって課される空間フーリエ変換は、変調光の各回折次数の伝播角度をフーリエ面上の対応する空間位置に変換する。フーリエ部3501は、それにより、フーリエ面での空間フィルタリングによって、所望される回折次数の選択、および所望されない回折次数の拒否を可能にする。フーリエ面における変調光の空間フーリエ変換は、変調光のフラウンホーファー回折パターンと等価である。
【0136】
フーリエ部3501は、第1の取り付けセクション3504を含み、該第1の取り付けセクションは、ねじ山、締結具などを含むことができる。ズーム部3503は、第2の取り付けセクション3505を含み、該第2の取り付けセクションは、第1の取り付けセクション3504との嵌合を許容するために、相補的なねじ山、締結具などを含むことができる。一例では、第1の取り付けセクション3504は雄ねじ部分を含み、第2の取り付けセクション3505は雌ねじ部分を含み、またはその逆である。別の例では、第1の取り付けセクション3504および第2の取り付けセクション3505は、摩擦固定するように構成され、この場合、ねじ、カム、フランジなどの一つまたは複数の締結要素を設けることができる。さらに別の例では、第1の取り付けセクション3504は一つまたは複数の半径方向ピンを含んでいてもよく、第2の取り付けセクション3505は対応する数のL字形スロットを含んでいてもよく、またはその逆も可能であり、それにより、バヨネット接続を使用してフーリエ部3501とズーム部3503とを接続する。これらの例によって、フーリエ部3501は、以下でより詳細に説明するように、ズーム部3503に取り外し可能に取り付けられてモジュール式アセンブリを提供することができる。
【0137】
図35は、フーリエ部3501およびズーム部3503を完全に分離可能であるものとして示しているが、本開示はそのように限定されない。いくつかの実装では、フーリエ部3501およびズーム部3503は、たとえば、フーリエ部3501およびズーム部3503のうちの1つにアクセス部分を設けることによって、部分的にのみ分離可能である。アクセス部分は、スロット、ドア、窓などであってもよく、オペレーターは、このアクセス部分を介してアパーチャ3502にアクセスし、および/またはアパーチャ3502を交換することができる。そのような実装では、フーリエ部3501およびズーム部3503は、完全な分離を防止するために(たとえば、第1の取り付けセクション3504および/または第2の取り付けセクション3505上の接着剤を介して)接合されてもよい。あるいは、フーリエ部3501とズーム部3503とは、取り付け部分を含む一体的な筐体を備えてもよい。
【0138】
アパーチャ3502は、図4に示される光学フィルタ・マスク412の一例であってもよい。アパーチャ3502は、投影レンズ・システム3500内の光(たとえば、一つまたは複数の回折次数に対応する変調光)の一部を遮断するように構成される。図35に示されるように、アパーチャ3502は、一辺の長さがたとえば6mmの正方形の開口である。図35は、投影レンズ・システム3500の光軸3510も示している。組み立てられると、フーリエ部3501およびズーム部3503は、互いに、かつ光軸3510と実質的に同軸である。いくつかの実施形態では(たとえば、照明角度に依存して)、アパーチャ3502は、さらに、光軸3510と実質的に同軸である。
【0139】
投影レンズ・システム3500は、ヒートシンク(または冷却フィン)などの放熱デバイス、一つまたは複数の接着剤(または締結具)などを含む一つまたは複数の非光学素子を含むか、またはそれに関連付けられてもよい。いくつかの実装では、アパーチャ3502は、入射光の約15%を遮断し、したがって吸収することができ、したがって、ヒートシンクまたは冷却フィンは、アパーチャ3502から熱を適切に放散するように配置および構成されうる。いくつかの実装では、アパーチャ3502は、投影レンズ・システム3500の他の部分から熱的に隔離される。
【0140】
フーリエ部3501およびアパーチャ3502は、固定スロー投影レンズ(fixed throw projection lens)としても使用されうる空間フィルタを有するフーリエ・レンズとして集合的に動作する。すなわち、フーリエ部3501とアパーチャ3502とが、光学フィルタ110または光学フィルタ400として集合的に機能してもよい。図35に示されるズーム部3503は、フーリエ部3501に取り付けられるように構成された一群のズーム・レンズ・アセンブリのうちの1つであってもよく、それにより一群の投影ズーム・レンズ・システムを形成し、異なるシアターに適合する。言い換えれば、フーリエ部3501およびアパーチャ3502は、任意のシアター・セッティングに適用可能でありうるが、ズーム部3503は、特定のシアターに合わせて調整された特定の投影光パターンを提供する。したがって、一群のズーム・レンズ・アセンブリから特定のズーム部3503を選択し、選択されたズーム部3503をフーリエ部3501およびアパーチャ3502に取り付けることによって、特定のシアターに適合された投影レンズ・システム3500が達成されうる。
【0141】
フーリエ部3501およびズーム部3503の両方は、複数の個別のレンズ素子を含むことができる。フーリエ部3501およびズーム部3503のレンズ素子の例示的な構成がそれぞれ図36および図37に示されている。
【0142】
図36は、プリズム3601(図36にはその一部のみが示されている)と、複数のレンズ(レンズ素子とも呼ばれる)を含むフーリエ・レンズ・システム3602とを含む例示的なフーリエ部3600の例示的な光学系を示す。フーリエ・レンズ・システム3602のフーリエ面3603も示されており、フーリエ部3600の光学的挙動を示すために例示的な光線3610も示されている。フーリエ・レンズ・システム3602は、図35に示されるフーリエ部3501の筐体内に収容されてもよい。いくつかの例では、プリズム3601もフーリエ部3501の筐体内に収容されるが、他の例では、プリズム3601は、投影レンズ・システム3500から光学的に上流に、かつ変調器(DMD 200など)から光学的に下流に位置していてもよい。フーリエ面3603は、アパーチャ3502の位置にほぼ(たとえば、10mm以内で)対応しうる。
【0143】
フーリエ・レンズ・システム3602を構成する個々のレンズ要素は、フーリエ面3603に射出瞳をもち、無限遠に低歪み像を生成するように選択されてもよい。フーリエ・レンズ・システム3602の収差を低減することは、関連するズーム部分(単数または複数)の設計の容易さを増大させることになりうる。図36に示される特定のフーリエ・レンズ・システム3602は、0.1%未満の歪みを有する。
