(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用の加熱組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20241016BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024524409
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2021126067
(87)【国際公開番号】W WO2023070259
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ザン シン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AC22
(57)【要約】
本発明はエアロゾル発生装置用の加熱組立品に関する。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層である第一の基体層を含み得る。加熱組立品は、第一の基体層上に配置される発熱体をさらに備え得る。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層であり得る第二の基体層をさらに含み得る。第二の基体層は、発熱体と第一の基体層を覆うように配置され得る。加熱組立品は、温度センサーをさらに備え得る。温度センサーは、第二の基体層上に配置され得る。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層であり得る第三の基体層をさらに含み得る。第三の基体層は、温度センサーを少なくとも部分的に覆い、かつ第二の基体層を覆うように配置され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用の加熱組立品であって、前記加熱組立品が、
第一の基体層であって、電気的に絶縁された基体層である、第一の基体層、
発熱体であって、前記第一の基体層上に配置される発熱体、
第二の基体層であって、電気的に絶縁された基体層であり、前記発熱体と前記第一の基体層を覆うように配置される、第二の基体層、
温度センサーであって、前記第二の基体層上に配置される、温度センサー、
第三の基体層であって、電気的に絶縁された基体層であり、前記温度センサーを少なくとも部分的に覆い、前記第二の基体層を覆うように配置される、第三の基体層、を含む、加熱組立品。
【請求項2】
前記発熱体が、抵抗ヒーターである、請求項1に記載の加熱組立品。
【請求項3】
前記発熱体が、加熱トラックを備え、好ましくは、前記発熱体が加熱トラックである、請求項1または2に記載の加熱組立品。
【請求項4】
前記発熱体が、前記第一の基体層上に印刷される、請求項1~3のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項5】
前記加熱組立品が、ロール化されて管になる、請求項1~4のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項6】
前記温度センサーが、二つの接点を備える、請求項1~5のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項7】
前記第三の基体層が、少なくとも二つの開口部を含む、請求項1~6のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項8】
前記二つの開口部が、前記二つの接点が前記第三の基体層によって覆われないように位置合わせされる、請求項6及び7に記載の加熱組立品。
【請求項9】
熱収縮層が、前記加熱組立品の周りに配置され、前記熱収縮層が好ましくはPEEKで作製される、請求項1~8のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項10】
以下のうち:
-第一の接着層が、前記第一の基体層と前記発熱体の間に提供される、
-第二の接着層が、前記発熱体と前記第二の基体層の間に提供される、
-第三の接着層が、前記第二の接着層と前記温度センサーの間に提供される、
-第四の接着層が、前記温度センサーと前記第三の基体層の間に提供される、の一つ以上である、請求項1~9のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項11】
前記第一の基体層、前記第二の基体層、および前記第三の基体層のうちの一つ以上が、ポリアミドフィルムを含む、請求項1~10のいずれかに記載の加熱組立品。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生物品を受容するための空洞を含み、前記加熱組立品が、前記空洞を少なくとも部分的に囲むように配置される、請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記空洞の側壁が、ステンレス鋼管で形成され、前記加熱組立品が前記ステンレス鋼管上に据え付けられる、請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
