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特表2024-538822エアロゾル発生装置、誘導コイル及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置、誘導コイル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20241016BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525488
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2022130933
(87)【国際公開番号】W WO2023083223
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111318784.9
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211351480.7
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】戚祖強
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC34
(57)【要約】
本出願はエアロゾル発生装置及び誘導コイルを開示する。エアロゾル発生装置は、変化する磁界を発生させるための誘導コイルと、変化している磁界中で誘導発熱して、エアロゾル発生基質、例えば液体基質を加熱してエアロゾルを発生するサセプタと、を含む。ここで、誘導コイルの導線材料が2束以上の線心を含み、線心が2本以上の導電糸を含み、それにより、自身が電流オフセットを形成することを抑制し、誘導コイル自身の内部損失を低減することができる。又は、誘導コイルの導線材料が複数束の線心を含み、1束あたりの線心が複数の導電糸を1回又は複数回撚糸して形成されたものであり、複数の導電糸の1回目の撚糸で使用される導電糸の数量が3~20であり、それにより、糸切れ現象の発生を回避し、誘導コイル自身の交流インピーダンスを低下させ、内部近接効果による損失を減少させ、エアロゾル発生装置の発熱効率を高めることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変化する磁界を発生させるための誘導コイルと、
変化している磁界中で誘導発熱して、エアロゾル発生基質を加熱してエアロゾルを発生させるためのサセプタと、を含み、
前記誘導コイルの導線材料が2束以上の線心を含み、前記線心が2本以上の導電糸を含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記誘導コイルの導電材料は、断面が円形又は矩形であることを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記誘導コイルは、ソレノイドコイル又は平面のスパイラルコイルとして構造されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記誘導コイルの導線材料は、3~10束の前記線心を含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記導電糸は、0.02~0.2mmの直径を有することを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記導電糸は、1~6%の破断伸び百分率を有することを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記線心は、50MPaを超える極限引張強度を有することを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記線心における2本以上の前記導電糸は、撚糸されたものであり、及び/又は
前記誘導コイルの導線材料における2束以上の前記線心は、撚糸されたものであることを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記線心は、2本以上の前記導電糸を被覆するための第1被覆層をさらに含み、及び/又は
前記誘導コイルは、2束以上の前記線心を被覆するための第2被覆層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記エアロゾル発生基質は、液体基質を含み、前記サセプタは、液体基質を加熱してエアロゾルを発生させるように構成され、1束あたりの前記線心は、複数の導電糸を1回又は複数回撚糸して形成されたものであり、前記複数の導電糸の1回目の撚糸で使用される導電糸の数量が3~20であることを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記線心は、複数の導電糸を3回又は4回撚糸して形成されたものであることを特徴とする請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記導電糸の直径は、0.01mm~0.05mmであることを特徴とする請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記誘導コイルの導線材料は、500~2000本の前記導電糸を含むことを特徴とする請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記誘導コイルに提供される動作周波数は、500KHz~3MHzであることを特徴とする請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記誘導コイルは、ソレノイドコイルとして構造され、前記ソレノイドコイルは、巻き数が4巻き~20巻きであることを特徴とする請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項16】
前記ソレノイドコイルは、中空部分の断面が楕円形であることを特徴とする請求項15に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項17】
前記ソレノイドコイルは、隣接する巻線の間隔が0.1~2mmであることを特徴とする請求項15に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項18】
変化する磁界を発生させるように構成されるエアロゾル発生装置用誘導コイルであって、前記誘導コイルの導線材料が、複数束の線心を含み、1束あたりの前記線心が、複数の導電糸を1回又は複数回撚糸して形成されたものであり、前記複数の導電糸の1回目の撚糸で使用される導電糸の数量が3~20であることを特徴とする、エアロゾル発生装置用誘導コイル。
【請求項19】
エアロゾル発生装置用誘導コイルを製造する方法であって、
3~20本の導電糸を用意し、1回目の撚糸を経て第1段線心を得ることと、
