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特表2024-538808極低温エネルギー貯蔵システムおよびそれを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】極低温エネルギー貯蔵システムおよびそれを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 15/00 20060101AFI20241016BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20241016BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02J15/00 J
F28D20/02 D
F01K25/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523924
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 IB2022060104
(87)【国際公開番号】W WO2023067549
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2029478
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512072290
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ クワズール-ナタール
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ジャーヴィス アラン ローレンス ライ
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB10
3G081BC30
(57)【要約】
本発明は、極低温エネルギー貯蔵システム(CESS)に関し、特に、機能するのに極低温へのアクセスを必要とする超伝導電気ベースの構成要素、デバイスおよびシステムを内部に含むハイブリッドCESSに関する。CESSは、液体空気などの寒剤で満たされたタンクまたはシリンダなどの寒剤貯蔵設備を備える。使用時に寒剤貯蔵設備からの貯蔵寒剤を膨張させる寒剤膨張装置が、CESSに設けられ、使用時に電気エネルギーを発生させるために寒剤膨張装置からの膨張寒剤を使用するエネルギー発生装置が、設けられる。好都合には、超伝導デバイスを含む超伝導システムは、極低温エネルギー貯蔵システム(CESS)に全くまたはほとんど影響を及ぼさない所望の動作温度で機能するように、寒剤貯蔵設備に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、寒剤貯蔵設備、
使用時に、該寒剤貯蔵設備から受け取った寒剤を膨張させるように構成された、寒剤膨張装置、
使用時に、電気エネルギーを発生させるために該寒剤膨張装置からの膨張寒剤によって動力が供給されるように構成された、適切なエネルギー発生装置、および
超伝導デバイスであって、使用時に、該寒剤貯蔵設備に貯蔵された寒剤によって該超伝導デバイスが冷却されるように該寒剤貯蔵設備内に位置付けられた、該超伝導デバイス
を備える、極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記超伝導デバイスが、超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)デバイス、超伝導電子機器、超伝導変圧器(ST)、および超伝導限流器(SFCL)を含む群より選択される、請求項1または請求項2記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記エネルギー発生装置によって発生する前記電気エネルギーの代わりに、または前記エネルギー発生装置によって発生する前記電気エネルギーに加えて、要求に応じて電気エネルギーを貯蔵および出力するように前記SMESデバイスが構成されている、請求項2記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記極低温エネルギー貯蔵システムに動作可能に接続されたある負荷へと前記エネルギー発生装置が電力を供給する前に、該負荷へと電力を供給するように前記SMESデバイスが構成されている、請求項3記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記SFCLが、送電網と負荷とに電気的に結合されており、該負荷に到達する該送電網からの故障電流を制限するように前記SFCLが構成されている、請求項3記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記STが、送電網および/または負荷に電気的に結合されている、請求項3記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
寒剤を貯蔵するまたは貯蔵するように構成され、かつ少なくとも前記超伝導デバイスを内部に収容する、適切な断熱寒剤貯蔵タンクを、前記寒剤貯蔵設備が備える、前記請求項のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
記憶デバイス、
該記憶デバイスに結合されたプロセッサ、および
1つまたは複数のパラメータを測定しかつそれを示すデータを該プロセッサへと送信するために該プロセッサに動作可能に接続された、前記寒剤貯蔵タンク内に動作可能に配置された1つまたは複数のセンサであって、1つまたは複数の測定されたパラメータを許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように該プロセッサが構成されている、該1つまたは複数のセンサ
を備える、請求項7記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の量を測定または監視するために前記プロセッサに通信可能に結合された適切なレベルセンサであって、該レベルセンサによって測定された前記寒剤貯蔵タンク内の寒剤の量が前記超伝導デバイスに必要な寒剤の最小動作量を下回ると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように前記プロセッサが構成されている、該レベルセンサ
を備える、請求項8記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
前記寒剤貯蔵タンクの振動または前記寒剤貯蔵タンク内の振動を感知するために前記プロセッサに通信可能に結合された適切な振動センサであって、該振動センサによって感知された振動を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように前記プロセッサが構成されている、該振動センサ
を備える、請求項8または請求項9記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記寒剤貯蔵タンク内の圧力を測定するために前記プロセッサに通信可能に結合された適切な圧力センサであって、該圧力センサによって測定された前記寒剤貯蔵タンク内の圧力を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように前記プロセッサが構成されている、該圧力センサ
を備える、請求項8~10のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
前記寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の温度を測定するために前記プロセッサに通信可能に結合された温度センサであって、該温度センサによって測定された前記寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が所定の温度範囲または設定値から外れていると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように前記プロセッサが構成されている、該温度センサ
