(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-24
(54)【発明の名称】取り外し可能なカプセルを備えたバックル留め具
(51)【国際特許分類】
A44C 5/18 20060101AFI20241017BHJP
A63B 57/35 20150101ALI20241017BHJP
【FI】
A44C5/18 A
A63B57/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525770
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022079476
(87)【国際公開番号】W WO2023072782
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524157970
【氏名又は名称】エルヴイエムエイチ スイス マニュファクチャーズ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タトン,ローラン
(57)【要約】
本発明は、ブレスレット用のバックル留め具システム(1)に関し、バックル留め具システム(1)は、ゴルフボールマーカ(60)をさらに備え、第2の部品(12)は、厚みを有する上部(51)と下部(52)とを有するカバー(50)を有し、カバー(50)は、上部(51)の厚み内に配置された、ハウジングを備える。ハウジングは、カバー(50)の下部(52)に対応する平坦な底部を有し、ハウジングは、ゴルフボールマーカ(60)を収容するように構成され、ゴルフボールマーカ(60)は、ハウジングに対応する形状を有し、システムは、クランプ手段をさらに備え、クランプ手段は、磁気的および/または機械的なクランプを提供し、ハウジング内にゴルフボールマーカ(60)を保持するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのストランドを有するブレスレットとバックル留め具システム(1)とを備える腕時計であって、
前記バックル留め具システム(1)は、第1のストランドに取り付けられるように適合され、拘束手段を有する第1の部品(11)と、前記拘束手段と相補的な取り付け手段を有する第2の部品(12)とを備え、前記ブレスレットをユーザの手首に取り付けることを可能にするために、前記第2の部品(12)を前記バックル留め具システム(1)の前記第1の部品(11)に固定し、
前記バックル留め具システム(1)は、ゴルフコース上のゴルフボールの位置をマークするように適合され、取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)をさらに備え、
前記第2の部品(12)は、厚みを有する上部(51)と下部(52)とを有するカバー(50)を有し、
前記カバー(50)は、前記上部(51)の厚み内に配置されたハウジング(530)を備え、
前記ハウジング(530)は、前記カバー(50)の前記下部(52)に対応する平坦な底部(531)を有し、
前記ハウジング(530)は、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)を収容するように構成され、
前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)は、前記ハウジング(530)に対応する形状を有し、
前記バックル留め具システム(1)は、クランプ手段をも備え、
前記クランプ手段は、磁気的および/または機械的なクランプを確保し、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)を前記ハウジング(530)内に保持するように構成される、腕時計。
【請求項2】
前記クランプ手段は、前記カバー(50)の前記下部(52)のマスにおいて、前記ハウジング(530)の前記底部(531)の縦軸に対応する方向に、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)を並進案内するための、長手方向に配置された案内するためのレール(540)を備え、これにより、第1の並進方向では、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)を前記ハウジング(530)内に案内し、前記第1の並進方向とは反対の第2の並進方向では、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)の取り出しを可能にし、前記ユーザがそれを把持できるようにする、請求項1に記載の腕時計。
【請求項3】
前記案内するためのレール(540)は、前記カバー(50)の前記下部(52)のマスにおいて、2つの側面の前記マスにおいて前記ハウジング(530)に対向する範囲に刻まれており、前記レールは、前記ハウジング(530)の前記底部(531)の前記縦軸に平行であり、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)は、前記レール(540)内を摺動可能な合わせ溝(640)を備える、請求項2に記載の腕時計。