エアロゾル発生装置用の加熱組立品を製造する方法であって、前記方法が、
第一の基体層を提供する工程であって、前記第一の基体層が電気的に絶縁された基体層である、提供する工程、
前記第一の基体層上に発熱体を配置する工程、
前記発熱体と前記第一の基体層を覆う第二の基体層を配置する工程であって、前記第二の基体層が電気的に絶縁された基体層である、配置する工程、
温度センサーを前記第二の基体層上に配置する工程、
前記温度センサーを少なくとも部分的に覆い、前記第二の基体層を覆う第三の基体層を配置する工程であって、前記第三の基体層が電気的に絶縁された基体層である、配置する工程、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置用の加熱組立品に関する。本発明はさらに、エアロゾル発生装置、および加熱組立品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを生成するためのエアロゾル発生装置を提供することが公知である。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素が揮発する温度へとエアロゾル形成基体を加熱してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の空洞(例えば、加熱チャンバなど)の中へのエアロゾル発生物品の挿入のために、ロッド形状を有してもよい。加熱組立品は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へと挿入されると、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配置されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された信頼性を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましいことになる。改善された製造品質を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましい。製造中の改善された堅牢性を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図3】第三の絶縁層を含む加熱組立品を構成する層を示す。
【
図4】加熱組立品、特に電気的接続の異なる斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置のための加熱組立品が提供される。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層である第一の基体層を含み得る。加熱組立品は、第一の基体層上に配置される発熱体をさらに備え得る。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層であり得る第二の基体層をさらに含み得る。第二の基体層は、発熱体と第一の基体層を覆うように配置され得る。加熱組立品は、温度センサーをさらに備え得る。温度センサーは、第二の基体層上に配置され得る。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層であり得る第三の基体層をさらに含み得る。第三の基体層は、温度センサーを少なくとも部分的に覆い、かつ第二の基体層を覆うように配置され得る。
【0006】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置のための加熱組立品が提供される。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層である第一の基体層を含む。加熱組立品は、第一の基体層上に配置される発熱体をさらに備える。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層である第二の基体層をさらに含む。第二の基体層は、発熱体および第一の基体層を覆うように配置される。加熱組立品は、温度センサーをさらに備える。温度センサーは、第二の基体層上に配置される。加熱組立品は、電気的に絶縁された基体層である第三の基体層をさらに含み得る。第三の基体層は、温度センサーを少なくとも部分的に覆い、かつ第二の基体層を覆うように配置され得る。
【0007】
温度センサーの上部に第三の基体層を提供することによって、製造が容易になる。特に、従来は、温度センサーが第二の基体層の接着層上に配置されることは、問題であった。本明細書で議論される層のいずれかの層間の接着、特に温度センサーと第二の基体層の間の接着は、圧力と高温(ホットメルトプレス)の適用に基づく組立プロセスによって作り出され得る。プレスは温度センサー上に適用され、これは次に接着層上に配置される。問題は、接着層が第二の基体層の表面上に均等に適用され、温度センサーが限られた領域だけしか占有しないため、プレス表面が接着層と接触し、組立プロセス中に著しい困難が生じることである。
【0008】
