(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】生理学的信号を分析するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20241018BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515841
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022079222
(87)【国際公開番号】W WO2023072727
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ド ボア、クリストファー エス.
(72)【発明者】
【氏名】グハニヨギ、シャヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウィッティントン、アール. ホリス
(72)【発明者】
【氏名】レディー、ラヴィ キラ コンダマ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038SS09
(57)【要約】
本開示は、生理学的信号を分析するためのシステムを提供する。システムは、離散時間生理学的信号を受信するように構成された入力部と、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールとを含む。少なくとも1つのプロセッサ・モジュールは、以下のこと:-生理学的信号の現在のサンプル値に関連する標示を生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較することと、-現在のサンプル値に関連する標示が前のサンプル値に関連する標示とは異なる場合に基準イベントの存在を決定することと、-基準イベント間に定義される区間内の生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの区間のそれぞれのサンプル総数を取得することと、-サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することとを行うように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的信号を分析するためのシステムであって、
離散時間生理学的信号を受信するように構成された入力部と、
前記生理学的信号の現在のサンプル値に関連する標示を前記生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較し、
前記現在のサンプル値に関連する前記標示が前記前のサンプル値に関連する前記標示とは異なる場合に基準イベントの存在を決定し、
基準イベント間に定義される区間内の前記生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの前記区間のそれぞれのサンプル総数を取得し、
前記サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定する
ように構成された少なくとも1つのプロセッサ・モジュールと
を備える、システム。
【請求項2】
前記生理学的信号が、心電図、酸素飽和度、血圧、インピーダンス、活動、加速度測定、体液状況、吸気及び/又は呼気努力、及び呼吸作用で構成されるグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記基準イベントが、前記生理学的信号のゼロ交差又は極値である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記基準イベントが、ゼロ交差を含む、又はゼロ交差であり、前記少なくとも1つのプロセッサ・モジュールが、前記現在のサンプル値に関連する前記標示が前記前のサンプル値に関連する前記標示とは異なる場合に前記ゼロ交差を識別するように構成された、請求項1から3までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
2つの連続するゼロ交差の間の区間の前記サンプル総数が、前記区間内の前記サンプル値の正の標示又は負の標示の途切れない実行の総数に対応する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記基準イベントが、極値を含む、又は極値であり、前記少なくとも1つのプロセッサ・モジュールが、前記現在のサンプル値の勾配に関連する前記標示が前記前のサンプル値の勾配に関連する前記標示とは異なる場合に極値を識別するように構成された、請求項1から5までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記極値が、ピーク又は底値である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記サンプル総数の前記区間が、同タイプの2つの連続する極値の間で定義される、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサ・モジュールが、1つ又は複数の拒絶標準が満たされた場合に1つ又は複数の基準イベントを拒絶するように構成された、請求項1から8までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の拒絶標準が、患者の運動、前記システムの少なくとも1つの信号処理要素の動作限界、非単調性、及びノイズのうちの少なくとも1つに関する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、異なるタイプの2つ以上の基準イベントに関連するサンプル総数を使用して前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように構成された、請求項1から10までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムが、1つ又は複数の観測窓の前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように構成され、各観測窓の長さが、サンプルの設定された最小数及び最大処理時間のうちの少なくとも1つに基づく、請求項1から11までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
移植可能な医療デバイスをさらに含み、前記移植可能な医療デバイスが、標示の比較、基準イベントの存在の決定、及びサンプルの計数の態様を少なくとも実施するように構成された、請求項1から12までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
生理学的信号を分析するための方法であって、
離散時間生理学的信号を受信することと、
前記生理学的信号の現在のサンプル値に関連する標示を前記生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較することと、
前記現在のサンプル値に関連する前記標示が前記前のサンプル値に関連する前記標示とは異なる場合に基準イベントの存在を決定することと、
基準イベント間に定義される区間内の前記生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの前記区間のそれぞれのサンプル総数を取得することと、
前記サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと
を含む、方法。
【請求項15】
実行されるとき、1つ又は複数のプロセッサに請求項14に記載の方法を実施させるコンピュータ実行可能命令が記憶された、機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、生理学的信号を分析するためのシステム、生理学的信号を分析するための方法、及び方法を実行するためのコンピュータ可読記憶媒体に関する。本開示の実施例は、特に、移植可能な医療デバイス(IMD:implantable medical device)における1つ又は複数の生理学的信号の形態学的分析に関する。
【背景技術】
【0002】
移植可能な医療デバイスは、たとえば、移植可能な医療デバイスによって測定される生理学的信号を分析することによって、患者の健康状況をモニタするために、広く使用されている。移植可能な医療デバイスによって測定することができる、生理学的信号の実例は、ECG、SpO2、血圧、活動、体液状況、吸気/呼気努力、乱れた呼吸及び呼吸作用を含むが、これらに限定されない。
【0003】
