(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】共振器、共振器アセンブリ、フィルタ、電子機器及び製作方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20241018BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571495
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2022135593
(87)【国際公開番号】W WO2024066021
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211230473.1
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 3, NO.55, DACHUANWAN ROAD, LONGXI SUB-DISTRICT, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ リンピン
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108BB00
5J108DD06
5J108EE03
(57)【要約】
本願は、共振器、共振器アセンブリ、フィルタ、電子機器及び製作方法を提供し、前記共振器は、対向する第1表面及び第2表面を有する基板と、第1表面から離れて突起した第1突起部分と、第1表面に位置する第1平坦部分とを含む、前記第1表面に位置する第1電極であって、前記第1突起部分と前記第1表面との間にキャビティが形成される第1電極と、前記第1電極の前記基板から離反する側に位置し、前記第1表面と平行である圧電層と、前記圧電層の前記第1電極から離反する側に位置する第2電極と、を含む。圧電層が前記第1表面と平行であるため、圧電層全体での応力変化の幅が小さく、これにより、圧電層の圧電性能の整合性を保証し、同時に、圧電層のひずみが小さいため、機械構造が比較的に安定であり、外界の衝撃に直面する場合に破壊しにくい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振器であって、
対向する第1表面及び第2表面を有する基板と、
前記第1表面から離れて突起した第1突起部分と、前記第1表面に位置する第1平坦部分とを含む、前記第1表面に位置する第1電極であって、前記第1突起部分と前記第1表面との間にキャビティが形成される第1電極と、
前記第1電極の前記基板から離反する側に位置し、前記第1表面と平行である圧電層と、
前記圧電層の前記第1電極から離反する側に位置する第2電極と、を含む、
ことを特徴とする共振器。
【請求項2】
前記第1電極の第1平坦部分と、前記圧電層と、の間に第1隙間を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
前記第1隙間は、空気隙間を含むか、又は誘電体材料が充填されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
【請求項4】
少なくとも一側の前記第1平坦部分の外側に支持構造が接続されており、前記支持構造は前記第1突起部分と面一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の共振器。
【請求項5】
前記支持構造は、
前記第1表面から離れて突起した第2突起部分と、前記第1表面に位置する第2平坦部分と、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の共振器。
【請求項6】
前記支持構造は、導電性材料又は非導電性材料である、
ことを特徴とする請求項4に記載の共振器。
【請求項7】
前記支持構造の第2突起部分と前記第1表面との間に第2隙間を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の共振器。
【請求項8】
前記第2隙間内に充填された媒体は、空気、低音響インピーダンス媒体、又は両者の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の共振器。
【請求項9】
共振器アセンブリであって、請求項1~8のいずれかの1項に記載の共振器を複数含み、少なくとも1つの前記共振器は別の前記共振器と相互に接続される、
ことを特徴とする共振器アセンブリ。
【請求項10】
1つの前記共振器と別の前記共振器との相互接続領域の圧電層と、前記第1電極との間及び/又は前記第1表面との間に第3隙間を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の共振器アセンブリ。
【請求項11】
前記第3隙間は、空気隙間を含むか、又は誘電体材料が充填されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の共振器アセンブリ。
【請求項12】
前記第3隙間上方の圧電層、及び前記第1突起部分と前記第1平坦部分との間の第1電極に、エッチング試薬を投入して前記第3隙間及び前記キャビティを形成するために、解放孔を設ける、
ことを特徴とする請求項10に記載の共振器アセンブリ。
【請求項13】
1つの前記共振器は別の前記共振器の第1電極と相互に接続され、
或いは、1つの前記共振器は別の前記共振器の第2電極と相互に接続され、
或いは、1つの前記共振器の第1電極は別の前記共振器の第2電極と相互に接続される、
ことを特徴とする請求項9に記載の共振器アセンブリ。
【請求項14】
1つの前記共振器は別の前記共振器の第1電極と支持構造を介して相互に接続され、
或いは、1つの前記共振器の第2電極は支持構造を介して別の前記共振器の第1電極に接続される、
ことを特徴とする請求項9に記載の共振器アセンブリ。
【請求項15】
1つの前記共振器の第2電極は、別の前記共振器の圧電層を通るビアホールを介して別の前記共振器の第1電極に接続される、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の共振器アセンブリ。
【請求項16】
前記共振器の第1電極及び/又は第2電極の外部接続端は、前記支持構造を介してランド、キャパシタンス、又はインダクタンスに接続される、
ことを特徴とする請求項14に記載の共振器アセンブリ。
【請求項17】
請求項1~8のいずれかの1項に記載の共振器を含む、
ことを特徴とするフィルタ。
