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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ざ瘡後の跡を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20241016BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/00
A61K8/365
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530456
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022080559
(87)【国際公開番号】W WO2023097326
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,737
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー クレア アーマン
(72)【発明者】
【氏名】ディサーナーヤカ ムディヤンセラゲ マハトマ バンダラ ディサーナーヤカ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル ズコウスキー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ジー ヤン チュウ
(72)【発明者】
【氏名】シカール グプタ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB032
4C083AB351
4C083AB352
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD392
4C083AD412
4C083AD631
4C083AD632
4C083BB51
4C083CC03
4C083DD31
4C083EE14
(57)【要約】
スキンケア組成物を塗布することによって、ざ瘡後の跡の出現を低減し、濃い斑及び変色を薄くし、ざ瘡後の跡をより早く消し、かつ/又は新たなざ瘡後の跡の出現を予防するための、方法。スキンケア組成物は、5.0未満のpHで、ビタミンB化合物、ヒドロキシケイ皮酸、及び水を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡後の跡の出現を低減する方法であって、
a.ざ瘡後の跡を含む皮膚の標的部分を特定することと、
b.処置期間の過程にわたって、前記皮膚の標的部分に有効量のスキンケア組成物を塗布することと、
を含み、前記スキンケア組成物が、
i.約0.1%~約10%のビタミンB化合物と、
ii.約0.1%~約10%のヒドロキシケイ皮酸と、
iii.水と、
を含み、
前記組成物のpHが5.0以下である、方法。
【請求項2】
前記組成物が、約0.1%~約5%の極性皮膚軟化剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒドロキシケイ皮酸と前記極性皮膚軟化剤との間の重量比が、約1:1~約1:10である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、クマル酸からのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、20%未満の共溶媒、好ましくは15%未満の共溶媒、より好ましくは10%未満の共溶媒を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記共溶媒が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、C2~C6ポリエテングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるグリコールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、ヒドロキシケイ皮酸結晶を実質的に含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ビタミンB化合物が、ナイアシンアミドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、低pH耐性ポリマー増粘剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記低pH耐性増粘剤が、ポリアクリレートクロスポリマー-6である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、約0.001重量%~約5重量%の酸化防止剤、好ましくは約0.01重量%~約2重量%の酸化防止剤、より好ましくは0.05重量%~1重量%の酸化防止剤を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗酸化剤が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記pHが、約2.0~約4.5、好ましくは約2.5~約4.0、より好ましくは約3.5~約4.0である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシケイ皮酸が、p-クマル酸を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒドロキシケイ皮酸が、フェルラ酸を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ざ瘡後の跡(post-acne mark)の出現を低減する、安定な可溶化ヒドロキシケイ皮酸(hydroxycinnamic acid、HCA)及びナイアシンアミドを含有する低pHスキンケア組成物に関する。より具体的には、本開示は、安定なHCA及び可溶化量の極性皮膚軟化剤及び好適な共溶媒を含有する低pHスキンケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、自身の皮膚が柔らかく、滑らかで、均一で、潤いがあり、生き生きとしているようにみえたときに、最も健康で魅力的であると感じる。顔の皮膚の色の均一性が、健康、美容、及び魅力の認知において重要な役割を果たすことが、多くの研究により示されている。具体的には、正常な皮膚の色との乖離及び不均一性を引き起こす皮膚の問題は、その影響を受けた人々に心理的ストレスをもたらす。ざ瘡は、大多数の若年消費者及び一般集団の多数の人々が罹患する一般的な皮膚障害である。
【0003】
ざ瘡を有する患者は、低い自己評価、うつ、不安、社会的孤立感、他者との関係の障害、並びに仕事及び学校に集中する能力の減弱を有することが見出されている。残念ながら、ざ瘡自体に加えて、ざ瘡の一般的な合併症は、炎症後色素沈着過剰(postinflammatory hyperpigmentation、PIH)及び/又は炎症後紅斑(postinflammatory erythema、PIE)の残存であり、これは、罹患者に更なる心理的及び社会的苦痛を引き起こす。ざ瘡によって引き起こされるこれらの「跡」は、消費者からの苦情が多く、特に若年消費者の間ではスキンケアの最大の関心事である。
【0004】
ざ瘡後の跡は、概して治癒が遅く、皮膚の色調が濃いほど、皮膚中のメラニンレベルが高いことからこれらの跡が残りやすい。今日、ざ瘡後の跡のための最も効率的な処置のいくつかは、処方用量のレチノイドなどの処方用量の製品のために皮膚科医師を受診するか又はケミカルピーリング若しくは高強度光線療法などの院内処置を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、皮膚科医師を受診することなく、ざ瘡後の跡の治癒を促進することができるスキンケア組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ざ瘡後の跡の出現を低減する方法であって、(a)ざ瘡後の跡を含む皮膚の標的部分を特定することと、(b)処置期間の過程にわたって、皮膚の標的部分に有効量のスキンケア組成物を塗布することと、を含み、スキンケア組成物が、(i)約0.1%~約10%のビタミンB化合物と、(ii)約0.1%~約10%のヒドロキシケイ皮酸と、(iii)水と、を含み、組成物のpHが5.0以下である、方法。
【0007】
濃い色の斑及び変色の外観を薄くする方法であって、(a)ざ瘡後の跡を含む皮膚の標的部分を特定することと、(b)処置期間の過程にわたって、皮膚の標的部分に有効量のスキンケア組成物を塗布することと、を含み、スキンケア組成物が、(i)ナイアシンアミドと、(ii)クマル酸と、(iii)ラウロイルサルコシン酸イソプロピルと、(iv)ペンチレングリコールと、を含み、組成物が、5.0未満のpH、25℃で約1cP~約15,000cPの粘度を有し、かつクマル酸結晶を実質的に含まない、方法。
【0008】
ざ瘡後の跡をより早く消し、かつ/又は新たなざ瘡後の跡の出現を防ぐ方法であって、(a)ざ瘡後の跡を含む皮膚の標的部分を特定することと、(b)処置期間の過程にわたって、皮膚の標的部分に有効量のスキンケア組成物を塗布することと、を含み、スキンケア組成物が、(i)ビタミンB化合物と、(ii)ヒドロキシケイ皮酸と、(iii)極性皮膚軟化剤と、(iv)ヒドロキシケイ皮酸からのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒と、(v)水と、を含み、組成物のpHが約5.0未満であり、組成物が、HPLC法に従って25%未満のHCA分解を示す、方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲で締めくくられているが、本発明は、添付の図面に関連した以下の説明からより容易に理解され得る、と考えられる。
