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特表2024-538854皮膚状態を治療するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】皮膚状態を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/06 20060101AFI20241016BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 38/55 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 36/064 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 1/15 20060101ALN20241016BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20241016BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
A61K36/06
A61K38/18
A61K38/19
A61K38/55
A61K38/39
A61K38/20
A61P17/00
A61P17/02
A61P3/10
A61P31/00
A61P17/10
A61P29/00
A61P17/06
A61P9/00
A61P35/00
A61P17/16
A61K9/06
A61K47/36
A61K36/064
A61K9/00
C12N1/15 ZNA
C12N1/19
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547170
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022046921
(87)【国際公開番号】W WO2023064638
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/256,484
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/320,522
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508344512
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
(71)【出願人】
【識別番号】524145173
【氏名又は名称】コーニッシュ,ヴァージニア
(71)【出願人】
【識別番号】524145184
【氏名又は名称】ジャファリヤン,アミールホセイン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】コーニッシュ,ヴァージニア
(72)【発明者】
【氏名】ジャファリヤン,アミールホセイン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA57X
4B065AA60X
4B065AA65X
4B065AA67X
4B065AA73X
4B065AA77X
4B065AA79X
4B065AA80X
4B065AA91Y
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC15
4B065BA02
4B065BC11
4B065BC46
4B065BD18
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA09
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC11
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC31
4C076EE30
4C076EE41
4C076FF35
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084DA01
4C084DA16
4C084DA40
4C084DA41
4C084DB52
4C084DB53
4C084DB54
4C084DB55
4C084DB60
4C084DB70
4C084DC32
4C084MA28
4C084MA56
4C084MA60
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA89
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZB31
4C084ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC01
4C087CA12
4C087MA28
4C087MA56
4C087MA60
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZA89
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB31
4C087ZC35
(57)【要約】
開示される主題は、1つ以上の皮膚治療薬を自発的に生成及び/または分泌する遺伝子修飾された細胞、例えば、真菌細胞、ならびにそれらの使用方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、成長因子、プロテアーゼ阻害剤、サイトカイン及び/またはケモカインを生成及び分泌する遺伝子操作された真菌細胞、ならびに、例えば、皮膚状態を治療するための、それらの使用方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された生真菌細胞と、(ii)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
前記皮膚治療薬が、前記真菌細胞の分泌経路によって前記真菌細胞から分泌される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記皮膚治療薬が、タンパク質またはその機能的断片である、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記皮膚治療薬が、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記皮膚治療薬が、成長因子もしくはその誘導体、または成長因子の阻害剤もしくはその誘導体である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記成長因子が、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記成長因子が、EGFである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記成長因子が、PDGFである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記成長因子が、TGF-βである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記成長因子が、VEGFである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記皮膚治療薬が、ケモカインまたはその誘導体である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記ケモカインが、CXCL12である、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記皮膚治療薬が、サイトカインまたはその誘導体である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記サイトカインが、レプチン、IL-4、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記皮膚治療薬が、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記皮膚治療薬が、TIMP1、TIMP2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記皮膚治療薬が、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記皮膚治療薬が、VII型コラーゲン、エラスチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記皮膚治療薬が、抗菌及び/または抗炎症ペプチドである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記抗菌及び/または抗炎症ペプチドが、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記真菌細胞が、Cladosporium、Aureobasidium、Aspergillus、Saccharomyces、Malassezia、Epicoccum、Candida、Penicillium、Wallemia、Pichia、Phoma、Cryptococcus、Fusarium、Clavispora、Cyberlindnera、Kluyveromyces、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される属からの種である、請求項1~20のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記真菌細胞が、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisである、請求項1~21のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞を更に含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞を更に含む、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞を更に含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞を更に含む、及び/または第6の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第6の生真菌細胞を更に含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記薬学的組成物が、直腸投与、膣投与、または局所投与のために製剤化される、請求項1~26のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記薬学的組成物が、局所投与のために製剤化される、請求項27に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容される担体が、ヒドロゲルを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖を含む、請求項29に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含む、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記多糖が、アガロースである、請求項30または31に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記薬学的組成物が、治療効果量の前記遺伝子操作された生真菌細胞を含み、治療有効量が、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの前記遺伝子操作された生真菌細胞である、請求項1~32のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記治療有効量が、約1×10細胞/ml~約2×10細胞/mlの前記遺伝子操作された生真菌細胞である、請求項33に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約1pg/mlから及び約200,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約100pg/ml~約25,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後約24時間~約2週間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、請求項1~36のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも約48時間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、請求項37に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも約72時間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも約96時間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記遺伝子操作された生真菌細胞が、前記皮膚治療薬を連続的に分泌及び発現する、請求項1~40のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
1つ以上の遺伝子操作された前記真菌細胞のための1つ以上の栄養素を更に含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された生真菌細胞を含むヒドロゲルを含む、局所用薬学的組成物。
【請求項44】
前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖を含む、請求項43に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項45】
前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含む、請求項44に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項46】
前記多糖が、アガロースである、請求項44または45に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項47】
皮膚に面する底層と、空気に面する上層と、を更に含み、前記皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された前記真菌細胞を含む前記ヒドロゲルが、前記底層と前記上層との間に配置されている、請求項43~46のいずれか1項に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項48】
前記遺伝子操作された真菌細胞が、前記底層を通過することができず、前記皮膚治療薬が、前記底層を通過することができる、請求項47に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項49】
前記底層が、約0.01~約1.0μmの孔径を有する、請求項47または48に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項50】
前記局所用薬学的組成物が、治療有効量の前記遺伝子操作された生真菌細胞を含む、請求項43~49のいずれか1項に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項51】
前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの前記遺伝子操作された生真菌細胞を含む、請求項50に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項52】
前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約1pg/mlから及び約200,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、請求項50または51に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項53】
前記遺伝子操作された真菌細胞が、対象への投与後少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、前記皮膚治療薬を分泌する、請求項43~52のいずれか1項に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項54】
前記真菌細胞が、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisである、請求項43~53のいずれか1項に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項55】
前記皮膚治療薬が、タンパク質またはその機能的断片である、請求項43~54のいずれか1項に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項56】
前記皮膚治療薬が、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項55に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項57】
前記皮膚治療薬が、成長因子もしくはその誘導体、または成長因子の阻害剤もしくはその誘導体である、請求項56に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項58】
前記成長因子が、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項57に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項59】
前記皮膚治療薬が、抗菌及び/または抗炎症ペプチドである、請求項43~54のいずれか1項に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項60】
前記抗菌及び/または抗炎症ペプチドが、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項59に記載の局所用薬学的組成物。
【請求項61】
(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、
(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、
(iii)薬学的に許容される担体と、を含み、
前記第1の皮膚治療薬及び前記第2の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物。
【請求項62】
前記第1の皮膚治療薬及び前記第2の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項61に記載の薬学的組成物。
【請求項63】
前記第1の皮膚治療薬が、成長因子を含み、前記第2の皮膚治療薬が、ケモカインを含む、請求項62に記載の薬学的組成物。
【請求項64】
前記第1の皮膚治療薬が、成長因子を含み、前記第2の皮膚治療薬が、サイトカインを含む、請求項62に記載の薬学的組成物。
【請求項65】
(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、
(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、
(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、
(iv)薬学的に許容される担体と、を含み、
前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、及び前記第3の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物。
【請求項66】
前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、及び前記第3の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65に記載の薬学的組成物。
【請求項67】
(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、
(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、
(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、
(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、
(v)薬学的に許容される担体と、を含み、
前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、及び前記第4の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物。
【請求項68】
前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、及び前記第4の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項67に記載の薬学的組成物。
【請求項69】
(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、
(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、
(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、
(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、
(v)第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞と、
(vi)薬学的に許容される担体と、を含み、
前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、前記第4の皮膚治療薬、及び前記第5の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物。
【請求項70】
前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、前記第4の皮膚治療薬、及び前記第5の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項69に記載の薬学的組成物。
【請求項71】
治療を必要とする対象を治療するための方法であって、請求項1~70のいずれか1項に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項72】
前記薬学的組成物が、局所投与のために製剤化される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記薬学的組成物が、皮膚状態を治療するため、または美容処置を実行するために、前記対象に投与される、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
前記皮膚状態が、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性障害、炎症性状態、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記皮膚状態が、創傷である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記創傷が、糖尿病性潰瘍である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記皮膚状態が、感染症である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記皮膚状態が、にきびである、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記皮膚状態が、線維性障害である、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
前記線維性障害が、強皮症である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記皮膚状態が、水疱性障害である、請求項74に記載の方法。
【請求項82】
前記水疱性障害が、表皮水疱症である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記皮膚状態が、炎症性状態である、請求項74に記載の方法。
【請求項84】
前記炎症性状態が、乾癬である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記皮膚状態が、血管病変である、請求項74に記載の方法。
【請求項86】
前記皮膚状態が、皮膚癌である、請求項74に記載の方法。
【請求項87】
前記皮膚状態が、色素性乾皮症である、請求項74に記載の方法。
【請求項88】
前記皮膚状態が、色素障害である、請求項74に記載の方法。
【請求項89】
前記遺伝子操作された真菌細胞が、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、前記皮膚治療薬を分泌する、請求項71~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記遺伝子操作された真菌細胞が、前記対象への投与後少なくとも約72時間、前記皮膚治療薬を分泌する、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記薬学的組成物を前記対象に投与することが、前記薬学的組成物を患部に適応することを含む、請求項71~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記薬学的組成物が、週に5回以下、週に4回以下、週に3回以下、週に2回以下、週に1回以下適応される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記薬学的組成物が、週に3回以下適応される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記薬学的組成物が、週に2回以下適応される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
皮膚状態を治療するため、または美容処置を実行するための、請求項1~70のいずれか1項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項96】
前記皮膚状態が、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性障害、炎症性状態、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項95に記載の使用。
【請求項97】
前記皮膚状態が、創傷である、請求項96に記載の使用。
【請求項98】
請求項1~70のいずれか1項に記載の薬学的組成物を含む、キット。
【請求項99】
請求項71~94のいずれか1項に記載の方法を実行するための、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月15日に出願された米国仮出願第63/256,484号、及び2022年3月16日に出願された米国仮出願第63/320,522号の優先権を主張し、それらの各々の内容は、参照により本明細書に全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、皮膚状態の治療のための皮膚治療薬を発現する遺伝子操作された真菌細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
局所創傷の治癒は、異なる細胞型の遊走、分化及び増殖を伴う多段階プロセスである。これらのプロセスは、様々なシグナル伝達分子及び創傷治癒剤の調整された作用により制御される。慢性創傷の治癒プロセスは、創傷のサイズ及び深さならびに創傷の微小環境に応じて、より困難であり得る。糖尿病患者では、成長因子及びサイトカインなどの活性創傷治癒剤が欠如しているか、またはより低いレベルであり、かつ創傷部位におけるプロテアーゼレベルがより高いと、正常な創傷治癒プロセスが妨げられ、慢性及び急性潰瘍は治癒されない。創傷治癒剤の局所適用は、健康な微小環境を再構築し、創傷治癒を促進するのに役立つことが示されている。
【0004】
成長因子は、炎症、組織形成、及び組織再形成段階の間に調節及び機能的役割を果たすため、創傷治癒プロセスにおいて最も重要な薬剤のうちの1つである。糖尿病性足潰瘍などの慢性及び急性創傷のタンパク質分解性微小環境は、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)、及び血管内皮成長因子(VEGF)などの多くの重要な成長因子の分解をもたらす。この分解は、創傷床におけるこれらの薬剤のレベルの低下をもたらし得る。成長因子の局所適用は、これらの成長因子の低下したレベルを補完し、治癒プロセスを改善することができる。
【0005】
成長因子と同様に、サイトカイン及びケモカインも、それらのシグナル伝達機能のために創傷治癒プロセスにおいて重要な役割を果たす。間質細胞由来因子1タンパク質(CXCL12)は、創傷治癒プロセスにおける細胞動員及び細胞分化の重要なシグナル伝達分子である。更に、CXCL12のインサイチュ発現及び送達が、局所潰瘍の治癒を加速及び増強することができることが示されている。エネルギー恒常性を調節するのに重要なホルモンであるレプチン(LEP)は、主に炎症段階で、創傷治癒プロセスにおけるサイトカインとして追加の調節的役割を果たす。CXCL12と同様に、LEPの局所適用は、創傷治癒プロセスを加速するのに有利であることが証明された。
【0006】
しかしながら、成長因子などの精製された治療剤を毎日局所適用すると、創傷治癒は、一貫性のない、もしくは不十分なものとなるか、またはメラノーマなどの望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。したがって、当該技術分野では、創傷またはがんを含む皮膚状態を治療するための皮膚治療薬を投与するためのより効果的な方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
開示された主題は、1つ以上の皮膚治療薬を自発的に生成及び/または分泌する遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞を提供する。本開示は更に、開示される遺伝子操作された細胞を含む薬学的組成物、及び治療を必要とする対象を治療するために、開示される遺伝子操作された細胞を投与する方法を提供する。
【0008】
一態様では、本開示は、開示される遺伝子操作された真菌細胞の薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、(i)皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された生真菌細胞と、(ii)薬学的に許容される担体と、を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、真菌細胞の分泌経路によって真菌細胞から分泌される。
【0009】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、タンパク質またはその機能的断片である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0010】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、成長因子もしくはその誘導体、または成長因子の阻害剤もしくはその誘導体である。ある特定の実施形態では、成長因子は、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、成長因子は、EGFである。ある特定の実施形態では、成長因子は、PDGFである。ある特定の実施形態では、成長因子は、TGF-βである。ある特定の実施形態では、成長因子は、VEGFである。
【0011】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、ケモカインまたはその誘導体である。ある特定の実施形態では、ケモカインは、CXCL12である。
【0012】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、サイトカインまたはその誘導体である。ある特定の実施形態では、サイトカインは、レプチン、IL-4、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体である。ある特定の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、TIMP1、TIMP2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、VII型コラーゲン、エラスチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、抗菌及び/または抗炎症ペプチドである。ある特定の実施形態では、抗菌及び/または抗炎症ペプチドは、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
ある特定の実施形態では、真菌細胞は、Cladosporium、Aureobasidium、Aspergillus、Saccharomyces、Malassezia、Epicoccum、Candida、Penicillium、Wallemia、Pichia、Phoma、Cryptococcus、Fusarium、Clavispora、Cyberlindnera、Kluyveromyces、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される属からの種である。ある特定の実施形態では、真菌細胞は、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisである。
【0017】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞を更に含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞を更に含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞を更に含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞を更に含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、第6の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第6の生真菌細胞を更に含む。ある特定の実施形態では、薬剤は、皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第7、第8、第9、及び/または第10の生真菌細胞を更に含み得、各真菌細胞は、異なる皮膚治療薬を発現及び分泌する。
【0018】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、直腸投与、膣投与、または局所投与のために製剤化される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、局所投与のために製剤化される。
【0019】
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は、ヒドロゲルを含む。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖を含む。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含む。ある特定の実施形態では、多糖は、アガロースである。
【0020】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、治療効果量の遺伝子操作された生真菌細胞を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約2×10細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約1pg/mlから及び約200,000pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約100pg/mlから及び約25,000pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約1pg/mlから及び約2,500pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約100pg/ml~約2,500pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生真菌細胞は、投与後約24時間~約2週間、例えば、約120時間、皮膚治療薬を分泌及び発現する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生真菌細胞は、投与後少なくとも約48時間、皮膚治療薬を分泌及び発現する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生真菌細胞は、投与後少なくとも約72時間、皮膚治療薬を分泌及び発現する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生真菌細胞は、投与後少なくとも約96時間、皮膚治療薬を分泌及び発現する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生真菌細胞は、投与後少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、皮膚治療薬を分泌及び発現する。
【0022】
ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生真菌細胞は、皮膚治療薬を連続的に分泌及び発現する。
【0023】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上の遺伝子操作された真菌細胞のための1つ以上の栄養素を更に含む。
【0024】
