(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】音声キャプチャ方法、マイクロフォン、および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 23/00 20060101AFI20241016BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20241016BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04R23/00 320
H04R31/00 Z
H04R3/00 320
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524464
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2022126904
(87)【国際公開番号】W WO2023071960
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111276854.9
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】阮 盛杰
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼ 斯克
(72)【発明者】
【氏名】黄 林星
【テーマコード(参考)】
5D021
5D220
【Fターム(参考)】
5D021DD04
5D220BA30
5D220BB01
(57)【要約】
本出願は、マイクロフォンに適用される音声キャプチャ方法を提供する。マイクロフォンは、レーザ自己混合装置および振動板装置を備え、振動板装置は、音声振動に応答するように構成された膜を備え、レーザ自己混合装置および振動板装置は、膜の振動を検出するように別々に構成される。本方法では、レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号が取得され、振動板装置を使用して第2の電圧信号が同時に取得される。第1の電圧信号が予め設定された閾値以下である場合、第1の電圧信号がオーディオ信号に変換される、または、第1の電圧信号が予め設定された閾値より大きい場合、第2の電圧信号がオーディオ信号に変換される。本出願の方法によれば、オーディオ信号は、2つの異なる方式で収集されてもよく、その結果、2つの信号間の切り替えは、予め設定された閾値を使用して実現され、より一致した信号が選択され、オーディオ信号に変換される。これにより、オーディオ信号の品質を保証することができる。本出願は、マイクロフォンおよび電子デバイスにさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォンに適用される音声キャプチャ方法であって、前記マイクロフォンは、レーザ自己混合装置および振動板装置を備え、前記振動板装置は、膜を備え、前記膜は、音声振動に応答するように構成され、前記レーザ自己混合装置および前記振動板装置は、前記膜の振動を検出するように別々に構成され、
前記方法は、
前記レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号を取得し、前記振動板装置を使用して第2の電圧信号を同時に取得するステップと、
前記第1の電圧信号が予め設定された閾値以下である場合、前記第1の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップ、または、第1の電圧信号が前記予め設定された閾値より大きい場合、第2の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップと
を含む、音声キャプチャ方法。
【請求項2】
前記レーザ自己混合装置は、送信機および受信機を備え、前記レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号を取得する前記ステップは、
前記膜に向けてレーザ光を出射するために前記送信機を制御するステップと、
前記受信機を使用して、前記膜によって反射されたレーザ光を受信し、第1の電流信号を形成するステップと、
前記第1の電流信号を前記第1の電圧信号に変調するステップと
を含む、請求項1に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項3】
前記レーザ自己混合装置は、トランスインピーダンスアンプおよびオペアンプをさらに備え、
前記第1の電流信号を前記第1の電圧信号に変調する前記ステップは、
前記トランスインピーダンスアンプを使用して前記第1の電流信号を第1の変調電圧信号に変換するステップと、
前記オペアンプを使用して前記第1の変調電圧信号を増幅するステップと、
前記第1の電圧信号を形成するために、増幅された第1の変調電圧信号に対してフィルタリングを行うステップと
を含む、請求項2に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項4】
前記振動板装置は、振動板チップを備え、前記振動板装置を使用して第2の電圧信号を取得する前記ステップは、
前記振動板チップを使用して、前記膜の変位によって形成された歪み信号を収集するステップと、
前記歪み信号を前記第2の電圧信号に変換するステップと
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項5】
前記第1の電圧信号に基づいて制御信号を形成し、前記制御信号を前記送信機に出力するステップであって、前記制御信号は、前記膜に向けて出射される前記レーザ光の波長を調整するために使用される、ステップ
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項6】
前記膜に向けて出射される前記レーザ光の波長を調整するために、前記第1の電圧信号に基づいて制御信号を形成し、前記制御信号を前記送信機に出力する前記ステップは、
前記制御信号を形成するために、前記第1の電圧信号に基づく計算によって前記レーザ光の最適動作波長を取得するステップと、
前記膜に向けて出射される前記レーザ光の前記波長を制御するために、前記制御信号に基づいて前記送信機の動作電流の大きさを制御するステップと
を含む、請求項5に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項7】
前記レーザ自己混合装置のフィードバック強度Cが1未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項8】
電子デバイスであって、マイクロフォンを備え、前記マイクロフォンは、請求項1から7のいずれか一項に記載の音声キャプチャ方法を使用して収音を行う、電子デバイス。
【請求項9】
基板と、保護カバーと、レーザ自己混合装置と、振動板装置と、処理部とを備え、
前記保護カバーおよび前記処理部は、共に前記基板に固定され、前記保護カバーおよび前記基板は、筐体を介して内側キャビティを形成し、前記レーザ自己混合装置および前記振動板装置は、前記内側キャビティ内に固定され、それぞれ前記処理部に通信可能に接続され、
前記振動板装置は、膜およびバックキャビティを備え、前記バックキャビティは、前記基板に固定され、前記膜は、前記バックキャビティの、前記基板とは反対側に位置し、前記膜および前記バックキャビティは、前記基板上の筐体を介して収音キャビティを形成し、
前記レーザ自己混合装置は、送信機および受信機を備え、前記送信機および前記受信機は、共に前記収音キャビティ内に収容され、前記基板に固定され、前記送信機は、前記膜に向けてレーザ光を出射するように構成され、前記受信機は、前記膜によって反射されたレーザ光を受信するように構成され、
前記基板には、複数の収音孔がさらに設けられ、前記収音キャビティは、前記複数の収音孔を介して外部と連通している、
マイクロフォン。
【請求項10】
前記膜は、反射部を備え、前記反射部は、前記膜の、前記基板に面する表面上に位置し、前記送信機から出射される前記レーザ光は、前記反射部で反射された後に前記受信機で受信される、請求項9に記載のマイクロフォン。
【請求項11】
前記反射部は、前記膜の幾何学的中心に位置し、前記基板上の前記送信機および前記受信機は、前記基板上の前記反射部の投影領域内に位置する、請求項10に記載のマイクロフォン。
【請求項12】
前記振動板装置は、振動板チップを備え、前記振動板チップは、前記膜の振動を検出し、第2の電圧信号を形成し、前記第2の電圧信号を前記処理部に伝送するように構成される、請求項9から11のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【請求項13】
前記膜は、圧電膜または圧電抵抗膜であり、前記振動板チップは、対応して圧電振動板チップまたは圧電抵抗振動板チップである、請求項12に記載のマイクロフォン。
【請求項14】
前記膜の厚みDは、0.1um≦D≦1umの条件を満たす、請求項9から13のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【請求項15】
前記反射部と前記送信機との間の距離Hは、20um≦H≦100umの条件を満たす、請求項9から14のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【請求項16】
請求項8から14のいずれか一項に記載のマイクロフォンを備え、前記マイクロフォンは、オーディオ信号を収集するように構成される、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月29日に中国国家知識産権局に提出された「音声キャプチャ方法、マイクロフォン、および電子デバイス」と題する中国特許出願第202111276854.9号の優先権を主張するものであり、同特許出願は参照によりその全体が本書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、電子デバイスの分野に関し、特に音声キャプチャ方法、マイクロフォン、および音声キャプチャ方法を使用するかまたはマイクロフォンを備える電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電子デバイスが収音のためにマイクロフォンを使用する複数のシナリオ、例えば、通話、ビデオ通話、音声アシスタント、リモート会議、大規模ライブストリーミング、およびオンライン授業があり、それらの全てにおいてマイクロフォンは、オーディオ信号を抽出する必要がある。既存のマイクロフォンの信号対雑音比は、通常、70dBを超えない。しかしながら、使用要件が継続的に高くなるにつれて、いくつかのシナリオでは、マイクロフォンの信号対雑音比は、80dB以上に増加される必要がある。その結果、既存のマイクロフォンが性能要件を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、マイクロフォンの収音信号対雑音比を改善するための音声キャプチャ方法を提供する。本出願は、マイクロフォンおよび電子デバイスにさらに関する。具体的には、以下の技術的解決策が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本出願は、マイクロフォンに適用される音声キャプチャ方法を提供し、マイクロフォンは、レーザ自己混合装置および振動板装置を備え、振動板装置は、膜を備え、膜は、音声振動に応答するように構成され、レーザ自己混合装置および振動板装置は、膜の振動を検出するように別々に構成される。前記方法は、
レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号を取得し、振動板装置を使用して第2の電圧信号を同時に取得するステップと、
第1の電圧信号が予め設定された閾値以下である場合、第1の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップ、または、第1の電圧信号が予め設定された閾値より大きい場合、第2の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップと
を含む。
【0006】
本出願における音声キャプチャ方法は、レーザ自己混合装置および振動板装置の両方を備えるマイクロフォンに対応する。第1の電圧信号は、レーザ自己混合装置を使用して取得されてもよく、第2の電圧信号は、振動板装置を使用して取得されてもよい。第1の電圧信号および第2の電圧信号は、外部音声振動に対する膜の応答に基づいて、それぞれ、レーザ自己混合装置および振動板装置によって取得される信号である。次いで、第1の電圧信号をオーディオ信号に変換するか、または第2の電圧信号をオーディオ信号に変換するかを選択するために、第1の電圧信号が予め設定された閾値と比較される。
【0007】
レーザ自己混合装置は、音声振動を検出する感度が比較的高く、低い音圧の音声振動に応答することができる。その結果、本出願における音声キャプチャ方法の応答範囲および信号対雑音比は増加される。加えて、振動板装置の音響過負荷ポイントは、比較的高い。振動板装置が比較的高い音圧の振動のシナリオで使用される場合、より良好な音声キャプチャ効果が提供され得る。したがって、音声キャプチャ方法によれば、予め設定された閾値が設定され、その結果、レーザ自己混合装置および振動板装置は、本出願における音声キャプチャ方法の収音効果を保証するために、互いに補完し、比較的望ましいそれぞれの動作シナリオでオーディオ信号を収集することができる。
【0008】
可能な実施態様では、レーザ自己混合装置は、送信機および受信機を備え、レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号を取得するステップは、
膜に向けてレーザ光を出射するために送信機を制御するステップと、
受信機を使用して、膜のレーザ光を受信し、第1の電流信号を形成するステップと、
第1の電流信号を第1の電圧信号に変調するステップと
を含む。
【0009】
本実施態様では、レーザ自己混合装置は、第1の電流信号を形成するために、膜に向けてレーザ光を出射し、膜によって行われる反射によって形成されたレーザ光を受信する。膜によって反射されたレーザ光は、膜の振動情報を搬送するために、バックキャビティ内のレーザ光の一部との自己混合干渉効果をさらに形成してもよく、その結果、第1の電流信号が変換された第1の電圧信号も振動情報を搬送することができる。
【0010】
可能な実施態様では、レーザ自己混合装置は、トランスインピーダンスアンプおよびオペアンプをさらに備え、第1の電流信号を第1の電圧信号に変調するステップは、
トランスインピーダンスアンプを使用して第1の電流信号を第1の変調電圧信号に変換するステップと、
オペアンプを使用して第1の変調電圧信号を増幅するステップと、
第1の電圧信号を形成するために、増幅された第1の変調電圧信号に対してフィルタリングを行うステップと
を含む。
【0011】
本実施態様では、第1の電流信号が第1の変調電圧信号に変換された後、第1の変調電圧信号は、高周波、中周波、および低周波の振動情報を含む。したがって、第1の変調電圧信号に対してフィルタリングが行われ、その結果、不要な高周波および低周波の振動情報が除去されることができる。加えて、第1の変調電圧信号が増幅され、その結果、第1の電圧信号の強度は、増加されることができる。これにより、その後のオーディオ信号の変換が容易になる。
【0012】
可能な実施態様では、振動板装置には、振動板チップが設けられ、振動板装置を使用して第2の電圧信号を取得するステップは、
振動板チップを使用して、膜の変位によって形成された歪み信号を収集するステップと、
歪み信号を第2の電圧信号に変換するステップと
を含む。
【0013】
本実施態様では、振動板装置は、振動板チップを使用して膜の振動を感知し、次に膜の変位を歪み信号に変換し、歪み信号に基づいて第2の電圧信号を形成する。
【0014】
可能な実施態様では、第1の電圧信号または第2の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップは、
第1の電圧信号または第2の電圧信号をデジタル信号フォーマットに変換するステップと、
オーディオ信号を取得するために、デジタル信号フォーマットに変換された第1の電圧信号または第2の電圧信号に対してアルゴリズム処理を行うステップと
を含む。
【0015】
本実施態様では、処理部によって取得される第1の電圧信号および第2の電圧信号は、それぞれアナログ信号である。第1の電圧信号または第2の電圧信号のオーディオ信号への処理中、デジタルフォーマットの信号を取得し、デジタルフォーマットの信号に対してアルゴリズム処理を行うために、アナログ信号に対して最初にデジタル変換が行われる必要がある。
【0016】
可能な実施態様では、前記方法は、
第1の電圧信号に基づいて制御信号を形成し、制御信号を前記送信機に出力するステップであって、制御信号は、膜に向けて出射されるレーザ光の波長を調整するために使用される、ステップ
をさらに含む。
【0017】
本実施態様では、外部音声振動が変化し、レーザ自己混合装置が第1の電圧信号を収集する過程において、レーザ自己混合装置の最適動作点は、それに応じて変化してもよい。レーザ自己混合装置の最適動作点に対応する波長は、計算によって取得されてもよい。したがって、膜に向けて、送信機によって出射されるレーザ光の波長は、レーザ自己混合装置が常に最適動作点で第1の電圧信号を収集することを保証するために、対応して調整される。
【0018】
可能な実施態様では、レーザ自己混合装置の最適動作点に対応する波長は、位相同期ループアルゴリズムに基づく計算によって取得される。
【0019】
可能な実施態様では、膜に向けて出射されるレーザ光の波長を調整するために、第1の電圧信号に基づいて制御信号を形成し、制御信号を送信機に出力するステップは、
制御信号を形成するために、第1の電圧信号に基づく計算によってレーザ光の最適動作波長を取得するステップと、
膜に向けて出射されるレーザ光の波長を制御するために、制御信号に基づいて送信機の動作電流の大きさを制御するステップと
を含む。
【0020】
可能な実施態様では、制御信号を形成するために、第1の電圧信号に基づく計算によってレーザ光の最適動作波長を取得するステップは、
第1の電圧信号をアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するステップと、
制御信号を形成するために、デジタルフォーマットの第1の電圧信号に基づく計算によってレーザ光の最適な動作波長を取得するステップと
を含む。
【0021】
可能な実施態様では、膜に向けて出射されるレーザ光の波長を制御するために、制御信号に基づいて送信機の動作電流の大きさを制御するステップは、
制御信号をデジタルフォーマットからアナログフォーマットに変換するステップと、
送信機によって膜に向けて出射されるレーザ光の波長を制御するために、アナログフォーマットの制御信号に基づいて送信機の動作電流の大きさを制御するステップと
を含む。
【0022】
本実施態様では、レーザ自己混合装置の最適動作点は、デジタル信号フォーマットの第1の電圧信号に基づいて計算される。したがって、計算前にアナログフォーマットの第1の電圧信号に対してデジタル変換が行われる必要がある。次いで、最適動作点におけるレーザ自己混合装置のレーザ光の最適動作波長は、位相同期ループアルゴリズム等に基づく計算によって取得されてもよい。次に、送信機の動作電流の大きさは、レーザ光の波長を制御するために制御され、その結果、送信機によって膜に出射されるレーザ光が調整される。
【0023】
可能な実施態様では、レーザ自己混合装置のフィードバック強度Cが1未満である。
【0024】
本実施態様では、レーザ自己混合装置のフィードバック強度Cは、1未満に制御される。これにより、受信機によって受信されるレーザ光の位相変化やノイズ変動を回避することができ、それによって、受信機によって受信されるレーザ光の品質を保証する。
【0025】
可能な実施態様では、予め設定された閾値は、0.1Vである。
【0026】
可能な実施態様では、予め設定された閾値は、94dBから100dBに対応するオーディオ信号の電圧値である。
【0027】
上記の2つの実施態様では、予め設定された閾値は、0.1Vに設定されてもよく、または94dBから100dBに対応するオーディオ信号の電圧値に設定されてもよい。第1の電圧信号が予め設定された閾値に等しい場合、レーザ自己混合装置の音声感知能力の感度は、比較的高く、レーザ自己混合装置は、低い音圧の遠方の音声振動を正確にキャプチャすることができる。第1の電圧信号が予め設定された閾値よりも大きい場合、レーザ自己混合装置の音声感知能力は、ノイズの影響により損なわれる。この場合、振動板装置は、より適切に音声キャプチャを完了することができる。
【0028】
第2の態様によれば、本出願は、電子デバイスを提供し、電子デバイスは、マイクロフォンを備え、マイクロフォンは、本出願の第1の態様による音声キャプチャ方法を使用して収音を行う。
【0029】
本出願の第2の態様による電子デバイスは、本出願の第1の態様による音声キャプチャ方法を使用して収音を行うので、電子デバイスもまた、2つの異なる方式でオーディオ信号を収集し、予め設定された閾値を使用してオーディオ信号の品質を保証することが理解されよう。
【0030】
