(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】バイオリアクタ装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20241016BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12N1/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525905
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 GB2022052773
(87)【国際公開番号】W WO2023079286
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517351835
【氏名又は名称】カラーリフィックス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】COLORIFIX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アジオカ,ジェームズ・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】サ,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコニー,オール
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029DA03
4B029DB01
4B029DB13
4B029DC07
4B029DE08
4B029DF07
4B029DG06
4B065BC05
4B065BC08
4B065BC19
4B065BC25
4B065BD50
4B065CA41
4B065CA44
(57)【要約】
バイオリアクタ処理のためのバイオリアクタ装置及び方法が開示される。バイオリアクタ装置は、液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、ベンチュリポンプアセンブリとを有する。ベンチュリポンプアセンブリは、培地出口導管と、培地入口導管と、容器から培地出口導管を通して培地を引き込み、それを培地入口導管に通すように構成されポンプデバイスと、気泡捕集部材とを有する。気泡捕集部材は、容器内で液体培地表面位置に配置されたマウス部分及び狭窄したスロート部分を有する。培地入口導管は、ポンピングされた培地を気泡捕集部材のスロート部分に通して、表面気泡を気泡捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、
ベンチュリポンプアセンブリと
を含み、前記ベンチュリポンプアセンブリが、
培地出口導管と、
培地入口導管と、
前記容器から前記培地出口導管を通して培地を引き込み、それを前記培地入口導管に通すように構成されたポンプデバイスと、
前記容器内で液体培地表面位置に配置されたマウス部分及び狭窄したスロート部分を含む気泡捕集部材と
を含み、
前記培地入口導管が、ポンピングされた培地を前記気泡捕集部材の前記スロート部分に通して、表面気泡を前記気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように適合されている、バイオリアクタ装置。
【請求項2】
前記培地入口導管が、前記気泡捕集部材の前記マウス部分に入るように配置されて、前記ポンピングされた培地を前記スロート部分に通す、請求項1記載のバイオリアクタ装置。
【請求項3】
前記ポンプデバイスが前記容器の外側に配置されている、前記請求項のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項4】
前記マウス部分が、減圧領域をその中に生成しながら、前記気泡捕集部材の前記スロート部分を通過するポンピングされた培地の方向に、ヘッドスペースガスを前記気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むように適合されている、前記請求項のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項5】
前記気泡捕集部材からの気泡、ヘッドスペースガス及び液体培地のいずれかを混合するための混合デバイスを含む、前記請求項のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項6】
前記混合デバイスが前記気泡捕集部材の下流に配置されている、請求項5記載のバイオリアクタ装置。
【請求項7】
前記混合デバイスが、少なくとも第一の中間培地導管によって前記気泡捕集部材から供給を受ける、請求項6記載のバイオリアクタ装置。
【請求項8】
前記混合デバイスがインペラを含み、前記インペラが、気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかを前記混合デバイスに引き込む、及び/又は気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかの混合物を微細化するように適合されている、請求項6又は7記載のバイオリアクタ装置。
【請求項9】
前記混合デバイスが、容器内容物を前記混合デバイスの中へ引き込むための減圧領域を生成するように適合されている、請求項5~8のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項10】
液体培地を収容するための容器と、
ベンチュリポンプアセンブリと
を含み、前記ベンチュリポンプアセンブリが、
培地出口導管と、
培地入口導管と、
前記容器から前記培地出口導管を通して培地を引き込み、それを前記培地入口導管に通すように構成されたポンプデバイスと、
マウス部分及び狭窄したスロート部分を含む捕集部材と、
前記捕集部材の下流に配置された混合デバイスと
を含み、
前記培地入口導管が、ポンピングされた培地を前記捕集部材の前記スロート部分に通して、容器内容物を前記捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように適合され、
前記混合デバイスが、前記捕集部材によって捕集された容器内容物を混合するように適合されている、バイオリアクタ装置。
【請求項11】
前記混合デバイスが、少なくとも第一の中間培地導管によって前記捕集部材から供給を受ける、請求項10記載のバイオリアクタ装置。
【請求項12】
前記混合デバイスがインペラを含み、前記インペラが、気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかを前記混合デバイスに引き込む、及び/又は気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかの混合物を微細化するように適合されている、請求項10又は11記載のバイオリアクタ装置。
【請求項13】
前記ポンプデバイスが第一の駆動手段を含み、前記混合デバイスが第二の駆動手段を含む、請求項11又は12記載のバイオリアクタ装置。
【請求項14】
専用の気泡捕集部材を含み、前記専用の気泡捕集部材が、前記気泡捕集部材の前記表面位置とは反対側の液体培地表面位置に配置されたマウス部分を含む、前記請求項のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項15】
専用の気泡捕集導管が前記専用の気泡捕集部材及びインペラハウジングに結合され、前記インペラがさらに、表面気泡を前記専用の気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように適合されている、請求項11に従属する請求項14記載のバイオリアクタ装置。
【請求項16】
前記専用の気泡捕集部材が、狭窄したスロート部分を含む、請求項14又は15記載のバイオリアクタ装置。
【請求項17】
前記ポンプデバイスが前記容器の外側に位置する、前記請求項のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項18】
液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、
ベンチュリポンプアセンブリと
を含み、前記ベンチュリポンプアセンブリが、
マウス部分及び狭窄したスロート部分を有する気泡捕集部材と、
前記気泡捕集部材内に、前記狭窄したスロート部分と同心的に配設された培地導管と、
ポンプデバイスと
を含み、
