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特表2024-538827PAMシグナリングのための受信機の位相調整のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】PAMシグナリングのための受信機の位相調整のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20241016BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04L25/03 Z
H04L25/49 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525889
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2021016025
(87)【国際公開番号】W WO2023080285
(87)【国際公開日】2023-05-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520208591
【氏名又は名称】ポインツ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POINT2 TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【弁理士】
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】キム テホ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ヒョソプ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ジョンギ
(72)【発明者】
【氏名】リム キョヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユー ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】パーク ジノ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ハイル
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA08
5K029FF02
5K029HH13
5K029KK33
(57)【要約】
本開示内容は、PAM受信機の独立的な位相調整のための装置および方法を提供することができる。前記装置は、マルチレベル入力データの信号レベル判定のためのサンプリングを行うように構成される複数のサンプラーと、前記サンプラーに共通サンプリングクロックを提供するように構成されるグローバルクロックソースと、前記共通サンプリングクロックの位相をそれぞれ調整して対応するサンプラーに適用されるサンプリング位相を提供するように構成される複数の位相調整器と、を含んでもよい。本開示内容によると、非対称的アイオープニングがある状況でも、各アイオープニングに対応するサンプラーのサンプリング位相を独立的に調整して信頼可能なBER性能を達成することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PAM(Pulse Amplitude Modulation)受信機の独立的な位相調整のための装置であって、
マルチレベル入力データの信号レベル判定のためのサンプリングを行うように構成される複数のサンプラーと、
前記サンプラーに共通サンプリングクロックを提供するように構成されるグローバルクロックソースと、
前記共通サンプリングクロックの位相をそれぞれ調整して対応するサンプラーに適用されるサンプリング位相を提供するように構成される複数の位相調整器と、を含む、
PAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項2】
前記マルチレベル入力データの複数のアイオープニング(Eye Opening)のそれぞれのアイオープニングの最大高さを測定し、該アイオープニングの最大高さに対応する位相Φをそれぞれ決定し、決定された位相をサンプリング位相として該アイオープニングに対応する位相調整器にそれぞれ提供するように構成されるアイオープニング測定部をさらに含む、
請求項1に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項3】
前記アイオープニング測定部は、該アイオープニングの最大高さに基づいて電圧しきい値Vthをそれぞれ決定し、決定された電圧しきい値を該アイオープニングに対応するサンプラーにそれぞれ提供するように構成される、
請求項2に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項4】
前記アイオープニング測定部は、
該アイオープニングに対する最大高さに対応する位相探索のための予想位相範囲を決定し、前記予想位相範囲の最小値位相から最大値位相まで予め決定された間隔で、各位相ごとに電圧しきい値の調整を通じる出力値カウンティングによって各位相でのアイ高さ(Eye Height)を計算し、計算されたアイ高さのうち最大高さの該アイオープニングを有する位相値を決定することによって、それぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相Φおよび電圧しきい値Vthをそれぞれ決定するように構成される、
請求項3に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項5】
前記マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであり、
前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、を含み、
前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第2サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、前記第3サンプラーに適用される第3サンプリング位相を提供する第3位相調整器と、を含む、
請求項1に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項6】
前記位相調整器の個数は、前記サンプラーの個数より少なく、
