(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電子部品を形成および用意する方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241018BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 C
H01L21/60 311Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024515711
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2021078918
(87)【国際公開番号】W WO2023066463
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ブルクグラーフ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ヴィンプリンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ウーアマン
(72)【発明者】
【氏名】パウル フリードリッヒ リントナ
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK03
5F044LL11
5F044MM06
5F044PP16
(57)【要約】
本発明は、電子部品を形成および用意する方法および装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(4)を形成および用意する方法であって、
i)第1の基板表面(1o)と第2の基板表面(1u)とを有する第1の基板(1)を用意するステップと、
ii)前記第1の基板表面(1o)において表面処理(13)を実行するステップと、さらにその後、
iii)処理された前記第1の基板表面(1o)に保護層(2)を被着させるステップと、
iv)前記基板(1)を部品(4)へと個別化するステップと、
を当該順序で少なくとも含む、方法。
【請求項2】
前記ステップii)における前記表面処理(13)は、前記第1の基板表面(1u)の少なくとも1つの洗浄、プラズマ処理および/またはコーティングを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄は、少なくとも1つの化学的洗浄および/または好適にはスパッタリングによる物理的洗浄を含む、請求項1および2の少なくとも1項記載の方法。
【請求項4】
前記第1の基板表面(1o)を親水化するために水を用いたコーティングを行う、請求項1から3までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項5】
前記部品(4)は、前記ステップiv)における前記個別化の後、それぞれ1つの第1の部品表面(4o)とそれぞれ1つの第2の部品表面(4u)とを有し、前記第1の部品表面(4o)にはそれぞれ前記保護層(2)が被着されている、請求項1から4までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項6】
前記ステップiv)における前記個別化の後に、前記部品(4)が前記第2の部品表面(4u)側で支持体基板(6)上に固定される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ステップiv)における前記個別化の前に、前記第1の基板(1)が前記第2の基板表面(1u)側で第2の基板(6’)上に用意される、請求項1から6までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項8】
前記ステップiv)における個別化の前に、前記第1の基板(1)が前記保護層(2)を有する前記第1の基板表面(1o)側で第2の基板(6’)上に用意される、請求項1から7までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項9】
前記第2の基板(6’)は、フィルム(14)である、請求項7または8の少なくとも1項記載の方法。
【請求項10】
前記フィルム(14)は、接着層(3’)を有し、前記第1の基板(1)が前記接着層(3’)上に固定される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記ステップiv)における前記個別化の後に、
v)前記保護層(2)を前記部品(4)の前記第1の部品表面(1o)から除去するステップ
をさらに含む、請求項1から10までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項12】
前記ステップv)における前記保護層(2)の除去は、真空下で行われる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ステップv)における前記保護層(2)の除去の前に、前記部品(4)が前記第2の部品表面(4o)側でピックアンドプレースツール(16)によって引き取られ、前記ピックアンドプレースツール(16)に固定される、請求項8および請求項11または12の少なくとも1項記載の方法。
【請求項14】
前記保護層(2)の除去が行われ、前記部品(4)が前記ピックアンドプレースツール(16)に固定される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
電子部品(4)を形成および用意する装置(9)であって、
第1の基板(1)の第1の基板表面(1o)を表面処理する表面処理手段と、
前記第1の基板表面(1o)に保護層(2)を被着させる手段(10)と、
前記第1の基板(1)を部品(4)へと個別化する個別化手段(10’)と
を少なくとも備え、
前記装置(9)は、前記第1の基板表面(1o)がまず前記表面処理手段によって処理可能となり、その後前記保護層(2)が処理された前記第1の基板表面(1o)に被着可能となるように構成されている、
装置(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を形成および用意する方法および装置に関する。
【0002】
従来技術には、複数の基板を相互に接続するための複数の方法が存在する。特に、基板として捉えることもできる個々の部品を、別のより大きな基板、例えばウェハにボンディングする複数の方法も存在する。多くの場合、基板間の界面または部品間の界面が、汚染物、特に酸化物または窒化物を含まないことを保証する必要がある。汚染のない状態を保証するために、洗浄ステップが実行される。
【0003】
さらに、洗浄後に、基板間のボンディングの改善と後の部品の機能性とを保証する表面改質を実行することがきわめて頻繁に必要となる。こうした表面処理は、とりわけダイレクトボンディングにおいて重要である。ダイレクトボンディングでは、主に誘電体表面または半導体表面が相互にボンディングされる。このことに関連して特に重要なのは、誘電体領域、特に酸化物とコンタクト接続のための電気領域とから成るいわゆるハイブリッド表面のボンディングである。
【0004】
従来技術では、表面処理は、処理される表面が個別化中に損傷を受け汚染されるため、多くの場合に基板が部品へと個別化された後に行われる。この場合、個別化された部品上での表面処理の実行は容易ではない。なぜなら、表面が小さいためにこれを処理する手段の正確性および精密性への高い要求が前提とされるからである。さらに、他の表面または真空環境が表面処理によって汚染されることもある。
【0005】
先行技術では、こうした方法ステップは好適には真空環境において実行される。ここでの欠点は、真空環境においては他の方法ステップを全く実行できないかまたはきわめて限定的にしか実行できないことにある。
【0006】
真空環境内での実行が困難であるかまたは全く実行不能である方法ステップのうちの1つは、1つの基板(部品基板)を個々の部品へと個別化することである。機械的、光学的もしくは化学的な手段による基板の個別化により、粒子形成が必然的に発生する。粒子は、真空環境全体を汚染するため、真空環境においては望ましくない。真空環境を相互に閉鎖された個々のモジュールから成るものとし、これにより汚染を1つのモジュールのみに限ることも確かに可能である。しかし、真空環境外で基板を各部品へと個別化できればいっそう有利である。
【0007】
