(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】モスネツズマブの医薬組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241018BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508727
(86)(22)【出願日】2023-04-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2023065716
(87)【国際公開番号】W WO2023201291
(87)【国際公開日】2023-10-19
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジ, ジュンヤン エー.
(72)【発明者】
【氏名】タイラー, ジャクリーン イヴォンヌ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076CC27
4C076DD08F
4C076DD08Q
4C076DD55Q
4C076DD60Q
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4C076EE23F
4C076EE23Q
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4C085AA14
4C085BB01
4C085CC23
4C085DD13
4C085EE01
4C085EE07
4C085GG02
(57)【要約】
本開示は、モスネツズマブを含む医薬組成物およびそれを使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モスネツズマブ、ポリソルベート20(PS20)、メチオニン、緩衝剤、および担体を含む医薬組成物であって、PS20の濃度が0.01重量/体積%~0.1重量/体積%(w/v)であり、メチオニンの濃度が1mM~50mMであり、緩衝剤の濃度が5mM~20mMである、医薬組成物。
【請求項2】
モスネツズマブの濃度が約15mg/ml以下である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
モスネツズマブに対するPS20のモル比が100未満である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
モスネツズマブに対するPS20のモル比が50~100である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
モスネツズマブに対するPS20のモル比が約71である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
モスネツズマブの濃度が約0.5mg/ml~約2mg/mlである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
モスネツズマブの濃度が約1mg/mlである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
製剤(DP)として製剤化されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
メチオニンの濃度が約2.5mM~約20mMである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
メチオニンの濃度が約10mMである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
緩衝剤が、ヒスチジン、リン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
緩衝剤がヒスチジンである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ヒスチジンが酢酸ヒスチジンである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
緩衝剤の濃度が約8mM~約12mMである、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
緩衝剤の濃度が約10mMである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
緩衝剤が、約8mM~約12mMの濃度の酢酸ヒスチジンである、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
酢酸ヒスチジンの濃度が約10mMである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
等張化剤をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
等張化剤が、糖、アミノ酸または塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
等張化剤が糖である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
糖が、スクロース、グルコース、グリセロールまたはトレハロースである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
糖がスクロースである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
等張化剤の濃度が約100mM~約500mMである、請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
等張化剤の濃度が約200mM~約300mMである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
等張化剤の濃度が約240mMである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
約4.5~約8のpHを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
pHが約5.5~約6.1である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
pHが約5.8である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
モスネツズマブが、Fc領域の257位(EUナンバリング)にメチオニンを有し、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化が、40℃で2週間にわたって約10%未満である、請求項1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化が、40℃で2週間にわたって約6%以下である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
モスネツズマブ、界面活性剤、メチオニン、および担体を含む医薬組成物であって、医薬組成物が、約5.8のpHを有し、
(i)モスネツズマブの濃度が約10mg/ml以下であり、
(ii)界面活性剤の濃度が、約0.05%~約0.1%(w/v)であり、
(iii)メチオニンの濃度が約10mMである、医薬組成物。
【請求項32】
モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比が、100以下である、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
界面活性剤が、PS20またはポロキサマー188(P188)である、請求項31または32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
界面活性剤がPS20であり、PS20の濃度が約0.06%(w/v)である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
モスネツズマブに対するPS20のモル比が約50~約100である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
モスネツズマブに対するPS20のモル比が約71である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
界面活性剤がP188であり、P188の濃度が約0.1%(w/v)である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項38】
モスネツズマブに対するP188のモル比が約5~約25である、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
モスネツズマブに対するP188のモル比が約17である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
モスネツズマブの濃度が約0.5mg/ml~約2mg/mlである、請求項31~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
モスネツズマブの濃度が約1mg/mlである、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
DPとして製剤化されている、請求項35~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
約10mMの濃度の酢酸ヒスチジンおよび/または約240mMの濃度のスクロースをさらに含む、請求項31~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
単位剤形である、請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
単位剤形が、希釈用液体製剤である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
希釈用液体製剤が、約50mlの体積を有する容器に供給される、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
希釈用液体製剤が、約2mlの体積を有する容器に供給される、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項48】
希釈用液体製剤の体積が20~40mlである、請求項45または46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
希釈用液体製剤の体積が約30mlである、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
希釈用液体製剤の体積が0.2~2mlである、請求項45または47に記載の医薬組成物。
【請求項51】
希釈用液体製剤の体積が約1mlである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
液体製剤が、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む通常の生理食塩水で希釈するためのものである、請求項45~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
高精度液体粒子計数(HIAC)によって検出される1ml当たり2μm以上の直径を有する粒子が1,000個以下含まれる、請求項1~52のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
担体が水である、請求項1~53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
5℃±3℃で保存され、光から保護された場合に、少なくとも36ヶ月の保存可能期間を有する、請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
1回以上の凍結-融解サイクルを通して安定である、請求項1~55のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
3回以上の凍結-融解サイクルを通して安定である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
約25℃で約2週間以上安定である、請求項1~57のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
約25℃で約4週間以上安定である、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
-20℃で約48ヶ月以上安定である、請求項1~59のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
安定性がサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって評価される、請求項56~60のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項62】
SE-HPLCによって測定して5%未満変化する純度を維持する場合に、安定であると判定される、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項63】
安定性が、非還元キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)アッセイによって評価される、請求項56~60のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項64】
非還元CE-SDSアッセイによって測定して5%未満変化する純度を維持する場合に、安定であると判定される、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
非還元CE-SDSアッセイがマイクロチップCE-SDS(mCE-SDS)アッセイである、請求項63または64に記載の医薬組成物。
【請求項66】
SE-HPLCによって評価して約85%以上の純度を有する、請求項1~65のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項67】
SE-HPLCによって評価して約90%以上の純度を有する、請求項66に記載の医薬組成物。
【請求項68】
SE-HPLCによって評価して約95%以上の純度を有する、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
SE-HPLCによって評価される純度が、約5℃で約36ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、請求項66~68のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項70】
SE-HPLCによって評価される純度が、約5℃で約42ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項71】
SE-HPLCによって評価される純度が、約5℃で約64ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項72】
非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約75%以上の純度を有する、請求項1~71のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項73】
非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約80%以上の純度を有する、請求項72に記載の医薬組成物。
【請求項74】
非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約85%以上の純度を有する、請求項73に記載の医薬組成物。
【請求項75】
非還元CE-SDSアッセイによって評価される純度が、約5℃で約36ヶ月以上維持される、請求項72~74のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項76】
非還元CE-SDSアッセイによって評価される純度が、約5℃で約42ヶ月以上維持される、請求項75に記載の医薬組成物。
【請求項77】
非還元CE-SDSアッセイがマイクロチップCE-SDS(mCE-SDS)アッセイである、請求項72~76のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項78】
静脈内投与用に製剤化されている、請求項1~77のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項79】
保存剤を含有しない、請求項1~78のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項80】
1mg/mlのモスネツズマブ、10mMのL-酢酸ヒスチジン、240mMのスクロース、0.06%(w/v)のPS20、および10mMのメチオニン、pH5.8を含み、0.45%または0.9%のNaClを含む通常の生理食塩水で希釈した後、注入による投与のために製剤化されている、請求項1~79のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項81】
医薬として使用するための、請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項82】
がんの治療または進行の遅延を必要とする対象におけるがんの治療または進行の遅延における使用のための、請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項83】
がんを有する対象における免疫機能の増強における使用のための、請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項84】
がんの治療もしくは進行の遅延における使用のための、またはがんを有する対象における免疫機能の増強における使用のための請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤髄小B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のエプスタイン-バーウイルス(EBV)陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞白血病、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択される非ホジキンリンパ腫である、医薬組成物。
【請求項85】
NHLが、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである、請求項84に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項86】
NHLがFLである、請求項85に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項87】
FLが、再発性および/または難治性(R/R)である、請求項86に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項88】
R/R FLを有する対象が、少なくとも2回の事前の全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である、請求項87に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項89】
対象が、抗CD20モノクローナル抗体を含む事前の全身療法を受けたことがある、請求項88に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項90】
対象が、アルキル化剤を含む事前の全身療法を受けたことがある、請求項88または89に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項91】
モスネツズマブが、約0.1mg~約100mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、請求項82~90のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項92】
モスネツズマブが、約1mg~約60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、請求項91に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項93】
モスネツズマブが、約1mg、2mg、6mg、9mg、13.5mg、20mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、請求項92に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項94】
モスネツズマブが、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、請求項93に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項95】
0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む通常の生理食塩水で希釈した後、対象への投与のために製剤化されている、請求項82~94のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項96】
通常の生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が約0.01mg/ml~約0.3mg/mlである、請求項95に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項97】
通常の生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである、請求項96に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項98】
がんの治療または進行の遅延を必要とする対象においてがんを治療するかまたは進行を遅延させる方法であって、有効量の請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項99】
がんを有する対象において免疫機能を増強する方法であって、有効量の請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項100】
がんの治療もしくは進行の遅延を必要とする対象においてがんを治療するかもしくは進行を遅延させるか、またはがんを有する対象において免疫機能を増強させる方法であって、有効量の請求項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含み、がんが、CLL、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、GCB DLBCL、ABC DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のEBV陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞白血病、FL、MCL、AML、MZL、SLL、LL、WM、CNSL、BL、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、MALTリンパ腫、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択されるNHLである、方法。
【請求項101】
NHLが、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
NHLがFLである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
FLが、再発性および/または難治性(R/R)である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
R/R FLを有する対象が、少なくとも2回の事前の全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
対象が、抗CD20モノクローナル抗体を含む事前の全身療法を受けたことがある、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
対象が、アルキル化剤を含む事前の全身療法を受けたことがある、請求項104または105に記載の方法。
【請求項107】
モスネツズマブが約0.1mg~約100mgの用量で対象に投与される、請求項98~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
モスネツズマブが約1mg~約60mgの用量で対象に投与される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
モスネツズマブが、約1mg、2mg、6mg、9mg、13.5mg、20mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
モスネツズマブが、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
医薬組成物が、0.45%または0.9%(w/v)NaClを含む通常の生理食塩水で希釈した後に対象に投与される、請求項98~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
通常の生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が約0.01mg/ml~約0.3mg/mlである、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
通常の生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
モスネツズマブが、少なくとも3回の21日間の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1、8、および15日目にそれぞれ対象に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、および第3の用量(C1D3)を含み、C1D1が約1mgであり、C1D2が約2mgであり、C1D3が約60mgであり;
(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に対象に投与される単一用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、C2D1が約60mgであり;
(c)第3の投与サイクルが、第3の投与サイクルの1日目に対象に投与される単回用量(C3D1)のモスネツズマブを含み、C3D1が約30mgである、請求項98~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
投与レジメンが、それぞれが約30mgの追加の単回用量のモスネツズマブを含む1回~14回の追加の投与サイクルを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
投与レジメンが、1~5回の追加の投与サイクルを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
投与レジメンが、5回の追加の投与サイクルを含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
各追加の単回用量のモスネツズマブが、各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与される、請求項115~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
医薬組成物が静脈内投与される、請求項98~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
対象がヒトである、請求項98~119のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2023年3月23日に作成された前記XMLコピーは、50474-163WO2_Sequence_Listing_3_23_23と名付けられ、サイズが33,967バイトである。
【0002】
発明の分野
本開示は、モスネツズマブを含む組成物(例えば、医薬組成物)およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
モスネツズマブは、がん、例えば、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)など)またはB細胞慢性リンパ性白血病(CLL)の治療として使用されつつある。モスネツズマブは、例えば静脈内投与による対象への投与のために水性担体中に製剤化し得る。
【0004】
バイオテクノロジー治療法の開発における主要な課題の1つはタンパク質の安定性であり、市場に投入されるまでの複数のプロセス工程でタンパク質の安定性を維持する必要がある。さらに、タンパク質の安定性は、保存中だけでなく、患者への投与中も維持されなければならない。そのような医薬組成物の貯蔵、取り扱い、および投与中に、フィルタ、貯蔵キャニスター、チューブ、シリンジ、静脈内輸液バッグ、および他の容器の表面へのタンパク質吸着などの分解および表面吸着によって起こり得るモスネツズマブの損失を軽減することが必要である。医薬組成物が比較的低濃度のモスネツズマブを含有する場合、タンパク質損失はこれらの因子によって劇的に増加し、医薬組成物の治療有効性が低下する可能性がある。
【0005】
したがって、当分野では、モスネツズマブが安定であり、例えば表面吸着による損失から保護された医薬製剤を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
開示の概要
本開示は、低濃度のモスネツズマブを含む組成物(例えば、医薬組成物)およびその使用方法に関する。開示される組成物および関連する方法は、低濃度で製剤化されたモスネツズマブを送達するという問題に対処し、患者が貯蔵および投与中にタンパク質の損失をほとんどまたは全く伴わずに意図された用量のモスネツズマブを確実に受けるようにする。
【0007】
一態様では、本開示は、モスネツズマブ、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20(PS20))、メチオニン、緩衝剤、および担体を含む医薬組成物であって、界面活性剤の濃度が0.01重量/体積%~0.1重量/体積%(w/v)であり、メチオニンの濃度が1mM~50mMであり、緩衝剤の濃度が5mM~20mMである、医薬組成物を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は、0.01重量/体積%~0.1重量/体積%(例えば0.01%~0.025%、0.025%~0.5%、0.05%~0.075%、または0.075%~0.1%(w/v)、例えば、0.01%~0.02%、0.02%~0.03%、0.03%~0.04%、0.04%~0.05%、0.05%~0.06%、0.06%~0.07%、0.07%~0.08%、0.08%~0.09%、または0.09%~0.1%(w/v)、例えば、約0.01%、約0.015%、約0.02%、約0.025%、約0.03%、約0.035%、約0.04%、約0.045%、約0.05%、約0.055%、約0.06%、約0.065%、約0.07%、約0.075%、約0.08%、約0.085%、約0.09%、約0.095%、または約0.1%(w/v)である。特定の実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は、約0.06(w/v)(すなわち、約0.6mg/ml)である。
【0009】
いくつかの実施形態では、メチオニンの濃度は、1mM~50mM(例えば、1mM~10mM、10mM~20mM、20mM~30mM、30mM~40mM、または40mM~50mM、例えば、5mM~45mM、10mM~40mM、15mM~35mM、または20mM~30mM、例えば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mM)である。いくつかの実施形態では、メチオニンの濃度は、約2.5mM~約20mMである。特定の実施形態では、メチオニンの濃度は約10mMである。
【0010】
いくつかの実施形態では、緩衝剤の濃度は、5mM~20mM(例えば、5mM~10mM、10mM~15mM、または15mM~20mM、例えば、6mM~18mM、7mM~16mM、8mM~15mM、9mM~12mM、または8mM~12mM、例えば、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、または約20mM)である。いくつかの実施形態では、緩衝剤の濃度は、約8mM~約12mMである。特定の実施形態では、緩衝剤の濃度は約10mMである。
【0011】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は、100以下、例えば、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下、例えば、0.5~100、0.5~50、0.5~10、0.5~5、0.5~1、1~5、2~4、5~100、10~70、10~50、10~30、または50~100である。特定の実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は、1~100である。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は、50~100、60~80、または65~75、例えば約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、または75である。特定の実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は約71である。
【0012】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブの濃度は、約0.5mg/ml~約2mg/ml(例えば約0.5~約1.5mg/ml、約0.7~約1.3mg/ml、約0.8~約1.2mg/ml、約0.9~約1.1mg/ml、約0.5~約1.0mg/ml、または約1~約1.5mg/ml;例えば、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約1.1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.3mg/ml、約1.4mg/ml、約1.5mg/ml、約1.6mg/ml、約1.7mg/ml、約1.8mg/ml、約1.9mg/ml、約2.0mg/ml)である。特定の実施形態では、モスネツズマブの濃度は約1mg/mlである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は製剤(DP)として製剤化されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、DPとして製剤化された医薬組成物は、約1mg/mlのモスネツズマブ濃度および/または50~100、60~80、もしくは65~75、例えば約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、もしくは75のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比を有する。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は、65~75である。特定の実施形態では、DP中のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は約71である。