【0144】
フーリエ・レンズ・システム3602はテレセントリックであり、低い波面誤差を示し、それによりフーリエ面3603の結像に対する影響を最小限に抑え、低い横方向色(lateral color)を示し、低い歪みを導入し、最も近い光学素子から距離dfに射出瞳(フーリエ面3603とほぼ一致する)を含み、それにより最も近い光学素子上の小面積の熱負荷を緩和する。図示されるように、最も近い光学素子は、フーリエ・レンズ・システム3602に含まれる最終レンズの下流側の面である。熱負荷を十分に緩和するための距離dfの最小の大きさは、フーリエ・レンズ・システム3602のレンズの材料タイプ、および/または、ほぼフーリエ面3602に位置するアパーチャ3502の材料タイプを含む、フーリエ・レンズ・システム3602のパラメータに依存する。df>12mmの大きさが、小面積の熱負荷を緩和するのに十分でありうるが、いくつかの実装では、距離dfは、好ましくは、40mmにほぼ等しい(たとえば、40mmの10%以内)。
【0145】
フーリエ部3600は、プリズム3601およびフーリエ・レンズ・システム3602に加えて、他の光学素子を含んでいてもよい。いくつかの例では、フーリエ部3600は、一つまたは複数の電子結晶(たとえば、印加電圧プロファイルに基づいて、その中を通過する光に偏向を与える透過型液晶コンポーネント)または他の偏向要素を含み、それにより、スクリーン116上の投影される像をシフトさせることができる。
【0146】
さらに、フーリエ・レンズ・システム3602は、合焦し直された場合に投影レンズとして使用可能であり、それにより、投影レンズ・システム3500全体の分解を必要とすることなく、フーリエ・アパーチャおよび/または投影される像のコントラストに対する調整を許容し、較正または欠陥検出などを容易にすることができる。
【0147】
投影レンズ・システム3500の一部としての使用に加えて、フーリエ部3600は、投影レンズ・システム3500内の他の要素から分離可能である結果として、さらなる用途を有しうる。そのようなさらなる用途は、プロジェクター100の較正または設置を容易にすることを含みうる。たとえば、フーリエ部3600は、DMD 200を含むがこれに限定されないDMDの収束および焦点を試験するため、プロジェクター100の要素に伴う潜在的な画質問題を初期の検査を提供するため、フーリエ・アパーチャ3502のサイズ決定および位置決めを容易にするため、またはプロジェクター100のオン/オフ・コントラストを測定するために、スタンドアローンの光学システムとして使用することができる。あるいはまた、較正、試験、欠陥検出、サイズ決定および位置決め、測定などの目的のために、フーリエ部3600に簡略化された固定レンズが取り付けられてもよい。
【0148】
図37は、いくつかのズーム構成における例示的なズーム部3700の例示的な光学系を示す。ズーム部3700は、固定レンズ群3701と、第1の可動レンズ群3702と、第2の可動レンズ群3703と、第4の可動レンズ群3704とを含む。ズーム部3700の光学的挙動を示すために、例示的な光線3710と同様に、フーリエ面3705も示されている。図37に示される諸レンズ群は、図35に示されるズーム部3503の筐体内に収容されてもよい。ズーム部3700がフーリエ部3600と一緒に組み立てられると、フーリエ面3603とフーリエ面3705とは互いに対応してもよく、さらに、ほぼアパーチャ3502の位置において配置されうる。
【0149】
ズーム部3700は、固定レンズ群3701、第1の可動レンズ群3702、第2の可動レンズ群3703、および第3の可動レンズ群3704に加えて、他の光学素子を含んでいてもよい。いくつかの例では、ズーム部3700は、電子結晶または他の偏向素子を含み、それによりスクリーン116上の投影画像をシフトさせることができる。
【0150】
ズーム部3700は、望遠鏡と同様の仕方に作用する。すなわち、ズーム部3700の物体は無限遠に近いと仮定され、ズーム部3700の像側は、一般的なスクリーン距離(たとえば、10~30m)のところに実像を生成するように構成される。図37に示されるズーム部3700は、第1の可動レンズ群3702、第2の可動レンズ群3703、および第3の可動レンズ群3704の特定の位置に依存して、ある範囲のズーム構成のために構成される。第1の可動レンズ群3702、第2の可動レンズ群3703、および第3の可動レンズ群3704を適切に移動させることによって、ズーム部3700のスロー比(throw ratio)(すなわち、ズーム部3700とスクリーン116との間の距離をスクリーン116の幅で割ったもの)を変更することができる。図37に示される特定の例では、ズーム部3700は、例示的なDMDを用いて、2:1のスロー比(いちばん上の構成)から3:1のスロー比(いちばん下の構成)までのズーム構成の範囲を提供するように構成される。しかしながら、実際的な実装では、ズーム構成の範囲はそのように限定されない。いくつかの例では、スロー比は、1.2:1~4:1(両端を含む)であってもよい。
【0151】
いくつかの実装では、ズーム部3700は、ある範囲のズーム構成のために構成されず、代わりに固定されたスロー比を与えられる。そのような実装では、図37の第1の可動レンズ群3702、第2の可動レンズ群3703、および第3の可動レンズ群3704は、対応する固定レンズ群で置き換えられてもよい。たとえば、固定スロー比2:1をもつズーム部3700を提供するためには、図37におけるいちばん上の構成の第1の可動レンズ群3702、第2の可動レンズ群3703、および第3の可動レンズ群3704を、それぞれ第2の固定レンズ群、第3の固定レンズ群3704、および第4の固定レンズ群で置き換えられてもよい。固定スロー比は、1.2:1~4:1(両端を含む)であってもよい。ズーム部3700は、可動レンズ群を含み、それによりある範囲のスロー比を提供するか、または固定レンズ群のみを含み、それにより固定スロー比を提供するかにかかわらず、依然として「ズーム」部と呼ばれうる。
【0152】