を備える、請求項8~11のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
前記警報プロトコルが、前記超伝導デバイスからの/前記超伝導デバイスへのエネルギーを切断/パージすること、および適切な警報デバイスを作動させるための適切な警報信号を生成することのうちの1つまたは複数を含む、請求項8~12のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
前記寒剤貯蔵タンクに動作可能に接続された適切な真空ポンプであって、前記適切な警報プロトコルが、前記寒剤貯蔵タンク内の蒸気圧を低下させるべく該真空ポンプを動作させ、それによって前記寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を低下させて該温度を所定の温度範囲内または設定値以下にすることを含む、該適切な真空ポンプ
を備える、請求項13記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
前記所定の温度範囲が、寒剤の沸点以下かつ寒剤の凝固点より高い温度によって制限されている、請求項12または請求項14のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項16】
前記寒剤貯蔵タンクが、前記寒剤貯蔵タンク内の均一な温度を少なくとも維持するように適切な攪拌装置を備える、請求項7~15のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項17】
前記寒剤貯蔵設備が、以下:
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、1つまたは複数の一次寒剤貯蔵タンク、および
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンクであって、該一次寒剤貯蔵タンクと該二次寒剤貯蔵タンクとが互いに、制御された流体連通状態にあり、該二次寒剤貯蔵タンクが前記超伝導デバイスを収容する、該少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンク
を備える、請求項7~16のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項18】
前記一次寒剤貯蔵タンクと前記第2の寒剤貯蔵タンクとの間で寒剤を移動させるための適切なポンプを備える、請求項17記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項19】
前記ポンプが、前記二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の所定のレベルを維持するように前記一次寒剤貯蔵タンクから前記二次寒剤貯蔵タンクへと寒剤を圧送するために、前記一次寒剤貯蔵タンク内に、または前記一次寒剤貯蔵タンクに隣接して、動作可能に位置付けられている、請求項18記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項20】
前記一次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が、寒剤の沸点以下の温度であり、前記二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が、寒剤の沸点未満かつ寒剤の凝固点より高い温度範囲内にある、請求項17~19のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項21】
前記寒剤膨張装置が、適切な熱交換器を備える、前記請求項のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項22】
前記熱交換器が、周囲空気、地熱、発電所からの産業廃熱、および製造プラントからの廃熱のうちの1つまたは複数からの熱を使用して寒剤を加熱するように構成されている、請求項21記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項23】
前記エネルギー発生装置が、以下:
使用時に、前記寒剤膨張装置からの膨張寒剤によって動力が供給されるように構成された、タービン、および
使用時に、電気エネルギーを発生させるために該タービンによって作動されるように構成された、発電機
を備える、前記請求項のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項24】
寒剤が、液体空気または液体窒素のうちの一方である、前記請求項のいずれか一項記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項25】
気体を液化しかつそれを寒剤として前記寒剤貯蔵設備に貯蔵するように構成された液化装置を備える、請求項24記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項26】
寒剤を寒剤貯蔵設備に貯蔵する工程、
該寒剤貯蔵設備から受け取った貯蔵寒剤を膨張させる工程、
膨張した寒剤を使用して適切なエネルギー発生装置を作動させることによって電気エネルギーを発生させる工程、
該寒剤貯蔵設備内に超伝導デバイスを設ける工程、および
該寒剤貯蔵設備に貯蔵された寒剤で該超伝導デバイスを冷却する工程
を含む、極低温エネルギー貯蔵システムを動作させる方法。
【請求項27】
前記超伝導デバイスが、超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)デバイス、超伝導変圧器(ST)、超伝導電子機器、および超伝導限流器(SFCL)を含む群より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記エネルギー発生装置によって発生する前記電気エネルギーの代わりに、または前記エネルギー発生装置によって発生する前記電気エネルギーに加えて、電気エネルギーを発生させるように前記SMESを動作させる工程を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
使用時に、前記エネルギー発生装置によって発生した電気エネルギーで前記SMESデバイスを充電する工程を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記極低温エネルギー貯蔵システムに動作可能に接続されたある負荷へと前記エネルギー発生装置が電力を供給する前に、該負荷へと電力を供給するように前記SMESデバイスを動作させる工程を含む、請求項27~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記SFCLが、送電網と負荷とに電気的に結合されており、前記方法が、該負荷に到達する該送電網からの故障電流を前記SFCLによって制限する工程を含む、請求項27~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
寒剤を貯蔵するまたは貯蔵するように構成され、かつ前記超伝導デバイスを内部に収容する、適切な断熱寒剤貯蔵タンクを、前記寒剤貯蔵設備が備える、請求項26~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記寒剤貯蔵タンクと関連付けられる、および/または前記寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤と関連付けられる1つまたは複数のパラメータを測定する工程、
適切な記憶デバイスに通信可能に結合された適切なプロセッサへと、測定されたパラメータを送信する工程、ならびに
1つまたは複数の測定されたパラメータを許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させる工程
を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の量を測定または監視する工程、および
