(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】焼結品の製造方法及び焼結品
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20241016BHJP
B22F 10/14 20210101ALI20241016BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20241016BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241016BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241016BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20241016BHJP
B23P 15/28 20060101ALI20241016BHJP
C22C 29/08 20060101ALN20241016BHJP
B23B 27/14 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F10/14
B22F10/64
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y40/20
B23P15/28 Z
C22C29/08
B23B27/14 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522342
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022078571
(87)【国際公開番号】W WO2023062156
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519208731
【氏名又は名称】サンドビック マシニング ソリューションズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ギレンフライクト, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】スンドストレーム, ユーアン
【テーマコード(参考)】
3C046
4K018
【Fターム(参考)】
3C046FF32
3C046FF34
3C046FF39
4K018AD06
4K018KA15
(57)【要約】
超硬合金又はサーメットを含む物品を付加的に製造するための方法が開示され、物品は少なくとも1つの結合剤のない領域を含む。本方法は、a)粉末組成物の層を堆積させること(102)と、b)層内に存在する場合、少なくとも1つの結合剤のない領域を除く、粉末組成物中の物品の断面に対応する領域に結合剤を添加すること(102)とを含む。本方法はさらに、物品の各層に対して工程a)及びb)を繰り返して未焼結品を得ることと、未焼結品を焼結(106)して製造物品を得ることとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超硬合金又はサーメットを含む物品を付加的に製造するための方法であって、物品が少なくとも1つの結合剤のない領域を含む方法であって、
a)粉末組成物の層を堆積させること(102)と、
b)その層内に少なくとも1つの結合剤のない領域が存在する場合はそれを除いて、粉末組成物中の物品の断面に対応する領域に結合剤を添加すること(104)と、
物品の各層に対して工程a)及び工程b)を繰り返し、それによって未焼結の物品を得ることと、
未焼結の物品を焼結し(106)、それにより製品を得ることと
を含む方法。
【請求項2】
結合剤を含まない領域が物品の性能領域である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
結合剤を含まない領域が物品の係合領域である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
結合剤のない領域が物品のエッジに位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
結合剤を含まない領域が細長い形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