前記ポンプデバイスが、前記容器から前記培地導管に通して培地をポンピングし、それにより、表面気泡及び/又はヘッドスペースガスを前記気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように構成されている、バイオリアクタ装置。
【請求項19】
環境ガスコンプレッサと、
前記コンプレッサからガスを受け、前記ガスを所定の滅菌温度まで加熱し、前記ガスを所定のエンクロージャ温度まで冷却し、滅菌済みのガスを密閉チャンバに供給するように動作可能な第一の滅菌ユニットと
を含む、密閉チャンバ内の環境条件の維持のためのシステム。
【請求項20】
前記密閉チャンバが加圧されている、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記密閉チャンバがバイオリアクタである、請求項19又は20記載のシステム。
【請求項22】
第一の滅菌ユニットが、前記所定の滅菌温度まで加熱されたガスを受け、前記所定のエンクロージャ温度まで冷却されるガスを産出するように動作可能な中間チャンバを含む、請求項19~21のいずれか1項記載のシステム。
【請求項23】
前記中間チャンバがコイル状導管を含み、前記導管が、加熱されたガスを受けるための入口端と、冷却されるガスを産出するための出口端とを含む、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
前記密閉チャンバからガスを受け、前記ガスを加熱するように動作可能な第二の滅菌ユニットを含む、請求項19~23のいずれか1項記載のシステム。
【請求項25】
前記第二の滅菌ユニットが、前記ガスを加熱したのち、前記ガスを所定の環境温度まで冷却するように動作可能である、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
請求項1~18のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置と、
請求項19~25のいずれか1項記載のシステムと
を含むバイオリアクタシステム。
【請求項27】
発酵プロセスにおける、請求項1~18のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置又は請求項19~26のいずれか1項記載のシステムの使用。
【請求項28】
液体培地を収容するための容器と、
培地出口導管、培地入口導管、ポンプデバイス、マウス部分及びスロート部分を含む入口部材ならびに混合デバイスを含むベンチュリアセンブリと
を提供するステップ、
前記ポンプデバイスを使用して前記容器から前記培地出口導管を通して培地を引き込み、それを前記培地入口導管に通すステップ、
ポンピングされた培地を前記入口部材の前記スロート部分に通して、容器内容物を前記入口部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するステップ、及び
前記混合デバイスを使用して、前記入口部材によって捕集された容器内容物を混合するステップ
を含む、バイオリアクタ処理のための方法。
【請求項29】
環境ガスコンプレッサ及び滅菌ユニットを提供するステップ、
前記コンプレッサからのガスを滅菌ユニットで受けるステップ、
前記ガスを所定の温度まで加熱するステップ、及び
滅菌済みのガスを前記容器に供給するステップ
を含む、請求項28記載のバイオリアクタ処理のための方法。
【請求項30】
細長い加熱部分を提供するステップ、
投入ガスを受けるステップ、
前記細長い加熱部分を使用して前記投入ガスを絞るステップ、
前記細長い加熱部分を使用して前記ガスを所定の滅菌温度まで加熱するステップ、及び
滅菌済みのガスを前記容器に供給するステップ
を含む、請求項28又は29記載のバイオリアクタ処理のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオリアクタ装置及びバイオリアクタ培地を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物反応及びプロセスを促進し、最適化するための発酵槽及びバイオリアクタは当技術分野において公知である。そのようなバイオリアクタは一般に、二つの主要な課題:微生物呼吸のために培地をエアレーションする課題、及び酸素、栄養素、微生物などの均一な分散を達成するためにコンテナタンク全体で内容物を混合する課題、に対処するために、微生物及び活性物質を含む液体培地の機械的運動を必要とする。以前に考察されていたバイオリアクタでは、エアレーションは一般に、エアストーンなどのマイクロバブル発生器を通してポンピングされるろ過滅菌気によって達成される。通常、エアレーションは混合システムから切り離されている。
【0003】
エアレーション及び/又は混合プロセスは通常、生物学的気泡を発生させ、これが、非常に有意な容積損失、すなわちバイオリアクタ機能の損失を招くおそれがある。気泡発生はいくつかの変数に依存し、ひいては予測不可能であるため、界面活性剤などの化学消泡剤が日常的に使用される。一部のリアクタプロセスの収率がそのような薬剤によって影響を受けることがある。
【0004】
以前に考察されていたバイオリアクタシステムは非常に複雑であり、可動部品が多く、メンテナンス及び清浄に時間及び費用を要する。
【0005】
バイオリアクタのためのヘッドスペースガスのためのろ過システムは、信頼性が低い、又は異なる環境条件で異なる挙動を示すことがあり、潜在的にバイオプロセシングに影響を及ぼす。バイオリアクタが作動することを求められるところの一部の環境はリアクタ要素にとって厳しく、注意深い隔離を必要とする。一部の公知の滅菌システムは、高価かつ複雑である、又は環境的に損傷性又は非効率的な構成部品又は物質を必要とする。一部の公知のろ過システムは、ろ過された物質で飽和したならば定期的に交換されなければならないフィルタを必要とする。そのようなシステムは、多様なバイオリアクタ又は培地に適用するためには、異なるフィルタ又はろ過様式を求められる場合があるため、困難又は高価であることがある。他の公知のシステムは滅菌に紫外線を使用するが、紫外線は、すべての微生物に対して常に効果的であるとはいえない。公知の滅菌システムはまた、バイオリアクタ環境中への空気流量の大幅な減少を生じさせることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの課題に対処し、公知のデバイス及び方法に改良を加えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様及び実施形態は添付の特許請求の範囲に記載される。
【0008】
概して、本発明の第一の態様の一つの実施形態は、液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、ベンチュリポンプアセンブリとを含み、ベンチュリポンプアセンブリが、培地出口導管と、培地入口導管と、容器から培地出口導管を通して培地を引き込み、それを培地入口導管に通すように構成されたポンプデバイスと、容器内で液体培地表面位置に配置されたマウス部分及び狭窄したスロート部分を含む気泡捕集部材とを含み、培地入口導管が、ポンピングされた培地を気泡捕集部材のスロート部分に通して、表面気泡を気泡捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように適合されている、バイオリアクタ装置を提供することができる。
【0009】
これは、消泡剤などを必要とするのではなく、気泡捕集部材及びベンチュリポンプによって液体培地表面から気泡を除去することを可能にする。気泡は、マウス部分の中へ吸引される、吸い込まれる、又は引き込まれることができる。液体培地は容器によって密封又は収容されてもよい。スロート部は、捕集部材の狭窄部分又は領域であることができ、ベンチュリ効果を提供する、又は可能にすることができる。液体培地は、微生物を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0010】
好適には、培地入口導管は、気泡捕集部材のマウス部分に入るように配置されて、ポンピングされた培地をスロート部分に通す。
【0011】
実施形態では、ポンプデバイスは容器の外側に配置されている。
【0012】
任意選択で、マウス部分は、減圧領域をその中に生成しながら、気泡捕集部材のスロート部分を通過するポンピングされた培地の方向に、ヘッドスペースガスを気泡捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むように適合されている。
【0013】