提案された解決策は、プレス表面と接着層との間の接触を避けるように、温度センサー上に第三の基体層を適用することである。第三の基体層は、以下でより詳細に説明するように、温度センサートラックの電気接点が依然として温度センサーに接続され得るように一つ以上の開口部を有し得る。
【0009】
用語「覆っている」または「覆う」は、第一の層に面する第二の層の表面積が第一の層によって重なるように第一の層を第二の層上に配置することができるように、第一の層が第二の層と実質的に同じサイズを有することを意味し得る。第一の層が第二の層を覆うように配置される場合、第一の層の表面サイズは第二の層の表面積の少なくとも90%であり得、好ましくは、第一の層の表面サイズは第二の層の表面積の少なくとも80%であり得、より好ましくは、第一の層の表面サイズは第二の層の表面積の少なくとも70%であり得、最も好ましくは、第一の層の表面サイズは第二の層の表面積の少なくとも60%であり得る。
【0010】
発熱体は、第一の基体層と第二の基体層の間に挟まれ得る。発熱体は、第一の基体層の表面の一部分のみを覆い得る。第二の基体層が第一の基体層上および発熱体上に配置される時、第二の基体層は、好ましくは、発熱体を覆い、その上に発熱体が配置されかつ発熱体によって覆われない第一の基体層の表面の残りの部分を覆う。
【0011】
同様に、温度センサーは、第二の基体層と第三の基体層との間に挟まれ得る。温度センサーは、第二の基体層の表面の一部分のみを覆い得る。第三の基体層が第二の基体層上および温度センサー上に配置される時、第三の基体層、好ましくは、温度センサーを覆い、その上に温度センサーが配置されかつ温度センサーによって覆われない第二の基体層の表面の残りの部分を覆う。
【0012】
最終的な加熱組立品では、発熱体と温度センサーは、第二の基体層の対向表面上に配置されることが好ましい。したがって、発熱体は、第二の基体層により温度センサーから電気的に絶縁される。
【0013】
発熱体は、第一の基体層によって、および第二の基体層によって保護される。
【0014】
温度センサーは、第二の基体層によって、および第三の基体層によって保護される。
【0015】
発熱体は、抵抗ヒーターであり得る。発熱体は、加熱トラックを備え得る。発熱体は、加熱トラックであり得る。加熱トラックは、熱を生成するように構成され得る。加熱トラックは、電気抵抗加熱トラックであり得る。発熱体は、加熱トラックを電気的に接触させるための電気接点を備え得る。電気接点は、例えばはんだまたは溶接によって、任意の公知の手段によって加熱トラックに取り付けられ得る。第一の電気接点は、加熱トラックの第一の端部に取り付けられ得、第二の電気接点は、加熱トラックの第二の端部に取り付けられ得る。加熱トラックの第一の端部は、加熱トラックの近位端であり得、加熱トラックの第二の端部は、加熱トラックの遠位端であり得るか、またはその逆であり得る。
【0016】
加熱トラックは、ステンレス鋼から作製され得る。加熱トラックは、約50μmの厚さのステンレス鋼から作製され得る。加熱トラックは、好ましくは、約25μmの厚さのステンレス鋼から作製され得る。加熱トラックは、約50.8μmの厚さのインコネルから作製され得る。加熱トラックは、約25.4μmの厚さのインコネルから作製され得る。加熱トラックは、約35μmの厚さの銅から作製され得る。加熱トラックは、約25μmの厚さのコンスタンタンから作製され得る。加熱トラックは、約12μmの厚さのニッケルから作製され得る。加熱トラックは、約25μmの厚さの真鍮から作製され得る。
【0017】
発熱体、好ましくは、加熱トラックは、第一の基体層上に印刷され得る。加熱トラックは、基体層上にフォトプリントされ得る。加熱トラックは、基体層上に化学エッチングされ得る。
【0018】
「加熱トラック」という用語は、単一の加熱トラックを包含する。発熱体または加熱トラックは、第一の基体層上に印刷され得る。
【0019】
加熱トラックは、第一の基体層上に中央に配置され得る。加熱トラックは、曲がった形状を有し得る。加熱トラックは、湾曲した形状を有し得る。加熱トラックは、ジグザグ形状を有し得る。この加熱トラックは、曲がりくねった形状を有し得る。
【0020】
加熱組立品は、管状にロールされ得る。加熱トラックは、基体層が管状にロール化される前は平坦であり得る。加熱トラックまたは発熱体は、可撓性であり得る。加熱トラックまたは発熱体は、基体層が管状にロール化された時に、基体層の管形状に適合し得る。
【0021】
第三の基体層は、少なくとも二つの開口部を含み得る。温度センサーの電気接点が第三の基体層を通って接触することを可能にするために、二つの開口部が提供される。
【0022】
二つの開口部は、温度センサーの二つの接点が第三の基体層によって覆われないように位置合わせされ得る。二つの開口部は、第三の基体層の対向する端部に隣接して配置され得る。二つの開口部は、温度センサー上の電気接点の配置に対応し得る。
【0023】
二つの開口部に加え、さらなる開口部が第三の基体層に提供され得る。第三の開口部は、第三の基体層に中央に配置され得る。この第三の開口部は、この領域における第三の基体層の機械的強度を向上させ得る。特に、第三の基体層の中央の開口部は、電線がこの領域で接点が第二の基体層の下にある接着層と接触するため、温度センサーの電気接点と接触する電線の固定を強化し得る。
