(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】表示基板及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241018BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241018BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241018BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/30 338
G09F9/30 349B
G09F9/00 366A
G09F9/00 338
H10K77/10
H10K59/80
H10K59/122
H10K59/124
H10K50/844
H10K59/38
H10K50/10 321
H10K50/858
H10K59/40
H10K71/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575612
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2021126477
(87)【国際公開番号】W WO2023070328
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲海▼涛
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲傳▼祥
(72)【発明者】
【氏名】于 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 慧利
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ジャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 文渠
(72)【発明者】
【氏名】舒 ▲適▼
(72)【発明者】
【氏名】井 ▲麗▼娜
(72)【発明者】
【氏名】孟 ▲徳▼天
(72)【発明者】
【氏名】倪 子博
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
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3K107CC32
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3K107FF15
3K107GG28
5C094BA03
5C094BA27
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5C094ED03
5C094FB12
5C094FB15
5C094JA08
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE49
5G435HH12
5G435HH14
5G435KK05
(57)【要約】
表示基板及びその製造方法、表示装置であって、前記表示基板は、ベース(10)と、前記ベース(10)に設けられた少なくとも1つの絶縁膜層と、前記絶縁膜層の前記ベース(10)から離れた側に設けられた第1電極と、を備え、少なくとも1つの前記絶縁膜層の前記ベース(10)から離れた側に凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造の前記ベース(10)における正投影と前記第1電極の前記ベース(10)における正投影とは重畳領域を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板であって、ベースと、前記ベースに設けられた少なくとも1つの絶縁膜層と、前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に設けられた第1電極と、を備え、
少なくとも1つの前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記第1電極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有する、表示基板。
【請求項2】
前記ベース上に順次に形成された平坦層、発光構造層、パッケージ層、カラーフィルター層を備え、前記発光構造層は、画素定義層、陽極、陰極、前記陽極と前記陰極との間に位置する有機発光層を備え、前記画素定義層は複数の画素開口を備え、前記画素開口は前記陽極の少なくとも一部を露出し、前記陰極は前記画素定義層を覆い、
前記カラーフィルター層は間隔を置いて設けられたブラックマトリクスとカラーフィルターとを備え、前記ブラックマトリクスはマトリクス配列をなす複数の開口領域を有し、前記カラーフィルターの少なくとも一部は前記開口領域内に充填され、前記カラーフィルターと前記ブラックマトリクスとは少なくとも一部のオーバーラップ領域を有し、前記オーバーラップ領域では前記カラーフィルターは前記ブラックマトリクスを覆う、請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
少なくとも1つの前記絶縁膜層は前記画素定義層を備え、前記第1電極は前記陰極を備える、請求項2に記載の表示基板。
【請求項4】
前記画素定義層は複数の第1凸起部を備え、隣接する前記第1凸起部の間に第1凹部が形成される、請求項3に記載の表示基板。
【請求項5】
前記第1凹部は前記画素開口を囲む凹溝であり、隣接する前記凹溝間の距離は、前記ブラックマトリクスの開口領域のエッジと前記画素定義層に形成された画素開口のエッジとの間の距離の1/8~7/8である、請求項4に記載の表示基板。
【請求項6】
隣接する前記凹溝間の距離は1~2マイクロメートルである、請求項5に記載の表示基板。
【請求項7】
前記凹溝の幅は0.8~1.5マイクロメートルである、請求項5に記載の表示基板。
【請求項8】
前記第1凹部は前記画素開口を囲む開孔であり、前記開孔の幅は0.5~1.8マイクロメートルである、請求項4に記載の表示基板。
【請求項9】
複数の前記開孔は複数の環状構造ユニットを構成し、少なくとも1つの環状構造ユニットは、前記画素開口の周りに設けられ且つ互いに平行なN個の環状構造を備え、最内層の環状構造は複数の第1開孔を備え、前記第1開孔と前記画素開口とは隣接し、Nは1より大きい自然数である、請求項8に記載の表示基板。
【請求項10】
複数の前記第1開孔の間に鋸歯状凸起が形成され、前記鋸歯状凸起の幅は0.8~1.5マイクロメートルである、請求項9に記載の表示基板。
【請求項11】
Nは1~50の間の自然数である、請求項10に記載の表示基板。
【請求項12】
少なくとも1つの前記絶縁膜層は前記平坦層を備え、前記第1電極は前記陽極を備える、請求項2に記載の表示基板。
【請求項13】
前記平坦層は複数の第2凸起部を備え、隣接する前記第2凸起部の間に第2凹部が形成される、請求項12に記載の表示基板。
【請求項14】
前記第2凸起部は鋸歯状である、請求項13に記載の表示基板。
【請求項15】
前記第2凸起部と前記第2凹部との間の段差は、前記平坦層の厚さの1/8~7/8である、請求項13に記載の表示基板。
【請求項16】
前記第2凸起部と前記第2凹部との間の段差は0.2~0.8マイクロメートルである、請求項13に記載の表示基板。
【請求項17】
少なくとも1つの前記絶縁膜層は前記画素定義層と前記平坦層とを備え、前記第1電極は前記陰極と前記陽極とを備え、
前記画素定義層の前記ベースから離れた側に第1凹凸構造が設けられ、前記第1凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記陰極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有し、
前記平坦層の前記ベースから離れた側に第2凹凸構造が設けられ、前記第2凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記陽極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有する、請求項2に記載の表示基板。
