(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20241017BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20241017BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20241017BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241017BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241017BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241017BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241017BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241017BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241017BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241017BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P25/24
A61K9/00
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/14
A61K47/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526869
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 CN2022129623
(87)【国際公開番号】W WO2023078366
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111301406.X
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521504049
【氏名又は名称】上海雲晟研新生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】郭▲ゼェン▼
(72)【発明者】
【氏名】付俊
(72)【発明者】
【氏名】倪卉
(72)【発明者】
【氏名】盧鵬程
(72)【発明者】
【氏名】劉兪利
(72)【発明者】
【氏名】王▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】応述歓
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA89
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD23
4C076DD28
4C076DD29
4C076DD37T
4C076DD43
4C076DD45R
4C076DD67T
4C076DD69T
4C076EE06A
4C076EE23
4C076EE30A
4C076EE32A
4C076EE38B
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC80
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086NA10
4C086ZA12
(57)【要約】
ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物、製造方法及び応用を提供する。活性薬物、フィルム形成材料、可塑剤及び矯味剤を含むルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物であって、上記活性薬物は式Iに示される(3aR,4S,7R,7aS)-2-((1R,2R)-2-[4-(1.2-ベンズイソチアゾール3-イル)ピペラジン-1-メチル]シクロヘキシルメチル)ヘキサヒドロ-4.7-メタノ-2H-イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩である、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。得られたルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、良好な溶出速度を有し、口腔内で溶解した後に砂利感がなく、且つ外観が均一で、柔軟性に優れると共に、フィルム液の製造プロセスで沈降が発生せず、含有量の均一性が要求に満たす。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、活性薬物、フィルム形成材料、可塑剤及び矯味剤を含み、前記活性薬物は式Iに示される化合物、即ち(3aR,4S,7R,7aS)-2-((1R,2R)-2-[4-(1.2-ベンズイソチアゾール3-イル)ピペラジン-1-メチル]シクロヘキシルメチル)ヘキサヒドロ-4.7-メタノ-2H-イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩である、
ことを特徴とする、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【化1】
【請求項2】
前記活性薬物の質量百分率含有量は1%~60%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める活性薬物の質量の百分率を指す、
ことを特徴とする、請求項1に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項3】
