(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】パワーモジュール及び電気機器
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515907
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2022131801
(87)【国際公開番号】W WO2023093562
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111423173.0
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何永斌
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼冰
(72)【発明者】
【氏名】アラン イブ ルイ
(72)【発明者】
【氏名】▲賀▼瑞▲興▼
(57)【要約】
パワーモジュール(100)を開示し、該パワーモジュール(100)は、ハウジング(1)と、第1ブリッジアームアセンブリ(2)と、第2ブリッジアームアセンブリ(3)と、を含み、該第1ブリッジアームアセンブリ(2)及び該第2ブリッジアームアセンブリ(3)は、いずれも該ハウジング(1)に取り付けられ、該第1ブリッジアームアセンブリ(2)と該第2ブリッジアームアセンブリ(3)との間に絶縁部材(7)が充填される。該第1ブリッジアームアセンブリ(2)は、交流端子(21)を有し、該第2ブリッジアームアセンブリ(3)は、直流端子(31)を有し、該交流端子(21)の該直流端子(31)の位置する平面への投影は、該直流端子(31)と少なくとも部分的に重なり、該絶縁部材(7)の少なくとも一部は、該交流端子(21)と直流端子(31)との間に設置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、第1ブリッジアームアセンブリと、第2ブリッジアームアセンブリと、を含むパワーモジュールであって、
前記第1ブリッジアームアセンブリ及び前記第2ブリッジアームアセンブリは、いずれも前記ハウジング内に取り付けられ、前記第1ブリッジアームアセンブリと前記第2ブリッジアームアセンブリとの間に絶縁部材が配置され、
前記第1ブリッジアームアセンブリは、交流端子を有し、前記第2ブリッジアームアセンブリは、直流端子を有し、前記交流端子の前記直流端子の位置する平面への投影は、前記直流端子と少なくとも部分的に重なり、前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記交流端子と前記直流端子との間に設置される、ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
前記第1ブリッジアームアセンブリは、第1銅層及び第1チップを更に含み、前記第1銅層の前記交流端子の位置する平面への投影は、前記交流端子と少なくとも部分的に重なり、前記第1チップは、前記交流端子に取り付けられ、前記第1銅層に面して配置され、
前記第2ブリッジアームアセンブリは、第2銅層及び第2チップを更に含み、前記第2銅層の前記直流端子の位置する平面への投影は、前記直流端子と少なくとも部分的に重なり、前記第2チップは、前記直流端子に取り付けられ、前記第2銅層に面して配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1チップと前記第2銅層との間に第1嵩上げブロックが設置され、前記第1銅層、前記第1チップ、前記第1嵩上げブロック及び前記第2銅層のうちの隣接する両者は、第1溶接層により溶接固定され、
前記第2チップと前記第1銅層との間に第2嵩上げブロックが設置され、前記第2銅層、前記第2チップ、前記第2嵩上げブロック及び前記第1銅層のうちの隣接する両者は、第2溶接層により溶接固定される、ことを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記直流端子と前記交流端子は、いずれも板状構造となるように構成され、前記交流端子は、前記第1銅層に溶接接続され、前記直流端子は、前記第2銅層に溶接接続される、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記第1ブリッジアームアセンブリは、第1フレキシブル基板及び交流制御端子を更に含み、前記第1フレキシブル基板は、前記第1チップと前記交流制御端子との間に電気的に接続され、前記交流制御端子は、前記ハウジングの外部に延出し、
前記第2ブリッジアームアセンブリは、第2フレキシブル基板及び直流制御端子を更に含み、前記第2フレキシブル基板は、前記第2チップと前記直流制御端子との間に電気的に接続され、前記直流制御端子は、前記ハウジングの外部に延出する、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記交流制御端子と前記直流制御端子は、共通のフレキシブル制御板となるように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記交流制御端子と前記直流制御端子は、それぞれ、フレキシブル制御板となるように構成される、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記直流端子は、間隔をあけて分布する正極端子と負極端子を含み、前記第2フレキシブル基板は、容量吸収領域を有し、前記容量吸収領域は、両端がそれぞれ前記負極端子及び前記正極端子に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記第1フレキシブル基板及び/又は前記第2フレキシブル基板に温度センサーが設置される、請求項5~8のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記直流端子は、正極端子及び負極端子を含み、前記正極端子と前記負極端子は、間隔をあけて配置され、前記正極端子及び前記負極端子の前記交流端子の位置する平面への投影が、いずれも前記交流端子と少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記正極端子及び前記負極端子は、いずれも前記絶縁部材の第1側に積層され、前記正極端子と前記絶縁部材の一部が積層され、前記負極端子と前記絶縁部材の他の部分が積層され、前記交流端子は、前記絶縁部材の第2側に積層される、ことを特徴とする請求項10に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記絶縁部材は、第1絶縁層及び第2絶縁層を含み、
前記正極端子は、前記交流端子の第1側に位置し、前記第1絶縁層は、前記正極端子と前記交流端子との間に設置され、前記負極端子は、前記交流端子の第2側に位置し、前記第2絶縁層は、前記負極端子と前記交流端子との間に設置される、ことを特徴とする請求項10又は11に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
前記絶縁部材は、第1絶縁層及び第2絶縁層を含み、
前記正極端子、前記第1絶縁層、前記負極端子、前記第2絶縁層及び前記交流端子は、順に積層され、