前記寒剤貯蔵タンク内の寒剤の量が、前記寒剤貯蔵タンクに格納された前記超伝導デバイスに必要な寒剤の最小動作量を下回ると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを前記プロセッサによって作動させる工程
を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記寒剤貯蔵タンクの、または前記寒剤貯蔵タンク内の振動を感知または測定する工程、および
感知された振動を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを前記プロセッサによって作動させる工程
を含む、請求項33または34記載の方法。
【請求項36】
前記寒剤貯蔵タンク内の圧力を測定する工程、および
測定された該圧力を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを前記プロセッサによって作動させる工程
を含む、請求項33~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
前記寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の温度を測定する工程、および
前記寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が所定の温度範囲から外れていると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを前記プロセッサによって作動させる工程
を含む、請求項33~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記警報プロトコルが、前記超伝導デバイスからの/前記超伝導デバイスへのエネルギーを切断/パージすること、および適切な警報デバイスを作動させるための適切な警報信号を生成することのうちの1つまたは複数を含む、請求項33~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
前記適切な警報プロトコルが、前記寒剤貯蔵タンク内の蒸気圧を低下させるべく、前記寒剤貯蔵タンクに動作可能に接続された真空ポンプを動作させ、それによって前記寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を低下させて該温度を所定の温度範囲内にすることを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記所定の温度範囲が、寒剤の沸点以下かつ寒剤の凝固点より高い温度によって制限されている、請求項37または39記載の方法。
【請求項41】
前記寒剤貯蔵タンク内の均一な温度を少なくとも維持するように前記寒剤貯蔵タンク内の適切な攪拌装置を動作させる工程を含む、請求項32~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記寒剤貯蔵設備が、以下:
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、1つまたは複数の一次寒剤貯蔵タンク、および
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンクであって、該一次寒剤貯蔵タンクと該二次寒剤貯蔵タンクとが互いに、制御された流体連通状態にあり、該二次寒剤貯蔵タンクが前記超伝導デバイスを収容する、該少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンク
を備える、請求項32~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤のレベルが所定の閾値を下回ることを検出したことに応じて前記一次寒剤貯蔵タンクから前記二次寒剤貯蔵タンクへと寒剤を移動させる工程、および/または前記超伝導デバイスに必要な前記二次タンク内に必要な寒剤の最小体積まで前記二次寒剤タンクから前記一次寒剤タンクへと寒剤を移動させる工程を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記一次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を、寒剤の沸点以下に維持する工程を含む、請求項42または43記載の方法。
【請求項45】
前記二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を、寒剤の沸点未満かつ寒剤の凝固点より高い温度範囲内に維持する工程を含む、請求項42~44のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、液体空気エネルギー貯蔵(LAES)、液体空気電池(LAB)などを含む極低温エネルギー貯蔵システム(CESS)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
極低温エネルギー貯蔵システム(単数形、CESS)は、電気エネルギーを生み出すために適切なタービンを動かすために、必要に応じてかつ必要な場合に、その後に膨張させるために、低温にて、本明細書で「寒剤」とも呼ぶ極低温液体の形態でエネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵システムである。CESSはスケーラブルであり、液体空気の形態の極低温液体は通常、安全で、可搬性があり、無公害であるため、環境に優しい方法で大量のエネルギー(250MW.h超)を貯蔵することができる。このようにして、CESSは、石油発電機やディーゼル発電機などの化石燃料燃焼技術とは対照的に、必要に応じてエネルギーを貯蔵しかつ電気エネルギーを発生させる環境に優しい選択肢を提供する。
【0003】
CESSには、典型的に、以下に示すように、(i)電気エネルギーを使用した空気などの気体寒剤の液化、(ii)タンクにおける液体空気の貯蔵、および(iii)電気エネルギーを発生させるためにタービンを動かす、液体空気の膨張、の3つの段階または部分がある。
【0004】
要約すると、CESSは、電気(再生可能ベースであってもよい)を使用して、空気などの寒剤気体を液化するまで冷却する。この液体空気は、適切なタンクに貯蔵される。液体寒剤は、周囲空気に曝されたとき、または廃熱により動的気体状態になり、エネルギーを与えられた気体はタービンを回して電気を発生させる。
【0005】
本発明者は、CESSと、動作または効率的に機能するのに低温(液体空気の形態の寒剤が液体状態にある範囲内)を必要とする他の技術とが、該技術をCESSと、特にその一部と一体化することによって、相互に有益にまたは相乗的に最適化または増強され得ることを確認した。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、以下:
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、寒剤貯蔵設備、
使用時に、寒剤貯蔵設備から受け取った寒剤を膨張させるように構成された、寒剤膨張装置、
使用時に、電気エネルギーを発生させるために寒剤膨張装置からの膨張寒剤によって動力が供給されるように構成された、エネルギー発生装置、および
超伝導デバイスであって、寒剤貯蔵設備に貯蔵された寒剤によって超伝導デバイスが冷却されるように寒剤貯蔵設備内に位置付けられた、超伝導デバイス
を備える極低温エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0007】
寒剤貯蔵設備に貯蔵される寒剤は、液体空気であっても液体窒素であってもよい。液体空気は、大部分が液体窒素で構成されている(78%)。これに関して、寒剤貯蔵設備は、内部の寒剤を、液体窒素の沸点(77.36K)と液体酸素の沸点(90.19K)の間の約78.8Kの温度で、1気圧で維持し得る。寒剤の温度は、寒剤の沸点(寒剤が液体空気の形態である場合は約78.8K)以下かつ寒剤の凝固点(寒剤が液体空気の形態である場合は58.0K、液体窒素の場合は63.1K)より高い温度に維持され得ることが理解されよう。
【0008】
