(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂
(51)【国際特許分類】
C08G 59/62 20060101AFI20241016BHJP
C08G 59/24 20060101ALI20241016BHJP
C08G 59/68 20060101ALI20241016BHJP
C08G 59/42 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C08G59/62
C08G59/24
C08G59/68
C08G59/42
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024526743
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 CZ2022000044
(87)【国際公開番号】W WO2023078480
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517132706
【氏名又は名称】スポレク プロ ヘミコウ アー フツニ ブイロブ,アクツィオバ スポレチェノスト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒルスル
(72)【発明者】
【氏名】トマーシュ ロウバル
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AA02
4J036AD01
4J036AD08
4J036DA01
4J036DA05
4J036DB06
4J036DB15
4J036DB18
4J036DB20
4J036DB21
4J036DB22
4J036DB28
4J036DC03
4J036DC04
4J036DC06
4J036DC09
4J036DC10
4J036DC14
4J036DC31
4J036DD04
4J036DD05
4J036FA03
4J036FA04
4J036FA10
4J036FB07
4J036FB08
4J036FB11
4J036GA02
4J036GA04
4J036HA12
4J036JA02
4J036JA03
4J036KA01
4J036KA05
(57)【要約】
発明の名称:エポキシ樹脂。
本発明は、高分子量エポキシ樹脂組成物に関し、これは、エポキシ当量172~500g/molのBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂と:
(a)ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/若しくはモノマー及び/又はポリマー、並びに/又は、
(b)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(c)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(d)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸若しくはそれらの無水物、並びに/又は、
(e)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール、並びに/又は、
(f)(a)、(d)、及び(e)による、モノマーの混合物、
とから生成され、
最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である。エポキシ樹脂の生成方法も開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ当量172~500g/molのBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂と:
(a)ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/若しくはモノマー及び/若しくはポリマー、並びに/又は、
(b)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(c)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(d)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸若しくはそれらの無水物、並びに/又は、
(e)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール、並びに/又は、
(f)(a)、(d)、及び(e)による、モノマーの混合物、
とから生成され、
最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、
高分子量エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の高分子量エポキシ樹脂組成物であって、その平均分子量が、1000~6000ダルトンの範囲内である、高分子量エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記BPAに基づく低分子量エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、請求項1又は2に記載の高分子量エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
硬化した請求項1~3のいずれか1項に記載の高分子量エポキシ樹脂の組成物であって、硬化剤硬化されており、前記硬化した高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、1ppm未満である、組成物。
【請求項5】
前記硬化剤が:
(a)ポリエーテルアミン、脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアミン、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシド、尿素誘導体、及びジシアンジアミドとの付加物、並びに/又は、
(b)ポリエステル、無水物、すなわち脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリ無水物、及びポリ酸、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシドとの付加物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、アミン、ポリアミン、及びそれらの、脂環式、脂肪族二量体、及びポリマー脂肪モノ、ジ及びポリカルボン酸との付加物に基づく、ポリアミド及びアミノアミド、並びに/又は、
(d)メラミン、尿素、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂、ノボラック、及びポリフェノール、例えばジシクロペンタジエンジフェノールなど、並びに/又は、
(e)マスキングされた若しくはマスキングされていない、ポリイソシアネート、並びに/又は、
(f)ルイス塩基及び酸、
から選択される硬化剤の群である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
樹脂の割合が、10~97重量%であり、前記組成物中の残部が、硬化剤である、請求項4又は5に記載の硬化した高分子量エポキシ樹脂の組成物。
【請求項7】
BPAに基づく高分子量エポキシ樹脂を生成する方法であって、エポキシ当量が172~500g/molであるBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂を:
