(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】スナバ作用を有するバスバー装置及び中間回路コンデンサ装置並びに自動車
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20241018BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01G4/228 J
H01G4/228 S
H01G4/38 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506927
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2022076828
(87)【国際公開番号】W WO2023066621
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021127369.2
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・ニコラス
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082CC06
5E082GG08
(57)【要約】
本発明は、バスバー装置2、対応する中間回路コンデンサ装置1及びこの中間回路コンデンサ装置1を備えた自動車に関する。バー装置2は、電気接触要素3,4を有する。これらの接触要素3,4が互いに平行に扁平に延在するこれらの接触要素3,4のそれぞれが、接触面領域6を形成する。これらの接触要素3,4は、これらの接触要素3,4のそれぞれ少なくとも1つの端部ごとに端子領域7,8を外部端子として有する。これらの接触要素3,4は、スナバコンデンサを構成する。このため、複数の接触面領域6が、これらの接触面領域6の主延在平面x-zに対して垂直方向に電気絶縁層5だけによって互いに離間されている。さらに、これらの接触面領域6は、これらの接触面領域6の主延在平面x-zに広がる方向x,zにバスバー装置2の総面積の大部分にわたって延在する。この場合、これらの接触面領域6の主延在平面x-zに対して垂直方向のバスバー装置2の高さは、この主延在平面x-z内のこれらの接触面領域6の寸法よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接触要素(3)と第2接触要素(4)とを有する中間回路コンデンサ装置(1)のためのバスバー装置(2)であって、
前記第1接触要素(3)及び前記第2接触要素(4)が互いに平行に扁平に延在するこの第1接触要素(3)及びこの第2接触要素(4)のそれぞれが、複数のコンデンサ(8)のための接続面として接触面領域(6)を形成し、この接触面領域(6)の少なくとも1つの端部で、当該少なくとも1つの端部のそれぞれにつながっている端子領域(7,8)を外部端子として有し、
これらの接触要素(3,4)は、スナバコンデンサを構成し、このため、
-複数の前記接触面領域(6)が、これらの接触面領域(6)の主延在平面(x-z)に対して垂直方向に電気絶縁層(5)だけによって互いに離間されていて、
-これらの接触面領域(6)は、これらの接触面領域(6)の前記主延在平面(x-z)に広がる方向(x,z)に前記バスバー装置(2)の総面積の大部分にわたって延在し、
-これらの接触面領域(6)の前記主延在平面(x-z)に対して垂直方向の前記バスバー装置(2)の高さは、この主延在平面(x-z)内のこれらの接触面領域(6)の寸法よりも小さい当該バスバー装置(2)。
【請求項2】
前記絶縁層(5)は、最大で500μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のバスバー装置(2)。
【請求項3】
前記絶縁層(5)は、ε
r>>1の比誘電率を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバー装置(2)。
【請求項4】
規則的な実装位置で複数の前記コンデンサ(8)に面した前記接触面領域(6)が、少なくとも1つの、特にコンデンサ(8)ごとに1つの凹部を、別の接触面領域(6)に達するスルーホールとして有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のバスバー装置(2)。