しかしながら、様々な理由で未加工の信号から有意義な診断情報を得ることは難しい可能性がある。たとえば、モニタリングのみのデバイスを有する患者は、より多くの移動性/動きを有することがあり、これは、測定を妨げる可能性がある。加えて、時間の窓又は領域ではなくて、すべての生理学的プロセスが同時に起こる単一時刻は、通常は、存在しない。
【0004】
生理学的信号を分析するためのいくつかのデバイスは、従来のデジタル・フィルタを使用する。しかしながら、従来のデジタル・フィルタは、形態学的特徴の歪みに及び究極的には形態学的特徴の非認識又は誤った測定につながる、バンド外抑制特性及びグループ遅延の制限をした。生理学的信号を分析するための他のデバイスは、信号が処理された後は、イベントごとの情報は失われ、関連情報をもう分析することができないような、非タイム・ドメイン方法(たとえば、統計値及び/又は周波数ドメイン)を使用する。さらに、そのような処理は、経時的に測定値を集めなければならず、したがって、悪化の早期の兆候は、見落とされることがある。究極的には、生理学的イベントの不正確な推定が生じる。
【0005】
前述に照らして、生理学的信号を分析するためのシステム、生理学的信号を分析するための方法、及び当分野における問題のうちの少なくともいくつかを克服する方法を実行するためのコンピュータ可読記憶媒体は、有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、生理学的信号を分析するためのシステム、生理学的信号を分析するための方法、及び生理学的信号の分析を改善することができる方法を実行するためのコンピュータ可読記憶媒体を提供することである。特に、本開示の目的は、生理学的信号の分析に基づいて1つ又は複数の生理学的パラメータを正確に決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、独立請求項の特徴によって解決される。好ましい実施例は、従属請求項において定義される。
【0008】
本開示の一独立態様によれば、生理学的信号を分析するためのシステムが、提供される。デバイスは、離散時間生理学的信号を受信するように構成された入力部と、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールとを含む。少なくとも1つのプロセッサ・モジュールは、
- 生理学的信号の現在のサンプル値に関連する標示を生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較し、
- 現在のサンプル値に関連する標示が前のサンプル値に関連する標示とは異なる場合に基準イベントの存在を決定し、
- 基準イベント間に定義される区間内の生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの区間のそれぞれのサンプル総数を取得し、
- サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように構成される。
【0009】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができるいくつかの実施例によれば、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールは、
- 生理学的信号の現在のサンプル値に関連する標示を生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較し、
- 現在のサンプル値に関連する標示が前のサンプル値に関連する標示とは異なる場合に基準イベントの存在を決定し、
- 分析区間にわたり合格又は落第した拒絶標準を示すフラグの状態から区間又はパラメータを決定する際の包含又は排除の基準イベントの容認性を決定し、
- 基準イベント間に定義される区間内の生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの区間のそれぞれのサンプル総数を取得し、
- サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように構成される。
【0010】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、生理学的信号は、心電図(ECG)、酸素飽和度(SpO2)、血圧、インピーダンス、加速度測定、活動、体液状況、吸気及び/又は呼気努力、及び呼吸作用を含む、又はこれらから成る、グループから選択される。
【0011】
好ましくは、生理学的信号は、呼吸作用である。呼吸作用は、正常な呼吸機能、又は、COPD、喘息、肺水腫、気腫、睡眠中無呼吸、チェーン・ストロークス症候群などのような不調を示すことができる、有意義な生理学的信号の具体的な一実例である。
【0012】
本開示を通して「離散時間生理学的信号」という用語は、別個の、個別の時点に発生する値を有する生理学的信号を指す。すなわち、時間は、個別の変数として見られる。離散時間生理学的信号は、連続的時間の[連続的価値の]生理学的信号からのサンプリングによって、取得することができる。均等に間隔を空けた時間にシーケンスをサンプリングすることによって得られる離散時間生理学的信号(「生理学的信号のサンプル値」)は、関連サンプリング・レートを有する。
【0013】
生理学的信号に関連する標示は、いくつかのベースラインに対して正(+)又は負(-)である属性を示す。
【0014】
本開示を通して、「基準イベント」という用語は、生理学的信号における形態学的特徴を指す。特に、基準イベントは、そのようなものとして識別することができる及びさらなる分析のために使用することができる、生理学的信号における独特の形状、構造、又は特徴である。
【0015】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、基準イベントは、生理学的信号のゼロ交差又は極値(最小値又は最大値)であり得る。
【0016】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、基準イベントは、ゼロ交差を含む、又はゼロ交差である。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールは、現在のサンプル値に関連する標示が前のサンプル値に関連する標示とは異なる場合にベースライン中心の信号のゼロ交差を識別するように構成される。たとえば、ゼロ交差は、標示が負から正に又は正から負に切り替わるときに識別され得る。
【0018】
好ましくは、2つの連続するゼロ交差の間の区間のサンプル総数は、区間内のサンプル値の正の標示(たとえば、正の極大部分値)又は負の標示(たとえば、負の極大部分値)の途切れない実行の総数に対応する。各ゼロ交差時に、負の及び正の極大部分の総数は、知られているサンプル・レートの総数において存続期間として合計及び記憶することができる。
【0019】
好ましくは、各ゼロ交差時に、次の極大部分のサンプル総数は、リセットされ、サンプル総数を再び累積し始める。たとえば、信号が負である間、負のサンプルの総数は、累積され、次いで、信号が正である間にラッチされる。
【0020】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、基準イベントは、極値を含む、又は極値である。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールは、現在のサンプル値の勾配に関連する標示が前のサンプル値の勾配に関連する標示とは異なる場合に極値を識別するように構成される。
【0022】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、極値は、(ローカル)最大値又は(ローカル)最小値である。好ましくは、最大値は、ピークである。追加で、又は別法として、最小値は、底値である。
【0023】
好ましくは、サンプル総数の区間は、同タイプの2つの連続する極値の間、たとえば、2つのピークの間又は2つの底値の間、に定義される。
【0024】
好ましくは、2つの連続する極値の間の区間のサンプル総数は、底値からピークへ(たとえば、上昇)の正の勾配又は区間内のサンプル値のピークから底値へ(たとえば、下落)の負の勾配の途切れない実行の総数に対応する。各極値時に、上昇及び下落の総数は、知られているサンプル・レートの総数において存続期間として合計及び記憶することができる。
【0025】
好ましくは、各極値時に、次の上昇又は下落のサンプル総数は、リセットされ、サンプル総数を再び累積し始める。たとえば、信号が底値を上げている間、上昇サンプルの総数は、累積され、次いで、信号がピークに達するときにラッチされる。
