(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】蒸着材料用材料分配器及び真空蒸着機器
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
C23C14/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580761
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2023075621
(87)【国際公開番号】W WO2024051083
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】202211093350.8
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524016758
【氏名又は名称】深▲せん▼金美新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】臧 世▲偉▼
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029CA01
4K029DB03
4K029DB12
(57)【要約】
本発明は蒸着材料用材料分配器及び真空蒸着機器を提供する。この材料分配器は、材料分配機構と、底部に前記材料分配機構が設けられたハウジングとを備え、材料分配機構は、材料分配機構の長手方向に沿って前記材料分配機構の底部の中間位置に間隔を置いて設けられる複数の貫通する孔を備え、複数のロード通路は、それぞれ各前記孔と前記材料分配機構との対応する縁部の間に設けられる。従来技術に比べて、この蒸着材料用材料分配器は、複数の通路及び複数の貫通する孔を介して蒸着対象材料を各坩堝に均一に入れることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着材料用材料分配器であって、
材料分配機構(1)と、
底部に前記材料分配機構(1)が設けられたハウジング(2)と、を備え、
前記材料分配機構(1)は、前記材料分配機構(1)の長手方向に沿って間隔を置いて前記材料分配機構(1)の内側に設けられる複数の貫通する孔(10)を備え、
複数のロード通路(11)は、前記材料分配機構(1)の両側にそれぞれ設けられ、前記孔(10)に対応し、各前記ロード通路(11)は、対応する前記孔(10)と互いに連通することを特徴とする蒸着材料用材料分配器。
【請求項2】
前記複数の貫通する孔(10)は、前記材料分配機構(1)の中間位置に2列に分けて設けられることを特徴とする請求項1に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項3】
前記材料分配機構(1)は、各前記孔(10)の底部にそれぞれ設けられた複数の導管(12)をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項4】
前記材料分配機構(1)は、各前記導管(12)の内側壁にそれぞれ嵌設された複数の位置決め管(13)をさらに備え、
前記位置決め管(13)の長さは前記導管(12)の長さよりも大きく、前記位置決め管(13)は、一端が前記孔(10)に接続され、他端が坩堝に連通していることを特徴とする請求項3に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項5】
前記複数の貫通する孔(10)と前記複数のロード通路(11)との間の接線において、隙間(14)が設けられ、
前記材料分配器はバリア(3)をさらに備え、前記バリア(3)は天板(31)とバリア板(32)を備え、前記バリア板(32)は前記天板(31)に垂直に接続され、前記バリア板(32)は前記隙間(14)にそれぞれ挿入され、
前記バリア板(32)の幅は、前記ロード通路(11)の深さに等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項6】
前記天板(31)には取手(33)が設けられることを特徴とする請求項2に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項7】
前記材料分配機構(1)は、
各前記ロード通路(11)内にそれぞれ設けられたスライダ(15)と、
前記材料分配機構(1)の側壁にボルト(17)を介して螺着され、各前記ロード通路(11)に対応する中空位置決めレバー(16)と、
前記中空位置決めレバー(16)を通過して前記スライダ(15)に固定接続される調整スクリュー(18)と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項8】