(a)ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/若しくはモノマー及び/若しくはポリマー、並びに/又は、
(b)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(c)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(d)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸、又はそれらの無水物、並びに/又は、
(e)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール;並びに/又は、
(f)(a)、(d)、及び(e)によるモノマーの混合物;
と混合し、アンモニウム塩又はホスホニウム塩に基づく触媒の存在下、50~250℃の範囲内の温度で、反応させ、
得られる高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、方法。
【請求項8】
前記アンモニウム塩又はホスホニウム塩に基づく触媒が:
エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリドトリフェニルホスフィン、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリメチルアミン、ハロゲン化ホスホニウム塩など、
からなる群から選択される、請求項7に記載の高分子量エポキシ樹脂を生成する方法。
【請求項9】
請求項5又は6に記載の硬化した高分子量エポキシ樹脂を含む組成物の生成方法であって、前記樹脂を、硬化剤を用いて硬化させ、前記硬化した高分子量エポキシ樹脂の最終遊離BPA含有量が、1ppm未満である、硬化した高分子量エポキシ樹脂を含む組成物の生成方法。
【請求項10】
前記硬化剤が、
(a)ポリエーテルアミン、脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアミン、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシド、尿素誘導体、及びジシアンジアミドとの付加物、並びに/又は、
(b)ポリエステル、無水物、すなわち脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリ無水物、及びポリ酸、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシドとの付加物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、アミン、ポリアミン、及びそれらの、脂環式、脂肪族二量体、及びポリマー脂肪モノ、ジ及びポリカルボン酸との付加物に基づく、ポリアミド及びアミノアミド、並びに/又は、
(d)メラミン、尿素、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂、ノボラック、及びポリフェノール、例えばジシクロペンタジエンジフェノールなど、並びに/又は、
(e)マスキングされた若しくはマスキングされていない、ポリイソシアネート、並びに/又は、
(f)ルイス塩基及び酸
に基づく硬化剤であり、
前記硬化した高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、1ppm未満である。
請求項9に記載の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊離ビスフェノールA(BPA)の含有量が2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、塗料、複合材料、及び接着剤中で用いられる、エポキシ樹脂の生成方法に関する。好ましくは、遊離ビスフェノールA(BPA)の含有量は、硬化剤で架橋した後、1ppm未満である。
【0002】
さらに、1ppm未満である、硬化した高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量を有する、硬化した高分子量エポキシ樹脂組成物も、開示されている。
【背景技術】
【0003】
人間のホルモンシステムに影響を及ぼすと疑われる物質、いわゆる内分泌かく乱物質の使用を排除するために、特には飲料、例えば果汁飲料、炭酸飲料、及びビールなど、並びに食材に用いられる容器について、大きな圧力がかかっている。
【0004】
BPAは、依然として、エポキシ樹脂の生成、及びその下流のこれらの容器用保護コーティングの生成に用いられる、モノマーのひとつである。現在、BPAは高懸念物質(SVHC)リストに含まれている。そのTDI限界(=耐容一日摂取量)は、2015年1月、EFSA(=欧州食品安全機関)によって、1日当たり体重1kg当たり4マイクログラムという閾値が設定された。
【0005】
70年超にわたって食品及び飲料用缶の内部保護にBPAに基づくエポキシ樹脂を用いて成功してきた企業は、潜在的なBPAの移行に対する必要な制限を満たすだけでなく、健康保護及び環境保護にも関する消費者の正当な懸念及び権利を満たすために、比較的厳しい要件に対処するという課題に、現在直面している。
【0006】
これまで、金属容器及びパイプのコーティング、飲料水用複合パイプのコーティング、食品及び飲料の包装及び保存に用いられる、エポキシ樹脂は、食料品を、ジュース中の有機酸、並びに容器のガラス及び金属を侵す塩基性アミノ酸の両方の点で、多くの場合非常に刺激の強い食品との接触から生じる腐食生成物から、保護することを目的としてきた。さらにコーティングは、容器自体からの任意の材料、例えば容器の製造に用いられる構成要素からの有機物質又は金属性材料などから、食料品を保護する役割も果たす。容器の表面に直接用いられるプライマーは、さらなる保護を提供し、かつコーティングの容器への確実で均一な接着を保証するために用いられる。このようなプライマーは、コーティングを有する容器の加工の際に剥離しないように設計される。
【0007】
したがって、劣化した容器の腐食生成物は、非常に多くの場合、有機塩及び錯体の形態で、食品及び飲料を重金属で汚染し、これは、摂取後、消化管を通過し、ヒトの脂肪組織内に蓄積しやすい。
【0008】
最近出版された、Beverages 2019.5,3;doi:10.3390/beverages 5010003(MDPI Journal)では、合成後の遊離BPA濃度を低く保ち、かつガラス転移温度(Tg)を維持しつつ、エポキシ樹脂からの未反応BPAの移行が、現在の許容限界未満であることが、明確に記録されている。しかしながら、十分なネットワークポリマー密度で硬化後のシステムのTgを高く維持し、このようにして、コーティングから食品内への拡散、及び逆に腐食生成物の発生源となる、食品から金属への拡散を、低減することが求められている。
【0009】
この出版物におけるこれらの試験は、20%までのエタノールが用いられ、上昇した温度が40℃及び60℃であるので、比較的有害であることも指摘されている。同様に、子供用食材入り缶内のエポキシ内面保護コーティング/ワニス中のBPAの移行を試験したところ、依然として0.1~13ppbの抽出BPAが見つかった。したがって、未反応BPAの含有量をさらに比較的より最小限に抑えるか、又は好ましくは排除している、高分子量エポキシ樹脂の合成への新たなアプローチを用いることが、食品及び飲料内へのBPAの移行をさらに低減又は排除するために望まれることが、明らかである。
【0010】
したがって、BPAに基づく2成分高分子量エポキシ樹脂を、ポリエステル2成分樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、及び熱可塑性プラスチック全般、並びにその他のポリマー性コーティングに置き換える取り組みが、さらに強化されている。
