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特表2024-538804ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/08 20060101AFI20241016BHJP
   G21G 4/02 20060101ALI20241016BHJP
   A61N 5/10 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
G21K5/08 N
G21G4/02
A61N5/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523228
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2022018096
(87)【国際公開番号】W WO2023101270
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0169025
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518460417
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・ラディオロジカル・アンド・メディカル・サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ボン・ファン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウ・パク
(72)【発明者】
【氏名】チャ・ウォン・パク
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC07
4C082AE01
(57)【要約】
本発明は、所定広さで延長されて形成される基板及び基板の一面上に備えられる固体ターゲットを含む一対のターゲットモジュール、一対のターゲットモジュールは、互いに第1の角度をなして設置され、粒子ビームが照射される方向と第2の角度をつけて配置されるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットに関する。
本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットは、伝熱面積を極大化することができる効果がある。また、ターゲットが一対のターゲットモジュールで構成されてそれぞれのターゲットモジュールを小型化することができる。したがって、リチウムレイヤの生成及び正確度を向上させることができ、保管が容易である効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定広さで延長されて形成される基板及び前記基板の一面上に備えられる固体ターゲットを含む一対のターゲットモジュール;を含み、
前記一対のターゲットモジュールは、
互いに第1の角度をなして設置され、
粒子ビームが照射される方向と第2の角度をつけて配置される、ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項2】
前記一対のターゲットモジュールは、
前記粒子ビームの照射経路上にそれぞれのターゲットモジュールの一部が配置されるように構成される、請求項1に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項3】
前記一対のターゲットモジュールは、前記粒子ビームの照射経路と直交する軸を中心に回転して前記第2の角度を形成される、請求項2に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項4】
前記それぞれのターゲットモジュールは、一方向に延長される平板型で構成される、請求項3に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項5】
前記一対のターゲットモジュールは、
前記各平板が延長された方向に沿って並んで配置され、
前記延長された方向と平行する軸を中心に互いに前記第1の角度をつけて配置される、請求項4に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項6】
前記第1の角度は180度以下であり、
前記第2の角度は90度以下である、請求項5に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項7】
前記一対のターゲットモジュールは、
第1のターゲットモジュール及び第2のターゲットモジュールを含み、
前記第1のターゲットモジュール及び前記第2のターゲットモジュールは、隣接する端部が外れるように配置される、請求項2に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項8】
前記第1のターゲットモジュール及び前記第2のターゲットモジュールは、
1回照射される粒子ビームの一部が前記第1のターゲットモジュールに照射され、
前記1回照射される粒子ビームの残りが前記第2のターゲットモジュールに照射されるように配置される、請求項7に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項9】
前記第1のターゲットモジュールの伝熱面積と前記第2のターゲットモジュールの伝熱面積は、互いに非対称的に形成される、請求項8に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項10】
前記第1のターゲットモジュール及び前記第2のターゲットモジュールは、
前記粒子ビームが照射される面に備えられるリチウムレイヤを各々含む、請求項8に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項11】
前記リチウムレイヤは、
基板の一面にメッキまたは蒸着されて形成される、請求項10に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【請求項12】
