IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミラダ メディカル リミテッドの特許一覧

特表2024-538850医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法
<>
  • 特表-医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法 図1
  • 特表-医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法 図2
  • 特表-医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法 図3
  • 特表-医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法 図4
  • 特表-医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法 図5
  • 特表-医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】医用画像セグメンテーションの品質保証のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/03 560G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545063
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022077002
(87)【国際公開番号】W WO2023057281
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】2114398.7
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2207358.9
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524135266
【氏名又は名称】ミラダ メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MIRADA MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】New Barclay House 234 Botley Rd, Oxford Oxfordshire OX2 0HP United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】イオネスク,ジョージア-ヴァレリア
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェイラ,アナ
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー,パドレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ハーク,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】アスナール,マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】グッディング,マーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブケルルイ,ジャメル
(72)【発明者】
【氏名】オソーリオ,エリアンナ バスケス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093AA26
4C093CA21
4C093CA34
4C093CA35
4C093FF16
4C093FF42
4C093FG13
(57)【要約】
輪郭描写システムにおいて医用画像の輪郭描写をレビューするための方法及びシステムが記述される。当該方法は、輪郭描写されるべき構造を示す少なくとも1つの医用画像を用意するステップと、前記少なくとも1つの医用画像上で構造の輪郭を生成するステップと、生成された輪郭が、輪郭描写されている構造についてのガイドラインに適合するか、を判定するステップと、適合性の判定に応答して、輪郭の品質についてのフィードバックを提供するステップと、提供されたフィードバックに基づいて、輪郭を生成することを続けるステップと、を有する。以前に輪郭描写された医用画像をレビューするための方法及びシステムも記述される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪郭描写システムにおいて医用画像の輪郭描写をレビューする方法であって、
輪郭描写されるべき構造を示す少なくとも1つの医用画像を用意するステップと、
前記少なくとも1つの医用画像上で構造の輪郭を生成するステップと、
前記生成された輪郭が、輪郭描写されている前記構造についてのガイドラインに適合するか、を判定するステップと、
適合性の前記判定に応答して、前記輪郭の品質についてのフィードバックを提供するステップと、
前記提供されたフィードバックに基づいて、前記輪郭を生成することを続けるステップと、
を有する方法。
【請求項2】
輪郭描写システムにおいて以前に輪郭描写された画像をレビューする方法であって、
1つ以上の輪郭を有する医用画像をロードするステップと、
前記輪郭のうちの少なくとも1つが、輪郭描写された構造についてのガイドラインに適合するかを判定するステップと、
ガイドラインとの適合性の前記判定に応答して、前記医用画像上の前記輪郭の品質についてのフィードバックを提供するステップと、
を有する方法。
【請求項3】
前記輪郭の前記品質についての前記フィードバックに応答して前記輪郭を編集するステップ、を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記医用画像上の前記構造が完全に輪郭描写されるまで、前記判定、前記フィードバック、及び前記輪郭描写のステップを繰り返すステップ、を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記生成される輪郭は、手動又は半自動で生成される、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記医用画像の前記輪郭描写された構造の前記輪郭を出力するステップ、を更に有する請求項1又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの医用画像内の複数の構造が輪郭描写されるように当該方法のステップが繰り返される、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項8】
前記医用画像上の前記輪郭の全てがレビューされるまで当該方法のステップが繰り返される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項9】
ユーザが前記医用画像についての手動輪郭を生成し始める前に、前記医用画像上に1つ以上の輪郭を表示するステップ、
を更に有する請求項1又は4に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の輪郭が前記ガイドラインに適合するかを前記システムが判定する前に、前記医用画像上に前記1つ以上の輪郭を表示するステップ、
を更に有する請求項2又は3に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は更に、前記ガイドラインから少なくとも1つの違反ゾーンを決定するステップを有し、前記少なくとも1つの違反ゾーンは、輪郭描写されている前記構造の輪郭が置かれるべきでない前記スキャン画像の領域を決定するために使用される、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの違反ゾーンは、医用画像例に対する機械学習を用いて決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの違反ゾーンの位置に対する前記輪郭の位置についての追加の空間フィードバックを提供するステップ、を更に有する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの違反ゾーンの各々についての前記追加の空間フィードバックは、前記少なくとも1つの違反ゾーンによってカバーされる画像領域に固有である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記追加の空間フィードバックは、前記輪郭が前記違反ゾーンを違反する前記画像上の領域を強調表示することによって提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の空間フィードバックは、前記輪郭による前記違反ゾーンの違反が発生するとすぐに提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
輪郭描写のための前記ガイドラインは、構造間の解剖学的境界、他の解剖学的構造、他の解剖学的特徴のうちの1つ以上を参照する、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記医用画像上の基準アナトミが、
アトラスベースの自動輪郭描写、機械学習法、アルゴリズム的アプローチ、
のうちの少なくとも1つを用いて特定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記医用画像内の前記基準アナトミに対する前記輪郭の相対的位置の比較が、ガイドラインに対する準拠を決定するために用いられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基準アナトミに対して前記輪郭に許容差が適用される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記許容差は、等方性マージン又は方向性マージンのうちの少なくとも一方を用いて決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの医用画像は、2D画像、3D画像、又は時系列の医用画像のうちの1つである、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの医用画像は、CTスキャン、CBCTスキャン、PETスキャン、SPECTスキャン、又はMRIスキャンのうちの少なくとも1つである、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記フィードバックは、自然言語の又は人間が解釈可能なフィードバックである、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記フィードバックはレポートとして提供される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フィードバックは、前記輪郭のエラーのタイプを示すための前記輪郭の注釈によって提供される、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記注釈は、記号注釈、線にリンク付けられたテキスト注釈、線重み付け変更、線色変更、線スタイル変更、線の周りの陰影付け/色付け、輪郭の違反部分内の陰影付け/色付けのうちの1つ以上である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
輪郭描写されている構造又は予め輪郭描写された画像内の輪郭描写された構造に従って、ユーザが、適切なガイドラインを選択することができる、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
輪郭描写されている構造に従って、提供される前記ガイドラインが自動的に決定される、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