【請求項4】
前記クランプ手段は、2つの溝(510)と対応する2つのラグとを有し、前記ラグは、マッシュルーム形状を有し、前記2つの溝(510)は、前記カバー(50)の2つの平行な側面に配置され、前記2つのラグは、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)の2つの平行な面に設けられ、またはその逆に、前記2つの溝は、前記ゴルフボールマーカ(60)の2つの平行な側面に配置され、前記2つのラグは、前記カバー(50)の2つの平行な面に設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項5】
前記クランプ手段は、前記ハウジング(530)内の前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)の磁気的なクランプを提供し、前記ハウジング(530)の前記底部(531)に配置された少なくとも1つの磁石(501、601)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁石は、前記ハウジング(530)の前記底部(531)の中央横軸からオフセットされている、請求項5に記載の腕時計。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁石(501、601)は、前記ハウジング(530)の前記底部(531)の中央横軸に整列されている、請求項5に記載の腕時計。
【請求項8】
前記少なくとも1つの磁石(501、601)は、樹脂に埋め込まれている、請求項5から7のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁石(501、601)は、240gと320gとの間の吸引力を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項10】
前記ハウジング(530)の前記底部(531)に設けられ、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)の下面に設けられた追加の拘束手段と協働する、ボールまたは突起(70)のいずれかの拘束手段を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項11】
前記ハウジング(530)は、プロファイルされた矩形の平行六面体の形状を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項12】
前記バックルは、展開バックルタイプであり、前記バックルの前記第2の部品(12)は、前記第1の部品(11)に回動自在に取り付けられている、請求項1から11のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項13】
前記バックル留め具システムの前記第2の部品(12)は、前記第1のストランドのための通路と、少なくとも1つの頭部と、前記第1の部品(11)に対して前記第2の部品(12)を解放する手段とを備える、請求項12に記載の腕時計。
【請求項14】
前記ハウジング(530)の上流にある前記ブレスレットの前記ストランドの1つは、前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)を取り出す際に前記取り外し可能なゴルフボールマーカ(60)を偏向させるように適合された偏向リブ(81)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の腕時計。
【請求項15】
前記腕時計は、計算電子手段とメモリ空間、およびデジタルデータネットワークへの接続手段を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレスレット留め具、より具体的にはバックル留め具、例えば折り畳み式バックルタイプ、特に時計バンド用の留め具の分野に関する。本発明によるバックルブレスレット留め具は、機械式腕時計、クォーツ式腕時計、又はコネクテッドウォッチに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ブレスレット、特に時計バンドのようなブレスレット用の留め具を対象としており、ブレスレットは、バックルタイプの留め具に取り付けられた2本のストランドを有する。
【0003】