本開示は、局所用薬学的組成物を更に提供する。ある特定の実施形態では、局所用薬学的組成物は、皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された生真菌細胞を含むヒドロゲルを含む。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約10.0%w/vの多糖を含む。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖を含む。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含む。ある特定の実施形態では、多糖は、アガロースである。
【0025】
ある特定の実施形態では、局所用薬学的組成物は、皮膚に面する底層と、空気に面する上層と、を更に含み、皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された真菌細胞を含むヒドロゲルが、底層と上層との間に配置されている。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された真菌細胞は、底層を通過することができず、皮膚治療薬が、底層を通過することができる。ある特定の実施形態では、底層は、約2μm、例えば、約2μm以下の孔径を有する。
【0026】
ある特定の実施形態では、局所用薬学的組成物は、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量は、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞である。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの遺伝子操作された生真菌細胞を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約1pg/mlから及び約200,000pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約100pg/mlから及び約25,000pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。ある特定の実施形態では、治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞は、約1pg/mlから及び約2,500pg/mlの皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む。
【0027】
ある特定の実施形態では、遺伝子操作された真菌細胞は、対象への投与後少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、皮膚治療薬を分泌する。
【0028】
ある特定の実施形態では、真菌細胞は、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisである。
【0029】
本開示は更に、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬及び第2の皮膚治療薬は、異なる。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬及び第2の皮膚治療薬は、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬は、成長因子を含み、第2の皮膚治療薬は、ケモカインを含む。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬は、成長因子を含み、第2の皮膚治療薬は、サイトカインを含む。
【0030】
本開示は更に、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、及び第3の皮膚治療薬は、異なる。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、及び第3の皮膚治療薬は、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
本開示は更に、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、(v)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、第3の皮膚治療薬、及び第4の皮膚治療薬は、異なる。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、第3の皮膚治療薬、及び第4の皮膚治療薬は、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
本開示は更に、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、(v)第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞と、(vi)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、第3の皮膚治療薬、第4の皮膚治療薬、及び第5の皮膚治療薬は、異なる。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、第3の皮膚治療薬、第4の皮膚治療薬、及び第5の皮膚治療薬は、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
本開示は更に、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、(v)第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞と、(vi)第6の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第6の生真菌細胞と、(vii)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、第3の皮膚治療薬、第4の皮膚治療薬、第5の皮膚治療薬、及び第6の皮膚治療薬は、異なる。ある特定の実施形態では、第1の皮膚治療薬、第2の皮膚治療薬、第3の皮膚治療薬、第4の皮膚治療薬、第5の皮膚治療薬、及び第6の皮膚治療薬は、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
本開示は、治療を必要とする対象を治療するための方法を更に提供する。ある特定の実施形態では、方法は、本明細書に開示された薬学的組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、局所投与のために製剤化される。
【0035】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、皮膚状態を治療するため、または美容処置を実行するために、対象に投与される。
【0036】
ある特定の実施形態では、美容処置は、皮膚の若返りである。
【0037】
ある特定の実施形態では、皮膚状態は、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性障害、炎症性状態、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、創傷である。ある特定の実施形態では、創傷は、糖尿病性潰瘍である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、感染症である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、にきびである。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、線維性障害である。ある特定の実施形態では、線維性障害は、強皮症である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、水疱性障害である。ある特定の実施形態では、水疱性障害は、表皮水疱症である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、炎症性状態である。ある特定の実施形態では、炎症性状態は、乾癬である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、血管病変である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、皮膚癌である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、色素性乾皮症である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、色素障害である。
【0038】
ある特定の実施形態では、本開示の方法によって投与される遺伝子操作された真菌細胞は、対象への投与後少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された真菌細胞は、対象への投与後少なくとも約72時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された真菌細胞は、対象への投与後少なくとも約7日間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された真菌細胞は、対象への投与後少なくとも約2週間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、薬学的組成物を対象に投与することは、薬学的組成物を患部に適用することを含む。
【0039】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、週に5回以下、週に4回以下、週に3回以下、週に2回以下、週に1回以下適用される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、週に3回以下適用される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、週に2回以下適用される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日に1回以下適用される。
【0040】
本開示は更に、皮膚状態を治療するため、または美容処置を実行するための、本明細書に開示された薬学的組成物の使用を提供する。ある特定の実施形態では、美容処置は、皮膚の若返りである。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性障害、炎症性状態、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、創傷である。
【0041】
本開示は、本明細書に開示された薬学的組成物を含む、キットを更に提供する。
【0042】
本開示は、本明細書に開示された方法を実行するための、キットを更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本開示の例示的な局所用組成物及びその用途を示す。
図2】本開示の例示的な局所用ヒドロゲル組成物及びその用途を示す。
図3】遺伝子操作された酵母から分泌されるhEGF及びhLEPの濃度を測定するための定量的ウェスタンブロットの結果を提供する。Smt3を、陽性対照として使用した。次いで、較正曲線を使用して、試験ウェル(ここでは、FLAG-hEGF及びFLAG-hLEP)における試験タンパク質の濃度を算出した。
図4】ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ創傷治癒スクラッチアッセイの結果を提供する。Sup 07はyAJ07由来の上清であり、Sup 06はyAJ06由来の上清であり、Sup 34はyAJ34由来の上清である。
図5A】EGF(yAJ06)を分泌する遺伝子操作された酵母を線維芽細胞と共培養した、ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ創傷治癒スクラッチアッセイの結果を提供する。
図5B】ヒト皮膚線維芽細胞をヒドロゲル包帯と共培養することによる、スクラッチ創傷治癒アッセイを使用した、細胞遊走及び細胞増殖についてのEGF分泌生酵母(yAJ06)ヒドロゲル包帯の結果を示す。
図6】分泌されたタンパク質が、ヒドロゲル内に自由に拡散することができることを示す。
図7】遺伝子操作された酵母を含むヒドロゲル組成物の分析を提供する。A~Dは、分泌された皮膚治療薬が、0.2μmのPTFE膜を通して拡散することができることを示す。Aは、凡例であり、Bは、実験の概略図であり、Cは、24時間インキュベートされたシステムであり、Dは、抗FLAG抗体を使用して開発されたブロットである。E~Hは、酵母細胞及び酵母胞子が、PTFE膜を通過することができないことを示す。Eは、ヒドロゲル組成物の概略図であり、Fは、24時間インキュベートされたシステムであり、Gは、酵母寒天及びPTFEの除去であり、Hは、48時間の更なるインキュベーション後のプレートの画像である。Iは、酵母分泌LEP及びCXCL12が、ヒドロゲル及びPTFE膜を通して拡散することができることを示す。
図8】A~Dは、切除創傷(図8A)、PTFE膜の上部へのヒドロゲル(酵母ヒドロゲルまたは対照ヒドロゲル)の局所適用(図8B)、及びヒドロゲル包帯を覆うTEGADERM(商標)包帯(図8C)の代表的なマウス画像を提供する。図8Dは、(i)上部のポリウレタン(PUR)膜(TEGADERM(商標)フィルム)であって、物理的バリアとして機能し、創傷上の包帯に接着する、ポリウレタン(PUR)膜と、(ii)生酵母及び酵母の成長に必要な栄養素を含有する寒天ヒドロゲルと、(iii)生酵母ヒドロゲルと創傷床との間のバリアとしての孔径=0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜と、を含む3層ヒドロゲル包帯を描写する。
図9】A~Bは、ストレプトゾトシン(STZ)投与されたB6糖尿病マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイのタイムラプス研究を提供する。創傷は、EGF分泌生酵母ヒドロゲル包帯(mEGF分泌のためのyAJ28を含有する)または対照ヒドロゲル包帯(酵母株を含有しない)のいずれかで毎日処置した。図9Aは、経時的に異なる条件で処置した創傷の代表的な画像を示す。図9Bは、経時的な創傷閉鎖%を示す(*は、0.05未満のp値を示す。スチューデントt検定を使用して測定した場合のp値)。各試験群についてn=4。
図10】8日間治癒させ、hEGFを分泌する操作された生酵母(上)または対照寒天(下)のいずれかで処置した創傷の代表的な切片からのH&E染色を提供する。両方の切片は、同じマウスからのものである。
図11A】mCXCL12(yAJ36)を発現及び分泌するように遺伝子操作された酵母から分泌されるmCXCL12の力価を決定するためのELISAアッセイの結果を提供する。yAJ36は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用してmCXCL12を分泌する。
図11B】hCXCL12(yAJ35)を発現及び分泌するように遺伝子操作された酵母から分泌されるhCXCL12の力価を決定するためのELISAアッセイの結果を提供する。yAJ35は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用してhCXCL12を分泌する。
図12A】mEGF(yAJ28)を発現及び分泌するように遺伝子操作された酵母から分泌されるmEGFの力価を決定するためのELISAアッセイの結果を提供する。yAJ28は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用してmEGFを分泌する。
図12B】hEGF(yAJ39)を発現及び分泌するように遺伝子操作された酵母から分泌されるhEGFの力価を決定するためのELISAアッセイの結果を提供する。yAJ39は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用してhEGFを分泌する。
図13】48時間の期間に4つの(4)遺伝子操作された酵母株の光学密度を提供する。yAJ28、yAJ35、yAJ36、及びyAJ39は、それぞれ、MF-α分泌シグナルペプチドを使用して、mEGF、hCXCL12、mCXCL12、及びhEGFを分泌する。
図14】5mm生検パンチを使用することによって生成される創傷サイズの範囲及び異なるサイズの創傷数を提供する。
図15A】ヒドロゲル包帯に溶解された精製組換えmEGF(100ng/ml)で処置された24mmの創傷(n=3)、及び対照ヒドロゲル包帯で処置された24mmの創傷(n=3)と比較した、mEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された24mmの創傷(n=3)を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。
図15B】ヒドロゲル包帯に溶解された精製組換えmCXCL12(100ng/ml)で処置された24mmの創傷(n=3)、及び対照ヒドロゲル包帯で処置された24mmの創傷(n=3)と比較した、mCXCL12分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された24mmの創傷(n=3)を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。
図16A】mCXCL12分泌酵母ヒドロゲル包帯またはmEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された24mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=3。
図16B】ヒドロゲル包帯に溶解された組換えmCXCL12(100ng/ml)、またはヒドロゲル包帯に溶解された組換えmEGF(100ng/ml)で処置された24mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=3。
図17A】mCXCL12分泌酵母ヒドロゲル包帯またはmEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された28mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=2。
図17B】ヒドロゲル包帯に溶解された組換えmEGF(100ng/ml)で処置された28mmの創傷を有するSTZ投与B6糖尿病マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=1。
図17C】対照酵母ヒドロゲル包帯または対照ヒドロゲル包帯で処置された24mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=2。
図18】mCXCL12分泌酵母及びmEGF分泌酵母の群集(「酵母群集」)を有するヒドロゲル、ヒドロゲル包帯または対照ヒドロゲル包帯に溶解された組換えmCXCL12(100ng/ml)及びmEGF(100ng/ml)の組み合わせで処理された28mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=2。
図19A】mEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された40mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=4。
図19B】mCXCL12分泌酵母ヒドロゲルで処置された40mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=2。
図19C】mCXCL12分泌酵母及びmEGF分泌酵母の群集(「酵母群集」)を有するヒドロゲル包帯、または対照ヒドロゲル包帯で処置された40mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=3。
図19D】mCXCL12分泌酵母及びmEGF分泌酵母の群集(「酵母群集」)を有するヒドロゲル包帯、mCXCL12分泌酵母ヒドロゲル包帯、mEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯、または対照ヒドロゲル包帯で処置された40mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果の比較を提供する。n=3。
図20A】mEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された60mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=4。
図20B】mCXCL12分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置された60mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=4。
図20C】mCherry発現酵母ヒドロゲル包帯で処置された60mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=4。
図21A】mCXCL12分泌酵母ヒドロゲルで処置された60mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイのタイムラインを提供する。n=4。
図21B】mEGF分泌酵母ヒドロゲルで処置された60mmの創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイのタイムラインを提供する。n=4。
図22】遺伝子操作された酵母が、ヒドロゲルから処置されたマウスの血流に移動しないことを示す。遺伝子操作された酵母を、RFPを発現するように修飾し、次いで、創傷治癒酵母と同じ様式でマウスに適用した。これらのマウスから血液を収集し、蛍光を測定して、いずれかの酵母がマウスの循環に入ったかどうかを決定した。
図23】STZで5日間連続して処理したSKH-1マウスの体重及び血糖値を提供する。生検パンチを使用して、STZ処置の16日後にマウスを傷つけた。
図24】50mmの切除創傷処置されたEGF分泌酵母(yAJ28)ヒドロゲルを有するSTZ投与SKH-1マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=4。上のパネルは、経時的な創傷閉鎖%を示す(*は、0.05未満のp値を示し、**は、0.01未満のp値を示す。スチューデントt検定を使用して測定した場合のp値)。下のパネルは、経時的に異なる条件で処置した創傷の代表的な画像を示す。
図25】50mmの切除創傷処理されたCXCL12分泌酵母(yAJ36)ヒドロゲルを有するSTZ投与SKH-1マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=4。上のパネルは、経時的な創傷閉鎖%を示す(*は、0.05未満のp値を示し、**は、0.01未満のp値を示す。スチューデントt検定を使用して測定した場合のp値)。各試験群についてn=4。下のパネルは、経時的に異なる条件で処置した創傷の代表的な画像を示す。
図26A】mEGF分泌酵母(yAJ28)を含むヒドロゲルで処置している24mm、28mm、及び40mmのインビボ創傷治癒率に対する初期創傷サイズの影響を示す。
図26B】CXCL12分泌酵母(yAJ36)を含むヒドロゲルで処置している24mm、28mm、及び40mmのインビボ創傷治癒率に対する初期創傷サイズの影響を示す。
図26C】対照ヒドロゲルで処置している24mm、28mm、及び40mmのインビボ創傷治癒率に対する初期創傷サイズの影響を示す。
図26D】mCXCL12分泌酵母及びmEGF分泌酵母の群集(「酵母群集」)を有するヒドロゲルで処置している24mm、28mm及び40mmのインビボ創傷治癒率に対する初期創傷サイズの影響を示す。
図27A】mEGF分泌酵母(yAJ28)ヒドロゲルで処置された副木で補助された50mm切除創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイのタイムラインを提供する。n=8。
図27B】mLEP分泌酵母(yAJ30)ヒドロゲルで処置された副木で補助された50mm切除創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイのタイムラインを提供する。n=8。
図28A】LEP分泌酵母株のウェスタンブロットを提供する。yAJ33及びyAJ34は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用して、FLAG-mLEP及びFLAG-hLEPを分泌する。SMT3は、陽性対照として使用された6XHis-SMT3-FLAGタンパク質を示す。ブロットの下の黒い正方形の配置は、各ウェル中の試料が細胞ペレット(分泌タンパク質ではない)または培養上清(分泌タンパク質)からのものであるかどうかを示す。
図28B】EGF分泌酵母株のウェスタンブロットを提供する。yAJ26は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用して、FLAG-hEGFを分泌し、yAJ40は、Sed1分泌シグナルペプチドを使用してFLAG-mEGFを分泌する。ブロットの下の黒い正方形の配置は、各ウェル中の試料が細胞ペレット(分泌タンパク質ではない)または培養上清(分泌タンパク質)からのものであるかどうかを示す。
図28C】CXCL12分泌酵母株のウェスタンブロットを提供する。yAJ35及びyAJ36はそれぞれ、MF-α分泌シグナルペプチドを使用して、hCXCL12及びmCXCL12を分泌する。yAJ37及びyAJ38はそれぞれ、MF-α分泌シグナルペプチドを使用して、FLAG-hCXCL12及びFLAG-mCXCL12を分泌する。ブロットの下の黒い正方形の配置は、各ウェル中の試料が細胞ペレット(分泌タンパク質ではない)または培養上清(分泌タンパク質)からのものであるかどうかを示す。
図29】hLEPを発現及び分泌するように遺伝子操作された酵母から分泌されるhLEPの力価を決定するためのELISAアッセイの結果を提供する。yAJ27は、MF-α分泌シグナルペプチドを使用して、hLEPを分泌する。
図30A】hLEP(yAJ27)を分泌する遺伝子操作された酵母を線維芽細胞と共培養した、ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ創傷治癒スクラッチアッセイの結果を提供する。
図30B】hCXCL12(yAJ35)を分泌する遺伝子操作された酵母を線維芽細胞と共培養した、ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ創傷治癒スクラッチアッセイの結果を提供する。
図31A】hEGF(yAJ39)を分泌する遺伝子操作された酵母を線維芽細胞と共培養した、ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ増殖アッセイの結果を提供する。
図31B】hLEP(yAJ27)を分泌する遺伝子操作された酵母を線維芽細胞と共培養した、ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ増殖アッセイの結果を提供する。
図31C】hCXCL12(yAJ35)を分泌する遺伝子操作された酵母を線維芽細胞と共培養した、ヒト皮膚線維芽細胞についてのインビトロ増殖アッセイの結果を提供する。
図32A】mLEP分泌酵母(yAJ30)ヒドロゲル包帯で処置した創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=8。マウスは、副木で補助された切除創傷を有するSKH-1マウスであった。
図32B】mEGF分泌酵母(yAJ28)ヒドロゲル包帯で処置した創傷を有するSTZ投与マウスについてのインビボ創傷治癒アッセイの結果を提供する。n=8。マウスは、副木で補助された切除創傷を有するSKH-1マウスであった。
図33】mLEP分泌酵母(yAJ30)を含有するヒドロゲル創傷包帯またはmEGF分泌酵母(yAJ28)を含有するヒドロゲル創傷包帯で処置された、健康なマウス及び傷をつけられたマウスの皮膚のK5及びCD31免疫組織化学を提供する。K5は、赤色で基底ケラチノサイトを示し、CD31は、緑色で内皮細胞を示し、DAPIは、青色で核を示す。
図34】mLEP分泌酵母(yAJ30)を含有するヒドロゲル創傷包帯またはmEGF分泌酵母(yAJ28)を含有するヒドロゲル創傷包帯で処置された、健康なマウス及び傷をつけられたマウスの皮膚のK14及びKi67免疫組織化学を提供する。K14は、赤色で基底ケラチノサイトを示し、Ki67は、緑色で増殖細胞を示し、DAPIは、青色で核を示す。
図35】mLEP分泌酵母(yAJ30)を含有するヒドロゲル創傷包帯またはmEGF分泌酵母(yAJ28)を含有するヒドロゲル創傷包帯で処置された、健康なマウス及び傷をつけられたマウスの皮膚のK14及びK10免疫組織化学を提供する。K14は、赤色で基底ケラチノサイトを示し、K10は、緑色で基底上ケラチノサイトを示し、DAPIは、青色で核を示す。
図36】mLEP分泌酵母(yAJ30)を含有するヒドロゲル創傷包帯またはmEGF分泌酵母(yAJ28)を含有するヒドロゲル創傷包帯で処置された、健康なマウス及び傷をつけられたマウスの皮膚のロリクリン及びファロイジン免疫組織化学を提供する。ロリクリンは、緑色で顆粒層及び角質化層を示し、ファロイジンは、赤色で細胞骨格を示し、DAPIは、青色で核を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、皮膚治療薬を自発的に生成及び/または分泌する遺伝子操作された真菌細胞を提供する。本発明は、治療を必要とする対象、例えば、皮膚状態、例えば、創傷に罹患している対象を治療するための、そのような遺伝子操作された真菌細胞の適用を更に提供する。
【0045】
遺伝子操作された真菌細胞、そのような真菌細胞の薬学的組成物、及び本明細書に記載の方法は、対象への投与前に遺伝子操作された細胞から皮膚治療薬の精製を必要とせずに、それを必要とする対象に皮膚治療薬を投与するためのより費用対効果の高い方法を提供する。例えば、限定するものではないが、遺伝子操作された細胞による皮膚治療薬のインサイチュ生成及びそのような細胞の投与は、製造、精製及び/または保存プロセス中に生じ得る皮膚治療薬の分解を回避、防止及び/または低減することができる。
【0046】
皮膚治療薬を連続的に分泌する、開示される遺伝子操作された真菌細胞、例えば、酵母細胞の適用はまた、製品の定期的な適用に対する患者のコンプライアンスへの依存を最小限に抑えることによって、皮膚状態、例えば、創傷の治癒を改善する可能性を有する。ある特定の実施形態では、開示される遺伝子操作された真菌細胞を介したオンサイト発現、分泌、及び送達による1つ以上の皮膚治療薬の持続送達は、これらの薬剤のバイオアベイラビリティを増加させ、増強された創傷治癒をもたらす。この持続送達は、精製剤を毎日局所投与することによって達成することはできないが、遺伝子操作された酵母は、そのような薬剤を患部に連続的に送達する。長時間の連続送達は、皮膚治療薬の漸進的な放出のためのスマートナノサイズ及びマクロサイズキャリアの適用などの他の技術によってアプローチ可能であるが、そのような技術は、より高いコスト及び保存の問題、ならびに劣悪な保存可能期間に苦しむであろう。
【0047】
真菌細胞は、治療用タンパク質を発現するために細菌細胞よりも優れているため、本開示で使用された。具体的には、真菌細胞は、哺乳動物細胞におけるのと同様のタンパク質折り畳みシャペロン、ジスルフィド結合形成及び翻訳後機構を有するため、酵母などの真菌細胞は、真核生物タンパク質の発現及び分泌に関して細菌よりも優れている。哺乳動物細胞と同様の細胞機構を有することは、真核生物タンパク質の適切な折り畳み及び翻訳後修飾、ならびに生物学的に活性である真核生物タンパク質の生成を確実にする。細菌は、そのような機械を含まない。実施例2及び4ならびに図5B、9A~9B、及び31A~31Cに示されるように、本開示の遺伝子操作された真菌細胞によって発現及び分泌される皮膚治療薬は、生物学的に活性であり、創傷の閉鎖及び治癒を増強する。加えて、細菌と比較して、酵母を大規模に発酵させ、乾燥した形態で送達及び保存することができ、それによって保存可能期間を延ばすことができる。更に、Saccharomyces cerevisiaeなどの真菌細胞は、多くの細菌とは異なり、安全であると認識されている(GRAS)生物であるため、ヒトによって安全に使用することができる。
【0048】
明確にするために、限定するものではないが、本明細書に開示された主題の詳細な説明は、以下のサブセクションに分割される。
I. 定義、
II. 皮膚治療薬、
III. 遺伝子操作された細胞、
IV. 薬学的組成物、
V. 皮膚状態、
VI. 使用方法、
VII. キット及び製品、及び
VIII. 例示的な実施形態。
【0049】
I. 定義
本明細書で使用される用語は、概して、本開示の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈において、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。ある特定の用語は、本開示の組成物及び方法ならびにそれらを製造及び使用する方法を説明する際に実践者に追加のガイダンスを提供するために、以下でまたは本明細書の他の場所で説明される。
【0050】
本明細書で使用される場合、特許請求の範囲及び/または明細書において「含む(comprising)」という用語とともに使用されるときの「a」または「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」の意味とも一致する。
【0051】
「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」という用語及びそれらの変形は、本明細書で使用される場合、追加の行為または構造を妨げない、オープンエンドな移行句、用語または語であることを意図する。本開示はまた、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0052】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容される誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定系の限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従って、3以内または3を超える標準偏差を意味し得る。代替的に、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、及び更により好ましくは最大1%の範囲を意味することができる。代替的に、特に生物学的な系またはプロセスに関して、本用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「発現(expression)」または「発現する(expresses)」という用語は、細胞、例えば、酵母細胞内で生じる転写及び翻訳を指す。細胞内での遺伝子及び/または核酸の発現レベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量、または細胞によって産生される遺伝子及び/または核酸によってコードされるタンパク質の量のいずれかに基づいて決定され得る。例えば、遺伝子及び/または核酸から転写されたmRNAは、望ましくは、ノーザンハイブリダイゼーションによって定量される。Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,pp.7.3-7.57(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)。遺伝子及び/または核酸によってコードされるタンパク質は、タンパク質の生物学的活性をアッセイすることによって、またはそのような活性とは独立したアッセイ、例えば、タンパク質と反応することができる抗体を使用するウェスタンブロットまたはラジオイムノアッセイを用いることによって、定量することができる。Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,pp.18.1-18.88(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」は、概して、約3つ以上のアミノ酸を有するペプチド及びタンパク質を指す。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、細胞にとって内因性であってもよく、好ましくは、外因性であってもよく、これは、ポリペプチドが、利用されている細胞にとって異種、すなわち、外来であることを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、鎖長がより高いレベルの三級及び/または四級構造を生成するのに十分なアミノ酸の配列を指す。これは、典型的にはそのような構造を有しない「ペプチド」と区別するためである。典型的には、本明細書におけるタンパク質は、少なくとも約4~100kD、例えば、約15kDにより近い分子量を有する。ある特定の実施形態では、タンパク質は、少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約200個、約300個、約400個、または約500個のアミノ酸を含むことができる。本明細書の定義に包含されるタンパク質の例には、全てのタンパク質が含まれ、一般に、1つ以上の鎖間及び/または鎖内ジスルフィド結合を含む多鎖ポリペプチドを含む、1つ以上のジスルフィド結合を含有するタンパク質が含まれる。ある特定の実施形態では、タンパク質は、グリコシル化及び脂質化を含むがこれらに限定されない、他の翻訳後修飾を含むことができる。例えば、Prabakaran et al.,WIREs Syst Biol Med(2012)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0056】