図1A】処置製品及び対照製品についての12週間にわたる褐色斑中のメラニン含量の変化を示す。
図1B】処置製品及び対照製品についての12週間にわたる赤色斑中のメラニン含量の変化を示す。
図1C】処置製品及び対照製品についての12週間にわたる褐色斑中のヘモグロビン含量の変化を示す。
図1D】処置製品及び対照製品についての12週間にわたる褐色斑中のヘモグロビン含量の変化を示す。
図2A】褐色斑におけるメラニンの変化率を示す。
図2B】赤色斑におけるメラニンの変化率を示す。
図2C】褐色斑におけるヘモグロビンの変化率を示す。
図2D】赤色斑におけるヘモグロビンの変化率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ざ瘡後の跡は持続する場合があり、皮膚を元通り均一に戻すのに有効な市販の治療薬はほとんど存在していない。ざ瘡後の跡は、以下のような動的経路をたどると仮定される。皮膚が損傷(例えば、面皰を含むざ瘡、創傷、虫刺され)を受けると、局所的炎症が始まり、多くの場合1つ以上の赤色斑が形成される。発赤及び炎症は、概して発色団ヘモグロビンに起因する。時間とともに赤色斑中のヘモグロビンの量は変化し得、これによって斑の外観が変化する。場合によっては、これらの赤色斑においてメラニン産生の増加が観察される場合もある。このメラニンの増加により、斑の外観が濃くなる傾向がある。これらの斑は、時間とともに自然に治癒する場合もあるので、これらの斑中のヘモグロビン及び/又はメラニンは、時間とともに低減すると予想される。しかしながら、時には、特により重度の斑では、斑がより長期間皮膚上に留まる場合がある。
【0011】
臨床研究に記載されているように、低pHでヒドロキシケイ皮酸(HCA)及びナイアシンアミドを有する組成物は、持続性のざ瘡後の斑におけるメラニン及びヘモグロビンを減少させ得ることが見出されたので、結果を図に示す。
【0012】
本明細書に記載の方法及び組成物は、ざ瘡後の跡及び他の傷、頑固な跡、傷跡、炎症後色素沈着過剰、並びに炎症後紅斑に対して有用であり得る。「跡」及び「斑」という用語は、互換的に使用することができる。
【0013】
低pH組成物が、ナイアシンアミドなどの特定のスキンケア活性物質の有効性を改善できることが最近見出された(米国特許第10874600号を参照)。しかしながら、HCAは従来の水性スキンケア製品において望ましくない溶解度及び/又は安定性の特徴を示す傾向があり、溶解度の問題は、概して低pHで悪化するため、ナイアシンアミド及びHCAを両方含む低pH組成物を製剤化することは困難であった。
【0014】
HCAの溶解度を上昇させるために、一部の配合者は、組成物の油相にHCAを添加する(すなわち、エマルジョンの場合)か、又はHCAをカプセル化する。しかし、これらのアプローチも問題となる場合がある。例えば、ヒドロキシケイ皮酸を油相に添加することは、油及び追加の乳化剤が組成物に導入されることに起因して、組成物の感覚プロファイルに望ましくない影響を及ぼす恐れがある。そして、カプセル化は、カプセル化負荷限度に起因して、組成物中のヒドロキシケイ皮酸の量を低減し得る。
【0015】
驚くべきことに、極性皮膚軟化剤及びグリコール共溶媒の好適な組み合わせを用いて組成物を製剤化することによって、低pH水性組成物における特定のHCA化合物の安定性及び/又は溶解度の特徴を改善できることが見出された。具体的には、HCA、極性皮膚軟化剤、及びHCAからのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒の特定の組み合わせは、相乗的に作用して、水性スキンケア組成物中のHCAの望ましくない安定性及び/又は溶解度効果に対抗することができる。
【0016】
定義
本明細書で使用する場合、「約」とは、言及された値のプラスマイナス20パーセント(±20%)又はそれよりも低い値(例えば、15%、10%未満、若しくは更には5%未満)に等しい範囲に言及することで、特定の値を修飾する。
【0017】
本明細書で使用する場合、組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を表皮などのヒトの皮膚表面上に塗布又は広げることを意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「化粧剤」とは、美容効果をもたらすために哺乳動物の身体又はその任意の部分に擦り込まれる、注がれる、振りかけられる、噴霧される、導入される、又は他の方法で適用されることを目的とした任意の物質、更にはその任意の構成成分を意味する。化粧剤としては、米国食品医薬品局によって概して安全と認められた(Generally Recognized as Safe、GRAS)である物質、食品添加物、及び市販薬などの非化粧用消費者製品に使用される材料を挙げることができる。
【0019】
「有効量」は、処置期間の過程にわたってケラチン性組織に対して正の利益を顕著に誘導するのに十分な化合物及び組成物の量を意味する。正の利益は、本明細書に開示される効果を独立して又は組み合わせて含む、健康、外観、及び/又は感触の効果であり得る。具体例では、有効量のビタミンB化合物は、治療期間中に乾癬皮膚の健康及び/又は外観を改善するのに十分な量である。いくつかの事例では、有効量は、エクスビボ及び/又はインビトロ法を使用して実証され得る。
【0020】
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシケイ皮酸」(HCA)は、ケイ皮酸のヒドロキシ誘導体であるC6~C3骨格を有する芳香族酸又はフェニルプロパノイドのクラスを指す。HCAのいくつかの非限定的な例は、コーヒー酸、チコリ酸、ケイ皮酸、クロロゲン酸、ジフェルラ酸、クマル酸(p-、o-、及びm-異性体)、フェルラ酸、シナピン酸、シナプ酸、及びα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸である。
【0021】
本明細書で使用する場合、「の外観を改善する」とは、皮膚の外観において測定可能な望ましい変化又は利益を提供することを意味し、例えば、発赤、炎症、及び/又はプラークの鱗屑の減少によって定量化することができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「低pH」は、5.0未満(例えば、1.5~4.9、2.0~4.5、2.5~4.0、又は3.5~4.0)のpHを意味する。組成物のpHを決定する好適な方法は、以下により詳細に記載される。
【0023】
本明細書で使用する場合、「中性pH」とは、5.0~8.0のpHを意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「安全かつ有効な量」とは、(健全な医学的判断の範囲内で)重篤な副作用を避けるのに十分な程度低い、成分の有効量を意味する。
【0025】
本明細書で使用する場合、「スキンケア」は、皮膚の状態を調節及び/又は改善することを意味する。いくつかの非限定的な例としては、より滑らかで、より均一な外観及び/若しくは感触を提供することによって皮膚の外観及び/若しくは感触を改善することと、皮膚の1つ以上の層の厚さを増加させることと、皮膚の弾性又は弾力性を改善することと、皮膚のハリを改善することと、並びに皮膚の脂っぽい、てかてかした、かつ/若しくはくすんだ外観を低減し、皮膚の水分補給状態若しくは保湿を改善し、小じわ及び/若しくはしわの外観を改善し、皮膚角質除去若しくは落屑を改善し、皮膚をふっくらさせ、皮膚のバリア特性を改善し、皮膚の色調を改善し、発赤若しくは皮膚のしみの外観を低減し、かつ/又は皮膚の明るさ、つや、若しくは透明感を改善することと、UV A及びUV B誘導性損傷を含む抗酸化剤アプローチを介して皮膚への損傷を予防し、面疱の形成を予防し、皮膚マイクロバイオームのバランスをとるか、又はざ瘡を予防することと、が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用する場合、「スキンケア活性物質」は、皮膚に塗布したときに、皮膚又は皮膚の中に一般的に見出された種類の細胞に急性及び/又は慢性の利益をもたらす化合物又は化合物の組み合わせを意味する。スキンケア活性物質は、皮膚又はそれに関連する細胞を調節及び/又は改善する(例えば、皮膚の弾性、皮膚水分量、皮膚のバリア機能、及び/又は細胞代謝を改善する)ことができる。
【0027】
本明細書で使用する場合、「スキンケア組成物」は、スキンケア活性物質を含み、皮膚の状態を調節及び/又は改善する組成物を意味する。
【0028】
本明細書で使用する場合、「処置期間」は、材料又は組成物を標的皮膚表面に塗布する時間の長さ及び/又は頻度を意味する。
【0029】
別途特に明記のない限り、全ての百分率は、化粧品組成物の重量によるものである。別途特に明記のない限り、全ての比は重量比である。全ての範囲は、端点を含み、組み合わせ可能である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。別途特に記載のない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。別途記載のない限り、全ての測定は、およそ25℃の周囲条件でなされたと理解され、「周囲条件」は、約1気圧及び約50%の相対湿度の条件を意味する。列挙された成分に関連する重量は全て、活性レベルに基づいており、別途指定のない限り、市販の材料に含まれ得る担体も副生成物も含まない。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。区切られた上下の範囲限度は、明示的に区切られていない更なる範囲を作る上で互換性がある。