既知のように、バックル留め具は、ユーザが留め具の開いた位置でブレスレットを手首に通し、次に留め具の取り付けられた位置で手首が十分に固定されるようにバックルを手首の周りで閉じることを可能にする。このような留め具は、折り畳み式バックルタイプであってもよい。この場合、留め具は、互いに対してピボットで取り付けられた少なくとも2つの部品を有する。折り畳み式バックル留め具の2つの部品は、ブレスレットに取り付けられ、閉じたブレスレットを形成する。留め具を装着位置に移動させるために、留め具の第1の部品は、例えばユーザの手首に寄りかかることによってブレスレットの連続部に保持され、留め具の第2の部品は、留め具の第1の部品に合うまでピボット回転する。第2の部品は、追加の拘束手段によって第1の部品に固定される。このようにして、ブレスレットはユーザの手首に取り付けられる。バックルの両側にある例えばプッシュボタンなどの形態の解除手段により、留め具を開いた位置に戻すことができる。
【0004】
腕時計の場合、ブレスレットは2本のストランドの一端が時計ケースに、もう一端が留め具の2つの部品のうちの一方に取り付けられている。
【0005】
また、多くのゴルファーがスマートウォッチなどの腕時計を身に着けて練習していることはよく知られている。ゴルフのラウンドでは、ストローク後にボールの位置をマークし、次のストロークでまったく同じ位置にボールを置くことができるようにする必要がある。
【0006】
この目的のために、プレーヤーはゴルフボールマーカを使用する。ここで論じる問題は、特にゴルフボールマーカの機能に関するものである。ゴルファーにとって、このようなゴルフボールマーカを携帯することには制約がある。
【0007】
解決手段として、本発明は、留め具内に配置されたハウジングに収容された、そのようなゴルフボールマーカを組み込んだバックル留め具システムを提案し、ボールマーカは、取り外し可能であり、有利には、ハウジング内で把持および交換が容易である。より一般的には、本発明によるバックル留め具は、取り外し可能なカプセル、特にゴルフボールマーカを携帯することを可能にし、このカプセルは、ユーザが留め具に設けられた凹部において、取り出してハウジングに再び挿入することができる。
【0008】
本発明による留め具において、取り外し可能なカプセル、特にゴルフボールマーカの一体化に関する特性は、有利には、留め具自体の閉鎖手段から独立している。
【発明の概要】
【0009】
具体的には、本発明は、2本のストランドを有するブレスレットと、バックル留め具システムとを備える腕時計に向けられており、前記バックル留め具システムは、第1のストランドに取り付けられるように適合され、拘束手段を有する第1の部品と、前記拘束手段の追加固定手段を有する第2の部品とを備え、前記第2の部品を前記バックル留め具システムの前記第1の部品に固定することにより、前記ブレスレットをユーザの手首に取り付けることができ、前記バックル留め具システムは、取り外し可能なカプセル、特に、ゴルフコース上のゴルフボールの位置をマークするように適合された取り外し可能なゴルフボールマーカをさらに備え、前記第2の部品は、厚みを有する上部と下部とを有するカバーを有し、前記カバーは、上部の厚み内に嵌め込まれた、ハウジングを備え、前記ハウジングは、前記カバーの前記下部に対応する平坦な底部を有し、前記ハウジングは、前記取り外し可能なゴルフボールマーカを収容するように構成され、前記取り外し可能なゴルフボールマーカは、前記ハウジングに対応する形状を有し、前記バックル留め具システムは、クランプ手段をさらに備え、前記クランプ手段は、磁気的および/または機械的なクランプを確保し、前記取り外し可能なゴルフボールマーカを前記ハウジング内に保持するように構成される。
【0010】
バックル留め具のカバー内のゴルフボールマーカハウジングの位置と、磁気的および/または機械的なクランプ手段とは、ユーザの手首の湾曲に適合するように設計されたブレスレットのバックル留め具にゴルフボールマーカを一体化し、ハウジングからゴルフボールマーカを頻繁に抜き差しする通常の使用に適している。
【0011】
ゴルフボールマーカは、ゴルフコースでゴルフボールの位置をマークするのに適している。
【0012】
一実施形態によれば、前記クランプ手段は、前記カバーの前記下部のマスにおいて、前記ハウジングの前記底部の縦軸に対応する方向に、前記ゴルフボールマーカを並進案内するための、長手方向に配置された案内するためのレールを備え、これにより、第1の並進方向では、前記ゴルフボールマーカを前記ハウジング内に案内し、前記第1の並進方向とは反対の第2の並進方向では、前記ゴルフボールマーカの取り出しを可能にし、前記ユーザがそれを把持できるようにする。
【0013】
特に、前記案内するためのレールは、前記カバーの前記下部のマスにおいて、2つの側面の、前記ハウジングに対向する範囲に刻むことが可能で、前記レールは、前記ハウジングの前記底部の前記縦軸に平行であり、前記ゴルフボールマーカは、前記レール内の摺動に適した合わせ溝を有する。
【0014】
別の実施形態によれば、前記クランプ手段は、2つの溝と対応する2つのラグとを備え、前記ラグは、マッシュルーム形状を有し、前記2つの溝は、前記カバーの2つの平行な側面に配置され、前記2つのラグは、前記ゴルフボールマーカの2つの平行な面に設けられ、またはその逆に、前記2つの溝は、前記ゴルフボールマーカの2つの平行な側面に配置され、前記2つのラグは、前記カバーの2つの平行な面に設けられる。