複数束の第1段線心を用意し、複数束の第1段線心に対して2回目の撚糸をした後に第2段線心を得ることと、
複数束の第2段線心を用意し、複数束の第2段線心に対して3回目の撚糸をした後に前記誘導コイルの導線材料を形成することと、を含むことを特徴とするエアロゾル発生装置用誘導コイルを製造する方法。
【請求項20】
複数束の第2段線心に対して3回目の撚糸をし後に第3段線心を得ることと、
複数束の第3段線心を用意し、複数束の第3段線心に対して4回目の撚糸をした後に前記誘導コイルの導線材料を形成することと、をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月9日に中国特許庁へ提出された、出願番号が202111318784.9、発明の名称が「エアロゾル発生装置及び誘導コイル」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、さらに2022年10月31日に中国特許庁へ提出された、出願番号が202211351480.7、発明の名称が「電子霧化装置、誘導コイル及びその方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【0003】
本発明の実施例は、電子霧化の技術分野に関し、特にエアロゾル発生装置、誘導コイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
シガレット製品(例えば、タバコ、葉巻等)は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を発生させるものである。タバコを燃焼させるこれらの製品の代替として、燃焼せずに化合物を放出する製品を製造する試みがなされている。このような製品の例としては、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する加熱装置がある。例えば、該材料は、タバコ製品でもよいし、他の非タバコ製品でもよく、これらの非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0005】
エアロゾル発生装置は、既知の加熱装置として、誘導コイルにより磁界を発生させ、サセプタが発熱するように誘導することで、霧化液体基質を加熱して化合物を放出させ、使用者が吸い込むためのエアロゾルを発生することができる。
【0006】
しかしながら、従来のエアロゾル発生装置の誘導コイルは、1本又は複数本の細かい導電糸からなるものであるため、製造時、撚糸の過程で糸切れ現象が発生しやすく、コイルの交流インピーダンスが大きく、エアロゾル発生装置の発熱効率が低い。
【発明の概要】
【0007】
本出願の第1態様は、変化する磁界を発生させるための誘導コイルと、変化している磁界中で誘導発熱して、エアロゾル発生基質を加熱してエアロゾルを発生するためのサセプタとを含み、前記誘導コイルの導線材料が2束以上の線心を含み、前記線心が2本以上の導電糸を含む、エアロゾル発生装置を提供する。
【0008】
より好ましい実施において、前記誘導コイルの導電材料は、断面が円形又は矩形である。
【0009】
より好ましい実施において、前記誘導コイルは、ソレノイドコイル又は平面のスパイラルコイルとして構造される。
【0010】
より好ましい実施において、前記誘導コイルの導線材料は、3~10束の前記線心を含む。
【0011】
より好ましい実施において、前記導電糸は、0.02~0.2mmの直径を有する。
【0012】
より好ましい実施において、前記導電糸は、1~6%の破断伸び百分率を有する。
【0013】
より好ましい実施において、前記線心は、50MPaを超える極限引張強度を有する。
【0014】
より好ましい実施において、前記線心における2本以上の前記導電糸は、撚糸されたものであり、及び/又は、前記誘導コイルの導線材料における2束以上の前記線心は、撚糸されたものである。
【0015】
より好ましい実施において、前記線心は、2本以上の前記導電糸を被覆するための第1被覆層をさらに含み、及び/又は、前記誘導コイルは、2束以上の前記線心を被覆するための第2被覆層をさらに含む。
【0016】
より好ましい実施において、前記エアロゾル発生基質は、液体基質を含み、前記サセプタは、液体基質を加熱してエアロゾルを発生するように構成され、1束あたりの前記線心は、複数の導電糸を1回又は複数回撚糸して形成されたものであり、前記複数の導電糸の1回目の撚糸で使用される導電糸の数量が3~20である。
【0017】
より好ましい実施において、前記線心は、複数の導電糸を3回又は4回撚糸して形成されたものである。
【0018】
より好ましい実施において、前記導電糸の直径は、0.01mm~0.05mmである。
【0019】
より好ましい実施において、前記誘導コイルの導線材料は、500~2000本の前記導電糸を含む。
【0020】
より好ましい実施において、前記誘導コイルに提供される動作周波数は、500KHz~3MHzである。
【0021】
より好ましい実施において、前記誘導コイルは、ソレノイドコイルとして構造され、前記ソレノイドコイルは、巻き数が4巻き~20巻きである。
【0022】
より好ましい実施において、前記ソレノイドコイルは、中空部分の断面が楕円形である。
【0023】
より好ましい実施において、前記ソレノイドコイルは、隣接する巻線の間隔が0.1~2mmである。
【0024】
本出願の第2態様は、変化する磁界を発生させるように構成されるエアロゾル発生装置用誘導コイルであって、前記誘導コイルの導線材料が、複数束の線心を含み、1束あたりの前記線心が、複数の導電糸を1回又は複数回撚糸して形成されたものであり、前記複数の導電糸の1回目の撚糸で使用される導電糸の数量が3~20である、エアロゾル発生装置用誘導コイルを提供する。
【0025】
本出願の第3態様は、3~20本の導電糸を用意し、1回目の撚糸を経て第1段線心を得るステップと、複数束の第1段線心を用意し、複数束の第1段線心に対して2回目の撚糸をした後に第2段線心を得るステップと、複数束の第2段線心を用意し、複数束の第2段線心に対して3回目の撚糸をした後に前記誘導コイルの導線材料を形成するステップと、を含む、エアロゾル発生装置用誘導コイルを製造する方法を提供する。
【0026】
より好ましい実施において、複数束の第2段線心に対して3回目の撚糸をした後に第3段線心を得、複数束の第3段線心を用意し、複数束の第3段線心に対して4回目の撚糸をした後に前記誘導コイルの導線材料を形成する。
【0027】
上記の誘導コイルは、自身が電流オフセットを形成することの抑制、及び誘導コイル自身の内部損失の低減に有利である。且つ上記エアロゾル発生装置の誘導コイルは、糸切れ現象の発生を回避し、誘導コイル自身の交流インピーダンスを低下させ、内部近接効果による損失を減少させ、エアロゾル発生装置の発熱効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