前記フィルム形成材料は、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ゼラチン、シェラック、アラビアゴム、デンプン、デキストリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ヒプロメロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、プルラン、アクリル酸共重合体、ポリ乳酸、及びシリコーンゴムの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、シリコーンオイル、ポリプロピレングリコール、ヘキサンジオールの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記矯味剤は、アスパルテーム、スクラロース、フルクトース、スクロース、ステビオール配糖体、グリチルリチン、エッセンス、香料、メントール、塩化ナトリウム、枸櫞酸、サッカリン、及びサッカリンナトリウムの1種又は複数種である、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項4】
前記フィルム形成材料の質量百分率含有量は20%~60%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占めるフィルム形成材料の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記可塑剤の質量百分率含有量は0~20%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める可塑剤の質量の百分率を指し、
前記矯味剤の質量百分率含有量は0~25.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める矯味剤の質量の百分率を指す、
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項5】
前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、崩壊剤を更に含み、又は崩壊剤と唾液刺激剤、充填剤、着色剤、粘着防止剤、及び静菌剤の1種又は複数種との組合せを含む、
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項6】
前記崩壊剤は、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプン、微結晶性セルロース、及びアルファ化デンプンの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記唾液刺激剤は、酒石酸、リンゴ酸及びマンニトールの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記充填剤は、マンニトール、スクロース、グルコース、マルトース、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ガラクチトール、エリスリトール、デキストリン、及びトレハロースの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記着色剤は、二酸化チタン、色素及びレーキの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記粘着防止剤は、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記静菌剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、チオ硫酸ナトリウムの1種又は複数種である、
ことを特徴とする、請求項5に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項7】
前記崩壊剤の百分率含有量は0~10.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める崩壊剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記唾液刺激剤の百分率含有量は0~10.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める唾液刺激剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記充填剤の百分率含有量は0~10.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める充填剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記着色剤の百分率含有量は0~5.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める着色剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記粘着防止剤の百分率含有量は0~5.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める粘着防止剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記静菌剤の百分率含有量は0~1.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める静菌剤の質量の百分率を指す、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項8】
前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、
配合一:47.2%ルラシドン塩酸塩、33.0%ヒドロキシプロピルセルロース、9.4%グリセリン、9.4%スクラロース、及び1.0%二酸化チタン、
配合二:30.0%ルラシドン塩酸塩、45.0%ポリビニルアルコール、12.0%ポリエチレングリコール6000、5.0%スクラロース、3.5%メントール、0.9%マンニトール、3.0%ラクトース、及び0.6%メチルパラベン、