【0014】
いくつかの実施形態では、DPとして製剤化された医薬組成物は、約1mg/mlのモスネツズマブ濃度および/または5~50、5~25、10~15、もしくは15~20、例えば約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、P188)のモル比を有する。特定の実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、P188)のモル比は約14である。別の特定の実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、P188)のモル比は約17である。
【0015】
いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、リン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、またはそれらの組み合わせである。例えば、特定の実施形態では、緩衝剤はヒスチジン、例えば酢酸ヒスチジンである。緩衝剤(例えばヒスチジン、例えば酢酸ヒスチジン)の濃度は、例えば8mM~12mM、例えば約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、または約12mMであり得る。特定の実施形態では、緩衝剤(例えばヒスチジン、例えば酢酸ヒスチジン)の濃度は約10mMである。
【0016】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、糖、アミノ酸、または塩などの等張化剤をさらに含む。等張化剤が糖である実施態様では、糖は、例えば、スクロース、グルコース、グリセロールまたはトレハロースであり得る。特定の実施形態では、糖はスクロースである。いくつかの実施形態では、等張化剤(例えば、糖、例えばスクロース)の濃度は、100mM~500mM(例えば、100mM~120mM、120mM~140mM、140mM~160mM、160mM~180mM、180mM~200mM、200mM~220mM、220mM~240mM、240mM~260mM、260mM~280mM、280mM~300mM、300mM~320mM、320mM~340mM、340mM~360mM、360mM~380mM、380mM~400mM、400mM~420mM、420mM~440mM、440mM~460mM、460mM~480mM、または480mM~500mM、例えば、100mM~400mM、150mM~350mM、または200mM~300mM、例えば、約100mM、約150mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、または約500mM)である。特定の実施形態では、等張剤(例えば、糖、例えばスクロース)の濃度は約240mMである。
【0017】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、4.5~8(例えば、4.5~5.0、5.0~5.5、5.5~6.0、6.0~6.5、6.5~7.0、7.0~7.5、または7.5~8.0、例えば、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、または約8.0)のpHを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは5.5~6.1である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは約5.8である。
【0018】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブは、Fc領域の257位(すなわち、Met257またはM257)(EUインデックスにおける場合)にメチオニンを有する。いくつかの実施形態では、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化は、40℃で2週間にわたって10%未満(例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満;例えば、0~9%、0~8%、0~7%、0~6%、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、1~5%、1~10%、2~9%、3~8%、または4~7%;例えば、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約4%、約4%、約3%、約2%、約1%、または約0%)である。いくつかの実施形態では、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化は、40℃で2週間にわたって約6%以下である。
【0019】
別の態様では、医薬組成物は、モスネツズマブ、界面活性剤(例えば、PS20またはポロキサマー188(P188))、メチオニン、および担体を含み、医薬組成物は約5.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、モスネツズマブの濃度は、約0.5mg/ml~約2mg/ml(例えば、約0.5~約1.5mg/ml、約0.7~約1.3mg/ml、約0.8~約1.2mg/ml、約0.9~約1.1mg/ml、約0.5~約1.0mg/ml、または約1~約1.5mg/ml;例えば、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約1.1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.3mg/ml、約1.4mg/ml、約1.5mg/ml、約1.6mg/ml、約1.7mg/ml、約1.8mg/ml、約1.9mg/ml、約2.0mg/ml)である。特定の実施形態では、モスネツズマブの濃度は約1mg/mlである。
【0020】
いくつかの実施形態では、界面活性剤の濃度は0.05%~0.1%(w/v)(例えば、0.05%~0.075%または0.075%~0.1%(w/v)、例えば、0.05%~0.06%、0.06%~0.07%、0.07%~0.08%、0.08%~0.09%、または0.09%~0.1%(w/v)、例えば、約0.05%、約0.055%、約0.06%、約0.065%、約0.07%、約0.075%、約0.08%、約0.085%、約0.09%、約0.095%、または約0.1%(w/v))であり、メチオニンの濃度は約10mMである。
【0021】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20またはP188)のモル比は100以下である。いくつかの実施形態では、界面活性剤はPS20であり、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は、100以下、例えば90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下であり、例えば、0.5~100、0.5~50、0.5~10、0.5~5、0.5~1、1~5、2~4、5~100、10~70、10~50、10~30、15~20、50~100、60~80、または65~75である。特定の実施形態では、モスネツズマブに対するPS20のモル比は50~100である。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対するPS20のモル比は、50~100、60~80、または65~75であり、例えば、約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74または75である。いくつかの実施形態では、界面活性剤はPS20であり、PS20の濃度は約0.06%(w/v)である。特定の実施形態では、モスネツズマブに対するPS20のモル比は約71である。
【0022】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブの濃度は、約0.5mg/ml~約2mg/ml、例えば約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約1.1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.3mg/ml、約1.4mg/ml、約1.5mg/ml、約1.6mg/ml、約1.7mg/ml、約1.8mg/ml、約1.9mg/ml、約2.0mg/mlである。特定の実施形態では、モスネツズマブの濃度は約1mg/mlである。いくつかの実施形態では、医薬組成物はDPとして製剤化されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、P188)のモル比は100以下である。いくつかの実施形態では、P188の濃度は、約0.08%(w/v)または約0.1%(w/v)である。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対するP188のモル比は、100以下、例えば、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下であり、例えば、0.5~100、0.5~50、0.5~10、0.5~5、0.5~1、1~5、2~4、1~20、1~30、1~15、10~20、5~100、10~70、5~50、10~50、10~30、15~20、または10~15である。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対するP188のモル比は5~50である。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対するP188のモル比は、5~50、5~25、10~15、または15~20であり、例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。特定の実施形態では、モスネツズマブに対するP188のモル比は約14である。別の特定の実施形態では、モスネツズマブに対するP188のモル比は約17である。
【0024】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mMの濃度の酢酸ヒスチジンおよび/または約240mMの濃度のスクロースをさらに含む。
【0025】
別の態様では、本開示は、モスネツズマブ、PS20および担体を含む医薬組成物であって、モスネツズマブに対するPS20のモル比が100以下であり、PS20の濃度が0.01重量/体積%~0.1重量/体積%(w/v)である医薬組成物を特徴とする。
【0026】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は単位剤形(例えば、輸液用液体製剤、注射用液体製剤、希釈用液体製剤等)である。特定の実施形態では、医薬組成物は希釈用液体製剤である。特定の実施形態では、希釈用液体製剤は、約50ml(例えば、約40ml、約45ml、約46ml、約47ml、約48ml、約49ml、約50ml、約51ml、約52ml、約53ml、約54ml、約55ml、または約60ml)の体積を有する容器に供給される。いくつかの実施形態では、希釈用液体製剤の体積は、20~40ml(例えば、20~30ml、30~40ml、20~35ml、25~40ml、25~35ml、または28~32ml;例えば、約20ml、約25ml、約26ml、約27ml、約28ml、約29ml、約30ml、約31ml、約32ml、約33ml、約34ml、約35ml、または約40ml)である。特定の実施形態では、希釈用液体製剤の体積は約30mlである。別の特定の実施形態では、希釈用液体製剤は、約2ml(例えば、約1ml、約1.5ml、約1.6ml、約1.7ml、約1.8ml、約1.9ml、約2ml、約2.1ml、約2.2ml、約2.3ml、約2.4ml、約2.5ml、または約3ml)の体積を有する容器に供給される。いくつかの実施形態では、希釈用液体製剤の体積は、0.2~2ml(例えば、0.2~1.5ml、0.5~2ml、0.5~1ml、または0.8~1.2ml;例えば、約0.2ml、約0.5ml、約0.6ml、約0.7ml、約0.8ml、約0.9ml、約1ml、約1.1ml、約1.2ml、約1.3ml、約1.4ml、約1.5ml、または約2ml)である。特定の実施形態では、希釈用液体製剤の体積は約1mlである。
【0027】
いくつかの実施形態では、液体製剤は希釈剤で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、液体製剤は生理食塩水で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、液体製剤は、生理食塩水で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、タンク(例えば、ミニタンク)などの容器(例えば、ステンレス鋼容器またはニッケル合金容器(例えば、HASTELLOY(登録商標)))、または缶(例えば、ミニ缶)内に存在する。
【0029】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1mlあたり2μm/ml以上の直径を有する1,000個以下の粒子(例えば、1mlあたり2μm以上の直径を有する900個以下、800個以下、700個以下、600個以下、500個以下、400個以下、300個以下、200個以下、または100個以下の粒子、例えば、1mlあたり2μm/ml以上の直径を有する0~100個、100~200個、200~300個、300~400個、400~500個、500~600個、600~700個、700~800個、800~900個、または900~1,000個以下の粒子)を含む。いくつかの実施形態では、担体は水である。
【0030】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合、少なくとも36ヶ月(例えば、少なくとも38ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも44ヶ月、少なくとも46ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも60ヶ月、少なくとも72ヶ月、または少なくとも96ヶ月)の貯蔵寿命を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1回以上の凍結-融解サイクル(例えば、2回以上の凍結-融解サイクル、3回以上の凍結-融解サイクル、4回以上の凍結-融解サイクル、5回以上の凍結-融解サイクル、6回以上の凍結-融解サイクル、8回以上の凍結-融解サイクル、またはそれ以上の凍結-融解サイクル)を通して安定である。特定の実施形態では、医薬組成物は、3回以上の凍結-融解サイクルを通して安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25℃で2週間以上(例えば、約25℃で約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約24週間、またはそれ以上)、安定である。特定の実施形態では、医薬組成物は、約25℃で約4週間以上安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、-20℃で約48ヶ月以上(例えば、-20℃で約48ヶ月、約60ヶ月、約72ヶ月、約84ヶ月、約96ヶ月、またはそれ以上)、安定である。
【0031】
上記または本明細書に列挙される態様および実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えばサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって評価される場合、約85%以上の純度を有する。いくつかの実施形態では、純度は、例えばSE-HPLCによって評価される場合、約86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、例えば85%~90%、90%~95%、または95%~100%である。特定の実施形態では、医薬組成物は、SE-HPLCによって評価される場合、約90%以上、またはSE-HPLCによって評価される場合、約95%以上の純度を有する。いくつかの態様では、医薬組成物は、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月以上約95%以上(例えば、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月以上86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、例えば、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月以上85~90%、90%~95%、または95~100%)の純度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約42ヶ月以上、例えば、約5℃で約42ヶ月間、約60ヶ月間、約72ヶ月間、約84ヶ月間、約96ヶ月間、またはそれ以上、約95%以上の純度を有する。
【0032】
先の態様および実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物は、非還元キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)アッセイによって評価される場合、約75%以上(例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約76%以上、約77%以上、約78%以上、約79%以上、約80%以上、約81%以上、約82%以上、約83%以上、約84%以上、85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、または95%~100%)の純度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約80%以上の純度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約85%以上の純度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月にわたって約85%以上(例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月にわたって85%~90%、90%~95%、または95%~100%)の純度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約42ヶ月にわたって約85%以上(例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約42ヶ月にわたって85%~90%、90%~95%、または95%~100%)の純度を有する。いくつかの実施形態では、非還元CE-SDSアッセイはマイクロチップCE-SDS(mCE-SDS)アッセイである。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記の貯蔵寿命、純度、または安定性特性のいずれかを有する医薬組成物はDSである。他の実施形態では、上記の貯蔵寿命、純度、または安定性特性のいずれかを有する医薬組成物はDPである。いくつかの実施形態では、上記に列挙した貯蔵寿命または安定性特性のいずれかを有する医薬組成物を凍結する(例えば、-80℃~2℃(例えば、約-40℃または20℃)の温度で保存される(例えば、約-40℃または-20℃))。
【0034】
前述の態様および実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内投与用に製剤化されている。いくつかの実施形態では、医薬組成物は保存剤を含有しない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、生理食塩水または希釈剤(例えば、生理食塩水;例えば、生理食塩水;例えば、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水)で希釈した後、注入による投与のために製剤化されている。いくつかの実施形態では、液体製剤は、水溶液で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、液体製剤は生理食塩水で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、液体製剤は、生理食塩水で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。
【0035】
別の態様では、前述の態様および実施形態のいずれかの医薬組成物は、医薬として使用するためのものである。
【0036】
別の態様では、前述の態様および実施形態のいずれかの医薬組成物は、がんの治療または進行の遅延を必要とする対象(例えば、がんの治療または進行の遅延を必要とするヒト対象)におけるがんの治療または進行の遅延における使用のためのものである。
【0037】
さらに別の態様では、前述の態様および実施形態のいずれかの医薬組成物は、がんを有する対象における免疫機能の増強における使用のためのものである。
【0038】
いくつかの実施形態では、がんは非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、NHLは、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤髄小B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、11q異常を有するバーキット様リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫(DLBCL)、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のエプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、ALK陽性大B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大B細胞リンパ腫、B細胞白血病、濾胞性リンパ腫(FL)、インサイチュー濾胞性新形成、マントル細胞リンパ腫(MCL)、インサイチューマントル細胞新形成、急性骨髄性白血病(AML)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択される。特定の実施形態では、がんは、胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、またはバーキットリンパ腫(BL)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブは、約0.1mg~約100mg(例えば、0.1mg~80mg、0.5~70mg、1mg~60mg、0.1mg~2mg、0.5mg~1.5mg、1mg~5mg、1.5mg~2.5mg、1mg~30mg、15mg~45mg、5mg~10mg、10mg~15mg、20mg~40mg、~20mg~30mg、30mg~40mg、25mg~35mg、50mg~100mg、50mg~60mg、55mg~65mg、60mg~70mg、70mg~80mg、80mg~90mg、または90~100mg、例えば、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、または約100mg)の用量で対象に投与するために製剤化されている。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg~約60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、約1mg、約2mg、約6mg、約9mg、約13.5mg、約20mg、約30mg、または約60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、生理食塩水で希釈した後、対象に投与される。いくつかの実施形態では、生理食塩水は生理食塩水である。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。特定の実施形態では、生理食塩水は、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度は、約0.01mg/ml~約0.3mg/ml(例えば、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.75mg/ml、約0.1mg/ml、約0.11mg/ml、約0.12mg/ml、約0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、約0.18mg/ml、約0.19mg/ml、約0.2mg/ml、約0.21mg/ml、約0.22mg/ml、約0.23mg/ml、約0.24mg/ml、約0.25mg/ml、約0.26mg/ml、約0.27mg/ml、約0.28mg/ml、約0.29mg/ml、または約0.3mg/ml)である。特定の実施形態では、生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである。
【0041】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの追加の治療薬(例えば、1、2、3、4またはそれ以上の追加の治療薬)と同時投与されるべきである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬としては、PD-1軸結合アンタゴニストが挙げられる。いくつかの実施態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MDX-1105(BMS-936559;国際公開第2016/201425号に記載)およびMEDI4736(デュルバルマブ))である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ラムブロリズマブ)、AMG404、REGN2810(セミプリマブ;LIBTAYO(登録商標))およびAMP-224(国際公開第2017/058780号に記載))である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L2結合アンタゴニスト(例えば、抗体(例えば、抗PD-L2抗体)またはイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オビヌツズマブ、リツキシマブ、抗体-薬物複合体(ADC)、コルチコステロイド、またはトシリズマブを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ADC(例えば、抗CD79b ADC;例えば、ポラツズマブベドチン)を含む。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0042】
別の態様では、本開示は、がんの治療または進行の遅延を必要とする対象においてがんを治療するかまたは進行を遅延させる方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、方法は、有効量の前述の態様のいずれかの医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0043】
別の態様では、本開示は、例えば、有効量の前述の態様のいずれかの医薬組成物を対象に投与することによって、がんを有する対象の免疫機能を増強させる方法を特徴とする。
【0044】
いくつかの実施形態では、がんは非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、NHLは、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤髄小B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、11q異常を有するバーキット様リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫(DLBCL)、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のエプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、ALK陽性大B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大B細胞リンパ腫、B細胞白血病、濾胞性リンパ腫(FL)、インサイチュー濾胞性新形成、マントル細胞リンパ腫(MCL)、インサイチューマントル細胞新形成、急性骨髄性白血病(AML)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択される。特定の実施形態では、がんは、胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、またはバーキットリンパ腫(BL)である。
【0045】
いくつかの実施形態では、NHLは、DLBCL、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである。いくつかの実施形態では、NHLはFLまたはDLBCLである。いくつかの実施形態では、NHLは、再発性および/または難治性(R/R)である。いくつかの実施形態では、NHLは、R/R NHLである。いくつかの実施形態では、R/R FLは、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の事前全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である。いくつかの実施形態では、先行する1つ以上の全身治療は抗CD20モノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、事前の全身療法または複数の全身療法はアルキル化剤(例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、アルトレタミン、またはチオテパ)を含む。特定の実施形態では、事前の全身療法または複数の全身療法は、抗CD20モノクローナル抗体およびアルキル化剤の両方を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、モスネツズマブは、約0.1mg~約100mg(例えば、0.1mg~80mg、0.5~70mg、1mg~60mg、0.1mg~2mg、0.5mg~1.5mg、1mg~5mg、1.5mg~2.5mg、1mg~30mg、15mg~45mg、5mg~10mg、10mg~15mg、20mg~40mg、~20mg~30mg、30mg~40mg、25mg~35mg、50mg~100mg、50mg~60mg、55mg~65mg、60mg~70mg、70mg~80mg、80mg~90mg、または90~100mg、例えば、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、または約100mg)の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg~約60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、約1mg、約2mg、約6mg、約9mg、約13.5mg、約20mg、約30mg、または約60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、生理食塩水で希釈した後、対象に投与される。いくつかの実施形態では、生理食塩水は生理食塩水である。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。特定の実施形態では、生理食塩水は、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度は、約0.01mg/ml~約0.3mg/ml(例えば、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.75mg/ml、約0.1mg/ml、約0.11mg/ml、約0.12mg/ml、約0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、約0.18mg/ml、約0.19mg/ml、約0.2mg/ml、約0.21mg/ml、約0.22mg/ml、約0.23mg/ml、約0.24mg/ml、約0.25mg/ml、約0.26mg/ml、約0.27mg/ml、約0.28mg/ml、約0.29mg/ml、または約0.3mg/ml)である。特定の実施形態では、生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである。
【0048】
一態様では、本明細書に開示される医薬組成物(例えば、モスネツズマブを含む)は、少なくとも3回の21日間(±3日間)の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、(a)第1の21日間の投与サイクルは、第1の投与サイクルの1日目、8日目(±1日)、および15日目(±1日)またはそれらの前後にそれぞれ対象に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、および第3の用量(C1D3)を含み、C1D1は約1(±0.5)mgであり、C1D2は約2(±0.5)mgであり、C1D3は約60(±5)mgであり;(b)第2の投与サイクルは、第2の投与サイクルの1日目またはその前後に対象に投与される単一用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、C2D1は、約60(±5)mgであり;(c)第3の投与サイクルは、第3の投与サイクルの1日目またはその前後に対象に投与される単回用量(C3D1)のモスネツズマブを含み、C3D1は約30(±3)mgである。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、それぞれが約30(±0.5)mgのモスネツズマブのさらなる単回用量を含む1回~14回の追加の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは1~5回(例えば、1、2、3、4、または5回)の追加の投与サイクルを含む。特定の実施形態では、投与レジメンは、5回の追加の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、各追加の投与サイクルの1日目またはその前後に、各追加の単回用量のモスネツズマブを対象に投与する。
【0049】