【0030】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須構成成分及び任意選択的な成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、組成物又は構成成分が、追加の成分を含み得るが、追加成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特性を実質的に変えない場合に限ることを意味する。
【0031】
組成物
本明細書に記載のスキンケア組成物は、皮膚の外観、健康、及び/又は機能を改善するためにヒト皮膚に局所塗布することが意図される。本組成物は、様々な皮膚状態の非治療的(すなわち、美容的)処置のために使用され得る。具体的には、組成物は、ざ瘡後の跡の出現を低減するために使用することができる。
【0032】
本明細書の低pHスキンケア組成物は、安全かつ有効な量のヒドロキシケイ皮酸(例えば、p-クマル酸、別名4-HCA又はp-HCA)、極性皮膚軟化剤、及びHCAからのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である好適な共溶媒を含む。本明細書の組成物はまた、ナイアシンアミドなどのビタミンB化合物及び/又は1つ以上の他の任意選択的なスキンケア活性物質を含んでいてもよい。組成物は、任意選択的に、シリコーン乳化剤、低pH環境に耐えることができるポリマー増粘剤、低分子量シリコーン流体、酸塩pH緩衝系(例えば、乳酸/乳酸ナトリウム緩衝系)、及び/又は局所スキンケア組成物に一般的に見出された他の成分を含んでいてもよい。理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される成分の組み合わせは、良好な感触特性を有しかつ皮膚に優しい安定かつ有効なスキンケア組成物を提供すると考えられる。
【0033】
本明細書の組成物は、低pH環境におけるHCA溶解度を改善するように製剤化される。水性低pHスキンケア組成物において、HCAは、組成物から沈殿して結晶(HCA結晶)を形成する傾向があり、これは、組成物の外観、感触、及び/又は有効性に望ましくない影響を与える恐れがある。従来の低pH組成物は、多くの場合、HCA結晶を含有する。しかしながら、本明細書の低pH組成物は、極性皮膚軟化剤と、HCAからのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒とを含有する。成分のこの組み合わせは、具体的には、HCAを低pH水性組成物に可溶化し、HCAの結晶化/沈殿を阻害するように調整される。したがって、本明細書の組成物は、HCA結晶を含んでいなくてもよい。組成物中のHCA結晶の存在を測定及び/又は特性評価するための好適な方法については、以下により詳細に記載する。
【0034】
本明細書の低pH組成物はまた、HCA安定性を改善するように製剤化される。HCAは比較的良好な抗酸化物質であるので、経時的に酸化及び/又は分解する傾向があり、その結果、スキンケア組成物が望ましくない色の変化(例えば、黄変)、望ましくない臭い、及び/又は有効性の低減を示す恐れがある。より低いpHで製剤化すると、HCAが酸化する速度を低減することによってHCAの安定性を改善することができるが、いくつかの態様では、HCAの酸化及び/又は分解を更に低減するのに役立つように、低pH組成物中に抗酸化剤を含むことが望ましい場合もある。
【0035】
本明細書の低pHスキンケア組成物は、当業者に既知の従来の方法を使用して、成分を皮膚科学的に許容可能な担体と混合することによって作製することができる。組成物は、例えば、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、トナー、スティック、スプレー、エアロゾル、軟膏、クレンジングリキッド洗浄液及び固形バー、ペースト、フォーム、ムース、シェービングクリーム、拭き取り用品、ストリップ、パッチ、電動式パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャル及びスキンマスク(不溶性シートを有するもの及び有しないもの)などの様々な製品形態で提供することができる。組成物の形態は、選択された皮膚科学的に許容可能な特定の担体に従い得る。
【0036】
いくつかの事例では、本明細書の低pHスキンケア組成物は、エッセンスの形態にあってもよい。エッセンスは、典型的には従来のクリーム又はローションタイプのスキンケア組成物よりも粘度が低い、比較的濃厚な製剤の局所スキンケア組成物の形態である。エッセンスは、特定の皮膚状態を特に標的にするために販売されている低粘度の流体の形態で提供され得、かつ/又はスキンケアレジメンの最初の工程で使用され得る。本明細書のスキンケアエッセンス製品は、25℃で1センチポアズ(centipoise、cP)~15,000cP(例えば、50cP~10,000cP、又は100cP~7,500cP、200cP~5,000cP、又は300cP~2,500cP)の動粘度を有し得る。低pH組成物の粘度を求める方法については、以下の方法のセクションにおいてより詳細に記載する。
【0037】
ヒドロキシケイ皮酸
本明細書の低pHスキンケア組成物は、安全かつ有効な量のHCAを含む。HCAは、組成物中に0.1%~10%(例えば、0.5%~5%又は1%~4%)で存在し得る。ヒドロキシケイ皮酸は、概して抗酸化フェノール化合物として認識されており、主に細胞壁の構成成分として植物中で見出され得る。H.K.Kuzaki et al.,J.Agric.Food Chem.,50,2161-68(2002)を参照。いくつかの態様では、低pH組成物で使用するためにクマル酸、特にp-クマル酸(別名4-HCA)を選択することが望ましい場合がある。4-HCAは以下の式を有する。
【0038】
【化1】
【0039】
本明細書で使用するのに好適なHCA材料の特に好適な例は、Vantage Personal Careから入手可能なLIPOBRITEである。
【0040】
低pH可溶化剤
本明細書の組成物は、HCAの可溶化を支援するために、1つ以上の可溶化剤及び/又は共溶媒を含む。HCA化合物は、概して、本明細書に記載の低pH組成物などの低pH水性組成物において特に低い溶解度を示す。例えば、p-クマル酸は、pH7.0及び20℃の水中で約345mg/mLの溶解度を有し、pH3.0及び20℃の水中では4mg/mLの溶解度を有する。理論によって束縛されるものではないが、より低いpHでHCAの溶解度が低下するのは、より高いpHレベルで観察される共役塩基種を形成する酸解離を受けるHCAの能力が低減することに起因すると考えられる。pH7では、p-クマル酸は約99.6%がその塩基形態で存在するが、pH3では、共役塩基形態は約13.4%しか存在しない。このように溶解度が比較的低い結果として、HCAは、水性低pHスキンケア組成物中で結晶を形成する可能性がある。HCA結晶は、使用中に組成物に望ましくない感触(例えば、粗い又は粒状の感触)を与える場合がある。HCA結晶の形成はまた、組成物中のHCA及び/若しくは他の成分の有効性を低下させ得、かつ/又はスキンケア組成物若しくは製造業者に対する望ましくない消費者の認識(例えば、低品質)を生じさせ得る。
【0041】
本低pH組成物におけるHCA結晶の形成を回避するために、HCAは、組成物の固有溶解限度よりも大きな溶解度を有していなければならない。例えば、約75%の水を含むpH3.8の1.0%HCA製剤は、20℃で13.3mg/mlの濃度を有するが、固有溶解度は6.8mg/mLである。この例では、HCAが結晶化する可能性が高い。ヒドロキシケイ皮酸は、特定の材料と複合体を形成し、共結晶化することが示されており、したがって固有溶解限度だけでは結晶化安定性を十分に予測することができない。Bevill,et al.,Polymorphic Cocrystals of Nutraceutical Compound p-Coumaric Acid with Nicotinamide:Characterization,Relative Solid-State Stability,and Conversion to Alternate Stoichiometries,Cryst.Growth Des.2014,14,3,1438-1448;2014を参照。
【0042】
極性皮膚軟化剤(例えば、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル)と、HCAからのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒(例えば、特定のグリコール)との特定の組み合わせが、低pH水性組成物へのHCAの溶解度を大幅に改善することができることが見出された。皮膚軟化剤は、皮膚中の水を捕捉する油性層を皮膚の上に形成することによって、皮膚を軟化及び保湿する傾向がある物質である。皮膚軟化剤のいくつかの一般的な例としては、ワセリン、ラノリン、鉱油、及びジメチコンが挙げられる。極性皮膚軟化剤は、HCAを可溶化するために本明細書において有用であるが、極性皮膚軟化剤はまた、スキンケア組成物の一般的な製品形態である水中油型エマルジョンを不安定化させる場合もある。したがって、組成物中の極性皮膚軟化剤の種類及び量を調整して、組成物へのHCAの可溶化は支援するが、エマルジョンの不安定性を回避することが重要であり得る。全ての極性皮膚軟化剤が全てのHCAと作用するわけではない。