結合剤を含まない領域においては、物品の残りの部分よりもコバルト富化領域が少ない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
結合剤のない領域の厚さが2mm未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
超硬合金を含み、超硬合金が結合相としてコバルトを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
物品が工作機械の部品である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
物品が、バインダージェッティングを使用して製造される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
物品の付加製造中に結合剤が添加された領域(220)と、
少なくとも1つの結合剤を含まない領域(210)とを含む、付加製造を使用して製造された焼結品(200)であって、結合剤を含まない領域は、物品の付加製造中に結合剤が添加されなかった、物品の領域である、焼結品(200)。
【請求項12】
結合剤を含まない領域が物品の性能領域である、請求項11に記載の物品(200)。
【請求項13】
結合剤のない領域が物品のエッジに位置する、請求項11又は12に記載の物品(200)。
【請求項14】
結合剤を含まない領域が細長い形状を有する、請求項11から13のいずれか一項に記載の物品(200)。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を使用して製造される、請求項11から14のいずれか一項に記載の物品(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、焼結品の製造方法及び焼結品に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]3D印刷としても知られる付加的に製造では、通常、特殊なシステムを使用して一度に1層ずつ粉末を印刷する。特に、材料の層を構築チャンバの作業面上に堆積させ、同じ又は異なる材料の別の層と結合させることができる。付加的に製造は、粉末床融合(PBF)、直接金属レーザー焼結(DMLS)、又はバインダージェッティングなどの技術を使用してコンピュータ支援設計モデルから物品を製造するために使用できる。
【0003】
[0003]超硬合金又はサーメット体の付加的に製造は、最初に未焼結の物品を作成し、その後未焼結の物品を別の炉で焼結する3D印刷技術によって行うことが好ましい。付加的に製造はまた、未焼結の物品を硬化する工程と、未焼結の物品を焼結する前に脱粉末する工程プとを含んでもよい。
【0004】
[0004]バインダーを用いた付加製造技術では、バインダージェッティングなど、粉末の1つの層が構築チャンバの作業面に堆積され、次に粉末粒子を接着するために液体結合剤、つまりバインダーが粉末に追加される。
【0005】
[0005]しかしながら、バインダーを使用した付加製造技術で製造された製品の微細構造は、一般に、サーメット又は超硬合金のプレス製品の構造ほど望ましいものではない。多くの物品では、一部の領域、例えば物品の係合領域となる予定の領域がより良好な微細構造を有することが有益である可能性がある。
【0006】
[0006]結合剤を使用した付加製造技術で製造された製品のもう1つの問題は、気孔率であり、気孔率は、多くの場合、望ましい値よりも高くなる。
【0007】
[0007]したがって、バインダージェッティングを使用して焼結品を製造する方法に関しては、改善の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明の目的は、上で概説した問題及び課題の少なくともいくつかに対処することである。本発明の実施形態の目的は、特に最終製品が改良された微細構造及びより低い空隙率のうちの少なくとも1つを有するような、焼結製品を付加的に製造する改良された方法を提供することである。
【0009】
[0009]一態様によれば、超硬合金又はサーメットを含む物品を付加的に製造するための方法が提供され、物品は少なくとも1つの結合剤のない領域を含む。本方法は、a)粉末組成物の層を堆積させることと、b)層内に存在する場合、少なくとも1つの結合剤のない領域を除く、粉末組成物中の物品の断面に対応する領域に結合剤を添加することとを含む。本方法はさらに、物品の各層に対して工程a)及びb)を繰り返して未焼結品を得ることと、未焼結品を焼結して製造物品を得ることとを含む。
【0010】