前記材料分配機構(1)は、各前記ロード通路(11)の上方に設けられた遮蔽板(19)をさらに備え、前記遮蔽板(19)の前記孔(10)に近い側の縁部は前記スライダ(15)に固定接続されることを特徴とする請求項7に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項9】
前記ハウジング(2)はラッパ形状であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の蒸着材料用材料分配器を備えることを特徴とする真空蒸着機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空蒸着の技術分野に関し、特に蒸着材料用材料分配器及び真空蒸着機器に関する。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着とは、真空条件下で坩堝内に蒸着対象材料を入れ、その後、坩堝を加熱することを指す。従来の真空蒸着では、複数の坩堝を同時に蒸着する必要があるが、従来技術では、蒸着対象材料を1つずつ坩堝に入れる際に、効率が低いだけでなく、各坩堝内に等量の蒸着対象材料を入れることが困難であり、薄膜上に蒸着される材料が不均一になってしまい、製品品質に悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の上記欠点、不足に鑑み、本発明は、従来技術において蒸着対象材料を坩堝に入れる際に、各坩堝内に等量の蒸着対象材料を入れることが困難であり、薄膜上に蒸着される材料が不均一になってしまうという技術的課題を解決する蒸着材料用材料分配器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に採用される主要な技術解決手段は以下のとおりである。
【0005】
第1態様では、本発明は、
材料分配機構と、
底部に前記材料分配機構が設けられたハウジングと、を備え、
前記材料分配機構が、前記材料分配機構の長手方向に沿って間隔を置いて前記材料分配機構の内側に設けられる複数の貫通する孔を備え、
複数のロード通路が、前記材料分配機構の両側にそれぞれ設けられ、各前記ロード通路が前記孔に対応し、各前記ロード通路が、対応する前記孔と互いに連通する蒸着材料用材料分配器を提供する。
【0006】
任意選択的に、前記複数の貫通する孔は、前記材料分配機構の中間位置に2列に分けて設けられる。
【0007】
任意選択的に、前記材料分配機構は、各前記孔の底部にそれぞれ設けられた複数の導管をさらに備える。
【0008】
任意選択的に、前記材料分配機構は、各前記導管の内側壁にそれぞれ嵌設された複数の位置決め管をさらに備え、前記位置決め管の長さは前記導管の長さよりも大きく、前記位置決め管は、一端が前記孔に接続され、他端が坩堝に連通している。
【0009】
任意選択的に、前記複数の貫通する孔と前記複数のロード通路との間の接線において、隙間が設けられ、前記材料分配器はバリアをさらに備え、前記バリアは天板とバリア板を備え、前記バリア板は前記天板に垂直に接続され、前記バリア板は前記隙間にそれぞれ挿入され、前記バリア板の幅は、前記ロード通路の深さに等しい。
【0010】
任意選択的に、前記天板には取手が設けられる。
【0011】
任意選択的に、前記材料分配機構は、各前記ロード通路内にそれぞれ設けられたスライダと、前記材料分配機構の側壁にボルトを介して螺着され、各前記ロード通路に対応する中空位置決めレバーと、前記中空位置決めロッドを通過して前記スライダに固定接続される調整スクリューと、をさらに備える。
【0012】
任意選択的に、前記材料分配機構は、各前記ロード通路の上方に設けられた遮蔽板をさらに備え、前記遮蔽板の前記孔に近い側の縁部は前記スライダに固定接続される。
【0013】
任意選択的に、前記ハウジングはラッパ形状である。
【0014】
別の態様では、本発明は、上記蒸着材料用材料分配器を備える真空蒸着機器をさらに提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本発明に係る蒸着材料用材料分配器は、材料分配機構と、底部に材料分配機構が設けられたハウジングとを備え、材料分配機構は、材料分配機構の長手方向に沿って前記材料分配機構の底部の中間位置に間隔を置いて設けられる複数の貫通する孔を備え、複数のロード通路は、それぞれ各前記孔と前記材料分配機構との対応する縁部の間に設けられる。従来技術に比べて、この蒸着材料用材料分配器は、複数の通路及び複数の貫通する孔を介して蒸着対象材料を各坩堝に均一に入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の全体構造概略図である。
【
図2】本発明の具体的な実施形態における別の蒸着材料用材料分配器の全体構造概略図である。
【
図3】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の右側面図である。
【
図4】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の下面図である。