好適には、装置は、気泡捕集部材からの気泡、ヘッドスペースガス及び液体培地のいずれかを混合するための混合デバイスを含む。任意選択で、混合デバイスは気泡捕集部材の下流に配置されている。実施形態では、混合デバイスは、少なくとも第一の中間培地導管によって気泡捕集部材から供給を受ける。好適には、混合デバイスはインペラを含み、インペラは、気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかを混合デバイスに引き込む、及び/又は気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかの混合物を微細化するように適合されている。
【0014】
これは、以前に考察されていたシステムと比べて簡略化されたシステムを可能にして、気泡捕集だけでなく、エアレーションと混合との組み合わせを提供する。
【0015】
任意選択で、混合デバイスは気泡捕集部材と直列に配置される。
【0016】
任意選択で、混合デバイスは、容器内容物を混合デバイスの中へ引き込むための減圧領域を生成するように適合されている。
【0017】
本発明のもう一つの態様の一つの実施形態は、液体培地を収容するための容器と、ベンチュリポンプアセンブリとを含み、ベンチュリポンプアセンブリが、培地出口導管と、培地入口導管と、容器から培地出口導管を通して培地を引き込み、それを培地入口導管に通すように構成されたポンプデバイスと、マウス部分及び狭窄したスロート部分を含む気泡捕集部材と、捕集部材の下流に配置された混合デバイスとを含み、培地入口導管が、ポンピングされた培地を捕集部材のスロート部分に通して、容器内容物を捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように適合され、混合デバイスが、捕集部材によって捕集された容器内容物を混合するように適合されている、バイオリアクタ装置を提供することができる。
【0018】
ベンチュリポンプと後段のミキサとの直列の組み合わせが、以前に考察されていたシステムよりも効率的な混合及びエアレーションを提供し、ベンチュリ圧力差が二つのデバイスによって分担されることを可能にして、バイオリアクタ中で微生物にかかるせん断加重を減らす。捕集部材は、容器内で液体培地表面位置に配置することができる。
【0019】
好適には、混合デバイスは、少なくとも第一の中間培地導管によって捕集部材から供給を受ける。任意選択で、混合デバイスはインペラを含み、インペラは、気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかを混合デバイスに引き込む、及び/又は気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかの混合物を微細化するように適合されている。実施形態では、ポンプデバイスは第一の駆動手段又は様式を含み、混合デバイスは第二の駆動手段を含む。
【0020】
任意選択で、装置は専用の気泡捕集部材を含み、専用の気泡捕集部材は、気泡捕集部材の表面位置とは反対側の液体培地表面位置に配置されたマウス部分を含む。
【0021】
実施形態では、専用の気泡捕集導管が専用の気泡捕集部材及びインペラハウジングに結合され、インペラはさらに、表面気泡を専用の気泡捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように適合されている。
【0022】
好適には、上記実施形態のいずれかの装置は、環境ガスコンプレッサと、コンプレッサからガスを受け、ガスを所定の滅菌温度まで加熱し、ガスを所定の容器温度まで冷却し、滅菌済みのガスを容器に供給するように動作可能な第一の滅菌ユニットとを含むことができる。
【0023】
任意選択で、専用の気泡捕集部材は、狭窄したスロート部分を含む。
【0024】
任意選択で、ポンプデバイスは容器の外側に位置する。
【0025】
本明細書に開示されるもう一つの態様にしたがって、液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、ベンチュリポンプアセンブリとを含み、ベンチュリポンプアセンブリが、マウス部分及び狭窄したスロート部分を有する気泡捕集部材と、気泡捕集部材内に、狭窄したスロート部分と同心的に配設された培地導管と、ポンプデバイスとを含み、ポンプデバイスが、容器から培地導管に通して培地をポンピングし、それにより、表面気泡及び/又はヘッドスペースガスを気泡捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように構成されている、バイオリアクタ装置が提供される。
【0026】
任意選択で、バイオリアクタ装置は、請求項1~17に記載された特徴のいずれか一つ以上又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0027】
本発明のもう一つの態様の一つの実施形態は、環境ガスコンプレッサと、コンプレッサからガスを受け、ガスを所定の滅菌温度まで加熱し、ガスを所定のエンクロージャ温度まで冷却し、滅菌済みのガスを密閉チャンバに供給するように動作可能な第一の滅菌ユニットとを含む、密閉チャンバ内の環境条件の維持のためのシステムを提供することができる。
【0028】
このシステムは、以前に考察されていたシステムにおけるよりも効率的かつ包括的である(より多くの異なる微生物及び汚染物質を除去する)、密閉チャンバのための滅菌を提供することができる。
【0029】
好適には、密閉チャンバは加圧されている。任意選択で、密閉チャンバはバイオリアクタである。
【0030】
実施形態では、第一の滅菌ユニットは、所定の滅菌温度まで加熱されたガスを受け、所定のエンクロージャ温度まで冷却されるガスを産出するように動作可能な中間チャンバを含む。
【0031】
好適には、中間チャンバはコイル状導管を含み、導管は、加熱されたガスを受けるための入口端と、冷却されるガスを産出するための出口端とを含む。コイル状導管は、代わりに、らせん状又は曲がりくねった形状であってもよい。
【0032】
この構成の利点は、密閉チャンバへの高いガス流量を維持することができ、かつ、コイル状導管を通過する移動距離の増加のせいで、コンパクトなシステム全体構造を維持しながらも、改善された滅菌のためにガスをより長く(又は、高い流量にもかかわらず十分な期間)加熱状態に維持することができることである。
【0033】
好適には、システムは、密閉チャンバからガスを受け、ガスを加熱するように動作可能な第二の滅菌ユニットを含む。この加熱は、所定の滅菌温度までの加熱であることができる。
【0034】
任意選択で、第二の滅菌ユニットは、ガスを加熱したのち、ガスを所定の環境温度まで冷却するように動作可能である。
【0035】
本発明のもう一つの態様の一つの実施形態は、液体培地を収容するための容器と、ベンチュリアセンブリとを含み、ベンチュリアセンブリが、培地出口導管と、培地入口導管と、ポンプデバイスと、マウス部分及びスロート部分を含む捕集部材とを含む、装置を提供することができる。ベンチュリアセンブリは、表面気泡を捕集部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように配設されることができる。
【0036】
本発明のもう一つの態様の一つの実施形態は、液体培地を収容するための容器と、ベンチュリアセンブリとを含み、ベンチュリアセンブリが、培地出口導管と、培地入口導管と、ポンプデバイスとを含む、装置を提供することができる。装置は混合デバイスを含むことができる。ベンチュリアセンブリは、液体培地をベンチュリアセンブリの中へ、及び/又はそれに通して、及び/又は混合デバイスの中へ、又はそれに通して引き込むための減圧領域を生成するように配設されることができる。
【0037】
本明細書に開示されるもう一つの態様にしたがって、前述のバイオリアクタ装置と、前述の密閉チャンバ内の環境条件の維持のためのシステムとを含むバイオリアクタシステムが提供される。
【0038】
本明細書に開示されるもう一つの態様にしたがって、前述のバイオリアクタ装置の使用及び/又は前述の密閉チャンバ内の環境条件の維持のためのシステムの使用が提供される。
【0039】
本明細書に開示されるもう一つの態様にしたがって、液体培地を収容するための容器と、培地出口導管、培地入口導管、ポンプデバイス、マウス部分及びスロート部分を含む入口部材ならびに混合デバイスを含むベンチュリアポンプセンブリとを提供するステップ、ポンプデバイスを使用して容器から培地出口導管を通して培地を引き込み、それを培地入口導管に通すステップ、ポンピングされた培地を入口部材のスロート部分に通して、容器内容物を入口部材のマウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するステップ、及び混合デバイスを使用して、入口部材によって捕集された容器内容物を混合するステップを含む、バイオリアクタ処理のための方法が提供される。