フーリエ・レンズ・システム3602は、DMD(たとえば、DMD 200)の像を無限遠に生成するので(そのように配置された場合)、ズーム部3700は、ズーム望遠鏡として動作する。さらに、ズーム部3700におけるレンズおよびレンズ群の特定の設計は、フーリエ・レンズ・システム3602の特定の設計とは無関係であってもよい。ズーム・レンズ・アセンブリの複雑さは、実現される収差補正の程度に関係する。本開示のいくつかの側面では、完全な投影レンズ・システム3500の性能は、デジタルシネマイニシアチブ(DCI)画像仕様、たとえば、DCIデジタルシネマシステム仕様(Digital Cinema System Specification、DCSS)バージョン1.3以上を満たす。
【0153】
フーリエ部3600とズーム部3700とを組み合わせて、完全なレンズ・システムを実現することができる。図38は、そのような組み合わせによる、例示的な組み立てられたレンズ構成を示す。図38において、既述のものと同じ参照符号をもつ要素は、同じ参照符号を使って示され、その詳細な説明はここで繰り返さない。図38は、ズーム部3700が2:1のスロー比構成(上、図38のいちばん上に対応)である、および、ズーム部3700が3:1のスロー比構成(下、図38のいちばん下に対応)である、組み立てられたレンズ構成を示す。
【0154】
フーリエ部3600とズーム部3700とは、フーリエ部3600のフーリエ面3603とズーム部3700のフーリエ面3705とが同一平面上になるように組み立てられる。2つの部分がコリメートされた、または実質的にコリメートされた光学空間において接合されるので、2つの部分を嵌合するための公差要件は緩和される。たとえば、フーリエ部3600とズーム部3700の光軸不整列(たとえば、これらの部分のうちの一方が光軸に垂直な方向にシフトされている)によりアパーチャ・スポットが光軸からずれている場合であっても、スクリーン116上の投影像の潜在的なシフトにもかかわらず、画質の知覚される低下はない可能性が高い。いくつかの例では、フーリエ部3600およびズーム部3700の光軸が平行であり、互いに1mm以内である場合に、フーリエ部3600およびズーム部3700は実質的に同軸であると考えられる。
【0155】
プリズム投影システム
図1の光学フィルタ110は、さまざまな光プロジェクター・システム内に実装されうる。図39は、画像プロジェクター・ディスプレイ・システム3900の1つの可能な実施形態を示す。プロジェクター・ディスプレイ・システム3900は、デュアル/マルチ変調器プロジェクター・システム3900であってもよい。プロジェクター・ディスプレイ・システム3900は、最終的な投影画像が、投影画像の意図された閲覧者にとって十分に明るいように、プロジェクター・ディスプレイ・システム3900に所望される照明を供給する光源3902を使用する。光源3902は、キセノンランプ、レーザー、発光デバイス(LED)、コヒーレント光源、部分的コヒーレント光源等の、可能な任意の好適な光源を含みうる。
【0156】
いくつかの実施形態では、光源3902は、第1の変調器3906を照明する光3904を投影する。第1の変調器3906は、次に、光学コンポーネント3908のセットを介して第2の変調器3910を照明することができる。第2の変調器3910からの光は、投影レンズ3912(または他の適切な光学コンポーネント)によって投影されて、スクリーン3914上に最終的な投影画像を形成することができる。投影レンズ3912は、たとえば、投影レンズ・システム3500であってもよい。第1の変調器3906および第2の変調器3910は、入力画像および/またはビデオ・データを受領しうるコントローラ3916によって制御されうる。コントローラ3916は、入力画像/ビデオ・データに対して、ある種の画像処理アルゴリズム、色域マッピング・アルゴリズム、または他の適切な処理を実行し、所望される最終的な投影画像を達成するために、第1の変調器3906および第2の変調器3910に制御/データ信号を出力することができる。さらに、いくつかのプロジェクター・システムでは、光源3902は、最終的な投影画像の画質のさらなる制御を達成するために変調されうる。
【0157】
光リサイクル・モジュール3903が、図39において、光源3902から第1の変調器3906への光路に配置されうる点線のボックスとして示される。光リサイクルは、プロジェクター・ディスプレイ・システム3900内のさまざまな点で、プロジェクター・ディスプレイ・システム3900に挿入されてもよいことが理解されるであろう。たとえば、光リサイクルは、第1の変調器3906と第2の変調器3910との間に配置されてもよい。さらに、光リサイクルは、ディスプレイ・システムの光路における2つ以上の点に配置されてもよい。そのような実施形態は、コンポーネントの数の増加に起因してより高価でありうるが、その増加は、光リサイクルの点が複数ある結果としてのエネルギー・コスト節約と相殺されうる。
【0158】
図39の実施形態は、デュアル、マルチ変調投影システムの文脈で提示されているが、本願の技術および方法は、シングル変調または他のデュアル、マルチ変調ディスプレイ・システムにおいて用途を見出すことを理解されたい。たとえば、バックライト、第1の変調器(たとえば、LCDなど)、および第2の変調器(たとえば、LCDなど)を備えるデュアル変調ディスプレイ・システムは、投影システムの文脈において本明細書で説明される性能および効率に影響を及ぼすために、適切なぼかし光学コンポーネントならびに画像処理方法および技法を採用することができる。
【0159】
図39は、2ステージまたはデュアル変調器ディスプレイ・システムを描いているが、本願の方法および技法はまた、1つのみの変調器をもつディスプレイ・システムまたは3つ以上の変調器(マルチ変調器)ディスプレイ・システムをもつディスプレイ・システムにおいても用途を見出しうることも理解されうる。
【0160】
少なくともいくつかの実施形態では、本開示は、サイズおよびコストを低減したマルチチップ(たとえば、3チップ)投影システムを簡略化する方法を提供する。いくつかの実施形態では、マルチチップ投影システムは、各色チャネルについて別個の照明アセンブリを使用し、照明角度の独立制御を許容してもよい。開示された技術は、たとえば、米国特許出願第17/043,734号、米国特許出願第17/439,786号、米国特許出願第17/280,009号、PCT特許出願第PCT/US2021/028827号、PCT特許出願第PCT/US2020/063169号に開示された投影システムとともに使用されてもよく、これらの全開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0161】