【請求項18】
請求項1~8のいずれかの1項に記載の共振器を含む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項19】
共振器の製作方法であって、
対向する第1表面及び第2表面を有する基板を提供するステップと、
前記第1表面に第1電極を形成するステップであって、前記第1電極は、前記第1表面から離れて突起した第1突起部分と、前記第1表面に位置する第1平坦部分とを含み、前記第1突起部分と前記第1表面との間にキャビティが形成されるステップと、
前記第1電極の前記基板から離反する側に圧電層を形成するステップであって、前記圧電層は前記第1表面と平行であるステップと、
前記圧電層の前記第1電極から離反する側に第2電極を形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする共振器の製作方法。
【請求項20】
前記キャビティの形成方法は、
前記キャビティを形成しようとする領域に第1犠牲層を形成し、前記第2電極を形成した後、前記第1犠牲層を除去するステップを含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の製作方法。
【請求項21】
前記第1電極の第1平坦部分と、前記圧電層と、の間に第1隙間が形成されている、
ことを特徴とする請求項19に記載の製作方法。
【請求項22】
前記第1隙間の形成方法は、
前記第1隙間を形成しようとする領域に第2犠牲層を形成し、前記第2電極を形成した後、前記第2犠牲層を除去するステップ、
或いは、前記第1隙間を形成しようとする領域に媒体層を形成するステップを含む、
ことを特徴とする請求項21に記載の製作方法。
【請求項23】
前記圧電層の形成の前に、
前記第1電極の外側に支持構造を形成するステップであって、前記支持構造は、前記第1表面から離れて突起した第2突起部分と、前記第1表面に位置する第2平坦部分と、を含み、前記第2突起部分は前記第1突起部分と面一であるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の製作方法。
【請求項24】
前記第2突起部分と前記第1表面との間に第2隙間を有し、
前記支持構造の形成方法は、
前記第2隙間を形成しようとする領域に第3犠牲層を形成し、前記第3犠牲層に前記支持構造を形成し、前記第2電極を形成した後、前記第3犠牲層を除去するステップ、
或いは、前記第2隙間を形成しようとする領域に媒体層を形成し、前記媒体層に前記支持構造を形成するステップを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の製作方法。
【請求項25】
前記支持構造は前記第1電極と同時に一体形成される、
ことを特徴とする請求項23に記載の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体分野に属し、具体的には、共振器、共振器アセンブリ、フィルタ、電子機器及び製作方法に関する。本願は、2022年09月30日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202211230473.1であり、発明の名称が「共振器、共振器アセンブリ、フィルタ、電子機器及び製作方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
電磁スペクトルがますます混雑していくこと、無線通信機器のバンド、機能が増え続けていくこと、及び無線通信の電磁スペクトルが500MHzから5GHz以上に高速に増えていくことにつれて、性能が高く、コストが低く、消費電力が低く、体積が小さい無線周波数フロントエンドモジュールに対する人々の要求は日々高まっている。フィルタは無線周波数フロントエンドモジュールの1つとして、信号の発信及び受信の改善機能を有し、無線周波数フロントエンドモジュールで重要な役割を果たしている。
【0003】
従来技術における共振器の製作過程は、基板、第1電極、圧電層、及び第2電極を順次積層することであり、第1電極は突起構造を有し、その突起構造が基板とキャビティを形成し、圧電層は直接に第1電極表面に積層され、圧電層はキャビティのエッジ位置で大きな形貌変化が発生するため、圧電層のこの位置での成長欠陥が大きくなるとともに、圧電層の応力が大きくなり、ウエハ全体の応力分布範囲の変動が大きくなり、デバイスの歩留まりに影響を与える。また、デバイスが冷熱衝撃環境にあれば、機械構造の信頼性が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同時に、共振器における音波の伝搬モードは縦モードを主とするが、現れるのを希望しない横モードも存在する。横モードは、音響エネルギーの損失を招致し、デバイスのQファクターを低減させる。従って、デバイスのQファクターを向上させるために、横モードの減少又は抑制が必要である。1つの方式は、横モードの音波(横波)をデバイスの共振領域の境界位置で再びデバイス内に反射し入らせるとともに、一部の横波を縦波に変換することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに鑑みて、本願の第1態様は共振器を提供し、方案は以下の通りである。
【0006】
共振器であって、
対向する第1表面及び第2表面を有する基板と、
前記第1表面から離れて突起した第1突起部分と、前記第1表面に位置する第1平坦部分とを含む、前記第1表面に位置する第1電極であって、前記第1突起部分と前記第1表面との間にキャビティが形成される第1電極と、
前記第1電極の前記基板から離反する側に位置し、前記第1表面と平行である圧電層と、
前記圧電層の前記第1電極から離反する側に位置する第2電極と、を含む。
【0007】
好ましくは、上記共振器において、前記第1電極の第1平坦部分と、前記圧電層と、の間に第1隙間を有する。
【0008】
好ましくは、上記共振器において、前記第1隙間は、空気隙間を含むか、又は誘電体材料が充填されている。
【0009】
好ましくは、上記共振器において、少なくとも一側の前記第1平坦部分の外側に支持構造が接続されており、前記支持構造は前記第1突起部分と面一である。
【0010】
好ましくは、上記共振器において、前記支持構造は、
前記第1表面から離れて突起した第2突起部分と、前記第1表面に位置する第2平坦部分と、を含む。
【0011】
好ましくは、上記共振器において、前記支持構造は、導電性材料又は非導電性材料である。
【0012】