本明細書で使用される場合、「その機能的断片」という用語は、無傷及び/または全長の皮膚治療薬、例えば、タンパク質またはペプチドの活性の少なくとも一部分を保持する、皮膚治療薬、例えば、タンパク質またはペプチドの断片を指す。ある特定の実施形態では、機能的断片は、無傷及び/または全長の皮膚治療薬の活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%を保持する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」、「アミノ酸モノマー」または「アミノ酸残基」という用語は、アミン及びカルボン酸官能基と、各アミノ酸に特異的な側鎖とから構成される有機化合物を指す。具体的には、アルファ-またはα-アミノ酸は、アミン(-NH)がメチレン基(-CH)によってカルボン酸(-COOH)から分離され、カルボン酸(-COOH)に対してアルファであるこのメチレン基(-CH)に接続された各アミノ酸に特異的な側鎖がある有機化合物を指す。異なるアミノ酸は、異なる側鎖を有し、電荷、極性、芳香族性、還元電位、疎水性及びpKaなどの独特の特徴を有する。アミノ酸は、第1のアミノ酸のカルボン酸基と第2のアミノ酸のアミン基との反応によって、ペプチド結合を介してポリマーを形成するように共有結合され得る。本開示の意味におけるアミノ酸は、20個以上の天然に存在するアミノ酸、非天然に存在するアミノ酸のうちのいずれかを指し、D及びL光学異性体の両方を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「核酸」、「核酸分子」、または「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を指す。各ヌクレオチドは、塩基、具体的には、プリンまたはピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)またはウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボースまたはリボース)、及びリン酸基から構成される。多くの場合、核酸分子は、塩基の配列によって説明され、それにより、塩基は、核酸分子の一次構造(線形構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’で表される。本明細書において、核酸分子という用語は、例えば、相補的DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、具体的には、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNAまたはRNAの合成形態、ならびにこれらの分子のうちの2つ以上を含む混合ポリマーを含むデオキシリボ核酸(DNA)を包含する。核酸分子は、直鎖状または環状であり得る。加えて、核酸分子という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方、ならびに一本鎖及び二本鎖形態を含む。更に、本明細書に記載の核酸分子は、天然または非天然に存在するヌクレオチドを含有し得る。非天然に存在するヌクレオチドの例としては、誘導体化糖またはリン酸骨格連結または化学的に修飾された残基を有する修飾ヌクレオチド塩基が挙げられる。核酸分子はまた、インビトロ及び/またはインビボ、例えば、酵母細胞において、本開示の核酸を直接発現するためのベクターとして好適であるDNA及びRNA分子を包含する。例えば、限定するものではないが、本開示の核酸は、皮膚治療薬をコードすることができる。そのようなDNA(例えば、cDNA)またはRNA(例えば、mRNA)ベクターは、修飾されていないか、または修飾されたものであり得る。例えば、mRNAは、RNAベクターの安定性及び/またはコードされた分子の発現を増強するように化学的に修飾され得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「組換え細胞」という用語は、それらが由来する元の親細胞からいくつかの遺伝子修飾を有する細胞を指す。かかる細胞はまた、「遺伝子操作された細胞」と称され得る。そのような遺伝子組換えは、遺伝子産物、例えば、組換えタンパク質、例えば、皮膚治療薬の発現のための異種遺伝子(または核酸)の導入の結果であり得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「組換えタンパク質」という用語は、概して、ペプチド及びタンパク質を指す。そのような組換えタンパク質は、利用されている細胞にとって「異種」、すなわち、外来であり、例えば、酵母細胞によって産生される異種皮膚治療薬である。
【0062】
本明細書で使用される場合、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」または「同一性」は、特定の比較ウィンドウで最大限に一致するようにアラインさせたときに同じである2つの配列のヌクレオチド塩基またはアミノ酸残基について言及する。タンパク質に関して、配列同一性または類似性のパーセンテージを使用する場合、同一ではない残基位置は、多くの場合、保存的アミノ酸置換によって異なり、アミノ酸残基は、同様の理化学的特性を有するアミノ酸残基の機能的に等価な残基で置換されており、したがって、分子の機能的特性を変化させないことが認識される。
【0063】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、例えば、N末端またはC末端で、第2のタンパク質または第2のタンパク質の一部分に連結されているタンパク質の全部または一部分を含むタンパク質を指す。ある特定の実施形態では、タンパク質の一部分は、タンパク質の機能的断片を含むことができる。
【0064】
当業者によって理解されるように、本明細書で使用される場合、「コドン最適化」という用語は、Ascomycota門の種の細胞などの特定の生物のコドン使用バイアスに従って、その生物の発現系におけるタンパク質発現を改善するための、タンパク質コード遺伝子のコドンへの同義変異の導入を指す。「コドン使用バイアス」という用語は、コードDNAにおける同義コドンの発生頻度の差を指す。異なる生物の遺伝子コードは、多くの場合、同じアミノ酸をコードするいくつかのコドンのうちの1つを他のコドンよりも使用することに偏っている。したがって、偶然に予想されるよりも高い頻度で、その1つのコドンが使用される。Saccharomyces cerevisiaeなどの微生物における最適化されたコドンは、それらのそれぞれのゲノムtRNAプールの組成を反映する。最適化されたコドンの使用は、より速い翻訳速度と高精度を達成するのに役立つ。
【0065】
バイオインフォマティクス及び計算生物学の分野では、多くの統計的方法が議論され、コドン使用バイアスを分析するために使用されている。「最適コドンの頻度」(Fop)、相対コドン適応(RCA)、または「コドン適応指数」(CAI)などの方法を使用して遺伝子発現レベルを予測し、「有効コドン数」(Nc)及び情報理論からのシャノンエントロピーなどの方法を使用してコドン使用均一性を測定する。対応分析及び主要構成要素分析などの多変量統計的方法は、遺伝子間のコドン使用の変動を分析するために広く使用されている。CodonW、GCUA、INCA、及び当業者によって識別可能な他のものを含む、上記に列挙された統計分析を実装するための多くのコンピュータプログラムがある。いくつかのソフトウェアパッケージは、遺伝子配列のコドン最適化のためにオンラインで利用可能であり、これには、GenScript、EnCor Biotechnology、Integrated DNA Technologies、ThermoFisher Scientificなどの企業によって提供されるものが含まれる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「配列同一性のパーセンテージ」または「同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適にアラインされた配列を比較することによって決定される値を意味し、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントのための(付加も欠失も含まない)参照配列と比較した場合に、付加または欠失(ギャップ)を含むことができる。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に発生する位置の数を決定して、一致した位置の数を得ることと、一致した位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割ることと、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることと、によって計算される。
【0067】
当業者に理解されるように、任意の2つの配列間の同一性パーセントの決定は、ある特定の周知の数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。そのような数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Smith et al.の局所相同性アルゴリズムであるMyers and Millerのアルゴリズム、Needleman and Wunschの相同性アライメントアルゴリズム、Pearson and Lipmanのsearch-for-similarity-method、Karlin and Altschulのアルゴリズム(Karlin and Altschulにおけるように修正されたもの)である。好適な数学的アルゴリズムのコンピュータ実装は、配列同一性を決定するために配列を比較するために利用され得る。そのような実装としては、特に、熟練者によって識別可能な、CLUSTAL、ALIGN、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTAなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書で使用される場合、「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列である。参照配列は、例えば、全長タンパク質またはタンパク質断片のセグメントとして、特定の配列のサブセットまたは全体であり得る。参照配列は、例えば、GenBank及びUniProtなどのデータベースにおいて識別可能な配列、ならびに当業者に識別可能な他の配列であり得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、遺伝子の調節配列に関して、「作動可能な連結(operative connection)」、「作動可能に連結された(operably linked)」、または「作動的に連結された(operatively linked)」という用語は、適切な効果の生成を可能にする組み合わせにおける要素の配置を示す。遺伝子及び調節配列に関して、作用的接続は、調節配列が遺伝子の転写または翻訳を直接的または間接的に増加または減少させることを可能にする、調節配列に関する遺伝子の構成を示す。具体的には、ある特定の実施形態では、作動可能に連結された遺伝子の転写を直接増加させる調節配列は、典型的には、同じ鎖上に位置し、それらが転写を開始する遺伝子の転写開始部位に隣接するDNA配列の上流(センス鎖の5’領域に向かって)に位置するプロモーターを含む。ある特定の実施形態では、作動的に連結された遺伝子または遺伝子クラスターの転写を直接増加させる調節配列は、当業者によって理解されるように、プロモーターと比較して転写開始部位からより遠くに位置し得、調節された遺伝子の上流または下流のいずれかに位置し得るエンハンサーを含む。エンハンサーは、典型的には、特定の遺伝子の転写を増加させるために転写アクチベーターによって結合され得るDNAの短い(50~1500bp)領域である。典型的には、エンハンサーは、遺伝子から最大1Mbp離れて、開始部位の上流または下流に位置することができる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「分泌可能」という用語は、分泌されることができることを意味し、本開示における分泌は、概して、細胞の内部、例えば、細胞の細胞質または細胞質ゾル内から、その外部、例えば、細胞の形質膜の外側への輸送または転座を指す。分泌は、ペプチドの酵素処理などの様々な細胞処理手順を含むいくつかの手順を含むことができる。ある特定の実施形態では、分泌は、酵母の古典的な分泌経路を利用することができる。ある特定の実施形態では、タンパク質、例えば、本明細書に開示されたタンパク質の分泌は、連続的であり得るか、または誘導され得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「検出する(detect)」または「検出(detection)」という用語は、試料、反応混合物、分子複合体、及び基質を含むが、これらに限定されない、限られた空間部分における標的の存在(existence)及び/または存在(presence)の決定を示す。本明細書で使用される場合、「検出する」または「検出」は、相互作用する能力、具体的には、他の化合物を結合する能力、別の化合物を活性化させる能力、及び本開示を読んだときに当業者によって識別可能な追加の特性を含むが、これらに限定されない、標的の化学的特性及び/または生物学的特性の決定を含むことができる。検出は、定量的または定性的であり得る。検出は、標的またはシグナルの量または割合を決定するように設計された任意の分析を含むがこれらに限定されない、標的またはシグナルの量(quantity)または量(amount)の測定について言及する、それに関連する、またはそれを含む場合には「定量的」である。検出は、定量されていない別の標的またはシグナルに対する相対的存在量の観点から、標的またはシグナルの質または種類の識別について言及する、それに関連する、またはそれを含む場合には「定性的」である。
【0072】
「誘導される(derived)」または「誘導する(derive)」という用語は、本明細書では、特定の供給源から得ることを意味するように使用される。
【0073】
本明細書で使用される場合、「分子」という用語は、一緒に結合された原子の群を指し、化学反応に関与することができる化合物の最小の基本単位を表す。
【0074】
本明細書で交換可能に使用される場合、「創傷治癒剤」及び「皮膚治療薬」という用語は、対象に投与することができ、創傷を含む皮膚状態の症状または病状を軽減、緩和、または排除するなどの治療効果を提供する任意の低分子、タンパク質、及びペプチドを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示された皮膚治療薬は、美容目的のために使用され得る。
【0075】
タンパク質、例えば、皮膚治療薬に関して本明細書で使用される場合、「誘導体」という用語は、タンパク質、例えば、皮膚治療薬の修飾形態を指す。そのような誘導体の非限定的な例としては、タンパク質の変異形態が挙げられる。例えば、限定するものではないが、本開示の皮膚治療薬は、野生型の皮膚治療薬と比較して、1つ以上のアミノ酸置換、例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上のアミノ酸置換を含むことができる。
【0076】
「薬学的に許容される担体」とは、本明細書で使用される場合、ある組織、器官、または身体の一部分から別の組織、器官、または身体の一部分へと、目的の化合物または組成物を運ぶか、または輸送することに関与する薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指す。例えば、担体は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料、またはそれらの組み合わせであり得る。担体の各構成要素は、製剤の他の成分と適合性でなければならないという点で、「薬学的に許容され」なければならない。また、接触する可能性のある組織または器官との接触にも適していなければならず、毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、またはその治療上の利益を過度に上回る他の合併症のリスクを伴わないことを意味する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、限定されないが、特定の治療の需要者であるヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含む、任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「皮膚状態」は、表皮、真皮または皮下組織の損傷または不規則性または異常を指す。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、表皮、真皮、または皮下組織の構造的完全性に影響を与える損傷を含む。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、表皮、真皮、または皮下組織の構造の不規則性または異常を含む。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、表皮、真皮または皮下組織の水疱形成、真皮層のうちのいずれか1つにおける開口または亀裂、腫脹、色素沈着、変色、スケーリング、乾燥、真皮層の肥厚または瘢痕化、及び毛包閉塞を含む。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、創傷である。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、がんである。ある特定の実施形態では、皮膚状態は、美容状態である。
【0079】
「治療有効量」または「治療有効レベル」は、状態、例えば、皮膚状態の1つ以上の症状を予防、減少、緩和または排除することができる遺伝子操作された細胞及び/または遺伝子操作された細胞によって産生される皮膚治療薬の量を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「修飾された」という用語は、生物、例えば、細胞について言及する場合、自然界に存在しない生物を指す。「組換え」または「操作された」という用語は、互換的に使用される。
【0081】
II. 皮膚治療薬
本開示は、1つ以上の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する細胞を提供する。例えば、限定するものではないが、本開示の細胞、例えば、遺伝子操作された細胞は、1つの皮膚治療薬を産生及び/または分泌することができる。ある特定の実施形態では、本開示の細胞、例えば、遺伝子操作された細胞は、1つを超える皮膚治療薬、例えば、2つ以上の皮膚治療薬、3つ以上の皮膚治療薬、4つ以上の皮膚治療薬、または5つ以上の皮膚治療薬を産生及び/または分泌することができる。
【0082】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、タンパク質もしくはその誘導体、またはその機能的断片であり得る。本明細書に開示されたタンパク質は、鎖長がより高いレベルの三級及び/または四級構造を生成するのに十分なアミノ酸の配列を指す。これは、典型的にはそのような構造を有しない「ペプチド」と区別するためである。ある特定の実施形態では、タンパク質、例えば、タンパク質治療薬は、少なくとも約5~100kD、例えば、約15kDにより近い分子量を有することができる。ある特定の実施形態では、タンパク質治療薬は、少なくとも約10個、約20個、約30個、約40個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約200個、約300個、約400個、約500個のアミノ酸、約1,000個のアミノ酸、約1,500個のアミノ酸、約2,000個のアミノ酸、約2,500個のアミノ酸、約3,000個のアミノ酸、約35,000個のアミノ酸、または約40,000個のアミノ酸を含むことができる。タンパク質治療薬の非限定的な例には、全てのタンパク質が含まれ、一般に、1つ以上の鎖間及び/または鎖内ジスルフィド結合を含む多鎖ポリペプチドを含む、1つ以上のジスルフィド結合を含有するタンパク質が含まれる。ある特定の実施形態では、タンパク質治療薬は、グリコシル化及び脂質化を含むがこれらに限定されない、他の翻訳後修飾を含むことができる。例えば、Prabakaran et al.,WIREs Syst Biol Med(2012)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、ペプチドもしくはその誘導体、またはその機能的断片であり得る。
【0083】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、成長因子、ケモカイン及び/またはサイトカイン、またはその機能的断片であり得る。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、プロテアーゼ阻害剤またはその機能的断片である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、例えば、成長因子、サイトカイン、例えば、ケモカイン、及び/またはプロテアーゼ阻害剤、またはそれらの機能的断片の変異形態の誘導体であり得る。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、成長因子の阻害剤及び/またはサイトカインの阻害剤であり得る。
【0084】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、成長因子もしくはその誘導体、またはその機能的断片である。例えば、限定するものではないが、成長因子は、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)及び/または形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)であり得る。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、1つ以上の成長因子、例えば、EGF、PDGF、VEGF、TGF、TGF-β、FGF(例えば、FGF2)、KGF、NGF、GMCSF、GCSF、IGF、TPO、BMP、SGF、HGF、GDF、MSF、エリスロポエチン及び/またはニューロトロフィンを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、EGFを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、PDGFを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、VEGFを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、TGF-βを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、EGF、PDGF、VEGF、TGF、TGF-β、FGF、KGF、NGF、GMCSF、GCSF、IGF、TPO、BMP、SGF、HGF、GDF、MSF、エリスロポエチン及び/またはニューロトロフィンのうちの2つ以上、3つ、4つ以上、または全てを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、EGF及びPDGFを発現及び/または分泌する。
【0085】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、サイトカインもしくはその誘導体、またはその機能的断片である。例えば、限定するものではないが、サイトカインは、レプチンまたはインターロイキン、例えば、IL-4、IL-1β、IL-6、IL-10及びIL-12、ならびにTNF-αであり得る。サイトカインの追加の非限定的な例は、Zhang and An,Int.Anesthesiol.Clin.45(2):27-37(2007)の表1に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、サイトカインは、ケモカインであり得る。ある特定の実施形態では、サイトカインは、インターロイキンである。
【0086】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、1つ以上のサイトカイン、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、レプチンを発現及び/または分泌する。
【0087】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、成長因子の阻害剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、VEGFの阻害剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、1つ以上のインターロイキン、例えば、IL-4を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、IL-4を発現及び/または分泌する。本明細書に記載されるように、IL-4は、VEGFの阻害剤として機能し得る。VEGF阻害剤の追加の非限定的な例は、Guryanov et al.,Pharmaceutics.13(9):1337(2021)and Zhang et al.,Signal Transduction and Targeted Therapy 2: Article number:17010(2017)に開示されており、各々の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、VEGF阻害剤は、ペプチド、例えば、HRHTKQRHTALH(配列番号52)である。本明細書に記載されるように、VEGFの阻害剤は、乾癬などの皮膚状態を治療するために使用され得る。
【0088】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、TGF-βの阻害剤、例えば、ペプチド阻害剤である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、TGF-βアイソフォームTGF-β1の阻害剤である。ある特定の実施形態では、TGF-β1の阻害剤は、TGF-β1のペプチド阻害剤である。TGF-β1のペプチド阻害剤の非限定的な例は、WO2011/101478(例えば、表1)に開示されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、ペプチド阻害剤は、アミノ酸配列TSLDASIIWAMMQN(配列番号9)を含む。本明細書に記載されるように、TGF-β1の阻害剤は、皮膚線維症及び/または強皮症を治療するために使用され得る。
【0089】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、ケモカインもしくはその誘導体、またはその機能的断片である。例えば、限定するものではないが、ケモカインは、CXCL12、CXCL2、CXCL8、CXCL10、CXCL11、CXCL4、CXCL9、CCL2、CCL5、CXCL1、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL8、CCL11、CCL21、CCL26、CCL13、CCL24、XCL1、XCL2及び/またはCX3CL1であり得る。ある特定の実施形態では、ケモカインは、CXCL12であり得る。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、2つ以上のケモカイン、例えば、CXCL12、CXCL2、CXCL8、CXCL10、CXCL11、CXCL4、CXCL9、CCL2、CCL5、CXCL1、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL8、CCL11、CCL21、CCL26、CCL13、CCL24、XCL1、XCL2及び/またはCX3CL1を発現及び/または分泌する。
【0090】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、プロテアーゼ阻害剤もしくはその誘導体、またはその機能的断片である。ある特定の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、創傷に通常存在するプロテアーゼの阻害剤である。創傷に存在し、創傷治癒に関与するプロテアーゼの非限定的な例は、McCarthy and Percival,Adv.Wound Care 2(8):438-447(2013)and Westby et al.,Cochrane Database Syst.Rev.2018(9):CD012841(2018)に開示されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、セリンプロテアーゼの阻害剤である。ある特定の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の阻害剤及び/またはディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMS及びADAMTS)の阻害剤である。ある特定の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、TIMP1及び/またはTIMP2である。
【0091】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、抗菌及び/または抗炎症剤である。ある特定の実施形態では、抗菌剤及び/または抗炎症剤は、抗菌及び/または抗炎症ペプチドまたはその機能的断片である。ある特定の実施形態では、抗菌及び/または抗炎症ペプチドは、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体である。抗菌ペプチドの追加の非限定的な例としては、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン及び合成グラニュリシン由来ペプチドが挙げられる。ある特定の実施形態では、抗菌ペプチドは、ディフェンシン、例えば、α-、β-またはθ-ディフェンシンである。ディフェンシンの非限定的な例としては、β-ディフェンシン-1(hBD-1)、β-ディフェンシン-2(hBD-2)、β-ディフェンシン-3(hBD-3)、好中球ペプチド1(HNP1)、好中球ペプチド2(HNP2)、好中球ペプチド3(HNP3)、好中球ペプチド4(HNP4)、ヒトディフェンシン5(HD5)及びヒトディフェンシン6(HD6)が挙げられる。
【0092】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、毒素ペプチドである。ある特定の実施形態では、毒素ペプチドは、真菌細胞に由来する。ある特定の実施形態では、毒素ペプチドは、Saccharomyces cerevisiaeに由来するK1、K2またはK28毒素ペプチドである。
【0093】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、RelAの阻害剤である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、RelAを標的とするRNAiである。
【0094】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、色素性乾皮症相補性タンパク質(XP)である。XPsの非限定的な例には、XPA、XPB、XPC(ヒトRAD4)、XPD、XPE、XPF、及びXPGが含まれる。
【0095】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、細胞外マトリックスタンパク質である。細胞外マトリックスタンパク質の非限定的な例としては、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、及びエラスチンが挙げられる(例えば、Yue,J.Glaucoma S20-S23(2014)を参照されたい。その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、細胞外マトリックスタンパク質の断片である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、コラーゲンである。コラーゲンの非限定的な例としては、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、VIII型コラーゲン、IX型コラーゲン、X型コラーゲン、XI型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、XV型コラーゲン、XVI型コラーゲン、XVII型コラーゲン、XVIII型コラーゲン、XIX型コラーゲン、XX型コラーゲン、XXI型コラーゲン、XXII型コラーゲン、XXIII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、XXV型コラーゲン、XXVI型コラーゲン、XXVII型コラーゲン、及びXXVIII型コラーゲンが挙げられる(例えば、Yue、J.Glaucoma S20-S23(2014)を参照されたい。その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、VII型コラーゲンまたはその断片である。本明細書に記載されるように、細胞外マトリックスタンパク質は、表皮水疱症を治療するために使用され得る。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、エラスチンである。
【0096】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、アゼライン酸である。
【0097】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、ヒアルロン酸である。
【0098】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、上述のペプチドまたはタンパク質のうちのいずれか1つの配列を含む配列と少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、本明細書に開示された皮膚治療薬のうちのいずれか1つの配列を含む配列と少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、表1または表2に提供される配列と少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、表1または表2に提供される配列と少なくとも約97%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、表1または表2に提供される配列と少なくとも約98%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、表1または表2に提供される配列と少なくとも約99%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、表1または表2に提供される配列と約98%~約100%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、表1または表2に提供されるアミノ酸配列を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1~9、11~21、及び53~56のうちのいずれか1つの配列を含む配列と少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1~9、11~21、及び53~56の配列に少なくとも約97%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1~9、11~21、及び53~56の配列に少なくとも約98%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1~9、11~21、及び53~56の配列に少なくとも約99%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1~9、11~21及び53~56の配列に約98%~約100%相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1~9、11~21、及び53~56のアミノ酸配列を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号1の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号2の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号3の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号4の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号5の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号6の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号7の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、配列番号8の配列を含む配列に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%相同、例えば、約97%~約100%相同であるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質である。
【表1】
【0101】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞によって発現される皮膚治療薬は、分泌可能である。例えば、限定するものではないが、皮膚治療薬は、細胞内で細胞内発現され、続いて細胞の形質膜に輸送され、細胞の外部、例えば、細胞の形質膜の外側に分泌され得る。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞によって発現される皮膚治療薬は、細胞によって連続的に分泌される。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞によって発現される皮膚治療薬は、誘導時に細胞によって分泌される。
【0102】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬の分泌は、真菌細胞、例えば、酵母において保存された分泌経路を使用して実行することができる。例えば、限定するものではないが、皮膚治療薬は、分泌シグナル配列にカップリングしているため、分泌可能である。分泌シグナル配列の非限定的な例は、交配因子アルファ-1、アルファ因子K、アルファ因子T、SED1、PHO5、SUC2、グリコアミラーゼ、イヌリナーゼ、インベルターゼ、リゾチーム、血清アルブミン、アルファ-アミラーゼ、キラータンパク質及び表6を含むタンパク質から得ることができる。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、交配因子アルファ-1である。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、SED1である。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、PHO5である。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、SUC2である。ある特定の実施形態では、分泌シグナル配列は、Saccharomyces cerevisiaeタンパク質などの酵母タンパク質から得られる分泌シグナル配列である。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、Saccharomyces cerevisiae交配因子アルファ-1から得られる。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、SED1である。追加的に、任意のシグナルペプチドの変異、置換及び切断も本開示の範囲内である。シグナルペプチドの追加の変異及び切断を含む選択及び設計は、当業者の能力及び裁量の範囲内である。ある特定の実施形態では、1つ以上の分泌シグナル配列は、皮膚治療薬のN末端に位置する。ある特定の実施形態では、Kex2プロセシング部位及び/またはSte13プロセシング部位またはその相同体は、分泌シグナル配列のアミノ酸配列と分泌可能なペプチドとの間に存在し得る。分泌シグナルの追加の非限定的な例は、米国特許第10,725,036号に開示されており、その内容は、その全体が本明細書に開示されている。
