(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241018BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20241018BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
F04B39/00 106Z
F04C29/00 T
F04C29/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574541
(86)(22)【出願日】2023-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 KR2023004992
(87)【国際公開番号】W WO2024080465
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0132353
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ, ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ファン, スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ, ソン テグ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム, スン キル
(72)【発明者】
【氏名】ベ, サン ウ
(72)【発明者】
【氏名】アン, ヒュ ナム
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ヨン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ジェ ス
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
5H770
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB07
3H003AC03
3H003CF01
3H129AA02
3H129AA18
3H129AB03
3H129BB32
3H129CC27
5H770AA21
5H770BA05
5H770QA01
5H770QA08
5H770QA28
5H770QA31
(57)【要約】
【課題】モータとインバータとを接続するためのコネクタによるコスト、重量及び大きさの増加を抑制できる電動圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明は電動圧縮機に関し、動力を発生するモータと、前記モータによって駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、前記モータと前記インバータとを電気的に接続する端子ピン、前記端子ピンを支持するプレート、及び前記端子ピンと前記プレートとの間を絶縁する絶縁体を有するコネクタと、を含み、前記絶縁体の少なくとも一部は前記端子ピンが取り囲むように形成されることによって、コネクタによるコスト、重量及び大きさの増加を抑制することができ、前記端子ピンは、延長方向に垂直な方向において断面積の互いに異なる部分を含むことを特徴とする
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生するモータと、
前記モータによって駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機構と、
前記モータを制御するインバータと、
前記モータと前記インバータとを電気的に接続する端子ピン、前記端子ピンを支持するプレート、及び前記端子ピンと前記プレートとの間を絶縁する絶縁体を有するコネクタと、を含み、
前記絶縁体の少なくとも一部は前記端子ピンが取り囲むように形成されることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記端子ピンは、延長方向に垂直な方向において断面積の互いに異なる部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記モータ側に突出した第1端部、前記インバータ側に突出した第2端部、及び前記第1端部から前記第2端部まで延び、前記プレートを貫通する中端部を含み、