図40は、9ピース・プリズム・システムおよび複数の照明アセンブリを含む例示的な投影システム4000を示す。投影システム4000は、各カラープリズムのためのファイバー入力4002をそれぞれ受け取るいくつかの独立したカラー照明アセンブリ4004を含む。たとえば、投影システムは、第1の照明アセンブリ4004Aに提供される赤色光に関連する第1のファイバー入力4002Aを含む。第2のファイバー入力4002Bは、第2の照明アセンブリ4004Bに提供される青色光に関連付けられる。第3のファイバー入力4002Cは、第3の照明アセンブリ4004Cに提供される緑色光に関連付けられる。各照明アセンブリ4004から出力されたカラービームは、変調器4006に供給される。変調器4006は、9ピース・プリズム4008と、少なくとも1つの反射器デバイス4010とを含む。反射器デバイス4010は、前述したようなSLM 102と同様に機能しうる。9ピース・プリズム4008は、各照明アセンブリ4004から受け取った各カラービームを投影光学系4014(たとえば、投影レンズ)に中継する。いくつかの実施形態では、各カラービームは、組み合わせの前にそれぞれの反射器デバイス4010によって別々に変調される。変調されたカラービームは、その後、投影光学系4014に提供される出力に組み合わされる。コントローラ4012が、反射器デバイス4010に結合され、各カラービームの変調を制御しうる。9ピース・プリズム4008は、たとえば、米国特許出願第15/540,946号に開示されているHigh-9プリズムであってもよく、その全開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
いくつかの実施形態では、各照明アセンブリ4004は、それぞれのファイバー入力4002から光を受光する統合ロッド(たとえば、統合チューブ、統合ボックス)を含む。統合ロッドは、その内部に実質的に反射性の表面を備えてもよく、その表面に入射する光は、外に出るまで反射される。光が統合ロッドを出ると、照明アセンブリ4004は、光が変調器4006に送達される前に光に光学的に作用するレンズ、フィルタ、および/または偏光子等の光学要素のセットを含んでいてもよい。
【0163】
加えて、いくつかの実施形態では、白色光3チップTIRプリズム(たとえば、5つまたは6つのピース)が、単一の照明アセンブリとともに使用されてもよい。これは、色チャネルにわたって共通である単一の照明角度を使用できることにつながる変調器条件および性能要件によって可能にされる。
【0164】
図41は、単一の照明アセンブリ4104を含む例示的な投影システム4100を示す。照明アセンブリ4104は、白色光ファイバー4102から白色光を受け取り、白色光を変調器4106に供給する。変調器4106は、白色光プリズム4108と、少なくとも1つの反射器デバイス4110とを含む。伝統的な白色光プリズムは3つのピースを含むが、白色光プリズム4108は追加のプリズム・ピースを含む。たとえば、黄色ノッチフィルタのようなスペクトルフィルタが白色光プリズム4108において設けられてもよい。追加のピースは、TIRプリズムとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、変調器4106は、受領された白色光を変調するための3つの反射器デバイス(たとえば、3チップ)を含むことができる。白色光プリズム4108は、白色光を、各反射器デバイス4110について1つのカラービームであるいくつかのカラービーム(たとえば、3つの色チャネル)に分割する。コントローラが、各反射器デバイス4110に結合されて、各カラービームの変調を制御することができる。反射器デバイス4110は、次いで、変調されたカラービームを組み合わせる前に、それらのそれぞれのカラービームを変調する。他の実施形態では、反射器デバイス4110は、白色光を直接変調してもよい。両方の実施形態において、変調器4106は、次いで、出力ビームを投影システム4100の投影光学系4114に中継する。いくつかの実施形態では、投影光学系4114は、前述のように、投影レンズに含まれる。他の実施形態では、投影光学系4114の一部またはセクションが投影レンズに含まれる。
【0165】
いくつかの実施形態では、照明アセンブリ4104は、白色光ファイバー4102から光を受光する統合ロッド(たとえば、統合チューブ、統合ボックス)を含む。統合ロッドは、その内部に実質的に反射性の表面を備えてもよく、その表面に入射する光は、出射するまで反射される。ひとたび光が統合ロッドを出ると、照明アセンブリ4104は、光が変調器4106に送達される前に光に光学的に作用するレンズ、フィルタ、および/または偏光子等の光学要素のセットを含んでいてもよい。
【0166】
プリズム
前述のように、図40の投影システム4000は、カラービーム出力を各照明アセンブリ4004から変調器4006に提供する。図42は、単一の色チャネル入力のための変調器4006を示す。変調器4006は、単一の色チャネルのための照明アセンブリ4004から入力光4200(たとえば、入射光、単一チャネル色光)を受光する。入力光4200は、たとえば、9ピース・プリズム4006によって受領されてもよい。反射器デバイス4010が、入力光4200を変調する。反射器デバイス4010は、反射器(たとえば、ミラー)のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)アレイ、微小電気機械システム(MEMS)アレイ、液晶オンシリコン(LCOS)変調器、または少なくとも2つ以上の経路において光を反射することができる可能な反射器の任意の他の適切なセットを備えることができる。
【0167】
反射器デバイス4010は、オン状態、オフ状態、またはフラット状態で入力光4200を反射することができる。反射器デバイス4010がオン状態に設定されると、反射されたオン光ビーム4220は、投影光学系4014を透過して、さらなる変調および/または投影のための光を提供することができる。いくつかの実施形態では、オン状態にあるとき、反射器デバイス4010のミラーは、約11度から13度の間に設定される。反射器デバイス4010がオフ状態に設定されると、反射されたオフ光ビーム4215は、ディスプレイのダイナミックレンジに影響を及ぼさないように、吸収および/または処分されるように光ダンプ(図示せず)に向けられうる。反射器デバイス4010がフラット状態に設定されると、反射されたフラット光ビーム4210は、さらなる変調および/または投影を含みうる動作可能な下流の光路から離れるように方向付けられる。一般に、フラット状態にあるとき、反射器デバイス4010および/または投影システム4000全体は使用されていないことがある。