或いは、前記負極端子、前記第1絶縁層、前記正極端子、前記第2絶縁層及び前記交流端子は、順に積層される、ことを特徴とする請求項10~12のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記直流端子及び前記交流端子は、いずれも前記ハウジングの同一側から延出し、前記交流端子の全体延在長さは、前記直流端子の全体延在長さより大きい、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記直流端子は、正極端子及び負極端子を含み、前記正極端子と前記負極端子との間に吸収コンデンサが設置される、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のパワーモジュールを含む、ことを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が2021114231730で、出願日が2021年11月26日である中国特許出願に基づいて提出され、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電気電子の技術分野に関し、特にパワーモジュール及び該パワーモジュールを有する電気機器に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、パワーモジュールは、片面直接水冷構造、例えば、SiC MOSFETのような第3世代半導体素子で封止固定され、このような封止形態を用いると、浮遊インダクタンスが大きく、大きなスイッチング損失が発生しやすいという問題があり、改善の余地がある。
【発明の概要】
【0004】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決しようとする。このため、本願の目的は、浮遊インダクタンスが大きいという問題を効果的に解決し、動作の安全性を向上させることができる、パワーモジュールを提供することである。
【0005】
本願の実施例に係るパワーモジュールは、ハウジングと、第1ブリッジアームアセンブリと、第2ブリッジアームアセンブリと、を含み、前記第1ブリッジアームアセンブリ及び前記第2ブリッジアームアセンブリは、いずれも前記ハウジングに取り付けられ、前記第1ブリッジアームアセンブリと前記第2ブリッジアームアセンブリとの間に絶縁部材が充填され、前記第1ブリッジアームアセンブリは、交流端子を有し、前記第2ブリッジアームアセンブリは、直流端子を有し、前記交流端子の前記直流端子の位置する平面への投影は、前記直流端子と少なくとも部分的に重なり、前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記交流端子と前記直流端子との間に設置される。
【0006】
本願の実施例に係るパワーモジュールでは、第1ブリッジアームアセンブリの交流端子と第2ブリッジアームアセンブリの直流端子を絶縁して積層する構造設計により、パワーモジュールの浮遊インダクタンスが大きいという問題を効果的に解決し、パワーモジュールの動作の正確性を向上させることができる。
【0007】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記第1ブリッジアームアセンブリは、第1銅層及び第1チップを更に含み、前記第1銅層の前記交流端子の位置する平面への投影は、前記交流端子と少なくとも部分的に重なり、前記第1チップは、前記交流端子に取り付けられ、前記第1銅層に面して分布し、前記第2ブリッジアームアセンブリは、第2銅層及び第2チップを更に含み、前記第2銅層の前記直流端子の位置する平面への投影は、前記直流端子と少なくとも部分的に重なり、前記第2チップは、前記直流端子に取り付けられ、前記第2銅層に面して分布し、前記第1チップと前記第2チップは、前記絶縁部材の幅方向にずれて分布する。
【0008】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記第1チップと前記第2銅層との間に第1嵩上げブロックが設置され、前記第1銅層、前記第1チップ、前記第1嵩上げブロック及び前記第2銅層のうちの隣接する両者は、第1溶接層により溶接固定され、前記第2チップと前記第1銅層との間に第2嵩上げブロックが設置され、前記第2銅層、前記第2チップ、前記第2嵩上げブロック及び前記第1銅層のうちの隣接する両者は、第2溶接層により溶接固定される。
【0009】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記直流端子と前記交流端子は、いずれも板状構造となるように構成され、前記交流端子は、前記第1銅層に溶接接続され、前記直流端子は、前記第2銅層に溶接接続される。
【0010】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記第1ブリッジアームアセンブリは、第1フレキシブル基板及び交流制御端子を更に含み、前記第1フレキシブル基板は、前記第1チップと前記交流制御端子との間に電気的に接続され、前記交流制御端子は、前記ハウジングの外部に延出し、前記第2ブリッジアームアセンブリは、第2フレキシブル基板及び直流制御端子を更に含み、前記第2フレキシブル基板は、前記第2チップと前記直流制御端子との間に電気的に接続され、前記直流制御端子は、前記ハウジングの外部に延出する。
【0011】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記交流制御端子と前記直流制御端子は、共通のフレキシブル制御板となるように構成される。
【0012】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記交流制御端子と前記直流制御端子は、それぞれ、フレキシブル制御板となるように構成される。
【0013】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記直流端子は、間隔をあけて分布する正極端子と負極端子を含み、前記第2フレキシブル基板は、容量吸収領域を有し、前記容量吸収領域は、両端がそれぞれ前記負極端子及び前記正極端子に電気的に接続される。
【0014】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記第1フレキシブル基板及び/又は前記第2フレキシブル基板に温度センサーが設置される。
【0015】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記直流端子は、正極端子及び負極端子を含み、前記正極端子と前記負極端子は、間隔をあけて、前記交流端子の位置する平面への投影がいずれも前記交流端子と重なる。
【0016】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記正極端子及び前記負極端子は、いずれも前記絶縁部材の少なくとも一部の第1側に積層され、前記正極端子と前記絶縁部材の一部が積層され、前記負極端子と前記絶縁部材の他の部分が積層され、前記交流端子は、前記絶縁部材の第2側に積層される。
【0017】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記絶縁部材は、第1絶縁層及び第2絶縁層を含み、前記正極端子は、前記交流端子の第1側に位置し、前記第1絶縁層は、前記正極端子と前記交流端子との間に設置され、前記負極端子は、前記交流端子の第2側に位置し、前記第2絶縁層は、前記負極端子と前記交流端子との間に設置される。
