(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】アンモニア排出制御が改善されたガソリン排気ガス処理のための触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20241018BHJP
B01J 23/46 20060101ALI20241018BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B01J29/76 A
B01J23/46 311A
B01D53/94 280
B01D53/94 245
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514417
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 GB2022052726
(87)【国際公開番号】W WO2023079264
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー、ガイ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】コンテ、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】フェランド、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】長岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シアオルイ
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA07
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(57)【要約】
改善されたアンモニア排出制御を有する三元触媒物品、及びガソリンエンジンのための排気システムにおけるその使用が開示される。ガソリンエンジンからの排気ガスを処理するための触媒物品であって、軸方向長さLを有する入口端部及び出口端部を含む、基材と、入口端部で始まる第1の触媒領域であって、第1の触媒領域が、第1のゼオライトを含む、第1の触媒領域と、出口端部で始まる第2の触媒領域であって、第2の触媒領域が、第2の白金族金属(PGM)成分、第2の酸素吸蔵能(OSC)材料、及び第2の無機酸化物を含む、第2の触媒領域と、を備え、第2のPGM成分が、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、触媒物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンエンジンからの排気ガスを処理するための触媒物品であって、
軸方向長さLを有する、入口端部、出口端部を備える基材と、
前記入口端部で始まる第1の触媒領域であって、前記第1の触媒領域が、第1のゼオライトを含む、第1の触媒領域と、
前記出口端部で始まる第2の触媒領域であって、前記第2の触媒領域が、第2の白金族金属(PGM)成分、第2の酸素吸蔵能(OSC)材料、及び第2の無機酸化物を含む、第2の触媒領域と、を備え、
前記第2のPGM成分が、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、触媒物品。
【請求項2】
前記第1の触媒領域が、前記軸方向長さL未満にわたって延在する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記第1の触媒領域が、前記軸方向長さLの30~90%にわたって延在する、請求項1又は2に記載の触媒物品。
【請求項4】
前記第2の触媒領域が、前記軸方向長さLの30~90%にわたって延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項5】
前記第2の触媒領域が、前記第1の触媒領域と重なっている、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項6】
前記第2の触媒領域が、前記軸方向長さLの5~40%にわたって、前記第1の触媒領域と重なっている、請求項6に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記第2の触媒領域が、前記第1の触媒領域と重なっていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項8】
前記第1の触媒領域及び前記第2の触媒領域の全長が、100%Lに等しい、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項9】
前記第1の触媒領域及び前記第2の触媒領域の全長が、100%L未満である、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項10】
前記第1の触媒領域が、Fe、Cu、Mn、Co、Ni、Zn、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の遷移金属をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項11】
前記第1の遷移金属が、Cu及び/又はFeである、請求項10に記載の触媒物品。
【請求項12】
Feが、前記第1のゼオライトの重量に基づいて0.01~20重量%である、請求項11に記載の触媒物品。
【請求項13】
Cuが、前記第1のゼオライトの重量に基づいて0.01~20重量%である、請求項11に記載の触媒物品。
【請求項14】
前記第1のゼオライトが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATT、BCT、BEA、BEC、BOF、BOG、BRE、CAN、CDO、CFI、CGS、CHA、CHI、CON、DAC、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、FER、GIS、GOD、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MFI、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZONからなる群から選択される骨格型を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項15】
前記第1のゼオライトが、AEI、BEA、CHA、FER、FAU、MFA、又はLEVから選択される骨格型を有する、請求項14に記載の触媒物品。
【請求項16】
前記第1の触媒領域が、0.5~3.5g/in
3のウォッシュコート担持量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項17】
前記第2のOSC材料が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、セリア-ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項18】
前記第2のOSC材料が、前記セリア-ジルコニア混合酸化物を含む、請求項17に記載の触媒物品。
【請求項19】
前記第2の無機酸化物が、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ、ランタン、イットリウム、ネオジム、プラセオジム酸化物、及びそれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項20】
前記第2の無機酸化物が、アルミナ、ランタナ/アルミナ複合酸化物、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物である、請求項19に記載の触媒物品。
【請求項21】
前記第2の触媒領域が、第2のアルカリ金属又はアルカリ土類金属をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項22】
前記第2のアルカリ金属又はアルカリ土類金属が、バリウム又はストロンチウムである、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項23】
第3の触媒領域をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項24】
前記第3の触媒領域が、前記出口端部で始まり、前記軸方向長さL未満にわたって延在する、請求項23に記載の触媒物品。
【請求項25】