[00010]別の態様によれば、付加製造を使用して製造された焼結品が提供される。物品は、物品の付加製造中に結合剤が添加された領域と、少なくとも1つの結合剤のない領域とを含み、結合剤のない領域は、物品の付加製造中に結合剤が添加されなかった物品の領域である。
【0011】
[00011]この解決策のさらに可能な特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
図面の簡単な説明
[00012]次に、添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態によって解決策をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[00013]一実施形態による方法の工程を概略的に示す。
【
図2A】[00014]一実施形態による結合剤のない領域を含む物品を示す。
【
図2B】[00015]一実施形態による複数の結合剤のない領域を含む物品を示す。
【
図3】[00016]一実施形態による結合剤のない領域を含む物品を示す。
【
図4A】[00017]物品の様々な領域の微細構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[00018]簡単に説明すると、本開示は、例えばバインダージェッティングを使用して焼結品を付加的に製造するための方法を提供し、ここで、未焼結品は、焼結される前に少なくとも1つの結合剤のない領域を含み、焼結品は、切削工具又は摩耗部品用の完成部品又は半完成部品であり得る。この方法は、複数の層の各層について、粉末組成物の層を堆積させ、次いで、少なくとも1つの結合剤のない領域がその層に存在する場合は除き、粉末組成物中の物品の断面に対応する領域に結合剤を添加することを含む。本方法はさらに、粉末を堆積させ、すべての層に結合剤を添加する工程を繰り返し、未焼結品を得る工程を含み、その後、焼結品を得るためにそれを焼結する。結合剤のない領域は、例えば、完成した焼結製品の他の部分よりも大きな応力を受ける部分、例えば嵌合領域となる部分などに使用される。
【0015】
[00019]本開示に関連する洞察は、焼結品の一部の微細構造は、付加製造工程中に物品の特定の領域の結合剤を除去することによって改善することができることである。未焼結品が焼結されると、以前の結合剤の堆積により、結合剤が添加された領域では結合剤のない領域と比較して、例えば、結合剤が添加された領域には、本明細書ではコバルト又は金属結合剤相富化領域と呼ぶ、コバルトなどの金属結合剤相が多く含まれる領域が存在するため、望ましい微細構造が得られなかった可能性がある。
【0016】
[00020]「改善」には、硬質相と金属結合剤相のより均一な分布が達成され、特に、最大の結合剤相富化領域のサイズに関して、結合剤が添加された領域と比較して結合剤のない領域ではサイズが縮小されることが、ここでは含まれる。このような微細構造の改善は、局所的な硬度分布に有益である可能性があり、ひいては切削工具の性能に影響を及ぼす。
【0017】
[00021]本発明の方法のさらに別の利点は、気孔率を制御し最小化する改良された手段を可能にすることである。焼結後の結合剤のない領域の気孔率は、結合剤が添加された領域よりも低くなる。さらに、焼結品中の結合剤を含まない領域の気孔率は、結合剤が添加された領域よりも微細であり、表面接続度が低下する。好ましくは、焼結の程度により、以前の結合剤を含まない領域内のすべての気孔が、いかなる表面結合もなしに分離されることが可能になる。このような好ましいケースでは、焼結サイクルの加圧段階により、結合剤が添加された領域内の領域に圧力が伝達され、それにより、気孔の接続性がより高度に高まり、少なくとも局所的にこの領域の気孔が潰れて緻密化させることが可能になる。さらに、以前の結合剤のない領域の外側の焼結品の外周に残る可能性がある表面に接続された気孔は、次いで、表面の性能領域が必要な領域を研削することによって除去できる。
【0018】
[00022]したがって、本開示は、本明細書に開示される方法を使用して製造された物品の、特に物品の性能領域において、微細構造及び気孔率の少なくとも一方、ほとんどの場合両方を改善する方法を提供する。このような性能領域については、結合剤を含まない領域を使用することができる。
【0019】