第3の態様によれば、本出願は、基板と、保護カバーと、レーザ自己混合装置と、振動板装置と、処理部とを備えるマイクロフォンを提供する。保護カバーおよび処理部は、共に基板に固定され、保護カバーおよび基板は、筐体を介して内側キャビティを形成し、レーザ自己混合装置および振動板装置は、内側キャビティ内に固定され、それぞれ処理部に通信可能に接続される。振動板装置は、膜およびバックキャビティを備え、バックキャビティは、基板に固定され、膜は、バックキャビティの、基板とは反対側に位置し、膜およびバックキャビティは、基板上の筐体を介して収音キャビティを形成する。レーザ自己混合装置は、送信機および受信機を備え、送信機および受信機は、共に収音キャビティ内に収容され、基板に固定され、送信機は、膜に向けてレーザ光を出射するように構成され、受信機は、膜によって反射されたレーザ光を受信するように構成される。基板には、複数の収音孔がさらに設けられ、収音キャビティは、複数の収音孔を介して外部と連通している。
【0031】
本出願の第2の態様によるマイクロフォンでは、保護カバーおよび基板は、レーザ自己混合装置および振動板装置を収容し、レーザ自己混合装置および振動板装置を保護するために、筐体を介して内側キャビティを形成する。振動板装置は、膜およびバックキャビティを使用して、筐体を介して基板と共に内側キャビティ内に収音キャビティをさらに形成する。基板には、収音孔がさらに設けられている。外部音声振動は、収音孔を通って収音キャビティに入り、膜を振動させてもよい。振動板装置は、膜の振動を識別し、第2の電圧信号を形成してもよい。次いで、レーザ自己混合装置は、収音キャビティ内に収容される。レーザ光を膜に向けて出射することにより、レーザ自己混合装置は、膜およびバックキャビティによって反射されたレーザ光を共に受信し、感知によって第1の電圧信号を形成してもよい。
【0032】
レーザ自己混合装置および振動板装置は、共に本出願の第3の態様によるマイクロフォンに配置され、その結果、第1の態様による音声キャプチャ方法は、本出願の第3の態様によるマイクロフォンに適用され、実現され得ることが理解されよう。具体的には、本出願におけるマイクロフォンは、レーザ自己混合装置および振動板装置をそれぞれ使用して第1の電圧信号および第2の電圧信号を取得し、予め設定された閾値を使用してオーディオ信号を変換してもよく、その結果、レーザ自己混合装置および振動板装置は、本出願におけるマイクロフォンの収音効果を保証するために、互いに補完し、比較的望ましいそれぞれの動作シナリオでオーディオ信号を収集することができる。
【0033】
可能な実施態様では、膜は、反射部を備え、反射部は、膜の、基板に面する表面上に位置し、送信機によって出射されるレーザ光は、反射部によって反射された後に受信機によって受信される。
【0034】
本実施態様では、反射部は、膜の、基板に面する表面上に配置され、その結果、受信機が反射レーザ光を効果的に受信することを保証するために、送信機によって出射されるレーザ光をより適切に反射させることができる。
【0035】
可能な実施態様では、反射部は、膜の幾何学的中心に位置し、基板上の送信機および受信機は、基板上の反射部の投影領域内に位置する。
【0036】
本実施態様では、膜の幾何学的中心は、膜の領域であり、振幅が最大である領域である。反射部、送信機、および受信機は、いずれも膜の幾何学的中心に対応して配置され、その結果、反射されたレーザ光の自己混合効率を改善させることができる。これは、振動情報を抽出するのに役立つ。
【0037】
可能な実施態様では、反射部と送信機との間の距離Hは、20um≦H≦100umの条件を満たす。
【0038】
本実施態様では、反射部と送信機との間の距離が制限され、その結果、レーザ光の反射経路が制御され、レーザ光の自己混合効率を保証することができる。
【0039】
可能な実施態様では、振動板装置は、振動板チップを備え、振動板チップは、膜の振動を検出し、第2の電圧信号を形成し、第2の電圧信号を処理部に伝送するように構成される。
【0040】
本実施態様では、振動板チップは、膜の変位を歪み信号に変換し、最終的に第2の電圧信号を形成し、第2の電圧信号を処理部に伝送してもよい。
【0041】
可能な実施態様では、膜は、圧電振動板または圧電抵抗振動板であり、振動板チップは、圧電振動板チップまたは圧電抵抗振動板チップである。
【0042】
本実施態様では、振動板装置は、圧電抵抗振動板装置または圧電振動板装置によって実現されてもよく、振動板チップは、それに対応して圧電抵抗振動板チップまたは圧電振動板チップであり、その結果、第2の電圧信号の確実な収集が実現される。
【0043】
可能な実施態様では、膜の厚さDは、0.1um≦D≦1umの条件を満たす。
【0044】
本実施態様では、膜の厚さDが制御され、その結果、外部音声に対する膜の対応する能力を保証することができる。
【0045】
可能な実施態様では、膜にはバリア層が設けられ、バリア層は、膜の、基板に面する側に位置し、バックキャビティは、バリア層を介して膜に固定される。
【0046】
本実施態様では、バリア層は、バックキャビティと膜の本体との間に接続され、その結果、バックキャビティと膜との間の絶縁が実現されることができ、振動板チップが膜の振動を確実に感知して第2の電圧信号を形成することを保証することができる。
【0047】
可能な実施態様では、振動板チップは、圧電抵抗振動板チップであり、圧電抵抗感応部は、振動板内に配置され、圧電抵抗感応部は、膜の振動を感知し、膜の変位信号を圧電抵抗振動板チップに伝送するように構成される。
【0048】
可能な実施態様では、振動板チップは、圧電振動板チップであり、膜の本体は、圧電材料から作られ、金属層は、膜の本体に配置される。本体は、振動板の振動を感知し、電荷を生成するように構成される。金属層は、電荷を収集し、伝送部を用いて圧電振動板チップに電荷信号を伝送する。
【0049】
前述の2つの実施態様では、振動板装置の動作原理が異なり、それに対応して、振動板チップは、膜の振動の感知を実現するために、受信した全ての異なる信号を第2の電圧信号に変換する。
【0050】
可能な実施態様では、膜の残留応力は、50MPa以下である。
【0051】
本実施態様では、膜の残留応力が監視され、その結果、膜の感度が制御されることができる。
【0052】
可能な実施態様では、膜は、シリコンまたはシリコン含有化合物から作られる。
【0053】
本実施態様では、膜は、シリコンまたはシリコン含有化合物から作られて、その結果、膜の機械的性能を保証することができ、製造が容易になる。
【0054】
可能な実施態様では、膜には、貫通均衡孔が設けられている。
【0055】
本実施態様では、膜上の均衡孔は、収音キャビティと内側キャビティとの間を貫通し、その結果、内側キャビティ内の空気は、均衡孔および収音孔を順に通って外部と連通することができる。これにより、内側キャビティと収音キャビティとの間の圧力バランスが保証される。
【0056】
第4の態様によれば、本出願は、電子デバイスを提供し、電子デバイスは、第3の態様によるマイクロフォンを備え、マイクロフォンは、オーディオ信号を収集するように構成される。
【0057】
本出願の第4の態様による電子デバイスは、収音のために本出願の第3の態様によるマイクロフォンを備えるので、電子デバイスもまた、2つの異なる方式でオーディオ信号を収集し、予め設定された閾値を使用してオーディオ信号の品質を保証することが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本出願による電子デバイスの内部フレームワークの概略図である。
【
図2】本出願による電子デバイスの構造の概略図である。
【
図3】本出願によるマイクロフォンの構造の概略図である。
【
図4】本出願によるマイクロフォンの構造の概略分解図である。
【
図5】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置の構造の概略分解図である。
【
図6】本出願によるマイクロフォンにおける内側キャビティの構造の概略断面図である。
【
図7】本出願によるマイクロフォンにおける収音キャビティの構造の概略平面図である。
【
図8】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置の部分構造の概略断面図である。
【
図9】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法のステップの概略図である。
【
図10a】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10b】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10c】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10d】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10e】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を製造するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10f】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10g】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図10h】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置を作製するための方法の各ステップのための構造の概略図である。
【
図11】本出願によるマイクロフォンにおける振動板装置の部分構造の別の実施形態の概略断面図である。
【
図12】本出願による音声キャプチャ方法のフローチャートである。
【
図13】本出願によるマイクロフォンにおける信号処理の回路図である。
【
図14】本出願による音声キャプチャ方法の別の実施形態のフローチャートである。
【
図15】本出願による音声キャプチャ方法のさらに別の実施形態のフローチャートである。
【
図16】本出願によるマイクロフォンにおける信号処理の別の実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下は、本出願の実施形態における添付の図面を参照しながら本出願の実施形態における技術的解決策を説明する。説明される実施形態は、本出願の実施形態の全てではなく一部にすぎないことは明らかである。創造的な努力なしに本出願の実施形態に基づいて当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本出願の保護範囲内に入るものとする。
【0060】
図1は、本出願による電子デバイス200の内部フレームワークの概略図である。
【0061】