前記第3の触媒領域が、第3のPGM成分、第3の酸素吸蔵能(OSC)材料、第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属成分、及び/又は第3の無機酸化物を含む、請求項23又は24に記載の触媒物品。
【請求項26】
前記基材が、フロースルーモノリス又はウォールフローフィルタである、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項27】
前記第2の触媒領域が、前記基材上に直接担持/堆積されている、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の触媒物品を含む、ガソリンエンジンの排気ガスの流れを処理するための排出物処理システム。
【請求項29】
前記触媒物品の上流にあるTWC物品をさらに備える、請求項28に記載の排出物処理システム。
【請求項30】
ガソリンエンジンからの排気ガスを処理する方法であって、前記排気ガスを、請求項1~27のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンエンジンからの排気ガス排出物を処理するのに有用な触媒物品に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関では、炭化水素(hydrocarbon、HC)、一酸化炭素(carbon monoxide、CO)、及び窒素酸化物(nitrogen oxide、NOx)を含む、様々な汚染物質を含有する排気ガスが生成される。排気ガス触媒的転化触媒を含む排出制御システムは、大気に排出されるこれらの汚染物質の量を低減するために広く利用されている。ガソリンエンジンの排気物処理に通常使用される触媒は、TWC(three way catalyst、三元触媒)である。TWCにより、次の3つの主な役割:(1)COの酸化、(2)未燃HCの酸化、及び(3)NOxの還元が果たされる。しかしながら、アンモニア(NH3)は、TWCを使用してNOxを還元する際の副生成物であることが認識されている。したがって、NH3は、二次的な無機エアロゾル形成などの新たな汚染物質排出問題を引き起こし、これにより、空気の品質の劣化を引き起こす場合がある。将来の排出制御の法律は、ガソリンエンジンからのNH3の排出を制限することが期待される。
【0003】
将来の規制を満たし、NH3排出を制御下におくために、他の研究者らは、ヘビーデューティディーゼル(heavy duty diesel、HDD)後処理システムにおける典型的な排出制御アプローチであるアンモニアスリップ触媒(ammonia slip catalyst、ASC)を使用することを試みてきた。しかしながら、燃料源における異なる組成(ディーゼル対ガソリン)及び異なる操作条件(リーン対化学量論的)に起因して、典型的なASC設計は、化学量論的ガソリンエンジンに対するNH3排出制御のためには全く機能しない。したがって、化学量論的ガソリンエンジンからの排気ガス排出を処理するように特に設計された、改善されたNH3排出制御触媒が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、ガソリンエンジンからの排気ガスを処理するための触媒物品であって、軸方向長さLを有する、入口端部、出口端部を備える基材と、入口端部で始まる第1の触媒領域であって、第1の触媒領域が、第1のゼオライトを含む、第1の触媒領域と、出口端部で始まる第2の触媒領域であって、第2の触媒領域が、第2の白金族金属(platinum group metal、PGM)成分、第2の酸素吸蔵能(oxygen storage capacity、OSC)材料、及び第2の無機酸化物を含む、第2の触媒領域と、を備え、第2のPGM成分が、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、触媒物品に関する。
【0005】
本発明はまた、本発明の触媒物品を含む、ガソリンエンジンのための排出システムを包含する。
【0006】
本発明はまた、ガソリンエンジンからの排気ガスを処理することを包含する。本方法は、排気ガスを本発明の触媒物品と接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の触媒領域が、上部層として、軸方向長さLの100%に延在し、第2の触媒領域が、底部層として、軸方向長さLの100%に延在する、本発明による一実施形態を示す。
【
図2a】第1の触媒領域が、入口端部から軸方向長さLの100%未満に延在し、第2の触媒領域が、出口端部から軸方向長さLの100%未満に延在する、本発明による一実施形態を示す。第2の触媒領域及び第1の触媒領域の全長は、軸方向長さLに等しい。
【
図2b】第1の触媒領域が、入口端部から軸方向長さLの100%未満に延在し、第2の触媒領域が、出口端部から軸方向長さLの100%に延在する、本発明による一実施形態を示す。第2の触媒領域及び第1の触媒領域の全長は、軸方向長さLよりも大きい。
【
図2c】第1の触媒領域が、入口端部から軸方向長さLの100%未満に延在し、第2の触媒領域が、出口端部から軸方向長さLの100%に延在する、本発明による一実施形態を示す。第2の触媒領域及び第1の触媒領域の全長は、軸方向長さLよりも大きい。
【
図2d】第1の触媒領域が、入口端部から軸方向長さLの100%未満に延在し、第2の触媒領域が、出口端部から軸方向長さLの100%未満に延在する、本発明による一実施形態を示す。第2の触媒領域及び第1の触媒領域の全長は、軸方向長さL未満である。
【
図3a】第1の触媒領域が、入口端部から軸方向長さLの100%未満に延在し、第2の触媒領域が、出口端部から軸方向長さLの100%未満に延在する、本発明による一実施形態を示す。第2の触媒領域及び第1の触媒領域の全長は、軸方向長さLに等しい。第3の触媒領域は、出口端部から軸方向長さLの100%未満に延在する。
【
図3b】第1の触媒領域が、上部層として、軸方向長さLの100%に延在し、第2の触媒領域が、底部層として、軸方向長さLの100%に延在し、第3の触媒領域が、中間層として、軸方向長さLの100%に延在する、本発明による一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、化学量論的CNGエンジンによって生成されるものなどの排気ガスの触媒処理、並びに関連する触媒物品及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、アンモニア排出の抑制、並びに車両排気システムにおけるNOx、CO、及びHCの同時処理に関する。
【0009】
本開示の一態様は、ガソリンエンジンからの排気ガスを処理するための触媒物品であって、軸方向長さLを有する、入口端部、出口端部を備える基材と、入口端部で始まる第1の触媒領域であって、第1の触媒領域が、第1のゼオライトを含む、第1の触媒領域と、出口端部で始まる第2の触媒領域であって、第2の触媒領域が、第2の白金族金属(PGM)成分、第2の酸素吸蔵能(OSC)材料、及び第2の無機酸化物を含む、第2の触媒領域と、を備え、第2のPGM成分が、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、触媒物品に関する。
【0010】
第1の触媒領域
第1のゼオライトは、シリカ質ゼオライトなどのシリカ含有ゼオライトであってもよく、アルミノシリケートゼオライト、金属置換アルミノシリケートゼオライト、アルミノホスフェート(AIPO)ゼオライト、金属置換(MeAIPO)ゼオライト、シリコアルミノホスフェート(silico-aluminophosphate、SAPO)、若しくは金属置換シリコアルミノホスフェート(MeAPSO)、又はZr、Pによる修飾ゼオライトと呼ばれることもある。ゼオライトは、アルミノシリケート又はシリコアルミノホスフェート(SAPO)ゼオライトであることが好ましい。より好ましくは、ゼオライトは、アルミノシリケートである。
【0011】