【請求項18】
更に、前記パッケージ層と前記カラーフィルター層との間に設けられたタッチ構造層を備え、前記タッチ構造層は複数のタッチ電極を備え、前記ブラックマトリクスの前記ベースにおける正投影は前記タッチ電極の前記ベースにおける正投影を含む、請求項6に記載の表示基板。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の表示基板を備えた表示装置。
【請求項20】
表示基板の製造方法であって、
ベースに少なくとも1つの絶縁膜層を形成し、少なくとも1つの前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に凹凸構造が設けられることと、
前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に第1電極を形成し、前記凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記第1電極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有することと、を含む、表示基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は表示技術分野に関するが、これには限らず、特に表示基板及びその製造方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLEDと略称される)は能動発光型表示素子であり、発光、超薄、広視野角、高輝度、高コントラスト、低消費電力、極めて高反応速度等の利点を有する。駆動方式の違いによって、OLEDはパッシブマトリクス駆動(Passive Matrix、PMと略称される)型とアクティブマトリクス駆動(Active Matrix、AMと略称される)型の2種類に分けることができ、ここにおいてAMOLEDは電流ドライバであり、独立した薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFTと略称される)を用いて各サブ画素を制御し、各サブ画素はいずれも連続且つ独立した駆動発光ができる。
【発明の概要】
【0003】
以下は本文が詳細に説明するテーマについての概説である。本概説は特許請求の保護範囲を制限するためのものではない。
【0004】
本開示の実施例は表示基板を提供し、ベースと、前記ベースに設けられた少なくとも1つの絶縁膜層と、前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に設けられた第1電極と、を備え、少なくとも1つの前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記第1電極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有する。
【0005】
例示的な実施例では、前記表示基板は、前記ベース上に順次に形成された平坦層、発光構造層、パッケージ層、カラーフィルター層を備え、前記発光構造層は、画素定義層、陽極、陰極、前記陽極と前記陰極との間に位置する有機発光層を備え、前記画素定義層は複数の画素開口を備え、前記画素開口は前記陽極の少なくとも一部を露出し、前記陰極は前記画素定義層を覆い、
前記カラーフィルター層は間隔を置いて設けられたブラックマトリクスとカラーフィルターとを備え、前記ブラックマトリクスはマトリクス配列をなす複数の開口領域を有し、前記カラーフィルターの少なくとも一部は前記開口領域内に充填され、前記カラーフィルターと前記ブラックマトリクスとは少なくとも一部のオーバーラップ領域を有し、前記オーバーラップ領域では前記カラーフィルターは前記ブラックマトリクスを覆う。
【0006】
例示的な実施例では、少なくとも1つの前記絶縁膜層は前記画素定義層を備え、前記第1電極は前記陰極を備える。
【0007】
例示的な実施例では、前記画素定義層は複数の第1凸起部を備え、隣接する前記第1凸起部の間に第1凹部が形成される。
【0008】
例示的な実施例では、前記第1凹部は前記画素開口を囲む凹溝であり、隣接する前記凹溝間の距離は、前記ブラックマトリクスの開口領域のエッジと前記画素定義層に形成された画素開口のエッジとの間の距離の1/8~7/8である。
【0009】
例示的な実施例では、隣接する前記凹溝間の距離は1~2マイクロメートルである。
【0010】
例示的な実施例では、前記凹溝の幅は0.8~1.5マイクロメートルである。
【0011】
例示的な実施例では、前記第1凹部は前記画素開口を囲む開孔であり、前記開孔の幅は0.5~1.8マイクロメートルである。
【0012】
例示的な実施例では、複数の前記開孔は複数の環状構造ユニットを構成し、少なくとも1つの環状構造ユニットは、前記画素開口の周りに設けられ且つ互いに平行なN個の環状構造を備え、最内層の環状構造は複数の第1開孔を備え、前記第1開孔と前記画素開口とは隣接し、Nは1より大きい自然数である。
【0013】
例示的な実施例では、複数の前記第1開孔の間に鋸歯状凸起が形成され、前記鋸歯状凸起の幅は0.8~1.5マイクロメートルである。
【0014】
例示的な実施例では、Nは1~50の間の自然数である。
【0015】
例示的な実施例では、少なくとも1つの前記絶縁膜層は前記平坦層を備え、前記第1電極は前記陽極を備える。
【0016】
例示的な実施例では、前記平坦層は複数の第2凸起部を備え、隣接する前記第2凸起部の間に第2凹部が形成される。
【0017】
例示的な実施例では、前記第2凸起部は鋸歯状である。
【0018】
例示的な実施例では、前記第2凸起部と前記第2凹部との間の段差は、前記平坦層の厚さの1/8~7/8である。
【0019】
例示的な実施例では、前記第2凸起部と前記第2凹部との間の段差は0.2~0.8マイクロメートルである。
【0020】
例示的な実施例では、少なくとも1つの前記絶縁膜層は前記画素定義層と前記平坦層とを備え、前記第1電極は前記陰極と前記陽極とを備え、前記画素定義層の前記ベースから離れた側に第1凹凸構造が設けられ、前記第1凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記陰極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有し、前記平坦層の前記ベースから離れた側に第2凹凸構造が設けられ、前記第2凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記陽極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有する。
【0021】
例示的な実施例では、前記表示基板は更に、前記パッケージ層と前記カラーフィルター層との間に設けられたタッチ構造層を備え、前記タッチ構造層は複数のタッチ電極を備え、前記ブラックマトリクスの前記ベースにおける正投影は前記タッチ電極の前記ベースにおける正投影を含む。
【0022】
本開示の実施例は更に表示装置を提供し、上記のいずれかの表示基板を備える。
【0023】
本開示の実施例は表示基板の製造方法を提供し、ベースに少なくとも1つの絶縁膜層を形成し、少なくとも1つの前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に凹凸構造が設けられることと、前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に第1電極を形成し、前記凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記第1電極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有することと、を含む。
【0024】
添付図面及び詳しい説明を読んで理解した後、その他の態様を分かることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面は本開示の技術案をより理解するためのものであり、且つ明細書の一部を構成し、本開示の実施例と一緒に本開示の技術案を説明することに用いられ、本開示の技術案を制限するためのものではない。図面における各部品の形状及びサイズは実際の縮尺を反映しておらず、本開示の内容を模式的に説明することのみを目的としている。