【0011】
例えば:
米国特許第7682674号明細書は、PVC及びアクリル樹脂に基づくコーティング組成物を開示している。
米国特許出願公開第2003/0170396号明細書は、エポキシノボラック樹脂に基づく組成物を開示している。
国際公開第2010/100122号には、エポキシ化植物油に基づく組成物が記載されている。
国際公開第2012/091701号は、水素化BPAを含むエポキシ化グリコールを開示している。
米国特許第9139690号明細書は、エポキシ化脂環式ジオールに基づく組成物を開示している。
米国特許第9150685号明細書は、BADGE(=ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、又はBFDGE(=ビスフェノールFジグリシジルエーテル)、又はそれらの水素化変形体との混合物中の2-フェニル-1,3-プロパンジオールのジグリシジルエーテルを開示している。しかしながら、腐食は、常に問題のままである。
国際公開第2021/024033号では、ビスフェノールA又はFは、ジシクロペンタジエンジフェノール(DCPD)のオリゴマーで完全に置換されている。しかしながら、これまでに提供されたBPA置換オプションは、全て化学的及び熱的耐性に問題があり、したがって、置換されたBPAに基づくエポキシ樹脂の要求特性を満たしておらず、このエポキシ樹脂は、残念なことに、未反応のBPAを最大数千ppm含有しうる。
【0012】
したがって、安全なエポキシ樹脂を生成するための既存のプロセスは、標準的なBPA/BPFエポキシ樹脂を用いることを除外し、代わりに脂環式及び脂肪族グリシジルエーテル若しくはグリシジルエステル、又はそれらの組み合わせ、並びにポリフェノールを含む付加物、又はフェノール及びモノ、ジ若しくはポリシクロペンタジエンを含むポリフェノールの付加物、又はそれらのエポキシ化誘導体、アルキル化若しくはアリール化ビスフェノール、又はそれらのエポキシ化誘導体、さらには例えばエポキシ化糖及び油などを用いることに基づいている。
【0013】
しかしながら、上述したように、これらの材料は、特には硬化後のガラス転移温度、比較的劣る化学的耐性及び腐食耐性、並びに比較的劣る強度特性に関しても、ほとんどの用途にとって不利かつ/又は問題のある最終特性を有する。
【0014】
脂環式又は脂肪族の、ヒドロキシル、グリシジル、又はグリシジルエステル反応性基を原因として、これらの樹脂の高分子量付加物の生成も、比較的困難かつ問題が多く、相間移動触媒の増加した量を用いることを要求することが多く、最終用途の特性、主に粉体コーティング用バインダーの軟化点に関する特性、並びに一般的には反応性;ポットライフ;コーティング、複合材料、及び接着剤のハンドリング強度に達するまでの時間;化学的耐性;熱的耐性;及び関連するクリープ耐久性にも、大きな悪影響を及ぼす。
【0015】
さらに、これらの生成物は、飲料水及び食材と接触する容器の表面処理にもともと用いられていた、BPA/BPFに基づく高分子量エポキシ樹脂の代替品として多くの場合提供される。これらの代替品への毒性試験及び内分泌かく乱作用試験は、多くの公表材料について、多くの場合まだ得られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
BPAに基づくエポキシ樹脂のみを、上記のBPAの無い樹脂及びポリマーに置き換える先行技術の欠点は、本発明のプロセスによって、様々なタイプの硬化剤を含む化学的耐性及び熱的耐性のあるエポキシ樹脂及びシステムの生成のために、飲料水及び食品用の、金属容器の内部表面、パイプ、及び表面、並びに場合によっては他の保護コーティング(例えば医療分野における、例えばシリンジバレルコーティングなど)の処理のために、遊離BPAに対する環境保護とともに、解消される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の主題は、エポキシ当量172~500g/molのBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂から生成される、高分子量エポキシ樹脂組成物であり、以下を含む:
(a)ジシクロペンタンジエンジフェノールのオリゴマー、及び/若しくはモノマー、及び/若しくはポリマー、並びに/又は、
(b)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(c)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(d)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸、若しくはそれらの無水物、並びに/又は、
(e)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール、並びに/又は、
(f)(a)、(d)、及び(e)によるモノマーの混合物、
ここで、最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量は、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である。
【0018】
1ppm未満である、硬化した高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含有量を有する、エポキシ樹脂の生成方法も開示されている。
【0019】
これらの配合及び得られるコーティングは、BPAの食材及び外部環境内への移行を低減又は防止するだけでなく、例えば以下の通りに違いない:
- 飲料水及び食材と接触する表面上に、連続的な(均質で、無孔質で、ピンホール、フィッシュアイの無い)コーティングフィルムを形成し、
- 飲料水及び食材の包装及び輸送中に用いられる様々な表面に対して極めて優れた接着性を有し、
- かつ、包装内の内容物の存在下でのコーティングの剥離を避け、かつ、
- 安定性があり、それによって、破片の形成が無く、
- さらに、保存された食品及び飲料、医療品、並びにその他の用途において、感覚的変化が無いに違いなく、
- かつ、ユーザーの条件を満たすに違いない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態では、低分子量の基本的なBPAエポキシ樹脂、すなわち樹脂100g当たりのエポキシ当量が0.2~0.58であり、又はエポキシ当量EEWが172~500g/molである、エポキシ指数の樹脂であって、DCPDジフェノールオリゴマー、テトラメチルビスフェノールF、随意にテレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ビスフェノールZ、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノール、ジメチルレゾルシノール、及びそれらの混合物とも反応させた樹脂を包含し、用途において要求される結果を有する。
【0021】
下記の構造に見られるように、例えば、樹脂であって、例えばジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマーなどを用いて、反応させた樹脂は、好ましくは高い疎水性及び加水分解安定性を有する、芳香族及び/又は脂肪族構造を有する化合物又はオリゴマーとの好ましい組み合わせによって相乗的に利用される。さらに、フェノール基は、樹脂合成中及び架橋の際に高いモノマー転化度を提供し、好ましくは高い官能性及び分岐性が、好ましくは、硬化剤利用のポリマーネットワークが形成される際に用いられつつ、有利な用途特性、例えばスプレー用途のためのメチルエチルケトン内への溶解性、基材への速乾性及び接着性、要求されるガラス転移温度並びに化学的及び熱的耐久性を提供するための優れた硬化のための上昇した温度での有利な乾燥性なども、維持する。