配合三:33.3%ルラシドン塩酸塩、45.8%ポリビニルアルコール、8.3%グリセリン、3.3%塩化ナトリウム、4.2%枸櫞酸、4.3%スクラロース、0.4%エッセンス、及び0.4%メントール、
配合四:25.0%ルラシドン塩酸塩、50.0%ポリビニルアルコール、16.0%グリセリン、2.5%ステビオール配糖体、0.5%エッセンス、及び6.0%ラクトース、
配合五:41.3%ルラシドン塩酸塩、24.8%ヒドロキシエチルセルロース、16.5%プルラン、8.3%グリセリン、8.3%スクラロース、及び0.8%二酸化チタン、
配合六:47.2%ルラシドン塩酸塩、28.3%ヒドロキシエチルセルロース、9.4%プルラン、4.7%グリセリン、9.4%スクラロース、及び1.0%二酸化チタン、
配合七:52.1%ルラシドン塩酸塩、20.8%ヒドロキシエチルセルロース、10.4%プルラン、5.2%グリセリン、10.4%スクラロース、及び1.1%二酸化チタン、
配合八:41.7%ルラシドン塩酸塩、25.0%ヒドロキシエチルセルロース、16.7%プルラン、5.0%グリセリン、8.3%スクラロース、1.7%メントール、0.8%タルク粉末、及び0.8%二酸化チタン、
配合九:38.5%ルラシドン塩酸塩、23.1%ヒドロキシエチルセルロース、15.4%プルラン、4.5%グリセリン、7.7%スクラロース、1.5%メントール、0.8%エッセンス、7.7%枸櫞酸、及び0.8%タルク粉末、
配合十:35.7%ルラシドン塩酸塩、21.4%ヒドロキシエチルセルロース、14.3%プルラン、4.3%グリセリン、7.1%カルボキシメチルデンプンナトリウム、7.1%スクラロース、1.4%メントール、0.8%エッセンス、7.1%枸櫞酸、及び0.8%タルク粉末、という何れか1つの配合から選ばれる、
ことを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の製造方法であって、
1)フィルム形成材料を60℃~70℃の条件下で加熱して水に溶解し、溶液を形成し、
2)ステップ1)で得られた溶液に活性薬物を除く他の各組成を添加し、均一に撹拌してブランクグルー溶液を得、
3)ステップ2)で得られたブランクグルー溶液に活性薬物を入れ、均一に分散するまで撹拌し、真空の条件下で撹拌して脱泡し、薬物含有グルー溶液を得、
4)脱泡した後のステップ3)で得られた薬物含有グルー溶液をコーティング機でリリースフィルム上に均一に塗布し、加熱し、乾燥し、カッティングし、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物を得る、というステップを含み、
好ましくは、前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の厚さは10 μm~300 μmであり、
及び/又は、
前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、1000 mLの37℃±1℃の模擬唾液中で、2 min以内に完全に崩壊することができる、
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
うつ病の治療及び/又は予防のための薬物の製造における、請求項1~8の何れか一項に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の、
使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2021年11月4日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202111301406.Xであり、発明名称が「ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物、その製造方法及び応用」である先行出願の優先権を主張する。上記先行出願は全体として援用により本願に組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、医薬製剤分野に関し、具体的には、プロセスが簡単で、安定性が良いルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物、その製造方法及び応用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
統合失調症は深刻な精神障害であり、世界保健機関の統計により、世界中で2100万以上の人が統合失調症に苦しんでいると共に、この疾患はまた、15歳から44歳までの人々の第8の障害の原因である。2016年末まで、中国で登録した統合失調症患者の数は約405万人であった。現在の統合失調症治療薬はだいたい、第一世代抗精神病薬とも称する定型抗精神病薬、及び第二世代抗精神病薬とも称するドーパミンD2/5-HT2A受容体拮抗作用を一般的に有する非定型抗精神病薬、という2種類に分けられる。2010年以降、中国内のサンプル病院の精神系薬物市場規模は12.5億元から2015年の24.7億元に増加し、5年間の複数年平均成長率が14.6%に達した。統合失調症の発病機序が完全に解明されていないこと、及び既存の治療薬の治療効果の限局性と有害反応のため、治療効果が更に良く、有害反応が更に小さい治療薬が臨床的に求められている。国内の精神科医療資源は不足しており、精神薬物市場には大きな可能性がある。しかし、統合失調症患者の急性期には、患者が服薬を拒否する、口腔内の薬物を隠す、薬物を吐き出す場合が多く、患者の服用コンプライアンス問題が一般的に存在する。従って、錠剤及びカプセル剤のような剤形は、患者によく作用できず、統合失調症患者にとって使いやすい剤形を使用することが考慮されるべきである。そこで、上記問題を解決するために、使いやすく、コンプライアンスが比較的に良く、且つ品質が安定の新規な製剤を提供する必要がある。
【0004】
ルラシドン塩酸塩(lurasidone hydrochloride)は、武田製薬及び住友製薬が共同開発した統合失調症の治療のための新規な非定型抗精神病薬であり、統合失調症及び双極性障害の治療に使用される。現在、臨床用剤形は普通錠であるが、普通錠が飲み込みにくいため、小児や老人患者は、このような剤形の薬品を服用するにはあまり適しておらず、また、水がない場合には患者にとって便利に服用できない。