【0026】
【
図3】
図3a及び
図3bは2つの色の分離現象の模式図である。
【
図4】
図4は本開示の実施例による表示基板の構造模式図である。
【
図5】
図5a及び
図5bは本開示による色分離の改善後の結果の模式図である。
【
図6】
図6は本開示の実施例による、フレキシブルベースパターンが製造された後の表示基板構造模式図である。
【
図7】
図7は本開示の実施例による、駆動構造層パターンが製造された後の表示基板構造模式図である。
【
図8】
図8は本開示の実施例による、平坦層パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図9】
図9は本開示の実施例による、陽極パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図10】
図10は本開示の実施例による、画素定義層パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図11】
図11は本開示の実施例による画素定義層の構造模式図である。
【
図12】
図12は本開示の実施例による画素定義層の構造模式図である。
【
図13】
図13は本開示の実施例による、スペーサ層パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図14】
図14は本開示の実施例による、陰極パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図15】
図15は本開示の実施例による、パッケージ層パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図16】
図16は本開示の実施例による、タッチ構造層パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図17】
図17は本開示の実施例による、カラーフィルター層パターンが形成された後の表示基板構造模式図である。
【
図18】
図18は本開示の実施例による、カバープレート貼り合せ後の表示基板構造模式図である。
【
図19】
図19は本開示の実施例による、色分離光学的改善の試験モデルの構造模式図である。
【
図20a】
図20aは、
図19における入射光がカラーフィルターの長軸方向に沿った時のシミュレーション結果模式図である。
【
図20b】
図20bは、
図19における入射光がカラーフィルターの長軸方向に沿った時のシミュレーション結果模式図である。
【
図21a】
図21aは、
図19における入射光がカラーフィルターの短軸方向に沿った時のシミュレーション結果模式図である。
【
図21b】
図21bは、
図19における入射光がカラーフィルターの短軸方向に沿った時のシミュレーション結果模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の目的、技術案及びメリットをよりはっきりさせるために、以下は図面を参照しながら、本開示の実施例を詳しく説明する。実施形態は、複数の異なる形式によって実施されてもよい。当業者が容易に理解できるように、方式及び内容は本開示の主旨及びその範囲を離脱せずに様々な形式に変換されてもよい。従って、本開示は以下の実施形態に記載される内容に限定されると解釈されるべきではない。衝突しない限り、本開示における実施例及び実施例における特徴は任意に組み合わせることができる。
【0028】
本開示における図面の比例は実際のプロセスでの参照とされることができるが、これに限らない。例えば、チャネルのアスペクト比、各膜層の厚さとピッチ、各信号線の幅とピッチは、実際の必要に応じて調整することができる。表示基板における画素の個数及び各画素におけるサブ画素の個数も図に示される数量に限定されず、本開示に記載される図面は構造模式図であり、本開示の1つの方式は図面に示される形状又は数値等に限らない。
【0029】
本明細書における「第1」、「第2」、「第3」等の序数は構成要素の混同を回避するために設定されたものであり、数量の面で限定するためのものではない。
【0030】
本明細書では、便利のために、「中部」、「上」、「下」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の、方位又は位置関係を指示する記載が使用されることによって、構成要素の位置関係を、図面を参照しながら説明されるが、それは本明細書を簡単に説明するためのものに過ぎず、指示される装置や素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを明示又は暗示するものではなく、従って本開示に対する制限と理解されるべきではない。構成要素の位置関係は各構成要素を説明する方向によって適切に変更される。従って、明細書に記載される用語に制限されず、状況に応じて適切に置き換えることができる。
【0031】
本明細書では、特に明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「接続」という用語は広い意味で理解されるべきである。例えば、固定的に接続されること、又は取り外し可能に接続されること、又は一体的に接続されることであってもよく、機械的接続又は電気的接続であってもよく、直接接続、又は中間部材を介した間接接続、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況によって上記用語の本開示での具体的な意味を理解することができる。
【0032】
本明細書では、トランジスタとは少なくとも、ゲート電極、ドレイン電極、及びソース電極という3つの端子を備える素子を指す。トランジスタは、ドレイン電極(ドレイン電極端子、ドレイン領域、又はドレイン電極)とソース電極(ソース電極端子、ソース領域、又はソース電極)との間にチャネル領域を有し、そして電流はドレイン電極、チャネル領域、及びソース電極を流れることができる。但し、本明細書では、チャネル領域とは、電流が主に流れる領域を指す。
【0033】
本明細書では、第1極はドレイン電極であってもよく、第2極はソース電極であってもよく、又は、第1極はソース電極であってもよく、第2極はドレイン電極であってもよい。極性が逆のトランジスタを用いる場合、又は回路動作中の電流方向が変化する等の場合には、「ソース電極」及び「ドレイン電極」の機能は互いに入れ替わる場合がある。従って、本明細書では、「ソース電極」と「ドレイン電極」とは互いに入れ替わることができ、「ソース端」と「ドレイン端」とは互いに入れ替わることができる。
【0034】
本明細書では、「電気的接続」は、構成要素が何かの電気的機能を有する素子を介して接続される場合を含む。「何かの電気的機能を有する素子」は特に限定されなく、接続された構成要素間の電気信号を送受信することができればよい。「何かの電気的機能を有する素子」の例は、電極及び配線を含むだけでなく、更にトランジスタ等のスイッチング素子、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、及び他の様々な機能を有する素子等も含む。
【0035】
本明細書では、「平行」とは、2本の直線のなす角度が-10°以上且つ10°以下である状態を指し、従って該角度が-5°以上且つ5°以下である状態も含む。尚、「垂直」とは、2本の直線のなす角度が80°以上且つ100°以下である状態を指し、従って、85°以上且つ95°以下の角度の状態も含む。
【0036】
本明細書では、「膜」及び「層」は互いに入れ替わることができる。例えば、「導電層」を「導電膜」に置き換えてもよい場合がある。それと同様に、「絶縁膜」を「絶縁層」に置き換えてもよい場合がある。
【0037】
本明細書における三角形、矩形、台形、五角形又は六角形等は厳密な意味でのものではなく、近似三角形、矩形、台形、五角形又は六角形等であってもよく、公差による小さな変形が存在してもよく、面取り、弧辺及び変形等が存在してもよい。
【0038】
本開示における「約」とは、限界を厳密に限定せず、プロセス及び測定の誤差範囲内の数値を許容することを指す。