好ましくは、上記共振器において、前記支持構造の第2突起部分と前記第1表面との間に第2隙間を有する。
【0013】
好ましくは、上記共振器において、前記第2隙間内に充填された媒体は、空気、低音響インピーダンス媒体、又は両者の組み合わせを含む。
【0014】
本願の第2態様によれば、共振器アセンブリを提供し、上記のいずれか1項に記載の共振器を含み、少なくとも1つの前記共振器は別の前記共振器と相互に接続される。
【0015】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、1つの前記共振器と別の前記共振器との相互接続領域の圧電層と、前記第1電極との間及び/又は前記第1表面との間に第3隙間を有する。
【0016】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、前記第3隙間は、空気隙間を含むか、又は誘電体材料が充填されている。
【0017】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、前記第3隙間上方の圧電層、及び前記第1突起部分と前記第1平坦部分との間の第1電極に、エッチング試薬を投入して前記第3隙間及び前記キャビティを形成するために、解放孔を設ける。
【0018】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、1つの前記共振器は別の前記共振器の第1電極と相互に接続され、
或いは、1つの前記共振器は別の前記共振器の第2電極と相互に接続され、
或いは、1つの前記共振器の第1電極は別の前記共振器の第2電極と相互に接続される。
【0019】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、1つの前記共振器は別の前記共振器の第1電極と支持構造を介して相互に接続され、
或いは、1つの前記共振器の第2電極は支持構造を介して別の前記共振器の第1電極に接続される。
【0020】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、1つの前記共振器の第2電極は、別の前記共振器の圧電層を通るビアホールを介して別の前記共振器の第1電極に接続される。
【0021】
好ましくは、上記共振器アセンブリにおいて、前記共振器の第1電極及び/又は第2電極の外部接続端は、前記支持構造を介してランド、キャパシタンス、又はインダクタンスに接続される。
【0022】
本願の第3態様によれば、フィルタを提供し、上記のいずれか1項に記載の共振器を含む。
【0023】
本願の第4態様によれば、電子機器を提供し、上記のいずれか1項に記載の共振器を含む。
【0024】
本願の第5態様によれば、共振器の製作方法を提供し、
対向する第1表面及び第2表面を有する基板を提供するステップと、
前記第1表面に第1電極を形成するステップであって、前記第1電極は、前記第1表面から離れて突起した第1突起部分と、前記第1表面に位置する第1平坦部分とを含み、前記第1突起部分と前記第1表面との間にキャビティが形成されるステップと、
前記第1電極の前記基板から離反する側に圧電層を形成するステップであって、前記圧電層は前記第1表面と平行であるステップと、
前記圧電層の前記第1電極から離反する側に第2電極を形成するステップと、を含む。
【0025】
好ましくは、上記共振器の製作方法において、前記キャビティの形成方法は、
前記キャビティを形成しようとする領域に第1犠牲層を形成し、前記第2電極を形成した後、前記第1犠牲層を除去するステップを含む。
【0026】
好ましくは、上記共振器の製作方法において、前記第1電極の第1平坦部分と、前記圧電層と、の間に第1隙間が形成されている。
【0027】
好ましくは、上記共振器の製作方法において、前記第1隙間の形成方法は、
前記第1隙間を形成しようとする領域に第2犠牲層を形成し、前記第2電極を形成した後、前記第2犠牲層を除去するステップ、
或いは、前記第1隙間を形成する領域に媒体層を形成するステップを含む。
【0028】
好ましくは、上記共振器の製作方法において、前記圧電層の形成の前に、
前記第1電極の外側に支持構造を形成するステップであって、前記支持構造は、前記第1表面から離れて突起した第2突起部分と、前記第1表面に位置する第2平坦部分と、を含み、前記第2突起部分は前記第1突起部分と面一であるステップをさらに含む。
【0029】
好ましくは、上記共振器の製作方法において、前記第2突起部分と前記第1表面との間に第2隙間を有し、
前記支持構造の形成方法は、
前記第2隙間を形成しようとする領域に第3犠牲層を形成し、前記第3犠牲層に前記支持構造を形成し、前記第2電極を形成した後、前記第3犠牲層を除去するステップ、
或いは、前記第2隙間を形成しようとする領域に媒体層を形成し、前記媒体層に前記支持構造を形成するステップを含む。
【0030】
好ましくは、上記共振器の製作方法において、前記支持構造は前記第1電極と同時に一体形成される。
【0031】
上記記載により分かるように、本願技術が提供する共振器の圧電層は基板の第1表面と平行、又は略平行であり、その局部のひずみが小さいため、成長欠陥が小さく、圧電層全体の応力変化の幅が小さく、圧電層全体の圧電性能の整合性が比較的によい。同時に、圧電層全体のひずみが小さいため、機械構造が比較的に安定であり、外界の衝撃に直面する場合に破壊しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本願の実施例又は関連技術における技術案をより明らかに説明するために、以下は実施例または従来技術の説明にとって必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載における図面は本願の実施例であり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、提供した図面に応じて他の図面を取得し得る。
本明細書の図面で表す構造、割合、サイズなどは、明細書に開示する内容に合わせて当業者に理解と読解をさせるためのものであり、本願が実施される限定条件を限定するためのものではないので、技術的に実質的な意味がなく、いずれの構造の修飾、割合関係の変化またはサイズの調整も、本願により生じる効果および達成される目的に影響を及ぼさない限り、本願に開示されている技術内容の範囲内に含まれる。
【