1つ又は複数の実施例についてはそれに対応する図面中の図によって例示的に説明するが、これらの例示的説明は実施例を限定するものではなく、図面において同じ参照用数字符号を付けた素子/モジュール及び工程は類似的な素子/モジュール及び工程であることを示し、特に断らない限り、図面中の図は比例を制限するものではない。
図1】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供されるエアロゾル発生装置の構造模式図である。
図2図1における誘導コイルの一角度からの構造模式図である。
図3図2における誘導コイルの導線材料の断面模式図である。
図4】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供される別の実施実例の誘導コイルの導線材料の断面模式図である。
図5】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供される別の実施実例の誘導コイルの一角度からの断面模式図である。
図6図5における誘導コイルの導線材料の断面模式図である。
図7】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供される別の実施実例の誘導コイルの構造模式図である。
図8】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供される別の実施実例の誘導コイルの構造模式図である。
図9】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供される別の実施実例のエアロゾル発生装置の構造模式図である。
図10】本出願の具体的な実施形態における実施例1で提供される誘導コイル及び比較例の誘導コイルの使用中の自身温度変化曲線である。
図11】本出願の具体的な実施形態における実施例2で提供されるエアロゾル発生装置の模式図である。
図12】本出願の具体的な実施形態における実施例2で提供される誘導コイルの模式図である。
図13】本出願の具体的な実施形態における実施例2で提供される誘導コイルの導線材料の断面模式図である。
図14】本出願の具体的な実施形態における実施例2で提供される誘導コイルの別の導線材料の断面模式図である。
図15】本出願の具体的な実施形態における実施例2で提供される別の誘導コイルの模式図である。
図16】本出願の具体的な実施形態における実施例2で提供される誘導コイル形成方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願を容易に理解するために、以下に図面及び具体的な実施形態を併せて、本出願についてより詳細に説明する。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者が通常理解する意味と同一である。本出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本出願を限定するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意及び全ての組合せを含む。
【0030】
本出願で提供されるエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基質を加熱して、吸引可能なエアロゾルを発生するためのものである。エアロゾル発生基質は、固体基質であってもよいし、液体基質であってもよく、上記エアロゾル発生基質を担持する担体は、棒状又はロッド状のエアロゾル発生製品であってもよく、該エアロゾル発生製品は、少なくとも1つの揮発性固体基質を含み、担体は、一定容量の液体基質を収容可能なポッドであってもよく、ポッド内部には、液体基質を貯蔵するためのリザーバ室又は保持媒体がある。本出願を容易に理解するために、以下において図面及び具体的な実施形態を併せて本出願をより詳細に説明する。
実施例1
【0031】
本出願の一実施例は、エアロゾル発生装置を提出し、その構造については図1を参照することができ、
エアロゾル発生基質Aが取り除き可能に受け入れられるキャビティと、
交番電流下で変化する磁界を発生させるための誘導コイル50と、
少なくとも一部がキャビティ内を延在するサセプタ30であって、誘導コイル50に誘導結合し、変化する磁界により貫通されて発熱し、さらにエアロゾル発生基質A、例えば巻タバコを加熱して、エアロゾル発生基質Aの少なくとも1つの成分を発揮させ、喫煙用のエアロゾルを形成するサセプタ30と、
直流電流を出力できる充電可能な直流電池セルである電池セル10と、
充電可能な電池セル10に適切に電気的接続されることで、電池セル10から出力された直流電流を、適切な周波数を有する交番電流に変換してから誘導コイル50に供給するための回路20と、を含む。
【0032】
製品の使用における設定に応じて、図1に示すように、誘導コイル50は、螺旋状に巻かれた円柱形インダクタコイルを含んでもよい。螺旋状に巻かれた円柱形誘導コイル50は、約5mm~約10mm範囲内の半径rを有してもよく、特に、半径rは約7mmであってもよい。螺旋状に巻かれた円柱形誘導コイル50は、長さが約8mm~約14mmの範囲内であってもく、巻き数が約8巻き~15巻きの範囲内である。それに応じて、内部体積は、約0.15cm~約1.10cmの範囲内であり得る。
【0033】
より好ましい実施において、回路20が誘導コイル50に供給する交番電流の周波数は、80KHz~500KHzであり、より具体的には、前記周波数は、約200KHz~300KHzの範囲であってもよい。
【0034】
好ましい一実施例において、電池セル10が提供する直流電源電圧は、約2.5V~約9.0Vの範囲内であり、電池セル10により提供可能な直流電流のアンペア数は、約2.5A~約20Aの範囲内である。
【0035】
好ましい一実施例において、サセプタ30はほぼピン状、針状、棒状又はブレード状の形状を呈し、さらにエアロゾル発生基質Aへの挿入に有利である。また、サセプタ30は、約12ミリメートルの長さ、約4ミリメートルの幅、及び約0.5ミリメートルの厚さを有してもよく、且つグレード430のステンレス鋼(SS430)で製造されてもよい。代替的な実施例として、サセプタ30は、約12ミリメートルの長さ、約5ミリメートルの幅及び約0.5ミリメートルの厚さを有してもよく、且つグレード430のステンレス鋼(SS430)で製造されてもよい。他の変形実施例において、サセプタ30は、円筒状又は管状に構造されてもよく、使用時に、その内部空間はエアロゾル発生基質Aを受け入れるためのキャビティを形成し、そして、エアロゾル発生基質Aの外周を加熱することで、喫煙用のエアロゾルを発生する。これらのサセプタ30はさらに、グレード420のステンレス鋼(SS420)、及び鉄/ニッケル含有合金材料(例えばパーマロイ)で製造されてもよい。
【0036】
