(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】強磁性粉末組成物及びそれを得る方法
(51)【国際特許分類】
B22F 1/102 20220101AFI20241016BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20241016BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20241016BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20241016BHJP
H01F 1/20 20060101ALI20241016BHJP
H01F 1/26 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B22F1/102 100
B22F1/05
C22C33/02 L
B22F1/16 100
H01F1/20
H01F1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522205
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2022078826
(87)【国際公開番号】W WO2023062242
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509020295
【氏名又は名称】ホガナス アクチボラグ (パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、イェ
(72)【発明者】
【氏名】スコールマン、ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッシュ、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルセン、アン - キャサリン
【テーマコード(参考)】
4K018
5E041
【Fターム(参考)】
4K018AA24
4K018BC28
4K018BC29
4K018BD01
4K018KA43
5E041AA01
5E041BB03
5E041BC05
5E041BC08
5E041BD12
5E041CA02
5E041HB05
5E041HB11
5E041HB14
5E041NN05
5E041NN06
5E041NN17
5E041NN18
(57)【要約】
軟磁性鉄系コア粒子(11)を含む強磁性粉末組成物であって、コア粒子(11)の平均サイズは、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内であり、コア粒子(11)の表面は、一般式(M2O)α(SiO2)β(式中、αはM2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にある)の少なくとも1つのシリケートを含む少なくとも部分的に被覆する第1のコーティングで少なくとも部分的にコーティングされ、第1のコーティング(12a)は、強磁性粉末のコア粒子(11)の表面と直接接触し、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された少なくとも1つのシリケートの0.02~1.0wt%を含む強磁性粉末組成物の量で存在する、強磁性粉末組成物が提供される。軟磁性鉄系コア粒子をコーティングし、部品を製造する方法がさらに提供される。Mがカリウム(K)である場合に特に適切なコーティングが観察された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性鉄系コア粒子(11)を含む強磁性粉末組成物であって、
-前記コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有しており、
-前記コア粒子(11)の表面は、一般式(M
2O)
α(SiO
2)
β
(式中、
-αはM
2Oのモルであり、βはSiO
2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にあり、
-MはLi、Na及びKから選択される)の水性シリケートを含む第1のコーティング(12a)で少なくとも部分的にコーティングされ、
-前記第1のコーティング(12a)は、強磁性粉末のコア粒子(11)の表面と直接接触し、
-前記シリケートは、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%の量で存在し、及び
-前記第1のコーティング(12a)は、前記鉄系コア粒子(11)上で前記第1のコーティング(12a)を形成した後に酸性水溶液で酸処理されている、強磁性粉末組成物。
【請求項2】
Mはカリウム(K)である、請求項1に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項3】
前記酸性水溶液は水性リン酸又は水性硝酸のいずれかである、請求項1及び2のうちのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項4】
前記酸性水溶液は水性リン酸である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項5】
前記第1のコーティング(12a)上に、酸化ビスマス(III)粒子(14)が堆積され、前記酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.1~10μmの間隔でSS-ISO13320-1に従って測定されたD
50を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項6】
前記コア粒子(11)は、さらに、第2のコーティング(12b)を含み、前記コア粒子(11)上の前記第1のコーティング(12a)は、前記コア粒子(11)と前記第2のコーティング(12b)との間に位置し、前記第2のコーティング(12b)は、前記第1のコーティング(12a)上に少なくとも単層として堆積するのに適切な少なくとも1つの絶縁水性有機分子から形成されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項7】
前記第1のコーティング(12a)上に少なくとも単層として堆積するのに適切な少なくとも1つの絶縁水性有機分子は、
下記一般式:
R
1[(R
1)
x(R
2)
y(M2)]
nO
n-1R
1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R
1は加水分解性基であり;
R
2は有機部分であり、少なくとも1つのR
2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;及び
yは1又は2である)を有する少なくとも1つの金属有機化合物(13)を含む、
請求項6に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項8】
M2はシリコン(Si)である、請求項7に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項9】
前記コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にある、請求項1から8までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項10】
前記コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmの範囲にある、請求項1から8までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項11】
前記コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にある、請求項1から8までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項12】
前記シリケートは、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~1.0wt%の量で前記強磁性粉末組成物中に存在し、好ましくは、前記シリケートは、0.10~0.5wt%の量で存在する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項13】
ケイ酸カリウムは、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.1~0.6wt%の量で存在する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項14】
前記シリケートのβ/αモル比は、2.5~4.1、好ましくは2.9~3.5、より好ましくは3.1~3.4の間隔にある、請求項1から13までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項15】
SS-ISO13320-1に従って測定された前記酸化ビスマス(III)粒子(14)のD
50は、0.5~2μmの間隔にある、請求項5から14までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項16】
前記酸化ビスマス(III)粒子(14)は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.30wt%の量で存在する、請求項5から15までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項17】
前記酸化ビスマス(III)粒子(14)は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.30wt%の量で存在する、請求項5から16までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項18】
前記酸化ビスマス(III)粒子は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在し、前記金属有機化合物は、0.10~0.25wt%の量で存在する、請求項5から17までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項19】
前記金属有機化合物(13)は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.15~0.30wt%の量、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する、請求項7から18までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項20】
ケイ酸カリウムは、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.30wt%の量で存在し、前記酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、前記金属有機化合物(13)は、0.10~0.20wt%の量で存在する、請求項7から19までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項21】
前記金属有機化合物は、アルコキシ末端アミノシルセスキオキサン、アミノシロキサン、オリゴマー3-アミノプロピルアルコキシシラン、3-アミノプロピルプロピルアルコキシシランからなる群から選択される、請求項7から20までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項22】
前記金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルアルコキシシランからなる群から選択される、請求項7から21までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物。
【請求項23】
次の連続ステップ:
a.軟磁性鉄系コア粒子(11)を準備するステップ、
b.前記軟磁性鉄系コア粒子(11)を一般式(M
2O)
α(SiO
2)
β
(式中、
-MはLi、Na及びKから選択され、
-αはM
2Oのモルであり、βはSiO
2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にある)のシリケートを含む第1の水性混合物と接触させるステップであり、
それによって、前記コア粒子(11)の表面に直接接触する前記コア粒子(11)を少なくとも部分的に被覆する第1のコーティング(12a)を得るステップ、
c.前記水の少なくとも水の一部を除去するステップ、
d.前記シリケートコーティング軟磁性鉄系コア粒子(11)を酸性水溶液と反応させるステップであり、
前記シリケートは、前記少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%で存在するステップ
を備える、軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法。
【請求項24】
Mはカリウム(K)である、請求項23に記載の軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法。
【請求項25】
前記酸性水溶液はリン酸又は硝酸、好ましくは、リン酸である、請求項23又は24に記載の軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法。
【請求項26】
ステップb)及びc)は、少なくとも一度繰り返される、請求項23から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された前記シリケートの0.05~0.5wt%は、ステップb)で添加される、請求項23から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記シリケートのβ/αモル比は、2.5~4.1、好ましくは2.9~3.5、より好ましくは3.1~3.4の間隔にある、請求項23から27までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記強磁性粉末組成物を乾燥、分離する次のプロセスステップに先立って、請求項23から28までのいずれか一項に記載の方法を使用して、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有する軟磁性鉄系コア粒子(11)の少なくとも80wt%を含む粉末をコーティングするステップを備える、強磁性粉末組成物を得る方法。
【請求項30】
前記強磁性粉末組成物を乾燥、分離する次のプロセスステップに先立って、さらなる連続ステップ:
e.任意に、ステップc)からの前記少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子を酸化ビスマス(III)粒子(14)と接触させるステップであり、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD
50は、0.1~10μmの間隔にあるステップ、
f.任意に、少なくとも前記水の一部を除去するステップ、
g.粒子を一般式:
R
1[(R
1)
x(R
2)
y(M2)]
nO
n-1R
1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R
1は加水分解性基であり;
R