基板が個々の部品へと個別化された後、引き続き良好に製品基板へのもしくはさらなる部品へのボンディングが可能となるよう、これらの個別化された部品に表面処理が施される。このことに関しては、特に、個別化された部品、特に処理された部品表面が汚染なしに用意されることが特に重要である。部品と製品基板との間には、特に部品の機能を保証するための特定の特性を有する界面が形成されるかまたは存在する。
【0008】
従来技術には、酸素化合物および/または窒素化合物の部品表面を処理可能もしくは洗浄可能な装置および方法が記載されている。ここでは、部品表面の処理および洗浄は、部分的に、真空下で動作可能なそれぞれ1つの装置において行われる。ただし、各部品はその後再び当該装置から取り出され、したがって雰囲気に曝される。このため、個別化された部品の、洗浄されて活性化されたばかりの部品表面が汚染されてしまう。その後、続いて、部品が別の装置において製品基板へボンディングされる。ここでの経路に沿って部品表面が新たに汚染されることもある。汚染により、欠陥を有する部品の数および処理コストが増大する。
【0009】
したがって、本発明の課題は、従来技術において述べられている欠点を少なくとも部分的に、特に完全に排除する、部品を形成および用意する方法および装置を提示することにある。特に、本発明の課題は、部品を形成および用意する改善された方法および改善された装置を提示することにある。特に、本発明の課題は、部品の排除率を低減する、部品を形成および用意する方法および装置を提示することにある。さらに、本発明の課題は、特に確実に汚染なく実行可能である、または特に確実に汚染なく動作する、部品を形成および用意する方法および装置を提示することにある。さらに、本発明の課題は、処理された表面、特にボンディングのために設けられた部品界面を保護することのできる、部品を形成および用意する方法および装置を提示することにある。
【0010】
上記の課題は、並立する複数の独立請求項の特徴により解決される。本発明の有利な発展形態は、各従属請求項に記載されている。また、明細書、特許請求の範囲および/または図面に記載されている少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせが本発明の範囲に該当する。記載されている数値範囲については、当該範囲内にある値も限界値として開示されているとみなすことができ、任意の組み合わせで特許請求することができる。
【0011】
したがって、本発明は、電子部品を形成および用意する方法であって、少なくとも次のステップ、すなわち、
i)第1の基板表面と第2の基板表面とを有する第1の基板を用意するステップ、
ii)第1の基板表面において表面処理を実行するステップ、さらにその後、
iii)処理された第1の基板表面に保護層を被着させるステップ、および
iv)基板を部品へと個別化するステップ
を当該順序で含む、方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、電子部品を形成する装置であって、少なくとも、第1の基板の第1の基板表面を表面処理する表面処理手段、第1の基板表面に保護層を被着させる手段、および第1の基板を部品へと個別化する個別化手段を備え、装置は、第1の基板表面がまず表面処理手段によって処理可能となり、その後保護層が処理された第1の基板表面に被着可能となるように構成されている、装置に関する。
【0013】
この場合、保護層は、必ずしもポリマー保護層でなくてもよい。保護層は、ポリマー、酸化物、窒化物、金属、金属合金などでありうる。つまり、保護層は導電性または誘電性であって、したがって共有結合特性、金属結合特性もしくはイオン結合特性を有していてもよい。この場合、保護層は、後に再び除去可能であるように、好適には完全に除去可能であるように形成されている。酸化物保護層の除去は、例えばイオン注入を用いて行うことができる。
【0014】
例として、本願発明においてはポリマーベースの保護層について説明する。なお、保護層としてのポリマーの使用は特に好ましい。
【0015】
方法および装置により、有利には、表面処理部または処理された表面を保護することができる。つまり、保護層は、処理された表面を、汚染物に対して、特に基板が部品へと個別化される際に生じる粒子による汚染と雰囲気とに対して保護する。したがって、処理された表面が有利に保存される。さらに、処理された表面を、有利には後の時点で、特にボンディングの直前に、再び完全に機能可能となるように用意することができる。こうして、プロセスのよりフレキシブルな構成が有利に可能となる。また、第1の基板を保護層の被着後により簡単に搬送することもできる。機能化された第1の基板をメーカからさらなる処理へと搬送する際に、特に製品基板への個別化およびボンディングに際して、処理された表面を有利に保護することができる。
【0016】
基板もしくは部品の保護すべき表面は、好適にはハイブリッドボンディング表面である。ハイブリッドボンディング表面とは、主として酸化物から成る表面であり、この表面内に、特に銅から成る金属領域が存在している。ここでの方法および装置に関しては、銅が特に好ましい。金属領域は、部品の機能領域の電気的なコンタクト接続のためのコンタクト位置である。この場合、酸素化合物および/または窒素化合物の清浄による除去は、対応する電気領域が露出されるまでまたは洗浄されるまで当該化合物を剥離させることを意味する。保護すべき表面は、純粋な誘電体表面、特に純粋な酸化物表面であることも考えられる。
【0017】
さらに、表面処理を、有利には個別化すべき基板上で全面にわたって実行することができる。ゆえに、部品のより効率的な形成が可能である。さらに、電子部品を形成および用意する方法および装置を用いて、真空外で表面を雰囲気による汚染から保護することができる。また、本発明の有利な態様は、基板にボンディングされるべき複数の部品から第1の部品表面を保護することである。換言すれば、第1の基板表面に保護層を被着させることにより、第1の基板表面の表面改質後または表面処理後にもこの表面がさらなる方法ステップの終了まで維持される。これにより、方法を格段にフレキシブルに実行することができる。このようにして、形成および用意の際の汚染が全体として低減されるので、電子部品のエラー率も低減される。
【0018】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップii)における表面処理が、第1の基板表面の少なくとも1つの洗浄、プラズマ処理および/またはコーティングを含む。好ましくは、上述した表面処理のうちの少なくとも2つが行われる。このようにすることで、有利には、申し分のない機能性およびボンディングのために実行されるべき全ての必要な方法ステップを保護層によって保護することができる。したがって、事後に行われるべき部品のさらなる表面処理をボンディング前に実行する必要がない。これにより、部品がよりフレキシブルに提供可能および使用可能となる。このように、部品の製造および用意を、第1の基板表面の洗浄、プラズマ処理および/またはコーティングにより、より効率的な汚染の低減を伴って実行することができる。特に、基板の個別化を、有利には真空環境外で実行することもできる。このようにして、保護層によって保護された処理された表面を、有利にはボンディングの直前に用意することができる。したがって、洗浄、プラズマ処理またはコーティング(表面処理)自体による汚染も排除される。
【0019】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、洗浄が少なくとも1つの化学的洗浄および/または好適にはスパッタリングによる物理的洗浄を含むように構成されている。このようにすることで、表面を特に純粋に汚染なしに用意することができる。特に有利には、全ての酸素化合物および/または窒素化合物を除去することができる。この点に関して、ここでの洗浄は、適切な表面を保証するために予定されているものである。
【0020】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、第1の基板表面の親水化のために水を用いたコーティングが行われるように構成されている。したがって、表面を、有利には他の部品または製品基板とのボンディングのために準備することができる。好ましくは、まず少なくとも1つの化学的洗浄が実行され、続いて少なくとも1つの物理的洗浄、特に酸素化合物および/または窒素化合物の除去が実行され、続いて少なくとも1つのプラズマ処理および/またはコーティング、特に水によるコーティングが実行される。これにより、特に半導体表面が後のダイレクトボンディングのために準備される。