図1に示す実施例において、エアロゾル発生装置は、誘導コイル50及びサセプタ30を配置するためのホルダ40をさらに含み、該ホルダ40の材質は、例えばPEEK又はセラミックス等の耐高温非金属材料を含んでもよい。実施において、誘導コイル50は、ホルダ40の外壁に巻回されて固定されている。また、図1に示すように、該ホルダ40は中空の管状形状であり、その管状の中空空間の一部は上記のエアロゾル発生基質Aを受け入れるためのキャビティを形成する。
【0037】
選択的な実施において、サセプタ30は、上記の感受性材料で製造されるか、又はセラミックス等の耐熱性基材の外面に電気めっき、堆積等によって感受性材料コーティングを形成してなる。
【0038】
さらに、図2は一実施例における誘導コイル50の構造模式図を示す。誘導コイル50は、細長い導線材料により巻回されたソレノイドコイルであり、組立後、キャビティ及び/又はサセプタ30の周りに配置される。該実施例では、誘導コイル50は、導線材料の断面輪郭が円形である。
【0039】
さらに、図3図2における誘導コイル50の導線材料の一実施例の断面模式図を示す。実施において、誘導コイル50の導線材料は、少なくとも2束の線心51を含み、各線心51は、少なくとも2本の導電糸511を含む。より好ましい実施において、誘導コイル50の導線材料は、3~10束の線心51を含むことが適当であり、また、各線心51は、約10~50本の導電糸511を含むことが適当である。
【0040】
以上に対応して、実施において、誘導コイル50は、80KHz~500KHzの周波数で変化する磁界を発生させ、各導電糸511の最大径をスキンデプスの3分の1以下とすることが適当である。実施において、上記の周波数で動作する時のスキンデプスが約0.12~0.25mmであることに基づいて、各導電糸511の最大径を約0.02~0.07mmとすることが望ましい。
【0041】
いくつかの実施において、導電糸511は、銅、金、銀又はそれらの合金、及び炭素材料(炭素繊維又は他の導電性炭素材料)等の低抵抗率の金属又は合金から製造される。実施において、上記スキンデプスの要求を可能な限り満たすとともに、導電糸511を強度及び生産の点で容易に製造できるようにすることに基づき、好ましい実施例では、各導電糸511は約0.05~0.2mmの直径とすることが適当である。
【0042】
具体的には、導電糸511は、上記直径の銅線を採用すると、おおよそ約1~6%の破断伸び百分率を有し、生産製造及び強度等の容易性において有利である。そして、導電糸511は、線心51内に略均一に分布している。
【0043】
さらに、より好ましい実施において、誘導コイル50は、合計で12~200本の導電糸511を含んでもよい。具体的な一実施において、誘導コイル50は、5束の線心51を有し、各線心51は、24本の導電糸511を含み、各導電糸511は、直径が0.08mmであり、導電糸511は、銅線である。
【0044】
上記の複数束の線心51から構造された誘導コイル50は、単一の導線ワイヤで製造された誘導コイル50の動作中の「内部近接効果」(即ち、単一の導線ワイヤが発生した交流磁界は隣接する他の導線ワイヤに渦電流を発生する)を解消するのに役立ち、誘導コイル50自身による電流オフセットの形成の抑制に有利であり、さらに誘導コイル50の内部抵抗及び内部損失を低減させる。
【0045】
さらに、より好ましい実施において、線心51における各導電糸511同士が実質的に絶縁されるように、線心51における各導電糸511の表面にはいずれも堆積、吹き付け等によって絶縁塗装/絶縁膜等の絶縁材料層が形成されている。選択的な実施において、絶縁材料は、テフロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、芳香族アミドポリマー等を含むが、それらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施において、線心51は、複数の導電糸511を撚糸して形成されたものである。より好ましい実施において、複数の導電糸511は、時計回り又は反時計回りに撚糸される。
【0047】
他のいくつかの実施において、各線心51における導電糸511は、螺旋状に並列され、あるいは、一体に巻回されるか又は編み込まれ、それにより分散せずに安定して巻き取られる。
【0048】
各線心51は、線心51における導電糸511が分散することを防止又は阻止するように、撚糸された導電糸511を被覆するための第1被覆層512をさらに含む。好ましい実施において、第1被覆層512は、通常のケーブル製造において一般に用いられる絹巻き線(例えば酢酸繊維糸、ポリエステル繊維糸等)で製造される。
【0049】
好ましい実施において、導電糸511を撚糸した後に第1被覆層512を被覆してなる線心51は、約0.25~1mmの外径寸法を有する。
【0050】
より好ましい実施において、上記した撚糸した後に絹巻きしてなる線心51は、50MPaを超える極限引張強度を有する。
【0051】
あるいは、他のいくつかの変形する実施において、線心51は、略矩形の断面面積を有する。
【0052】
あるいは、他のいくつかの変形する実施において、導電糸511は、断面が矩形の薄片糸であり、例えば、銅箔を裁断して得られた細長い帯状の薄片糸である。
【0053】
具体的な一実施において、各線心51における第1被覆層512は、撚糸された後の導電糸511の外に酢酸繊維糸又はポリエステル繊維糸等の材料を熱風自己接着又はアセトン自己接着プロセスによって接着し、硬化させた後に形成されたものである。ここで、熱風自己接着プロセスは、撚糸された後の導電糸511の外に上記酢酸繊維糸又はポリエステル繊維糸等を巻回する時に、金型の温度が線材の接着温度となるように金型を熱風で加熱し、それにより酢酸繊維糸又はポリエステル繊維糸を導電糸511の外に接着成形して第1被覆層512を形成することであり、アセトン自己接着プロセスは、撚糸された後の導電糸511の外に上記酢酸繊維糸を巻回する過程で、アセトンをフェルト又はノズルにより糸の表面に塗布するか又は吹きかけ、アセトンにより酢酸繊維糸を接着し、硬化させた後に第1被覆層512を形成することである。
【0054】
あるいは、他の変形する実施において、上記線心51における第1被覆層512は、光ファイバー/ケーブル等の製造方法における、内部充填してから表面塗布する手法と同様にて得られたものである。いくつかの具体的な実施において、撚糸の過程で、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はナイロン等の充填物により導電糸511の間の隙間を充填し、その後、例えばフェノール樹脂、アルキド樹脂、ニトリルゴム又はエチレンプロピレンゴム等の被覆材料により被覆した後に得られる。製造した後に線心51における導電糸511の分散及び抜けを阻止するのに有利である。
【0055】
さらに、誘導コイル50の導線材料は、複数束の線心51を撚糸してなるものであるか、又は、誘導コイル50の導線材料は、複数束の線心51を螺旋状に並列し、あるいは、一体に巻回するか又は編み込んでなるものである。
【0056】