【0168】
前述したように、図41の投影システム4100は、単一の照明アセンブリ4104から変調器4106に白色光を供給する。図43は、ある実施形態による変調器4106を示す。変調器4106は、照明アセンブリ4104から入力光4300(たとえば、入射光、白色光)を受光する。入力光4300は、たとえば白色光プリズム4108によって受け取られうる。図41の例では、変調器4106は、第1のプリズム・セグメント4330と第2のプリズム・セグメント4335とを含む。第1のプリズム・セグメント4330は、第2のプリズム・セグメント4335の界面における内部全反射(TIR)プリズムであってもよい。第1のプリズム・セグメント4330および第2のプリズム・セグメント4335は集合的に、白色光プリズム4108(図41に示す)を形成する。反射器デバイス4110は、入力光4300を変調する。反射器デバイス4110は、反射器(たとえば、ミラー)のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)アレイ、または微小電気機械システム(MEMS)アレイ、または少なくとも2つ以上の経路において光を反射することができる可能な反射器の任意の他の適切なセットを含むことができる。
【0169】
反射器デバイス4110は、オン状態、オフ状態、またはフラット状態で入力ビーム4300を反射することができる。反射器デバイス4110がオン状態に設定されると、反射されたオン光ビーム4320は、投影光学系4114を透過させられて、さらなる変調および/または投影のための光を提供することができる。いくつかの実施形態では、オン状態にあるとき、反射器デバイス4110のミラーは、約11度から13度の間に設定される。反射器デバイス4110がオフ状態に設定されると、反射されたオフ光ビーム4315は、ディスプレイのダイナミックレンジに影響を及ぼさないように、吸収および/または処分されるように光ダンプ(図示せず)に向けられうる。反射器デバイス4110がフラット状態に設定されると、反射されたフラット光ビーム4310は、さらなる変調および/または投影を含みうる動作可能な下流の光路から離れるように方向付けられる。一般に、フラット状態にあるとき、反射器デバイス4110および/または投影システム4100全体は使用されていないことがある。
【0170】
いくつかの実施形態では、第1のプリズム・セグメント4330および第2のプリズム・セグメント4335は、入力光4300をいくつかの色チャネル(たとえば、赤の色チャネル、緑の色チャネル、青の色チャネル)に分離する。色チャネルは、白色光プリズム4108内の色チャネル経路にそれぞれ提供される。そのような実施形態では、変調器4106は、各色チャネルが別々に変調されるように、各色チャネルのための反射器デバイス4110を含む。第1のプリズム・セグメント4330および第2のプリズム・セグメント4335は、次いで、各色チャネルを反射されたオン光ビーム4320に再結合しうる。他の実施形態では、各色チャネルは、変調器4106から光学的に下流で再結合される。たとえば、変調器4106から光学的に下流のビーム組み合わせ器(図示せず)が、各色チャネルを再結合してもよい。各色チャネルは、約24度から28度の間などの等しい照明角度を有しうる。さらに、各反射器デバイス4110は、そのそれぞれの色チャネルについてそれ自体のカラー光ダンプを含むことができる。
【0171】
図44は、別の実施形態による変調器4106を示す。具体的には、入力ビーム4300を受光する第1のプリズム・セグメント4330(たとえば、TIRプリズム)を有するのではなく、図44の変調器4106は、入力光4300を第2のプリズム・セグメント4335に向かって反射する折り曲げミラー4430を含む。
【0172】
表1は、緑のチャネル照明経路のための図42図43、および図44の変調器についての透過効率を提供する。表1では、TIRプリズムを有する白色光プリズム4108(図43に示す)とTIRプリズムを有さない白色光プリズム4108(図44に示す)についての照明経路透過率は等しい。これは、折り曲げミラー4430が第1のプリズム・セグメント4330(たとえば、TIRプリズム)とほぼ同じ効率を有するためである。
【表1】
【0173】
いくつかの実施形態では、ウォビュレータが、9ピース・プリズム4008または白色光プリズム4108との関連で使用されてもよい。たとえば、図45は、変調器4006と投影光学系4014との間に光学的に配置された例示的なウォビュレータ4500を示す。ウォビュレータ4500は、変調器4006の出力をアップスケールする(たとえば、2Kから4K解像度にアップスケールする)。図46のAは、変調器4106の第1のプリズム・セグメント4330(図43参照)と投影光学系4114との間に光学的に配置された例示的なウォビュレータ4600を示す。図46のBは、第2のプリズム・セグメント4335(図43参照)と投影光学系4114との間に光学的に配置された例示的なウォビュレータ4650を示す。いくつかの実施形態では、ウォビュレータ4650は、折り曲げミラー4430と結合されるか、または他の仕方で接触する。
【0174】
いくつかの実施形態では、光学フィルタ(光学フィルタ110またはフーリエ部3501など)が投影光学系4114(たとえば、投影レンズ)に含まれる。他の実施形態では、光学フィルタは、変調器4106と投影光学系4114との間に光学的に配置される。
【0175】
いくつかの例では、光学フィルタは反射フィルタであってもよい。たとえば、光学フィルタを通過しない光は、光ダンプ(図示せず)に向けられてもよい。他の例では、光学フィルタは、光が下流の光学系から離れるように方向付けられるように光を屈折させ、または散乱し、ある種の回折次数がスクリーン3914上に投影されるのを防止する。いくつかの実施形態では、光学フィルタは、フーリエ・フィルタではなく、Fナンバーを有するレンズなどの、フーリエ面なしで光をフィルタリングするフィルタであってもよい。
【0176】
図47は、投影システム4100を用いて画像を投影する方法4700を示す。ブロック4705において、方法4700は、変調器4106を用いて、白色光入力を受領することを含む。たとえば、白色光プリズム4108は、照明アセンブリ4104から白色光を受け取る。ブロック4710において、方法4700は、白色光入力を第1、第2、および第3の色チャネルに分離することを含む。たとえば、白色光プリズム4108は、入力光4300を第1の色チャネル(たとえば、赤)、第2の色チャネル(たとえば、緑)、および第3の色チャネル(たとえば、青)に分離する。