【0021】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップiv)における個別化の後、部品がそれぞれ1つの第1の部品表面とそれぞれ1つの第2の部品表面とを有し、ここで、第1の部品表面にそれぞれ保護層が被着されているように構成されている。このようにすることで、個別化後に、有利には保護された表面の機能性を保証することができる。さらに、個別化された部品は、このようにすることで良好に搬送可能かつ保管可能となり、またさらなる方法においてフレキシブルに使用可能となる。
【0022】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップiv)における個別化の後に、部品が第2の部品表面側で支持体基板上に固定されるように構成されている。当該固定は、有利には、特に製品基板に対する正確なアライメントと固定の位置決めとを可能にする。さらに有利には、複数の部品を同時に支持体基板から転写させることができる。したがって、部品の個別の規則的な配置が保証されている。このようにして様々なモジュール間での効率的な転写を行うことができる。この場合、処理された部品表面は、部品の第1の表面における保護層によって保護される。
【0023】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップiv)における個別化の前に、第1の基板が第2の基板表面側で第2の基板上に用意されるように構成されている。個別化の前に基板を第2の基板上で位置決めすることにより、有利には、各部品が個別化後に所望の通りに第2の基板上で予め位置決めされていることが保証可能となる。また、続いて、各部品を第2の基板と共に転写させることができる。
【0024】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップiv)における個別化の前に、第1の基板が保護層を有する第1の基板表面側で第2の基板上に用意されるように構成されている。換言すれば、第1の基板は、個別化前には、保護層と共に第2の基板上に存在している。このようにすることで、個別化の際に、処理された表面をいっそう良好に保護することができる。なぜなら、個別化手段は、特に第1の基板の後面側すなわち第2の基板表面の側から第1の基板へと作用するからである。したがって、処理された表面は個別化手段の影響からさらに遠ざけられる。また、第2の基板への接近の影響または第1の基板に面する第2の基板の表面への接近の影響も最小限となる。
【0025】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、第2の基板がフィルムであるように構成されている。フィルムは、ボンディング前に個別化された部品の一時的な固定が所望されるため、ここでの用途に関して特に予定されている。なお、部品は当該フィルムから容易に、大きな手間をかけずに取り外すことができる。またフィルムは、好都合に、個々の用途に合わせて適切に選択することができる。こうしたフィルムは有利には既にコーティングした状態で購入することができる。例えばフィルムを相応に予めコーティングすることができ、予測されるプロセスパラメータに基づいて最適に選択することができる。
【0026】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、フィルムが接着層を有し、第1の基板が接着層上に固定されるように構成されている。この場合、接着層により、フィルム上での、第1の基板もしくは個別化された部品の確実な固定がもたらされる。ここで、接着層は、個別化された部品を再び容易にフィルムから解離させることに特に適している。また、接着層により、代替的な固定手段に比べて部品の汚染を可能な限り少なくする接合層が提供される。
【0027】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、方法がさらに、ステップiv)における個別化の後に、v)保護層を部品の第1の部品表面から除去するステップを含むように構成されている。保護層の除去により、有利には、前処理された表面をボンディングのために用意することができる。したがって、個別化後のさらなる表面処理、特に洗浄が不要となる。また、個々の部品の保護層を、ボンディングすべき表面の処理状態に対して個別にかつ適時に除去することができる。
【0028】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップv)における保護層の除去が真空下で行われるように構成されている。真空中の圧力は、1bar未満であり、好適には1mbar未満であり、さらに好適には10-5mbar未満であり、さらに好適には10-9mbar未満であり、最も好適には10-12mbarまでである。このようにして、有利には、処理された表面の雰囲気による新たな汚染を防止することができる。さらに、ここでの方法の大部分は有利には真空下で実行することができ、ただし、幾つかの表面処理は真空下では不十分にしか実行することができない。したがって、処理された部品表面を特に確実に汚染なしに用意することができる。
【0029】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、ステップv)において、保護層を除去する前に、部品が第2の部品表面側でピックアンドプレースツールによって引き取られ、このピックアンドプレースツールに固定されるように構成されている。この場合、部品は、保護層を有する処理された表面でもって第2の基板に載置されており、したがって特に良好に保護されている。ピックアンドプレースツールにより、有利には、部品の個別の引き取りおよび引き渡しが可能となる。また、これらの部品を、ボンディングすべき表面に対して特に正確にアライメントすることができる。この場合、このようにすることで、特定の部品を選択的に引き取って固定することができる。例えば、電気的な検査に事前に合格した部品のみ、またはボンディングすべき製品基板において要求されている特定の特性を有する部品のみを引き取ることができる。ここで、部品は、有利には、第2の部品表面でコンタクトされる。したがって、処理された第1の部品表面でのコンタクトは不要である。このように、容易にアクセス可能な第2の部品表面に対し、ピックアンドプレースツールによって特に簡単にコンタクトして引き取ることができる。このようにすることで、有利には、第1の部品表面のボンディングのための、特に製品基板とのボンディングのための部品の回転が不要となる。
【0030】
電子部品を形成および用意する方法の好ましい一実施形態では、部品がピックアンドプレースツールに固定されている間に保護層の除去が行われるように構成されている。このようにすることで、保護層の除去を、個別に、また隣接部品を危険に曝すことなく行うことができる。さらに、保護層の除去は、有利には別の箇所で行うことができる。よって、保護層または他の部品を除去する手段によって第2の基板が危険に曝されることも起こりえない。
【0031】
形成および用意する方法の有利な態様は、基板にボンディングされる複数の部品の表面の保護である。特に有利な態様は、基板の表面改質部が基板を保護層でコーティングすることによって保護されることにある。表面改質とは、例えば有利にはプラズマ処理である。表面改質後に保護層を基板表面に被着させることにより、さらなる方法ステップが終了するまで表面改質部が維持される。これにより、方法を格段にフレキシブルに実行することができる。こうして、形成および用意の際の汚染が低減されるため、電子部品のエラー率も低減される。
【0032】
したがって、形成および用意する方法および装置の別の態様は、表面が保護層でコーティングされる前に表面処理の必要な方法ステップが実行可能となることにある。特に、物品の製造に必要な方法ステップを方法の開始時に実行できることが有利である。
【0033】
部品
部品、特に電子部品とは、本明細書においては、基板へとボンディングされる、特に機能的な対象物であると理解される。部品とは、好適にはチップ、MEMS、LED、マイクロチップまたは類似のコンポーネントである。これらは特に1つの基板から作製される。部品は、それ自体が部品アライメントマークを有するか、または部品のコーナー、ラインもしくは構造部などの幾何学的なフィーチャが部品アライメントマークとして使用される。
【0034】
第1の基板/部品基板