【0026】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールは、1つ又は複数の拒絶標準が満たされた場合に1つ又は複数の基準イベントを拒絶するように構成される。言い換えれば、拒絶された基準イベントは、区間及び/又は少なくとも1つの生理学的パラメータの決定において使用されない。
【0027】
好ましくは、1つ又は複数の拒絶標準は、患者の運動(たとえば、IMDの加速センサによって提供される加速データに基づく)、システムの少なくとも1つの信号処理要素の動作限界(たとえば、センサ入力が、量子化器の歪められていない動作限界を超えるため)、非単調性(たとえば、上昇又は下落の)及びノイズ(たとえば、ノイズ・フロア)のうちの少なくとも1つに関する。
【0028】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、システムは、2つ以上の基準イベントに関連するサンプル総数を使用して少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように構成される。
【0029】
複数の基準イベントが存在し得る。好ましくは、2つ以上の基準イベントは、異なるタイプである。それは、すべて、1つの生理学的区間全体を作成するために区間がどのように測定されているかに依存する。区間が、同タイプの基準イベントに及ぶ場合、そのとき、それらの間の総数は、1つの生理学的区間全体に及び得る。これは、構成が、たとえば、正方向のゼロ交差のみを使用して生理学的区間を測定するように、設定され、他の基準区間は無視するように設定された場合に、該当することになる。区間を測定するために使用される基準イベントが、逆のタイプ、たとえば、下へのゼロ交差に対する上へのゼロ交差、である場合、生理学的区間の2分の1のみが、測定され、生理学的サイクルを完成するためにそれを最後の又は次の下へのゼロ交差から上へのゼロ交差までとペアにすることが必要とされる。2つの半分のフェーズは、1つの生理学的サイクル全体、たとえば、正の時間+負の時間、別の実例、上昇時間+下落時間、を構成する。
【0030】
好ましい一実施例では、基準分析は、標示及び勾配のため、さらに4フェーズに分解される。一実例は、ピークへの上へのゼロ交差までの底値から底値までの下へのゼロ交差。この場合、1生理学的サイクルの存続期間を生じさせるためには、4つの部分的区間を合計することが必要とされることになる。生理学的サイクル全体がより多く分解されると、測定値は、生理学的サイクル全体内で起こり、後述のx4統計的活用ポイントまで進む。
【0031】
好ましくは、2つ以上の基準イベントが、上向きのゼロ交差(上へのゼロ交差)、下向きのゼロ交差(下へのゼロ交差)、ピーク、及び底値を含む、又はこれらから構成される、グループから選択される。
【0032】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、システムは、1つ又は複数の観測窓の少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように及び/又は呼吸レートに依存する分解能要件を満たすために許容される標準の歩留まり及び必要とされる基準の数によって必要とされるように構成される。
【0033】
好ましくは、各観測窓の長さは、サンプルの設定された最小数及び/又は最大処理時間に基づく。特に、好ましい一実施例では、イベント総数制限(下界)が、提供され、その値は、たとえば、16Bpmと18Bpmとを区別して、95%の信頼性を有する±2Bpmの分解能まで呼吸速度を推定するためのサンプルの必要最小数から計算される。第二に、信号属性は、前者を満たすのに十分な受け入れられた基準イベントを生じさせていないので、時間制限(上界)が、基準分析があまりにも長く続くのを制限するために提供される。
【0034】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、システムは、移植可能な医療デバイスを含む。
【0035】
好ましくは、移植可能な医療デバイスは、離散時間生理学的信号を受信又は生成するように構成される。たとえば、移植可能な医療デバイスは、離散時間生理学的信号又は離散時間生理学的信号がそこから導出される生理学的信号を測定するように構成された1つ又は複数のセンサを含む、又はそのようなセンサに接続される。
【0036】
好ましくは、移植可能な医療デバイスは、標示の比較、基準イベントの存在の決定、及びサンプルのカウントの態様を少なくとも実施するように構成される。
【0037】
いくつかの実施例において、移植可能な医療デバイスは、サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定するように構成することができる。特に、分析は、移植可能な医療デバイスにおいて完全に実装することができる。別法として、移植可能な医療デバイスは、外部エンティティ(たとえば、サーバ又は他のデバイス)に基準分析出力を提供することができ、生理学的パラメータの計算は、いくつかの他の手段、たとえば、サーバ又は他のデバイス、において完全に又は部分的に完了することができる。
【0038】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、システムは、決定された少なくとも1つの生理学的パラメータをシステムの通信インターフェース、特に、移植可能な医療デバイスの通信インターフェース、を介して少なくとも1つの外部エンティティに送信するように構成される。
【0039】
好ましくは、少なくとも1つの外部エンティティは、医師のモバイル端末及び/又は医師のウェブ(たとえば、ウェブサイト及び/又はウェブ・インターフェース)及び/又は医師によって使用されるウェブ・サービス、たとえば、医師に対面するウェブ・インターフェースを有するリモートサーバ、である。
【0040】
好ましくは、医師のモバイル端末は、スマートフォン、携帯情報端末、タブレット、ノートブック、スマート・ウォッチ、ウェブ・ブラウザを有する任意のデバイス、及びスマート・グラスを含む(或いは、で構成される)グループから選択される。
【0041】
好ましくは、通信インターフェースは、ワイヤレス通信インターフェースである。しかしながら、本開示は、それに制限されず、通信インターフェースは、ワイヤード通信インターフェースであり得る。
【0042】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、通信インターフェースは、少なくとも1つの通信ネットワーク、特にインターネット、を介する通信のために構成される。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つの通信ネットワークは、ローカル・エリア・ネットワーク及び/又はワイド・エリア・ネットワークを含む、或いは、である。
【0044】
好ましくは、ワイド・エリア・ネットワークは、GSM(Global System for Mobile Communications)、GPRS(General Package Radio Service)、EDGE(Enhanced Data Rate for GSM Evolution)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、LTE(Long-Term Evolution)、及び5G(Fifth Generation Technology Standard)のうちの少なくとも1つのために構成される。
【0045】
本開示の別の独立態様によれば、生理学的信号を分析するための方法が、提供される。方法は、
- 離散時間生理学的信号を受信することと、
- 生理学的信号の現在のサンプル値に関連する標示を生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較することと、
- 現在のサンプル値に関連する標示が前のサンプル値に関連する標示とは異なる場合に基準イベントの存在を決定することと、
- 基準イベント間に定義される区間内の生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの区間のそれぞれのサンプル総数を取得することと、
- サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することとを含む。
【0046】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、システム及び/又は方法は、4つの分析基準イベントの任意のサブセットを選択する及び好ましい実施例において4つの拒絶標準の任意のサブセットを有効又は無効にする能力を有する制御機構を含む。