【0040】
任意選択で、方法は、環境ガスコンプレッサ及び滅菌ユニットを提供するステップ、コンプレッサからのガスを滅菌ユニットで受けるステップ、ガスを所定の温度まで加熱するステップ、及び滅菌済みのガスを容器に供給するステップを含む。
【0041】
任意選択で、方法は、細長い加熱部分を提供するステップ、投入ガスを受けるステップ、細長い加熱部分を使用して投入ガスを絞るステップ、細長い加熱部分を使用してガスを所定の滅菌温度まで加熱するステップ、及び滅菌済みのガスを容器に供給するステップを含む。
【0042】
上記態様及び実施形態を組み合わせて本発明のさらなる態様及び実施形態を提供することもできる。
【0043】
次に、添付図面を参照しながら本発明を実例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】本発明の実施形態によるバイオリアクタ装置の構成部品を示す模式図である。
【
図1b】本発明の実施形態によるバイオリアクタ装置の構成部品を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態によるバイオリアクタ装置の模式図である。
【
図3】本発明の実施形態によるバイオリアクタ装置の構成部品を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態による滅菌システムの構成部品を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による滅菌システムの構成部品を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による滅菌システムの構成部品を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による滅菌システムの構成部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態の装置及びシステムは、改善されたバイオリアクタ効率、より低い複雑さ、より低い環境影響、より信頼しうる処理及び改善又は容易化されたメンテナンスを可能にする。本発明の実施形態の装置及びシステムは、改善されたエアレーション及び混合(微生物増殖を改善する)ならびに減少したせん断荷重(微生物の損傷又は破壊を減らす、又は回避する)を可能にする。エダクタ又はベンチュリ駆動の気泡捕集の使用が消泡剤の削減又は排除を可能にする。気泡捕集、エアレーション及び混合の同調が、簡略化された構成部品及び処理を可能にし、バイオマス含有量及び増殖速度の増大を促進することができる。封止された信頼し得る滅菌及びヘッドスペースガス制御システムの使用が、いかなる条件においても予測可能な結果を可能にする。
【0046】
エダクタ又はベンチュリ駆動エアレーションの使用が消泡剤の削減又は排除を可能にする。エダクタ又はベンチュリ駆動のエアレーションと気泡捕集との組み合わせは、消泡剤の削減又は排除を可能にするために特に好都合である。
【0047】
本発明の実施形態による装置100の一例が
図1に示されている。バイオリアクタ容器(図示せず)内で、所与のプロセスのための微生物を含む液体培地106がヘッドスペースガスよりも下に位置する。当然、異なるプロセスは、異なる培地成分、微生物及びヘッドスペースガス、一般には空気を必要とする。本発明の実施形態は、多種多様な処理パラダイムに適用可能である。
【0048】
この場合、バイオプロセシングが気泡108を生成し、それが液体の表面に位置する。気泡捕集部材102が、容器内に、そのマウス部が液体培地表面に位置するよう(又は、液体培地がこのレベルまで満たされる、又は満たされることができるよう)配置されている。気泡捕集部材(collector)はまた、気泡が生成されるとき(プロセス中の液位を変化させる)容器中の液位の小さな差を解消するために、追加的な横方向入口を含むこともできる。一実施形態では、気泡捕集部材は、気泡捕集部材の上縁に取り付けられた圧力制御浮遊デバイスの包含により、より大きな液位差を補正することもできる。もう一つの実施形態では、気泡捕集部材は、気泡捕集部材に取り付けられた機械的な高さ調整アームを制御する液位検知集積回路により、より大きな液位差を補正することもできる。
【0049】
この実施形態では、液面から気泡を除去するために、ベンチュリポンプ構造がこの気泡捕集部材と併せて使用される。
【0050】
あるいはまた、気泡捕集部材102は、そのマウス部が液体培地表面の近くに(表面ちょうどではなく)位置するよう(又は、液体培地がこのレベルまで満たされる、又は満たされることができるよう)配置されてもよい。当業者は、気泡捕集部材が吸引又は捕集デバイスとして機能することを理解するであろう。
【0051】
実施形態では、少なくとも初期の処理段階ではヘッドスペースガスのみ(液体又は液面の気泡ではなく)が捕集部材の中へ引き込まれるよう、(気泡)捕集部材を液面位よりも上に配置する、又は上げることもできる。実施形態では、複数の捕集部材を使用して、異なる機能又は補足的な機能を実行することもできる。たとえば、一つの捕集部材をエアレーション又はヘッドスペースガスの吸引に使用し、別の捕集部材を気泡捕集又は液体混合に使用することもできる。捕集部材は、適切に配置されたならば、それぞれがこれらの機能の組み合わせを実行することもできる。捕集部材はまた、プロセスの異なる段階で異なる機能を提供することもできる。たとえば、主としてエアレーションのために液面よりも上に配置された捕集部材はさらに(又は代わりに)、気泡生成が増大して気泡レベルを捕集部材の位置まで高めた場合に、気泡捕集の役割を提供することもできる。
【0052】
この実施形態では、液面から気泡を除去するために、ベンチュリポンプ構造がこの気泡捕集部材と併せて使用される。
【0053】
ベンチュリポンプ構造はまた、液体培地をエアレーションするために気泡捕集部材と併せて使用されてもよい。そのうえ、ベンチュリポンプ構造を気泡捕集部材と併せて使用して、エアレーションと液面からの気泡の除去との組み合わせを提供することもできる。
【0054】
ベンチュリポンプは、相対的な狭窄による圧力差に依存する。これは、たとえば、液体流のための一次チューブと、空気又は別の液体のための二次供給チューブとの間で達成することができる。これが、供給チューブから一次チューブへのポンピング効果を生じさせる。これらのデバイスは、より速く流れる一次液体チューブとより遅く流れる供給チューブとの間の接合部でより低い局所圧が発生する圧力差を達成するために、様々な方法で構成されることができる。
【0055】
この実施形態では、ベンチュリポンプは、タンクヘッドスペース内の加圧空気の制御及び培地流量の制御に基づくインライン流量制御ベンチュリポンプ設計である。培地導管104が、気泡捕集部材102のスロート部分(より広いマウス部分から部材の狭窄が生じるところ)内にそれと同心的に配置されている。すると、速く(より速く)移動する流体は、導管104の中を図示する方向110に通され、又は駆動されてスロート部分の中を下降して、二つの同心チューブ間の隙間によって形成される相対的な狭窄及びこの地点までの捕集部材の狭窄により、ベンチュリ効果を生じさせることができる。
【0056】
ベンチュリ効果は、気泡捕集部材のスロート部分内で圧力低下を生じさせ、それが、部材のマウス部に位置する気泡を112で示す方向に引き込む、又は吸い込む。これが、気泡を捕集する簡単かつ効果的な手段を提供する。
【0057】
いくつかの実施形態では、圧力差のために求められる狭窄は同心的なチューブ配設によって形成され、混合は、少なくとも部分的に、内側液体チューブではなく、外側空気チューブの中で/外側空気チューブから起こる。
【0058】
導管104中の液体培地のための駆動力は、ポンプデバイス、この場合は容器の外にあるポンプによって提供することができる。ベンチュリを駆動するための他の公知の類似手段を用いることもできる。
【0059】
ここでのベンチュリ効果はまた、方向114に示すようにヘッドスペースガスを引き込む。したがって、このシステムは、容器内の条件の正しい評価及び最適化とともに、気泡捕集のために使用することもできるし、気泡捕集と培地のエアレーションのために使用することもできるし、特定のタイプのプロセスのために必要ならば、又は気泡が存在しないならば(おそらくは処理の早期又は後期)エアレーションのためだけに使用することもできる。
【0060】