超伝導デバイスは、高温超伝導デバイスであってもよく、かつ/または超伝導材料を含んでもよいし、または超伝導材料から構築されてもよい。これに関して、超伝導システム/デバイスは、寒剤貯蔵設備内の寒剤が貯蔵されるおおよその温度であり得る約78K(-197℃)のより高い極低温で動作するように構成される。したがって、寒剤貯蔵設備内の寒剤の温度は、好都合には、超伝導デバイス内に存在するか、または超伝導/超伝導体デバイスが構成される超伝導材料/超伝導体材料の臨界温度(Tc)を下回るということになる。このようにして、大部分の超伝導デバイスはゼロ抵抗の超伝導特性のためにほとんどまたは全く熱を発生しないため、寒剤貯蔵設備内に超伝導デバイスが存在すると過剰な寒剤ボイルオフがほとんど発生せず、寒剤タンクにとっては熱的に透過的に見えるので、好都合には、専用の超伝導体デバイス冷却システムの必要性およびそれと関連付けられるコストがなくなる。
【0009】
超伝導デバイスは、超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)デバイス、超伝導変圧器(ST)、および超伝導限流器(SFCL)を含む群より選択され得る。いくつかの例示的な態様では、超伝導システムは、例えば、上記の超伝導デバイスの群より選択される複数の超伝導デバイスを含み得ることに留意されたい。
【0010】
超伝導デバイスは、寒剤貯蔵設備によってTcを下回る動作温度に維持され得、これにより超伝導デバイスに専用の冷却システムを設けるコストおよび複雑さが低減される。
【0011】
SMESデバイスは、エネルギー発生装置によって発生する電気エネルギーの代わりに、またはそれに加えてさらに、電気エネルギーを発生させるように構成されてもよい。特に、SMESデバイスは、極低温エネルギー貯蔵システムに動作可能に接続されたある負荷へとエネルギー発生装置が電力を供給する前に、前記負荷へと電力を供給するように構成されてもよい。これは、負荷平準化などの用途に対処し、本明細書に記載のように電力応答が高いために短時間の過渡故障を平衡させるのに役立つ。いくつかの例示的な態様では、エネルギー発生装置によって発生した電気エネルギーは、SMESデバイスを充電するために使用され得る。
【0012】
SFCLは、送電網と負荷とに電気的に結合されてもよく、SFCLは、負荷に到達する送電網からの故障電流を制限するように構成され得る。同様に、STも、送電網および/または負荷に電気的に結合されてもよい。
【0013】
1つの例示的な態様では、寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成され、かつ少なくとも超伝導デバイスを内部に収容する、適切な寒剤貯蔵タンクを、寒剤貯蔵設備が備えてもよい。これに関して、超伝導システム、特に超伝導デバイスは、寒剤貯蔵タンクに組み込まれてもよいことに留意されたい。
【0014】
極低温エネルギー貯蔵システムは、以下:
記憶デバイス、
記憶デバイスに結合されたプロセッサ、および
1つまたは複数のパラメータを測定しかつそれを示すデータをプロセッサへと送信するためにプロセッサに動作可能に接続された、寒剤貯蔵タンク内に動作可能に配置された1つまたは複数のセンサであって、1つまたは複数の測定されたパラメータを許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるようにプロセッサが構成されている、1つまたは複数のセンサ
を備えてもよい。
【0015】
特に、システムは、寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の量を測定するためにプロセッサに通信可能に結合された適切なレベルセンサであって、レベルセンサによって測定された寒剤貯蔵タンク内の寒剤の量が超伝導デバイスに必要な寒剤の最小動作量/レベル/体積を下回ると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるようにプロセッサが構成されている、レベルセンサを備えてもよい。このようにして、寒剤貯蔵タンク内の寒剤は、エネルギー発生装置によって電気エネルギーを発生させるために使用され得るが、本明細書に記載の超伝導デバイスの冷却に影響を及ぼす量または程度までは使用され得ない。したがって、超伝導デバイスに必要な寒剤の最小動作量/レベル/値は、超伝導デバイスが超伝導状態で維持され、かつ/または動作するように超伝導体デバイスを適切に冷却するのに必要な寒剤の量であるということになる。
【0016】
システムは、寒剤貯蔵タンクの振動または寒剤貯蔵タンク内の振動を感知するためにプロセッサに通信可能に結合された適切な振動センサであって、振動センサによって感知された振動を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるようにプロセッサが構成されている、振動センサを備えてもよい。振動センサは、従来の圧電センサ振動センサであってもよい。超伝導デバイスは、閾値を超える振動に基づいてクエンチ事象を引き起こす可能性がある。
【0017】
システムは、寒剤貯蔵タンク内の圧力を測定するためにプロセッサに通信可能に結合された適切な圧力センサであって、圧力センサによって測定された寒剤貯蔵タンク内の圧力を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるようにプロセッサが構成されている、圧力センサを備えてもよい。寒剤貯蔵タンクは、寒剤のボイルオフのための適切な弁を備えてもよい。寒剤貯蔵タンクは、クエンチなどの過圧事象がプロセッサによって検出された場合に過剰な蒸気の発生に対処するための第2の弁をさらに備えてもよい。プロセッサは、弁を制御するように構成され得る。測定された圧力が最大圧力を超えるとプロセッサが決定した場合、プロセッサは、少なくとも、超伝導デバイスからの/超伝導デバイスへのエネルギーを切断/パージすることによって警報プロトコルを作動させるように構成されてもよい。
【0018】
システムは、寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の温度を測定するためにプロセッサに通信可能に結合された温度センサであって、温度センサによって測定された寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が所定の温度範囲から外れていると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるようにプロセッサが構成されている、温度センサを備えてもよい。システムは、貯蔵された寒剤および/または寒剤貯蔵タンクの温度、特に寒剤の温度の均一性を感知/測定するための複数の温度センサを備えてもよい。本明細書で示唆するように、寒剤が液体空気である場合、所定の温度範囲は、液体空気の凝固点、例えば58.0Kを上回るが、液体空気の沸点、例えば78.8K未満である。警報プロトコルは、測定された温度が所定の温度範囲内にない場合、必要に応じて、臨界超伝導体クエンチ事象を打ち消すために、超伝導デバイスからの/超伝導デバイスへのエネルギーを切断/パージすることを含んでもよいことに留意されたい。
【0019】
要約すると、本明細書で企図されている警報プロトコルの一部は、超伝導デバイスからの/超伝導デバイスへのエネルギーを切断/パージすること、および適切な警報デバイスを作動させるための適切な警報信号を生成することのうちの1つまたは複数を含んでもよい。適切な警報デバイスは、システムのオペレータおよび/または保守要員に警告するためのサイレン、ライトなどであってもよい。
【0020】
1つの例示的な態様では、システムは、寒剤貯蔵タンクに動作可能に接続された適切な真空ポンプであって、適切な警報プロトコルが、寒剤貯蔵タンク内の蒸気圧を低下させるべく真空ポンプを動作させ、それによって寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を低下させて温度を所定の温度範囲内にすることを含む、真空ポンプを備えてもよい。これは、温度センサによって測定された温度が、寒剤貯蔵タンク内の寒剤に対して企図される範囲から外れている、典型的にはこの範囲を上回っていることに応じて行われ得る。
【0021】