いくつかの実施形態では、対象には、少なくとも1つの追加の治療薬(例えば、1、2、3、4またはそれ以上の追加の治療薬)が同時投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬としては、PD-1軸結合アンタゴニストが挙げられる。いくつかの実施態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MDX-1105(BMS-936559)およびMEDI4736(デュルバルマブ))である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ラムブロリズマブ)、AMG404、REGN2810(セミプリマブ;LIBTAYO(登録商標))およびAMP-224(国際公開第2017/058780号に記載))である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L2結合アンタゴニスト(例えば、抗体(例えば、抗PD-L2抗体)またはイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オビヌツズマブ、リツキシマブ、抗体-薬物複合体(ADC)、コルチコステロイド、またはトシリズマブを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ADC(例えば、抗CD79b ADC、例えば、ポラツズマブベドチン)を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0051】
各実施態様およびいずれの実施態様も、文脈から明らかにそうでないことが示唆されない限り、組み合わせ得る。文脈上他に明確に示唆されない限り、ありとあらゆる実施形態を本開示のありとあらゆる態様に適用し得る。
【0052】
本開示の特定の実施形態は、特定の好ましい実施形態および特許請求の範囲の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、様々な第III相薬物製品(DP)製剤の送達および使用中の考慮事項を要約する表である。
【
図2】
図2は、100mlのPOバッグにおけるIVバッグ振盪試験によって決定された、用量およびDPタンパク質濃度の関数としての最小PS20濃度(%w/v)を示すグラフである。x-軸はDPタンパク質濃度(mg/ml)を示し、y-軸は用量(mg)を示す。
【
図3】
図3は、1mg/mlのDPにおける凝集および粒子形成の防止に必要な最小界面活性剤(PS20またはP188)濃度に対する様々なIVバッグサイズおよびモスネツズマブ量の効果を示すグラフである。x-軸(左から右)上の各条件セットの第1のバーは5mg以上のモスネツズマブを表し、第2のバーは2mgのモスネツズマブを表し、第3のバーは1mgのモスネツズマブを表す。
【
図4A】
図4Aは、40℃において、1mg/ml(三角)、10mg/ml(四角)、または60mg/ml(菱形)のPS20と共に製剤化されたモスネツズマブ(BTCT4465A)のメチオニン257(Met257)でのタンパク質酸化の動態を示すグラフである。
【
図4B】
図4Bは、40℃において、1mg/ml(三角)、10mg/ml(四角)、または60mg/ml(菱形)のP188と共に製剤化されたモスネツズマブのメチオニン257でのタンパク質酸化の動態を示すグラフである。
【
図4C】
図4Cは、40℃において、1mg/ml(三角)、10mg/ml(四角)、または60mg/ml(菱形)のsrPS20と共に製剤化されたモスネツズマブのメチオニン257でのタンパク質酸化の動態を示すグラフである。
【
図5】
図5は、40℃において、30mMヒスチジン(菱形)または10mMヒスチジン(四角)と共に製剤化されたモスネツズマブのメチオニン257でのタンパク質酸化の動態を示すグラフである。
【
図6】
図6は、最大300,000ルクス時間の周囲光曝露(5,500ルクスの光強度)後の様々な製剤中のモスネツズマブのメチオニン257における酸化パーセントを示すグラフである。各製剤のx-軸上第1のバーは時間=0を、第2のバーは24時間を、第3のバーは54時間を、最後(第4の)バーはダークコントロールを表す。
【
図7A】
図7Aは、5℃で最大12ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ(BTCT4465A)組成物中の過酸化水素(H
2O
2)濃度の動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。H
2O
2濃度をAMPLEX(登録商標)Redアッセイによって測定した。
【
図7B】
図7Bは、5℃で最大12ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ組成物中のメチオニン257での酸化の動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。ペプチドマッピングによって酸化を測定した。
【
図8A】
図8Aは、25℃で最大6ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ組成物中の過酸化水素(H
2O
2)濃度の動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。H
2O
2濃度をAMPLEX(登録商標)Redアッセイによって測定した。
【
図8B】
図8Bは、25℃で最大6ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ組成物のCD20群におけるトリプトファン107での酸化の動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。ペプチドマッピングによって酸化を測定した。
【
図8C】
図8Cは、25℃で最大6ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ組成物のメチオニン257での酸化の動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。ペプチドマッピングによって酸化を測定した。
【
図8D】
図8Dは、25℃で最大6ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ組成物における、SECによって測定した高分子量種(HMWS)レベルの動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。
【
図8E】
図8Eは、25℃で最大6ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ組成物における、mCE-SDSによって測定した低分子量種のレベルの動態を示すグラフである。試験したモスネツズマブ組成物には、組成物単独(1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8;対照、ひし形)、組成物+H
2O
2(四角)、組成物+H
2O
2+2.5mMメチオニン(三角)、組成物+5mMメチオニン(暗X)、組成物+H
2O
2+5mMメチオニン(明X)および組成物+H
2O
2+10mMメチオニン(明X)が含まれていた。
【
図9A】
図9Aは、40℃および75%相対湿度(RH)で最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、SE-HPLCによって測定したHMWSレベルの経時的変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図9B】
図9Bは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、SE-HPLCによって測定したモノマーレベルの経時的変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図9C】
図9Cは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、SE-HPLCによって測定したLMWSレベルの経時的変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図10A】
図10Aは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、icIEFによって測定された酸性バリアントの経時的変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図10B】
図10Bは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、icIEFによって測定された経時的な主ピークの変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図10C】
図10Cは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、icIEFによって測定された、経時的な塩基性バリアントの変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図11A】
図11Aは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、mCE-SDSによって測定した経時的なプレピークの合計の変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図11B】
図11Bは、40℃および75% RHで最大1ヶ月間保存した様々なモスネツズマブ製剤における、mCE-SDSによって測定された主ピークの合計の経時的変化を示すグラフである。製剤F1~F5を表6に特徴付ける。
【
図12】
図12は、モスネツズマブ組成物のpH値に対するドナン効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
I.定義
別途指定のない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語、表記法、および他の科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有することが意図されている。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語は、明確性および/または容易な参照のために本明細書に定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも、当該技術分野において一般に理解されるものに対する実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」に続く値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0056】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「単離されたペプチド」は、1つ以上の単離されたペプチドを意味する。
【0057】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」のような変形は、記載された整数または整数のグループの包含を意味するが、いかなる他の整数または整数のグループの除外も意味しないことが理解されるであろう。
【0058】
「医薬製剤」または「医薬組成物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、内部に含まれる活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象が許容できない程度に毒性である追加の成分を含まない調製物を指す。
【0059】
「薬学的に許容され得る担体」または「担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体または担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
「貯蔵寿命」という用語は、製品(例えば、モスネツズマブ)が使用(例えば、対象への投与によって)または販売に適さなくなることなく貯蔵され得る時間の長さを指す。いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、組成物(例えば、医薬組成物)が安定である時間の長さである。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の組成物は、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合、少なくとも36ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0061】
「安定な」医薬製剤は、その中のタンパク質(例えば、モスネツズマブ)が貯蔵時にその物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を本質的に保持するものである。好ましくは、製剤は、保存時(例えば、凍結貯蔵時)に、その物理的および化学安定性、ならびにその生物学的活性を本質的に保持する。保存期間は、一般に、製剤の意図される貯蔵寿命に基づいて選択される。タンパク質の安定性を測定するための様々な分析技術は当技術分野で利用可能であり、Peptide and Protein Drug Delivery,247-301,Vincent Lee編、Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)およびJones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90(1993)に概説されている。安定性は、選択された露光量および/または温度で選択された期間にわたって測定され得る。安定性は、凝集体形成の評価(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用することによって、濁度を測定することによって、および/または目視検査によって);ROS形成の評価(例えば、軽いストレスアッセイまたは2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)ストレスアッセイを使用することによって);タンパク質の特定のアミノ酸残基(例えば、抗体(モスネツズマブなど)のMet残基)の酸化;陽イオン交換クロマトグラフィー、イメージキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)またはキャピラリゾーン電気泳動を使用して電荷不均一性を評価することによって;アミノ末端またはカルボキシ末端配列分析;質量分析;還元ポリペプチドとインタクトなポリペプチドとを比較するためのSDS-PAGE分析;ペプチドマップ(例えば、トリプシンまたはLYS-C)解析;タンパク質の生物学的活性または標的結合機能の評価(例えば、抗体のその抗原への結合、例えば、T細胞および/または標的細胞へのモスネツズマブの結合)などを含む様々な異なる方法で定性的および/または定量的に評価し得る。不安定性は、凝集、脱アミド(例えば、Asn脱アミド)、酸化(例えば、Met酸化および/またはTrp酸化)、異性化(例えば、Asp異性化)、クリッピング/加水分解/断片化(例えば、ヒンジ領域断片化)、スクシンイミド形成、不対システイン、N末端伸長、C末端プロセシング、およびグリコシル化差異などのうちのいずれか1つ以上を伴い得る。
【0062】
タンパク質(例えば、モスネツズマブ)は、色および/または透明度の目視検査で凝集、沈殿、断片化、および/または変性の兆候を示さないか、またはほとんど示さない場合、またはUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される場合、医薬製剤中で「その物理的安定性を保持する」。
【0063】
所与の時点での化学的安定性は、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)が依然として以下に定義されるようにその生物学的活性を保持すると考えられるものである場合、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)は医薬製剤中で「その化学的安定性を保持する」。化学的安定性は、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)の化学的に変化した形態を検出および定量することによって評価し得る。化学的改変は、例えば、トリプシンペプチドマッピング、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)を使用して評価され得るタンパク質酸化を含み得る。他の種類の化学的変化としては、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)の電荷変化が挙げられ、これは、例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたはicIEFによって評価し得る。
【0064】
タンパク質(例えば、モスネツズマブ)は、所与の時点でのタンパク質(例えば、モスネツズマブ)の生物学的活性が、例えば受容体結合アッセイで測定されるように、医薬製剤が調製された時点で示された生物学的活性の約20%以内(例えば、約10%以内)である場合、医薬製剤中で「その生物学的活性を保持する」。
【0065】
本明細書で使用される場合、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)の「生物学的活性」は、タンパク質がその標的に結合する能力、例えば、抗体がその抗原に結合する能力(例えば、T細胞および/または標的細胞に結合するモスネツズマブの能力)を指す。これは、インビトロまたはインビボで測定され得る生物学的応答を更に含み得る。そのような活性は、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性であり得る。
【0066】
「酸化を受けやすい」タンパク質(例えば、モスネツズマブ)は、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、トリプトファン(Trp)、およびチロシン(Tyr)などの酸化を受けやすいことがわかっている1つ以上の残基を含むタンパク質であるが、これらに限定されない。例えば、モスネツズマブ中の1つ以上のメチオニン残基(例えば、メチオニン257、Met247またはM257)は、酸化を受けやすい可能性がある。
【0067】
「酸化パーセント」という用語は、特定のアミノ酸残基、例えばMet残基で酸化される製剤(例えば、医薬組成物)中のタンパク質(例えば、モスネツズマブ)のパーセントを指す。酸化パーセントは、例えば、1つ以上の特定の酸化しやすいアミノ酸残基が存在する1つ以上のトリプシンペプチドの質量分析(MS)によって決定し得る。酸化パーセントは、例えば、AAPHストレス試験後、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)またはその医薬組成物の最初の産生から9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、または2年以内に決定され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「AAPHストレス試験によって評価される」という用語は、特定のアミノ酸残基(例えば、Met残基、例えば、Met257)での酸化パーセントが、例えば約10mg/mlのモスネツズマブ、約10mMの酢酸ヒスチジン、約240mMのスクロース、約0.06(w/v)のポリソルベート20、pH約5.8の製剤中で約40℃で約24時間、タンパク質(例えば、モスネツズマブ)をAAPH(例えば、約0mMのAAPH、約1mMのAAPH、約3mMのAAPH、約3.5mMのAAPH、または約5mMのAAPH)で製剤化した後のトリプシンペプチドの質量分析によって決定されることを意味する。ストレスを受けたタンパク質(例えば、モスネツズマブ)をトリプシンで消化し、消化したペプチドをLC-MS-MSに供して、酸化パーセントを決定する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」は、その酸塩基複合体成分の作用によりpHの変化に抵抗する緩衝液(本明細書では「緩衝剤」とも呼ばれる)を指す。いくつかの実施形態では、本開示の緩衝液は、約4.5~約8の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約5.5~6.1(例えば、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、または約6.1)の範囲のpH、例えば、約pH5.8を有する。本開示で使用するための例示的な緩衝剤としては、ヒスチジン(例えば、酢酸ヒスチジン)、酢酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヒスチジンは、酢酸ヒスチジンである。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、三塩基性リン酸カリウム、またはそれらの混合物である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「等張剤」は、液体(例えば、水溶液)に添加して前記液体の等張性を調整し得る薬剤を指す。浸透圧は、2つの溶液間の浸透圧勾配の尺度を指す。いくつかの実施形態では、等張剤は、そうでなければ液体(例えば、水溶液)または液体の他の成分(例えば、他の溶質)が通過することを可能にする半透膜(例えば、半透過性細胞膜)を通過し得ない。いくつかの実施形態では、等張剤を使用して、適用部位での浸透圧ショックを防止することによって局所刺激を低減する。例示的な等張化剤としては、炭水化物(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、グリセロール、グリセリン、マンニトールおよびトレハロース)、アミノ酸および塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)が挙げられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」とは、表面活性剤、好ましくは、非イオン性界面活性剤を指す。本明細書における界面活性剤の例としては、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート85);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);TRITON(登録商標);オクチルグリコシドナトリウム;ラウリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタイン、リノレイルスルホベタイン、またはステアリルスルホベタイン;ラウリルサルコシン、ミリスチルサルコシン、リノレイルサルコシン、またはステアリルサルコシン;リノレイルベタイン、ミリスチルベタイン、またはセチルベタイン;ラウロアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、リノールアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、パルミドプロピルベタイン、またはイソステアラミドプロピルベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピルジメチルアミン、パルミドプロピルジメチルアミン、またはイソステアラミドプロピルジメチルアミン;メチルココイルタウリンナトリウム、またはメチルオレイルタウリン二ナトリウム;およびMONAQUAT(商標)シリーズ(ニュージャージー州パターソンのMona Industries,Inc.);ポリエチルグリコール、ポリプロピレングリコール、およびエチレンおよびプロピレングリコールのコポリマー(例えば、PLURONIC(登録商標)タイプのブロックコポリマー、例えば、PLURONIC(登録商標)F-68);などが挙げられる。一実施形態では、本明細書における界面活性剤は、ポリソルベート20(PS20)である。さらに別の実施態様では、本明細書における界面活性剤は、ポロキサマー188(P188)である。
【0072】
「防腐剤」は、製剤中の細菌作用を実質的に低減し、したがって例えば多用途製剤の生産を容易にするために、任意選択的に製剤に含め得る化合物である。可能性のある保存剤の例としては、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物)およびベンゼトニウムクロリドが挙げられる。他の種類の防腐剤としては、フェノール、ブチル、およびベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール;3-ペンタノール、およびm-クレゾールが挙げられる。一実施態様では、本明細書の防腐剤はベンジルアルコールである。いくつかの実施態様では、製剤は保存剤を含まない。
【0073】
「モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比」(界面活性剤:抗体)は、モスネツズマブに対する界面活性剤の比であり、各成分はモル濃度(モル濃度とも呼ばれる)で表される。式(1)は、この比率を示す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「原薬」または「DS」は、対象への投与前の貯蔵、例えば凍結貯蔵のために製剤化された医薬組成物を指す。DSは、対象に投与されるモスネツズマブの濃度よりも高い濃度のモスネツズマブを有し得る。したがって、いくつかの例では、対象への投与前にDSを希釈する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「製剤」または「DP」は、対象に投与される準備ができているようなその最終構成(例えば、最終バイアル構成において)の医薬組成物を指す。DP中のモスネツズマブの濃度は、対象に投与される濃度であり得る。あるいは、DPが希釈剤(例えば、生理食塩水;例えば、生理食塩水;例えば、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水)と共に投与される場合、または他の治療薬と組み合わせて投与されることが意図される場合、DPは、対象に投与される濃度よりも高い濃度であり得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「生理食塩水」溶液は、塩(例えば、イオン性塩、例えば、塩化ナトリウム(NaCl))を含む水溶液を指す。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、生理食塩水を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.45%または0.9%のNaClを含む。いくつかの実施形態では、静脈内投与の前に、生理食塩水を使用して液体製剤を希釈する。
【0077】
本出願内では、特に明記しない限り、利用される技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrook,ら、1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press),PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis,ら、1990.Academic Press,San Diego,CA)、ならびにHarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manualch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)などのいくつかの周知の参考文献のいずれかに見出し得る。
【0078】
必要に応じて、市販のキットおよび試薬の使用を含む手順は、別途明記されない限り、一般に、製造業者が定義したプロトコルおよび/またはパラメータに従って実施される。したがって、本方法および使用が記載される前に、本開示は、特定の方法論、プロトコル、細胞株、動物種または属、構築物、および試薬に限定されず、そのように記載されたものは、当然ながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。
【0079】
本明細書における「抗体」という用語には、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性(例えば、抗体の抗原結合断片)を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)、および抗体断片が含まれるがこれらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
【0080】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
「結合ドメイン」は、標的エピトープ、抗原、リガンド、または受容体に特異的に結合する化合物または分子の一部を意味する。結合ドメインは、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体)、抗体断片、またはそれらの一部(例えば、Fab断片、Fab’2、scFv抗体、SMIP、ドメイン抗体、ダイアボディ、ミニボディ、scFv-Fc、アフィボディ、ナノボディ、または抗体のVHおよび/もしくはVLドメイン)、受容体、リガンド、アプタマー、または同定された結合パートナーを有する他の分子などの分子の一部であり得る。
【0082】
本明細書中で使用される用語「超可変領域」または「HVR」は、配列が超可変性であり(「相補性決定領域」または「CDR」)、かつ/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/または抗原に接触する残基(「抗原接触」)を含む、抗体可変ドメインの領域の各々のことを指す。一般的に、抗体は、6つのHVRを含み、VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)含む。本明細書中の例示的なHVRとして、以下のものが挙げられる:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)および96-101(H3)で生じる超可変ループ(ChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)および95~102(H3)に存在するCDR(Kabatら、前出);
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、および93~101(H3)で生じる抗原接触(MacCallumら.J.Mol.Biol.262:732-745(1996));ならびに、
(d)HVRアミノ酸残基46~56(L2)、47~56(L2)、48~56(L2)、49~56(L2)、26~35(H1)、26~35b(H1)、49~65(H2)、93~102(H3)および94~102(H3)を含む、(a)、(b)および/または(c)の組み合わせ。
【0083】
別段の指示がない限り、HVR残基および可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、上記のKabatらに従ってナンバリングされている。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、一般に、類似の構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む。例えば、Kindtら、Kuby Immunology,6th、W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、その抗原に結合する抗体のVHドメインまたはVLドメインを用いて単離し、相補的なVLドメインまたはVHドメインそれぞれのライブラリーをスクリーニングし得る。例えば、Portolanoら、J.Immunol.150:880-887(1993);Clarksonら、Nature352:624-628(1991)を参照されたい。
【0084】
本明細書で、「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域およびバリアントFc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在してもしてなくてもよい。本明細書で別段の指定がない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabatら、前出に記載されているように、EUインデックスとも呼ばれるEUナンバリングシステムに従う。
【0085】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、HVRおよびFR配列は、一般に、VH(またはVL)において以下の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0086】
基準ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」または「配列同一性パーセント(%)」は、最大パーセント配列同一性を達成するために配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、基準ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMEGALIGN(登録商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技術の範囲内である様々な方法で達成し得る。当業者は、比較される配列の完全長に対して最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列アライメントを行うための適切なパラメータを決定し得る。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、ここで、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、またはそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)V4.0Dを含め、UNIX(登録商標)オペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変化しない。
【0087】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bに対する、アミノ酸配列Bとの、またはアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対し、アミノ酸配列Bと、またはアミノ酸配列Bに対向し、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有するもしくは含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列アライメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAおよびBのアライメントにおいて同一のマッチとしてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解されるであろう。別途具体的に示されない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されているようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
【0088】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0089】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabatら、前出のようなサブグループである。一実施形態では、VLについては、サブグループは、Kabatら(上記参照)におけるサブグループカッパIである。一実施形態では、VHについては、サブグループは、Kabatら(上記参照)におけるサブグループIIIである。
【0090】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRからのアミノ酸残基およびヒトFRからのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えばCDR)の全てまたは実質的に全てが、非ヒト抗体に対応し、FRの全てまたは実質的に全てが、ヒト抗体に対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0091】