第1の基板または部品基板とは、部品の製造に使用される基板を意味する。後の部品の機能領域は、好適にはウェハレベルプロセスで形成される。当該プロセスでは、後の部品の機能部を形成するために多数の方法ステップが必要となりうる。当該プロセスの終了時に基板の個別化が実行される。例えば、ソー、ワイヤ、レーザーまたは別の補助手段を用いて基板から部品を個別化することが可能である。
【0035】
第2の基板/支持体基板
第2の基板または支持体基板とは、各部品が相対的にアライメントされて一時的にボンディングされる基板を意味する。第2の基板または支持体基板は、部品を専ら一時的に収容するために使用される。第2の基板は特に、部品を第2の基板に対して相対的にアライメントするために用いられる、支持体基板表面に沿った複数のアライメントマークを有する。したがって、当該アライメントマークは部品アライメントマークとも称される。さらに、第2の基板は、自身を第3の基板に対して相対的にアライメントできるようにするためのアライメントマークを有することができる。したがって、当該アライメントマークは基板アライメントマークとも称されうる。第2の基板は、任意の材料から、特にフレーム上に架けわたされたフィルムから成るものであってもよい。
【0036】
第3の基板/製品基板
第3の基板または製品基板は、第2の基板からの部品が転写される基板である。第3の基板は、好適には、第2の基板に対して相対的にアライメントできるようにするためのアライメントマークを有している。当該アライメントマークは、第2の基板のマークと同様に基板アライメントマークと称される。製品基板または製品基板スタックは、部品が第1の部品表面すなわち表面処理部を有する表面とボンディングされる表面を有する。表面処理により、特に第1の基板表面もしくは第1の部品表面が製品基板の表面に合わせて最適に調整されるので、ボンディングすべき表面間のボンディング特性が最適化される。
【0037】
モジュールシステム
真空装置またはクラスタとも称されることのあるモジュールシステムとは、関連し合うモジュールのセットであると理解される。各モジュールは、少なくとも1つの装置を有している。モジュールシステムの特徴的な特徴は、基板が種々の方法ステップ間で雰囲気に曝されることなく、ゆえにつねに真空下で作用を受けることができる、という点にある。提案しているモジュールシステムの特に好ましい特徴は、基板または第2の基板上に固定された部品が、種々の方法ステップ間で雰囲気に曝されることなく、ゆえに真空下で一定に作用を受けることができることにある。基板がいったんモジュールシステム内に位置すると、特に最適な真空環境下で処理され続ける。さらに好ましくは、モジュールシステムの全てのモジュールにつき個別に排気を行うことができる。
【0038】
以下の記載では、形成および用意する方法を実行できるようにするために、好適にはモジュールシステムの一部である幾つかの特別なモジュールについて説明する。したがってこれらのモジュールは、製造方法における使用の順序においても言及される。
【0039】
モジュールシステムにおける基板もしくは基板スタックの搬送は、好適には、モジュールシステムの中央に位置するかまたはレールシステムに沿って移動可能なロボットを介して行われる。
【0040】
よって、モジュールシステムは、形成および用意する装置とみなすことができる。
【0041】
コーティングモジュール
モジュールシステムまたは形成および用意する装置は、コーティングモジュールを有している。これにより、ボンディング層および/または保護層を基板に被着させることができる。この場合、コーティングモジュールは、特に好ましくは、保護層を被着させる手段を形成している。ボンディング層は、より容易なボンディングのために、特に好ましくは第2の基板表面上または第2の部品表面上に被着される。ただし、コーティングモジュールは任意選択手段である。例えば、モジュールシステム外にて基板をボンディング層および/または保護層でコーティングし、終了時にはじめてモジュールシステム内へ導入することも可能である。これは特に、機能化された第1の基板のメーカが機能化もしくは表面処理の後直ちに第1の基板に保護層を設ける場合に有利である。
【0042】
よって、モジュールシステム内にコーティングモジュールが存在することが望ましい場合、少なくとも1つのボンディング層を被着させることができる。当該ボンディング層は、保護層とは異なり、機能化された基板をメーカからモジュールシステムへの搬送する際に不必要に汚染されうる。
【0043】
個別化モジュール
モジュールシステムが個別化モジュールを有する場合、基板をモジュールシステム内で個別化することができる。個別化を同様にモジュールシステム外にて行い、既に個別化されている部品をモジュールシステム内へ供給することも可能である。
【0044】
ピックアンドプレースモジュール
ピックアンドプレースモジュールは、個々の部品を引き取り、支持体基板上または第2の基板上でアライメントするというタスクを有している。さらに、ピックアンドプレースモジュールにより、製品基板に対して相対的な部品のアライメントおよびコンタクト接続が実行される。特に、個別化の前に、表面処理された第1の基板表面が保護層でコーティングされている場合、ピックアンドプレースモジュールは、各部品を容易に収容し、アライメントし、配置し、ボンディングすることができる。支持体基板自体がボンディング層で全面にわたってコーティングされている場合、または第2の基板が接着層を有する場合には、部品は、支持体基板上のボンディング層へ直接にボンディングされるか、または接着層に固定される。
【0045】
洗浄モジュール
洗浄モジュールは、特に部品から保護層を除去する手段を形成している。なお、洗浄モジュールがモジュールシステム外に存在していることもありうる。この場合には、部品は保護層なしでモジュールシステムへ供給されることになる。しかし、特に好ましい実施形態では洗浄モジュールもモジュールシステムの一部であり、このため有利には保護層は真空下ではじめて除去されるので、処理された表面が雰囲気に接触することはない。
【0046】
表面処理モジュール
表面処理モジュールは、電子部品を形成および用意する装置の一部である。当該表面処理モジュールにより、第1の基板表面が処理される。この場合、第1の基板表面は、特に洗浄され、さらに例えば表面活性化、プラズマ処理もしくは別の層の被着によってボンディング特性が改善される。特に、部品表面の処理とは、酸素化合物および/または窒素化合物を除去することである。第1の部品表面は酸素化合物および/または窒素化合物の除去後も依然として反応性を有しており、雰囲気に曝されてはならないので、表面処理モジュールは、好適にはモジュールシステムの一部である。表面処理モジュールは、例えばプラズマチャンバまたはイオンビームチャンバであってもよい。好適には、これは例えば国際公開第2015197112号に記載されているようなイオンビームチャンバである。
【0047】
特に、表面処理モジュールは、第1の部品表面または第1の基板表面を活性化する手段を含む。
【0048】
表面処理モジュールにおいて、第1の部品表面または第1の基板表面の親水化を行うことも可能である。
【0049】
表面処理モジュールにおいて、部品と製品基板との間のボンディングをさらに改善する特別な層を被着させることも可能である。
【0050】
ボンディングモジュール
第1の部品表面または第1の基板表面が表面処理モジュールにおいて処理された後、特に部品と製品基板上の第1の部品表面とのボンディングが行われる。この場合、処理された部品表面における保護層がボンディングの前に除去される。このとき、製品基板が支持体基板に対して相対的にアライメントされるか、またはピックアンドプレースツールが引き取った部品を製品基板に対して相対的にアライメントする。続いて、ボンディングモジュールが、アライメントされたもしくは位置決めされた部品を製品基板上へボンディングする。ここで、アライメントは、好適には支持体基板上および製品基板上に存在するアライメントマークを介して行われる。したがって、ボンディングモジュールは、好適には光学アライメント装置を有している。さらに、ボンディングモジュールは、好適には製品基板を部品にコンタクト接続する手段を有している。
【0051】
デボンディングモジュール
製品基板と部品とのコンタクト接続の後、部品と支持体基板との間の結合は弱化させるかまたは完全に解消することができる。支持体基板上に部品がボンディングされたならば、デボンディング手段によって、第2の部品表面と支持体基板との間の付着性を低減することができる。部品が第2の基板、特にフィルムへと転写され、特に個別化されると、ピックアンドプレースツールをデボンディング手段として機能させることができる。こうしたデボンディング手段によって、有利には、特定の部品のみがデボンディングされる場合に、転写を選択的に実行することができる。