図1に示すように、電子デバイス200は、本出願で提供される制御チップ201およびマイクロフォン100を備える。マイクロフォン100は、制御チップ201に電気的に接続され、マイクロフォン100は、外部音声振動を感知し、オーディオ信号を形成し、オーディオ信号を制御チップ201に伝送するように構成される。マイクロフォン100によって感知されたオーディオ信号を受信した後、制御チップ201は、電子デバイス200のリモート通話機能を実現するために、オーディオ信号を外部に送信してもよい。本明細書におけるオーディオ信号はまた、オーディオコードとして理解されてもよく、オーディオコードは、通信信号の形態で外部に送信されてもよいことが理解されよう。本出願による電子デバイス200は、携帯電話、タブレット、ノートブックプコンピュータ、デスクトップコンピュータ、またはテレビなどの端末製品であってもよい。いくつかの他の実施形態では、マイクロフォン100によって感知されたオーディオ信号を受信した後、制御チップ201は、ユーザの音声制御操作に応答するために、オーディオ信号(コード)に含まれる命令などの情報をさらに解析してもよい。あるいは、本出願による電子デバイス200は、前述の端末製品、スマート家電などであってもよい。
【0062】
図1に示すように、電子デバイス200は、オーディオ復号部202と、オーディオ増幅部203と、スピーカ204とをさらに備えてもよい。制御チップ201は、マイクロフォン100のバックエンドにあり、オーディオ復号部202、オーディオ増幅部203、およびスピーカ204に、順次さらに電気的に接続されている。マイクロフォン100によって感知された外部音声振動を受信した後、制御チップ201は、オーディオ信号をスピーカ204に送信してもよい。オーディオ信号は、順次復号および増幅された後、スピーカ204を介して再生される。このようにして、電子デバイス200は、マイクロフォン100による音声キャプチャを通じて、ユーザとの音声対話の機能を実現することができる。
図2は、本出願による電子デバイス200の構造の概略図である。
【0063】
図2に示すように、電子デバイス200には、8個のマイクロフォン100が配置されている。マイクロフォン100は、電子デバイス200の外縁の異なる向きに分布され、電子デバイス200の異なる向きからの音声振動をキャプチャするように構成される。各マイクロフォン100は、制御チップ201に電気的に接続され、オーディオ信号を伝送するように構成される。いくつかの実施形態では、8個のマイクロフォン100は、さらに1つずつ番号付けされてもよい。制御チップ201は、向き識別機能を実現するために、異なる番号のマイクロフォン100から受信したオーディオ信号に基づいて、現在オーディオ信号を感知している電子デバイス200内のマイクロフォン100の位置を判定する、すなわち、現在音声振動を発している、電子デバイス200に対する音源の向きを判定してもよい。
【0064】
後続のオーディオ信号処理プロセスでは、電子デバイス200は、オーディオ信号収集の指向性機能を実現するために、電子デバイス200に対する音源の判定された向きに基づいて、その向きの領域内のマイクロフォン100によってキャプチャされたオーディオ信号を選択的に受信してもよい。加えて、複数のマイクロフォン100がそれぞれオーディオ信号を収集し、オーディオ信号を制御チップ201に伝送する場合、制御チップ201は、電子デバイス200による音声振動キャプチャの精度を改善させるために、複数のオーディオ音声信号をさらに統合して1つの信号にし、次いで信号を外部に送信するか、または音声対話もしくは命令識別などの動作を行ってもよい。いくつかの他の実施形態では、電子デバイス200内のマイクロフォン100の分布および個数は、実際の使用シナリオに基づいて必要に応じて代替的に指定されてもよい。このことは、本出願では特に限定されない。
【0065】
図3は、本出願によるマイクロフォン100の構造の概略図である。
【0066】
本出願で提供されるマイクロフォン100は、基板10および保護カバー20を備える。保護カバー20は、保護プレート21と、保護壁22とを備える。保護壁22は、保護プレート21の縁の周りに配置され、保護壁22は、基板10にさらに固定され、その結果、保護カバー20全体が基板10に固定される。保護カバー20および基板10は、筐体を介して内側キャビティ23(
図6を参照)を形成する。
【0067】
図4は、マイクロフォン100の構造の概略分解図である。
【0068】
マイクロフォン100は、振動板装置30をさらに備える。振動板装置30は、保護カバー20と基板10とによる筐体を介して形成された内側キャビティ23内に収容され、振動板装置30は、基板10に固定される。
図4に示すように、マイクロフォン100は、処理部40をさらに備え、処理部は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)であってもよい。処理部40はまた、基板10に固定され、また、内側キャビティ23内に収容される。処理部40は、基板10に固定され、処理部40は、振動板装置30にさらに電気的に接続されている。いくつかの他の実施形態では、処理部40は、保護カバー20の外側に代替的に位置してもよい。換言すれば、処理部40は、内側キャビティ23の外側に位置してもよい。この場合、処理部は、依然として基板10に固定されており、振動板装置30に電気的に接続されている。
【0069】
【0070】
振動板装置30は、微小電気機械システム(Micro Electrical Mechanical System、MEMS)であってもよく、膜31およびバックキャビティ32を備える。膜31は、薄膜形状であり、膜31は、シリコンまたはシリコン含有化合物から作られてもよく、いくつかの実施形態では圧電材料から作られてもよい。バックキャビティ32は、中空リング形状であり、貫通孔321が設けられている。
図5に示すように、バックキャビティ32は、円形であり、それに対応して、貫通孔321は、円形であるように指定され、その結果、バックキャビティ32は、中空円形リング形状となる。いくつかの他の実施形態では、バックキャビティ32は、代替的に、長方形、楕円形などであってもよく、それに対応して、貫通孔321は、バックキャビティ32の形状と一致する形状であるように指定され、その結果、バックキャビティ32は、長方形リングまたは楕円形リング形状となる。
【0071】
膜31は、バックキャビティ32側に固定され、貫通孔321を遮蔽する。バックキャビティ32の、膜31に対する反対側は、基板10に固定され、その結果、振動板装置30および基板10は、筐体を介して収音キャビティ33(
図6に示すマイクロフォン100の内側キャビティ23の構造の断面図を参照)を形成する。収音キャビティ33は、内側キャビティ23内に収容されていることが理解されよう。基板10の、収音キャビティ33に対応する領域には、少なくとも1つの収音孔11が設けられている。具体的には、
図7に示すように、基板10上におけるバックキャビティ32の貫通孔321の突出部が収容領域322を形成しており、複数の収音孔11は全て、収容領域322内に位置している。少なくとも1つの収音孔11が基板10を貫通しており、その結果、収音キャビティ33と外部との連通が実現される。外部音声振動は、各収音孔11を通って収音キャビティ33に入り、膜31を振動させてもよい。振動板装置30は、膜31の変位歪みを電気信号に変換し、外部音声振動を収集およびキャプチャし、オーディオ信号を形成し、オーディオ信号を処理部40に伝送してもよい。
【0072】
本出願によるマイクロフォン100の収音孔11の形状、大きさ、および個数は、特に限定されない。
図7に示すように、収音孔11は、4個あってもよい。他の実施形態では、収音孔11の個数は、代替的に別の個数であってもよい。加えて、収音孔11の形状および大きさは、必要に応じて指定されてもよい。収音孔11が収音キャビティ33および外部空間と連通することができれば、外部音声振動は、収音孔11を通って収音キャビティ33に入ることができる。
【0073】
図8は、振動板装置30の内部の実施態様を示す。本実施態様では、膜31は、圧電抵抗振動板によって実現される。具体的には、膜31は、本体311と、反射部312と、バリア層313と、圧電抵抗感応部314と、伝送部315と、保護層316とを備える。本体311は、シリコンまたはシリコン含有化合物から作られる。本体311は、薄膜形状であり、本体311は、互いに反対側を向く第1の面311aおよび第2の面311bを有する。第1の面311aは、本体311の、基板10に面する側の外面である。第2の面311bは、本体311の、基板10とは反対側の外面である。第1の面311aから第2の面311bに向かう方向は、本体311の厚み方向である。第1の面311aおよび第2の面311bと平行な方向は、本体311の面方向である。
【0074】
バリア層313は、本体311とバックキャビティ32との間に接続される。すなわち、バリア層313は、第1の面311a上に位置している。バリア層313は、膜31をバックキャビティ32に固定し、膜31をバックキャビティ32から完全に絶縁するように構成される。反射部312も第1の面上に位置している。
図8に示すように、反射部312は、本体311の幾何学的中心の位置にさらに配置されている。反射部312は、収音キャビティ33の内側に面している。保護層316は、第2の面311b側に位置し、保護層316は、収音キャビティ33の外側に面している。保護層316は、本体311および膜31の他の構成構造を保護するように構成される。
【0075】
本体311の厚み方向において、圧電抵抗感応部314および伝送部315は、反射部312と保護層316との間に位置する。圧電抵抗感応部314は、本体311の面方向にさらに分布している。圧電抵抗感応部314は、本体311によって生じる振動変位を感知するように構成される。外部音声振動が収音孔11を介して収音キャビティ33に伝送された後、本体311は、外部音声振動によって励振されて、振動変位が生じる。圧電抵抗感応部314は、本体311の振動変位に伴って歪み信号を生成し、圧電抵抗感応部314に接続された伝送部315を介して歪み信号を逆方向に送る。さらに、膜31には、圧電抵抗感応部314に対応して圧電抵抗振動板チップ341が設けられている。圧電抵抗振動板チップ341は、振動板装置30上に配置されてもよく、または処理部40に一体化されてもよい。圧電抵抗振動板チップ341は、圧電抵抗感応部314に電気的に接続され、圧電抵抗感応部314によって感知された歪み信号を1つの電圧信号(具体的には第2の電圧信号V2)に変換し、その電圧信号を処理部40に伝送するように構成される。
【0076】
圧電抵抗振動板チップ341が振動板装置30上に配置され、具体的には膜31の第2の面311b上に配置される場合、圧電抵抗振動板チップ341は、伝送部315を介して圧電抵抗感応部314に直接電気的に接続され、歪み信号を収集してもよいことが理解されよう。圧電抵抗振動板チップ341が処理部40に組み込まれている場合、圧電抵抗振動板チップ341は、伝送部315と伝送路319とを接合させて、圧電抵抗感応部314に接続される必要がある。圧電抵抗振動板チップ341を配置する前述の2つの方式は、共に圧電抵抗振動板チップ341と圧電抵抗感応部314との間の接続を行い、圧電抵抗振動板チップ341に歪み信号を収集させることができる。