ゼオライトは、微孔性又は微孔性ゼオライトであってもよく、好ましくは、ゼオライトは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATT、BCT、BEA、BEC、BOF、BOG、BRE、CAN、CDO、CFI、CGS、CHA、CHI、CON、DAC、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、FER、GIS、GOD、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MFI、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZONからなる群から選択される骨格型を有する。前述の3文字のコードのそれぞれは、「IUPAC Commission on zeolite Nomenclature」及び/又はCommission of the international Zeolite Associationの構造に準拠した骨格型を表す。より好ましくは、第1のゼオライトは、AEI、BEA、CHA、FER、FAU、MFA、又はLEVから選択される骨格型を有する。いくつかの実施形態では、第1のゼオライトは、AEI、BEA、FER、LEV、又はCHAであり得る。さらなる実施形態では、第1のゼオライトは、LEV、FER、CHA、又はAEIであり得る。なおさらなる実施形態では、第1のゼオライトは、FER、AEI、又はCHAであり得る。別のさらなる実施形態では、第1のゼオライトは、FERであり得る。別のさらなる実施形態では、第1のゼオライトは、AEIであり得る。別のさらなる実施形態では、第1のゼオライトは、CHAであり得る。一般に、第1のゼオライトは、2~500、好ましくは4~250、より好ましくは8~150のシリカ対アルミナ比(silica-to-alumina ratio、SAR)を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のゼオライトは、8~40のSAR範囲を有するFER又はCHA又はAEIである。さらなる実施形態では、第1のゼオライトは、10~30のSAR範囲を有するFER又はCHA又はAEIである。
【0012】
特定の実施形態では、第1の触媒領域は、Fe、Cu、Co、Mn、Ni、Zn、Ce、Mo、Ag、及び任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る第1の遷移金属をさらに含み得る。さらなる実施形態では、第1の遷移金属は、Ce、Mn、Cu、Co、Ni又はFe、及び任意の2つ以上の組み合わせから選択することができる。さらに他の実施形態では、第1の遷移金属は、Cu及び/又はFeであり得る。特定の実施形態では、第1の遷移金属は、0.01~20重量%、好ましくは、0.1~15重量%、より好ましくは、第1のゼオライトの重量に基づいて0.5~10重量%、さらにより好ましくは、第1のゼオライトの重量に基づいて、1~9重量%又は2~8重量%である。
【0013】
特定の実施形態では、第1の触媒領域は、軸方向長さLの100%にわたって延在し得る。他の実施形態では、第1の触媒領域は、軸方向長さLの30~90%、40~80%、又は40~60%にわたって延在し得る。あるいは、第1の触媒領域は、軸方向長さLの30~80%又は30~70%にわたって延在し得る。
【0014】
第1の触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、3.5g/in3未満、好ましくは3.0g/in3未満、又は2.5g/in3未満であり得る。あるいは、第1の触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、0.5~3.5g/in3であってもよく、好ましくは、0.6~3g/in3又は0.7~2.8g/in3であってもよい。
【0015】
第2の触媒領域
いくつかの実施形態では、第2のPGM成分は、Pd及びRhであり得る。他の実施形態では、第2のPGM成分は、Pt及びRhであり得る。なお別の実施形態では、第2のPGM成分は、Ptであり得る。
【0016】
第2のOSC材料は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、セリア-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物、又はこれらの組み合わせであり得る。より好ましくは、第2のOSC材料は、セリア-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。加えて、第2のOSC材料は、ランタン、ネオジム、プラセオジム、イットリウムなどのようなドーパントのうちの1つ以上をさらに含み得る。さらに、第2のOSC材料は、第2のPGM成分に対する担体材料としての機能を有し得る。いくつかの実施形態では、第2のOSC材料は、セリア-ジルコニア混合酸化物及びアルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物を含む。
【0017】
セリア-ジルコニア混合酸化物は、少なくとも50:50、好ましくは、60:40より高く、より好ましくは、65:35より高い二酸化ジルコニア対二酸化セリアの重量比を有し得る。あるいは、セリア-ジルコニア混合酸化物はまた、50:50未満、好ましくは、40:60未満、より好ましくは、35:65未満の二酸化セリア対二酸化ジルコニアの重量比を有し得る。
【0018】
第2のOSC材料(例えば、セリア-ジルコニア混合酸化物)は、第2の触媒領域の総ウォッシュコート担持量に基づいて、10~90重量%、好ましくは20~90重量%、より好ましくは30~90重量%であり得る。
【0019】
第2の触媒領域における第2のOSC材料担持量は、2g/in3未満であり得る。いくつかの実施形態では、第2の触媒領域における第2のOSC材料担持量は、2g/in3以下、1.5g/in3以下、1.2g/in3以下、1.0g/in3以下、又は0.8g/in3以下である。
【0020】
第2の無機酸化物は、好ましくは、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族、及び第14族の元素の酸化物である。第2の無機酸化物は、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ、ランタン、イットリウム、ネオジム、プラセオジムの酸化物、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択される。特に好ましくは、第2の無機酸化物は、アルミナ、ランタン-アルミナ、ジルコニア、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物である。1つの特に好ましい第2の無機酸化物は、アルミナ又はランタン-アルミナである。
【0021】
第2のOSC材料と第2の無機酸化物とは、10:1以下、好ましくは8:1以下、より好ましくは5:1以下、最も好ましくは4:1以下の重量比を有し得る。
【0022】
あるいは、第2のOSC材料と第2の無機酸化物とは、10:1~1:10、好ましくは8:1~1:8、より好ましくは5:1~1:5、最も好ましくは4:1~1:4の重量比を有し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の触媒領域は、第2のアルカリ金属又はアルカリ土類金属をさらに含まなくてもよい。
【0024】
第2のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、好ましくはバリウム、ストロンチウム、これらの混合酸化物又は複合酸化物である。好ましくは、バリウム又はストロンチウムは、存在する場合、第2の触媒領域の総重量に基づいて、0.1~15重量%、より好ましくは3~10重量%のバリウム又はストロンチウムの量である。
【0025】
好ましくは、バリウム又はストロンチウムはBaCO3又はSrCO3として存在する。このような材料は、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、初期湿潤含浸又は噴霧乾燥によって実施することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2の触媒領域は、第2のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を実質的に含まない。さらなる実施形態では、第2の触媒領域は、第2のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を実質的に含まないか、又は含まない。
【0027】
特定の実施形態では、第1の触媒領域は、軸方向長さLの100%にわたって延在し得る。他の実施形態では、第2の触媒領域は、軸方向長さLの30~90%、40~80%、又は40~70%にわたって延在し得る。あるいは、第2の触媒領域は、軸方向長さLの40~90%、好ましくは、軸方向長さLの45~60%にわたって延在し得る。あるいは、第2の触媒領域は、軸方向長さLの90%以下、85%以下、80%以下、又は75%以下であり得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の触媒領域は、第1の触媒領域と重なっていてもよい。さらなる実施形態では、第2の触媒領域は、軸方向長さLの5~40%にわたって、第1の触媒領域と重なっていてもよい。好ましくは、第2の領域及び第1の領域の全長は、軸方向長さL以下であってもよい。特定の実施形態では、第1の触媒領域及び第2の触媒領域の全長は、100%Lに等しい。他の実施形態では、第1の触媒領域及び第2の触媒領域の全長は、100%L未満、例えば、軸方向長さLの99%以下、95%以下、85%以下、又は80%以下である。