【請求項5】
複数の前記接触面領域(6)の1つの端部に配置された複数の前記端子領域(7)が、少なくともこれらの接触面領域(6)の主延在平面(x-z)に対して垂直方向のこれらの接触面領域(6)の間隔に相当する高低差以外同じに形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のバスバー装置(2)。
【請求項6】
前記バスバー装置(2)は、1nH未満の端子インダクタンスを有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のバスバー装置(2)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のバスバー装置(2)とこのバスバー装置(2)に電気接続されている複数のコンデンサ(8)とを有する中間回路コンデンサ装置(1)。
【請求項8】
前記複数のコンデンサ(8)は、巻回型コンデンサ(8)として構成されていて、これらのコンデンサ(8)の巻回軸が複数の前記接触面領域(6)の主延在平面(x-z)に対して垂直方向に直立しているようにこれらの前記接触面領域(6)に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の中間回路コンデンサ装置(1)。
【請求項9】
前記複数のコンデンサ(8)は、コンパクトな集合体状に配置されていて、複数の前記接触面領域(6)の主延在平面(x-z)内の複数の前記接触面領域(6)の寸法が、複数のコンデンサ(8)から成る前記集合体の対応する寸法にほぼ一致することを特徴とする請求項7又は8に記載の中間回路コンデンサ装置(1)。
【請求項10】
電気自動車用蓄電池と、この電気自動車用蓄電池に電気接続されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の中間回路コンデンサ装置(1)とを有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気中間回路のコンデンサ装置のためのバスバー装置、対応する中間回路コンデンサ装置、及び当該中間回路コンデンサ装置を備えた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
電気中間回路が、複数の電力ネットワーク又はサブネットワーク間で切り替えられる電流レベル又は電圧レベルでこれらの電力ネットワーク又はサブネットワークを電気結合するための蓄電装置として頻繁に使用される。この場合、例えば電磁両立性(EMC)やスイッチング過程時のオーバーシュート及び振動の発生等に関する様々な不具合が発生し得る。従来では、このような問題は、例えば、比較的高価な遮蔽、比較的負荷に強いか又は耐電圧性の設計及び/又は直前に接続されたスナバによって対処され得る。しかしながら、これは、追加の重量、追加の必要スペース及び追加のコストを引き起こし得る。
【0003】
こうした背景の下、例えば欧州特許出願公開第3512085号明細書は、寄生共振回路を有し且つ極めて急峻な立ち上がりエッジを呈する直流変換器を記載する。この明細書では、具体的には、半導体スイッチと電流源とを有する直流変換器を備える装置が記載されている。この場合、直流変換器は、この直流変換器の寄生特性によって規定されている交流共振回路を有する。さらに、スイッチング過程を実行することによって当該半導体スイッチを切り替えるため、制御装置が設けられている。この制御装置は、当該交流共振回路の共振周波数の周期よりも小さいスイッチング期間によって、当該スイッチング過程を実行するように構成されている。さらに、この制御装置は、電流源によって供給された電流が当該半導体スイッチの休止状態に対して最大で30%のオーバーシュートを当該半導体スイッチで生成するように、当該スイッチング過程の時点を選択するように構成されている。したがって、小さい損失及び過電圧が、当該直流変換器内で可能になる。
【0004】