このシステムは、それ自体の目的で、又は気泡が存在しない場合(たとえば処理の早期又は後期)、培地のエアレーションのためだけに使用されてもよい。システムは、特定のタイプのプロセスのために必要ならば、又は他の機能(たとえばエアレーション)を提供するための他の捕集部材が存在するならば、気泡捕集のためだけに使用されてもよい。
【0061】
ヘッドスペースガスは、気泡捕集部材のスロート部分内の圧力低下により、114で示す方向に気泡捕集部材の中へ引き込まれる。これは、ヘッドスペースガスが空気である、又は空気を含む場合に、プロセス培地のためのエアレーションを提供する。気泡捕集部材の中へのヘッドスペースガスの捕集は、上述した液体培地の表面上の気泡の捕集に代わるもの又は加わるものであることができる。
【0062】
このシステムは、効率を改善するために、発酵槽設計における他の類似の要素及び/又は他の公知の要素と組み合わせて使用することができる。たとえば、気泡捕集効果とエアレーション効果との組み合わせは、これらのタスクのための別々の構成部品の必要性を除く。ベンチュリを他の類似のデバイスと組み合わせると、容器中の様々な地点又は異なる地点で追加的な気泡捕集及び/又はエアレーションを提供することができる。この装置を混合部品と組み合わせると、複合的なエアレーション・気泡捕集・混合装置を提供することができる。以前に考察されていたシステムでは、これは、数多くの異なる構成部品を使用して提供されなければならず、効率を低下させていた。
【0063】
特に、上記のように混合デバイスをベンチュリデバイスと直列に提供すると、効率の利点だけでなく、改善された処理結果をも提供することができる。実施形態では、混合部品は、別のベンチュリデバイスによって、又は類似の引き込み効果を有するデバイスによって提供することができる。これは、効果を発揮させるために必要な圧力差を二つのデバイス間で分割することを可能にして、微生物及び気泡生成に対するせん断効果を最小化する。
【0064】
図1bは、
図1aに示す装置又は
図1aに示す装置に類似する装置を示す。装置を混合部品と組み合わせると、複合的なエアレーション及び/又は気泡捕集・混合能力を提供することができる。以前に考察されていたシステムでは、これは、数多くの異なる構成部品を使用して提供されなければならず、効率を低下させていた。ここでは、捕集部材102が、方向110への投入流体によって駆動されるベンチュリ効果を提供して、ガス及び/又は気泡を方向112に引き込む。次いで、この装置の産出物は、方向120で混合デバイス130に通される。たとえば、これは、混合デバイス130に結合されている、捕集部材102の下部に結合された(又はその一部として形成された)導管を介することができる。混合デバイスのための投入物は、捕集部材102の産出物を、たとえば容器中の液体培地を包囲する他の投入物と組み合わせることができる。実施形態では、専用の導管を使用することなく、捕集部材の産出物を概して混合デバイスの方向に送るだけで十分である場合もある。
【0065】
混合装置130は、投入流体を上から方向122に取り込み、混合された流体を下に方向124で産出し、それによってこれらの産出物を、たとえばバイオリアクタ容器の中央又は下部へと循環させる。投入及び産出は、混合デバイスそのものによって、たとえば、混合デバイスによって駆動されるベンチュリ効果によって駆動することができる。一実施形態では、ベンチュリ効果は、液体を混合デバイスに通して下向きに駆動し、それによって投入流体を引き込む、インペラなどの混合要素の使用によって提供される。実施形態では、捕集部材102から方向122への投入に加えて、周囲の液体培地が方向123で混合デバイスに引き込まれる。したがって、混合デバイスは、液体だけでなく、ガスと液体との混合溶液に対しても作用することができる。実施形態では、混合デバイスは、液体へのガスのより一貫した混合を提供して勾配効果を回避するために、容器中で中央又は中間レベルの位置に配置することができる。
【0066】
図2及び3を参照すると、本発明の実施形態によるバイオリアクタ装置の具体的な実施形態が示されている。見てとれるように、
図1に示すものに類似するベンチュリ駆動捕集部材202が容器201内に提供され、その効果を提供する狭窄したスロート部分204がある。
【0067】
この実施形態では、捕集部材202は、少なくともはじめはヘッドスペースガス(ここでは空気)のみがベンチュリの中へ引き込まれるよう、液体培地の表面レベルよりも上に配置されている。しかし、この捕集部材は、プロセス中に気泡がこのより高いレベルまで上昇するならば、気泡をも捕集するように適合されている。
【0068】
実施形態では、外部機械的ポンプ210が、液体培地を容器の底の出口227から引き込み、容器の上部の入口に通して捕集部材まで送って、内側チューブ(導管)が外側チューブ(狭窄する捕集部材)内で終端するところに圧力差を発生させることにより、図示する方向206に液流を生成する。捕集部材のマウス部分は、空気及び捕集された表面気泡を含み、導管中をより速く移動する液体がベンチュリポンプを形成し、それによって液体培地と空気(及び、あるならば、気泡)とを混合する。
【0069】
実施形態では、エアレーション速度の制御は、空気圧及び液体流量を同時に調整することによって達成される。流量はポンプ210によって制御され、空気圧は、ヘッドスペースガスを容器の中に供給するコンプレッサ250によって制御される。
【0070】
この実施形態では、二つ以上のベンチュリポンプのネットワークを使用して、培地をエアレーションし、生物学的気泡を再循環させ、エアレーションされた培地と気泡とバルクタンク培地とを混合して、改善された微生物増殖を達成する。第一の培地/空気及び気泡(あるならば/必要ならば)混合ステップはベンチュリポンプ202/204によって達成される。第二の空気/培地/気泡混合はタンク全体への分散を生じさせ、ここではベンチュリポンプ222によって達成される。この構成では、ベンチュリポンプ222は容器内の開放システムである。ポンプ300の構成部品が、培地投入302及び304とともに、
図3に見てとれる。インペラ306がジェットミキサ225によって駆動される。インペラ306の周囲のカウリング228/310が圧力差を生じさせてベンチュリ効果を生成して、培地を引き込むように作用する。これは、主要な流体原動力がベンチュリポンプの上流にあるエアレーションベンチュリポンプとは対照的である。ここでは、流体原動力はベンチュリポンプの下流にあるため、ベンチュリポンプに入る気泡/エアレーション済み液体培地/タンク液体培地はインペラに衝突し、それによって、ブレードの機械的力を使用する混合によって気泡を微細化し、残る気泡を破壊し、内容物を矢印226の方向にタンク全体で均一に分散させる。
【0071】
この実施形態では、ベンチュリポンプ222は混合デバイスとして機能する。
【0072】
この構成と以前に考察されていたシステムの構成との違いは、駆動力が、ベンチュリ効果を可能にする狭窄部よりも下又は後で提供される(混合インペラによって)ということであることに注目することができる。ここでの狭窄部は、投入培地及び空気/気泡を運ぶ導管302及び304である。
【0073】
したがって、この実施形態では、第二の(ベンチュリ)構成部品が、第一のベンチュリの後で混合を提供する。加えて、この実施形態は、専用の気泡捕集部材(気泡/ガス/液体捕集部材202とは違って)がジェットミキサカウリングに直結されているさらなるベンチュリポンプ構造223を含む。この追加的な気泡捕集部材は容器内で異なるレベルにある。これは、気泡発生がタンク内の培地の表面レベル及び気泡レベルそのものに影響するため、好都合である。出発培地レベルに対して異なる位置に配置された二つの気泡捕集部材を使用すると、発泡速度の変動に対処することができる。
【0074】
この実施形態では、第一のベンチュリポンプ構造及び捕集部材202は主としてヘッドスペースガス捕集部材202として機能することができ、さらなるベンチュリポンプ構造223は専用の気泡捕集部材として機能する。
【0075】
たとえば、この構造の一つの利点は、捕集部材202が、そのより高い位置のおかげで、気泡で目詰まりすることを回避し、したがって、ベンチュリを介してエアレーション及び混合効果をより効率的に提供することができることである。専用の捕集部材223は、気泡高さが第一の捕集部材202に達するような高さでない限り、気泡捕集/吸引機能を提供し、それが、気泡捕集をも支援する。また、専用の気泡捕集部材のためのベンチュリ効果は、実施形態では、単一のポンプ構造222/223のみによって駆動される(又は、単一の導管又はアセンブリによって混合又はベンチュリ部品に接続されているだけである)ため、気泡捕集が効率化され、捕集された気泡を下流の混合デバイスによって効率的に破壊することができるという利点があるといえる。
【0076】