【0018】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記絶縁部材は、第1絶縁層及び第2絶縁層を含み、前記正極端子、前記第1絶縁層、前記負極端子、前記第2絶縁層及び前記交流端子は、順に積層され、或いは、前記負極端子、前記第1絶縁層、前記正極端子、前記第2絶縁層及び前記交流端子は、順に積層される。
【0019】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記直流端子及び前記交流端子は、いずれも前記ハウジングの同一側から延出し、前記交流端子の全体延在長さは、前記直流端子の全体延在長さより大きい。
【0020】
本願のいくつかの実施例に係るパワーモジュールでは、前記直流端子は、正極端子及び負極端子を含み、前記正極端子と前記負極端子との間に吸収コンデンサが設置される。
【0021】
本願は、電気機器を更に提供する。
【0022】
本願の実施例に係る電気機器は、上記いずれかの実施例に記載のパワーモジュールを含む。
【0023】
上記電気機器と上記パワーモジュールとは、従来技術に対する利点が同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0024】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明から明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願の上記及び/又は追加的な態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、容易に理解される。
【0026】
【
図1】本願の実施例に係るパワーモジュールの概略構成図である。
【
図2】本願の実施例に係るパワーモジュールの組立図である。
【
図3】本願の実施例に係るパワーモジュールの分解図である。
【
図4】本願の実施例に係るパワーモジュールの断面図である。
【
図5】本願の実施例に係るパワーモジュールの第1ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図6】本願の実施例に係るパワーモジュールの第2ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図7】本願の実施例に係るパワーモジュールの交流端子の箇所の断面図である。
【
図8】本願の実施例に係るパワーモジュールの直流端子の箇所の断面図である。
【
図9】本願の実施例に係るパワーモジュールの回路図である。
【
図10】本願の別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの第1ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図11】本願のまた別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの回路図である。
【
図12】本願の更に別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの概略構成図である。
【
図13】本願の更に別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの第1ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図14】本願の更に別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの第2ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図15】本願の更に別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの第1ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図16】本願の更に別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの第2ブリッジアームアセンブリの断面図である。
【
図17】本願の更に別のいくつかの実施例に係るパワーモジュールの断面図である。
【
図19】本願のパワーモジュールの他の2つの実施例の直流端子、交流端子の分布断面図である。
【
図20】本願のパワーモジュールの他の2つの実施例の直流端子、交流端子の分布断面図である。
【
図21】
図20の実施例におけるパワーモジュールの別の視点からの直流端子、交流端子の分布断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは同一又は類似の機能を有する素子を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0028】
以下、
図1~
図21を参照して、本願の実施例に係るパワーモジュール100を説明し、該パワーモジュール100は、直流端子31と交流端子21が積層されて分布する構造設計を用いることにより、パワーモジュール100の浮遊インダクタンスが大きいという問題を効果的に解決し、パワーモジュール100の動作の正確性を向上させることができる。
【0029】
図1~
図3に示すように、本願の実施例に係るパワーモジュール100は、ハウジング1、第1ブリッジアームアセンブリ2及び第2ブリッジアームアセンブリ3を含む。
【0030】
なお、
図1に示すように、ハウジング1は、パワーモジュール100の外部ハウジングとなるように構成されて、ハウジング1に取り付けられた素子を保護し固定する役割を果たし、ハウジング1の対向して設置された2つの外側面にいずれも放熱構造が設置され、
図1及び
図2に示すように、ハウジング1の各外側面に対して、複数のピンフィン構造111が用いられ、大きな放熱面積の冷却効果を実現し、素子に対する放熱の役割の向上に有利である。
【0031】
第1ブリッジアームアセンブリ2及び第2ブリッジアームアセンブリ3は、いずれもハウジング1に取り付けられ、ハウジング1は、内部が中空構造となるように構成されて、ハウジング1の内部に取付キャビティが形成され、取付キャビティは、第1ブリッジアームアセンブリ2及び第2ブリッジアームアセンブリ3がいずれも取付キャビティに取り付けられるように開口を有し、第1ブリッジアームアセンブリ2の交流端子21及び第2ブリッジアームアセンブリ3の直流端子31は、開口から延出することができる。第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3は、取付キャビティに対向して設置され、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3との間に絶縁部材7が形成されて、絶縁部材7は、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3との間に絶縁と仕切りの役割を果たすことができ、それにより、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3は、それぞれの内部素子の相対位置が固定されたままであり、いずれも安定した構造状態にあるだけでなく、絶縁部材7は、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3との間に予期せず短絡が生じる状況を効果的に回避し、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3のそれぞれの動作の安全性を向上させることができる。