生成された輪郭がガイドラインに適合するかを決定する方法が、以前に輪郭描写された画像のデータベースから導出される、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記データベースは、以前の輪郭が前記ガイドラインから変化したかどうか/どのように変化したかについての以前のフィードバックを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの医用画像の輪郭描写のためのシステムであって、
ユーザによって輪郭描写されるべき少なくとも1つの医用画像を表示するディスプレイと、
前記ユーザが前記医用画像上の構造の輪郭描写を開始したことを決定するプロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、生成された輪郭が、輪郭描写されている前記構造についてのガイドラインに適合するか、を判定し、前記ガイドラインとの輪郭適合性の前記判定に応答して、前記輪郭の品質についてのフィードバックを前記ユーザに提供することで、前記ユーザが、前記提供されたフィードバックを考慮に入れるように前記輪郭を調整できるようにする、
システム。
【請求項33】
前記生成される輪郭は、手動又は半自動で生成される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
輪郭描写された構造を有する医用画像を分析するシステムであって、
少なくとも1つの輪郭描写された医用画像を受信するための入力と、
輪郭のうちの少なくとも1つが、輪郭描写された前記構造についてのガイドラインに適合するかを判定するプロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、前記ガイドラインとの適合性の前記判定に応答して、前記医用画像上の前記輪郭の品質についてのフィードバックを提供する、
システム。
【請求項35】
当該システムは更に、前記少なくとも1つの輪郭描写された医用画像を表示するディスプレイを有する、請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用撮像及び医用画像処理の分野に関し、特に放射線治療プランニングの分野における、特に医用画像の輪郭描写のレビューに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのシナリオにおいて、臨床医が医用画像上で解剖学的構造の輪郭を描くことが必要である。例えば、放射線治療プランニングにおいては、典型的に、患者の医用画像上で放射線腫瘍医によって臓器、腫瘍、及び標的ボリュームの輪郭が描かれる。患者画像は、通常、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンで取得されるが、例えば磁気共鳴撮像(MRI)などの他の撮像モダリティが取得されることもある。これらの画像は、典型的に、患者の断面の2D画像のスタックを有し、それらが一緒になって3Dボリューム画像となる。
【0003】
患者の医用画像は、どの領域が照射されるべきか、及びどの健康な組織及び臓器が回避されるべきかを示すために臨床医によって輪郭を描かれ、過剰な治療は害を引き起こすことがある一方で、過小な治療は癌の再発につながり得る。従って、治療を準備するとき、腫瘍を照射しながら健康な組織を残すために、‘プランニング’画像でリスク臓器(organs-at-risk;OAR)及び標的ボリュームの輪郭を描く必要がある。その後、プランニングソフトウェアが、標的ボリューム及び腫瘍への放射線量を最大にする一方で周囲の健康な組織への線量を最小にする治療計画を計算し得る。輪郭を描くこのプロセスは、解剖学的構造の境界を画成するために2D又は3Dのいずれかで輪郭を描くプロセスを示すために使用され得る用語である輪郭描写(contouring)として知られている。この輪郭描写は、時間がかかり、熟練を要し、輪郭及びその結果の治療の効果におけるバラつきにつながる。同様に、システムによって自動的に輪郭が生成されることを示すために、自動輪郭描写という用語が使用されることがある。
【0004】
人間のオペレータによる患者症例の手動輪郭描写は、時間がかかり、解剖学的構造の輪郭を描く際にバラつきを受けやすい[1]。このようなバラつきは、オペレータ内及びオペレータ間のバラつき、並びに異なる機関又は部門間のバラつきによるものである。このバラつきを減少させるために、機関及び専門組織が、例えば[2]などの輪郭描写ガイドライン、及び例えば[3]などのアトラスを作成している。ガイドラインの使用は、観察者間でのバラつきを減少させることが見出されている[4、5]。
【0005】
ガイドラインは、どのように構造を描くべきかを詳述するテキスト記述の形態をとるが、この文脈において、アトラスは、患者画像例上に描かれる輪郭の“ゴールドスタンダード”セットである。典型的には、ガイドライン及び/又はアトラスは、専門家の間での合意によって形成される。
【0006】
臨床チームは、ガイドラインにて訓練され教育されるが、スタッフが自己満足/怠慢になったり[6]、ガイドラインが更新されたりする場合に、時間とともに再びバラつきが生じるようになり得る。このバラつき、及び輪郭描写におけるエラーのリスクは、別の上級臨床医が輪郭をレビューして修正することを通じて軽減されることができ、これは、ピアレビューと呼ばれるプロセスである。従って、輪郭をチェックし、それらの正確さを保証し、輪郭描写ガイドラインをスタッフに思い出させる手法として、ピアレビューがしばしば提案される。品質を保証するための輪郭のピアレビューが強く推奨される[7、8、9]。
【0007】
しかしながら、このプロセスは、リソース集約的であり、実際には、リソース及び時間の制約のために、輪郭がガイドラインに対してチェックされなかったりピアレビューされなかったりすることがしばしばである。従って、ガイドラインに対する輪郭描写の順守を自動的にチェックするシステムが望まれる。
【0008】
輪郭描写のためのガイドラインは、通常、
構造間の解剖学的境界、
他の解剖学的構造、
又は他の解剖学的特徴、
を参照して、輪郭描写している構造についての正しい輪郭を記述する。
【0009】
これらの基準点は、基準アナトミ(解剖学的構造)と呼ばれる。輪郭描写している構造はターゲット構造と称される(それは放射線治療の標的ではない場合があるが、この用語は、ユーザの輪郭描写という意図した目的を指すためのみに使用される)。
【0010】
ガイドラインは、例えば、“上方に、心臓全体が左肺動脈のすぐ下から始まる”[16]など、基準アナトミに対する相対的な方向においてターゲット構造を輪郭描写することを指すことができ、ここで、“左肺動脈”が基準アナトミと見なされ、相対的な方向は“すぐ下”である。
【0011】
ガイドラインは、例えば、“リンパ節CTVが、適用可能な骨盤血管(動脈及び静脈)の周りの7mmのマージンによって包含されるエリアとして画成された”[17]など、基準アナトミからある距離にターゲット構造を輪郭描写することを指すことができ、ここで、“適用可能な骨盤血管”が基準アナトミ(ガイドラインにおいて更に定義される)であり、距離は7mmの拡張マージンである。“CTV”は、臨床上の標的ボリュームとして知られる領域、すなわち、腫瘍細胞があると予想される領域である。そのような領域は、しばしば、視認できない腫瘍の広がりに対処するための、視認可能な構造の周囲の拡張である。
【0012】
ガイドラインは、例えば、“CTVが、骨及び筋肉を除外するように修正された”[17]など、基準アナトミを含めたり除外したりすることによってターゲット構造を輪郭描写することを指すことができ、ここで、“骨及び筋肉”は、ターゲット構造である“CTV”の輪郭から除外される基準アナトミである。
【0013】
エラーを特定するために自動化された方法を用いた、輪郭の品質を評価するための幾つかの技術的ソリューションが提案されている。標的及びリスク臓器の輪郭を評価するために使用される様々な技術が公開されている。
【0014】
1つのクラスのアプローチは、以前に輪郭を描かれた症例のパラメータの分布に対して患者輪郭を評価する[10]。しかしながら、このようなアプローチは、分布に対する外れ値にフラグを付けるのみであり、輪郭描写ガイドラインに対する品質保証を提供しない。失敗モードはユーザに伝達され得るが、ユーザは、依然として、ガイドラインに対して輪郭を解釈することを要求される。さらに、このシステムは、期待される患者分布を輪郭が備える場合に、ガイドラインに違反する輪郭を検出しない。例えば、心臓のボリュームを以前に輪郭描写された心臓ボリュームと比較することによって、異常な大きい輪郭が間違っているかもしれず、従ってレビューを要すると推測し得る。しかし、その患者は、母集団に対して大きい心臓を持っているかもしれず、その輪郭が正しいことがある。逆に、心臓が不正確に過小に輪郭描写されている場合に、その輪郭が、外見上は、通常の分布内の“許容可能な”ボリュームを持つことがある。このようなシステムは、失敗モードを、公表された輪郭描写ガイドラインに関連付けない。
【0015】
より複雑な機械学習アプローチも、特徴をグループ分けして潜在的な誤った輪郭を決定するために適用されている[11]。しかしながら、このようなアプローチは、依然として、母集団分布に対して異常な輪郭を検出するカテゴリに入り、人間によって実行されるピアレビューにおいて行われるように、レビューのための症例のフラグ付けをガイドラインに関連付け戻したりはしない。
【0016】
別のクラスのアプローチは、自動的に生成された輪郭(自動輪郭)との輪郭の比較である[12]。このアプローチでは、自動輪郭が許容可能であると仮定され、従って、それからの逸脱が誤差としてフラグ付けられる。このようなアプローチは、独立したシステムとの比較によって自動輪郭をレビューするためにも使用されている[13]。2つのシステムの意見が一致しない場合、その症例は編集のためにフラグを立てられる。このようなシステムは、誤差のタイプの意味のある記述を与えず、単に違いを報告するだけである。また、両方のシステムが一致し、両方が正しくないことがあり得る。従って、このアプローチは、ピアレビューで行われるのと同じ、ガイドラインにリンク付けられたフィードバックを行うものではない。
【0017】
採られている更なる一アプローチは、描かれた輪郭から画像をシミュレートし、次いで、シミュレートされた画像を元の医用画像と比較する[14]。やはり、レビューを要し得る輪郭を示すために、違いがフラグ付けられる。画像を比較するこのようなアプローチはまた、輪郭自体が“エラーマップ”の視覚的なレビューを必要とすることからは除外され、従って、輪郭描写エラーの性質についての人間が解釈可能なフィードバックをユーザに提供することができない。
【0018】
機械学習システムは、セグメンテーション品質スコアを予測するためにも適用されている[15]。しかしながら、品質スコアの概念は、輪郭描写ガイドラインには存在せず、ガイドラインのどのような違反が発生している可能性があるかに関して、低品質スコアの人間が解釈可能なインジケーションを与えることはできない。
【0019】
従って、これらのシステムはいずれも、潜在的なエラーを自然言語の説明と関連付ける方法を有していないことが観察される。これらのシステムはいずれも、ガイドラインに基づいて変更を提案することができない。このようなシステムは、不十分な輪郭にハイライトを当て得るが、それらの輪郭がどうして不十分であるかについての洞察をユーザに与えない。
【0020】
従って、自動輪郭品質検査システムが提案されているが、輪郭描写ガイドラインが違反されているところについて人間が解釈可能な、又は自然言語の、フィードバックを提供する自動化された“ピアレビュー”の形態として十分に使用され得るソリューションはない。
[1] Brouwer CL, Steenbakkers RJ, van den Heuvel E, Duppen JC, Navran A, Bijl HP, Chouvalova O, Burlage FR, Meertens H, Langendijk JA, van't Veld AA. 3D variation in delineation of head and neck organs at risk. Radiation Oncology. 2012 Dec;7(1):1-0.