【0015】
一実施形態によれば、前記クランプ手段は、前記ハウジング内の前記ゴルフボールマーカの磁気的なクランプを提供し、前記ハウジングの前記底部に配置された少なくとも1つの磁石を備える。
【0016】
特に、前記少なくとも1つの磁石は、時間の経過とともに腐食しないように樹脂、特にエポキシ樹脂に埋め込まれている。前記少なくとも1つの磁石の吸引力は、特にこの場合、240gと320gとの間である。
【0017】
特に、前記少なくとも1つの磁石は、前記ハウジングの前記底部の中央横軸に対してオフセットされていてもよい。
【0018】
別の実施形態によれば、前記少なくとも1つの磁石は、前記ハウジングの前記底部の中央横軸上に整列されている。
【0019】
実施形態によっては、前記ハウジングの前記底部に設けられ、前記ゴルフボールマーカの下面に設けられた追加の拘束手段と協働する、ボールまたは突起のいずれかの拘束手段が設けられている。
【0020】
特に、前記ハウジングは、プロファイルされた矩形の平行六面体のような形状をしている。
【0021】
一実施形態によれば、前記バックルは、展開バックルタイプであり、前記バックルの前記第2の部品は、前記第1の部品に回動自在に取り付けられている。
【0022】
特に、前記バックル留め具システムの前記第2の部品は、前記第1のストランドのための通路と、少なくとも1つの頭部と、前記第1の部品に対して前記第2の部品を解放する手段とを備える。
【0023】
本発明はまた、2本のストランドを有するブレスレットと、上記で簡単に説明したバックル留め具システムとを備える腕時計に関する。
【0024】
一実施形態によれば、前記ハウジングの上流にある前記ブレスレットの前記ストランドの1つは、前記ゴルフボールマーカを取り出す際に前記ゴルフボールマーカを偏向させるように適合された偏向リブを備える。
【0025】
一実施形態によれば、前記腕時計は、計算電子手段とメモリ空間、およびデジタルデータネットワークへの接続手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、例示としてのみ与えられた以下の説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図を参照することにより、よりよく理解されるであろう。ここで、同一の参照符号は同様の対象に与えられている。
【
図1】本発明によるバックル留め具の第1の実施形態を示しており、折り畳み式バックル留め具の場合を示している。
【
図2A】第1の実施形態によるカバー内に配置されたハウジングの線図を示している。
【
図2B】第1の実施形態によるゴルフボールマーカの線図を示している。
【
図3】本発明によるバックル留め具の第2の実施形態を示しており、別の折り畳み式バックル留め具の場合である。
【
図4】本発明によるバックル留め具の第3の実施形態を示しており、別の折り畳み式バックル留め具の場合である。
【
図5】本発明によるバックル留め具の第4の実施形態を示しており、別の折り畳み式バックル留め具の場合である。
【
図6】本発明によるバックル留め具の第5の実施形態を示しており、別の折り畳み式バックル留め具の場合である。
【0027】
図は、本発明を実施するために本発明を詳細に開示しているが、当該図は、必要に応じて、本発明をより明確に定義するために使用できることはもちろんであることに留意されたい。先に述べたように、図示した実施形態は限定的なものではない。特に、図示の実施形態では、本発明による留め具のバックルは、折り畳み式バックルタイプである。しかしながら、本発明は、プロングタイプのバックル留め具にも実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示すように、本発明は、時計バンド、例えばスマートウォッチストラップを含むブレスレットのための、折り畳み式バックルタイプ、または代替的にプロングタイプであってもよいバックル留め具1に関し、留め具は、バックル留め具1に配置されたハウジングに収容された取り外し可能なカプセルを含む。特に、取り外し可能なカプセルは、ゴルフボールマーカ60である。
【0029】
本発明の利点は、ゴルフボールマーカの機能を果たすのに特に適したゴルフボールマーカ60をバックル留め具に一体化できることである。本発明の別の利点は、この一体化が、美的な方法で、ユーザにとって高いレベルの知覚品質で実現されることである。特に、ゴルフボールマーカ60は、この目的に適した大きさであり、すなわち、ゴルフコースの地面に置かれたときに、近傍のユーザに見える。
【0030】
より正確には、図を参照して、本発明は、ハウジング530、例えば空洞がゴルフボールマーカ60を収容するように配置されたバックル留め具1を提案する。
【0031】