【0032】
実際の設計において、ハウジング1は、一体構造であってもよく、或いは、
図2及び
図3に示すように、ハウジング1は、2つのサブハウジング11として予め構成され、2つのサブハウジング11の互いに向かう側面が凹状構造となるように構成されて、2つのサブハウジング11が接合して固定されると、ハウジング1が形成され、2つのサブハウジング11の間に取付キャビティが形成される。第1ブリッジアームアセンブリ2が一方のサブハウジング11に取り付けられ、第2ブリッジアームアセンブリ3が他方のサブハウジング11に取り付けられ、このように、
図2に示すように、第1ブリッジアームアセンブリ2と一方のサブハウジング11によりパワーモジュール100の左側部分が形成され、第2ブリッジアームアセンブリ3と他方のサブハウジング11によりパワーモジュール100の右側部分が形成され、そして、左側部分と右側部分を接合することにより、2つのサブハウジング11が一体に接合され、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3が2つのサブハウジング11の間に対向して設置され、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3との間に形成された取付隙間を射出成形空間として、射出成形空間に熱硬化性樹脂をポッティングすることにより、熱硬化性樹脂が凝固成形された後に第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3との間に位置する絶縁部材7が形成され、これにより、固定及び封止の役割を果たすことができるだけでなく、絶縁保護の役割を果たすことができる。2つのサブハウジング11は、ろう付け、レーザー溶接、撹拌溶接などのプロセスにより完全な密閉キャビティを形成することができ、溶接時に一定の圧力をサブハウジング11に加えることにより、溶接完了後に一定の応力を保持して内部チップの電気的接続点の確実な接触を維持することができ、ハウジング1の溶接完了後にリフローはんだ付けを行ってモジュール内のはんだを溶融させて接着することができる。
【0033】
これにより、パワーモジュール100を封止固定した後、2つのサブハウジング11は、それぞれ第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3の互いに離れる側面で放熱、冷却の役割を果たすことができるように、互いに離れる側面にいずれもピンフィン構造111を有する。
【0034】
図1~
図3に示すように、第1ブリッジアームアセンブリ2は、交流端子21を有し、第2ブリッジアームアセンブリ3は、直流端子31を有し、交流端子21と直流端子31は、パワーモジュール100のパワー端子として、電流を入力又は出力し、パワーモジュール100が正常に動作できることを保証する。交流端子21と直流端子31は、扁平状構造に設計されてもよく、いずれも銅材質で製造されてもよく、それにより、交流端子21と直流端子31は、空間に(直接接触せずに)分布することができ、具体的には、交流端子21の直流端子31の位置する平面への投影が直流端子31と少なくとも部分的に重なるようにし、言い換えれば、交流端子21と直流端子31が両者の厚さ方向に対向して分布するようにする。このように、交流端子21と直流端子31とが電流伝導を行うことを保証する場合に、交流端子21と直流端子31を共にパワーモジュール100に設置すると共に、絶縁部材7の少なくとも一部を交流端子21と直流端子31との間に設置することにより、内部取付空間を最大限に利用することを実現し、直流端子31と交流端子21との間に電流短絡の問題が発生することを効果的に回避することができる。当然なことながら、本願における交流端子21と直流端子31との間に位置する絶縁部材7の少なくとも一部は、射出成形樹脂材料又は充填樹脂材料を用いることができるだけでなく、ポリイミドフィルム、セラミック絶縁シートなどの絶縁材料で製造されたフィルム材料を用いることもでき、それは、同様に交流端子21と直流端子31との間の絶縁の役割に有利であり、フィルム材料の厚さは、0.1mm~0.3mmに設計されてもよい。
【0035】
また、なお、交流端子21と、正極端子311及び負極端子312を含み得る直流端子31とをパワーモジュール100に対向して取り付けることにより、正極端子311及び負極端子312と、交流端子21とが対向して分布するようにした後、端子の浮遊インダクタンスを低減することができ、具体的には、この設計により、正極端子311、負極端子312及び交流端子21は、密着して最も近い電流帰還経路を提供することができ、正極と負極の間の転流電流は、密着した交流端子21に逆電流を誘導して転流回路インダクタンスを低減することができるため、浮遊インダクタンスを効果的に低減する。
【0036】
本願の実施例に係るパワーモジュール100では、第1ブリッジアームアセンブリ2の交流端子21と第2ブリッジアームアセンブリ3の直流端子31を絶縁して積層して分布させる構造設計により、パワーモジュール100の浮遊インダクタンスが大きいという問題を効果的に解決し、パワーモジュール100の動作の正確性を向上させることができる。
【0037】
いくつかの実施例では、
図3及び
図5に示すように、第1ブリッジアームアセンブリ2は、第1銅層22及び第1チップ23を更に含み、第1銅層22の交流端子21の位置する平面への投影は、交流端子21と少なくとも部分的に重なり、第1チップ23は、交流端子21に電気的に接続されるように交流端子21に取り付けられると共に、第1銅層22に面して分布し、
図3及び
図5に示すように、交流端子21の下端部分は、溝構造を有するように構成され、第1チップ23は、交流端子21との相対位置が固定されるように溝構造に取り付けられ、第1銅層22が交流端子21の下端部分と貼合すると共に、第1チップ23の側面と貼合することにより、第1銅層22と第1チップ23が交流端子21に対して固定される。
【0038】
図3及び
図5に示すように、第1チップ23は、3つあり、交流端子21は、3つの溝構造を有し、3つの第1チップ23は、それぞれ3つの溝構造に対応して取り付けられることにより、いずれも交流端子21に対して固定され、3つの第1チップ23は、いずれも第1銅層22に面して分布する。
【0039】
図3及び
図6に示すように、第2ブリッジアームアセンブリ3は、第2銅層32及び第2チップ33を更に含み、第2銅層32の直流端子31の位置する平面への投影は、直流端子31と少なくとも部分的に重なり、第2チップ33は、直流端子31に電気的に接続されるように直流端子31に取り付けられると共に、第2銅層32に面して分布し、
図3及び