さらに、実施において、誘導コイル50は、複数束の線心51が分散することを防止又は阻止するように、撚糸された複数束の線心51を被覆するための第2被覆層52をさらに含む。類似的に、上記第2被覆層52も、第1被覆層512と類似する上記材料及びプロセスによって製造される。
【0057】
より好ましい実施において、さらに複数束の線心51を撚糸して、且つ第2被覆層52を被覆した誘導コイル50は、断面が約1~3mmの外径寸法を有する。
【0058】
同様に、上記第1被覆層512及び第2被覆層52は、基本的には絶縁材料であり、製造が終了した後、線心51同士は絶縁される。
【0059】
さらに、図4は他の実施例に係る誘導コイル50aの導線材料の断面模式図を示す。該実施例に係る誘導コイル50aは、
2本以上の導線51aと、各導線51aに少なくとも2束含まれる線心511aと、各線心511aに複数含まれる導電糸5111aと、を含む。
【0060】
好ましい一実施において、図4に示す実施例に係る誘導コイル50aの導線材料は、複数の図3に示す実施例に係る導線材料をさらに撚糸又は巻回して得られたものである。
【0061】
あるいは、他の変形する実施において、複数の図4に示す実施例に係る誘導コイル50aの導線材料をさらに撚糸又は巻回してよりよい誘導コイルを得てもよい。
【0062】
さらに、図5は別の実施例に係る誘導コイル50bの模式図を示す。該実施例における誘導コイル50bは、ソレノイドコイルの形式であり、且つ誘導コイル50bの導線材料は、断面が一般な円形とは異なる幅広い又は扁平な形状である。
【0063】
さらに、図6図5における誘導コイル50bの導線材料の断面模式図を示す。誘導コイル50bの導線材料の断面は、長手方向に延伸する第1寸法d1、及び長手方向に垂直な径方向に延伸する第2寸法d2を有し、且つ長手方向に延伸する第1寸法d1が径方向に延伸する第2寸法d2よりも大きく、それにより、誘導コイル50bの導線材料の断面を略扁平な矩形形状とする。好ましい一実施において、第1寸法d1が約1~mmであり、第2寸法d2が約0.1~0.5mmである。いくつかの実施例において、誘導コイル50bの導線材料の断面は、上記2つの方向における最大寸法が異なるように形成され、例えば楕円形である。
【0064】
簡単に言えば、上記の導線材料の断面が扁平状である誘導コイル50bは、導線材料の形が完全に又は少なくとも平坦化される。そのため、導線材料の径方向への延伸が小さい。これにより、誘導コイル50bにおけるエネルギー損失を低減することができる。同時に、誘導コイル50bを径方向により薄くすることができ、表皮効果の低減に有利である。
【0065】
さらに、図6を参照し、誘導コイル50bの導線材料には、少なくとも2束の線心51bが含まれ、各線心51bには、いずれも複数の撚糸又は巻回された導電糸511bが含まれる。より好ましい実施において、線心51bは、導線材料の断面の長手方向に沿って配列又は配置される。
【0066】
あるいは、図7に示す実施において、誘導コイル50cは、断面が四角形のソレノイド形状に構造される。
【0067】
図8及び図9は別の変形実施例における誘導コイル50d及び誘導コイル50dを有するエアロゾル発生装置の模式図を示す。該実施例において、誘導コイル50dは。平面のスパイラルコイルとして構造される。
【0068】
いくつかの実施において、誘導コイル50dの導線材料の断面は一般な円形である。あるいは、他のいくつかの変形する実施において、誘導コイル50dの導線材料の断面は扁平状又は矩形である。具体的には、例えば、誘導コイル50dの導線材料の径方向の延伸寸法は、軸方向の延伸寸法よりも大きく、これにより断面は略矩形形状となる。
【0069】
そして、誘導コイル50dの導線材料は、上記少なくとも2束の導線束により撚糸又は巻回されて形成されてもよく、同様に、各導線束には、いずれも少なくとも2本の撚糸又は巻回された導電糸が含まれる。
【0070】
さらに、図9に示すように、該実施例に係るエアロゾル発生装置は、
エアロゾル発生基質Aを受け入れるためのキャビティが画定されるホルダ40dと、
少なくとも一部がキャビティ内に位置し、変化する磁界により貫通されて発熱し、キャビティ内に受け入れられるエアロゾル発生基質Aを加熱するサセプタ30dと、
エアロゾル発生装置の長手方向に略垂直に配置され、変化する磁界を発生させるための平面の誘導コイル50dと、を含む。
【0071】
より好ましい実施において、平面の誘導コイル50dは、サセプタ30d/ホルダ40dと回路20との間に位置づけられる。
【0072】
より好ましい実施において、平面の誘導コイル50dは、サセプタ30dと同軸に配置される。あるいは、サセプタ30dの中心軸線は、平面の誘導コイル50dの中心軸線と概ね重なり合う。
【0073】
好ましい実施において、平面の誘導コイル50dは、第1支持部材60d及び第2支持部材70dにより支持されて固定される。
【0074】
いくつかの実施において、第1支持部材60d及び/又は第2支持部材70dは、平面の誘導コイル50dに平行なシート状又はプレート状である。
【0075】
さらに、図10図3に示す構造の導線材料の誘導コイル50に振幅6A、周波数200KHz~300KHzの交番電流が供給される時に測定された誘導コイル50自身の温度変化曲線を示す。該測定実施例において、誘導コイル50は、120本の直径0.08mmの銅線を先に5束に分け、1束あたり24本をそれぞれ順に撚糸したものである。
【0076】
同様に、図10は比較例における誘導コイルに振幅6A、周波数200KHz~300KHzの交番電流が供給される時に測定された自身の温度変化曲線をさらに示す。該比較例において、誘導コイルは、120本の直径0.08mmの銅線をすべて1束として撚糸した導線材料で製造される。
【0077】
図10の測定結果によれば、比較例に係る誘導コイル自身の発熱は、常に実施例に係る誘導コイル50よりも高い。材料の銅線及び数量が同じであり、そして給電により供給される交番電流も同じである場合に、実施例に比べて比較例に係る誘導コイルのより高い温度は、材料又は内部抵抗によるものが少なく、内部近接効果によるものが多い。それに対して、実施例に係る誘導コイルは、自身が電流オフセットを形成することの抑制、及び誘導コイル自身の内部損失の低減に有利である。
実施例2
【0078】
図11は本出願の実施形態で提供されるエアロゾル発生装置の模式図である。
【0079】
図11に示すように、エアロゾル発生装置100は霧化器10及び電源アセンブリ20を含む。霧化器10は、電源アセンブリ20に取り外し可能に接続され、霧化器10と電源アセンブリ20は、バックル接続、磁気的接続等であってもよい。
【0080】
霧化器10は、サセプタ11及びリザーバ室(図示せず)を含む。リザーバ室は、霧化可能な液体基質を貯蔵するために用いられ、サセプタ11は、誘導コイル21と誘導結合し、変化する磁界により貫通されて発熱し、さらに液体基質を加熱して、喫煙用のエアロゾルを発生するように構成される。
【0081】