この実施形態では、専用の気泡捕集部材は、捕集部材のマウス部が液面のすぐ上かつ蓄積する気泡の下に来るよう(気泡吸引方向112を参照しながら
図1aに示す位置のように)、プロセス培地の表面に配置される。他の実施形態では、捕集部材の異なる配置が使用されてもよい。たとえば、一実施形態(たとえば、低気泡発生プロセスの場合)では、空気及び気泡吸引のために適合又は配置された単一の捕集部材が使用されてもよい。他の実施形態では、同じ又は異なる機能をそれぞれが有する複数の捕集部材が容器中の異なる位置で使用されて、本明細書に記載される利点を可能にしてもよい。また、さらなる実施形態では、専用の気泡捕集部材223などの他の捕集部材が、二次的な混合/ベンチュリデバイスによって駆動されるだけでなく、
図1aに類似する同心的なベンチュリ効果構造を含んでもよい。
【0077】
本発明の実施形態のさらなる利点は、ベンチュリ効果によるエアレーション及び混合及び/又はこれと、特にインペラを使用する第二のベンチュリ部品による混合との組み合わせが、エアストーンを使用するシステムなどの、以前に考察されていたシステムよりもはるかに小さい酸素気泡サイズを提供することができることである。微細な気泡サイズはエアレーション効率を改善することができる。
【0078】
加えて、混合デバイスは、エアレーションされ、ポンピングされた培地の流れを支援すると同時に、エアレーションされ、ポンピングされた培地と主容器培地とを直に混合しながらも、エアレーションされ、ポンピングされた培地と、任意選択で、容器空気及び容器全体にある気泡(存在する場合)との高度かつ均一な混合を維持する。また、実施形態では、デュアルベンチュリ設計が容器サイズの拡大縮小を可能にする。
【0079】
本発明のこの実施形態及び他の実施形態では、改善されたエアレーション・滅菌・加圧システムが提供される。一例が
図4に示されているが、このシステム及び類似のシステムは、様々なタイプのバイオリアクタに適用することができる。実際、このシステムは、一貫して維持された条件で信頼し得る滅菌済みガス/空気の供給が必要とされる他の分野で使用することもできる。
【0080】
バイオリアクタのためのエアレーションシステムは一般に、流入する空気と流出する空気の両方が無菌状態であることを必要とする。以前に考察されていたシステムでは、これはろ過によって達成される。ろ過システムは有意なメンテナンス及び整備を必要とし、比較的多量の浮遊微生物及び胞子を生じさせる高湿環境(染色工場など)には適さない。従来のエアレーションシステムはまた、マイクロバブルを発生させるためにエアストーンなどの材料を使用する。ここでもまた、これらのデバイスはメンテナンスを要し、一部の構成部品は頻繁な交換を必要とする。
【0081】
本発明の実施形態は、外部ガスポンプ及び加熱滅菌システムを提供することができる。
図2及び4~7は本発明の実施形態の例を示すが、これらの特徴は、密閉システム、特に加圧システム及びバイオリアクタに適用することができる。一般に、システムは、コンプレッサ又は他のガス供給/加圧手段と、供給されたガスを滅菌するための加熱システムと、加熱されたガスがエンクロージャ(ここではバイオリアクタ)に供給される前にそれを冷却するための冷却システムとを提供する。従来のシステムを上回る加熱滅菌の利点は、ろ過(ひいてはフィルタの目詰まり及び廃棄)が不要であり、たとえばUV処理と比べてより多くの異なるタイプの微生物及び汚染物質を除去することができることである。
【0082】
図2に示す例では、コンプレッサ250は、維持される圧力(必要ならば可変)の下でシステムへのガス(通常は空気)の供給を提供する。供給されるヘッドスペースガスが空気であるとき、これは周囲環境から抜き取ることができる。この実施形態では、ポンピングされた空気は、環境空気供給源からの生きた微生物、胞子又はウイルスを不活化するために、滅菌ユニット252によって250℃まで加熱され、その後、30℃まで急速冷却されたのち、タンクヘッドスペースに入る。タンクを出た空気は、環境に戻される前にもう一つの加熱滅菌ステージ254に送り返されるため、タンクヘッドスペースは制御された圧力を維持する。したがって、タンクヘッドスペース中の空気は、ベンチュリポンプネットワークを介して、培地のエアレーションに適した温度及び圧力に維持することができる。重要なことに、バイオリアクタがどこに位置しようとも、周囲又は環境条件にかかわらず、これを達成することができる。ヘッドスペースガスは、いかなる状況でも同じ温度及び一貫した圧力で提供することができる。
【0083】
図4~7に示す例では、システムは、コンプレッサ402と、滅菌ボックス404と、コイル部分406と、冷却デバイス408とを有する。多くの例におけるコンプレッサは、環境からの空気を提供するエアコンプレッサであり、その空気はその後、滅菌され、特定のタイプのバイオリアクタなどの加圧エンクロージャに十分な圧力で提供されなけばならない。
図5に詳細に示す滅菌ボックス404は、本質的には、流入するガスを加熱するための一連の電気抵抗器504を収容するエンクロージャ502である。この例では、ガスである空気は250℃まで加熱される。
【0084】
滅菌ボックス404は加熱チャンバとして機能する。実施形態では、加熱チャンバ(すなわち滅菌ボックス404)は、流入するガスを、微生物環境及び必要な滅菌レベルに依存して120℃~300℃まで加熱する。
【0085】
ガスは、コンプレッサから導管によって滅菌ボックスに供給され、類似の出口導管が、加熱されたガスをコイル部分406(
図6に示す)に供給する。この構成部品は、本質的には、コイル状、らせん状又は曲がりくねった形状の導管であり、これはその後、冷却デバイス408に供給を行う。
【0086】
加熱による空気の滅菌は難題を呈する。流入する(非滅菌)空気内の生物汚染物質は、特に気流が本質的に層流である場合、汚染物質の周囲の空気の境界によって加熱から保護されるおそれがある。これは、熱伝達の効率及び滅菌(生物汚染物質の熱伝達不活化による)の速度を低下させることができる。空気の加熱滅菌のための以前に考察されていたシステムはあるが、いずれも、バイオリアクタ/発酵槽又はろ過及びUVだけでは成功し得ない他の状況のための要件を満たさない。これらのシステムでは、温度及び気流設計が生物汚染物質を必要な速度/レベルで不活化しないため、生物不活化に必要な気流及び温度は、その滅菌される空気の下流での使用とは適合しない。バイオリアクタ/発酵槽は通常、微生物増殖に理想的な環境を提供し、したがって、生物汚染物質による汚染を非常にこうむりやすい。好都合には、本発明の実施形態の装置及びシステムは、特にガス(たとえば空気を含む)が本発明の実施形態にしたがって滅菌される場合、極めて低い汚染速度を示す。
【0087】
本発明の実施形態では、加熱チャンバ404内の空気の温度は、加熱されるべき流入する空気がはじめ室温であり、たとえば層流のせいで空間的に決定される方法で変化し得るため、均一ではない場合がある。したがって、コイル部分406は、混合/乱気流を生じさせ、加熱された空気を不活化温度に保持するように設計されている。理由は、コイルユニットの構成が、それが加熱チャンバの温度に平衡することを許すためである。コイル部分は、加熱チャンバから流入する加熱された空気を収縮させ、空間的に制限する。これが(実施形態では、コンプレッサと組み合わさって)、強制的又は動的な空気環境を創出し、より均一な熱分布を生じさせ、乱気流を発生させて、それにより、熱暴露時間を増して、および/または、浮遊生物汚染物質を不活化するのに要する時間を短縮して、その結果、より効率的な熱伝達不活化を生じさせる。発生した乱流は、生物汚染物質と加熱された構成部品との間の物理的接触の確率を大幅に高める。直接接触は通常、生物汚染物質のほぼ瞬間的な不活化を生じさせる。ガス流の乱流はまた、ガスを混合してガス中のより均一な熱分布を促進し、それによって、他のやり方ならば適切に滅菌されないかもしれないガスの中の相対的なホットスポット又はコールドスポットを減らす、又は回避する傾向を有するため、望ましい。
【0088】
したがって、加熱されたガスをエンクロージャ/バイオリアクタに提供するために単にそれをただちに冷却するのではなく、このコイル状部分は、ガスがコイルの全長を移動するのに必要な時間の長さのせいで、初期加熱段階ののち、ガスのための高温を長期間(より長期間)維持する(必ずしも加熱することなく)ことができる。
【0089】
コイル604は、利便性及び温度維持の容易さのために、可能な限りコンパクトな形態でハウジング602内に提供される。投入(inlet)ガスは、606で示す方向にコイル状導管に沿って移動し、産出(outlet)されて冷却される。
【0090】