【0043】
いくつかの態様では、本明細書の低pH組成物は、0.5%~10%の極性皮膚軟化剤(例えば、1%~5%のAjinomoto OmniChemから入手可能なELDEW SL-205ブランドのラウロイルサルコシン酸イソプロピル)を含んでいてもよく、これは、特に好適なグリコールと組み合わせたときにp-クマル酸を可溶化することが見出されている。本明細書で使用するのに好適であり得る極性皮膚軟化剤のいくつかの非限定的な例は、アミノ酸エステル誘導体(例えば、ラウロイルアルギニン、ラウロイルグルタミン酸アルギニン、ラウロイルグルタミン酸フィトステリル/オクチルドデシル、及びラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル)及び炭化水素エステル(例えば、シクロヘキシルグリセリン及びミリスチン酸イソプロピル)である。
【0044】
本明細書の組成物はまた、極性皮膚軟化剤と一緒に作用してHCAの可溶化を支援する、HCAからのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒を含む。ハンセン溶解度パラメータ距離は、Hansen solubility parameters:a user’s handbook,CRC press,2007に記載されており、以下の式を用いて計算することができる。
【0045】
【数1】
式中、
δ=ハンセン分散、
δ=ハンセン極性、かつ
δ=ハンセン水素結合である。
【0046】
本明細書で使用するのに好適な共溶媒としては、短鎖二価アルコール(例えば、グリコール)が挙げられる。しかしながら、共溶媒としてグリコールを選択した場合、低pH組成物中のグリコールの量を25%未満(例えば、20%未満、17%、15%、又は更には10%未満)に制限することが重要であり得るが、概して、望ましくない感触特性(例えば、べたつき感又は脂っぽい感触)を回避するために1%超である。本明細書での使用に好適であり得るグリコールのいくつかの非限定的な例は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、及びC2~C6ポリエテングリコール(例えば、PEG-3、PEG-4、PEG-4メチルエーテル)、並びにこれらの組み合わせである。
【0047】
いくつかの態様では、極性皮膚軟化剤及び共溶媒は、1:3~3:1(例えば、2:3、1:1、又は2:1)の極性皮膚軟化剤の共溶媒に対する重量比で低pH組成物中に存在し得る。いくつかの態様では、HCAは、共溶媒及び/又は極性皮膚軟化剤、並びに任意選択的に1つ以上の他の成分と予備混合され、次いで組成物に添加され得る。
【0048】
ビタミンB化合物
本組成物は、例えば、米国特許第5,939,082号に記載の通り、様々な皮膚状態を調節するために安全及び有効な量のビタミンB化合物を含み得る。本明細書における組成物は、組成物の重量又は体積に基づいて、0.1重量%~10重量%(例えば、0.5%~5%、又は1%~4%)のビタミンB化合物を含有し得る。
【0049】
本明細書で使用する場合、「ビタミンB化合物」とは、以下の式を有する化合物であって、
【0050】
【化2】
式中、
Rが、CONH(すなわち、ナイアシンアミド)、COOH(すなわち、ニコチン酸)、又はCHOH(すなわち、ニコチニルアルコール)である、化合物、それらの誘導体、及び前述のもののうちのいずれかの塩を意味する。ビタミンB化合物の例示的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えば、トコフェリルニコチネート、ミリスチルニコチネート)、ニコチンアミドリボシド、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N-オキシド、及びナイアシンアミドN-オキシドを含む、ニコチン酸エステルが挙げられる。いくつかの事例では、ナイアシンアミドなどのビタミンB化合物は、例えば、米国特許出願公開第2020/0009123号に記載されているように、比較的低いpHで改善された有効性を有し得る。
【0051】
いくつかの事例では、ビタミンB化合物の環窒素は、組成物中では、かつ/又は標的皮膚表面への塗布前には、「複合体を形成していない」(例えば、化学的に結合しておらず、かつ/又は非ヒンダードである)ことが望ましい場合がある。例えば、本明細書の組成物は、ビタミンB化合物の塩又は複合体を含まないか、又は実質的に含まなくてもよい(すなわち、3%、2%、1%未満、又は更には0.5%未満)。望ましくない塩及び/又は複合体の形成を最小限に抑えるか又は防止する代表的な方法としては、実質的に不可逆的な、又は他の望ましくない複合体を組成物中のビタミンB化合物と形成する物質の除去、pH調節、イオン強度調節、界面活性剤の使用、並びに、ビタミンB化合物及びこれと複合体を形成する物質が異なる相である配合プロセスの実行が挙げられる。
【0052】
酸化防止剤
本明細書の低pH組成物は、HCAの酸化及び/又は分解に対抗するために抗酸化剤を含んでいてもよい。抗酸化剤は、含まれている場合、0.001%~3%(例えば、0.01%~2%、0.05%~1%、又は0.1%~0.5%)で存在し得る。本明細書での使用に好適であり得る抗酸化剤のいくつかの非限定的な例は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びブチル化ヒドロキシトルエンである。
【0053】
低pH酸緩衝系
皮膚への局所塗布用の低pH組成物を提供する場合、皮膚に塗布した後に一定期間(例えば、最長5分間又はそれ以上)組成物のpHを維持するのを支援する緩衝系を含むことが重要であり得る。平均して、ヒトの皮膚のpHは、典型的には約5.0~6.0の範囲である。このpHを維持するために、ヒトの皮膚は、pHの変化に抵抗する天然の緩衝系を進化させてきた。したがって、低pH組成物が皮膚に塗布されると、皮膚の天然の緩衝系は、組成物のpHを調整して皮膚の自然なpHと一致させようとする。低pH組成物は、緩衝剤の添加なしでは所望のスキンケア利益を提供することができない場合がある。したがって、本明細書の組成物は、低pH酸緩衝系を含んでいてもよい。
【0054】
緩衝剤は、本明細書の低pH組成物のpHを低下させるために使用される酸に応じて選択され得る。例えば、乳酸及びグルコン酸は、他のαヒドロキシ酸と比較して概して皮膚に優しい(すなわち、刺激の危険性が低い)と考えられるので、組成物のpHを低下させるために、個別に又は組み合わせて使用することができる。この例では、酸/塩pH緩衝系を提供するために、対応する塩緩衝剤として乳酸ナトリウム及び/又はグルコン酸ナトリウムが選択される。緩衝剤は、低pH組成物中に0.25%~4%(例えば、0.5%~3%、0.75%~2%、又は1%~1.75%)存在し得る。本明細書で使用するのに好適な低pH緩衝系の非限定的な例は、同時係属中の米国特許出願第16/891491号に開示されている。当然ながら、本組成物は、スキンケア組成物での使用が知られている他のpH緩衝液を任意選択的に含み得ることが理解されるべきである。
【0055】
増粘剤
組成物は、低pHの電解環境に耐えることができるポリマー増粘剤を含み得る。すなわち、増粘剤は、酸-塩緩衝系の存在下において組成物を低pHで増粘又は安定化させるその能力を失わない。いくつかの従来の中和された増粘剤は、より低いpHで、kつ/又は酸塩緩衝液(例えば、乳酸ナトリウム)の存在下では、劣化し、かつ/又は組成物を適切に増粘させる能力を失うことが知られている。例えば、一部の中和された増粘剤は低pH環境で分解する。一方、セチルアルコール及びステアリルアルコールなどの脂肪族アルコール増粘剤は、概して低pHで安定であるが、エッセンス、美容液などの形態にある場合、組成物に望ましくない濁り又は不透明度を付与する傾向がある。特定のアニオン性ポリマー増粘剤は、低pH環境への好適な耐性を提供することができるが、酸と塩との組み合わせが原因で緩衝系に耐えることができないことも判明している。したがって、いくつかの事例では、本明細書に記載の低pH組成物は、中和された増粘剤、脂肪族アルコール増粘剤、及びアニオン性増粘剤を含まないか又は実質的に含まなくてもよい。増粘剤は、組成物の0.0001重量%~25重量%(例えば、0.001重量%~20重量%、0.01重量%~10重量%、0.5重量%~7重量%、又は1重量%若しくは5重量%)で存在してもよい。
【0056】
本明細書で単独で又は組み合わせて使用可能な増粘剤又は水構造化剤の他の非限定的な例としては、天然ゴム又は合成ゴム、多糖類、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン化ポリマー、及びこれらのコポリマーが挙げられる。更なる例としては、改質ガム、セルロース、及び超吸収性ポリマーが挙げられる。「超吸収性ポリマー」という用語は、乾燥状態において、自重の少なくとも20倍の水性流体、具体的には水、特に蒸留水を自発的に吸収することができるポリマーを意味すると理解される。好適な多糖類としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルなどのアルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルが挙げられる。この材料は、Daido Chemical Corp.社からSANGELOSE 60L及び90Lの商標名で販売されている。別の好適な多糖類としては、例えば、ジャガイモ加工デンプンなどの疎水性改質デンプンが挙げられる。この材料は、Nouryon社からSTRUCTURE SOLANACEの商標名で販売されている。別のポリマーとしては、モノマーが、例えば、Clariant社からARISTOFLEX SILKの商標名で販売されている、例えば、ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウムなどのアクリロイルジメチルタウレートモノマーから少なくとも部分的になる架橋ポリマーが挙げられる。