【0022】
本発明のプロセスは、下記構造のジシクロペンタジエンポリフェノール二量体及び/又はオリゴマーと反応させることによって、未反応BPA含有量が5ppm未満である、改変された、BPAに基づく低分子量エポキシ樹脂を生成するものであり、又は随意に他のモノマー、例えばポリカルボン酸及びそれらの無水物など、アルキル化ビスフェノール類、例えばテトラメチルビスフェノールF、ノボラックなどを用いて生成し、最終反応生成物が、硬化剤による硬化後に、許容限界及び多くの場合検出限界でもある1ppmを良好に下回る遊離BPAを含有し、したがって従来から知られている安全性、毒性学的、環境的、かつ技術的な要件を満たす。
【0023】
【0024】
特に、得られる材料の全ての基本的な用途要件を、粉体コーティング、溶液コーティング、及び複合材料のいずれについても、それらの所望の用途に関して、硬化後の未反応BPA量が1ppm未満である場合、満たすことが可能であり、これは自然のバックグラウンドに近く、食品及び水抽出物について現在要求されている基準を全て満たすことを可能にする。
【0025】
したがって、本発明の実施形態は、硬化剤及び/又は他の添加剤を含まない未硬化樹脂中の遊離BPA含有量を、現在の全ての衛生及び環境規制を完全に満たすレベルまで、例えばDCPDジフェノールオリゴマーを用いる式(1)の場合などにおいて、実質的に低減する配合を提供することである:
【0026】
【0027】
ここで、R1及び/又はR2は、独立して、-CH3、-H、=C6H10、-Rである。
【0028】
好ましくは、500~2000ダルトン、好ましくは1000~6000ダルトンの分子量が達成される。
【0029】
本発明の別の実施形態では、アルカリ加水分解が考慮されない、式(2)に示すように、BADGEの改変は、有機ポリ酸、例えばイソフタル酸、フタル酸又はその無水物、テレフタル酸、アジピン酸又はその無水物、コハク酸又はその無水物、マレイン酸又はその無水物、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などを用いることによって行われる。
【0030】
【0031】
有利には、別の配合も考えられ、この場合、式(1)及び式(2)によって記載される配合を組み合わせ、それによって、モノマーの、BPA型低分子量エポキシ樹脂との相互組み合わせによって、要求される最適性能特性を達成する。
【0032】
上記の解決策の利点は、50℃~250℃の温度範囲内において中分子量及び高分子量BPA型エポキシ樹脂を生成するための、既存の技術的設備及びプロセスを用いることを可能にすることであり、オニウム塩に基づく触媒、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、及び他の上記の反応に一般的に用いられる触媒などの通常の標準量は、0.001~5重量%の範囲内にあり、反応物の標準モル比は、用いられる触媒及び得られる樹脂の軟化点に応じた、反応性によって与えられ、所望の反応性若しくは非反応性溶媒、若しくは溶媒混合物、又は所望の乾燥性及び粘度の水性分散液を用いる溶液中での、樹脂のフレーク状ストリップ若しくは最終移送のいずれかを用いる。好ましいオニウム塩触媒は、以下から選択される:エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスフィン、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリメチルアミン、ハロゲン化ホスホニウム塩など。
【0033】
本発明に従って生成された樹脂の硬化プロセスは、標準的なBPA樹脂に用いられる手順と同じであり、反応性部位、例えば、エポキシ基、ヒドロキシル基、又は他の導入基であって、塗料、複合材料、接着剤などの用途の最終目的に応じた、例えばアミン又はアミド基タイプなどの導入基、などを用いる。この硬化プロセスは、さらに、システム全体の未反応BPAレベルを、エポキシ基との下記の反応、又はアミン、アミドとの塩の生成、又は硬化した材料中の極性基との水素結合によって、著しく低下させる。
【0034】
本発明の別の実施態様において、高分子量エポキシ樹脂の硬化性組成物が生成される。上記高分子量エポキシ樹脂の硬化性組成物は、10~97重量%の量の高分子量エポキシ樹脂、及び硬化剤を含む。
【0035】
本発明による硬化性高分子量エポキシ樹脂組成物を生成するために用いられる硬化剤は、ポリエーテルアミン、脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアミン、並びに/又はそれらの、脂環式、及び、脂肪族、及び芳香族の、エポキシド、尿素誘導体、及びジシアンジアミドとの付加物、から選択される。
【0036】
さらに、本発明による硬化性高分子量エポキシ樹脂組成物を生成するために用いられる硬化剤はまた、下記に基づく、ポリアミド及びアミノアミドに基づく:脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、アミン、及びポリアミン、並びに/又はそれらの、脂環式、及び脂肪族の、二量体、及びポリマー脂肪モノ及びジ及びポリカルボン酸との付加物。
【0037】
好ましいアミノ硬化剤は、ジシアンジアミド(DICY)、イソホロンジアミン(IPDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、エチレンジアミン(EDA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリエーテルアミンD230、T403など、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、2,4-ジアミノ-1-メチルシクロヘキサン、2,6-ジアミノ-1-メチルシクロヘキサン、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル及び3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニル、並びにアミノプラスト樹脂などからも選択される。
【0038】
さらに、本発明による硬化性高分子量エポキシ樹脂組成物を生成するために用いられる硬化剤はまた、下記に基づく、ポリアミド及びアミノアミドに基づく:ポリエステル、無水物、すなわち脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアンヒドリド、及びポリ酸、並びに/又はそれらの、脂環式、及び、脂肪族、及び芳香族の、エポキシドとの付加物。
【0039】
好ましい無水物硬化剤は下記から選択される:ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジン酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナジン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、アルキルスチレン-無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ポリアジピン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、HET無水物、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物。
【0040】