【0103】
III. 遺伝子操作された細胞
本開示は、例えば、本明細書に開示された皮膚治療薬を発現する、例えば、分泌するための細胞を提供する。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された細胞は、皮膚状態、例えば、創傷を治療するために対象に投与され得る。本開示の細胞によって産生することができる皮膚治療薬の非限定的な例は、セクションIIに開示される。
【0104】
本明細書に記載の皮膚治療薬を生成及び/または分泌するために使用される細胞は、例えば、遺伝子操作された細胞であり得る。皮膚治療薬の生成に使用するための遺伝子修飾された細胞は、哺乳動物細胞、植物細胞、細菌細胞、または真菌細胞であり得る。例えば、限定するものではないが、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、遺伝子操作された哺乳動物細胞であり得る。ある特定の実施形態では、細胞は、植物細胞、例えば遺伝子操作された植物細胞であり得る。ある特定の実施形態では、細胞は、細菌細胞、例えば、遺伝子操作された細菌細胞であり得る。ある特定の実施形態では、細胞は、真菌細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞であり得る。ある特定の実施形態では、細胞は、細菌細胞ではない。
【0105】
ある特定の実施形態では、本開示で使用するための細胞は、概して、安全であると認識されている(GRAS)ものとして米国食品医薬品局(FDA)によって指定されている細胞であり得る。
【0106】
ある特定の実施形態では、細胞は、真菌細胞である。任意の真菌株が、本開示で使用され得る。ある特定の実施形態では、真菌細胞は、Cladosporium、Aureobasidium、Aspergillus、Saccharomyces、Malassezia、Epicoccum、Candida、Penicillium、Wallemia、Pichia、Phoma、Cryptococcus、Fusarium、Clavispora、Cyberlindnera、及びKluyveromycesを含むがこれらに限定されない属からの種であり得る。
【0107】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Alternaria brasicicola、Arthrobotrys oligospora、Ashbya aceri、Ashbya gossypii、Aspergillus clavatus、Aspergillus flavus、Aspergillus fumigate、Aspergillus kawachii、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus ruber、Aspergillus terreus、Baudoinia compniacensis、Beauveria bassiana、Botryosphaeria parva、Botrytis cinereal、Candida albicans、Candida dubliniensis、Candida glabrata、Candida guilliermondii、Candida lusitaniae、Candida parapsilosis、Candida tenuis、Candida tropicalis、Capronia coronate、Capronia epimyces、Chaetomium globosum、Chaetomium thermophilum、Chryphonectria parasitica、Claviceps purpurea、Coccidioides immitis、Colletotrichum gloeosporioides、Coniosporium apollinis、Dactylellina haptotyla、Debaryomyces hansenii、Endocarpon pusillum、Eremothecium cymbalariae、Fusarium oxysporum、Fusarium pseudograminearum、Gaeumannomyces graminis、Geotrichum candidum、Gibberella fujikuroi、Gibberella moniliformis、Gibberella zeae、Glarea lozoyensis、Grosmannia clavigera、Kazachstania Africana、Kazachstania naganishii、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus、Kluyveromyces waltii、Komagataella pastoris、Kuraishia capsulate、Lachancea kluyveri、Lachancea thermotolerans、Lodderomyces elongisporus、Magnaporthe oryzae、Magnaporthe poae、Marssonina brunnea、Metarhizium acridum、Metarhizium anisopliae、Mycosphaerella graminicola、Mycosphaerella pini、Nectria haematococca、Neosartorya fischeri、Neurospora crassa、Neurospora tetrasperma、Ogataea parapolymorpha、Ophiostoma piceae、Paracoccidioides lutzii、Penicillium chrysogenum、Penicillium digitatum、Penicillium oxalicum、Penicillium roqueforti、Phaeosphaeria nodorum、Pichia sorbitophila、Podospora anserine、Pseudogymnoascus destructans、Pyrenophora teres f teres、Pyrenophora tritici-repentis、Saccharomyces bayanus、Saccharomyces castellii、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces dairenensis、Saccharomyces mikatae、Saccharomyces paradoxis、Scheffersomyces stipites、Schizosaccharomyces japonicus、Schizosaccharomyces octosporus、Schizosaccharomyces pombe、Sclerotinia borealis、Sclerotinia sclerotiorum、Sordaria macrospora、Sporothrix schenckii、Tetrapisispora blattae、Tetrapisispora phaffii、Thielavia heterothallica、Togninia minima、Torulaspora delbrueckii、Trichoderma atroviridis、Trichoderma jecorina、Trichoderma virens、Tuber melanosporum、Vanderwaltozyma polyspora 1、Vanderwaltozyma polyspora 2、Verticillium alfalfae、Verticillium dahliae、Wickerhamomyces ciferrii、Yarrowia lipolytica、Zygosaccharomyces bailii、Zygosaccharomyces rouxiiの細胞、及びそれらの組み合わせであり得る。
【0108】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Ascomycota門の種である。ある特定の実施形態では、Ascomycota門の種は、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces castellii、Saccharomyces var boulardii、Vanderwaltozyma polyspora、Torulaspora delbrueckii、Saccharomyces kluyveri、Kluyveromyces lactis、Zygosaccharomyces rouxii、Zygosaccharomyces bailii、Candida glabrata、Ashbya gossypii、Scheffersomyces stipites、Komagataella(Pichia) pastoris、Candida(Pichia) guilliermondii、Candida parapsilosis、Candida auris、Yarrowia lipolytica、Candida(Clavispora) lusitaniae、Candida albicans、Candida tropicalis、Candida tenuis、Lodderomyces elongisporous、Geotrichum candidum、Baudoinia compniacensis、Schizosaccharomyces octosporus、Tuber melanosporum、Aspergillus oryzae、Schizosaccharomyces pombe、Aspergillus(Neosartorya) fischeri、Pseudogymnoascus destructans、Schizosaccharomyces japonicus、Paracoccidioides brasiliensis、Mycosphaerella graminicola、Penicillium chrysogenum、Aspergillus nidulans、Phaeosphaeria nodorum、Hypocrea jecorina、Botrytis cinereal、Beauvaria bassiana、Neurospora crassa、Sporothrix scheckii、Magnaporthe oryzea、Dactylellina haptotyla、Fusarium graminearum、Capronia coronate、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0109】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Saccharomyces属の種である。ある特定の実施形態では、Saccharomyces属由来の種は、Saccharomyces bayanus、Saccharomyces boulardii、Saccharomyces castellii、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces dairenensis、及びSaccharomyces mikataeからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Saccharomyces cerevisiaeである。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Saccharomyces boulardiiである。
【0110】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Pichia属由来の種である。ある特定の実施形態では、Pichia属由来の種は、Pichia acacia、Pichia alni、Pichia americana、Pichia amethionina、Pichia amylophila、Pichia angophorae、Pichia angusta、Pichia anomala、Pichia antillensis、Pichia barkeri、Pichia besseyi、Pichia bimundalis、Pichia bispora、Pichia bovis、Pichia cactophila、Pichia canadensis、Pichia capsulate、Pichia caribaea、Pichia castillae、Pichia chambardii、Pichia ciferrii、Pichia delftensis、Pichia deserticola、Pichia dryadoides、Pichia euphorbiae、Pichia euphorbiiphila、Pichia fabianii、Pichia farinose、Pichia fermentans、Pichia finlandica、Pichia fluxuum、Pichia galaeiformis、Pichia glucozyma、Pichia guilliermondii、Pichia hampshirensis、Pichia haplophila、Pichia heedii、Pichia heimii、Pichia henricii、Pichia holstii、Pichia inositovora、Pichia jadinii、Pichia japonica、Pichia kluyveri、Pichia kodamae、Pichia lynferdii、Pichia maganishii、Pichia media、Pichia membranifaciens、Pichia methanolica、Pichia methylivoria、Pichia Mexicana、Pichia meyerae、Pichia minuta、Pichia mississippiensis、Pichia nakasei、Pichia nakazawae、Pichia norvegensis、Pichia ofunaensis、Pichia ohmeri、Pichia onychis、Pichia opuntiae、Pichia pastoris、Pichia petersonii、Pichia philodendra、Pichia philogaea、Pichia pijperi、Pichia pini、Pichia populi、Pichia pseudocactophila、Pichia quercuum、Pichia rabaulensis、Pichia rhodanensis、Pichia salicaria、Pichia scolyti、Pichia segobiensis、Pichia silvicola、Pichia spartinae、Pichia stipites、Pichia strasburgensis、Pichia subpelliculosa、Pichia sydowiorum、Pichia tannicola、Pichia thermotolerans、Pichia toletana、Pichia trehalophila、Pichia triangularis、Pichia veronae、Pichia wickerhamii、及びPichia xylosaからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Pichia pastorisである。
【0111】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Kluyveromyces属の種である。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Kluyveromyces lactisである。
【0112】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、細菌細胞である。細菌の非限定的な例としては、Caulobacter crescentus、Rodhobacter sphaeroides、Pseudoalteromonas haloplanktis、Shewanella sp. strain Ac10、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Halomonas elongata、Chromohalobacter salexigens、Streptomyces lividans、Streptomyces griseus、Nocardia lactamdurans、Mycobacterium smegmatis、Corynebacterium glutamicum、Corynebacterium ammoniagenes、Brevibacterium lactofermentum、Bacillus subtilis、Bacillus brevis、Bacillus megaterium、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Lactococcus lactis、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus casei、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus gasseri、及びEscherichia coliが挙げられる。ある特定の実施形態では、細菌細胞は、Escherichia coliである。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、細菌細胞ではない。
【0113】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞の非限定的な例としては、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載の293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞、MRC 5細胞、FS4細胞、MCF-7細胞、3T3細胞、U2SO細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、哺乳動物細胞ではない。
【0114】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つの成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する。
【0115】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つのサイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する。
【0116】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つのサイトカインまたはその誘導体、例えば、IL-12を発現及び/または分泌する。
【0117】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つのインターフェロンまたはその誘導体を発現及び/または分泌する。
【0118】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つのケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する。
【0119】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する。
【0120】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞は、少なくとも1つの抗菌剤を発現及び/または分泌する。
【0121】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する。
【0122】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する。
【0123】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する。
【0124】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する。
【0125】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)抗菌剤を発現及び/または分泌する。
【0126】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する。
【0127】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(2)抗菌剤を発現及び/または分泌する。
【0128】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、及び(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する。
【0129】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(2)抗菌剤を発現及び/または分泌する。
【0130】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する。
【0131】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現する及び/または分泌する。
【0132】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現する及び/または分泌する。
【0133】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(3)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する。
【0134】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、(3)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(4)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する。
【0135】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、(3)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(4)抗菌剤を発現及び/または分泌する。
【0136】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、(3)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、(4)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12、ならびに(5)抗菌剤を発現及び/または分泌する。
【0137】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、成長因子阻害剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、VEGF阻害剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、VEGF阻害剤、例えば、IL-4を発現及び/または分泌する。
【0138】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、TGF-β阻害剤、例えば、TGF-β1阻害剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、ペプチドTGF-β1阻害剤、例えば、TSLDASIIWAMMQN(配列番号9)またはTSLDASIIWAMMQNA(配列番号12)を発現及び/または分泌する。
【0139】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、コラーゲンを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、VII型コラーゲンまたはその断片を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、エラスチンを発現及び/または分泌する。
【0140】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、抗菌剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、抗菌ペプチドを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗菌ペプチドを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)を発現及び/または分泌する。
【0141】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、キラー毒素を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、Saccharomyces cerevisiaeからK1、K2及び/またはK28を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、K2を発現及び/または分泌する。
【0142】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、ディフェンシン、例えば、α-、β-またはθ-ディフェンシンを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、抗菌ペプチドは、β-ディフェンシン-1(hBD-1)、β-ディフェンシン-2(hBD-2)、β-ディフェンシン-3(hBD-3)、好中球ペプチド1(HNP1)、好中球ペプチド2(HNP2)、好中球ペプチド3(HNP3)、好中球ペプチド4(HNP4)、ヒトディフェンシン5(HD5)、及び/またはヒトディフェンシン6(HD6)である。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、β-ディフェンシン-3(hBD-3)を発現及び/または分泌する。
【0143】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、RelAの阻害剤を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、RelAを標的とするRNAiを発現及び/または分泌する。
【0144】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、抗ブドウ球菌殺菌タンパク質を発現及び/または分泌する。
【0145】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、色素性乾皮症相補性タンパク質(XP)、例えば、XPA、XPB、XPC(ヒトRAD4)、XPD、XPE、XPFまたはXPGを発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、XPA、XPB、XPC(ヒトRAD4)、XPD、XPE、XPF、及び/またはXPGを発現及び/または分泌する。
【0146】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、アゼライン酸を発現及び/または分泌する。
【0147】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、ヒアルロン酸を発現及び/または分泌する。
【0148】
ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、高レベルで皮膚治療薬を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、対象を治療するのに十分なレベルで皮膚治療薬を発現及び/または分泌する。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、治療有効量の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する。例えば、限定するものではないが、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって約1~約24時間以内に産生される皮膚治療薬の量は、約1pg~約10gである。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって、約1~約48時間または約1~約24時間以内に分泌される皮膚治療薬の量は、約1pg/ml~約200,000pg/ml、例えば、約100pg/ml~約200,000pg/ml、約1,000pg/ml~約200,000pg/ml、約5,000pg/ml~約200,000pg/ml、約10,000pg/ml~約200,000pg/ml、約20,000pg/ml~約200,000pg/ml、約30,000pg/ml~約200,000pg/ml、約40,000pg/ml~約200,000pg/ml、約50,000pg/ml~約200,000pg/ml、約60,000pg/ml~約200,000pg/ml、約70,000pg/ml~約200,000pg/ml、約80,000pg/ml~約200,000pg/ml、約90,000pg/ml~約200,000pg/ml、約100,000pg/ml~約200,000pg/ml、約110,000pg/ml~約200,000pg/ml、約120,000pg/ml~約200,000pg/ml、約130,000pg/ml~約200,000pg/ml、約140,000pg/ml~約200,000pg/ml、約150,000pg/ml~約200,000pg/ml、約100pg/ml~約190,000pg/ml、約100pg/ml~約180,000pg/ml、約100pg/ml~約170,000pg/ml、約100pg/ml~約160,000pg/ml、約100pg/ml~約150,000pg/ml、約100pg/ml~約140,000pg/ml、約100pg/ml~約130,000pg/ml、約100pg/ml~約120,000pg/ml、約100pg/ml~約100,000pg/ml、約100pg/ml~約90,000pg/ml、約100pg/ml~約80,000pg/ml、約100pg/ml~約70,000pg/ml、約100pg/ml~約60,000pg/ml、約100pg/ml~約50,000pg/ml、約100pg/ml~約40,000pg/ml、約100pg/ml~約30,000pg/ml、約100pg/ml~約20,000pg/ml、約100pg/ml~約10,000pg/ml、約100pg/ml~約5,000pg/ml、約1,000pg/ml~約100,000pg/ml、約1,000pg/ml~約50,000pg/ml、約1,000pg/ml~約25,000pg/ml、約1,000pg/ml~約10,000pg/mlまたは約1,000pg/ml~約5,000pg/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間または約1~約24以内に、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約10pg/ml~約200,000pg/mlである。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって、約1~約48時間または約1~約24時間以内に分泌される皮膚治療薬の量は、約10pg/ml~約25,000pg/mlである。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって、約1~約48時間または約1~約24時間以内に分泌される皮膚治療薬の量は、約10pg/ml~約2,500pg/ml、例えば、約100pg/ml~約2,500pg/ml、約1,000pg/ml~約2,000pg/ml、または約1,500pg/ml~約2,500pg/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約0.1ng/ml~約500ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約1ng/ml~約400ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約1ng/ml~約350ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約1ng/ml~約300ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約1ng/ml~約250ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約1ng/ml~約200ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約10ng/ml~約300ng/mlである。ある特定の実施形態では、約1~約48時間、または約1~約24時間、例えば約24時間以下以内に、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作された細胞の集団によって分泌される皮膚治療薬の量は、約50ng/ml~約250ng/mlである。
【0149】
ある特定の実施形態では、本開示の細胞は、本明細書に開示された1つ以上の皮膚治療薬をコードする核酸を含み得る。例えば、限定されないが、皮膚治療薬のうちの1つ以上をコードする本開示の核酸は、プラスミドベクターなどのベクター、及びエレクトロポレーション、熱ショックなどの当業者に既知の、本明細書に記載されている細胞形質転換技術を使用して、細胞、例えば酵母細胞に導入することができる。ある特定の実施形態では、遺伝的分子構成要素は、プラスミドとして持続するか、またはゲノムに組み込むために細胞に導入される。例えば、限定するものではないが、核酸は、遺伝子操作された細胞のゲノムに組み込まれ得る。ある特定の実施形態では、細胞は、本開示を読んだときに当業者によって識別可能な方法を使用して、本明細書に記載される1つ以上の遺伝的分子構成要素のポリヌクレオチドを染色体的に組み込むように操作され得る。ある特定の実施形態では、本開示の皮膚治療薬をコードする核酸、例えば、ペプチド及び/またはタンパク質を、CRISPR/Cas9システムを使用して遺伝子操作された細胞のゲノムに挿入することができる。
【0150】
ある特定の実施形態では、1つ以上の皮膚治療薬をコードする核酸は、構築物またはプラスミドのいずれかとして酵母細胞に導入される。ある特定の実施形態では、核酸は、1つ以上の調節領域、例えば、プロモーター、転写因子結合部位、オペレーター、活性化因子結合部位、リプレッサー結合部位、エンハンサー、タンパク質-タンパク質結合ドメイン、RNA結合ドメイン、DNA結合ドメイン、及び当業者に既知の他の制御要素を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示の皮膚治療薬をコードする核酸は、酵母細胞内で活性なプロモーターに作動可能に連結されている、または好適なプロモーターに作動可能に連結されている位置で酵母細胞ゲノムに挿入される、構築物またはプラスミドのいずれかとして酵母細胞内に導入される。好適な酵母プロモーターの非限定的な例としては、構成的プロモーターpTef1、pPgk1、pCyc1、pAdh1、pKex1、pTdh3、pTpi1、pPyk1、及びpHxt7、ならびに誘導性プロモーターpGal1、pCup1、pMet15、pFig1、pFus1、GAP、P GCW14、ならびにこれらのバリアントが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、Tef1のバリアントは、scTef1である。ある特定の実施形態では、核酸は、構成的に活性なプロモーター、例えば、pTdh3を含むことができる。ある特定の実施形態では、核酸は、誘導性プロモーター、例えば、pGal1、pFus1またはpFig1を含むことができる。ある特定の実施形態では、核酸は、誘導性プロモーター、例えば、pGal1を含み得る。ある特定の実施形態では、核酸は、構成的に活性なプロモーター、例えば、pCyc1を含むことができる。ある特定の実施形態では、核酸は、構成的に活性なプロモーター、例えば、pTef1を含むことができる。例えば、限定するものではないが、皮膚治療薬をコードするヌクレオチド配列は、pTef1プロモーターまたはそのバリアントにカップリングすることができる。ある特定の実施形態では、核酸は、構成的に活性なプロモーター、例えば、pAdh1を含むことができる。例えば、限定するものではないが、皮膚治療薬をコードするヌクレオチド配列は、pAdh1プロモーターまたはそのバリアントにカップリングすることができる。例えば、限定するものではないが、皮膚治療薬をコードするヌクレオチド配列は、pTdh3プロモーターまたはそのバリアントにカップリングすることができる。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、構成的に活性なプロモーターの制御下にあることによって連続的に発現される。
【0151】