図1】従来技術における共振器の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例が提供する共振器の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例が提供する、共振器の周波数とインピーダンスとの曲線関係図である。
【
図4】本願の実施例が提供する、共振器の周波数とインピーダンスとの曲線関係図である。
【
図5】本願の実施例が提供する、共振器の周波数とインピーダンスとの曲線関係図である。
【
図6】本願の実施例が提供する共振器の並列共振周波数のグラフである。
【
図7】本願の実施例が提供する別の共振器の構造模式図である。
【
図8】本願の実施例が提供する共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図9】本願の実施例が提供する別の共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図10】本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図11】本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図12】本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図13】本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図14】本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図である。
【
図15】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【
図16】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【
図17】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【
図18】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【
図19】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【
図20】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【
図21】本願の実施例が提供する共振器の製作フローのプロセス模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本願における実施例を、本願の実施例における図面を結合して明確かつ完全に記載する。明らかに、記載した実施例は本願のすべての実施例ではなく、一部のみである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で得られるすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0034】
共振器のキャビティは主に、基板内部に嵌入されたキャビティ、及び基板表面の上に位置するキャビティを含む。なお、基板内部に嵌入されたキャビティについて、製作過程において、基板に凹溝をエッチングし、その後、凹溝の位置でキャビティを形成する必要があるが、基板に大きな凹溝をエッチングするには時間がかかり、製作に必要な時間を大幅に延長する。基板内に嵌入されたキャビティに対して、基板表面の上に位置するキャビティは、基板をエッチングするステップを必要としないため、キャビティの形成に必要な時間を大幅に短縮できる。
【0035】
図1を参照し、
図1は従来技術における共振器の構造模式図であり、共振器は、対向する第1表面及び第2表面を有する基板100と、第1表面から離れて突起した突起部分1021と、第1表面上に位置する第1平坦部分1022とを含む、第1表面に位置する第1電極102であって、突起部分1021と第1表面との間にキャビティ101が形成される第1電極102と、第1電極102の基板100から離反する側に位置する圧電層104と、圧電層104の第1電極102から離反する側に位置する第2電極105と、を含む。圧電層104は直接に第1電極102の表面に成長され、両者は同じ表面形貌を有し、圧電層104は第1電極102の高さにつれて起伏し変化する。
【0036】
圧電層は、従来技術において上凸のキャビティ形貌に制限され、キャビティのエッジ位置で大きな形貌変更が発生するため、この位置の圧電層の成長欠陥が大きくなるとともに、圧電層の応力が大きくなり、さらにウエハ全体の応力分布範囲の変動が大きくなる。圧電材料の応力が直接にその有効な圧電結合係数に影響を与えるので、応力変動範囲が大きい場合、圧電層全体の圧電性能の整合性が悪くなり、最終的にデバイスの歩留まりに影響を与える。また、デバイスが冷熱衝撃環境にあれば、機械構造の信頼性が悪くなり、キャビティのエッジから破壊する現象が容易に現れる。
【0037】
これに鑑みて、本願の実施例は、共振器を提供し、対向する第1表面及び第2表面を有する基板と、第1表面から離れて突起した第1突起部分と、第1表面に位置する第1平坦部分とを含む、第1表面に位置する第1電極であって、第1突起部分と第1表面との間にキャビティが形成される第1電極と、第1電極の基板から離反する側に位置し、第1表面と平行である圧電層と、圧電層の第1電極から離反する側に位置する第2電極と、を含む。
【0038】
なお、圧電層は基板の第1表面と平行、又は略平行であり、その局部のひずみが小さいか、又は、ひずみがほとんどなく、特にキャビティのエッジで、圧電層の形貌変化が小さいため、キャビティのエッジでの成長欠陥が小さく、同時に、ウエハ全体での圧電層の応力変化の幅が小さいため、圧電層の圧電性能の整合性が向上する。同時に、圧電層全体のひずみが小さいため、デバイスが冷熱衝撃環境にあれば、機械構造の安定性が向上し、外界の衝撃に直面する場合に破壊しにくく、特にキャビティのエッジで破壊のリスクを大幅に低減させる。
【0039】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、図面及び具体的な実施形態を結合して本願をさらに詳しく説明する。
【0040】
図2を参照し、
図2は本願の実施例が提供する共振器の構造模式図であり、示す共振器は、対向する第1表面及び第2表面を有する基板10と、第1表面から離れて突起した第1突起部分121と、第1表面に位置する第1平坦部分122とを含む、第1表面に位置する第1電極12であって、第1突起部分121と第1表面との間にキャビティ11が形成される第1電極12と、第1電極12の基板10から離反する側に位置し、第1表面と平行である圧電層14と、圧電層14の第1電極12から離反する側に位置する第2電極15と、を含む。