寒剤貯蔵タンク内の寒剤の均一な温度を確保するために、寒剤貯蔵タンクは、寒剤貯蔵タンク内の均一な温度を少なくとも維持するように寒剤貯蔵タンク内に位置付けられた、攪拌機などの適切な攪拌装置を備えてもよい。プロセッサは、寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度分布が均質ではないと決定したことに応じて攪拌機を動作させるように構成され得ることが理解されよう。その代わりに、またはそれに加えて、プロセッサは、寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度の均一性を確保するために、攪拌を周期的に、例えば所定の時間間隔で動作させるように構成されてもよい。
【0022】
1つの例示的な態様では、寒剤貯蔵設備は、寒剤を貯蔵するように構成された、または貯蔵する1つまたは複数の一次寒剤貯蔵タンクと、寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成され、かつ超伝導デバイスを収容する、少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンクとを備えてもよい。したがって、二次寒剤貯蔵タンクは、前述のように超伝導デバイスを格納するか、または格納するように構成された寒剤貯蔵タンクであってもよく、一次貯蔵タンクは、エネルギー発生装置によって電気エネルギーを発生させるために使用され、任意で、二次寒剤貯蔵タンクに寒剤を補充するための寒剤を貯蔵するということになる。一次寒剤貯蔵タンクと二次寒剤貯蔵タンクとは互いに、制御された流体連通状態にあってもよい。
【0023】
最後に述べた例示的な態様では、一次寒剤貯蔵タンクは、典型的には、寒剤を寒剤膨張装置に供給するが、二次寒剤貯蔵タンクは超伝導システムを収容するように構成されることに留意されたい。簡潔にするために、「一次タンク」および「一次寒剤貯蔵タンク」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。同様に、「二次タンク」および「二次寒剤貯蔵タンク」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0024】
本明細書に記載のすべての寒剤貯蔵タンクは、断熱寒剤貯蔵タンクであってもよい。
【0025】
二次貯蔵タンクは、一次貯蔵タンクから寒剤を受け取ってもよく、内部の寒剤を一次貯蔵タンクよりも低い温度に維持するように構成されてもよい。このために、システムは、一次寒剤貯蔵タンクと第2の寒剤貯蔵タンクとの間で寒剤を移動させるための適切なポンプを備えてもよい。ポンプは、二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の所定の最小動作量/レベル/体積を維持するように一次寒剤貯蔵タンクから二次寒剤貯蔵タンクへと寒剤を圧送するために、一次寒剤貯蔵タンク内に、または一次寒剤貯蔵タンクに隣接して、動作可能に位置付けられ得る。
【0026】
本明細書に記載のシステムは、二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤レベルが所定の最小動作量/レベルを下回ることを検出すると、ポンプを制御して一次寒剤貯蔵タンクから二次寒剤貯蔵タンクへと寒剤を圧送させるためにポンプに通信可能に結合された適切なプロセッサを備えてもよい。このために、二次寒剤貯蔵タンクは、二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤のレベルまたは体積を感知する適切なレベルセンサを備えてもよい。
【0027】
システムは、二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を低下させるように構成された適切な温度低下アセンブリを備えてもよい。1つの例示的な態様では、温度低下アセンブリは、好ましくは、二次寒剤貯蔵タンク内の蒸気圧を低下させるように構成された真空ポンプであって、真空ポンプの動作が二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を低下させる、真空ポンプを備えてもよい。
【0028】
1つの例示的な態様では、二次タンクは、プロセッサに動作可能に結合され、二次タンク内の寒剤の温度を感知するように構成された適切な温度センサであって、温度センサを介して二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が所望の温度範囲内にないかまたは所定の温度閾値を上回ると決定したことに応じて真空ポンプを動作させるようにプロセッサが構成されている、温度センサを備えてもよい。
【0029】
二次寒剤貯蔵タンクは、真空ポンプが動作されるときに一次寒剤貯蔵タンクから空気圧によって隔離されてもよい。これは、一次寒剤貯蔵タンクと二次寒剤貯蔵タンクとの間に設けられた流体流路内に設けられた適切な弁によって達成され得る。
【0030】
1つの例示的な態様では、一次寒剤貯蔵タンクは、複数の一次寒剤貯蔵タンクのうちの1つであってもよい。同様に、二次寒剤貯蔵タンクも、複数の二次寒剤貯蔵タンクのうちの1つであってもよい。1つの例示的な態様では、一次貯蔵タンクは、約2000リットルの寒剤の容量を有してもよい。一次寒剤貯蔵タンクと二次寒剤貯蔵タンクの一方または両方が、容器の誘導加熱を少なくとも低減するように、完全にまたは部分的に非金属材料から構築されていてもよい。
【0031】
寒剤膨張装置は、適切な熱交換器を備えてもよい。熱交換器は、寒剤を膨張させるために、周囲空気、地熱、発電所からの廃熱、および製造プラントからの廃熱のうちの1つまたは複数からの熱を使用して寒剤を加熱するように構成されてもよい。
【0032】
エネルギー発生装置は、以下:
使用時に、寒剤膨張装置からの膨張寒剤によって動かされるように構成された、タービン、および
使用時に、電気エネルギーを発生させるためにタービンによって作動されるように構成された、発電機
を備えてもよい。
【0033】
1つの例示的な態様では、システムは、空気を液化して寒剤貯蔵設備に貯蔵するように構成された空気液化装置を備えてもよい。1つの例示的な態様では、空気液化装置は、一次寒剤貯蔵タンクに貯蔵するための液化空気を供給するように構成されてもよい。
【0034】
本発明の第2の局面によれば、極低温エネルギー貯蔵システムを動作させる方法であって、以下:
寒剤を寒剤貯蔵設備に貯蔵する工程、
寒剤貯蔵設備から受け取った貯蔵寒剤を膨張させる工程、
膨張した寒剤を使用して適切なエネルギー発生装置を作動させることによって電気エネルギーを発生させる工程、
寒剤貯蔵設備内に超伝導デバイスを設ける工程、および
寒剤貯蔵設備に貯蔵された寒剤で超伝導デバイスを冷却する工程
を含む方法が提供される。
【0035】
極低温エネルギー貯蔵システムは、本明細書に記載のシステムと同様であってもよく、よって、システムに関連する説明は、本明細書に記載のそのような極低温エネルギー貯蔵システムを動作させるための方法論のいずれかの概要に準用して適用される。
【0036】
方法は、エネルギー発生装置によって発生する電気エネルギーの代わりに、またはそれに加えてさらに、電気エネルギーを発生させるようにSMESを動作させる工程を含んでもよい。方法は、使用時に、エネルギー発生装置によって発生した電気エネルギーでSMESデバイスを充電する工程をさらに含む。
【0037】
方法は、極低温エネルギー貯蔵システムに動作可能に接続されたある負荷へとエネルギー発生装置が電力を供給する前に、前記負荷へと電力を供給するようにSMESデバイスを動作させる工程を含んでもよい。
【0038】
方法は、以下:
寒剤貯蔵タンクと関連付けられる、および/または寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤と関連付けられる1つまたは複数のパラメータを測定する工程、
適切な記憶デバイスに通信可能に結合された適切なプロセッサへと、測定されたパラメータを送信する工程、ならびに
1つまたは複数の測定されたパラメータを許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させる工程
を含んでもよい。
【0039】