【0052】
以下の例示的な方法は特に、形成および用意する方法にとって必須の最も重要な方法ステップを有する。当業者には、明示的に言及されていない複数の別の方法ステップが本方法の一部であってもよいことが十分に理解されるはずである。
【0053】
表面処理
表面処理とは、別の表面、特に別の基板表面に対して改善された基板表面のボンディング特性を形成することのできる、表面へのあらゆる作用を意味する。したがって、表面処理とは、特に、
・洗浄、特に、
・化学的洗浄
・物理的洗浄、特に、
・スパッタリングによる、特に、
・酸化物化合物の除去、
・窒素化合物の除去、
・プラズマ処理、特に、
・リザーバの形成のためのプラズマ処理、
・表面粗面率を調整するためのプラズマ処理、
・コーティング、特に、
・基板表面の親水化のための水を用いたコーティング、
が該当する。
【0054】
表面粗面率は、平均粗面率、2乗粗面率または平均粗面深度として記述される。平均粗面率、2乗粗面率および平均粗面深度につき算定される値は、一般に、同じ測定区間または同じ測定面積に対してはそれぞれ異なるが、同じオーダーの範囲内にある。したがって、粗面率に関する以下の数値範囲は、平均粗面率、2乗粗面率または平均粗面深度のいずれかの値として理解されたい。この場合、粗面率は、100μm未満、好適には10μm未満、さらに好ましくは1μm未満、さらにきわめて好ましくは100nm未満、最も好ましくは10nm未満である。
【0055】
親水性もしくは疎水性についての基準尺度は、試験液滴、特に水と測定表面との間に形成される接触角である。親水性表面では、液体の凝集力を上回る液体と表面との間の接着力が支配的となり、したがって低い接触角が生じるため、液滴が平坦となる。疎水性表面では、液体と表面との間の粘着力を上回る液体の凝集力が支配的となるため、液滴が球状形態となる。当該方法および当該装置に関しては親水性の基板表面が好ましい。なぜなら、親水性の基板表面は融解ボンディングに特に良好に適しているからである。よって、接触角は、特に90°未満、好適には45°未満、さらに好ましくは20°未満、さらに好ましくは5°未満、最も好ましくは1°未満である。
【0056】
基板表面の純度は、好適には、特に有機残留物の数および大きさによって記述される。基板表面で生じる残留物の大きさは、特に100nm未満、好適には90nm未満、さらに好ましくは80nm未満、きわめて好ましくは70nm未満、最も好ましくは60nm未満である。選択された最大サイズを有する発見された残留物数は、特に1000個未満の粒子/ウェハ、好適には500個未満の粒子/ウェハ、さらに好ましくは250個未満の粒子/ウェハ、きわめて好ましくは100個未満の粒子/ウェハ、最も好ましくは50個未満の粒子/ウェハである。
【0057】
表面処理により処理された表面は、ボンディングプロセス後に製品基板との界面を形成する。
【0058】
一般的に、生じる界面は、光学的にかつ/または機械的にかつ/または熱的にかつ/または電気的に理想的であると称することができる。この場合、理想的であるとは、可能な限り最良に達成すべき光学特性および/または機械的特性および/または熱的特性および/または電気的特性が、表面処理、特に有害な酸化物および/または窒化物の除去によって達成されることを意味する。
【0059】
機械的に理想的であるとは、界面の機械的特性、特にボンディング強度によって部品と製品基板との間の可能な限り効率的な付着が得られることを意味する。特に、好適には部品における酸化物表面および/または製品基板における酸化物表面のコンタクト接続によって生じる親水性の融解ボンディングのための、部品と製品基板との間のボンディング強度は、1m2の単位面積の分離に必要となる表面エネルギによって特徴付けられる。ここでのボンディング強度は、特に、0.5J/m2超、好適には1.0J/m2超、さらに好ましくは1.5J/m2超、きわめて好ましくは2.5J/m2超、最も好ましくは2.5J/m2超である。
【0060】
光学的に理想的であるとは、電磁放射が可能な限り良好に、つまり好適には強度損失なしにまたはきわめてわずかな強度損失で界面を通過できることを意味する。ここでの透過率は、特に10%超であり、好適には50%超、さらに好ましくは75%超、きわめて好ましくは95%超、最も好ましくは99%超である。
【0061】
熱的に理想的であるとは、熱流が可能な限り良好に、つまり好適には熱損失なしにまたはきわめてわずかな熱損失で界面を通過できることを意味する。ここでの熱損失は、特に50%未満、好適には25%未満、さらに好ましくは10%未満、きわめて好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満である。
【0062】
電気的に理想的であるとは、界面全体にわたる導電率が可能な限り高いことを意味する。ここでの導電率は、1S/m超、好適には10S/m超、さらに好ましくは102S/m超、きわめて好ましくは104S/m超、最も好ましくは106S/m超であることが望ましい。なお、部品表面および/または製品基板のうち各部品がボンディングされる領域がハイブリッド表面である場合、導電率に関する言及は電気領域にのみ当てはまる。
【0063】
列挙した表面処理は相互に組み合わせることができる。好適には、まず少なくとも1つの化学的洗浄が実行され、続いて少なくとも1つの物理的洗浄、特に酸素化合物および窒素化合物の除去が実行され、続いて少なくとも1つのプラズマ処理および/またはコーティング、特に水を用いた洗浄が実行される。特に好ましくは、表面処理において、第1の基板表面がまず洗浄され、続いて活性化されることにより、製品基板のボンディングすべき表面に関するボンディング特性が最適となる。これにより、特に半導体表面が後のダイレクトボンディングのために準備される。
【0064】
また、酸化物を維持すべき酸素表面の表面処理も可能である。この場合には酸化物の(完全な)除去が省略され、ボンディング特性が最適となるように酸化物が処理される。
【0065】
以下に提案する、部品を形成および用意する方法は、特に最も重要な方法ステップを有する。当業者には、明示的に言及されていない別の複数の方法ステップが本方法の一部であってもよいことが十分に理解されるはずである。
【0066】
第1の方法
例示的な第1の方法の第1の方法ステップでは、用意された第1の基板の第1の基板表面が処理される。表面処理は、列挙した表面処理のうちの少なくとも1つを含む。
【0067】
例示的な第1の方法の第2の方法ステップでは、表面処理された第1の基板表面に保護層が設けられる。保護層は、後続の方法ステップによって表面処理部が少なくとも部分的に退行することまたは劣化することを防止する。特に、保護層の堆積が、表面処理、特に表面改質自体に対して影響を及ぼさないことが望ましい。第1の方法の拡張形態では、第1の基板表面の反対側の第2の基板表面上にボンディング層を被着させることができる。当該ボンディング層は、好適には接着層であり、好適にはポリマーである。このようなボンディング層は、通常、仮ボンディングにおいて使用されるものであり、当業者に公知である。
【0068】
例示的な第1の方法の第3の方法ステップでは、第1の基板の個別化が行われる。個別化によって、個々の部品、特にチップが得られる。この場合、第1の基板表面上に堆積された保護層により、個別化中に第1の基板の第1の基板表面の表面処理部が影響を受けることまたは劣化することが防止される。
【0069】
例示的な第1の方法の第4の方法ステップでは、個々の部品が第2の部品表面側で第2の基板の第1の基板表面上にボンディングされる。第2の基板とは、特に、後の方法ステップにおいて表面処理された第1の部材表面と同時に部品を第3の基板の第1の基板表面へボンディングするために、部品を一時的に収容する支持体基板である。第2の基板への部品の配置は、好適にはピックアンドプレースツールを用いて行われる。特に好ましくは、各部品は、第2の基板にわたって分散配置された光学アライメントマークに関してアライメントされる。当該アライメントマークは部品アライメントマークと称される。第2の基板は、好適には、後の方法ステップにおいて第2の基板と第3の基板とのアライメントを可能にする別のアライメントマークを有している。当該アライメントマークは基板アライメントマークと称される。
【0070】