【0029】
特定の実施形態では、第2の触媒領域は、基材上に直接担持/堆積され得る。
【0030】
第2の触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、3.5g/in3未満、好ましくは3.0g/in3未満、又は2.5g/in3未満であり得る。あるいは、第2の触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、0.5~3.5g/in3であってもよく、好ましくは、0.6~3.5g/in3又は0.7~3.0g/in3であってもよい。
【0031】
第3の触媒領域
触媒物品は、第3の触媒領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、第3の触媒領域は、出口端部で始まってもよい。さらなる実施形態では、第3の触媒領域は、軸方向長さLにわたって延在し得る。他の実施形態では、第3の触媒領域は、軸方向長さLの100%未満にわたって延在し得る。
【0032】
第3の触媒領域は、第3のPGM成分、第3の酸素吸蔵能(OSC)材料、第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属成分、及び/又は第3の無機酸化物をさらに含み得る。
【0033】
第3のPGM成分は、白金、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、第3のPGM成分は、パラジウム、ロジウム、又はこれらの混合物であり得る。別の実施形態では、第3のPGM成分は、白金、ロジウム、又はこれらの混合物であり得る。
【0034】
第3のOSC材料は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、セリア-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物、又はこれらの組み合わせであり得る。より好ましくは、第3のOSC材料は、セリア-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。加えて、第3のOSC材料は、ランタン、ネオジム、プラセオジム、イットリウムなどのようなドーパントのうちの1つ以上をさらに含み得る。さらに、第3のOSC材料は、第3のPGM成分に対する担体材料としての機能を有し得る。いくつかの実施形態では、第3のOSC材料は、セリア-ジルコニア混合酸化物及びアルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物を含む。
【0035】
セリア-ジルコニア混合酸化物は、少なくとも50:50、好ましくは、60:40より高く、より好ましくは、65:35より高い二酸化ジルコニア対二酸化セリアの重量比を有し得る。あるいは、セリア-ジルコニア混合酸化物はまた、50:50未満、好ましくは、40:60未満、より好ましくは、35:65未満の二酸化セリア対二酸化ジルコニアの重量比を有し得る。
【0036】
第3のOSC材料(例えば、セリア-ジルコニア混合酸化物)は、第3の触媒領域の総ウォッシュコート担持量に基づいて、10~90重量%、好ましくは25~75重量%、より好ましくは30~60重量%であり得る。
【0037】
第3の触媒領域における第3のOSC材料担持量は、2g/in3未満であり得る。いくつかの実施形態では、第2の触媒領域における第3のOSC材料担持量は、2.0g/in3以下、1.5g/in3以下、1.2g/in3以下、1.0g/in3以下、又は0.8g/in3以下である。
【0038】
第3の触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、3.5g/in3未満、好ましくは3.0g/in3以下、2.5g/in3以下、又は2g/in3以下であり得る。
【0039】
第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、好ましくはバリウム、ストロンチウム、これらの混合酸化物又は複合酸化物である。好ましくは、バリウム又はストロンチウムは、存在する場合、第3の触媒領域の総重量に基づいて、0.1~15重量%、より好ましくは3~10重量%のバリウム又はストロンチウムの量である。
【0040】
第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、バリウムであることがさらにより好ましい。バリウムは、存在する場合、第3の触媒領域の総重量に基づいて、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは3~10重量%の量で存在する。
【0041】
また、第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、バリウム及びストロンチウムの混合酸化物又は複合酸化物であることが好ましい。好ましくは、バリウム及びストロンチウムの混合酸化物又は複合酸化物は、第3の触媒領域の総重量に基づいて、0.1~15重量%、より好ましくは3~10重量%の量で存在する。第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、バリウム及びストロンチウムの複合酸化物であることがより好ましい。
【0042】
好ましくは、バリウム又はストロンチウムはBaCO3又はSrCO3として存在する。このような材料は、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、初期湿潤含浸又は噴霧乾燥によって実施することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第3の触媒領域は、第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を実質的に含まない。さらなる実施形態では、第3の触媒領域は、第3のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を実質的に含まないか、又は含まない。
【0044】
第3の無機酸化物は、好ましくは、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族、及び第14族の元素の酸化物である。第3の無機酸化物は、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ、ランタン、ネオジム、プラセオジム、イットリウムの酸化物、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択される。特に好ましくは、第3の無機酸化物は、アルミナ、ランタン-アルミナ、ジルコニア、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物である。1つの特に好ましい第3の無機酸化物は、アルミナ又はランタン-アルミナである。
【0045】
第3のOSC材料及び第3の無機酸化物は、10:1以下、好ましくは、8:1以下又は5:1以下、より好ましくは、5:1以下、最も好ましくは4:1以下の重量比を有し得る。
【0046】
あるいは、第3のOSC材料と第3の無機酸化物とは、10:1~1:10、好ましくは8:1~1:8、又はより好ましくは5:1~1:5又は、最も好ましくは4:1~1:4の重量比を有し得る。
【0047】
第3の触媒領域は、軸方向長さLの100%にわたって延在し得る。(例えば、
図3bを参照)。あるいは、第3の触媒領域は、軸方向長さL未満、例えば、軸方向長さLの95%以下、90%以下、80%以下、又は70%以下であり得る(例えば、
図3aを参照)。
【0048】
基材
好ましくは、基材は、フロースルーモノリスである。
【0049】
基材は、長さ8インチ未満、好ましくは2~6インチであり得る。
【0050】
フロースルーモノリス基材は、第1の面と、第2の面と、を有し、それらの間に長手方向を画定する。フロースルーモノリス基材は、第1の面と第2の面との間に延在する、複数のチャネルを有する。複数のチャネルは、長手方向に延在し、複数の内側表面(例えば、各チャネルを画定するウォールの表面)を提供する。複数のチャネルの各々は、第1の面にある開口部と、第2の面にある開口部と、を有する。誤解を回避するために、フロースルーモノリス基材はウォールフローフィルタではない。