2は有機部分であり、及び少なくとも1つのR
2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは、1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;
yは1又は2である)を有する金属有機化合物(13)と接触させるステップ、
をさらに備える、請求項29に記載の強磁性粉末組成物を得る方法。
【請求項31】
M2はシリコン(Si)である、請求項29又は30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ステップe)が含まれる、請求項29から31までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ステップf)が含まれる、請求項29から32までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップe)及びf)の両方が含まれる、請求項29から33までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ISO4497:2020に従って測定された前記供給されたコア粒子(11)の少なくとも80wt%は20~75μmの範囲にある、請求項29から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
ISO4497:2020に従って測定された前記コア粒子(11)の少なくとも80wt%は45~150μmの範囲にある、請求項29から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ISO4497:2020に従って測定された前記コア粒子(11)の少なくとも80wt%は75~380μmの範囲にある、請求項29から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
SS-ISO13320-1に従って測定された前記酸化ビスマス(III)粒子(14)のD
50は、0.5~2μmの間隔にある、請求項29から37までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
酸化ビスマス(III)粒子(14)は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.30wt%、好ましくは0.10~0.30wt%の量で存在する、請求項29から38までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記シリケートは、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~1.0wt%、好ましくは0.10~0.6wt%の範囲の量で存在する、請求項29から39までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記金属有機化合物(13)は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.15~0.30wt%の範囲、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する、請求項29から40までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記酸化ビスマス(III)粒子(14)は、前記強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在する、及び前記金属有機化合物(13)は0.10~0.25wt%の量で存在する、請求項29から41までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記シリケートはカリウム水ガラスであり、0.10~0.30wt%の量で存在し、前記酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、前記金属有機化合物は0.05~0.20wt%の量で存在する、請求項29から42までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記金属有機化合物は、アルコキシ末端アミノシルセスキオキサン、アミノシロキサン、オリゴマー3-アミノプロピルアルコキシシラン、3-アミノプロピルプロピルアルコキシシランからなる群から選択される、請求項29から44までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピル/メチルアルコキシシランからなる群から選択される、請求項29から45までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
請求項29から45までのいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物から物体を製造する方法であって、
h.前記強磁性粉末組成物をステップgから取り、前記強磁性粉末組成物を少なくとも1つの潤滑剤と混合すること、
i.任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に前記金型を予熱すること、
j.前記金型中の前記組成物を300~2000MPa、好ましくは400~1200MPaの範囲の圧縮圧力で圧縮すること、
k.得られた素地を取り出すこと、及び
好ましくは0~2.2wt%、より好ましくは0.5~2wt%のO
2を含む非還元性雰囲気中で、300~800℃、好ましくは400~750℃、より好ましくは600~700℃の範囲の温度で前記素地を熱処理すること
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟磁性鉄系コア粒子を含む強磁性粉末組成物、及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟磁性複合(SMC)粉末は、本技術分野において公知であり、各粒子に電気絶縁コーティングを有する通常は鉄系軟磁性コア粒子に基づく。SMC部品は、典型的には潤滑剤及び/又は公知の結合剤とともに、公知の粉末冶金成形プロセスを用いて絶縁粒子を成形することによって得られる。
【0003】
鉄心部品の2つの重要な特性は、その透磁率及びコア損失特性である。材料の透磁率は、磁化するその能力、又は磁束を保持するその能力の指標である。透磁率は、誘導磁束と、磁化力又は磁場強度との比で定義される。磁性材料が変動磁場に曝されると、ヒステリシス損失及び渦電流損失の両方によるエネルギー損失が生じる。たいていの電動機用途における全体のコア損失の大部分を占めるヒステリシス損失(DC損失)は、鉄心部品内の保持磁力を克服するのに必要なエネルギー消費によってもたらされる。磁力を、基材粉末の純度及び品質を向上させることによって、最小限に抑えることができるが、最も重要なことは部品の熱処理(即ち、応力緩和)の温度及び/又は時間を増大させることによって最小限に抑えることができる。渦電流損失(AC損失)は、交流電流(AC)条件によって引き起こされる磁束変化による鉄心部品における電流の生成によってもたらされる。個々の鉄系粒子は、渦電流損失を最小限に抑えるために、それぞれおおよそ完全に電気的に絶縁されなければならない。AC損失を最小限に抑えるために必要な電気抵抗のレベルは、用途の種類(動作周波数)、粒度分布及び部品のサイズに依存する。
【0004】
欧州特許第2252419(B1)号明細書は、軟磁性鉄系コア粒子を含む強磁性粉末組成物を開示し、コア粒子の表面は、
下記一般式:
(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、
-M2は、Si、Ti、Al又はZrから選択された中心原子であり;
-Oは酸素であり;
-R1は加水分解性基であり;
-R2は有機部分であり、少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
-nは繰り返し可能な単位の数であり、及びn=2~20であり;xは0又は1であり;yは1又は2である)を有するアセトンに金属有機化合物の第1の層の外側に位置する第1のリン系無機絶縁層及び少なくとも1つの有機金属層でコーティングされ;
-3.5未満のモース硬度を有する金属又は半金属微粒子状化合物は、少なくとも1つの有機金属層に付着されており;粉末組成物は、さらに粒子状潤滑剤を含み;金属又は半金属微粒子状化合物は酸化ビスマス(III)である。
【0005】
欧州特許第2252419号明細書におけるコーティングプロセスの根本問題は、有機金属層のコーティングプロセスについての有機溶媒への依存である。本発明は、この根本問題を克服するための解決策を目的とする。
【0006】
米国特許第10,741,316号明細書は、軟磁性鉄系コア粒子を含む強磁性粉末組成物を開示し、コア粒子の表面は少なくとも1つのリン系無機絶縁層でコーティングされ、次いで、金属有機化合物(単数又は複数)で少なくとも部分的に被覆され、金属有機化合物(単数又は複数)の総量は、粉末組成物の0.005~0.05重量%であり、粉末組成物は、さらに潤滑剤を含む。
【0007】
Soileauらの米国特許第4601753号明細書及び米国特許第4601765号明細書において、鉄粉末を同じコーティングされていない鉄粉末の磁気特性を向上させるためのシリケートと接触する実現可能性がテストされた。
【0008】
金属粉末用コーティングを調製するために溶媒が利用されるのは、当技術分野の状態における問題である。今日使用される方法と比較してより環境にやさしい方法で製造される軟磁性鉄系コア粒子を含む強磁性粉末組成物を提供することが望まれ、同時に今日使用される方法と比較して粉末のより低い質を与えない。
【0009】
定義
本発明が詳細に開示され説明される前に、本発明は、本明細書に開示される特定の構成、プロセスステップ及び材料に限定されないということを理解されたい。というのは、そのような構成、プロセスステップ及び材料は、いくらか変わってもよいからである。
【0010】
本明細書及び添付の請求項で使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確に他を示さない限り、複数の指示対象を包含するということに留意すべきである。
【0011】
本明細書で使用される「粉末」は、粉末を構成する複数のコア粒子を表す。コア粒子は、金属又は金属合金からなり、典型的に表面上に酸化物を備える。
【0012】
本明細書で使用される「粉末組成物」は、軟磁性鉄系コア粒子、及びコア粒子に適用される任意のコーティング、潤滑剤、及び結合剤を含むさらなる化合物を表す。
【0013】
コア粒子は異なるサイズを有していてもよい。粉末中の粒子は粒度分布を有する。この適用内では、粒度分布は、ISO4497:2020に従って異なるふるい分級物を量ることによって測定される。次いで、平均粒度はISO9276-2:2014に従って粒度分布から算出される。
【0014】
酸化ビスマス(III)粒子については、粒子D50をもたらすることによって定義される。D50は、粒度分布の中位径又は中央値であり、それは累積分布における50%での粒子径の値である。それはSS-ISO13320-1に従って測定される。
【0015】
軟磁性鉄系コア粒子(11)は、本技術分野において公知であり、多くの用途において使用される。そのような軟磁性鉄系コア粒子(11)のキャラクタリゼーションについては、本出願の文脈において、本発明者らは、コーティングの機能性の測定値として次のパラメーターを測定した:
電気抵抗率-材料がどのくらい電流に抵抗するかの測定値(μΩm)。
最大透過率-材料が印加磁界に応じて得る磁化の測定値(単位なし)。
正方形トロイド密度-磁気特性の評価に使用された磁性正方形トロイドの密度(g/cm3)。
磁束-付与された印加磁界(T)について得られた誘導。
全体のコア損失-与えられた誘導及び周波数について得られた全体のコア損失(W/kg)。
TRS-30x12x6mmの寸法を備えたバー上のSS-EN ISO3325:2000による抗折力(MPa)。
【0016】
パラメーターは、すべて市販の軟磁性粉組成物と比較され、先行技術で見られた軟磁性粉組成物を使用して得られた結果と少なくとも同等であることが一般的に分かった。
【発明の概要】
【0017】
第1の態様及びその実施形態において、軟磁性鉄系コア粒子(11)を含む強磁性粉末組成物であって、
-コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有しており、
-コア粒子(11)の表面は、一般式(M2O)α(SiO2)β
(式中、
-αはM2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にあり、
-MはLi、Na及びKから選択される)の水性シリケートを含む第1のコーティング(12a)で少なくとも部分的にコーティングされ、
-第1のコーティング(12a)は、強磁性粉末のコア粒子(11)の表面と直接接触し、
-シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%の量で存在し、及び
-第1のコーティング(12a)は、鉄系コア粒子(11)上で第1のコーティング(12a)を形成した後に酸性水溶液で酸処理されている、強磁性粉末組成物。
【0018】
強磁性粉末組成物の好ましい実施形態において、Mはカリウム(K)である、強磁性粉末組成物が本明細書で開示される。
【0019】
強磁性粉末組成物のさらに好ましい実施形態において、酸性水溶液は水性リン酸又は水性硝酸のいずれかであり、最も好ましくは水性リン酸である。
【0020】
1つの実施形態において、強磁性粉末組成物では、第1のコーティング(12a)上に、酸化ビスマス(III)粒子(14)が堆積され、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.1~10μmの間隔でSS-ISO13320-1に従って測定されたD50を有する。
【0021】
強磁性粉末組成物の実施形態において、コア粒子(11)は、さらに、第2のコーティング(12b)を含み、コア粒子(11)上の第1のコーティング(12a)は、コア粒子(11)と第2のコーティング(12b)との間に位置し、第2のコーティング(12b)は、第1のコーティング(12a)上に少なくとも単層として堆積するのに適切な少なくとも1つの絶縁水性有機分子から形成されている。
【0022】
強磁性粉末組成物の実施形態において、第1のコーティング(12a)上に少なくとも単層として堆積するのに適切な少なくとも1つの絶縁水性有機分子は、
下記一般式:(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R1は加水分解性基であり;
R2は有機部分であり、少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは、1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;及び
yは1又は2である)を有する少なくとも1つの金属有機化合物(13)を含む。
【0023】
強磁性粉末組成物の実施形態において、M2はシリコン(Si)である。
【0024】
強磁性粉末組成物の実施形態において、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にある。
【0025】
強磁性粉末組成物の実施形態において、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmの範囲にある。
【0026】