[00023]この開示の目的上、結合剤を含まない領域は、付加製造工程中に結合剤が添加されなかった焼結品又は未焼結品の領域として定義される。結合剤を含まない領域は、結合剤を添加した領域によって囲まれるか、カプセル化される必要がある。さらに、結合剤を含まない領域は物品の表面の近くに配置されることが多く、結合剤のない領域の厚さは、グリーン強度の要件に依存する可能性がある。
【0020】
[00024]さらに、結合剤が添加された領域は、付加製造工程中に結合剤が添加された焼結品又は未焼結品の領域として定義される。したがって、焼結品中に結合剤が存在しない場合でも、焼結工程中に除去されるため、その領域は依然として結合剤のない領域及び結合剤が添加された領域と呼ばれる場合がある。
【0021】
[00025]この開示全体を通して、「性能領域」、「係合領域」、及び「高応力」領域という用語が使用される。性能領域は、より少ない気孔率及び/又は改善された微細構造を必要とするか、又はそれによって利益を得る物品の領域を指す。
【0022】
[00026]性能領域には2つのタイプがある場合があり、1つは係合領域であり、これは係合面を含む領域であり、係合面は他の物体、例えばドリルの先端又は工具の刃先と係合するように適合された物品の一部である。
【0023】
[00027]他方のタイプの性能領域は、高応力領域であり、これは、他の領域よりも低い気孔率及び/又は改善された微細構造からも利益を得る物品の領域であるが、係合表面を含まない。
【0024】
[00028]この方法は、バインダージェッティングなど、結合剤を使用する付加製造技術に適用できる。この方法はさらに、超硬合金又はサーメット製品の製造に特に適し得る。
【0025】
[00029]「サーメット」という用語は、純粋に金属結合相中に硬質成分を含む材料を指すことを意図しており、硬質成分は、TiN、TiC及び/又はTiCNなどの、Ta、Ti、Nb、Cr、Hf、V、Mo及びZrのうちの1つ又は複数の炭化物又は炭窒化物を含む。
【0026】
[00030]「超硬合金」という用語は、純粋に、金属結合相中に硬質成分を含む材料を指すことを意図しており、硬質成分は少なくとも50重量%のWC粒子を含む。硬質成分は、TiN、TiC及び/又はTiCNなどの、Ta、Ti、Nb、Cr、Hf、V、Mo及びZrのうちの1つ又は複数の炭化物又は炭窒化物を含むこともできる。
【0027】
[00031]サーメット又は超硬合金中の金属結合相は金属又は金属合金であり、金属は例えばCr、Mo、Fe、Co又はNiの単独又は任意の組み合わせから選択することができる。サーメット又は超硬合金中の金属結合相は金属又は金属合金であり、金属は例えばCr、Mo、Fe、Co又はNiの単独又は任意の組み合わせから選択することができる。粉末中の金属結合相の平均含有量は4~30重量%、好ましくは6~17重量%又は10~13重量%である。
【0028】
[00032]ここで
図1を参照して、一実施形態による焼結品の製造方法の工程をより詳細に説明する。
【0029】
[00033]この方法は、粉末組成物の層を堆積させること102と、結合剤、すなわち付加製造に使用される液体結合剤を、その層中に存在する場合には結合剤のない領域を除く未焼結品の断面に対応する領域に添加すること104とを含む。理解されるように、物品が少なくとも1つの結合剤のない領域を含むとしても、粉末組成物の各層に結合剤のない領域が存在しない可能性がある。次に、この方法は、未焼結品を形成するために必要な各層について、堆積させること102と添加すること104とを繰り返すことを含む。
【0030】
[00034]換言すれば、本方法は、粉末組成物の各層について、結合剤を含まない領域ではない領域に結合剤を添加することを含み、ほとんどの場合、これが物品の大部分を占め、結合剤のない領域の結合剤は除外される。本方法は、結合剤が結合剤のない領域から除外されるため、各層の未焼結品の断面全体に結合剤が添加されないという点で、従来のバインダージェッティング技術とは異なる。この結果、付加製造工程後の未焼結品の粉末組成物の少なくともいくつかの層が、1つ又は複数の結合剤のない領域を含むことになる。
【0031】
[00035]付加的に製造工程102及び104が実行され、各層に対して繰り返された後、未焼結品とも呼ばれる付加的に製造された物品が得られる。付加的に製造された未焼結品は、少なくとも1つの結合剤のない領域、すなわち、結合剤が添加されていない遊離粉末を含む領域を含み、一方未焼結品の残りの部分は粉末と結合剤の両方を含む。
【0032】