前記サンプラーのうち二つ以上のサンプラーを一つのグループに設定し、前記グループに対応する一つの位相調整器が前記グループのサンプラーにサンプリング位相を提供する、
請求項1に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項7】
前記マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであり、
前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、を含み、
前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーおよび前記第2サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第3サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、を含む、
請求項6に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項8】
前記マルチレベル入力データは、PAM-8入力データであり、
前記複数のサンプラーは、
第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、
第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、
第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、
第4アイオープニングの信号レベル判定のための第4サンプラーと、
第5アイオープニングの信号レベル判定のための第5サンプラーと、
第6アイオープニングの信号レベル判定のための第6サンプラーと、
第7アイオープニングの信号レベル判定のための第7サンプラーと、を含み、
前記複数の位相調整器は、
前記第1サンプラーおよび前記第2サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、
前記第3サンプラー、前記第4サンプラーおよび前記第5サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、
前記第6サンプラーおよび前記第7サンプラーに適用される第3サンプリング位相を提供する第3位相調整器と、を含む、
請求項6に記載のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置。
【請求項9】
複数のサンプラーおよび複数の位相調整器を含むPAM受信機の独立的な位相調整方法であって、
マルチレベル入力データの複数のアイオープニングのそれぞれのアイオープニングの最大高さを決定するステップと、
それぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相をそれぞれ測定するステップと、
それぞれのアイオープニングに対応する位相調整器でグローバルクロックソースから提供される共通サンプリングクロックの位相を決定された位相にそれぞれ調整するステップと、
前記調整された位相をサンプリング位相としてそれぞれの位相調整器に対応するサンプラーで前記マルチレベル入力データをサンプリングするステップと、を含む、
PAM受信機の独立的な位相調整方法。
【請求項10】
前記それぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相をそれぞれ決定するステップは、それぞれのアイオープニングの最大高さに基づいてそれぞれのアイオープニングに対する電圧しきい値をそれぞれ決定するステップを含み、
前記マルチレベル入力データをサンプリングするステップは、前記サンプリング位相および前記電圧しきい値に基づいて前記マルチレベル入力データをサンプリングするステップを含む、
請求項9に記載のPAM受信機の独立的な位相調整方法。
【請求項11】
前記それぞれのアイオープニングの最大高さを測定するステップは、
該アイオープニングに対する最大高さに対応する位相探索のための予想位相範囲を決定するステップと、
前記予想位相範囲の最小値位相から最大値位相まで予め決定された間隔で、各位相ごとに電圧しきい値の調整を通じる出力値カウンティングによって各位相でのアイ高さを計算するステップと、
計算されたアイ高さのうち最大高さを該アイオープニングの最大高さとして決定するステップと、を含む、
請求項9に記載のPAM受信機の独立的な位相調整方法。
【請求項12】
前記マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであり、
前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、を含み、
前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第2サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、前記第3サンプラーに適用される第3サンプリング位相を提供する第3位相調整器と、を含み、
前記それぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相をそれぞれ決定するステップは、前記第1サンプリング位相、前記第2サンプリング位相および前記第3サンプリング位相を決定するステップを含む、
請求項9に記載のPAM受信機の独立的な位相調整方法。
【請求項13】
前記位相調整器の個数は、前記サンプラーの個数より少なく、
前記サンプラーのうち二つ以上のサンプラーを一つのグループに設定し、前記グループに対応する一つの位相調整器が前記グループのサンプラーにサンプリング位相を提供する、
請求項9に記載のPAM受信機の独立的な位相調整方法。
【請求項14】
前記マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであり、
前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、を含み、
前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーおよび前記第2サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第3サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、を含み、