強磁性粉末組成物の実施形態において、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にある。
【0027】
第2の態様及びその実施形態において、
次の連続ステップ:
a.軟磁性鉄系コア粒子(11)を準備するステップ、
b.軟磁性鉄系コア粒子(11)を一般式(M2O)α(SiO2)β
(式中、
-MはLi、Na及びKから選択され、
-αはM2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にある)のシリケートを含む第1の水性混合物と接触させるステップであり、
それによって、コア粒子(11)の表面に直接接触するコア粒子(11)を少なくとも部分的に被覆する第1のコーティング(12a)を得るステップ、
c.水の少なくとも水の一部を除去するステップ、
d.シリケートコーティング軟磁性鉄系コア粒子(11)を酸性水溶液と反応させるステップであり、
シリケートは、少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%で存在するステップを備える、軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法が本明細書で開示される。
【0028】
軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法の特に好ましい実施形態において、Mはカリウム(K)である。
【0029】
第3の態様及びその実施形態において、強磁性粉末組成物を乾燥、分離する次のプロセスステップに先立って、本明細書の詳細な態様及び実施形態による方法を使用して、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有する軟磁性鉄系コア粒子(11)の少なくとも80wt%を含む粉末をコーティングするステップを備える強磁性粉末組成物を得る方法を本明細書に開示する。
【0030】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、方法は、さらに、強磁性粉末組成物を乾燥、分離する次のプロセスステップに先立って、さらなる連続ステップ:
e.任意に、ステップc)からの少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子を酸化ビスマス(III)粒子(14)と接触させるステップであり、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.1~10μmの間隔にあるステップ、
f.任意に、少なくとも水の一部を除去するステップ、
g.粒子を一般式:
(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R1は加水分解性基であり;
R2は有機部分であり、及び少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは、1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;
yは1又は2である)を有する金属有機化合物(13)と接触させるステップ、
を備える。
【0031】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、M2はシリコン(Si)である。
【0032】
第4の態様及びその実施形態において、本開示による強磁性粉末組成物から物体を製造する方法であって、
h.強磁性粉末組成物をステップfから取り、強磁性粉末組成物を少なくとも1つの潤滑剤と混合すること、
i.任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に金型を予熱すること、
j.金型内の組成物を300~2000MPa、好ましくは400~1200MPaの範囲の圧縮圧力で圧縮すること、
k.得られた素地を取り出すこと、及び
l.好ましくは0~2.2wt%、より好ましくは0.5~2wt%のO2を含む非還元性雰囲気中で、300~800℃、好ましくは400~750℃、より好ましくは600~700℃の範囲の温度で素地を熱処理すること
を備える、方法が本明細書に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の部分的にコーティングされた粒子の概略図。
【
図4】懸濁液濁度に対する酸濃度の影響、リン酸と硝酸との比較。
【
図5】ケイ酸カリウムでコーティングされた鉄系粉末のSEM及びEDS画像、目盛100μm。
【
図6】ケイ酸カリウムでコーティングされた鉄系粉末のSEM及びEDS画像、目盛5μm。
【
図7】ケイ酸カリウムでコーティングされた鉄系粉末のSEM及びEDS画像、A:目盛250μm、B:目盛100μm。
【
図8】異なる濃度のH
3PO
4で処理されたケイ酸カリウムでコーティングされた鉄系粉末のSEM及びEDS画像、目盛25μm。
【
図9】H
3PO
4で処理され、B
2O
3粒子が後に添加されたケイ酸カリウムでコーティングされた鉄系粉末のSEM及びEDS画像。
【
図10】H
3PO
4で処理され、B
2O
3粒子が後に添加され、Dynasylan(登録商標)のトップコーティングを備えたケイ酸カリウムでコーティングされた鉄系粉末のSEM及びEDS画像。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面に示される実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものとして解釈され得ないことを理解すべきである。別段の指示がない限り、図面は、明細書とともに読まれることを意図しており(例えば、クロスハッチング、部品の配置、比率、度合いなど)、本開示の書面による説明全体の一部とみなされるものとする。
詳細な説明
【0035】
本開示では、本明細書に詳述されるすべての実施形態及び態様は、以下に開示される、軟磁性鉄系コア粒子(11)を含む強磁性粉末組成物に依存し、
コア粒子(11)の表面は、一般式(M2O)α(SiO2)β
(式中、
-αはM2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にあり、
-MはLi、Na及びKから選択される)の水性シリケートを含む第1のコーティング(12a)で少なくとも部分的にコーティングされ、
-第1のコーティング(12a)は、強磁性粉末のコア粒子(11)の表面と直接接触し、
-シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%の量で存在する。
【0036】
本明細書で意図する用途に適切な強磁性粉末組成物を得るために、コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有していることが一般に望ましいが、当業者によって容易に理解されるように、本粒子は、水溶液中で調製され、従って、任意の粒子サイズ及び任意の粒子分布は、体積及び濃度のための適切な調整が当業者の共通の一般知識に従って着手された場合、下記の実施例に従って本方法を使用するコーティングの対象となり得る。
【0037】
第1の態様及びその実施形態において、軟磁性鉄系コア粒子(11)を含む強磁性粉末組成物であって、
-コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有しており、
-コア粒子(11)の表面は、一般式(M2O)α(SiO2)β
(式中、
-αはM2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にあり、
-MはLi、Na及びKから選択される)の水性シリケートを含む第1のコーティング(12a)で少なくとも部分的にコーティングされ、
-第1のコーティング(12a)は、強磁性粉末のコア粒子(11)の表面と直接接触し、
-シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%の量で存在し、及び
-第1のコーティング(12a)は、鉄系コア粒子(11)上に第1のコーティング(12a)を形成した後に酸性水溶液で酸処理されている、強磁性粉末組成物が本明細書で開示される。
【0038】
強磁性粉末組成物の好ましい実施形態において、Mはカリウム(K)である。
【0039】
本明細書に示された実施例で議論するように、当該技術分野において公知の強磁性粉末と比較した場合、本開示による強磁性粉末は多数の有利な特性を有する。本明細書に詳述された実施例において示すように、酸性水溶液での酸処理によって、第1のコーティング(12a)のシリケートは化学変化を受け、それによって、米国特許第4601753号明細書及び米国特許第4601765号明細書のSoileauらによって他の部分に詳述されたシリケートコーティングとは化学的に異なる。
【0040】
強磁性粉末組成物のさらなる好ましい実施形態において、酸性水溶液は水性リン酸又は水性硝酸のいずれか、最も好ましくは水性リン酸である。
【0041】
本明細書に示された実験に基づいて、酸性水溶液が存在する状態での前述の化学変化が、堆積されたシリケートの少なくとも部分的な反応を引き起こして第1のコーティングとしてシリカを形成すると結論することは可能であった。さらに、最適な反応条件下では、シリケートのシリカへの完全転化が酸性水溶液の影響下で起こると結論することは可能だった。
【0042】
本明細書に示された実験に基づいて、第1のコーティング(12a)のシリケートが、酸性水溶液で、例えば、好ましくはリン酸又は硝酸で、最も好ましくはリン酸で処理された場合用のテストを備える内部標準を定義することは可能であった。即ち、シリケート被覆表面は、シリケート被覆表面が酸性水溶液処理前後に測定される場合に、使用された酸性水溶液の少なくとも1つの要素特性の検出されたレベルの著しい増加を示し、検出はエネルギー分散分光法(EDS)により、測定は、20kVの加速電圧、1.5μmの浸透深さ、及び1μmの検出領域径を使用して、10mmの距離(作動距離)でなされ、特徴要素の検出されたレベルの検出結果が、少なくとも4つの独立した検出の平均である。
【0043】
Soileauらのコーティングが、さらに化学修飾に依存しないので、使用された酸性水溶液の少なくとも1つの要素特性の増加したレベルの検出は、本コーティングとSoileauらのコーティングを区別する感度の高い測定である。
【0044】
実験から、濁度測定からも明らかなように、酸処理及び関連するpHの減少がシリケートの完全被覆への分布を促進するナノシリカの析出をもたらすことが観察された(実施例12、
図3及び4参照)。従って、酸処理された第1のコーティングは、被覆シリケートコーティングである。
【0045】
シリケート表面で酸処理がカチオン(実験において、粉末処理(実験における撹拌)中に反応しないシリケートを求め、ナノサイズのパッチを形成するカリウムイオン(K+))の濃縮を引き起こすことが観察された。これらのパッチは、パッチ間の下地コーティングに対して(SiO2/K2O)低い割合を有する。パッチは、結局、酸濃度が増加されるとともに、より小さく、十分に分布されて、トライボロジー(内部潤滑、及び圧縮の間の冷間溶接からの保護)に観察された有益な効果に寄与し、最終的にシリケートからシリカへの完全な移行を完成する。
【0046】
従って、1つの実施形態において、第1のコーティング(12a)は少なくとも部分的なシリカコーティングである。その実施形態において、第1のコーティング(12a)は十分に形成されたシリカコーティングである。
【0047】
さらにリン酸での実験において観察するように、多くの酸が、最終的にシリケートのシリカへの完全な変化後に、さらにカリウムにと反応し、それによって観察されたK3PO4ナノ微結晶を形成する。
【0048】
そのために、上に定義されるように、コーティング後及び酸処理前にパッチ中のアルカリ金属イオン(実験において、カリウム(K))のEDS測定含有量を酸処理後のアルカリ金属イオンの含有量と比較することにより、シリケートのシリカへの反応用の内部テストを定義することが可能であり、(実施例14参照)アルカリ金属イオン含有量の減少は、シリケートからシリカへの反応には決定的であり、第1の低下の後のさらなるアルカリ金属イオン含有量の低下がないことは、コーティングされたコア粒子上に存在するシリケートのシリカへの完全な反応には決定的である。
【0049】
パッチ(表14参照)上の測定された低下は、それぞれ、部分的に反応させられ、完全に反応させた表面について14.4/4.2~3.4(8.5g/l H3PO4)及び14.4/0.47~30.6(75g/l H3PO4)倍であった。
【0050】
1つの実施形態において、コア粒子(11)は、酸性水溶液で処理されていない、第1のシリケートコーティング(12a)を含むコア粒子(11)と比較して、EDS測定されたアルカリ金属含有量の低下が少なくとも2倍低下される場合、酸性水溶液処理後にコア粒子(11)上に部分的な第1のシリカコーティング(12a)を含む。EDS測定されたアルカリ金属含有量の低下が低下するので、部分的な第1のシリカコーティング(12a)の割合が増加するので、EDS測定されたアルカリ金属含有量の低下が第2の絶縁コーティング(12b)を備えたさらなるコーティングに先立って、少なくとも3倍又は4倍低下されることが好ましい。
【0051】
従って、実施形態において、EDS測定されたアルカリ金属含有量は、酸性水溶液での第1のコーティング(12a)の処理によって低減される。
【0052】
1つの実施形態において、強磁性粉末組成物では、第1のコーティング(12a)上に、酸化ビスマス(III)粒子(14)が堆積され、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.1~10μmの間隔でSS-ISO13320-1に従って測定されたD50を有する。
【0053】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、コア粒子(11)は、さらに、第2のコーティング(12b)を含み、コア粒子(11)上の第1のコーティング(12a)は、コア粒子(11)と第2のコーティング(12b)との間に位置し、第2のコーティング(12b)は、第1のコーティング(12a)上に少なくとも単層として堆積するのに適切な少なくとも1つの絶縁水性有機分子から形成されている。
【0054】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、第1のコーティング(12a)上に少なくとも単層として堆積するのに適切な少なくとも1つの絶縁水性有機分子は、
下記一般式:(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R1は加水分解性基であり;
R2は有機部分であり、少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは、1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;及び
yは1又は2である)を有する少なくとも1つの金属有機化合物(13)を含む。
【0055】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、M2はシリコン(Si)である。
【0056】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にある。
【0057】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmの範囲にある。
【0058】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にある。