【0077】
本実施形態における膜31の全体の厚さは、0.1umから1umの範囲であればよく、例えば、0.9umの値を有してもよく、その結果、外部音声振動の音圧に応答する膜31の能力および膜31の変位感度が保証される。膜31の面積は、例えば、0.3mm2から4mm2の範囲であり、例えば、1mm2である。この場合、膜31の一辺の長さが短いほど、膜31によってカバーされる高周波領域が広いことを示し、一辺の長さが長いほど、膜31の感度が比較的高いことを示す。これは、具体的には、実際の適用シナリオに基づいて調整されてもよい。膜31の残留応力は、50MPaを超えないため、膜31の感度が保証される。
【0078】
反射部312の形状は、円形であってもよく、反射部312の半径は、10umから1000umの範囲であり、例えば、60umの値を有し、その結果、比較的大きな反射面積が得られる。反射部312の厚みは、10nmから200nmの範囲あればよく、その結果、光の反射能力が保証される。さらに、反射部312の幾何学的中心と本体311の幾何学的中心との距離は、10um以内に制御される必要がある。
【0079】
圧電抵抗感応部314の厚さは、予め設定された抵抗値に達するように、100nmから500nmの範囲であればよく、例えば、180nmであってもよく、その結果、歪み信号が収集される。
【0080】
保護層316の厚さは、保護効果を保証するために、50nmから1000nmの範囲であり、例えば、200nmである。
【0081】
一実施形態では、膜31には、均衡孔317がさらに設けられる。均衡孔317は、膜31の厚み方向に膜31を貫通しており、均衡孔317は、収音キャビティ33および内側キャビティ23に連通している。外部音声振動が収音孔11を通って収音キャビティ33に入った後、収音キャビティ33内の気圧は、変化してもよい。その結果、膜31は、収音キャビティ33と内側キャビティ23との間に圧力差を形成し、これが、膜31の振動の妨げになる可能性がある。均衡孔317は、膜31の振動効果を保証するために、収音キャビティ33および内側キャビティ23内の圧力を均衡させるために設けられる。均衡孔317の直径は、0.5umから5umの範囲であればよく、例えば、1.5umであってもよい。
【0082】
圧電抵抗振動板チップ341が膜31上に配置される実施形態では、圧電抵抗振動板チップ341が膜31の振動効果に影響を及ぼすのを防ぐために、圧電抵抗振動板チップ341の構造をさらに制限する必要がある。一実施形態において、圧電抵抗振動板チップ341の形状は長方形であり、圧電抵抗振動板チップ341の辺長の組み合わせは、0.5mm×0.5mmから5mm×5mmの範囲であればよく、例えば、1.4mm×1.4mmであってよい。圧電抵抗振動板チップ341の厚さは、150umから500umの範囲であればよく、例えば、220umであってもよい。
【0083】
図9および
図10aから
図10hは、本出願による振動板装置30を作製するための方法のステップを示す。本出願による振動板装置30は、以下のステップを介して拡張され、取得されてもよい。
【0084】
S101:シリコン基板を用意し、熱酸化プロセス(
図10aを参照)によってシリコン基板上に2つの熱酸化層313aおよび313bを形成する。
【0085】
一方の熱酸化層313aは、シリコン基板の一方の側の外面上に位置し、他方の熱酸化層313bは、シリコン基板の内側に位置し、外面上の熱酸化層313aから離間している。
【0086】
S102:軽ホウ素ドーピングプロセス(
図10bを参照)によってシリコン基板内に圧電抵抗感応部314を作製する。
【0087】
圧電抵抗感応部314は、2つの熱酸化層313aおよび313bの間に位置し、圧電抵抗感応部314を作製する過程に同期してパターニングされる。
【0088】
S103:重ホウ素ドーピングプロセス(
図10cを参照)によってシリコン基板内の伝送部315aの一部を作製する。
【0089】
シリコン基板における伝送部315aの一部の深さは、シリコン基板における圧電抵抗感応部314の深さと等しく、その結果、伝送部315aの一部は、パターニングされた各圧電抵抗感応部314と連通している。
【0090】
S104:ステップS103で作製した伝送部315aの構造を露出させるために、シリコン基板の外面上に位置する熱酸化層313aをエッチングする(
図10dを参照)。
【0091】
膜31の保護層316を形成するために、熱酸化層313aがエッチングされ、保護層316は、エッチングによって形成されたビア315bを有する。
【0092】
S105:伝送部315cの別の一部を形成するために、成膜プロセスによって、ビア315bおよび保護層316の外面を金属で充填する(
図10eを参照)。
【0093】
保護層316上の金属は、保護層316の外側に導電構造層を形成する。ビア315bに充填された金属を介してステップS103で作製された伝送部315aの一部に金属が接続され、その結果、ステップS105で作製された伝送部315cの一部と、ステップS103で作製された伝送部315aの別の一部とが、伝送部315を形成する。これにより、圧電抵抗感応部314における歪み信号が保護層316の外側に導出される。その後、伝送部315は、圧電抵抗振動板チップ341に直接接続されてもよいし、伝送路319を介して振動板チップ341に接続されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、均衡孔317の作製は、このステップでさらに完了されてもよい。
【0095】
S106:他方の熱酸化層313bが露出するまでシリコン基板の材料を除去するために、深掘り反応性イオンエッチングプロセスによって、シリコン基板の他方の側の外面をエッチングする(
図10fを参照)。
【0096】
シリコン基板のこの部分のエッチングは、センターエッチングであり、振動板装置30のバックキャビティ32を形成するために、シリコン基板の周囲の材料が保持される。他方の熱酸化層313bと保護層316との間のシリコン基板の材料は、膜31の本体311を形成する。
【0097】
S107:リンスプロセスによって、ステップS106で露出した熱酸化層313bの一部を除去する(
図10gを参照)。
【0098】
リンスプロセス後に残った熱酸化層313bは、膜31のバリア層313を形成し、バリア層313は、本体311とバックキャビティ32との間に接続される。加えて、熱酸化層313bを部分的に除去した後、本体311の第1の面311aも露出される。リンスプロセスは、フッ化水素酸(Hydrofluoric acid、HF)試薬を使用することで行われてもよい。
【0099】
S108:蒸着プロセスによって、第1の面311aに反射部312を作製する(
図10hを参照)。
【0100】
反射部312は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られてもよい。
【0101】
このようにして、本出願の本実施形態で提供される振動板装置30が作製されることができ、各構成要素および各層構造の位置ならびに各構成要素および各層構造の機能の実現が保証される。
【0102】
図11は、振動板装置30の構造の別の実施態様を示す。
図11の実施態様では、膜31は、圧電膜によって実現される。具体的には、膜31は、本体311、反射部312、バリア層313、伝送部315、および保護層316も備える。本体311は、圧電材料から作られる。本体311全体も薄膜形状であり、本体311は、互いに反対側を向く第1の面311aおよび第2の面311bを有する。第1の面311aは、本体311の、基板10に面する側の外面である。第2の面311bは、本体311の、基板10とは反対側の外面である。バリア層313は、本体311とバックキャビティ32との間に接続される。反射部312も第1の面311a上に位置している。保護層316は、第2の面311b側に位置し、本体311および膜31の他の構成構造を保護するように構成される。
【0103】
本実施形態では、金属層318および伝送部315は、本体311の厚み方向に配置され、本体311の第1の面311aと第2の面311bとの間に位置する。1つ以上の金属層318が存在してもよい。
図11は、2つの金属層318を示す。伝送部315は、金属層318にそれぞれ電気的に接続され、伝送部315は、第2の面311bからさらに部分的に延在する。本実施形態では、保護層316は、伝送部315の一方の側であって、反射部312とは反対側にさらに位置し、第2の面311bから延在する伝送部315を覆って保護するように構成される。
【0104】
外部音声振動が収音孔11を通って収音キャビティ33に伝送された後、本体311は、外部音声振動によって励振されて、振動変位が生じる。圧電材料から作られた本体311は、電荷を形成してもよい。本体311内に配置された金属層318は、電荷を収集し、電荷信号を形成し、金属層318に接続された伝送部315を介して電荷信号を逆方向に送る。さらに、膜31には、対応して圧電振動板チップ342が設けられている。圧電振動板チップ342は、振動板装置30上に配置されてもよく、または処理部40に一体化されてもよい。圧電振動板チップ342は、伝送部315に電気的に接続され、金属層318によって収集された電荷信号を第2の電圧信号V2に変換し、第2の電圧信号V2を処理部40に伝送するように構成される。
【0105】
図11に示す圧電振動板によって実現される振動板装置30の内部の本体311、反射部312、保護層316、圧電振動板チップ342などの寸法、均衡孔317の実施形態などは全て、振動板装置30の感度を改善させるために、前述の圧電抵抗振動板装置30を参照して指定されてもよい。したがって、本出願による振動板装置30が圧電抵抗膜または圧電膜によって実現される実施形態は、外部音声振動の確実なキャプチャを実現することもできる。
【0106】
図5、
図6、および
図7を参照されたい。本出願によるマイクロフォン100は、レーザ自己混合装置60をさらに備える。レーザ自己混合装置60は、収音キャビティ33内に収容され、送信機61および受信機62を備える。送信機61および受信機62は、共に基板10に対して固定されている。送信機61は、垂直共振器面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、VCSEL)であってもよく、反射部312に向けてレーザ光を出射するように構成される。受信機62は、反射部312によって反射されたレーザ光を受信するように構成されている。送信機61によって出射されるレーザ光および反射部312によって反射されたレーザ光は、共に収音キャビティ33内で回折されてもよい。回折されたレーザ光は、膜31の第1の面311aおよびバックキャビティ32の内壁に更に当たり、反射された後に一部が受信機62に受信される。さらに、膜31の振動によっても、レーザ光の一部がバックキャビティ32の内壁に反射される。外部音声振動が膜31を振動させる場合、反射部312によって反射された前述のレーザ光は、膜31の振動情報を搬送してもよい。レーザ光は、バックキャビティ32の内壁によって反射されたレーザ光と混合されて、収音キャビティ33内で自己混合効果を形成してもよい。自己混合レーザ光ビームの強度および周波数は、変化してもよく、変化した強度および変化した周波数も膜31の振動情報を搬送する。混合によって得られたレーザ信号を受信した後、受信機62は、送信機61によって出射されるレーザ光を混合によって得られたレーザ光と比較し、電流信号(具体的には、第1の電流信号A1)を抽出し、電流信号を電圧信号(具体的には、第1の電圧信号V1)に変換し、電圧信号を処理部40に伝送してもよい。