別の試みとして、独国特許出願公開第102015115145号明細書は、比較的高い集積密度を有する整流器を記載する。この整流器の実装経費が減少し、この整流器は、ノイズの影響を受けにくく、及び/又は、寄生効果が低減される。このため、この明細書に記載されている整流器は、半導体モジュール、電気コンデンサ、及びピン形又はリブ形の冷却構造を成す冷却本体を有する。この場合、当該電気コンデンサは、この冷却本体に直接に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3512085号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102015115145号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、中間回路を有する電力システムを非常に効率的に実現可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、独立請求項に記載の対象によって解決される。本発明の可能な構成及びさらなる構成は、従属請求項、明細書及び図に開示されている。
【0008】
本発明のバスバー装置は、中間回路コンデンサ装置のために設けられているか又は構成されている。換言すれば、このバスバー装置は、互いに組み合わせて中間回路コンデンサとして使用され得る複数の個別コンデンサ又はラップ(Wickel)を電気的に接続又は接触させ得る。本発明のバスバー装置は、第1電気接触要素及び第2電気接触要素を有する。これらの接触要素は、正の接触要素及び負の接触要素とも呼ばれ得て、したがって両電気極性のために使用され得る。これらの接触要素のそれぞれは、これらの接触要素が互いに平行に扁平に延在する接触面領域を形成する。これらの接触面領域は、中間回路コンデンサ装置の複数のコンデンサのための電気コネクタ又は電気接点として使用される。この場合、これらのコンデンサは、特に巻回型コンデンサ、すなわち静電容量セルとしてのラップ又はフィルムラップであり得る。したがって、このとき、中間回路コンデンサ装置を構成するため、これらのコンデンサ又はラップは、これらのコンデンサの接触面領域内でこれらの接触要素に電気接続され得る。さらに、これらの接触要素のそれぞれが、この接触面領域の少なくとも1つの端部に、場合によってはそれぞれ2つの、特に互いに対向する端部に、当該端部のそれぞれにつながっている端子領域を外部端子として有する。したがって、これらの端子領域又は外部端子は、外部の構成要素又はデバイス、例えば中間回路コンデンサ装置によって互いに接続された電力サブネットワーク、中間回路の交流側及び/又は直流側、又はこれらを含む装置等に対する端子又は接触子として使用されるか又は機能する。したがって、これらの端子領域は、それぞれの接触面領域と一体的に、一体式に又は一体化して形成若しくは成形され得るか、又は他の方法でそれぞれの接触面領域と結合され得る。
【0009】
本発明によれば、複数の接触要素が、スナバ又はスナバコンデンサを有することが提唱されている。したがって、スナバ又はスナバコンデンサは、RC要素ではない。何故なら、対応するR成分、すなわち抵抗成分が、これらの接触要素間の電気絶縁体又は絶縁フィルムにおける誘電正接と、バスバー装置の通電部品における表皮効果及び近接効果とによって発生するからである。ここでは、スナバコンデンサは、高周波Xコンデンサとも呼ばれ得る。したがって、本発明又は本発明にしたがって提唱されている若しくは構成されているスナバコンデンサは、効果的なXコンデンサを改良したものと解され得る。これに対して、同様に電気接触するラップは、専らより低い周波数の場合にコンデンサとして作用する。したがって、バスバー装置は、それぞれの電力ネットワーク又はそれぞれの変換セルにおける例えばスイッチング過程時の望まない振動を減衰させるための減衰要素として使用され得るか又は機能し得る。中間回路コンデンサ装置の従来のバスバー装置の場合、例えばそれぞれのバスバー又はそれぞれの変換セルの固有インダクタンスによって決まる共振が頻繁に発生する。したがって、結果として望ましくない比較的大きい振幅と比較的長く持続する減衰挙動又は過度振動挙動とを有する電圧オーバーシュート及び振動が発生し得る。これは、本発明のバスバー装置の静電容量を最大にするためのこのバスバー装置又はこのバスバー装置の構造又は構成によって有益に低減され得る。
【0010】
このため、本発明によれば、複数の接触面領域が、これらの接触面領域の主延在平面に対して垂直方向に、複数の接触要素又はこれらの接触要素の接触面領域の間に配置された電気絶縁層又は高電圧絶縁体だけによって互いに離間されている。この場合、特に、この絶縁層は、両接触要素の接触面領域内の当該両接触領域よりも薄い。したがって、換言すれば、これらの接触要素のこれらの接触面領域は、電気絶縁要求と所定の製造ばらつきとを同時に満たしつつ、可能な限り近くに又は密に隣り合って配置されている。