例示的な第1の方法の第5の方法ステップでは、第1の基板の第1の基板表面から保護層が除去される。この場合、保護層の除去によっては表面処理に全く影響が生じないかまたは無視できる程度の影響しか生じないことが望ましい。きわめて特に好ましくは、保護層の除去は真空環境下で行われる。
【0071】
例示的な第1の方法の第6の方法ステップでは、第2の基板が第3の基板に対して相対的にアライメントされ、部品の部品表面とコンタクト接続される。
【0072】
例示的な第1の方法の第7の方法ステップでは、各部品が第2の基板から特にデボンディング手段によって分離される。
【0073】
第2の方法
例示的な第2の方法の第1の方法ステップでは、第1の基板の第1の基板表面が処理される。表面処理は、列挙した表面処理のうちの少なくとも1つを含む。
【0074】
例示的な第2の方法の第2の方法ステップでは、第1の基板が第2の基板表面側で第2の基板上に固定される。第2の基板は特にはフィルムである。フィルムは、好適にはフレーム上に架けわたされている。フィルムには、好適には、既に接着層が設けられている。したがって、接着層は特に第1の方法と同様にボンディング層を形成する。
【0075】
第1の方法ステップと第2の方法ステップとは特に入れ替え可能であり、これによりまず第1の基板を第2の基板表面側でフィルム上に固定し、その後ではじめて第1の基板表面の表面処理を行うこともできる。
【0076】
例示的な第2の方法の第3の方法ステップでは、表面処理された第1の基板表面に保護層が設けられる。この場合、保護層は、後続の方法ステップにより表面処理が悪影響を受けることまたは表面処理が劣化することを防止する。特に、保護層の堆積自体が表面改質に対して影響を及ぼさないことが望ましい。
【0077】
例示的な第2の方法の第4の方法ステップでは、第1の基板の個別化が行われる。個別化によって、個々の部品、特にチップが得られる。ここで、第1の基板表面上に堆積された保護層により、個別化中、第1の基板の第1の基板表面の表面処理部が少なくとも部分的に退行することまたは劣化することが防止される。個別化は、特に、第1の基板が第1の基板表面の反対側に位置する第2の基板表面側でフィルム上に固定された後にはじめて実行される。フィルムは好適には既に接着層を有しており、これにより、例示的な第1の方法の第2の方法ステップにおけるようなボンディング層の被着を省略することができる。こうしたフィルムは、既にコーティングされた状態で購入することができる。フィルムは、例示的な第1の方法の第2の基板に相当し、特に第2の基板と称される。ここで、第2の方法では、個々の部品を第2の基板に対して最適にアライメントする必要はない。第1の基板の個別化をフィルムとのコンタクト接続後にはじめて行う場合、正確なアライメントは不十分にしか行えない。ここでのフィルムは、特に第2の基板として、部品の転写のために用いられる。
【0078】
例示的な第2の方法の第5の方法ステップでは、保護層が個々の部品から除去される。この場合、保護層の除去によって表面処理に全く影響が生じないかまたは無視できる程度の影響しか生じないことが望ましい。きわめて特に好ましくは、保護層の除去は真空環境下で行われる。
【0079】
例示的な第2の方法の第6の方法ステップでは、対応するピックアンドプレースツールにより、個々の部品を第2の基板から引き取って固定することができる。次いで、各部品が、第3の基板もしくは別の部品もしくは別の部品スタックへとボンディングされる。ピックアンドプレースツールによる部品の引き取りの際に、第1の部品表面がコンタクト接続される。この点に関して、各部品はボンディング前に回転される。なぜなら、各部品の表面処理された第1の部品表面が製品基板へとボンディングされるべきであるからである。部品をフィルムから取り外すプロセス、特に可能な部品回転のプロセス(英語:chip flip)は当業者には公知であるので、ここでは詳細には説明しない。
【0080】
第3の方法
例示的な第3の方法の第1の方法ステップでは、第1の基板の第1の基板表面が処理される。表面処理は、列挙した表面処理のうちの少なくとも1つを含む。
【0081】
例示的な第3の方法の第2の方法ステップでは、表面処理された第1の基板表面に保護層が設けられる。この場合、保護層は、後続の方法ステップによって表面処理部が少なくとも部分的に悪影響を受けることまたは劣化することを防止する。特に、保護層の堆積自体が表面改質に対して影響を及ぼさないことが望ましい。
【0082】
例示的な第3の方法の第3の方法ステップでは、第1の基板が第1の基板表面側で第2の基板上に固定される。第2の基板は特にはフィルムである。フィルムは、好適にはフレーム上に架けわたされている。フィルムには、好適には、既に接着層が設けられている。したがって、第1の基板は、第2の方法とは異なり、表面処理された基板表面の側が第2の基板上に固定される。この場合、第2の基板のフィルムの接着層も保護層の機能を担当することができる。
【0083】
例示的な第3の方法の第4の方法ステップでは、第1の基板の個別化が行われる。個別化によって、個々の部品、特にチップが得られる。この場合、第1の基板表面上に堆積された保護層および/または接着層により、個別化中に第1の基板の第1の基板表面の表面処理部が少なくとも部分的に退行することまたは劣化することが防止される。この場合、付加的に有利には、部品の配向状態により、第2の基板に面する第1の部品表面が損傷を受けることが防止される。換言すれば、処理された表面が、部品自体によって、または第1の基板自体によって保護されるのである。個別化は、特に、第1の基板が第2の基板表面の反対側の第1の基板表面側でフィルム上に固定された後にはじめて実行される。このとき、保護層は第2の基板に当接する。フィルムは好適には既に接着層を有しており、これにより、第1の方法の第2の方法ステップにおけるようなボンディング層の被着を省略することができる。こうしたフィルムは、既にコーティングされた状態で購入することができる。ここでのフィルムは第1の方法での第2の基板に相当し、したがって当該第2の方法においても第2の基板と称される。この場合、第3の方法では、個々の部品を第2の基板に対して最適にアライメントする必要はなく、また望ましくない。第1の基板の個別化をフィルム上でのコンタクト接続後にはじめて行う場合、これは不十分にしか行えない。
【0084】
例示的な第3の方法の第5の方法ステップでは、対応するピックアンドプレースツールによって個々の部品を第2の基板から取り出すことができる。第3の方法の利点は、特に、ピックアンドプレースツールが、第2の部品表面すなわち以前の第2の基板表面において表面処理が行われていなかった部品をコンタクト接続できることにある。これにより、第1の部品表面すなわち表面処理が行われた以前の第1の基板表面は、自由にアクセス可能なままである。部品の回転(英語:chip flip)は、ここでの好ましい方法では必要ない。
【0085】
例示的な第3の方法の第6の方法ステップでは、保護層が個々の部品から除去される。なお、第2の方法ステップが省略された場合、洗浄を実行することができる。これは、表面処理部が第2の基板のフィルムの接着層と接触していたためである。この場合、保護層および/または接着層の除去によって、表面処理部に影響が全く生じないかまたは無視できる程度にしか生じないことが望ましい。好適には、保護層および/または接着層の除去は真空環境下で行われる。この場合、ピックアンドプレースツールによって引き取られた後、表面処理部を有する第1の部品表面が迅速に供給され、直接にボンディング過程のために使用することができる。特に、このようにすれば、部品をピックアンドプレースツールに固定したまま、有利には保護層の除去を実行することができる。このようにすることで、除去の際に隣接部品または第2の基板が危険に曝されない。また、保護層の粒子は、所期のように真空環境下で、特に別のモジュール内で除去可能である。こうして、保護層の粒子による第2の基板または隣接部品の汚染が低減される。
【0086】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、図面に基づく以下の好ましい実施例の説明から得られる。図面には以下のことが概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1a】例示的な第1の方法の第1の方法ステップを示す図である。
【
図1b】例示的な第1の方法の第2の方法ステップを示す図である。
【
図1c】例示的な第1の方法の第3の方法ステップを示す図である。