前記第1サンプリング位相は、前記第1アイオープニングおよび前記第2アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相である、
請求項13に記載のPAM受信機の独立的な位相調整方法。
【請求項15】
前記マルチレベル入力データは、PAM-8入力データであり、
前記複数のサンプラーは、
第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、
第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、
第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、
第4アイオープニングの信号レベル判定のための第4サンプラーと、
第5アイオープニングの信号レベル判定のための第5サンプラーと、
第6アイオープニングの信号レベル判定のための第6サンプラーと、
第7アイオープニングの信号レベル判定のための第7サンプラーと、を含み、
前記複数の位相調整器は、
前記第1サンプラーおよび前記第2サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、
前記第3サンプラー、前記第4サンプラーおよび前記第5サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、
前記第6サンプラーおよび前記第7サンプラーに適用される第3サンプリング位相を提供する第3位相調整器と、を含み、
前記第1サンプリング位相は、前記第1アイオープニングおよび前記第2アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相であり、前記第2サンプリング位相は、前記第3アイオープニング、前記第4アイオープニングおよび前記第5アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相であり、前記第3サンプリング位相は、前記第6アイオープニングおよび前記第7アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相である、
請求項13に記載のPAM受信機の独立的な位相調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、PAMシグナリングに関するものであり、より詳しくは、PAMシグナリングのための受信機の位相調整のための装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の発達によって膨大な量のデータを伝送および保存するためのデータセンターが運営されており、データの高速伝送のために光インターフェースに基づく伝送システムが適用され得る。
【0003】
大容量データの高速伝送のためには、PAM(Pulse Amplitude Modulation)のような高効率のマルチレベル信号方式が適用され得る。このようなマルチレベル信号は、アイパターン(Eye Pattern)と称される波形で現われることがあり、アイパターンのアイオープニング(Eye Opening)が大きくてきれいに現われるほど、信号のビット誤り率(BER:Bit Error Rate)が良好であると判断することができる。
【0004】
例えば、PAM-4変造方式を適用する場合、3個のアイオープニングが現われることがあり、PAM-8変造方式を適用する場合、7個のアイオープニングが現われることがある。このような複数個のアイオープニングに表現できるマルチレベル信号は、理想的な環境では対称的な(symmetric)アイオープニングを有することができる。しかし、光伝送システムの光-対-電気または電気-対-光の変換時に発生し得る歪曲、光分散、光学部品の線形特性の低下、タイミングスキュー(timing skew)などのような外部環境要因によってマルチレベル入力データは、非対称的(unsymmetric)アイオープニングを有することがある。非対称的アイオープニングを有する場合に最適の位相ポジションでサンプリングができない場合、特定の信号レベルでは、信号-対-雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が減少された条件でサンプリングが行われることになり、受信機のBER性能が低下するという問題点が発生することがある。
【0005】
これによって非対称的アイオープニングがある状況でも、信頼可能なBER性能を達成することができる受信機を開発する必要性が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題点を解決するための本開示内容は、信頼性のあるPAMシグナリングのための受信機の位相調整のための装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示内容の一実施例によると、PAM(Pulse Amplitude Modulation)受信機の独立的な位相調整のための装置が提示される。前記装置は、マルチレベル入力データの信号レベル判定のためのサンプリングを行うように構成される複数のサンプラーと、前記サンプラーに共通サンプリングクロックを提供するように構成されるグローバルクロックソースと、前記共通サンプリングクロックの位相をそれぞれ調整して対応するサンプラーに適用されるサンプリング位相を提供するように構成される複数の位相調整器と、を含んでもよい。
【0008】
また、前記装置は、前記マルチレベル入力データの複数のアイオープニング(Eye Opening)のそれぞれのアイオープニングの最大高さを測定し、該アイオープニングの最大高さに対応する位相Φをそれぞれ決定し、決定された位相をサンプリング位相として該アイオープニングに対応する位相調整器にそれぞれ提供するように構成されるアイオープニング測定部をさらに含んでもよい。
【0009】
また、前記アイオープニング測定部は、該アイオープニングの最大高さに基づいて電圧しきい値Vthをそれぞれ決定し、決定された電圧しきい値を該アイオープニングに対応するサンプラーにそれぞれ提供するように構成されてもよい。
【0010】
また、前記アイオープニング測定部は、該アイオープニングに対する最大高さに対応する位相探索のための予想位相範囲を決定し、前記予想位相範囲の最小値位相から最大値位相まで予め決定された間隔で、各位相ごとに電圧しきい値の調整を通じる出力値カウンティングによって各位相でのアイ高さ(Eye Height)を計算し、計算されたアイ高さのうち最大高さの該アイオープニングを有する位相値を決定することによって、それぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相Φおよび電圧しきい値Vthをそれぞれ決定するように構成されてもよい。