【0039】
図1は表示装置の構造模式図である。
図1に示すように、表示装置はタイミングコントローラ、データ信号ドライバ、走査信号ドライバ、及び画素アレイを備えてもよく、タイミングコントローラはそれぞれデータ信号ドライバ及び走査信号ドライバに接続され、データ信号ドライバはそれぞれ複数のデータ信号線(D1~Dn)に接続され、走査信号ドライバはそれぞれ複数の走査信号線(S1~Sm)に接続される。画素アレイは複数のサブ画素Pxijを含んでもよく、i及びjは自然数であってもよく、少なくとも1つのサブ画素Pxijは回路ユニット、及び回路ユニットに接続された発光素子を備えてもよく、回路ユニットは少なくとも1つの走査信号線と、少なくとも1つのデータ信号線と、画素駆動回路とを備えてもよい。幾つかの例示的な実施例では、タイミングコントローラはデータ信号ドライバの仕様に適した階調値及び制御信号をデータ信号ドライバに提供してもよく、走査信号ドライバの仕様に適したクロック信号、走査開始信号等を走査信号ドライバに提供してもよい。データ信号ドライバはタイミングコントローラから受信した階調値及び制御信号を利用してデータ信号線D1、D2、D3、…及びDnに提供されるデータ電圧を生成してもよい。例えば、データ信号ドライバは、クロック信号を利用して階調値をサンプリングし、そして画素行単位で階調値に対応するデータ電圧をデータ信号線D1~Dnに印加してもよく、nは自然数であってもよい。走査信号ドライバはタイミングコントローラからクロック信号、走査開始信号等を受信することによって、走査信号線S1、S2、S3、…及びSmに提供する走査信号を生成してもよい。例えば、走査信号ドライバは、オンレベルパルスを有する走査信号を走査信号線S1~Smに順次に提供することができる。例えば、走査信号ドライバはシフトレジスタの形態に構成されてもよく、そしてオンレベルパルスの形式で提供された走査開始信号をクロック信号の制御下で次段の回路に順次に伝送するように走査信号を生成してもよく、mは自然数であってもよい。
【0040】
図2は表示基板の平面構造模式図である。
図2に示すように、表示基板は行列方式で配列される複数の画素ユニットPを備えてもよく、複数の画素ユニットPのうちの少なくとも1つは第1色光線を出射する第1サブ画素P1、第2色光線を出射する第2サブ画素P2、第3色光線を出射する第3サブ画素P3、及び第4色光線を出射する第4サブ画素P4を備え、4つのサブ画素はいずれも回路ユニット及び発光素子を備えてもよく、回路ユニットは走査信号線、データ信号線、及び画素駆動回路を備えてもよく、画素駆動回路はそれぞれ走査信号線及びデータ信号線に接続され、画素駆動回路は、走査信号線の制御で、データ信号線から伝送されたデータ電圧を受信し、対応する電流を発光素子に出力するように構成される。各サブ画素における発光素子はそれぞれ所在するサブ画素の画素駆動回路に接続され、発光素子は、所在するサブ画素の画素駆動回路から出力された電流に応じて、対応する輝度の光を発光するように構成される。
【0041】
幾つかの例示的な実施例では、第1サブ画素P1は赤色光線を出射する赤色サブ画素(R)であってもよく、第2サブ画素P2は緑色光線を出射する緑色サブ画素(G)であってもよく、第3サブ画素P3は白色光線を出射する白色サブ画素(W)であってもよく、第4サブ画素P4は青色光線を出射する青色サブ画素(B)であってもよい。
【0042】
幾つかの例示的な実施例では、サブ画素の形状は、矩形、菱形、五角形、又は六角形であってもよい。1つの例示的な実施形態では、4つのサブ画素は水平並列方式で配列され、RWBG画素配列を形成してもよい。他の例示的な実施形態では、4つのサブ画素は正方形(Square)、ダイヤモンド形(Diamond)、又は垂直並列等の方式で配列されてもよく、本開示はこれについて限定しない。
【0043】
他の幾つかの例示的な実施形態では、複数の画素ユニットPのうちの少なくとも1つは、赤色光線を出射する1つの赤色(R)サブ画素、緑色光線を出射する1つの緑色(G)サブ画素、及び青色光線を出射する1つの青色(B)サブ画素を備えてもよく、又は、赤色光線を出射する1つの赤色サブ画素、緑色光線を出射する2つの緑色サブ画素、及び青色光線を出射する1つの青色サブ画素を備えてもよく、本開示はこれについて限定しない。画素ユニットが3つのサブ画素を備えた場合、3つのサブ画素は水平並列、垂直並列、又は品という文字の方式で配列されてもよく、画素ユニットが4つのサブ画素を備えた場合、4つのサブ画素は水平並列、垂直並列、又は正方形(Square)の方式で配列されてもよく、本開示はこれについて限定しない。
【0044】
幾つかの例示的な実施例では、水平方向に順次に配置された複数のサブ画素は画素行と称され、垂直方向に順次に配置された複数のサブ画素は画素列と称され、複数の画素行と複数の画素列はアレイ配置された画素アレイを構成する。
【0045】
現在、OLEDパネルの液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)に対しての最も顕著な特徴は、全固体表示(液晶を含まない)であり、曲げや折り畳み能力において、明らかな優位性がある。OLED製品の折り曲げ性能を向上させるためには、モジュールの厚さを持続的に薄くする必要があるが、反射防止の円偏光板及び貼り合わせられたタッチモジュールは全体の厚さの中で大きな割合を占めている。この問題を解決するために、タッチ構造及びカラーフィルター構造をOLEDパッケージ層に統合する方法、即ち薄膜パッケージ層におけるタッチ構造(TOT、Touch on TFE)技術及び色抵抗構造(COE、CF on Encapsulation)技術が採用され、モジュール厚さは大幅に低減された。しかし、COE技術では暗い状態での色分離現象という問題が存在し、即ち画面オフ状態の場合、
図3aと
図3bに示すように、光源の照射下で明らかに反射光の色分離が見られ、ユーザーの絶対的な黒い画面に対する体験が影響される。
【0046】
分析及び検証して分かったように、暗い状態での色分離現象が現れた主な原因は、円偏光板が取り除かれた後、環境光は赤緑青画素反射、及び陰極と陽極の光に対する指向反射を経た後、異なる程度で強度分布が変えられた、ということである。一部の技術では、色分離現象を改善するために、コーティング保護層(OC)に散乱粒子をドープすることによって光を散乱するが、散乱粒子の導入は光透過率を低下させ、そうすると、COEの高透過率の利点を失う。
【0047】
本開示の実施例は表示基板を提供し、ベースと、ベースに設けられた少なくとも1つの絶縁膜層と、絶縁膜層のベースから離れた側に設けられた第1電極と、を備え、少なくとも1つの絶縁膜層のベースから離れた側に凹凸構造が設けられ、該凹凸構造のベースにおける正投影と第1電極のベースにおける正投影とは重畳領域を有する。
【0048】
本開示の実施例による表示基板は、第1電極と対向する位置の少なくとも1つの絶縁膜層を処理し、凹凸構造を形成し、環境光反射の経路を干渉し、環境光の出射を破壊することによって、色分離現象を改善し、しかも本開示の表示基板の製造プロセスは簡単で、生産効率が高く、生産コストが低く、良品率が高い等の利点があり、応用の見通しが良い。
【0049】
図4は本開示の実施例による表示基板の断面構造模式図であり、
図4に示すように、本開示の実施例の表示基板は、ベースと、ベースに順次に形成された平坦層95及び発光構造層と、を備え、発光構造層は陽極51を備え、少なくとも1つの絶縁膜層は平坦層95を備え、第1電極は陽極51を備え、
平坦層95のベースから離れた側に第2凹凸構造が設けられ、第2凹凸構造のベースにおける正投影と陽極51のベースにおける正投影とは重畳領域を有する。
【0050】
本実施例による表示基板は、陽極51と正対の位置にある平坦層95を緩やかに起伏するように処理することによって、陽極51はある程度の起伏波動の形状を形成し、即ち、拡散反射陽極を形成し、環境光反射の経路を干渉し、環境光の出射を破壊し、色分離現象を改善する。
図5a及び
図5bに示すように、本開示の実施例による表示基板は、色分離現象が大幅に軽減され、暗い状態での強光照射下で良い黒色を保持することができ、ユーザー体験テストの結果、明らかな効果があることが分かった。