前記第1のターゲットモジュール及び前記第2のターゲットモジュールは、
前記粒子ビームが照射される面の反対面が冷却されることができるように構成される、請求項10に記載のハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱面積の増加及び冷却効率が増加されたハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法は、あらかじめホウ素を含む物質を注入して癌細胞にホウ素を集積させた後、中性子を照射して癌細胞内で核分裂を起こし、核分裂による粒子が放出されながら癌細胞を死滅させる治療方法である。ホウ素中性子捕捉療法は、代表的に脳腫瘍、頭頸部癌、皮膚癌等に効果的であると知られていて、従来の放射線治療方法に比べて正常細胞の放射線露出による副作用を最小化することができるという点から次世代癌治療方法として脚光を浴びている。
【0003】
中性子発生装置は、静電型タンデム加速器のような粒子加速器と、粒子加速器から高速で放出される陽性子ビームのビーム経路上に設置され、ビームに衝突してその内部の中性子を放出するターゲットと、を含んで構成される。
【0004】
ターゲットに陽性子ビームを照射すると、ターゲットは核反応により温度が上昇するようになって、必須的に冷却過程が必要になる。このような従来技術に対して米国特許US20170062086号が開示されている。
【0005】
しかし、このような従来技術は、ターゲットの交替の難易度が高く、高出力の粒子ビームを照射する時、過度に温度が上昇され、冷却効率が低いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のホウ素中性子捕捉療法に使われる中性子発生用ターゲットの問題点を解決するためのハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題の解決手段として、所定広さで延長されて形成される基板及び基板の一面上に備えられる固体ターゲットを含む一対のターゲットモジュールを含み、一対のターゲットモジュールは、互いに第1の角度をなして設置され、粒子ビームが照射される方向と第2の角度をつけて配置されるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットが提供される。
【0008】
一方、一対のターゲットモジュールは、粒子ビームの照射経路上にそれぞれのターゲットモジュールの一部が配置されるように構成される。
【0009】

また、一対のターゲットモジュールは、粒子ビームの照射経路と直交する軸を中心に回転して第2の角度を形成される。
【0010】
一方、それぞれのターゲットモジュールは、一方向に延長される平板型で構成される。
【0011】
また、一対のターゲットモジュールは、各平板が延長された方向に沿って並んで配置され、延長された方向と平行する軸を中心に互いに第1の角度をつけて配置される。
【0012】
一方、第1の角度は180度以下であり、第2の角度は90度以下である。
【0013】
また、一対のターゲットモジュールは、第1のターゲットモジュール及び第2のターゲットモジュールを含み、第1のターゲットモジュール及び第2のターゲットモジュールは、隣接する端部が外れるように配置される。
【0014】
さらに、第1のターゲットモジュール及び第2のターゲットモジュールは、1回照射される粒子ビームの一部が第1のターゲットモジュールに照射され、1回照射される粒子ビームの残りが第2のターゲットモジュールに照射されるように配置される。
【0015】
一方、第1のターゲットモジュールの伝熱面積と第2のターゲットモジュールの伝熱面積は、互いに非対称的に形成される。
【0016】
一方、第1のターゲットモジュール及び第2のターゲットモジュールは、粒子ビームが照射される面に備えられるリチウムレイヤを各々含む。
【0017】
一方、リチウムレイヤは、基板の一面にメッキまたは蒸着されて形成される。
【0018】
また、第1のターゲットモジュール及び第2のターゲットモジュールは、粒子ビームが照射される面の反対面が冷却されることができるように構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットは、伝熱面積を増加させて冷却効率を向上させることができ、したがって、陽性子のビームパワーを一層高めることができて中性子の収率を一層増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ホウ素中性子捕捉療法の概念を示す。
図2】本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットが設置された状態を示す。
図3】本発明のターゲットモジュールの断面図である。
図4】ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットの斜視図である。
図5】ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットを粒子ビームが照射される方向に沿って示す。
図6】ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットの断面図である。
図7a】多様な平板型中性子発生用ターゲットで伝熱面積を示す。
図7b】多様な平板型中性子発生用ターゲットで伝熱面積を示す。
図7c】多様な平板型中性子発生用ターゲットで伝熱面積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例に係るハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットに対して、添付図面を参照して詳細に説明する。そして。以下の実施例の説明において、それぞれの構成要素の名称は、当業界で他の名称で呼ばれることができる。しかし、これらの機能的類似性及び同一性があれば、変形された実施例を採用しても均等な構成とみることができる。また、それぞれの構成要素に付加された符号は、説明の便宜のために記載される。しかし、これらの符号が記載された図面上の図示内容は、それぞれの構成要素を図面内の範囲に限定しない。同様に、図面上の構成を一部変形した実施例が採用されても機能的類似性及び同一性があれば、均等な構成とみることができる。また、当該技術分野の一般的な技術者の水準に鑑みて、当然含まれるべき構成要素と認定される場合、これに対しては説明を省略する。