【0057】
特定のアニオン性ポリマー増粘剤は、低pH環境への好適な耐性、並びに望ましい感触及び不透明性を組成物に付与できることがこれまでに判明している。したがって、アニオン性増粘剤の特に好適な例は、フランスのSeppic社からSEPIMAX ZENとして市販されているポリアクリレートクロスポリマー-6である。
【0058】
低分子量シリコーン流体
いくつかの事例では、低pH組成物が皮膚の標的部分に塗布される際に、アニオン性ポリマー増粘剤が望ましくない粘着感を与える可能性がある。低分子量のシリコーン流体を添加すると、この粘着感を低減又は防止できることが判明している。シリコーン流体の分子量は、シリコーン流体の粘度にも直接比例する、そのシリコーンポリマー鎖の長さに依存する。したがって、本低pH組成物で使用するのに好適な低分子量シリコーン流体は、25℃で100cSt以下(例えば、1cSt~90cSt、5cSt~50cSt、又は更には10cSt~30cSt)の動粘度を有する。動粘度は、シリコーン流体を分類する一般的な方法であり、材料の供給元から入手することができる。低分子量シリコーン流体の特に好適な例は、5cStのジメチコン流体である。本明細書で使用する場合、「ジメチコン」とは、以下の式を有するポリジメチルシロキサン化合物を意味する。
【0059】
【化3】
【0060】
皮膚科学的に許容可能な担体
本明細書における低pH組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体(「担体」と称される場合もある)を含んでよい。「皮膚科学的に許容可能な担体」という語句は、担体がケラチン性組織への局所塗布に好適であり、良好な審美特性を有し、組成物中の活性物質と相溶性を有し、安全性又は毒性について不当な懸念をいっさい生じさせないことを意味する。一実施形態において、担体は、組成物の約50重量%~約99重量%、約60重量%~約98重量%、約70重量%~約98重量%、又は代替的に約80重量%~約95重量%の濃度で存在する。
【0061】
担体は、多種多様な形態にあってよい。いくつかの事例では、構成成分(例えば、抽出物、日焼け止め活性物質、追加の成分)の溶解性又は分散性によって担体の形態及び特徴が決定され得る。非限定的な例としては、単純な溶液(例えば、水性又は無水)、分散液、エマルジョン、及び固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性固体、又は非晶質材料)が挙げられる。いくつかの事例では、皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルジョンの形態にある。エマルジョンは、連続水相(例えば、水中油型若しくは水中油中水型エマルジョン)又は連続油相(例えば、油中水型若しくは油中水中油型エマルジョン)を有し得る。本発明の油相には、シリコーン油、炭化水素油、エステル、エーテルなどの非シリコーン油、及びこれらの混合物が含まれ得る。水相は、典型的には、水及び水溶性成分(例えば、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他のスキンケア活性物質)を含む。しかしながら、いくつかの事例では、水相は、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質を含むが、これらに限定されない、水以外の構成成分を含んでもよい。いくつかの事例では、組成物の非水構成成分は、グリセリン及び/又は他のポリオールなどの湿潤剤を含む。
【0062】
いくつかの事例では、本明細書における組成物は、軽くてべたつかない感覚的感触を提供する水中油型(oil-in-water、「O/W」)エマルジョンの形態にある。本明細書における好適なO/Wエマルジョンは、組成物の50重量%超の連続水相を含み得、残部は分散油相であり得る。水相は、任意の水溶性及び/又は水混和性成分とともに水相の重量に基づいて、1%~99%の水を含み得る。これらの事例では、分散油相は、油性組成物の望ましくない感触効果をいくらか回避するのを助けるために、典型的には、組成物の30重量%未満(例えば、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、3重量%~12重量%、4重量%~10重量%、又は更には5重量%~8重量%)で存在する。油相は、1つ以上の揮発性油及び/又は非揮発性油(例えば、植物油、シリコーン油、及び/又は炭化水素油)を含み得る。本組成物で使用するのに好適であり得る油のいくつかの非限定的な例は、米国特許第9,446,265号及び米国特許出願公開第2015/0196464号に開示されている。
【0063】
担体は、1つ以上の皮膚科学的に許容可能な親水性希釈剤を含有してもよい。本明細書で使用する場合、「希釈剤」としては、ビタミンB化合物を分散、溶解、又は別の方法で組み込むことができる材料が挙げられる。親水性希釈剤としては、水、低級一価アルコール(例えば、C~C)、並びに低分子量グリコール及びポリオールなどの有機親水性希釈剤が挙げられ、これらには、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量200~600g/モル)、ポリプロピレングリコール(例えば、分子量425~2025g/モル)、グリセロール、ブチレングリコール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、エーテルプロパノール、エトキシル化エーテル、プロポキシル化エーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
乳化剤
本明細書の低pH組成物がエマルジョン(例えば、水中油型エマルジョン)の形態にある場合、エマルジョンを安定化させる(すなわち、エマルジョンが相分離するのを防ぐ)ために乳化剤を含むことが望ましい場合がある。乳化剤は、組成物中に0.01%~10%(例えば、0.05%~5%、又は0.1%~2%)存在し得る。乳化剤は、非イオン性であってもよいか、アニオン性であってもよいか、又はカチオン性であってもよい。いくつかの事例では、乳化剤は、シリコーン乳化剤であり得る。本明細書で使用するのに好適であり得る乳化剤のいくつかの非限定的な例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition、317-324頁(1986)に開示されている。
【0065】
本明細書での使用に好適であり得る乳化剤のいくつかの他の非限定的な例としては、ポリグリコールのエーテル及び脂肪族アルコールのエーテル、ポリグリコールのエステル及び脂肪酸のエステル、ポリグリコールのエーテル及びグリコシル化された脂肪族アルコールのエーテル、ポリグリコールのエステル及びグリコシル化された脂肪酸のエステル、C12~30アルコールのエーテル及びグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C12~30脂肪酸のエステル及びグリセロール又はポリグリセロールのエステル、オキシアルキレン変性C12~30アルコールのエーテル及びグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、スクロース又はグルコースを含むC1~230脂肪族アルコールのエーテル、スクロースのエーテル又はグルコースのエーテル、スクロースのエステル及びC1230脂肪酸のエステル、ペンタエリスリトールのエステル及びC12~30脂肪酸のエステル、ソルビトールのエステル及び/又はソルビタンのエステル及びC12 30脂肪酸のエステル、ソルビトールのエーテル及び/又はソルビタンのエーテル及びアルコキシル化ソルビタンのエーテル、ポリグリコールのエーテル及びコレステロールのエーテル、C12~30脂肪酸のエステル並びにソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシル化エーテル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。特に有用な種類の乳化剤は、ラウレス-1からラウレス-50(例えばラウレス-4)などのラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルである。乳化剤の更に他の例としては、グリセロール、ポリグリセロール、スクロース、グルコース、又はソルビトールのエーテル;グリセロール、ポリグリセロール、スクロース、グルコース、又はソルビトールのエステル;及びこれらの混合物が挙げられる。他の特に有用な種類の乳化剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート21及びポリソルベート40などのソルビトール及びソルビトール無水物のアルキルエステルである。
【0066】