前記端子ピンは、前記第1端部の外周面を囲む第1端子部、前記第2端部の外周面を囲む第2端子部、及び前記第1端子部から前記第2端子部まで延び、前記中端部に収容される接続部を含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記接続部は、前記接続部の外周面に凹状に形成される溝を含み、
前記絶縁体は、前記溝に挿入される突起を含むことを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記第1端部と前記第2端部は、それぞれ円筒状に形成され、
前記第1端子部と前記第2端子部は、それぞれ環状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記第1端子部が第1薄板バネ(lamella spring)に挿入され、前記第1端子部の外周面が前記第1薄板バネの内周面に接触し、前記第1薄板バネが前記モータの端子に挿入され、前記第1薄板バネの外周面が前記モータの端子に接触することで、前記端子ピンが前記モータと電気的に接続し、
前記第2端子部が第2薄板バネに挿入され、前記第2端子部の外周面が前記第2薄板バネの内周面に接触し、前記第2薄板バネが前記インバータの端子に挿入され、前記第2薄板バネの外周面が前記インバータの端子に接触することで、前記端子ピンが前記インバータと電気的に接続することを特徴とする請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記第1端部は、前記第1端子部よりも前記モータ側にさらに突出した第1先端部を含み、
前記第2端部は、前記第2端子部よりも前記インバータ側にさらに突出した第2先端部を含むことを特徴とする請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記第1先端部の角及び前記第2先端部の角は、面取りされたことを特徴とする請求項7に記載の電動圧縮機。
【請求項9】
前記中端部は、前記第1端部及び前記第2端部と同心をなし、前記第1端部及び前記第2端部よりも大きい外径を有する円筒状に形成され、前記第1端部と前記中端部との間には第1段差部が形成され、前記第2端部と前記中端部との間には第2段差部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項10】
前記接続部の延長方向に垂直な断面は、互いに平行な一対の長辺及び互いに平行な一対の短辺を含み、
前記長辺の長さは、前記第1端子部の外径及び前記第2端子部の外径よりも小さく形成され、前記短辺の長さは、前記長辺の長さよりも小さく形成されることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項11】
前記接続部は、前記一対の長辺をそれぞれ含む一対の長側面、及び前記一対の短辺をそれぞれ含む一対の短側面を含み、
前記端子ピンは、複数備えられ、
複数の端子ピンは、前記プレートの一延長方向に互いに離隔して配列され、前記複数の端子ピンの長側面が互いに対向するように配列されることを特徴とする請求項10に記載の電動圧縮機。
【請求項12】
前記接続部は、前記第1端子部及び前記第2端子部と同心上に配置される中心部、前記中心部から前記第1端子部まで延びる第1曲部、及び前記中心部から前記第2端子部まで延びる第2曲部を含むことを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項13】
前記第1端子部と前記第2端子部は、それぞれ前記プレートから3mm以上20mm以下の範囲内で離隔するように形成されることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項14】
前記絶縁体は、前記中端部から半径方向の外側に延び、前記プレートのモータ対向面の一部を覆う第1フランジ部、及び前記中端部から半径方向の外側に延び、前記プレートのインバータ対向面の一部を覆う第2フランジ部をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項15】
前記絶縁体はプラスチック材料で形成され、前記端子ピンは銅材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動圧縮機に係り、より詳しくは、インバータによって制御されるモータの駆動力で冷媒を圧縮できるようにした電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機は冷媒ガスなどの流体を圧縮する装置であり、建物の空調システムや車両用空調システムなどに適用される。