【0107】
図6および
図7に示すように、送信機61および受信機62は、さらに重ねて配置され、送信機61は、基板10に固定され、受信機62は、送信機61の、基板10とは反対側に位置する。さらに、膜31は、基板10に対して平行に配置されており、膜31の第1の面311aは、送信機61および受信機62の両方に対して垂直である。したがって、反射部312も送信機61および受信機62に対して垂直に配置される。加えて、基板10上の送信機61および受信機62は、基板10上の反射部312の投影範囲内に位置する。この場合、送信機61が膜31に向けて、基板10に垂直な方向にレーザ光を出射し、レーザ光が反射部312によって垂直反射された後に受信機62で受信され、その結果、収音キャビティ33内におけるレーザ光の飛行距離は、短縮されることができる。
【0108】
本出願によるマイクロフォン100の場合、収音キャビティ33は、マイクロフォン100の前方キャビティとして定義されてもよく、膜31と基板10との間の距離は、前方キャビティの高さとして定義される。内側キャビティ23の、収音キャビティ33の空間を除いた空間は、マイクロフォン100の後方キャビティとして定義される。保護プレート21の内面に対する膜31の高さは、後方キャビティの高さとして定義される。一実施形態では、反射部312と送信機61との間の距離Hは、20um≦H≦100umの条件を満たすように制限される。この制限により、送信機61と膜31との間の距離が制御される。加えて、送信機61と膜31との間の距離が制限されるため、収音キャビティ33内のレーザ光の飛行距離が制御され、その結果、受信機62によって得られるレーザ信号の信号対雑音比(Signal to Noise Ratio、SNR)が縮小される。
【0109】
送信機61が基板10に固定されているので、送信機61と反射部312との間の距離が制御され、基板10と膜31との間の距離も制御される。すなわち、マイクロフォン100の前方キャビティの高さは、前述の制限によって制御される。内側キャビティ23の空間および高さが固定されていることを前提として、マイクロフォン100の前方キャビティの高さを制御することは、マイクロフォン100の後方キャビティの高さを増加させることを意味する。後方キャビティの高さを大きくすることは、振動板装置30の信号対雑音比を増加させるのにも役立つ。さらに、膜31の前述の実施形態では、本体311は、単純な単層または2層構造であるが、マイクロフォン100は、比較的良好な動作状態に達することができる。従来技術の多層構造の膜と比較して、本出願における膜31は、より薄く、得られる後方キャビティの空間は、それに応じてより大きくなる。これは、振動板装置30の信号対雑音比を改善するのに役立つ。
【0110】
したがって、本出願によるマイクロフォン100は、振動板装置30を使用して外部音声振動をキャプチャすることに加えて、レーザ自己混合装置60を使用して外部音声振動をさらにキャプチャしてもよい。マイクロフォン100がより良好な音声キャプチャ効果を達成することができることを保証するために、2つの音声振動キャプチャ方式は、互いに補完してもよく、またはフュージョンアルゴリズムなどの方式が使用されてもよい。加えて、本出願によるマイクロフォン100がより良好な音声キャプチャ効果を有するので、マイクロフォン100を使用する電子デバイス200のオーディオキャプチャ能力もまた改善される。
【0111】
図12は、本出願による音声キャプチャ方法を示す。本方法は、以下のステップを含む。
【0112】
S100:レーザ自己混合装置60を使用して第1の電圧信号V1を取得し、同時に振動板装置30を使用して第2の電圧信号V2を取得する。
【0113】
S200:第1の電圧信号V1が予め設定された閾値V0以下である場合、第1の電圧信号V1をオーディオ信号に変換する;または、第1の電圧信号V1が予め設定された閾値V0より大きい場合、第2の電圧信号V2をオーディオ信号に変換する。
【0114】
本出願による音声キャプチャ方法は、レーザ自己混合装置60および振動板装置30の両方を備える前述のマイクロフォン100に基づくことが理解されよう。具体的には、ステップS100において、外部音声振動が発生すると、収音孔11を介して収音キャビティ33に音波が伝送され、膜31が振動する。この場合、振動板装置30は、膜31の振動を感知し、圧電または圧電抵抗方式で膜31の変位を感知し、第2の電圧信号V2を形成し、第2の電圧信号V2を処理部40に伝送してもよい。同時に、レーザ自己混合装置60は、膜31の振動を監視し、第1の電圧信号V1を形成し、第1の電圧信号V1を処理部40に伝送する。この場合、処理部40で取得される2つの電圧信号は、同一の外部音声振動に基づいて形成される。具体的には、レーザ自己混合装置60によってキャプチャされる音声振動と、振動板装置30によってキャプチャされる音声振動は、同じ環境における音声振動であり、第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2は、共に同じ環境における音声振動を表すために使用される。
【0115】
処理部40は、第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2を別々に取得した後、予め設定された閾値V0に基づいて第1の電圧信号V1の大きさを判定する。具体的には、処理部40は、第1の電圧信号V1を予め設定された閾値V0と比較し、比較結果に基づいて第1の電圧信号V1または第2の電圧信号V2を処理してもよい。具体的には、第1の電圧信号V1が予め設定された閾値V0以下である場合、処理部40は、第1の電圧信号V1を処理することを選択し、第1の電圧信号V1を、逆方向に出力されるオーディオ信号に変換する、または、第1の電圧信号V1が予め設定された閾値V0より大きい場合、処理部40は、第2の電圧信号V2を処理することを選択し、第2の電圧信号V2を、逆方向に出力されるオーディオ信号に変換する。
【0116】
レーザ自己混合装置60および振動板装置30は、音声キャプチャ原理が異なるため、2つの装置は、音声キャプチャに関しても異なる利点を有する。レーザ自己混合装置60は、より感度が高く、比較的低い音声振動エネルギーおよび比較的低い音圧を有する音声振動信号を収集するように構成されてもよい。しかしながら、比較的高い音声振動エネルギーおよび高い音圧のシナリオでは、レーザ自己混合装置60のノイズが増加し、信号対雑音比が減少し、レーザ自己混合装置60の音響過負荷ポイント(Acoustic Overload Point、AOP)は、比較的低い。その結果、全体的な音声認識能力が損なわれる。対照的に、振動板装置30は、比較的高い音圧のシナリオにおいてより良好な認識能力を有し、信号の信号対雑音比を制御することができ、より高い音響過負荷ポイントを有する。
【0117】
外部音声振動のエネルギーは、音圧の大きさに基づいて識別されてもよい。本出願によるマイクロフォン100の場合、収集された第1の電圧信号V1の大きさまたは収集された第2の電圧信号V2の大きさに基づいて識別および区別が行われてもよい。本出願における音声キャプチャ方法では、予め設定された閾値V0は、レーザ自己混合装置60を使用して比較的低い音圧のシナリオで音声振動をキャプチャするようにマイクロフォン100を制御するように設定されてもよく、その結果、マイクロフォン100の感度が改善され、マイクロフォン100の動作範囲が拡大される。比較的高い音圧のシナリオでは、信号の信号対雑音比を保証し、マイクロフォン100の音響過負荷ポイントを改善させるために、本出願によるマイクロフォン100は、振動板装置30を使用して音声振動をキャプチャする。
【0118】
さらに、第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2は、共に同じ環境の音声振動を表すために使用されるので、第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2は、時間的に同期していると考えてもよい。処理部40が第1の電圧信号V1の処理から第2の電圧信号V2の処理に切り替えるか、または第2の電圧信号V2の処理から第1の電圧信号V1の処理に切り替える場合、2つの信号の時間同期特性のために、信号同期外れまたはフレーム損失は発生しない。これにより、マイクロフォン100が外部音声振動を連続的にキャプチャし、外部音声振動を変換して連続オーディオ信号を得ることができることが保証される。
【0119】
加えて、振動板装置30における膜31およびバックキャビティ32の異なる構造、ならびにレーザ自己混合装置60における送信機61および受信機62の異なる選択に基づいて、本出願の音声キャプチャ方法における予め設定された閾値V0は、一意の値であるように指定されていない。いくつかの実施形態では、予め設定された閾値V0は、0.1Vに設定されてもよい。具体的には、レーザ自己混合装置60によって収集された第1の電圧信号V1の大きさが0.1V以下である場合、処理部40は、第1の電圧信号V1を処理してオーディオ信号にする、または、第1の電圧信号V1の大きさが0.1Vより大きい場合、処理部40は、第2の電圧信号V2を処理してオーディオ信号にする。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、予め設定された閾値は、レーザ自己混合装置60が94dBから100dBに対応するオーディオ信号を収集する場合に形成される電圧値として代替的に定義されてもよい。これはまた、レーザ自己混合装置60および振動板装置30が、より望ましいそれぞれの動作(すなわち、音圧)シナリオにおいて音声振動をキャプチャすることを保証してもよい。
【0120】