【0005】
従って、現在、患者の服薬コンプライアンスが悪いという問題を解決するために、ルラシドン塩酸塩の剤形を開発する必要があり、飲み込みが困難な患者に特に適することにより、患者のコンプライアンスを向上させる。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、活性薬物、フィルム形成材料、可塑剤及び矯味剤を含むルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物を提供し、上記活性薬物は式Iに示される化合物、即ち(3aR,4S,7R,7aS)-2-((1R,2R)-2-[4-(1.2-ベンズイソチアゾール3-イル)ピペラジン-1-メチル]シクロヘキシルメチル)ヘキサヒドロ-4.7-メタノ-2H-イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩(ルラシドン塩酸塩)である。
【0007】
【0008】
本発明の実施形態によれば、上記活性薬物の質量百分率含有量は1%~60%が好ましく、例えば10%~55%、又は10%~50%、例えば52.1%、47.2%、41.7%、41.3%、38.5%、35.7%、33.3%、30.0%若しくは25.0%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める活性薬物の質量の百分率を指す。
【0009】
本発明の実施形態によれば、上記フィルム形成材料は、薬物のベクターであり、好ましくはキサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ゼラチン、シェラック、アラビアゴム、デンプン、デキストリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ヒプロメロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、プルラン、アクリル酸共重合体、ポリ乳酸、及びシリコーンゴムの1種又は複数種である。幾つかの実施形態において、上記フィルム形成材料は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコール6000との混合物、又はヒドロキシエチルセルロースとプルランとの混合物である。
【0010】
本発明の実施形態によれば、上記フィルム形成材料の質量百分率含有量は20%~60%、例えば30%~50%、例えば57.0%、50.0%、47.0%、45.8%、41.7%、41.3%、38.5%、37.7%、35.7%、33.0%又は31.2%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占めるフィルム形成材料の質量の百分率を指す。
【0011】
本発明の実施形態によれば、上記可塑剤は、フィルムのガラス転移温度を低下させ、可塑性及び靱性を増加させ、延伸率を上げるために使用され、好ましくはポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、シリコーンオイル、ポリプロピレングリコール、ヘキサンジオールの1種又は複数種である。
【0012】
本発明の実施形態によれば、上記可塑剤の質量百分率含有量は0~20%、例えば16.0%、9.4%、8.3%、5.2%、5.0%、4.7%、4.5%、4.3%又は0であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める可塑剤の質量の百分率を指す。
本発明の実施形態によれば、上記矯味剤は、フィルム剤において矯味の役割を果たし、好ましくはアスパルテーム、スクラロース、フルクトース、スクロース、ステビオール配糖体、グリチルリチン、エッセンス、香料、メントール、塩化ナトリウム、枸櫞酸、サッカリン、及びサッカリンナトリウムの1種又は複数種である。
【0013】
本発明の実施形態によれば、上記矯味剤の質量百分率含有量は0~25.0%、好ましくは3.0%~25.0%、例えば17.7%、17.1%、16.4%、12.5%、10.4%、10.0%、9.5%、9.4%、8.3%、5.0%又は3.0%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める矯味剤の質量の百分率を指す。
【0014】
本発明の実施形態によれば、上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、崩壊剤を更に含んでもよく、又は崩壊剤と唾液刺激剤、充填剤、着色剤、粘着防止剤、及び静菌剤の1種又は複数種との組合せを含んでもよい。
【0015】
本発明の実施形態によれば、上記崩壊剤は、消化管内で薬物が小粒子への迅速な崩壊を促進する補助剤を指し、好ましくは、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプン、微結晶性セルロース、及びアルファ化デンプンの1種又は複数種である。
【0016】
本発明の実施形態によれば、上記崩壊剤の質量百分率含有量は0~10.0%が好ましく、例えば3.6%、6.9%、7.0%又は7.1%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める崩壊剤の質量の百分率を指す。
【0017】
本発明の実施形態によれば、上記唾液刺激剤は、唾液の生成を刺激する物質であり、好ましくは酒石酸、リンゴ酸及びマンニトールの1種又は複数種である。
【0018】
本発明の実施形態によれば、上記唾液刺激剤の質量百分率含有量は0~10.0%、例えば0.6%、0.9%、6.9%、7.0%、7.1%又は7.7%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める唾液刺激剤の質量の百分率を指す。
【0019】