前記圧縮機は、圧縮方式によってピストンの往復運動により冷媒を圧縮する往復式圧縮機と、回転運動しながら圧縮を行う回転式圧縮機とに分類され、前記往復式圧縮機は、動力伝達方式によって、クランクを用いて複数のピストンで動力を伝達するクランク式圧縮機と、斜板が設けられた回転軸で動力を伝達する斜板式圧縮機となどに分類され、前記回転式圧縮機は、回転するロータリー軸とベーンを用いるベーンロータリー式圧縮機と、旋回スクロールと固定スクロールを用いるスクロール式圧縮機とに分類することができる。
また、前記圧縮機は、駆動方式によって、エンジンを用いる機械式圧縮機と、モータを用いる電動式圧縮機(以下、電動圧縮機)とに分類することもできる。
ここで、電動圧縮機には、圧縮容量の調節のためにモータを制御するインバータが適用される。
【0003】
図1は従来の電動圧縮機を示す断面図であり、
図2は
図1の電動圧縮機におけるコネクタ及びインバータを示す正面図であり、
図3は
図2のI-I線断面図である。
添付の
図1ないし
図3に示すとおり、従来の電動圧縮機は、動力を発生するモータ30、前記モータ30から動力を伝達されて冷媒を圧縮する圧縮機構20、前記モータ30を制御するインバータ40、及び前記モータ30と前記インバータ40とを電気的に接続するコネクタ50を含む。
ここで、前記モータ30と前記インバータ40とを収容するハウジング10は、前記モータ30が収容されるモータ収容空間S1と前記インバータ40が収容されるインバータ収容空間Sを区画する隔壁14aを含み、前記コネクタ50は、前記モータ収容空間S1と前記インバータ収容空間S2を密封し、前記隔壁14aを貫通してモータ端子36とインバータ端子46とに接続されることで、前記モータ30と前記インバータ40とを電気的に接続する。すなわち、前記コネクタ50は、前記隔壁14aの貫通孔14bを塞ぐプレート51、及び前記プレート51を貫通する端子ピン52を含み、前記端子ピン52の一端部が前記モータ端子36に接続し、前記端子ピン52の他端部が前記インバータ端子46に接続される。
【0004】
このとき、前記端子ピン52の一端部と前記モータ端子36との間には、前記モータ端子36の内径が前記端子ピン52の一端部の外径よりも大きい場合に発生する接触不良を防止するために、前記端子ピン52の一端部の外周面に接触する内周面、及び前記モータ端子36の内周面に接触する外周面を有する第1薄板バネ(lamella spring)(図示せず)が介在する。
また、前記端子ピン52の他端部と前記インバータ端子46との間には、前記インバータ端子46の内径が前記端子ピン52の他端部の外径よりも大きい場合に発生する接触不良を防止するために、前記端子ピン52の他端部の外周面に接触する内周面、及び前記インバータ端子46の内周面に接触する外周面を有する第2薄板バネL2が介在する。
【0005】
一方、前記プレート51と前記端子ピン52は、いずれも導電性材料で形成されているため、前記プレート51と前記端子ピン52との間に絶縁が必要であり、これを考慮して、前記コネクタ50は、前記プレート51と前記端子ピン52との間を絶縁するガラス製の絶縁体53をさらに含む。
しかし、このような従来の電動圧縮機においては、モータ30とインバータ40とを接続するためのコネクタ50により、コスト、重量及び大きさが増加するという問題があった。具体的に、前記絶縁体53がガラス材料で形成されると、前記絶縁体53の比重が大きく加工が難しいため重量及びコストが増加する。また、前記端子ピン52が電気伝導性の高い材料で形成されると、前記端子ピン52の熱膨張が大きく、ガラス製の前記絶縁体53が破損するため、これを防止するために、前記端子ピン52は電気伝導性の低い材料(例えば、SUS)で形成される。これによって、事前に決められた許容電流が満たされるように、前記端子ピン52の外径が増加しなければならず、このような前記端子ピン52の外径の増加は、絶縁距離の確保のため前記コネクタ50の大きさ及びコストの増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、モータとインバータとを接続するためのコネクタによるコスト、重量及び大きさの増加を抑制できる電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するために、動力を発生するモータと、前記モータによって駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、前記モータと前記インバータとを電気的に接続する端子ピン、前記端子ピンを支持するプレート、及び前記端子ピンと前記プレートとの間を絶縁する絶縁体を有するコネクタと、を含み、前記絶縁体の少なくとも一部は前記端子ピンが取り囲むように形成される電動圧縮機を提供する。