【0011】
また、前記マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであってもよい。このような場合に、前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、を含んでもよい。前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第2サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、前記第3サンプラーに適用される第3サンプリング位相を提供する第3位相調整器と、を含んでもよい。
【0012】
また、PAM-N入力データのような多レベルPAM-N信号(例えば、PAM-4、PAM-8、PAM-16、PAM-32など)の処理時に、PAM受信機は、受信機構造の複雑度を減少させ、消費電力を減少させることができるように複数個のサンプラーをグルーピングしてグループ当たり一つの位相調整器でサンプリング位相を適用させるように具現することができる。
【0013】
このような場合、PAM受信機に適用される位相調整器の個数は、サンプラーの個数より少なく、複数のサンプラーのうち二つ以上のサンプラーを一つのグループに設定し、前記グループに対応する一つの位相調整器が前記グループのサンプラーにサンプリング位相を提供することができる。
【0014】
例えば、前記マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであってもよい。このような場合に、前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、を含んでもよい。前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーおよび前記第2サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第3サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、を含んでもよい。
【0015】
また、例えば、前記マルチレベル入力データは、PAM-8入力データであってもよい。このような場合に、前記複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラーと、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラーと、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラーと、第4アイオープニングの信号レベル判定のための第4サンプラーと、第5アイオープニングの信号レベル判定のための第5サンプラーと、第6アイオープニングの信号レベル判定のための第6サンプラーと、第7アイオープニングの信号レベル判定のための第7サンプラーと、を含んでもよい。前記複数の位相調整器は、前記第1サンプラーおよび前記第2サンプラーに適用される第1サンプリング位相を提供する第1位相調整器と、前記第3サンプラー、前記第4サンプラーおよび前記第5サンプラーに適用される第2サンプリング位相を提供する第2位相調整器と、前記第6サンプラーおよび前記第7サンプラーに適用される第3サンプリング位相を提供する第3位相調整器と、を含んでもよい。
【0016】
本開示内容の一実施例によると、複数のサンプラーおよび複数の位相調整器を含むPAM受信機の独立的な位相調整方法が提示される。前記方法は、マルチレベル入力データの複数のアイオープニングのそれぞれのアイオープニングの最大高さを測定するステップと、それぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相をそれぞれ決定するステップと、それぞれのアイオープニングに対応する位相調整器でグローバルクロックソースから提供される共通サンプリングクロックの位相を決定された位相にそれぞれ調整するステップと、前記調整された位相をサンプリング位相としてそれぞれの位相調整器に対応するサンプラーで前記マルチレベル入力データをサンプリングするステップと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示内容によると、非対称的アイオープニングがある状況でも、各アイオープニングに対応するサンプラーのサンプリング位相を独立的に調整して信頼可能なBER性能を達成することができる。
【0018】
また、本開示内容によると、多レベルPAM-N信号を処理時に隣接するサンプラーの位相をグループごとにまとめて処理するように構成することによって、実質的に同一の性能を達成しながら受信機構造の複雑度を減少させ、消費電力を減少させることができるという効果がある。
【0019】
また、本開示内容によると、非対称的受信信号が存在する場合に送信機での校正なしに受信機内部で送信機の性能最適化のための歪曲を補償することができる効果があるので、送信機の性能最適化のための校正作業時間を減らすことができる。
【0020】
また、本開示内容によると、サンプラー動作のための最適のサンプリング位相を設定することができるので、PVT変動に鈍感な受信機構造を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、理想的な環境でのPAM-4波形のアイパターンを示す例示的な図である。
図2図2は、PAM-4シグナリングのための例示的な受信機の構成を概略的に示した図である。
図3図3は、非対称アイオープニングが発生する環境でのPAM-4波形を示す例示的な図である。
図4図4は、図3の非対称アイオープニング波形で、共通サンプリング位相でSNRを測定することを示す例示的な図である。
図5図5は、図3の非対称アイオープニング波形で、独立的なサンプリング位相でSNRを測定することを示す例示的な図である。
図6図6は、本開示内容の一実施例に係るPAM受信機の独立的な位相調整のための装置を示す概略的な図である。
図7図7は、本開示内容の一実施例に係るアイオープニング測定部を含む図6の装置の一部の構成を示す概略的な図である。
図8図8は、非対称アイオープニングが発生する環境でのPAM-4波形およびPAM-8波形での隣接するアイオープニングの最大値を有する位相値の差を示す例示的な図である。