【0024】
温度センサーの電気接点は、任意の公知の手段によって、例示的にははんだ付けまたは溶接によって、温度センサーに取り付けられ得る。第一の電気接点は、温度センサーの第一の端部に取り付けられ得、第二の電気接点は、温度センサーの第二の端部に取り付けられ得る。温度センサーの第一の端部は温度センサーの近位端であり得、温度センサーの第二の端部は温度センサーの遠位端であり得るか、またはその逆であり得る。
【0025】
温度センサーは、温度センサートラックを備え得る。
【0026】
加熱組立品は、管、好ましくは金属管を含み、その周りが基体層によって包まれるか、または基体層に巻かれていてもよい。金属管は、ステンレス鋼管であることが好ましい。代替的に、管はセラミック管であり得る。管は、加熱組立品の管形状を画成し得る。管の外径は、基体層のロール化後の第一の基体層の内径に対応し得る。
【0027】
加熱組立品は、加熱組立品の管形状と共形する加熱チャンバーをさらに備え得る。基体層は、加熱チャンバーを形成する管に適合するように、発熱体および温度センサーとともにロール化され得る。この構成では、第一の基体層は管に面する内側層を形成し得、第三の基体層は外側層であり得る。第一の基体層は、加熱組立品の最内側層を形成する金属管に隣接し得る。
【0028】
管はステンレス鋼から作製され得る。管は、10mm~35mm、好ましくは12mm~30mm、好ましくは13mm~22mmの長さを有し得る。管は中空管であり得る。中空管は、4mm~9mm、好ましくは5mm~6mm、または6.8mm~7.5mm、好ましくは約5.35mmまたは約7.3mmの内径を有し得る。管は70μm~110μm、好ましくは80μm~100μm、好ましくは約90μmの厚さを有し得る。管は、円筒形断面を有し得る。管は、円形断面を有し得る。
【0029】
第一の基体層の長さは、管の円周以下であり得る。第一の基体層は、管の周りを完全に包み込み得る。第一の基体層が管の周りを包んだ後、管の表面が第一の基体層によって覆われるように、第一の基体層は管の周りに一度巻き付けられ得る。
【0030】
加熱チャンバーの管は、70μm~110μm、好ましくは80μm~100μm、好ましくは約90μmの厚さを有し得る。
【0031】
温度センサーは、NTC、Pt100、または好ましくはPt1000温度センサーであり得る。温度センサーは、接着層によって第二の基体層に取り付けられ得る。温度センサーは、第二の基体層上にフォトプリントされ得る。化学エッチングは、発熱体の加熱トラックおよび温度センサートラックのうちの一方または両方を形成するために利用され得る。その後、温度センサーの接点は、第三の基体層の開口部を通して温度センサートラック上に溶接され得る。
【0032】
温度センサーは、加熱組立品が巻かれる場合、温度センサーが第一の基体層の中心に対応する領域に配置され得るように、第二の基体層上に配置され得る。このように温度センサーを位置付けることによって、発熱体は、温度センサーが発熱体の最も熱い部分に隣接して位置付けられるように、温度センサーをマッピングし得る。温度センサーに隣接する最も熱い部分は、第一の基体層の中心であり得る。発熱体は、第一の基体層の中心に配置され得る。温度センサーは、第二の基体層の厚さ分だけ発熱体から距離をもって、発熱体に直接隣接して配置され得る。
【0033】
以下の追加的な層のうちの一つ以上が提供され得る:
第一の接着層が、第一の基体層と発熱体の間に提供され得る、
第二の接着層が、発熱体と第二の基体層の間に提供され得る、
第三の接着層が、第二の接着層と温度センサーの間に提供され得る、
第四の接着層が、温度センサーと第三の基体層の間に提供され得る。
【0034】
第一の接着層は、第一の基体層と発熱体の間の取り付けを容易にし得る。第一の接着層は、発熱体によって覆われていない第一の基体層の領域における第一の基体層と第二の基体層の間の取り付けをさらに容易にし得る。第二の接着層は、発熱体と第二の基体層の間の取り付けを容易にし得る。第三の接着層は、第二の基体層と温度センサーの間の取り付けを容易にし得る。第三の接着層は、温度センサーによって覆われていない第三の接着層の領域における第二の基体層と第三の基体層の間の取り付けをさらに容易にし得る。第四の接着層は、温度センサーと第三の基体層の間の取り付けを容易にし得る。
【0035】
接着層のうちの一つ以上は、2μm~10μm、好ましくは3μm~7μm、より好ましくは約5μmの厚さを有し得る。
【0036】
接着層のうちの一つ以上は、シリコン系接着層であり得る。接着層は、PEEK系接着剤およびアクリル接着剤のうちの一方または両方を含み得る。
【0037】
第一の基体層、第二の基体層、および第三の基体層のうちの一つ以上は、ポリアミドまたはポリイミドフィルムを含み得る。基体層のいずれかは、ポリイミドまたはポリアミドから作製され得る。基体層は、220℃~320℃、好ましくは240℃~300℃、好ましくは約280℃に耐えるように構成されることができる。基体層のいずれかはPyraluxから作製されてもよい。
【0038】
熱収縮層は、加熱組立品の周りに配置され得る。