さらに、本発明による硬化性高分子量エポキシ樹脂組成物を生成するために用いられる硬化剤はまた、メラミン、尿素、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂、ノボラック、及びポリフェノール、例えばジシクロペンタジエンジフェノールなど、に基づく。
【0041】
好ましい硬化剤は、フェノール-ホルムアルデヒド、レゾルシン-ホルムアルデヒド、カテコール-ホルムアルデヒド、ヒドロキニン-ホルムアルデヒド、クレゾール-ホルムアルデヒド、クロログルシノール-ホルムアルデヒド、ピロガロール-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、尿素-ホルムアルデヒドから選択される。
【0042】
本発明に従って生成された樹脂の硬化プロセスは、さらに、マスキングされた又はマスキングされていないポリイソシアネートに基づき、かつルイス塩基、例えばトリメチルアミン、キヌクリジン、ピリジン、テトラヒドロチオフェン、及び/又はトリメチルホスフィンなど、並びにルイス酸、例えばFeCl3、AlCl3、SbCl5、SnCl4、TiCl4、BF3、SO2Cl2、及び/又は金属トリフラート錯体などにも基づく、硬化剤を用いる。
【0043】
本発明の別の実施形態では、硬化性高分子量エポキシ樹脂を生成するプロセスが含有され、上記硬化性高分子量エポキシ樹脂は、下記に基づく高分子量エポキシ樹脂の組成物と、選択された硬化剤とを用いることによって生成される:エポキシ当量172~500g/molである、BPAに基づく低分子量エポキシ樹脂、並びにジシクロペンタジエンジフェノールの、オリゴマー、モノマー、及び/若しくはポリマー、並びに/又はビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は上記のフェノール物質の混合物、並びに/又は脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸、若しくはそれらの無水物、並びに/又は脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール、並びに/又は上記のモノマーの混合物(ここで、最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量は、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である)。
【実施例】
【0044】
本発明による樹脂の生成
【0045】
実施例1
【0046】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂262.89g、
- 当量168g/molのジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマー137.1g、及び、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0047】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度140℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、685g/molのエポキシ基のエポキシ当量、103℃の軟化点、283mPasのブチルグリコール中40%(重量)の溶液の粘度を有した。
【0048】
エポキシ樹脂中の遊離BPA含有量の分析は、Agilent Poroshell 120 EC-C18 2.7μm 4.6×100mmカラムを有する、Agilent 1260 Infinity II液体クロマトグラフを用いて、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって実行された。移動相は、60%のメタノール及び40%の水からなっていた(試料の場合、樹脂は、純粋なテトラヒドロフラン(THF)を用いて10分間にわたってカラムから洗浄された)。移動相の流速は、1ml/分であった。試料を、THF中で濃度約10mg/mlの溶液として生成した。移動相は、60%メタノール及びTHFからなっていた。キャリブレーション溶液の濃度は、約0.1~9exp.-5mg/mlの範囲内であり、投与量は、3μlであった。
【0049】
キャリブレーション溶液は、9種類あり、それぞれを2回投与した。試料を、3回生成し、各溶液を2回投与した。生成したエポキシ樹脂中の遊離BPA含量は、検出限界未満、すなわち1ppm未満であった。
【0050】
さらに、生成したエポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量の追加分析を、Solvias AGが開発した定量試験「Method for the determination of Bisphenol-A in the solid epoxy resins by LC/MS」(規格番号CSOP-0724_01)を用いて実行した。生成したエポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量は、1ppm未満であった。
【0051】
実施例2
【0052】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂294.9g、
- 当量168g/molのジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマー105.1g、及び、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0053】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度140℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の450g/molのエポキシ当量、91℃の軟化点、151mPasのブチルグリコール中40%(重量)の溶液の粘度を有した。
【0054】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0055】
実施例3
【0056】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂237.7g、
- 当量168g/molのジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマー162.3g、及び、
- 0.1%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0057】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度180℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ6時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の1482g/molのエポキシ当量、128℃の軟化点、76mPasのブチルグリコール中40%(重量)の溶液の粘度を有した。
【0058】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0059】
実施例4
【0060】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227g、
- 当量168g/molのジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマー173g、及び、