【0051】
幾つかの例示的な実施例では、第2凹凸構造は複数の第2凸起部を備え、隣接する第2凸起部の間に第2凹部が形成される。
【0052】
幾つかの例示的な実施例では、第2凸起部は鋸歯状であってもよい。
【0053】
幾つかの例示的な実施例では、第2凸起部と第2凹部との間の段差は0.2~0.8マイクロメートルであってもよい。
【0054】
幾つかの例示的な実施例では、発光構造層は更に画素定義層96を備え、画素定義層96は複数の画素開口を備え、画素開口は陽極51を露出し、画素定義層96のベースから離れた側に第1凹凸構造が設けられる。
【0055】
本実施例では、少なくとも1つの絶縁膜層は画素定義層96を備え、第1電極は陰極を備え、画素定義層96も緩やかに起伏するように処理されることによって、画素定義層96は凹凸起伏の形状を形成し、そうすると、陰極が蒸着される際には陰極にも凹凸のある形状を形成させることができ、即ち、散乱陰極面が形成され、環境光の反射の経路が干渉され、環境光の出射が破壊され、色分離現象がより改善される。
【0056】
幾つかの例示的な実施例では、第1凹凸構造は複数の第1凸起部を備え、隣接する第1凸起部の間に第1凹部が形成される。
【0057】
幾つかの例示的な実施例では、第1凹部は画素開口を囲む凹溝であり、凹溝の幅は0.8~1.5マイクロメートルであり、隣接する凹溝の間の距離は1~2マイクロメートルである。
【0058】
幾つかの例示的な実施例では、隣接する凹溝間の距離は、ブラックマトリクスの開口領域のエッジと画素定義層に形成された画素開口のエッジとの間の距離の1/8~7/8である。
【0059】
他の幾つかの例示的な実施例では、第1凹部は画素開口を囲む開孔であり、開孔の幅は0.5~1.8マイクロメートルである。
【0060】
幾つかの例示的な実施例では、複数の開孔は複数の環状構造ユニットを構成し、各環状構造ユニットは、画素開口の周りに設けられ且つ互いに平行なN個の環状構造を備え、最内層の環状構造は複数の第1開孔を備え、第1開孔と画素開口とは隣接し、複数の第1開孔の間に鋸歯状凸起が形成され、各鋸歯状凸起の幅は0.8~1.5マイクロメートルであり、Nは1より大きい自然数である。
【0061】
幾つかの例示的な実施例では、Nは1~50の間の自然数である。
【0062】
幾つかの例示的な実施例では、Nは3である。
【0063】
幾つかの例示的な実施例では、発光構造層は更に有機発光層52と陰極53とを備え、有機発光層52は陽極51に設けられ、陰極53は有機発光層52に設けられ、有機発光層52と陽極51とは接続され、陰極53と有機発光層52とは接続され、有機発光層52は陽極51及び陰極53の駆動下で対応する色の光線を出射する。有機発光層52及び陰極53の第1凹凸構造及び/又は第2凹凸構造に対応する位置は非平坦表面である。
【0064】
幾つかの例示的な実施例では、有機発光層52は、積層された正孔注入層(HIL)と、正孔輸送層(HTL)と、電子障壁層(EBL)と、発光層(EML)と、正孔障壁層(HBL)と、電子輸送層(ETL)と、電子注入層(EIL)と、を備えてもよい。幾つかの例示的な実施例では、全てのサブ画素の正孔注入層、正孔輸送層、電子障壁層、正孔障壁層、電子輸送層及び電子注入層は、互いに接続された共通層であってもよく、全てのサブ画素の発光層は、互いに接続された共通層であってもよく、又は互いに分離されてもよく、隣接するサブ画素の発光層は少量のオーバーラップがあってもよい。幾つかの可能な実現方式では、表示基板は他の膜層を備えてもよく、本開示はこれについて限定しない。
【0065】
幾つかの例示的な実施例では、表示基板は更に、発光構造層のベースから離れた側に設けられたパッケージ層98を備える。パッケージ層98は、積層された第1パッケージ層と、第2パッケージ層と、第3パッケージ層とを備えてもよく、第1パッケージ層及び第3パッケージ層は無機材料を採用してもよく、第2パッケージ層は有機材料を採用してもよく、第2パッケージ層は第1パッケージ層と第3パッケージ層との間に設けられ、外部の水蒸気が発光構造層に入ることができないように確保することができる。
【0066】
幾つかの例示的な実施例では、ベースは、ベース10と、ベース10に設けられた駆動構造層102とを備える。ベース10は可撓性のベースであってもよく、又は剛性のベースであってもよい。各サブ画素の駆動構造層102は、複数のトランジスタ及び記憶コンデンサからなる画素駆動回路を備えてもよい。陽極51は、平坦層95に設けられたビアを介して、駆動構造層における第1薄膜トランジスタに接続される。
【0067】
幾つかの例示的な実施例では、
図4に示すように、表示基板は更に、パッケージ層98のベースから離れた側に設けられたカラーフィルター層を備え、カラーフィルター層は間隔を置いて設けられたブラックマトリクス71とカラーフィルター72とを備え、ブラックマトリクス71はマトリクス配列をなす複数の開口領域を有し、カラーフィルター72は開口領域内に充填される。例示的な実施例では、カラーフィルター72とブラックマトリクス71とは少なくとも一部のオーバーラップ領域を有する。ブラックマトリクス71とカラーフィルター72とのオーバーラップ領域では、カラーフィルター72はブラックマトリクス71を覆う。
【0068】
幾つかの例示的な実施例では、表示基板は更にパッケージ層98とカラーフィルター層との間に設けられたタッチ構造層103を備え、タッチ構造層103は複数のタッチ電極を備えてもよく、ブラックマトリクス71のベースにおける正投影はタッチ電極のベースにおける正投影を含む。
【0069】
次に、本実施例の表示パネルの製造プロセスを通して本実施例の技術案を更に説明する。本実施例で言及される「パターニングプロセス」は膜層の蒸着、フォトレジストコーティング、マスク露光、現像、エッチング、及びフォトレジスト剥離等の処理を含む。本実施例で言及される「フォトリソグラフィプロセス」は、膜層コーティング、マスク露光、現像等の処理を含み、関連技術における成熟化された製造プロセスである。蒸着ではスパッタリング、蒸着、及び化学気相蒸着のうちのいずれか1つ又は複数を採用することができ、コーティングではスプレーコーティング及びスピンコーティングのうちのいずれか1つ又は複数を採用することができ、エッチングではドライエッチング及びウェットエッチングのうちのいずれか1つ又は複数を採用することができる。「薄膜」とは、ある材料でベースにおいて蒸着又はコーティングプロセスによって製造した1つの層の薄膜のことを指す。製造の全プロセスにおいて該「薄膜」がパターニングプロセスを必要としない場合、該「薄膜」は更に「層」と称されてもよい。製造の全プロセスにおいて該「薄膜」がパターニングプロセスを必要とする場合、パターニングプロセスの前は「薄膜」と称され、パターニングプロセスの後は「層」と称される。パターニングプロセスを経た後の「層」には少なくとも1つの「パターン」が含まれる。本開示で言及される「A及びBを同層配置する」とは、A及びBを同じ回のパターニングプロセスによって同時に形成することを指す。「Aの正投影はBの正投影を含む」とは、Bの正投影がAの正投影の範囲内にあること、又は、Aの正投影がBの正投影を覆うことを指す。
【0070】
幾つかの例示的な実施例では、
図4の表示基板の製造プロセスは以下(1)~(12)のステップを含んでもよい。
【0071】
(1)ガラス基板1においてフレキシブルベース10を製造する。
【0072】
本開示の実施形態の一例では、フレキシブルベース10は2層フレキシブル層構造を採用してもよく、フレキシブルベース10は、ガラス基板1上に積層された第1フレキシブル材料層、第1無機材料層、半導体層、第2フレキシブル材料層、及び第2無機材料層を備える。第1フレキシブル材料層、第2フレキシブル材料層の材料は、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は表面処理されたポリマーフィルム等の材料を採用してもよく、第1無機材料層、第2無機材料層の材料は窒化ケイ素(SiNx)又は酸化ケイ素(SiOx)等を採用してもよく、ベースの耐水酸素性能力を高めることに用いられ、第1無機材料層、第2無機材料層はバリア(Barrier)層とも呼ばれ、半導体層の材料はアモルファスシリコン(a-Si)を採用してもよい。