図9図9は、非対称アイオープニングを有するPAM-8波形に対する個別サンプリング位相およびグループサンプリング位相を適用した例を示す例示的な図である。
図10図10は、本開示内容の他の実施例に係るPAM-4受信機の独立的なグループサンプリング位相調整のための装置を示す概略的な図である。
図11図11は、本開示内容の他の実施例に係るPAM-8受信機の独立的なグループサンプリング位相調整のための装置を示す概略的な図である。
図12図12は、本開示内容の一実施例に係るPAM受信機の独立的な位相調整方法を示す概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面を参照して詳しく説明する。まず各図面の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に示されてもできる限り同一の符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明を説明するにおいて、関連の公知構成または機能に対する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は略する。
【0023】
本開示内容の多様な態様が、以下で説明される。ここで提示される発明は、幅広い多様な形態で具現することができ、ここで提示される任意の特定の構造、機能または両方とも、ただ例示的なものであることを理解しなければならない。ここで提示される発明に基づいて本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、ここで提示される一つの態様が任意の他の態様と独立的に具現することができ、二つ以上のこのような態様が多様な方式で結合できることを理解するはずである。例えば、ここで説明される任意の数の態様を用いて装置を具現することができ、または方法を実施することができる。また、ここで説明される一つ以上の態様に加えて、またはこれらの態様ではない他の構造、機能または構造および機能を用いて、このような装置を具現することができ、またはこのような方法を実施することができる。
【0024】
本開示内容は、光通信の受信機に適用することができ、これに限定されず、PAM(Pulse Amplitude Modulation)シグナリングのための多様な通信デバイスに適用することができる。また、以下では、説明の便宜のためにPAM-4またはPAM-8シグナリングを例示しているが、本開示内容はこれに限定されず、多様なPAM-N方式のシグナリングに適用できることを、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は充分に理解するはずである。
【0025】
図1は、理想的な環境でのPAM-4波形のアイパターンを示す例示的な図である。
【0026】
PAM-4信号は、一つの信号が2個の情報ビットを伝達することができ、3個のアイオープニング(Eye Opening)を有するアイパターンを有することができる。図1に示されているように、入力信号の歪曲がない理想的な環境では、すべてのアイオープニングを同一の位相に対称的に整列することができ、入力信号を同相の共通単一位相(ΦH=ΦM=ΦL)に、すべての信号レベルに対して最適のSNR(すなわち、最大SNRまたは最大アイ高さ(Eye Height))を有するようにサンプリングすることができ、それによって最小のBERを達成することができる。
【0027】
図2は、PAM-4シグナリングのための例示的な受信機の構成を概略的に示した図である。
【0028】
図2に示されているように、グローバルクロックソース110は、サンプラー121、122、123に共通サンプリングクロックを提供することができ、共通位相Φcommonをサンプリング位相として各サンプラーに入力することができる。サンプラー121は、図1に示されている上側のアイオープニングに対してサンプリングを行い、サンプラー122は、図1に示されている中間アイオープニングに対してサンプリングを行い、サンプラー123は、図1に示されている下側のアイオープニングに対してサンプリングを行うことができる。リタイマー(retimer)131、132、133は、各サンプラー121、122、123でサンプリングされた信号を入力され、リタイミングされた出力信号を生成することができる。
【0029】
図3は、非対称アイオープニングが発生する環境でのPAM-4波形を示す例示的な図である。
【0030】
PAM受信機に入力されるマルチレベル入力信号は、光ファイバによって引き起こされ得る光分散、光学コンポーネント(ROSA、TOSAなど)の非-線形特性によって引き起こされ得るスキュー(skew)などのような外部環境要因による信号歪曲で非対称的アイオープニングを有することがある。図3に示されているように、信号歪曲によって非対称的アイオープニングは、アイオープニングの模様が不均一に現れることがあるだけでなく、最適のSNR(すなわち、最大SNR)を有する位相が互いに異なることがある(すなわち、ΦH≠ΦM≠ΦL)。
【0031】
図4は、図3の非対称アイオープニング波形で、共通サンプリング位相でSNRを測定することを示す例示的な図である。
【0032】
図4に示されているように、図3の非対称アイオープニング波形で、特定の位相(例えば、中間アイオープニングが最大SNRを有する位相ΦM)が共通サンプリング位相の場合、上側アイオープニングおよび下側アイオープニングはそれぞれ自分が最大SNRを有する位相ΦH、ΦLでサンプリングをするときより減少されたSNRを有することになり、SNRペナルティ(penalty)が引き起こされ得る。SNRペナルティが大きいほど、BERが大きくなることになり、これは、PAM受信機の性能を低下させることがある。
【0033】
図5は、図3の非対称アイオープニング波形で、独立的なサンプリング位相でSNRを測定することを示す例示的な図である。
【0034】
図3の非対称アイオープニング波形で、上側、中間および下側アイオープニングは最大SNRを有する互いに異なる位相ΦH、ΦM、ΦLを有することができる。したがって、それぞれのアイオープニングに対して独立的なサンプリング位相を適用することができる場合、図5に示されているように、PAM受信機は、上側、中間および下側アイオープニングに対してそれぞれ独立的に最大SNRを有する位相ΦH、ΦM、ΦLでサンプリングを行うことができ、その結果、マルチレベル入力データが非対称アイオープニングを有する場合でも、BER性能を最大化することができる。
【0035】
図6は、本開示内容の一実施例に係るPAM受信機の独立的な位相調整のための装置を示す概略的な図である。
【0036】