【0059】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~1.0wt%の量で強磁性粉末組成物中に存在し、好ましくは、シリケートは、0.10~0.5wt%の量で存在する。
【0060】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、ケイ酸カリウムは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.1~0.6wt%の量で存在する。
【0061】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、シリケートのβ/αモル比は、2.5~4.1、好ましくは2.9~3.5、より好ましくは3.1~3.4の間隔にある。
【0062】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.5~2μmの間隔にある。
【0063】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.30wt%の量で存在する。
【0064】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.30wt%の量で存在する。
【0065】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在し、金属有機化合物は、0.10~0.25wt%の量で存在する。
【0066】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、金属有機化合物(13)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.15~0.30wt%の量、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する。
【0067】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、ケイ酸カリウムは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.30wt%の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は0.10~0.20wt%の量で存在する。
【0068】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、金属有機化合物は、アルコキシ末端アミノシルセスキオキサン、アミノシロキサン、オリゴマー3-アミノプロピルアルコキシシラン、3-アミノプロピルプロピルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0069】
強磁性粉末組成物の1つの実施形態において、金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0070】
開示の1つの特に好ましい態様において、軟磁性鉄系コア粒子(11)を含む強磁性粉末組成物を本明細書に開示し、コア粒子(11)のすべての少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内であり、コア粒子(11)の表面は、一般式(K2O)α(SiO2)βのシリケートを含む第1のコーティング(12a)で少なくとも部分的にコーティングされ、αはK2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にあり、第1のコーティング(12a)は、強磁性粉末のコア粒子(11)の表面と直接接触し、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%の量で存在する。
【0071】
図1は、部分的にコーティングされたコア粒子(10)の概略断面図を示す。コーティングとその成分の寸法は、例示目的のためにコア粒子に対して非常に誇張される。コア粒子(10)及び異なる層の原理を示すことが意図される。標識は、軟磁性鉄系コア(11);第1のコーティング(12a);第2のコーティング(12b);説明(13)で定義される金属有機化合物;ビスマス(III)酸化物粒子(14)を例示的に示す。実験において詳述するように、シリケート酸性反応の進行によって、シリケート層は、部分的(
図1に示すように)又は完全被覆酸反応シリケート層(図示せず)として生じてもよい。実験において示すように、完全に被覆された酸反応シリケート層は、本粒子及び粉末の磁気特性に最大の向上をもたらし、従って好ましい。
【0072】
粒子のサイズは大きく変化してもよいが、本コーティングが任意の粒子サイズ、微粒子及び粗粒子の両方に適していることが実験で分かった。
【0073】
最終用途によって決定された粉末組成物中のコア粒子に適切なサイズ範囲は、コア粒子が20~1000μmの範囲に平均サイズを有することである。コア粒子のサイズは、ISO4497:2020に従って適切に測定することができ、本明細書で測定され、平均サイズは、ISO9276-2:2014に従って測定された粒度分布から適切に算出される。
【0074】
一旦鉄系コア粒子がシリケートを含む第1のコーティング(12a)と直接接触すれば、鉄系コア(11)は、少なくとも部分的にコーティングされ、従って、いくつかのコーティングされていない領域が鉄系コア(11)の表面に存在する。
【0075】
これは、スポットが第1のコーティングによって被覆されていないコア粒子の少なくともいくつかの上にあってもよいことを意味する。コア粒子のうちのいくつかは、第1のコーティングによって完全にコーティングされる。
【0076】
しかし、本実験において示すように、酸シリケート反応が停止に進む場合、完全なシリケートコーティングは最適な磁気特性を有して主に観察される。
【0077】
本発明による強磁性組成物からの成分の製造中に、鉄系コア全体は、本発明によるシリケート層で被覆されるであろう。
【0078】
水性シリケート溶液で処理された鉄系コア(11)は、絶縁水性コーティングの後の適用を可能にし、それによってアセトンなどの有機溶媒を実質的に含まない強磁性粉末組成物を提供する。
【0079】
本発明による好ましいシリケートは、ケイ酸カリウム、又は代わりにK-シリケート、K-水ガラス、カリウム水ガラス又は本明細書では単にシリケートと名付けられる。シリケートを含む水性混合物が鉄系コア上に直接適用されてもよいことが発明者によって実証された。これは、本発明による示された実験での第1のコーティング(12a)である。
【0080】
技術的効果は、実施例において実証され、ケイ酸カリウムが使用された。
【0081】
この生成物は、中間生成物と見なすことができ、アセトンを含まない水性コーティングなどのさらなる絶縁水性コーティングは後の層として適用することができる。
【0082】
シリケートは、0.5~4.1のモル比を有する。1つの実施形態において、モル比β/αは、2.50~3.75の間隔にある。他の実施形態において、モル比β/αは、2.9~3.5の間隔にある。さらなる実施形態において、モル比β/αは3.1~3.4の間隔にある。
【0083】
シリケートは、組成物の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%の量で存在する。これは、実施例で見ることができるように最良の効果を示す量である。
【0084】
少なくとも1つのシリケートの量は、強磁性粉末組成物全体の重量に対するシリケートの重量によって算出される。強磁性粉末組成物が製造される場合、すべてのシリケートが金属粒子上のコーティングになると仮定される。これは概算であり得る一方、実施例において概説する方法に従って、材料の損失は、この概算が十分に良好なように非常に低いことが分かった。
【0085】
他の態様において、本願発明者らは先の実施形態による強磁性粉末組成物を定義し、コア粒子(11)の表面は、第1のコーティングの外側の第2のコーティング(12b)でコーティングされ、第2のコーティング(12b)は、i)酸化ビスマス(III)粒子(14)であり、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は0.1~10μmの間隔にある酸化ビスマス(III)粒子(14)、及びii)下記一般式:
(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;Oは酸素であり;R1は加水分解性基であり;R2は有機部分であり、少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;nは1~20の整数である繰り返し単位の数であり;xは0又は1であり;及びyは1又は2である)を有する少なくとも1つの金属有機化合物(13)を含む。
【0086】
この実施形態において、強磁性粉末組成物は第2のコーティング(12b)を含む。第2のコーティングは第1のコーティング(12a)の外側にある。第1のコーティング(12a)が全コア粒子を被覆していない場合、第2のコーティングは第1のコーティングの外側及びコア粒子(11)の外側の両方にある。第2のコーティング(12b)は第1のコーティングと直接接触している。第1のコーティング(12a)が完全にコア(11)を被覆していない場合、そのとき第2のコーティング(12b)は、第1のコーティング(12a)及びコア粒子(11)の両方と直接接触している。結果として生じる材料の良好な機能及び高抵抗性が望ましく、そのとき少なくとも第2のコーティング(12b)は、少なくとも粉末中のほとんどのコア粒子を完全に被覆していることが好ましい。
【0087】
第2のコーティング(12a)は、酸化ビスマス(III)粒子(14)を含む。酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50はSS-ISO13320-1に従って測定される。酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は0.1~10μmの間隔にある。したがって、酸化ビスマス(III)粒子(14)はコア粒子(11)より小さい。
【0088】
第2のコーティング(12b)は、また金属有機化合物(13)を含む。金属有機化合物は下記一般式:(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1を有する。
【0089】
金属有機化合物中のR1は、1つの実施形態において、4未満、好ましくは3未満の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0090】
R2は有機部分であり、それは、R2基が有機部又は部分を含むことを意味する。1つの実施形態におけるR2は1~6、好ましくは1~3の炭素原子を含む。R2は、N、O、S及びPからなる群から選択された1つ以上のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい。R2基は、直鎖、分岐、環状、又は芳香族であってもよい。R2は、次の官能基の1つ以上を含んでいてもよい:アミン、ジアミン、アミド、イミド、エポキシ、水酸基、エチレンオキシド、ウレイド、ウレタン、イソシアナト、アクリレート、グリセリルアクリレート、ベンジルアミノ、ビニルベンジルアミノ。R2基は、言及された官能基のR2基のうちのいずれかと繰り返し可能な単位を備えた疎水性アルキル基との間で変化し得る。
【0091】
それは、また、水懸濁液として鉄系コア上への直接的な適用に適していなかった。コーティング(12a)を設けることによって、発明者らは、鉄系コア(11)の表面を、ビスマス(III)酸化物粒子(14)及び金属有機化合物(13)の適用に適するようにした。
【0092】
この実施形態によれば、第2の層(12b)は、金属有機化合物のオリゴマーを含む。
【0093】
1つの実施形態において、一般式(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1を有する金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピル/メチルアルコキシシランからなる群から選択された少なくとも1つの金属有機化合物である。これらの2つの金属有機化合物は、第2のアミンであり、例えば、1級アミンよりわずかに遅く反応する。
【0094】
先の実施形態のいずれか1つによる本強磁性粉末組成物の実施形態の1つにおいて、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にある。本開示の文脈において、このサイズ範囲以内にある粒子は、微細サイズ又は単に微細と考えられる。
【0095】
サイズは、高周波用途、例えば、センサー、インダクタンスコイル、及びコンバーターに適している微粒子に付与される。実施例6は、コーティングがそのような微粒子に役立つことを示す。
【0096】
実施形態の1つにおいて、他の実施形態のいずれかによる強磁性粉末組成物では、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmの範囲にある。本開示の文脈において、このサイズ範囲以内にある粒子は、中間サイズ又は単に中間と考えられる。
【0097】
中間サイズの粒子のサイズ範囲は、低~中周波用途、例えば、電動機、発電機、及びコンバーターに適している。実施例4及び5は、コーティングがこれらの中間サイズの粒子に役立つことを示す。
【0098】
他の実施形態において、他のいずれかの実施形態による強磁性粉末組成物では、コア粒子の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にある。本開示の文脈において、このサイズ範囲以内にある粒子は、粗いサイズ又は単に粗いと考えられる。
【0099】
サイズは、低周波用途、例えば、電動機、発電機、及びアクチュエーターに適している微粒子に付与される。実施例1~5及び7~10は、コーティングがこれらの比較的粗い粒子に役立つことを示す。
【0100】
いくつかの実施形態において、好ましい量の少なくとも1つのシリケート、酸化ビスマス(III)粒子(14)、及び金属有機化合物(13)は、コア粒子(11)のサイズに依存する。したがって、いくつかの実施形態は、コア粒子(11)の異なる平均サイズで示される。コア粒子の異なる平均サイズの間隔は、20~75μm、45~150μm、及び75~380μmである。範囲は重複している;しかし、それにもかかわらず、それらは、それぞれ微粒子、中間粒子、及び粗粒子として異なる成分のための好ましい範囲に相対的なガイドを与える。
【0101】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物では、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.5wt%の量で強磁性粉末組成物中に存在する。
【0102】
シリケートのこれらの量が、本発明を機能するのに適切なことは実験的に観察された。微粉末は、粗粉末よりも比較的高い量のシリケートを必要とし得、異なるサイズの粉末に適切な量は、実施例1、2、4、及び6において説明される。約75μmより上の平均粒度は、完全なコーティングが形成するために0.05~0.2wt%のシリケートのみを必要としてもよく、その一方で、より微細な平均粒度は、それらの相対的な表面積比に基づいて予測されるように、0.1~0.5wt%などのより高い量のシリケートを必要とし得る。より高い量のシリケートを使用することができるが、十分にコーティングされることを超えるより高いコーティングをもたらさない。
【0103】