【
図5】本発明の具体的な実施形態における導管及び位置決め管の構造概略図である。
【
図6】本発明の具体的な実施形態におけるバリアの全体構造概略図である。
【
図7】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の上面図である。
【
図8】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の斜視図である。
【
図9】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の正面図である。
【
図10】本発明の具体的な実施形態における蒸着材料用材料分配器の部分拡大図である。
【
図11】本発明の具体的な実施形態における遮蔽板とスライダとの接続構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記技術的解決手段をよりよく理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の例示的な実施例をより詳細に説明する。図面において本発明の例示的な実施例が示されているが、ここで説明される実施例に限定されることなく様々な形態で本発明を実現することができることを理解すべきである。その反面、これらの実施例は、本発明をより明確かつ十分に理解して本発明の範囲を当業者に網羅的に伝えることを可能にするために提供される。
【0018】
図1に示すように、本発明の具体的な実施形態は、蒸着材料用材料分配器を提供し、材料分配機構1と、底部に材料分配機構1が設けられたハウジング2とを備え、材料分配機構1は複数の貫通する孔10と複数のロード通路11とを備え、複数の貫通する孔10は、材料分配機構1の長手方向に沿って材料分配機構1の中間位置に間隔を置いて設けられ、複数のロード通路11は、それぞれ材料分配機構1の両側に位置し、貫通する孔10に対応し、且つ、各ロード通路11はその対応する孔10と互いに連通している。本実施例では、材料分配機構1の中間位置に孔10が一列設けられるため、各ロード通路11はそれぞれ孔10の両側に位置し、各孔10は2つのロード通路11に対応している。蒸着対象材料はまずロード通路11に入れられ、ロード通路11を通って複数の貫通する孔10に入り、複数の貫通する孔10によって蒸着対象材料を坩堝に入る。本実施例では、孔10のそれぞれは2つのロード通路11に対応し、蒸着対象材料を素早く均一に分配することができる。なお、孔10の数は、坩堝の数に応じて設定することができる。
【0019】
本発明に係る蒸着材料用材料分配器は、蒸着対象材料を同時に各坩堝に均一に入れ、膜に蒸着する材料を均一にすることができ、生産効率を高めるだけでなく、製品品質を高めることができる。
【0020】
図2に示すように、いくつかの実施例では、複数の貫通する孔10は、材料分配機構1の中間位置に2列に分けて設けられ得る。このようにして、各列の孔10とそれに対応する材料分配機構1の縁部との間には、対応するロード通路11がそれぞれ設けられる。また、複数の貫通する孔10は、坩堝の数や材料分配機構1のサイズ、例えば材料分配機構1の長さと幅に応じて1列又は2列に設定することができる。材料分配機構1の長さが長くて幅が狭い場合には、複数の貫通する孔10が1列に設けられてもよく、この場合、1列の孔10と材料分配機構1の両側の縁部との間には、それぞれロード通路11が設けられ、すなわち、各孔10は2つのロード通路11に対応する。材料分配機構1の長さが短くて幅が広い場合、複数の貫通する孔10を2列に設定することができ、この場合、各列の孔10とそれに対応する材料分配機構1の一側の縁部にはロード通路11が設けられ、すなわち、各孔10は1つのロード通路11に対応する。本発明の実施例は、材料分配機構1のサイズに応じて孔10の位置を柔軟に設定することができる。
【0021】
図3~
図5に示すように、いくつかの実施例では、この材料分配機構1は、各孔10の底部にそれぞれ設けられた複数の導管12をさらに備える。本発明の実施例は、導管12を介して蒸着対象材料を坩堝内に案内し、通常、坩堝の形状は円形であり、円形導管12を介して蒸着対象材料をすべて各坩堝内にちょうど導入し、蒸着対象材料が外部に飛び散り、各坩堝の蒸着対象材料の量が異なってしまうことを回避する。
【0022】
図3~
図5に示すように、いくつかの実施例では、材料分配機構1は、各導管12の内側壁にそれぞれ嵌設された複数の位置決め管13をさらに備える。位置決め管13の長さは導管12の長さよりも大きく、位置決め管13は、一端が孔10に接続され、他端が坩堝に接続される。すなわち、位置決め管13を介して各導管12が各孔10の下方に固定され、位置決め管13を増加させることで、各導管12と坩堝の位置が1対1で対応することを確保することができ、位置決め管13は、導管12の内側壁に嵌設され、導管12の長さよりも長く、導管12と位置決め管13で構成される全体の両端に突出した段差があるようにして、突出した段差部分は、一端が坩堝に接続され、他端が材料分配機構1の孔10に接続される。本発明の実施例は、位置決め管13によって導管12を位置決めし、各導管を各坩堝に直接位置決めすることができ、蒸着対象材料を坩堝に導入することをより容易にする。