方法は、寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の量を測定する工程、および寒剤貯蔵タンク内の寒剤の量が、寒剤貯蔵タンクに格納された超伝導デバイスに必要な寒剤の最小動作量を下回ると決定したことに応じて適切な警報プロトコルをプロセッサによって作動させる工程を含んでもよい。
【0040】
方法は、寒剤貯蔵タンクの、または寒剤貯蔵タンク内の振動を感知または測定する工程、および感知された振動を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルをプロセッサによって作動させる工程を含んでもよい。
【0041】
方法は、寒剤貯蔵タンク内の圧力を測定する工程、および測定された圧力を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルをプロセッサによって作動させる工程を含んでもよい。
【0042】
方法は、寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の温度を測定する工程、および寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が所定の温度範囲から外れていると決定したことに応じて適切な警報プロトコルをプロセッサによって作動させる工程を含んでもよい。
【0043】
適切な警報プロトコルは、寒剤貯蔵タンク内の蒸気圧を低下させるべく、寒剤貯蔵タンクに動作可能に接続された真空ポンプを動作させ、それによって寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を低下させて温度を所定の温度範囲内にすることを含んでもよい。
【0044】
所定の温度範囲は、寒剤の沸点以下かつ寒剤の凝固点より高い温度によって制限されてもよい。
【0045】
方法は、寒剤貯蔵タンク内の均一な温度を少なくとも維持するように寒剤貯蔵タンク内の適切な攪拌装置を動作させる工程を含んでもよい。
【0046】
寒剤貯蔵設備は、以下:
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、1つまたは複数の一次寒剤貯蔵タンク、および
寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンクであって、一次寒剤貯蔵タンクと二次寒剤貯蔵タンクとが互いに、制御された流体連通状態にあり、二次寒剤貯蔵タンクが超伝導デバイスを収容し、方法が、二次寒剤貯蔵タンク内の寒剤のレベルが所定の閾値を下回ることを検出したことに応じて一次寒剤貯蔵タンクから二次寒剤貯蔵タンクへと寒剤を移動させる工程、および/または超伝導デバイスに必要な二次タンク内に必要な寒剤の最小体積まで二次寒剤タンクから一次寒剤タンクへと寒剤を移動させる工程を含む、少なくとも1つの二次寒剤貯蔵タンク
を備えてもよい。
【0047】
方法は、本明細書に記載のように二次タンクに動作可能に接続された適切な真空ポンプを動作させることによって二次極低温貯蔵タンク内の蒸気圧を低減する工程を含んでもよい。
【0048】
方法は、一次寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度を、寒剤の沸点以下に維持する工程を含んでもよい。方法は、二次寒剤貯蔵内の寒剤の温度を、寒剤の沸点未満かつ寒剤の凝固点より高い温度範囲内に維持する工程を含んでもよい。
【0049】
本発明の第3の局面によれば、寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、寒剤貯蔵設備であって、寒剤貯蔵設備に貯蔵された寒剤によって超伝導デバイスが冷却されるように寒剤貯蔵設備内に超伝導デバイスを備える、寒剤貯蔵設備が提供される。
【0050】
寒剤貯蔵設備は、本明細書に記載の寒剤貯蔵設備と実質的に同様であってもよい。
【0051】
本発明の第4の局面によれば、超伝導デバイスを冷却する方法であって、以下:
超伝導デバイスを、寒剤エネルギー貯蔵システムと関連付けられた寒剤貯蔵設備内に位置付ける工程、および
寒剤貯蔵設備に貯蔵された寒剤で超伝導デバイスを冷却する工程
を含む方法が提供される。
【0052】
本明細書で提供する本発明の一局面に関する説明は、本明細書に記載の本発明の他の局面にも準用して拡張/適用され得ることが当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の例示的な態様による極低温エネルギー貯蔵システムのハイレベル概略ブロック図である。
図2】本発明の例示的な態様による、超伝導デバイスが内部に組み込まれた寒剤貯蔵タンクを備える寒剤貯蔵設備の概略図である。
図3】本発明の例示的な態様による、一次寒剤貯蔵タンク、および超伝導デバイスが内部に組み込まれた二次寒剤貯蔵タンクを備える、寒剤貯蔵設備の別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
好適な態様の説明
本発明の以下の説明は、本発明を可能にする教示として提供される。当業者は、本発明の有益な結果を依然として達成しながら、記載の態様に多くの変更を加えることができることを認めるであろう。本発明の所望の利点の一部は、他の特徴を利用することなく本発明の特徴のうちの一部を選択することによって達成できることも明らかであろう。
【0055】
したがって、当業者は、本発明に対する修正および適合が可能であり、それらの修正および適合は、特定の状況では望ましい場合さえあり、本発明の一部であることを認めるであろう。よって、以下の説明は、本発明の原理の例示として提供され、本発明の限定ではない。
【0056】
「例えば(for example)」、「など(such as)」という語句、およびそれらの変形は、本開示の主題の非限定的な態様を説明することが理解されよう。本明細書において「1つの例示的な態様」、「別の例示的な態様」、「ある例示的な態様」、またはそれらの変形に言及する場合、それらは、その態様に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本開示の主題の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。よって、「1つの例示的な態様」、「別の例示的な態様」、「ある例示的な態様」という語句、またはそれらの変形の使用は、必ずしも同じ態様を指すとは限らない。
【0057】
特に明記しない限り、明確にするために別個の態様の文脈で説明されている本明細書に記載の主題のいくつかの特徴が、単一の態様で組み合わせて提供される場合もある。同様に、単一の態様の文脈で説明されている本明細書に開示する主題の様々な特徴が、別個にまたは任意の適切な部分組合せとして提供される場合もある。
【0058】
本明細書で使用する見出しは、構成目的のためのものにすぎず、説明または特許請求の範囲を限定するために使用されることを意味しない。簡潔にするために、「may」という語は、強制的な意味(すなわち、「しなければならない」を意味するもの)ではなく、許容的な意味(すなわち、「する可能性を有する」ことを意味するもの)として使用される。
【0059】
「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という語、ならびに「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、および「備える(comprises)」という語は、それぞれ、含む、備えるが、これらに限定されない、を意味する。さらに、本明細書で使用する場合、「結合される」という用語は、無線で、または配線方式で互いに通信し得る通信可能に結合された構成要素の場合と同様に、その接続が、永続的(例えば、溶接、鋳造、成形、彫刻)か一時的(例えば、ボルト締め、ねじ止め、接着剤を介した接着)か、直接的か間接的(すなわち、媒介を介して)か、機械的か、化学的か、光学的か、または電気的かにかかわらず、2つ以上の構成要素が互いに接続されることを指し得る。
【0060】