図6に示すように、直流端子31の下端部分は、溝構造を有するように構成され、第2チップ33は、直流端子31との相対位置が固定されるように溝構造に取り付けられ、第2銅層32が直流端子31の下端部分と貼合すると共に、第2チップ33の側面と貼合することにより、第2銅層32と第2チップ33が直流端子31に対して固定される。
【0040】
図3及び
図6に示すように、第2チップ33は、3つあり、直流端子31は、3つの溝構造を有し、3つの第2チップ33は、それぞれ3つの溝構造に対応して取り付けられることにより、いずれも直流端子31に対して固定され、3つの第2チップ33は、いずれも第2銅層32に面して分布する。
【0041】
また、具体的な設計において、直流端子31は、正極端子311及び負極端子312を含み、第2銅層32は、正極銅層領域321及び負極銅層領域322を含み、正極銅層領域321と負極銅層領域322は、間隔をあけて分布し、正極銅層領域321は、正極端子311と積層され、負極銅層領域322は、負極端子312と積層される。
【0042】
なお、
図3に示すように、第1銅層22と左側のサブハウジング11との間にセラミック層8が設置されて、第1銅層22と一方のサブハウジング11とを絶縁して間隔をあけて、また、第2銅層32と右側のサブハウジング11との間にセラミック層8が設置されて、第2銅層32と他方のサブハウジング11とを絶縁して間隔をあけて、これにより、パワーモジュール100の内部電子素子とハウジング1とを絶縁して間隔をあけることを保証する。
【0043】
いくつかの実施例では、
図4に示すように、第1チップ23と第2銅層32との間に第1嵩上げブロック51が設置され、第1銅層22、第1チップ23、第1嵩上げブロック51及び第2銅層32のうちの隣接する両者は、第1溶接層52により溶接固定され、つまり、第1ブリッジアームアセンブリ2及び第2ブリッジアームアセンブリ3を実際に取り付ける際に、第1チップ23を交流端子21の溝構造に取り付け、第1チップ23と第1銅層22を溶接固定してから、第1嵩上げブロック51を第1チップ23と第2銅層32との間に溶接固定してもよい。これにより、第1銅層22、第1チップ23、第1嵩上げブロック51及び第2銅層32のうちの隣接する両者を溶接固定する。
【0044】
同様に、
図4に示すように、第2チップ33と第1銅層22との間に第2嵩上げブロック61が設置され、第2銅層32、第2チップ33、第2嵩上げブロック61及び第1銅層22のうちの隣接する両者は、第2溶接層62により溶接固定され、つまり、具体的に取り付ける際に、第2チップ33を直流端子31の溝構造に取り付け、第2チップ33と第2銅層32を溶接固定してから、第2嵩上げブロック61を第2チップ33と第1銅層22との間に溶接固定してもよく、これにより、第2銅層32、第2チップ33、第2嵩上げブロック61及び第1銅層22のうちの隣接する両者を溶接固定する。
【0045】
これにより、本願における第1チップ23と第2チップ33とは、取付関係が逆であり、このように、ブリッジ部材の使用量の減少に有利であるため、構造設計のコストを低減することができる。そして、下層に設置された銅箔は、完全な導電領域であり、電流にスムーズな帰還経路を提供することができ、浮遊インダクタンスの低減に有利である。
【0046】
いくつかの実施例では、直流端子31と交流端子21は、いずれも板状構造となるように構成され、つまり、具体的に成形する際に、正極端子311、負極端子312及び交流端子21に対して、いずれもプレス成形プロセス又は切断プロセスによって所定の形状に形成し、
図3に示すように、直流端子31及び交流端子21に対して、いずれもプレス成形により複数の溝構造を有する板状に形成し、直流端子31及び交流端子21の溝構造をずれて分布させてから、交流端子21を第1銅層22と積層して溶接接続し、直流端子31を第2銅層32と積層して溶接接続する。
【0047】
このように設計すると、第1銅層22、第2銅層32の過電流能力を高め、厚い銅層の使用による応力問題を回避することができる。そして、交流基板の回路(直流正極側回路、直流負極側回路)と直流基板の回路(交流側回路)との間の間隔を縮小し、相互の結合を強化することにより、電流帰還経路を最も近くすることができ、その利点は、還流インダクタンスを低減し、厚い直流端子31及び交流端子21で形成された導電性フレームが優れた電流均等化効果を提供できるようにすることである。
【0048】
いくつかの実施例では、
図5に示すように、第1ブリッジアームアセンブリ2は、第1フレキシブル基板24及び交流制御端子25を更に含み、第1フレキシブル基板24は、第1チップ23と交流制御端子25との間に電気的に接続され、交流制御端子25は、ハウジング1の外部に延出し、このように、第1チップ23で生成された制御信号を第1フレキシブル基板24を介して交流制御端子25に伝達し、更に交流制御端子25を介してパワーモジュール100の外部に出力することができ、作業者による受信及び取得に有利である。
【0049】
図5に示すように、第1フレキシブル基板24は、3つのチップ引出点を有し、第1フレキシブル基板24の3つのチップ引出点は、それぞれ3つの第1チップ23に電気的に接続され、交流制御端子25は、間隔をあけて分布する3つの信号端子となるように構成されてもよく、3つの信号端子は、それぞれT1、G1、S1であり、平行に間隔をあけて分布すると共に、いずれも取付キャビティの開放端から延出するため、制御信号の出力に有利である。
【0050】
図7に示すように、第1銅層22の縁部に切り欠き構造が形成され、切り欠き構造に交流制御端子25のパッド46が設置され、パッド46は、3つの部分に分けられ、このように、3つの信号端子は、それぞれパッド46の3つの部分に溶接固定されてもよい。
【0051】
図6に示すように、第2ブリッジアームアセンブリ3は、第2フレキシブル基板34及び直流制御端子35を更に含み、第2フレキシブル基板34は、第2チップ33と直流制御端子35との間に電気的に接続され、直流制御端子35は、ハウジング1の外部に延出し、このように、第2チップ33で生成された制御信号を第2フレキシブル基板34を介して直流制御端子35に伝達し、更に直流制御端子35を介してパワーモジュール100の外部に出力することができ、作業者による受信及び取得に有利である。
【0052】
図6に示すように、第2フレキシブル基板34は、3つのチップ引出点を有し、第2フレキシブル基板34の3つのチップ引出点は、それぞれ3つの第2チップ33に電気的に接続され、直流制御端子35は、間隔をあけて分布する3つの信号端子となるように構成されてもよく、3つの信号端子は、それぞれT2、G2、S2であり、平行に間隔をあけて分布すると共に、いずれも取付キャビティの開放端から延出するため、制御信号の出力に有利である。
【0053】
図8に示すように、正極銅層領域321と負極銅層領域322は間隔をあけて、正極銅層領域321の縁部に切り欠き構造が形成され、切り欠き構造に直流制御端子35のパッド46が設置され、パッド46は、3つの部分に分けられ、このように、3つの信号端子は、それぞれ直流制御端子35のパッド46の3つの部分に溶接固定されてもよい。
【0054】
なお、本願において、直流回路基板及び交流回路基板として、いずれもフレキシブル基板を用いることにより、制御端とチップのゲート制御端を接続する際に、フレキシブル基板が通常のバインディングプロセスを代替することができ、このように、フレキシブル基板が平面構造であり、強度が十分な絶縁層を有するという構造特性を利用することができ、バインディングプロセスのために大きな弧度空間及び絶縁間隔を残す必要がなく、モジュールの厚さを低減し、浮遊インダクタンスを低減することに有利である。