バックル留め具1は、留め具の少なくとも2つの部品の拘束手段および解放手段の少なくとも一部を含むカバー50をさらに備える。バックル1のカバー50には、ゴルフボールマーカ60を収容するハウジング530が形成されている。より具体的には、ハウジング530は、カバー50の上部51に嵌め込まれている。例えば、ハウジング530は、カバー50の上部51の厚みに刻まれた空洞である。ハウジング530は、ゴルフボールマーカ60の形状に対応する形状を有する。好ましくは、ハウジング530は、実質的に矩形の平行六面体の形状を有する。一実施形態によれば、矩形の平行六面体形状は「プロファイルされた」と呼ばれ、すなわち、ハウジング530は、ユーザの手首に取り付けられたときのブレスレットの連続性において、特に留め具の曲率に対応する曲率を有する底部531を有する。
【0032】
カバー50の下部52は、ハウジング530内にゴルフボールマーカ60を保持する手段を含む。
【0033】
より具体的には、ゴルフボールマーカ60をハウジング530に保持するために、クランプ手段が使用される。これらのクランプ手段は、磁気的および/または機械的なクランプに使用することができる。
【0034】
図2A、
図2Bおよび
図6を参照すると、上述のクランプ手段は、磁気クランプを提供し、ハウジング530の底部531および/またはゴルフボールマーカ60の下面に配置された磁石または好ましくはいくつかの磁石501、601から主に構成される。以下、この実施形態について詳細に説明する。一実施形態によれば、上述の磁石501はハウジング530の底部531に一体化されている。
【0035】
好ましくは、磁石501、601は、ハウジング530の中央横軸上に整列される。ここで、「中央横軸」という用語は、ブレスレットの連続性において留め具の主縦軸方向に直交し、ハウジング530の底部531を実質的に等しい面の2つの部品に分割する軸を意味すると理解される。
【0036】
しかし、磁石501、601は、この中央横軸からオフセットされていることもある。
【0037】
本発明によれば、磁石(単数または複数)501、601は、ゴルフボールマーカ60に、ユーザがゴルフプレー中に腕時計を装着しているときを含め、ハウジング530に確実に保持されるように適合された磁気吸引力を発生させるように構成されている。このため、ゴルフボールマーカ60がハウジング530に完全に収容されたときに磁石501、601によって発生する磁気吸引力は、とりわけ1.0Nから3.0Nの間、特に1.5Nから2.0Nの間である。
【0038】
一実施形態によれば、磁石501、601は、時間の経過とともに腐食しないように、エポキシ樹脂に封入、すなわち埋め込まれている。
【0039】
加えて、一実施形態によれば、磁石501、601は、ハウジング530の底部531における中央横軸と整列した位置、およびそれらが誘導する磁気吸引力において、ゴルフボールマーカ60がハウジング530内にほぼ不安定な平衡状態で保持できるように構成される。換言すれば、長手方向成分、すなわち中央横軸に直交する、あるいはブレスレット連続体における留め具の接線方向に、小さな量、すなわち典型的には1.0Nの値を示し得る取り出し閾値以上の大きさしかない力は、磁石501、601によって生成される磁気吸引力が主に及ぼされる領域からゴルフボールマーカ60を取り出すのに十分である。したがって、ユーザが1.0Nの取り出し閾値よりも大きな力を加えるとすぐに、ゴルフボールマーカ60はハウジング530から容易に並進する。
【0040】
好ましくは、ハウジング530の前に、偏向リブをブレスレットに設けることができる。ハウジング530から外側に運動するゴルフボールマーカ60が前記偏向リブに当たるとすぐに、偏向リブはゴルフボールマーカ60の軌道を偏向させ、デフレクタとして作用するので、ゴルフボールマーカ60は持ち上げられ、2本の指の間で把持しやすくなる。
【0041】
以下、他の様々な実施形態について、図に関連して説明する。
【0042】
原則として、本発明によるバックル留め具1は、折り畳み式バックルタイプのものであってもよい。この場合、その第1の部品11において、例えば、展開バックルは、第1のストランド80が通路を通過するための通路を有するバーを備え、第1のストランド80のビードによって保持され、第1のストランド80の反対方向への並進を防止し、および/または、展開バックルの第1の部品11と第1のストランド80との間の機械的なクランプによって保持される。折り畳み式バックルの第2の部品12は、例えば、第2のストランドのスループットチューブを通過し、その両端が折り畳み式バックルの第2の部品12の対応する空洞に保持されるのに適したロッドを備える。第2の部品12は、ユーザの手首の周りにブレスレットを締め付けるために、第1の部品11の上に折り畳むことができ、第1および第2の部品11、12は、解放手段5と結合されたロック手段、例えば対応する穴に係合する頭部によって互いに取り付けられる。いずれにせよ、折り畳み式バックルがブレスレットに取り付けられる方法、および閉位置から開位置へ、およびその逆へ移動するためにロックおよびロック解除される方法は、本発明の一部ではなく、当業者は、これらの側面において、任意の公知技術を自由に使用することができる。