図面の図1を参照すると、参照符号10で全体を示す極低温エネルギー貯蔵システム(CESS)が提供されている。CESS10は、典型的には、CESS10に動作可能に接続された1つまたは複数の負荷へと電力を供給するために電気エネルギーの形態でそこから放出され得るエネルギーを貯蔵するために使用されるハイブリッドCESSである。このために、CESS10は、都市電力網などの他のエネルギー源が利用できない/オフラインになった場合に、負荷へと電気エネルギーを供給するためのバックアップ電気エネルギー発生装置として使用されてもよい。代わりに、またはそれに加えて、CESS10は、都市電力網に接続されているか否かにかかわらず、より安価なまたはより環境に優しい電気エネルギーを負荷へと供給するように構成される。このために、CESS10は、様々な電力電子部品、デバイスおよび器具(図示せず)を備えて、それらが前記負荷および/または電力網とインターフェースされることを可能にし得る。
【0061】
好適な例示的な態様では、CESS10またはその一部は、通常は失われる熱を発生する、工場などの製造/産業プロセスからの廃熱源に隣接して位置付けられる。
【0062】
CESS10は、寒剤、例えば、主に窒素からなる液体空気を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、寒剤貯蔵設備12を備える。他の極低温材料が貯蔵寒剤として使用されてもよいが、寒剤が液体空気である例示的な態様を参照するが、「寒剤」および「液体空気」という用語は、本明細書では互換的に使用される場合がある。図示していないが、CESS10は、貯蔵設備12に貯蔵されるべき空気を液化するために採用され得る適切な空気液化システムを備えてもよいし、または空気液化システムと連通してもよい。
【0063】
また、CESS10は、貯蔵寒剤を膨張させるための適切な熱交換器(図示せず)を有する寒剤膨張装置14、および使用時に、電気エネルギーを発生させるために寒剤膨張装置14からの膨張寒剤によって動力が供給されるように構成された、エネルギー発生/発生装置16も備える。図示していないが、エネルギー発生装置16は、適切なタービンおよび適切な発電機を備えてもよく、タービンは、膨張装置14からの膨張寒剤によって動かされるように構成され、タービンは、発電機を動かして従来方式で電気エネルギーを発生させる。
【0064】
CESS10、特に少なくとも寒剤膨張装置14は、本明細書に記載の廃熱源の近くに位置付けられてもよい。
【0065】
CESS10は、寒剤貯蔵設備12に貯蔵された寒剤によって超伝導デバイス18が冷却されるように寒剤貯蔵設備内に位置付けられた超伝導デバイス18をさらに備える。このようにして、超伝導デバイス18と関連付けられた専用の高価な冷却システムの必要性がなくなる。
【0066】
超伝導デバイス18は、超伝導材料を含むか、または超伝導材料から製造されたデバイスであってもよい。これに関して、超伝導デバイスは、超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)デバイス、超伝導電子機器、超伝導変圧器(ST)、および超伝導限流器(SFCL)を含む群より選択され得る。
【0067】
説明を容易にするために、SMESデバイス18の形態である超伝導デバイス18を参照する。しかしながら、本明細書で教示する原理は、他の超伝導デバイスおよび/または構成要素に準用して適用され得ることが、当業者には理解されよう。
【0068】
SMESデバイス18は、典型的には、エネルギー発生装置によって発生する電気エネルギーの代わりに、またはそれに加えて、要求に応じて電気エネルギーを貯蔵および出力するように構成される。CESSと比較して、SMESデバイス18は、典型的には、高出力、低エネルギーのデバイスであり、よってSMESデバイス18は、エネルギー発生装置16がCESS10に動作可能に接続された負荷へと電力を供給する前に、前記負荷へと電力を供給するように構成される。言い換えれば、SMESデバイス18は、エネルギー発生装置16が負荷へと電気エネルギーを供給するために始動する間に、比較的迅速に電気エネルギーを負荷へと供給するように構成される。
【0069】
SMESデバイス18は、典型的には、寒剤貯蔵設備12内に格納される。特に、図面の図2も参照すると、SMESデバイス18は、好都合には、寒剤貯蔵設備の寒剤貯蔵タンク30内に位置付けられる。本明細書で示唆するように、SMESデバイス18は、好都合には、液体空気のボイルオフを防止し、かつ/または所望のパラメータ内へのSMESデバイス18の冷却を支援するために、タンク30内の寒剤によって78.8Kを超えない温度まで冷却される。いくつかの例示的な態様では、CESS10は、寒剤貯蔵タンク30内の寒剤の温度をその凝固温度のすぐ上の温度、典型的には58Kを上回る温度までさらに低下させるための適切な真空ポンプ(図示せず)を備えてもよい。
【0070】
タンク30は、非金属材料から構築されていてもよいし、またはタンク30の大部分が、非金属材料から構築されていてもよい。さらに、タンク30は、例えば適切な熱ジャケットによって断熱されてもよく、本明細書で企図されているポート/弁を除いて封止されてもよい。1つの例示的な態様では、タンクは、液体空気寒剤を貯蔵する、または貯蔵するように構成された、2000リットルタンクであってもよく、タンクは、超伝導デバイス18を適切に冷却するために内部に貯蔵されるべき所定の最小レベルLの寒剤を有する。
【0071】
タンク30は、適切な通気口など、ならびにタンク30への液体空気寒剤の投入およびタンクからの液体空気寒剤の排出のための入口ポートおよび/または出口ポート(図示せず)を備えてもよい。
【0072】
CESS10は、好都合には、タンク30、特にタンク内に貯蔵された寒剤と関連付けられた様々なパラメータを測定および/または感知するためにタンク30内および/またはタンクの周囲に配置された1つまたは複数のセンサ24(図1)を備えるセンサ装置を備える。このために、本明細書に記載のCESS10は、適切な記憶デバイス22と、測定および/または感知されたパラメータおよび/またはパラメータを示す情報を受信するためにセンサ24とに通信可能に結合された適切なプロセッサ20を備える。
【0073】
プロセッサ20は、典型的には、本明細書に記載の所望の動作を達成するように動作可能なマイクロコントローラ、プロセッサ、グラフィックスプロセッサ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のうちの1つまたは組合せであってもよい。プロセッサ20は、本明細書に記載の動作を行うために、内部メモリまたは外部記憶デバイス22に記憶された命令の下で動作可能であってもよい。
【0074】
プロセッサ20は、典型的には、1つまたは複数の測定されたパラメータを許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように構成される。これに関して、CESS10は、寒剤貯蔵タンク30に貯蔵された寒剤の量を測定または監視するためにプロセッサ20に通信可能に結合された適切なレベルセンサ(図示せず)を備える。特に、プロセッサ20は、レベルセンサによって測定された寒剤貯蔵タンク内の寒剤のレベルが超伝導デバイス18に必要な寒剤の最小動作レベルLを下回ると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように構成される。このようにして、タンク30に貯蔵された寒剤は、装置14および装置16によって電気エネルギーを発生させるために使用され得るが、タンクに貯蔵された寒剤が超伝導デバイス18を十分に冷却する能力に影響を及ぼすことになるレベルまでタンク30に寒剤がなくなることは決してない。
【0075】
いくつかの例示的な態様では、CESS10は、寒剤貯蔵タンク30の振動または寒剤貯蔵タンク内の振動を感知するためにプロセッサ20に通信可能に結合された適切な振動センサ(図示せず)を備える。プロセッサ20は、振動センサによって感知された振動を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように構成される。このようにして、CESS10の完全性が保持され得る。
【0076】
いくつかの例示的な態様では、CESS10は、寒剤貯蔵タンク30内の圧力を測定するためにプロセッサ20に通信可能に結合された適切な圧力センサを備える。プロセッサ20は、圧力センサによって測定された寒剤貯蔵タンク内の圧力を許容できないと決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように構成される。