「完全長抗体」、「インタクト抗体」、および「全抗体」という用語は、本明細書で、ネイティブ抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
【0092】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生された抗体の、またはヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、あるいは他のヒト抗体をコードする配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリ等の当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生され得る。HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boernerら、J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載されている方法もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)もまた参照されたい。ヒト抗体は、抗原投与に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化XENOMOUSE(商標)(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号および第6,150,584号を参照されたい)に抗原を投与することによって調製し得る。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法により生成するヒト抗体に関する、Li ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)も参照のこと。
【0093】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち該集団を構成する個々の抗体が、可能性のあるバリアント抗体(これらは例えば天然に存在する変異を含むかまたはモノクローナル抗体調製物の製造中に生じ、そのようなバリアントは通常少量存在する)を除き、同一であり且つ/または同じエピトープに結合する。モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、種々の決定基(エピトープ)に対する種々の抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の製造を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含むトランスジェニック動物の利用方法を含むが、これらに限定されない、様々な技法によって作製し得、かかる方法およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示の方法は、本明細書に記載されている。
【0094】
「ネイキッド抗体」とは、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)または放射標識にコンジュゲートされていない抗体のことを指す。ネイキッド抗体は、医薬組成物中に存在していてもよい。
【0095】
「天然抗体」とは、様々な構造を持つ、天然の免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖で構成される約146,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる、可変領域(VH)、それに続く3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)と、それに続く1つの定常軽(CL)ドメインとを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのいずれかに割り当て得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、「半抗体」という用語は、1つの免疫グロブリン軽鎖に関連する1つの免疫グロブリン重鎖を指す。
【0097】
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定される、95%超または99%超の純度まで精製される。抗体精製の試験方法の総説としては、例えば、Flatmanら、J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0098】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラスがあり、即ち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分け得る。免疫グロブリンの異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
【0099】
本明細書で使用される場合、「分化抗原群3」すなわち「CD3」という用語は、特に明記しない限り、例えばCD3ε、CD3γ、CD3α、およびCD3β鎖を含む、霊長類(例えば、ヒトおよびカニクイザル(カニクイザル))およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含むあらゆる脊椎動物源由来のあらゆる天然CD3を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないCD3(例えば、プロセシングされていない、もしくは修飾されていないCD3εまたはCD3γ)、ならびに細胞内のプロセシングから得られるCD3の任意の形態を包含する。この用語はまた、例えば、スプライスバリアントまたは対立遺伝子バリアントを含む、CD3の天然に存在するバリアントを包含する。CD3としては、例えば、207アミノ酸長のヒトCD3εタンパク質(NCBI RefSeq番号NP_000724)、182アミノ酸長のヒトCD3γタンパク質(NCBI RefSeq番号NP_000064)、198アミノ酸長のカニクイザルCD3εタンパク質(NCBI RefSeq番号NP_1270544.1)、181アミノ酸長のカニクイザルCD3γタンパク質(NCBI RefSeq番号NP_1270839.1)が挙げられる。
【0100】
本明細書で使用される場合、「分化抗原群20」すなわち「CD20」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)および齧歯動物(例えば、マウスおよびラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然CD20を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないCD20、ならびに細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のCD20を包含する。この用語はまた、例えば、スプライスバリアントまたは対立遺伝子バリアントを含む、CD20の天然に存在するバリアントを包含する。CD20は、例えば、ヒトCD20タンパク質(例えば、NCBI参照配列番号NP_068769.2およびNP_690605.1、参照)を含み、これは、例えば、297アミノ酸長であり、例えば、5’ UTRの一部を欠く変異型mRNA転写物(例えば、NCBI参照配列番号NM_021950.3、参照)、またはより長い変異型mRNA転写物(例えば、NCBI参照配列番号NM_152866.2、参照)から産生され得る。
【0101】
「抗CD20/抗CD3抗体」、「抗CD20/抗CD3二重特異性抗体」、「抗CD20/抗CD3TDB」という用語、またはそれらのバリアントは、抗体がCD20および/またはCD3を標的とする際の診断および/または治療薬として有用であるように十分な親和性でCD20およびCD3に結合し得る多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)を指す。一実施形態では、無関係の非CD3タンパク質および/または非CD20タンパク質への、抗CD20/抗CD3抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)などによって測定されるとき、CD3および/またはCD20への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)でCD20およびCD3に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD20/抗CD3抗体はモスネツズマブである。モスネツズマブ(BTCT4465AまたはRG7828としても知られている)は、International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances(INN)List 117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.304-305)によって定義されている。いくつかの例では、モスネツズマブは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願公開第2015/09539号に記載されている抗CD20/抗CD3二重特異性抗体(抗CD20/抗CD3T細胞依存性二重特異性抗体)である。
【0102】
「対象」または「個体」は哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギおよびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、対象または個体は、ヒトである。
【0103】
本明細書で使用される場合、「投与する」は、投与量のモスネツズマブまたは組成物(例えば、医薬組成物、例えば、モスネツズマブを含む医薬組成物)を対象に与える方法を意味する。本明細書中に記載される方法において利用される医薬組成物は、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、経皮、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、結膜下、小胞内、粘膜内、心膜内、臍内、眼内、口腔内、局所、局部、吸入によって、注射によって、注入によって、連続注入によって、局所的な浴用標的細胞によって、直接、カテーテルによって、灌流によって、クリーム中または脂質組成物中で投与され得る。投与方法は、様々な要因(例えば、投与される医薬組成物および治療される状態、疾患または障害(例えば、がん)の重症度)に応じて変化し得る。
【0104】
本明細書において使用される場合、1「週間」は、7日±2日である。
本明細書で使用される場合、「治療」(およびその文法的な変形語、例えば、「治療する」または「治療すること」)は、治療される個体の本来の経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の経過の間に行い得る。治療の所望の効果としては、疾患の発症または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減弱、転移の予防、疾患進行率を低下させること、症状の寛解または緩和、および回復または改善された予後が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物を使用して、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の進行を遅延させる。
【0105】
本明細書で使用される場合、対象において「免疫機能を増強させる」とは、自然免疫応答または適応免疫応答を誘導し、引き起こし、刺激し、維持し、または増幅することを意味する。いくつかの実施形態では、免疫機能を増強させることは、T細胞機能を増強させることを含む。いくつかの実施形態では、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定する方法は、当業者に高知である。
【0106】
本明細書で使用される場合、「T細胞機能を増強させる」とは、T細胞が生物学的機能を持続もしくは増幅するよう誘導、誘発、刺激すること、または疲弊したT細胞や不活性なT細胞を更新もしくは再活性化することを意味する。T細胞機能の増強の例としては、介入前のレベルと比較した、CD8+T細胞からのγインターフェロンの分泌の増加、増殖の増加、抗原応答性(例えば、ウイルス、病原体、または腫瘍のクリアランス)の上昇が挙げられる。いくつかの実施形態では、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%、300%、400%、500%である。この増強を測定する様態は、当業者に公知である。
【0107】
本明細書で使用される場合、がんの「進行を遅延させる」とは、がんの発生を延期、妨害、遅延、遅延、安定化、および/または延期することを意味する。この遅延は、治療されているがんおよび/または個体の病歴に応じて、様々な時間長であり得る。当業者に明らかなように、十分なまたは有意な遅延は、実際には、個体ががんを発症しないという点で予防を包含し得る。例えば、転移の発症等の末期がんを遅延させ得る。
【0108】
「低減する」または「阻害する」とは、例えば、20%以上、50%以上、または75%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上の全体的な減少を生じる能力を意味する。ある特定の実施形態では、減少する、または阻害するとは、抗体Fc領域によって媒介される抗体のエフェクター機能を指し得、かかるエフェクター機能は、具体的に補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、および抗体依存性細胞食作用(ADCP)を含む。
【0109】
「障害」は、哺乳動物を問題の障害に罹患させる症状を含む、慢性および急性の障害または疾患を含むがこれらに限定されない、治療から利益を得るであろういずれかの症状である。
【0110】
「がん」および「がん性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、または説明する。がんの例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病、またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、B細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中間グレード/濾胞性NHL;中間グレードのびまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度の小型非切断細胞NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに脂肪腫症、浮腫(脳腫瘍に関連するものなど)、メージュ症候群、脳、ならびに頭頸部がんおよび関連する転移に関連する異常な血管増殖が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、がんは、ホジキンリンパ腫を除くが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、濾胞性リンパ腫(FL)マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、分類不能な、脾臓びまん性赤髄小B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病バリアント、重鎖病、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫、原発性皮膚DLBCL、下肢型、高齢者のEBV陽性DLBCL、慢性炎症関連DLBCL、リンパ腫様肉芽腫症、縦隔(胸腺)原発B細胞性大細胞型リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、ALK陽性大B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫を含む成熟B細胞がんから選択される。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有する分類不能のB細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有する分類不能のB細胞リンパ腫を含む成熟B細胞がんから選択される。
【0111】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」は、悪性か良性かを問わず、全ての腫瘍性細胞の成長および増殖、ならびに全ての前がん性およびがん性細胞および組織を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、および「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0112】
本明細書で使用される場合、「腫瘍抗原」という用語は、腫瘍細胞上に提示される抗原として理解され得る。これらの抗原は、分子の膜貫通および細胞質部分と結合していることが多い細胞外部分と共に細胞表面に提示されることがある。これらの抗原は、腫瘍細胞によりのみ提示され、通常細胞によっては決して提示され得ない。腫瘍抗原は、腫瘍細胞上にのみ発現されるか、または通常細胞と比較して腫瘍特異的な変異を表すことがある。この場合、それらは腫瘍特異的抗原と称される。腫瘍細胞および通常細胞により提示される腫瘍抗原がより一般的であり、それらは腫瘍関連抗原と称される。これらの腫瘍関連抗原は、通常細胞と比較して過剰発現される場合がある、または通常組織と比較して腫瘍組織の構造が小さくないことから腫瘍細胞中で結合する抗体にアクセス可能である。
【0113】
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプによって異なる、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては:C1q結合および補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
【0114】
医薬組成物、例えば、モスネツズマブを含む医薬組成物の「有効量」は、少なくとも、がんの測定可能な改善などの所望の治療的または予防的結果を達成するために必要な最小量である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体における所望の応答を誘発する抗体の能力等の要因に応じて異なり得る。有効量は、治療上有益な作用が治療の任意の毒性作用または有害作用を上回る量でもある。予防的使用については、有益または所望の結果には、疾患の生化学的、組織学的および/または行動症状、その合併症ならびに疾患の発症中に現れる中間的な病理学的表現型を含む、疾患のリスクの低減、重症度の軽減、または発症の遅延などの結果が含まれる。治療的使用の場合、有益なまたは所望の結果としては、疾患に起因する1つ以上の症候の軽減、疾患に罹患している者の生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の薬剤の用量の低減、別の薬剤の効果の増強(例えば、標的による)、疾患の進行の遅延、および/または生存期間の延長等の臨床結果が挙げられる。がんまたは腫瘍の場合、有効量の薬物は、がん細胞の数を減少させ、腫瘍サイズを低減させ、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅らせるか、または望ましくは停止し)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅らせるか、または望ましくは停止し)、腫瘍成長をある程度阻害し、かつ/または障害に関連する症候のうちの1つ以上をある程度軽減する効果を有し得る。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。本開示の目的のために、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物は、直接的または間接的に、予防的または治療的治療を達成するために十分な量である。臨床分野において理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効量」は、1種以上の治療剤を投与する文脈で考えられてよく、1種以上の他の薬剤と組み合わせて、望ましい結果が得られるか、または達成される場合には、単一の薬剤が有効量で投与されると考えられてよい。
【0115】
「添付文書」という用語は、そのような治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌および/または警告に関する情報を含む、治療用製品の市販のパッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。
【0116】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)復元または増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストを含む。
【0117】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1と、PD-L1、PD-L2などの1つ以上の結合パートナーとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させ、遮断、阻害、抑制または妨害する分子を指す。いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1および/またはPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、ならびにPD-1とPD-L1および/またはPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現された細胞表面タンパク質によってまたはそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能障害T細胞の機能障害性を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMDX-1106(ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載されるMK-3475(ランブロリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のAMG404である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書中に記載のREGN2810(セミプリマブ;LIBTAYO(登録商標))である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書および国際公開第2017/058780号に記載されているAMP-224である。
【0118】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する分子を指す。いくつかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1および/またはB7-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、およびPD-L1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する他の分子を含む。一実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を介したTリンパ球に媒介されるシグナル伝達に応じて発現した細胞表面タンパク質によって、または同タンパク質を介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能不全T細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるアテゾリズマブ(MPDL3280A)である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書および国際公開第2016/201425号に記載されているMDX-1105(BMS-936559)である。また別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMEDI4736(デュルバルマブ)である。
【0119】
「PD-L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L2と、PD-1などの1つ以上のその結合パートナーとの相互作用の結果として生じるシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する分子を指す。いくつかの実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2の、1つ以上のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L2アンタゴニストは、抗PD-L2抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、およびPD-L2とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する他の分子を含む。一実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2を介したTリンパ球に媒介されるシグナル伝達に応じて発現した細胞表面タンパク質によって、または同タンパク質を介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能不全T細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。
【0120】
II.医薬組成物
本開示は、モスネツズマブを含む医薬組成物、および例えばがん(例えば、血液がん)の治療のためのその使用を提供する。本開示の医薬組成物は、比較的低濃度のモスネツズマブを支持するように製剤化し得る。
【0121】
一態様では、本開示は、モスネツズマブ、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20(PS20))、メチオニン、緩衝剤、および担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物において、PS20の濃度は0.01重量/体積%~0.1重量/体積%(w/v)であり、メチオニンの濃度は1mM~50mMであり、緩衝剤の濃度は5mM~20mMである。
【0122】
医薬組成物は、約0.5mg/ml~約2mg/ml、例えば約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約1.1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.3mg/ml、約1.4mg/ml、約1.5mg/ml、約1.6mg/ml、約1.7mg/ml、約1.8mg/ml、約1.9mg/ml、約2.0mg/mlの濃度のモスネツズマブを含み得る。特定の実施形態では、モスネツズマブの濃度は約1mg/mlである。
【0123】
いくつかの例では、モスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比は、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下、例えば0.5~100、0.5~50、0.5~10、0.5~5、0.5~1、1~5、2~4、5~100、10~70、10~50、5~25、10~30、または50~100、60~80、または65~75である。特定の実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は、50~100である。いくつかの実施形態では、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は、50~100、60~80、または65~75、例えば約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、または75である。いくつかの実施形態では、DPは、50~100のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比を有し得る。例えば、特定の実施形態では、DPは、約71のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比を有し得る。いくつかの実施形態では、DPは、5~25のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、P188)のモル比を有し得る。例えば、特定の実施形態では、DPは、約17のモスネツズマブに対する界面活性剤(例えば、PS20)のモル比を有し得る。
【0124】
開示される医薬組成物は、界面活性剤を含む。任意の適切な界面活性剤が使用され得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート(ポリオキシエチレン(n)ソルビタンモノラウレート)、ポロキサマー、ポリオキシエテレンアルキルエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、またはそれらの組み合わせ)である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20(PS20;例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、例えば、TWEEN20(登録商標);例えば、SuperRefined(商標)PS20(より高い純度のための独自のフラッシュクロマトグラフィープロセスに供され、AvantorPerformanceMaterials,LLC(米国ペンシルベニア州センターバレー)から入手可能なPS20))またはポリソルベート80(PS80;例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、例えば、TWEEN80(登録商標);例えば、SuperRefined(商標)PS80(Avantor社))である。特定の実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート20(PS20)である。他の実施態様では、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))である。
【0125】
任意の適切な濃度の界面活性剤を使用してもよい。医薬組成物中の界面活性剤の濃度は、モスネツズマブに対する界面活性剤の所望のモル比に基づいて選択し得る。本明細書に記載される医薬組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20またはP188)の濃度は、約0.001%(w/v)~約2%(w/v)、例えば、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%(w/v)である。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20またはP188)の濃度は、約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)である。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20またはP188)の濃度は、約0.05%(w/v)~約0.1%(w/v)である。特定の実施形態では、界面活性剤はPS20であり、PS20の濃度は約0.06%(w/v)である。特定の実施形態では、界面活性剤はP188であり、P188の濃度は約0.1%(w/v)である。
【0126】
本明細書に記載の任意の医薬組成物は、安定剤を含み得る。任意の適切な安定剤を使用し得る。例えば、いくつかの実施形態では、安定剤は、チオソルビトール、アスコルビン酸、モノチオグリセロール、シクロデキストリン、トロロックス((±)-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)、ピリドキシン、マンニトール、金属キレート剤、アミノ酸、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、安定剤はアミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、メチオニン、システイン、トリプトファン、またはそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、アミノ酸はメチオニンである。
【0127】
任意の適切な濃度の安定剤(例えば、メチオニン)を使用し得る。例えば、前述の医薬組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、安定剤(例えば、メチオニン)の濃度は、約0.01mM~約50mM、例えば、約0.01mM、約0.05mM、約0.1mM、約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMである。いくつかの実施形態では、安定剤(例えば、メチオニン)の濃度は、約1mM~約50mM、約2mM~約50mM、約3mM~約50mM、約4mM~約50mM、約5mM~約50mM、約6mM~約50mM、約7mM~約50mM、約8mM~約50mM、約9mM~約50mM、約10mM~約50mM、約15mM~約50mM、約20mM~約50mM、約25mM~約50mM、約30mM~約50mM、約1mM~約40mM、約2mM~約40mM、約3mM~約40mM、約4mM~約40mM、約5mM~約40mM、約5mM~約40mM、約6mM~約40mM、約7mM~約40mM、約8mM~約40mM、約9mM~約40mM、約10mM~約40mM、約15mM~約40mM、約20mM~約40mM、約25mM~約40mM、約30mM~約40mM、約1mM~約30mM、約2mM~約30mM、約3mM~約30mM、約4mM~約30mM、約5mM~約30mM、約6mM~約30mM、約7mM~約30mM、約8mM~約30mM、約9mM~約30mM、約10mM~約30mM、約11mM~約30mM、約12mM~約30mM、約13mM~約30mM、約14mM~約30mM、約15mM~約30mM、約20mM~約30mM、約25mM~約30mM、約1mM~約20mM、約2mM~約20mM、約3mM~約20mM、約4mM~約20mM、約5mM~約20mM、約6mM~約20mM、約7mM~約20mM、約8mM~約20mM、約9mM~約20mM、約10mM~約20mM、約11mM~約20mM、約12mM~約20mM、約13mM~約20mM、約14mM~約20mM、約15mM~約20mM、約1mM~約15mM、約2mM~約15mM、約3mM~約15mM、約4mM~約15mM、約5mM~約15mM、約6mM~約15mM、約7mM~約15mM、約8mM~約15mM、約9mM~約15mM、約10mM~約15mM、約11mM~約15mM、約12mM~約15mM、約13mM~約15mM、約14mM~約15mM、約1mM~約10mM、約2mM~約10mM、約3mM~約10mM、約4mM~約10mM、約5mM~約10mM、約6mM~約10mM、約7mM~約10mM、約8mM~約10mM、約9mM~約10mM、約1mM~約5mM、約2mM~約5mM、約3mM~約5mM、または約4mM~約5mMである。