ある特定の実施形態では、1つ以上の皮膚治療薬をコードする核酸は、核酸によってコードされる皮膚治療薬の調節発現のための転写因子を更に含むことができる。代替的に、及び/または追加的に、第2の核酸または追加の核酸を細胞に導入して、核酸によってコードされる皮膚治療薬の調節発現のための転写因子を発現することができる。そのような転写因子の非限定的な例としては、Abf1p、Aca1p、Ace2p、Adr1p、Aft1p、Aft2p、Arg80p、Arg81p、Arr1p、Ash1p、Azf1p、Bas1p、Cad1p、Cat8p、Cbf1p、Cha4p、Cha4p、Cin5p、Com2p、Crz1p、Cst6p、Cup2p、Dal80p、Dal81p、Dal82p、Ecm22p、Fkh1p、Fkh2p、Flo8p、Fzf1p、Gal4p、Gat1p、Gcn4p、Gcr1p、Gis1p、Gln3p、Gon3p、Gsm1p、Gzf3p、Haa1p、Hac1p、Hap1p、Hap2p、Hap3p、Hap4p、Hap5p、Hcm1p、Hot1p、Hsf1p、Ime1p、Ino2p、Ino4p、Ino4p、Ixr1p、Kar4p、Leu3p、Lys14p、Mac1p、Mal63p、Mbp1p、Mcm1p、Met31p、Met32p、Met4p、Mig1p、Mig2p、Mig3p、Mot2p、Mot3p、Msn2p、Msn4p、Mss11p、Ndt80p、Nrg1p、Nrg2p、Oaf1p、Pdr1p、Pdr3p、Pdr8p、Pho2p、Pho4p、Pip2p、Ppr1p、Put3p、Rap1p、Rcs1p、Rds1p、Reb1p、Rfx1p、Rgt1p、Rim101p、Rlm1p、Rme1p、Rof1p、Rox1p、Rph1p、Rpn4p、Rtg1p、Rtg3p、Sfl1p、Sip4p、Skn7p、Sko1p、Smp1p、Stb4p、Stb5p、Stb5p、Ste12p、Stp1p、Stp2p、Sum1p、Swi4p、Swi5p、Tda9p、Tea1p、Tec1p、Tye7p、Uga3p、Ume6p、Upc2p、Usv1p、War1p、Xbp1p、YER130c、YFL052w、YHR177w、YJL103C、YML081w、YPL230w、Yap1p、Yap3p、Yap5p、Yrr1p、Zap1p、及びZnf1pが挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞に導入される核酸は、転写因子のための1つ以上のDNA結合ドメインを含む。ある特定の実施形態では、DNA結合ドメインは、亜鉛フィンガーDNA結合ドメインである。ある特定の実施形態では、亜鉛フィンガーDNA結合ドメインは、ZF43-8である。ある特定の実施形態では、転写因子は、異なるタンパク質由来の1つ以上のドメインを含む。例えば、限定するものではないが、本開示で使用するための転写因子は、誘導因子結合ドメイン、例えば、ヒトエストロゲン受容体に由来するβ-エストラジオール結合ドメイン、及び/または、例えば、VP64に由来する転写活性化ドメインを含むことができる。
【0152】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬のうちの1つ以上をコードする核酸は、核酸によってコードされる分泌シグナルペプチドを更に含むことができる。分泌シグナルペプチドの非限定的な例を、本明細書のセクションII、表5及び実施例1に開示する。ある特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、交配因子アルファ-1、SED1、またはSUC2である。ある特定の実施形態では、1つ以上の皮膚治療薬をコードする核酸は、核酸によってコードされる交配因子アルファ-1分泌シグナルペプチドを更に含むことができる。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬のうちの1つ以上をコードする核酸は、核酸によってコードされるSED1分泌シグナルペプチドを更に含むことができる。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬のうちの1つ以上をコードする核酸は、核酸によってコードされるSUC2分泌シグナルペプチドを更に含むことができる。
【0153】
ある特定の実施形態では、1つ以上の皮膚治療薬をコードする核酸は、細胞、例えば、酵母細胞のゲノムに挿入され得る。例えば、限定するものではないが、本開示の皮膚治療薬をコードする1つ以上の核酸、例えば、ペプチド及び/またはタンパク質を、細胞のSte2、Ste3及び/またはHO遺伝子座に挿入してもよい。ある特定の実施形態では、1つ以上の核酸は、細胞に最小限に影響を与える1つ以上の遺伝子座、例えば、必須ではなく、及び/または成長、増殖、及び細胞シグナル伝達に影響を及ぼさない遺伝子座に挿入することができる。
【0154】
ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞の1つ以上の内因性遺伝子は、遺伝子操作システムによってノックアウト及び/または変異される、例えば、ノックアウトされることができる。代替的に、または追加的に、遺伝子操作された細胞の内因性遺伝子の余分なコピーは、例えば、遺伝子操作システムによってノックインされ得る。当技術分野で知られている様々な遺伝子走査システムを使用することができる。そのような系の非限定的な例としては、クラスター化された規則的な間隔を持つ短いパリンドロームリピート(CRISPR)/Cas系、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、酵母の内因性相同組換えの使用、及び干渉RNAの使用が挙げられる。
【0155】
ある特定の非限定的実施形態では、CRISPR/Cas9系は、遺伝子操作された細胞中の1つ以上の内因性遺伝子をノックアウト及び/またはノックインするために使用される。ゲノム編集に利用される場合、システムは、Cas9(そのガイドとしてcrRNAを利用してDNAを修飾することができるタンパク質)、CRISPR RNA(crRNA、Cas9と活性複合体を形成するtracrRNA(概して、ヘアピンループ形態)に結合する領域とともに、Cas9がそれを宿主DNAの正しい区画に導くために使用するRNAを含有する)、及びトランス活性化crRNA(tracrRNA、crRNAに結合し、Cas9と活性複合体を形成する)を含む。「ガイドRNA」及び「gRNA」という用語は、Cas9などのRNA誘導ヌクレアーゼの、細胞内のゲノムまたはエピソーム配列などの標的配列への特異的会合(または「標的化」)を促進する任意の核酸を指す。gRNAは、単一分子(単一のRNA分子を含み、代替的にキメラと称される)またはモジュラー(複数の、典型的には2つの別個のRNA分子(例えば、crRNA及びtracrRNA)を含み、例えば、二重鎖形成によって通常互いに会合される)であり得る。
【0156】
ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、例えば、ジスルフィド結合を有する創傷治癒剤の分泌を増加させるために、ジスルフィド結合形成に関与するタンパク質の発現を増加させるように修飾され得る。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、例えば、PDI1遺伝子の1つ以上の追加のコピーを遺伝子操作された細胞に組み込むことによって、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ1(PDI1)の発現を増加させるように修飾され得る。例えば、限定するものではないが、PDI1遺伝子の少なくとも1つの追加のコピーを、ゲノム編集系、例えば、CRISPR/Casによって、本明細書に記載の遺伝子操作された細胞にノックすることができる。代替的に、そのような遺伝子の増加した発現は、遺伝子を含む核酸を遺伝子操作された細胞内に導入することによって達成され得る。ある特定の実施形態では、PDGF-b(3つの鎖内ジスルフィド結合を有する)、EGF(3つのジスルフィド結合を有する)、CXCL12(2つのジスルフィド結合を有する)、及び/またはLEP(1つの鎖内ジスルフィド結合を有する)を発現するように遺伝子操作された真菌細胞は、例えば、PDI1をコードする1つ以上の核酸、例えば、外因性核酸を遺伝子操作された細胞に組み込むことによって、PDI1の発現を増加させるように更に修飾されている。
【0157】
ある特定の実施形態では、内因性遺伝子の発現は、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。例えば、限定するものではないが、N-グリコシル化に関与する遺伝子の発現は、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。ある特定の実施形態では、Och1p、空胞性プロテイナーゼB(PRB1)、BarIプロテイナーゼ及び/またはアスパラギン酸プロテイナーゼ3(YAP3)の発現は、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。ある特定の実施形態では、Och1pの発現は、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。ある特定の実施形態では、PRB1の発現は、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。ある特定の実施形態では、BarIプロテアーゼの発現は、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。ある特定の実施形態では、これらの遺伝子の発現は、ゲノム編集系、例えば、CRISPR/Casによってこれらの遺伝子をノックアウトすることによって、下方調節され、排除され、及び/または減少され得る。ある特定の実施形態では、特定の遺伝子の発現は、下流または修飾タンパク質の過剰発現によって下方調節され得る。ある特定の実施形態では、XISTの発現は、例えば、XISTをコードする核酸を遺伝子操作された真菌細胞に導入することによって、上方調節され得る。例えば、限定するものではないが、XISTの過剰発現は、多数の遺伝子のx連結不活性化をもたらす。ある特定の実施形態では、GCGの発現は、例えば、GCGをコードする核酸を遺伝子操作された真菌細胞に導入することによって、上方調節され得る。ある特定の実施形態では、GCGの過剰発現は、インスリン産生の減少をもたらす。
【0158】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されたヌクレオチド配列の相同体は、1つ以上のアミノ酸の置換をもたらすことができるが、ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはタンパク質の機能的特性に影響を与えない1つ以上のヌクレオチド塩基の変化を有するポリヌクレオチドであり得る。ホモログはまた、結果として生じるポリヌクレオチドまたは転写産物の機能的特性に実質的に影響を及ぼさない、ヌクレオチドの欠失、付加、または挿入などの修飾を有するポリヌクレオチドを含むことができる。所与の部位で化学的に等価なアミノ酸の産生をもたらすが、コードされたポリペプチドの機能的特性に影響を与えないポリヌクレオチドの変化は、当技術分野で周知である。
【0159】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の相同体は、1つ以上のアミノ酸に変化を有するが、皮膚治療薬の機能的特性には影響を与えないペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であり得る。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の機能的特性に影響を与えないペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の変化は、当該技術分野で周知であり、例えば、保存的置換である。したがって、本開示は、特定の例示的なポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列以上のものを包含し、その機能的等価物を含むことが理解される。
【0160】
本開示で使用される細胞は、当業者に既知の組換え技術を使用して遺伝子操作され得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチドの産生及び操作は、当該技術分野内にあり、例えば、Sambrook et al.1989.Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.and Innis et al.(eds).1995.PCR Strategies,Academic Press,Inc.,San Diegoに記載される組換え技術に従って実施することができる。
【0161】
IV. 薬学的組成物
本開示は、開示される方法に従って使用するための、本明細書に記載される遺伝子操作された細胞を含む薬学的組成物を更に提供する。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上の皮膚治療薬を発現する1つ以上の生の及び/または無傷の遺伝子操作された細胞、例えば、真菌細胞を含む。
【0162】
ある特定の実施形態では、本開示に従って使用するための薬学的組成物は、直腸投与、経口投与、膣投与、または局所投与のために製剤化され得る。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、局所投与のために製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、経口投与されない、すなわち、経口投与のために製剤化されない。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、眼内投与されない、すなわち、眼内投与のために製剤化されない。
【0163】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞と、薬学的に許容される担体と、を含む。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は、活性成分、例えば、遺伝子操作された細胞及び/または皮膚治療薬の生物学的活性の有効性に干渉せず、それが投与される患者に毒性でない任意の担体を含む。好適な薬学的担体の非限定的な例としては、リン酸緩衝食塩水、水、油/水エマルションなどのエマルション、様々な種類の湿潤剤、及び無菌溶液が挙げられる。薬学的に許容される担体の追加の非限定的な例としては、ポリマー、ゲル、生体吸収性マトリックス材料、酵母及び/または任意の他の好適なビヒクルを含有する移植要素、送達または分配手段または材料が挙げられる。かかる担体は、従来の方法によって製剤化され得、対象に投与され得る。
【0164】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、少なくとも1つの成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞を含むことができる。
【0165】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、少なくとも1つのサイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞を含むことができる。
【0166】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、少なくとも1つのケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する、遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞を含むことができる。
【0167】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞、例えば、遺伝子操作された真菌細胞を含むことができる。
【0168】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0169】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0170】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、及び(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0171】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、ならびに(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0172】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0173】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0174】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0175】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0176】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0177】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、ならびに(3)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0178】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGF、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチン、(3)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2、ならびに(4)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0179】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、成長因子阻害剤を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、VEGF阻害剤、例えば、IL-4を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0180】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、TGF-β1阻害剤を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、ペプチドTGF-β1阻害剤、例えば、TSLDASIIWAMMQN(配列番号9)またはTSLDASIIWAMMQNA(配列番号12)を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0181】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、コラーゲンを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、VII型コラーゲンまたはその断片を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、エラスチンを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0182】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、抗菌剤を発現及び/または分泌する本開示の遺伝子操作された細胞を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、抗菌ペプチドを発現及び/または分泌する遺伝子操作を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗菌ペプチドを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0183】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、キラー毒素を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、Saccharomyces cerevisiaeからK1、K2、及び/またはK28を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0184】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、ディフェンシン、例えば、α-、β-またはθ-ディフェンシンを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、β-ディフェンシン-1(hBD-1)、β-ディフェンシン-2(hBD-2)、β-ディフェンシン-3(hBD-3)、好中球ペプチド1(HNP1)、好中球ペプチド2(HNP2)、好中球ペプチド3(HNP3)、好中球ペプチド4(HNP4)、ヒトディフェンシン5(HD5)、及び/またはヒトディフェンシン6(HD6)を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、β-ディフェンシン-3(hBD-3)を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0185】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、RelAの阻害剤、例えば、RelAを標的とするRNAiを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0186】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、抗ブドウ球菌殺菌タンパク質を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0187】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、色素性乾皮症相補性タンパク質(XP)、例えば、XPA、XPB、XPC(ヒトRAD4)、XPD、XPE、XPFまたはXPGを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0188】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、アゼライン酸を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0189】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、ヒアルロン酸を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む。
【0190】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、調整された様式で複数の構成要素のアセンブリを必要とする皮膚治療薬の生成のために使用することができる多細胞系を含み、各細胞は、皮膚治療薬の構成要素を産生するように構成される。ある特定の実施形態では、多細胞系は、複数の異なる皮膚治療薬の生成のために使用され得る。ある特定の実施形態では、多細胞系は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の異なる皮膚治療薬の生成及び/または分泌のために使用することができる。そのような多細胞系の非限定的な例は、PCT/US2020/030795に開示されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0191】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、各々が異なる皮膚治療薬を発現及び/または分泌する、2つ以上の遺伝子操作された細胞、例えば、3つ以上、4つ以上、または5つ以上を含むことができる。ある特定の実施形態では、各々が異なる皮膚治療薬を発現及び/または分泌する2つ以上の遺伝子操作された細胞を含む本開示の薬学的組成物は、単一の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞を含む薬学的組成物と比較して、状態を治療する上でより効果的である。
【0192】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の薬学的組成物は、(1)本明細書のセクションIIに開示される第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)本明細書のセクションIIに開示される第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含み、第1の皮膚治療薬及び第2の皮膚治療薬は、異なる。
【0193】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の薬学的組成物は、(1)本明細書のセクションIIに開示される第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)本明細書のセクションIIに開示される第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)本明細書のセクションIIに開示される第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、を含み、第1、第2、及び第3の皮膚治療薬は、異なる。
【0194】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、(4)第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の薬学的組成物は、(1)本明細書のセクションIIに開示される第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)本明細書のセクションIIに開示される第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)本明細書のセクションIIに開示される第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、(4)本明細書のセクションIIに開示される第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、を含み、第1、第2、第3、及び第4の皮膚治療薬は、異なる。
【0195】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と(4)第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、(5)第5の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第5の遺伝子操作された細胞と、を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の薬学的組成物は、(1)本明細書のセクションIIに開示される第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)本明細書のセクションIIに開示される第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)本明細書のセクションIIに開示される第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、(4)本明細書のセクションIIに開示される第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、(5)本明細書のセクションIIに開示される第5の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第5の遺伝子操作された細胞と、を含み、第1、第2、第3、第4、及び第5の皮膚治療薬は、異なる。
【0196】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、(4)第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、(5)第5の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第5の遺伝子操作された細胞と、(6)第6の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第6の遺伝子操作された細胞と、を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の薬学的組成物は、(1)本明細書のセクションIIに開示される第1の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)本明細書のセクションIIに開示される第2の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞、(3)本明細書のセクションIIに開示される第3の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、(4)本明細書のセクションIIに開示される第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、(5)本明細書のセクションIIに開示される第5の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第5の遺伝子操作された細胞と、(6)本明細書のセクションIIに開示される第6の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第6の遺伝子操作された細胞と、を含み、第1、第2、第3、第4、及び第5の皮膚治療薬は、異なる。
【0197】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、本明細書のセクションIIに開示される第4の皮膚治療薬を発現及び/または分泌する第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、第20、第21、第22、第23、第24、及び/または第25の遺伝子操作された細胞を含み、各遺伝子操作された細胞は、異なる皮膚治療薬を発現する。
【0198】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。
【0199】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)EGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)CXCL12を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、を含む。
【0200】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、を含む。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、を含む。
【0201】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、(1)成長因子またはその誘導体、例えば、EGF及び/またはPDGFを発現及び/または分泌する第1の遺伝子操作された細胞と、(2)プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、例えば、TIMP1及び/またはTIMP2を発現及び/または分泌する第2の遺伝子操作された細胞と、(3)ケモカインまたはその誘導体、例えば、CXCL12を発現及び/または分泌する第3の遺伝子操作された細胞と、(4)サイトカインまたはその誘導体、例えば、レプチンを発現及び/または分泌する第4の遺伝子操作された細胞と、を含む。
【0202】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、組成物中に存在する1つ以上の遺伝子操作された細胞の成長を促進するための栄養素を含み得る。例えば、限定するものではないが、薬学的組成物は、ビタミン、例えば、水溶性ビタミン、炭水化物、ペプチド、アミノ酸、及び/または塩を含むことができる。
【0203】
ある特定の実施形態では、本開示での使用に適した薬学的組成物は、遺伝子操作された細胞が治療有効量で含まれる組成物を含むことができる。活性成分の治療有効量は、活性成分、例えば、遺伝子操作された細胞及び/または皮膚治療薬、使用される製剤、状態及びその重症度、ならびに治療される対象の年齢、体重などに応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも約10個、約10個、約10個、約10個、約10個、約10個、約10個、約10個、または約1010個の遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約10細胞/ml、約10細胞/ml、約10細胞/ml、約10細胞/ml、約10細胞/ml、約10細胞/ml、約10細胞/ml、約10細胞/mlまたは約1010細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、遺伝子操作された生真菌細胞の約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、遺伝子操作された生真菌細胞の約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/ml、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/ml、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/ml、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/ml、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/ml、または約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、図5Bに示されるように、約1×10細胞/ml~約2×10細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約2×10細胞/ml~約2×10細胞/mlの濃度で遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0204】
ある特定の実施形態では、本開示での使用に適した薬学的組成物は、遺伝子操作された細胞が治療有効量で皮膚治療薬を発現及び/または分泌する組成物を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内に、約1pgから及び約10gの皮膚治療薬を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1時間~約24時間以内に、約1pg/ml~約200,000pg/ml、例えば、約100pg/ml~約200,000pg/ml、約1,000pg/ml~約200,000pg/ml、約5,000pg/ml~約200,000pg/ml、約10,000pg/ml~約200,000pg/ml、約20,000pg/ml~約200,000pg/ml、約30,000pg/ml~約200,000pg/ml、約40,000pg/ml~約200,000pg/ml、約50,000pg/ml~約200,000pg/ml、約60,000pg/ml~約200,000pg/ml、約70,000pg/ml~約200,000pg/ml、約80,000pg/ml~約200,000pg/ml、約90,000pg/ml~約200,000pg/ml、約100,000pg/ml~約200,000pg/ml、約110,000pg/ml~約200,000pg/ml、約120,000pg/ml~約200,000pg/ml、約130,000pg/ml~約200,000pg/ml、約140,000pg/ml~約200,000pg/ml、約150,000pg/ml~約200,000pg/ml、約100pg/ml~約190,000pg/ml、約100pg/ml~約180,000pg/ml、約100pg/ml~約170,000pg/ml、約100pg/ml~約160,000pg/ml、約100pg/ml~約150,000pg/ml、約100pg/ml~約140,000pg/ml、約100pg/ml~約130,000pg/ml、約100pg/ml~約120,000pg/ml、約100pg/ml~約100,000pg/ml、約100pg/ml~約90,000pg/ml、約100pg/ml~約80,000pg/ml、約100pg/ml~約70,000pg/ml、約100pg/ml~約60,000pg/ml、約100pg/ml~約50,000pg/ml、約100pg/ml~約40,000pg/ml、約100pg/ml~約30,000pg/ml、約100pg/ml~約20,000pg/ml、約100pg/ml~約10,000pg/ml、約100pg/ml~約5,000pg/ml、約1,000pg/ml~約100,000pg/ml、約1,000pg/ml~約50,000pg/ml、約1,000pg/ml~約25,000pg/ml、約1,000pg/ml~約10,000pg/ml、または約1,000pg/ml~約5,000pg/mlの皮膚治療薬を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1pg/ml~約2,500pg/ml、例えば、約100pg/ml~約2,500pg/ml、約1,000pg/ml~約2,000pg/ml、または約1,500pg/ml~約2,500pg/mlの皮膚治療薬を約1~約24時間以内に発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlの皮膚治療薬を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約0.1ng/ml~約500ng/mlの皮膚治療薬を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約1ng/ml~約400ng/mlの皮膚治療薬を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約1ng/ml~約350ng/mlを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約1ng/ml~約300ng/mlを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約1ng/ml~約250ng/mlを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約1ng/ml~約200ng/mlを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間以内、例えば、約24時間以下以内に約10ng/ml~約300ng/mlを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1~約24時間、例えば、約24時間以下以内に約50ng/ml~約250ng/mlを発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の集団を含むことができる。
【0205】
ある特定の非限定的実施形態では、本開示の薬学的組成物は、直腸及び膣投与に好適な、当該技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して製剤化され得る。かかる担体は、薬学的組成物を、治療される患者への局所、直腸及び/または経口投与のために、錠剤、丸薬、カプセル、液体(例えば、粘性液体)、ペースト、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、坐剤などとして製剤化することを可能にする。