前述の実施形態では、予め設定された閾値V0は、特定の値であってもよく、または値の範囲であってもよいことが理解されよう。振動板装置30とレーザ自己混合装置60の望ましい動作シナリオの間にはいくつかの重複がある。換言すれば、重複する場合(すなわち、音圧の範囲)、振動板装置30およびレーザ自己混合装置60は、共に比較的良好な音声振動キャプチャ効果を達成することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、予め設定された閾値V0が値の範囲に設定された後、処理部40の信号切り替え方式に対して特定の設定がさらに行われてもよい。例えば、処理部40が第1の電圧信号V1をオーディオ信号に変換する場合、第1の電圧信号V1が予め設定された閾値V0の上限を超えなければ、処理部40は、第1の電圧信号V1をオーディオ信号に連続的に変換するように制御されてもよい。これにより、オーディオ信号の連続性が保証される。あるいは、処理部40が第2の電圧信号V2をオーディオ信号に変換する場合、第1の電圧信号V1が予め設定された閾値V0の下限以上であれば、処理部40は、第2の電圧信号V2をオーディオ信号に連続的に変換するように制御されてもよい。これによっても、オーディオ信号の連続性を保証することができる。加えて、本実施形態における方法はまた、処理部40が頻繁に処理部40の信号処理ラインを切り替えることに起因して生じ得る信号同期外れまたはフレーム損失を回避する。
【0122】
一実施形態では、ステップS100の「レーザ自己混合装置60を使用して第1の電圧信号V1を取得」は、以下のサブステップを含んでもよい。
【0123】
S110:膜31に向けてレーザ光を出射するように送信機61を制御する。
【0124】
S120:受信機62を使用して、膜31によって反射されたレーザ光を受信し、第1の電流信号A1を形成する。
【0125】
S130:第1の電流信号A1を第1の電圧信号V1に変調する。
【0126】
上述したように、レーザ自己混合装置60の受信機62が反射レーザ光を受信した後、感知によって生成される信号は、電流信号(すなわち、第1の電流信号A1)である。しかしながら、本出願による方法における予め設定された閾値V0は、電圧信号である。したがって、最初に第1の電流信号A1が変調され第1の電圧信号V1に変換される必要があり、次いで、処理部40は、判定のために第1の電圧信号V1を予め設定された閾値V0と比較することができる。いくつかの実施形態では、受信機62によって受信されたレーザ信号は、収音キャビティ33内での自己混合によって形成されたレーザ光ビームであってもよい。
【0127】
さらに、一実施形態では、ステップS130の「第1の電流信号A1を第1の電圧信号V1に変調」は、以下のサブステップをさらに含む。
【0128】
S131:トランスインピーダンスアンプを使用して第1の電流信号A1を第1の変調電圧信号VT1に変換する。
【0129】
S132:オペアンプを使用して第1の変調電圧信号VT1を増幅する。
【0130】
S133:第1の電圧信号V1を形成するために、増幅された第1の変調電圧信号VT1に対してフィルタリングを行う。
【0131】
詳細については、
図13を参照されたい。
図13は、本出願によるマイクロフォン100における信号処理の回路図である。本実施形態では、レーザ自己混合装置60には、トランスインピーダンスアンプ63がさらに設けられ、オペアンプ64、ローパスフィルタ65、およびハイパスフィルタ66は、レーザ自己混合装置60にさらに配置される。トランスインピーダンスアンプ63は、受信機62に電気的に接続されており、トランスインピーダンスアンプ63は、第1の電流信号A1を第1の変調電圧信号VT1に変換するように構成されている。オペアンプ64は、トランスインピーダンスアンプ63に電気的に接続されており、オペアンプ64は、第1の変調電圧信号VT1の強さを増加させるために、第1の変調電圧信号VT1を増幅するように構成されており、その結果、増幅された第1の変調電圧信号VT1は、処理部40のデータ処理要件を満たすことができる。ローパスフィルタ65およびハイパスフィルタ66は、オペアンプ64に連続的に接続され、第1の電圧信号V1を形成するために、増幅された第1の変調電圧信号VT1に対してローパスフィルタリングおよびハイパスフィルタリングをそれぞれ行うように構成されている。
【0132】
人間の耳が受信できるオーディオ周波数の範囲は限られており、オーディオ信号への変換後、第1の変調電圧信号VT1で搬送される振動情報の一部は、人間の耳が受信できるオーディオ周波数の範囲を超えている。したがって、増幅された第1の変調電圧信号VT1に対してフィルタリングが行われた後、人間の耳が受信できるオーディオ周波数の範囲を超える振動情報の一部は、除去されることができる。増幅された第1の変調電圧信号VT1に対してフィルタリングが行われた後に形成される第1の電圧信号V1は、人間の耳が受信できるオーディオ周波数の範囲内の振動情報のみを保持する。これにより、処理部40の負荷を軽減することができる。
【0133】
振動板装置30の場合、一実施形態では、ステップS100の「振動板装置30を使用して第2の電圧信号V2を取得」は、以下のサブステップを含んでもよい。
【0134】
S140:振動板チップを使用して、膜31の変位によって形成される歪み信号を収集する。
【0135】
S150:歪み信号を第2の電圧信号V2に変換する。
【0136】
振動板装置30の解決策の前述の説明に基づいて、本出願による振動板装置30は、外部音声振動をキャプチャする過程において、振動板チップを使用して膜31の振動を感知し、膜31の変位を歪み信号に変換し、歪み信号に基づいて第2の電圧信号V2を形成する必要がある。振動板チップは、圧電抵抗振動板チップ341であってもよいし、圧電振動板チップ342であってもよい。振動板チップが圧電振動板チップ342である場合、圧電振動板チップ342の歪み信号は、具体的には、圧電材料から作られる本体311が振動時に変形することにより生成される電荷信号、すなわち、収集電荷である。この場合、電荷信号が第2の電圧信号V2に変換される。
【0137】
サブステップS110からS130において、レーザ自己混合装置60が第1の電圧信号V1を形成するように動作する動作プロセス、およびサブステップS140およびS150において、振動板装置30が第2の電圧信号V2を形成するように動作する動作プロセスは、別々に動作し、同期して動く2つの異なる処理回路によって完了される動作であることに留意されたい。前述のシーケンス番号のシーケンスは、マイクロフォン100の動作プロセスの特定のシーケンスを表すものではなく、2つの動作プロセスは、実際には並列関係にある。詳細については、
図14を参照されたい。
図14は、本出願による音声キャプチャ方法の別の概略フローチャートである。
【0138】
一実施形態では、
図13および
図14の例に基づいて、本出願では、ステップS200の「第1の電圧信号V1または第2の電圧信号V2をオーディオ信号に変換」は、以下のサブステップをさらに含んでもよい。
【0139】
S210:第1の電圧信号V1または第2の電圧信号V2をデジタル信号フォーマットに変換する。
【0140】
S220:オーディオ信号を取得するために、デジタル信号フォーマットに変換された第1の電圧信号V1または第2の電圧信号V2に対してアルゴリズム処理を行う。
【0141】
具体的には、本実施形態では、処理部40は、変換モジュール41および処理モジュール42を備える。レーザ自己混合装置60から入力される第1の電圧信号V1は、アナログ信号フォーマットであり、振動板装置30から入力される第2の電圧信号V2もアナログ信号フォーマットである。処理モジュール42が第1の電圧信号V1または第2の電圧信号V2を処理する場合、変換モジュール41を使用して第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2に対してデジタル変換が最初に行われる必要がある。第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2がアナログ信号からデジタル信号に変換された後、変換モジュール41は、デジタル信号フォーマットである第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2を処理モジュール42に伝送し、処理モジュール42は、デジタル信号フォーマットである第1の電圧信号V1および第2の電圧信号V2を処理してオーディオ信号にする。
【0142】
図15を参照されたい。
図15は、本出願による音声キャプチャ方法のさらに別の実施形態のフローチャートである。
図16も参照されたい。
図16は、フローチャートに対応する回路図である。ステップS100の「レーザ自己混合装置60を使用して第1の電圧信号V1を取得」の後に、本方法は、以下をさらに含んでもよい。
【0143】
S300:第1の電圧信号V1に基づいて制御信号を形成し、膜31に向けて出射されるレーザ光の波長を調整するために、送信機61に制御信号を出力する。
【0144】
具体的には、外部音声振動が変化し、レーザ自己混合装置60が第1の電圧信号V1を収集する過程において、レーザ自己混合装置60の最適動作点(またはレーザ光の最適動作強度および最適動作周波数として説明される)は、それに応じて変化してもよい。第1の電圧信号V1の異なる大きさに基づいて、処理部40は、位相同期ループアルゴリズムなどに基づく計算によってレーザ自己混合装置60の現在の最適動作点を取得してもよい。この場合、処理部40は、レーザ自己混合装置60が最適動作点で動作する場合にレーザ自己混合装置60によって出射されるレーザ光の波長を同期して解析してもよい。処理部40が送信機61の動作電流を制御し、その結果、レーザ自己混合装置60によって出射されるレーザ光の波長は、制御されることができる。これにより、レーザ自己混合装置60が常に最適動作点で第1の電圧信号V1を収集することが保証される。
【0145】
一実施形態では、ステップS300の「第1の電圧信号V1および位相同期ループアルゴリズムに基づいて、膜31に向けて、送信機61によって出射されるレーザ光の波長を調整」は、以下のサブステップをさらに含んでもよい。
【0146】
S310:制御信号を形成するために、第1の電圧信号V1に基づく計算によってレーザ光の最適動作波長を取得する。
【0147】
S320:膜31に向けて出射されるレーザ光の波長を制御するために、制御信号に基づいて送信機61の動作電流の大きさを制御する。
【0148】
具体的には、ステップS310は、以下のサブステップをさらに含んでもよい。
【0149】
S311:第1の電圧信号V1をアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換する。
【0150】
S312:制御信号を形成するために、デジタルフォーマットの第1の電圧信号V1に基づく計算によってレーザ光の最適動作波長を取得する。
【0151】
ステップS320は、以下のサブステップを含んでもよい。
【0152】
S321:制御信号をデジタルフォーマットからアナログフォーマットに変換する。
【0153】
S322:膜31に向けて、送信機61によって出射されるレーザ光の波長を制御するために、アナログフォーマットの制御信号に基づいて送信機61の動作電流の大きさを制御する。