前記端子ピンは、延長方向に垂直な方向において断面積の互いに異なる部分を含んでもよい。
前記絶縁体は、前記モータ側に突出した第1端部、前記インバータ側に突出した第2端部、及び前記第1端部から前記第2端部まで延び、前記プレートを貫通する中端部を含み、前記端子ピンは、前記第1端部の外周面を囲む第1端子部、前記第2端部の外周面を囲む第2端子部、及び前記第1端子部から前記第2端子部まで延び、前記中端部に収容される接続部を含んでもよい。
【0008】
前記接続部は、前記接続部の外周面に凹状に形成される溝を含み、前記絶縁体は前記溝に挿入される突起を含んでもよい。
前記第1端部と前記第2端部は、それぞれ円筒状に形成され、前記第1端子部と前記第2端子部は、それぞれ環状に形成されてもよい。
前記第1端子部が第1薄板バネ(lamella spring)に挿入され、前記第1端子部の外周面が前記第1薄板バネの内周面に接触し、前記第1薄板バネが前記モータの端子に挿入され、前記第1薄板バネの外周面が前記モータの端子に接触することで、前記端子ピンが前記モータと電気的に接続し、前記第2端子部が第2薄板バネに挿入され、前記第2端子部の外周面が前記第2薄板バネの内周面に接触し、前記第2薄板バネが前記インバータの端子に挿入され、前記第2薄板バネの外周面が前記インバータの端子に接触することで、前記端子ピンが前記インバータと電気的に接続することができる。
前記第1端部は、前記第1端子部よりも前記モータ側にさらに突出した第1先端部を含み、前記第2端部は、前記第2端子部よりも前記インバータ側にさらに突出した第2先端部を含んでもよい。
前記第1先端部の角及び前記第2先端部の角は面取りされてもよい。
【0009】
前記中端部は、前記第1端部及び前記第2端部と同心をなし、前記第1端部及び前記第2端部よりも大きい外径を有する円筒状に形成され、前記第1端部と前記中端部との間には第1段差部が形成され、前記第2端部と前記中端部との間には第2段差部が形成されてもよい。
前記接続部の延長方向に垂直な断面は、互いに平行な一対の長辺及び互いに平行な一対の短辺を含み、前記長辺の長さは、前記第1端子部の外径及び前記第2端子部の外径よりも小さく形成され、前記短辺の長さは、前記長辺の長さよりも小さく形成されてもよい。
前記接続部は、前記一対の長辺をそれぞれ含む一対の長側面、及び前記一対の短辺をそれぞれ含む一対の短側面を含み、前記端子ピンは複数備えられ、複数の端子ピンは、前記プレートの一延長方向に互いに離隔して配列され、前記複数の端子ピンの長側面が互いに対向するように配列されてもよい。
【0010】
前記接続部は、前記第1端子部及び前記第2端子部と同心上に配置される中心部、前記中心部から前記第1端子部まで延びる第1曲部、及び前記中心部から前記第2端子部まで延びる第2曲部を含んでもよい。
前記第1端子部と前記第2端子部は、それぞれ前記プレートから3mm以上20mm以下の範囲内で離隔するように形成されてもよい。
前記絶縁体は、前記中端部から半径方向の外側に延び、前記プレートのモータ対向面の一部を覆う第1フランジ部、及び前記中端部から半径方向の外側に延び、前記プレートのインバータ対向面の一部を覆う第2フランジ部をさらに含んでもよい。
前記絶縁体はプラスチック材料で形成され、前記端子ピンは銅材料で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明による電動圧縮機は、動力を発生するモータと、前記モータによって駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、前記モータと前記インバータとを電気的に接続する端子ピン、前記端子ピンを支持するプレート、及び前記端子ピンと前記プレートとの間を絶縁する絶縁体を有するコネクタと、を含み、前記絶縁体の少なくとも一部は前記端子ピンが取り囲むように形成されることによって、コネクタによるコスト、重量及び大きさの増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の電動圧縮機におけるコネクタ及びインバータを示す正面図である。
【
図4】本発明の電動圧縮機におけるコネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による電動圧縮機を添付の図面を参照して詳しく説明する。