【0041】
具体的には、圧電層14が第1表面と平行であることは、圧電層14が基板10と平行、又は略平行であることを含む。圧電層14が基板10と平行、又は略平行であるため、圧電層14全体の局部のひずみが小さく、ひずみによって発生される成長欠陥が小さく、圧電層14の成長品質を向上させ、質(Q)ファクターを向上させる。同時に、圧電層14のひずみがほとんどないため、圧電層14の応力変化が小さく、応力変化の大きい領域が現れず、よって、圧電層14の圧電性能の整合性がよく、さらに共振器の歩留まりが高い。また、水平状の圧電層14はさらに、デバイスの電力許容レベルを向上させることができる。
【0042】
なお、第1電極12の第1平坦部分122と、水平な圧電層14と、の間に第1隙間131を有し、第1隙間131は、圧電層14、第1平坦部分122、基板10の第1表面を分離し、圧電層14を水平状にさせ、かつ基板10の第1表面と平行にさせる。
【0043】
水平状の第1電極12と比較すると、第1隙間131の周辺の第1電極12は、第1突起部分121と、第1平坦部分122と、両者の間に位置する部分とを含み、第1電極12の形貌は大きな変更が発生し、よって、横モードの音波を反射し、音波のエネルギー損失を低減することができる。同時に、第1隙間131と第1電極12とは材料の音響インピーダンスが異なり、音響インピーダンスの不整合が両者の界面で発生するので、横波モードを抑制し、音波のエネルギー損失を減少し、さらに共振器の質(Q)ファクターを向上させることができる。
【0044】
第1電極12の第1突起部分121と第1平坦部分122との間の第1電極は、傾斜状にすることができ、第1隙間131は傾斜部分の第1電極12の側面にあり、傾斜形貌も横波をよりよく反射できる。また、第1隙間131は、垂直方向において基板10の上方に位置する第1電極12と圧電層14とを分離し、第1電極12、圧電層14、第2電極15が基板の上方で重なると寄生振動が発生するため、第1隙間131はさらに、寄生振動を減少でき、特に複数の共振器の間が相互に接続される場合、フィルタのデバイス全体性能を向上させる。
【0045】
図3~
図5を参照し、
図3は本願の実施例が提供する、共振器の周波数とインピーダンスとの曲線関係図であり、
図4は
図3における上方の破線円形領域の局部拡大図であり、
図5は
図3における下方の破線円形領域の局部拡大図である。実線が示すのは、
図2に示す共振器に対応する、周波数とインピーダンスとのグラフであり、破線が示すのは、
図1に示す共振器に対応する、周波数とインピーダンスとのグラフである。
【0046】
図4に基づいて分かるように、
図2に示す共振器について、その直列インピーダンスRsの最大値が破線の1100Ωから実線の1250Ωまで上昇し、共振器の直列インピーダンスRsが向上した後、その直列の性質係数Qsも相応的に向上する。
【0047】
図5に基づいて分かるように、
図2に示す共振器について、並列インピーダンスRpの最小値が破線の1.5Ωから実線の1.1Ωまで低減し、共振器の並列インピーダンスRpが低減した後、その並列の性質係数Qpは相応的に向上する。
【0048】
本願の実施例が提供する共振器の構造は従来技術における共振器の構造と比較すると、
図6に示すように、第1隙間131により、さらに寄生振動を改善できる。
【0049】
図6を参照し、
図6は本願の実施例が提供する共振器のスミスチャートである。実線は、
図2に示す共振器に対応するスミスチャートであり、破線は、
図1に示す共振器に対応するスミスチャートである。なお、スミス円における曲線が最も外側の円から外れる程度が大きいほど、その寄生共振が強いことを意味し、図における破線円形位置では、破線の最も外側から外れる程度が大きく、実線の最も外側から外れる程度が小さいが、本願の実施例が提供する共振器の寄生周波数が明らかに改善されることを説明し、特に2.5GHzでの寄生共振モードの低減が多い。
【0050】
上記実施例における第1隙間131について、空気隙間を採用してもよく、又は、第1隙間131内に誘電体材料を充填してもよい。
【0051】
具体的には、第1隙間131内に充填される誘電体材料は、誘電損失の低い材料であり、例えば、SiO2、SiC、PI(ポリイミド)、エアロゾル、カーボン(C)をドープしたSiO2、SiLKの誘電体樹脂、又はベンゾシクロブテン(BCB)等の材料である。第1隙間131に誘電体材料が充填された場合、上記の電気的性能の改善効果を奏するだけでなく、圧電層14によりよい支持効果を提供することもできる。
【0052】
圧電層14の平坦性をさらに保証するために、
図7に示すように、共振器に支持構造16を設けることで、圧電層14にウエハ全体の基板10の上方で水平状態を保持させることにより、圧電層14の平坦性を保証することができる。
【0053】
図7を参照し、
図7は本願の実施例の別の共振器の構造模式図である。第1電極12の少なくとも一側の第1平坦部分122の外側に支持構造16が接続されており、支持構造16は突起部分と面一であり、支持構造16及び突起部分によって共同して支持されるから、圧電層14は第1電極12、支持構造16上でともに水平状態を保持する。
【0054】
図7には、1つの支持構造16が例示され、当該支持構造16は、図に示す第1電極12の左側にあってもよい。明らかに、ニーズに応じて、1つ又は複数の支持構造16を有するように設けてもよく、第1突起部分121の少なくとも一側の第1平坦部分122に1つ又は複数の支持構造16が接続されている。2つ及び2つ以上の支持構造16が存在する場合、支持構造16は、第1電極12の第1平坦部分122の両側で任意に組み合わせることができる。
【0055】
支持構造16は、第1表面から離れて突起した第2突起部分161と、第1表面に位置する第2平坦部分162と、を含み、いくつかの実施例では、第2平坦部分162を設けず、第2突起部分161のみによって圧電層14を支持するようにしてもよい。第2突起部分161は第1突起部分121と面一であり、即ち、両者は、第1表面に対して同じ、又は近い高さを有し、よって、支持構造16は、圧電層14のために支持効果を提供し、圧電層14が基板10と平行であるように保証することができ、これにより、圧電層14のサイズが大き過ぎる時に大きなひずみが発生することを回避又は低減し、圧電層14がよりよい圧電の整合性を得る。