[2] Brouwer CL, Steenbakkers RJ, Bourhis J, Budach W, Grau C, Gregoire V, Van Herk M, Lee A, Maingon P, Nutting C, O’Sullivan B. CT-based delineation of organs at risk in the head and neck region: DAHANCA, EORTC, GORTEC, HKNPCSG, NCIC CTG, NCRI, NRG Oncology and TROG consensus guidelines. Radiotherapy and Oncology. 2015 Oct 1;117(1):83-90.
[3] https://www.nrgoncology.org/About-Us/Center-for-Innovation-in-Radiation-Oncology/Head-and-Neck/Head-and-Neck-Atlases
[4] Sun KY, Hall WH, Mathai M, Dublin AB, Gupta V, Purdy JA, Chen AM. Validating the RTOG-endorsed brachial plexus contouring atlas: an evaluation of reproducibility among patients treated by intensity-modulated radiotherapy for head-and-neck cancer. International Journal of Radiation Oncology* Biology* Physics. 2012 Mar 1;82(3):1060-4.
[5] Vinod SK, Min M, Jameson MG, Holloway LC. A review of interventions to reduce inter‐observer variability in volume delineation in radiation oncology. Journal of medical imaging and radiation oncology. 2016 Jun;60(3):393-406.
[6] Brouwer CL, Boukerroui D, Oliveira J, Looney P, Steenbakkers RJ, Langendijk JA, Both S, Gooding MJ. Assessment of manual adjustment performed in clinical practice following deep learning contouring for head and neck organs at risk in radiotherapy. Physics and imaging in radiation oncology. 2020 Oct 1;16:54-60.
[7] The Royal College of Radiologists. Radiotherapy target volume definition and peer review RCR guidance. Clin Oncol. 2017;
[8] Rooney KP, McAleese J, Crockett C, Harney J, Eakin RL, Young VAL, et al. The impact of colleague peer review on the radiotherapy treatment planning process in the radical treatment of lung cancer. Clin Oncol. 2015;27(9):514-8.
[9] Abrams RA, Winter KA, Regine WF, Safran H, Hoffman JP, Lustig R, et al. Failure to adhere to protocol specified radiation therapy guidelines was associated with decreased survival in RTOG 9704 - A phase III trial of adjuvant chemotherapy and chemoradiotherapy for patients with resected adenocarcinoma of the pancreas. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2012;82(2):809-16.
[10] Altman MB, Kavanaugh JA, Wooten HO, Green OL, DeWees TA, Gay H, Thorstad WL, Li H, Mutic S. A framework for automated contour quality assurance in radiation therapy including adaptive techniques. Physics in Medicine & Biology. 2015 Jun 17;60(13):5199.
[11] McIntosh C, Svistoun I, Purdie TG. Groupwise conditional random forests for automatic shape classification and contour quality assessment in radiotherapy planning. IEEE transactions on medical imaging. 2013 Mar 6;32(6):1043-57.
[12] Men K, Geng H, Biswas T, Liao Z, Xiao Y. Automated quality assurance of OAR contouring for lung cancer based on segmentation with deep active learning. Frontiers in Oncology. 2020 Jul 3;10:986.
[13] Rhee DJ, Cardenas CE, Elhalawani H, McCarroll R, Zhang L, Yang J, Garden AS, Peterson CB, Beadle BM, Court LE. Automatic detection of contouring errors using convolutional neural networks. Medical physics. 2019 Nov;46(11):5086-97.
[14] Brusini I, Padilla DF, Barroso J, Skoog I, Smedby O, Westman E, Wang C. A deep learning-based pipeline for error detection and quality control of brain MRI segmentation results. arXiv preprint arXiv:2005.13987. 2020 May 28.
[15] Chen X, Men K, Chen B, Tang Y, Zhang T, Wang S, Li Y, Dai J. CNN-based quality assurance for automatic segmentation of breast cancer in radiotherapy. Frontiers in Oncology. 2020 Apr 28;10:524.
[16] Feng M, Moran JM, Koelling T, Chughtai A, Chan JL, Freedman L, Hayman JA, Jagsi R, Jolly S, Larouere J, Soriano J. Development and validation of a heart atlas to study cardiac exposure to radiation following treatment for breast cancer. International Journal of Radiation Oncology* Biology* Physics. 2011 Jan 1;79(1):10-8.
[17] Toita T, Ohno T, Kaneyasu Y, Uno T, Yoshimura R, Kodaira T, Furutani K, Kasuya G, Ishikura S, Kamura T, Hiraoka M. A consensus-based guideline defining the clinical target volume for pelvic lymph nodes in external beam radiotherapy for uterine cervical cancer. Japanese journal of clinical oncology. 2010 May 1;40(5):456-63.
【発明の概要】
【0021】
故に、本発明によって以下の問題が解決されている。従って、輪郭描写ガイドラインに従って医用画像上の輪郭をチェックし、輪郭品質についてのフィードバックをユーザに提供するシステム及び方法が望まれる。好ましくは、フィードバックは自然言語の(人間が解釈可能な)フィードバックである。
【0022】
本発明によれば、輪郭描写システムにおいて医用画像の輪郭描写をレビューする方法が提供され、当該方法は、輪郭描写されるべき構造を示す少なくとも1つの医用画像を用意するステップと、前記少なくとも1つの医用画像上で構造の輪郭を生成するステップと、前記生成された輪郭が、輪郭描写されている前記構造についてのガイドラインに適合するか、を判定するステップと、適合性の前記判定に応答して、前記輪郭の品質についてのフィードバックを提供するステップと、前記提供されたフィードバックに基づいて、前記輪郭を生成することを続けるステップと、を有する。好ましくは、当該方法は更に、前記医用画像上の前記構造が完全に輪郭描写されるまで、前記判定、前記フィードバック、及び前記輪郭描写のステップを繰り返すステップを有し得る。