本発明者らは、ガスの熱をはるかに長く維持することを許すこの追加的部分の提供が、特に従来のシステムと比べて、さらに大きな滅菌能力を提供することができることを見いだした。加えて、このシステムは、たとえば毎分200リットル程度の図示するシステムの場合、以前に考察されていたシステムと比べて、非常に一貫したガス/空気供給を高い流量で提供することができる。これは、一部には、システムからの任意の種類のろ過(流速を遅くするであろう)の省略のおかげで達成される。本発明の実施形態のシステムの包括的な滅菌効果のおかげで、微生物又は他の汚染物を除去するためにフィルタは不要である。流量能力の有意な構成要素は、以前に想定されていたよりもはるかに長い移動距離にわたって加熱(又は温度の維持)を提供し、それにより、高い流量にもかかわらず長い滅菌期間を提供することである。
【0091】
この高い流量は、多くの環境及び様式において利点であるが、特に、本発明の実施形態によるバイオリアクタにおいて利点である。いくつかの実施形態では、たとえば、エンクロージャに提供されるリットル数(毎分)がエンクロージャ中の液体培地の体積と同程度になるよう、約1:1の空気流:液体体積比を提供することが目標であってもよい。これは、たとえば、たとえば好気性発酵中の高酸素環境でバイオリアクタ培地中に細菌を維持することが重要である使用例において好都合である。本発明の実施形態の高い流量は、バイオリアクタ中の溶存酸素の分圧(pDO)を、以前に考察されていたシステムよりも容易かつ効率的に50%より高く維持することができることを意味する。実施形態では、システムは、圧力差原理(たとえば、タンクヘッドスペース内に約2バールの圧力)を使用して、気相と液相との間の均一化された高い酸素移動を保証する。
【0092】
実施形態では、たとえばさらに高い流量が必要又は可能であるならば、コイル部分406が加熱デバイスを備えることもできる。コイルは通常、ステンレス鋼製である。
【0093】
冷却デバイス408が
図7に示されている。デバイスは、ハウジング中に取り付けられたファン702を含み、ガスを通過させるための羽根付きチャネル704がある。加熱部分からのガスはデバイスに投入(inlet)され、706で示す方向に、第一の羽根付きチャネル部分の底から、冷却デバイス中の滞留時間を増すために交互又はジグザグの経路で移動したのち、デバイスの反対側の対応する部分を通って下降する。このデバイスは、エンクロージャ又は加圧デバイスに注入される前に、ガス温度を250℃~30℃まで冷却するのに十分である。類似する公知の冷却デバイスを使用して類似の冷却効果を提供することもできる。
【0094】
本発明の実施形態では、冷却デバイスは、加熱された空気を、容器に接続された熱交換器に通過させるファン駆動冷却ユニットを含む。実施形態では、ファン駆動冷却ユニットはファン702を含む。したがって、実施形態では、冷却デバイス及び容器(たとえばバイオリアクタ)は共にヒートシンクとして作用することができる。
【0095】
他の実施形態に適用可能な、
図2に示す出口滅菌チャンバ254は、
図4~7に示すものと同じ又は類似の構成部品を提供することができるが、当然、コンプレッサを要しない。同じレベルの滅菌および/または冷却を提供する必要がないともいえるため、適宜、これらの構成部品を簡略化することができる。
【0096】
本発明の実施形態では、滅菌システムは、各構成部品をサイズ及び能力に関して変更することができるという点で、拡大縮小可能である。求められる流量の滅菌空気を提供するためにすべてのステージが協調的して作動するように設計することができる。
【0097】
また、実施形態では、
図4~7に示すシステムに温度センサ及び/又はモニタリングシステムを提供して、これを、バイオリアクタ内容物の加熱の構成部品として、又はバイオリアクタ内容物の加熱のための主要な加熱様式として使用することを可能にすることもできる。
【0098】
本発明の装置、システム及び方法は、いかなる特定のタイプの微生物にも限定されない。本発明(及びそれによって提供される利点)は、液体培地中で培養することができるタイプの微生物、たとえば細菌(大腸菌など)、酵母(ピキア酵母又は出芽酵母など)又は哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞、NSOマウス骨髄腫細胞、ベビーハムスター腎細胞、ミドリザル腎細胞又はヒト胎児腎細胞など)に適用可能である。
【0099】
本明細書に記載されるように、本発明は、以前に考察されていたシステムよりも優れたエアレーション及び混合を達成する。この優れたエアレーション及び混合のおかげで、本発明は、凝集しやすい(たとえば自己凝集しやすい)微生物との使用に特に好適である。自己凝集性細菌の非限定的な例は大腸菌を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、微生物は組換え微生物である。いくつかの実施形態では、組換え微生物は組換え産物、たとえば組換えタンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、組換え微生物は、そのタイプの微生物によって自然に産生される産物の産生を調節するように操作される。いくつかの実施形態では、微生物は、その天然形態と比べて変異している。いくつかの実施形態では、変異した微生物は、その天然の形態と比べて異なるレベルの産物を生産する。産物としては、工業用産物(たとえば、繊維産業で使用するための)、治療用産物又は一次代謝産物(たとえばエタノール)があるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明の他の実施形態では、これらの図に示し、上記実施形態のいずれかで説明されたシステムは、好都合には、システム管理を支援するために、容器内及び/又はシステムの構成部品内にセンサを含むことができる。たとえば、容器内のセンサは、温度、圧力、pHなどをモニタすることができる。
【0102】
当業者には、本発明は例としてのみ説明されており、添付の特許請求の範囲によって画定される発明の範囲を逸脱することなく、多様な代替手法を採用することができることが理解されよう。
【0103】
特に、前述の説明は気泡捕集部材(102、202)に言及している。しかし、当業者は、特定の用途において、又は液体培地レベルに対する特定の位置において、気泡捕集部材が、ガスのみ又は液体培地のみを捕集してもよいし、ガス、液体培地及び気泡の任意の組み合わせを捕集してもよいことを理解するであろう。たとえば、気泡がまだ発生していない処理の早期段階では、気泡捕集部材はガス及び/又は液体培地のみを捕集してもよい。同様に、使用中に気泡捕集部材が液体培地のレベルよりも上に配置される場合、気泡捕集部材は、気泡レベルが気泡捕集部材のマウス部分のレベルよりも上昇するのに十分な気泡が形成するまでは、ガスのみを捕集してもよい。
【0104】
前述の説明はまた、コイル部分(406)に言及している。しかし、当業者は、コイル部分がガスのための保持ユニットとして機能し、したがって、ガス保持ユニットとして同様に機能する代替構造によって置き換えられてもよいことを理解するであろう。たとえば、保持ユニットは、ガスを滅菌ボックスから直に冷却デバイスに供給する場合よりも長くガスを高温に維持しながらガス流を滅菌ボックスから冷却デバイスへと導くための、一連の接続されたチャンバ又は曲がりくねった、もしくはらせん状のパイプ部分を含んでもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、
ベンチュリポンプアセンブリと
を含み、前記ベンチュリポンプアセンブリが、
培地出口導管と、
培地入口導管と、
前記容器から前記培地出口導管を通して培地を引き込み、それを前記培地入口導管に通すように構成されたポンプデバイスと、
前記容器内で液体培地表面位置に配置されたマウス部分及び狭窄したスロート部分を含む気泡捕集部材と
を含み、
前記培地入口導管が、ポンピングされた培地を前記気泡捕集部材の前記スロート部分に通して、表面気泡を前記気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように
配設されている、バイオリアクタ装置。
【請求項2】
前記培地入口導管が、前記気泡捕集部材の前記マウス部分に入るように配置されて、前記ポンピングされた培地を前記スロート部分に通す、請求項1記載のバイオリアクタ装置。
【請求項3】
前記ポンプデバイスが前記容器の外側に配置されている、請求項
1又は2記載のバイオリアクタ装置。
【請求項4】
前記マウス部分が、減圧領域をその中に生成しながら、前記気泡捕集部材の前記スロート部分を通過するポンピングされた培地の方向に、ヘッドスペースガスを前記気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むように適合されている、請求項