【0043】
いずれにしても、本発明によるバックル留め具1のバックルは、カバー50を備える。特に、カバー50は、美観のために、バックルをロックおよび解放する手段を収容し、マスクするように構成することができる。本発明によれば、ゴルフボールマーカ60を収容するように特別に構成されたハウジング530は、カバー50のマスに配置され、例えば、ハウジング530は、カバー50の上部51の厚みに刻まれた空洞である。
【0044】
本発明によれば、ハウジング530が、カバー50の上部51に、例えばカバー50の上部51のマスに彫り込まれた、またはカバー50の製造中に計画された空洞にスタンピングによってこのように形成される。ハウジング530は、好ましくは、平坦な底部531を有し、すなわち、二次元のみで、凹凸がなく、粗さが低減された、プロファイルされた矩形の平行六面体の形状を有する。適切な平坦度および粗さは、ハウジング530におけるゴルフボールマーカ60の接着に別個に、かつ共に寄与し、接触面を最大化し、これは、以下で詳細に説明される磁気クランプモードで特に効果的である。
【0045】
ゴルフボールマーカ60は、ハウジング530の容積に対応する体積を呈するように構成され、特にカバー50に形成されたハウジング530と相補的である。一実施形態によれば、ゴルフボールマーカ60の上部には、グリップ力を向上させ、したがってゴルフボールマーカ60の取り出しのためのゴルフボールマーカ60のグリップまたは並進を容易にするために、余剰厚みを形成するパターンが設けられる。
【0046】
カバー50の上部51は、ハウジング530の内容物にアクセスできるように、回動するように設計することができる。あるいは、カバー50の上部51をずらすこともできる。この場合、蓋の並進方向は、ゴルフボールマーカ60がハウジング530から移動される方向とは反対である。
【0047】
一実施形態によれば、
図6に示すように、ハウジング530の上流で、カバー50の上流で留め具に固定されたブレスレットストランド上に、偏向リブ81が企図されている。偏向リブ81は、「偏向器」として機能する。すなわち、ゴルフボールマーカ60を親指で押してハウジング530から取り出すとき、特に、ゴルフボールマーカを把持するためにハウジング530から外側への並進を開始するとき、ハウジング530の底部531の縦軸に沿って、バックルに沿って、偏向リブ81の方向に並進させることによって、ハウジング530から外側へのゴルフボールマーカの摺動が開始される。偏向リブ81は、並進中のゴルフボールマーカを偏向させて持ち上げ、把持しやすくする。
【0048】
ハウジングへのゴルフボールマーカの磁気的なクランプ
【0049】
一実施形態によれば、
図2A、
図2Bおよび
図6に示すように、ハウジング530内のゴルフボールマーカ60の磁気的なクランプが設けられる。磁気的なクランプは、複数の磁石501、601、特に3つまたは6つの磁石を含む、少なくとも1つの磁石501、601を使用する。特に、磁石501は、空洞側にのみ設けることができ、ゴルフボールマーカ60は、その後、対応する材料、すなわち、磁石とゴルフボールマーカ60との間に吸引力の磁力が生じるように磁石と協働することができる材料で作られる。例えば、ゴルフボールマーカ60はスチール製またはチタン製である。
【0050】
ハウジング530内の空洞側に設けられた磁石501は、エポキシ樹脂内に封止することができる。磁石501がゴルフボールマーカに及ぼす吸引力は、例えば、240gと320gとの間である。
【0051】
一実施形態によれば、磁石601は、ハウジング530の底部531に設けられるものとして先に説明したものに代えて、またはこれに加えて、ゴルフボールマーカ60の底面に設けられる。ゴルフボールマーカ60の下面の磁石601は、エポキシ樹脂で封止することもできる。
【0052】
図2A、
図2Bに示されるように、磁石(単数または複数)501、601は、ハウジング530の底部531および/または、該当する場合、ゴルフボールマーカ60の底面に設けられた、対応する凹部502、602に収容され得る。磁石(単数または複数)は接着することもできる。
【0053】
磁化は、ゴルフボールマーカ60をハウジング530内に保持する磁気吸引力が、本発明によるバックル留め具1付きブレスレットを有する腕時計を含むブレスレットが装着されるときを含めて、ゴルフボールマーカ60がハウジング530から独立して移動するのを防止するように適合されるように構成される。これは、特にユーザがゴルフをプレーしている場合に適用される。
【0054】