【0023】
図1、
図2、
図6、
図7及び
図8に示すように、いくつかの実施例では、複数の貫通する孔10と複数のロード通路11との間の接線において、隙間14が設けられる。すなわち、隙間14は複数の貫通する孔10と複数のロード通路11との接続部にある複数の貫通する孔10の接線に設けられる。材料分配器はバリア3をさらに備え、バリア3は天板31とバリア板32を備え、バリア板32は天板31に垂直に接続され、バリア板32は隙間14にそれぞれ挿入され、バリア板32の幅はロード通路11の深さに等しく、ロード通路11と孔10とをちょうど隔てている。本発明の実施例では、バリア3を設置することによって孔10とロード通路11を遮断し、材料分配中に蒸着対象材料が早めに孔10を通って坩堝に落下し、材料分配が不均一になってしまうことを回避する。任意選択的に、天板31には、バリア3の設置と取り出しを容易にするための取手33が設けられていてもよい。任意選択的に、バリア板32の左右両側の底部に面取りが設けられてもよく、対応する隙間14の縁部にも面取りが設けられてもよく、この面取りは30°~60°であり、これにより、バリア板32が隙間14に挿入しやすくなる。
【0024】
図3、
図4、
図7、
図8、
図9及び
図10に示すように、いくつかの実施例では、材料分配機構1は、スライダ15、中空位置決めレバー16、ボルト17及び調整スクリュー18をさらに備え、スライダ15はそれぞれ各ロード通路11内に設けられ、中空位置決めレバー16は、ボルト17を介して材料分配機構1の側壁に螺着され、各ロード通路11に対応し、調整スクリュー18は、中空位置決めレバー16を通過してスライダ15に固定接続される。本発明の実施例では、調整スクリュー18によってスライダ15を引き出し・押し込むことができ、引き出す際に、蒸着対象材料をロード通路11内に入れ、次に、スライダ15を押し込むことで蒸着対象材料を孔10に押し込んだ後、さらに導管12を介して坩堝内に導入する。また、中空位置決めレバー16を回転させることによって、中空位置決めレバー16のロード通路11に入り込んだ長さを調整することができ、それにより中空位置決めレバー16によってスライダ15を位置決めし、各ロード通路11内の各スライダ15が同じ位置に位置するようにして、さらに蒸着対象材料に対して定量を行う。
【0025】
図4、
図7、
図8及び
図11に示すように、いくつかの実施例では、材料分配機構1は、各ロード通路11の上方にそれぞれ設けられた遮蔽板19をさらに備え、遮蔽板19の孔10に近い側の縁部はスライダ15に固定接続される。具体的には、スライダ15の長さはロード通路11の長さほど長くないので、スライダ15によってロード通路11が孔10に近い側と孔10から離れる側の2つの部分に分けられ、遮蔽板19によって孔10から離れる側のロード通路11の上方が遮蔽され、これにより、蒸着対象材料はすべて孔10に近い側のロード通路11に落下し、さらに孔10を通ってすべて坩堝に落下する。本発明の実施例では、遮蔽板19を設けてスライダ15と材料分配機構1の縁部との間の一部のロード通路11を遮蔽することによって、材料分配中に蒸着対象材料(銅粒子又はアルミニウム粒子)がスライダ15と材料分配機構1の縁部との間のロード通路11内に落下することを防止することができる。
【0026】
いくつかの実施例では、ハウジング2はラッパ形状であってもよく、これにより、蒸着対象材料が材料分配中に地上に散ることによる材料の浪費、環境の汚染を防止することができる。
【0027】
本発明は、真空蒸着機器をさらに提供し、この真空蒸着機器は上記のいずれかの蒸着材料用材料分配器を備え、この蒸着材料用材料分配器によって材料分配を行い、薄膜蒸着効率を高めるだけでなく、蒸着対象材料を各坩堝に均一に置き、薄膜蒸着品質を高めることができる。
【0028】
本発明に係る蒸着材料用材料分配器の動作原理は以下の通りである。
まず、バリア3を材料分配機構1の複数の貫通する孔10上に覆設し、孔10とロード通路11を隔離する。調整スクリュー18によって中空位置決めレバー16に引いてスライダ15を位置決めした後、蒸着対象材料(例えば、銅粒子又はアルミニウム粒子)をロード通路11内に入れ始める。バリア3を取手33で持ち上げ、調整スクリュー18を介してスライダ15を押してロード通路11内の蒸着材料を孔10内に押し込み、導管12と位置決め管13を介して蒸着対象材料を坩堝に導入すれば、均等な分配が完了する。
【0029】
本発明の有益な効果は以下の通りであり、
本発明に係る蒸着材料用材料分配器は、蒸着対象材料を同時に各坩堝に均一に入れることができ、膜に蒸着する材料を均一にすることができ、生産効率を高めるだけでなく、製品品質を高めることができる。