【
図1d】例示的な第1の方法の第4の方法ステップを示す図である。
【
図1e】例示的な第1の方法の第5の方法ステップを示す図である。
【
図1f】例示的な第1の方法の第6の方法ステップを示す図である。
【
図1g】例示的な第1の方法の第7の方法ステップを示す図である。
【
図2a】例示的な第2の方法の第1の方法ステップを示す図である。
【
図2b】例示的な第2の方法の第2の方法ステップを示す図である。
【
図2c】例示的な第2の方法の第3の方法ステップを示す図である。
【
図2d】例示的な第2の方法の第4の方法ステップを示す図である。
【
図2e】例示的な第2の方法の第5の方法ステップを示す図である。
【
図2f】例示的な第2の方法の第6の方法ステップを示す図である。
【
図3a】例示的な第3の方法の第1の方法ステップを示す図である。
【
図3b】例示的な第3の方法の第2の方法ステップを示す図である。
【
図3c】例示的な第3の方法の第3の方法ステップを示す図である。
【
図3d】例示的な第3の方法の第4の方法ステップを示す図である。
【
図3e】例示的な第3の方法の第5の方法ステップを示す図である。
【
図3f】例示的な第3の方法の第6の方法ステップを示す図である。
【
図4】最も重要な部品およびフィーチャを有する第2の基板を示す上面図である。
【0088】
図中、同一の部品または同一の機能を有する部品には同じ参照符号を付してある。図は概略図である。特に、個々の部品の比率は正確ではない。薄い層13は、処理された基板表面、すなわち表面処理部13のグラフィック表現として選択されている。ここで、表面処理部13は、全体として、基板表面1oの種々の処理部の集合体を表現している。例えば、表面処理は洗浄から成りうるので、洗浄された表面が表される。また、表面処理部13は、別の薄い層、例えば水層であってもよい。ただし、全ての可能性をカバーするため、表面処理部13の図示は、図中では薄い層として使用されている。
【0089】
図1aには、第1の基板1の第1の基板表面1oを処理する、例示的な第1の方法の第1の方法ステップが示されている。例えば、表面処理部13は、第1の基板表面1oの状態を指すのみならず、例えば洗浄されたもしくはプラズマ処理されたもしくはリザーバが設けられた第1の基板表面1oのような層も指す。全体として、後に個別化される部品4(
図1cを参照)を支持体基板6に対して相対的にアライメントするための部品アライメントマーク5が第1の基板1上に存在している。
【0090】
図1bには、保護層2による表面処理部13の保護を示す、例示的な第1の方法の第2の方法ステップが示されている。ここで、第1の基板1では、第1の基板表面1oとは反対側の第2の基板表面1uにおいて、支持体基板6上での個別化された部品4(
図1cを参照)の後の固定を可能にするボンディング層3が設けられていてもよい。
【0091】
図1cには、個々の部品4への第1の基板1(
図1bを参照)の個別化を可能にする、例示的な第1の方法の第3の方法ステップが示されている。この場合、特に表面処理部13が保護層2によって保護される。
【0092】
図1dには、個々の部品4を第2の基板6に対して、好適にはボンディング層3が存在する第2の基板表面1uに対してアライメントおよびボンディングする、例示的な第1の方法の第4の方法ステップが示されている。好適には、この場合、部品アライメントマークとも称される部品4のアライメントマーク5が、第2の基板6のアライメントマーク5’に対して相対的な部品4のアライメントを可能にするために使用される。第2の基板6は、好適にはさらに、基板アライメントマークとも称されるアライメントマーク5’’を有しており、この基板アライメントマークを用いて、後の第6の方法ステップにおいて、第2の基板6に対して相対的な第3の基板8のアライメントを行うことができる。当該方法ステップの後、実装された第2の基板6をモジュールシステム9(
図5を参照)へと搬送することができる。ここでは表面処理部13が既に存在しており、続く第1の部品表面の表面処理も行われているが、個々の部品4への第1の基板1の個別化は、好適には、モジュールシステム9外にて実行されたものである。
【0093】
図1eには、保護層2(もはや図では見えない)を除去する、例示的な第1の方法の第5の方法ステップが示されている。ここで、保護層2の除去は、好適にはモジュールシステム9(
図5を参照)において行われ、このモジュールシステム9では全てのモジュール10,10’,10’’,10’’’,10’’’’が相互に接続されており、これにより、モジュールシステム9全体において真空を発生させて維持することができる。したがって、表面処理部13は有利には雰囲気ともはや接触しない。
【0094】
図1fには、設けられているアライメントマーク5’’に基づいて第3の基板8を第2の基板6に対して相対的にアライメントする、例示的な第1の方法の第6の方法ステップが示されている。
【0095】
表面処理部13により、部品4と第3の基板8との間の特に効率的なボンディングが可能となる。
図1fには、どのようにして第2の基板6の部品4が直接に第3の基板8に接続されるかが示されている。
【0096】
図1gには、第3の基板8からの第1の基板6の分離を行う、例示的な第1の方法の第7の方法ステップが示されている。ここでは、部品4の第2の部品表面4uが第2の基板6から解離される。こうした分離はデボンディングと称される。デボンディングは、機械的にかつ/または熱的にかつ/または化学的にかつ/または電磁放射、特にレーザーを用いて実行することができる。好適には、続いて、部品表面4uおよび/または第2の基板6の第1の基板表面6oの洗浄が行われる。その後、第2の基板6は、好適には再利用可能となる。
【0097】
形成および用意する例示的な第1の方法の特別な拡張形態では、
図1fの第6の方法ステップから既に、別の部品が第3の基板上または製品基板8上に存在していてもよい。したがって、第2の基板6の部品4と第3の基板8の別の部品4とのコンタクト接続が行われている。これにより、特に効率的に、複数のコンポーネント-ツー-コンポーネントスタック、特にチップ-ツー-チップスタックを形成するもしくは用意することができる。このようなコンポーネント-ツー-コンポーネントスタックにつき、以下では複数の部品スタックのみを挙げている。
【0098】
例えばマイクロプロセッサなどの論理回路である部品4を実装した第2の基板6A(図示せず)を使用することも可能である。また、メモリ部品、例えばランダムアクセスメモリコンポーネントである部品4を実装した第2の基板6Bを製造することもできる。ここでは例えば、まず符号Aを有する第2の基板が、後の製品基板である第3の基板8へボンディングされる。その後、符号Bを有する第2の基板が第3の基板8に対して相対的にアライメントされ、符号Bを有する第2の基板の部品4が、既に第3の基板8上に位置している第1の部品4へボンディングされる。これにより、全体としてそれぞれ異なる機能を有する複数の部品から成る多数の部品スタックを有する第3の基板8が得られる。なお、当業者であれば、任意の部品数の部品スタックを形成するために、こうした複数の部品を伴うプロセスを繰り返すことができることも理解されよう。この場合、好ましくは、第2の基板6からの部品4を有するそれぞれ新たな部品層がいずれも1つずつの表面処理部13を有し、これにより、第3の基板8に位置する部品4が転写された最後の層へのボンディングを特に効率的に行うことができる。
【0099】
図2aには、例示的な第2の方法の第1の方法ステップが示されている。第1の基板1oの第1の基板表面1oに、表面処理部13が設けられる。
【0100】
図2bには、第1の基板1を第1の基板表面1oとは反対側の第2の基板表面1u側で第2の基板6’上に固定する、例示的な第2の方法の第2の方法ステップが示されている。第2の基板6’は特にはフィルム14であり、このフィルム14上に、同様にボンディング層と称することのできる、既に堆積された接着層3’が設けられている。大部分のフィルムメーカは、製造時に既にフィルム14に接着層3’を設けている。この場合、フィルム14は接着層3’と共に市販入手可能である。フィルム14は、好適にはフレーム15上に架けわたされる。
【0101】
先行の2つの方法ステップの入れ替え、すなわち基板1をまず第2の基板6’のフィルム14上に固定することとその後ではじめて表面処理部13を形成することとの入れ替えも可能である。これは、第1の基板1についてコンタクト接続を行う必要がなくなり、第2の基板6’による取り扱いおよび搬送が行われるという意味で、有利である。ただし、幾つかの表面処理部13によってフィルム14までもが特に負の影響を受けることは不都合である。したがって、ここでの順序は好適にはそれぞれの個別ケースに応じて定められる。