他の実施形態において、前述の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物において、シリケートのβ/αモル比は、2.5~4.1、好ましくは2.9~3.5、より好ましくは3.1~3.4の間隔にある。
【0104】
低すぎるモル比は、低いコーティング品質を引き起こし、低い電気抵抗率を与える。反対に、高すぎるモル比は、水性シリケート溶液を不安定にし、塊状の沈殿が起こり、このように、低いコーティング品質及び低い電気抵抗率を引き起こし得る。好ましい間隔内のシリケートを適用することによって、コーティング品質は最適であることが分かった。
【0105】
他の実施形態において、先の請求項のいずれか一項に記載の強磁性粉末組成物では、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.5~2μmの間隔にある。
【0106】
粗すぎる粒子は、低い磁性及び/又は機械的特性を今度は与えるコーティング組成物内部に低い分布を引き起こすので、酸化ビスマス(III)粒子のこの量は、好ましい範囲にある。微細すぎる粒子は、塊になる傾向があり、従って扱うのが難しい。
【0107】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.3wt%の量で存在する。
【0108】
低すぎる量が不十分な磁性及び機械的特性を与え、高すぎる量が主として低い密度、及びしたがって低い磁気特性を与えるので、この酸化ビスマス(III)粒子の量は好ましい範囲にある。微細な粒度分布を有する粉末は、粗粉末(D50>70μm;0.05~0.2wt%)よりも高い量(D50<70μm;0.15~0.3wt%)を必要とし得る。
【0109】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、ケイ酸カリウムは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.1~0.6wt%の量で存在する。
【0110】
低すぎる量は十分に粒子の表面を被覆することができず、さび及び低い磁気特性を引き起こすので、このシリケートの量は好ましい範囲にある。高すぎる量は、低い密度、及びしたがって低い磁気特性を引き起こすであろう(実施例10参照)。
【0111】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.30wt%の量で存在する。
【0112】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、酸化ビスマス(III)粒子は、0.10~0.25wt%の量で存在し、金属有機化合物は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在する。
【0113】
間隔の量が、微細及び粗い鉄系コア粉末の両方に使用された最も頻繁な量を包含するので、この実施形態は、本開示の特に好ましい実施形態である。
【0114】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、金属有機化合物(13)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.15~0.30wt%の量、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する。
【0115】
間隔の量が、微細及び粗い鉄系コア粉末の両方に使用された最も頻繁な量を包含するので、この実施形態は、本開示の特に好ましい実施形態である。
【0116】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、ケイ酸カリウムは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.1~0.3wt%の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は、0.10~0.20wt%の量で存在する。
【0117】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、金属有機化合物は、アルコキシ末端アミノシルセスキオキサン、アミノシロキサン、オリゴマー3-アミノプロピルアルコキシシラン、3-アミノプロピル/プロピルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0118】
金属有機化合物は、1つの実施形態において、シラン、シロキサン及びシルセスキオキサンの誘導体、中間体若しくはオリゴマー、又は対応するチタン酸塩、アルミン酸塩若しくはジルコニウム酸塩から選択される。
【0119】
他の実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を開示し、金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピル/メチルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0120】
1つの実施形態において、コア粒子の平均サイズは、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にあり、少なくとも1つのシリケートは、ケイ酸カリウムを含み、少なくとも1つのシリケートは、0.10~1.0wt%の範囲の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.30wt%の量で存在し、金属有機化合物は、0.15~0.30wt%の量で存在する。実施例6は、比較的微細なサイズの粒子を含むコア粉末についての典型的な量の添加剤を示す。
【0121】
1つの実施形態において、コア粒子の平均サイズは、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmの範囲にあり、ケイ酸カリウムは、0.1~0.6wt%の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.25wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は、0.10~0.25wt%の範囲の量で存在する。実施例4及び5は、中間サイズの粒子を含むコア粉末についての典型的な量を示す。
【0122】
1つの実施形態において、コア粒子(11)の平均サイズは、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にあり、ケイ酸カリウムは、0.05~0.3wt%の範囲の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は、0.10~0.20wt%の量で存在する。
【0123】
金属有機化合物(13)の総量は、1つの実施形態において、強磁性粉末組成物の0.05~0.6重量%、好ましくは0.05~0.5重量%、より好ましくは0.1~0.4重量%、最も好ましくは0.10~0.20重量%である。1つの実施形態において、金属有機化合物(13)は、0.15~0.30wt%の範囲の量、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する。これは、粉末組成物の全重量に対して受け入れたままの液体金属有機化合物の量である。
【0124】
1つの実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子は、強磁性粉末組成物に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在し、金属有機化合物は、0.10~0.25wt%の量で存在する。これは、粉末組成物の全重量に対する受け入れたままの液体金属有機化合物の量である。
【0125】
1つの実施形態において、ケイ酸カリウムは、0.10~0.30wt%の範囲の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は、0.05~0.20wt%の量で存在する。
【0126】
上に開示し検討した同じ実施形態は、下記の方法に等しく適用可能である。しかし、これらの方法と関係するいくつかのさらなる態様は本明細書において以下に検討される。
【0127】
第2の態様及びその実施形態において、次の連続ステップ:
a.軟磁性鉄系コア粒子(11)を準備するステップ、
b.軟磁性鉄系コア粒子(11)を一般式(M2O)α(SiO2)βの
(式中、
-Mは、Li、Na及びKから選択され、
-αはM2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にある)のシリケートを含む第1の水性混合物と接触させるステップであり、
それによって、コア粒子(11)の表面に直接接触するコア粒子(11)を少なくとも部分的に被覆する第1のコーティング(12a)を得るステップ;
c.少なくとも水の一部を除去するステップ;
d.シリケートコーティング軟磁性鉄系コア粒子(11)を酸性水溶液と反応させるステップであり、
シリケートは、少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%で存在するステップを備える、軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法が本明細書で開示される。
【0128】
軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法の特に好ましい実施形態において、Mはカリウム(K)である。
【0129】
軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法の1つの実施形態において、酸性水溶液はリン酸又は硝酸、好ましくはリン酸である。
【0130】
軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法の1つの実施形態において、ステップb)及びc)は、少なくとも一度繰り返される。
【0131】
軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法の1つの実施形態において、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出されたシリケートの0.05~0.5wt%は、ステップb)で添加される。
【0132】
軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法の1つの実施形態において、シリケートのβ/αモル比は、2.5~4.1、好ましくは2.9~3.5、より好ましくは3.1~3.4の間隔にある。
【0133】
その実施形態において、連続ステップ:
a.軟磁性鉄系コア粒子(11)を準備するステップ、
b.軟磁性鉄系コア粒子(11)を一般式(K2O)α(SiO2)β
(式中、αはK2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にある)のシリケートを含む第1の水性混合物と接触させるステップであり、それによって、コア粒子(11)の表面に直接接触するコア粒子(11)を少なくとも部分的に被覆する第1のコーティング(12a)を得るステップ、
c.水の少なくとも水の一部を除去して、絶縁水性コーティングを備えた後のコーティングに適する少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子(11)を得るステップであり、
シリケートは、少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子の全重量に基づいて算出された0.02~1.0wt%で存在するステップを備える、軟磁性鉄系コア粒子(11)をシリケート水溶液でコーティングする方法が本明細書で開示される。
【0134】
この方法は、中間生成物、第1のコーティング(12a)でコーティングされた鉄系コア粒子を得ることを提供する。このコーティングは、先行技術において使用される水性であるがアセトン系ではない後のコーティングの適用に適する表面を提供する。
【0135】
方法は、次の実施形態における事例に関してはさらなるステップで連続して、少なくとも水性液体によるさらなるコーティングを適用することができる。
【0136】
コア粒子は、第1のコーティングには未コーティングで提供される。コーティングは、第1のコーティング前にコア粒子に適用されるべきでない。
【0137】
コア粒子はシリケートを含む第1の水性混合物と接触される。シリケートは、好ましくは水に希釈されて適切な固体含有量を有する水性シリケート溶液を形成する。シリケートは、典型的には水溶液中にポリイオンを形成し、シリケートはコア粒子の表面に分布し、吸着される。ほとんどの場合、本質的に、シリケート分子は、すべてコア粒子の表面に吸着される。
【0138】
第1のコーティング後、水は少なくとも部分的に除去される。水は、典型的には少なくとも結晶水として粉末組成物に残ることが考えられる。1つの実施形態において、水は、シリケートが添加されたミキサーにおいて撹拌し加熱することによって除去される。1つの実施形態において、水の除去は乾燥キャビネットにおける乾燥によってなされる。また、水を除去する異なる方法の組み合わせが包含される。また、水を除去する他の方法は使用可能である。
【0139】
組成物中の水は必ずしも完全に除去されるとは限らない。水のごく一部は残されてもよい。粉末組成物中に残された水は、自由水及び様々なイオンに結合されている水の両方になり、水和物及び塩類を形成することができる。1つの実施形態において、水はすべて除去される。
【0140】
さらなる態様及びその実施形態において、強磁性粉末組成物を乾燥、分離する後のプロセスステップに先立って、本明細書の詳細な態様及び実施形態に従った方法を使用して、ISO4497:2020に従って測定された20~1000μmの範囲内の粒度分布を有する軟磁性鉄系コア粒子(11)の少なくとも80wt%を含む粉末をコーティングするステップを備える強磁性粉末組成物を得る方法を本明細書に開示する。
【0141】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、方法は、さらに強磁性粉末組成物を乾燥、分離する後のプロセスステップに先立って、さらなる連続ステップ:
e.任意に、ステップc)からの少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子を酸化ビスマス(III)粒子(14)と接触させるステップであり、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.1~10μmの間隔にあるステップ、
f.任意に、少なくとも水の一部を除去するステップ、
g.粒子を一般式:
(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R1は加水分解性基であり;
R2は有機部分であり、及び少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは、1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;
yは1又は2である)を有する金属有機化合物(13)と接触させるステップ、
を備える。
【0142】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、M2はシリコン(Si)である。
【0143】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、ステップe)が含まれる。
【0144】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、ステップf)が含まれる。