【0055】
いくつかの実施例では、交流制御端子25と直流制御端子35は、共通のフレキシブル制御板41となるように構成され、つまり、該実施例では、交流制御端子25と直流制御端子35は、3つの個別のピンの設計を用いずに同一のフレキシブル制御板41を用いて制御信号を出力する。
【0056】
具体的には、
図15に示すように、第1フレキシブル基板24に4つの接続点42が設置され、また、
図16に示すように、第2フレキシブル基板34に4つの接続点42が設置されると共に、1つの共通のフレキシブル制御板41が設置され、フレキシブル制御板41に4つの接続点42が対応して設置され、該フレキシブル制御板41の4つの接続点42は、それぞれ第1フレキシブル基板24の4つの接続点42に接続されるだけでなく、それぞれ第2フレキシブル基板34の4つの接続点42に接続されることにより、制御信号を出力する。
【0057】
或いは、別のいくつかの実施例では、交流制御端子25と直流制御端子35は、それぞれフレキシブル制御板41となるように構成され、
図13に示すように、交流制御端子25の上端は、上向きに延在して取付キャビティの外部に延出し、即ち、交流制御端子25の上端の延出部分は、該交流制御端子25の対応するフレキシブル制御板41となるように構成されて、交流制御端子25の電気制御信号を出力し、また、
図14に示すように、直流制御端子35の上端は、上向きに延在して取付キャビティの外部に延出し、即ち、直流制御端子35の上端の延出部分は、該直流制御端子35の対応するフレキシブル制御板41となるように構成されて、直流制御端子35の電気制御信号を出力する。
【0058】
これにより、交流制御端子25と直流制御端子35をフレキシブル制御板41となるように構成して、フレキシブル基板からパワーモジュール100の外部に更に拡張して延出することにより、制御端子のフレキシブル設計を実現し、構造がよりコンパクトで、空間を省く役割を有すると共に、駆動板のインタフェース位置をより柔軟に設定することもできる。また、フレキシブル制御板41は、ゲート制御信号に対してインピーダンス制御を行うことにより、信号完全性を保証するチャネル設計を提供することができ(これは、ピン端子で実現できない)、そして、ゲート動作信号にオーバーシュート、リンギングなどの歪みが発生しないことを保証することができ、言い換えれば、高速素子SiCMOSFETの確実なオフ又はオン及び損失の低減を保証することができる。
【0059】
いくつかの実施例では、
図17に示すように、直流端子31は、間隔をあけて分布する正極端子311と負極端子312を含み、第2フレキシブル基板34は、容量吸収領域43を有し、容量吸収領域43は、両端がそれぞれ負極端子312及び正極端子311に電気的に接続される。このように、容量吸収領域43を設置することにより、容量吸収領域43がスイッチング動作時の浮遊インダクタンスによるオーバーシュートエネルギーを効果的に吸収することができ、またシステムEMI(電磁干渉)の問題を解決することができる。具体的な設計において、容量吸収領域43の層数は、実際の需要に応じて設定されてもよい。
【0060】
図18に示すように、容量吸収領域43は、正極容量領域431及び負極容量領域432を含み、正極端子311と正極容量領域431が溶接ブロック433により溶接接続され、負極端子312と負極容量領域432が溶接ブロック433により溶接接続され、正極端子311に対応する正極容量領域431と負極端子312に対応する負極容量領域432が積層されて分布して、ターンオフスパイクを更に制限し、ループを減少させ、EMI(電磁干渉)を減少させる。
【0061】
いくつかの実施例では、第1フレキシブル基板24及び/又は第2フレキシブル基板34に温度センサー44が設置され、
図5に示すように、第1フレキシブル基板24に温度センサー44を設計して、該温度センサー44により第1フレキシブル基板24の温度を検出し、具体的に、第1フレキシブル基板24に対してくり抜き設計を行って、温度センサー44を第1フレキシブル基板24のくり抜き領域に取り付けて、温度センサー44を固定する。同様に、
図6に示すように、第2フレキシブル基板34に温度センサー44を設計して、該温度センサー44により第2フレキシブル基板34の温度を検出し、具体的に、第2フレキシブル基板34に対してくり抜き設計を行って、温度センサー44を第2フレキシブル基板34のくり抜き領域に取り付けて、温度センサー44を固定する。当然なことながら、第1フレキシブル基板24及び第2フレキシブル基板34の両方に温度センサー44を設置して、2つの基板の温度をそれぞれ検出してもよい。
【0062】
いくつかの実施例では、直流端子31は、正極端子311、負極端子312を含み、正極端子311及び負極端子312の、交流端子21の位置する平面への投影は、いずれも交流端子21と少なくとも部分的に重なり、即ち、交流端子21の厚さ方向において、正極端子311及び負極端子312は、いずれも交流端子21と対向して分布する。このように、正極端子311及び負極端子312と、交流端子21とが対向して分布するようにした後、端子の浮遊インダクタンスを低減することができ、具体的には、この設計により、正極端子311、負極端子312及び交流端子21は、密着して最も近い電流帰還経路を提供することができ、正極と負極の間の転流電流は、密着した交流端子21に逆電流を誘導して転流回路インダクタンスを低減することができるため、浮遊インダクタンスを効果的に低減する。
【0063】
なお、具体的に取り付ける際に、正極端子311、負極端子312及び交流端子21は、様々な配置形態を有し、いずれも浮遊インダクタンスを低減する役割を果たすことができる。
【0064】
例えば、いくつかの実施例では、
図2に示すように、正極端子311及び負極端子312は、いずれも絶縁部材7の第1側に積層され、正極端子311と絶縁部材7の一部が積層され、負極端子312と絶縁部材7の他の部分が積層され、交流端子21は、絶縁部材7の第2側に積層される。つまり、正極端子311と負極端子312はいずれも絶縁部材7の同一側に位置し、交流端子21は、絶縁部材7の他側に位置し、このように、正極端子311及び負極端子312の2つの直流端子31と交流端子21とをそれぞれ絶縁部材7の両側に設置することにより、直流端子31と交流端子21の積層分布を実現し、浮遊インダクタンスの低減に有利である。
【0065】
或いは、いくつかの実施例では、絶縁部材7は、第1絶縁層71及び第2絶縁層72を含む。正極端子311は、交流端子21の第1側に位置し、第1絶縁層71は、正極端子311と交流端子21との間に設置され、負極端子312は、交流端子21の第2側に位置し、第2絶縁層72は、負極端子312と交流端子21との間に設置される。正極端子311と負極端子312は、位置が変換されて取り付けられてもよい。
【0066】
具体的な設計において、