【0011】
特に、これらの接触面領域の主延在平面は、コンデンサが所定の実装位置に配置又は実装されている、すなわちバスバー装置又は接触要素によって電気接触されているこのバスバー装置の領域の主延在平面であり得る。したがって、当該接触要素は、例えば部分的に又は接触面領域又は接触面領域の主延在平面に対して少なくともほぼ垂直方向に、他の平面内に延在し得る他の領域を有し得る。
【0012】
さらに、本発明によれば、複数の接触面領域が、これらの接触面領域の主延在平面に広がる方向にバスバー装置の総面積若しくは全寸法の少なくとも大部分にわたって-又は場合によっては、対応する中間回路コンデンサ装置の全体にわたって-延在することが提唱されている。したがって、換言すれば、全体的に必要な実装スペース、特に、対応する中間回路コンデンサ装置の複数のコンデンサに必要な実装スペース、予め設定されている重量制限及び/又はコスト制限等に関する所定の要求又は制約を考慮して、これらの接触面領域の面積が最大にされている。また、これらの接触要素又はこれらの接触面要素の主延在平面に対して垂直方向のこれらの接触要素又はこれらの接触面領域の間隔の本発明にしたがって提唱されている最小化と、最大の面積を有する平坦に延在する領域又はプレート状若しくはプレート形の領域としてのこれらの接触要素又はこれらの接触面要素の構成とが、当該バスバー装置の静電容量を最大にする。
【0013】
さらに、本発明によれば、これらの接触面領域の主延在平面に対して垂直方向のバスバー装置の全寸法又は最大寸法が、これらの接触面領域の主延在平面内の、すなわちこの主延在平面に広がる2つの方向のうちの1つの方向又は両方向のこれらの接触面領域又はバスバー装置の総面積又は全寸法よりも小さいことが提唱されている。したがって、換言すれば、バスバー装置の高さは、このバスバー装置の全体又はこのバスバー装置の主延在平面内の接触面領域の長さ及び/又は幅よりも小さくできる。したがって、バスバー装置は、可能な限り共平面状に又は扁平に形成又は成形されている。これは、バスバー装置のインダクタンスを減少させ得るか又は最小にできる。
【0014】
本発明にしたがって提唱されているバスバー装置の構成は、この構成によって、従来のバスバーに比べて増大した静電容量と減少したインダクタンスとが達成され得て、したがって本発明のバスバー装置は、スナバ又は高周波スナバ(HFスナバ)として使用され得るか又は機能し得るという認識に基づく。したがって、重大な欠点なしに、相乗効果又はバスバー装置の相乗的な、すなわち多機能的な使用が、対応する中間回路コンデンサ装置の複数のコンデンサの電気接触に対して達成され得て、さらにスナバとして達成され得る。また、接触要素又は接触面要素の非常に大きい面積の構成によって、当該接触要素又は接触面要素の材料の厚さが、電気抵抗の増大なしに減少され得る。したがって、以上により、改良されたEMC挙動が達成され得て、電圧オーバーシュート及び電気振動が減少され得て、高価で面倒なフィルタ手段が節約され得るか又は簡単に構成され得る。したがって、以上により、中間回路又は中間回路を備えた電気装置若しくは回路の、改良されたよりコンパクトで且つ安価な構成が達成され得る。
【0015】
本発明の可能な構成では、絶縁層は、接触面領域の主延在平面に対して垂直方向に最大で500μmの厚さ、すなわち材料厚さ又は層厚を有する。これは、典型的な製造ばらつきを考慮しても、両接触要素の相互の効果的な電気絶縁を可能にする。したがって、同時に、バスバー装置の非常に大きい静電容量が達成され得て、したがってスナバとしての非常に大きい又は効果的な作用が達成され得る。この場合、確実な電気絶縁を保証するため、絶縁層の厚さは、例えば少なくとも100μmになり得る。
【0016】
本発明の別の可能な構成では、絶縁層は、εr>>1の比誘電率を有する。したがって、換言すれば、絶縁層は、高誘電率材料から製造又は形成されている。例えば、絶縁層の比誘電率は、少なくとも3.9又は少なくとも6又は少なくとも10等になり得る。また、絶縁層のこのような構成は、バスバー装置の静電容量の最大化に寄与し得て、したがってバスバー装置のスナバとしての作用がさらに増大し得る。