液体基質は、タバコ含有材料であることが好ましく、前記タバコ含有材料は、加熱時に液体基質から放出した揮発性タバコ香味化合物を含む。それに代えて又は加えて、液体基質は、非タバコ材料を含んでもよい。液体基質は、水、エタノール又は他の溶剤、植物抽出物、ニコチン溶液、天然又は人工の調味剤を含んでもよい。液体基質は、エアロゾル形成剤をさらに含むことが好ましい。適当なエアロゾル形成剤の例としては、グリセリン及びプロピレングリコールがある。
【0082】
一般に、サセプタ11は、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、青銅、コバルト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼又はオーステナイト系ステンレス鋼のうちから選ばれる少なくとも1つの材料で製造されてもよい。
【0083】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11は、液体基質に直接又は間接的に接触することで、熱を放出して液体基質を蒸発させることができる。さらに、霧化器10は、液体伝達ユニットをさらに含み、サセプタ11は、液体伝達ユニットを介して液体基質に間接的に接触する。液体伝達ユニットは、例えば、綿繊維、金属繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、多孔質セラミック等であってもよく、リザーバ室に貯蔵された液体基質を毛管現象によってサセプタ11に伝達することができる。いくつかの選択可能な実施において、サセプタ11は、液体基質と非接触のままで、輻射熱により液体基質を加熱してもよい。
【0084】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11は、閉ループ又は非閉ループの管状に構造され、サセプタ11は、液体伝達ユニットの内面にシート状の金網により巻き付けられて支持される。
【0085】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11は、管の一端から径方向に延伸する径方向部分をさらに含んでもよく、該径方向部分は、液体伝達ユニットの端部に貼り合わせられてもよい。
【0086】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11は、液体伝達ユニット内に埋設され、且つ液体伝達ユニットと同時焼成して霧化コアを形成する。こうして、液体基質は、サセプタ11の表面に接触するまで伝達してから霧化するのではなく、サセプタ11の近くで熱により霧化を開始する。一方では、サセプタ11と液体伝達ユニットとの間に熱伝導接触が存在し、空だきが発生せず、他方では、ほとんどの液体基質が霧化する時にサセプタ11と直接接触せず、サセプタ11による金属汚染を回避することができる。
【0087】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11は、間隔をおいた複数の閉ループを含んでもよく、各閉ループは、同じ又は異なる金属材料を含み、例えば、異なる閉ループの材料のキュリー温度点が異なる。
【0088】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11は、プレート状構造であってもよい。プレート状構造のサセプタ11上は、複数のメッシュを有してもよい。
【0089】
いくつかの例示的な実施において、サセプタ11の重量は、10mg~30mgである。10mg~25mgであることが好ましく、10mg~23mgであることがより好ましく、15mg~23mgであることがさらに好ましく、18mg~23mgであることがよりさらに好ましい。具体的な例では、サセプタ11の重量は、20mg、21mg等であってもよい。
【0090】
電源アセンブリ20は、誘導コイル21、回路22及び電池セル23を含む。
【0091】
誘導コイル21は、交番電流下で変化する磁界を発生させるように構成される。
【0092】
回路22は、エアロゾル発生装置100の全体的な動作を制御することができる。回路22は、電池セル23及び誘導コイル21の動作を制御するだけでなく、エアロゾル発生装置100における他の素子の動作をも制御する。
【0093】
一例において、回路22が誘導コイル21に供給する交番電流の周波数は、500KHz~3MHzであり、500KHz~2.5MHzであることが好ましく、500KHz~2MHzであることがより好ましく、500KHz~1.5MHzであることがさらに好ましく、500KHz~1MHzであることがよりさらに好ましい。例えば、回路22が誘導コイル21に供給する交番電流の周波数は、500KHZ、又は600KHZ、又は800KHZ、又は1.2MHZである。
【0094】
電池セル23は、エアロゾル発生装置100を作動させるための電力を供給する。電池セル23は、繰り返し充電可能な電池セルであっても使い捨て電池セルであってもよい。
【0095】
図12は本出願の実施形態で提供される誘導コイルの模式図である。
【0096】
図12に示すように、誘導コイル21は、本体211、電気接続部212、及び電気接続部213を含み、電気接続部212、電気接続部213は、電池セル23に電気的接続するために用いられる。
【0097】
組立後、本体211は、サセプタ11の周りに配置され、ホルダ(図示せず)に嵌着されてもよく、ホルダの形状は本体211と類似する。
【0098】
本体211は、細長い導線材料で巻回されたソレノイドコイルであり、例えば、500~2000本の導線、又は500~1900本の導線、又は700~1900本の導線、又は900~1900本の導線、又は1000~1900本の導線、又は1200~1900本の導線、又は1400~1900本の導線、又は1600~1900本の導線を巻いて成型される。
【0099】
導線材料の断面は、矩形、円形又は楕円形であってもよい。矩形の形状で、さらに誘導コイル21の導線材料を扁平な構造とすることが好ましく、単位長さあたりの誘導コイル21の巻き数を上げてさらにインダクタンス値を高めるのに有利である。
【0100】
本体211の軸方向における全長は、約5~20mmであり、具体的な一実施例において、誘導コイル21の軸方向における全長は、12.2mmである。
【0101】
本体211の中空部分の断面は非円形であり、例えば、楕円形であり、本体211の断面は、レースコース状である。いくつかの例において、楕円形の長軸と短軸との差は、0.5mm~2mmである。具体的には、該楕円形の長軸の長さは、8mm~15mmであり(好ましくは8mm~12mm、より好ましくは8mm~10mm、さらに好ましくは9mm~10mmである)、該楕円形の短軸の長さは、8mm~13mmである(好ましくは8mm~11mm、より好ましくは8mm~10mm、さらに好ましくは8mm~9mmである)。具体的な一実施例において、楕円形は、長軸の長さが9.7mmであり、短軸の長さが8.9mmである。該形状を有する本体211は、誘導コイル21の製造及び電源アセンブリ20への組み立てに有利である。