図19に示すように、第1絶縁層71と第2絶縁層72は、間隔をあけて分布し、正極端子311を交流端子21の左側に設置し、負極端子312を交流端子21の右側に設置すると共に、第1絶縁層71を正極端子311と交流端子21との間に介設して絶縁間隔の役割を果たし、そして第2絶縁層72を負極端子312と交流端子21との間に介設して絶縁間隔の役割を果たすことができ、これにより、直流端子31と交流端子21との積層分布を実現することができ、浮遊インダクタンスの低減に有利である。
【0067】
或いは、いくつかの実施例では、絶縁部材7は、第1絶縁層71及び第2絶縁層72を含み、
図20に示すように、正極端子311、負極端子312及び交流端子21は、順に分布し、例えば、正極端子311が最も左側に位置し、交流端子21が最も右側に位置し、負極端子312が正極端子311と交流端子21との間に位置し、そして、第1絶縁層71を正極端子311と負極端子312との間に介設し、第2絶縁層72を負極端子312と交流端子21との間に介設し、即ち、正極端子311、第1絶縁層71、負極端子312、第2絶縁層72及び交流端子21は、順に積層され、これにより、直流端子31と交流端子21との積層分布を実現することができ、浮遊インダクタンスの低減に有利である。
【0068】
或いは、負極端子312、正極端子311及び交流端子21が順に分布するようにすることができ、例えば、負極端子312が最も左側に位置し、交流端子21が最も右側に位置し、正極端子311が負極端子312と交流端子21との間に位置し、そして、第1絶縁層71を負極端子312と正極端子311との間に介設し、第2絶縁層72を正極端子311と交流端子21との間に介設し、即ち、負極端子312、第1絶縁層71、正極端子311、第2絶縁層72及び交流端子21は、順に積層され、これにより、直流端子31と交流端子21との積層分布を実現することができ、浮遊インダクタンスの低減に有利である。
【0069】
具体的な設計において、
図21に示すように、3つの取付スロットを有するように絶縁部材7を構成してもよく、3つの取付スロットは、絶縁部材7の厚さ方向に順に分布し、交流端子21は、1番目の取付スロットに取り付けられ、負極端子312は、負極挿着部分を有し、負極挿着部分は、中央の取付スロットに挿着され、正極端子311は、正極挿着部分を有し、正極挿着部分は、もう1つの取付スロットに挿着され、これにより、1番目の取付スロットと中央の取付スロットとの間の絶縁部分は、第2絶縁層72であり、中央の取付スロットともう1つの取付スロットとの間の絶縁部分は、第1絶縁層71である。
【0070】
つまり、本願における交流端子21、正極端子311及び負極端子312と絶縁部材7とは、複数の組み合わせ形態を有し、いずれの形態は、直流端子31と交流端子21との積層組み合わせを実現することができ、即ち、いずれの形態は、浮遊インダクタンスを低減する役割を果たすことができる。
【0071】
いくつかの実施例では、
図19又は
図20に示すように、交流端子の全体延在長さは、直流端子31の全体延在長さより大きく、これにより、直流端子31に対する全過程の磁界相殺の役割を確保することができる。交流端子21は、プラスチック封止部分を超えて電気接続点を提供する。直流端子31を射出成形後に研磨することにより電気接続面を露出させ、或いは、特定の金型設計により直流端子31を一次成形し、正極端子311と負極端子312との間に、十分な沿面距離を保証するために絶縁材料からなる突起が設置される。
【0072】
いくつかの実施例では、
図10に示すように、直流端子31は、正極端子311及び負極端子312を含み、正極端子311と負極端子312との間に吸収コンデンサ45が設置され、これにより、吸収コンデンサ45は、スイッチング動作時の浮遊インダクタンスによるオーバーシュートエネルギーを吸収し、またシステムEMI(電磁干渉)の問題を解決することができる。
【0073】
なお、本願におけるパワーモジュール100は、以下のプロセスフローを用いて加工成形されてもよい。
【0074】
第1チップ23、第2チップ33、第1フレキシブル基板24、第2フレキシブル基板34、ハウジング1、交流制御端子25、直流制御端子35、交流端子21、正極端子311、負極端子312、第1嵩上げブロック51及び第2嵩上げブロック61を銀焼結又は通常のろう付けプロセスによって溶接してから、パッドと第1チップ23、第2チップ33とを位置決めし、超音波溶接又ははんだ付け、ろう付けなどのプロセスによってチップのGS電極を引き出し、そして、第1フレキシブル基板24、第2フレキシブル基板34とパッドとの間の溶接に対して同様の処理を行う。
【0075】
また、第1フレキシブル基板24と第2フレキシブル基板34が電気的に接続される箇所に、例えば、本願のいくつかの実施例における温度センサーに、2層のフレキシブル基板を連通させて回路を構成する必要があり、本願に係る第1フレキシブル基板24、第2フレキシブル基板34では、対応する位置にパッドが設置され、1つのフレキシブル基板のパッドの底部に弾性材料をパッドして、第1銅層22、第2銅層32の係合後に初期圧着力を提供して溶接時の確実な接触を確保し、第1銅層22、第2銅層32は、低温共晶プロセスによってそれぞれ2つのサブハウジング11に接着される。このように、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3の生産製造をそれぞれ完了する。次に、第1ブリッジアームアセンブリ2及び第2ブリッジアームアセンブリ3とハウジング1との接触面に、2つの嵩上げブロックとセラミック層8との溶接面にはんだを塗布し、第1ブリッジアームアセンブリ2と第2ブリッジアームアセンブリ3を係合した後、リフローはんだ付けなどのプロセスを行ってハウジングの密封及び内部の電気的接続を完了し、その後、熱硬化性樹脂を注入し、パワーモジュール100の生産を完了する。
【0076】
本願に係る電気機器は、上記いずれかの実施例のパワーモジュール100を含み、該パワーモジュール100を設置することにより、浮遊インダクタンスが大きいという問題を効果的に解決し、パワーモジュール100の動作の正確性を向上させることができる。
【0077】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解してはならない。
【0078】
本願の説明において、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ以上の該特徴を含んでもよい。
【0079】
本願の説明において、「複数」とは、2つ又は2つ以上を意味する。
【0080】
本願の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。
【0081】
本願の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。
【0082】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などの参照を表す語句は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0083】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0084】
100 パワーモジュール
1 ハウジング
11 サブハウジング
111 ピンフィン構造
2 第1ブリッジアームアセンブリ
21 交流端子
22 第1銅層
23 第1チップ
24 第1フレキシブル基板
25 交流制御端子