【0039】
熱収縮層は、加熱組立品が管状にロール化される場合、加熱組立品の周囲に配置され得る。熱収縮層は、加熱された時に収縮するように構成され得る。熱収縮層は、加熱組立品を一緒にしっかりと保持しうる。熱収縮層は、加熱組立品に均一な内向きの圧力を加えるように構成され得る。熱収縮層は、管と第一の基体層の間、および第二の基体層と第三の基体層の間、のうちの一方または両方の接触を改善し得る。熱収縮層は、加熱組立品のほとんどまたはすべての構成要素を一緒にしっかりと保持し得る。熱収縮層は、本明細書に記載のグルー層または接着層の代わりに用いられ得る。代替的に、熱収縮層は、本明細書に記載のグルー層または接着層に追加して用いられ得る。
【0040】
熱収縮層の厚さは、100μm~300μm、好ましくは約180μmであり得る。
【0041】
熱収縮層は、PEEKで作製され得る。熱収縮層は、テフロンおよびPTFEのうちの一つ以上から作製されるか、またはそれらを含み得る。
【0042】
基体層のうちの一つ以上は、10μm~50μm、好ましくは20μm~30μm、より好ましくは約25μmの厚さを有し得る。
【0043】
発熱体は、好ましくはステンレス鋼から作製される場合、20μm~60μm、好ましくは30μm~50μm、より好ましくは約40μmの厚さを有し得る。加熱トラックは、好ましくはステンレス鋼から作製される場合、20μm~60μm、好ましくは30μm~50μm、より好ましくは約40μmの厚さを有し得る。
【0044】
熱収縮層を包囲して、断熱層が提供され得る。断熱層は、エアロゲルで作製されることが好ましい。
【0045】
本発明はさらに、本明細書に記載の加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置に関する。
【0046】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受容するための空洞を含み得る。加熱組立品は、空洞を少なくとも部分的に取り囲んで配置され得る。
【0047】
空洞の側壁は、本明細書に記載の管、好ましくはステンレス鋼管で形成され得る。加熱組立品はステンレス鋼管上に取り付けられるか、または管は加熱組立品の一部であり得、エアロゾル発生装置のハウジングまたは内側フレーム内に取り付けられ得る。
【0048】
本発明はさらに、エアロゾル発生装置用の加熱組立品を製造する方法に関し、方法は、
第一の基体層を提供する工程であって、第一の基体層が電気的に絶縁された基体層である、提供する工程、
第一の基体層上に発熱体を配置する工程、
発熱体と第一の基体層を覆う第二の基体層を配置する工程であって、第二の基体層が電気的に絶縁された基体層である、配置する工程、
温度センサーを第二の基体層上に配置する工程、
温度センサーを少なくとも部分的に覆い、第二の基体層を覆う第三の基体層を配置する工程であって、第三の基体層が電気的に絶縁された基体層である、配置する工程、の工程のうちの一つ以上を含み得る。
【0049】
本発明はさらに、エアロゾル発生装置用の加熱組立品を製造する方法に関し、方法は、
第一の基体層を提供する工程であって、第一の基体層が電気的に絶縁された基体層である、提供する工程、
第一の基体層上に発熱体を配置する工程、
発熱体と第一の基体層を覆う第二の基体層を配置する工程であって、第二の基体層が電気的に絶縁された基体層である、配置する工程、
温度センサーを第二の基体層上に配置する工程、
温度センサーを少なくとも部分的に覆い、第二の基体層を覆う第三の基体層を配置する工程であって、第三の基体層が電気的に絶縁された基体層である、配置する工程、の工程を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中にエアロゾル発生装置を通って空気が流れる方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の一部の相対的な位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生装置は近位端を備え、使用時にエアロゾルは近位端を通って装置から出る。エアロゾル発生装置の近位端はまた、口側端または下流端と呼ばれてもよい。口側端は遠位端の下流である。エアロゾル発生物品の遠位端はまた、上流端と称され得る。エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の一部は、エアロゾル発生装置の気流経路に対するこれらの相対的位置に基づいて、互いの上流または下流にあるものとして説明され得る。
【0051】
本開示の全ての態様で、発熱体は電気抵抗性の材料を含み得る。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。
【0052】