【0023】
本発明の更なる一実施形態において、輪郭描写システムにおいて以前に輪郭描写された画像をレビューする方法が提供され、当該方法は、1つ以上の輪郭を有する医用画像をロードするステップと、前記輪郭のうちの少なくとも1つが、輪郭描写された構造についてのガイドラインに適合するかを判定するステップと、ガイドラインとの適合性の前記判定に応答して、前記医用画像上の前記輪郭の品質についてのフィードバックを提供するステップと、を有する。好ましくは、前記医用画像上の前記輪郭の全てがレビューされるまでこれらのステップが繰り返される。
【0024】
本発明の好適な一実施形態において、当該方法は更に、前記輪郭の前記品質についての前記フィードバックに応答して前記輪郭を編集するステップを有する。
【0025】
好ましくは、前記生成される輪郭は、手動又は半自動で生成される。
【0026】
本発明の一実施形態において、当該方法は更に、前記医用画像の前記輪郭描写された構造の前記輪郭を出力するステップを有する。更に好ましくは、前記少なくとも1つの医用画像内の複数の構造が輪郭描写されるように当該方法のステップが繰り返される。
【0027】
本発明の好適な一実施形態において、当該方法は更に、前記ユーザが前記医用画像についての手動輪郭を生成し始める前に、前記医用画像上に1つ以上の輪郭を表示するステップを有する。好ましくは、当該方法は更に、1つ以上の輪郭が前記ガイドラインに適合するかを前記システムが判定する前に、前記医用画像上に前記1つ以上の輪郭を表示するステップを有する。
【0028】
好ましくは、当該方法はまた、前記ガイドラインから少なくとも1つの違反ゾーンを決定するステップを有し、前記少なくとも1つの違反ゾーンは、輪郭描写されている前記構造の輪郭が置かれるべきでない前記スキャン画像の領域を決定するために使用される。好ましくは、前記少なくとも1つの違反ゾーンは、医用画像例に対する機械学習を用いて決定される。本発明の好適な一実施形態において、当該方法は、前記少なくとも1つの違反ゾーンの位置に対する前記輪郭の位置についての追加の空間フィードバックを提供するステップを有する。好ましくは、前記少なくとも1つの違反ゾーンの各々についての前記追加の空間フィードバックは、前記少なくとも1つの違反ゾーンによってカバーされる前記画像領域に固有である。本発明の好適な一実施形態において、前記追加の空間フィードバックは、前記輪郭が前記違反ゾーンを違反する前記画像上の領域を強調表示することによって提供される。本発明のより更なる一実施形態において、前記追加の空間フィードバックは、前記輪郭による前記違反ゾーンの違反が発生するとすぐに提供される。
【0029】
更に好ましくは、輪郭描写のための前記ガイドラインは、構造間の解剖学的境界、他の解剖学的構造、他の解剖学的特徴のうちの1つ以上を参照する。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記医用画像上の基準アナトミが、アトラスベースの自動輪郭描写、機械学習法、アルゴリズム的アプローチ、のうちの少なくとも1つを用いて特定される。
【0031】
好ましくは、前記医用画像内の前記基準アナトミに対する前記輪郭の相対的位置の比較が、ガイドラインに対する準拠を決定するために用いられる。更に好ましくは、前記基準アナトミに対して前記輪郭に許容差が適用される。本発明の一実施形態において、前記許容差は、等方性マージン又は方向性マージンのうちの少なくとも一方を用いて決定される。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記少なくとも1つの医用画像は、2D画像、3D画像、又は時系列の医用画像のうちの1つである。更に好ましくは、前記少なくとも1つの医用画像は、CTスキャン、CBCTスキャン、PETスキャン、SPECTスキャン、又はMRIスキャンのうちの少なくとも1つである。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記フィードバックは、自然言語の又は人間が解釈可能なフィードバックである。好ましくは、前記フィードバックはレポートとして提供される。本発明の更なる一実施形態において、前記フィードバックは、前記輪郭のエラーのタイプを示すための前記輪郭の注釈によって提供される。本発明の一実施形態において、前記注釈は、記号注釈、線にリンク付けられたテキスト注釈、線重み付け変更、線色変更、線スタイル変更、線の周りの陰影付け/色付け、輪郭の違反部分内の陰影付け/色付けのうちの1つ以上である。
【0034】
好ましくは、輪郭描写されている構造又は予め輪郭描写された画像内の輪郭描写された構造に従って、ユーザが、適切なガイドラインを選択することができる。
【0035】
更に好ましくは、輪郭描写されている構造に従って、提供される前記ガイドラインが自動的に決定される。
【0036】
好ましくは、生成された輪郭がガイドラインに適合するかを決定する方法が、以前に輪郭描写された画像のデータベースから導出される。更に好ましくは、前記データベースは、以前の輪郭が前記ガイドラインから変化したかどうか/どのように変化したかについての以前のフィードバックを含む。
【0037】
本発明によれば、少なくとも1つの医用画像の輪郭描写のためのシステムも提供され、当該システムは、ユーザによって輪郭描写されるべき少なくとも1つの医用画像を表示するディスプレイと、前記ユーザが前記医用画像上の構造の輪郭描写を開始したことを決定するプロセッサと、を有し、前記プロセッサは、生成された輪郭が、輪郭描写されている前記構造についてのガイドラインに適合するか、を判定し、前記ガイドラインとの輪郭適合性の前記判定に応答して、前記輪郭の品質についてのフィードバックを前記ユーザに提供することで、前記ユーザが、前記提供されたフィードバックを考慮に入れるように前記輪郭を調整できるようにする。
【0038】
好ましくは、前記生成される輪郭は、手動又は半自動で生成される。
【0039】
本発明の更なる一実施形態において、輪郭描写された構造を有する医用画像を分析するシステムが提供され、当該システムは、少なくとも1つの輪郭描写された医用画像を受信するための入力と、輪郭のうちの少なくとも1つが、輪郭描写された前記構造についてのガイドラインに適合するかを判定するプロセッサと、を有し、前記プロセッサは、前記ガイドラインとの適合性の前記判定に応答して、前記医用画像上の前記輪郭の品質についてのフィードバックを提供する。
【0040】
好ましくは、当該システムは更に、前記少なくとも1つの輪郭描写された医用画像を表示するディスプレイを有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の更なる詳細、態様、及び実施形態が、図面を参照して単なる例として説明される。図面においては、同様の又は機能的に類似の要素を識別するために似通った参照符号を使用する。図中の要素は、単純さ及び明瞭さのために示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。
図1】本発明の一実施形態に従った方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の代わりの一実施形態に従った方法を示すフローチャートである。
図3図3(a)は第1の輪郭を有する医用スキャン画像を示し、図3(b)は、違反ゾーンを有する医療スキャン画像を示し、図3(c)は、潜在的なエラー領域を示す医用スキャン画像を示している。
図4】輪郭描写ガイドラインを満たさない輪郭を有する医用スキャン画像を示している。
図5】画像輪郭についてのフィードバックを提供するためのレポートと並んだ医用スキャン画像を示している。
図6】医用撮像システムの一例の簡略ブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
開示される発明は、医用画像上の輪郭について、ガイドラインに関係したフィードバックを提供することができるシステム及び方法である。フィードバックは、既存の輪郭のレビューのために、又は医用画像上で新たに生成される輪郭のために提供され得る。フィードバックは、輪郭の品質に関係付けられ得る。例えば、医用画像上の輪郭の位置などの輪郭の空間特性についてのフィードバックを含め、追加のフィードバックも提供され得る。好ましくは、フィードバックは、自然言語フィードバック又は何らかの他の人間が解釈可能なフィードバックである。一部のケースにおいて、フィードバックは、視覚的又は聴覚的なフィードバックとし得る。あるいは、フィードバックはレポートとして提供されてもよい。本発明の一実施形態において、システム及び方法は、ユーザの好みに応じて、ユーザが輪郭を描写又は編集する間に、あるいはユーザが輪郭を描くことを完了した後に、インタフェースを介してフィードバックを提供し得る。本発明の一実施形態において、輪郭は手動又は半自動のいずれかで生成される。好ましくは、インタフェースは、システムの一部としてユーザに提供される視覚的インタフェースである。当該システム及び方法は、医用スキャン内で関心構造を特定し、関心構造の輪郭が各構造に固有のガイドラインに準拠しているかを検証する。本発明の好適な一実施形態において、輪郭描写についてのガイドラインは、構造間の解剖学的境界、他の解剖学的構造、他の解剖学的特徴のうちの1つ以上を指す。好ましくは、ユーザは、輪郭描写している構造又は予め輪郭描写された画像内の輪郭描写された構造に従って適切なガイドラインを選択することができる。本発明の一実施形態において、提供されるガイドラインは、輪郭描写されている構造に従って自動的に決定される。
【0043】