【0051】
第1の面は、典型的には基材の入口端部にあり、第2の面は基材の出口端部にある。
【0052】
チャネルは、一定の幅のものであり得、各複数のチャネルは、均一なチャネル幅を有し得る。
【0053】
好ましくは、長手方向に直交する平面内で、モノリス基材は、1平方インチ当たり300~900のチャネル、好ましくは400~800のチャネルを有する。例えば、第1の面上において、開いている第1のチャネル及び閉じている第2のチャネルの密度は、1平方インチ当たり600~700チャネルである。チャネルは、矩形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、又は他の多角形形状である断面を有し得る。
【0054】
モノリス基材は、触媒材料を保持するための担体として作用する。モノリス基材を形成するのに好適な材料としては、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア若しくはケイ酸ジルコニウムなどのセラミック様材料、又は多孔質の耐火性金属が挙げられる。多孔質モノリス基材の製造におけるそのような材料及びそれらの使用は、当該技術分野において周知である。
【0055】
本明細書に記載のフロースルーモノリス基材は、単一の構成要素(すなわち、単一のれんが状の塊)であることに留意されたい。それにもかかわらず、排出物処理システムを形成する場合、使用される基材は、複数のチャネルを一緒に接着することによって、又は本明細書に記載のように複数のより小さい基材を一緒に接着することによって、形成され得る。このような技術は、排出物処理システムの好適なケーシング及び構成とともに、当該技術分野において周知である。
【0056】
本発明の触媒物品がセラミック基材を含む実施形態では、セラミック基材は、任意の好適な耐火性材料、例えば、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート及びメタロイドアルミノシリケート(コーディエライト及びスポジュメンなど)、又はこれらのいずれか2つ以上の混合物若しくは混合酸化物で作製され得る。コーディエライト、マグネシウムアルミノシリケート、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0057】
本発明の触媒物品が金属基材を含む実施形態では、金属基材は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びに鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを他の微量金属に加えて含有するフェライト合金で作製され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の触媒領域は、第2の(又は任意選択的に第3の)触媒領域とは異なる基材上に位置し得る。
【0059】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の触媒物品を使用する、NOx、CO、HC、及びアンモニアを含有する、ガソリンエンジンからの車両排気ガスを処理するための方法に関する。本発明に従って作製された試験触媒は、従来のTWCと比較して、有意に改善されたNH3制御性能を示した(例えば、実施例4、並びに実施例9及び10を参照)。
【0060】
本開示の別の態様は、システムを通じて排気ガスを移送するための導管とともに本明細書に記載される触媒物品を含む、車両排気ガスを処理するためのシステムに関する。
【0061】
いくつかの実施形態では、システムは、TWC物品をさらに含み得る。さらなる実施形態では、TWC物品は、第1の態様の触媒物品の上流にある。特定の実施形態では、第1の態様の上流のTWC物品及び触媒物品は、異なる基材上にあってもよい。他の実施形態では、第1の態様の上流のTWC物品及び触媒物品は、同じ基材上にあってもよい。
【0062】
定義
本明細書で使用される「領域」という用語は、典型的にはウォッシュコートを乾燥及び/又は焼成することによって得られる基材上のエリアを指す。「領域」は、例えば、「層」又は「ゾーン」として基材上に配置又は担持されることができる。基材上のエリア又は配列は、一般に、基材にウォッシュコートを適用するプロセス中に制御される。「領域」は、典型的には、明確な境界又は縁部を有する(すなわち、従来の分析技術を使用して、一方の領域を別の領域から区別することが可能である)。
【0063】
典型的には、「領域」は、実質的に均一な長さを有する。この文脈における「実質的に均一な長さ」への言及は、その平均値から10%を超えて逸脱(例えば、最大長と最小長との間の差)しない長さ、好ましくはその平均値から5%を超えて逸脱しない長さ、より好ましくはその平均値から1%を超えて逸脱しない長さを指す。
【0064】
各「領域」は、実質的に均一な組成を有する(すなわち、領域のある部分とその領域の別の部分とを比較する場合、ウォッシュコートの組成に実質的な差がない)ことが好ましい。この文脈における実質的に均一な組成は、領域のある部分を領域の別の部分と比較する場合、組成の差が5%以下、通常は2.5%以下、及び最も通常には1%以下である材料(例えば、領域)を指す。
【0065】
本明細書で使用される「ゾーン」という用語は、基材の全長の75%以下の長さなど、基材の全長未満の長さを有する領域を指す。「ゾーン」は、典型的には、基材の全長の少なくとも5%(例えば5%以上)の長さ(すなわち、実質的に均一な長さ)を有する。
【0066】
基材の全長は、その入口端部とその出口端部と(例えば、基材の両端部)の間の距離である。
【0067】
本明細書で使用される「基材の入口端部に配置されているゾーン」へのいかなる言及も、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、基材の入口端部までの方が、基材の出口端部までよりも近い、ゾーンを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、基材の入口端部までの方が、基材の出口端部までよりも近い。同様に、本明細書で使用される「基材の出口端部に配置されているゾーン」へのいかなる言及も、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、基材の出口端部までの方が、基材の入口端部までよりも近い、ゾーンを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、基材の出口端部までの方が、基材の入口端部までよりも近い。
【0068】
基材がウォールフローフィルタである場合、一般に、「基材の入口端部に配置されているゾーン」へのいかなる言及も、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、
(a) 基材の入口チャネルの入口端部(例えば、開いている端部)までの方が、入口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部若しくは塞がれた端部)までよりも近い、ゾーン、及び/又は
(b) 基材の出口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部若しくは塞がれた端部)までの方が、出口チャネルの出口端部(例えば、開いている端部)までよりも近い、ゾーンを指す。
【0069】
したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、(a)基材の入口チャネルの入口端部までの方が、入口チャネルの閉じた端部までよりも近く、及び/又は(b)基材の出口チャネルの閉じた端部までの方が、出口チャネルの出口端部までよりも近い。
【0070】
同様に、基材がウォールフローフィルタである場合、「基材の出口端部に配置されているゾーン」へのいかなる言及も、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、
(a) 基材の出口チャネルの出口端部(例えば、開いている端部)までの方が、出口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部若しくは塞がれた端部)までよりも近い、ゾーン、及び/又は
(b) 基材の入口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部若しくは塞がれた端部)までの方が、入口チャネルの入口端部(例えば、開いている端部)までよりも近い、ゾーンを指す。