【0017】
本発明の別の可能な構成では、規則的な実装位置で中間回路コンデンサ装置の複数のコンデンサに面した(ここでは、上の接触面領域又は上の接触要素の接触面領域とも呼ばれ得る)接触面領域が、少なくとも1つの凹部又は別の接触面領域に達するスルーホール(Durchfuehrung)を有する。特に、規則的に設けられているコンデンサ又はラップごとに、1つの、特に丁度1つのこのような凹部又はスルーホールが、当該上の接触面領域内に設けられ得るか又は形成され得る。それぞれのコンデンサ又はラップを別の、すなわち下の接触面領域又は接触要素に電気接触するため、それぞれのコンデンサが、このスルーホールに配置され得るか、又は対応する電気接続が、このスルーホールによって実行され得る。ここで提唱されている構成は、非常に簡単で且つコンパクトな、すなわち実装スペースを節約する構成又は中間回路コンデンサ装置の実現を可能にする。したがって、例えば、コンデンサのための電気接続線が節約又は短縮され得る。
【0018】
本発明の別の可能な構成では、複数の接触面領域の1つの端部に配置された複数の端子領域が、少なくともこれらの接触面領域の主延在平面に対して互いに垂直方向のこれらの接触面領域の間隔に相当する高低差以外、これらの接触面領域の主延在平面に対して垂直に直立している方向に同じに形成されている。したがって、これらの端子領域は、この間隔又は高低差以外同じ形及び寸法を有し得るか又は同じ方向を有し得る。これらの端子領域は、特に直流側の端子領域であり得て、すなわちバスバー装置又は接触要素の直流接続又は潮流電圧接続のための端子領域であり得る。ここで提唱されている
これらの端子領域の構成によって、これらの接触面領域の主延在平面に対して垂直方向に直立している2つの平面のうちの1つの平面若しくは両平面又は対応する投影面内のバスバー装置の寸法及び面積が、従来のバスバーに比べて減少され得るか又は非常に小さく保持され得る。これは、バスバー装置のインダクタンスを減少させ得るか又は非常に小さくさせ得て、したがって結果として、対応する中間回路コンデンサ装置のESL(等価直列抵抗)(英語ではEquivalent Series Inductivity)を非常に小さくさせ得るか又は小さくすることに寄与し得て、したがってスナバとしてのバスバー装置の作用又は機能を支援できる。特に、これらの端子領域は、これらの接触面領域に対して平行であるが、これらの接触面領域の主延在平面に対して垂直垂直方向にこれらの接触面領域から離間して配置された複数の部分領域を有し得る。このとき、異なる端子領域のこれらの部分領域は、同じ平面内に配置され得る、すなわちこれらの接触面領域の主延在平面に対して垂直方向に、これらの接触面領域のうちの1つの接触面領域から測定される同じ間隔に配置され得る。代わりに、これらの部分領域は、これらの接触面領域の主延在平面に対して垂直方向に見て重なり合って又は前後して、すなわち互いに重なり合うように又は覆うように配置され得る。
【0019】
本発明の別の可能な構成では、バスバー装置は、1nH未満の端子インダクタンス、すなわちESLを有する。特に、端子インダクタンス又はESLは、1nHよりも遥かに小さくできる。
【0020】
このため、例えば、これらの接触面領域の主延在平面に対して少なくとも垂直方向に直立している平面又は投影面内の面積又は寸法が適切に制限され得る。したがって、ここで提唱されている構成は、適切な設計マージン、形状マージン又は構成マージンをバスバー装置に対して予め設定できるか又は提供できる。バスバー装置のここで提唱されている構成によって、このバスバー装置は、実際の用途で、例えば自動車の車両用蓄電池のためのインバータの変換セル等で、スナバとして効率的に且つ適切に使用され得て、場合によっては、追加のスナバコンデンサを省略することを可能にし、及び/又は使用される部品若しくはデバイスの絶縁耐力を著しく低減することを可能にする。
【0021】
本発明の別の特徴は、本発明のバスバー装置とこのバスバー装置によって電気的に接続又は接触されたコンデンサ、特に巻回型コンデンサを有する中間回路コンデンサ装置である。本発明の中間回路コンデンサ装置は、特に本発明のバスバー装置に関連して上述した中間回路コンデンサ装置でもよく、又はこの中間回路コンデンサ装置に相当するものでもよい。したがって、本発明の中間回路コンデンサ装置は、同じ特性及び/又は特徴を有し得るか、又はこれに関して上述した特性及び/又は特徴を有し得る。