[00036]本方法はさらに、物品を焼結すること106を含み、それによって焼結品を製造する。いくつかの実施形態では、焼結は、最初に真空焼結を使用し、次に高圧焼結を使用することを含む。いくつかの実施形態では、焼結は、焼結の最終段階が高圧、例えば20~50バール下で行われる、いわゆる焼結-HIPサイクルによって実行される。
【0033】
[00037]いくつかの実施形態では、本方法は、付加製造工程102、104の後、焼結する工程106の前に、結合剤を硬化するために未焼結品を硬化する工程、及び/又は焼結品の一部を形成することを意図していない遊離粉末を除去するために未焼結品を脱粉末する工程を含む。
【0034】
[00038]本開示による方法を使用することにより、少なくとも2つの異なるタイプの領域を含む焼結品が得られ、領域の1つのタイプは、加圧された超硬合金又はサーメット物品に近い焼結特性を有する、結合剤を含まない領域である。好ましくは、焼結品の結合剤のない各領域の微細構造は、金属結合剤相と硬質相との間の分布があまり不均質でなく、特にコバルトが大量に蓄積した領域が存在しないようなものである。さらに別の利点は、これらの領域は、表面に接続された気孔を含む可能性が低くなることである。
【0035】
[00039]性能領域、つまり結合剤を含まない領域の焼結特性が周囲の領域よりも優れていることが判明しているにもかかわらず、結合剤を含まない封入物の総体積を制限する理由は、そうしないと未焼結の強度が低くなりすぎる可能性があるためであり、これは、例えば、粉末の除去や未焼結品の取り扱いに悪影響を与える可能性がある。
【0036】
[00040]結合剤を含まない領域の総体積を制限する別の理由は、焼結中の物品全体にわたる不均一な収縮の影響を可能な限り最小限に抑えることである。この不均一な収縮の影響は、結合剤を添加した粉末の体積と結合剤を含まない領域の体積との間の収縮率の違いから得られる。焼結収縮に対するそのような制御できない影響は、結合剤のない領域の相対体積の減少に従って減少する。
【0037】
[00041]いくつかの実施形態では、結合剤のない領域は物品の性能領域である。いくつかの実施形態では、結合剤のない領域は、物品の係合領域である。いくつかの実施形態では、結合剤のない領域は物品の高応力領域である。
【0038】
[00042]いくつかの実施形態では、結合剤のない領域は、物品の少なくとも1つのエッジ又は表面に、又はその近くに位置する。
【0039】
[00043]いくつかの実施形態では、結合剤のない領域は細長い形状を有する。
【0040】
[00044]いくつかの実施形態では、物品はバインダージェッティングを使用して製造される。
【0041】
[00045]いくつかの実施形態では、
図3Bに示すように、結合剤のない領域は物品の周囲全体に位置する。
【0042】
[00046]いくつかの実施形態では、結合剤のない領域は、付加製造工程中に粉末層が堆積される方向に対して垂直に位置する。これにより、焼結品の気孔率がさらに減少する可能性がある。
【0043】
[00047]
図2Aは、物品200の実施形態の断面又は粉末層を示し、これは、結合剤を含まない領域210と結合剤が添加された領域220を含む、未焼結品又は焼結された物品のいずれであってもよい。これを前述の方法の工程に接続するために、領域220は粉末に結合剤が添加された領域であり、結合剤のない領域210は粉末に結合剤が添加されていない領域である。
【0044】
[00048]物品200は、結合剤のない領域210の外側で、結合剤のない領域210を覆う1つ又は複数の部分215をさらに備え得る。理解されるように、覆う部分215は、粉末と結合剤の両方を含む部分である。
【0045】
[00049]これは、物品200の別の実施形態の断面又は粉末層を示す
図2Bにさらに例示されており、これは、3つの結合剤のない領域210と、結合剤のない領域を覆う複数の部分215とを含む。図からわかるように、物品200の左側の2つの結合剤のない領域210は、それらを覆う部分215によって両側が囲まれているが、物品200の右側の結合剤のない領域210は、表面のみで覆われているが、一方の側は覆う部分215によって覆われている。
【0046】
[00050]いくつかの実施形態では、物品が焼結された後、これらの部分215は、焼結された物品の結合剤のない領域210が外側に露出するように、例えば研削によって除去され得る。
【0047】
[00051]いくつかの実施形態では、物品200は、少なくとも2つの結合剤のない領域を含む。いくつかの実施形態では、物品200は、複数の結合剤のない領域を含む。
【0048】