【0154】
具体的には、上述したように、処理部40は、処理モジュール42を備える。レーザ自己混合装置60の最適動作点は、デジタル信号フォーマットの第1の電圧信号V1に基づいて処理モジュール42によって計算される。したがって、レーザ光の最適動作波長を計算により求める前に、変換モジュール41は、アナログフォーマットの第1の電圧信号V1に対してデジタルフォーマットへの変換を更に行う必要がある。計算が完了した後、処理モジュール42はさらに、計算結果を変換モジュール41に返す必要があり、計算結果は、変換モジュール41によってデジタルフォーマットからアナログ信号フォーマットのアナログ制御信号に変換される。そして、送信機61は、送信機61によって出射されるレーザ光の波長を制御するために、アナログ制御信号を受信して動作電流の大きさを制御する。
【0155】
図15において、ステップS310の「第1の電圧信号V1をアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換」は、ステップS210の「第1の電圧信号V1または第2の電圧信号V2をデジタル信号フォーマットに変換」により実現されてもよい。
【0156】
一実施形態では、本出願による方法は、
レーザ自己混合装置60のフィードバック強度Cを1未満に設定するステップ
をさらに含んでもよい。
【0157】
具体的には、本実施形態では、レーザ自己混合装置60のフィードバック強度は、送信機61によって伝送されたレーザ光が収音キャビティ内で自己混合され、伝搬媒体利得と光損失とを組み合わせ、位相重畳を受けることによって得られるレーザ光の強度および周波数の、最初に出射されるレーザ光の強度および周波数に対する変化として理解されよう。フィードバック強度は、マイクロフォン100の前方キャビティの高さ、反射部312の反射率、レーザの線幅、レーザ光の周波数、レーザ自己混合装置60の共振キャビティの高さなどに関係する。フィードバック強度C>1の場合、受信機62によって受信された光信号は、位相変化を受ける可能性があり、高い位相雑音を伴う可能性がある。フィードバック強度C=1の場合、歪み信号の位相ジャンプおよび位相雑音は、それに応じて減少する。フィードバック強度C<1の場合、受信機62が受信した光信号に位相ジャンプが発生せず、位相雑音が比較的低い。したがって、本実施形態では、レーザ自己混合装置60のフィードバック強度が制御され、その結果、受信機62によって受信されるレーザ信号の品質が保証されることができる。
【0158】
前述の説明は、本出願の特定の実施形態にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。例えば、構造部材を取り除くまたは追加すること、および構造部材の形状を変更することといった、本出願に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に想到されるいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内にあるものとする。本出願の実施形態および実施形態の特徴は、矛盾が生じない限り、互いに組み合わせることができる。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0159】
10 基板
11 収音孔
20 保護カバー
21 保護プレート
22 保護壁
23 内側キャビティ
30 振動板装置
31 膜
32 バックキャビティ
33 収音キャビティ
40 処理部
41 変換モジュール
42 処理モジュール
60 レーザ自己混合装置
61 送信機
62 受信機
63 トランスインピーダンスアンプ
64 オペアンプ
65 ローパスフィルタ
66 ハイパスフィルタ
100 マイクロフォン
200 電子デバイス
201 制御チップ
202 オーディオ復号部
203 オーディオ増幅部
204 スピーカ
311 本体
311a 第1の面
311b 第2の面
312 反射部
313 バリア層
313a、313b 熱酸化層
314 圧電抵抗感応部
315 伝送部
315b ビア
316 保護層
317 均衡孔
318 金属層
319 伝送路
321 貫通孔
322 収容領域
341 圧電抵抗振動板チップ
342 圧電振動板チップ
A1 第1の電流信号
V0 予め設定された閾値
V1 第1の電圧信号
V2 第2の電圧信号
VT1 第1の変調電圧信号
C フィードバック強度
H 距離
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォンに適用される音声キャプチャ方法であって、前記マイクロフォンは、レーザ自己混合装置および振動板装置を備え、前記振動板装置は、膜を備え、前記膜は、音声振動に応答するように構成され、前記レーザ自己混合装置および前記振動板装置は、前記膜の振動を検出するように別々に構成され、
前記方法は、
前記レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号を取得し、前記振動板装置を使用して第2の電圧信号を同時に取得するステップと、
前記第1の電圧信号が予め設定された閾値以下である場合、前記第1の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップ、または、第1の電圧信号が前記予め設定された閾値より大きい場合、第2の電圧信号をオーディオ信号に変換するステップと
を含む、音声キャプチャ方法。
【請求項2】
前記レーザ自己混合装置は、送信機および受信機を備え、前記レーザ自己混合装置を使用して第1の電圧信号を取得する前記ステップは、
前記膜に向けてレーザ光を出射するために前記送信機を制御するステップと、
前記受信機を使用して、前記膜によって反射された
前記レーザ光を受信し、第1の電流信号を形成するステップと、
前記第1の電流信号を前記第1の電圧信号に変調するステップと
を含む、請求項1に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項3】
前記レーザ自己混合装置は、トランスインピーダンスアンプおよびオペアンプをさらに備え、
前記第1の電流信号を前記第1の電圧信号に変調する前記ステップは、
前記トランスインピーダンスアンプを使用して前記第1の電流信号を第1の変調電圧信号に変換するステップと、
前記オペアンプを使用して前記第1の変調電圧信号を増幅するステップと、
前記第1の電圧信号を形成するために、増幅された第1の変調電圧信号に対してフィルタリングを行うステップと
を含む、請求項2に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項4】
前記振動板装置は、振動板チップを備え、前記振動板装置を使用して第2の電圧信号を取得する前記ステップは、
前記振動板チップを使用して、前記膜の変位によって形成された歪み信号を収集するステップと、
前記歪み信号を前記第2の電圧信号に変換するステップと
を含む、請求項
1に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項5】
前記膜に向けて出射される前記レーザ光の波長を調整するために、前記第1の電圧信号に基づいて制御信号を形成し、前記制御信号を前記送信機に出力するステッ
プ
をさらに含む、請求項
1に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項6】
前記膜に向けて出射される前記レーザ光の波長を調整するために、前記第1の電圧信号に基づいて制御信号を形成し、前記制御信号を前記送信機に出力する前記ステップは、
前記制御信号を形成するために、前記第1の電圧信号に基づく計算によって前記レーザ光の最適動作波長を取得するステップと、
前記膜に向けて出射される前記レーザ光の前記波長を制御するために、前記制御信号に基づいて前記送信機の動作電流の大きさを制御するステップと
を含む、請求項5に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項7】
前記レーザ自己混合装置のフィードバック
係数Cが1未満である、請求項
1に記載の音声キャプチャ方法。
【請求項8】
電子デバイスであって、マイクロフォンを備え、前記マイクロフォンは、請求項1から7のいずれか一項に記載の音声キャプチャ方法を使用して収音を行う、電子デバイス。
【請求項9】
基板と、保護カバーと、レーザ自己混合装置と、振動板装置と、処理部とを備え、
前記保護カバーおよび前記処理部は、共に前記基板に固定され、前記保護カバーおよび前記基板は、筐体を介して内側キャビティを形成し、前記レーザ自己混合装置および前記振動板装置は、前記内側キャビティ内に固定され、それぞれ前記処理部に通信可能に接続され、
前記振動板装置は、膜およびバックキャビティを備え、前記バックキャビティは、前記基板に固定され、前記膜は、前記バックキャビティの、前記基板とは反対側に位置し、前記膜および前記バックキャビティは、前記基板上の筐体を介して収音キャビティを形成し、
前記レーザ自己混合装置は、送信機および受信機を備え、前記送信機および前記受信機は、共に前記収音キャビティ内に収容され、前記基板に固定され、前記送信機は、前記膜に向けてレーザ光を出射するように構成され、前記受信機は、前記膜によって反射されたレーザ光を受信するように構成され、
前記基板には、複数の収音孔がさらに設けられ、前記収音キャビティは、前記複数の収音孔を介して外部と連通している、
マイクロフォン。
【請求項10】
前記膜は、反射部を備え、前記反射部は、前記膜の、前記基板に面する表面上に位置し、前記送信機から出射される前記レーザ光は、前記反射部で反射された後に前記受信機で受信される、請求項9に記載のマイクロフォン。
【請求項11】
前記反射部は、前記膜の幾何学的中心に位置し、前記基板上の前記送信機および前記受信機は、前記基板上の前記反射部の投影領域内に位置する、請求項10に記載のマイクロフォン。
【請求項12】
前記振動板装置は、振動板チップを備え、前記振動板チップは、前記膜の振動を検出し、第2の電圧信号を形成し、前記第2の電圧信号を前記処理部に伝送するように構成される、請求項
9に記載のマイクロフォン。
【請求項13】
前記膜は、圧電膜または圧電抵抗膜であり、前記振動板チップは、対応して圧電振動板チップまたは圧電抵抗振動板チップである、請求項12に記載のマイクロフォン。
【請求項14】
前記膜の厚みDは、0.1
μm≦D≦1
μmの条件を満たす、請求項
9に記載のマイクロフォン。
【請求項15】
前記反射部と前記送信機との間の距離Hは、20
μm≦H≦100
μmの条件を満たす、請求項
9に記載のマイクロフォン。
【請求項16】
請求項
9から14のいずれか一項に記載のマイクロフォンを備え、前記マイクロフォンは、オーディオ信号を収集するように構成される、電子デバイス。
【国際調査報告】