【0145】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、ステップe)及びf)の両方が含まれる。
【0146】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、備えられるコア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にある。
【0147】
強磁性粉末組成物を得る方法の実施形態において、コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmまでの範囲にある。
【0148】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にある。
【0149】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.5~2μmの間隔にある。
【0150】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.30wt%、好ましくは0.10~0.30wt%の量で存在する。
【0151】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~1.0wt%、好ましくは0.10~0.6wt%の範囲の量で存在する。
【0152】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、金属有機化合物(13)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.15~0.30wt%の範囲、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する。
【0153】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は0.10~0.25wt%の量で存在する。
【0154】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、シリケートは、カリウム水ガラスであり、0.10~0.30wt%の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、金属有機化合物は、0.05~0.20wt%の量で存在する。
【0155】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、金属有機化合物は、アルコキシ末端アミノシルセスキオキサン、アミノシロキサン、オリゴマー3-アミノプロピルアルコキシシラン、3-アミノプロピルプロピルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0156】
強磁性粉末組成物を得る方法の1つの実施形態において、金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0157】
さらに、本明細書の1つの実施形態において強磁性粉末組成物を得る方法を開示し、
方法は、さらなる連続ステップ:
e.ステップc)からの少なくとも部分的にコーティングされた軟磁性鉄系コア粒子を酸化ビスマス(III)粒子(14)と接触させるステップであり、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.1~10μmの間隔にあるステップ、
f.少なくとも水の一部を除去するステップ、
g.粒子を一般式:
(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1
(式中、M2は、Si、Ti、Al及びZrからなる群から選択され;
Oは酸素であり;
R1は加水分解性基であり;
R2は有機部分であり、及び少なくとも1つのR2は少なくとも1つのアミノ基を含み;
nは、1~20の整数である繰り返し単位の数であり;
xは0又は1であり;
yは1又は2である)を有する金属有機化合物(13)と接触させるステップ、
を備える。
【0158】
さらに、本明細書の1つの実施形態において、先の方法の実施形態のいずれか1つによる強磁性粉末組成物を得る方法を開示し、方法は、ステップc)の後に少なくとも1つの酸を添加するステップd)を含み、酸は、リン酸及び硝酸からなる群から選択される。好ましくは水に希釈された酸で粉末を処理する効果は、実施例において説明される。
【0159】
方法の他の実施形態において、ステップb)及びc)は、少なくとも一度繰り返されてもよい。
【0160】
方法の他の実施形態において、供給されたコア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲にある。
【0161】
方法の他の実施形態において、コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された45~150μmの範囲にある。
【0162】
方法の他の実施形態において、コア粒子(11)の少なくとも80wt%は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲にある。
【0163】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法であって、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出されたシリケートの0.05~0.5wt%は、ステップb)で添加される、方法が開示される。
【0164】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、β/αモル比は、2.5~4.1、好ましくは2.9~3.5、より好ましくは3.1~3.4の間隔にある。
【0165】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、SS-ISO13320-1に従って測定された酸化ビスマス(III)粒子(14)のD50は、0.5~2μmの間隔にある。
【0166】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.05~0.3wt%の量で存在する。
【0167】
実施形態において、先の請求項のいずれか1つによる方法を開示し、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.1~1.0wt%の範囲の量で存在する。
【0168】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.30wt%の範囲の量で存在する。
【0169】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、シリケートは、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.1~0.6wt%の範囲の量のカリウム水ガラスである。
【0170】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.10~0.25wt%の量で存在し、金属有機化合物(13)は、0.10~0.25wt%の量で存在する。
【0171】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、金属有機化合物(13)は、強磁性粉末組成物の全重量に基づいて算出された0.15~0.30wt%の範囲、好ましくは0.10~0.25wt%の範囲で存在する。
【0172】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、シリケートは、カリウム水ガラスであり、0.10~0.30wt%の量で存在し、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、0.10~0.20wt%の量で存在し、金属有機化合物は、0.05~0.20wt%の量で存在する。
【0173】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、金属有機化合物は、アルコキシ末端アミノシルセスキオキサン、アミノシロキサン、オリゴマー3-アミノプロピルアルコキシシラン、3-アミノプロピル/プロピルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0174】
実施形態において、先の実施形態のいずれか1つによる方法を開示し、金属有機化合物は、N-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシラン及びN-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルアルコキシシランからなる群から選択される。
【0175】
さらなる態様及びその実施形態において、本開示による強磁性粉末組成物から物体を製造する方法であって、
h.強磁性粉末組成物をステップfから取り、強磁性粉末組成物を少なくとも1つの潤滑剤と混合すること、
i.任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に金型を予熱すること、
j.金型内の組成物を300~2000MPa、好ましくは400~1200MPaの範囲の圧縮圧力で圧縮すること、
k.得られた素地を取り出すこと、及び
l.好ましくは0~2.2wt%、より好ましくは0.5~2wt%のO2を含む非還元性雰囲気中で、300~800℃、好ましくは400~750℃、より好ましくは600~700℃の範囲の温度で素地を熱処理すること
を備える、方法が本明細書に詳述される。
【0176】
1つの実施形態において、強磁性粉末組成物から物体を製造する方法であって、さらなるステップ:
g)ステップf)からの強磁性粉末組成物を取り、強磁性粉末組成物を少なくとも1つの潤滑剤と混合すること、
h)金型内の組成物を300~2000MPa、好ましくは400~1200MPaの範囲の圧縮圧力で圧縮すること、
m.任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に金型を予熱すること、
n.得られた素地を取り出すこと、及び
o.好ましくは0~2.2wt%、より好ましくは0.5~2wt%のO2を含む非還元性雰囲気中で、300~800℃、好ましくは400~750℃、より好ましくは600~700℃の範囲の温度で素地を熱処理すること
を備える、方法が本明細書に開示される。
【0177】
水の少なくとも部分的な除去の後、強磁性粉末組成物は酸化ビスマス(III)粒子と接触される。1つの実施形態において、これは、酸化ビスマス(III)粒子を水中に分散させ、分散物を粉末組成物に添加することによってなされる。1つの実施形態において、粉末組成物は、添加時及び添加後にミキサー内で混合される。
【0178】
他の実施形態において、酸化ビスマス(III)粒子(14)は、水性シリケート溶液と既に混合、分散され、ステップbに従ってコーティングされ、その後ステップcを行ってもよい。このように、ステップdは省略されてもよい。
【0179】
その後、粉末組成物は、一般式(1)R1[(R1)x(R2)y(M)]nOn-1R1を有する金属有機化合物と接触される。1つの実施形態において、粉末組成物は、添加時、添加中、添加後にミキサー内で混合される。そのような連続混合は、より単純な製造プロセスという長所を有する。酸化ビスマス(III)粒子及び金属有機化合物は、第2のコーティングを形成する。
【0180】
1つの実施形態において、方法は、ステップc)後に少なくとも1つの酸を添加するステップを備え、酸は有機酸及び鉱酸からなる群から選択される。1つの実施形態において、酸はリン酸及び硝酸からなる群から選択される。選択された酸は、水の先の添加において希釈されることが好ましい。
【0181】
1つの実施形態において、ステップb)及びc)は、少なくとも一度繰り返される。これによって、第1のコーティングの2つ以上の層が適用される。これにより、個々のコア粒子がそれぞれコーティングによって完全に被覆される確率がより高くなる。
【0182】
他の実施形態において、シリケート溶液のモル比が異なり、ステップbの適用された第1の層は、適用された第2の層より高いモル比を有する。この手順は、粒子被覆率が改善した第1のコーティングをもたらし得る。
【0183】
粉末組成物は、実施形態の1つにおいてステップd)の前にステップc)において乾燥される。これは、第2のコーティングのための金属有機化合物の適用を向上させる。
【0184】
1つの実施形態において、方法は、強磁性組成物を物体に圧縮することを備えるさらなるステップを備える。1つの実施形態において、方法は、さらに、強磁性粉末組成物から物体を製造するためのさらなる連続ステップ:g)ステップf)からの強磁性粉末組成物を取り、強磁性粉末組成物を少なくとも1つの潤滑剤と混合するステップ、h)金型内の組成物を300~2000MPa、好ましくは400~1200MPaの範囲の圧縮圧力で圧縮するステップ、i)任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に金型を予熱するステップ、j)得られた素地を取り出すステップ、及びk)好ましくは0~2.2wt%、より好ましくは0.5~2wt%のO2(酸素ガス)を含む窒素ガスであることが好ましい非還元性雰囲気中で、300~800℃、好ましくは400~750℃、より好ましくは600~700℃の範囲の温度で素地を熱処理するステップを備える。
【0185】
この方法ステップによって、強磁性粉末組成物から物体を製造する。
【0186】
1つの実施形態において、潤滑剤は粒子潤滑剤である。粒子状潤滑剤は、金型潤滑を適用する必要なしで圧縮を可能にする。粒子状潤滑剤は、1つの実施形態において、一級及び二級脂肪酸アミド、トランスアミド(ビスアミド)又は脂肪酸アルコールからなる群から選択された少なくとも1つの潤滑剤である。粒子状潤滑剤の潤滑部分は、12~22の炭素原子を含む飽和又は不飽和鎖であってもよい。粒子状潤滑剤は、ステアルアミド、エルカ酸アミド、ステアリルエルカアミド、エルシル-ステアルアミド、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、エチレン-ビスステアルアミド(つまり、EBS又はアミドワックス)から好ましくは選択され得る。粒子状潤滑剤は、組成物の0.15~0.80重量%、好ましくは0.20~0.40重量%の量で存在してもよい。
【0187】
1つの実施形態において、添加された潤滑剤の量はより少なく、例えば、0.05~1.5wt%であるが、圧縮(ステップm~o)は金型潤滑(DWL)を使用して行われる。この利益は、特定の圧縮圧力に関しての成形体の密度の改善である。
【0188】
従って、第4の態様及びその実施形態において、本開示による強磁性粉末組成物から物体を製造する方法であって、
p.ステップf.からの強磁性粉末組成物を取り、強磁性粉末組成物を少なくとも1つの潤滑剤と混合すること、
q.任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に金型を予熱すること、
r.金型内の組成物を300~2000MPa、好ましくは400~1200MPaの範囲の圧縮圧力で圧縮すること、
s.得られた素地を取り出すこと、及び
t.好ましくは0~2.2wt%、より好ましくは0.5~2wt%のO2を含む非還元性雰囲気中で、300~800℃、好ましくは400~750℃、より好ましくは600~700℃の範囲の温度で素地を熱処理すること
を備える、方法が本明細書に詳述される。
【0189】