【0030】
本発明に係る蒸着材料用材料分配器は、材料分配機構1のサイズに応じて孔10の位置を柔軟に設定することができる。
【0031】
本発明に係る蒸着材料用材料分配器は、導管12を介して蒸着対象材料を坩堝内に案内し、通常、坩堝の形状は円形であり、円形導管12を介して蒸着対象材料をすべて各坩堝内にちょうど導入し、蒸着材料が外部に飛び散り、各坩堝の蒸着対象材料の数が異なってしまうことを回避する。
【0032】
本発明に係る蒸着材料用材料分配器は、位置決め管13によって導管12を位置決めし、各導管を各坩堝に直接位置決めし、蒸着対象材料をより良く坩堝に導入することができる。
【0033】
本発明の具体的な実施形態では、バリア3を設けることによって孔10とロード通路11を遮断し、材料分配中に蒸着対象材料が早めに孔10を通って坩堝に落下し、材料分配が不均一になってしまうことを回避する。任意選択的に、バリア3の設置及び取り出しを容易にするように、天板31に取手33を設けることもできる。
【0034】
本発明の具体的な実施形態では、調整スクリュー18によってスライダ15を引き出し・押し込むことができ、引き出す際に、蒸着対象材料をロード通路11内に入れ、次に、スライダ15を押し込み、蒸着対象材料を孔10に押し込んだ後、さらに導管12を介して坩堝内に導入する。また、各ロード通路11内の各スライダ15が同じ位置に位置するように、中空位置決めレバー16によってスライダ15を位置決めすることもでき、それによって蒸着対象材料に対して定量を行う。
【0035】
本発明の具体的な実施形態では、遮蔽板19を設けてスライダ15と材料分配機構1の縁部との間の一部のロード通路11を遮蔽することによって、材料分配中に蒸着対象材料(銅粒子又はアルミニウム粒子)がスライダ15と材料分配機構1の縁部との間のロード通路11内に落下することを防止することができる。
【0036】
本発明の具体的な実施形態では、ハウジング2をラッパ形状にすることによって、蒸着対象材料が材料分配中に地上に散ることによる材料の浪費、環境の汚染を防止することができる。
【0037】
本発明の説明では、用語「第1」、「第2」は単に説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を指示又は暗示したり指示される技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものではないと理解すべきである。それによって、「第1」、「第2」で限定された特徴は1つ以上の該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明では、特に明確な限定がない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0038】
本発明では、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体化であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接連結、中間媒体を介する間接連結であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0039】
本発明では、特に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1と第2特徴が直接接触するか、又は第1と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。そして、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上側」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあるか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを表すことであってもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下側」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下又は斜め下にあるか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことを表すことであってもよい。
【0040】