【0206】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、局所投与に好適な、当該技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して製剤化され得る。かかる担体は、治療される患者への局所投与のために、薬学的組成物を液体、ゲル、クリーム、シロップ、ペースト、スラリー、分散性粉末、懸濁液、ローションなどとして製剤化することを可能にする。
【0207】
ある特定の実施形態では、1つ以上のデバイス、例えば、アプリケーターを使用して、開示される薬学的組成物のうちの1つ以上を投与することができる。
【0208】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、本開示の1つ以上の凍結乾燥またはフリーズドライされた遺伝子操作された細胞を含むことができる。
【0209】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、対象の状態を治療するための第2の薬剤を更に含むことができる。例えば、限定するものではないが、本開示の薬学的組成物は、薬学的組成物中の遺伝子操作された細胞から発現及び/または分泌される皮膚治療薬とは異なる抗菌剤及び/または抗炎症剤を更に含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、薬学的組成物中の遺伝子操作された細胞から発現及び/または分泌される皮膚治療薬と同じ抗菌剤及び/または抗炎症剤を更に含むことができる。
【0210】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、図2図6図7E及び図8Dに示されるように、ゲル、例えば、ヒドロゲルを含むことができる。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、ヒドロゲル内に懸濁され得る。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、多糖を含むことができる。多糖の非限定的な例には、アガロース、デンプン、ウルバン、カラギーナン、及びポルフィリンが含まれる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシルアルキルメタクリレート、及びポリアクリレートなどの合成ポリマーまたは合成ポリマー形成剤を含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、コラーゲン、キトサン、またはアルギネートなどのバイオポリマーを含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約10.0%w/vの多糖を含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖、例えば、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.5%w/v~約1.0%w/vの多糖を含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.5%w/v~約0.7%w/vの多糖を含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約10.0%w/vのアガロースを含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約5.0%w/vのアガロース、例えば、約0.1%w/v~約1.0%w/vのアガロースを含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1%w/v~約1.0%w/vのアガロースを含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.5%w/v~約1.0%w/vのアガロースを含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約0.5%w/v~約0.7%w/vのアガロースを含むことができる。
【0211】
ヒドロゲルを含む薬学的組成物の非限定的な例示的実施形態を、図2図7E及び図8Dに示す。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルベースの薬学的組成物は、(i)外側及び/または接着剤層と、(ii)遺伝子操作された生真菌細胞を含有する培地、例えば、遺伝子操作された生真菌細胞を含有するヒドロゲルと、(iii)真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層と、を含むことができる。
【0212】
ある特定の実施形態では、外側及び/または接着剤層は、開放性創傷床(または治療される皮膚)と外側環境との間のバリアとして機能することができる。ある特定の実施形態では、外側及び/または接着剤層は、治療される創傷または皮膚上に遺伝子操作された細胞を保持するためのバリアとして機能することができる。ある特定の実施形態では、外側及び/または接着剤層は、薬学的組成物中の個々の遺伝子操作された細胞のサイズより小さい孔径を有する。ある特定の実施形態では、外側及び/または接着剤層は、ポリマー含有材料である。ある特定のポリマー含有材料には、ポリウレタン含有材料がある。ある特定のポリマー含有材料には、ポリウレタンまたはその共重合体を含む材料またはポリマーがある。
【0213】
ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルは、遺伝子操作された生真菌細胞、栄養素、緩衝液、及び/または抗生物質などの潜在的な補助活性成分の集団を含有する。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルは、遺伝子操作された真菌細胞から分泌される1つ以上の治療薬の創傷床への拡散を可能にするが、真菌細胞が皮膚及び創傷床に到達するのを防ぐ。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルは、多糖を含む。ある特定の実施形態では、多糖は、アガロースである。
【0214】
ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、培地中の真菌細胞によって発現される皮膚治療薬に対して透過性である。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、培地中の真菌細胞に対して透過性ではない。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、培地中の真菌細胞によって発現される皮膚治療薬に対して透過性であるが、そのような真菌細胞には透過性ではない。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有媒体(例えば、ヒドロゲル)と、治療される創傷床または皮膚との間の層は、約1.0μm未満、例えば、約0.9μm未満、約0.8μm未満、約0.7μm未満、約0.6μm未満、約0.5μm未満、約0.4μm未満、約0.3μm未満、約0.2μm未満、または約0.1μm未満の孔径を有する。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、約0.01~約1.0μm、例えば、約0.2μmの孔径を有する。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、約0.01~約0.2μmの孔径を有する。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、約0.01~約0.5μmの孔径を有する。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えばヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、ポリマーである。ある特定の実施形態では、真菌細胞含有培地、例えば、ヒドロゲルと、治療される創傷床または皮膚との間の層は、約0.01~約1.0μm、例えば、約0.2μmの孔径を有する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0215】
V. 皮膚状態
本開示は更に、1つ以上の皮膚状態を治療するための遺伝子操作された細胞及び薬学的組成物を提供する。
【0216】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、皮膚を治療するために投与することができる。例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、様々な状態、例えば、皮膚状態及び/または疾患を治療するために投与され得る。任意の皮膚状態は、開示される遺伝子操作された細胞を使用して治療され得る。
【0217】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、創傷を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、創傷は、対象の身体組織、例えば、皮膚の完全性に対する損傷である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、慢性創傷の治癒を促進するために投与することができる。慢性創傷の非限定的な例には、潰瘍(例えば、糖尿病性潰瘍(例えば、糖尿病性足潰瘍)、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍及び圧迫性潰瘍)、歯周病変、感染性創傷、虚血性創傷、外科的創傷、火傷創傷、皮膚水疱形成(例えば、表皮水疱症)、及び放射線中毒創傷が含まれる。
【0218】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、胃腸状態の治癒を促進するように投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、胃潰瘍の治癒を促進するために投与することができる。胃潰瘍の非限定的な例には、消化性潰瘍、胃潰瘍、食道潰瘍、及び十二指腸潰瘍が挙げられる。ある特定の実施形態では、状態は、胃腸状態ではない。
【0219】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、感染症、例えば、皮膚の感染症を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、真菌感染症(例えば、酵母感染症)、細菌感染症及び/または原虫感染症、例えば、真菌感染症(例えば、酵母感染症)、細菌感染症及び/または皮膚の原虫感染症を治療するために投与され得る。真菌(例えば、酵母)感染症の非限定的な例には、爪真菌症、カンジダ症、水虫、頑癬、皮膚糸状菌症/白癬、及びTrichophyton rubrum及び他の真菌種感染症に関連する他の感染症が含まれる。細菌感染症の非限定的な例には、蜂巣炎、丹毒、膿疱疹、毛包炎、吹出物、及び癰(よう)が含まれる。原虫感染症の非限定的な例には、マラリア、ジアルジア症、回虫症、及びトキソプラズマ症が挙げられる。
【0220】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、にきびを治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、にきびは、皮膚の毛包及び皮脂腺の障害である。ある特定の実施形態では、にきびは、炎症性皮膚状態とみなされる。
【0221】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、炎症性障害を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、炎症性障害は、スティーブンス・ジョンソン症候群または炎症性皮膚障害であり得る。炎症性皮膚障害の非限定的な例としては、乾癬、狼瘡、化膿性汗腺炎、脂漏性皮膚炎、毛巣嚢胞、及びアトピー性皮膚炎(例えば、湿疹)が挙げられる。
【0222】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、線維性障害を治療するために投与することができる。線維性障害の非限定的な例には、皮膚線維症、肥厚性瘢痕、及び強皮症が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、肥厚性瘢痕を治療するために投与することができる。
【0223】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、水疱形成に関連する障害を治療するために投与することができる。水疱性傷害の非限定的な例には、水疱性類天疱瘡、他の類天疱瘡バリアント、表皮水疱症、水疱性全身性エリテマトーデス、線形IgA水疱性皮膚症、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、他の天疱瘡バリアント(紅斑性天疱瘡、疱疹状天疱瘡、増殖性天疱瘡、及びIgA天疱瘡)、ならびに腫瘍随伴性自己免疫多臓器症候群(腫瘍随伴性天疱瘡としても知られる)が含まれる。
【0224】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、血管病変を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、血管病変は、血管奇形である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、血管病変に関連する障害を治療するために投与することができる。血管病変の非限定的な例には、先天性血管腫及びサクランボ色血管腫が挙げられる。
【0225】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、良性皮膚病変を治療するために投与することができる。良性皮膚病変は、非がん性皮膚成長である。良性皮膚病変の非限定的な例としては、黒子、そばかす、懸垂線維腫、良性黒子、日光黒子、ケロイド、及び脂漏性角化症が挙げられる。
【0226】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、皮膚癌を治療するために投与され得る。皮膚癌の非限定的な例としては、基底細胞癌、扁平上皮癌、脂腺癌、カポジ肉腫、皮膚血管肉腫、黒色腫、メルケル細胞癌、隆起性皮膚線維肉腫、及び皮膚リンパ腫が挙げられる。
【0227】
ある特定の実施形態では、本開示は、色素性乾皮症を治療するための方法を提供する。
【0228】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、色素沈着障害を治療するために投与することができる。色素沈着障害の非限定的な例には、色素沈着過剰(例えば、炎症後色素沈着過剰、肝斑、日光黒子、雀卵斑(そばかす)及びカフェオーレ斑)、ならびに色素沈着低下(例えば、白斑)が含まれる。
【0229】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、美容治療を実行するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、皮膚を若返らせるために投与することができる。
【0230】
VI. 使用方法
本開示は、本開示の遺伝子操作された細胞及び薬学的組成物を使用するための方法を更に提供する。本開示は、本開示の1つ以上の遺伝子操作された細胞またはその薬学的組成物を対象に投与することによって、治療を必要とする対象を治療するための方法を提供する。
【0231】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の皮膚治療薬を発現する1つ以上の生の及び/または無傷の遺伝子操作された細胞、例えば、真菌細胞、またはその組成物もしくは薬学的組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された生細胞は、無傷の細胞膜を有し、皮膚治療薬を増殖及び/または発現する能力を有する細胞を指す。本明細書に開示される遺伝子操作された真菌細胞の組成物または薬学的組成物の非限定的な例は、セクションIVに記載される。本開示の遺伝子操作された真菌細胞で治療することができる皮膚状態の非限定的な例は、セクションVに記載されている。
【0232】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、対象を治療するための皮膚治療薬を生成及び分泌するために、それを必要とする対象に遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)を投与することを含む。ある特定の実施形態では、遺伝子操作は、インサイチュで皮膚治療薬を産生し、皮膚治療薬を分泌する真菌細胞である。遺伝子投与された細胞は、治療される障害及び/または状態に関連する任意の方法によって対象に投与され得る。例えば、限定するものではないが、遺伝子操作された細胞は、直腸投与、膣投与、経口投与、または局所投与によって投与され得る。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、経口投与されない。
【0233】
ある特定の実施形態では、対象に投与される遺伝子操作された細胞は、対象を治療するための皮膚治療薬を生成及び分泌する。生成及び分泌され得る皮膚治療薬の非限定的な例が、本明細書のセクションIIに開示される。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、成長因子、ケモカイン、サイトカイン、抗菌ペプチド、及び/またはプロテアーゼ阻害剤のうちの1つ以上であり得る。例えば、限定するものではないが、皮膚治療薬は、EGF、PDGF、VEGF、TGF-β、CXCL12、レプチン、TIMP1、TIMP2、IL-4、VII型コラーゲン、TGF-β1阻害剤、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)もしくはその類似体、K1毒素ペプチド、K2毒素ペプチド、K28毒素ペプチド、RelAの阻害剤、ディフェンシン、抗ブドウ球菌殺菌タンパク質、色素性乾皮症相補性タンパク質(XP)、アゼライン酸、ヒアルロン酸、エラスチン、またはそれらの組み合わせであり得る。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、EGF、PDGF、VEGF、TGF-β、CXCL12、レプチン、TIMP1、TIMP2、IL-4、VII型コラーゲン、及び/またはTGF-β1阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、皮膚治療薬は、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)もしくはその類似体、RelAの阻害剤、ディフェンシン、抗ブドウ球菌殺菌タンパク質、色素性乾皮症相補性タンパク質(XP)、アゼライン酸、ヒアルロン酸、エラスチン、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0234】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、皮膚を治療するために投与することができる。例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、様々な状態、例えば、皮膚状態及び/または疾患を治療するために投与され得る。任意の皮膚状態は、開示される遺伝子操作された細胞を使用して治療され得る。開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)を使用して治療することができる皮膚状態の非限定的な例としては、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性傷害、炎症性状態(例えば、炎症性皮膚状態)、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及び美容処置が挙げられる。
【0235】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、肛門瘻、肛門周囲感染症、びらん、潰瘍、創傷、にきび(例えば、細菌感染したにきび)、にきびによって引き起こされる炎症、単純疱疹、水疱、真菌性爪感染症、水虫、湿疹、日光性角化症、毛孔性苔癬、強皮症、発疹、酒さ、疥癬、癰(よう)、乾癬、表皮水疱症、蜂巣炎、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫、接触皮膚炎、いぼ、皮膚線維症、及びそれらの組み合わせを含む皮膚状態を治療するために投与され得る。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、皮膚及び美容治療、例えば、顔及び毛髪治療に使用することができる。
【0236】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、創傷を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、創傷治癒を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、創傷は、対象の身体組織、例えば、皮膚の完全性に対する損傷である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、開放性創傷の治癒を促進するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、慢性創傷の治癒を促進するために投与することができる。ある特定の実施形態では、慢性創傷は、秩序正しくタイムリーな様式で治癒プロセスを通して進行しない創傷である。慢性創傷の非限定的な例には、潰瘍(例えば、糖尿病性潰瘍(例えば、糖尿病性足潰瘍)、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍及び圧迫性潰瘍)、歯周病変、感染性創傷、虚血性創傷、外科的創傷、火傷創傷、皮膚水疱形成(例えば、表皮水疱症)、及び放射線中毒創傷が含まれる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、潰瘍を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、糖尿病性潰瘍を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、成長因子(例えば、EGF及び/またはPDGF)、サイトカイン(例えば、レプチン)、及び/またはプロテアーゼ阻害剤を発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、創傷の治癒を促進するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示は、創傷、例えば、糖尿病性足潰瘍を治療するための方法であって、成長因子、例えば、EGFを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、EGF、PDGF、またはその両方を発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、創傷の治癒を促進するために投与することができる。ある特定の実施形態では、成長因子(例えば、EGF及び/またはPDGF)及びプロテアーゼを発現及び分泌する、本明細書に開示する遺伝子操作された細胞は、創傷の治癒を促進するために投与することができる。ある特定の実施形態では、レプチン及びプロテアーゼを発現及び分泌する、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、創傷の治癒を促進するために投与することができる。ある特定の実施形態では、成長因子(例えば、EGF及び/またはPDGF)及びサイトカイン(例えば、レプチン)を発現及び分泌する、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、創傷の治癒を促進するために投与することができる。
【0237】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、胃腸状態の治癒を促進するように投与することができる。ある特定の実施形態では、胃腸障害は、対象の胃腸管の障害である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、胃潰瘍の治癒を促進するために投与することができる。胃潰瘍の非限定的な例には、消化性潰瘍、胃潰瘍、食道潰瘍、及び十二指腸潰瘍が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、胃腸状態を治療するために使用されない。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、胃腸状態を治療するために経口投与されない。
【0238】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、感染症、例えば、皮膚の感染症を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、真菌感染症(例えば、酵母感染症)、細菌感染症及び/または原虫感染症、例えば、真菌感染症(例えば、酵母感染症)、細菌感染症及び/または皮膚の原虫感染症を治療するために投与され得る。ある特定の実施形態では、1つ以上の抗菌剤、例えば、抗菌ペプチドを発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、感染症を治療するために投与され得る。抗菌ペプチドの非限定的な例としては、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、及びD2A21/D4E1が挙げられる。
【0239】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、真菌(例えば、酵母)感染症、例えば、皮膚の真菌感染症(例えば、酵母感染症)を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、1つ以上の抗菌剤を発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、例えば、皮膚の真菌(例えば、酵母)感染症を治療するために投与することができる。真菌(例えば、酵母)感染症の非限定的な例には、爪真菌症、カンジダ症、水虫、頑癬、皮膚糸状菌症/白癬、及びTrichophyton rubrum及び他の真菌種感染症に関連する他の感染症が含まれる。ある特定の実施形態では、真菌(例えば、酵母)感染症を治療するための抗菌剤は、抗菌ペプチド、例えば、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、及びRcAlb-PepIIを含むことができる。ある特定の実施形態では、抗菌剤は、キラー毒素、例えば、Saccharomyces cerevisiae由来のK1、K2、及び/またはK28であり得る。
【0240】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、細菌感染症、例えば、皮膚の細菌感染症を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、1つ以上の抗菌剤を発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、例えば、皮膚の細菌感染症を治療するために投与することができる。細菌感染症の非限定的な例には、蜂巣炎、丹毒、膿疱疹、毛包炎、吹出物、及び癰(よう)が含まれる。ある特定の実施形態では、細菌感染症を治療するための抗菌剤、例えば、抗菌ペプチドとしては、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、及びD2A21/D4E1を挙げることができる。
【0241】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、原虫感染症、例えば、皮膚の原虫感染症を治療するために投与することができる。原虫感染症の非限定的な例には、マラリア、ジアルジア症、回虫症、及びトキソプラズマ症が挙げられる。
【0242】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、にきびを治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、にきびは、皮膚の毛包及び皮脂腺の障害である。ある特定の実施形態では、にきびは、炎症性皮膚状態とみなされる。ある特定の実施形態では、1つ以上の抗菌剤を発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、にきびに関連するPropionibacteriumにきびを治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、1つ以上の抗菌薬を発現及び分泌する本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、にきびを治療するために投与することができる。にきびを治療するための抗菌剤の非限定的な例としては、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、及びメリチンが挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、メリチンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、にきびを治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、メリチンは、アミノ酸配列GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号53)を含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、本開示は、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、例えば、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)もしくはその類似体、及び/または成長因子、例えば、TGF-βを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、にきびを治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)は、アミノ酸配列LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTES(配列番号54)を含むか、またはそれからなる。本開示の遺伝子操作された細胞から発現及び分泌することができるLL-37類似体及び抗菌剤の追加の非限定的な例は、Kuroda et al.,Front.Oncol.5:144(2015)(例えば、表1)に提供されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0243】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、炎症性障害を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、炎症性障害は、スティーブンス・ジョンソン症候群または炎症性皮膚障害であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、炎症性皮膚障害を治療するために投与することができる。炎症性皮膚障害の非限定的な例としては、乾癬、狼瘡、化膿性汗腺炎、脂漏性皮膚炎、毛巣嚢胞、及びアトピー性皮膚炎(例えば、湿疹)が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、乾燥皮膚、かゆみを伴う皮膚、及び/またはかさついた皮膚に関連する皮膚障害を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、乾癬を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示は、ディフェンシン、例えば、β-ディフェンシン-3(hBD-3)、EGF、VEGFの阻害剤、またはRelAの阻害剤を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、炎症性皮膚状態を治療するための方法を提供する。RelAの阻害剤の非限定的な例としては、RelAを標的とするRNAiが挙げられ、VEGFの阻害剤の非限定的な例としては、IL-4が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、RelAの阻害剤を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、アトピー性皮膚炎を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、ディフェンシンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、アトピー性皮膚炎を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、VEGFの阻害剤、例えば、IL-4を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、乾癬を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、EGFを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、スティーブンス・ジョンソン症候群を治療するための方法を提供する。
【0244】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、線維性障害を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、線維性障害は、コラーゲン及び他の結合組織構成要素の過剰な沈着を特徴とする。線維性障害の非限定的な例には、皮膚線維症、肥厚性瘢痕、及び強皮症が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、肥厚性瘢痕を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示は、TGF-β、例えば、TGF-β1の阻害剤を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、線維性障害(例えば、瘢痕(例えば、肥厚性瘢痕)、皮膚線維症及び強皮症)を治療するための方法を提供する。例えば、限定するものではないが、TGF-β1の阻害剤は、TGF-β1のペプチド阻害剤であり得る。TGF-β1のペプチド阻害剤の非限定的な例としては、アミノ酸配列TSLDASIIWAMMQN(配列番号9)を含むか、またはそれからなるペプチドが挙げられる。
【0245】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、水疱形成に関連する障害を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、水疱性障害、例えば、自己免疫水疱性障害を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、自己免疫水疱性障害は、対象の免疫系が自身の皮膚及び粘膜を攻撃して水疱を形成するときに生じる。水疱性傷害の非限定的な例には、水疱性類天疱瘡、他の類天疱瘡バリアント、表皮水疱症、水疱性全身性エリテマトーデス、線形IgA水疱性皮膚症、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、他の天疱瘡バリアント(紅斑性天疱瘡、疱疹状天疱瘡、増殖性天疱瘡、及びIgA天疱瘡)、ならびに腫瘍随伴性自己免疫多臓器症候群(腫瘍随伴性天疱瘡としても知られる)が含まれる。ある特定の実施形態では、本開示は、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、コラーゲンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、水疱性障害を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、コラーゲンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、自己免疫水疱性障害を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、コラーゲンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、表皮水疱症を治療するための方法を提供する。水疱性障害を治療するために使用され得るコラーゲンの非限定的な例が、本明細書に記載される。ある特定の実施形態では、コラーゲンは、VII型コラーゲンまたはその断片を含むことができる。
【0246】
ある特定の実施形態では、本開示は、血管病変を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、血管病変は、血管奇形である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、血管病変に関連する障害を治療するために投与することができる。血管病変の非限定的な例には、先天性血管腫及びサクランボ色血管腫が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、VEGFの阻害剤を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、血管病変を治療するための方法を提供する。
【0247】
ある特定の実施形態では、本開示は、良性皮膚病変を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、良性皮膚病変は、非がん性皮膚成長である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、良性皮膚病変を治療するために投与することができる。良性皮膚病変の非限定的な例としては、黒子、そばかす、懸垂線維腫、良性黒子、日光黒子、ケロイド、及び脂漏性角化症が挙げられる。
【0248】