【0128】
いくつかの実施形態では、メチオニンの濃度は、2.5mM~20mM(例えば、2.5mM~5mM、5mM~7.5mM、7.5mM~10mM、10mM~12.5mM、12.5mM~15mM、15mM~17.5mM、または17.5mM~20mM、例えば、3mM~18mM、4mM~16mM、5mM~14mM、または8mM~12mM、例えば、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、または約20mM)である。特定の実施形態では、メチオニンの濃度は約10mMである。
【0129】
モスネツズマブを含有する医薬組成物において、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化は、40℃において2週間にわたって10%未満(例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満;例えば、0~9%、0~8%、0~7%、0~6%、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、1~5%、1~10%、2~9%、3~8%または4~7%;例えば、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約4%、約4%、約3%、約2%、約1%、または約0%)である。特定の実施形態では、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化は、40℃において2週間にわたって約6%以下(例えば、0~6%)である。
【0130】
前述の組成物(例えば、医薬組成物)のいずれも、緩衝剤をさらに含み得る。任意の適切な緩衝剤を使用し得る。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、酢酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、ヒスチジンは、酢酸ヒスチジンである。代替的な緩衝剤としては、ヒスチジン塩酸塩(ヒスチジンHCl)、ヒスチジン酢酸塩、リン酸一塩基性ナトリウム、リン酸二塩基性ナトリウム、リン酸三塩基性ナトリウム、リン酸一塩基性カリウム、リン酸二塩基性カリウム、リン酸三塩基性カリウム、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0131】
特定の例では、緩衝剤(例えばヒスチジン、例えば酢酸ヒスチジン)の濃度は、5mM~20mMである。例えば、緩衝剤は、5mM~10mM、10mM~15mM、または15mM~20mM、例えば、6mM~18mM、7mM~16mM、8mM~15mM、9mM~12mM、または8mM~12mM、例えば、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、または約20mMであり得る。特定の例では、緩衝剤(例えばヒスチジン、例えば酢酸ヒスチジン)の濃度は、例えば8mM~12mM、例えば約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、または約12mMであり得る。特定の実施形態では、緩衝剤(例えばヒスチジン、例えば酢酸ヒスチジン)の濃度は約10mMである。特定の実施形態では、緩衝剤は、L-酢酸ヒスチジンであり、約10mMの濃度で存在する。
【0132】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、炭水化物(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、グリセロール、グリセリン、マンニトールおよびトレハロース)、アミノ酸、または塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)などの等張化剤を含む。等張化剤が糖である実施態様では、糖は、例えば、スクロース、グルコース、グリセロールまたはトレハロースであり得る。特定の実施形態では、糖はスクロースである。等張化剤(例えば、糖、例えばスクロース)の濃度は、約100mM~約500mMであり得る。例えば、等張化剤(例えば、糖、例えばスクロース)の濃度は、100mM~120mM、120mM~140mM、140mM~160mM、160mM~180mM、180mM~200mM、200mM~220mM、220mM~240mM、240mM~260mM、260mM~280mM、280mM~300mM、300mM~320mM、320mM~340mM、340mM~360mM、360mM~380mM、380mM~400mM、400mM~420mM、420mM~440mM、440mM~460mM、460mM~480mM、または480mM~500mM、例えば、100mM~400mM、150mM~350mM、または200mM~300mM、例えば、約100mM、約150mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、または約500mMである。いくつかの実施態様では、等張化剤の濃度は約240mMである。特定の実施形態では、等張化剤はスクロースであり、約240mMの濃度で存在する。
【0133】
医薬組成物のpHは、任意の適切なpHであり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約4.5~約8(例えば、4.5~5.0、5.0~5.5、5.5~6.0、6.0~6.5、6.5~7.0、7.0~7.5、または7.5~8.0、例えば、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、または約8.0)範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは5.5~6.1である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは約5.8である。
【0134】
上記の特定の成分に加えて、本開示の医薬組成物はまた、所望の純度を有するモスネツズマブを1つ以上の任意の薬学的に許容され得る担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences第16版、Osol,A.編.(1980))と、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で混合することによって調製してもよい。薬学的に許容され得る担体は、一般に、使用される投与量および使用される濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤、例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、m-クレゾール;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジンなどのアミノ酸;例えば単糖類(例えば、グルコース、マンノース)、二糖類(例えば、スクロース、トレハロース)もしくは多糖類(例えば、デキストリン)、または糖アルコール、例えばマンニトールもしくはソルビトールなどの糖質;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な薬学的に許容され得る担体としては、間質性薬物分散剤、例えば、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、ヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、BaxterInternational,Inc.)が挙げられる。rHuPH20を含む特定の例示的なsHASEGPおよび使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号および第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPを、1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
【0135】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号および国際公開第2006/044908号に記載されるものが挙げられ、後者の製剤は、酢酸ヒスチジン緩衝液を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は単位剤形(例えば、輸液用液体製剤、注射用液体製剤、希釈用液体製剤等)である。特定の実施形態では、医薬組成物は希釈用液体製剤である。特定の実施形態では、希釈用液体製剤は、約50ml(例えば、約40ml、約45ml、約46ml、約47ml、約48ml、約49ml、約50ml、約51ml、約52ml、約53ml、約54ml、約55ml、または約60ml)の体積を有する容器に供給される。いくつかの実施形態では、希釈用液体製剤の体積は、20~40ml(例えば、20~30ml、30~40ml、20~35ml、25~40ml、25~35ml、または28~32ml;例えば、約20ml、約25ml、約26ml、約27ml、約28ml、約29ml、約30ml、約31ml、約32ml、約33ml、約34ml、約35ml、または約40ml)である。特定の実施形態では、希釈用液体製剤の体積は約30mlである。別の特定の実施形態では、希釈用液体製剤は、約2ml(例えば、約1ml、約1.5ml、約1.6ml、約1.7ml、約1.8ml、約1.9ml、約2ml、約2.1ml、約2.2ml、約2.3ml、約2.4ml、約2.5ml、または約3ml)の体積を有する容器に供給される。いくつかの実施形態では、希釈用液体製剤の体積は、0.2~2ml(例えば、0.2~1.5ml、0.5~2ml、0.5~1ml、または0.8~1.2ml;例えば、約0.2ml、約0.5ml、約0.6ml、約0.7ml、約0.8ml、約0.9ml、約1ml、約1.1ml、約1.2ml、約1.3ml、約1.4ml、約1.5ml、または約2ml)である。特定の実施形態では、希釈用液体製剤の体積は約1mlである。
【0137】
いくつかの実施形態では、液体製剤は希釈剤で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、液体製剤は生理食塩水で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、液体製剤は、生理食塩水で希釈するためのものである。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。
【0138】
本明細書の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な1つより多い活性成分を含んでもよく、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含んでもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、および/または抗ホルモン剤、例えば、本明細書において上記で言及されたもの)を更に提供することが望ましい場合がある。かかる有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0139】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、およびナノカプセル)内、またはマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences第16版、Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0140】
徐放性調製物を調製してもよい。持続放出調製物の好適な例としては、本抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。
【0141】
インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成され得る。
【0142】
本明細書に記載の任意の医薬組成物は、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合、少なくとも約12ヶ月(例えば、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約24ヶ月、少なくとも約30ヶ月、少なくとも約36ヶ月、少なくとも約42ヶ月、少なくとも約48ヶ月、少なくとも約54ヶ月、少なくとも約60ヶ月、少なくとも約66ヶ月、または少なくとも約72ヶ月)の貯蔵寿命を有し得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合、少なくとも36ヶ月の貯蔵寿命を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合、少なくとも42ヶ月の貯蔵寿命を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合、少なくとも48ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合の貯蔵寿命は、約1ヶ月~約72ヶ月(例えば、約1ヶ月、約5ヶ月、約10ヶ月、約15ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約25ヶ月、約30ヶ月、約35ヶ月、約40ヶ月、約45ヶ月、約48ヶ月、約50ヶ月、約55ヶ月、約60ヶ月、約65ヶ月、約70ヶ月、または約72ヶ月)である。いくつかの実施形態では、5℃±3℃で保存し、光から保護した場合の貯蔵寿命は、約1ヶ月~約72ヶ月、約1ヶ月~約70ヶ月、約1ヶ月~約65ヶ月、約1ヶ月~約60ヶ月、約1ヶ月~約55ヶ月、約1ヶ月~約50ヶ月、約1ヶ月~約48ヶ月、約1ヶ月~約45ヶ月、約1ヶ月~約40ヶ月、約1ヶ月~約35ヶ月、約1ヶ月~約30ヶ月、約1ヶ月~約25ヶ月、約1ヶ月~約24ヶ月、約1ヶ月~約20ヶ月、約1ヶ月~約18ヶ月、約1ヶ月~約15ヶ月、約1ヶ月~約12ヶ月、約1ヶ月~約9ヶ月、約1ヶ月~約6ヶ月、約1ヶ月~約3ヶ月、約5ヶ月~約72ヶ月、約5ヶ月~約70ヶ月、約5ヶ月~約65ヶ月、約5ヶ月~約60ヶ月、約5ヶ月~約55ヶ月、約5ヶ月~約50ヶ月、約5ヶ月~約48ヶ月、約5ヶ月~約45ヶ月、約5ヶ月~約40ヶ月、約5ヶ月~約35ヶ月、約5ヶ月~約30ヶ月、約5ヶ月~約25ヶ月、約5ヶ月~約24ヶ月、約5ヶ月~約20ヶ月、約5ヶ月~約18ヶ月、約5ヶ月~約15ヶ月、約5ヶ月~約12ヶ月、約5ヶ月~約9ヶ月、約5ヶ月~約6ヶ月、約10ヶ月~約72ヶ月、約10ヶ月~約70ヶ月、約10ヶ月~約65ヶ月、約10ヶ月~約60ヶ月、約10ヶ月~約55ヶ月、約10ヶ月~約50ヶ月、約10ヶ月~約48ヶ月、約10ヶ月~約45ヶ月、約10ヶ月~約40ヶ月、約10ヶ月~約35ヶ月、約10ヶ月~約30ヶ月、約10ヶ月~約25ヶ月、約10ヶ月~約24ヶ月、約10ヶ月~約20ヶ月、約10ヶ月~約18ヶ月、約10ヶ月~約15ヶ月、約10ヶ月~約12ヶ月、約12ヶ月~約72ヶ月、約12ヶ月~約70ヶ月、約12ヶ月~約65ヶ月、約12ヶ月~約60ヶ月、約12ヶ月~約55ヶ月、約12ヶ月~約50ヶ月、約12ヶ月~約48ヶ月、約12ヶ月~約45ヶ月、約12ヶ月~約40ヶ月、約12ヶ月~約35ヶ月、約12ヶ月~約30ヶ月、約12ヶ月~約25ヶ月、約12ヶ月~約24ヶ月、約12ヶ月~約20ヶ月、約12ヶ月~約18ヶ月、約12ヶ月~約15ヶ月、約18ヶ月~約72ヶ月、約18ヶ月~約70ヶ月、約18ヶ月~約65ヶ月、約18ヶ月~約60ヶ月、約18ヶ月~約55ヶ月、約18ヶ月~約50ヶ月、約18ヶ月~約48ヶ月、約18ヶ月~約45ヶ月、約18ヶ月~約40ヶ月、約18ヶ月~約35ヶ月、約18ヶ月~約30ヶ月、約18ヶ月~約25ヶ月、約18ヶ月~約24ヶ月、約18ヶ月~約20ヶ月、約24ヶ月~約72ヶ月、約24ヶ月~約70ヶ月、約24ヶ月~約65ヶ月、約24ヶ月~約60ヶ月、約24ヶ月~約55ヶ月、約24ヶ月~約50ヶ月、約24ヶ月~約48ヶ月、約24ヶ月~約45ヶ月、約24ヶ月~約40ヶ月、約24ヶ月~約35ヶ月、約24ヶ月~約30ヶ月、約24ヶ月~約25ヶ月、約30ヶ月~約72ヶ月、約30ヶ月~約70ヶ月、約30ヶ月~約65ヶ月、約30ヶ月~約60ヶ月、約30ヶ月~約55ヶ月、約30ヶ月~約50ヶ月、約30ヶ月~約48ヶ月、約30ヶ月~約45ヶ月、約30ヶ月~約40ヶ月、約30ヶ月~約35ヶ月、約30ヶ月~約36ヶ月、約36ヶ月~約72ヶ月、約36ヶ月~約70ヶ月、約36ヶ月~約65ヶ月、約36ヶ月~約60ヶ月、約36ヶ月~約55ヶ月、約36ヶ月~約50ヶ月、約36ヶ月~約48ヶ月、約36ヶ月~約45ヶ月、約36ヶ月~約40ヶ月、約40ヶ月~約72ヶ月、約40ヶ月~約70ヶ月、約40ヶ月~約65ヶ月、約40ヶ月~約60ヶ月、約40ヶ月~約55ヶ月、約40ヶ月~約50ヶ月、約40ヶ月~約48ヶ月、約40ヶ月~約45ヶ月、約42ヶ月~約72ヶ月、約42ヶ月~約70ヶ月、約42ヶ月~約65ヶ月、約42ヶ月~約60ヶ月、約42ヶ月~約55ヶ月、約42ヶ月~約50ヶ月、約42ヶ月~約48ヶ月、約42ヶ月~約45ヶ月、約46ヶ月~約72ヶ月、約46ヶ月~約70ヶ月、約46ヶ月~約65ヶ月、約46ヶ月~約60ヶ月、約46ヶ月~約55ヶ月、約46ヶ月~約50ヶ月、約46ヶ月~約48ヶ月、約48ヶ月~約72ヶ月、約48ヶ月~約70ヶ月、約48ヶ月~約65ヶ月、約48ヶ月~約60ヶ月、約48ヶ月~約55ヶ月、約48ヶ月~約50ヶ月、約50ヶ月~約72ヶ月、約50ヶ月~約70ヶ月、約50ヶ月~約65ヶ月、約50ヶ月~約60ヶ月、約50ヶ月~約55ヶ月、約55ヶ月~約72ヶ月、約55ヶ月~約70ヶ月、約55ヶ月~約65ヶ月、約55ヶ月~約60ヶ月、約60ヶ月~約72ヶ月、約60ヶ月~約70ヶ月、または約60ヶ月~約65ヶ月である。
【0144】
安定な医薬組成物は、例えば、1ml当たり2μm以上の直径を有する1,000個以下の粒子を含み得る。例えば、医薬組成物は、1ml当たり2μm以上の直径を有する、900個以下、800個以下、700個以下、600個以下、500個以下、400個以下、300個以下、200個以下、または100個以下(例えば、1ml当たり2μm以上の直径を有する0~100個、100~200個、200~300個、300~400個、400~500個、500~600個、600~700個、700~800個、800~900個、または900~1,000個)の粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、担体は水である。
【0145】
追加的または代替的に、安定な医薬は、約85%以上の純度を有し得る。いくつかの実施形態では、純度は、例えばサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって評価される場合、約86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、例えば85%~90%、90%~95%、または95%~100%である。特定の実施形態では、医薬組成物は、SE-HPLCによって評価される場合、約90%以上、またはSE-HPLCによって評価される場合、約95%以上の純度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月以上約95%以上(例えば、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月以上86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、例えば、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月以上85~90%、90%~95%、または95~100%)の純度を有する。特定の例では、医薬組成物は、SE-HPLCによって評価される場合、約5℃で約42ヶ月以上、例えば約5℃で約42ヶ月間、約60ヶ月間、約72ヶ月間、約84ヶ月間、約96ヶ月間、またはそれ以上、約95%以上の純度を有する。
【0146】
いくつかの例では、本開示は、非還元キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)アッセイによって評価される場合、約75%以上(例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約76%以上、約77%以上、約78%以上、約79%以上、約80%以上、約81%以上、約82%以上、約83%以上、約84%以上、85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、または95%~100%)の純度を有する医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約80%以上の純度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約85%以上の純度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月にわたって約85%以上(例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約36ヶ月にわたって85%~90%、90%~95%、または95%~100%)の純度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約42ヶ月にわたって約85%以上(例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、例えば、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約5℃で約42ヶ月にわたって85%~90%、90%~95%、または95%~100%)の純度を有する。
【0147】
III.モスネツズマブ
モスネツズマブは、本明細書に記載されるように、単独でまたは組み合わせて、特徴のいずれかを組み込み得る。
【0148】
いくつかの例では、モスネツズマブは、(1)GYTFTSYNMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)VVYYSNSYWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)RASSSVSYMH(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)APSNLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;(f)QQWSFNPPT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5または6つのHVRを含む第1の結合ドメインを有する抗CD20アームと;(2)(a)NYYIH(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-H1(b)WIYPGDGNTKYNEKFKG(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)DSYSNYYFDY(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRES(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;(f)TQSFILRT(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5または6つのHVRを含む第2の結合ドメインを有する抗CD3アームとを含む。いくつかの例では、モスネツズマブは、(1)それぞれ配列番号17~20の配列を含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)、ならびに/またはそれぞれ配列番号21~24の配列を含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)を含む抗CD20アームと、(2)それぞれ配列番号25~28の配列を含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)、ならびに/またはそれぞれ配列番号29~32の配列を含む軽鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)を含む抗CD3アームとを含む。一部の例では、モスネツズマブは、(1)(a)配列番号7、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号8、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;または(c)(a)のようなVHドメインおよび(b)のようなVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)(a)配列番号15、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号16、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;または(c)(a)のようなVHドメインおよび(b)のようなVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームとを含む。いくつかの例では、モスネツズマブは、(1)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン、および配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン、および配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームとを含む。
【0149】
いくつかの例では、モスネツズマブは、国際医薬品一般名(INN)リスト117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.303)、またはCAS登録番号1905409-39-3を有し、(1)それぞれ配列番号33および34の重鎖配列および軽鎖配列を含む抗CD20アームと、(2)それぞれ配列番号35および36の重鎖および軽鎖配列を含む抗CD3アームとを有する。
【0150】
いくつかの例では、モスネツズマブは、(1)(a)配列番号33、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖(b)配列番号34、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖;(c)(a)のような重鎖および(b)のような軽鎖を含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)(a)配列番号35、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アーム;(b)配列番号36、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖;または(c)(a)のような重鎖および(b)のような軽鎖を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームとを含む。いくつかの例では、モスネツズマブは、(1)配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームとを含む。
【0151】
モスネツズマブのアミノ酸配列を以下の表1に要約する。
【表1】
【0152】
モスネツズマブは、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように、組換え方法および組成物を使用して産生され得る。
【0153】
IV.組換え方法および組成物
モスネツズマブは、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように、組換え方法および組成物を使用して産生され得る。一実施形態では、本明細書に記載のモスネツズマブをコードする単離された核酸または1つ以上の単離された核酸が提供される。いくつかの実施形態では、そのような核酸は、モスネツズマブ(例えば、モスネツズマブの軽鎖および/または重鎖)のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列をコードし得る。更なる実施形態では、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態では、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態では、宿主細胞は、(例えば、形質転換された)以下を含む:(1)モスネツズマブのVLを含むアミノ酸配列およびモスネツズマブのVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)モスネツズマブのVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクターおよびモスネツズマブのVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクター。一実施形態では、宿主細胞は真核生物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ球系細胞(例えば、Y0、NS0、またはSp2/0細胞)である。抗体は、上記のようなモスネツズマブをコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で培養し、場合により、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)からモスネツズマブを回収することによって作製し得る。
【0154】
モスネツズマブの組換え産生のために、例えば上記のように、モスネツズマブをコードする1つ以上の核酸を単離し、宿主細胞におけるさらなるクローニングおよび/または発現のために1つ以上のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)を使用して容易に単離され、配列決定され得る。
【0155】
抗体コード化ベクターのクローニングまたは発現のための適切な宿主細胞としては、本明細書に記載される原核細胞または真核細胞が挙げられる。例えば、抗体は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合には、細菌中で生成されうる。細菌における抗体断片およびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号および第5,840,523号を参照されたい。(大腸菌(E.coli)における抗体断片の発現について記載したCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)。発現後、本発明の抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分として単離され、更に精製し得る。
【0156】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現宿主としては、原核生物に加えて、糸状菌や酵母などの真核微生物が適しており、その中にはグリコシル化経路が「ヒト化」されており、結果として部分的または完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体を産生する真菌株や酵母株も挙げられる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、およびLiら、Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0157】
また、グリコシル化抗体を発現させるのに適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、昆虫細胞と組み合わせて使用し得、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用し得る。
【0158】
植物細胞培養物も、宿主として利用し得る。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号および第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術)を参照されたい。
【0159】
脊椎動物細胞も宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児腎臓株(例えば、Grahamら、J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293または293T);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されているようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えば、Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されているようなTRI細胞;MRC 5細胞、およびFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216(1980));およびY0、NS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、YazakiおよびWu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,編、Humana Press,Totowa,NJ),pp.255268(2003)を参照されたい。
【0160】
V.アッセイ
本開示の医薬組成物のモスネツズマブは、当技術分野で公知であり、本明細書に記載される様々なアッセイによって、その物理的/化学的特性および/または生物学的活性について同定、スクリーニング、または特徴付けし得る。
【0161】
1.結合アッセイ
一態様では、本開示の医薬組成物のモスネツズマブを、例えばELISA、ウェスタンブロットなどの公知の方法によって、その抗原結合活性について試験する。
【0162】
例えば、競合アッセイを使用して、その抗原への結合についてモスネツズマブと競合する抗体を同定し得る。CD3への結合を特徴付けるように構成された例示的な競合アッセイでは、固定されたCD3は、CD3に結合する第1の標識抗体と、CD3への結合において第1の抗体と競合する能力について試験されている第2の非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在していてもよい。対照として、固定化CD3を、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体のCD3への結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰の未結合抗体を除去し、固定化されたCD3に関連する標識の量を測定する。固定化CD3に関連する標識の量が対照サンプルと比較して試験サンプル中で実質的に減少している場合、第2の抗体がCD3への結合について第1の抗体と競合していることが示される。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual.Ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0163】
2.活性アッセイ