【0022】
本発明の可能な別の構成では、複数のコンデンサが、複数の巻回型コンデンサとして構成されている。このとき、これらの巻回型コンデンサは、これらの巻回型コンデンサの巻回軸(Wickelachse)が接触面領域の主延在平面に対して垂直方向に直立しているように当該接触面領域に配置されている。巻回型コンデンサの巻回軸は、ここではラップが巻き付けられている軸を意味する。したがって、この巻回軸は、それぞれのコンデンサの円柱中心長手軸に相当し得る。したがって、ここでは、複数のコンデンサが、互いに平行に又は互いに整合された複数の巻回軸によって並んで接触面領域上で直立して配置されている。したがって、これは、同時に接触面領域の非常に大きい面積にもかかわらず、中間回路コンデンサ装置の実装スペースを節約する構成を可能にし得る。したがって、このため、これらのコンデンサの非常に簡単で且つ迅速な電気的な接続又は接触が可能になり得る。これらのコンデンサのそれぞれが、円柱形を成し得て、規則的な配列で又は規則的なパターンで、特に密集させて、すなわち円柱の半径だけ互いにずらした配列で配置され得る。
【0023】
本発明の可能な別の構成では、複数のコンデンサが、コンパクトな集団状に配置されている。このとき、接触面領域の主延在平面内の当該接触面領域の寸法は、当該接触面領域の主延在平面に広がる方向の複数のコンデンサから成るこの集団の寸法にほぼ一致する。したがって、換言すれば、接触面領域の主延在平面内の当該接触面領域の寸法又は面積は、複数のコンデンサから成る集団の寸法又は面積によって限定されているか又は複数のコンデンサから成る集団の寸法又は面積に限定されている。こうして、中間回路コンデンサ装置の寸法又は必要な実装スペースが、提唱されているコンデンサによって決まる最小寸法又は提唱されているコンデンサに対して最小限に必要な実装スペースに低減又は限定され得る。したがって、例えば、当該コンデンサ又はバスバー装置が配置又は収容されている中間回路コンデンサ装置のハウジングが、非常にコンパクトに形成され得る。したがって、中間回路コンデンサ装置の必要な実装スペース、重量及び製造コストの最小化とバスバー装置の静電容量又はスナバ作用の最大化との間合で、非常に良好な妥協点が見出され得る。接触面領域が複数のコンデンサから成る集団の寸法又は面積にほぼ一致することは、例えば、接触面領域が、1つの、特にただ1つの又は丁度1つの方向又は寸法において端子領域を形成するか又は端子領域に接続するために、特にこのために最低限必要な場合に限って複数のコンデンサから成る集団からはみ出ることを意味し得る。これに対して、接触面領域の主延在平面の別の、すなわち主延在平面に対して垂直方向に直立している方向又は寸法では、当該接触面領域が、例えば、専ら又は丁度複数のコンデンサから成る集団の外面又は外壁に達し得る。
【0024】
本発明の別の特徴は、車両用蓄電池とこの車両用蓄電池に電気接続されている本発明の中間回路コンデンサ装置を有する自動車である。本発明の自動車は、特に本発明のその他の特徴に関連して上述した自動車でもよく、又はこの自動車に相当し得て、したがって上記の複数の特性及び/又は特徴のうちの幾つかの又は全ての特性及び/又は特徴を有し得る。
【0025】
本発明の他の特徴は、特許請求の範囲、図及び図の説明から入手できる。上記の明細書中に記載されている特徴、特徴の組み合わせ、以下で図の説明及び/又は図だけで示された特徴及び特徴の組み合わせは、本発明の範囲から離れることなしに、上記のそれぞれの組み合わせだけで使用可能であるのではなくて、別の組み合わせか又は特定の分野でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】中間回路コンデンサ装置のためのバスバー装置の一部の概略的な斜視図である。
【
図2】従来のバスバー装置と比較して当該バスバー装置のスナバ作用を図示するための概略的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、バスバー装置2を有する中間回路コンデンサ装置1の一部の概略的な斜視図である。バスバー装置2は、第1接触要素3、第2接触要素4及びこれらの接触要素の間に配置された絶縁層5を有する。したがって、接触要素3,4は、導電性である一方で、絶縁層5は、非導電性であり、特に全体的に又は部分的に高誘電率の絶縁体から製造されている。