このような装置は、図5に例示された独立的なサンプリング位相調整のために複数のサンプラー(SA)121、122、123、グローバルクロックソース(CLK)110、複数の位相調整器(PI)141、142、143、複数のリタイマードル131、132、133を含んでもよい。
【0037】
複数のサンプラー121、122、123は、PAM受信機に入力されるマルチレベル入力データの信号レベル判定のためのサンプリングを行うように構成されてもよい。リタイマー131、132、133は、各サンプラー121、122、123でサンプリングされた信号を入力され、リタイミングされた出力信号を生成することができる。グローバルクロックソース110は、サンプラー121、122、123に共通サンプリングクロックを提供するように構成されてもよい。複数の位相調整器141、142、143は、共通サンプリングクロックの位相をそれぞれ調整して対応するサンプラーに適用されるサンプリング位相を提供するように構成されてもよい。
【0038】
説明の便宜のために、マルチレベル入力データは、PAM-4入力データであってもよい。このような場合、図6に示されているように、PAM受信機は、3個のサンプラー121、122、123および3個の位相調整器141、142、143を含んでもよい。
【0039】
第1サンプラー121は、図5の上側アイオープニングの信号レベル判定のためにサンプリングを行うことができ、第2サンプラー122は、図5の中間アイオープニングの信号レベル判定のためにサンプリングを行うことができ、第3サンプラー123は、図5の下側アイオープニングの信号レベル判定のためにサンプリングを行うことができる。第1位相調整器141は、第1サンプラー121に適用される第1サンプリング位相ΦHを提供することができ、第2位相調整器142は、第2サンプラー122に適用される第2サンプリング位相ΦMを提供することができ、第3位相調整器143は、第3サンプラー123に適用される第3サンプリング位相ΦLを提供することができる。第1サンプリング位相、第2サンプリング位相および第3サンプリング位相はそれぞれ該アイオープニングで最大SNRを有する(すなわち、アイオープニングが最大高さを有する)位相として決定することができる。このために、図6の装置は最適の位相決定のためのアイオープニング測定を行うことができ、これについては、図7に関連して後述することにする。
【0040】
図7は、本開示内容の一実施例に係るアイオープニング測定部を含む図6の装置の一部の構成を示す概略的な図である。
【0041】
図7に示されているように、PAM受信機の独立的な位相調整のための装置は、アイオープニング測定部150を含んでもよい。アイオープニング測定部150は、マルチレベル入力データの複数のアイオープニングのそれぞれのアイオープニングの最大高さを決定し、該アイオープニングの最大高さに対応する位相Φをそれぞれ決定し、決定された位相をサンプリング位相として該アイオープニングに対応する位相調整器141、142、143にそれぞれ提供するように構成されてもよい。また、アイオープニング測定部150は、該アイオープニングの最大高さに基づいて電圧しきい値Vthをそれぞれ決定し、決定された電圧しきい値を該アイオープニングに対応するサンプラー121、122、123にそれぞれ提供するように構成されてもよい。
【0042】
具現例によって、アイオープニング測定部150は、複数のサンプラー121、122、123に対して同時にアイオープニング測定を行うことができるようにそれぞれのサンプラーに連結される複数のアイオープニング測定ブロック(例えば、DSPブロック)で構成されるか、または個別サンプラーに対して順次にアイオープニング測定を行う一個のアイオープニング測定ブロックで構成されてもよい。
【0043】
説明の便宜のために、図7に示されているように、一つのサンプラー121および一つの位相調整器141と連結されたアイオープニング測定部150について説明ことにする。
【0044】
アイオープニング測定部150は、アイ高さ(Eye Height)探索部152、最大高さ決定部154および調整部156を含んでもよい。アイオープニング探索部152は、サンプラー121に対応するアイオープニングに対する最大高さに対応する位相探索のための予想位相範囲を決定することができる。例えば、予想位相範囲は、全体アイオープニング長さ(すなわち、アイオープニングの左側始り時点から右側終り時点まで)、または全体アイオープニングの長さのうち一部の区間(例えば、長さの中間時点を含む予め設定された区間)に設定することができる。アイオープニング探索部152は、予想位相範囲内の多くの位相でのアイ高さを探索することができる。このために、アイオープニング探索部152は、予想位相範囲の最小値位相から最大値位相まで予め決定された間隔で、各位相ごとに電圧しきい値の調整を通じる出力値カウンティングによって各位相でのアイ高さ(Eye Height)を計算することができる。例えば、信号電圧値が電圧しきい値より大きいと、ポジチブ出力値(例えば、1)が出力され、電圧しきい値より低いと、ネガチブ出力値(例えば、0)が出力されることがあるので、特定の位相で電圧しきい値を調整しながらネガチブ出力値が決定された確率分だけ出る位置(すなわち、特定の位相での最も高い位置)およびポジチブ出力値が決定された確率分だけ出る位置(すなわち、特定の位相での最も低い位置)の差を計算することによって、特定の位相でのアイ高さを計算することができる。
【0045】
最大高さ決定部154は、予想位相範囲内の位相設定値から計算されたアイ高さのうち最大高さを該アイオープニングの最大高さとして決定することができる。調整部156は、該アイオープニングの最大高さに対応する位相Φおよび電圧しきい値Vthを決定することができる。例えば、アイオープニングの最大高さに対応する電圧しきい値Vthは、最大高さの中間点に該当する電圧値として決定することができる。調整部156は、決定された位相Φがサンプラー121に対するサンプリング位相に調整されるように位相調整器141に伝達することができ、決定された電圧しきい値Vthがサンプラー121での信号レベル判定の基準値となるようにDAC(Digital-to-Analog Converter)160を通じてサンプラー121に伝達することができる。
【0046】
他の具現例で、PAM受信機に入力されるマルチレベル入力データは、PAM-8入力データであってもよい。
【0047】