【0073】
幾つかの例示的な実施例では、積層構造PI1/Barrier1/a-si/PI2/Barrier2を例にすると、フレキシブルベース10の製造プロセスは、
図6に示すように、まずガラス基板1に1つの層のポリイミドをコーティングし、硬化して成膜した後に第1フレキシブル(PI1)層を形成することと、次に第1フレキシブル層に1つの層のバリア薄膜を蒸着し、第1フレキシブル層を覆う第1バリア(Barrier1)層を形成することと、それから第1バリア層に1つの層のアモルファスシリコン薄膜を蒸着し、第1バリア層を覆うアモルファスシリコン(a-Si)層を形成することと、それからアモルファスシリコン層に更に1つの層のポリイミドをコーティングし、硬化して成膜した後に第2フレキシブル(PI2)層を形成することと、それから第2フレキシブル層に1つの層のバリア薄膜を蒸着し、第2フレキシブル層を覆う第2バリア(Barrier2)層を形成してフレキシブルベース10の製造を完成することと、を含んでもよい。
【0074】
他の例では、フレキシブルベース10は1つの層のフレキシブル層構造を採用してもよく、例えば、フレキシブルベース10は、積層されたフレキシブル(PI)層とバリア(Barrier)層とを備える。
【0075】
(2)フレキシブルベース10において駆動構造層102のパターンを製造する。駆動構造層は、複数のゲート線と複数のデータ線とを備え、複数のゲート線と複数のデータ線とが垂直に交差して複数のマトリクス配列の画素ユニットを規定し、各画素ユニットは少なくとも3つのサブ画素を備え、少なくとも1つのサブ画素は少なくとも1つの第1薄膜トランジスタ(TFT、Thin Film Transistor)を備える(1つの可能な実施例では、スクリーン下のカメラ領域では、少なくとも1つのサブ画素はTFTを設けず、陽極のみを設ける)。第1薄膜トランジスタは、ボトムゲート構造であってもよく、トップゲート構造であってもよく、アモルファスシリコン(a-Si)薄膜トランジスタであってもよく、低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタ又は酸化物(Oxide)薄膜トランジスタであってもよく、これについて限定しない。本実施例では、1つの画素ユニットは3つのサブ画素を備え、それぞれ、赤色サブ画素R、緑色サブ画素G、青色サブ画素Bである。当然ながら、本実施例の案は、1つの画素ユニットが4つのサブ画素(赤色サブ画素R、緑色サブ画素G、青色サブ画素B、及び白色サブ画素W)を備えるという場合にも適用する。幾つかの例示的な実施例では、駆動構造層の製造プロセスは以下のステップを含んでもよい。
【0076】
フレキシブルベース10において、第1絶縁薄膜及びアクティブ層薄膜を順次に蒸着し、パターニングプロセスによりアクティブ層薄膜をパターニングして、フレキシブルベース10全体を覆う第1絶縁層91と、第1絶縁層91上に設けられたアクティブ層パターンとを形成し、アクティブ層は少なくとも第1アクティブ層11を備える。1つの例示的な実施例では、第1絶縁層91はバッファ(Buffer)層と呼ばれ、ベースの耐水酸素性能力を高めることに用いられる。
【0077】
次に、第2絶縁薄膜及び第1金属薄膜を順次に蒸着し、パターニングプロセスにより第1金属薄膜をパターニングして、アクティブ層を覆う第2絶縁層92と、第2絶縁層92に設けられる第1ゲート電極層パターンとを形成し、第1ゲート電極層は少なくとも第1ゲート電極21及び第1コンデンサ電極22、複数のゲート線(図示せず)及び複数のゲートリード線(図示せず)を備える。1つの例示的な実施例では、第2絶縁層92は、第1ゲート絶縁(GI1)層と呼ばれる。
【0078】
次に、第3絶縁膜及び第2金属膜を順次に蒸着し、パターニングプロセスにより第2金属薄膜をパターニングして、第1ゲート電極層を覆う第3絶縁層93と、第3絶縁層93に設けられる第2ゲート電極層パターンとを形成し、第2ゲート電極層は少なくとも第2コンデンサ電極31と第2ゲートリード線(図示せず)とを備え、第2コンデンサ電極31の位置は第1コンデンサ電極22の位置に対応する。1つの例示的な実施例では、第3絶縁層93はまた第2ゲート絶縁(GI2)層と呼ばれる。
【0079】
次に、第4絶縁薄膜を蒸着し、パターニングプロセスにより第4絶縁薄膜をパターニングして、第2ゲート電極層を覆う第4絶縁層94のパターンを形成し、第4絶縁層94には複数の第1ビアが設けられ、複数の第1ビアの位置はそれぞれ第1アクティブ層の両端位置に対応し、複数の第1ビア内の第4絶縁層94、第3絶縁層93及び第2絶縁層92はエッチングされ、第1アクティブ層の表面がそれぞれ露出される。1つの例示的な実施例では、第4絶縁層94はまた層間絶縁(ILD)層と呼ばれる。
【0080】
次に、第3金属薄膜を蒸着し、パターニングプロセスにより第3金属薄膜をパターニングして、第4絶縁層94にソースドレイン金属層(SD)パターンを形成し、ソースドレイン金属層は少なくとも第1ソース電極41、第1ドレイン電極42、低圧(VSS)線(図示せず)、複数のデータ線(図示せず)、及び複数のデータリード線(図示せず)のパターンを備え、第1ソース電極41及び第1ドレイン電極42は、それぞれ第1ビアを介して第1アクティブ層11の両端に接続される。1つの例示的な実施例では、ソースドレイン金属層は、実際の需要に応じて、更に電源線(VDD)、補償線、及び補助陰極のいずれか1つ又は複数を備えてもよい。
【0081】
これにより、
図7に示すように、フレキシブルベース10上における駆動構造層パターンの製造は完了した。第1アクティブ層11、第1ゲート電極21、第1ソース電極41、及び第1ドレイン電極42は、第1薄膜トランジスタを構成し、第1コンデンサ電極22及び第2コンデンサ電極31は記憶コンデンサを構成し、複数のゲートリード線及びデータリード線はアレイ基板ゲート駆動(Gate Driver on Array,GOA)の駆動リード線を構成する。
【0082】
(3)前述のパターンが形成されたフレキシブルベースに第1平坦薄膜をコーティングし、パターニングプロセスにより第1平坦薄膜をパターニングして、フレキシブルベース10全体を覆う平坦(PLN)層95を形成し、
図8に示すように、平坦層95に第2ビアV2が設けられ、第2ビアV2内の平坦層95はエッチングされて、第1薄膜トランジスタの第1ドレイン電極42の表面を露出し、平坦層95のフレキシブルベース10から離れた側には第2凹凸構造951が設けられ、第2凹凸構造951のフレキシブルベース10における正投影と、その後に形成される陽極51のフレキシブルベース10における正投影とは重畳領域を有し、即ち、陽極51に対応する位置の平坦層95上に起伏変動する形状を形成する。
【0083】
幾つかの例示的な実施例では、第2凹凸構造951は複数の第2凸起部を備え、隣接する第2凸起部の間に第2凹部が形成される。
【0084】
本実施例では、第1平坦薄膜をパターニングする際に、フォトマスク上の開口パターンを第2凹凸構造951の第2凹部に対応させてもよく、これにより、フォトマスクの開口パターンの位置、形状及び配置方式を、所望の第2凹凸構造951に応じて設計することができ、そうすると、表示基板の製造プロセスの簡略化に利する。
【0085】
幾つかの例示的な実施例では、第2凸起部は鋸歯状であってもよい。
【0086】
幾つかの例示的な実施例では、
図4に示すように、第2凸起部と第2凹部との間の段差h1は平坦層95の厚さh2の1/8~7/8であってもよい。
【0087】
幾つかの例示的な実施例では、第2凸起部と第2凹部との間の段差h1は0.2~0.8マイクロメートルであってもよい。本実施例では、第2突起部と第2凹部との段差とは、第2突起部の最高点と第2凹部の最低点との高さの差を指す。
【0088】
(4)前述のパターンが形成されたベース上に透明導電性薄膜を蒸着し、パターニングプロセスにより透明導電性薄膜をパターニングして陽極51のパターンを形成し、陽極51は第2ビアV2を介して第1ドレイン電極Dに接続される。陽極51に対応する位置の平坦層95の、フレキシブルベースから離れた側に起伏波動の形状があるため、陽極51も起伏波動の形状を形成することができ、そうすると、拡散反射陽極面を形成することができる。