- 0.1%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0061】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度190℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ6時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の2655g/molのエポキシ当量、151℃の軟化点を有した。
【0062】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0063】
実施例5
【0064】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227g、
- イソフタル酸50g、及び、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0065】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度140℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の470g/molのエポキシ当量、82℃の軟化点を有した。
【0066】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0067】
実施例6
【0068】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227g、
- シクロヘキサンジカルボン酸50g、及び、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0069】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度140℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の455g/molのエポキシ当量、75℃の軟化点を有した。
【0070】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0071】
実施例7
【0072】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227g、
- テレフタル酸56g、
- 当量168g/molのジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマー56g、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0073】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度180℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ6時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の1967g/molのエポキシ当量、135℃の軟化点を有した。
【0074】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0075】
実施例8
【0076】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227.0g、
- 当量128.17g/molのテトラメチルビスフェノールF137g、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0077】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度200℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ6時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の3264g/molのエポキシ当量、155℃の軟化点、及び151mPasのブチルグリコール中40%(重量)の溶液の粘度を有した。
【0078】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0079】
実施例9
【0080】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227.0g、
- 当量134.18g/molのビスフェノールZ101g、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0081】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度140℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の767g/molのエポキシ当量、105℃の軟化点、及び305mPasのブチルグリコール中40%(重量)の溶液の粘度を有した。
【0082】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0083】
実施例10
【0084】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂227.0g、
- 当量93.1g/molの4,4’-ビフェノール102.5g、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0085】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度200℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の2030g/molのエポキシ当量、145℃の軟化点を有した。
【0086】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0087】
実施例11
【0088】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂100.0g、
- 当量100.12g/molのビスフェノールF25g、
- 当量294.55g/molのジシクロペンタジエンジフェノールオリゴマー30g、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0089】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度140℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の806g/molのエポキシ当量、101℃の軟化点、及び315mPasのブチルグリコール中40%(重量)の溶液の粘度を有した。
【0090】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0091】
実施例12
【0092】
攪拌機、温度計、還流冷却器、不活性ガス入口、及びヒーティングネストを備えた、四つ口フラスコに、以下を投入した:
- エポキシ当量192g/molのエポキシ基を有する、低分子量エポキシ樹脂235.0g、
- 当量69.08g/molのジメチルレゾルシノール77g、
- 0.05%の量である、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド付加反応触媒。
【0093】
攪拌を開始し、反応混合物を、不活性窒素気流下で温度190℃まで加熱し、エポキシド基の含有量を制御しつつ4時間にわたって反応させた。反応終了後、生成物は、エポキシ基の2022g/molのエポキシ当量、140℃の軟化点を有した。
【0094】