このような場合に、PAM-8入力データは一つの信号が3個の情報ビットを伝達することができ、7個のアイオープニングを有するアイパターンを有することができる。このような場合、PAM受信機は、7個のアイオープニングの信号レベル判定のための7個のサンプラーおよび各サンプラーに独立的に調整可能なサンプリング位相を提供することができる7個の位相調整器を含むように構成されてもよい。
【0048】
他の具現例で、PAM-N入力データのような多レベルPAM-N信号(例えば、PAM-4、PAM-8、PAM-16、PAM-32など)の処理時に、PAM受信機は、受信機構造の複雑度を減少させ、消費電力を減少させることができるように複数個のサンプラーをグルーピングしてグループ当たり一つの位相調整器でサンプリング位相を適用させるように具現することができ、このような構造については、後述することにする。
【0049】
図8は、非対称アイオープニングが発生する環境で、PAM-4波形およびPAM-8波形での隣接するアイオープニングの最大値を有する位相値の差を示す例示的な図である。
【0050】
前述のように、非対称アイオープニング環境で各アイオープニングは異なる位相で最大SNRを有することができ、PAM信号の変造レベルが増加するほど、隣接するアイオープニング間の最適の位相差は減少することがあり、これによって位相差によるSNRペナルティも小くなることがある。例えば、図8に示されているように、PAM-8信号での隣接するアイオープニング間の最適の位相差は、PAM-4信号での隣接するアイオープニング間の最適の位相差より小くなるようになる。
【0051】
図9は、非対称アイオープニングを有するPAM-8波形に対する個別サンプリング位相およびグループサンプリング位相を適用した例を示す例示的な図である。
【0052】
図9に示されているように、一つのサンプラーに一つの位相調整器がサンプリング位相を提供する具現例(図9の左側)では、PAM-8信号に対して7個の位相調整器を適用することができる。これに対し、図9の右側の具現例では、光連動環境によって隣接するアイオープニング間の位相差が少ない場合、PAM-8信号に対して7個のアイオープニングを、3個のグループ(例えば、1番目および2番目のアイオープニングの第1グループ、3番目、4番目、5番目のアイオープニングの第2グループ、6番目および7番目のアイオープニングの第3グループ)にグルーピングしてグループごとに一つの位相調整器を適用することによって、3個の位相調整器を適用することができる。図9の右側の具現例は、減少されたSNRペナルティでBER性能の低下を最小化しながら減少された個数の位相調整器を適用することによって、PAM受信機の複雑度を減少させ、消費電力を減少させることができる。
【0053】
同様に、PAM-4信号に対しても同一の方式のグルーピングを適用することができる。図6に例示されたように、一つのサンプラーに一つの位相調整器がサンプリング位相を提供する具現例では、PAM-4信号に対して3個の位相調整器を適用することができる。これに対し、光連動環境によって隣接するアイオープニング間の位相差が少ない場合、PAM-4信号に対して3個のアイオープニングのうち2個(例えば、1番目および2番目のアイオープニングまたは2番目および3番目のアイオープニング)をグルーピングして一つの位相調整器を適用することによって、3個のサンプラーに対して2個の位相調整器を適用することができる。
【0054】
図10は、本開示内容の他の実施例に係るPAM-4受信機の独立的なグループサンプリング位相調整のための装置を示す概略的な図である。
【0055】
図10は、図9の右側の具現例のような方式で、グループサンプリング位相を適用するための例示的な装置の構成を示し、装置に入力されるマルチレベル入力データは、PAM-4入力データであってもよい。
【0056】
図10に示されているように、複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラー121と、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラー122と、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラー123と、を含んでもよい。
【0057】
第1サンプラー121および第2サンプラー122は、第1グループ(すなわち、Aグループ)に設定することができ、第1位相調整器141は、第1グループに適用される第1サンプリング位相を提供することができる。第3サンプラー123は、第2グループ(すなわち、Bグループ)に設定することができ、第2位相調整器142は、第2グループ(すなわち、第3サンプラー123)に適用される第2サンプリング位相を提供することができる。
【0058】
また、第1サンプリング位相は、第1アイオープニングおよび第2アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相として決定することができる。このようなグループごとのサンプリング位相は、各グループの位相調整器141、142と連結されたアイオープニング測定部150によって決定することができる。また、具現例によって、グルーピングの設定は、図10の例示に限定されず、異なる構成のグルーピング(例えば、第1サンプラー121の第1グループ、および第2サンプラー122および第3サンプラー123の第2グループ)で構成されることも可能である。
【0059】
図11は、本開示内容の他の実施例に係るPAM-8受信機の独立的なグループサンプリング位相調整のための装置を示す概略的な図である。
【0060】
図11は、図9の右側の具現例のように、グループサンプリング位相を適用するための例示的な装置の構成を示し、装置に入力されるマルチレベル入力データは、PAM-8入力データであってもよい。
【0061】
図11に示されているように、複数のサンプラーは、第1アイオープニングの信号レベル判定のための第1サンプラー121と、第2アイオープニングの信号レベル判定のための第2サンプラー122と、第3アイオープニングの信号レベル判定のための第3サンプラー123と、第4アイオープニングの信号レベル判定のための第4サンプラー124と、第5アイオープニングの信号レベル判定のための第5サンプラー125と、第6アイオープニングの信号レベル判定のための第6サンプラー126と、第7アイオープニングの信号レベル判定のための第7サンプラー127と、を含んでもよい。
【0062】