【0056】
上記紹介における支持構造16は、導電性材料又は非導電性材料であってもよい。
【0057】
なお、導電性材料は、金、ルテニウム、モリブデン、アルミニウム、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、クロム、ニッケルのうちの少なくとも1種であってもよい。これらの材料では、モリブデン材料は優れた導電性能、低い誘電損失、及び比較的に安いコストにより、比較的によく使われる材料の1つとなっている。支持構造16について導電性材料が採用される場合、支持構造16は、第1電極12と同じ材料が採用されてもよく、このようにすると、支持構造16は、第1電極12と同じ工程で製造でき、製作の難度を低減させ、製作レートをアップすることができる。
【0058】
導電性材料を採用する場合、支持構造16は、支持の作用を奏するだけでなく、1つの接続構造とすることもでき、支持構造16は第1電極12に直接に接続され、これにより、第1電極12は、支持構造16を介して他の部材と電気的に導通できる。支持構造16について非導電性材料が採用される場合、支持構造16は、支持作用を奏するだけであり、それに、第1電極12とそれぞれに製造し形成する必要がある。
【0059】
選択可能に、支持構造16の第2突起部分161と第1表面との間に第2隙間132を有するように設けてもよく、第2隙間132内に充填された媒体は、空気、低音響インピーダンス媒体、又は両者の組み合わせを含む。さらに、直接に誘電体材料を採用して中実の非導電性支持構造16を製造するようにしてもよい。
【0060】
上記実施例では、単一の共振器の構造を紹介し、実際の適用シーンでは、複数の共振器を組み合わせて使用する必要があるシーンが現れ、よって、本願の実施例では、共振器アセンブリを提供し、共振器アセンブリは、上記実施例のいずれか1項の共振器を含み、それに、少なくとも1つの共振器は別の共振器と相互に接続される。
【0061】
使用ニーズに応じて、共振器アセンブリに任意の複数の上記実施例の共振器を有するように設けてもよく、本願の実施例に図示される2つの共振器に限定されない。
図8~14を参照し、
図8~14は本願の異なる実施例が提供する共振器アセンブリの構造模式図である。
【0062】
なお、1つの共振器と別の共振器との相互接続領域の圧電層14と、第1電極12との間及び/又は第1表面との間に第3隙間133を有する。
【0063】
以下のような3種の接続方式を含んでもよく、
図9、11、13、14に示すように、第1種の方式における2つの共振器の第1電極12の間が切断され、両者の第1電極12の切断領域が露出する第1表面と、両者の共有する圧電層14との間に第3隙間133を有する。
図8、10、12に示すように、第2種の方式における当該2つの共振器の第1電極12は一体に接続され、両者の第1電極12と、両者の共有する圧電層14との間に第3隙間133を有する。上記両者の方式の組み合わせが形成する第3種の方式(図示せず)をさらに含み、2つの共振器の第1電極12の間が切断され、両者の第1電極12の切断領域が露出する第1表面と、両者の共有する圧電層14との間に第3隙間133を有し、また、2つの共振器の第1電極12は一体に接続され、両者の第1電極12と、両者の共有する圧電層14との間に第3隙間133を有する。
【0064】
選択可能に、第3隙間133は、空気隙間を含むか、誘電体材料が充填されており、又は両者の組み合わせである。
【0065】
本願の実施例では、第1犠牲層に基づいて、必要な図形構造の第1電極12及びキャビティ11を形成する。
【0066】
第1隙間131、第3隙間133は、ともに空気で充填されてもよく、又は、ともに媒体で充填されてもよく、又は、ともに空気、媒体の組み合わせてあってもよく、又は、そのうちの1つが空気、もう1つが媒体で充填されてもよい。両者がともに空気であることを例示的に説明し、両者の形成は、同じステップのプロセスであってもよい。例えば、まず、第1隙間131、第3隙間133を形成する位置で第2犠牲層182を充填し、第2電極15を形成した後、第2犠牲層182を解放することにより、第1隙間131、第3隙間133を形成し、且つ、両者が連通する。第1隙間131及び/又は第3隙間133内に媒体を充填する場合、第1隙間131及び/又は第2隙間132を形成しようとする位置で犠牲層を充填し、犠牲層を除去した後に媒体層を充填するか、又は、直接に媒体層を充填するとともに、当該媒体層を保留し、隙間を形成することであってもよい。
【0067】
図8に示すように、第3隙間133の上方の圧電層14、第1突起部分121、第1平坦部分122の間の第1電極12に、エッチング試薬を投入してキャビティ11、第1隙間131、第3隙間133を形成するために、貫通する解放孔20を設けることができる。
【0068】
第3隙間133が空気隙間であると、第2犠牲層を解放する場合、先に第3隙間133の上方に位置して圧電層14を通る解放孔20を介して、第3隙間133の対応領域内の第2犠牲層182を解放する必要があり、即ち、当該領域の第2犠牲層182をエッチング除去し、第3隙間133を形成する。第3隙間133の領域の第2犠牲層182を解放したあと、第1電極12に設けられる解放孔20に応じて、キャビティ11の対応領域内に充填された第1犠牲層を解放し、即ち、当該領域の第1犠牲層をエッチング除去し、キャビティ11を形成する。
【0069】
第3隙間133に媒体材料が充填されていると、圧電層14に位置する解放孔20と、第1電極12に位置する解放孔20とを連通するために、第3隙間133の対応領域内の誘電体材料に1つの孔を形成する必要がある。この場合、エッチング試薬は、第3隙間133の対応領域内の誘電体材料をエッチング除去せず、キャビティ11の領域内の第1犠牲層のみを除去する。
【0070】
本願技術案について、第3隙間133に位置する第2犠牲層182、又は媒体材料に基づいて圧電層14を形成することは、平坦性のよい圧電層14を形成できるだけでなく、圧電層14のひずみが小さく、応力変化が小さく、圧電の整合性がよい。
【0071】
本願の実施例が提供する共振器アセンブリにおいて、2つの共振器に対して、以下のような方式により接続することができ、
図9に示すように、1つの共振器は別の共振器の第2電極15と相互に接続され、或いは、
図8、10に示すように、1つの共振器は別の共振器の第1電極12と相互に接続され、或いは、
図11に示すように、1つの共振器の第1電極12は別の共振器の第2電極15と相互に接続される。
【0072】
図9を参照し、