いくつかの態様では、低pH組成物中に直鎖又は分岐鎖シリコーン乳化剤を含むことが望ましい場合がある。特に有用なシリコーン乳化剤としては、KF-6011、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6015、KF-6017、KF-6043、KF-6028、及びKF-6038などのポリエーテル修飾シリコーン、並びにKF-6100、KF-6104、及びKF-6105などのポリグリセロール化直鎖又は分岐鎖シロキサン乳化剤(全てShin-Etsu社製)が挙げることができる。本明細書で使用するのに特に好適な乳化剤は、Shin-Etsu社からKF-6011として販売されているPEG-11メチルエーテルジメチコンである。PEG-11メチルエーテルジメチコン乳化剤は、アニオン性ポリマー増粘剤の粘着感を更に低減することによって低pH組成物の全体的な感触を改善することが見出された。乳化剤は、0.1%~10%(例えば、1%~5%、又は2%~4%)の量で存在し得る。
【0067】
他の任意選択的な成分
本組成物は、任意選択的に、化粧品組成物(例えば、着色剤、スキンケア活性物質、抗炎症剤、日焼け止め剤、乳化剤、緩衝液、レオロジ変性剤、これらの組み合わせなど)に一般的に使用される1つ以上の追加の成分を含んでもよく、ただし追加の成分が不所望に本組成物によって提供される皮膚健康上又は外観上の利益を変えるものではない。組成物中に組み入れられる場合、追加の成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなく、ヒトの皮膚組織に接触させて用いるのに好適でなければならない。追加の活性物質のいくつかの非限定的な例としては、ビタミン、ミネラル、ペプチド及びペプチド誘導体、糖アミン、日焼け止め剤、オイルコントロール剤、微粒子、フラボノイド化合物、育毛制御剤、抗酸化剤及び/又は抗酸化剤前駆体、防腐剤、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、保湿剤、角質除去剤、皮膚美白剤、サンレスタンニング剤、潤滑剤、抗ざ瘡活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、抗しわ活性物質、抗萎縮活性物質、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、並びに抗真菌剤が挙げられる。本明細書での使用に好適であり得る追加の成分及び/又はスキンケア活性物質の他の非限定的な例が、米国特許出願公開第2002/0022040号、同第2003/0049212号、同第2004/0175347号、同第2006/0275237号、同第2007/0196344号、同第2008/0181956号、同第2008/0206373号、同第2010/00092408号、同第2008/0206373号、同第2010/0239510号、同第2010/0189669号、同第2010/0272667号、同第2011/0262025号、同第2011/0097286号、同第2012/0197016号、同第2012/0128683号、同第2012/0148515号、同第2012/0156146号、及び同第2013/0022557号、並びに米国特許第5,939,082号、同第5,872,112号、同第6,492,326号、同第6,696,049号、同第6,524,598号、同第5,972,359号、及び同第6,174,533号に記載されている。
【0068】
本明細書における組成物中に任意選択的な成分を含む場合、低pHで組成物中の他の成分、特に、ナイアシンアミド、サリチレート、及びペプチドのようなpH感受性成分と複合体を形成しないか、そうでなくても、望ましくない相互作用をしない成分を選択することが望ましい場合がある。いくつかの事例では、両方の薬剤の有効性を低減させ得る活性物質が互いに干渉しないように、異なる生物学的経路によって機能するスキンケア活性物質を選択することが望ましい場合がある。存在する場合、任意選択的な成分は、組成物の0.0001重量%~50重量%、0.001重量%~20重量%、又は更には、0.01重量%~10重量%(例えば、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、又は0.1重量%)の量で含まれ得る。
【0069】
使用方法
スキンケア組成物は、皮膚への局所塗布のために製剤化される。スキンケア組成物の使用方法は、処置を必要とするヒト又は処置が望ましい場所(例えば、ざ瘡後の跡を示す皮膚の部分)における皮膚の標的部分を特定することと、処置期間にわたって皮膚の標的部分に有効量の組成物を塗布することとを含む。組成物の有効量は、使用者が望む皮膚利益及び/又は処置領域のサイズに基づいて変化し得る。いくつかの事例では、有効量は、0.1g~5g(例えば、0.2g~4g、0.3g~2g、又は更には0.5g~1g)の範囲であり得る。皮膚の標的部分は、額、口周囲、顎、眼窩周囲、鼻、及び/若しくは頬などの顔の皮膚表面上、又は身体の別の部分(例えば、手、腕、脚部、背部、胸)にあってもよい。いくつかの事例では、スキン組成物は、ざ瘡病変を起こしやすい領域にざ瘡後の跡が形成される前に使用される。
【0070】
スキンケア組成物は、処置期間中、少なくとも1日1回、1日2回、又は1日当たりより高頻度で塗布され得る。1日2回塗布する場合、1回目及び2回目の塗布の間は、少なくとも1~12時間の間隔を空ける。典型的には、朝及び/又は夜就寝前に組成物を塗布する。本明細書における処置期間は、理想的には、スキンケア活性物質が皮膚の外観を改善するのに十分な時間である。処置期間は、少なくとも1週間(例えば、約2週間、4週間、8週間、12週間、又は更には16週間)にわたって持続し得る。いくつかの事例では、処置期間は、数ヶ月(すなわち、3~12ヶ月)に及ぶであろう。いくつかの事例では、少なくとも2週間、4週間、8週間、12週間、又は16週間の処置期間中に、週の大半の日数(例えば、少なくとも週に4日、5日又は6日)に、少なくとも1日に1回、又は更には1日に2回組成物を塗布してもよい。
【0071】
組成物は、夜及び/又は朝に使用することを意図し得る。顔全体(目の領域を含む又は除く)及び/又は首にわたって均一にマッサージしてもよい。代替的に、組成物は、処置を必要とする皮膚の標的部分に局所的に塗布してもよく、そして所望であれば、周囲の皮膚に塗布してもよい。製品は、クレンジングの直後並びに/又は保湿剤及び/若しくは日焼け止め剤を塗布する前に塗布してよい。
【0072】
スキンケア組成物は、消えるのが遅いざ瘡後の跡を含む持続性の跡に作用することができる。組成物を、皮膚の色調に対して試験し、ざ瘡後の跡及び他の濃い跡が持続する可能性のある顕著な量のメラニンを有する顔色を含む、全ての顔色のために製剤化した。
【0073】
組成物は、以下の利益を提供することができる。
・ざ瘡後の跡の出現を低減する
・ざ瘡後の跡の視認可能な回復を提供する
・濃い斑及び変色の外観を薄くする
・色素沈着過剰を消して顔色を均一にする
・ざ瘡後の跡をより速く消す
・ざ瘡後の跡を予防する
・新たなざ瘡後の跡が形成されるのを予防する
・斑をより早く回復させて、自然な皮膚の色調を取り戻す
・初回の使用からより早く結果を提供する
・ざ瘡後の跡が残る皮膚を自然な皮膚の色調に戻す
・ざ瘡後の跡をより目立たなくするより強力なバリアを提供する
・最適な回復のための強力なバリアを提供する
・最も濃いざ瘡後の跡を予防するために皮膚に潤いを与える
・皮膚のバリアを修復し、栄養良好な自然な状態を回復する
・バランスのとれた顔色のために皮膚を保湿する
・細胞のターンオーバーを増加させて、皮膚をより明るくする
・死んだ皮膚細胞を剥離させて、細胞のターンオーバーを増加させる
・濃い跡を消すために細胞のターンオーバーを増強する
・将来の損傷に対する保護を提供する
・皮膚を落ち着かせ、皮膚のバランスをリセットする
【0074】
本明細書における組成物を塗布する工程は、局所的塗布により行うことができる。組成物の塗布に関して、「局所的な」、「局所的」、又は「局所的に」という用語は、処置が望まれていない皮膚表面への送達を最小限にしつつ、組成物を標的領域(例えば、乾癬プラーク)に送達することを意味する。本組成物は、ある皮膚領域に塗布し、軽く揉み込むことができる。組成物又は皮膚科学的に許容可能な担体の形態は、局所的塗布が容易となるように選択されるべきである。本明細書における特定の実施形態は、組成物をある領域に局所的に適用することを想到しているが、本明細書における組成物は、1つ以上の皮膚表面に更に全身的に又は広範に適用され得ることが理解されよう。ある特定の実施形態では、本明細書における組成物は、多段階式美容法の一部として使用してもよく、この場合、本組成物を1つ以上の他の組成物の前及び/又は後に塗布してよい。
【0075】
方法
HPLC
この方法は、高速液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatography、「HPLC」)を使用して、原料又は最終生成物中のHCA及び4-ビニルフェノール(4-VP)の重量パーセントをそれぞれ求める方法を提供する。この方法はまた、それらの波長スペクトル及び保持時間をそれぞれの既知の標準に一致させることによってHCA及び/又は4VPを同定するためにも使用することもできる。以下の機器及び材料をこの方法で使用する。
【0076】
機器:
・勾配HPLCポンプ、液体オートサンプラー、UV検出器(及びスペクトル分析のためのダイオード配列検出器(diode array detector、DAD))、及び好適なコンピューティングインテグレータ又はコンピュータデータシステム(例えば、Waters Corporation製のWaters 2695 HPLCシステム又は等価物)を含む勾配HPLCシステム。
・5um、250mm×4.6mm ID HPLCカラム(例えば、Alltech Alltima製のC18カラム)。