一態様では、生物学的活性を有するその抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物学的活性は、例えば、インビボ、インビトロまたはエクスビボのいずれかでの、CD3(例えば、T細胞の表面上のCD3)などの抗原またはそのペプチド断片への結合を含み得る。モスネツズマブの場合、生物学的活性には、例えば、エフェクター細胞活性化(例えば、T細胞(例えば、CD8+および/またはCD4+T細胞)活性化)、エフェクター細胞集団拡大(すなわち、T細胞数の増加)、標的細胞(例えば、CD20陽性細胞)集団減少(すなわち、それらの細胞表面上にCD20を発現する細胞の集団の減少)および/または標的細胞死滅も含まれ得る。インビボおよび/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体が提供される。
【0164】
いくつかの実施形態では、抗体活性は、B細胞殺傷および/または細胞傷害性T細胞の活性化を支援する能力を含む。特定の実施形態では、モスネツズマブは、本明細書に記載される方法のいずれか、特に実施例によって、そのようなB細胞殺傷および/またはT細胞生物学的活性の細胞傷害効果の活性化について試験される。これらの活性アッセイのいずれかのいくつかの実施形態では、PBMCはFICOLL(登録商標)分離によって健康なドナーの全血から単離され得る。特に、ヘパリン処理したシリンジにヒト血液を採取し、LeucosepおよびFICOLL-PAQUE(登録商標)Plusを用いてPBMCを単離してもよい。必要に応じて、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、製造業者の説明書に従ってMILTENYI(登録商標)キットで分離され得る。
【0165】
GlutaMax(商標)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを補充した10% FBSを含有するRPMI培地で細胞を洗浄し、約200,000個の懸濁細胞を96ウェルU底プレートに添加し得る。細胞は、加湿標準細胞培養インキュベータ内で、37℃で、10% FBSを補充したRPMI1640中で培養され得る。BJAB細胞死滅アッセイについては、20,000個のBJAB細胞を、様々な濃度のモスネツズマブの存在下で、アッセイあたりの示された比のように、huPBMCまたは精製T細胞のいずれかとしてエフェクター細胞と共に24時間インキュベートし得る。内因性B細胞死滅アッセイについては、200,000個のhuPBMCを様々な濃度のモスネツズマブと共に24時間インキュベートし得る。
【0166】
培養後、細胞をFACS緩衝液(PBS中0.5% BSA、0.05%アジ化Na)で洗浄し得る。次いで、細胞をFACS緩衝液で染色し、FACS緩衝液で洗浄し、1μg/mlヨウ化プロピジウムを含有する100μlのFACS緩衝液に懸濁し得る。FACSCalibur(商標)フローサイトメーターでデータを収集し、FLOWJO(登録商標)を使用して分析し得る。生B細胞は、FACSによってPI-CD19+またはPI-CD20+B細胞としてゲーティングアウトされ、FITCビーズを添加して反応混合物を内部計数対照として絶対細胞数を得ることが可能である。細胞死滅の割合(%)は、非モスツズマブ治療対照に基づいて計算し得る。活性化T細胞は、抗CD69-FITCおよび抗CD25-PEを使用してCD69およびCD25表面発現によって検出され得る。
【0167】
3.安定性アッセイ
医薬組成物(例えば、モスネツズマブ)の安定性を測定するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。例えば、医薬組成物は、凝集体形成の評価(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用することによって、濁度を測定することによって、および/または目視検査によって);活性酸素種(ROS)形成の評価(例えば、軽いストレスアッセイまたは2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)ストレスアッセイを使用することによって);;タンパク質の特定のアミノ酸残基(例えば、抗体(モスネツズマブなど)のMet残基)の酸化;陽イオン交換クロマトグラフィー、イメージキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)またはキャピラリゾーン電気泳動を使用して電荷不均一性を評価することによって;アミノ末端またはカルボキシ末端配列分析;質量分析;還元ポリペプチドとインタクトなポリペプチドとを比較するためのSDS-PAGE分析;(例えば、抗体);ペプチドマップ(例えば、トリプシンまたはLYS-C)解析;タンパク質の生物学的活性または標的結合機能の評価(例えば、抗体のその抗原への結合などを含む様々な異なる方法で定性的および/または定量的に評価し得る。不安定性は、凝集、脱アミド(例えば、Asn脱アミド)、酸化(例えば、Met酸化)、異性化(例えば、Asp異性化)、クリッピング/加水分解/断片化(例えば、ヒンジ領域断片化)、スクシンイミド形成、不対システイン、N末端伸長、C末端プロセシング、およびグリコシル化差異などのうちのいずれか1つ以上を伴い得る。例示的なアッセイを以下により詳細に説明する。
【0168】
VI.治療方法および使用
本明細書に記載の医薬組成物(すなわち、モスネツズマブを含む)は、がんを治療するための医薬として使用するために製剤化し得る。したがって、本開示は、医薬組成物の投与を必要とする対象、例えばがんを有する対象への医薬組成物の投与を含む方法を特徴とする。本開示の医薬組成物は、がんの治療もしくは進行の遅延を必要とする対象(例えば、それを必要とするヒト対象)におけるがんの治療もしくは進行の遅延のために、またはがんを有する対象において免疫機能を増強させるために使用され得る。
【0169】
モスネツズマブは、免疫エフェクター細胞上に位置するCD3分子および免疫エフェクター細胞以外の標的細胞(例えば、CD20陽性細胞)上に位置するCD20分子(例えば、B細胞などの標的細胞(例えば、CD20陽性細胞)上に位置する(例えば、CD20陽性細胞によって発現される)CD20分子)に結合する。いくつかの実施形態では、モスネツズマブは、CD3分子およびCD20への結合後に免疫エフェクター細胞を活性化する。活性化されると、免疫エフェクター細胞は、標的細胞(例えば、CD20陽性細胞)に対して細胞傷害効果および/またはアポトーシス効果を発揮し得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、がんは非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、NHLは、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤髄小B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、11q異常を有するバーキット様リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫(DLBCL)、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のエプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、ALK陽性大B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大B細胞リンパ腫、B細胞白血病、濾胞性リンパ腫(FL)、インサイチュー濾胞性新形成、マントル細胞リンパ腫(MCL)、インサイチューマントル細胞新形成、急性骨髄性白血病(AML)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択される。特定の実施形態では、がんは、胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、またはバーキットリンパ腫(BL)である。
【0171】
いくつかの実施形態では、NHLは、DLBCL、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである。いくつかの実施形態では、NHLはFLまたはDLBCLである。いくつかの実施形態では、NHLは、再発性および/または難治性(R/R)である。いくつかの実施形態では、NHLは、R/R NHLである。いくつかの実施形態では、R/R FLは、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の事前全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である。いくつかの実施形態では、先行する1つ以上の全身治療は抗CD20モノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、事前の全身療法または複数の全身療法はアルキル化剤(例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、アルトレタミン、またはチオテパ)を含む。特定の実施形態では、事前の全身療法または複数の全身療法は、抗CD20モノクローナル抗体およびアルキル化剤の両方を含む。
【0172】
いくつかの実施態様では、がんは、乳がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、多発性骨髄腫、腎臓がん、前立腺がん、肝臓がん、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫、および膠芽腫からなる群から選択される。
【0173】
モスネツズマブは、約0.1mg~約100mg(例えば、0.1mg~80mg、0.5~70mg、1mg~60mg、0.1mg~2mg、0.5mg~1.5mg、1mg~5mg、1.5mg~2.5mg、1mg~30mg、15mg~45mg、5mg~10mg、10mg~15mg、20mg~40mg、~20mg~30mg、30mg~40mg、25mg~35mg、50mg~100mg、50mg~60mg、55mg~65mg、60mg~70mg、70mg~80mg、80mg~90mg、または90~100mg、例えば、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、または約100mg)の用量で対象に投与するために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg~約60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、約1mg、約2mg、約6mg、約9mg、約13.5mg、約20mg、約30mg、または約60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量でモスネツズマブを対象に投与することを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、生理食塩水で希釈した後、対象に投与される。いくつかの実施形態では、生理食塩水は生理食塩水である。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。特定の実施形態では、生理食塩水は、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度は、約0.01mg/ml~約0.3mg/ml(例えば、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.75mg/ml、約0.1mg/ml、約0.11mg/ml、約0.12mg/ml、約0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、約0.18mg/ml、約0.19mg/ml、約0.2mg/ml、約0.21mg/ml、約0.22mg/ml、約0.23mg/ml、約0.24mg/ml、約0.25mg/ml、約0.26mg/ml、約0.27mg/ml、約0.28mg/ml、約0.29mg/ml、または約0.3mg/ml)である。特定の実施形態では、生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである。
【0175】
一態様では、本明細書に開示される医薬組成物(例えば、モスネツズマブを含む)は、少なくとも3回の21日間(±3日間)の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、(a)第1の21日間の投与サイクルは、第1の投与サイクルの1日目、8日目(±1日)、および15日目(±1日)またはそれらの前後にそれぞれ対象に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、および第3の用量(C1D3)を含み、C1D1は約1(±0.5)mgであり、C1D2は約2(±0.5)mgであり、C1D3は約60(±5)mgであり;(b)第2の投与サイクルは、第2の投与サイクルの1日目またはその前後に対象に投与される単一用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、C2D1は、約60(±5)mgであり;(c)第3の投与サイクルは、第3の投与サイクルの1日目またはその前後に対象に投与される単回用量(C3D1)のモスネツズマブを含み、C3D1は約30(±3)mgである。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、それぞれが約30(±0.5)mgのモスネツズマブのさらなる単回用量を含む1回~14回の追加の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは1~5回(例えば、1、2、3、4、または5回)の追加の投与サイクルを含む。特定の実施形態では、投与レジメンは、5回の追加の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、各追加の投与サイクルの1日目またはその前後に、各追加の単回用量のモスネツズマブを対象に投与する。
【0176】
本開示はさらに、医薬組成物(すなわち、モスネツズマブを含む)と少なくとも1つの追加の治療薬(例えば、1、2、3、4つまたはそれ以上の追加の治療薬)との同時投与のための方法も開示する。例えば、追加の治療薬としては、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストなどのPD-1軸結合アンタゴニストが挙げられる。本方法および医薬組成物において有用なPD-L1結合アンタゴニストとしては、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MDX-1105(BMS-936559)およびMEDI4736(デュルバルマブ)が挙げられる。例えば、いくつかの特定の例では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブ(CAS登録番号:1422185-06-5)である。BMS-936559としても知られているMDX-1105は、国際公開第2007/005874号および国際公開第2016/201425号に記載されている抗-PD-L1抗体である。MEDI4736(デュルバルマブ)は、国際公開第2011/066389号および米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている抗PD-L1モノクローナル抗体である。本開示の方法に有用な抗PD-L1抗体の例、およびそれらを作製する方法は、PCT国際公開第2010/077634号、国際公開第2007/005874号、および国際公開第2011/066389号、ならびに米国特許第8,217,149号および米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている。
【0177】
PD-1結合アンタゴニストとしては、抗PD-1抗体、例えば、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、AMG404、REGN2810(セミプリマブ;LIBTAYO(登録商標))およびBGB-108からなる群から選択される抗PD-1抗体が挙げられる。MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、またはニボルマブとしても知られているMDX-1106は、国際公開第2006/121168号に記載されている抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブまたはラムブロリズマブとしても知られているMK-3475は、国際公開第2009/114335号に記載されている抗PD-1抗体である。他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合した、PD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、セミプリマブとしても知られているREGN2810(LIBTAYO(登録商標))である。他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、国際公開第2017/058780号に記載されているAMP-224、B7-DCFcまたはPD-L2Fc融合タンパク質である。
【0178】
PD-L2結合アンタゴニストとしては、例えば、抗体(例えば、抗PD-L2抗体)およびイムノアドヘシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、追加の治療薬としては、オビヌツズマブ(抗CD20抗体)、リツキシマブ(抗CD20抗体)、抗体-薬物複合体(ADC)、コルチコステロイドまたはトシリズマブ(抗IL-6R抗体)が挙げられる。
【0179】
例えば、同時投与に有用な追加の治療薬は、抗CD79b ADC(例えば、ポラツズマブベドチン;例えば、WHO Drug Information(2012)vol.26,No.4,437-438を参照されたい)などのADCであり得る。
本明細書に記載の方法が上記の特定の併用療法などの併用療法を含む場合、この併用療法は、医薬組成物(すなわち、モスネツズマブを含む)と1つ以上の追加の治療薬との同時投与を包含し、そのような同時投与は、併用投与または別個の投与であってもよい。さらに、2つ以上の治療薬は、一緒にまたは別々に製剤化してもよい。2つ以上の治療薬が別々に投与される場合、医薬組成物(すなわち、モスネツズマブを含む)の投与は、1つ以上の追加の治療薬の投与の前、同時に、および/または後に実施し得る。
【0180】
本開示の医薬組成物は、例えば、静脈内投与され得る。特定の実施形態では、モスネツズマブは静脈内投与される。特に、モスネツズマブ薬物製品は、投与前に生理食塩水(例えば、生理食塩水)で希釈される。いくつかの実施形態では、生理食塩水は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.1~1.5%(例えば、0.1~1.2%、0.3~1.5%、0.4~0.5%、0.3~1%、0.8~1%、0.85~0.95%、例えば、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、または約1.2%)(w/v)のNaClを含む。例えば、1mg/mlのモスネツズマブの製剤を使用して、示された用量を送達するために、以下の希釈液を使用し得る(表2):
【表2】
【0181】
一実施形態では、モスネツズマブの投与および追加の治療薬の投与は、互いに約1ヶ月以内、または約1、2もしくは3週間以内、または約1、2、3、4、5もしくは6日以内に実施し得る。
【0182】
本明細書に記載の方法は、モスネツズマブで治療されているがんを有する患者のベネフィット-リスクプロファイルの改善をもたらし得る。いくつかの例では、分割された用量漸増投与レジメンの状況でモスネツズマブを投与することになる、本明細書に記載の方法を使用する治療は、本開示の分割用量漸増投与レジメンを使用するモスネツズマブによる治療後、非分割投与レジメンを使用するモスネツズマブによる治療と比較し、望ましくない事象、例えばサイトカイン駆動毒性(例えば、サイトカイン放出症候群(CRS))、注入に関連する反応(IRR)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、神経毒性、重度の腫瘍溶解症候群(TLS)、好中球減少症、血小板減少症、肝臓酵素の上昇、および/または中枢神経系(CNS)毒性の低減(例えば、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)、または完全な阻害(100%低減)をもたらす可能性がある。
【0183】
本明細書に記載される全ての方法および医薬製剤について、モスネツズマブは、優良医療実務と一致して製剤化され、投薬され、投与される。これに関連して考慮すべき因子としては、治療される特定のがん、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、がんの原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医療従事者に知られている他の因子が挙げられる。モスネツズマブは、問題のがんを予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤である必要はないが、場合により、それらと共に製剤化されている。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するモスネツズマブの量、がんまたは治療の種類、および上記の他の要因に依存する。モスネツズマブは、一連の治療にわたって患者に適切に投与され得る。
【0184】
VII.製造物品
本開示の別の態様では、上記のがんの治療、予防、および/または診断に有用な材料を含む製造品が提供される。製造品は、容器と、容器に貼られているかまたは付随しているラベルまたは添付文書とを備える。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、症状を治療、予防、および/または診断するのに有効な別の組成物と単独でまたは組み合わせて使用される医薬組成物を保持し、無菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載されるように、モスネツズマブである。ラベルまたは添付文書は、組成物が選択された症状(例えば、がん)を治療するために使用されることを示し、本明細書に記載される投与レジメンのうちの少なくとも1つに関連する情報をさらに含む。
【0185】
医薬組成物は、1ml~100ml(例えば、1ml~5ml、5ml~10ml、10ml~15ml、15ml~20ml、20ml~25ml、25ml~30ml、30ml~40ml、40ml~50ml、50ml~60ml、60ml~70ml、70ml~80ml、80ml~90ml、または90ml~100ml、例えば、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約10ml、約15ml、約20ml、約25ml、約30ml、約40ml、約50ml、約60ml、約70ml、約80ml、約90ml、または約100ml)の容量を有する容器で供給し得る。特定の実施形態では、容器は約50ml(例えば、約40ml、約45ml、約46ml、約47ml、約48ml、約49ml、約50ml、約51ml、約52ml、約53ml、約54ml、約55ml、または約60ml)の体積を有する。別の特定の実施形態では、容器は約2ml(例えば、約1ml、約1.5ml、約1.6ml、約1.7ml、約1.8ml、約1.9ml、約2ml、約2.1ml、約2.2ml、約2.3ml、約2.4ml、約2.5ml、または約3ml)の体積を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、容器は、タンク、ミニタンク、キャニスター、缶などのステンレス鋼容器またはニッケル合金容器(例えば、HASTELLOY(登録商標))である。いくつかの例では、そのような容器中の医薬組成物はDSであり、使用前に、例えばDP(例えば、最終バイアル構成において)にさらに希釈し得る。あるいは、容器内の医薬組成物はDPである。いくつかの実施形態では、DPが希釈剤(例えば、生理食塩水;例えば、生理食塩水;例えば、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水)と共に投与される場合、または他の治療薬と組み合わせて投与されることが意図される場合、DPは、対象に投与される濃度よりも高い濃度であり得る。いくつかの実施態様では、DPはIVバッグまたはシリンジ(例えば、シリンジポンプを介した送達用)などの容器に入っている。いくつかの実施形態では、DPは、希釈剤(例えば、生理食塩水;例えば、生理食塩水;例えば、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水)を使用してIVバッグで希釈し得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、製造品は、約1ml以上、例えば、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約6ml、約7ml、約8ml、約9ml、約10ml、約11ml、約12ml、約13ml、約14ml、約15ml、約16ml、約17ml、約18ml、約19ml、約20ml、約25ml、約30ml、約35ml、約40ml、約50ml、またはそれ以上の体積を有するバイアル(例えば、ガラスバイアル)を含む。特定の実施形態では、バイアルは約50ml(例えば、約40ml、約45ml、約46ml、約47ml、約48ml、約49ml、約50ml、約51ml、約52ml、約53ml、約54ml、約55ml、または約60ml)の体積を有する。別の特定の実施形態では、バイアルは約2ml(例えば、約1ml、約1.5ml、約1.6ml、約1.7ml、約1.8ml、約1.9ml、約2ml、約2.1ml、約2.2ml、約2.3ml、約2.4ml、約2.5ml、または約3ml)の体積を有する。いくつかの実施態様では、バイアルは使い捨てである。いくつかの実施形態では、バイアルは、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約30、約45、約60またはそれを超えるモスネツズマブを含有する。いくつかの実施形態では、バイアルは、モスネツズマブ、ポリソルベート20(PS20)、メチオニン、緩衝剤および担体を含む医薬組成物を含み、モスネツズマブに対するPS20対のモル比は100以下であり、PS20の濃度は0.01重量/体積%~0.1%重量/体積(w/v)であり、メチオニンの濃度は1mM~50mMであり、緩衝剤の濃度は5mM~20mMである。いくつかの実施態様では、容器閉鎖システムは、ガラスバイアル、ストッパー、およびキャップのうちの1つ以上、または全てを含む。
【0188】
さらに、製造品は、(a)組成物が含有された第1の容器であって、医薬組成物は、本明細書に記載のモスネツズマブを含む第1の容器と、(b)医薬組成物が含有された第2の容器であって、該医薬組成物がさらなる細胞障害性薬または他の治療薬を含む、第2の容器とを含み得る。代替的にまたは追加的に、製造物品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液などの薬剤学的に許容される緩衝剤を含む第2の(または第3の)容器をさらに含んでもよい。製造品は、他の緩衝液、希釈剤(例えば、生理食塩水;例えば、生理食塩水;例えば、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水)、フィルタ、針、およびシリンジを含む、商業的観点およびユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてもよい。
【実施例】
【0189】
VIII.実施例
以下は、本開示の方法および組成物の例である。上記に提供された一般的な説明を前提として、様々な他の実施態様が実施され得ることが理解され、これらの例は特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0190】
実施例1.医薬開発
この実施例は、モスネツズマブ(BTCT4465A)を製剤化し、使用する方法を示す。モスネツズマブについて、研究者らは、製剤において、低用量のモスネツズマブの正確な送達を確実にするために、比較的低いタンパク質濃度および比較的高い界面活性剤濃度が好ましいと考えられることを観察した。
【0191】
モスネツズマブは、ヒトIgG1アイソタイプに基づいており、T細胞の動員および活性化によるB細胞悪性腫瘍の治療を意図している。モスネツズマブのCD20アームは、B細胞の表面上に発現されるグリコシル化ホスホタンパク質であるBリンパ球抗原CD20に対するものである。CD3アームは、CD20との標的結合時に活性化されるT細胞に結合してこれを動員し、その結果、強固なT細胞増殖および細胞の死滅がもたらされる。
【0192】
モスネツズマブを含むアミノ酸配列を上記の表1に要約する。
【0193】
ADCC機能を低減または排除するためのグリコシル化変異N297Gを含むノブインホール技術を使用して、2つの別個のCHO細胞株内で組換えモスネツズマブを産生した。モスネツズマブは、ノブを有する1つの抗CD20半抗体(抗CD20アーム)と、ホールを有する1つの抗CD3半抗体(抗CD3アーム)とから構成され、半抗体はグルタチオン還元を使用して組み立てられた。モスネツズマブは、無痛性細胞(例えば、非分割)および化学耐性細胞に対して活性であり、腫瘍に対する事前の免疫応答は活性のための必要条件ではなかった。
【0194】
その後の臨床試験および進行中の臨床試験における用量範囲は、サイクル1の間に、患者が1日目に低用量(例えば、1mg)、8日目に中間用量(例えば、2mg)および15日目に全用量(例えば、20mgまたは30mg)を投与された段階的分割投与スキームの使用のために変動した。タンパク質濃度と、低界面活性剤レベルまたは高界面活性剤レベルとを組み合わせる場合、いくつかの製剤選択肢が検討された(
図1)。特に、静脈内流体(IV)バッグを使用して低用量の正確な送達を確実にし、希釈剤の使用を低減または回避し、投与量の柔軟性を可能にし、廃棄物を低減または排除するためには、比較的低いタンパク質濃度および比較的高い界面活性剤濃度が好ましいと考えられた。
【0195】
実施例2.知識構築試験
製剤の安定性に対する製剤パラメータの影響を評価し、製剤の主要なリスクを特定するために、初期段階の開発後に知識構築試験を実行した。重要なことに、この試験の結果により、酸化分解(例えば、凝集、断片化および界面活性剤分解などの他の形態の分解に関連する酸化分解)が臨床第III相DP製剤(すなわち、低濃度モスネツズマブDP製剤)の主要なリスク因子であることが示唆された。さらに、この試験の結果により、低タンパク質濃度のモスネツズマブ製剤、特に高ヒスチジン濃度、低スクロース濃度、および高PS20濃度を有する製剤が酸化分解を受けやすい可能性があることが示唆された。さらに、この試験の結果により、メチオニン(L-メチオニン;L-Met)の添加が酸化分解を阻害し、それによって他の形態の分解(例えば、凝集、断片化、および/または界面活性剤の分解)のリスクを低下させることが示唆された。
【0196】
実施例3.製剤開発
本実施例における試験の目的は、モスネツズマブを有する医薬組成物に関連するリスクを特徴付け、これらのリスクを低減する製剤パラメータを特定することであった。試験を要約し、DSおよびDP製剤の様々な成分ならびにそれらを保存し得る容器の効果を特徴付ける。試験はまた、そのような製剤の重要な特徴は、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比であり、タンパク質が低モル濃度で存在し、界面活性剤がより高いモル濃度で存在することがわかった。
【0197】
3.1.IVバッグ撹拌試験
IVバッグを使用し、広い用量範囲を支持する希釈剤を使用せずに送達される製剤に使用するための界面活性剤の適切な量および組成を決定するために、IVバッグ撹拌試験を行った。タンパク質濃度、用量、IVバッグサイズ、界面活性剤組成、および界面活性剤濃度を含むいくつかの因子を特徴付けた。
【0198】
20mMの酢酸ヒスチジン(HisOAc)、240mMのスクロース、pH5.8中、様々なタンパク質濃度(1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml)でモスネツズマブを製剤化した。ある範囲の用量(1mg、2mg、5mg、20mg、および30mg)を試験し、50mlおよび100mlのポリオキシエチレン(PO)バッグを評価した。50mlおよび100mlのPO IVバッグは、対応するサイズのポリ塩化ビニル(PVC)IVバッグと比較して相対的に大きなヘッドスペースおよび高い壁剛性に起因するタンパク質凝集のために、高リスクIVバッグであると以前に判定されていた。3種の界面活性剤:ポリソルベート20(PS20)、ポロキサマー188(P188)、および超精製ポリソルベート20(srPS20)を評価した。PS20およびP188を全用量範囲にわたって試験し、撹拌試験におけるPS20との比較可能性を考慮して、srPS20を用いて限定的な試験を行った。その後、SrPS20を中止し、試験を単純化した。
【0199】
これらの実験では、DP界面活性剤濃度を変化させて、IVバッグ撹拌ストレス中の凝集および粒子形成を防止するために必要なIVバッグ中の最小界面活性剤濃度を決定した。各試験条件について、モスネツズマブDPをIVバッグに注入し、オービタルシェーカー上2~8℃で100rpmで最大24時間振盪した。サンプルを0、1、6、および24時間に採取し、高精度液体粒子計数(HIAC)によって肉眼で見えない粒子について、また、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって可溶性凝集体について評価した。可溶性凝集体または粒子数の実質的な増加がない場合、条件は合格とみなした。可溶性凝集体の増加を、時間0と比較したSE-HPLCクロマトグラムの観察された定性的変化によって評価した。粒子形成は、時間0と比較して、肉眼で見えない粒子数の有意な増加として観察された(2μm以上の累積粒子数/mlが1000を超えて増加)。
【0200】
この試験からのデータを分析して、第III相および希釈剤なしの市販用量投与を支持するのに必要なIVバッグ中の界面活性剤の最小量を決定した。
図2は、DPタンパク質濃度および用量が一緒になって、100mlのPO IVバッグ中の必要なPS20の最小濃度にどのように影響したかを示す。50mlのPO IVバッグについても同様の結果が観察された。タンパク質濃度に対するPS20濃度の比較的高い比(例えば、低用量、例えば1mg/mlの場合)により、IVバッグ中の最終用量溶液中に十分な界面活性剤レベルがあることが確実になった。これらの結果により、タンパク質濃度に対するPS20の高い比が、例えばIVバッグにおいて、低DP用量(例えば、1mg/ml)でタンパク質安定性を確実にするためにより良好であり得ることが示唆されている。
【0201】
適切な界面活性剤の最小レベルを、1mg/mlDPの各界面活性剤組成物について決定し、これは、
図3に示すように、低用量投与を支持する有効タンパク質濃度として同定された。最小0.05%(w/v)のPS20(スネツズマブに対する界面活性剤のモル比が約59)および超精密化PS20(srPS20)、および最小0.08%(w/v)のP188(モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比が約14)が、上記の振盪ストレス条件中の凝集および粒子形成を防止するために必要であると決定された。製造範囲をサポートするために、以下のDP製剤開発のために、PS20標的レベルを0.06%(w/v)(モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比が約71)に設定し、P188標的レベルを0.10%(w/v)(モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比が約17)に設定した。
【0202】
3.2.界面活性剤の製品品質への影響