記載されるように、本開示の態様のいずれにおいても、発熱体は、外部発熱体を備えてもよく、ここで、「外部」は、エアロゾル形成基体を指す。外部発熱体は、任意の適切な形態をとりうる。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基板上の一つ以上の可撓性の加熱箔または加熱トラックの形態を取ってもよい。誘電性基板は基体層である。可撓性の加熱箔または加熱トラックは、加熱チャンバーの周辺部に適合するように形作られうる。代替的に、外部発熱体は、金属のグリッド、可撓性プリント回路基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体層上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と抵抗率の関係が規定された金属を使用して形成され得る。このような例示的な装置では、金属は、第一の基体層と第二の基体層の間のトラックとして形成され得る。このように形成された外部発熱体は、動作中、外部発熱体の加熱と温度監視の両方に使用され得る。
【0053】
発熱体は、有利なことに、伝導の手段によってエアロゾル形成基体を加熱する。代替的に、内部発熱体または外部発熱体のいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導されてもよい。
【0054】
動作中、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置内に完全に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生装置のマウスピースを吸煙してもよい。別の方法として、動作中、エアロゾル形成基体を含有する喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。その場合、ユーザーは喫煙物品を直接吸煙してもよい。
【0055】
発熱体は、誘導発熱体として構成されてもよい。誘導発熱体は、誘導コイルおよびサセプタを備えてもよい。概して、サセプタは、交番磁場によって貫通された時に熱を発生する能力を有する材料である。本発明によると、サセプタは導電性、または磁性、または導電性と磁性の両方であってもよい。一つまたは幾つかの誘導コイルによって発生された交番磁場は、サセプタを加熱し、これはその後、エアロゾルが形成されるように、熱をエアロゾル形成基体に伝達する。熱伝達は主に、熱の伝導によってもよい。こうした熱伝達は、サセプタがエアロゾル形成基体と密接な熱的接触状態にある場合に、最も良好である。誘導発熱体が採用される場合、誘導発熱体は、本明細書に記載の通りの外部ヒーターとして構成されてもよい。誘導発熱体が外部発熱体として構成される場合、サセプタ要素は、加熱チャンバーを少なくとも部分的に包囲する円筒状サセプタとして構成されることが好ましい。本明細書に記載される加熱トラックは、サセプタとして構成され得る。サセプタは、第一の基体層と第二の基体層の間に配置され得る。基体層の第二の部分は、誘導コイルによって囲まれ得る。サセプタならびに誘導コイルは、加熱組立品の一部であり得る。
【0056】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、発熱体および加熱組立品の一つまたは両方に電力を供給するように構成された電力供給源を備える。電力供給源は電源を備えることが好ましい。電源はリチウムイオン電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。例えば、電源はおおよそ六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の回数の吸煙、または加熱組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有し得る。
【0057】
エアロゾル発生装置は、制御電子機器を備え得る。制御電子機器は、マイクロコントローラーを備え得る。マイクロコントローラーはプログラム可能なマイクロコントローラーであることが好ましい。電気回路はさらなる電子構成要素を含んでもよい。電気回路は加熱組立品への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、加熱組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙するごとに)供給されてもよい。電力は、電流のパルスの形態で加熱組立品に供給され得る。
【0058】
制御電子機器は、プリント回路基板を含み得る。制御電子機器は、プリント回路基板として構成され得る。
【0059】
温度センサーは、制御電子機器と電気的に接続され得る。温度センサーと制御電子機器の間の電気的接続の長さは、温度センサーと制御電子機器の間の距離よりも長くてもよい。これにより、エアロゾル発生装置の動作中の接点の熱膨張に起因する、温度センサーと制御電子機器との間の電気接点に及ぼす有害な影響を防止する有益な効果を有すことができる。電気的接続は、電線として構成されることが好ましい。
【0060】
同様に、発熱体と制御電子機器の間の電気的接続の長さは、発熱体と制御電子機器の間の距離よりも長くてもよい。これにより、エアロゾル発生装置の動作中の接点の熱膨張に起因する、発熱体と制御電子機器との間の電気接点に及ぼす有害な影響を防止する有益な効果を有すことができる。電気的接続は、電線として構成されることが好ましい。