【0047】
実施例はまた、開示された方法を実施するためのシステム/デバイスに向けられ、それぞれの記載された方法態様を実行するためのシステム/デバイスを含む。これらの方法態様は、ハードウェア構成要素、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータを用いて、その2つの任意の組合せによって、又は任意の他の方式で実行され得る。さらに、本発明による実施例はまた、記載されたデバイス/システムを操作するための方法に向けられている。本開示は、デバイス/システムのあらゆる機能を実施するための方法態様を含む。
【0048】
本開示の別の独立態様によれば、機械可読媒体が、提供される。機械可読媒体は、本開示の実施例の生理学的信号を分析するための方法を実装するために1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令を含む。
【0049】
(たとえば、非一時的)機械可読媒体は、たとえば、CD-ROM及びデジタル・ビデオ・ディスク(DVD)などの光媒体と、電気的プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、及び電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)などの半導体メモリとを含むことができる。機械可読媒体は、1つ又は複数のモジュールに編成された及び任意の所望のコンピュータ・プログラミング言語で書かれたコンピュータプログラム命令又はコードを有形に保持するために使用することができる。たとえば1つ又は複数のプロセッサによって、実行されるとき、そのようなコンピュータ・プログラム・コードは、本明細書に記載の方法のうちの1つ又は複数を実装することができる。
【0050】
本開示の別の独立態様によれば、生理学的信号を分析するためのデバイス又はシステムが、提供される。デバイス又はシステムは、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサに連結された及び本開示の実施例の生理学的信号を分析するための方法を実装するために1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令を含むメモリ(たとえば、前述の機械可読媒体)とを含む。
【0051】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、デバイス及び/又はシステムは、推定されたパラメータにおいてより高い統計的検出力を生み出す生理学的期間全体ごとの複数の重複する分析区間が存在するような、生理学的期間全体、又は2分の1、又は4分の1フェーズ、或いは選択された基準ポイントに対応する何らかの他の断片を測定する生理学的信号を分析するための手段を含む。
【0052】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、デバイス及び/又はシステムは、生理学的信号の忠実性を保つ生理学的信号を分析するための手段を含み、それの期待される形状、たとえば、非単調性、からの離脱についてその信号を評価し、信号が期間全体の各断片についてのその期待を逸脱する場合にはインジケータを設定する。
【0053】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、デバイス及び/又はシステムは、どの重複する分析区間が含まれるか又は推定パラメータに貢献することから省略されるかを選択して、期間の全体、半分、4分の1、又は断片ごとに構成可能な形態学的又は干渉拒絶標準に対して評価する生理学的信号を分析するための手段を含む。
【0054】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、デバイス及び/又はシステムは、どの重複する分析区間が含まれるか又は推定パラメータに貢献することから省略されるかを選択して、期間の全体、半分、4分の1、又は断片ごとに統計値又は品質メトリクスに対して評価する生理学的信号を分析するための手段を含む。
【0055】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、デバイス及び/又はシステムは、生理学的信号を分析する、付加的観測のための最良の統計的属性、又は品質メトリクスを有する複数のセンサ入力から少なくとも1つのセンサ入力のサブセット又は少なくとも2つのセンサ入力の組合せを先を見越して、適応的に、又は遡及的に選択する、パラメータを計算する、サーバに結果を記憶する又は報告するための手段を含む。
【0056】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、デバイス及び/又はシステムは、生理学的信号の忠実性を保つ生理学的信号を分析するための手段を含み、変化のそれの期待されるレートからの離脱、たとえば、ため息、息切れ、又は他の呼吸異常、を評価し、期間全体の各断片についてのその期待を信号が逸脱する場合にはインジケータを設定する。
【0057】
本開示の前述の特徴が詳細に理解され得るように、前述で簡潔に要約された、本開示のより具体的な説明が、実施例を参照することによって有され得る。添付の図面は、本開示の実施例に関し、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本開示の実施例によるゼロ交差基準の例示的生成を示す図である。
【
図2】本開示の実施例によるゼロ交差存続期間の例示的計算を示す図である。
【
図3】本開示の実施例によるゼロ交差ユニットを示す図である。
【
図4】本開示の実施例による極値基準の例示的生成を示す図である。
【
図5】本開示の実施例による極値存続期間の例示的計算を示す図である。
【
図6】本開示の実施例による極値ユニットを示す図である。
【
図7】本開示の実施例によるストレージ及び観測制御ユニットを示す図である。
【
図8】1分ごとの基準イベント及びそれらの効果的レートを示す図である。
【
図9】本開示の実施例による基準制御ユニットを示す図である。
【
図10】基準区間のタイプ間の重複を示す図である。
【0059】
その1つ又は複数の実例が図に示されている、本開示の様々な実施例をここで詳細に参照する。図面の以下の説明では、同じ参照番号は、同じ構成要素を参照する。概して、個々の実施例に関する差のみが、記述される。それぞれの実例は、本開示の説明として提供され、本開示の制限として意図されていない。さらに、1つの実施例の一部として図示又は記述される特徴は、他の実施例に関して又は他の実施例と併せて使用してさらなる実施例を生じさせることができる。記述はそのような修正形態及び変動を含む、ということが意図されている。
【0060】
移植可能な医療デバイスは、たとえば、移植可能な医療デバイスによって測定される生理学的信号を分析することによって、患者の健康状況をモニタするために広く使用される。しかしながら、以下の理由のうちの少なくともいくつかで未加工信号から有意義な診断情報を得ることは難しい可能性がある:
- モニタリングのみのデバイスを有する患者は、より多くの移動性/動きを有し、測定を妨げる可能性がある。
- すべての生理学的プロセスが同時に起こる単一の時刻は、通常、存在しない。
- 診断のため又は健康状況の追跡のために必要なセンサの最適なサブセットは、移植場所及び患者の安静位とともに変化する。
- 誤った最高点、最大値、又は最小値に類似した生理学的データにおける形態学的特徴が存在する。
- 実際の形態学的特徴のように誤って見える又は実際の形態学的特徴を分かりにくくする、ノイズ又は干渉である、デバイス入力が存在する。
- 断続的な呼吸のため息は、いくつかの信号処理チェーンの歪められていない動作限界を超えることができるセンサ出力におけるより高い振幅として表現されるより大きなボリュームを有する。ここで、ポイントは、信号レベルが、信号処理進路の歪められていない動作限界に留まるように、AutoGain関数は、振幅の期待される生理学的変化のいくつかの動作マージン及び/又はガードバンドを残さなければならない、ということであり得る。AutoGainは、速度範囲ごとにローカルに利得を更新することによって、個別の利得関数を改善する。それは、それが利得応答を適合させることによって減らそうと試みる、照準のエラーのプロファイルを更新するために、動きを部分的動きに分割する。
- 心不全は、ベースラインからの2つの1分あたりの呼吸(Bpm)の変化と同じくわずかに示されることがあり、したがって、検出が難しい。
【0061】
追加で、呼吸のため息の増加又はため息の存続期間の変化(振幅差異の最大値の)は、個人の生理学的状態の変化を決定するための手段になり得る。
【0062】