【0077】
方法:
2つの移動相を使用して、1.0mL/分の一貫した流量で勾配を作り出す。移動相Aは、精製水中0.5%酢酸からなる。移動相Bは、アセトニトリル中0.5%酢酸からなる。勾配を以下の表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
カラム温度は25Cである。データ収集UV波長は263nmである。190nm~400nmのスペクトルデータを収集して、HCA及び4-VPを同定する。HCAの保持時間は10.86(±0.20)分であり、4-VPの保持時間は14.60(±0.20)分である。HCA及び4-VPの参照スペクトルをそれぞれ図1A及び図1Bに示す。
【0080】
計算
1.最終製品試料中のHCAの重量%の計算
【0081】
【数2】
A=HCA:試料中の内部標準のピーク面積比
B=HCA:較正標準中の内部標準のピーク面積比
M=較正標準(約50mg/50mL×3mL)におけるHCAの質量(mg)
W=試料の重量(mg)
P=10進法でのHCAの純度
2.最終製品試料中の4-VPの重量%の計算
【0082】
【数3】
a=4-VP:試料中の内部標準のピーク面積比
b=4-VP:較正標準中の内部標準のピーク面積比
m=較正標準(約150mg/100mL×1mL)における4-VPの質量(mg)
W=試料の重量(mg)
p=10進法での4-VPの純度
【0083】
HCAの結晶化
この方法は、インサイチュでHCA結晶を観察することによって、組成物に対するHCAの溶解度を求める方法を提供する。この方法は、試験試料の温度を凍結と解凍との間で循環させて、加速された速度でスキンケア組成物が経験する環境条件をシミュレートすることを含む。この種の加速劣化は、化粧品安定性試験において一般的に使用される。HCA結晶は、目視観察及び顕微鏡検査などの従来の手段を使用して検出することができる。
【0084】
少なくとも10g(例えば、20g~60g)の試験される組成物のバルク試料を、試験試料の目視観察を可能にする好適な容器(例えば、透明プラスチック又はガラスジャー)に入れる。試験試料を1ヶ月の凍結/解凍温度サイクルに供して、スキンケア製品が輸送及び貯蔵中に経験し得る環境条件をシミュレートする。これは、加速劣化と呼ばれることもある。温度サイクルは、-7℃で1週間の凍結サイクルと、それに続く25℃で1週間の解凍サイクルとを含み、次いで、1ヶ月間の合計温度サイクル期間にわたってこの凍結/サイクルを繰り返す。
【0085】
加速劣化プロセス(すなわち、1ヶ月間の温度サイクル)の完了時に、透明な試験試料を透明な容器内でその場で目視検査して、HCAの結晶化/沈殿が起こったかどうかを判定する。不透明及び半透明の試料については、試験試料全体を容器から取り出し、好適な透明基材(例えば、プラスチックフィルム又はガラス板)に移し、厚さ1mm以下の薄膜に成形する。検査中に揮発性成分が失われるのを抑制するために、試料を第2の透明基板で覆う。目視検査を支援するために、光源(例えば、LEDランプなど)を使用して試料の背後から光を当てる。HCA結晶は、概して、45cm離れたところから20/20の視力を有するヒトが観察した場合、肉眼で視認可能な組成物中の沈殿物として現れる。異方性結晶を同定するために、交差偏光による蛍光複屈折観察を提供することができる顕微鏡を使用して、目視観察中に同定された任意の沈殿物を更に評価する。0.1mmを超える最長寸法を有する任意の異方性結晶をHCA結晶として同定し、HCA結晶の総数を記録する。1個以下のHCA結晶を含有する試験試料は、「HCA結晶を含まない」とみなし、「合格」として記録する。1個を超えるHCA結晶を含有する試験試料は、「不合格」として記録する。
【0086】
必須ではないが、フーリエ変換赤外分光法(fourier-transform infrared spectroscopy、FTIR)を使用して、HCA結晶又は共結晶が適切なヒドロキシケイ皮酸構造を含有することを確認してもよい。FTIR分光法は、当該技術分野において周知である。米国特許第10912857号、米国特許出願公開第2020/0000697号、及びFourier Transform Infrared Spectroscopy in Colloid and Interface Science,D.R.Scheuing,Ed.,American Chemical Society,225,1991を参照されたい。
【0087】
レオロジ
この方法は、BROOKFIELDブランドの粘度計(モデルDV2T又は同等品など)及び好適なスピンドル(RV4又は同等品など)を製造元の指示に従って使用して、組成物又は材料の動粘度を測定する方法を提供する。当業者であれば製造元の推奨に従って適切なスピンドルを選択できることが理解される。粘度計を較正した後、スピンドルを十分な量(例えば、スピンドルをスピンドルシャフト上の浸漬マークまで浸漬するのに十分な量)の試験試料に浸漬する。スピンドル回転速度を5rpmに設定し、粘度計を起動する。表示された粘度の読み取り値が安定するまで待つ(約10~30秒)。読み取り値が安定したら、10秒間隔で5回の読み取りを行う。5回の読み取り値の平均として粘度を計算する。
【実施例
【0088】
以下のデータ及び実施例は、本明細書に記載されるスキンケア組成物及び方法を説明するのに役立てるために提供される。例示される組成物及び方法は、例証目的のためだけに提供され、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変形例が可能であることから、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書における全ての部、百分率、及び比は、別途指定のない限り、重量基準である。
【0089】
実施例1:臨床研究
ナイアシンアミド、HCA、及び低pHを有する組成物の潜在的な利益を評価するために、斑、ざ瘡後の跡の出現を低減することに焦点を当てた無作為化二重盲検臨床研究を行った。ざ瘡後の跡の履歴を有する広範囲にわたる皮膚の色調(Individual Typology Angle-ITA(参考文献Del Bino S,Bernerd F,British Journal of Dermatology(2013)169(Suppl.3),pp33-40)によって測定、ITA範囲-66.5~+46.3、平均:13.88、標準偏差:27.46)を有する62人の女性対象(年齢範囲18~45歳、平均:35.79歳、標準偏差:5.42)を採用した。処置製品は、以下の表2に示すように、活性成分として2%のナイアシンアミド及び0.5%のHCAを含有し、組成物は3.8のpHを有した。処置製品を、以下の表2に示すように、活性成分(HCA及びナイアシンアミド)を有せず、5.0のpHを有する対照製品と比較した。他の成分の違いとしては、処置の忍容性を支援するための処置製品中の少量の湿潤剤、並びに組成物を安定に保つのを支援するための防腐剤、pH調整剤、及び乳化剤が挙げられる。製品性能に差を生じさせたものは活性成分であると考えられる。
【0090】
【表2】
【0091】
1週間のプレコンディショニング期間の後、12週間にわたって対象の無作為化された分割面に処置製品及び対照製品を塗布した。Visia(登録商標)-CR4及びOLE(登録商標)Imager(Canfield Scientific,Inc.(New Jersey,USA))を使用して、ベースライン、1週目、2週目、3週目、4週目、8週目、及び12週目に、湿度/温度が制御された実験室(温度70°F±2°F、相対温度30~45%)で臨床画像を撮影した。臨床測定の前に少なくとも30分間、対象を実験室で順応させた。58人の対象が研究を完了した。
【0092】
画像分析を使用して、顔面上の個々の斑を追跡した。画像分析法は、斑の優勢な発色団に基づいて、斑を赤色斑と褐色斑とに広く分類する。それは、各斑の発色団の動的変化、具体的にはメラニン及びヘモグロビンの量を特徴付け、それによって処置の有効性を評価する。図1A図Dのエラーバーは、1標準誤差(standard error、SE)を表す。
【0093】
図1A及び図1Cは、褐色である斑について、それぞれメラニン及びヘモグロビンの変化を示し、処置製品及び対照製品の両方で、斑がヘモグロビンと比較してより多くのメラニンを有することを意味する。
【0094】
図1B及び図1Dは、赤色である斑について、それぞれメラニン及びヘモグロビンの変化を示し、処置製品及び対照製品の両方で、斑がメラニンと比較してより多くのヘモグロビンを有することを意味する。
【0095】
図1A及び図1Bは、処置製品が、2週間後に赤色及び褐色の両方の斑においてメラニン含量を顕著に低減することを示す。12週間後の対照製品ではほとんど変化がなく、これは、処置なしにメラニン斑を除去することが困難であることを示す。
【0096】
図1C及び図1Dは、処置製品が、褐色及び赤色の斑の両方においてヘモグロビン含量を低減することを示す。しかし、この変化は、図1A及び図1Bに示されるメラニンの低減と比較して、図1C及び図1Dのグラフではそれほど顕著ではないようにみえる。しかしながら、以下で論じ、図2A図Dに示すように、メラニン及びヘモグロビンの変化率はいずれも、対照製品と比較して処置製品では大幅に改善される。更に、褐色及び赤色の斑中のヘモグロビンは、対照製品でも12週間にわたって改善したが、図1C及び図1Dは、改善が処置製品と比較してそれほど劇的でないことを示す。
【0097】