【0177】
ブロック4715において、方法4700は、第1、第2、および第3の色チャネルを変調して、それぞれの第1、第2、および第3の変調光を生成することを含む。たとえば、第1の色チャネル、第2の色チャネル、および第3の色チャネルは、それぞれの反射デバイス4110によってそれぞれ変調される。ブロック4720において、方法4700は、第1、第2、および第3の色チャネルを白色光出力に組み合わせることを含む。たとえば、変調後、白色光プリズム4108は、第1の変調された色チャネル、第2の変調された色チャネル、および第3の変調された色チャネルを単一の白色光出力に組み合わせる。
【0178】
ブロック4725において、方法4700は、白色光出力をフィルタリングして、フィルタリングされた白色光出力を生成することを含む。たとえば、投影レンズに含まれる光学フィルタ110は、前述のように、白色光出力を空間的にフーリエ変換する。ブロック4730において、方法4700は、フィルタリングされた白色光出力をスクリーン3914などのスクリーン上に投影することを含む。
【0179】
投影システム4000、4100内の照明角は、光学フィルタ(たとえば、光学フィルタ110)によってフィルタリングされる回折次数に基づいて制御されてもよい。たとえば、投影システム4100において、白色光ファイバー4102の出力は、光学フィルタの回折構成に基づいて選択された照明角度を有してもよい。さらに、反射デバイス4110の傾斜角は、光の角度および/または選択された回折次数が光学フィルタによってフィルタリングされることを確実にするように選択されうる。
【0180】
本開示によるシステム、方法、およびデバイスは、以下の構成のうちの任意の一つまたは複数をとりうる。
【0181】
(1)白色光照明を使用する投影システムであって: 白色光入力を受け取るように構成された照明アセンブリと; 前記白色光入力を別個のカラー光入力に分離し、それらのカラー光入力をそれぞれの変調器に向け直し、前記それぞれの変調器からの変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムと; 前記白色光出力を空間的にフーリエ変換して、フィルタリングされた白色光出力を生成するように構成された光学フィルタと; 前記フィルタリングされた白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリとを有する、投影システム。
【0182】
(2)前記カラー光入力は、赤色光、緑色光、および青色光を含み、前記それぞれの変調器は、前記赤色光を変調するように構成された第1の変調器と、前記緑色光を変調するように構成された第2の変調器と、前記青色光を変調するように構成された第3の変調器とを含む、(1)に記載の投影システム。
【0183】
(3)前記光学フィルタは、前記白色光出力をフーリエ面に合焦させるように構成されたレンズを含み、前記フーリエ面は、前記レンズの焦点面と一致する、(1)または(2)に記載の投影システム。
【0184】
(4)前記複数の変調器のうちの前記少なくとも1つと前記投影レンズ・アセンブリとの間に光学的に配置されたウォビュレータをさらに有する、(1)ないし(3)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0185】
(5)前記光学フィルタは、前記白色光出力の一つまたは複数の回折次数を遮断するように構成されている、(1)ないし(4)のうちいずれか1項に記載の投影システム。
【0186】
(6)前記光学フィルタは、前記投影レンズ・アセンブリ内に一体化される、(1)ないし(5)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0187】
(7)前記プリズムは、前記白色光を前記カラー光入力に分離するように構成された内部全反射(TIR)プリズム・セグメントを含む、(1)ないし(6)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0188】
(8)前記白色光入力を前記プリズムに向けるように構成された折り曲げミラーをさらに有する、(1)ないし(7)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0189】
(9)前記カラー光入力のそれぞれは、同じ照明角度を有する、(1)ないし(8)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0190】
(10)前記プリズムに広帯域反射防止コーティングが施されている、(1)ないし(9)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0191】
(11)前記それぞれの変調器のうちの第1の変調器がオフ状態にあるとき、前記第1の変調器によって変調された前記それぞれのカラー光入力は、光ダンプに向けられる、(1)ないし(10)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0192】
(12)前記それぞれの変調器は、デジタルマイクロミラーデバイス、微小電気機械システム・アレイ、および液晶オンシリコン・アレイからなる群から選択される1つである、(1)ないし(11)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0193】
(13)プロジェクター・システムにおいて白色光を変調する方法であって、当該方法は: プリズム・アセンブリを用いて、白色光入力を受け取る段階と; 前記プリズム・アセンブリを用いて、前記白色光を複数の別個のカラー光入力に分離する段階であって、各カラー光入力が、ある照明角度で別個のプリズム経路に提供される、段階と; 各別個のプリズム経路におけるカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調する段階と; 前記プリズム・アセンブリ内で、各変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせる段階と; 前記白色光出力を投影レンズ・アセンブリに提供する段階と; 前記投影レンズ・アセンブリ内で前記白色光出力をフィルタリングする段階と; フィルタリングされた白色光出力を投影する段階とを含む、方法。
【0194】