【0022】
図1は、ホウ素中性子捕捉療法の概念を示す。
【0023】
図示されたように、従来のホウ素中性子捕捉療法において、中性子を発生させる中性子発生装置は、サイクロトロン、線形加速器、及び静電型加速器のような粒子加速器1、粒子加速器1から高速で放出される陽性子ビームを加速する静電型加速器2、陽性子ビームのビーム経路上に設置され、ビームに衝突してその内部の中性子を放出するターゲットを含んで構成される。
【0024】
ターゲットで発生された中性子は、10keV以上のエネルギーを有する高速中性子(fast neutron)、0.5eV乃至10keVの熱外中性子(epithermal neutron)、及び0.5eV以下のエネルギーを有する熱中性子(thermal neutron)に区分されることができ、高速中性子を治療に適した熱外中性子に転換できるようにビーム成形装置3が区分される。
【0025】
ビーム成形装置3を通過した中性子ビームは、コリメータにより所望の領域を通過するように構成され、最終的に患者5の患部に照射されて核反応が行われる。
【0026】
図2は、本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットが設置された状態を示す。
【0027】
図2を参照すると、本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット100は、真空状態のチャンバ内に備えられ、陽性子ビームの照射経路上に配置されることができる。また、ターゲットは、粒子ビームの照射時に発生される熱を排出するために冷却部200と接触されることができる。
【0028】
ターゲット100に照射された陽性子ビームは、リチウムと核反応し、この時に放出された中性子は、高速中性子フィルタ410、減速材420、及びコリメータ300を通過して最終的に患者の患部に照射される。
【0029】
本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット100の広い面のうち一面(以下「前面」)は陽性子ビームの照射経路に露出され、反対側の広い面(以下「後面」)は冷却部200と関連されて冷却が行われることができるように構成される。
【0030】
以下では図3乃至図7cを参照して本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットの構成に対して詳細に説明する。
【0031】
図3は、本発明のターゲットモジュールの断面図である。本図面では理解を容易にするために、リチウムレイヤ101の厚さを多少誇張されるように表現した。しかし、リチウムレイヤ101は、数十μmの厚さで形成されることができる。
【0032】
本発明によるハイパワー中性子発生用y型リチウムターゲット100は、平板型ターゲットモジュールが一対で構成されて陽性子ビームが照射されることができるように構成される。ターゲットモジュールは、一方向に延長された平板型で構成されることができる。すなわち、ターゲットモジュールは、平面上で矩形で構成されることができる。ターゲットモジュール100は、平板型の基板102とリチウムレイヤ101を含むことができる。基板102は、陽性子ビームの照射時、リチウムレイヤ101及び基板102で発生される熱が外部へ容易に伝達されることができるように金属材質で構成されることができる。一例として、基板102は銅を含んで構成されることができる。
【0033】
リチウムレイヤ101は、基板の広い一つの面に備えられることができる。リチウムレイヤは、基板に、メッキ、蒸着などの工程を利用して備えられることができる。
【0034】
前述したように、本発明で利用されるターゲット100は、同じ構造の一対のターゲットモジュールが利用されることができる。
【0035】
中性子捕捉療法時に要求される中性子の収率を確保するために、ターゲットは30kW以上の高出力ビームパワーに耐えなければならない。特に、ターゲットがリチウムレイヤを含む場合、リチウムの融点が180.5℃であるため、伝熱面積を広めることが好ましい。したがって、伝熱面積を広め冷却性能を向上させるために、粒子ビームの経路と傾けるように平板型固体ターゲットを設置する。
【0036】
一方、ターゲットモジュールを大面積の一つの平板型モジュールで構成した時より分割された面積で生成することが、リチウムレイヤの生成の容易性及び厚さの均一性を満たすため、工程上有利である。また、使用後保管時にも小さい面積で構成されたターゲットモジュールは、平面上の必要面積を減少させることができる。
【0037】
以下では、図4乃至図6を参照して本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットがチャンバ内に配置される状態に対して詳細に説明する。
【0038】
図4は、ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットの斜視図であり、図5は、ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットを粒子ビームが照射される方向に沿って示し、図6は、ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットの断面図である。
【0039】
図4乃至図6に示されたように、本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットは、一対のターゲットモジュールが共に使われることができる。以下では便宜上一対のターゲットモジュールに対して、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120に区分して説明する。