「適切な磁気吸引力」とは、ゴルフボールマーカ60がハウジング530側の磁石(単数または複数)501の鉛直線上にあり、実施形態によって、ハウジング530の底部531に接触しているか、またはハウジング530の底部531から0.2mm未満の距離にあるときに、その大きさが1.0N~3.0Nである磁気吸引力を意味する。したがって、磁気吸引力は、ゴルフボールマーカ60がハウジング530に保持されるようなものであり、ユーザの動作によって、ゴルフボールマーカ60をハウジング530から外すのに必要な力は、それに応じて適合される。特に、ハウジング530の底部531の縦軸に平行な軸に沿った並進において、ゴルフボールマーカ60に取り出し方向に加えられる力は、1.0Nを超える大きさしかない。
【0055】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、複数の磁石501、601、この場合は3つの磁石がハウジング530の底部531に固定されている。一実施形態によれば、磁石はハウジング530の底部531の表面下に位置するため、磁石は外部から「見えない」。
【0056】
この目的のために、磁石501は、ハウジング530の底部531、特にハウジング530の底部531に設けられた中空の凹部に配置または固定され、その後、カバー50を構成する材料のような材料、または少なくともカバー50の材料と同一または類似の色を有する材料の小板で覆われる。例えば、磁石501を覆う板はチタン製である。特に、バックル留め具1は全体として例えば同じ材料で作られている。例えば、板厚は0.6mmと1.3mmの間である。
【0057】
あるいは、実施形態によっては、磁石(単数または複数)502をゴルフボールマーカ60に配置することもできる。その機能は、ハウジング530の底部531にのみ磁石(単数または複数)が配置される場合と同じである。
【0058】
図2A、
図2Bおよび
図6に示す実施形態に対応する別の実施形態によれば、ハウジング530の底部531およびゴルフボールマーカ60の両方に、追加の磁石501、601が配置される。この場合、ハウジング530およびゴルフボールマーカ60の付加的な形状は、フールプルーフ機能を確保するように構成することができる。このことは、ハウジング530およびゴルフボールマーカ60は、このようなゴルフボールマーカ60をハウジング530に挿入する方法が1つしかないような形状を有し、相補的な磁石501、601が、反発ではなく吸引の磁力を発生させるように協働することを意味する。
【0059】
図2Aおよび
図2Bに示す好ましい実施形態によれば、3つの磁石501がハウジング530の底部531に配置され、3つの磁石502がゴルフボールマーカ60の下面に配置される。3つの磁石501は、ハウジング530の底部531の中央横軸に実質的に対応する軸上に整列される。これに対応して、3つの磁石502は、ゴルフボールマーカ60の中央横軸上に実質的に整列して配置されている。ハウジング530側または取り外し可能なカプセル60側の磁石501、601は、例えば、それぞれ、ゴルフボールマーカ60上またはハウジング530の底部531に配置された磁石501、601と協働する金属要素によって置き換えることができる。
【0060】
図1の実施形態では、カバー50の上部51は、すでに簡単に説明したように、ハウジング530をカバーするか、逆にハウジング530へのアクセスを可能にするように回動する。
【0061】
図示されていない代替の実施形態によれば、磁石は偏心していてもよく、すなわち、ハウジング530の底部531の中央横軸に対してオフセットしていてもよい。次いで、磁石は、互いに整列されるが、ハウジング530の底部531の縦軸に対応する方向に、ハウジング530から内側に、すなわち、ゴルフボールマーカ60をハウジング530から取り出すためにゴルフボールマーカ60を並進させる方向に対応する取り出し方向とは反対方向にオフセットされる。特に、磁石は、中央横軸から約1.5mmオフセットすることができる。同じことが、該当する場合には、取り外し可能なカプセル60側の磁石にも適用される。
【0062】
ハウジング530内でのゴルフボールマーカ60の磁気的なクランプを実施するすべての実施形態において、好ましくは、磁石501、601の配置および発生する磁気吸引力は、ゴルフボールマーカ60の一方の取り出し方向に引っ張り力が作用するとすぐに、力の不均衡が生じ、取り外し可能なカプセル60をハウジング530に保持した磁気クランプ力は、ゴルフボールマーカ60が磁石501、601の整列軸から離れるにつれて急速に低下する大きさを呈し、ボールマーカの移動が容易となり、その結果、ボールマーカの取り出しが容易となるように構成されている。
【0063】
本発明によれば、ハウジング530内のゴルフボールマーカ60を磁気的にクランプするために、ハウジング530の底部531および/またはゴルフボールマーカ60の下面のいずれであっても、複数の磁石、特に3つの整列していない磁石を設けることができることに留意すべきである。この結果、カプセルは、結果として生じる磁気吸引力が、磁石が整列している場合と比較して、同一の大きさを有することになるが、磁気吸引力は、ゴルフボールマーカ60とハウジング530の底部531との間の接触面全体にわたってより分散されることになるという意味で、同一または類似の、あるいはそれを超える大きさで保持されることになる。これにより生じる欠点は、より均等な分布、したがってより良い安定性の対極にあり、ゴルフボールマーカ60を取り出すのに必要な力が大きくなる。