1~3のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項5】
前記気泡捕集部材からの気泡、ヘッドスペースガス及び液体培地のいずれかを混合するための混合デバイスを含む、請求項
1~4のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項6】
前記混合デバイスが前記気泡捕集部材の下流に配置されている、請求項5記載のバイオリアクタ装置。
【請求項7】
前記混合デバイスが、少なくとも第一の中間培地導管によって前記気泡捕集部材から供給を受ける、請求項6記載のバイオリアクタ装置。
【請求項8】
前記混合デバイスがインペラを含み、前記インペラが、気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかを前記混合デバイスに引き込む、及び/又は気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかの混合物を微細化するように適合されている、請求項6又は7記載のバイオリアクタ装置。
【請求項9】
前記混合デバイスが、容器内容物を前記混合デバイスの中へ引き込むための減圧領域を生成するように適合されている、請求項5~8のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項10】
さらなる気泡捕集部材を含み、前記さらなる気泡捕集部材が前記気泡捕集部材から離間している、請求項1~9のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項11】
前記気泡捕集部材及び前記さらなる気泡捕集部材が、前記容器内で異なる高さに配置されている、請求項10記載のバイオリアクタ装置。
【請求項12】
使用中、前記容器内の気泡の高さが増すにつれて、前記気泡が前記気泡捕集部材よりも先に前記さらなる気泡捕集部材に到達するように、前記さらなる気泡捕集部材が前記容器内のより低い位置に配置されている、請求項10又は11記載のバイオリアクタ装置。
【請求項13】
液体培地を収容するための容器と、
ベンチュリポンプアセンブリと
を含み、前記ベンチュリポンプアセンブリが、
培地出口導管と、
培地入口導管と、
前記容器から前記培地出口導管を通して培地を引き込み、それを前記培地入口導管に通すように構成されたポンプデバイスと、
マウス部分及び狭窄したスロート部分を含む捕集部材と、
前記捕集部材の下流に配置された混合デバイスと
を含み、
前記培地入口導管が、ポンピングされた培地を前記捕集部材の前記スロート部分に通して、容器内容物を前記捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するように
配設され、
前記混合デバイスが、前記捕集部材によって捕集された容器内容物を混合するように適合されている、バイオリアクタ装置。
【請求項14】
前記混合デバイスが、少なくとも第一の中間培地導管によって前記捕集部材から供給を受ける、請求項10記載のバイオリアクタ装置。
【請求項15】
前記混合デバイスがインペラを含み、前記インペラが、気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかを前記混合デバイスに引き込む、及び/又は気泡、ヘッドスペースガス及び/又は液体培地のいずれかの混合物を微細化するように適合されている、請求項10又は11記載のバイオリアクタ装置。
【請求項16】
前記ポンプデバイスが第一の駆動手段を含み、前記混合デバイスが第二の駆動手段を含む、請求項
14又は
15記載のバイオリアクタ装置。
【請求項17】
専用の気泡捕集部材を含み、前記専用の気泡捕集部材が、前記気泡捕集部材の前記表面位置とは反対側の液体培地表面位置に配置されたマウス部分を含む、請求項
1~16のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項18】
専用の気泡捕集導管が前記専用の気泡捕集部材及びインペラハウジングに結合され、前記インペラがさらに、表面気泡を前記専用の気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように適合されている、請求項11に従属する請求項
17記載のバイオリアクタ装置。
【請求項19】
前記専用の気泡捕集部材が、狭窄したスロート部分を含む、請求項
17又は
18記載のバイオリアクタ装置。
【請求項20】
前記ポンプデバイスが前記容器の外側に位置する、請求項
1~19のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置。
【請求項21】
液体培地及びヘッドスペースガスを収容するための容器と、
ベンチュリポンプアセンブリと
を含み、前記ベンチュリポンプアセンブリが、
マウス部分及び狭窄したスロート部分を有する気泡捕集部材と、
前記気泡捕集部材内に、前記狭窄したスロート部分と同心的に配設された培地導管と、
ポンプデバイスと
を含み、
前記ポンプデバイスが、前記容器から前記培地導管に通して培地をポンピングし、それにより、表面気泡及び/又はヘッドスペースガスを前記気泡捕集部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域を生成するように
配設されている、バイオリアクタ装置。
【請求項22】
環境ガスコンプレッサと、
前記コンプレッサからガスを受け、前記ガスを所定の滅菌温度まで加熱し、前記ガスを所定のエンクロージャ温度まで冷却し、滅菌済みのガスを密閉チャンバに供給するように動作可能な第一の滅菌ユニットと
を含む、密閉チャンバ内の環境条件の維持のためのシステム。
【請求項23】
前記密閉チャンバが加圧されている、請求項
22記載のシステム。
【請求項24】
前記密閉チャンバがバイオリアクタである、請求項
22又は
23記載のシステム。
【請求項25】
第一の滅菌ユニットが、前記所定の滅菌温度まで加熱されたガスを受け、前記所定のエンクロージャ温度まで冷却されるガスを産出するように動作可能な中間チャンバを含む、請求項
22~
24のいずれか1項記載のシステム。
【請求項26】
前記中間チャンバがコイル状導管を含み、前記導管が、加熱されたガスを受けるための入口端と、冷却されるガスを産出するための出口端とを含む、請求項
25記載のシステム。
【請求項27】
前記密閉チャンバからガスを受け、前記ガスを加熱するように動作可能な第二の滅菌ユニットを含む、請求項
22~
26のいずれか1項記載のシステム。
【請求項28】
前記第二の滅菌ユニットが、前記ガスを加熱したのち、前記ガスを所定の環境温度まで冷却するように動作可能である、請求項
27記載のシステム。
【請求項29】
請求項1~
21のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置と、
請求項
22~
28のいずれか1項記載のシステムと
を含むバイオリアクタシステム。
【請求項30】
発酵プロセスにおける、請求項1~
21のいずれか1項記載のバイオリアクタ装置又は請求項
22~
29のいずれか1項記載のシステムの使用。
【請求項31】
液体培地を収容するための容器と、
培地出口導管、培地入口導管、ポンプデバイス、マウス部分及びスロート部分を含む入口部材ならびに混合デバイスを含むベンチュリアセンブリと
を提供するステップ、
前記ポンプデバイスを使用して前記容器から前記培地出口導管を通して培地を引き込み、それを前記培地入口導管に通すステップ、
ポンピングされた培地を前記入口部材の前記スロート部分に通して、容器内容物を前記入口部材の前記マウス部分の中へ吸い込むための減圧領域をその中に生成するステップ、及び
前記混合デバイスを使用して、前記入口部材によって捕集された容器内容物を混合するステップ
を含む、バイオリアクタ処理のための方法。
【請求項32】
環境ガスコンプレッサ及び滅菌ユニットを提供するステップ、
前記コンプレッサからのガスを滅菌ユニットで受けるステップ、
前記ガスを所定の温度まで加熱するステップ、及び
滅菌済みのガスを前記容器に供給するステップ
を含む、請求項
31記載のバイオリアクタ処理のための方法。
【請求項33】
細長い加熱部分を提供するステップ、
投入ガスを受けるステップ、
前記細長い加熱部分を使用して前記投入ガスを絞るステップ、
前記細長い加熱部分を使用して前記ガスを所定の滅菌温度まで加熱するステップ、及び
滅菌済みのガスを前記容器に供給するステップ
を含む、請求項
31又は
32記載のバイオリアクタ処理のための方法。
【国際調査報告】