【0071】
したがって、ゾーンの中点すなわち、その長さの半分での点)は、(a)基材の出口チャネルの出口端部までの方が、出口チャネルの閉じた端部までよりも近い、及び/又は(b)基材の入口チャネルの閉じた端部までの方が、入口チャネルの入口端部までよりも近い。
【0072】
ウォッシュコートがウォールフローフィルタのウォールに存在する(すなわち、ゾーンがウォール内にある)場合、ゾーンは、(a)と(b)との両方を満たし得る。
【0073】
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野において周知であり、通常、触媒の生成中に基材に適用される接着性コーティングを指す。
【0074】
本明細書で使用される頭字語「PGM」は、「白金族金属(platinum group metal)」を指す。「白金族金属」という用語は、一般に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、及びPtからなる群から選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir、及びPtからなる群から選択される金属を指す。一般に、「PGM」という用語は、好ましくは、Rh、Pt、及びPdからなる群から選択される金属を指す。
【0075】
本明細書で使用される「混合酸化物」という用語は、一般に、当該技術分野において従来的に既知であるように、単相における酸化物の混合物を指す。本明細書で使用される「複合酸化物」という用語は、一般に、当該技術分野において従来的に既知であるように、2つ以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「本質的になる」という表現は、特定の材料又は工程、及び、例えば、微量不純物などの、その特徴の基本特性に実質的に影響を及ぼさない、任意の他の材料又は工程を含むように、特徴の範囲を制限する。「から本質的になる」という表現は、「からなる」という表現を包含する。
【0077】
材料に関して本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容物との関連において、材料が少量、例えば、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であることを意味する。「実質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0078】
材料に関して本明細書で使用される場合、「本質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容との関連において、材料が微量、例えば1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1%重量%以下であることを意味する。「本質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0079】
本明細書で使用される重量%として表されるドーパントの量、特に総量へのいかなる言及も、担体材料又はその耐火性金属酸化物の重量を指す。
【0080】
本明細書で使用される「担持量」という用語は、金属重量基準でのg/ft3の単位の測定値を指す。
【0081】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものである。当業者は、本発明の趣旨及び特許請求の範囲の範囲内にある多くの変形例を認識するであろう。
【実施例】
【0082】
材料
全ての材料は市販されており、別途記載のない限り、既知の供給元から入手した。
【0083】
触媒A
単一層を有する触媒を調製した。層は、SAR範囲が約17であるFER型のゼオライト及び結合剤上に担持されたFeからなり、その単一層の総ウォッシュコート担持量は、約1.6g/in3であり、Fe担持量は約3重量%であった(FERの重量に基づく)。
【0084】
ウォッシュコートを、標準的なコーティング手順を用いてセラミック基材上にコーティングした(400cpsi、4milの壁厚さ)。
【0085】
触媒B
単一層を有する触媒を調製した。層は、SAR範囲が約20であるAEI型のゼオライト及び結合剤からなり、その単一層の総ウォッシュコート担持量は、約1.6g/in3であった。
【0086】
ウォッシュコートを、標準的なコーティング手順を用いてセラミック基材上にコーティングした(400cpsi、4milの壁厚さ)。
【0087】
触媒C
単一層を有する触媒を調製した。層は、SAR範囲が約20であるAEI型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、その単一層の総ウォッシュコート担持量は、約1.6g/in3であり、Cu担持量は約2重量%であった(AEIの重量に基づく)。
【0088】
ウォッシュコートを、標準的なコーティング手順を用いてセラミック基材上にコーティングした(400cpsi、4milの壁厚さ)。
【0089】
触媒D
単一層を有する触媒を調製した。層は、SAR範囲が約17であるAEI型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、その単一層の総ウォッシュコート担持量は、約1.6g/in3であり、Cu担持量は約4重量%であった(AEIの重量に基づく)。
【0090】
ウォッシュコートを、標準的なコーティング手順を用いてセラミック基材上にコーティングした(400cpsi、4milの壁厚さ)。
【0091】
実施例1-NH3吸蔵試験
触媒A~Dを、表1に示される炭化水素(hydrocarbon、HC)酸化還元条件下、850℃で4時間エージングした。
【0092】
【0093】
HC酸化還元エージングの後、触媒A~Dを、表2に示すような試験プロトコル下で、それらのNH3吸蔵性能について試験した。
【0094】
【0095】
以下の表3に示されるように、触媒Bは、そのNH3吸蔵能を示すが、触媒A、C、及びDは、触媒Bと比較した場合、優れた/改善されたNH3吸蔵能を示した。
【0096】
【0097】
実施例2-化学量論的なNH3供給による高温NH3変換率
HC酸化還元エージングの後、触媒A~Dを、表4に示すような試験プロトコル下で、それらの高温NH3変換性能について試験した。
【0098】
【0099】
以下の表5に示すように、触媒A、C、及びDは、化学量論的供給条件下で良好なNH3及びNO変換率を示した。
【0100】
【0101】
実施例3-リッチNH3供給による高温NH3変換率
触媒A及びDを、表6に示される異なる条件下で、850℃で4時間エージングした。
【0102】
【0103】
エージングの後、触媒A及びDを、表7に示すような試験プロトコル下で、それらの高温NH3変換性能について試験した。
【0104】
【0105】
以下の表8に示すように、触媒A及びDは、リッチ供給条件下で良好なNH3及びNO変換率を示した。
【0106】
【0107】
TWC-1
TWC-1は、
図1に示されるように、2つの触媒領域において二重層構造を有する典型的な三元(Pd-Rh)触媒である。底部層は、第1のCeZr混合酸化物、La安定化アルミナ、Baプロモーターのウォッシュコート上に担持されたPdからなる。底部層のウォッシュコート担持量は約2.0g/in
3であり、Pd担持量は16g/ft
3であった。標準的なコーティング手順を使用して、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の各端部面からウォッシュコートをコーティングし(400cpsi、4.3milの壁厚さ)、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0108】
上部層は、第2のCeZr混合酸化物、La安定化アルミナのウォッシュコート上に担持されたRhからなる。第2の層のウォッシュコート担持量は約1.5g/in3であり、Rh担持量は4g/ft3であった。次いで、標準的なコーティング手順を使用して、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、上記底部層を含むセラミック基材の各端部面から、この第2のウォッシュコートをコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0109】
TWC-2