遊離BPAの含有量は、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
【0095】
実施例13
【0096】
実施例1によるエポキシ樹脂に基づく粉体コーティング組成物を、酸価75mgKOH/gの、カルボキシル基を有するポリエステル硬化剤Crylcoat340を用いることによって、生成した。TiO2顔料(Kronos 2160)、体積濃度(PVC)が15体積%であるBlacFixe F充填剤、消泡剤としてのベンゾイン、及び流動促進剤としてのResiflow PV-85をさらに添加した。
【0097】
【0098】
生成した組成物を、2回押出成形し、20~80ミクロンの粒度に粉砕し、接地した金属プレート上に静電的にスプレーした。その後、金属プレートを、180℃で20分間にわたって硬化させた。
【0099】
【0100】
粉砕硬化されたコーティング中の遊離BPA含有量は、テトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出装置での抽出後、HPLCによって、(実施例1による)BPA用のキャリブレーションを用いて、検出限界1ppm未満と分析された。
。
【0101】
実施例14
【0102】
実施例4に従って生成したエポキシ樹脂の45重量%溶液に基づく、金属容器の保護コーティングとして用いるためのコーティング組成物を、メチルイソブチルケトン及びDowanol PMの混合物中に溶解し、さらにメラミン-ホルムアルデヒド樹脂Cymel 303と、エポキシバインダー70部及びCymel 303硬化剤30部の比で混合した。TiO2顔料(Kronos 2160)、体積濃度(PVC)が15体積%であるBlacFixe F充填剤、消泡剤としてのByk A 530、及び分散添加剤としてのDisperbyk 163をさらに添加した。生成した組成物を、140℃で30分間にわたって硬化させた。
【0103】
【0104】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
【表4】
本開示は、下記の発明の態様を含む:
<態様1>
高分子量エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ当量172~500g/molのBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂と:
(a)ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/若しくはモノマー及び/若しくはポリマー、並びに/又は、
(b)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(c)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(d)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸若しくはそれらの無水物、並びに/又は、
(e)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール、並びに/又は、
(f)(a)、(d)、及び(e)による、モノマーの混合物、
とから生成され、
最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、
高分子量エポキシ樹脂組成物。
<態様2>
態様1に記載の高分子量エポキシ樹脂組成物であって、その平均分子量が、1000~6000ダルトンの範囲内である、高分子量エポキシ樹脂組成物。
<態様3>
前記BPAに基づく低分子量エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、態様1又は2に記載の高分子量エポキシ樹脂組成物。
<態様4>
硬化した態様1~3のいずれかに記載の高分子量エポキシ樹脂の組成物であって、硬化剤硬化されており、前記硬化した高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、1ppm未満である、組成物。
<態様5>
前記硬化剤が:
(a)ポリエーテルアミン、脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアミン、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシド、尿素誘導体、及びジシアンジアミドとの付加物、並びに/又は、
(b)ポリエステル、無水物、すなわち脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリ無水物、及びポリ酸、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシドとの付加物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、アミン、ポリアミン、及びそれらの、脂環式、脂肪族二量体、及びポリマー脂肪モノ、ジ及びポリカルボン酸との付加物に基づく、ポリアミド及びアミノアミド、並びに/又は、
(d)メラミン、尿素、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂、ノボラック、及びポリフェノール、例えばジシクロペンタジエンジフェノールなど、並びに/又は、
(e)マスキングされた若しくはマスキングされていない、ポリイソシアネート、並びに/又は、
(f)ルイス塩基及び酸、
から選択される硬化剤の群である、態様4に記載の組成物。
<態様6>
樹脂の割合が、10~97重量%であり、前記組成物中の残部が、硬化剤である、態様4又は5に記載の硬化した高分子量エポキシ樹脂の組成物。
<態様7>
BPAに基づく高分子量エポキシ樹脂を生成する方法であって、エポキシ当量が172~500g/molであるBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂を:
(a)ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/若しくはモノマー及び/若しくはポリマー、並びに/又は、
(b)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(c)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(d)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸、又はそれらの無水物、並びに/又は、
(e)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール;並びに/又は、
(f)(a)、(d)、及び(e)によるモノマーの混合物;
と混合し、アンモニウム塩又はホスホニウム塩に基づく触媒の存在下、50~250℃の範囲内の温度で、反応させ、
得られる高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、方法。
<態様8>
前記アンモニウム塩又はホスホニウム塩に基づく触媒が:
エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリドトリフェニルホスフィン、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリメチルアミン、ハロゲン化ホスホニウム塩など、
からなる群から選択される、態様7に記載の高分子量エポキシ樹脂を生成する方法。
<態様9>
態様5又は6に記載の硬化した高分子量エポキシ樹脂を含む組成物の生成方法であって、前記樹脂を、硬化剤を用いて硬化させ、前記硬化した高分子量エポキシ樹脂の最終遊離BPA含有量が、1ppm未満である、硬化した高分子量エポキシ樹脂を含む組成物の生成方法。