ある特定の実施形態では、本開示は、皮膚癌を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、皮膚癌を治療するために投与することができる。ある特定の実施形態では、皮膚癌は、皮膚の扁平上皮細胞のがんである。ある特定の実施形態では、皮膚癌は、皮膚の基底細胞のがんである。皮膚癌の非限定的な例としては、基底細胞癌、扁平上皮癌、脂腺癌、カポジ肉腫、皮膚血管肉腫、黒色腫、メルケル細胞癌、隆起性皮膚線維肉腫、及び皮膚リンパ腫が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、皮膚癌を治療するための薬剤を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、皮膚癌を治療するための方法を提供する。そのような薬剤の非限定的な例としては、メリチン、Toll様受容体阻害剤、VEGFの阻害剤、標的療法または小分子、インターフェロン、インターロイキン、例えば、IL-12、及び抗ブドウ球菌殺菌タンパク質が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、メリチンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、基底細胞がんを治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、Toll様受容体阻害剤、例えば、イミキモドまたはレシキモドを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、扁平上皮癌を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、VEGFの阻害剤を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、カポジ肉腫または血管肉腫を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、標的療法または小分子を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、黒色腫またはメルケル細胞癌を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、インターフェロン、インターロイキン、例えば、IL-12、及び/または抗ブドウ球菌殺菌タンパク質を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、皮膚リンパ腫を治療するための方法を提供する。
【0249】
ある特定の実施形態では、本開示は、色素性乾皮症を治療するための方法を提供する。色素性乾皮症を治療するための薬剤の非限定的な例としては、色素性乾皮症群A(XPA)、XPB、XPC(ヒトRAD4)、XPD、XPE、XPF、及びXPGが挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、XPA、XPB、XPC(ヒトRAD4)、XPD、XPE、XPF及び/またはXPGを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、色素性乾皮症を治療するための方法を提供する。
【0250】
ある特定の実施形態では、本開示は、色素沈着障害を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、色素沈着障害を治療するために投与することができる。色素沈着障害の非限定的な例には、色素沈着過剰(例えば、炎症後色素沈着過剰、肝斑、日光黒子、雀卵斑(そばかす)及びカフェオーレ斑)、ならびに色素沈着低下(例えば、白斑)が含まれる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、色素沈着過剰または色素沈着低下に関連する障害を治療するために投与することができる。色素沈着障害を治療するための療法の非限定的な例としては、アゼライン酸、及び酵母、例えば、S.cerevisiaeからのリソソーム抽出物が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示は、アゼライン酸を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、色素沈着障害を治療するための方法を提供する。
【0251】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、美容治療を実行するために投与することができる。例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、皮膚の外観を変更する及び/または高めるために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、皮膚を若返らせるために投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、皮膚を若返らせるために投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示は、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、コラーゲン及び/またはエラスチンを分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、皮膚を若返らせるための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、ヒアルロン酸を分泌する遺伝子操作された細胞を投与することを含む、皮膚を若返らせるための方法を提供する。
【0252】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、局所投与され得る。例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、創傷及び潰瘍などの皮膚疾患及び/または状態の治療、ならびに皮膚治癒を促進するために適用することができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、皮膚状態、例えば、創傷、痛み、または潰瘍を有する対象を治療するために、限定されないが、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、及び/またはプロテアーゼ阻害剤などの皮膚治療薬を発現及び/または分泌するように遺伝子操作された細胞の投与を含む。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、治療が必要とされる領域に直接、例えば、創傷に直接、または罹患した皮膚に直接、適用される。
【0253】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、1日に1回、1日に2回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、2週に1回、月に1回、月に2回、隔月に1回、または3ヶ月に1回投与され得る。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、週に2回投与することができる。例えば、限定するものではないが、本開示の遺伝子操作された細胞(またはその薬学的組成物)は、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、2週に1回、月に1回、月に2回、隔月に1回、または3ヶ月に1回再適用することができる。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、1日1回投与することができる。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、2日に1回投与することができる。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、3日に1回投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、週に1回投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作された細胞は、約4週間、週に2回投与され得、次いで、治療の残りの期間、週に1回投与され得る。
【0254】
ある特定の実施形態では、皮膚治療薬(またはその薬学的組成物)を発現及び/または分泌する遺伝子操作された細胞の投与は、複数の投与を必要とせずに、皮膚治療薬による対象の連続治療を可能にする。例えば、限定するものではないが、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、または少なくとも約165時間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、遺伝子操作された細胞の対象への投与後、対象への投与後、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも48時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも72時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも96時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも108時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも120時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも132時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも144時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも156時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞は、対象への投与後少なくとも168時間、皮膚治療薬を分泌する。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約8日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約9日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約10日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約11日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約12日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約13日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約14日間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約1週間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。ある特定の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細胞の投与は、対象への遺伝子操作された細胞の投与後、対象への投与後少なくとも約2週間、皮膚治療薬の分泌、例えば、連続分泌を可能にする。
【0255】
VII. キット及び製品
本開示は、本開示での使用のためのキット及び製品を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の皮膚状態を治療するためのキット及び製品を提供する。例えば、限定するものではないが、本開示は、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性傷害、炎症性状態(例えば、炎症性皮膚状態)、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、及び色素障害を治療するため、ならびに美容処置を実行するためのキット及び製品を提供する。
【0256】
ある特定の実施形態では、本開示のキット及び/または製品は、上述のように、1つ以上の遺伝子操作された細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、フリーズドライまたは凍結乾燥することができる。
【0257】
ある特定の実施形態では、キット及び/または製品は、遺伝子操作された細胞を活性化させるための食物源、例えば、培地、糖または寒天を更に含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示のキット及び/または製品は、1つ以上の炭素源、1つ以上の窒素源、1つ以上の微量栄養源、及び/または1つ以上の追加の栄養源を含む、細胞生存率及び増殖を改善するための構成要素を含むことができる。
【0258】
ある特定の実施形態では、キット及び/または製品は、本明細書に記載の1つ以上の遺伝子操作された細胞を含む薬学的組成物を含むことができる。例えば、限定するものではないが、薬学的組成物は、本明細書に記載の1つ以上の遺伝子操作された細胞を含むヒドロゲルであり得る。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、局所投与のために製剤化することができる。
【0259】
ある特定の実施形態では、キット及び/または製品は、本開示の遺伝子操作された細胞を調製するための核酸を含むことができる。例えば、限定するものではないが、核酸は、本明細書に開示された1つ以上の皮膚治療薬をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0260】
ある特定の実施形態では、キット及び/または製品は、遺伝子操作された細胞またはそのような細胞を含む薬学的組成物を使用するための説明書を更に含むことができる。
【0261】
VIII. 例示的な非限定的実施形態
A.本開示は、(i)皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された生真菌細胞と、(ii)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0262】
A1. 前記皮膚治療薬が、前記真菌細胞の分泌経路によって前記真菌細胞から分泌される、Aの薬学的組成物。
【0263】
A2. 前記皮膚治療薬が、タンパク質またはその機能的断片である、AまたはA1の薬学的組成物。
【0264】
A3. 前記皮膚治療薬が、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、A1またはA2の薬学的組成物。
【0265】
A4によって結合される、同一のエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。前記皮膚治療薬が、成長因子もしくはその誘導体、または成長因子の阻害剤もしくはその誘導体である、A3の薬学的組成物。
【0266】
A5. 前記成長因子が、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、A4の薬学的組成物。
【0267】
A6. 前記成長因子が、EGFである、A5の薬学的組成物。
【0268】
A7. 前記成長因子が、PDGFである、A5の薬学的組成物。
【0269】
A8. 前記成長因子が、TGF-βである、A5の薬学的組成物。
【0270】
A9. 前記成長因子が、VEGFである、A5の薬学的組成物。
【0271】
A10. 前記皮膚治療薬が、ケモカインまたはその誘導体である、A3の薬学的組成物。
【0272】
A11. 前記ケモカインが、CXCL12である、A10の薬学的組成物。
【0273】
A12. 前記皮膚治療薬が、サイトカインまたはその誘導体である、A3の薬学的組成物。
【0274】
A13. 前記サイトカインが、レプチン、IL-4、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、A12の薬学的組成物。
【0275】
A14. 前記皮膚治療薬が、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体である、A3の薬学的組成物。
【0276】
A15. 前記皮膚治療薬が、TIMP1、TIMP2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、A14の薬学的組成物。
【0277】
A16. 前記皮膚治療薬が、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体である、A3の薬学的組成物。
【0278】
A17. 前記皮膚治療薬が、VII型コラーゲン、エラスチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、A16の薬学的組成物。
【0279】
A18. 前記皮膚治療薬が、抗菌及び/または抗炎症ペプチドである、AまたはA1の薬学的組成物。
【0280】
A19. 前記抗菌及び/または抗炎症ペプチドが、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、A18の薬学的組成物。
【0281】
A20. 前記真菌細胞が、Cladosporium、Aureobasidium、Aspergillus、Saccharomyces、Malassezia、Epicoccum、Candida、Penicillium、Wallemia、Pichia、Phoma、Cryptococcus、Fusarium、Clavispora、Cyberlindnera、Kluyveromyces、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される属からの種である、A~A19のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0282】
A21. 前記真菌細胞が、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisである、A~A20のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0283】
A22. 第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞を更に含む、A~A21のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0284】
A23. 第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞を更に含む、A22の薬学的組成物。
【0285】
A24. 第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞を更に含む、A23の薬学的組成物。
【0286】
A25. 第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞を更に含む、A24の薬学的組成物。
【0287】
A26. 前記薬学的組成物が、直腸投与、膣投与、または局所投与のために製剤化される、A~A25のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0288】
A27. 前記薬学的組成物が、局所投与のために製剤化される、A26の薬学的組成物。
【0289】
A28. 前記薬学的に許容される担体が、ヒドロゲルを含む、A~A27のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0290】
A29. 前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖を含む、A28の薬学的組成物。
【0291】
A30. 前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含む、A29の薬学的組成物。
【0292】
A31. 前記多糖が、アガロースである、A29またはA30の薬学的組成物。
【0293】
A32. 前記薬学的組成物が、治療効果量の前記遺伝子操作された生真菌細胞を含み、治療有効量が、約1×10細胞/ml~約1×10細胞/mlの前記遺伝子操作された生真菌細胞である、A~A31のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0294】
A33. 前記治療有効量が、約1×10細胞/ml~約2×10細胞/mlの前記遺伝子操作された生真菌細胞である、A32の薬学的組成物。
【0295】
A34. 前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約1pg/mlから及び約200,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、A~A33のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0296】
A35. 前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約100pg/ml~約25,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、A34の薬学的組成物。
【0297】
A36. 前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後約24時間~約2週間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、A~A35のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0298】
A37. 前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも約48時間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、A36の薬学的組成物。
【0299】
A38. 前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも約72時間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、A37の薬学的組成物。
【0300】
A39. 前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも約96時間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、A38の薬学的組成物。
【0301】
A40. 前記遺伝子操作された生真菌細胞が、投与後少なくとも2週間、前記皮膚治療薬を分泌及び発現する、A39の薬学的組成物。
【0302】
A41. 前記遺伝子操作された生真菌細胞が、前記皮膚治療薬を連続的に分泌及び発現する、A~A40のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0303】
A42. 1つ以上の遺伝子操作された前記真菌細胞のための1つ以上の栄養素を更に含む、A~A41のうちのいずれか1つの薬学的組成物。
【0304】
B.本開示は、皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された生真菌細胞を含むヒドロゲルを含む、局所用薬学的組成物を提供する。
【0305】
B1. 前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約5.0%w/vの多糖を含む、Bの局所用薬学的組成物。
【0306】
B2. 前記ヒドロゲルが、約0.1%w/v~約1.0%w/vの多糖を含む、B1の局所用薬学的組成物。
【0307】
B3. 前記多糖が、アガロースである、B1またはB2の局所用薬学的組成物。
【0308】
B4. 皮膚に面する底層と、空気に面する上層と、を更に含み、前記皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された前記真菌細胞を含む前記ヒドロゲルが、前記底層と前記上層との間に配置されている、B~B3のうちのいずれか1つの局所用薬学的組成物。
【0309】
B5. 前記遺伝子操作された真菌細胞が、前記底層を通過することができず、前記皮膚治療薬が、前記底層を通過することができる、B4の局所用薬学的組成物。
【0310】
B6. 前記底層が、約2μmの孔径を有する、B4またはB5の局所用薬学的組成物。
【0311】
B7. 前記局所用薬学的組成物が、治療有効量の前記遺伝子操作された生真菌細胞を含む、B~B6のうちのいずれか1つの局所用薬学的組成物。
【0312】
B8. 前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約1×10細胞/ml~約1×1010細胞/mlの前記遺伝子操作された生真菌細胞を含む、B7の局所用薬学的組成物。
【0313】
B9.前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約1pg/mlから及び約200,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、B7またはB8の局所用薬学的組成物。
【0314】
B9-1. 前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約100pg/mlから及び約25,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、B7またはB8の局所用薬学的組成物。
【0315】
B9-2. 前記治療有効量の遺伝子操作された生真菌細胞が、約100pg/mlから及び約10,000pg/mlの前記皮膚治療薬を約24時間以内に発現及び分泌する遺伝子操作された生真菌細胞の量を含む、B7またはB8の局所用薬学的組成物。
【0316】
B10. 前記遺伝子操作された真菌細胞が、対象への投与後少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、前記皮膚治療薬を分泌する、B~B9-2のうちのいずれか1つの局所用薬学的組成物。
【0317】
B11. 前記真菌細胞が、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisである、B~B10のうちのいずれか1つの局所用薬学的組成物。
【0318】
B12. 前記皮膚治療薬が、タンパク質またはその機能的断片である、B~B11のうちのいずれか1つの局所用薬学的組成物。
【0319】
B13. 前記皮膚治療薬が、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、B12の局所用薬学的組成物。
【0320】
B14. 前記皮膚治療薬が、成長因子もしくはその誘導体、または成長因子の阻害剤もしくはその誘導体である、B13の局所用薬学的組成物。
【0321】
B15. 前記成長因子が、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、B14の局所用薬学的組成物。
【0322】
B16. 前記皮膚治療薬が、抗菌及び/または抗炎症ペプチドである、B~B15のうちのいずれか1つの局所用薬学的組成物。
【0323】
B17. 前記抗菌及び/または抗炎症ペプチドが、カテリシジン抗菌ペプチド(LL-37)またはその類似体、RcAlb-PepI、RcAlb-PepII、RcAlb-PepII、ルシフェンシン、ルシフェンシンII、ルシリン、酢酸ペキシガナン(MSI-78)、D2A21/D4E1、グラニュリシン、合成グラニュリシン由来ペプチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、B16の局所用薬学的組成物。
【0324】
C.本開示は、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)薬学的に許容される担体と、を含み、前記第1の皮膚治療薬及び前記第2の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物を提供する。
【0325】
C1. 前記第1の皮膚治療薬及び前記第2の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、Cの薬学的組成物。
【0326】
C2. 前記第1の皮膚治療薬が、成長因子を含み、前記第2の皮膚治療薬が、ケモカインを含む、C1の薬学的組成物。
【0327】
C3. 前記第1の皮膚治療薬が、成長因子を含み、前記第2の皮膚治療薬が、サイトカインを含む、C2の薬学的組成物。
【0328】
D.本開示は、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)薬学的に許容される担体と、を含み、前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、及び前記第3の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物を提供する。
【0329】
D1. 前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、及び前記第3の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、Dの薬学的組成物。
【0330】
E.本開示は、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、(v)薬学的に許容される担体と、を含み、前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、及び前記第4の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物を提供する。
【0331】
E1. 前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、及び前記第4の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、Eの薬学的組成物。
【0332】
F.本開示は、(i)第1の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第1の生真菌細胞と、(ii)第2の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第2の生真菌細胞と、(iii)第3の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第3の生真菌細胞と、(iv)第4の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第4の生真菌細胞と、(v)第5の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第5の生真菌細胞と、(vi)薬学的に許容される担体と、を含み、前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、前記第4の皮膚治療薬、及び前記第5の皮膚治療薬が、異なる、薬学的組成物を提供する。
【0333】
F1. 前記第1の皮膚治療薬、前記第2の皮膚治療薬、前記第3の皮膚治療薬、前記第4の皮膚治療薬、及び前記第5の皮膚治療薬が、独立して、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、Fの薬学的組成物。
【0334】
F2. 第6の皮膚治療薬を発現及び分泌するように遺伝子操作された第6の生真菌細胞を更に含み、前記第6の皮膚治療薬が、成長因子またはその誘導体、サイトカインまたはその誘導体、ケモカインまたはその誘導体、プロテアーゼ阻害剤またはその誘導体、細胞外マトリックスタンパク質またはその誘導体、成長因子の阻害剤またはその誘導体、抗菌及び/または抗炎症ペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、Fの薬学的組成物。
【0335】
G.本開示は、治療を必要とする対象を治療するための方法であって、A~F2のうちのいずれか1つの薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0336】
G1. 前記薬学的組成物が、局所投与のために製剤化される、Gの方法。
【0337】
G2. 前記薬学的組成物が、皮膚状態を治療するため、または美容処置を実行するために、前記対象に投与される、GまたはG1の方法。
【0338】
G3. 前記皮膚状態が、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性障害、炎症性状態、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、G2の方法。
【0339】
G4. 前記皮膚状態が、創傷である、G3の方法。
【0340】
G5. 前記創傷が、糖尿病性潰瘍である、G4の方法。
【0341】
G6. 前記皮膚状態が、感染症である、G3の方法。
【0342】
G7. 前記皮膚状態が、にきびである、G3の方法。
【0343】
G8. 前記皮膚状態が、線維性障害である、G3の方法。
【0344】
G9. 前記線維性障害が、強皮症である、G8の方法。
【0345】
G10. 前記皮膚状態が、水疱性障害である、G3の方法。
【0346】
G11. 前記水疱性障害が、表皮水疱症である、G10の方法。
【0347】
G12. 前記皮膚状態が、炎症性状態である、G3の方法。
【0348】
G13. 前記炎症性状態が、乾癬である、G12の方法。
【0349】
G14. 前記皮膚状態が、血管病変である、G3の方法。
【0350】
G15. 前記皮膚状態が、皮膚癌である、G3の方法。
【0351】
G16. 前記皮膚状態が、色素性乾皮症である、G3の方法。
【0352】
G17. 前記皮膚状態が、色素障害である、G3の方法。
【0353】
G18. 前記遺伝子操作された真菌細胞が、前記対象への投与後少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、前記対象への投与後少なくとも約132時間、少なくとも約144時間、少なくとも約156時間、少なくとも約165時間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、または少なくとも約14日間、前記皮膚治療薬を分泌する、G~G17のうちのいずれか1つの方法。
【0354】
G19. 前記遺伝子操作された真菌細胞が、前記対象への投与後少なくとも約72時間、前記皮膚治療薬を分泌する、G18の方法。
【0355】
G20. 前記薬学的組成物を前記対象に投与することが、前記薬学的組成物を患部に適応することを含む、G~G17のうちのいずれか1つの方法。
【0356】
G21. 前記薬学的組成物が、週に5回以下、週に4回以下、週に3回以下、週に2回以下、週に1回以下適応される、G20の方法。
【0357】
G22. 前記薬学的組成物が、週に3回以下適応される、G21の方法。
【0358】
G23. 前記薬学的組成物が、週に2回以下適応される、G22の方法。
【0359】
H.本開示は、皮膚状態を治療するため、または美容処置を実行するための、A~F2のうちのいずれか1つの薬学的組成物の使用を提供する。
【0360】
H1. 前記皮膚状態が、創傷、感染症、にきび、線維性障害、水疱性障害、炎症性状態、血管病変、皮膚癌、色素性乾皮症、色素障害、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、Hの使用。
【0361】
H2. 前記皮膚状態が、創傷である、H1の使用。
【0362】
I.本開示は、A~F2の薬学的組成物を含む、キットを提供する。
【0363】
J.本開示は、G~G23のうちのいずれか1つの方法を実行するための、キットを提供する。
【実施例
【0364】
以下の実施例は、本明細書に開示された主題の単なる例示であり、決して限定事項とみなされるべきではない。
【0365】
実施例1:皮膚治療薬を発現及び分泌するための酵母の遺伝子修飾
この実施例は、真菌細胞における皮膚治療薬、EGF及びレプチンの発現及び分泌を示す。酵母などの真菌細胞は、細菌細胞よりも優れているため、選択した。具体的には、酵母は大規模に発酵され、乾燥した形態で送達及び保存され、何世紀にもわたって家庭で人間によって安全に使用されてきた。主要な創傷治癒タンパク質因子は、真核生物タンパク質であり、酵母は、哺乳動物細胞内のそれらを模倣するために天然に類似し、かつ操作されたタンパク質折り畳みシャペロン、ジスルフィド結合形成、及び翻訳後機構を有するため、真核生物タンパク質の発現及び分泌に関して細菌よりも優れていることが周知である。酵母は、哺乳動物タンパク質の産生にも理想的であり、精製された哺乳動物タンパク質の大規模な商業生産のために産業界によって数十年間利用されてきた。細菌と同様に、酵母は、実験室で操作するための最も単純で最も強力な生物のうちの1つであり、酵母のために多くの合成生物学的ツールが開発されてきた。
【0366】
Saccharomyces cerevisiae(S.cerevisiae)は、創傷治癒タンパク質因子の送達のために選択されたのは、S.cerevisiaeが単純な単細胞真核生物であるためである。S.cerevisiaeは、実験室でS.cerevisiaeを操作するための成長している合成生物学ツールボックスを含む強力な遺伝子ツールである。S.cerevisiaeは、発酵させ、乾燥させ、非常に大規模に安価かつ迅速に分配することができる。S.cerevisiaeは、真核生物であるため、より良好に適しており、翻訳後修飾された組換えヒトタンパク質の発現、例えばグリコシル化のために更に操作されている。これらの理由から、S.cerevisiaeは、精製されたヒトタンパク質の大規模生産のために産業界で数十年間使用されてきた。加えて、S.cerevisiaeは、多くの細菌とは異なり、概して、安全であると認識されている(GRAS)生物であるため、局所治療薬として理想的である。
【0367】
高コピー酵母プラスミドを、強い構成アルコールデヒドロゲナーゼ1プロモーター(pADH1)、分泌経路のためのシグナルペプチド、N末端FLAGタグ(DYKDDDDK(配列番号10))、及び皮膚治療薬を用いて設計した。以下の皮膚治療薬を、高コピー酵母プラスミドにクローニングした:(1)表2及び3に示されるような、マウスEGF(mEGF)及びヒトEGF(hEGF)、(2)マウスレプチン(mLeptin)及びヒトレプチン(hLeptin)、(3)マウスPDGF(mPDGF)及びヒトPDGF(hPDGF)、ならびに(4)マウスCXCL12(mCXCL12)及びヒトCXCL12(hCXCL12)。表2は、生成されたプラスミド中の皮膚治療薬のアミノ酸及びヌクレオチド配列を提供し、表3は、生成されたプラスミドの要約を提供し、表4は、使用された株の概要を提供する。表5は、プロモーターのヌクレオチド配列を提供し、表6は、シグナルペプチドのアミノ酸及びヌクレオチド配列を提供する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表4】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表6-1】
【表6-2】
【0368】