好ましくは、輪郭描写されるべき医用画像又は輪郭レビューのための医用画像は、CTスキャンであるが、本発明の他の実施形態では、例えばMRI、CBCT、PET、又はSPECTなどの他のスキャンも使用され得る。本発明の一実施形態において、上記少なくとも1つの医用画像は、2D画像、3D画像、又は時系列の医用画像のうちの1つである。輪郭描写された構造が該構造についての適切なガイドラインに準拠していないと判定された場合、ユーザは違反の性質を知らされる。当該システム及び方法は、関心のある身体領域及び構造に対してどのガイドラインが適切であるかを決定し、医用スキャン上の輪郭をガイドラインに対して評価し、ガイドラインの潜在的な違反についての、好ましくは自然言語の又は人間が解釈可能なフィードバックである適切なフィードバックを提供する。本発明の一実施形態において、当該システム及び方法は、以下に限られないが、レポート、スクリーンショット、輪郭の注釈、色、塗りつぶし、若しくは陰影付けを用いた輪郭の強調表示、色、塗りつぶし、若しくは陰影付けによる領域の指し示し、輪郭若しくは画像の他の部分のオンスクリーンテキスト注釈、輪郭上のツールチップ、システムからの音声フィードバック、解剖学的な図上での違反の位置又はタイプの指し示し、好ましくは自動的な強調表示であるガイドラインの関連段落の強調表示、関連するガイドラインルールの表示、のうちの1つ以上を含む様々なやり方で、潜在的な輪郭エラーの性質をユーザに示すことができる。フィードバックは、複数の形態のフィードバックをリンク付けてもよく、例えば、レポートがスクリーンショットを参照してもよい。
【0044】
ここで図6を参照するに、輪郭描写のため又は既存の輪郭のレビューのために、この発明の方法で使用されるようにユーザに医用画像を表示することを可能にするように構成された医用撮像システム600の一例の簡略化されたブロック図が示されている。好ましくは、当該システムは少なくとも、ユーザによって輪郭描写される少なくとも1つの医用画像を表示するディスプレイと、ユーザが医用画像上で構造の輪郭描写又は既存の輪郭描写された構造の輪郭レビューを開始したことを決定するプロセッサとを有する。好ましくは、プロセッサは、生成された輪郭が、輪郭描写されている構造についてのガイドラインに適合するかを判定し、ガイドラインとの輪郭適合性の判定に応答して、輪郭の品質に関するフィードバックをユーザに提供することで、ユーザが、提供されたフィードバックを考慮するように輪郭を調整できるようにする。あるいは、プロセッサは、既存の輪郭を有する構造上の輪郭のうちの少なくとも1つが、輪郭描写された構造についてのガイドラインに適合するかを判定し、ガイドラインとの適合性の判定に応答して、プロセッサが、医用画像上の輪郭の品質に関するフィードバックを提供する。
【0045】
図示された例において、医用撮像システム600は、例えばデータベース602又は他のデータストレージ装置内に格納された医用画像にアクセスするように構成された、例えばワークステーション又はそれに類するものを有した1つ以上のユーザ端末601を有する。本発明の一実施形態において、当該システムはまた、少なくとも1つの輪郭描写された医用画像、又は輪郭描写されるべき画像を受信するための入力を有する。図示された例では、単一のデータベース602が示されている。しかしながら、理解されることには、ユーザ端末601は、2つ以上のデータストレージ装置からの医用画像にアクセスするように構成されてもよい。また、図示された例では、データベース602がユーザ端末601の外部にあるものとして示されている。しかしながら、理解されることには、ユーザ端末601は、例えば603で示されるメモリ要素又は609で示されるディスク要素などの1つ以上の内部ストレージ要素上の610で示されるローカルストレージモジュール内にローカルに格納された医用画像にアクセスするように等しく構成されることができる。ユーザ端末601は更に、例えば604で大まかに示される信号処理モジュールなどの、1つ以上の信号処理モジュールを有する。(1つ以上の)信号処理モジュールは、例えばローカルストレージモジュール609内に格納された、コンピュータプログラムコードを実行するように構成される。図示された例において、(1つ以上の)信号処理モジュール604は、この例では輪郭描写ガイドラインに対する輪郭適合コンポーネント605として示される(1つ以上の)自動輪郭品質チェックコンポーネントのうちの1つ以上を有したコンピュータプログラムコードを実行するように構成される。図示された例における信号処理モジュール604は更に、1つ以上の画像表示コンポーネント606を有したコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、該(1つ以上の)画像表示コンポーネント606は、生成又はロードされた輪郭を有する画像と、輪郭描写ガイドラインに対する輪郭適合コンポーネント605により生成されたものなどの輪郭の品質についてのフィードバックとを、例えばディスプレイスクリーン607又はそれに類するもの上で、ユーザに表示するように構成される。医用撮像システム600は更に、ユーザが(1つ以上の)信号処理モジュール604上で実行されるコンピュータプログラムコードなどとインタラクトすることを可能にするために、608で大まかに示されるもののような1つ以上のユーザ入力デバイスを有し得る。
【0046】
本発明の方法の一実施形態を図1に示す。ステップ101にて、システムが少なくとも1つの医用画像をロードする。医用画像は、2D画像若しくは3D画像、又は時系列の医用画像とすることができ、時系列の医用画像は、同一のスキャンセッションで取得された、すなわち、患者が全体を通してスキャナ内に残ったまま取得された、同じ解剖学的構造の画像のシーケンスであり、例えば、4D画像は、通常、一連の3D画像を有し、各3D画像が、呼吸又は心サイクルの異なる位相(時系列における特定の時点)を表す。本発明のこの実施形態において、医用画像はCT画像であるが、前述のように他の医用画像が使用されてもよい。この画像ロードプロセスは、ユーザ始動されていてもよいし、自動であってもよい。ステップ102において、オプションで、ユーザによるレビューのために、及び/又はレビュー後に必要である場合にユーザによる編集のために、システムはまた、1つ以上の既存の輪郭をロードし得る。好ましくは、輪郭の編集はインタラクティブ(手動編集又は半自動編集)である。ロード/受信された輪郭は、任意の輪郭描写方法によって生成されることができる。輪郭の編集/レビューは、ユーザの専門知識に応じて、画像上の全てのROI(関心領域)に対してであってもよいし、ROIのうちの一部のみに対してであってもよい。
【0047】
輪郭レビューのためのこのようなシステムは医用画像視覚化ツールの通常の表示能力を持ち、ユーザがビューを変更することを選択することがあり得ることが予想される。すなわち、システムは、ビュー(軸方向、矢状方向、冠状方向、場合によっては3Dレンダリング)のうちのいずれかの組み合わせの異なるレイアウトを用いて、(輪郭を有する)画像を視覚化する能力を持つ。また、このようなシステムは、画像をウィンドウ/レベル化し、コントラストを変更し、3D画像内でナビゲートし、ズームし、パンする能力を持つ可能性が高い。本発明の一実施形態では、ユーザが医用画像について手動輪郭を生成し始める前に、1つ以上の輪郭が医用画像上に表示される。ある時点で、ユーザは、システム内で利用可能な手動又は半自動の輪郭描写ツールを用いて、ステップ103にて輪郭描写プロセスを開始して、ロードされた医用画像について輪郭を生成する。そのようなツールは、典型的に、クリックベースのポリゴン描画ツール、ペンのようなフリーハンド描画ツール、及び/又はブラシのような領域塗りつぶしツールを含む。次いで、システムは、ステップ104にて、画像上に生成又はロードされた輪郭が、輪郭描写されている構造についての輪郭描写ガイドラインに適合するかを判定し、好ましくは、これは、システムによって自動で行われる。生成された輪郭、又は生成された輪郭の一部が、輪郭描写されている構造についてのガイドラインに違反していると判定された場合、システムは、ステップ105にて、この情報を、ガイドライン違反についてのフィードバックとして、ユーザインタフェースにおいて、好ましくは人間が解釈可能なフォーマットで、ユーザに提示する。本発明の好適な一実施形態において、生成された輪郭がガイドラインに適合するかを判定する方法は、以前に輪郭描写された画像のデータベースから導出される。好ましくは、データベースは、以前の輪郭がガイドラインから変化したかどうか/どのように変化したかについての以前のフィードバックを含む。本発明の一実施形態において、ガイドラインに対する適合性の判定に応答して、生成された輪郭の品質に関するフィードバックが提供される。好ましくは、ユーザはその後、提供されたフィードバックに基づいて輪郭を生成することを続ける。そして、ユーザはまた、最良の可能な1つ以上の輪郭が生成され、医用画像上の構造が完全に輪郭描写されたものとなることを確実にするために、フィードバックを考慮して、輪郭が満足されるまでこれらのステップを繰り返すことによって、1つ以上の輪郭を輪郭描写/編集し続けることができる。ステップ106にて医用画像の輪郭描写を完了すると、システムは、ステップ107にて、輪郭を保存、格納、又は出力する。医用画像の輪郭描写された構造の輪郭の出力は、通常、例えばDICOMフォーマットなどの医療装置コミュニティ内で一般的に使用されるフォーマットである。DICOMは画像転送プロトコルでもあり、従って、データは、例えば治療プランニングシステム(Treatment Planning System;TPS)又は画像アーカイブ・通信システム(Picture Archiving and Communications System;PACS)などの別の装置に転送されることができる。あるいは、輪郭は、ローカル又はネットワークファイルシステムに格納されてもよい。本発明の好適な一実施形態において、少なくとも1つの医用画像内の1つ以上の構造が輪郭描写されたものとなるように図1のステップが繰り返され得る。
【0048】