【0089】
幾つかの例示的な実施例では、陽極51のパターンを形成することは、
図9に示すように、前述のパターンが形成されたベース上に第4金属薄膜を蒸着し、第4金属薄膜にフォトレジストの層をコーティングし、モノクロのフォトマスクを用いてフォトレジストを露光し、陽極51の位置する位置に未露光領域を形成し、他の位置に完全露光領域を形成し、完全露光領域のフォトレジストを現像して除去し、その後、完全露光領域の第4金属薄膜をエッチングし、フォトレジストを剥離した後、陽極51のパターンを形成する、ということを含む。
【0090】
本実施例の表示パネルはトップエミッション構造であるため、陽極51は反射電極であり、反射率の高い金属、例えば、銀Ag、金Au、パラジウムPd、白金Pt等、又はこれらの金属の合金、又はこれらの金属の複合層を採用してもよい。実際に実施する際にはまた酸化インジウムスズITO層と金属反射層の複合層構造を採用してもよく、良好な導電性、高い反射率、良好な形態安定性を有する。
【0091】
(5)前述のパターンが形成されたベースに画素定義薄膜をコーティングし、マスキング、露光、現像プロセスによって、画素定義(PDL)層96のパターンを形成し、
図10に示すように、画素定義層96に画素開口Kが設けられ、画素開口K内の画素定義薄膜は現像されて陽極51の表面の少なくとも一部を露出し、画素定義層96のフレキシブルベース10から離れた側に第1凹凸構造961が設けられる。画素開口K及び第1凹凸構造961は、階調マスク設計により実現することができる。
【0092】
幾つかの例示的な実施例では、第1凹凸構造961のフレキシブルベース10における正投影と、画素開口Kのフレキシブルベース10における正投影とは重畳しない。
【0093】
幾つかの例示的な実施例では、第1凹凸構造961は、画素定義層96の、後に形成される有機発光層52に近い側に位置し、これにより、画素定義層96の発光領域に近いエッジ位置に起伏波動の形状を形成することができる。
【0094】
幾つかの例示的な実施例では、
図10に示すように、第1凹凸構造961は複数の第1凸起部96aを備え、隣接する第1凸起部96aの間に第1凹部96bが形成される。本開示の実施例では、画素開口K内の画素定義層はすべて現像され、第1凹部96b内の画素定義層は部分的に現像され、後に形成される陰極と陽極が第1凹部96bを介して短絡するのを防止する。
【0095】
幾つかの例示的な実施例では、
図4及び
図11に示すように、第1凹部96bは画素開口Kを囲む凹溝であり、凹溝の幅d1は現在の露光装置の解像度限界に基づいて決定されてもよく、隣接する凹溝間の距離d2は、後に形成されるブラックマトリクス71の開口領域のエッジと画素定義層96に形成された画素開口Kのエッジとの距離d3の1/8~7/8である。
【0096】
幾つかの例示的な実施例では、
図11に示すように、第1凹部96bは画素開口Kを囲む凹溝であり、凹溝の幅d1は0.8~1.5マイクロメートルであり、隣接する凹溝の間の距離d2は1~2マイクロメートルである。
【0097】
他の幾つかの例示的な実施例では、
図4及び
図12に示すように、第1凹部96bは画素開口Kを囲む開孔を備え、開孔の幅d4は現在の露光装置の解像度限界に基づいて決定されてもよい。隣接する開孔間の距離d5は、後に形成されるブラックマトリクス71の開口領域のエッジと画素定義層96に形成された画素開口Kのエッジとの間の距離d3の1/8~7/8である。
【0098】
例示的には、開孔の幅d4は0.5~1.8マイクロメートルであってもよい。
【0099】
幾つかの例示的な実施例では、
図12に示すように、複数の開孔は複数の環状構造ユニット96cを構成し、各環状構造ユニット96cは、画素開口Kの周りに設けられ且つ互いに平行なN個の環状構造を備え、最内層の環状構造は複数の第1開孔96b1を備え、第1開孔96b1と画素開口Kとは隣接し、複数の第1開孔96b1の間に鋸歯状凸起96a1が形成され、Nは1より大きい自然数である。
【0100】
幾つかの例示的な実施例では、
図12に示すように、鋸歯状凸起96a1の幅d6は現在の露光装置の解像度限界に基づいて決定されてもよい。隣接する鋸歯状凸起96a1間の距離d7は、後に形成されるブラックマトリクス71の開口領域のエッジと画素定義層96に形成された画素開口Kのエッジとの間の距離の1/8~7/8である。
【0101】
例示的には、鋸歯状凸起96a1の幅d6は0.8~1.5マイクロメートルである。
【0102】
幾つかの例示的な実施例では、Nは1~50である。例示的に、Nは3であってもよい。
【0103】
本実施例では、開孔の幅を0.5~1.8マイクロメートルに設定することで、画素開口が曝露されても設計された開孔は曝露で透過されることがないように確保することができ、これにより画素定義層96に凹凸起伏の形状を形成することができ、そうすると、後に陰極53を蒸着する時も陰極53に凹凸のある形状を形成させることができ、散乱陰極面を形成することができる。
【0104】
(6)
図13に示すように、前述のパターンが形成されたベースに有機材料薄膜をコーティングし、マスキング、露光、現像プロセスにより、スペーサ(PS)層97のパターンを形成する。
【0105】
(7)
図14に示すように、前述のパターンが形成されたベースに有機発光層52及び陰極53を順次に形成する。有機発光層52は、積層された正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を備え、画素開口内に形成され、有機発光層52と陽極51との接続が実現される。陽極51が第1トランジスタの第1ドレイン電極42に接続されるため、有機発光層52の発光制御が実現される。陰極53は有機発光層52に接続される。陽極51及び画素定義層96がいずれも起伏波動の形状を有するため、有機発光層52及び陰極53もそれぞれ起伏波動の形状を形成することができ、そうすると、散乱陰極面を形成することができる。例示的な実施形態では、陰極53は、互いに連通された一体構造であってもよい。
【0106】
これにより、駆動回路層における発光構造層パターンの製造は完了し、発光構造層は陽極と、画素定義層と、スペーサ層と、有機発光層と、陰極とを備え、有機発光層はそれぞれ陽極及び陰極に接続される。
【0107】
(8)
図15に示すように、前述のパターンが形成されたベースにパッケージ層98のパターンを形成し、パッケージ層98は無機材料/有機材料/無機材料の積層構造を採用してもよく、有機材料層は2つの無機材料層の間に配置される。
【0108】
幾つかの例示的な実施例では、パッケージ層98のパターンを形成することは、まずオープンマスクプレートを用いてプラズマ強化化学蒸着(PECVD)方式で第1無機薄膜を蒸着して、第1パッケージ層を形成することと、その後、インクジェット印刷プロセスを用いて第1パッケージ層に有機材料をインクジェット印刷し、硬化して成膜した後、第2パッケージ層を形成することと、その後、オープンマスクプレートを用いて第2無機薄膜を蒸着して、第3パッケージ層を形成し、第1パッケージ層、第2パッケージ層、及び第3パッケージ層からパッケージ層が構成されることと、を含んでもよい。幾つかの例示的な実施例では、第1パッケージ層及び第3パッケージ層は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、及び酸窒化シリコン(SiON)のうちのいずれか1つ又は複数を採用してもよく、単層、多層、又は複合層であってもよく、第2パッケージ層は樹脂材料を採用して、無機材料/有機材料/無機材料の積層構造を形成してもよく、有機材料層は2つの無機材料層の間に設けられ、外部の水蒸気が発光構造層に入ることができないように確保することができる。
【0109】
(9)
図16に示すように、前述のパターンが形成されたベースにタッチ構造層103のパターンを形成する。
【0110】