【0102】
ソレノイドコイルの巻き数又は巻き線は、4巻き~20巻きであり、6巻き~20巻きであることが好ましく、6巻き~15巻きであることがより好ましく、6巻き~12巻きであることがさらに好ましく、6巻き~10巻きであることがよりさらに好ましい。この程度の巻き数を有する誘導コイル21は、サセプタ11を加熱するための有効な磁界を提供することができる。
【0103】
隣接する巻線の間の間隔は、同じであっても異なってもよい。隣接する巻線の間の間隔は、約0.1~2mmであり、又は0.1mm~1.5mmであり、又は0.1mm~1mmであり、又は0.1mm~0.5mmである。具体的な一実施例において、隣接する巻線の間の間隔は、0.2又は0.4mmである。これらの特定の間隔は、サセプタ11の効率的な加熱を確保し、また、そのゆえに液体基質への効率的な加熱を確保することが見出された。
【0104】
図13は本出願の実施形態で提供される誘導コイルの導線材料の断面模式図である。
【0105】
説明すべきこととして、本実施例に記載の撚り導線30b、撚り導線30cは、実施例1に記載の線心であり、本実施例に記載の導線30aは、実施例1に記載の導電糸であり、同一対象物の異なる名称である。
【0106】
図13に示すように、誘導コイル21の導線材料30は、複数束の撚り導線30cを含み、1束あたりの撚り導線30c内はまた、複数束の撚り導線30bを含む。1束あたりの撚り導線30b内には、3~20本の導線30a、又は3~18本の導線30a、又は3~16本の導線30a、又は3~14本の導線30a、又は3~12本の導線30a、又は5~12本の導線30a、又は8~12本の導線30aがある。具体的な一実施例において、1束あたりの撚り導線30b内には10本の導線30aがあってもよい。
【0107】
一実施例において、導線30aは、銅、金、銀又はこれらの合金、並びに炭素材料(炭素繊維又は他の導電性炭素材料)等の低抵抗率の金属又は合金から製造される。
【0108】
一実施例において、導線30aの断面は、円形又は矩形であってもよい。好ましい実施では、導線30aの断面が円形であり、それにより、糸切れ現象の発生を回避することができる一方、誘導コイル自身の交流インピーダンスの低減に有利である。
【0109】
導線30aの断面形状が円形の場合の誘導コイル21の等価インピーダンス実数部(下表では「等価インピーダンス1」に対応する)、導線30aの断面形状が矩形の場合の誘導コイル21の等価インピーダンス実数部(下表では「等価インピーダンス2」に対応する)については、動作周波数、撚糸の回数、1回目の撚糸時の導線30aの数量(下表では「導線の数量」に対応する)等の条件が同じである場合に、インピーダンスアナライザにより測定して検証することができる。本測定中、撚糸の回数が2回撚糸であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が45本である。測定結果を下表に示す。
【0110】
【0111】
上記の測定結果から、同じ条件において、高い動作周波数の下でも、等価インピーダンス1の値は、等価インピーダンス2の値よりも小さく、即ち、導線30aの断面形状が円形の場合の誘導コイル21の等価インピーダンス実数部は、導線30aの断面形状が矩形の場合の誘導コイル21の等価インピーダンス実数部よりも小さいことが分かった。したがって、導線30aの断面形状が円形である場合は、誘導コイル自身の交流インピーダンスの低減に有利である。
【0112】
一実施例において、実施において誘導コイル21が500KHz~3MHzの周波数の下で変化する磁界を発生させるという上述したことに対応して、導線30aの直径が0.01mm~0.05mmであることが望ましい。具体的な一実施例において、導線30aの直径は、0.03mm又は0.04mmであってもよい。導線30aのより小さい直径は、誘導コイル21の表皮効果の影響を低下させ、サセプタの加熱効率を高めるのに有利であり、液体基質の霧化速度の向上に有利であり、また、線径が小さい導線を使用した誘導コイルは、サセプタの寸法及び重量の低減、及び電源アセンブリに合わせて使用する霧化器の体積の低減にも有利である。
【0113】
一実施例において、複数束の撚り導線30bの各々は、同じ数の導線を有してもよいし、異なる数の導線を有してもよい。例えば、1束の撚り導線30bは10本の導線30aを有するのに対して、他の撚り導線30bは15本の導線30aを有する。
【0114】
一実施例において、まず3~20本の導線30aに対して1回目の撚糸をした後に1束の撚り導線30bを得、次に複数束の撚り導線30bに対して2回目の撚糸をした後に1束の撚り導線30cを得、最後に、複数束の撚り導線30cに対して3回目の撚糸をした後に誘導コイル21の導線材料30を形成する。
【0115】
ここで、撚り導線30bの束数、撚り導線30cの束数は、限定されるものではなく、一般に誘導コイル21における導線30aの総本数によって決定することができる。例えば、本体211は、1600本の導線を巻いて成型される場合、まず10本の導線30aに対して1回目の撚糸をした後に1束の撚り導線30bを得、次に16束の撚り導線30bに対して2回目の撚糸をした後に1束の撚り導線30cを得、最後に10束の撚り導線30cに対して3回目の撚糸をした後に得ることができる。
【0116】
ここで、上記撚糸の過程で、時計回り又は反時計回りに撚糸してもよい。
【0117】
以上の構造の誘導コイル21は、糸切れ現象の発生を回避し、誘導コイル自身の交流インピーダンスを低下させることができ、内部近接効果による損失を減少させ、エアロゾル発生装置の発熱効率を高めることもできる。
【0118】
さらなる実施において、撚り導線30bにおける導線30aの各々の表面にも、撚り導線30bにおける各導線30a同士が実質的に絶縁されるように、堆積、吹き付け等によって絶縁塗装/絶縁膜等の絶縁材料層を形成することができ、選択可能な実施において、絶縁材料は、テフロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、芳香族アミドポリマー等を含むが、これらに限定されない。
【0119】
各撚り導線30bは、撚り導線30bにおける導線30aが分散することを防止又は阻止するように、撚糸された導線30aを被覆するための被覆層(図示せず)をさらに含む。好ましい実施において、被覆層は、通常のケーブル製造において一般に用いられる絹巻き線(例えば酢酸繊維糸、ポリエステル繊維糸等)で製造される。
【0120】