本発明の動作の代わりの一実施形態を図2によって示す。この実施形態は、医用画像上での新たな輪郭の生成ではなく、以前に輪郭描写された画像上の既存の輪郭の、適切なガイドラインとの適合性のレビューに関する。システムが、ステップ201にて、少なくとも1つの医用画像(これは、2D若しくは3D、又は時系列の医用画像とし得る)及び関係した1つ以上の輪郭のセットをロードする。この画像ロードプロセスは、ユーザ始動されていてもよいし、自動であってもよい。本発明の一実施形態において、当該方法はまた、1つ以上の輪郭がガイドラインに適合するかをシステムが判定する前に、医用画像上に1つ以上の輪郭を表示するステップを含み得る。次いで、システムが、ステップ202にて、レビューのための1つ以上の輪郭が、輪郭描写された構造についてのガイドラインに適合するかを判定し、好ましくは、これは自動判定である。ガイドラインに対する適合性の判定に応答して、システムは、医用画像上の輪郭の品質に関するフィードバックを提供する。システムはまた、レビューされた輪郭による1つ以上のガイドラインの潜在的な違反を詳述するレポートを生成し得る。好ましくは、システムはまた、提供されたフィードバックに基づいて、輪郭に対して行われ得る可能な改善を提案する。好ましくは、ステップ203にて、自然言語又は人間が解釈可能な形態で改善が提案される。システムはまた、ステップ204にて、レポートをユーザに対して利用可能にし得る。本発明の一実施形態において、レポートは、DICOMを含む任意の文書フォーマット(PDF、DOCなど)でエクスポート/格納されることができる。あるいは、レポートは、スクリーン上に直接/直ちに表示されるか、又は後で検索されるように(DICOM又は任意の他のフォーマットで)格納されるかのいずれであってもよく、あるいは、レポートは、電子メールで送信されたり、ダウンロードとして利用可能にされたりしてもよく、あるいは更には、ハードコピーが必要な場合にプリンタに直接送信されてもよい。本発明の一実施形態において、当該方法はまた、輪郭の品質についてのフィードバックに応答して輪郭を編集するステップを有し得る。本発明の好適な一実施形態において、医用画像上の輪郭の全てがレビューされるまで図2のステップが繰り返され得る。
【0049】
本発明の一部の実施形態において、システムはまた、輪郭のピアレビュー(好ましくは手動ピアレビュー)から学習された経験に基づいて、又は誤った輪郭の1つ以上の例を用いて、フィードバックを提供し得る。機械学習法は、1つ以上の輪郭、医用画像上のそれらの位置、及び輪郭がどのようにガイドラインに違反するか又は改善され得るかについての以前の人間が解釈可能な説明/知識、の間の対応関係を学習するために使用され得る。そうするために、以前の輪郭のデータベースが、輪郭がどのようにガイドラインに違反するか、又は輪郭がどのように改善され得るかについての情報とともに必要とされる。オプションで、以前の輪郭のこのデータベースは、輪郭と画像との間の関係を学習することができるように、患者の医用画像も含む。そして、機械学習システムが、輪郭及びオプションの医用画像のこのデータベースを用いて訓練されて、所与の輪郭及びオプションで関連付けられた患者医用画像について、どのようなフィードバックが提供するのに適切であるかを予測することができるモデルを開発する。このようなアプローチは、身体領域ごとに、又はガイドラインごとに、又は幾つかの身体領域及び/又はガイドラインについて訓練され得る。モデルが開発されると、システムは、訓練されたモデルを使用して、ユーザ輪郭を分析する(図1のステップ104、及び図2のステップ202)。人間が解釈可能なフィードバックの例を用いてシステムが訓練されているので、システムは、人間が解釈可能な形態でユーザの(1つ以上の)輪郭についてのフィードバックを提供することができる。例えば、フィードバックは、スクリーン上に表示される情報、輪郭の注釈、又は何らかの他の手段として提供され得る。
【0050】
本発明の一部の実施形態において、“違反ゾーン”が、追加のリンク付けられた空間フィードバックを有する医用画像例上に画成される。典型的に、画像は、少なくとも1つの違反ゾーンを持つことになる。これらの違反ゾーンは、輪郭描写されている構造の輪郭が置かれるべきでない医用画像のエリアである。例えば、ガイドラインが“上方に、心臓全体が左肺動脈のすぐ下から始まる”と述べているとき、左肺動脈の上方の領域が特定され、心臓の輪郭が置かれるべきでない“違反ゾーン”として医用画像例上に自動的に注釈付けられることができる。この違反ゾーンはまた、“ガイドラインは、心臓は肺動脈の下から始まるべきであると述べている。描かれた輪郭が過度に上方に延びているように見える”というフィードバックとリンク付けられ得る。このフィードバックは、ユーザへの音声メッセージとして、スクリーン上の表示によって提供され得る。そして、これらの1つ以上の違反ゾーンが、ユーザによって輪郭描写又は評価されている患者医用画像上にマッピングされるか、その上で検出/予測されるかする。本発明の好適な一実施形態において、違反ゾーンは、ユーザに視認可能でなくてもよい。好ましくは、輪郭が違反ゾーンに違反する画像の領域が、ユーザに対して明瞭に識別され得る。本発明の一実施形態において、当該方法は更に、ガイドラインから少なくとも1つの違反ゾーンを決定するステップを有し、少なくとも1つの違反ゾーンを用いて、輪郭描写されている構造の輪郭が置かれるべきでないスキャン画像の領域が決定される。好ましくは、少なくとも1つの違反ゾーンは、医用画像例に対する機械学習を用いて決定される。違反ゾーンに違反した輪郭のエリアは、輪郭の境界の色、陰影、又は線重み付けに基づいて明瞭に識別可能である。好ましくは、違反ゾーンのこのマッピングは、画像レジストレーションを使用して患者医用画像と医用画像例との間のマッピングを見つけることによって行われ得る。典型的に、画像レジストレーションは、患者画像と医用画像例との間のマッピングを、局所的であれ大域的であれ、変換が適用された後の2つの画像間の類似尺度を最大化する変換によって見出す。画像内の異なる点における複数の局所的な変換の使用は、デフォーマブル(変形可能)レジストレーションと呼ばれる。画像の大域的な変換は、剛体レジストレーション又はアフィンレジストレーションと呼ばれる。本発明の更なる一実施形態において、違反ゾーンはまた、機械学習法を使用して機械学習モデルを生成することで医用画像例から学習され得る。そして、この機械学習モデルが、輪郭描写されるべき関心構造又は関心領域についての患者医用画像上の違反ゾーンを予測するために、患者医用画像に適用される。例えば、以下に限られないが、閾値分け、ウォーターシェッド法、レベルセット法、及びグラフカット法を含む古典的なアルゴリズムアプローチなど、医用画像上の関心領域を特定するための他のアプローチが、当業者には知られることとなる[18]。患者医用画像を分析すると(図1のステップ104、及び図2のステップ202)、システムは、ユーザ生成された輪郭を、ガイドラインから提供される該輪郭についての違反ゾーンと比較する。そして、システムは、少なくとも1つの違反ゾーンの位置に対する輪郭の位置及び他の空間パラメータに関する具体的な空間フィードバックを提供することができる。ユーザ生成された輪郭が違反ゾーンと重なる場合、追加のリンク付けられた空間フィードバックが、視覚的に又は音声フィードバック若しくは他の何らかのフィードバックシステムを用いてのいずれかで、ユーザに提供される。本発明の一実施形態において、空間フィードバックは、少なくとも1つの違反ゾーンの位置に対する輪郭の位置に関するフィードバックである。更に好ましくは、少なくとも1つの違反ゾーンの各々についての追加の空間フィードバックは、少なくとも1つの違反ゾーンによってカバーされる画像エリアに固有である。好ましくは、輪郭による違反ゾーンの違反が発生するとすぐに、空間フィードバックが即座に提供される。すなわち、生成された輪郭が違反ゾーンに遭遇するとすぐに、ユーザが輪郭描写又は編集を行っている間に提供される。しかしながら、一部のケースで、システムは、輪郭が完成するまで待ってから、違反ゾーンとの輪郭の起こり得る重なりの空間フィードバックを提供してもよい。本発明の一実施形態において、追加の空間フィードバックは、輪郭が違反ゾーンに違反する画像上のエリアを強調表示することによって提供される。システムはまた、輪郭のうち潜在的に誤った部分を、輪郭描写された画像上で該部分を何らかのやり方で強調表示することによって、又は何らかの他のやり方でユーザに通知することによって、ユーザに対して強調表示してもよい。本発明の一部の実施形態において、輪郭の評価は、以前に生成された輪郭に対して遡及的に行われてもよい。そのような一実施形態において、フィードバックは、画像及び輪郭をユーザに表示したユーザインタフェース内で報告されることができる。代わりの一実施形態において、輪郭の遡及的評価はシステム内で自動的に行われ、フィードバックは、例えば電子メールによって送信される又はウェブページからダウンロード可能なレポートとしてユーザに提供される。
【0051】
本発明のそのような一実施形態を図3に示す。図3(a)は、ユーザが輪郭302を描いた患者医用画像301を示している。これは、典型的に、手動又は半自動のいずれかで描かれる。図3(b)では、自動的な“違反ゾーン”303が、システムによって患者医用画像304上にマッピングされている。なお、301及び304は、処理の異なる段階における同じ患者画像を表している。図3(c)において、システムは、患者画像306上で潜在的なエラーの領域305をユーザにグラフィカルに示すとともに、違反領域308にリンク付けられた潜在的なガイドライン違反の説明307を提供している。図示されるように、この表示及び説明は視覚的に提供されるが、例えば音声フィードバックとしてなど、異なるやり方で提供されてもよい。なお、308は303と同じものを表し、306は304と同じ画像を表すが、処理の異なる段階においてのものである。上述のように、違反ゾーンは必ずしもユーザに対して表示されず、好ましくは全く示されない。本発明の好適な一実施形態において、輪郭が違反ゾーンに違反する領域は、違反ゾーン内の輪郭の部分に、異なる色、注釈、線の太さ、又は線のスタイルを用いて強調表示され、あるいは、違反ゾーン内の輪郭の部分内又はその周囲のエリアを陰影付けたり細切れにしたりすることによって強調表示され得る。
【0052】