図4は、本発明の電動圧縮機におけるコネクタを示す斜視図であり、
図5は、
図4のII-II線断面図であり、
図6は、
図4のIII-III線断面図である。
一方、
図4から
図6に示していない構成要素は、説明の便宜上
図1を参照する。
添付の
図4から
図6及び
図1に示すとおり、本発明の電動圧縮機は、ハウジング10、前記ハウジング10の内部で冷媒を圧縮する圧縮機構20、前記圧縮機構20に動力を提供するモータ30、前記モータ30を制御するインバータ40、及び前記モータ30と前記インバータ40とを電気的に接続するコネクタ500を含んでもよい。
【0014】
前記ハウジング10は、前記圧縮機構20の一側に締結されるセンターハウジング12、前記センターハウジング12に結合され、前記モータ30が収容されるモータ収容空間S1を形成するフロントハウジング14、前記フロントハウジング14を基準で前記センターハウジング12の反対側で前記フロントハウジング14に結合され、前記インバータ40が収容されるインバータ収容空間S2を形成するインバータハウジング16、及び前記圧縮機構20の他側に結合され、前記圧縮機構20から吐出される冷媒を収容する吐出室Dを有するリアハウジング18を含んでもよい。
ここで、前記フロントハウジング14は、前記モータ収容空間S1と前記インバータ収容空間S2とを区画する隔壁14aを含み、前記隔壁14aは、前記隔壁14aを貫通する貫通孔14bを含み、前記貫通孔14bには前記コネクタ500が装着されてもよい。
また、前記フロントハウジング14は、前記隔壁14aの外周部から前記センターハウジング12側に突出する環状壁14cをさらに含み、前記環状壁14cは、冷媒を前記モータ収容空間S1に案内するように前記環状壁14cを貫通する吸入ポート(図示せず)を含んでもよい。
【0015】
前記モータ30は、前記環状壁14cに支持される固定子32、及び前記固定子32の内部に位置し、前記固定子32との相互作用によって回転する回転子34を含んでもよい。
前記固定子32は、略環状に形成される複数枚の積層された鉄心、及び前記鉄心に巻かれたコイルを含み、前記コイルは、前記コイルの端部に結束されるモータ端子36を介して前記コネクタ500と電気的に接続されてもよい。
前記回転子34は、略円筒状に形成され、永久磁石を含み、前記回転子34の外周面が前記固定子32の内周面と所定の隙間を有して対向するように備えられてもよい。また、前記回転子34の中心には、前記回転子34の回転力を前記圧縮機構20に伝達する回転軸60が圧入されてもよい。
【0016】
前記圧縮機構20は、固定設置される固定スクロール22、前記固定スクロール22に噛み合って前記固定スクロール22と共に圧縮室を形成し、前記回転軸60によって旋回運動する旋回スクロール24を含んでもよい。
ここで、本実施形態の場合、前記圧縮機構20は、いわゆるスクロール方式で形成されるが、これに限定されるものではなく、往復動方式、ベーンロータリー方式など他の形態で形成されてもよい。
前記インバータ40は、基板42、及び前記基板42に設けられる各種の素子44とインバータ端子46を含み、前記インバータ端子46を介して前記コネクタ500と電気的に接続することができる。
前記コネクタ500は、前記隔壁14aの貫通孔14bを覆って前記モータ収容空間S1を前記インバータ収容空間S2から密閉させると共に、後述する複数の端子ピン520を支持するプレート510、それぞれ導電性材料で形成され、前記プレート510を貫通して前記モータ端子36及び前記インバータ端子46と電気的に接続する複数の端子ピン520、及び前記複数の端子ピン520と前記プレート510との間を絶縁する絶縁体530を含んでもよい。
【0017】
前記プレート510は、高さ(端子ピン520の延長方向で測定した距離)よりも長く、長さ(複数の端子ピン520の配列方向で測定した距離)よりも短い幅(高さと長さに垂直な方向で測定した距離)を有する長方形に形成されてもよい。
また、前記プレート510は、前記プレート510を高さ方向に貫通する複数の孔512を含み、前記複数の孔512は、前記プレート510の長さ方向に配列されてもよい。
ここで、前記複数の孔512のうち、前記プレート510の長さ方向の両端部にそれぞれ位置する2つの孔512aには、前記プレート510を固定させるための固定部材(図示せず)が挿入され、前記複数の孔512のうち、残りの孔512bには、前記複数の端子ピン520と前記絶縁体530が挿入されてもよい。