【0102】
図2cには、処理された表面1o上に保護層2を被着させることによる表面13の保護を示す、例示的な第2の方法の第3の方法ステップが示されている。保護層2は、表面処理された第1の基板表面1o上または表面処理部13上に被着される。この場合にも、基板1を第2の基板6’上に固定する前に、保護層2によるコーティングを既に実行することができる。
【0103】
図2dには、個々の部品4への第1の基板1の個別化を行う、例示的な第2の方法の第4の方法ステップが示されている。ここでは、表面処理部13が保護層2によって保護される。個別化は、好適にはモジュールシステム9外にて行われる。ただし、遅くとも個別化後に、第2の基板6’をモジュールシステム9(
図5を参照)へ搬送することができる。
【0104】
図2eには、保護層2(もはや図では見えない)を部品4の第1の部品表面4oから除去する、例示的な第2の方法の第5の方法ステップが示されている。ここで、保護層2の除去は、好適には、全てのモジュール10,10’,10’’,10’’’,10’’’’が相互に接続されており、モジュールシステム9全体にわたって一貫して真空を発生させて維持することのできる、モジュールシステム9内で行われる。したがって、表面処理部13は好適には雰囲気ともはや接触しない。
【0105】
図2fには、部品4を個別に取り外してさらに処理する、例示的な第2の方法の第6の方法ステップが示されている。ここでは、ピックアンドプレースツール16が、処理された部品表面4oにおける各部品にコンタクトしている。
【0106】
例示的な第2の方法の代替的な実施形態では、
図2fでの部品4の個別の取り外しの代わりに、
図1fでの例示的な第1の方法の第6の方法ステップと同様に、第3の基板8が第2の基板6’に対して相対的にアライメントされ、部品4とコンタクト接続される。
【0107】
図3aには、例示的な第3の方法の第1の方法ステップが示されている。第1の基板1oの第1の基板表面1oに、表面処理部13が設けられる。
【0108】
図3bには、第1の基板1が第2の基板6’に固定される前に、保護層2を第1の基板1の第1の基板表面1oの表面13に直接に被着させる、例示的な第3の方法の第2の方法ステップが示されている。
【0109】
図3cには、第1の基板1を表面処理部13および保護層2が形成された第1の基板表面1o側で第2の基板6’上に固定する、例示的な第3の方法の第3の方法ステップが示されている。ここでは、保護層2がフィルム14の接着層3’にコンタクト接続されている。
【0110】
図3dには、個々の部品4への第1の基板1(
図3cを参照)の個別化を行う、例示的な第3の方法の第4の方法ステップが示されている。ここでは、表面処理部13は、一方では保護層2によって保護され、他方では第1の基板1の配向状態によって保護される。この場合、基板を個別化する手段は、好適にはまず反対側の基板表面1uに作用する。したがって、処理された表面13の領域における個別化手段の影響は最小化される。個別化は、好適にはモジュールシステム9外にて行われる。
【0111】
図3eには、部品4を個別に取り外してさらに処理する、例示的な第3の方法の第5の方法ステップが示されている。特にピックアンドプレースツール16を部品表面4uにコンタクトさせることによる部品4の取り外しは、特に有利である。一方で、第1の部品表面1oでのコンタクトは行われない。したがって、コンタクトによる処理表面の劣化が回避される。さらに、第1の部品表面と製品基板とのボンディングのために部品を回転させる必要もなくなる。ピックアンドプレースツール16によって容易にアクセス可能な部品表面1uにおいて相応の部品が引き取られた後、当該部品4は、有利には、ボンディングすべき処理された表面と共に、ピックアンドプレースツール16の収容部から解放されることが示されている。例示的な第2の方法とは対照的に、ピックアンドプレースツール16による表面処理部13の変更も破壊も起こりえない。なぜなら、部品4は、表面処理部13の反対側の部品表面4uでコンタクトされるからである。
【0112】
図3fには、好適には部品4がピックアンドプレースツール16によって保持されている間に保護層2の除去を行う、例示的な第3の方法の第6の方法ステップが示されている。ここでは、ピックアンドプレースツール16が、部品4の表面処理部13側を別の部品4上または第3の基板8上(図示せず)にボンディングすることができる。
【0113】
図4には、第2の基板6,6’の上面図が示されている。第2の基板6,6’にわたって分散配置された状態で複数のアライメントマーク5’が存在している。例として16個のアライメントマーク5’が示されている。第1のアライメントマーク5’は、1つのアライメントマーク5を有する部品4によって覆われる。第2の基板6にはさらに2つのアライメントマーク5’’が存在し、これらのアライメントマークは、第2の基板6を製品基板8(ここでは見えない、
図1eを参照)に対してアライメントするために用いられる。見取りやすくするために、アライメントマーク5(白色)、5’(黒色)および5’’(灰色)をそれぞれ異なる色で示している。部品4は、専ら部品配置領域12において位置決めされ、ボンディングされる。
【0114】
図5には、複数のモジュール10,10’,10’’,10’’’,10’’’’から成る例示的なモジュールシステム9の上面図が示されている。モジュール数は任意である。例として、モジュール10,10’,10’’,10’’’,10’’’’は、次のように構成されている。モジュール10は、ボンディング層3および/または保護層2を被着させることのできるコーティングモジュールである(
図1aを参照)。モジュール10’は、基板1を個別化することのできる個別化モジュールを成す(
図1bを参照)。モジュール10’’は、個別の部品4を第2の基板6上にアライメントしかつ位置決めすることのできる、アライメントおよびボンディングモジュールである。よって、当該モジュールには、好適には一種のピックアンドプレース装置が設けられている。モジュール10’’’は、保護層2を除去することのできる洗浄モジュールである。モジュール10’’’’は、基板、特に部品4が実装された第2の基板6と第3の基板8とを相互にアライメントして相互にボンディングすることのできる、アライメントおよびボンディングモジュールである。
【0115】
ここで、1つのタスクは、必要な手段がモジュール内に存在していれば、1つのモジュールによって処理可能である。モジュールシステム9が別のモジュールを有することも可能である。特にコーティングおよび個別化をモジュールシステム9外にて行うこともでき、これにより、既に個別化された部品4のみをモジュールシステム9へ導入することができる。この場合、上述した2つのモジュール10,10’を省略することができる。ここで、モジュールシステム9は、好適には、特に個々のモジュール相互についての部品4および基板6,8の転写を、雰囲気への曝露なしに行うことができる。したがって、モジュールシステム9全体が、好適に評価可能となり、かつ周囲を取り囲む雰囲気に対して閉鎖可能となる。
【0116】
好適には、全ての必要な対象物のローディングおよびアンローディングはエアロック11を介して行われ、これにより、モジュールシステム9の内部空間を可能な限り長く排気したままとすることができる。モジュールシステム9または個々のモジュール10,10’,10’’,10’’’,10’’’’は、1bar未満の圧力、好適には1mbar未満の圧力、さらに好ましくは10-5mbar未満の圧力、きわめて好ましくは10-9mbar未満の圧力、最も好ましくは10-12mbarまでの圧力まで排気可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 第1の基板
1o,1u 基板表面
2 保護層
3,3’ ボンディング層/接着層
4,4’ 部品
4o,4u 部品表面
5,5’,5’’ アライメントマーク
6,6’ 転写基板、第2の基板
6o 基板表面
7 表面処理手段
8 第3の基板/製品基板
9 モジュールシステム
10,10’,10’’,10’’’,10’’’’ モジュール
11 エアロック
12 部品配置領域
13 表面処理部
14 フィルム
15 フレーム
16 ピックアンドプレースツール
【国際調査報告】