本発明の他の一実施形態において、システム及び方法は、生成された輪郭について可能性あるガイドライン違反を検出するために、1つ以上のルールを適用するように構成される。背景技術で述べたように、多くのガイドラインは、ターゲット構造を画成するために基準アナトミに対する関係を使用する。本発明のこの実施形態において、システムは、基準アナトミの位置を自動的に決定する。好ましくは、医用画像における基準アナトミに対する輪郭の相対位置の比較を用いて、ガイドラインへの準拠を決定する。システムは、輪郭描写のためのガイドラインから導出された1つ以上のルールを適用する。これらのルールは、システム内で事前に構成されることができ、データベースからロードされることができ、ユーザによって構成されることができ、あるいは、ガイドラインの自然言語処理を用いて決定されることができる。システムは、ルールのうち1つ以上が違反されているかを特定する。ルールが違反されていると判定すると、システムは、例えばテキスト表示や、異なる色、陰影、又は重みなどで輪郭の問題領域を強調表示することなど、人間が解釈可能なフォーマットで違反をユーザに報告し返す。
【0053】
本発明のそのような一実施形態を図4に示す。システムは、例えばコンピュータモニタ、又は例えばタブレットデバイス、又は輪郭描写での使用に適した任意の他の表示デバイスなどの、表示スクリーン上にユーザインタフェース401を示している。そのユーザインタフェース内に、好ましくはユーザアクションに応答してロードされる患者医用画像402が表示される。好ましくは、画像はCT画像であるが、輪郭描写される医用画像を提供するために他の撮像技術が使用されてもよい。医用画像は患者の断面を示し、患者の皮膚輪郭403、左肺404、右肺405、及び心臓406が示されている。ユーザが右乳房の輪郭407を描いている。輪郭は手動又は半自動で描かれる。システムは、患者の皮膚輪郭403、左肺404、右肺405、及び心臓406の基準アナトミを特定している。好ましくは、この特定はシステムによって自動的に行われる。システムは、右乳房の輪郭407は肺組織と重なるべきでなく、乳房輪郭407は皮膚境界から5mmであるべきである、というガイドラインからの1つ以上のルールを適用している。システムは、このフィードバックを、人間が解釈可能な形式で提供し、好ましくは、輪郭上の注釈408及び409を、ユーザインタフェース内の注釈の解釈を提供するためのキー410及び411と共に用いることを通じて提供する。キーは、スクリーン上で、又は別個のルックアップテーブル内で、又は代わりに音声出力として提供されることができ、あるいは、キーは、例えばユーザマニュアル内でなど、ユーザインタフェースとは別に提供されてもよい。本発明の好適な一実施形態において、輪郭に対する注釈は、記号注釈、線にリンク付けられたテキスト注釈、線重み付け変更、線色変更、線スタイル変更、線の周りの陰影付け/色付け、輪郭の違反部分内の陰影付け/色付け、のうちの1つ以上とし得る。
【0054】
基準アナトミを検出する方法は、当業者に知られている方法を含み[18]、アトラスベースの輪郭描写、参照例からの画像レジストレーション、機械学習ベースの輪郭特定、又は、以下に限られないが、閾値分け、ウォーターシェッド法、レベルセット法、及びグラフカット法を含む古典的なアルゴリズム法を含み得る(がこれらに限られない)。
【0055】
システムは、以下に限られないが、基準アナトミに対する相対位置を適用すること(すなわち、…に対して上方/下方/左/右/前方/後方でなければならない)、輪郭内に基準アナトミを含むこと若しくは含まないことをチェックすること、基準アナトミまでの距離測定を行うこと、例えば等方性マージン又は方向性マージンを付加することなどによって基準アナトミに対する輪郭の許容差を適用すること、を含む1つ以上のルールを適用し得る。更なるルールは、例えば、“ターゲット構造は単一の連続したボリュームであるべきである”又は“ターゲット構造は穴を含むべきでない”など、基準アナトミとの比較なしに、構造自体を考慮し得る。
【0056】
当該システムは、以下に限られないが、レポート、スクリーンショット、輪郭の注釈、色、塗りつぶし、若しくは陰影付けを用いた輪郭の強調表示、色、塗りつぶし、若しくは陰影付けによる領域の指し示し、オンスクリーンテキスト注釈、輪郭上のツールチップ、システムからの音声フィードバック、解剖学的な図上での違反の位置又はタイプの指し示し、ガイドラインの関連段落の自動的な強調表示、関連するガイドラインルールの表示、のうちの1つ以上を含む様々なやり方で、潜在的な輪郭エラーの性質をユーザに示すことができる。フィードバックは、複数の形態のフィードバックをリンク付けてもよく、例えば、レポートがスクリーンショットを参照してもよい。
【0057】
図5は、ユーザにフィードバックを提供するためのレポートの使用を示している。本発明のこの実施形態では、レポートと画像がユーザディスプレイ上に表示されるが、前述のように、レポートは、DICOMを含む任意の文書フォーマット(PDF、DOCなど)で提供されることもできる。あるいは、レポートは、スクリーン上に直接/直ちに表示されるか、又は後で検索されるように(DICOM又は任意の他のフォーマットで)格納されるかのいずれであってもよく、あるいは、レポートは、電子メールで送信されたり、ダウンロードとして利用可能にされたりしてもよく、あるいは更には、ハードコピーが必要な場合にプリンタに直接送信されてもよい。レポートは、システムによって生成され、ユーザに利用可能にされる。レポートは501に示されている。1つのエラーが、スクリーンショット505と共に、502、503、504にカプセル化されている。別のエラーが、506、507、508、及びスクリーンショット509にカプセル化されている。本発明の一実施形態において、504及び508で特定される<人間読取可能エラー>は、“乳房輪郭が皮膚境界に近すぎる。ガイドラインは、輪郭が皮膚から5mmであるべきと述べている”又は“乳房輪郭が肺組織と重なっている”のような言葉の形態をとり得る。510、511、及び512に示される追加の黒丸点は、任意数の潜在的なエラーが特定され得ることを示すために使用され、少なくとも1つの潜在的なエラーが報告される。検出された潜在的なエラーに関係するスライス502又はスライス506が示されている。エラーであり得る輪郭を表す1つ以上の幾何学的位置が、503及び507に示されている。人間が解釈可能なエラーの分類がレポート504及び508に含められる。このようなレポートは、直接的に人間読み取り可能であってもよいし、機械読み取り可能フォーマットで格納されて、ユーザによってレポートがユーザインタフェース内でテキスト又はグラフィックで視覚化されることを可能にしてもよい。レポートはまた、後の分析のために、及びガイドライン若しくは他の作業を更新する助けとするために、保存されることができる。
【0058】
システムは、好ましくは、適切な1つ以上のガイドラインを輪郭に適用する。正しい1つ以上のガイドラインが適用されることを可能にするようにこれを実装し得る様々なやり方が存在し、ユーザは、適用すべき適切な1つ以上のガイドラインを選択することができ、これは、例えば、ユーザインタフェースにおけるメニュー項目、ドロップダウン選択、又はボタンを介して、又は特定の構成を有するシステムを起動することによって、とすることができる。システムは、輪郭描写される1つ以上の構造の呼称、解剖学的構造の領域の検出に基づいて、又はテンプレート画像例及び輪郭セット(アトラスとして知られる)との比較によって、どの1つ以上のガイドラインを適用するかを検出するように構成され得る。好ましくは、これは、システムによる自動検出とし得る。解剖学的構造の領域の検出は、以前の例を用いて画像を関連する解剖学的構造に分類するように訓練された機械学習モデルを使用して実行されることができる。テンプレート画像例及びアトラスとして知られる輪郭セットとの比較は、患者画像とアトラス画像との間で輪郭をマッピングするためのデフォーマブル画像レジストレーションを使用して実行されることができる。このプロセスは当業者に周知である[19]。輪郭間の距離又は重なりを用いて、一致の品質を決定し、ひいては、解剖学的構造が同じであるかを判定することができる。例えば、アトラスは、輪郭描写されることが期待される構造の全てについての領域を含むことができる。これらが、デフォーマブル画像レジストレーションを用いて患者画像にマッピングされる。これらの輪郭はユーザには示されず、むしろユーザの輪郭がアトラス輪郭の各々と比較される。ユーザが輪郭描写している解剖学的構造の領域は、最も大きい割合で重なるアトラス領域を見つけることによって、又はユーザ輪郭からマッピングされたアトラス輪郭上の最も近い点までの平均距離が最小である領域を求めることによって決定されることができる。例えば相互情報、相関係数、又は差分二乗和などの、強度ベースの画像類似尺度を用いて、アトラス画像と患者画像との間の一致の品質を評価して解剖学的構造の領域を決定することができ、利用可能な複数のアトラス画像が解剖学的構造の異なる領域を表す。このような類似尺度は当業者に周知である[20]。異なる解剖学的領域に対する異なるアトラスを用いて、最も類似した解剖学的領域を決定することができる。例えば、それぞれ骨盤領域及び胸部領域を表す2つのアトラスが利用可能であるとした場合、デフォーマブル画像レジストレーション後の差分二乗和は、患者症例が胸部画像である場合に、骨盤アトラスよりも胸部アトラスに対して低くなる。従って、差分二乗和類似尺度がより低いので、ユーザが胸部領域において輪郭描写を行っており、故に、胸部輪郭描写ガイドラインが基準として適用されなければならないと決定することができる。類似の画像に対して類似尺度が最大化されるのか最小化されるのかを考慮する他の類似尺度を用いて同様のアプローチを取ることができる。輪郭描写又は輪郭レビューのための参照ガイドラインは、ユーザによって評価されているターゲット構造に基づいて、ルックアップテーブル、データベース、又は他のストレージから決定され得る。本発明の一実施形態において、ユーザは、輪郭描写されている構造又は予め輪郭描写された画像内の輪郭描写された構造に従って、適切なガイドラインを選択することができる。あるいは、提供されるガイドラインは、輪郭描写されている構造に従って自動的に決定され得る。ユーザは、画像内の単一のターゲット構造又は複数のターゲット構造を評価することを選択し得る。
[18] Sharp G, Fritscher KD, Pekar V, Peroni M, Shusharina N, Veeraraghavan H, Yang J. Vision 20/20: perspectives on automated image segmentation for radiotherapy. Medical physics. 2014 May;41(5):050902.