【0064】
好ましい実施形態では、1組または2組の3つの整列された磁石が使用され、特にハウジング530の底部531の中央横軸に整列され、不安定性が、磁石の整列軸に対してゴルフボールマーカ60から最初のミリメートル離れた位置から生じる。これは、ハウジング530の底部531およびゴルフボールマーカ60の両方に磁石が設けられている場合にも当てはまる。
【0065】
ハウジング530側と取り外し可能なカプセル60側とに磁石501が設けられている実施形態では、ハウジング530側の磁石と取り外し可能なカプセル60側の磁石との間に極性反転が存在する。この場合、ゴルフボールマーカ60とハウジング530のそれぞれの相補的な形状をフールプルーフ機能として利用することができる。あるいは、同様の目的で、ハウジング530側と取り外し可能なカプセル60側の磁石の極性を適宜交互に設けることもできる。
【0066】
しかしながら、一実施形態によれば、実用的な理由から、ゴルフボールマーカ60は、いずれの方向にも挿入可能な形状を有する。この場合、特に、磁石(単数または複数)501はハウジング530の底部531にのみ、好ましくはハウジング530の底部531の表面下に配置され、ゴルフボールマーカ60は磁石(単数または複数)と相補的な材料を有する。
【0067】
ハウジングへのゴルフボールマーカの機械的なクランプ
【0068】
図3を参照すると、ハウジング530におけるゴルフボールマーカ60のクランプは、機械的であることもできる。この実施形態によれば、バックル留め具1の第2の部品12のマス、より具体的にはカバー50の下部52において、2つの外側で平行な側面に溝が刻まれている。溝は、例えばハウジング530に設けられた凸部にあり、凸部の上面の底部に刻まれており、ゴルフボールマーカ60の下面と接触するように構成されている。これに対応して、実質的に円筒形の突起などのラグが、ゴルフボールマーカ60の互いに対向する2つの内面に設けられる。ラグは、ゴルフボールマーカ60をハウジング530に案内して保持するために溝に挿入される。逆に、ユーザがゴルフボールマーカ60を把持したときにゴルフボールマーカ60が引き出されるまで、ラグは溝内に案内される。
【0069】
特に、溝は、ゴルフボールマーカ60の取り外しのために外側に開いている。
【0070】
より詳細には、
図3を参照すると、溝510は、特に30°から150°の間の角度をなす主方向に延びる少なくとも2つの部分511、512を有利に有する。各溝510について、第1の部分511は、ハウジング530のマスとは反対側の外側で終端し、ラグを挿入または取り外すことができる。各溝510について、第2の部分512は、第1の部分511との間に、特に30°と150°との間に、好ましくは90°より大きく、例えば120°に等しい角度を形成し、その角は、ゴルフボールマーカ60がハウジング530に収容されて保持される最終位置から、または最終位置への、それぞれの溝510内のラグの摺動を容易にするために、丸められている。
【0071】
一実施形態によれば、外側で終端する第1の部分511の端部513は、溝510へのラグの挿入を容易にするために広げることができる。
【0072】
代替的な機械的なクランプを実施する実施形態を
図4に示す。レール540がハウジング530の側壁に設けられ、ゴルフボールマーカ60の側面に設けられた溝640がレール540に係合するように構成され、ゴルフボールマーカ60がハウジング530に収容されて保持される最終位置からまたは最終位置までゴルフボールマーカ60を案内する。
【0073】
図5に示すように、先の実施形態に加えて、ゴルフボールマーカ60がハウジング530から独立して引き出されるのを防止するために、特にゴルフボールマーカ60の下面に設けられた凹部と協働することによって、ゴルフボールマーカ60の並進時の保持機能を提供するボールまたは突起70は、特に中央位置に設けることもできる。
【0074】
ハウジングへのゴルフボールマーカの磁気的および機械的なクランプ
【0075】
図6を参照すると、ハウジング530内のゴルフボールマーカ60のクランプは、機械的および磁気的の両方であり得る。特に、レール540などの案内手段は、部分的な機械的なクランプを提供し、一方、ハウジング530の底部531および/またはゴルフボールマーカ60に設けられた少なくとも1つの磁石も、磁気的なクランプを提供する。
【0076】
したがって、少なくとも1つの磁石は、ハウジング530の底部531に対応する凹部502、602に、および/またはゴルフボールマーカ60の底部側に配置することができる。特に、いくつかの磁石501、601を、ハウジング530の底部531に、整列して、または整列せずに、および/またはゴルフボールマーカ60に設けることができる。
【国際調査報告】