[00052]いくつかの実施形態では、完成品は、0.1~10%の結合剤を含まない領域と、粉末と結合剤の両方を含む残りの領域とを含む。いくつかの実施形態では、完成品は、0.2~1%の結合剤を含まない領域と、粉末と結合剤の両方を含む残りの領域とを含む。
【0049】
[00053]いくつかの実施形態では、物品は、機械加工ツール、例えば研削又は切断に使用される機械加工ツールの構成要素である。
【0050】
[00054]いくつかの実施形態では、本方法は、結合剤のない領域が物品の表面に位置するように、結合剤のない領域を外側から覆う焼結品の208部分を除去することをさらに含む。
【0051】
[00055]ここで
図3Aを見ると、
図2A及び
図2Bの結合剤のない領域とは異なる形状の、1つの結合剤のない領域310を含む物品の別の実施形態の断面又は粉末層が示されている。
図3の結合剤のない領域310は、物品300の角を覆っているように見え、細長い形状よりもL字型に近い形状を有する。物品300はまた、
図2A及び
図2Bの物品と同様に、結合剤が添加された領域320と、結合剤のない領域310を外側から覆う部分315とを含む。
【0052】
[00056]ここで
図3Bを見ると、物品350の別の実施形態の断面又は粉末層が示されており、物品350全体の周囲に配置された結合剤のない領域360を含む。物品はさらに、結合剤のない領域360を外側から覆う部分365と、結合剤が添加された領域320とを含む。このような実施形態は、物品全体が、以前の結合剤のない領域内の気孔率が低くなり、物品の表面の任意の場所に改善された微細構造を露出させるために研削を適用できる可能性から恩恵を受ける場合に関連する可能性がある。
【0053】
[00057]理解されるように、開示された方法を使用して製造された物品の結合剤のない領域は、物品及びその意図された用途に応じて異なってよい。使用される製造システムの能力によって課されるものを除き、結合剤のない領域がどのような形状を有することができるかについて制限はない。
【0054】
[00058]ここで
図4A及び
図4Bを見ると、本開示による方法を使用することによって達成できる、結合剤のない領域と結合剤が添加された領域の微細構造の違いについて説明する。前述したように、概して、完成した焼結品のどこにも結合剤相が大量に蓄積しないように、焼結品中の硬質相と結合剤相との間の分布が比較的均一であることが好ましい。
【0055】
[00059]
図4Aは、付加製造工程中に結合剤が添加された焼結品の領域の微細構造を示し、
図4Bは、焼結品の結合剤のない領域の微細構造を示す。図の明るい部分は結合相(この場合はコバルト)を表し、暗い部分はWCなどの硬質相を表す。見てわかるように、
図4Aには
図4Bよりも多くの大きな明るい部分がある。
【0056】
[00060]ここで、結合剤を添加した領域である
図4Aを見ると、コバルトと硬質相の間の分布は結合剤のない領域に比べて均一ではない。420、430、440で示される領域など、主にコバルトで構成される領域がいくつかある。
【0057】
[00061]次に、結合剤のない領域を示す
図4Bを見ると、コバルトと硬質相の間の分布は比較的均一である。画像の一部の部分が他の部分よりも明るいことが依然としてわかるが、全体的な構造は比較的均一であり、
図4Aに示されている部分よりも大幅に均一である。
【0058】
[00062]
図4Aと4Bを見ると、コバルト及び硬質相の分布は、結合剤が添加された領域よりも結合剤が添加されなかった領域においてより均一であることがわかり、これは本開示の基礎となる重要な洞察の1つである。
【0059】
[00063]上記の説明には複数の特異性が含まれているが、これらは、説明される概念の範囲を限定するものとして構成されるべきではなく、単に説明される概念のいくつかの例示的な実施形態の図を提供するものとして構成されるべきである。ここで説明する概念の範囲は、当業者にとって明らかとなる他の実施形態を完全に包含し、したがって、現在説明する概念の範囲は限定されないことが理解されるであろう。単数形での要素への言及は、明示的に明記されていない限り、「1つだけ」を意味するものではなく、「1つ又は複数」を意味するものである。当業者に知られている上述の実施形態の要素と構造的及び機能的に同等なものはすべて、参照により明示的に援用され、本明細書に包含されるものとする。さらに、装置又は方法が、本明細書に包含されるために、現在説明されている概念によって解決しようとしているすべての問題に対処する必要はない。例示的な図において、破線は、概して、破線内の特徴が任意選択的であることを示す。
【国際調査報告】