種々の種類の界面活性剤の製品品質への影響(PQI)を安定性試験で評価した。モスネツズマブの酸化リスクは、知識構築試験で観察された酸化効果のために特に興味深いものであった(実施例2)。さらに、PS20は酸化を受けやすいことが知られており、高レベルのPS20(例えば、IVバッグ撹拌試験によって選択された0.06%)はタンパク質酸化のリスクを高め得る。この試験では、タンパク質濃度(60mg/ml、10mg/ml、1mg/ml)および界面活性剤組成(PS20,srPS20,P188)を完全要因試験で評価した。全ての材料を、pH5.8の20mMの酢酸ヒスチジン(HisOAc)、240mMのスクロースおよび0.1%(w/v)界面活性剤を用いてそれぞれのタンパク質濃度で製剤化した。60mg/ml、10mg/ml、および1mg/mlのタンパク質濃度を有する界面活性剤としてのPS20またはsrPS20の場合、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は、それぞれ約2、12、および119であった。60mg/ml、10mg/ml、および1mg/mlのタンパク質濃度を有する界面活性剤としてのP188の場合、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は、それぞれ約0.3、1.7、および17であった。サンプルを6mlのガラスバイアルに充填量3mlを手で充填し、標準的な成分を使用して栓をし、蓋をし、40℃で最大1ヶ月間、および30℃で最大3ヶ月間保存した。アッセイには、酸化を定量するためのペプチドマッピング、凝集および粒子形成を定量するためのHIAC、界面活性剤分解を定量するための蒸発光散乱検出器(ELSD)、およびサイズ不均一性を定量するためのSE-HPLCが含まれていた。
【0203】
PS20またはP188を含む組成物では、タンパク質濃度が60mg/mlから1mg/mlに減少するにつれて、Met257(M257)の酸化はわずかしか増加しなかった(
図4Aおよび
図4B。しかし、srPS20では、酸化は1mg/mlのタンパク質濃度で有意に増加した(
図4C)。1mg/mlのsrPS20のサンプルでは、断片化および凝集の増加ならびに界面活性剤の損失も観察された。これらの結果に基づいて、srPS20は、モスネツズマブ製剤の界面活性剤の選択肢として除外された。
【0204】
3.3.ヒスチジン濃度、周囲光暴露、および酸化防止剤のスクリーニング
ヒスチジンは酸化を受けやすく、製剤緩衝液中に存在すると、タンパク質酸化を誘導し得る。本実施例では、ヒスチジン濃度の影響をさらに特徴付けた。実施例2に記載される知識構築試験および上記の界面活性剤の種類の試験により、モスネツズマブが熱ストレスからの酸化に感受性であることが明らかになった。しかし、モスネツズマブに対する光ストレスの影響は特徴付けられていなかった。ここでは、モスネツズマブのトリプトファン残基の酸化に対する感受性を定量した。
【0205】
2つの製剤を熱応力について評価し、4つの配合物を光応力について評価した(表3)。全ての製剤は、指定の組成に加えて、1mg/mlのモスネツズマブ、160mMのスクロース、0.04%(w/v)のPS20、pH5.5を含んでいた。この例では、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は約48である。配合物7(F7)は、知識構築試験において、熱ストレスによる高酸化のリスクがあると特定された。低ヒスチジンF7製剤(F7-低His)をこの試験に含めて、ヒスチジン濃度の減少の影響を評価した。軽ストレス試験では、F7に抗酸化剤メチオニンを単独でまたはN-アセチルトリプトファン(NAT)と組み合わせて補充して、軽ストレス媒介分解に対する抗酸化剤の効果を評価した。製剤を、3mlの充填量で6mlのバイアルに充填し、栓をし、蓋をし、熱ストレス(40℃で最大1ヶ月および25℃で最大3ヶ月)および周囲光ストレス(25℃で300,000lux-時間)下に置いた。周囲光曝露は、室温および5500ルクスの光強度に維持された蛍光灯ボックス内でサンプルを54時間インキュベートすることによって実施した。アッセイには、酸化を定量するためのペプチドマッピング、凝集および粒子形成を定量するためのHIAC、界面活性剤分解を定量するためのELSD、およびサイズ不均一性を定量するためのSE-HPLC(例えば、断片化および/または凝集の結果として)が含まれていた。
【表3】
【0206】
40℃の熱ストレス条件下で種々のレベルのヒスチジン(F7およびF7-低His)を含有する組成物を比較した。両方のサンプルは酸化防止剤を含まなかった。
図5に示すように、30mMのヒスチジン組成物は40℃で2週間後に約6%のM257の酸化を示したが、10mMヒスチジン組成物では、M257の酸化は1%未満であった。さらに、二量体および高分子量種(HMWS)の両方の凝集レベルも、30mMのヒスチジンサンプルにおいて、より高かった。結果により、より高い界面活性剤レベルおよびより低い酢酸ヒスチジン(HisOAc)濃度が、熱ストレス条件下での酸化ストレスの防止に優れ得ることが示唆されている。
【0207】
ヒスチジン濃度および酸化防止剤の効果を、酸化を誘導し得る感受性ストレスタイプである周囲光曝露下で評価した。
図6に示すように、試験したいずれのサンプルにおいても、いずれの部位(MetまたはTrp)でも酸化の実質的な変化は観察されず、F7が酸化のリスクが高いにもかかわらず、関連する周囲光ストレス下で安定であることが示されている。NATは追加の利益をもたらさなかったので、その後の製剤開発には含まれなかった。
【0208】
3.4.メチオニン濃度の最適化
過酸化水素の添加試験を行って、重要な賦形剤として同定されたメチオニンの好ましい濃度を特定した。pH5.8の1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMスクロースを含有するサンプル(対照製剤)を、過酸化水素(H2O2)および種々のレベルのMetを用いてまたは用いずに調製した(表4)。これらのサンプルでは、モスネツズマブに対する界面活性剤対のモル比は約95である。対照製剤は、比較的に高濃度のヒスチジン、比較的に高濃度のPS20、および比較的に低濃度のスクロースを含有するので、酸化のリスクが高い。
【0209】
過酸化水素(2,000ng/ml)を、酸化防止剤保護に対する酸化ストレス負荷として使用した。サンプルを、3mlの充填量で20ccのバイアルに充填して、ヘッドスペースが大きいために酸化のリスクが高い容器条件を表した。バイアルに栓をし、蓋をし、40℃で1ヶ月間、または25℃で6ヶ月間、またはリアルタイム安定性、すなわち2~8℃で熱安定性に置いた。周囲光試験では、サンプルを室温で最大300,000ルクス時間(5,500ルクスで54時間)の周囲光曝露に供した。サンプルを、0時間、24時間、48時間、および54時間の時点で周囲光試験から得、アルミニウム箔で覆われた暗対照を含んでいた。AMPLEX(登録商標)過酸化水素/ペルオキシダーゼアッセイ(ThermoFisher Scientific社;マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して過酸化水素濃度を測定した。製品品質(例えば、安定性)をモニタリングするために使用されるアッセイには、色、pH、濁度(紫外線分光法(UV-spec)による)、強度(UV-specによる)、チャージバリアント(イメージングされたキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)およびマイクロチップふるい分け電気泳動(MCE-SDS)による)、サイズ不均一性(SE-HPLCによる)、可視粒子および肉眼で見えない粒子(HIACによる)、効力、酸化(ペプチドマッピングによる)、メチオニン濃度(質量分析による)およびポリソルベート濃度(ELSDによる)が含まれていた。
【表4】
a全てのサンプルは、表に指定された組成に加えて、1mg/mlのモスネツズマブ、15mMの酢酸ヒスチジン、0.08%(w/v)のPS20、160mMのスクロース、pH5.8を含有していた。
【0210】
2~8℃(例えば、5℃)で12ヶ月間貯蔵した後、Metを含有しない製剤中に存在するH
2O
2は完全に枯渇した(
図7A)。12ヶ月で、対照サンプルにおける3.7%のM257酸化とは対照的に、41.5%のM257酸化が観察された(
図7B)。最小2.5mMのMetを製剤に添加すると、H
2O
2は1ヶ月後に完全に消費され(
図7A)、M257の酸化は試験期間を通して対照サンプルと同等のままであった(
図7B)。2.5mM、5mMおよび10mMのMetを含有する製剤間で差は観察されなかった。他の特性の変化は観察されなかった。
【0211】
加速熱条件(すなわち、25℃)では、Metを含有しないサンプル中のH
2O
2のレベルは、2ヶ月で130ng/mlに減少し、その後6ヶ月までに蓄積して1,000ng/mlのレベルに戻った(
図8A)対照サンプルはまた、2ヶ月後にH
2O
2の増加を示した(
図8A)。この観察は、Metを含有しないスパイクサンプルについては最初の2ヶ月でM257によって表されるMet酸化増加の遅い段階と、Metを含有しないスパイクサンプルおよび対照の両方については6ヶ月までの後の部分でのMet酸化の速い段階と一致している(
図8C)。この観察結果はまた、Metを含有しないスパイクサンプルおよび対照サンプルの両方について、CD20アームにおけるトリプトファン107(すなわち、Trp107またはW107)酸化(
図8B)、タンパク質凝集(
図8D)、および断片化(
図8E)の2ヶ月と6ヶ月との間の増加と一致している。この観察されたH
2O
2の産生は、Metを含まない対照サンプルおよびスパイクサンプルの両方における酸化的PS20分解に関連している可能性があり、これはさらなるタンパク質分解を引き起こす可能性がある。対照的に、2.5~10mMのMetを添加すると、H
2O
2は1週間後に完全に消費され、6ヶ月のインキュベーションの過程にわたって再蓄積しなかった(
図8A)。M257酸化、W107酸化、凝集、断片化およびPS20分解の増加は、6ヶ月のインキュベーションを通して2.5mMのMetによって大幅に減少し、5mMおよび10mMのMetによって完全に阻害され(
図8B~
図8E)、これらの条件下で5mMのMetがこの製剤の抗酸化剤としての最小要件であることが示唆された。より短い時間スケールにおける40℃での応力安定性結果から同様の傾向が観察された。
【0212】
表5のサンプルは全て、25℃で周囲光ストレス(最大300,000ルクス時間)にもさらされた。ヒスチジン濃度試験と一致して、周囲光は広範な酸化を引き起こさず、Metを含有しないサンプルで生成された少量のM257酸化は、2.5mMのMet添加によって完全に阻害された。
【表5】
a全ての製剤が1mg/mlのモスネツズマブを含有していた。
【0213】
3.5 DP製剤のスクリーニング
上記の試験から得られた情報に基づいて、DP製剤スクリーニング試験を行った。標的製剤および高リスク酸化(高His、高PS20、低スクロース)を様々なpHおよびMet濃度で評価した。各製剤を滅菌濾過し、5mlの充填量で15mlのガラスバイアルに充填した。バイアルに20mmのDaikyo D777-1液体ストッパー(大鏡;日本国千葉県)で栓をし、アルミニウムフリップトップキャップで蓋をし、表6に記載のプログラムに従って安定して直立状態で保存した。アッセイは、色、pH、濁度(UV-specによる)、強度(UV-specによる)、チャージバリアント(icIEFおよびmCE-SDSによる)、サイズ不均一性(SE-HPLCによる)、可視および肉眼で見えない粒子(HIACによる)、効力、酸化(ペプチドマッピングによる)、メチオニン濃度(質量分析による)ならびにポリソルベート濃度(ELSDによる)を観察するように構成されていた。
【表6】
X=3バイアル;X*=5バイアル;D=日、W=週、M=月
【0214】
製剤の時間ゼロ(T0)特性評価を表7に要約する。5℃で12ヶ月後、いずれの製剤についても変化は観察されなかった(表8)5℃で24ヶ月間貯蔵した後、iCIEFおよびCE-SDSによって、5つの製剤全てにわたって一貫した変化が観察された。icIEFによる酸性バリアントの割合のわずかな増加があり、プレピークのCE-SDS結果は、5℃で24ヶ月後にわずかな増加を示すようであるが、全ての製剤にわたって同じ増加が観察された。他のアッセイでは変化は観察されなかった。
【0215】
25℃、相対湿度60%(RH;加速条件)で6ヶ月間貯蔵した後(表9)、SE-HPLCメインピーク減少(0.3~0.4%)、icIEF酸性増加およびメインピーク減少(12.6~17%)、ならびにmCE-SDSメインピーク減少およびプレピーク増加(1.0%)について、5つの製剤全てにおいて同様の変化が観察された。他のアッセイを実施しても変化は観察されなかった。
【0216】
40℃、75%RH(ストレス条件)で1ヶ月間貯蔵した後(表10)、SE-HPLCメインピーク減少(0.4~0.6%、
図9A~
図9C)、icIEF酸性増加およびメインピーク減少(17.1~19.8%、
図10A~
図10C)、ならびにmCE-SDSメインピーク減少およびプレピーク増加(1.4~1.9%、
図11Aおよび
図11B)について、5つの製剤全てにおいて同様の変化が観察された。行われた他のアッセイでは変化は観察されなかった。
【0217】
この試験の結果により、モスネツズマブDPが、酸化の高リスク条件(高L-ヒスチジン、低スクロース、低L-メチオニン、高ポリソルベート)でさえ、pH5.5~6.1の範囲内で安定であることが示された。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0218】
3.6 DS製剤のスクリーニング
ステンレス鋼ミニ缶でDS安定性を評価した。サンプルは、表11に示す組成を有する標的製剤(製剤1)、製剤2および製剤3を含んでいた。全ての製剤は、10mg/mlのモスネツズマブおよび0.06%(w/v)のPS20を含有していた。これらの例では、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は約7である。製剤2および3は、それぞれ比較的低いpHおよび高いpHでの酸化のため、高リスク製剤である。ヘッドスペースの影響を定量化するために、金属溶出液によるタンパク質酸化の加速のリスクを、様々な充填量を有する表面装着ミニ缶内でDSをインキュベートすることによって評価した。
【表11】
【0219】
各配合物を滅菌充填し、15mlの充填量で25mlの316Lステンレス鋼ミニ缶に充填した。ミニ缶を、リアルタイム(-20℃)、加速(2℃~-8℃)、ストレス(25℃、相対湿度60%;RH)条件、および選択的に-40℃で安定に直立状態で保存した。ミニ缶は、3回以下の凍結-融解サイクルを受けた凍結条件下で保管した。三二缶の可変性を制御するために、2つの缶をほとんどの温度条件で安定に置いた。
【0220】
金属溶出物によって誘発されるタンパク質の酸化を試験するために、表面摩耗(孔食、傷等)を示した合計4つの45mlのミニ缶を選択し、タンパク質の酸化のリスクが高いと考えられた低pH製剤(pH5.5)で充填した。これらのミニ缶を2~8℃および25℃、60%RHで安定に置いた(各温度で2つのミニ缶)。上部空間に変動性を生じさせるために、ミニ缶のDS充填量を高充填量(40ml)および低充填量(15ml)で変化させた。
【0221】
アッセイを行って、pH、酸化(ペプチドマッピングによる)、サイズ変動(SE-HPLCによる)、チャージバリアント(mCE-SDSおよびiCIEFによる)、色および外観、肉眼で見えない粒子(HIACによる)、可視粒子、濃度(UV-SpecScanによる)、濁度、効力およびPS20濃度(ELSDによる)を観察した。-40℃または-20℃で12ヶ月間保存した後に試験したいずれの製剤についても変化は観察されず、5℃で6ヶ月間保存した後に試験したいずれの製剤についても変化は観察されなかった。表面摩耗した45mlのミニ缶の高充填サンプルおよび低充填サンプルは、5℃で25mlのミニ缶に貯蔵されたサンプルと比較して差を示さなかった。
【0222】
要約すると、モスネツズマブDSは、酸化製剤条件(酸化のための高Hisおよび低Met、凍結安定性のための低スクロース)のための高リスク製剤であっても、金属溶出性誘導酸化が困難な場合(表面装着ミニ缶の充填量が少ない場合)、pH5.5~6.1内で安定であった。したがって、これらのデータは、そのような組成物(例えば、高His、低Metおよび低スクロースを有する組成物)を、いくつかのDS製剤において必要に応じて最大約10mg/mlのタンパク質レベルで使用し得ることを示している。
【0223】
3.7 DS製剤の確認安定性試験(追加の製剤)
低ヒスチジンおよび高Met濃度がDS安定性に影響を及ぼすかどうかを評価するために、追加のDS製剤を試験した。目標とする10mM未満の酢酸ヒスチジン濃度または10mMを超えるメチオニン濃度について安定性は以前に試験されていなかった。製剤を以下の表12に示す。全ての製剤は、10mg/mlのモスネツズマブおよび0.06%(w/v)のPS20を含有していた。これらの製剤では、モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比は約7である。
【表12】
【0224】
各配合物を滅菌濾過し、16mlの充填量で25mlの316Lステンレス鋼ミニ缶に充填した。ミニ缶を、加速(2~8℃)およびストレス(25℃/60%RH)で安定して直立した状態で貯蔵した。小型缶の可変性を制御するために、2つの缶を安定に置いた。
【0225】
アッセイを行って、pH、酸化(ペプチドマッピングによる)、メチオニン濃度、効力、サイズバリアント(SE-HPLCによる)、チャージバリアントチャージバリアント(mCE-SDSおよびiCIEFによる)、色および外観、可視粒子、濃度(UV-SpecScanによる)、濁度およびPS20濃度(ELSD)を試験した。
【0226】
5℃で1ヶ月間貯蔵した後に試験したいずれの製剤についても変化は観察されなかった。高メチオニンおよび低ヒスチジン製剤は、標的サンプルと比較して差を示さなかった。25℃で1ヶ月間貯蔵した後、SE-HPLC(0.2%)およびCE-SDSによるLMWSのわずかな増加、ならびにicIEFによるメインピークの減少および酸性ピークの増加と共に、両DS製剤による一貫した変化が観察された。他のアッセイでは変化は観察されなかった。この試験により、モスネツズマブDSが10~15mMのメチオニン濃度範囲および5~10mMの酢酸ヒスチジン濃度範囲内で安定であることが実証された。
【0227】
3.8 DS凍結-融解安定性
DSの凍結-融解安定性を、表11に特定される各配合物に、ミニ缶での7回の凍結融解サイクルでストレスをかけることによって評価した。25mlの316Lステンレス鋼ミニ缶に、16mlの滅菌濾過材料を充填した。各製剤について1つのミニ缶を調製した。凍結-融解サイクルは、-40℃で2時間、続いて-20℃で少なくとも8時間、続いてサンプルが完全に解凍されるまで(約2~3時間)室温で保存することから構成された。サンプリングの前に、缶を約10回穏やかに反転させることによって材料を混合した。3回目、4回目、5回目および7回目のサイクルの後、各ミニ缶を無菌的に2.5mlサンプリングした。
【0228】
肉眼で見えない粒子(HIAC)、可視粒子、濁度(UVspec)、酸化(ペプチドマップ)およびサイジング(SE-HPLC)についてアッセイを行った。表13に示すように、変化は観察されなかった。これらのデータにより、DSが7回の凍結-融解サイクルを通して安定であることが確認された。
【表13】
【0229】
3.9 ドナン効果
ドナン効果(不浸透性荷電イオンの存在下で生じる半透膜の両側における不均等な分布)を、ダイアフィルトレーション(DF)中に各ダイアボリュームから採取されたプロセス中のサンプルのpHを測定することによって評価した。DF緩衝液、コンディショニング緩衝液、回収プール、希釈プールおよびコンディショニング材料のpHも測定した。遊離ヒスチジンアッセイのためのUPLC分析を使用して、選択されたサンプルのLSPD中のL-ヒスチジン濃度を測定した。
【0230】
この実験の結果を
図12に要約する。ドナン効果は、約50g/Lのタンパク質濃度で、回収プールにおいて約0.2(DF緩衝液のpH5.8に対して)のpHが上昇することで観察された。希釈し、10g/Lのタンパク質濃度に調整した後、5倍希釈係数を用いると、pHはpH5.8の目標に戻った。希釈プールおよび馴化プール中のヒスチジン濃度は約10mMであった。
【0231】
実施例4:製剤開発に基づく成分選択
上記の実施例3に記載される製剤開発試験は、以下に記載されるように、様々な成分(例えば、タンパク質、界面活性剤、酸化防止剤、緩衝剤、pH、スクロースおよび容器)の選択の情報を与えた。
【0232】
4.1.タンパク質
タンパク質濃度は、希釈剤を使用せずにIVバッグを介して第III相投与量を正確に送達するように選択した。1日目の分画投与量は、0.8~1.0mgと低いことが予想された。実施例3.1のIVバッグ振盪試験では、そのような低用量を送達するためには、タンパク質を機械的撹拌から保護するのに十分な界面活性剤が希釈用量溶液中に存在することを確実にするために低DPタンパク質濃度が必要であることが実証された。さらに、より低いタンパク質濃度は、より大きな用量体積を可能にし、したがって、より正確な用量送達が可能になる。これらの理由から、DPタンパク質濃度を1mg/mlとして選択した。DS濃度は、DSからDPまでの合理的な希釈係数とDS貯蔵に適した設備とのバランスをとるために10mg/mlとして選択した。
【0233】
4.2.界面活性剤
3種の界面活性剤:PS20、スーパーリファインPS20(srPS20)、およびP188を評価した。SrPS20は、低タンパク質濃度製剤においてタンパク質の酸化、断片化および凝集を誘導するリスクが高いため除外された(実施例3.2)。PS20およびP188の最小必要レベルは、IVバッグ撹拌試験から、それぞれ0.05%(w/v)および0.08%(w/v)であると決定された(実施例3.1)。PS20およびP188は、いずれも熱ストレス下でタンパク質の品質に影響を示さなかった(実施例3.2)。必要とされる濃度が比較的低いこと、タンパク質濃度が低いことにより、エステル結合加水分解のリスクが低いこと(したがって、任意のリパーゼ不純物の存在量が低いこと)、および酸化防止剤を含むことによる界面活性剤酸化のリスクが低いことを考慮して、PS20を界面活性剤タイプとして選択した。IVバッグ振盪試験(実施例3.1)から決定された最小必要レベルに基づいて、0.06%(w/v)をPS20標的濃度(1mg/mlのモスネツズマブを含有する製剤についてのモスネツズマブに対する界面活性剤のモル比約71、および0.05~0.07%(w/v))をPS20のDS放出仕様として決定した。
【0234】
4.3.抗酸化剤
酸化は、知識構築試験においてモスネツズマブの低タンパク質濃度製剤の主要なリスクとして特定され、L-Metは製剤を酸化から保護した。製剤開発中、酸化は評価の主要なリスクと考えられ、酸化について最悪の場合の製剤は熱ストレスおよび周囲光ストレス条件下で攻撃された(実施例3.3)。これらの試験により、Metが必要であることが示されたが、NATは光ストレス誘発酸化に関して付加的な利益をもたらさない。
【0235】
熱応力を用いた過酸化水素スパイク試験において、Met濃度を最適化した(実施例3.4)。このストレスモデルでは、製剤をタンパク質酸化から完全に保護するために5mMのMetが必要であった。気化した過酸化水素がアイソレータなどの機器に一般的な滅菌試薬であることを考えると、DSおよびDPは製造プロセス中に残留過酸化水素の課題を経験する可能性があるので、過酸化水素の添加直後の酸化のMet媒介クエンチは製剤の安定性に有益である。複数の供給源からの酸化ストレスに対するDSおよびDP製剤の安定性を確保し、Met濃度の製造変動を考慮して、DSおよびDP製剤中のMetの濃度として10mMを選択した。
【0236】
4.4.緩衝液
酢酸ヒスチジン(His)を製剤1中の緩衝種として使用し、pH5.5~6.1でDSおよびDP製剤を緩衝する能力が実証された。したがって、Hisを製剤の緩衝種として選択した。知識構築試験により、His濃度が10~30mMの範囲で酸性ピーク形成にプラスを及ぼすことが示された。さらなる試験により、10mM Hisを含む製剤が、抗酸化剤の非存在下で、30mM Hisを含む製剤と比較して酸化を受けにくいことが実証された(実施例3.3)。His濃度が10mM以下(例えば、5mM)であれば、pH5.5~6.1のDSおよびDP溶液を緩衝するのに十分であった。pHは、10mMのHisを含む製剤において、長期のリアルタイムで安定であり、加速され、ストレス安定性であることが確認された(実施例3.5および3.6)。製造の観点から、ドナン効果評価(実施例3.8)で観察されたpHシフトを考慮すると、His濃度は50g/Lで回収プール中でシフトする可能性がある。しかし、回収プールから希釈プール(12.5g/L)およびDS(10g/L)への高い希釈係数を考慮すると、His濃度は10mM近くまで戻った。したがって、最終DSおよびDPのHis濃度に対するドナン効果の影響は最小である。これら全てを考慮して、10mM酢酸ヒスチジンを標的緩衝液濃度として選択した。
【0237】
4.5.pH
初期段階の製剤の長期安定性により、目標のpH5.8が安定性に適切であることが実証された。知識構築試験により、pHが酸性ピーク形成にわずかなプラスの影響を及ぼし、凝集または断片化に影響を及ぼさないことが示された。標的製剤および高リスク酸化製剤に対するDPおよびDSスクリーニング試験により、pH(5.5~6.1)の影響がリアルタイム、加速およびストレス安定性で最小であることが示された(実施例3.5および3.6)。これらの結果に基づいて、製剤pHをpH5.8として選択した。
【0238】
4.6.スクロース
知識構築試験により、高リスク酸化製剤を統計分析から除外した場合、製品品質属性に対するスクロース濃度の有意な影響が示されないことが示された。比較的低濃度のスクロース(160mM)をDPおよびDSスクリーニング試験ならびにDSの複数回凍結融解試験で評価し、標的製剤と比較した場合に安定性に影響を及ぼさないことが示された(実施例3.5、3.6、3.7)。
【0239】
4.7.容器
316Lステンレス鋼ミニ缶をDS配合物スクリーニングに使用した。複数の凍結-融解試験により、適切な安定性が示された(実施例3.6および3.7)。ステンレス鋼は、金属溶出物によって誘発されるタンパク質の分解のための高リスク容器と考えられている(例えば、HASTELLOY(登録商標)と比較して)。これらの結果により、DS配合物がステンレス鋼およびHASTELLOY(登録商標)において安定であることが示唆される。316Lステンレス鋼およびHASTELLOY(登録商標)ミニ缶をDS代表的試験で評価して、DS貯蔵用のいずれかのタイプの容器の使用を可能にするための追加の支援データを提供する。
【0240】
DPバイアル構成は、2つの低分割用量(例えば、1mgおよび2mg)および1つの完全用量(例えば、5~20mg)を必要とする二重段階分割投与スキームに従って、臨床試験における広範囲の用量の送達をサポートすることが必要である。この投与量範囲を最適にサポートするために、13.5mlの公称充填物を含む20mlバイアルを選択した。
【0241】
IX.実施形態
本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態は、以下の番号付き実施形態のいずれかに従って定義し得る。
【0242】
1.モスネツズマブ、ポリソルベート20(PS20)、メチオニン、緩衝剤、および担体を含む医薬組成物であって、PS20の濃度が0.01重量/体積%~0.1重量/体積%(w/v)であり、メチオニンの濃度が1mM~50mMであり、緩衝剤の濃度が5mM~20mMである、医薬組成物。
【0243】
2.モスネツズマブの濃度が約15mg/ml以下である、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0244】
3.モスネツズマブに対するPS20のモル比が100未満である、実施形態1または2に記載の医薬組成物。
【0245】
4.モスネツズマブに対するPS20のモル比が50~100である、実施形態3に記載の医薬組成物。
【0246】
5.モスネツズマブに対するPS20のモル比が約71である、実施形態4に記載の医薬組成物。
【0247】
6.モスネツズマブの濃度が約0.5mg/ml~約2mg/mlである、実施形態1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0248】
7.モスネツズマブの濃度が約1mg/mlである、実施形態6に記載の医薬組成物。
【0249】
8.製剤(DP)として製剤化されている、実施形態1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0250】
9.メチオニンの濃度が約2.5mM~約20mMである、実施形態1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0251】
10.メチオニンの濃度が約10mMである、実施形態9に記載の医薬組成物。
【0252】
11.緩衝剤が、ヒスチジン、リン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、またはそれらの組み合わせである、実施形態1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0253】
12.緩衝剤がヒスチジンである、実施形態11に記載の医薬組成物。
【0254】
13.ヒスチジンが酢酸ヒスチジンである、実施形態項12に記載の医薬組成物。
【0255】
14.緩衝剤の濃度が約8mM~約12mMである、実施形態1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0256】
15.緩衝剤の濃度が約10mMである、実施形態14に記載の医薬組成物。
【0257】
16.緩衝剤が、約8mM~約12mMの濃度の酢酸ヒスチジンである、実施形態1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0258】
17.酢酸ヒスチジンの濃度が約10mMである、実施形態16に記載の医薬組成物。
【0259】
18.等張化剤をさらに含む、実施形態1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0260】
19.等張化剤が、糖、アミノ酸または塩である、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0261】
20.等張化剤が糖である、実施形態19に記載の医薬組成物。
【0262】
21.糖が、スクロース、グルコース、グリセロールまたはトレハロースである、実施形態20に記載の医薬組成物。
【0263】
22.糖がスクロースである、実施形態21に記載の医薬組成物。
【0264】
23.等張化剤が、約100mM~約500mMの濃度である、実施形態18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0265】
24.等張化剤の濃度が約200mM~約300mMである、実施形態23に記載の医薬組成物。
【0266】
25.等張化剤の濃度が約240mMである、実施形態24に記載の医薬組成物。
【0267】
26.約4.5~約8のpHを有する、実施形態1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0268】
27.pHが約5.5~約6.1である、実施形態26に記載の医薬組成物。
【0269】
28.pHが約5.8である、実施形態27に記載の医薬組成物。
【0270】
29.モスネツズマブが、Fc領域の257位(EUナンバリング)にメチオニンを有し、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化が、40℃で2週間にわたって約10%未満である、実施形態1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0271】
30.Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化が、40℃で2週間にわたって約6%以下である、実施形態29に記載の医薬組成物。
【0272】
31.モスネツズマブ、界面活性剤、メチオニン、および担体を含む医薬組成物であって、約5.8のpHを有し、
(i)モスネツズマブの濃度が約10mg/ml以下であり、
(ii)界面活性剤の濃度が、約0.05%~約0.1%(w/v)であり、
(iii)メチオニンの濃度が約10mMである、医薬組成物。
【0273】
32.モスネツズマブに対する界面活性剤のモル比が100以下である、実施形態31に記載の医薬組成物。
【0274】
33.界面活性剤が、PS20またはポロキサマー188(P188)である、実施形態31または32に記載の医薬組成物。
【0275】
34.界面活性剤がPS20であり、PS20の濃度が約0.06%(w/v)である、実施形態33に記載の医薬組成物。
【0276】
35.モスネツズマブに対するPS20のモル比が約50~約100である、実施形態34に記載の医薬組成物。
【0277】
36.モスネツズマブに対するPS20のモル比が約71である、実施形態35に記載の医薬組成物。
【0278】
37.界面活性剤がP188であり、P188の濃度が約0.1%(w/v)である、実施形態33に記載の医薬組成物。
【0279】
38.モスネツズマブに対するP188のモル比が約5~約25である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0280】
39.モスネツズマブに対するP188のモル比が約17である、実施形態38に記載の医薬組成物。
【0281】
40.モスネツズマブの濃度が約0.5mg/ml~約2mg/mlである、実施形態31~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0282】
41.モスネツズマブの濃度が約1mg/mlである、実施形態40に記載の医薬組成物。
【0283】
42.DPとして製剤化されている、実施形態35~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0284】
43.約10mMの濃度の酢酸ヒスチジンおよび/または約240mMの濃度のスクロースをさらに含む、実施形態31~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0285】
44.単位剤形である、実施形態1~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0286】
45.単位剤形が希釈用液体製剤である、実施形態44に記載の医薬組成物。
【0287】
46.希釈用液体製剤が、約50mlの体積を有する容器に供給される、実施形態45に記載の医薬組成物。
【0288】
47.希釈用液体製剤が、約2mlの体積を有する容器に供給される、実施形態45に記載の医薬組成物。
【0289】
48.希釈用液体製剤の体積が20~40mlである、実施形態45または46に記載の医薬組成物。
【0290】
49.希釈用液体製剤の体積が約30mlである、実施形態48に記載の医薬組成物。
【0291】
50.希釈用液体製剤の体積が0.2~2mlである、実施形態45または47に記載の医薬組成物。
【0292】
51.希釈用液体製剤の体積が約1mlである、実施形態50に記載の医薬組成物。
【0293】
52.液体製剤が、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水で希釈するためのものである、実施形態45~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0294】
53.高精度液体粒子計数(HIAC)によって検出される1ml当たり2μm以上の直径を有する粒子が1,000個以下含まれる、実施形態1~52のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0295】
54.担体が水である、実施形態1~53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0296】