【0061】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出され得る。加熱または燃焼の代替として、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出され得る。エアロゾル形成基体は固体または液体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含み得る。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であり得る。
【0062】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨て式であり得る。
【0063】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用し得る。一部の実施例では、エアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体を加熱して、基体からの揮発性化合物の放出を容易にし得る。電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するための、電気ヒーターなどのアトマイザーを備え得る。
【0064】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体が、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0065】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0066】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0067】
図1は、加熱組立品10を示す。加熱組立品10は、ステンレス鋼管12を備える。ステンレス鋼管12は、加熱組立品10の内側層を形成する。ステンレス鋼管12は、管状である。ステンレス鋼管12は、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を加熱チャンバー14内に定置し、エアロゾル形成基体を加熱し、吸入可能なエアロゾルを作り出すことができるように、加熱チャンバー14を形成する。
【0068】
図1は、第一の基体層16をさらに示す。第一の基体層16の上に、加熱トラックの形態の発熱体18が配置される。発熱体18の電気ヒーター接点20もまた、
図1に示される。第一の基体層16上に、第一の接着層22が、第一の基体層16と発熱体18の間の取り付けのために配置される。加えて、発熱体18で覆われていない第一の基体層16の表面積は、第一の接着層22を介して第二の基体層24に取り付けられ得る。
【0069】
図1は、第二の基体層24をさらに示す。第二の基体層24上に、第二の接着層26が配置される。第二の接着層26は、第二の基体層24と温度センサー28の間の取り付けを可能にする機能を有する。第二の接着層26は、第二の基体層24と温度センサー28のセンサー接点30の間の取り付けをさらに容易にする。最後に、第二の接着層26は、第二の基体層24と第三の基体層38の間の取り付けを容易にする。第三の基体層38は、
図3を参照して以下でより詳細に説明するように、温度センサー28の上に配置される。第三の基体層38は、
図1では図示されていない。最後に、熱収縮層32が、加熱組立品10の上に位置付けられる。熱収縮層32の加熱は、加熱組立品10のすべての構成要素の確実な保持を容易にする。
【0070】
図2は、加熱組立品10の層をより詳細に示す。内側層はステンレス鋼管12によって形成される。ステンレス鋼管12を第一の基体層16と接続するために、管の接着層34が利用される。次の層として、発熱体18が、第一の接着層22を介して第一の基体層16上に配置される。発熱体18と第二の基体層24の間に、ヒーター接着層36が配置される。最後に、温度センサー28は、第二の接着層26を介して第二の基体層24上に配置される。
【0071】
【0072】
図3は、センサー接着層40を介した温度センサー28の上の第三の基体層38の追加的な定置を示す。第三の基体層38は、センサー接点30が第三の基体層38を通して接触させることができるように、少なくとも二つの開口部42が提供される。
図3は、すべての層の好ましい厚さをさらに示す。
【0073】
図4は、加熱組立品10が管状にロール化される前の状態を示す、上部から見た加熱組立品10の異なる視点を示す。
【0074】
発熱体18の加熱トラックを、
図4に図示する。発熱体18への電気エネルギーの供給を可能にするために、二つのヒーター接点20が提供される。さらに、温度センサー28を電気的に接触させるために、二つのセンサー接点30が提供される。第三の基体層38の開口部が
図4に示され、センサー接点30を介して温度センサー28と接触することを可能にする。さらに、
図4は、接点がこの開口部を通してセンサー接着層40と接触することができるため、温度センサー28の接続の機械的強度を向上させるために、第三の基体層38の中央の第三の開口部を示す。
【国際調査報告】