(14)前記カラー光入力は、赤色光、緑色光、および青色光を含み、各別個のプリズム経路におけるカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調する段階は、第1のカラー光変調器を用いて前記赤色光を変調し、第2のカラー光変調器を用いて前記緑色光を変調し、第3のカラー光変調器を用いて前記青色光を変調することを含む、(13)に記載の方法。
【0195】
(15)前記投影レンズ・アセンブリに含まれるレンズを用いて、前記白色光出力をフーリエ面上に合焦させる段階をさらに含み、前記フーリエ面が前記レンズの焦点面と一致する、(13)または(14)に記載の方法。
【0196】
(16)前記投影レンズ・アセンブリ内で前記白色光出力をフィルタリングすることは、前記白色光出力の一つまたは複数の回折次数を遮断することを含む、(13)ないし(15)のうちいずれか一項に記載の方法。
【0197】
(17)白色光照明を使用する投影システムであって: 白色光を複数の色チャネルに分離し、それらの色チャネルをそれぞれの変調器に向け直し、前記それぞれの変調器からの変調された色チャネルを白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムと; 前記白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリとを有しており、前記投影レンズ・アセンブリは、前記白色光出力を空間的にフーリエ変換するように構成された光学フィルタを含む、
投影システム。
【0198】
(18)前記複数の色チャネルは、赤の色チャネル、緑の色チャネル、および青の色チャネルを含み、前記それぞれの変調器は、前記赤の色チャネルを変調するように構成された第1の変調器と、前記緑のチャネルを変調するように構成された第2の変調器と、前記青のチャネルを変調するように構成された第3の変調器とを含む、(17)に記載の投影システム。
【0199】
(19)前記プリズムは、前記白色光を前記複数の色チャネルに分離するように構成された内部全反射(TIR)プリズム・セグメントを含む、(17)ないし(18)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0200】
(20)前記色チャネルのそれぞれは、同じ照明角度を有する、(17)ないし(19)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0201】
本明細書に記載されるプロセス、システム、方法、ヒューリスティクス等に関して、そのようなプロセス等のステップは、ある順序付けられたシーケンスに従って行われるものとして説明されているが、そのようなプロセスは、本明細書に記載される順序以外の順序で実行される記載されるステップを用いて実施されてもよいことを理解されたい。さらに、ある種のステップが同時に実行されることができ、他のステップが追加されることができ、または本明細書に記載されたある種のステップが省略されることができることを理解されたい。言い換えれば、本明細書におけるプロセスの説明は、ある種の実施形態を例示する目的で提供されており、決して特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0202】
よって、上記の説明は、例示的であり、制約するものではないことが意図されることを理解されたい。提供された例以外の多くの実施形態および用途が、上記の説明を読めば明らかであろう。範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。本明細書で説明される技術において将来の発展が生じること、および開示されるシステムおよび方法がそのような将来の実施形態に組み込まれることが予期され、意図される。要するに、本願は、修正および変形が可能であることを理解されたい。
【0203】
特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で反対の明示的な指示がなされない限り、本明細書で説明される技術に通じている者によって理解されるような、それらの最も広い妥当な解釈およびそれらの通常の意味を与えられることが意図される。特に、「a」、「the」、「said」などの単数形の冠詞の使用は、請求項がそれとは反対の明確な限定を述べていない限り、示された要素の一つまたは複数を記載しているものと読まれるべきである。
【0204】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを許容するために提供される。要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという理解の下で提出される。加えて、前述の詳細な説明において、本開示の流れをよくする目的で、さまざまな特徴がさまざまな実施形態において一緒にグループ化されていることがわかる。この開示方法は、請求される実施形態が各請求項において明示的に記載されるよりも多くの特徴を組み込むという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ないものにある。よって、以下の特許請求の範囲は、ここに詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に請求される主題として自立している。
図1
図2
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【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光照明を使用する投影システムであって:
白色光入力を受け取るように構成された照明アセンブリと;
前記白色光入力を別個のカラー光入力に分離し、それらのカラー光入力をそれぞれの変調器に向け直し、前記それぞれの変調器からの変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムと;
前記白色光出力を空間的にフーリエ変換して、フィルタリングされた白色光出力を生成するように構成された光学フィルタと;
前記フィルタリングされた白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリとを有しており前記光学フィルタは前記投影レンズ・アセンブリ内に統合されており、