55.5℃±3℃で保存され、光から保護された場合に、少なくとも36ヶ月の保存可能期間を有する、実施形態1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0297】
56.1回以上の凍結-融解サイクルを通して安定である、実施形態1~55のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0298】
57.3回以上の凍結-融解サイクルを通して安定である、実施形態56に記載の医薬組成物。
【0299】
58.約25℃で約2週間以上安定である、実施形態1~57のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0300】
59.約25℃で約4週間以上安定である、実施形態58に記載の医薬組成物。
【0301】
60.-20℃で約48ヶ月以上安定である、実施形態1~59のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0302】
61.安定性がサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって評価される、実施形態56~60のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0303】
62.SE-HPLCによって測定して5%未満変化する純度を維持する場合に、安定であると判定される、実施形態61に記載の医薬組成物。
【0304】
63.安定性が、非還元キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)アッセイによって評価される、実施形態56~60のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0305】
64.非還元CE-SDSアッセイによって測定して5%未満変化する純度を維持する場合に、安定であると判定される、実施形態63に記載の医薬組成物。
【0306】
65.非還元CE-SDSアッセイがマイクロチップCE-SDS(mCE-SDS)アッセイである、実施形態63または64に記載の医薬組成物。
【0307】
66.SE-HPLCによって評価して約85%以上の純度を有する、実施形態1~65のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0308】
67.SE-HPLCによって評価して約90%以上の純度を有する、実施形態66に記載の医薬組成物。
【0309】
68.SE-HPLCによって評価して約95%以上の純度を有する、実施形態67に記載の医薬組成物。
【0310】
69.SE-HPLCによって評価される純度が、約5℃で約36ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、実施形態66~68のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0311】
70.SE-HPLCによって評価される純度が、約5℃で約42ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、実施形態69に記載の医薬組成物。
【0312】
71.SE-HPLCによって評価される純度が、約5℃で約64ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、実施形態70に記載の医薬組成物。
【0313】
72.非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約75%以上の純度を有する、実施形態1~71のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0314】
73.非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約80%以上の純度を有する、実施形態72に記載の医薬組成物。
【0315】
74.非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約85%以上の純度を有する、実施形態73に記載の医薬組成物。
【0316】
75.非還元CE-SDSアッセイによって評価される純度が、約5℃で約36ヶ月以上維持される、実施形態72~74のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0317】
76.非還元CE-SDSアッセイによって評価される純度が、約5℃で約42ヶ月以上維持される、実施形態75に記載の医薬組成物。
【0318】
77.非還元CE-SDSアッセイがマイクロチップCE-SDS(mCE-SDS)アッセイである、実施形態72~76のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0319】
78.静脈内投与用に製剤化されている、実施形態1~77のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0320】
79.保存剤を含有しない、実施形態1~78のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0321】
80.1mg/mlのモスネツズマブ、10mMのL-酢酸ヒスチジン、240mMのスクロース、0.06%(w/v)のPS20、および10mMのメチオニン、pH5.8を含み、0.45%または0.9%のNaClを含む生理食塩水で希釈した後、注入による投与のために製剤化されている、実施形態1~79のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0322】
81.医薬として使用するための、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0323】
82.がんの治療または進行の遅延を必要とする対象におけるがんの治療または進行の遅延における使用のための、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0324】
83.がんを有する対象における免疫機能の増強における使用のための、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0325】
84.がんの治療もしくは進行の遅延における使用のための、またはがんを有する対象における免疫機能の増強における使用のための実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤髄小B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のエプスタイン-バーウイルス(EBV)陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞白血病、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択される非ホジキンリンパ腫である、医薬組成物。
【0326】
85.NHLが、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである、実施形態84に記載の使用のための医薬組成物。
【0327】
86.NHLがFLである、実施形態85に記載の使用のための医薬組成物。
【0328】
87.FLが、再発性および/または難治性(R/R)である、実施形態86に記載の使用のための医薬組成物。
【0329】
88.R/R FLを有する対象が、少なくとも2回の事前の全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である、実施形態87に記載の使用のための医薬組成物。
【0330】
89.対象が、抗CD20モノクローナル抗体を含む事前の全身療法を受けたことがある、実施形態88に記載の使用のための医薬組成物。
【0331】
90.対象が、アルキル化剤を含む事前の全身療法を受けたことがある、実施形態88または89に記載の使用のための医薬組成物。
【0332】
91.モスネツズマブが、約0.1mg~約100mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態82~90のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【0333】
92.モスネツズマブが、約1mg~約60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態91に記載の使用のための医薬組成物。
【0334】
93.モスネツズマブが、約1mg、2mg、6mg、9mg、13.5mg、20mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態92に記載の使用のための医薬組成物。
【0335】
94.モスネツズマブが、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態93に記載の使用のための医薬組成物。
【0336】
95.0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水で希釈した後、対象への投与のために製剤化されている、実施形態82~94のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【0337】
96.生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が約0.01mg/ml~約0.3mg/mlである、実施形態95に記載の使用のための医薬組成物。
【0338】
97.生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである、実施形態96に記載の使用のための医薬組成物。
【0339】
98.少なくとも1つの追加の治療薬と組み合わせて使用するためのものである、実施形態82~97のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【0340】
99.少なくとも1つの追加の治療薬がPD-1軸結合アンタゴニストを含む、実施形態98に記載の使用のための医薬組成物。
【0341】
100.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、実施形態99に記載の使用のための医薬組成物。
【0342】
101.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-L1結合アンタゴニストである、実施形態100に記載の使用のための医薬組成物。
【0343】
102.PD-L1結合アンタゴニストが、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MDX-1105(BMS-936559)およびMEDI4736(デュルバルマブ)からなる群から選択される、実施形態101に記載の使用のための医薬組成物。
【0344】
103.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-1結合アンタゴニストである、実施形態100に記載の使用のための医薬組成物。
【0345】
104.PD-1結合アンタゴニストが、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ラムブロリズマブ)、AMG404、REGN2810(セミプリマブ)およびAMP-224からなる群から選択される、実施形態103に記載の使用のための医薬組成物。
【0346】
105.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-L2結合アンタゴニストである、実施形態100に記載の使用のための医薬組成物。
【0347】
106.PD-L2結合アンタゴニストが、抗体またはイムノアドヘシンである、実施形態105に記載の使用のための医薬組成物。
【0348】
107.少なくとも1つの追加の治療薬が、オビヌツズマブ、リツキシマブ、コルチコステロイドまたはトシリズマブを含む、実施形態98に記載の使用のための医薬組成物。
【0349】
108.少なくとも1つの追加の治療薬が抗体-薬物複合体(ADC)を含む、実施形態98に記載の使用のための医薬組成物。
【0350】
109.ADCが抗CD79b ADCである、実施形態108に記載の使用のための医薬組成物。
【0351】
110.抗CD79b ADCがポラツズマブベドチンである、実施形態109に記載の使用のための医薬組成物。
【0352】
111.静脈内投与用に製剤化されている、実施形態82~110のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【0353】
112.対象がヒトである、実施形態82~111のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【0354】
113.がんの治療または進行の遅延を必要とする対象においてがんを治療するかまたは進行を遅延させる方法であって、有効量の実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【0355】
114.がんを有する対象において免疫機能を増強させる方法であって、有効量の実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【0356】
115.がんの治療もしくは進行の遅延を必要とする対象においてがんを治療するかもしくは進行を遅延させるか、またはがんを有する対象において免疫機能を増強させる方法であって、有効量の実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含み、がんが、CLL、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、GCB DLBCL、ABC DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のEBV陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞白血病、FL、MCL、AML、MZL、SLL、LL、WM、CNSL、BL、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、MALTリンパ腫、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択されるNHLである、方法。
【0357】
116.NHLが、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである、実施形態115に記載の方法。
【0358】
117.NHLがFLである、実施形態116に記載の方法。
【0359】
118.FLが再発性および/または難治性(R/R)である、実施形態117に記載の方法。
【0360】
119.R/R FLを有する対象が、少なくとも2回の事前の全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である、実施形態118に記載の方法。
【0361】
120.対象が、抗CD20モノクローナル抗体を含む事前の全身療法を受けたことがある、実施形態119に記載の方法。
【0362】
121.対象が、アルキル化剤を含む事前の全身療法を受けたことがある、実施形態119または120に記載の方法。
【0363】
122.モスネツズマブが約0.1mg~約100mgの用量で対象に投与される、実施形態113~121のいずれか一項に記載の方法。
【0364】
123.モスネツズマブが、約1mg~約60mgの用量で投与される、実施形態122に記載の方法。
【0365】
124.モスネツズマブが、約1mg、2mg、6mg、9mg、13.5mg、20mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与される、実施形態123に記載の方法。
【0366】
125.モスネツズマブが、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与される、実施形態124に記載の方法。
【0367】
126.医薬組成物が、0.45%または0.9%(w/v)NaClを含む生理食塩水で希釈した後に対象に投与される、実施形態113~125のいずれか一項に記載の方法。
【0368】
127.生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が約0.01mg/ml~約0.3mg/mlである、実施形態126に記載の方法。
【0369】
128.生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである、実施形態127に記載の方法。
【0370】
129.モスネツズマブが、少なくとも3回の21日間の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与される、実施形態113~128のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1、8、および15日目にそれぞれ対象に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、および第3の用量(C1D3)を含み、C1D1が約1mgであり、C1D2が約2mgであり、C1D3が約60mgであり;
(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に対象に投与される単一用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、C2D1が、約60mgであり;
(c)第3の投与サイクルが、第3の投与サイクルの1日目に対象に投与される単回用量(C3D1)のモスネツズマブを含み、C3D1が約30mgである、方法。
【0371】
130.投与レジメンが、それぞれが約30mgの追加の単回用量のモスネツズマブを含む1回~14回の追加の投与サイクルを含む、実施形態129に記載の方法。
【0372】
131.投与レジメンが、1~5回の追加の投与サイクルを含む、実施形態130に記載の方法。
【0373】
132.投与レジメンが、5回の追加の投与サイクルを含む、実施形態131に記載の方法。
【0374】
133.各追加の単回用量のモスネツズマブが、各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与される、実施形態130~132のいずれか一項に記載の方法。
【0375】
134.対象に少なくとも1つの追加の治療薬を同時投与する、実施形態113~133のいずれか一項に記載の方法。
【0376】
135.少なくとも1つの追加の治療薬がPD-1軸結合アンタゴニストを含む、実施形態134に記載の方法。
【0377】
136.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、実施形態135に記載の方法。
【0378】
137.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-L1結合アンタゴニストである、実施形態136に記載の方法。
【0379】
138.PD-L1結合アンタゴニストが、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MDX-1105(BMS-936559)およびMEDI4736(デュルバルマブ)からなる群から選択される、実施形態137に記載の方法。
【0380】
139.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-1結合アンタゴニストである、実施形態136に記載の使用。
【0381】
140.PD-1結合アンタゴニストが、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ラムブロリズマブ)、AMG404、REGN2810(セミプリマブ)およびAMP-224からなる群から選択される、実施形態139に記載の方法。
【0382】
141.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-L2結合アンタゴニストである、実施形態136に記載の方法。
【0383】
142.PD-L2結合アンタゴニストが、抗体またはイムノアドヘシンである、実施形態141に記載の方法。
【0384】
143.少なくとも1つの追加の治療薬が、オビヌツズマブ、リツキシマブ、コルチコステロイドまたはトシリズマブを含む、実施形態134に記載の方法。
【0385】
144.少なくとも1つの追加の治療薬がADCを含む、実施形態134に記載の方法。
【0386】
145.ADCが抗CD79b ADCである、実施形態144に記載の方法。
【0387】
146.抗CD79b ADCがポラツズマブベドチンである、実施形態145に記載の方法。
【0388】
147.医薬組成物が静脈内投与される、実施形態113~146のいずれか一項に記載の方法。
【0389】
148.対象がヒトである、実施形態113~147のいずれか一項に記載の方法。
【0390】
149.がんの治療または進行の遅延を必要とする対象におけるがんの治療または進行の遅延のための医薬の製造における、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【0391】
150.がんを有する対象における免疫機能を増強させるための医薬の製造における、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【0392】
151.がんの治療または進行の遅延を必要とする対象におけるがんの治療または進行の遅延のための、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【0393】
152.がんを有する対象における免疫機能の増強のための、実施形態1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【0394】
153.がんが、CLL、B細胞リンパ腫、脾臓びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、GCB DLBCL、ABC DLBCL、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL(脚型)、高齢者のEBV陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞白血病、FL、MCL、AML、MZL、SLL、LL、WM、CNSL、BL、B細胞前リンパ球性白血病、脾臓辺縁帯リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、脾臓リンパ腫/白血病、ヘアリー細胞白血病バリアント、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、MALTリンパ腫、結節性辺縁帯リンパ腫、小児結節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、形質芽球性リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫からなる群から選択されるNHLである、実施形態149~152のいずれか一項に記載の使用。
【0395】
154.NHLが、GCB DLBCL、ABC DLBCL、FL、MCL、AML、CLL、MZL、SLL、LL、WM、CNSLまたはBLである、実施形態153に記載の使用。
【0396】
155.NHLがFLである、実施形態154に記載の使用。
【0397】
156.FLが再発性および/または難治性(R/R)である、実施形態155に記載の使用。
【0398】
157.R/R FLを有する対象が、少なくとも2回の事前の全身療法後に再発したか、またはそれに対して抵抗性である、実施形態156に記載の使用。
【0399】
158.抗CD20モノクローナル抗体を含む事前の全身療法を受けたことがある、実施形態157に記載の使用。
【0400】
159.対象が、アルキル化剤を含む事前の全身療法を受けたことがある、実施形態157または158に記載の方法。
【0401】
160.モスネツズマブが、約0.1mg~約100mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態149~159のいずれか一項に記載の使用。
【0402】
161.モスネツズマブが、約1mg~約60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態160に記載の使用。
【0403】
162.モスネツズマブが、約1mg、2mg、6mg、9mg、13.5mg、20mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態161に記載の使用。
【0404】
163.モスネツズマブが、約1mg、2mg、30mgまたは60mgの用量で対象に投与するために製剤化されている、実施形態162に記載の使用。
【0405】
164.医薬組成物が、0.45%または0.9%(w/v)のNaClを含む生理食塩水で希釈した後、対象への投与のために製剤化されている、実施形態149~163のいずれか一項に記載の使用。
【0406】
165.生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が約0.01mg/ml~約0.3mg/mlである、実施形態164に記載の使用。
【0407】
166.生理食塩水で希釈した後、モスネツズマブの濃度が、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.04mg/ml、約0.12mg/ml、約0.24mg/ml、または約0.3mg/mlである、実施形態165に記載の使用。
【0408】
167.対象が少なくとも1つの追加の治療薬と同時投与される、実施形態149~166のいずれか一項に記載の使用。
【0409】
168.少なくとも1つの追加の治療薬がPD-1軸結合アンタゴニストを含む、実施形態167に記載の使用。
【0410】
169.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、実施形態168に記載の使用。
【0411】
170.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-L1結合アンタゴニストである、実施形態169に記載の使用。
【0412】
171.PD-L1結合アンタゴニストが、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MDX-1105(BMS-936559)およびMEDI4736(デュルバルマブ)からなる群から選択される、実施形態170に記載の使用。
【0413】
172.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-1結合アンタゴニストである、実施形態169に記載の使用。
【0414】
173.PD-1結合アンタゴニストが、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ラムブロリズマブ)、AMG404、REGN2810(セミプリマブ)およびAMP-224からなる群から選択される、実施形態172に記載の使用。
【0415】
174.PD-1軸結合アンタゴニストがPD-L2結合アンタゴニストである、実施形態169に記載の使用。
【0416】
175.PD-L2結合アンタゴニストが、抗体またはイムノアドヘシンである、実施形態174に記載の使用。
【0417】
176.少なくとも1つの追加の治療薬が、オビヌツズマブ、リツキシマブ、コルチコステロイドまたはトシリズマブを含む、実施形態167に記載の使用。
【0418】
177.少なくとも1つの追加の治療薬がADCを含む、実施形態167に記載の使用。
【0419】
178.ADCが抗CD79b ADCである、実施形態177に記載の使用。
【0420】
179.抗CD79b ADCがポラツズマブベドチンである、実施形態178に記載の使用。
【0421】
180.医薬組成物が静脈内投与される、実施形態149~179のいずれか一項に記載の使用。
【0422】
181.対象がヒトである、実施形態149~180のいずれか一項に記載の使用。
【0423】
182.モスネツズマブが、少なくとも3回の21日間の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与される、実施形態82~97のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、または実施形態149~166のいずれか一項に記載の使用であって、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1、8、および15日目にそれぞれ対象に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、および第3の用量(C1D3)を含み、C1D1が約1mgであり、C1D2が約2mgであり、C1D3が約60mgであり;
(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に対象に投与される単一用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、C2D1が、約60mgであり;
(c)第3の投与サイクルが、第3の投与サイクルの1日目に対象に投与される単回用量(C3D1)のモスネツズマブを含み、C3D1が約30mgである、使用のための医薬組成物、または使用。
【0424】
183.投与レジメンが、それぞれが約30mgの追加の単回用量のモスネツズマブを含む1回~14回の追加の投与サイクルを含む、実施形態182に記載の使用のための医薬組成物、または使用。
【0425】
184.投与レジメンが、1~5回の追加の投与サイクルを含む、実施形態183に記載の使用のための医薬組成物、または使用。
【0426】
185.投与レジメンが、5回の追加の投与サイクルを含む、実施形態184に記載の使用のための医薬組成物、または使用。
【0427】
186.各追加の単回用量のモスネツズマブが、各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与される、実施形態182~185のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、または使用。
【0428】
187.医薬組成物が静脈内投与される、実施形態182~186のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、または使用。
【0429】
188.対象がヒトである、実施形態182~187のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、または使用。
【0430】
その他の実施態様
前述の開示は、理解を明確にするために例示および例としてある程度詳細に説明されているが、説明および例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許および科学文献の開示内容は、その全体が出典明示により本明細書に援用される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1mg/mLのモスネツズマブ、
約10mMのL-ヒスチジン、約240mMのスクロース、約0.06%(w/v)のPS20
、および約10mMのメチオニン
を含む医薬組成物であって、
医薬組成物が約5.8のpHを有する、医薬組成物。
【請求項2】
医薬組成物が、単位剤形である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
モスネツズマブが、Fc領域の257位(EUナンバリング)にメチオニンを有し、Fc領域の257位におけるメチオニンの酸化が、40℃で2週間にわたって約10%未満である、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
単位剤形が、希釈用液体製剤である、請求項
2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
希釈用液体製剤が、約50mlの体積を有する容器に供給される、請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が、
(a)5℃±3℃で保存され、光から保護された場合に、少なくとも36ヶ月の保存可能期間を有する、
(b)1回以上の凍結-融解サイクルを通して安定である、
(c)約25℃で約2週間以上安定である、または
(d)-20℃で約48ヶ月以上安定である、
請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
安定性が、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって評価される、または、非還元キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)アッセイによって評価される、請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
(a)医薬組成物が、SE-HPLCによって測定して5%未満変化する純度を維持する場合に、安定であると判定される、
(b)医薬組成物が、SE-HPLCによって評価して約85%以上の純度を有する、
(c)SE-HPLCによって評価される医薬組成物の純度が、約5℃で約36ヶ月以上にわたってほぼ同じに維持される、
(d)医薬組成物が、非還元CE-SDSアッセイによって測定して5%未満変化する純度を維持する場合に、安定であると判定される、
(e)医薬組成物が、非還元CE-SDSアッセイによって評価される場合、約75%以上の純度を有する、または
(f)非還元CE-SDSアッセイによって評価される医薬組成物の純度が、約5℃で約36ヶ月以上維持される、
請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物が、0.45%または0.9%のNaClを含む通常の生理食塩水で希釈した後、注入による投与のために製剤化されている、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物が、酢酸ヒスチジンをさらに含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が、製剤(DP)として製剤化されている、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬組成物が、静脈内投与用に製剤化されている、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物が、注入による投与のために製剤化されている、請求項
12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物が、保存剤を含有しない、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
希釈用液体製剤の体積が20~40mlである、請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項16】
医薬組成物が、高精度液体粒子計数(HIAC)によって検出される1ml当たり2μm以上の直径を有する粒子を1,000個以下含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
希釈用液体製剤の体積が0.2~2mlである、請求項
4に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】