図9は本願の実施例が提供する別の共振器アセンブリの構造模式図であり、当該方式において、1つの共振器の第1電極12はもう1つの共振器の第1電極12と切断され、両者の第2電極15は相互に接続される。
【0073】
図10を参照し、
図10は本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図であり、当該方式において、1つの共振器の第1電極12はもう1つの共振器の第1電極12に接続され、両者の第2電極15は切断される。
【0074】
図11を参照し、
図11は本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図であり、当該方式において、2つの共振器の第1電極12は切断され、かつ2つの共振器の第2電極15は切断され、1つの共振器の第1電極12はもう1つの共振器の第2電極15に接続される。
【0075】
図8~
図11に示す実施例では、支持構造16がない状況での2つの共振器の接続方式を紹介し、導電の支持構造16を有する場合、2つの共振器の接続方式は、
図12~
図14に示すように、1つの共振器が別の共振器の第1電極12と支持構造16を介して相互に接続され、又は、1つの共振器の第2電極15が支持構造16を介して別の共振器の第1電極12に接続されるようにしてもよい。
【0076】
図12を参照し、
図12は本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図であり、当該方式において、1つの共振器の第1電極12は別の共振器の第1電極12と支持構造16を介して相互に接続され、かつ当該2つの共振器の第2電極15は切断される。
【0077】
図13を参照し、
図13は本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図であり、当該方式において、1つの共振器の第2電極15は支持構造16を介して別の共振器の第1電極12に接続され、当該2つの共振器の第1電極12は切断され、かつ当該2つの共振器の第2電極15は切断される。
【0078】
なお、共振器アセンブリにおいて、共振器は任意の複数であってもよく、共振器は、相互に直列する共振器、又は、相互に並列する共振器を含んでもよく、又は、相互に直列する共振器、相互に並列する共振器を同時に有する。
【0079】
本願の実施例では、1つの共振器の第2電極15がもう1つの共振器の第1電極12と相互に接続される場合、1つの共振器の第2電極15が、別の共振器の圧電層14を通ったビアホールを介して別の共振器の第1電極12に接続されるように設けてもよい。
【0080】
上記実施例では、複数の共振器が相互に接続する方法を紹介し、共振器アセンブリと他の構造との電気的な接続方式は、
図14に示すようにしてもよい。
【0081】
図14を参照し、
図14は本願の実施例が提供するさらに別の共振器アセンブリの構造模式図であり、当該方式において、共振器の第1電極12又は第2電極15の外部接続端17は支持構造16を介してランド、キャパシタンス又はインダクタンスに接続される。外部接続端17が支持構造16を介してランド、キャパシタンス又はインダクタンスに接続されるように設けることは、支持構造16の支持作用を利用でき、ランド等を第2電極15と同じ平面に位置させ、ランドの製作を容易にさせ、それに、圧電層14がランドの位置で依然として水平状態にあることを保証し、形貌の変化を減少することができ、同時に、外部接続端17をランド、キャパシタンス又はインダクタンスに接続する際に圧電層14に損傷を与えることを回避するためである。
【0082】
共振器アセンブリにおいて、複数の共振器は同じ基板10の表面に位置し、異なる共振器の第1電極12は同じ層の導電層に位置し、異なる共振器の第2電極15は同じ層の導電層に位置し、異なる共振器は同じ圧電層14を共有し、且つ、圧電層14の同じ基板10の上方が基板10と平行であり、その形貌が基本的に変化しない。
【0083】
上記実施例に基づいて、本願の1つの実施例はさらに、フィルタを提供し、フィルタは、上記実施例のいずれかの方式の共振器又は共振器アセンブリを含む。
【0084】
上記実施例に基づいて、本願はもう1つの実施例において、さらに電子機器を提供し、上記実施例のいずれかの方式の共振器又は共振器アセンブリを含む。
【0085】
上記実施例に基づいて、本願の別の実施例はさらに、共振器の製作方法を提供し、当該方法は、上記の1つの実施例の構造形成方法であり、例示として、他の実施例の構造についても、この方法を参照して製作形成されてもよい。当該製作方法は、
図15~
図21に示すようにしてもよい。
図15~
図21は本願の実施例が提供する共振器の製作プロセスのフローチャートである。
【0086】
ステップS100:
図15に示すように、1つの基板10を提供し、基板10は第1表面及び第2表面を備え、基板10に第1犠牲層181を形成し、第1犠牲層181の所在領域はキャビティ11を形成するための領域であり、後続のプロセスにおいて、第2電極15を形成した後、第1犠牲層181を除去し、キャビティ11を形成する。
【0087】
基板10が使用する材料は、シリコン、サファイア、ポリシリコン、シリカ、ヒ化ガリウム、スピネル、ガラス、又はセラミックスのうちの1種又は多種の結合であってもよく、シリコン材料は優れた性質のため、広く適用される。第1犠牲層181について、Ge、Sb、Ti、Al、Cu等の金属及びリンケイ酸ガラス又はポリマーのうちの1種又は多種を採用して製作できる。
【0088】
ステップS110:
図16に示すように、第1表面に第1電極12を形成し、第1電極12は、第1表面から離れて突起した第1突起部分121と、第1表面に位置する第1平坦部分122とを含み、第1突起部分121と第1表面との間にキャビティ11が形成される。
【0089】
なお、この段階のステップにおいて、第1突起部分121と第1表面との間は第1犠牲層181であり、第2電極15を形成した後、第1犠牲層181を除去する。第1犠牲層181を除去した後、キャビティ11を形成し、第1犠牲層181は、キャビティ11の形状及び大きさを決定する。
【0090】
ステップS120:
図17、
図18に示すように、第1電極12の基板10から離反する側に、第1表面と平行な圧電層14を形成する。
【0091】
なお、第1電極12の第1平坦部分122と、圧電層14と、の第1隙間131の生成の前に、第1隙間131を形成しようとする位置で犠牲層を製造する必要があり、
図17を参照し、