【0077】
CESS10は、好都合には、寒剤貯蔵タンクに貯蔵された寒剤の温度を測定するためにプロセッサ20に通信可能に結合された複数の温度センサ(図示せず)を備える。温度センサは、寒剤貯蔵タンク30内の様々な位置に配置されて、少なくともタンクに貯蔵された寒剤の均一性を測定し得る。プロセッサ20は、温度センサによって測定された寒剤貯蔵タンク内の寒剤の温度が、例えば、温度が78.8Kを超えた場合に、所定の温度範囲または設定値から外れていると決定したことに応じて適切な警報プロトコルを作動させるように構成されることが理解されよう。これに関して、タンク30内の寒剤の温度が78.8Kを超えて上昇しているとプロセッサ20が判断した場合、プロセッサ20は、寒剤貯蔵タンク30内の蒸気圧を低下させるべく、上述のように適切な真空ポンプを動作させ、それによって寒剤貯蔵タンク30内の寒剤の温度を低下させて、温度を所定の温度範囲内または78.8Kの設定値以下にするように構成される。
【0078】
警報プロトコルは、超伝導デバイス18から/超伝導デバイス18へのエネルギーを切断/パージすること、およびサイレンなどの適切な警報デバイスを作動させるための適切な警報信号を生成することのうちの1つまたは複数を含むことに留意されたい。
【0079】
1つの例示的な態様では、寒剤貯蔵タンク30は、寒剤貯蔵タンク30内の均一な温度を少なくとも維持するようにプロセッサ20によって制御可能な攪拌機(図示せず)などの適切な攪拌装置を備える。
【0080】
次に図面の図3を参照すると、本発明の例示的な態様による貯蔵設備112の別の例示的な態様が例示されている。図3に例示する貯蔵設備112は、図2を参照して上述したタンク30と同様の寒剤貯蔵タンク30を備え、よって同様の部分は同じ参照符号で参照される。しかしながら、貯蔵設備112は、タンク30と選択的に流体連通して寒剤を貯蔵するかまたは貯蔵するように構成された一次寒剤貯蔵タンク32を備え、タンク30はここでは二次タンク30と呼ばれ得る。一次タンク32は、タンク30と同様であってもよいが、内部に超伝導デバイス18を収容せず、主に装置14および装置16を動作させる目的で寒剤を貯蔵するために主に使用され、任意でタンク32内の寒剤を補充することに留意されたい。一方、タンク30は、超伝導デバイス18を収容し、かつ/または任意で、装置14および装置16が使用するための寒剤を所定のレベルLまで貯蔵するために使用される。1つの一次タンク30および1つの二次タンク32のみが例示されているが、設備112は、複数の一次タンク32、および任意で、超伝導デバイス18を内部に格納するか、または格納するように構成された複数の二次タンク30を有してもよいことが理解されよう。
【0081】
CESSは、必要に応じて、一次タンク32から二次タンク30への寒剤の流れを制御するために、タンク30とタンク32との間に配置された適切なポンプPおよび弁V1を備えてもよいことに留意されたい。1つの例示的な態様では、プロセッサ20は、例えば、プロセッサ20が、レベルセンサ、例えば静電容量式レベルセンサを介して、タンク30内の寒剤のレベルが所定の最小レベルLを下回ると決定した場合に、タンク32からタンク30へと寒剤を移動させるためにポンプPおよび弁V1を動作させるように構成される。
【0082】
上述したように、また図3に例示するように、CESS10は、適切な真空ポンプPvおよび弁V2を備え、プロセッサ20は、真空ポンプPvを動作させ、また任意で弁V2を動作させて、タンク30内の蒸気圧を低下させることによって、タンク30内の寒剤の温度を所定の温度範囲内、例えば58K<T<78Kに低下させるように構成される。
【0083】
図面の図1から図3を参照すると、使用時に、CESS10は、貯蔵設備12、112、特にタンク30、32内に78Kを下回る温度で寒剤を貯蔵する。また、CESS10は、タンク30のうちの1つにSMESデバイス18などの超伝導デバイスを収容する。
【0084】
負荷によって電力が必要とされるとき、CESS10は、膨張装置14およびエネルギー発生装置16への寒剤の放出と同時にSMES18が作動されるように動作する。しかしながら、SMESデバイス18の高出力の性質に起因して、SMESデバイス18は、エネルギー発生装置16の前に負荷へと電力を供給し、よって、負荷要求に応じて特定のシナリオにおいて装置16と関連付けられる負荷への電気エネルギー供給の遅延が実質的に減少する。いくつかの例示的な態様では、SMESデバイス18は、膨張装置14への寒剤の放出およびエネルギー発生装置16の動作によって電気エネルギーを生み出すようにCESS10が動作することなく、負荷へと電力を供給するように動作し得ることに留意されたい。
【0085】
設備112の場合、寒剤は、典型的には、一次タンク32から利用される。しかしながら、必要性が生じた場合、あるいはタンク30のみを備える貯蔵設備12の場合、寒剤は、典型的には、エネルギー発生装置16に動力を供給するためにタンク30から膨張装置14に排出される。しかしながら、プロセッサ20は、レベルセンサによってタンク30内の寒剤のレベルを監視する。タンク30内の寒剤のレベルが所定の最小レベルL以下であるとプロセッサ20が判断した場合、プロセッサ20は、ポンプPおよび弁V1を動作させてタンク30内の寒剤を補充するように構成され得る。
【0086】
さらに、プロセッサ20は、温度分布が均一であることを確保するようにタンク30内の攪拌機を制御する。しかしながら、プロセッサ20が、温度センサを介して、タンク30内の温度が均一ではない、および/または攪拌機が動作していないと決定した場合、プロセッサ20は、攪拌機が動作していないことを示すために適切な警報プロトコルを作動させる。同様に、タンク30内の圧力またはタンク30内で感知された/タンク30の振動を許容できないと適切なセンサ24を介して決定したことに応じて、警報プロトコルがプロセッサ20によって作動されてもよい。
【0087】
1つの例示的な態様では、タンク30内の寒剤の温度が寒剤凝固点と寒剤沸点との間にある設定温度値Ts(58K<Ts<78K)tを上回るとプロセッサ20が決定した場合、プロセッサ20は、タンク30内の蒸気圧を低下させて、タンク30内の寒剤の温度を低下させるように真空ポンプPvおよび任意で弁V2を動作させるように構成される。設備112の場合、真空ポンプPvは、内部の寒剤の温度を58K~78Kにするように動作され得る。
【0088】
液体空気は、適切な液体空気液化システムを介して貯蔵設備12、112に供給されてもよい。
【0089】
結果として得られる本明細書に記載のハイブリッドシステムは、超伝導デバイス/システムに必要な独立した極低温冷却システムの資本および運転コストを削減しようとするものである。真空ポンプによって寒剤貯蔵設備(タンク)上で圧送することにより、蒸気圧が低下し、結果として寒剤の温度が低下し、その結果、超伝導デバイスを収容するタンク内の超伝導デバイスの性能が向上する。
【0090】
CESSが太陽光発電(PV)や風力タービンなどの再生可能エネルギー源によって充電される場合、100%環境に優しい電源が実現される。これに関して、いくつかの例示的な態様では、CESSは再生可能エネルギー源によって充電されてもよい。
【0091】
電力システムにおける電圧および電力の変動は、様々な事象から生じる可能性があり、例えば、PVファーム上を通過する雲は、PVファームによって受け取られる太陽放射照度に影響を及ぼす可能性がある。これらの変動は、PVに直接接続された負荷に悪影響を及ぼし、例えば、(i)電気機械のトルクの変化を引き起こし、これは機械の振動および劣化をもたらし、(ii)無停電電源(UPS)では、短時間事象に対するUPSバッテリーの利用がバッテリーの寿命に影響を及ぼす。
【0092】
エネルギーが寒剤として貯蔵されるCESSは、SMESの必要な動作温度に本質的に対応することができる。このハイブリッドCESS/SMESシステムは、SMES電力応答を用いて上述したような電力変動を緩和するのに適し、例えばCESSを使用するより長い停電時間に、PVファームから生み出される電気エネルギーがないとき(夜間)に適している。
図1
図2
図3
【国際調査報告】