第1サンプラー121および第2サンプラー122は、第1グループ(すなわち、Aグループ)に設定することができ、第1位相調整器141は、第1グループに適用される第1サンプリング位相を提供することができる。第3サンプラー123、第4サンプラー124および第5サンプラー125は、第2グループ(すなわち、Bグループ)に設定することができ、第2位相調整器142は、第2グループに適用される第2サンプリング位相を提供することができる。第6サンプラー126および第7サンプラー127は、第3グループ(すなわち、Cグループ)に設定することができ、第3位相調整器143は、第3グループに適用される第3サンプリング位相を提供することができる。
【0063】
また、第1サンプリング位相は、第1アイオープニングおよび第2アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相として決定することができ、第2サンプリング位相は、第3アイオープニング、第4アイオープニングおよび第5アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相として決定することができ、第3サンプリング位相は、第6アイオープニングおよび第7アイオープニングのうち一つの最大高さに対応する位相として決定することができる。このようなグループごとのサンプリング位相は、各グループの位相調整器141、142、143と連結されたアイオープニング測定部150によって決定することができる。
【0064】
また、具現例によって、グルーピングの設定は、図10の例示に限定されず、異なる構成のグルーピング(例えば、3個のサンプラー-3個のサンプラー-1個のサンプラーの構成など)または異なる個数の位相調整器(例えば、4個のグループを定義するための4個の位相調整器)で構成されることも可能である。
【0065】
図12は、本開示内容の一実施例に係るPAM受信機の独立的な位相調整方法を示す概略的なフローチャートである。
【0066】
図12に示されているように、複数のサンプラーおよび複数の位相調整器を含むPAM受信機の独立的な位相調整方法で、受信機のアイオープニング測定部150は、マルチレベル入力データの複数のアイオープニングのそれぞれのアイオープニングの最大高さを測定することができる(210)。受信機のアイオープニング測定部150は、決定されたそれぞれのアイオープニングの最大高さに対応する位相および電圧しきい値をそれぞれ決定することができる(220)。受信機のそれぞれの位相調整器141、142、143は、グローバルクロックソースから提供される共通サンプリングクロックの位相を各アイオープニングに対して決定されたサンプリング位相にそれぞれ調整することができる(230)。受信機のそれぞれのサンプラー121、122、123は、決定されたサンプリング位相および電圧しきい値でマルチレベル入力データをサンプリングすることができる(240)。
【0067】
前述のように、本開示内容のPAM受信機の独立的な位相調整のための装置および方法は、非対称的アイオープニングがある状況でも、各アイオープニングに対応するサンプラーのサンプリング位相を独立的に調整して信頼可能なBER性能を達成することができる。また、PAMのようなマルチ位相サンプリング方式で、PVT(Process、Voltage and Temperature)変動に起因する位相間の誤差も発生することがあるが、本開示内容では、このような非対称的位相誤差に対してサンプラー動作のための最適のサンプリング位相を設定することができるので、本開示内容は、PVT変動に鈍感な受信機構造を具現することができる。
【0068】
任意の提示されたプロセスに含まれたステップの任意の特定の順序または階層構造は、例示的な接近の一例であることを理解しなければならない。設計優先順位に基づいて、本発明の範囲内で、プロセスに含まれたステップの特定の順序または階層構造が再配列できることを理解しなければならない。添付の方法クレームは、例示的な順序で多様なステップのエレメントを提供するが、提示された特定の順序または階層構造に限定されることを意味しない。
【0069】
本明細書で使用される用語「コンポーネント」、「ユニット(または、部)」、「モジュール」、「システム」などは、コンピューター関連エンティティ、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ソフトウェアおよびハードウェアの組合わせ、またはソフトウェアの実行を称することができる。例えば、本明細書で説明される装置および構成要素は、プロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラミングが可能なゲート・アレイ(FPGA)、プログラミングが可能なロジッグユニット(PLU)、マイクロプロセッサーなどのような一つ以上の汎用または特殊目的コンピューティング装置を用いて具現することができる。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行される処理過程、プロセッサ、オブジェクト、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピューターであってもよいが、これらに制限されるものではない。例えば、コンピューティング装置で実行されるアプリケーションおよびコンピューティング装置の両方ともコンポーネントであってもよい。一つ以上のコンポーネントは、プロセッサおよび/または実行スレッド内に常在してもよく、一つのコンポーネントは、一つのコンピューター内にローカル化してもよく、または二つ以上のコンピューターの間に分配されてもよい。また、このようなコンポーネントは、その内部に保存された多様なデータ構造を有する多様なコンピューター読取り可能な媒体で実行することができる。
【0070】
提示された実施例に関する説明は、任意の本発明の技術分野における通常の知識を有する者が本発明を用いるか、または実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者に明白であり、ここに定義された一般的な原理は、本発明の範囲から外れることなく、他の実施例に適用することができる。よって、本発明は、ここに提示された実施例に限定されるものではなく、ここに提示された原理および新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0071】
110:グローバルクロックソース
121、122、123、124、125、126、127:サンプラー
131、132、133:リタイマー
141、142、143:位相調整器
150:アイオープニング測定部
152:アイ高さ探索部
154:最大高さ決定部
156:調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】