前記複数の端子ピン520は、単位面積当たり電流の流れが大きく形成され、前記絶縁体530は、前記複数の端子ピン520の熱膨張を吸収しながら絶縁を確保するように形成されてもよい。
【0018】
具体的に、前記絶縁体530は、前記モータ30側に突出した第1端部531、前記インバータ40側に突出した第2端部532、及び前記第1端部531から前記第2端部532まで延び、前記プレート510を貫通する中端部533を含んでもよい。
前記第1端部531と前記第2端部532はそれぞれ円筒状に形成され、前記中端部533は、前記第1端部531及び前記第2端部532と同心をなし、前記第1端部531及び前記第2端部532よりも大きい外径を有する円筒状に形成され、前記第1端部531と前記中端部533との間には第1段差部534が形成され、前記第2端部532と前記中端部533との間には第2段差部535が形成されてもよい。
ここで、前記第1端部531は、後述する第1端子部521よりも前記モータ30側にさらに突出する第1先端部531aを含み、前記第2端部532は、後述する第2端子部522よりも前記インバータ40側にさらに突出する第2先端部532aを含み、前記第1先端部531aの角及び前記第2先端部532aの角は面取りされてもよい。
【0019】
本実施形態の場合、前記第1先端部531aの角と前記第2先端部532aの角は、それぞれ丸く面取りされて第1ラウンド面531aaと第2ラウンド面532aaが形成されるが、これらに限定されるものではない。但し、後述する薄板バネの挿入力を減少させるために、前記第1先端部531aの角と前記第2先端部532aの角は、本実施形態のように丸く面取りされていることが好ましい。
また、本実施形態の場合、前記第1段差部534と前記第2段差部535は斜めに面取りされているが、これらに限定されるものではない。
一方、前記絶縁体530は、前記中端部533から半径方向の外側に延び、前記プレート510のモータ対向面の一部を覆う第1フランジ部536、及び前記中端部533から半径方向の外側に延び、前記プレート510のインバータ対向面の一部を覆う第2フランジ部537をさらに含んでもよい。
前記複数の端子ピン520は、それぞれ前記第1端部531の外周面を囲む第1端子部521、前記第2端部532の外周面を囲む第2端子部522、及び前記第1端子部521から前記第2端子部522まで延び、前記中端部533に収容される接続部523を含んでもよい。
【0020】
前記第1端子部521と前記第2端子部522は、それぞれ環状に形成されてもよい。このとき、前記第1端子部521の高さは、前記第1端部531の高さよりも低く、上述したように、前記第1端部531が前記第1端子部521よりも前記モータ30側にさらに突出した前記第1先端部531aを含んでもよい。また、前記第2端子部522の高さは、前記第2端部532の高さよりも低く、上述したように、前記第2端部532が前記第2端子部522よりも前記インバータ40側にさらに突出した前記第2先端部532aを含んでもよい。
また、前記第1端子部521と前記第2端子部522は、それぞれ前記プレート510との絶縁距離を確保するために、前記プレート510と前記プレート510の高さ方向に離隔するように形成されてもよい。
ここで、絶縁破壊を防止する共に大きさの増加を最小化するために、前記第1端子部521と前記第2端子部522は、前記プレート510から3mm以上20mm以下の範囲内で離隔することが好ましく、本実施形態のように8.5mmだけ離隔することがより好ましい。
【0021】
前記接続部523は、前記第1端子部521及び前記第2端子部522と同心上に配置される中心部524、前記中心部524から前記第1端子部521まで延びる第1曲部525、及び前記中心部524から前記第2端子部522まで延びる第2曲部526を含んでもよい。
ここで、前記第1曲部525と前記第2曲部526が備えられることによって、前記絶縁体530の中端部533の内部に収容される前記中心部524が、前記絶縁体530の第1端部531の外周面を囲む前記第1端子部521、及び前記絶縁体530の第2端部532の外周面を囲む前記第2端子部522と接続することができる。
また、前記接続部523は、延長方向に垂直な方向にいおいて矩形の断面を有する板状に形成されてもよい。
【0022】
ここで、前記矩形の断面は、互いに平行な一対の長辺及び互いに平行な一対の短辺を含み、前記長辺の長さは、前記第1端子部521の外径及び前記第2端子部522の外径よりも小さく形成され、前記短辺の長さは、前記長辺の長さよりも小さく形成されてもよい。