本発明の実施形態によれば、上記充填剤は、材料の性能を改善するか、又は容量を増やし、重量を増やし、材料のコストを低減することができる、材料に添加される固体物質を指し、好ましくはマンニトール、スクロース、グルコース、マルトース、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ガラクチトール、エリスリトール、デキストリン、及びトレハロースの1種又は複数種である。
【0020】
本発明の実施形態によれば、上記充填剤の質量百分率含有量は0~10.0%、例えば6.0%又は3.0%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める充填剤の質量の百分率を指す。
【0021】
本発明の実施形態によれば、上記着色剤は、製剤の濃度を識別し、応用方法を区別し、及び患者の服用に対する嫌悪感を低減するために使用され、製剤の外観の色を改善できる物質を指し、好ましくは二酸化チタン、色素及びレーキの1種又は複数種である。
【0022】
本発明の実施形態によれば、上記着色剤の質量百分率含有量は0~5.0%、例えば1.1%、1.0%又は0.8%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める着色剤の質量の百分率を指す。
【0023】
本発明の実施形態によれば、上記粘着防止剤は、製剤間の粘着を避けて製剤の性能を改善することができ、好ましくはタルク粉末、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムの1種又は複数種である。
【0024】
本発明の実施形態によれば、上記粘着防止剤の質量百分率含有量は0~5.0%、例えば0.7%又は0.8%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める粘着防止剤の質量の百分率を指す。
【0025】
本発明の実施形態によれば、上記静菌剤は、細菌の産生を阻害することができる物質を指し、好ましくは、メチルパラベン、エチルパラベン、チオ硫酸ナトリウムの1種又は複数種である。
【0026】
本発明の実施形態によれば、上記静菌剤の質量百分率含有量は0~1.0%、例えば0.6%であり、上記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める静菌剤の質量の百分率を指す。
【0027】
本発明の実施形態によれば、上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、以下の何れか1つの配合であってもよい。
【0028】
配合一:47.2%ルラシドン塩酸塩、33.0%ヒドロキシプロピルセルロース、9.4%グリセリン、9.4%スクラロース、及び1.0%二酸化チタン、
配合二:30.0%ルラシドン塩酸塩、45.0%ポリビニルアルコール、12.0%ポリエチレングリコール6000、5.0%スクラロース、3.5%メントール、0.9%マンニトール、3.0%ラクトース、及び0.6%メチルパラベン、
配合三:33.3%ルラシドン塩酸塩、45.8%ポリビニルアルコール、8.3%グリセリン、3.3%塩化ナトリウム、4.2%枸櫞酸、4.3%スクラロース、0.4%エッセンス、及び0.4%メントール、
配合四:25.0%ルラシドン塩酸塩、50.0%ポリビニルアルコール、16.0%グリセリン、2.5%ステビオール配糖体、0.5%エッセンス、及び6.0%ラクトース、
配合五:41.3%ルラシドン塩酸塩、24.8%ヒドロキシエチルセルロース、16.5%プルラン、8.3%グリセリン、8.3%スクラロース、及び0.8%二酸化チタン、
配合六:47.2%ルラシドン塩酸塩、28.3%ヒドロキシエチルセルロース、9.4%プルラン、4.7%グリセリン、9.4%スクラロース、及び1.0%二酸化チタン、
配合七:52.1%ルラシドン塩酸塩、20.8%ヒドロキシエチルセルロース、10.4%プルラン、5.2%グリセリン、10.4%スクラロース、及び1.1%二酸化チタン、
配合八:41.7%ルラシドン塩酸塩、25.0%ヒドロキシエチルセルロース、16.7%プルラン、5.0%グリセリン、8.3%スクラロース、1.7%メントール、0.8%タルク粉末、及び0.8%二酸化チタン、
配合九:38.5%ルラシドン塩酸塩、23.1%ヒドロキシエチルセルロース、15.4%プルラン、4.5%グリセリン、7.7%スクラロース、1.5%メントール、0.8%エッセンス、7.7%枸櫞酸、及び0.8%タルク粉末、
配合十:35.7%ルラシドン塩酸塩、21.4%ヒドロキシエチルセルロース、14.3%プルラン、4.3%グリセリン、7.1%カルボキシメチルデンプンナトリウム、7.1%スクラロース、1.4%メントール、0.8%エッセンス、7.1%枸櫞酸、及び0.8%タルク粉末。
【0029】
本発明は、以下のステップを含む上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の製造方法を更に提供する。
【0030】
1)フィルム形成材料を60℃~70℃の条件下で加熱して水に溶解し、溶液を形成し、
2)ステップ1)で得られた溶液に活性薬物、フィルム形成材料を除く各組成を添加し、均一に撹拌してブランクグルー溶液を得、
3)ステップ2)で得られたブランクグルー溶液に活性薬物を入れ、均一に分散するまで撹拌し、真空の条件下で撹拌して脱泡し、薬物含有グルー溶液を得、
4)上記薬物含有グルー溶液をコーティング機でリリースフィルム上に均一に塗布し、加熱し、乾燥し、カッティングし、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物を得る。
【0031】
本発明の実施形態によれば、上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の厚さは10 μm~300 μm、例えば10 μm~300 μmである。
【0032】
本発明の実施形態によれば、上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、1000 mLの37℃±1℃の模擬唾液中で、2 min以内に完全に崩壊することができる。
【0033】
本発明は、うつ病の治療及び/又は予防のための薬物の製造における、上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の使用を更に提供する。