本発明による軟磁性複合材料の調製方法は、少なくとも約300MPa、好ましくは少なくとも600MPaの圧縮圧力で金型内で本発明による組成物を一軸圧縮すること;任意に、添加された微粒子潤滑剤の溶解温度より下の温度に金型を予熱すること;得られた素地を取り出すこと;及び任意に、素地を熱処理することを備える。
【0190】
圧縮は、冷間金型圧縮、温間金型圧縮、又は高速圧縮であってもよく、好ましくは非加熱粉末で制御された金型温度圧縮(50~120℃)が使用される。
【0191】
熱処理プロセスは、真空、非還元、不活性、又は弱酸化性雰囲気、例えば、0.01~3wt%酸素中であってもよい。1つの実施形態において、窒素雰囲気は、非還元性雰囲気として使用される。1つの実施形態において、0~2.2wt%酸素、好ましくは0.5~2wt%酸素を添加する。任意に、熱処理は、不活性雰囲気において行われ、その後酸化性雰囲気に速やかにさらされて、より高い強度の表面外皮を形成する。温度は、1つの実施形態において800℃まであってもよい。
【0192】
熱処理状態は、潤滑剤ができるだけ完全に蒸発することを可能にするであろうことが考えられる。これは、約300~500℃を超える熱処理サイクルの第1の部分の間に通常に得られる。より高温で、金属又は半金属化合物は、金属有機化合物と反応し、ガラス状ネットワークを部分的に形成してもよい。これは、さらに部品の機械的強度及び電気抵抗率を向上させるだろう。最高温度(より好ましくは、600~700℃)では、成形体は、保磁力、及びしたがって、複合材料のヒステリシス損失が最小化される完全な応力緩和に達し得る。
【0193】
第1のコーティング、つまり、少なくとも1つのシリケートを含むコーティングは、さらなるコーティングの適用に粉末を調製するために利用され、それは水性溶液又は混合物から適用される。少なくとも1つのシリケートでの処理が、水溶液系での後のコーティング用粉末を調製することができることが以外にも分かった。
【0194】
他の実施形態において、一般式(K2O)α(SiO2)β(式中、αはK2Oのモルであり、βはSiO2のモルであり、β/αモル比は0.5~4.1の間隔にある)を備えた少なくとも1つのシリケートの使用であって、第1のコーティング(12a)として、軟磁性鉄系粒子(14)の表面と直接接触し、それによって、粒子を、任意の有機溶媒を実質的に含まない水性化学物質又は化合物でコーティングするのに適切にする、使用が開示される。有機溶媒は、多くの場合、有毒、爆発性、又は環境に優しくない。
【0195】
第1のコーティング後に適用することができるさらなるコーティングの例としては、限定されないが、水に溶解した金属塩が挙げられる。
【0196】
上記実施形態は、任意の上記態様と組み合わせることができる。さらに、すべての上記実施形態はそれぞれが、自由に上記実施形態の1つ以上と組み合わせることができる。
【0197】
本発明は、次の限定しない実施例によってさらに説明され、本発明の範囲について限定することなく、本発明の異なる実施形態を説明する目的を果たす。
【実施例】
【0198】
(例1)
使用した鉄粉末は、見掛け密度が3.2g/cm3、D50がISO9276-2:2014に従って測定された200~250μmの間隔の40メッシュ水アトマイズアニール粉末であった。この粉末は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲のコア粒子の少なくとも80wt%を有する。
【0199】
粉末を、まず、粉末組成物の重量で算出された0.05、0.10、又は0.15wt%の量のケイ酸カリウムの水溶液の添加によってケイ酸カリウム(Sibelco Nordic ABからのK12)を含むコーティングでコーティングした。ケイ酸カリウムは、β/αモル比が3.37のケイ酸カリウムであった。ケイ酸カリウムの乾燥重量を、量を算出するために使用した。コーティングを、水及びケイ酸カリウムからなるコーティング液でなした。コーティング液を、受け入れたままの固体含有量が34.3wt%のケイ酸カリウム溶液を取り、それを水で14wt%の固体含有量に希釈することによって製造した。
【0200】
コーティング液を、ミキサー内の鉄粉末に適用し、その後10分間混合し、マントルを80℃に加熱し、粉末が目視検査によって乾燥して見えるまで30~60分間混合を継続した。粉末が目視検査によって乾燥して見えても、水は、少なくとも例えば結晶水及び/又は水和物として残る可能性が高いことに留意されるべきである。
【0201】
さらなる乾燥を120℃で60~120分間温蔵庫で行った。ミキサー及び温蔵庫内の乾燥を、乾燥がなされなかった試料番号1を除いて全ての試料についてなした。
【0202】
その後、希釈したリン酸を添加し、リン酸(85wt%)を水で希釈し、粉末組成物のkg当たり0.50又は0.75gのリン酸(85wt%)を水と混合した。水の粉末組成物kg当たり0、3又は10gを、リン酸との混合に使用した。希釈したリン酸の結果として生じる混合物を粉末組成物に添加し、次いで混合した。これは、実験用ミキサーにおいて1kgのバッチサイズで製造した。混合時間は2分だった。
【0203】
その後、Bi2O3及びH2Oの粒子を含む混合物を添加した。Bi2O3の粒子のD50は0.9μmであり、5N Plusから購入した。粒子の量は、粉末組成物kg当たり1.0gであった。水の量は、粉末組成物kg当たり0~18gの間隔であった。その後、粉末を、同じミキサーにおいて5分間混合した。
【0204】
その後、試料番号6以外の全ての試料については、乾燥ステップを120℃で120分間行った。
【0205】
その後、式(1)R1[(R1)x(R2)y(M2)]nOn-1R1によるオリゴマージアミノ官能性シランを、粉末組成物kg当たり1.5gの量で添加した。オリゴマージアミノ官能性シランは、Evonik Industries AGのDynasylan(商標)1146であり、オリゴマージアミノ官能性シランは本開示の好ましい実施形態である。この金属有機化合物において、中心金属はシリコン(Si)である。
【0206】
その後、粉末を、同じミキサーにおいて2分間混合した。
【0207】
その後、H2O3gを粉末組成物kgにつき添加した。その後、粉末を、同じミキサーにおいて5分間混合した。
【0208】
120℃で60~120分間の乾燥ステップの後、粉末組成物を製造試験試料に利用した。
【0209】
粉末組成物を、組成物全体を基準にして0.3wt%潤滑剤(EBS)と混合した。粒子状潤滑剤を、ペイントシェーカーを使用して、20秒間、その後ウィンドミルミキサーで10分間コーティング粉末に混合した。
【0210】
圧縮を金型温度が100℃で800MPaで行った。
【0211】
成形された部品の熱処理を、酸素レベルが5000ppmの窒素雰囲気において、ベルト炉(試料番号8、9及び10以外の全ての試料)、又はバッチ炉(試料番号8、9及び10のみ)において行った。
【0212】
ベルト炉を、温度上昇と共に450~670℃の間で操作した。600℃を超えて成形された部品の滞留時間は約20分であった。
【0213】
バッチ炉は、3つの区域を有する。第1の区域の温度は滞留時間が30分で450℃であった。第2の区域は、温度が650℃、滞留時間が25分であった。第3の区域は冷却区域である。
【0214】
完成部品については、諸特性を測定した。
【0215】
密度を、リングのための自動測定治具(内径及び外径並びに高さを測定する)及びバランスを使用して測定した。
【0216】
抵抗率を、計測点間の距離が20mmで、四端子法で完成された磁性正方形トロイド上で測定した。具体的な電気抵抗率を四点測定方法によって正方形トロイド試料上で測定した。
【0217】
磁気測定については、正方形トロイドを、樹脂コーティング銅線(径0.63mm)の100ドライブ及び100センス回転で巻き付け、Brockhaus MPG200Dを使用して測定した。基準:IEC 60404-4(DC測定)及びIEC 60404-6(AC測定)
【0218】
抗折強度TRSを、30x12x6mmの寸法を備えたバー上でSS-ENISO3325:2000に従って測定した。
【0219】
異なる実験を、以下の表1に要約する。
【0220】
表1aは、異なる実験における添加量を要約する。量は、ケイ酸カリウムを除いて粉末組成物kg当たりのgで付与され、量は重量パーセントwt%で付与される。
【0221】
表1bは、次の欄における異なる結果を要約する:
【0222】
比較可能な市販の粉末は、Somaloy(商標)700HR 5Pであり、それらの特性を表1bにおいて付与する。
【0223】
表1bから、試料が表にリストされた全ての特性を考えれば、基準材料に匹敵することが分かる。コーティングは、これらの比較的粗い粒子に役立つと結論している。
【表1a】
【0224】
上記表において、実験1、2、5~7及び9は、繰り返し実験であり、実験8及び10は異なるリン酸濃度である。
【0225】
最初の再現性が低いことは実験から注目すべきである。研究をさらに行い(実施例11及び12参照)、シリケートでコーティングされた鉄系粒子は酸成分と反応し、第1の堆積されたシリケート層上に固体鉱酸の後の層を作成するのではなく、鉄系粒子の表面上に部分的に又は完全に中和されたシリケートを堆積することが示された。
【0226】
先行技術(例えば、欧州特許第2252419(B1)号明細書参照)において、リン酸層は、アセトンにおいてリン酸を使用して、コーティング手順に供した鉄系粒子の金属表面上に直接形成することが分かった。
【0227】
むしろ、本実験で分かるように、酸性水溶液は、コア鉄系粒子上に部分的又は完全被覆シリケートコーティングに役立つ。
【0228】
(例2)
使用した鉄粉末は、見掛け密度が3.4g/cm3、D50がISO9276-2:2014に従って測定された200~250μmの間隔であるアニール水アトマイズ純鉄粉末であった。この粉末は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲のコア粒子の少なくとも80wt%を有する。
【0229】
粉末を、まず、全粉末組成物に対して0.1又は0.2wt%の量のケイ酸カリウム(Sibelco Nordic ABからのK12)の水溶液の添加によって実施例1で定義されたケイ酸カリウムを含むコーティングでコーティングした。その後、粉末を実施例1と同じ方法を使用して部分的に乾燥した。
【0230】
その後、リン酸を添加した。リン酸(85wt%)の粉末組成物kg当たり0、0.4、0.75、又は1.5gを使用した。リン酸(85wt%)を水で希釈した。H2Oの粉末組成物kg当たり0、5又は10gを、リン酸を希釈するために使用した。希釈されたリン酸を、粉末組成物に添加した。リン酸を試料番号12を除いて全ての試料に添加し、硝酸(65%)の粉末組成物kg当たり0.75gを添加し、H
2Oの粉末組成物kg当たり10gを、硝酸を希釈するために使用し、試料番号17及び20では酸を添加しなかった。酸及び水の添加を実験用ミキサーにおいて1kgバッチサイズで行った。混合時間は2分であった。
【表1b】
【0231】
その後、Bi2O3の粒子及びH2Oを含む混合物を添加した。Bi2O3の粒子のD50は0.9μm(5N Plusのサブミクロン)であった。粒子の量は、粉末組成物kg当たり1gであった。水の量は粉末組成物kg当たり17gであった。その後、粉末を同じミキサーにおいて5分間混合した。
【0232】
その後、オリゴマージアミノ官能性シランを、粉末組成物kg当たり1.5gの量で添加した(Dynasylan(商標)1146)。その後、粉末を、同じミキサーにおいて2分間混合した。
【0233】
その後、3gのH2Oを粉末組成物kg当たり添加した。その後、粉末を、同じミキサーにおいて5分間混合した。
【0234】
120℃での60~120分間の乾燥ステップ後、粉末組成物を製造試験試料に利用した。
【0235】
粉末組成物を、実施例1に詳細に記載された部品に圧縮した。
【0236】
表2aは、異なる実験における添加量を要約する。量は、ケイ酸カリウムを除いて粉末組成物kg当たりのgで付与され、量はwt%で付与される。
【0237】
表2bは、表1bに関しては同じ単位で異なる結果を要約する。
【0238】
コア粒子の比較可能なサイズを備えた市販の粉末は、Somaloy(商標)700HR 5Pであり、その特性を表2bに与える。
【0239】
表2aにおいて報告された実験において、試料番号12、17及び20以外の全ての試料については、リン酸(85wt%)を使用した。試料番号12については、硝酸(65%)を使用した。試料番号17及び試料番号20ついては、酸を添加しなかった。第1の数は酸の量を示し、第2の量は水の量を示す。B2O3及びシランを備えた後のコーティングにおいて、濃度は実験間で変化しなかった。g/kg粉末組成物中の濃度。
【0240】
(例3)
異なる酸を使用する例として、本発明者らは、試料番号11及び試料番号12を同様に調製したが、それぞれ濃縮されたリン酸、濃縮された濃硝酸であることを言及する。表2bにおいて示すように、リン酸の代わりの硝酸の使用は、それぞれの酸からの入手可能なプロトンの総濃度は硝酸についてよりもリン酸について著しく高いが、それらの結果として生じる有効性において比較である。
【0241】
高度にシリケートの高い基本的性質により、水さえ本実験において発生して、少なくとも部分的に反応する酸としての機能を果たし、後のコーティングにある利点をもたらす。
【0242】
しかし、強く濃縮された鉱酸の添加は、シリケートでコーティングされた粒子への単なる水の添加よりも優れていることは実験から明らかである。
【表2a】
【0243】
(例4)
使用した鉄粉末は、見掛け密度が3.4g/cm3、D50がISO9276-2:2014に従って測定された95~100μmの間隔であるアニール水アトマイズ純鉄粉末であった。この粉末は、ISO4497:2020に従って測定された75~380μmの範囲のコア粒子の少なくとも80wt%を有し、100メッシュ篩は45~150μm内に80%である。
【0244】
粉末組成物を、実施例1に詳述されるのと同じ方法を使用するが、Bi
2O
3、シラン及び水の量を変更してコーティングし部品に製造した。
【表2b】
【0245】
表4aは、異なる実験における添加量を要約する。量は、ケイ酸カリウムを除いて粉末組成物kg当たりのgで付与され、量は重量パーセントwt%で付与される。
【0246】
表4bは、表1bに関して同じ単位での異なる結果を要約する。
【0247】
表4bの結果は、良好な抵抗率を達成するために、より粗い粉末と比較してこれらの比較的微細な粉末についてコーティング構成要素の量を増加させる必要があることを示す。コーティングは、これらの比較的微細な粒子に役立つと結論している。
【表4a】
【0248】
(例5)
試料番号23のグリーン部品を試料番号21と同じ方法を使用して製造した。グリーン部品を次いで実施例1によるバッチ炉において熱処理したが、酸素含有量は0~50000ppmの間で変化させた。
【0249】
表5aは、異なる実験における添加量を要約する。量は、ケイ酸カリウムを除いて粉末組成物kg当たりのgで付与され、量はwt%で付与される。
【0250】
表5bは、表1bに関して同じ単位での異なる結果を要約する。熱処理雰囲気中での増加した酸素含有量がより高い抵抗率を与えることが表5bから分かる。しかし、酸素レベルが高すぎる場合(50000ppm)、保磁力は増加し、したがって全体のコア損失をもたらす。
【表5a】
【0251】
(例6)
使用した鉄粉末は、見掛け密度が3.2g/cm3、D50がISO9276-2:2014に従って測定された38~45μmの間隔であるアニール水アトマイズ純鉄粉末であった。この粉末は、ISO4497:2020に従って測定された20~75μmの範囲のコア粒子の少なくとも80wt%を有する。
【0252】