図17に示すように、圧電層14を製作する前に、第1電極12を処理する必要があり、第1平坦部分122を第2犠牲層182で覆い、そして、第2電極15を形成し、
図18に示すように、第2電極15を形成した後、第2犠牲層182を除去し、第1隙間131を形成し、或いは、直接に第1隙間131を形成する領域に媒体層を形成し、第1隙間131の領域の媒体層を保留する。
【0092】
ステップ130:
図19に示すように、圧電層14の第1電極12から離反する側に第2電極15を形成する。
【0093】
圧電層14を形成する前に、第1突起部分121と面一である第2犠牲層182又は媒体層を第1平坦部分122の上方に形成する必要があり、犠牲層182は、第2電極15の形成後に除去され、第1隙間131内にさらに媒体層を形成できると、当該媒体層は、除去される必要がない。
【0094】
ステップS140:
図20に示すように、共振器の製作過程に形成された第1犠牲層181、第2犠牲層182を取り除き、第1犠牲層181を取り除いた後キャビティ11を形成し、第2犠牲層182を取り除いた後第1隙間131を形成する。
【0095】
上記実施例では、共振器がさらに支持構造16を備えてもよいことを紹介し、支持構造16の製作方法は
図21に示すように、圧電層14の形成の前に、第1電極12の外側に支持構造16を形成し、前記支持構造16は、第1表面から離れて突起した第2突起部分161と、第1表面に位置する第2平坦部分162と、を含み、第2突起部分161は第1突起部分121と面一である。なお、第2突起部分161と第1表面との間に第2隙間132を有する。
【0096】
本願の実施例では、紹介する支持構造16の第2突起部分161と第1表面との間に第2隙間132を有し、支持構造16の製造の前に、第2隙間132を形成しようとする領域に第3犠牲層183を形成し、そして、第3犠牲層182の上方に支持構造16を形成する必要がある。第2電極15を形成した後、第3犠牲層183を除去する。或いは、直接に第2隙間132を形成しようとする領域に媒体層を形成し、媒体層に支持構造16を形成する。支持構造16の下方が媒体層である場合、それをエッチング除去する必要がない。第1犠牲層181、第3犠牲層183は、同じ種類の材料の犠牲層であってもよい。異なる犠牲層について同じ材料を使用し、犠牲層を解放する場合、同じ種類の解放薬液を採用可能であり、操作フローを簡単化し、共振器の製造時間を低減させる。
【0097】
なお、支持構造16は、第1電極12と同期したプロセスで製作されてもよく、且つ、支持構造16は、第1電極12と一体成形された構造であってもよい。支持構造16を増やし、前記圧電層の整合性を向上させる状況では、余分な製作ステップを増やしない。
【0098】
本明細書における各実施例は漸進的、又は並列的、又は漸進的及び並列的な結合に記載され、各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を当て、各実施例間の同じ又は類似の部分は互いに参照することができる。実施例に開示された製作方法は、実施例に開示された共振器に対応するので、説明は比較的簡単であり、関連する部分は共振器部分を参照することができる。
【0099】
なお、本願の記載において、図面及び実施例の記載は、制限的なものではなく、説明的なものである。明細書実施例にわたる同様な符号は、同様な構造を標識する。また、理解し記載しやすくするために、図面は、ある層、膜、パネル、領域等の厚さを誇張して図示する可能性がある。また、層、膜、領域、又はベースプレートのような素子が、別の素子「上」「にある」と呼ばれる場合、当該素子は、直接に他の素子上にあってもよく、又は中間素子が存在してもよい。また、「…上にある」とは、素子を別の素子上、又は別の素子の下方に位置決めることを意味し、本質的には、重力方向に応じて別の素子の上側上に位置決めることを意味しない。
【0100】
用語「上」、「下」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが指示する方位又は位置関係は図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、単に本願の説明及び説明の簡略化の便宜上のものであり、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり暗示したりすることを意図するものではなく、従って、本願を制限するものと理解されるべきではない。1つのアセンブリが、もう1つのアセンブリに「接続」される場合、直接にもう1つのアセンブリに接続されてもよく、又は、中央に配置されたアセンブリが同時に存在する可能性がある。
【0101】
なお、本明細書では、「第一」及び「第二」等の用語は、単に、実体または動作を、他の実体または動作と区別するために使用され、必ずしも、実体または動作間に、この種の実在関係または順位付けが存在することを要求する、あるいは意味するわけではないことにさらに注意すべきである。さらに、「含む」、「包含する」、または他のそれらの変化形等の用語は、非排他的に包含することを意味する。一連の要素を含む製品またはデバイスは、それらの要素ばかりでなく、明示的に列挙されていない他の要素をも含む、あるいは、さらに、そのような製品またはデバイス内に既に存在していた要素を含む。さらに制限しない限り、語句「1つ...を含む」によって定義される要素は、上記要素を含む製品またはデバイス内のさらなる同一の要素の存在を排除しない。
【0102】
開示された実施例の上記説明は、当業者が本発明を実現又は使用することを可能にさせる。これらの実施例に対する様々な変更は、当業者にとって自明であり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現される。従って、本願は、本明細書に示される実施例に限定されず、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲に適合すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
具体的には、第1隙間131内に充填される誘電体材料は、誘電損失の低い材料であり、例えば、SiO
2
、SiC、PI(ポリイミド)、エアロゾル、カーボン(C)をドープしたSiO
2
、SiLKの誘電体樹脂、又はベンゾシクロブテン(BCB)等の材料である。第1隙間131に誘電体材料が充填された場合、上記の電気的性能の改善効果を奏するだけでなく、圧電層14によりよい支持効果を提供することもできる。
【国際調査報告】