TWC-2は、単層構造を有する典型的な三元(Pd-Rh)触媒である。触媒層は、第1のCeZr混合酸化物、La安定化アルミナ、及びBaプロモーターのウォッシュコート上に担持されたPd及びRhからなる。層のウォッシュコート担持量は約3.0g/in3であり、Pd担持量は2g/ft3であり、Rh担持量は8g/ft3であった。標準的なコーティング手順を使用して、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の各端部面からウォッシュコートをコーティングし(400cpsi、4.3milの壁厚さ)、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0110】
触媒物品1
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0111】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約16~20であるFER型のゼオライト及び結合剤上に担持されたFeからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.5g/in3であり、Fe担持量は約3重量%であった(FERの重量に基づく)。
【0112】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0113】
第2の触媒領域
第2の触媒領域のウォッシュコートは、La-アルミナ、セリア-ジルコニア混合酸化物、白金、ロジウムからなる(約3.0g/in3、Pt担持量は6.7g/ft3であり、Rh担持量は3.3g/ft3である)。標準的なコーティング手順を使用して、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、上記第1の触媒領域を含むセラミック基材の出口端部面から、ウォッシュコートをコーティングした。
【0114】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0115】
触媒物品2
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0116】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約16~20であるFER型のゼオライト及び結合剤上に担持されたFeからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.5g/in3であり、Fe担持量は約3重量%であった(FERの重量に基づく)。
【0117】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0118】
第2の触媒領域
第2の触媒領域のウォッシュコートは、La-アルミナ、セリア-ジルコニア混合酸化物、白金(約3.0g/in3、Pt担持量は10g/ft3である)。標準的なコーティング手順を使用して、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、上記第1の触媒領域を含むセラミック基材の出口端部面から、ウォッシュコートをコーティングした。
【0119】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0120】
触媒物品3
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0121】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約16~20であるFER型のゼオライト及び結合剤上に担持されたFeからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.5g/in3であり、Fe担持量は約3重量%であった(FERの重量に基づく)。
【0122】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0123】
第2の触媒領域
第2の触媒領域のウォッシュコートは、La-アルミナ、セリア、白金、ロジウムからなる(約3.0g/in3、Pt担持量は6.7g/ft3であり、Rh担持量は3.3g/ft3である)。標準的なコーティング手順を使用して、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、上記第1の触媒領域を含むセラミック基材の出口端部面から、ウォッシュコートをコーティングした。
【0124】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0125】
触媒物品4
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図1参照。)
【0126】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約16~20であるFER型のゼオライト及び結合剤上に担持されたFeからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.5g/in3であり、Fe担持量は約3重量%であった(FERの重量に基づく)。
【0127】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面及び出口端部面の両方から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングし(400cpsi、4.3milの壁厚さ)、セラミック基材の全てを覆った。
【0128】
第2の触媒領域
第2の触媒領域のウォッシュコートは、La-アルミナ、セリア-ジルコニア混合酸化物、白金、ロジウムからなる(約3.0g/in3、Pt担持量は6.7g/ft3であり、Rh担持量は3.3g/ft3である)。標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面及び出口端部面の両方から第2の触媒領域のウォッシュコートをコーティングし(400cpsi、4.3milの壁厚さ)、セラミック基材の全てを覆った。
【0129】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0130】
触媒性能試験を合成排気ガスを用いて実施し、触媒試料を、10%水、5%O2、残部のN2中、800℃で10時間エージングした。
【0131】
触媒物品5
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0132】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約16であるCHA型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.5g/in3であり、Cu担持量は約3.3重量%であった(CHAの重量に基づく)。
【0133】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0134】
第2の触媒領域
触媒物品2に記載した通り。
【0135】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0136】
触媒物品6
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0137】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約20であるAEI型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.2g/in3であり、Cu担持量は約3.8重量%であった(AEIの重量に基づく)。
【0138】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0139】
第2の触媒領域
触媒物品2に記載した通り。
【0140】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0141】
触媒物品7
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0142】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約20であるAEI型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約1.5g/in3であり、Cu担持量は約3.8重量%であった(AEIの重量に基づく)。
【0143】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0144】
第2の触媒領域
触媒物品2に記載した通り。