【0034】
本発明は、うつ病の治療及び/又は予防の方法であって、必要とする患者に治療有効量の上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物を投与する、方法を更に提供する。
本発明の実施形態によれば、上記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、医薬製剤である。
【0035】
本発明の有益な効果:本発明のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、厚さが薄く、口当たりが良く、性質が安定で、良好な溶出速度を有し、且つ水を必要とせずに口腔内ですぐに溶け、口腔内で溶解した後に砂利感がなく、経口吸収速度が速いという利点を有し、且つ外観が均一で、柔軟性に優れると共に、プロセスが簡単であり、フィルム液の製造過程で沈降が発生せず、含有量の均一性が要求通りであり、薬物担持量が高い。従来の製剤は、服用が不便で、患者のコンプライアンスが悪い等の欠点が解消され、飲み込みが困難な患者に特に適している。
【0036】
〔用語の定義と説明〕
特に説明のない限り、本願の明細書及び特許請求の範囲に記載される用語の定義は、その実例としての定義、例示的な定義、好ましい定義、実施例における具体的なの定義などを含み、互いに任意に組み合わせたり、結合したりすることができる。このような組合せ又は結合は、本願の明細書に記載される範囲に含まれるべきである。
【0037】
用語「治療有効量」は、期待される応用(以下に定義される疾患の治療を含むが、これに限定されない)を実現するのに本発明の薬物活性成分の十分な量を指す。治療有効量は、期待される応用(インビトロ又はインビボ)、又は治療される被験者と疾患の病症、例えば、被験者の体重と年齢、病症の重症度や投与方法等によって変えることができ、これは、当業者によって容易に決定されてよい。具体的な投与量は、選択された特定の活性成分、準じられる投与計画、他の化合物との併用投与の有無、投与のタイムスケジュール、投与される組織及び担持する物理的送達システムによって変えられる。
【0038】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕実施例3のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム製剤がpH1.2の塩酸溶液における溶出曲線である。
【0039】
〔
図2〕実施例3のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム製剤がpH3.8の酢酸塩緩衝液における溶出曲線である。
【0040】
〔発明を実施するための形態〕
以下、具体的な実施例に合わせて、本発明の技術案を更に詳しく説明する。下記の実施例は、単に本発明を例示的に説明し解釈するものであり、本発明の請求範囲を限定するものとして解釈されるべきではないと理解すべきである。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、何れも本発明による請求範囲内に含まれる。
【0041】
特に説明のない限り、下記の実施例に使用される原料及び試薬は何れも市販品であり、又は既知の方法によって製造することができる。下記実施例において、具体的な条件を明記していない実験方法は、従来の方法や条件、又は製品の説明書に従って選択される。
【0042】
〔実施例〕
(実施例1)
調合法を表1に示す。
【0043】
【0044】
製造方法:
1)フィルム形成材料を60℃~70℃の条件下で加熱して水に溶解し、溶液を形成し、
2)ステップ1)で得られた溶液に活性薬物、フィルム形成材料を除く各組成を添加し、均一に撹拌してブランクグルー溶液を得、
3)ステップ2)で得られたブランクグルー溶液に活性薬物を入れ、均一に分散するまで撹拌し、真空の条件下で撹拌して脱泡し、薬物含有グルー溶液を得、
4)脱泡した後のステップ3)で得られた薬物含有グルー溶液をコーティング機でリリースフィルム上に均一に塗布し、加熱し、乾燥し、カッティングし、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物を得た。
【0045】
<1.崩壊時限測定>
実施例1~実施例10の配合に従い、本発明に提供される製造方法を用いてルラシドン口腔内崩壊フィルム製剤を製造し、また崩壊時限を測定し、具体的な測定方法は以下の通りであった。
【0046】
各実施例で得られたメディシンフィルムを任意に6錠づつ採取し、1錠づつを軽く1000 mLの37℃±1℃の人工唾液中に置き、静置した状態で、本品が完全に崩壊するまでの時間を観察し、結果は表2に示された。
【0047】
【0048】
<2.溶出結果測定>
実施例3の配合で製造したルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム製剤について、その溶出曲線を測定し、具体的な測定方法は以下の通りであった。
【0049】
試験媒体:pH1.2の塩酸溶液900 mL(37℃±0.5℃)、pH3.8の酢酸塩緩衝液900 mL(37℃±0.5℃)であった。
【0050】
溶出方法:「中国薬局方」2020版0931 溶出度及び放出度の測定法第2法(パドル法)で、回転速度は50 rpmであった。
【0051】
サンプリング時間:5 min、10 min、15 min、20 min、30 minであった。
【0052】
ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム製剤6錠を採取し、上記方法に従って溶出曲線を測定し、結果は表3及び
図1~2に示された。
【0053】
【0054】
<3.関連物質の結果>
実施例3の配合に従って製造したルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルムの関連物質の検測方法は以下の通りであった。
【0055】
[3.1関連物質の分析方法の説明]
1) クロマトグラフィー条件
【0056】
【0057】
2) 計算