【0040】
第1のターゲットモジュール110は、第2のターゲットモジュール120と端部が互いに外れるように配置される。また、図6を参照すると、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120は、配置された時、断面の形状がy型で構成されることができる。
【0041】
また、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120は、第1の角度(α)で離隔されて配置されることができる。第1の角度(α)は、180度以下になることができる。すなわち、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120は、平面上で並んで配置された時より伝熱面積(Ah)が広くなることができるように180度以下の角度をつけて配置されることができる。一実施例において、第1の角度(α)は90度になることができる。
【0042】
すなわち、第1のターゲットモジュール110の側面は、第2のターゲットモジュール120のリチウムレイヤと密着されるように配置される。この時、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120との間の間隔は、粒子ビームが一対のターゲットモジュールに全て照射されることができるように決定される。したがって、1回照射される粒子ビームは、第1のターゲットモジュール110及び第2のターゲットモジュール120に分配されて核反応を起こす。
【0043】
一方、第1のターゲットモジュール110の位置は、粒子ビームの照射経路で第1のターゲットモジュール110のリチウムレイヤと第2のターゲットモジュール120のリチウムレイヤとの重なる領域が最小化されるように配置される。前述したように、粒子ビームの経路上で第1のターゲットモジュール110のリチウムレイヤは、第2のターゲットモジュール120のリチウムレイヤに一定領域重なる。この時に発生される中性子の品質を一定に維持するためには重なるリチウムレイヤを最小化することが好ましい。したがって、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120はy型で配置されるが、図4乃至図6に示されたように、v型に近い形態で配置されることができる。
【0044】
再び、図4を参照すると、第1のターゲットモジュール110及び第2のターゲットモジュール120は、互いに角度をつけた状態で粒子ビームの照射方向と直交する軸を中心に第2の角度(β)をつけて配置されることができる。すなわち、第1のターゲットモジュール110及び第2のターゲットモジュール120は、加速管側を向いて傾斜した状態で配置されることができる。一例として、粒子ビームが水平方向に照射される場合、第1のターゲットモジュール110と第2のターゲットモジュール120は、水平方向に第2の角度(β)をつけて配置されることができる。第2の角度(β)は、粒子ビームの照射方向から90度以内に決定されることができる。一実施例において、第2の角度(β)は45度に決定されることができる。
【0045】
一方、図示されてはいないが、チャンバ内には第1のターゲットモジュール110及び第2のターゲットモジュール120がy型で着脱可能に構成され、第1のターゲットモジュール110及び第2のターゲットモジュール120を冷却することができる冷却部が備えられることができる。第1のターゲットモジュール110及び第2のターゲットモジュール120がy型で配置された時、各後面のうち少なくとも一部は、冷却部に接触されて熱伝逹が行われるように構成される。
【0046】
以下では図7a、図7b、及び図7cを参照して同じ条件の粒子ビームを照射した時、各ターゲットに形成される伝熱面積に対して説明する。
【0047】
図7a、図7b、及び図7cは、多様な平板型中性子発生用ターゲットで伝熱面積を示す。
【0048】
図7aを参照すると、粒子ビームの照射経路に直交する方向に平面が構成された時、伝熱面積は原形になる。この時には伝熱面積(Ah)が最も小さくて温度が相対的に高くなる。
【0049】
図7bを参照すると、一方向に平板型ターゲットを傾けた時、伝熱面積は楕円形で現れる。これは図7aに示す状態より伝熱面積(Ah)が増えたが、ハイパワーの粒子ビームが照射された時、適切な温度以下に維持されるには限界がある。
【0050】
図7cを参照すると、本発明による一実施例である一対のターゲットモジュール100に粒子ビームが照射された状態が示されている。また。図7cの下段には一対のターゲットモジュール100を平面上に平行に配置した時の伝熱面積(Ah)が現れている。本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットは、一対のターゲットモジュール100が互いに外れるように配置されていてそれぞれのターゲットモジュールに形成される伝熱面積(Ah)は非対称的に形成されることができ、伝熱面積(Ah)は極大化されることができる。
【0051】
以上で説明したように、本発明によるハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲットは、粒子ビームの照射経路から2軸に角度が調節され備えられて伝熱面積を極大化することができる効果がある。また、ターゲットが一対のターゲットモジュールで構成されてそれぞれのターゲットモジュールを小型化することができる。したがって、リチウムレイヤの生成及び正確度を向上させることができ、保管が容易である効果がある。
【符号の説明】
【0052】
1 粒子加速器
2 静電型加速器
3 ビーム成形装置
5 患者
100 ハイパワー中性子発生用y型傾斜リチウムターゲット
102 基板
110 第1のターゲットモジュール
120 第2のターゲットモジュール
200 冷却部
300 コリメータ
410 高速中性子フィルタ
420 減速材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
【国際調査報告】