前記投影レンズ・アセンブリはさらにズーム部を含み、前記光学フィルタはフーリエ部およびアパーチャを有しており、前記ズーム部および前記フーリエ部は、前記フーリエ部のフーリエ面と前記ズーム部のフーリエ面が同一平面上になるように前記投影レンズ・アセンブリにおいて組み立てられている、
投影システム。
【請求項2】
前記カラー光入力は、赤色光、緑色光、および青色光を含み、前記それぞれの変調器は、前記赤色光を変調するように構成された第1の変調器と、前記緑色光を変調するように構成された第2の変調器と、前記青色光を変調するように構成された第3の変調器とを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記フーリエ部は、前記白色光出力を前記フーリエ面に合焦させるように構成されたレンズを含み、前記フーリエ面は、前記レンズの焦点面と一致する、請求項1または2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記複数の変調器のうちの前記少なくとも1つと前記投影レンズ・アセンブリとの間に光学的に配置されたウォビュレータをさらに有する、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項5】
前記光学フィルタは、前記白色光出力の一つまたは複数の回折次数を遮断するように構成されている、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記プリズムは、前記白色光を前記カラー光入力に分離するように構成された内部全反射(TIR)プリズム・セグメントを含む、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項7】
前記カラー光入力のそれぞれは、同じ照明角度を有する、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項8】
前記プリズムに広帯域反射防止コーティングが施されている、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項9】
前記複数の変調器のうちの第1の変調器がオフ状態にあるとき、前記第1の変調器によって変調されたそれぞれのカラー光入力は、光ダンプに向けられる、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項10】
前記白色光入力を前記プリズムに向けるように構成された折り曲げミラーをさらに有する、
請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項11】
前記それぞれの変調器は、デジタルマイクロミラーデバイス、微小電気機械システム・アレイ、および液晶オンシリコン・アレイからなる群から選択される1つである、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項12】
プロジェクター・システムにおいて白色光を使用する方法であって、当該方法は:
プリズム・アセンブリを用いて、白色光入力を受け取る段階と;
前記プリズム・アセンブリを用いて、前記白色光を複数の別個のカラー光入力に分離する段階であって、各カラー光入力が、ある照明角度で別個のプリズム経路に提供される、段階と;
各別個のプリズム経路におけるカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調する段階と;
前記プリズム・アセンブリ内で、各変調されたカラー光入力を白色光出力に組み合わせる段階と;
前記白色光出力を投影レンズ・アセンブリに提供する段階と;
前記投影レンズ・アセンブリ内で前記白色光出力をフィルタリングする段階と;
フィルタリングされた白色光出力を投影する段階とを含む、
方法。
【請求項13】
前記カラー光入力は、赤色光、緑色光、および青色光を含み、各別個のプリズム経路におけるカラー光変調器を用いて各カラー光入力を変調する段階は、第1のカラー光変調器を用いて前記赤色光を変調し、第2のカラー光変調器を用いて前記緑色光を変調し、第3のカラー光変調器を用いて前記青色光を変調することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記投影レンズ・アセンブリに含まれるレンズを用いて、前記白色光出力をフーリエ面上に合焦させる段階をさらに含み、前記フーリエ面が前記レンズの焦点面と一致する、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記投影レンズ・アセンブリ内で前記白色光出力をフィルタリングすることは、前記白色光出力の一つまたは複数の回折次数を遮断することを含む、請求項12ないし13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
白色光照明を使用する投影システムであって:
白色光を複数の色チャネルに分離し、それらの色チャネルをそれぞれの変調器に向け直し、前記それぞれの変調器からの変調された色チャネルを白色光出力に組み合わせるように構成されたプリズムと;
前記白色光出力を投影するように構成された投影レンズ・アセンブリとを有しており、前記投影レンズ・アセンブリは、前記白色光出力を空間的にフーリエ変換するように構成された、前記投影レンズ・アセンブリ内に統合された光学フィルタを含
前記投影レンズ・アセンブリはさらにズーム部を含み、前記光学フィルタはフーリエ部およびアパーチャを有しており、前記ズーム部および前記フーリエ部は、前記フーリエ部のフーリエ面と前記ズーム部のフーリエ面が同一平面上になるように前記投影レンズ・アセンブリにおいて組み立てられている、
投影システム。
【請求項17】
前記複数の色チャネルは、赤の色チャネル、緑の色チャネル、および青の色チャネルを含み、前記それぞれの変調器は、前記赤の色チャネルを変調するように構成された第1の変調器と、前記緑のチャネルを変調するように構成された第2の変調器と、前記青のチャネルを変調するように構成された第3の変調器とを含む、請求項16に記載の投影システム。
【請求項18】
前記プリズムは、前記白色光を前記複数の色チャネルに分離するように構成された内部全反射(TIR)プリズム・セグメントを含む、請求項16ないし17のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項19】
前記色チャネルのそれぞれは、同じ照明角度を有する、請求項16ないし17のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【国際調査報告】