<態様10>
前記硬化剤が、
(a)ポリエーテルアミン、脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアミン、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシド、尿素誘導体、及びジシアンジアミドとの付加物、並びに/又は、
(b)ポリエステル、無水物、すなわち脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリ無水物、及びポリ酸、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシドとの付加物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、アミン、ポリアミン、及びそれらの、脂環式、脂肪族二量体、及びポリマー脂肪モノ、ジ及びポリカルボン酸との付加物に基づく、ポリアミド及びアミノアミド、並びに/又は、
(d)メラミン、尿素、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂、ノボラック、及びポリフェノール、例えばジシクロペンタジエンジフェノールなど、並びに/又は、
(e)マスキングされた若しくはマスキングされていない、ポリイソシアネート、並びに/又は、
(f)ルイス塩基及び酸
に基づく硬化剤であり、
前記硬化した高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、1ppm未満である。
態様9に記載の生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量エポキシ樹脂組成物であって、
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む、エポキシ当量172~500g/molのBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂と
、
ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/又はモノマー及び/又はポリマーとから生成されたものであり、
最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、
高分子量エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の高分子量エポキシ樹脂組成物であって、
さらに:
(a)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(b)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸若しくはそれらの無水物、並びに/又は、
(d)脂肪族、及び/若しくは脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール、並びに/又は、
(e)(a)、(d)、及び(e)による、モノマーの混合物、
を用いて生成されたものであり、
最終高分子量エポキシ樹脂中の遊離BPAの含有量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、
高分子量エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
硬化した請求項1
又は2に記載の高分子量エポキシ樹脂の組成物であって、硬化剤硬化されており、前記硬化した高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、1ppm未満である、組成物。
【請求項4】
前記硬化剤が:
(a)ポリエーテルアミン、脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリアミン、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシド、尿素誘導体、及びジシアンジアミドとの付加物、並びに/又は、
(b)ポリエステル、無水物、すなわち脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、ポリ無水物、及びポリ酸、及び/若しくはそれらの、脂環式、脂肪族、及び芳香族の、エポキシドとの付加物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、複素環式、及び芳香族の、アミン、ポリアミン、及びそれらの、脂環式、脂肪族二量体、及びポリマー脂肪モノ、ジ及びポリカルボン酸との付加物に基づく、ポリアミド及びアミノアミド、並びに/又は、
(d)メラミン、尿素、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂、ノボラック、及びポリフェノール、例えばジシクロペンタジエンジフェノールなど、並びに/又は、
(e)マスキングされた若しくはマスキングされていない、ポリイソシアネート、並びに/又は、
(f)ルイス塩基及び酸、
から選択される硬化剤の群である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
樹脂の割合が、10~97重量%であり、前記組成物中の残部が、硬化剤である、請求項
3に記載の硬化した高分子量エポキシ樹脂の組成物。
【請求項6】
BPAに基づく高分子量エポキシ樹脂を生成する方法であって、エポキシ当量が172~500g/molであるBPAに基づく低分子量エポキシ樹脂を
、
ジシクロペンタンジエンジフェノールの、オリゴマー及び/又はモノマー及び/又はポリマーと混合し、アンモニウム塩又はホスホニウム塩に基づく触媒の存在下、50~250℃の範囲内の温度で、反応させ、
得られる高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、方法。
【請求項7】
エポキシ当量が172~500g/molである前記BPAに基づく低分子量エポキシ樹脂を、さらに:
(a)ビスフェノールF若しくはS若しくはZ若しくはC、若しくはポリアルキルBPF、アルキルビフェノール、ポリアルキルビフェノール、若しくはポリアルキルBPA、並びに/又は、
(b)フェノール物質(a)及び(b)の混合物、並びに/又は、
(c)脂肪族、脂環式、及び芳香族の、ポリ酸、又はそれらの無水物、並びに/又は、
(d)脂肪族、及び/若しくは又は脂環式、及び/若しくは芳香族の、多価アルコール、若しくはポリフェノール;並びに/又は、
(e)(a)、(d)、及び(e)によるモノマーの混合物;
と混合し、反応させ、
得られる高分子量エポキシ樹脂の遊離BPA含量が、2ppm未満、好ましくは1ppm未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アンモニウム塩又はホスホニウム塩に基づく触媒が:
エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリドトリフェニルホスフィン、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリメチルアミン、ハロゲン化ホスホニウム塩など、
からなる群から選択される、請求項
6又は7に記載の高分子量エポキシ樹脂を生成する方法。
【請求項9】
請求項
4に記載の硬化した高分子量エポキシ樹脂を含む組成物の生成方法であって、前記樹脂を、硬化剤を用いて硬化させ、前記硬化した高分子量エポキシ樹脂の最終遊離BPA含有量が、1ppm未満である、硬化した高分子量エポキシ樹脂を含む組成物の生成方法。
【国際調査報告】