【0028】
接触要素3,4のそれぞれが、接触面領域6を有する。この接触面領域6内では、これらの接触要素3,4が、互いに平行に扁平に延在する、すなわち板状に形成されている。さらに、これらの接触要素3,4は、少なくとも1つの端部に-ここでは例えばただ1つの端部に-又は少なくとも片側にそれぞれの接続領域7を有する。これらの接触要素3,4又はこれらの接触面領域6の対向する端部又は対向する側に、それぞれ1つの別の接続領域が形成されてもよい。
【0029】
図解するために又は参考として、空間方向x,y,zを有する座標系が図示されている。
【0030】
したがって、ここでは、これらの接触面領域6は、x-z平面内で扁平に延在するか、又は、これらの接触面領域6の面積若しくは寸法が最大である。これに対して、バスバー装置2は、x-z平面に対して垂直方向に、すなわちx-y平面又はy-z平面内で、特に当該面積若しくは寸法よりも小さい面積を有し得るか又は占め得る。
【0031】
ここで提唱されているバスバー装置2の構成によって、このバスバー装置2は、同時に非常に大きい静電容量Cbarを呈しつつ非常に低いESLを有し得る。この場合、Cbar=ε0・εr・A/dが成立する。ここで、ε0は、真空の誘電率を示し、εrは、絶縁層5の比誘電率を示し、Aは、面積(接触要素3と接触要素4とが、この面積にわたって分離されるように、この絶縁層5を介してそれぞれ局所的に互いに平行に配置されている)、すなわち特に又はx-z平面内の接触面領域6の面積から成る面積を示し、dは、y方向の接触面領域6の間隔、すなわち絶縁層5の厚さを示す。
【0032】
したがって、バスバー装置2は、ここでは高周波Xコンデンサとして、すなわち高周波スナバとして振動を減衰させるために機能し、且つ電圧オーバーシュート又は電圧オーバーピークを減少させるために機能する。
【0033】
中間回路コンデンサ装置1は、ここでも同様に図示された複数のコンデンサ8も有する。これらのコンデンサ8は、接触面領域6に直立配置されていて、一緒に中間回路静電容量を構成又は提供し得る。ここに図示された中間回路コンデンサ装置1とは違って、中間回路コンデンサ装置1を実際に構成するための複数のコンデンサ8が、特により密に詰められて配置されてもよい。特に、接触面領域6が、これらのコンデンサ8によって必要とされるx-z平面内の総面積を少なくともほぼカバーするように、しかし構成的に必要な場合に限ってこれらのコンデンサ8からはみ出るように、接触面領域6は設計され得る。
【0034】
バスバー装置2の減衰作用又はスナバ作用をさらに図示するため、
図2は、グラフを例示的に且つ概略的に示す。この
図2では、時間tに対する中間回路電圧Uの2つの推移が描かれている。具体的には、ここではスイッチング過程に対して、バスバー装置2によって発生する過度振動曲線9と、基準曲線10とが示されている。基準曲線10は、バスバー装置2以外は同じ中間回路又はバスバー装置2以外は同じ中間回路コンデンサ装置1においてこのバスバー装置2の代わりに従来のバスバーを使用した場合に発生し得る。ここでは、バスバー装置2の構成と、このバスバー装置2によってもたらされるか又は得られるスナバ作用とに起因して、過度振動曲線9が、対応する基準電圧ピーク12、すなわち基準曲線10の最大値よりも明らかに小さい電圧ピーク11を有することが明確に認識可能である。さらに、過度振動曲線9は、基準曲線10よりも著しく低い振動周波数を示す。これは、追加の構成要素が必要であることなしに、バスバー装置2が、寄生コンデンサを実現するためのこのバスバー装置2の構成によって、中間回路コンデンサ装置1又はこの中間回路コンデンサ装置1を有する電気システムの作動中に、電圧オーバーシュートを減少でき、特に高周波の振動を減衰できることを示す。
【0035】
したがって、要約すると、説明した例は、どのようにして中間回路コンデンサのための高周波スナバが簡単に且つ効率的に実現され得るかを示す。
【符号の説明】
【0036】
1 中間回路コンデンサ装置
2 バスバー装置
3 第1接触要素
4 第2接触要素
5 絶縁層
6 接触面領域
7 接続領域
8 コンデンサ
9 過渡振動曲線
10 基準曲線
11 電圧ピーク
12 基準電圧ピーク
U 中間回路電圧
t 時間
x,y,z 空間方向
【国際調査報告】