本開示の実施例は、生理学的信号の改良された形態学的分析を提供する。特に、本開示の実施例は、患者の健康状態、特に呼吸作用の属性、に関する情報を生じさせるために、IMDにおいてセンサを通して利用可能な生理学的信号の形態を分析する。特に、離散時間生理学的信号の標示は、基準イベントを決定するために分析され、基準イベントは、順に、患者の健康状況を示す生理学的パラメータを決定するために使用される。
【0063】
詳しくは、本開示による生理学的信号を分析するためのシステムは、離散時間生理学的信号を受信するように構成された入力部と、少なくとも1つのプロセッサ・モジュールとを含む。生理学的信号は、心電図(ECG)、酸素飽和度(SpO2)、血圧、インピーダンス、加速度測定、活動、体液状況、吸気及び/又は呼気努力、又は呼吸作用であり得る。好ましくは、生理学的信号は、呼吸作用である。
【0064】
少なくとも1つのプロセッサ・モジュールが、生理学的信号(たとえば、呼吸作用)の現在のサンプル値に関連する標示(正の又は負の)を生理学的信号の前のサンプル値に関連する標示と比較することと、現在のサンプル値に関連する標示が前のサンプル値に関連する標示とは異なる場合に基準イベントの存在(たとえば、ゼロ交差又は極値)を決定することと、基準イベント間に定義される区間内の生理学的信号のサンプルを数えてそれぞれの区間のそれぞれのサンプル総数を取得すること(区間は、生理学的サイクル全体の1つの全部、2つの半分、又は4つのフェーズでもよい)と、サンプル総数に基づいて少なくとも1つの生理学的パラメータ(たとえば、呼吸作用努力、呼吸作用機能不全及び/又は呼吸作用の中断)を決定することとを行うように構成される。
【0065】
したがって、離散時間生理学的信号の標示は、基準イベントを決定するために分析され、基準イベントは、順に、患者の健康状況を示す生理学的パラメータを決定するために使用される。たとえば、生理学的信号を分析するためのデバイスは、心内電位図(IEGM)、連続心電図(SECG)、インピーダンス、加速度計データ、及び/又は圧力入力ストリームを受け入れ、それらを量子化し、歪めない方式で入力を事前調整し、観測時間(特に、心不全を明らかにするもの)を選択し、入力のサブセットを最適化し、分析基準イベント及びそれらの間の関係を抽出し、妨害又は交絡因子を処理し、統計値及び品質メトリクスを含む出力を生み、結果をサーバにアップロードすることができる。
【0066】
それによって、疾患、たとえば、心不全(HF:heart failure)、の発生をモニタ、追跡、又は診断するために使用することができる、生理学的パラメータ、たとえば、呼吸作用、呼吸作用努力、呼吸作用機能不全及び呼吸作用の中断、の有意義な測定が、提供され得る。
【0067】
以下は、生理学的パラメータを決定するためのプロセスの概観であり、そこで、プロセスは、本開示の実施例の基準イベント分析を実装する。
【0068】
概観:
A.観測を時間又は生理学的パラメータに同期させること
B.センサ・オフセット及び利得設定の検索
C.剰余オフセット及びバンド外信号コンテンツを取り除くための信号の事前調整
D.区間データ、統計値、及び品質メトリクスを生じさせる基準アルゴリズム
E.統計値及び品質メトリクスを使用する複数のセンサからの予測選択。
F.受け入れられた区間データからの生理学的パラメータの決定
【0069】
詳細:
A.観測結果を時間又は生理学的パラメータに同期させること
本開示の実施例は、予期される毎日の心肺、代謝、又は自律神経不全を決定して、時刻、心拍、心拍差異、自律神経の緊張、温度、動き、姿勢、又は圧力のインジケータ、或いはこれらのサブセットに基づいて入力をサンプリングして測定の最適な時間を示すことができる。したがって、測定は、これらの組合せによってトリガされ得る、或いは、これらのサブセットが鎮静化するまで、スタンバイになる又は一時停止される。
【0070】
B.センサ・オフセット及び利得設定の検索
本開示の実施例は、歪められていない動作限界にセンサ出力信号レベルが留まるように、双方向手段、たとえば、フィボナッチ検索、によって、センサ・ユニットのリアルタイムの構成可能なパラメータ、たとえば、DCオフセット及び利得、を決定又は調整することができる。さらに、出力レベルは、位置、動き、又は生理学的変化、たとえば、自発的な強化された息(ため息)、にもかかわらず信号レベルがそのように存続するように、固定又は適応性のある場合にガードバンドされ得る。
【0071】
C.剰余オフセット及びバンド外信号コンテンツを取り除くための信号の事前調整
本開示の実施例は、ゼロ交差の時間及び勾配と、ピーク及び底値の時間及び振幅と、極大部分の下のエリアと、極大部分の上昇する及び下落する仕切りと、これらのエリア及び割合とを含むが、これらに限定されない、基準の間の実際の時間関係が、決定され得るように、入力を事前調整してゼロ平均を概算し、手段、たとえば、対象の形態の忠実性を保つウェーブレット・フィルタ、によってバンド外信号コンテンツを減らすことができる。
【0072】
D.区間データ、統計値、及び品質メトリクスを生じさせる基準アルゴリズム
a)本開示の実施例は、事前調整された入力を受け入れ、基準イベント区間、振幅、勾配及び極値を、それぞれを時間インデックス、サンプル値、及び存続期間と関連付けて、評価することができる。この概念については、さらに詳しく後述する。
b)本開示の実施例は、事前調整された入力を評価し、1セットの拒絶標準に対して各基準イベント状態を関連付けて、ノイズ・フロア、非単調な信号変化、レール又は運動フラグを示すフラグでそれぞれにタグを付けることができる。この概念については、さらに詳しく後述する。
c)分析の部分区間が、推定の力を増やして、区間全体に複数回重なるように、本開示の実施例は、1つの生理学的区間全体をさらに分割する。たとえば、単一生理学的サイクル、たとえば、息区間又は心性区間N回、そこで、N個の別個の基準が分析され、たとえば、各息区間は、4分析区間:2つのゼロ交差区間(1つの上へのゼロ交差、1つの下へのゼロ交差)、2つの極値区間(1つのピークからピーク、1つの底値から底値)、によってオーバーサンプリングすることができ、それにより、推定の周りの不確実性を半分に減らす。
【0073】
E.複数のセンサからの予測選択
本開示の実施例は、事前調整された入力を受け入れ、単独の又は結合されたサブセットのセンサのうちのどれが基準、拒絶標準、又は品質メトリクスの組合せを用いる対象の生理学的信号を最もよく表すかを先を見越して決定することができる。
【0074】
F.生理学的パラメータの決定
a)本開示の実施例は、1セットの事前に定義された設定に基づいてどの基準又は拒絶標準を含む又は排除するかを選択することができる、或いは信号属性を変更せずに選択を適応的に変更することができる。
b)本開示の実施例は、構成設定によって選択されたそれらの基準及び拒絶標準から観測結果を収集し、集合体から瞬時値又は推定値を提供することができる。
c)本開示の実施例は、交絡信号が生じる又は過剰な数の拒絶標準が検出されるときに、進行中の測定を一時停止又は停止することができ、するとすぐに、特徴が再調整される及び/又は測定が、妨害信号が静まるときにキャンセル、一時停止及び再開される、或いはスケジュール変更される。
d)本開示の実施例は、受け入れられた観測結果に関する測定値の中心傾向、変動、及び信頼性制限の推定を提供することができる。
e)本開示の実施例は、収集されたデータの品質のメトリクス、たとえば、総合的観測結果に対する受け入れられたものの割合、を決定することができる。
f)本開示の実施例は、測定の分解能が十分であるかを決定することができ、たとえば、質問「必要な数の観測結果Nは取得され、X±Y(Bpm)の呼吸レートが95%の信頼性及び品質メトリクで報告され得ると受け入れられた(及び/又は評価された)か」に答える。
【0075】
ステップA~Fで前述した形態学的分析は、以下の態様のうちの少なくともいくつかを説明し得る:
- 信号特徴の間の実際の時間関係が決定され得るように、信号形態の忠実性の保存。
- 信号が生理学的に有意な及び比較可能な情報を含み続けるように、患者の動き又は位置又は生理学的変化の補償。
- 交感神経活動の毎日の天底(最小値)の複数のキューの組み込み。
- 所与の姿勢の測定時間中に適用範囲を提供するための利用可能なセンサからの選択。
- 分析の統計的検出力を提供するための各イベントの複数の基準の分析。
- 結果のロバスト性を確保するための分析イベントの保持及び拒絶のカスタマイズ。
- 推定器の統計的検出力を増やすための複数のやり方での単一イベントの分析。
- 効率を高めるためのどの分析イベントが省略又は保持されるかのカスタマイズ。
- デバイス費用の保護:交絡因子が生じるときに分析を一時停止、スタンバイ、スケジュール変更、又はスキップする。
- 瞬時又は収集された観測結果。