これらの斑は動的であると考えることができるので、経時的な発色団の変化を回帰モデルに当てはめて、各斑及び全ての斑の動的性質をモデル化することができる。変化率は、回帰当てはめの勾配によって表される。本発明者らは、改善率(回帰当てはめの勾配によって測定される)に対する処置の影響を解明するために、以下に記載の通り、機械学習モデル及びレバレッジ説明可能AI(XAI)アプローチを構築した。結果を図2A図Dに示す。エラーバーは1SEを表す。これらの図において、y軸は、発色団に対する変数の影響を説明するShap値を示す。発色団変化の平均変化を基準値として与える。処置製品(効果の大きさ及び傾向)と対照製品との間のShap値の対比を使用して、製品の影響を判定することができる。
【0098】
Gradientブースター(Chen T and Guestrin C,XGBoost:A Scalable Tree Boosting System,arXiv:1603.02754,2016)機械学習モデルを構築して、年齢、ITA、斑数、BMI、及び処置を予測変数として用いて斑発色団の変化率を予測した。機械学習モデルは本質的に不透明であるため、Shapleyベースの説明可能なAI手法(Lundberg S and Lee S,A Unified Approach to Interpreting Model Predictions,arXiv:1705.07874,2017)を使用して、各予測変数の影響を評価した。Shap値は、発色団の変化率に対する変数の影響を説明する。発色団変化の平均変化を図2A図Dにおいて基準値として与え、処置製品(効果の大きさ及び傾向)と対照製品との間でのShap値の比較を使用して、各製品の影響を判定することができる。
【0099】
図2Aは、褐色斑におけるメラニンの変化率を示し、図2Bは、赤色斑におけるメラニンの変化率を示す。両方の処置製品についての負のshap値は、対照製品と比較して、処置製品では変化率が有意であることを示す。
【0100】
図2Cは、褐色斑におけるヘモグロビンの変化率を示し、図2Dは、赤色斑におけるヘモグロビンの変化率を示す。両方の処置製品についての負のshap値は、対照製品と比較して、処置製品では変化率が有意であることを示す。
【0101】
実施例2:低pHスキンケア組成物の実施例
以下の表3及び表4は、本発明の様々な態様に対応する低pHスキンケア組成物の例を提供する。組成物は、スキンケア組成物を製造する従来の方法を使用して調製することができる。このような方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用などを用いるか、又は用いずに、成分を1つ以上の工程で比較的均一な状態になるまで混合することを含む。例示される量は全て、別途指定のない限り、市販の製品中に存在し得る希釈剤、防腐剤、着色溶液、感触調整粉末、及びエラストマーなどの微量物質を除外する。HCAは、固体形態として添加してその場で可溶化させてもよいか、プレミックスとして溶解させてもよいか、又は予め分散させた原材料として供給してもよい。特定の実施例では、PEG-4(Vantage製のLipobrite(登録商標))中に予め分散させた4-HCAの15%溶液を使用する。Lipobrite(登録商標)を含有する実施例については、明確にするために4-HCA及びPEG-4の構成成分レベルを個々に列挙し、上付き文字は、Lipobrite(登録商標)原料を示す。添加した全Lipobrite(登録商標)材料は、列挙する4-HCA及びPEG-4の構成成分の合計である。他の全ての材料は、供給元から「入手したまま(as is)」記載されている。
【0102】
エマルジョンは、最初に水相の材料を油相及び/又はシリコーン相の材料とは別々に混合し、次いで、2つの相を適宜組み合わせて所望の連続層を得ることにより調製する。いくつかの態様では、例示的な組成物は、全ての材料が溶解して均質になるまで、水相構成成分を好適なミキサ(例えば、IKA RW20又は等価物)でブレンドすることによって作製することができる。存在する場合、任意選択的なポリマー増粘剤は、撹拌しながら増粘剤を水相に直接ゆっくりと添加し、均質になるまで混合を続けることによって水和してよい。4-HCA、極性皮膚軟化剤、及びグリコール共溶媒を別個のプレミックス容器に一緒に添加し、完全に溶解して均一になるまで混合してよい。次いで、HCAプレミックスを主混合容器に添加し、均質になるまで更に混合してよい。好適なミキサ(例えば、IKA Ultra Turrax T-25又は等価物)を使用して製剤を粉砕して、標的粘度に到達し、均一な組成物が得られるまで、エマルジョン粒子サイズを低減してよい。プロセスの速度を制御し、かつ/又は均質な最終生成物を得るために、必要に応じて温度を調整してもよい。
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
表2~表4についての商品名及び供給元:
Seppicから入手可能なSEPIMAX ZEN
Clariantから入手可能なARISTOFLEX SILK
Shin-Etsu社製KF-6011
Vantage製のLIPOBRITE(15%4-HCA、85%PEG-4)
Ajinomoto OmniChem製のEldew SL-205
Dow Corning製のDC-1503
Sigma Aldrich製のフェルラ酸
Croda製のPROMATRIXYL
必要に応じてpHを調整
【0106】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定のない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0107】
米国仮出願、米国仮出願の完成出願、及び12ヶ月の米国非意匠出願を作成する際には、以下の段落を挿入しなければならない。
【0108】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又はその他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせた場合に、このようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0109】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行うことができる点が、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡後の跡の出現を低減する方法であって、
a.ざ瘡後の跡を含む皮膚の標的部分を特定することと、
b.処置期間の過程にわたって、前記皮膚の標的部分に有効量のスキンケア組成物を塗布することと、
を含み、前記スキンケア組成物が、
i.約0.1%~約10%のビタミンB化合物と、
ii.約0.1%~約10%のヒドロキシケイ皮酸と、
iii.水と、
を含み、
前記組成物のpHが5.0以下である、方法。
【請求項2】
前記組成物が、約0.1%~約5%の極性皮膚軟化剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒドロキシケイ皮酸と前記極性皮膚軟化剤との間の重量比が、約1:1~約1:10である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、クマル酸からのハンセン溶解度パラメータ距離が15未満である共溶媒を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、20%未満の共溶媒、好ましくは15%未満の共溶媒、より好ましくは10%未満の共溶媒を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記共溶媒が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、C2~C6ポリエテングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるグリコールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、ヒドロキシケイ皮酸結晶を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ビタミンB化合物が、ナイアシンアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、低pH耐性ポリマー増粘剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記低pH耐性増粘剤が、ポリアクリレートクロスポリマー-6である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、約0.001重量%~約5重量%の酸化防止剤、好ましくは約0.01重量%~約2重量%の酸化防止剤、より好ましくは0.05重量%~1重量%の酸化防止剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記抗酸化剤が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記pHが、約2.0~約4.5、好ましくは約2.5~約4.0、より好ましくは約3.5~約4.0である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシケイ皮酸が、p-クマル酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒドロキシケイ皮酸が、フェルラ酸を含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】