粉末組成物を、実施例1に詳述されるのと同じ方法を使用するが、ケイ酸カリウム、リン酸、Bi2O3及びシランの量を変更してコーティングし部品に製造した。
【0253】
表6aは、異なる実験における添加量を要約する。量は、ケイ酸カリウムを除いて粉末組成物kg当たりのgで付与され、量はwt%で付与される。
【表4b】
【表5b】
【0254】
表6bは、表1bに関して同じ単位での異なる結果を要約する。
【0255】
コア粒子の比較可能なサイズを備えた市販の粉末は、Somaloy(商標)110i 5Pであり、その特性を表6bにおいて付与する。
【0256】
表6bの結果は、基準材料に匹敵する抵抗率を達成するために、より粗い粉末と比較してこれらの比較的微細な粉末についてコーティング構成要素の量を増加させる必要があることを示す。コーティングは、これらの微細な粒子に役立つと結論している。
【表6a】
【0257】
(例7)
本発明によらない比較試料を、試料番号2のための手順を繰り返し、ケイ酸カリウムの適用後にいずれかの乾燥又は水のいずれかの除去も省略することによって製造した。この試料は試料番号1である。表1bにおいて、部品の抵抗率は、比較試料番号2の1450μΩmと比較して、試料番号1が24μΩmしかなかった。シリケートの適用後に水のいずれかの除去も全く行わないことは、満足な結果をもたらさなかった。
【0258】
(例8)
本発明によらない比較試料を、試料番号9の手順を繰り返すことによって製造した。試料番号28については、水の代わりにアセトンを酸に添加した。粉末を、Kシリケートの適用後に処理した。試料番号29については、アセトンを酸に同じく添加したが、粉末をその代りにKシリケートでの処理の前に処理した。実施例を表8aに要約する。
【0259】
表8bの結果は、アセトンは必要でなく、酸コーティングを堆積するために、満足な結果もアセトンなどの有機溶媒の使用なしに達成されることを示す。シリケートの下での燐酸コーティングが本発明の粉末の磁気特性を向上させるのに適切でなく、シリケートが第1のコーティングとして粉末上に直接適用されるべきことがさらに結論とすることができる。
【表6b】
【表8b】
【表8a】
【0260】
(例9)
本発明によらない比較例を、試料番号11についての手順の繰り返しによって製造したが、リン酸は、98%硫酸(試料番号39)又は60%酢酸(試料番号40)の同量と置き換えた。表9から分かるように、試料番号39については、さびが粉末上に現われ、硫酸が適切ではなかったことを結論とした。試料番号40については、抵抗率は、比較試料番号11の1364μΩmに対して416μΩmになった。全ての酸がプロセスにおいて適切でないことを結論とした。
【表9】
【0261】
(例10)
本発明によらない比較例を、実施例1において概説する手順を繰り返すことによって製造したが、粉末をリン酸と水の混合物を適用した後に乾燥した。
【0262】
表10から、あまりにも多くの酸を適用した場合、粉末はさびることが分かる。さびが起こる前に、大量のケイ酸カリウムは大量のリン酸に耐える。
【表10】
【0263】
(例11)
使用した鉄粉末は、見掛け密度が3.4g/cm3、D50が95~100μmの間隔であるアニール水アトマイズ純鉄粉末であった。鉄粉末は、軟磁性鉄系コア粒子を含む強磁性粉末組成物であった。粒度分布を、ISO4497:2020に従って異なるふるい分級物を量ることによって測定した。その後、平均粒度をISO9276-2:2014に従って算出した。
【0264】
粉末組成物を、実施例1に詳述されるのと同じ方法を使用してコーティングし部品に製造した。
【0265】
表11aは、異なる実験における添加量を要約する。量は、ケイ酸カリウムを除いて粉末組成物kg当たりのgで付与され、量はwt%で付与される。
【0266】
表11bは、表1に関して同じ単位での異なる結果を要約する。
【表11a】
【0267】
表11bは、抵抗率がリン酸の添加につれて増加することを示す。しかし、あまりにも多くの酸を使用する場合(試料番号47)、それは透過率、TRS及び全体のコア損失に対する負の効果を有する(
図2参照)。
【0268】
(例12)
実施例12において、実施例11(#100で示す)及び実施例2(#40で示す)において使用した同じ鉄粉末を使用し、両方とも同じ第1のコーティング、つまり、0.10wt%ケイ酸カリウムを有する。
【0269】
1mlの酸性溶液を、容器中で100gの乾燥ケイ酸カリウムコーティング粉末に添加し、混合物を1分間振盪し、3分間休止した。
【0270】
HNO3及びH3PO4の両方を、濃度を変化させて使用した。
【0271】
その後、粉末を200mlの脱イオン水と混合し、3分間の後、水のpHを、DIN 19268に従って測定した。濁度をISO7027-1:2016に従って測定した。
【0272】
図12aは、pHがH
3PO
4の添加とともに減少し、濁度が増加し、増加は、より粗い(#40)粉末にはより明らかであることを示す。
【表11b】
【0273】
濁度の増加は、ケイ酸カリウムコーティングからのシリカ粒子の酸誘導析出によって引き起こされる可能性があり、酸処理の役割を示す(
図3及び4参照)。
【0274】
観察するように、あまりにも低いpHは、ケイ酸カリウムコーティングを不安定にし、透過率の受け入れ難い低下、及び酸濃度に対する現在要求される制限のとおりのTRSを引き起こす。
【0275】
(例13)
SEM/EDSを使用する表面検査
本実施例において、軟磁性鉄系コア粒子を、上記一般式(K2O)α(SiO2)βのシリケートの水溶液と3.1~3.4のβ/α比及び実施例1の0.1wt%の濃度で混合した。しかし、酸処理を備えなかった。
【0276】
コア粒子を、エネルギー分散分光法検出器(オックスフォードインストルメンツUltima Max 65mmを備えた電界放射電子銃走査電子顕微鏡(FEG-SEM)(日立SU6600)を使用して検討した。
【0277】
測定を、1.5μmの浸透深さ及び1μmの検出領域径で20kVの加速電圧を使用して10mm(作動距離)の距離でなした。
【0278】
結果を、
図5A~Cに示し、さらに以下の表13に要約する。本明細書において、
図5Aは、シリケートでコーティングされた鉄系コア粒子のSEM画像を示す。
図5Bは、表面上のカリウム(K)の含有量を薄い灰色から白色で示す対応するコア粒子のEDSマッピング画像を示す。シリケートコーティングは表面上の厚さが異なり、このように、同じパッチの外側よりも高いK含有量を有するより厚い部分(パッチ)及びパッチ間のより薄い部分を形成することを観察することができる。
【0279】
図5Cは、表面上のシリコン(Si)の含有量を薄い灰色から白色で示す対応するコア粒子のEDSマッピング画像を示す。
【表13】
【0280】
SEM/EDS測定が、粒子の表面だけでなくバルク粒子内のある範囲にまでの材料含有量を決定し(20kVでの最小検出深さは約1.5μmであり、EDS点分析用の径で約1μm)、測定された鉄含有量(Fe)の差は、パッチの、及びパッチ間の異なる厚さに反映する。
【0281】
実施例から分かるように、たとえケイ酸カリウムが表面で堆積しても、結果として生じるコーティングは非常に不均質及び「まだら」であり、パッチの外側の鉄表面をかろうじて被覆することができる。
【0282】
(例14)
本実施例において、軟磁性鉄系コア粒子を、一般式(K2O)α(SiO2)βのシリケートの水溶液と3.1~3.4のβ/α比及び上記実施例1の0.1wt%の濃度で混合した。
【0283】
コア粒子を、エネルギー分散分光法検出器(オックスフォードインストルメンツUltima Max 65mm)を備えた電界放射電子銃走査電子顕微鏡(FEG-SEM)(日立SU6600)を使用して検討した。
【0284】
測定を、20kVの加速電圧を使用して10mm(作動距離)の距離でなした。
【0285】
結果を、
図6A~C、7A~D及び8A~Bにおいて示され、さらに以下の表14に要約する。データは、少なくとも4であるがほとんどの場合12までの独立したEDS測定の平均である。
【表14】
【0286】
より弱い酸濃度で、ケイ酸カリウムパッチは、数ミクロンまでのサイズで、酸のない試料(
図5参照)に類似するように見える。
【0287】
より強い酸濃度で、これらのパッチははるかに小さく(左下画像)、それは、実施例12においても示される界面化学における変化と一致する。
【0288】
EDS分析は、リン光体がカリウムと一緒にパッチ/ドットに主に位置することを示す。これは、ケイ酸カリウムにではなくナノ微結晶として潜在的にK3PO4のナノ堆積である事においてパッチを示すこととされた。
【0289】
パッチの外側では、リン光体は約2~3倍バックグラウンドより高いレベルで検知されるが、K
3PO
4の観察された直接堆積に関して高くない。しかし、この増加は重要で、全ての検知された位置に観察され、
図8A及びBのEDS画像で見られたリン光体についての一般的な強度向上と一致する。
【0290】
これは、先行技術の方法で形成されたリン酸コーティング層とは対照的に、現在コーティングされた粒子が、リン酸層が存在することなく、ケイ酸カリウムと絶縁水性コーティングとの組み合わせ、又はケイ酸カリウムと絶縁水性コーティング及びinterstituent酸化ビスマス(III)粒子との組み合わせによってそれらの有益な特性を達成することを明白に示す。
【0291】
しかし、有利には、バックグラウンド上にリン光体が存在する状態のこの増加は、水性リン酸でのケイ酸カリウムの酸性水溶液処理を受けた表面の証拠である。
【0292】
図6に、
図6Dで5μmまで、未コーティング鉄粒子について次第により高い倍率を示し、K、Si及びPについてのEDSを行った。表14に示すような少量は、3つの元素すべてについて見つかり、パッチと無パッチとの間の差が観察されなかったので、予期されたバックグラウンドと一致した。
【0293】
図7に、カリウム水ガラスコーティング鉄系粒子を示し、目盛はそれぞれA:250μm及びB:100μmである。SEM画像と比較した場合K及びSiについてのEDSによって証明するように、カリウム水を備えたコーティングは、均質で、完全に被覆しているように見える(
図6B及び6Cと比較)が、より厚い水ガラスのパッチは存在する(鮮明なパッチ)。
【0294】
図8に、2つの異なるリン酸濃度A:8.5g/l及びB:75g/lのそれぞれで処理された水ガラス処理粒子についての結果を示し、EDSをK、Si及びPについて行った。顕著に、酸処理に基づく元素信号の強度増加は、実施例12で得られた結果と一致する。
【0295】
本明細書に示された実験に基づいて、酸性水溶液が存在する状態での前述の化学変化が、堆積されたシリケートの少なくとも部分的な反応を含んで第1のコーティングとしてシリカを形成すると結論することは可能だった。さらに、最適な反応条件下では、シリケートのシリカへの完全転化が、酸性水溶液の影響下で起こると結論することが可能であった。
【0296】
本明細書に示された実験に基づいて、第1のコーティング(12a)のシリケートが酸性水溶液、例えば、好ましくはリン酸又は硝酸で、最も好ましくはリン酸で処理された場合についての試験を含む内標準を定義することが可能であり、即ち、シリケート被覆表面は、シリケート被覆表面を酸性水溶液処理前及び後に測定する場合、使用する酸性水溶液の少なくとも1つの要素特性の検知されたレベルの著しい増加を示し、検出は、エネルギー分散分光法(EDS)により、測定を、20kVの加速電圧、1.5μmの浸透深さ、及び1μmの検出領域径を使用して10mm(作動距離)の距離でなし、特徴素の検知レベルの検出結果が、少なくとも4つの独立した検出の平均である。
【0297】
Soileauらのコーティングがさらに化学修飾に依存しないので、使用される酸性水溶液の少なくとも1つの要素特性の増加したレベルの検出は、本コーティングをSoileauらのコーティングと区別する感知可能な手段である。
【0298】
実験から、濁度測定(実施例12、
図3及び4参照)によって証明するように、酸処理及び関連するpHの減少が、シリケートの完全被覆への分布を促進するナノシリカの析出をもたらすことが観察された。従って、酸処理された第1のコーティングは、被覆シリケートコーティングである。
【0299】
酸処理は、シリケート表面でのカチオン(実験において、粉末処理中に(実験撹拌において)未反応シリケートを求めるカリウムイオン(K+))の濃縮を引き起こし、ナノサイズのパッチを形成することが観察された。これらのパッチは、パッチ間のバックグラウンドコーティングに対して(SiO2/K2O)の低い割合を有する。パッチは、結局、酸濃度が増加されるとともに、より小さくよく分布されて、トライボロジー(内部潤滑及び圧縮時に冷間圧接からの保護)に観察された有益な効果に寄与して、結局、シリケートからシリカへの完全な移行を完成する。
【0300】
従って、実施形態において、第1のコーティングは、シリカコーティングである。
【0301】
リン酸での実験においてさらに観察するように、過剰な量の酸が、結局、シリケートのシリカへの完全な変換の後に、カリウムにさらに反応し、それによって観察されたK3PO4ナノ微結晶を形成する。
【0302】
そのために、コーティング後及び酸処理前のパッチにおけるアルカリ金属イオン(実験におけるカリウム(K)中の)の、上記定義されたEDS測定された含有量を、酸処理後のアルカリ金属イオンの量と比較することによってシリカに対するシリケートの反応用の内部試験を定義することができ、アルカリ金属イオンの減少は、シリケートからシリカへの反応に対して決定的であり、第1の低下後にさらなるアルカリ金属イオンの低下が存在しないことは、コーティングされたコア粒子上に存在するシリケートのシリカへの完全な反応に対して決定的である。
【0303】
パッチ(表14参照)上の測定された低下は、部分的に反応され、完全に反応させた表面についての14.4/4.2≒3.4(8.5g/lのH3PO4)及び14.4/0.47≒30.6(75g/lのH3PO4)の係数にそれぞれよった。
【0304】
(例15)
本実施例において、軟磁性鉄系コア粒子を、一般式(K2O)α(SiO2)βのシリケートの水溶液と3.1~3.4のβ/α比で、上記実施例1による0.1wt%の濃度で混合した。さらに、酸化ビスマス(III)の粒子を、シリケートコーティング粒子に添加した。
【0305】
図9に示すように、選択された酸化ビスマス(III)粒子濃度では、これらは、シリケートコーティング粒子上に認識しうるパターンなしで分布し、希薄溶液から個々の粒子堆積と一致した。
【0306】
(例16)
ケイ酸カリウムコーティング及び表面付着酸化ビスマス(III)を有する実施例15の粒子を、実施例1の手順に従ってDynasylan(商標)で後にコーティングした。
【0307】
図10から分かるように、酸化ビスマス(III)粒子は、Dynasylanコーティング下で区別できない。しかし、EDSは、Dynasylan分子中のSiに感応するのみであるので、EDSは一定で、実質的に完全なコーティングを示し、測定された信号は、EDSビームの浸透深さにより下にあるシリケートからのある寄与を含むであろう。
【0308】
おわりに
本発明は、例示の目的で詳細に説明されてきたが、そのような詳細は単にその目的のためであり、図面、開示内容、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された主題を実践する際に当業者によって変更が可能であることが理解される。
【0309】
特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではない。特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲で使用される符号は、範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
【国際調査報告】