- 計算されたパラメータの統計的推定の提供。
- 測定品質及び分解能のメトリクスの提供。
【0076】
ステップDの基準分析については、さらに詳しく後述する。
【0077】
本明細書に記載の他の実施例と結合することができる、いくつかの実施例によれば、基準イベントは、生理学的信号のゼロ交差又は極値(最小値又は最大値)であり得る。
【0078】
1.ゼロ交差基準イベント
分析のゼロ交差基準イベントを生じさせるステップが、
図1に説明されている。上方のサブプロットでは、その振幅が、秒の時間尺度と対比した信号進路の歪められていない動作範囲内にある、例示的波形が、示されている。中央のサブプロットは、各入力サンプルの標示を示し、そこで、第1の線100は、現在のサンプルの標示に対応し、第2の線102は、前のサンプルの標示に対応する。下方のサブプロットは、現在の標示と前の標示とが異なるときのゼロ交差基準イベントZCの識別を示し、そこでは、それぞれ、+1は上へであり、-1は下へである。
【0079】
ゼロ交差基準イベント区間存続期間が、識別された各ゼロ交差に関して計算される(
図2の上方のサブプロット)。中央のサブプロットは、信号の標示が同じままである間、サンプルの数が数えられる、ということを示し、そこで、第1の線200は、負の極大部分値の途切れない実行の総数及び正の極大部分値の第2の線202の総数に対応する。各ゼロ交差時に、負の及び正の極大部分の総数が、合計され、知られているサンプル・レートの総数における存続期間として記憶される(下方のサブプロット)。
【0080】
各ゼロ交差時に、次の極大部分のサンプル総数は、リセットされ、サンプル総数を再び累積し始める。たとえば、信号が、2秒と4秒との間で負だった間、負のサンプルの総数は、累積され、次いで、4秒と6秒との間に信号が正である間にラッチされ、6秒における下へのゼロ交差(-1)における正のサンプル総数と合計され、負のサンプルを再び数え始められた。この実例では、正のサンプル総数が、信号が負に転じるので、2秒においてラッチされ、4秒における負のサンプル総数と合計され、再開され、信号が負に転じるので6秒においてラッチされる。
【0081】
図3に示すように、例示的な一実施例において、前述は、以下の手段によって達成される。
【0082】
サンプルIRQ:
一実施例では、ワークフローは、サンプルごとにリアルタイムでゼロ交差ユニット(
図3)に入る。システムは、個別の時間の個別の貴重なデータ・ストリームを生じさせてサンプリングされる、アナログ・センサを有する。システムは、サンプルが利用可能であるときに、中断を発する(サンプルIRQ)。
【0083】
nxtVal:
サンプル値(nxtVal*)が、量子化器出力レジスタから取得される。星印を付けられた変数は、後でステップ記憶する*において保存されることになる。nxtValが負であるかどうかのテストは、ゼロ交差ユニットのエントリ・ポイントである(
図1)。交差(Xing)ユニットは、負の極大部分(左枝)及び正の極大部分(右枝)を評価しなければならない。
【0084】
nxtSgn:
nxtValの標示が、正又は負として割り当てられる(nxtSgn)。
【0085】
motnFlg:
システムは、加速度計と、サンプリングされる運動フラグを生成するためのユニットとを有し、運動がアクティブである場合、その状態が設定される(nxtNegMotnRjc/nxtPosMotnRjc)。
【0086】
railFlg:
センサ入力は、量子化器の歪められていない動作限界を超え得るので、レール・フラグは、サンプリングされ、信号入力が動作限界に達している場合、その状態が、ラッチされる(nxtNegRailRjc/nxtPosRailRjc)。
【0087】
prmThr:
負の及び正の極大部分の振幅が、ノイズ・フロア(prmThr)を超える場合、それぞれの極大部分のプロミネンス拒絶フラグが、消去されnxtNegRjc/nxtPosRjc、そうでない場合には、それは真の状態に留まる。言い換えれば、振幅は、それの振幅が他の方法で示すまで、ノイズとは区別できないと仮定される。
【0088】
IstVal:
ワークフローが、ここで負の又は正のnxtVal枝にある場合、最後の値(IstVal)の標示が、現在のサンプルがゼロを横切っているかどうかを決定するために、呼び戻される。
【0089】
負/正:
前の(IstVal)及び現在の(nxtVal)の両方が同じ標示を有する場合、基準識別子(xngFid)、分析区間の存続期間(xngDur)、プロミネンス、レール、及び運動拒絶フラグが、消去される(xngPrmRjc、xngRailRjc、及びxngMotnRjc)。ワークフローが、負の枝内にある場合、負のサンプルの総数が、維持される。そうでない場合、ワークフローが、正の枝内にある場合、正のサンプルの総数が、増される。
【0090】
下への/上へのゼロ交差:
前の(IstVal)及び現在の(nxtVal)サンプル値が、異なる標示を有する場合、ゼロ交差は、識別されてある。ゼロ交差イベント時に、以下のステップが、実行され得る:基準識別子が、割り当てられ(xngFid*)、この分析区間の存続期間(xngDur*)(現在のゼロ交差に対する同じ方向の最後のゼロ交差)が、計算される。
【0091】
拒絶標準:
拒絶標準xngPrmRjc*、xngRailRjc*、及びxngMotnRjc*が、テストされ、それぞれの存続期間拒絶標準のために負の又は正のフラグが設定された場合には、真に設定される。この時点で、記憶する動作が、この時点まで星印を付けられた任意の変数について実行され、そこで、記憶する動作は、配列においてバッファリングすること又はアキュムレータにおいて集めることを含む。記憶する動作はさらに、任意のサブセットの可能な基準識別子、無効と見なされる存続期間、又は任意のサブセットの拒絶フラグを有する任意のデータを省略するようにフィルタ処理され得る。
【0092】
記憶する*:
変数は、この時点で記憶される。
【0093】
図10は、分析区間が完了した後に関連する息の存続期間、基準サンプル値、他の状況データが記憶される、ということを示す。生理学的区間全体の半分として呼吸作用を評価するとき、先導的(次の)データが、(最後の)後端のデータとして記憶される。したがって、たとえば、拒絶フラグが、7秒との9秒間に生じて、プロミネンス存続期間が、9秒に記憶された場合、拒絶データは、11秒に保存されたプロミネンス存続期間の長さ内にあるので、拒絶データは、対応する(最後の)後端のデータに持ち越される。この後、後端のプロミネンス・データの拒絶フラグは、失効することを許される。ゼロ交差存続期間についても同様。
【0094】
極値のための保存:
近づいている極値イベントが、現在のゼロ交差分析区間に続き、部分的に重複する。したがって、ノイズ・フロアの分析拒絶状態(xngPrmRjc)、レール(xngRailRjc)、及び運動(xngMotnRjc)が、それぞれ、xtrPrmRjc、xtrRailRjc、及びxtrMotnRjcにおいて近づいている極値のために保存される。
【0095】
後端の極大部分のための保存:
ゼロ交差は、極大部分の末尾であり、近づいている分析イベントの後端極大部分の拒絶フラグの状況を保存する。現在のノイズ・フロア拒絶フラグ(nxtPosRjc/nxtNegRjc)、レール・フラグ(nxtNegRailRjc/nxtPosRailRjc)、及び運動拒絶フラグ(nxtNegMotnRjc/nxtPosMotnRjc)が、それぞれ、それらの後端相対物(IstPosRjc/IstNegRjc)、(IstNegRailRjc/IstPosRailRjc)、及び(IstNegMotnRjc/IstPosMotnRjc)において保存される。
【0096】
次の極大部分のリセット:
ゼロ交差は、極大部分の初めであり、ノイズ・フロア拒絶フラグ(nxtNegRjc/nxtPosRjc)を設定して、信号マグニチュードが閾値を超えるまで、真と仮定し、レール(nxtPosRailRjc/nxtNegRailRjc)及び運動拒絶(nxtPosMotnRjc/nxtNegMotnRjc)フラグを消去する。
【0097】
(負の/正の)サンプル総数をリセット:
ゼロ交差は、極大部分の初めであり、負の(negCnt)及び正の(posCnt)極大部分におけるサンプルの総数をリスタートする。
【0098】
2.極値基準イベント
分析の極値基準イベントを生じさせるステップが、
図4で説明されている。上方のサブプロットにおいて、その振幅が、秒の時間尺度に対する信号進路の歪められていない動作範囲内にある、例示的波形が、示されている。中央のサブプロットは、極値までの各入力サンプルの勾配を示し、そこで、第1の線400は、現在のサンプルの勾配に対応し、第2の線402は、前のサンプルの勾配に対応する。下方のサブプロットは、現在の及び前の勾配が信号極値において異なるときの極値基準イベントの識別を示し、そこで、それぞれ、+1がピークであり、-1が底値である。