また、前記接続部523は、前記一対の長辺をそれぞれ含む一対の長側面523a、及び前記一対の短辺をそれぞれ含む一対の短側面523bを含み、前記複数の端子ピン520が前記プレート510の長さ方向に互いに離隔して配列される場合、前記複数の端子ピン520の長側面523aが互いに対向するように配列されてもよい。
また、前記接続部523は、前記接続部523の外周面に凹状に形成される溝523cを含み、前記溝523cは、例えば、四角形、三角形、半円形などに形成され、前記絶縁体530は、前記溝523cに挿入される突起533aを含んでもよい。
ここで、前記絶縁体530はプラスチック材料で形成され、前記端子ピン520は銅材料で形成され、前記コネクタ500は、前記端子ピン520が前記プレート510の孔512bに挿入された状態で前記絶縁体530が射出されて形成されてもよい。
【0023】
以下、本実施形態による電動圧縮機の作用効果について説明する。
本実施形態の電動圧縮機は、前記モータ30に電源が印加されると、前記吸入ポート(図示せず)を介して前記モータ収容空間S1に低温低圧の冷媒が流入し、前記モータ収容空間S1の冷媒は、前記圧縮機構20に流入して高温高圧に圧縮された後、前記吐出室Dを介して前記ハウジング10の外部に排出される。
この過程で、前記モータ30が前記コネクタ500を介して電気的に接続された前記インバータ40によって制御されることで、冷房効率を可変に制御することができる。
ここで、本実施形態による電動圧縮機は、前記絶縁体530がプラスチック材料で形成されることによって、前記コネクタ500によるコスト、重量及び大きさの増加を抑制することができる。具体的に、前記絶縁体530がプラスチック材料で形成されることによって、前記絶縁体530の比重が小さく加工が容易であるため、重量及びコストを低減することができる。また、前記端子ピン520が電気伝導性の高い材料で形成され、前記端子ピン520の熱膨張が大きい場合でも、前記絶縁体530が前記端子ピン520の熱膨張を吸収できるプラスチックで形成されて損傷しないため、前記端子ピン520は電気伝導性の高い銅材料で形成することができる。これによって、事前に決められた許容電流が満たされるように前記端子ピン520の外径を大きくする必要がなく、絶縁距離の確保が容易になり、前記コネクタ500の大きさ及びコストを低減することができる。
【0024】
また、前記端子ピン520が銅材料で形成されることによって、前記第1端子部521と前記第2端子部522が薄い環状に形成され、前記接続部523が薄い板状に形成されても、事前に決められた許容電流を満たすことができる。ここで、前記端子ピン520が全体的に薄く形成されることによって、前記端子ピン520のコスト及び重量を低減することができる。
また、前記接続部523が前記一対の長側面523a及び前記一対の短側面523bを有する板状に形成され、前記複数の端子ピン520の長側面523aが互いに対向するように配列されることによって、前記複数の端子ピン520の接続部523の間の絶縁距離の確保が容易になり得る。また、前記接続部523が前記第1端子部521及び前記第2端子部522と同心上に配置される前記中心部524を含むことによって、前記複数の端子ピン520の接続部523の間の絶縁距離の確保がより容易になり得る。また、前記接続部523が前記絶縁体530(より正確には、中端部533)の内部に収容されることによって、前記複数の端子ピン520の接続部523の間だけでなく、前記複数の端子ピン520と前記プレート510との間の絶縁を確保することができる。また、このような前記複数の端子ピン520の絶縁を確保することにより、前記コネクタ500の大きさを小さくすることができる。
【0025】
また、前記第1端部531と前記第2端部532がそれぞれ円筒状に形成され、前記第1端子部521と前記第2端子部522がそれぞれ前記第1端部531と前記第2端部532を囲む環状に形成されることによって、従来の薄板バネを用いることができる。すなわち、前記第1端子部521が第1薄板バネ(図示せず)に挿入され、前記第1端子部521の外周面が前記第1薄板バネ(図示せず)の内周面に接触し、前記第1薄板バネ(図示せず)が前記モータ端子36に挿入され、前記第1薄板バネ(図示せず)の外周面が前記モータ端子36に接触することで、前記端子ピン520を前記モータ30と電気的に接続することができる。これによって、前記モータ端子36の内径が前記第1端子部521の外径よりも大きい場合に発生する接触不良を防止することができる。また、前記第2端子部522が第2薄板バネL2に挿入され、前記第2端子部522の外周面が前記第2薄板バネL2の内周面に接触し、前記第2薄板バネL2が前記インバータ端子46に挿入され、前記第2薄板バネL2の外周面が前記インバータ端子46に接触することで、前記端子ピン520を前記インバータ40と電気的に接続することができる。これによって、前記インバータ端子46の内径が前記第2端子部522の外径よりも大きい場合に発生する接触不良を防止することができる。