Saccharomyces cerevisiae株FY251を、pADH1の構成的転写制御下での(1)FLAG-タグ-ヒト組換えEGFキメラ、及び(2)FLAG-タグ-ヒトレプチンキメラの分泌のために、高いコピー数プラスミドで形質転換した。同様に、Saccharomyces cerevisiae株FY251を、マウス及びヒトCXCL12の分泌のために、高いコピー数プラスミドで形質転換した。FY251(MATa leu2Δ1 trpΔ63 ura3-52 his3-200)は、組換えタンパク質を分泌または発現しないため、親酵母株として使用した。酢酸リチウム法の修正版を使用して、酵母細胞を形質転換した。分泌ベクターにおいて、アルファ因子シグナルペプチドのcDNAは、プロモーターと、分泌される皮膚治療薬のcDNAとの間に位置付けられる。形質転換酵母を、標準条件下で24時間、合成完全培地中で成長させ、その後、上清中のタンパク質発現レベルを分析した。定量的ウェスタンブロットを実行して、6XHis-Smt3-FLAGタンパク質の連続希釈を使用して、経時的な分泌タンパク質の濃度を定量し、これをE.coli内で発現させ、Niカラムを使用して精製し、Bradfordアッセイを介して定量した。
【0369】
図3図11A図11B図12A図12B図28A図28B図28C及び図29に示されるように、操作酵母株は、創傷治癒製剤に必要な十分に高い力価でEGF、CXCL12及びレプチンを分泌する。hEGFの濃度は80ng/ml、mEGFの濃度は200ng/ml、hCXCL12の濃度は4,000pg/ml、mCXCL12の濃度は2,000pg/ml、hLEPの濃度は55ng/mlであった。
【0370】
ELISAアッセイを実行して、遺伝子操作された酵母からのmCXCL12、hCXCL12、mLEP、hLEP、mEGF及びhEGFの分泌を更に分析した。マウスCXCL12 ELISA Kit(参照番号:ab100741)、ヒトCXCL12 ELISA Kit(参照番号:ab100637)、マウスEGF ELISA Kit(参照番号:ab234560)、及びヒトEGF ELISA Kit(参照番号:ab100504)をAbcamから入手した。マウスLeptin ELISA Kit(KMC2281)及びヒトLeptin ELISA Kit(KAC2281)は、Fisher Scientific(Invitrogen)から入手した。DYKDDDDK-Tag Protein ELISA Kit(E4700)をBioVisionから入手した。全てのアッセイは、製造業者の指示に従って行った。
【0371】
酵母株を最初に酵母選択培地中で24時間インキュベートして、0.8のODに到達させ、その後、0.1の開始ODまで希釈し、37℃で48時間インキュベートした。試料を、インキュベート後2、5、7、14、24、及び48時間で収集し、ODを測定し、分泌タンパク質を含有する上清を収集し、遠心分離後-20℃で保存した。mEGFの分泌力価を測定するために、yAJ28(pAJ26で形質転換したFY251)から上清を収集し、hEGFの分泌力価を測定するために、yAJ39(pAJ02で形質転換したFY251)から上清を収集し、mCXCL12の分泌力価を測定するために、yAJ36(pAJ37で形質転換したFY251)から上清を収集し、hLEPの分泌力価を測定するために、yAJ27(pAJ25で形質転換したFY251)から上清を収集し、hCXCL12の分泌力価を測定するために、yAJ35(pAJ36で形質転換したFY251)から上清を収集した。全ての試験を、3つの生体複製物において実行し、全ての試料を、低結合性エッペンドルフチューブ内で取り扱い、保存した。ELISAアッセイを実行するために、収集した上清試料を、アッセイキットによって提供される対応する希釈緩衝液中で10~10,000回更に希釈した。図11A及び11Bに示されるように、遺伝子操作された酵母は、それぞれ、高い力価のmCXCL12及びhCXCL12を分泌した。同様に、遺伝子操作された酵母は、それぞれ図12A及び12Bに示されるように、高い力価のmEGF及びhEGFを分泌した。遺伝子操作された酵母はまた、図29に示すように、高い力価のhLEPも分泌した。
【0372】
更なる分析を実行して、48時間の期間、遺伝子操作された酵母の成長を分析した。図13に示されるように、4つの操作酵母は全て、最初の5~6時間は遅滞期にあり、インキュベーションの5~6時間目からインキュベーションの14時間までは対数期にあり、14時間のインキュベーション後に定常期に達する。図11A、11B、12A、及び12Bに示される分泌力価と比較すると、組換えタンパク質の分泌力価は、酵母成長期と相関し、かつ比例している。
【0373】
実施例2:分泌された皮膚治療薬のインビトロでの生物学的活性
この実施例は、形質転換酵母によって発現及び分泌される皮膚治療薬が、インビトロで生物学的に活性であったことを示す。
【0374】
目的の分泌された皮膚治療薬の生物学的活性を検出するために、皮膚線維芽細胞及びケラチノサイト細胞を使用して、精製及び滅菌濾過された分泌タンパク質についてのインビトロ細胞ベースのアッセイを実行した。インビトロ創傷治癒スクラッチアッセイ及びtranswell遊走アッセイを、前述のように実行した。BrdU細胞増殖アッセイを実行し、細胞の増殖に対する標的剤の効果を研究する。
【0375】
分泌されたFLAG-hEGF及びFLAG-LEPキメラタンパク質の生物学的活性を試験するために、操作された酵母株を、30℃で24時間、5mlの選択的培地中でインキュベートした。酵母培養物を遠心分離し、分泌剤を含む上清を収集した。Amicon遠心分離フィルター(3kDa)を使用して、分泌タンパク質を濃縮し、緩衝液交換した。次いで、濃縮溶液をDMEM中で5mlの最終濃度まで希釈した。
【0376】
スクラッチアッセイは、組織培養処理された6ウェルプレート中の原発性皮膚線維芽細胞(PCS-201-010)に対して実行した。播種密度は、ウェル当たり0.3×10個の細胞であり、細胞をDMEM+10%FBS培地中で24時間成長させ、70~80%のコンフルエンシーに達した。遺伝子操作された酵母の上清から得られた精製キメラタンパク質、FLAG-hEGF及びFLAG-LEPを、その後、線維芽細胞に添加した。図4及び図30Aに示すように、hEGF及びhLEPは、培地単独中でインキュベートした細胞と比較して線維芽細胞の遊走を増強した。図4では、Sup 07はyAJ07(hEGF)由来の上清であり、Sup 06はyAJ06(hEGF)由来の上清であり、Sup 34はyAJ34(hLEP)由来の上清である。同様に、hCXCL12は、図30Bに示されるように、培地単独中でインキュベートした細胞と比較して、線維芽細胞の遊走を増強した。
【0377】
追加のスクラッチアッセイを、皮膚治療薬を発現及び分泌する酵母を線維芽細胞と共培養することによって実行した。このアッセイのために、線維芽細胞を48時間インキュベートして、24ウェルプレート中で80%コンフルエンシーに達した。次に、200μlのピペットチップを使用して各ウェルにスクラッチを形成し、細胞を滅菌PBSで洗浄し、新しい成長培地を各ウェルに添加した。次に、細胞培養挿入物(孔径=0.45μm)をウェル内に入れ、線維芽細胞成長培地に溶解した操作酵母を挿入物内に添加した。酵母と線維芽細胞の24時間の共培養後に、スクラッチの閉鎖を監視した。図5Bに示すように、0.12(3.6×10)~0.4(1.2×10)のODでEGF(yAJ06)を分泌する遺伝子操作された酵母は、対照(OD=1の酵母培養物、1ml当たり3×10個の酵母細胞を含有する)と比較して創傷の閉鎖を改善した。
【0378】
細胞増殖アッセイを更に実行して、目的の因子の生体活性を研究した。増殖アッセイは、原発性皮膚線維芽細胞に対して実行した。図31A~31Cに示されるように、遺伝子操作された酵母(それぞれ、yAJ39、yAJ27、及びyAJ35)の上清液由来のhEGF、hLEP、及びhCXCL12は、分泌タンパク質が生物学的に活性であることを確認する対照と比較して、線維芽細胞の増殖を増強し、細胞増殖を促進し、これは、創傷治癒及び皮膚状態の治療にとって重要である。
【0379】
実施例3:酵母ヒドロゲルの生成
この実施例は、酵母ヒドロゲルと創傷床との間の底層を含む生酵母寒天ヒドロゲルの生成を記載する。底層は、酵母から分泌されるタンパク質に対して透過性であるが、酵母細胞に対して透過性ではない。この層は、選択された酵母株が病原性ではなく、GRASであるにもかかわらず、酵母が創傷床に直接接触する可能性を低減する。細孔径0.2μmの親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、PTFEが不活性で生体適合性があり、医学及び医療機器の構築に広く使用されているため、底層に選択された。
【0380】
実施例1からのhEGFを分泌する酵母を選択的培地中で30℃で24時間インキュベートし、次いで遠心分離を介してペーストに組み込んだ。次に、0.7%w/v寒天ヒドロゲルを、このペーストを、滅菌条件下で0.7%w/v寒天(T<40℃)を含有する新たに調製された選択的培地に溶解することによって調製した。0.7%w/v寒天溶液は、周囲温度に達したときにヒドロゲルを形成した(図6)。インビボ実験のための生酵母ヒドロゲル包帯を調製するために、酵母含有寒天溶液をピペットアウトし、オートクレーブ化した親水性PTFE膜(孔径=0.2μm)上で固化させた。
【0381】
寒天ヒドロゲル中の分泌タンパク質の自由拡散を試験するために、生酵母を含有する0.7%w/v寒天スラブを含有する生酵母を、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜の上に30℃で24時間インキュベートした。PVDF膜は、アミノ酸及びタンパク質結合に対して非特異的かつ高い親和性を有し、ヒドロゲルを通って拡散する分泌タンパク質を結合し、固定化することができる。次に、抗FLAG抗体を使用したウェスタンブロットを使用して、タンパク質の拡散を調べた。酵母ヒドロゲルを取り除き、確立されたウェスタンブロットプロトコル及び抗FLAG抗体を使用してPVDF膜を開発した。図6に示すように、分泌されたタンパク質は、24時間の時間枠内に高い力価でヒドロゲルを通過した。これらのデータは、FLAG-hEGF及びFLAG-hLEPが寒天ヒドロゲル中で自由に拡散することができることを示す。
【0382】
同様の実験を上記と同じ条件下で実行したが、PTFE膜を酵母寒天ヒドロゲルとPVDF膜との間に配置した。酵母ヒドロゲル及びPTFE膜を取り除き、PVDF膜を開発した。図7A~Dに示されるように、hEGFは、寒天ヒドロゲルだけでなく、マウスへの適用に必要とされるPTFE膜も容易に通過する。同様に、図7Iに示されるように、LEP及びCXCL12は、ヒドロゲル及びPTFE膜を通して自由に拡散することができる。
【0383】
次に、酵母細胞及び酵母胞子に対する親水性PTFE膜(孔径=0.2μm)の不透過性を分析した。PTFE膜を酵母ヒドロゲルと寒天プレートとの間に挟んだ(図7E)。酵母ヒドロゲル及び寒天プレートは、同じ酵母栄養製剤及び寒天パーセンテージを含有した。このシステムを30℃で24時間インキュベートし、続いて酵母ヒドロゲル及びPTFE膜を取り除き、寒天を30℃で更に48時間インキュベートした。酵母がPTFE膜を通過することができる場合、酵母コロニーは寒天プレート上で成長する。図7F~Hに示すように、72時間の成長後でも、寒天プレート上に酵母コロニーは見られなかった。これらのデータは、PTFE膜が酵母胞子及び細胞に対して透過性ではないことを示す。
【0384】
3層ヒドロゲル包帯を介して分泌されるタンパク質が生物学的に活性であるかどうかを確認するために、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)についてインビトロスクラッチアッセイを実行した。細胞遊走を研究するために通常ボイデンチャンバーアッセイで使用されるウェル挿入物を使用した。HDF細胞を下部チャンバ内で培養し、70~80%のコンフルエンシーに達した後にスクラッチを形成した。その時点で、生酵母包帯を上部チャンバ上に配置し、システムを、24時間インキュベートした後、下部チャンバ内のギャップ(スクラッチ)サイズを測定した。図5Bに示されるように、高濃度では、酵母細胞は、哺乳動物細胞に対して毒性であった。酵母細胞は、その代謝と急速な倍増の結果として、(i)培養培地から栄養素を枯渇させ、したがって哺乳動物細胞の成長を奪い、(ii)経時的に、培養培地のpHを哺乳動物細胞にとってより酸性かつ非理想的にし、(iii)感受性培養哺乳動物細胞に対して毒性であるエタノールを産生するため、この結果は、驚くべきことではなかった。しかしながら、低酵母濃度では、酵母分泌タンパク質因子の生物活性が酵母成長毒性を克服して、哺乳動物細胞の遊走及び増殖速度を向上させたことは驚くべきことであった(図5B)。図5Bに示されるように、1.5×10細胞/ml以下の濃度が、創傷治癒に有益であった。
【0385】
上記の実験の結果に基づいて、3層の生酵母ヒドロゲル包帯を調製した。生酵母ヒドロゲル包帯は、(i)開放性創傷床と外環境との間のバリアとなる外側/接着剤層、(ii)生酵母、栄養素、緩衝液、及び抗生物質などの潜在的な補助活性成分を含む生酵母含有培地(この培地は、分泌創傷治癒因子の拡散を可能にする)、ならびに(iii)分泌因子を創傷床に拡散させることを可能にするが、酵母細胞が皮膚及び創傷床に到達するのを阻止する、生酵母培地と創傷床との間の半透過性層を含む。
【0386】
この実施例では、図8Bに示されるように、生酵母ヒドロゲル包帯は、a)物理的バリアとして機能し、包帯を創傷の上部の所定の位置に保持するのを助ける上部のTEGADERM(商標)フィルム(ポリウレタン膜で構成される)、b)皮膚治療薬をインサイチュで分泌する生酵母ヒドロゲル、ならびにc)創傷床及び酵母ヒドロゲルの境界として位置する0.2μmの孔径を有するPTFE膜、の3つの層とともに含まれた。図7に示されるように、0.2μmの孔径を有するPTFE膜は、分泌タンパク質に対しては透過性であったが、酵母細胞に対しては不透過性であった。
【0387】
実施例4:酵母ヒドロゲル包帯によるマウスの創傷の治療
この実施例は、糖尿病マウスモデルにおける創傷を治療するための実施例3の3層酵母ヒドロゲル包帯(図8Dの概略図)の使用を示す。ストレプトゾトシン(STZ)処置糖尿病マウスは、糖尿病及び創傷治癒研究のための十分に確立されたモデルである。具体的には、STZ投与マウスは、これらのマウスは創傷治癒が損なわれているため、優れたモデルである。
【0388】
実施例3の生酵母製剤の局所投与の効果下での糖尿病性創傷の治癒力学の変化を調べるために、STZ(40mg/kg)を5日間連続して腹腔内注射することによって、8匹のC57BL/6(B6)マウスにおいて糖尿病を誘導した。C57BL/6Jマウス(ストック番号:000664|B6)をJaxから入手した。この間、マウスに水中10%スクロースを与えて、マウスが低血糖になった場合に任意に飲ませ、通常の飼料で維持した。図23に示されるように、STZを投与されたマウスにおいて、経時的な体重及び血糖濃度の増加が観察され、そのようなマウスが首尾よく糖尿病になったことが確認された。
【0389】
マウスを剃毛し、イソフルランを使用して麻酔し、STZ処置の14日後に背中正中線領域に沿って各側に直径8mmの全厚切除創傷を設けた(図8A)。創傷治癒有効性を評価するために、マウスに、PTFE上の陰性対照寒天ヒドロゲルまたはPTFE上のEGF分泌酵母を含む寒天ヒドロゲルのいずれかを局所投与した(図8B~8C)。TEGADERM(商標)包帯をヒドロゲルの上部に使用して、製剤を所定の位置に保ち、自然な皮膚収縮を防止した。
【0390】
8匹のマウスのうちの5匹において、TEGADERM(商標)包帯は、3日間を超えて所定の位置には留まらなかった。この結果、創傷表面は空気に対して開放されたままであり、酵母処置または対照処置の局所包帯が外れ、治癒及び新しい皮膚層の形成のためではなく、自然な皮膚収縮の結果として創傷閉鎖をもたらした。これらの5匹のマウスからのデータを考慮せず、TEGADERM(商標)を所定の位置に維持した残りの3匹のマウスの創傷からのデータを分析した。創傷状態及びマウスのウェルビーイングを24時間ごとに監視し、既存の包帯を取り外し、皮膚を洗浄した後、新しい製剤/包帯を各マウスに毎日適用した。各マウスの写真を毎日撮影し、i)古い包帯を除去する前、及びii)古い包帯を取り外した後の各創傷部位を撮影して、創傷面積を定量した。創傷閉鎖は、0日目と比較した創傷面積の相対変化として表した。手術後8日目に、動物を安楽死させ、創傷を切除し、組織学的評価のために採取した。
【0391】
図9A~9Bに示されるように、トランスジェニックEGF分泌酵母の局所適用は、処置されたマウスにおいて、いかなる感染症、炎症、または過酷な免疫応答も引き起こさなかった。加えて、生酵母創傷治癒製剤は、糖尿病マウスにおける創傷治癒を増強した。
【0392】
対照寒天の局所適用と比較して、トランスジェニック酵母の局所適用から生じる創傷修復の質を評価するために、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色を、実験の8日目に切除されたマウス創傷に対して実行した。図10のH&E染色からの画像は、細胞増殖、コラーゲン形成、堆積、及び再上皮化に関する情報を提供した。H&E染色された切片の結果は、対照(図10B)と比較して、EGF分泌酵母処理を用いた試料(図10A)において、より良い細胞増殖、動員、及びより秩序正しい組織パターンを示した。
【0393】
これらのデータは、以下のことを示している。(i)操作酵母は、ヒドロゲル製剤において高力価で創傷治癒因子を分泌することができ、(ii)分泌因子は、ヒドロゲル中で自由に拡散することができ、(iii)因子は、PTFE膜を通して拡散することができ、(iv)PTFE膜は、酵母細胞及び酵母胞子の両方に対して不透過性であり、(v)生酵母ヒドロゲル製剤は、背側マウス創傷上の局所適用に使用することができ、(vi)酵母の局所適用は、マウス及び創傷部位において感染症、炎症、または徹底的な免疫応答を引き起こさず、(vii)両側的に傷をつけられたマウスにおける創傷治癒進行を定量し、制御し、処置された創傷を同じマウスで比較することができ、(viii)操作酵母ヒドロゲル包帯の局所適用は、糖尿病マウスにおける創傷治癒を加速させることができる。
【0394】
実施例5:創傷病変の全トランスクリプトーム分析
この実施例は、創傷治癒プロセス全体を通して異なる時点での創傷病変からのmRNAの分析を提供する。この分析は、どの経路が活性化され、どのプロセスが抑制されるかを決定することによって、適用された製剤の作用機構に関する情報を提供し、より高い解像度で治癒プロセスのより深い理解を与える。
【0395】
創傷/組織試料を、(病変のパラホルムアルデヒド固定の前に)mRNA配列決定のために切断する。試料を均質化し、mRNAを、確立されたポリ(A)選択に続いて、総RNAから濃縮する。Illumina TruSeq RNA prep kitをライブラリ調製に使用し、Illumina Hiseq2000を配列決定に使用する。ヒトゲノムは、リードをマッピングするための参照として使用される。遺伝子発現データは、アノテーション、視覚化、及び統合された発見(DAVID)のためのデータベースを使用して、ゲノム情報及び遺伝子セット濃縮を外挿することによって、シグナル伝達経路の形態で評価される。これは、各トランスジェニック酵母製剤及びトランスジェニック酵母によって分泌される各創傷治癒因子の局所適用に応答して、通常の条件と比較してどの経路活性が上方/下方調節されるかを例証する。
【0396】
実施例6:酵母群集
創傷治癒のための生酵母ヒドロゲル製剤の主な利点は、合成生物学の分野の進歩に起因する設計のモジュール性である。相補的経路を介して作用する2つまたは3つの創傷治癒因子の共送達は、製剤を使用して、全体的な創傷治癒を改善することができる。例えば、PDGF結合及び二量体化時のPDGFRのリン酸化は、PLCγ、PI3K及びいくつかのMAPK経路を誘発し、ErbB1へのEGF結合は、細胞型に応じて、MAPK/ERK1/2、PI3K、Rac-及びERK依存性経路の活性化をもたらす。LEPへの結合時のLEPRの活性化は、JAK-STAT、PI3K/AKT、及びERK1/2経路を誘発し、CXCR4へのCXCL12の結合は、Erk/ELK、AP-1、及びJAK-STAT経路を活性化させる。
【0397】
それぞれが異なる皮膚治療薬を分泌する少なくとも2つの酵母株または2つ以上の創傷治癒因子を分泌する酵母株を含む酵母群集は、皮膚状態を治療するためのより多くの創傷治癒シグナル伝達経路を刺激するために投与され得る。例えば、EGFとCXCL12またはPDGFとレプチンの同時送達は、より多くの創傷治癒シグナル伝達経路を活性化させることができる。図18に示されるように、mEGF分泌酵母及びmCXCL12分泌酵母の混合物を含有する酵母群集で処置した28mmの創傷は、対照ヒドロゲルで処置した創傷よりもはるかに速く治癒した。同様に、初期サイズが40mmの創傷について、酵母群集(mEGF分泌酵母及びmCXCL12分泌酵母の混合物)による処置は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりもはるかに速く治癒させた(図19C及び19D)。これらの結果は、酵母群集で処置した創傷が、1つの組換え創傷剤分泌酵母株のみで処置した創傷よりも良好で安定した治癒率を有することを示す(図19D)。
【0398】
実施例7:糖尿病マウスの創傷の治療
CXCL12またはEGFを発現及び分泌する遺伝子操作された酵母を適用して糖尿病マウスの創傷を治療する有効性を分析するための追加の実験を実行した。15匹のSKH1-Eliteマウス(皮膚科学研究で頻繁に使用される無毛マウス)をSTZで処置して、実施例4に記載されるように糖尿病を誘発した。2週間後、図14に示されるように、5mm生検パンチを使用して、各マウスの背部に4つの切除創傷を作成し、18mm~50mmの範囲切除創傷を合計60個生成した。10匹のマウスについて、各マウスにおいて、1つの創傷をmEGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で、1つをmCXCL12分泌ヒドロゲル包帯で、1つを酵母群集(mEGF分泌酵母及びmCXCL12分泌酵母の混合物)を含有するヒドロゲル包帯で、及び対照寒天ヒドロゲル包帯で処置した。5匹のマウスについて、各マウスにおいて、実施例4に記載されるように、1つの創傷を、ヒドロゲル包帯に溶解した精製組換えmEGF(100ng/ml)で処置し、1つの創傷を、ヒドロゲル包帯に溶解した精製組換えmCXCL12(100ng/ml)で処置し、1つの創傷を、ヒドロゲル包帯に溶解した精製組換えmEGF(100ng/ml)及び精製組換えmCXCL12(100ng/ml)の両方の混合物で処置し、1つの創傷を、対照酵母ヒドロゲル包帯で処置した。
【0399】
初期サイズが24mmの創傷の場合、mEGF分泌酵母ヒドロゲルまたはmCXCL12分泌酵母ヒドロゲルによる処置は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりも速くかつ良好に治癒した(図15A~15B)。加えて、ヒドロゲル中の精製組換えmEGF(100ng/ml)またはヒドロゲル中の精製組換えmCXCL12(100ng/ml)で処置した創傷も、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりも速く及び良好に治癒した(図15A~15B)。また、図15Aに示すように、ヒドロゲル中の精製組換えmEGF(100ng/ml)で処置した創傷よりも、mEGF分泌酵母ヒドロゲルで処置した創傷の方が早く治癒した。同様に、図15Bに示すように、ヒドロゲル中の精製組換えmCXCL12(100ng/ml)で処置した創傷よりも、mCXCL12分泌酵母ヒドロゲルで処置した創傷の方が早く治癒した。
【0400】
mCXCL12分泌酵母の有効性を、mEGF分泌酵母と比較した。図16Aに示すように、初期サイズが24mmの創傷については、mEGF分泌酵母による処置は、mCXCL12分泌酵母で処置した創傷よりも早く治癒させた。同様に、組換えmEGFで処置した創傷は、組換えmCXCL12で処置した創傷よりも速く治癒した(図16B)。初期サイズが28mmの創傷については、mEGF分泌酵母ヒドロゲルまたはmCXCL12分泌酵母ヒドロゲルによる処置は、対照寒天ヒドロゲルで処置した創傷よりも速く治癒させた(図17A)。加えて、組換えmEGFを受けた創傷は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりも早く治癒し(図17B)、対照酵母ヒドロゲルで処置した創傷は、寒天ヒドロゲルを受けた創傷よりもわずかに速く治癒した(図17C)。
【0401】
更なる実験を実行して、2つ以上の皮膚治療薬の投与の有効性を分析した。図18に示すように、mEGF分泌酵母及びmCXCL12分泌酵母の混合物を含有する酵母群集で処置した創傷は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりもはるかに速く治癒した。両方の組換え因子の混合物(組換えmEGF(100ng/ml)及び組換えmCXCL12(100ng/ml)の混合物)で処置した創傷は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりもはるかに速く治癒する(図18)。
【0402】
初期サイズが40mmの創傷の場合、mEGF分泌酵母ヒドロゲルまたはmCXCL12分泌酵母ヒドロゲルによる処置は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりも速く良好に治癒させた(図19A~19B)。加えて、酵母群集(mEGF分泌酵母とmCXCL12分泌酵母の混合物)で処置した創傷は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりもはるかに早く治癒した(図19C及び19D)。酵母群集で処置した創傷は、1つの組換え創傷剤分泌酵母株のみで処置した創傷よりも良好で安定した治癒率を有した(図19D)。
【0403】
初期サイズが50mmの創傷について、全厚創傷に関する4つの異なる条件(各群についてn=4)を試験した。試験群は、(i)mEGF分泌酵母を含有するyAJ28-ヒドロゲル包帯、(ii)mCXCL12分泌酵母を含有するyAJ36-ヒドロゲル包帯、(iii)FY251-ヒドロゲル包帯(我々の対照生酵母ヒドロゲル包帯)、及び(iv)酵母を含有しない寒天-ヒドロゲル包帯であった。図24は、EGF分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置した創傷が、対照酵母ヒドロゲル包帯で処置した創傷よりもはるかに速く治癒したことを示す。同様に、図25は、CXCL12分泌酵母ヒドロゲル包帯で処置した創傷も、対照酵母ヒドロゲル包帯で処置した創傷よりも早く治癒することを示す。
【0404】
初期サイズが60mmの創傷の場合、mEGF分泌酵母ヒドロゲルまたはmCXCL12分泌酵母ヒドロゲルによる処置は、対照ヒドロゲルを受けた創傷よりも速く良好に治癒させた(図20A~20B)。図20Cに提供されるデータは、対照酵母ヒドロゲルを受けた創傷の治癒を対照寒天ヒドロゲルと比較する。対照酵母は、mCherry蛍光タンパク質を発現するが、いかなる組換えタンパク質も分泌しない。
【0405】
mCXCL12分泌酵母で処置した糖尿病マウスにおける創傷治癒プロセスのタイムラインは、各時点において、mCXCL12分泌酵母ヒドロゲルを受けた創傷が、対照で処置した創傷よりも早く治癒することを示した(図21A)。同様に、mEGF分泌酵母で処置した糖尿病マウスにおける創傷治癒プロセスのタイムライン中の各時点において、創傷は、対照で処置した創傷よりも早く治癒した。
【0406】
異なる治癒段階のタイミング及び治癒の異なる段階での細胞プロセスの質を更に研究するために、例えば、適切な治癒を確認するために、トランスジェニック酵母創傷病変の局所適用の結果を、染色のために収集し、各マウス研究群から免疫組織化学(IHC)分析を異なる時点(2日目、4日目など)で実行した。
【0407】
これらの創傷病変を異なる時点で収集するために、各群からのマウスを、瘢痕化後の創傷病変の切除のために無作為に選択した。選択されたマウスは、将来の時点のために実験から外れた。創傷病変を、DAPI染色、ならびにK14染色、K10染色、ロリクリン、ファロジン、Ki67染色及びCD31染色に基づくIHC分析で評価した。Ki67染色を使用して、創傷部位での細胞増殖を視覚化し、CD31免疫染色(病変内のマクロファージを標的とする)を使用して、創傷部位での動物の炎症応答を分析した。K14を基底ケラチノサイトの研究に使用し、K10を基底上ケラチノサイトの研究に使用し、ロリクリンを顆粒層及び角質化層の研究に使用し、Ki47を増殖細胞の研究に使用し、ファロイジンをF-アクチン細胞骨格の研究に使用した。
【0408】
K5、K10及びK14染色は、EGF分泌酵母ヒドロゲル包帯及びLEP分泌ヒドロゲル包帯で処置した創傷が、対照ヒドロゲル包帯で処置した創傷よりも表皮が厚いことを示した(図33~35)。ロリクリン染色は、全ての処理条件において角質化層の適切な形成を示す(図36)。CD31染色は、組換えタンパク質ヒドロゲル包帯で処置した創傷が最高の血管形成密度を含み、対照酵母ヒドロゲル包帯で処置した創傷が最小量の血管形成を有したことを示した(図33)。同様に、EGF分泌酵母で処置した創傷は、LEP分泌酵母で処置した創傷よりも良好な血管形成を有した(図33)。
【0409】
各処置の治癒率に対する初期創傷サイズの効果を視覚化するために、初期創傷サイズの群についての創傷サイズの進行または各処置をグラフ化した。予想通り、より小さな創傷サイズ(24mm)の創傷は、より大きな初期創傷サイズ(40mm)の創傷よりもはるかに速く治癒した(図26A~26D)。
【0410】
開示された操作酵母で処置した創傷の治癒の増強が、皮膚収縮(ヒトではなくマウスでの創傷治癒中に起こる)ではなく、細胞増殖及び細胞遊走の増加などの機構から生じることを確実にするために、ヒドロゲル創傷包帯を、副木を施した(splinted)創傷モデルに配置した。6つの異なる包帯を試験した:50mmの切除創傷(各創傷がその周囲に縫合された医療グレードのシリコーンリング(副木)で支持されている)上の、(i)yAJ28-ヒドロゲル包帯(EGF分泌酵母)、(ii)yAJ30-ヒドロゲル包帯(LEP分泌酵母)、(iii)FY251-ヒドロゲル包帯(対照酵母)、(iv)寒天-ヒドロゲル包帯、(v)rmEGFヒドロゲル包帯、及び(vi)rmLEPヒドロゲル包帯(図32A)。以前の実験と同様に、SKH-1マウスは、STZ処置され、傷をつける前に安定して糖尿病であり、各マウスの背部に2つの全厚創傷を作成した。各試験群を8回繰り返して研究した。結果(図32A~32B)は、操作酵母包帯(yAJ28またはyAJ30を含有する)で処置した創傷が、対照酵母包帯で処置した創傷よりも急速に縮小したことを示した。更に、操作酵母包帯で処置した創傷は、100ng/mlの組換えタンパク質を含有する包帯で処置した創傷よりもわずかに速く閉鎖した。更に、この研究(副木を施した創傷)では、治癒プロセス中に切除創傷の上部に外層の形成が観察された。この層は、創傷後1日目~5日目に形成された。特定の理論に限定されることなく、この層は、肉芽組織またはかさぶたのいずれかであり得る。興味深いことに、この層は、寒天ヒドロゲル包帯または対照酵母ヒドロゲル包帯で処置した創傷よりも、操作酵母ヒドロゲル包帯(yAJ28またはyAJ30を含有する包帯)で処置した創傷で早く出現した。特定の理論に限定されることなく、この層の形成は積極的な治癒の兆候であり得る。
【0411】
更なる分析を実行して、ヒドロゲル中に存在する酵母がヒドロゲルから創傷床を通って、処置したマウスの血流に拡散したかどうかを決定した。処置からの酵母が創傷床を介してマウスの身体に拡散した場合、それは血液中に存在し、対照酵母がmCherryを発現するため、mCherry蛍光を測定することによって検出することができる。8日間の処置後、mCherry酵母対照ヒドロゲルで処置した4匹のマウスの顎下静脈から100μlの血液を採取し、血液を5mlの酵母成長培地中で混合し、30℃で24時間及び48時間インキュベートし、各時点で蛍光を測定した。図22に示されるように、mCherry蛍光は、マウス血液試料から検出されず、酵母が創傷床を介して循環に入らなかったことを確認した。
【0412】
この実施例で実行された実験の結果は、操作された生酵母包帯で処置した創傷が、対照包帯で処置した創傷よりも早く治癒することを示す。加えて、処置した組織の染色は、操作された生酵母ヒドロゲル包帯の適用が、創傷床、新しく形成された皮膚層、及び治癒プロセス全体の顕微鏡レベルの改善をもたらすことを示す。
【0413】
実施例8:乾癬の治療
乾癬は、Th1/Th2バランスの調節解除によって引き起こされる典型的な自己免疫疾患であり、乾癬に対する免疫療法は、臨床的に有効であることが示されている。血管内皮成長因子(VEGF)は、血管新生の強力なメディエーターである。乾癬療法には、典型的には、抗体ベースまたは融合タンパク質ベースの生物学的療法が含まれる。これらには、T細胞機能を妨害する生物学的作用物質、TNF-αアンタゴニスト、抗IL-17作用物質、ならびにIL-12及びIL-23の相互サブユニットp40を結合することによってそれらの作用を防止する作用物質が含まれる。
【0414】
この実施例は、乾癬の治療のためのIL-4の使用を示す。IL-4は、129アミノ酸のタンパク質であり、2つのアルギニン残基(38位及び105位)でグリコシル化され、3つのジスルフィド結合を含む。IL-4は、IL-4を発現及び分泌するように遺伝子操作された局所適用される酵母によって、患部に局所投与される。IL-4を発現及び分泌するために、酵母は、強い構成アルコールデヒドロゲナーゼ1プロモーター(pADH1)または他の酵母プロモーター、酵母アルファ因子プレプロシグナルペプチドなどの分泌経路のためのシグナルペプチド、及びIL-4をコードする遺伝子で設計された高コピー酵母プラスミドで形質転換される。タンパク質分泌及び分泌力価を研究するために、ウェスタンブロッティング及びELISAアッセイを利用する。生物学的活性を評価するために、細胞増殖アッセイは、TF-1ヒトまたはマウス赤白血病細胞を使用して実行される。
【0415】
実施例9:表皮水疱症の治療
表皮水疱症は、皮膚の構造タンパク質の遺伝的欠陥によって引き起こされる障害のファミリーであり、皮膚及び粘膜が異常に脆弱になり、簡単に破れて水疱を形成する。米国表皮水疱症登録簿(National Epidermolysis Bullosa Registry)を通じて収集された統計に基づいて、米国では100万人の生児当たり20人の新生児にEBが発生すると推定されている。EB有病率は、1/18,000生児と推定される。EBを持つ人の正確な数は不明であるが、米国では25,000~50,000人がEBを持っていることが推定されている。
【0416】
表皮水疱症の主な種類には、単純性表皮水疱症、半接着斑表皮水疱症(hemidesmosomal epidermolysis bullosa)、接合部型表皮水疱症、及び栄養障害型表皮水疱症が含まれる。劣性栄養障害型EB(RDEB)として知られるEBの1つの特に重篤な形態は、VII型コラーゲンと呼ばれるタンパク質をコードする遺伝子が欠損または欠失している場合に生じる。このタンパク質がなければ、皮膚の2つの主な層は真皮・上皮接合部(DEJ)に適切に接着せず、分離する傾向があり、水疱及び感染症のリスクを引き起こす。
【0417】
この実施例は、EBの治療のためのVII型コラーゲンの使用を示す。VII型コラーゲンは、VII型コラーゲンを発現及び分泌するように遺伝子操作された局所適用される酵母によって、患部に局所投与される。
【0418】
実施例10:皮膚線維症及び強皮症の治療
皮膚線維症は、皮膚制限性障害及び全身性障害で一般的に見られる重篤な臨床状態である。皮膚線維症治療の目標は、過剰な量の細胞外マトリックスを産生する異常に活性化された皮膚線維芽細胞の回復である。皮膚線維症は、TGF-β1のペプチド阻害剤で治療することができる。ペプチド阻害剤は、アミノ酸配列TSLDASIIWAMMQN(配列番号9)またはTSLDASIIWAMMQNA(配列番号12)を有することができる。
【0419】
酵母を、TDH3プロモーターの制御下でTSLDASIIWAMMQを発現するように遺伝子操作し、プレプロ(Kex2)シグナルペプチドを使用して細胞から分泌させた。TSLDASIIWAMMQNA(配列番号12)をコードするヌクレオチド配列は、ACTTCATTAGACGCCTCAATAATCTGGGCGATGATGCAGAATGCT(配列番号59)である。
【0420】
この実施例は、皮膚線維症及び強皮症を治療するためのTGF-β1のペプチド阻害剤の使用を示す。アミノ酸配列TSLDASIIWAMMQN(配列番号9)またはTSLDASIIWAMMQNA(配列番号12)を有するTGF-β1のペプチド阻害剤は、このペプチドを発現及び分泌するように遺伝子操作された局所適用される酵母によって、患部に局所投与される。
【0421】
実施例11:真菌感染症及び酵母感染症の治療
酵母を、ADH1プロモーターの制御下でRcALB-PepIを発現するように遺伝子操作し、交配因子アルファ-1を使用して細胞から分泌させて、真菌、例えば、酵母感染症を治療した。RcALB-PepIのアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列GCTAAATTGATTCCAACTATTGCTTTGACT(配列番号60)によってコードされるAKLIPTIAL(配列番号55)である。
【0422】
実施例12:細菌感染症の治療
酵母を、ADH1プロモーターの制御下で酢酸ペキシガナン(MSI-78)を発現するように遺伝子操作し、交配因子アルファ-1を使用して細胞から分泌させて、細菌感染症を治療した。遺伝子操作された酵母によって発現される酢酸ペキシガナン(MSI-78)のアミノ酸配列は、GGTATTGGAAAATTTTTGAAGAAAGCTAAAAAGTTTGGTAAGGCTTTTGTAAAAATACTGAAAAAGGGT(配列番号64)によってコードされるGIGKFLKKAKKFGKAFVKILKKG(配列番号56)である。
【0423】
実施例13:にきびの治療
酵母を、TDH3プロモーターの制御下でメリチンを発現するように遺伝子操作し、Pre-Pro-(Kex2)シグナルペプチドを使用して酵母細胞から分泌させて、にきびを治療した。遺伝子操作された酵母によって発現されるメリチンのアミノ酸配列は、GGGATTGGGGCCGTGTTGAAAGTTCTTACGACTGGTTTACCGGCCCTAATCTCATGGATCAAAAGGAAGAGGCAGCAG(配列番号61)によってコードされるGIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号53)である。
【0424】
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【0425】
本出願を通して引用された全ての図面、ならびに全ての参考文献、特許、及び公開特許出願、ならびに受託番号の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
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図12B
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図16A
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図26C
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図27A
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図29
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【国際調査報告】