【0099】
極値基準イベント区間存続期間が、識別された各極値に関して計算される。
図5の上方のサブプロットは、ピークPから底値Tへの下落の存続期間をラッチ及び保持するためのウェイ・ポイントを示す。中央のサブプロットは、フリー・ランニング(参照番号500)及びラッチされる(参照番号502)下落カウンタを示す。たとえば、信号が、ピークPを外れる(現在の(参照番号500)及び前の(参照番号502)勾配の標示が、上方のサブプロット内の5秒において異なる)とき、ランニング下落カウンタが、開始する(中央のサブプロット内の参照番号500)。信号が、ゼロに交差するとき(6秒)、ラッチされる下落カウンタは、フリー・ランニング・カウンタを追跡する。ラッチされる下落カウンタは、信号の天底に到達したときにフリー・ランニング・カウンタの追跡を止める(7秒)。底値Tに到達したとき、前の上昇(底値からピークまで)の総数及び現在の下落(ピークから底値までの)の総数は、底値から底値までの存続期間を生じさせて、合計される。
【0100】
図6に示すように、例示的な一実施例において、前述は、以下の手段によって達成される。
【0101】
xtrDur:
ゼロ交差ユニットを介してサンプルが完成したとき、ワークフローは、勾配ユニットに入る(
図6)。
【0102】
nxtSgn:
極大部分が負又は正であることをnxtSgnが示すかどうかに関するワークフローの枝。
【0103】
負の/正の極大部分:
極大部分が負である場合、勾配下落のサンプルの総数は、維持される。そうではなく、極大部分が正である場合、勾配上昇の総数は、増される。
【0104】
非単調な拒絶(ゼロ交差後フェーズ):
ワークフローが、下落進路内にあり、正の勾配が、生じる場合、下落を拒絶するためのフラグ(nxtDscRjc)が、ラッチされることになる。上昇進路において負の勾配に遭遇することは、上昇拒絶フラグ(nxtAscRjc)をラッチすることになる。別法として、非単調な振幅が、非ゼロ・ノイズ・フロアを許容するために、閾値に対してテストされ得る。また、別法として、拒絶セレクタは、非単調性を無視するように構成又は適合され得る。ゼロ勾配は、プラトーであり、非単調と見なされない、ということに留意されたい。
【0105】
プラトー:
ワークフローが負の極大部分の枝内にあり、勾配が負でない場合、ワークフローは、プラトー進路において進み、識別子を消去して、より深い天底の探索を飛ばす。この進路はまた、この分析区間の最も深い天底の後に、上昇する肢によって取られるので、上昇総数は、増される。ワークフローが正の極大部分枝内にあり、勾配が正でない場合、ワークフローは、プラトー進路において進み、nxtSlp識別子を消去して、より高い頂点の探索を飛ばす。この進路はまた、この分析区間の最高のピークの後に下降する肢によって取られるので、下落総数が、増される。
【0106】
負の/正の勾配:
勾配(nxtSlp)は、IstValとnxtValとの関係をテストすることによって、負又は正であると決定される。現在のサンプルがまた、勾配と合致するゼロ交差(xngFid)である、又は現在のサンプルが、より深い天底又は高い頂点である場合、現在の値が、この分析区間の可能な極値として記憶される。上方のバンド制限に近づく急速な生理学的レートで、信号値は、単一サンプルのみの極値を表し得る。下落又は上昇肢(IstRjc/IstRjc)の現在のサンプル総数が、キャッシュされ、その肢における非単調な変化の拒絶状況(nxtDscRjc/nxtAscRjc)が、キャッシュされる(IstDscRjc/IstAscRjc)。対応する新しい肢は、天底又は頂点に到達したときに始まるので、近づいている上昇又は下落肢のサンプル総数及び非単調な拒絶は、深くなる天底及びより高い頂点によって消去される。
【0107】
非単調な拒絶(極値後フェーズ):
現在のサンプルが、極値(天底/頂点)に続き、極大部分の標示(nextSgn)及び勾配が、合致する場合、非単調な拒絶フラグが、対応する肢においてラッチされることになる(nxtAscRjc/nxtDscRjc)。より大きなマグニチュードの極値はこのフラグを消去し得る、ということに留意されたい。
【0108】
極値底値/ピーク:
各サンプルに関して、前の勾配と現在の勾配との関係(IstSlp/nxtSlp)が、極値が発生したかを決定するために、テストされる。nxtSlpはまた、単一サンプル頂点の代わりにプラトーを有する極値を可能にするゼロでもよい、ということに留意されたい。識別したとき、プロミネンスが、底値又はピーク(prmFid)として識別される。この時点で、前の及び現在の勾配肢の時間の長さが、極値の間の2つの分析区間のうちの1つを構成するので、計算され(prmDur)、それらの基準は、底値-上昇肢-下落肢-底値又はピーク-下落肢-上昇肢-ピークである。上昇及び下落肢の拒絶標準が、テストされ、現在の分析区間(xtrSlpRjc)と関連付けられる。
【0109】
より大きなマグニチュードの極値:
現在の極値(prmFid)と前の極値(最後の記憶されたprmFid)とが、同じである場合、それらが達成した極値(現在の及び記憶されたndrVal/apxVal)が、現在の極値がより大きなマグニチュードを有するかを見るために、比較される。マグニチュードが、より大きい場合、現在の値が、最後の値を上書きする又はそれに置き換わり、そうでない場合には、現在の値は、破棄される又は割り引かれる。現在の極値(prmFid)及び前の極値(最後の記憶されたprmFid)(の標示)が、異なる場合、次いで、現在の値は、それが第1なので、記憶される。一代替実施例では、形態論がまだ単調である場合、prmFid値が、下落及び上昇の滑らかさを特徴付けるためのメトリクとしてのより大きなマグニチュードの各極値時に、増される。
【0110】
xngSlpRjc:
xtrSlpRjecのこの値は、近づいているゼロ交差についてキャッシュされる。
【0111】
基準アルゴリズムの1生理学的区間全体におけるゼロ交差、極値、及び複数の分析区間(ステップD)について記述したが、ここで、ストレージ、計算、及び制御態様(ステップE及びF)について、
図7、8、及び9を参照して、さらに詳しく後述する。
【0112】
strLst:
前述のテストは、現在の及び前のサンプルに関して達成される結果の関係に依存し、したがって、nxtVal、nxtSgn、及びnxtSlpは、ストレージ・ユニットによって、それぞれ、IstVal、IstSgn、及びIstSlpにおいて、近づいている分析イベントについて記憶される(
図7)。
【0113】
記憶された基準分析イベント:
好ましい一実施例では、記憶する*は、4つのタイプの基準分析イベント及び、以下の、それらの対応する収集された情報のキャッシュをもたらす:2つのタイプのゼロ交差(上へ及び下へ)、及び2つのタイプの極値(ピーク及び底値)。各基準イベントの関連データは、サンプル番号(sx)、タイプ及び方向を識別する基準値(xngFid/prmFid)、基準区間中に生じた最大マグニチュード(nxtVal/ndrVal/apxVal)、前の及び現在の基準区間の存続期間(xngDur/prmDur)、及び、ノイズ・フロアのゼロ交差及び極値区間拒絶フラグ(PrmRjc)、非単調性(SlpRjc)、クランプ制限に接する信号レベル(RailRjc)、及び運動フラグ(MotnRjc)である。
【0114】
【0115】
観測制限:
サンプルIRQの結論の上に、時間制限を超えることによって観測窓が完結されるか、或いは分析基準イベントの総数が、観測後、パラメータ、統計値、及び/又は品質メトリクスを計算するのに十分であるかを、テストすることができる。観測窓が、完成しない場合、実行は、システムに戻る。そうでない場合、サンプルIRQが、無効化され、プログラムの流れは、観測後ステップに進む(
図7)。
【0116】
開始:
好ましい一実施例では、ワークフローは、期待される静止期間の初め(
図9内の左手側)を示す時刻IRQ上で基準制御ユニットにおいて開始される。別法として、いくつかの生理学的状態又は外部トリガ(患者、臨床医、聴覚による乱れた呼吸の検出)が、開始をアクティブにし得る。
【0117】
妨害条件:
次いで、実際の心拍が静止制限を超えないということがチェックされる。運動フラグもまた、近づいている観測窓中に落ちる遅延性変時性応答をそれがもたらし得るので、一時的物理活動がないということを確実にするために、チェックされる。一代替実施例では、温度もまた、毎日の代謝天底を示すために使用され得る。
【0118】
スタンバイ:
データが、静止標準を満たさず、スタンバイが、有効にされた応答である場合、ゲーティング入力は、それらが止まるとき、ワークフローをリフレッシュ及び再開するので、ゲーティング入力をモニタすることが継続される。
【0119】
待機:
スタンバイが、有効にされた応答でなく、IMDのエネルギ消費を減らすことになっていない場合、構成可能な時間量(たとえば、15分)の待機が静止期間の終わりの外にあることになるかが、チェックされ得る。そうであれば、基準制御は、次のスケジュールされた静止期間が開始するまで、止まる。そうでない場合、基準制御は、待機の後にゲーティング入力のリフレッシュのモニタリングを再開する。後者の場合、いくつかの試みが、静止期間中に生理学的信号を測定するために、行われ得る。
【0120】
選択:
ワークフローが、妨害条件のゲートを通過する場合、入力のセンサが、選択され得る。センサは、固定、たとえば、3軸加速度計の単一の好ましい軸、に構成可能であり得る。別法として、選択は、3つの加速度計軸のうちのどれが最大マグニチュード生理学的信号を与えるかの予測アセスメント、たとえば、信号における呼吸の換気振幅(tidal amplitude)、でもよい。さらに別法として、複数の信号が、分析のための単一の合成された波形のために算術的に結合され得る。さらに別法として、異なるセンサ・タイプからの複数の信号が、多重化され得、それらの別個の結果は、計算される値、たとえば、呼吸レート、の推定を裏付ける、条件付ける又は改善するために使用される。
【0121】
観測窓制限:
2つの観測窓制限が存在することが可能である。第一に、イベント総数制限(下界)が、提供され、その値は、好ましい一実施例では、たとえば、16Bpmと18Bpmとを区別して、YY%(たとえば、95%)の信頼性を有する±XBpm(たとえば、±2Bpm)の分解能まで呼吸速度を推定するために、サンプルの必要最小数から計算される。第二に、信号属性は、前者を満たすのに十分な受け入れられた基準イベントを生じさせていないため、時間制限(上界)が、基準分析があまりにも長く続くのを制限するために、提供される。したがって、デバイスエネルギ消費を下げて、十分な数の受け入れられたイベントが、時間が失効する前に、生じる場合、観測窓は、完了し得る。別法として、パラメータは、順次に又は増加的に計算されてあり、ストレージのために部分的に又は完全に利用可能である、或いは観測完了時に報告する。たとえば、分析基準区間は、変化の期待レート外の一時的効果、たとえば、ため息、息切れ、又は他の呼吸異常若しくは乱れた呼吸パターン、を示し得る。この場合、信号がそのような予想を逸脱するという、インジケータが、設定されることになる。
【0122】
サンプルIRQの有効化:
これは、ゼロ交差ユニットにおける信号ストリームのサンプル毎の処理をアクティブにする(
図3)。
【0123】
ここで、ステップGの生理学的パラメータの決定について、
図8及び9を参照して、さらに詳しく後述する。
【0124】
観測完了:
基準イベントのサンプル毎の分析が、観測完了で完結し(
図7)、ワークフローは、観測後窓分析に移動する(
図9内の右手側)。観測後窓分析は、観測窓全体の記憶された基準分析イベントに関して実行される。
【0125】
観測窓の1分ごとのレート:
分析のために含まれるように構成された、受け入れ済み分析イベントの総数及び拒絶済み分析イベントの総数が、数えられる。センサが呼吸レートを測定するために使用されていた場合、サンプルにおける存続期間は、合計され、次いで、1分ごとのレートへの変換を可能にするために、正規化される(
図8)。
ax=i|[ZeroXingUp
i;ZeroXingDown
i;Apex
i;Nadir
i]∈受け入れ済み
rx=i|[ZeroXingUp
i,ZeroXingDown
i,Apex
i,Nadir
i]∈拒絶済み
計数
受け入れ済み=計数(ax)
計数
拒絶済み=計数(rx)
存続期間
合計=Σ区間
ax
存続期間
正規化済み=存続期間
合計/計数
受け入れ済み
レート
息=60/(存続期間
正規化済み/周波数
サンプリング)
【0126】
別法として、呼吸レートが、以下のように、極値の振幅、及びゼロ交差における息の特徴の勾配から呼吸周波数を推論することによって、計算され得る:
S0=(y2-y1)/Ts、ここで、S0はゼロ交差における勾配であり、Tsはサンプル・レートである。
S0=A0・2・π・f0、ここで、A0は息振幅であり、T0=1/(2・π・f0)を所与として、f0は呼吸周波数である
レート息=60/((A0・2・π)/S0)
【0127】
観測窓の十分な観測結果品質メトリク:
十分な観測結果品質メトリクは、好ましい一実施例では、95%の信頼性で±2Bpmの分解能で2つの呼吸レートを区別することができるためのサンプル内の観測結果の必要数である。一代替実施例では、分解能は、90%の信頼性で±1Bpmである。さらに、十分な観測結果の品質メトリクは、[0%…100%]内の値に制約される。
計数必要=ceil(8/(((60/(レート息+2Bpm))-(60/レート息))2))
計数必要=max(計数必要,1)
品質十分=min(1,計数受け入れ済み/計数必要)
【0128】
観測窓の割合品質メトリク:
割合品質メトリクは、測定窓におけるすべての観測結果に対する受け入れられたものの比率である。好ましい一実施例では、この品質メトリクは、[0%…50%,100%]内の値に制約され、そこで、受け入れられた観測結果が、大多数である場合、品質メトリクは、パスである。
割合受け入れ=計数受け入れ済み/(計数受け入れ済み+計数拒絶済み)
品質受け入れ=max((50%<割合受け入れ),割合受け入れ)
【0129】
満足な品質メトリク:
2つの品質メトリクスの論理積が、100%に等しい場合、呼吸レートは、トレンド・デバイスに記憶されることになり、サービス・センタにアップロードされるための待ち行列に入れられることになる。一代替実施例では、品質メトリクス、拒絶標準、又は記憶された基準分析イベント内の他のデータのうちの1つ又は複数が、アップロードを伴い得る。
【0130】
観測窓の換気振幅の信頼区間:
分析のために含まれるように構成された受け入れられた基準イベントの平均振幅が、計算され得る。振幅は、合計され、次いで、観測窓の平均への変換を可能にするように正規化される。さらに、好ましい一実施例は、受け入れられたイベントのマグニチュードから、振幅(AAD振幅)の平均絶対偏差を計算する。標準偏差は、ADDをスケール変更することによって、計算することができる。中心点の周りの差異のこれらの尺度は、潮汐のマグニチュードが信頼性制限外にあるとき、乱れた呼吸を識別するために、使用され得る。信頼性区間を確立するための観測窓は、参照を確立するために、受け入れられた分析基準イベントの途切れない長さを有するために必要とされ得る(
図8)。
振幅
平均=(Σ|振幅
ax|)/計数
受け入れ済み
AAD
振幅=(Σ|振幅
ax|-振幅
平均)/計数
受け入れ済み
【数1】
【0131】
前述を考慮して、本開示の実施例は、以下の利点のうちの1つ又は複数を提供する:
- 単にイベント・レートを超える尺度、たとえば、1回換気量(tidal ventilation)、分時換気量、吸気-呼気(IE)比率など、を臨床医に提供する形態学的特徴を分解するための能力。
- 本開示の実施例は、周期的又はトリガされる開始の選択による生理学的尺度のより頑強な推定ための延長された測定時間に対するトレードオフ空間時間クリティカルな低出力測定値を最適化するための複数の戦略、優先度センサの早期の選択又はすべてのセンサのアセスメント、及び、見通しアルゴリズム、測定スタンバイ、一時停止/再開、又は繰延などによる選択の能力を有する。
- 本開示の実施例は、形態学的標準、及び品質メトリクスに基づいてイベントを拒絶して、分析基準イベントを重ねることによって結果の精度及び統計的検出力を高める。パラメータのチューニングは必要ない。
- 本開示の実施例は、誤ったピーク及び底値を防ぐために、すなわち、各分析区間について見つかる最高マグニチュードで後端の制限を更新することによって、最も顕著な直近の極値を選択するための有益な手法を提供する。
- 本開示の実施例は、スペクトル/周波数分析手法ほど計算集約的ではない。
- 本開示の実施例は、生理学的プロセスにおける非定常性又は自律的差異に対して頑強である。
- 本開示の実施例は、生理学的プロセスにおけるイベント(瞬時)変化によってイベントを分解することができる。
- 本開示の実施例は、搭載センサからの酸素飽和度変化、又は血圧変化のような、呼吸作用以外のIMDからの生理学的検出に適用することができる。
【0132】
前述は、本開示の実施例を対象にしているが、本開示の他の及びさらなる実施例が、その基本的範囲を逸脱せずに、考案され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】