本明細書の説明では、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「実施例」、「例」、「具体例」又は「いくつかの例」などの用語についての説明とは、該実施例又は例を参照しながら説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを指す。本明細書では、上記用語の例示的な表現は必ずしも同じ実施例又は例を指すわけではない。そして、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性がいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適宜組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない限り、当業者は本明細書で説明された異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を結合したり組み合わせたりすることができる。
【0041】
本発明の実施例を以上に示しながら説明したが、理解できるように、上記実施例は例示的なものであり、本発明を限定するものではないと理解すべきであり、当業者は本発明の範囲内であれば上記実施例に対して修正、変更、置換や変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 材料分配機構
10 孔
11 ロード通路
12 導管
13 位置決め管
14 隙間
15 スライダ
16 中空位置決めレバー
17 ボルト
18 調整スクリュー
19 遮蔽板
2 ハウジング
3 バリア
31 天板
32 バリア板
33 取手
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着材料用材料分配器であって、
材料分配機構(1)と、
底部に前記材料分配機構(1)が設けられたハウジング(2)と、を備え、
前記材料分配機構(1)は、前記材料分配機構(1)の長手方向に沿って間隔を置いて
前記材料分配機構(1)の内側に設けられる複数の貫通する孔(10)を備え、
複数のロード通路(11)は、前記材料分配機構(1)の両側にそれぞれ設けられ、前
記孔(10)に対応し、各前記ロード通路(11)は、対応する前記孔(10)と互いに
連通することを特徴とする蒸着材料用材料分配器。
【請求項2】
前記複数の貫通する孔(10)は、前記材料分配機構(1)の中間位置に2列に分けて
設けられることを特徴とする請求項1に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項3】
前記材料分配機構(1)は、各前記孔(10)の底部にそれぞれ設けられた複数の導管
(12)をさらに備えることを特徴とする請求項
1に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項4】
前記材料分配機構(1)は、各前記導管(12)の内側壁にそれぞれ嵌設された複数の
位置決め管(13)をさらに備え、
前記位置決め管(13)の長さは前記導管(12)の長さよりも大きく、前記位置決め
管(13)は、一端が前記孔(10)に接続され、他端が坩堝に連通していることを特徴
とする請求項3に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項5】
前記複数の貫通する孔(10)と前記複数のロード通路(11)との間の接線において
、隙間(14)が設けられ、
前記
蒸着材料用材料分配器はバリア(3)をさらに備え、前記バリア(3)は天板(3
1)とバリア板(32)を備え、前記バリア板(32)は前記天板(31)に垂直に接続
され、前記バリア板(32)は前記隙間(14)にそれぞれ挿入され、
前記バリア板(32)の幅は、前記ロード通路(11)の深さに等しいことを特徴とす
る請求項
1に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項6】
前記天板(31)には取手(33)が設けられることを特徴とする請求項
5に記載の蒸
着材料用材料分配器。
【請求項7】
前記材料分配機構(1)は、
各前記ロード通路(11)内にそれぞれ設けられたスライダ(15)と、
前記材料分配機構(1)の側壁にボルト(17)を介して螺着され、各前記ロード通路
(11)に対応する中空位置決めレバー(16)と、
前記中空位置決めレバー(16)を通過して前記スライダ(15)に固定接続される調
整スクリュー(18)と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸着材料用
材料分配器。
【請求項8】
前記材料分配機構(1)は、各前記ロード通路(11)の上方に設けられた遮蔽板(1
9)をさらに備え、前記遮蔽板(19)の前記孔(10)に近い側の縁部は前記スライダ
(15)に固定接続されることを特徴とする請求項7に記載の蒸着材料用材料分配器。
【請求項9】
前記ハウジング(2)はラッパ形状であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着材料
用材料分配器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の蒸着材料用材料分配器を備えることを特徴とする
真空蒸着機器。
【国際調査報告】