不純物IM-2及びIM-4は、補正因子を加えた主成分外部標準法により計算され、未知の不純物は、補正因子を加えない主成分外部標準法により計算され、総不純物は、各既知の不純物と未知の不純物の総和であった。
【0058】
3) 不純物の限界
【0059】
【0060】
実施例3のサンプルの関連物質の検出結果は表4に示された。
【0061】
【0062】
上記実験データによると、本発明に提供されるルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、厚さが薄く、口当たりが良く、性質が安定で、不純物含有量が低く、且つ飲水を必要とせずに口腔内ですぐに溶け、経口吸収速度が速いという利点を有する。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原則の範囲内でなされた何れの修正、同等置換、改良なども、本発明の請求範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】実施例3のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム製剤がpH1.2の塩酸溶液における溶出曲線である。
【
図2】実施例3のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム製剤がpH3.8の酢酸塩緩衝液における溶出曲線である。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、活性薬物、フィルム形成材料、可塑剤及び矯味剤を含み、前記活性薬物は式Iに示される化合物、即ち(3aR,4S,7R,7aS)-2-((1R,2R)-2-[4-(1.2-ベンズイソチアゾール3-イル)ピペラジン-1-メチル]シクロヘキシルメチル)ヘキサヒドロ-4.7-メタノ-2H-イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩である、
ことを特徴とする、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【化1】
【請求項2】
前記活性薬物の質量百分率含有量は1%~60%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める活性薬物の質量の百分率を指す、
ことを特徴とする、請求項1に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項3】
前記フィルム形成材料は、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ゼラチン、シェラック、アラビアゴム、デンプン、デキストリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ヒプロメロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、プルラン、アクリル酸共重合体、ポリ乳酸、及びシリコーンゴムの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、シリコーンオイル、ポリプロピレングリコール、ヘキサンジオールの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記矯味剤は、アスパルテーム、スクラロース、フルクトース、スクロース、ステビオール配糖体、グリチルリチン、エッセンス、香料、メントール、塩化ナトリウム、枸櫞酸、サッカリン、及びサッカリンナトリウムの1種又は複数種である、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項4】
前記フィルム形成材料の質量百分率含有量は20%~60%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占めるフィルム形成材料の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記可塑剤の質量百分率含有量は0~20%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める可塑剤の質量の百分率を指し、
前記矯味剤の質量百分率含有量は0~25.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める矯味剤の質量の百分率を指す、
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項5】
前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、崩壊剤を更に含み、又は崩壊剤と唾液刺激剤、充填剤、着色剤、粘着防止剤、及び静菌剤の1種又は複数種との組合せを含む、
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項6】
前記崩壊剤は、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプン、微結晶性セルロース、及びアルファ化デンプンの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記唾液刺激剤は、酒石酸、リンゴ酸及びマンニトールの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記充填剤は、マンニトール、スクロース、グルコース、マルトース、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ガラクチトール、エリスリトール、デキストリン、及びトレハロースの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記着色剤は、二酸化チタン、色素及びレーキの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記粘着防止剤は、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記静菌剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、チオ硫酸ナトリウムの1種又は複数種である、