具体的な一実施において、各撚り導線30bにおける被覆層は、撚糸された後の導線30aの外に酢酸繊維糸又はポリエステル繊維糸等の材料を熱風自己接着又はアセトン自己接着プロセスによって接着し、硬化させた後に形成されたものである。ここで、熱風自己接着プロセスは、撚糸された後の導線30aの外に上記の酢酸繊維糸又はポリエステル繊維糸等を巻回する時に、金型の温度が線材の接着温度となるように金型を熱風で加熱し、それにより酢酸繊維糸又はポリエステル繊維糸を導線30aの外に接着成型して被覆層を形成することであり、アセトン自己接着プロセスは、撚糸された後の導線30aの外に上記の酢酸繊維糸を巻回する過程で、アセトンをフェルト又はノズルにより糸の表面に塗布するか又は吹きかけ、アセトンにより酢酸繊維糸を接着し、硬化させた後に被覆層を形成することである。
【0121】
あるいは、他の変形する実施において、上記撚り導線30bにおける被覆層は、光ファイバー/ケーブル等の製造方法における、内部充填してから表面塗布する手法と同様にして得られたものである。いくつかの具体的な実施において、撚糸の過程で、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はナイロン等の充填物により導線30aの間の隙間を充填し、その後、例えばフェノール樹脂、アルキド樹脂、ニトリルゴム又はエチレンプロピレンゴム等の被覆材料により被覆した後に得られる。製造した後に撚り導線30bにおける導線30aの分散及び抜けを阻止するのに有利である。
【0122】
さらに、実施において、同様に、上記と類似する被覆層により、複数束の撚り導線30b又は複数束の撚り導線30cの間も互いに絶縁される。
【0123】
図14は本出願の実施形態で提供される誘導コイルの他の導線材料の断面模式図である。
【0124】
図14に示す導線材料40は、複数束の撚り導線40aを含み、複数束の撚り導線40aに対して4回目の撚糸をした後に誘導コイル21の導線材料40を形成する点で図13と異なる。ここで、各撚り導線40aは図13に示す導線材料30と類似し、即ち3回の撚糸をした後に形成される。
【0125】
4回の撚糸をした後に形成された導線材料40は、さらに糸切れ現象の発生を回避し、誘導コイル自身の交流インピーダンスを低減させることができる。3回以上の撚糸をした後に形成された導線材料はいずれも上記の目的を達成できることが見出された。撚糸プロセスのコストを鑑みて、3回又は4回の撚糸プロセスにより導線材料を形成することが好ましい。
【0126】
撚糸の回数及び1回目の撚糸時の導線30aの数による影響をさらに検証するために、発明者は、2組の異なる測定条件により等価インピーダンス実数部を測定する。1つは、撚糸の回数が2回であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が45本(下表では「等価インピーダンス3」に対応する)であり、もう1つは、撚糸の回数が4回であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が10本(下表では「等価インピーダンス4」に対応する)である。他の測定条件は同じであり、例えば、動作周波数が500KHz~3MHz、導線30aの断面形状がいずれも円形である。インピーダンスアナライザにより測定して、測定結果を下表に示す。
【0127】
【0128】
上記の測定結果から、撚糸の回数が4回であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が10本である場合、交流インピーダンスが小さく、「撚糸の回数が2回であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が45本である」場合に対して、交流インピーダンスの低下幅が非常に大きいことが分かった。したがって、誘導コイルの撚り導線は、1回目の撚糸時に数量が少ない導線(例えば3~20本)を使用し、撚糸の回数(例えば3回以上)を増加すれば、電磁結合の効率を促し、サセプタの動作中での昇温速度を高め、エアロゾル発生装置が起動後に極めて短い時間内でエアロゾルを発生するようにすることができ、それにより液体基質を含むエアロゾル発生装置が起動後にほとんど待機せずに喫煙できるという使用上の要件を満たすようになる。
【0129】
また、「撚糸の回数が4回であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が10本である」場合は、撚糸の過程で、糸切れ現象が発生しないのに対して、「撚糸の回数が2回であり、1回目の撚糸時の導線30aの数量が45本である」場合は、糸切れ現象が発生した。
【0130】
図15は本出願の実施形態で提供される他の誘導コイルの模式図である。
【0131】
図15に示すように、誘導コイル21aは、平面のスパイラルコイルとして構造される。平面のスパイラルコイルの導線材料も複数の導線30aに対して複数回の撚糸をした後に形成されたものであり、ここで、1回目の撚糸中の導線30aの数量は3~20である。撚糸の回数が3回又は4回の撚糸プロセスとすることが好ましい。
【0132】
平面のスパイラルコイルは、エアロゾル発生装置100の長手方向に垂直な方向に沿って配置されてもよいし、エアロゾル発生装置100の長手方向に沿って配置されてもよい。平面のスパイラルコイルは、平面の誘導コイル21aに平行なシート状又はプレート状の支持部材により支持されてもよいし、他の部材に組み込まれてもよい。
【0133】
図16は本出願の実施形態で提供される誘導コイル形成方法の模式図である。
【0134】
図16に示すように、前記方法は、
3~20本の導線を用意し、1回目の撚糸をした後に第1段撚り導線を得るステップS11と、
複数束の第1段撚り導線を用意し、複数束の第1段撚り導線に対して2回目の撚糸をして第2段撚り導線を得るステップS12であって、複数束の第1段撚り導線の各々が同じ数の導線を有してもよいし、異なる数の導線を有してもよいステップS12と、
複数束の第2段撚り導線を用意し、複数束の第2段撚り導線に対して3回目の撚糸をした後に前記誘導コイルの導線材料を形成するステップS13と、を含む。
【0135】
一例において、前記方法はさらに、
複数束の第2段撚り導線に対して3回目の撚糸をした後に第3段撚り導線を得るステップと、
複数束の第3段撚り導線を用意し、複数束の第3段撚り導線に対して4回目の撚糸をした後に前記誘導コイルの導線材料を形成するステップと、を含む。
【0136】
説明すべきことは、本出願の明細書及び図面において本出願の好ましい実施例を示したが、本出願は、多くの異なる形態で実現でき、本明細書に記載の実施例に限定するわけでなく、これらの実施例は、本出願の内容に対する追加の制限ではなく、本出願の開示内容をより細かく深く完全に理解するために提供されるものである点である。また、上記各技術的特徴を互いに組み合わせ続け、以上に挙げられていない様々な実施例を形成することは、全て本出願の明細書に記載の範囲内であるとみなす。さらに、当業者であれば、上記説明に基づいて改良又は変更を加えることができ、これらの改良及び変更はいずれも本出願に添付の特許請求の範囲の保護範囲に属するものとする。
図1
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【国際調査報告】