【0145】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0146】
触媒物品8
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0147】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約20であるAEI型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約2.2g/in3であり、Cu担持量は約3.8重量%であった(AEIの重量に基づく)。
【0148】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0149】
第2の触媒領域
触媒物品2に記載した通り。
【0150】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0151】
触媒物品9
2つの触媒領域を有する触媒を調製した。(例えば、
図2a参照。)
【0152】
第1の触媒領域
第1の触媒領域は、SAR範囲が約20であるAEI型のゼオライト及び結合剤上に担持されたCuからなり、この触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、約2.8g/in3であり、Cu担持量は約3.8重量%であった(AEIの重量に基づく)。
【0153】
標準的なコーティング手順を用いて、基材の長さの50%を目標とするコーティングの深さで、セラミック基材の入口端部面から第1の触媒領域のウォッシュコートをコーティングした(400cpsi、4.3milの壁厚さ)。
【0154】
第2の触媒領域
触媒物品2に記載した通り。
【0155】
触媒物品を100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0156】
触媒性能試験を合成排気ガスを用いて実施し、触媒試料を、10%水、5%O2、残部のN2中、800℃で10時間エージングした。
【0157】
NH3吸蔵試験:
触媒試料を150℃まで加熱し、400ppmのNH3、10%の水、残部のN2のガス供給を行った。空間速度は110kh-1であった。触媒がNH3で飽和した時点で吸蔵されたNH3の総量を記録した。
【0158】
NH3酸化試験:
NH3で飽和した触媒試料を、300ppmのNH3、0.5%のO2、300ppmのNO、残部のN2のガス混合物を用いて、50℃/分で100℃から500℃まで加熱した。NH3変換率が50%に達した温度を記録した。
【0159】
TWC-2、触媒物品1~9からの触媒性能結果を表9
に示す。触媒物品1~4のアンモニア吸蔵能は、同等であり、TWC-2技術よりも有意に高い。触媒物品6~9は、Cuゼオライト担持量が増加するほどアンモニア吸蔵量が増加することを示す。触媒物品1~9についてのNH3酸化ライトオフは、TWC-2よりも有意に低い。これらの結果は、従来のTWC技術が、触媒物品1~9ほど効果的にNH3排出を制御しないことを示す。
【0160】
【0161】
実施例4-改善された触媒性能
TWC-1を上流に配置し、TWC-2を下流に配置して、以下のシステムの触媒性能を試験した。
比較システム1:TWC-1のみ
比較システム2:TWC-1+TWC-2
システム3:TWC-1+TWC-2+触媒物品2
【0162】
触媒性能試験は、ガソリン車両において、Real Driving Emission(RDE)の代表的な運転サイクル下で実施した。RDE試験は、エンジン操作のための排出評価の信頼性の高い方法と考えられた。最終RDE排出値は、総排出を走行距離で割ったものである。使用した車両は、1.5L直噴ターボ過給エンジンを備えたEuro 6d完全認定車両であった。TWC-1の目標入口温度950℃で60時間の燃料カットエージングサイクルを使用して、触媒システムをエージングして、耐用年数の終わりを表した。このエージング中のTWC-1の下流の触媒の温度は、830℃であった。
【0163】
比較システム1及び比較システム2に対するRDEサイクル下でのガソリン車両の排出結果を表10に示した。結果は、比較触媒システム1及び2のNH3排出は両方とも、10mg/kmという予想される欧州ライトデューティNH3要件を満たさないことを示した。したがって、ガソリン用途において典型的な触媒を使用する比較システム1及び2は、NH3排出要件について機能しない。システム3への本発明の触媒物品2の添加(表10に示されている)は、NH3排出を、ライトデューティ車両のための予想される欧州要件未満に制御するのに有効である。
【0164】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンエンジンからの排気ガスを処理するための触媒物品であって、
軸方向長さLを有する、入口端部、出口端部を備える基材と、
前記入口端部で始まる第1の触媒領域であって、前記第1の触媒領域が、第1のゼオライトを含む、第1の触媒領域と、
前記出口端部で始まる第2の触媒領域であって、前記第2の触媒領域が、第2の白金族金属(PGM)成分、第2の酸素吸蔵能(OSC)材料、及び第2の無機酸化物を含む、第2の触媒領域と、を備え、
前記第2のPGM成分が、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、触媒物品。
【請求項2】
前記第1の触媒領域が、前記軸方向長さLの30~90%にわたって延在する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記第2の触媒領域が、前記軸方向長さLの30~90%にわたって延在する、請求項1又は2に記載の触媒物品。
【請求項4】
前記第2の触媒領域が、前記第1の触媒領域と重なっている、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項5】
前記第2の触媒領域が、前記第1の触媒領域と重なっていない、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項6】
前記第1の触媒領域が、Fe、Cu、Mn、Co、Ni、Zn、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の遷移金属をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記第1の遷移金属が、Cu及び/又はFeである、請求項6に記載の触媒物品。
【請求項8】
Feが、前記第1のゼオライトの重量に基づいて0.01~20重量%である、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項9】
Cuが、前記第1のゼオライトの重量に基づいて0.01~20重量%である、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項10】
前記第1のゼオライトが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATT、BCT、BEA、BEC、BOF、BOG、BRE、CAN、CDO、CFI、CGS、CHA、CHI、CON、DAC、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、FER、GIS、GOD、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MFI、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZONからなる群から選択される骨格型を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項11】
前記第1のゼオライトが、AEI、BEA、CHA、FER、FAU、MFA、又はLEVから選択される骨格型を有する、請求項10に記載の触媒物品。
【請求項12】
前記基材が、フロースルーモノリス又はウォールフローフィルタである、先行請求項のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の触媒物品を含む、ガソリンエンジンの排気ガスの流れを処理するための排出物処理システム。
【請求項14】
前記触媒物品の上流にあるTWC物品をさらに備える、請求項13に記載の排出物処理システム。
【請求項15】
ガソリンエンジンからの排気ガスを処理する方法であって、前記排気ガスを、請求項1~12のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、方法。
【国際調査報告】