3 第2ブリッジアームアセンブリ
31 直流端子
311 正極端子
312 負極端子
32 第2銅層
321 正極銅層領域
322 負極銅層領域
33 第2チップ
34 第2フレキシブル基板
35 直流制御端子
41 フレキシブル制御板
42 接続点
43 容量吸収領域
431 正極容量領域
432 負極容量領域
433 溶接ブロック
44 温度センサー
45 吸収コンデンサ
46 パッド
51 第1嵩上げブロック
52 第1溶接層
61 第2嵩上げブロック
62 第2溶接層
7 絶縁部材
71 第1絶縁層
72 第2絶縁層
8 セラミック層
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、第1ブリッジアームアセンブリと、第2ブリッジアームアセンブリと、を含むパワーモジュールであって、
前記第1ブリッジアームアセンブリ及び前記第2ブリッジアームアセンブリは、いずれも前記ハウジング内に取り付けられ、前記第1ブリッジアームアセンブリと前記第2ブリッジアームアセンブリとの間に絶縁部材が配置され、
前記第1ブリッジアームアセンブリは、交流端子を有し、前記第2ブリッジアームアセンブリは、直流端子を有し、前記交流端子の前記直流端子の位置する平面への投影は、前記直流端子と少なくとも部分的に重なり、前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記交流端子と前記直流端子との間に設置される、ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
前記第1ブリッジアームアセンブリは、第1銅層及び第1チップを更に含み、前記第1銅層の前記交流端子の位置する平面への投影は、前記交流端子と少なくとも部分的に重なり、前記第1チップは、前記交流端子に取り付けられ、前記第1銅層に面して配置され、
前記第2ブリッジアームアセンブリは、第2銅層及び第2チップを更に含み、前記第2銅層の前記直流端子の位置する平面への投影は、前記直流端子と少なくとも部分的に重なり、前記第2チップは、前記直流端子に取り付けられ、前記第2銅層に面して配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1チップと前記第2銅層との間に第1嵩上げブロックが設置され、前記第1銅層、前記第1チップ、前記第1嵩上げブロック及び前記第2銅層のうちの隣接する両者は、第1溶接層により溶接固定され、
前記第2チップと前記第1銅層との間に第2嵩上げブロックが設置され、前記第2銅層、前記第2チップ、前記第2嵩上げブロック及び前記第1銅層のうちの隣接する両者は、第2溶接層により溶接固定される、ことを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記直流端子と前記交流端子は、いずれも板状構造となるように構成され、前記交流端子は、前記第1銅層に溶接接続され、前記直流端子は、前記第2銅層に溶接接続される、ことを特徴とする請求項
2に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記第1ブリッジアームアセンブリは、第1フレキシブル基板及び交流制御端子を更に含み、前記第1フレキシブル基板は、前記第1チップと前記交流制御端子との間に電気的に接続され、前記交流制御端子は、前記ハウジングの外部に延出し、
前記第2ブリッジアームアセンブリは、第2フレキシブル基板及び直流制御端子を更に含み、前記第2フレキシブル基板は、前記第2チップと前記直流制御端子との間に電気的に接続され、前記直流制御端子は、前記ハウジングの外部に延出する、ことを特徴とする請求項
2に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記交流制御端子と前記直流制御端子は、共通のフレキシブル制御板となるように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記交流制御端子と前記直流制御端子は、それぞれ、フレキシブル制御板となるように構成される、ことを特徴とする請求項
5に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記直流端子は、間隔をあけて分布する正極端子と負極端子を含み、前記第2フレキシブル基板は、容量吸収領域を有し、前記容量吸収領域は、両端がそれぞれ前記負極端子及び前記正極端子に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項
5に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記第1フレキシブル基板及び/又は前記第2フレキシブル基板に温度センサーが設置される、請求項
5に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記直流端子は、正極端子及び負極端子を含み、前記正極端子と前記負極端子は、間隔をあけて配置され、前記正極端子及び前記負極端子の前記交流端子の位置する平面への投影が、いずれも前記交流端子と少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項
1に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記正極端子及び前記負極端子は、いずれも前記絶縁部材の第1側に積層され、前記正極端子と前記絶縁部材の一部が積層され、前記負極端子と前記絶縁部材の他の部分が積層され、前記交流端子は、前記絶縁部材の第2側に積層される、ことを特徴とする請求項10に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記絶縁部材は、第1絶縁層及び第2絶縁層を含み、
前記正極端子は、前記交流端子の第1側に位置し、前記第1絶縁層は、前記正極端子と前記交流端子との間に設置され、前記負極端子は、前記交流端子の第2側に位置し、前記第2絶縁層は、前記負極端子と前記交流端子との間に設置される、ことを特徴とする請求項
10に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
前記絶縁部材は、第1絶縁層及び第2絶縁層を含み、
前記正極端子、前記第1絶縁層、前記負極端子、前記第2絶縁層及び前記交流端子は、順に積層され、
或いは、前記負極端子、前記第1絶縁層、前記正極端子、前記第2絶縁層及び前記交流端子は、順に積層される、ことを特徴とする請求項
10に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記直流端子及び前記交流端子は、いずれも前記ハウジングの同一側から延出し、前記交流端子の全体延在長さは、前記直流端子の全体延在長さより大きい、ことを特徴とする請求項
1に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記直流端子は、正極端子及び負極端子を含み、前記正極端子と前記負極端子との間に吸収コンデンサが設置される、ことを特徴とする請求項
1に記載のパワーモジュール。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のパワーモジュールを含む、ことを特徴とする電気機器。
【国際調査報告】