ことを特徴とする、請求項5に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項7】
前記崩壊剤の百分率含有量は0~10.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める崩壊剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記唾液刺激剤の百分率含有量は0~10.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める唾液刺激剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記充填剤の百分率含有量は0~10.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める充填剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記着色剤の百分率含有量は0~5.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める着色剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記粘着防止剤の百分率含有量は0~5.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める粘着防止剤の質量の百分率を指し、
及び/又は、
前記静菌剤の百分率含有量は0~1.0%であり、前記質量百分率含有量は、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の総質量に占める静菌剤の質量の百分率を指す、
ことを特徴とする、請求項
5に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項8】
前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、
配合一:47.2%ルラシドン塩酸塩、33.0%ヒドロキシプロピルセルロース、9.4%グリセリン、9.4%スクラロース、及び1.0%二酸化チタン、
配合二:30.0%ルラシドン塩酸塩、45.0%ポリビニルアルコール、12.0%ポリエチレングリコール6000、5.0%スクラロース、3.5%メントール、0.9%マンニトール、3.0%ラクトース、及び0.6%メチルパラベン、
配合三:33.3%ルラシドン塩酸塩、45.8%ポリビニルアルコール、8.3%グリセリン、3.3%塩化ナトリウム、4.2%枸櫞酸、4.3%スクラロース、0.4%エッセンス、及び0.4%メントール、
配合四:25.0%ルラシドン塩酸塩、50.0%ポリビニルアルコール、16.0%グリセリン、2.5%ステビオール配糖体、0.5%エッセンス、及び6.0%ラクトース、
配合五:41.3%ルラシドン塩酸塩、24.8%ヒドロキシエチルセルロース、16.5%プルラン、8.3%グリセリン、8.3%スクラロース、及び0.8%二酸化チタン、
配合六:47.2%ルラシドン塩酸塩、28.3%ヒドロキシエチルセルロース、9.4%プルラン、4.7%グリセリン、9.4%スクラロース、及び1.0%二酸化チタン、
配合七:52.1%ルラシドン塩酸塩、20.8%ヒドロキシエチルセルロース、10.4%プルラン、5.2%グリセリン、10.4%スクラロース、及び1.1%二酸化チタン、
配合八:41.7%ルラシドン塩酸塩、25.0%ヒドロキシエチルセルロース、16.7%プルラン、5.0%グリセリン、8.3%スクラロース、1.7%メントール、0.8%タルク粉末、及び0.8%二酸化チタン、
配合九:38.5%ルラシドン塩酸塩、23.1%ヒドロキシエチルセルロース、15.4%プルラン、4.5%グリセリン、7.7%スクラロース、1.5%メントール、0.8%エッセンス、7.7%枸櫞酸、及び0.8%タルク粉末、
配合十:35.7%ルラシドン塩酸塩、21.4%ヒドロキシエチルセルロース、14.3%プルラン、4.3%グリセリン、7.1%カルボキシメチルデンプンナトリウム、7.1%スクラロース、1.4%メントール、0.8%エッセンス、7.1%枸櫞酸、及び0.8%タルク粉末、という何れか1つの配合から選ばれる、
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物。
【請求項9】
請求項1
又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の製造方法であって、
1)フィルム形成材料を60℃~70℃の条件下で加熱して水に溶解し、溶液を形成し、
2)ステップ1)で得られた溶液に活性薬物を除く他の各組成を添加し、均一に撹拌してブランクグルー溶液を得、
3)ステップ2)で得られたブランクグルー溶液に活性薬物を入れ、均一に分散するまで撹拌し、真空の条件下で撹拌して脱泡し、薬物含有グルー溶液を得、
4)脱泡した後のステップ3)で得られた薬物含有グルー溶液をコーティング機でリリースフィルム上に均一に塗布し、加熱し、乾燥し、カッティングし、ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物を得る、というステップを含み、
好ましくは、前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の厚さは10 μm~300 μmであり、
及び/又は、
前記ルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物は、1000 mLの37℃±1℃の模擬唾液中で、2 min以内に完全に崩壊することができる、
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
うつ病の治療及び/又は予防のための薬物の製造における、請求項1
又は2に記載のルラシドン塩酸塩口腔内崩壊フィルム組成物の、
使用。
【国際調査報告】