[19] Rohlfing T, Brandt R, Menzel R, Russakoff DB, Maurer CR. Quo vadis, atlas-based segmentation?. InHandbook of biomedical image analysis 2005 (pp. 435-486). Springer, Boston, MA.
[20] Penney GP, Weese J, Little JA, Desmedt P, Hill DL. A comparison of similarity measures for use in 2-D-3-D medical image registration. IEEE transactions on medical imaging. 1998 Aug;17(4):586-95.
【0059】
この発明の例は、以下のいずれか又は全て、すなわち、画像保管通信システム(PACS)、高度視覚化ワークステーション、撮像収集ワークステーション、ウェブベース又はクラウドベースの医療情報・画像システム、放射線治療プランニングシステム(TPS)、放射線治療線形加速器コンソール、放射線治療陽子ビームコンソールのいずれか又は全てに適用され得る。
【0060】
本発明を、添付の図面を参照して説明してきた。しかしながら、理解されることには、本発明は、ここに記載され、添付の図面に示された特定の例に限定されるものではない。また、本発明の例示された実施形態は、大部分が、当業者に知られている電子コンポーネント及び回路を用いて実装されることができ、本発明の基礎をなす概念の理解及び認識のため、また、本発明の教示を不明瞭にしたり、それから逸れたりしないようにするために、上で例示されたように必要と考えられるよりも詳しい程度まで詳細を説明することはしない。
【0061】
本発明は、例えばコンピュータシステムなどのプログラム可能な装置上で実行されるときに本発明に従った方法のステップを実行するための、又はプログラム可能な装置が本発明に従ったデバイス若しくはシステムの機能を実行することを可能にするための、コード部分を少なくとも含んだ、コンピュータシステム上で実行するためのコンピュータプログラムにて実装され得る。
【0062】
コンピュータプログラムは、例えば特定のアプリケーションプログラム及び/又はオペレーティングシステムなどの命令のリストである。コンピュータプログラムは、例えば、サブルーチン、ファンクション、プロシージャ、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックロードライブラリ、及び/又はコンピュータシステム上での実行向けに設計された他の命令シーケンスのうちの1つ以上を含み得る。従って、一部の例は、コーンビームCT画像の自動輪郭描写のための実行可能プログラムコードを格納した非一時的コンピュータプログラムプロダクトを説明する。
【0063】
コンピュータプログラムは、有形の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体上で内部に格納されてもよいし、コンピュータ読み取り可能伝送媒体を介してコンピュータシステムに伝送されてもよい。コンピュータプログラムの全て又は一部が、情報処理システムに対して永続的に、取り外し可能に、又は遠隔的に結合されるコンピュータ読み取り可能媒体上に提供され得る。有形の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体は、例えば、限定することなく、任意数の以下のものを含み得る:ディスク及びテープ記憶媒体を含む磁気記憶媒体;例えばコンパクトディスク媒体(例えば、CD-ROM、CD-Rなど)及びデジタルビデオディスク記憶媒体などの光記憶媒体;例えばFLASHメモリ、EEPROM、EPROM、ROMなどの半導体ベースのメモリユニットを含む不揮発性メモリ記憶媒体;強磁性デジタルメモリ;MRAM;レジスタ、バッファ若しくはキャッシュ、メインメモリ、RAMなどを含む揮発性記憶媒体。
【0064】
コンピュータプロセスは、典型的に、実行中(走っている)プログラム又はプログラムの一部、現在のプログラム値及び状態情報、並びにプロセスの実行を管理するためにオペレーティングシステムによって使用されるリソースを含む。オペレーティングシステム(OS)は、コンピュータのリソースの共有を管理し、それらのリソースにアクセスするために使用されるインタフェースをプログラマに提供するソフトウェアである。オペレーティングシステムは、システムデータ及びユーザ入力を処理し、システムのユーザ及びプログラムに対するサービスとしてタスク及び内部システムリソースを割り当てて管理することによって応答する。
【0065】
コンピュータシステムは、例えば、少なくとも1つの処理ユニット、関連するメモリ、及び複数の入力/出力(I/O)デバイスを含み得る。コンピュータプログラムを実行するとき、コンピュータシステムは、コンピュータプログラムに従って情報を処理し、I/Oデバイスを介して、結果として得られた出力情報を生成する。
【0066】
以上の明細書では、本発明を、本発明の実施形態の具体例を参照して説明してきた。しかしながら、明らかなことには、これらには、添付の請求項に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が為されることができ、請求項は上述の具体例に限定されるものではない。
【0067】
当業者が認識することには、論理ブロック間の境界は単に例示的であり、代わりの実施形態は、論理ブロック又は回路要素を融合したり、様々な論理ブロック又は回路要素に対して代わりの機能分解を課したりし得る。従って、理解されるべきことには、ここに示されたアーキテクチャは、単に例示的なものであり、実際には、同じ機能を達成する数多くの他のアーキテクチャを実装することができる。
【0068】
同じ機能を達成するためのコンポーネントの任意の配置が、所望の機能が達成されるように効果的に“関連付けられる”。従って、特定の機能を達成するように組み合わされるここでの任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャ又は中間コンポーネントに関係なく、所望の機能が達成されるように互いに“関連付けられる”ものとして見ることができる。同様に、そのように関連付けられる任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を達成するように互いに“動作可能に接続される”又は“動作可能に結合される”として見ることもできる。
【0069】
また、当業者が認識することには、上述の動作間の境界は単に例示的なものである。複数の動作が単一の動作へと組み合わされてもよく、単一の動作が更なる動作に分散されてもよく、複数の動作が時間的に少なくとも部分的に重なり合って実行されてもよい。また、代わりの実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含んでもよく、動作の順序は、様々な他の実施形態において変更されてもよい。
【0070】
しかしながら、他の変更、変形、及び代替も可能である。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
【0071】
請求項において、括弧内に置かれた如何なる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。用語‘有する’は、請求項に列記される要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。また、用語‘a’又は‘an’は、ここで使用されるとき、1つ又は2つ以上として定義される。また、請求項中での例えば‘少なくとも1つ’及び‘1つ以上’などの導入句の使用は、同一の請求項が導入句‘1つ以上’又は‘少なくとも1つ’と‘a’又は‘an’のような不定冠詞とを含む場合であっても、不定冠詞‘a’又は‘an’による別のクレーム要素の導入が、そのように導入されたクレーム要素を含む任意の特定の請求項を、そのような要素を1つだけ含む発明に限定することを意味するように解釈されるべきでない。同じことが定冠詞の使用にも当てはまる。別段の断りがない限り、例えば‘第1の’及び‘第2の’などの用語は、そのような用語が記述する要素間で恣意的に区別を行うために使用される。従って、これらの用語は、必ずしも、そのような要素の時間的な又は他の優先順位付けを示すことを意図するものではない。特定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないということを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】