【0026】
また、前記第1端部531が前記第1先端部531aを含むことによって、前記第1端部531及び前記第1端子部521を前記第1薄板バネ(図示せず)に容易に挿入することができる。すなわち、前記第1端子部521の角にはバリ(burr)が存在することがあり、このようなバリは、前記第1端部531及び前記第1端子部521が前記第1薄板バネ(図示せず)に挿入されることを妨げる可能性がある。しかし、本実施形態のように、前記第1端部531が前記第1端子部521よりもさらに突出した前記第1先端部531aを含むことによって、前記第1先端部531aが、前記第1端部531及び前記第1端子部521が前記第1薄板バネ(図示せず)に挿入されることを案内することができる。
また、前記第1先端部531aの角が面取りされることによって、前記第1端部531と前記第1端子部521を前記第1薄板バネ(図示せず)にさらに容易に挿入することができる。すなわち、前記第1先端部531aの第1ラウンド面531aaが、前記第1端部531と前記第1端子部521が前記第1薄板バネ(図示せず)に挿入されることを案内することができる。
【0027】
また、前記第1端部531と前記中端部533との間に前記第1段差部534が形成されることによって、前記第1薄板バネ(図示せず)が前記第1段差部534にかかるようになり、前記第1端部531及び前記第1端子部521が前記第1薄板バネ(図示せず)に事前に決められた位置よりもさらに挿入されることを防止さすることができる。
これと同様に、前記第2端部532が前記第2先端部532aを含むことによって、前記第2端部532及び前記第2端子部522を前記第2薄板バネL2に容易に挿入することができる。
また、前記第2先端部532aの角が面取りされることによって、前記第2端部532及び前記第2端子部522を前記第2薄板バネL2にさらに容易に挿入することができる。
また、前記第2端部532と前記中端部533との間に前記第2段差部535が形成されることによって、前記第2薄板バネL2が前記第2段差部535にかかるようになり、前記第2端部532及び前記第2端子部522が前記第2薄板バネL2に事前に決められた位置よりもさらに挿入されることを防止することができる。
【0028】
また、前記接続部523が前記溝523cを含み、前記絶縁体530が前記溝523cに挿入される前記突起533aを含むことによって、前記絶縁体530と前記端子ピン520との分離を抑制することができる。
また、前記絶縁体530が前記第1フランジ部536を含むことによって、前記絶縁体530が前記プレート510から前記インバータ40側に分離されることを抑制することができる。
また、前記絶縁体530が前記第2フランジ部537を含むことによって、前記絶縁体530が前記プレート510から前記モータ30側に分離されることを抑制することができる。
また、前記第1フランジ部536と前記第2フランジ部537は、前記モータ収容空間S1と前記インバータ収容空間S2が前記絶縁体530と前記プレート510との間を介して連通することを抑制することができる
【符号の説明】
【0029】
10 ハウジング
12 センターハウジング
14 フロントハウジング
14a 隔壁
14b 貫通孔
14c 環状壁
16 インバータハウジング
18 リアハウジング
20 圧縮機構
22 固定スクロール
24 旋回スクロール
30 モータ
32 固定子
34 回転子
36 モータ端子
40 インバータ
42 基板
44 素子
46 インバータ端子
60 回転軸
500 コネクタ
510 プレート
512 孔
512a 孔
512b 孔
520 端子ピン
521 第1端子部
522 第2端子部
523 接続部
523a 長側面
523b 短側面
523c 溝
524 中心部
525 第1曲部
526 第2曲部
530 絶縁体
531 第1端部
531a 第1先端部
531aa 第1ラウンド面
532 第2端部
532a 第2先端部
532aa 第2ラウンド面
533 中端部
534 第1段差部
535 第2段差部
D 吐出室
S1 モータ収容空間
S2 インバータ収容空間
【国際調査報告】