幾つかの例示的な実施例では、タッチ構造層103は、パッケージ層98上に積層配置されたバッファ層、第1タッチ電極層(即ちブリッジ層)、タッチ絶縁層(TLD)、第2タッチ電極層、及び保護層を備えてもよく、複数の第1タッチ電極、複数の第2タッチ電極、及び複数の第1接続部は、第2タッチ電極層に同層配置されてもよく、そして同じ回のパターニングプロセスによって形成されてもよく、第1タッチ電極と第1接続部は、互いに接続された一体構造であってもよい。第2接続部は第1タッチ電極層に設けられてもよく、隣接する第2タッチ電極を、ビアを介して相互に接続させ、第2タッチ電極層と第1タッチ電極層との間にタッチ絶縁層が設けられる。
【0111】
幾つかの可能な実現方式では、複数の第1タッチ電極、複数の第2タッチ電極、及び複数の第2接続部は、第2タッチ電極層に同層配置されてもよく、第2タッチ電極と第2接続部は、互いに接続された一体構造であってもよく、第1接続部は第1タッチ電極層に設けられてもよく、隣接する第1タッチ電極を、ビアを介して相互に接続させる。
【0112】
(10)前述のパターンが形成されたベースにカラーフィルター層パターンを形成し、
図17に示すように、カラーフィルター層は同層配置されたブラックマトリクス71とカラーフィルター72とを備え、ブラックマトリクス71はマトリクス配列をなす複数の開口領域を有し、カラーフィルター72は開口領域内に充填され、カラーフィルター72とブラックマトリクス71とは少なくとも一部のオーバーラップ領域を有し、オーバーラップ領域ではカラーフィルター72はブラックマトリクス71を覆う。
【0113】
幾つかの例示的な実施例では、カラーフィルター層パターンを形成することは、まず、前述のパターンが形成されたベースに、ブラックマトリクス材料を混合した高分子フォトレジスト層をコーティングし、露光、現像を経て、ブラックマトリクス71パターンを形成することと、次に、前述のパターンが形成されたベースに赤色顔料を混合した高分子フォトレジスト層をコーティングし、露光、現像を経て、赤色領域のパターンを形成することと、同じ方法と手順を用いて、緑色領域のパターン及び青色領域のパターンを順次に形成することと、を含む。最終的には、一定の規則に従って配列された赤、緑、青の3原色のカラーフィルター72が形成される。
【0114】
(11)前述のパターンが形成されたベースにおいて薄膜パッケージプロセスを行い、
図18に示すように、コーティング保護層99のパターンを形成し、コーティング保護層99のパターンが形成されたベースに光学接着剤100をコーティングし、光学接着剤100にカバープレート101を貼り合わせる。
【0115】
(12)上記の膜層構造の製造が完了した後、
図4に示すように、剥離プロセスによって表示基板をガラス基板1から剥離し、次に、ローラー貼り合わせ方式を用いて、1つの層の下地膜を表示基板裏面(フレキシブルベース10の、膜層から離れた側の表面)に貼り付ける。
【0116】
上記のプロセスで、本実施例の
図4に示す表示基板の製造が完了する。本実施例の表示パネルはトップエミッション構造を用いて説明したが、本実施例の案はボトムエミッション構造又は両面エミッション構造にも適用でき、そして大サイズ又は小サイズの表示パネルにも適用できる。
【0117】
本開示に示される構造及びその製造プロセスは例示的な説明に過ぎず、例示的な実施形態では、実際の必要に応じて対応する構造を変更すること、及びパターニングプロセスを増加又は減少させることができる。例えば、各表示ユニットは、3つ又は4つのサブ画素を備えてもよい。また例えば、画素駆動回路は5T1C又は7T1Cであってもよい。更に例えば、膜層構造において更に他の電極又はリード線が設けられてもよく、本開示はこれについて具体的な限定はしない。例示的な実施例では、ソースドレイン金属層は2層構造であってもよく、即ち、表示基板に垂直な平面において、表示基板はベースに順次に形成された第1絶縁層、アクティブ層、第2絶縁層、第1ゲート電極層、第3絶縁層、第2ゲート電極層、第4絶縁層、第1ソースドレイン電極層、第1平坦層、第2ソースドレイン電極層、第2平坦層を備え、第2ソースドレイン電極層は少なくとも陽極接続電極を備え、陽極接続電極は第1平坦層におけるビアを介して第1薄膜トランジスタのドレイン電極に接続され、そして第2平坦層におけるビアを介して陽極に接続される。
【0118】
上記で説明した表示基板の構造及び製造フローから分かるように、本開示による表示基板は、陽極に正対する平坦層を緩やかに起伏するように処理することによって、陽極はある程度の起伏波動を有する形状を形成し、即ち、拡散反射陽極を形成し、そして、画素定義層も緩やかに起伏するように処理することによって、画素定義層は凹凸起伏の形状を形成し、そうすると、陰極を蒸着する際には陰極にも凹凸のある形状を形成させることができ、即ち、散乱陰極面が形成され、これにより、画面オフ状態で外部環境光がスクリーン内に入る時には、散乱陰陽極は光に対して散乱を形成し、環境光の出射方向を破壊し、色分離現象が改善され、良い画面オフ効果が実現され、コーティング保護層に散乱粒子をドープすると透過率が低下するという問題が回避され、コストの増加がなく、そしてCOEの高透過率の優位性を維持することができ、将来の5G及び低消費電力フレキシブル製品の需要に対応することができる。
【0119】
光学改善色分離試験モデルであって、
図19に示すように、入射光がカラーフィルター(CF)の長軸方向に沿う場合、シミュレーション結果は
図20a、
図20b、及び表1に示す通りであり、入射光がカラーフィルター(CF)の短軸方向に沿う場合、シミュレーション結果は
図21a、
図21b、及び表2に示す通りである。
【0120】
【0121】
【0122】
本開示の実施例による表示基板の製造プロセスは、既存の成熟した製造設備を利用して実現でき、既存のプロセスに対する改善は小さく、暗い状態での色分離を工程やステップを追加することなく改善することができ、既存の製造プロセスと良い互換性があり、プロセスの実現は簡単で実施しやすく、生産効率が高く、生産コストが低く、良品率が高い。
【0123】
例示的な実施形態では、本開示の表示基板は、画素駆動回路を有する表示装置、例えば、OLED、量子ドット表示(QLED)、発光ダイオード表示(Micro LED又はMini LED)、又は量子ドット発光ダイオード表示(QDLED)等に適用することができ、本開示はこれについて限定しない。
【0124】
本開示の例示的な実施例は更に表示基板の製造方法を提供し、表示基板は複数のサブ画素を備えてもよく、前記製造方法は、
ベースに少なくとも1つの絶縁膜層を形成し、少なくとも1つの前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に凹凸構造が設けられることと、
前記絶縁膜層の前記ベースから離れた側に第1電極を形成し、前記凹凸構造の前記ベースにおける正投影と前記第1電極の前記ベースにおける正投影とは重畳領域を有することと、を含む。
【0125】
本開示の実施例は更に表示装置を提供し、前述の実施例の表示パネルを備える。ディスプレイ装置は、携帯電話、タブレットPC、テレビ、ディスプレイ、ノートPC、デジタルフォトフレーム、ナビゲータ等の表示機能を有する如何なる製品又は部品であってもよい。
【0126】
本開示に開示される実施形態は以上の通りであるが、その記載内容は本開示を理解するために採用される実施形態に過ぎず、本発明を限定するためのものではない。当業者は本開示に開示される精神と範囲を離脱せずに、実施の形式及び詳細において修正と変更を行うことができるが、本発明の特許保護範囲は、特許請求の範囲に記載の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0127】
1 ガラス基板
10 ベース
10 フレキシブルベース
11 第1アクティブ層
21 第1ゲート電極
22 第1コンデンサ電極
31 第2コンデンサ電極
41 第1ソース電極
42 第1ドレイン電極
51 陽極
52 有機発光層
53 陰極
71 ブラックマトリクス
72 カラーフィルター
91 第1絶縁層
92 第2絶縁層
93 第3絶縁層
94 第4絶縁層
95 平坦層
96 画素定義層
96a 第1凸起部
96a1 鋸歯状凸起
96b 第1凹部
96b1 第1開孔
96c 環状構造ユニット
97 スペーサ層
98 パッケージ層
99 コーティング保護層
100 光学接着剤
101 カバープレート
102 駆動構造層
103 タッチ構造層
951 第2凹凸構造
961 第1凹凸構造
【国際調査報告】