(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】原動機付き車両用の熱マネジメントシステム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20241018BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20241018BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20241018BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60K11/02
B60L58/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516840
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022075472
(87)【国際公開番号】W WO2023061685
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021126454.5
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021127770.1
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】アルゴイアー・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ピヒルバウアー・レネ
(72)【発明者】
【氏名】ジウカ・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンベルガー・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】エグルゼーア・ジーモン
(72)【発明者】
【氏名】ホルン・オーリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マリネル・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アルトマイアー・フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ホフマニンガー・シュテファン
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AB01
3D038AC14
3D038AC20
3L211AA11
3L211BA34
3L211BA60
3L211CA19
3L211DA44
3L211DA50
3L211DA96
3L211DA99
3L211EA90
3L211GA26
3L211GA93
5H125AC12
5H125BC19
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】従来技術の欠点を解消する。
【解決手段】冷却器32、冷却器回路ポンプ33及び第1の熱源35が直列に接続されている冷却器回路31と、冷却装置6及びトラクションバッテリ46が直列に接続されたバッテリ分岐部40と、冷却器回路31において第1の熱源35の下流かつ冷却器32の上流に配置された第1の結合部39と、バッテリ分岐部40から冷却器回路31の箇所52へ延びる第2の弁装置49を備えた第2の結合部48と、バッテリ分岐部40と冷却器回路31の間の第3の結合部55とを有する、原動機付き車両用の熱マネジメントシステムにおいて、第2の結合部48と第1の結合部39の間で延びる凝縮器分岐部57が設けられており、該凝縮器分岐部57が凝縮器3を備えており、該凝縮器3が、凝縮器分岐部57とは分離して低温媒体回路によっても通流されることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器(32)、冷却器回路ポンプ(33)及び第1の熱源(35)が直列に接続されている冷却器回路(31)と、
冷却装置(6)及びトラクションバッテリ(46)が直列に接続されたバッテリ分岐部(40)であって、冷却装置(6)が、流体的にバッテリ分岐部(40)とは分離して低温媒体回路(1;14;18;23)によって通流されることが可能である、前記バッテリ分岐部と、
冷却器回路(31)において第1の熱源(35)の下流かつ冷却器(32)の上流に配置された第1の結合部(39)であって、該第1の結合部(39)では、第1の弁装置(36;142)を用いて、冷媒がバッテリ分岐部(40)へ選択的に導入可能である、前記第1の結合部と、
バッテリ分岐部(40)から冷却器(32)の下流かつ第1の熱源(35)の上流における冷却器回路(31)の箇所(52)へ延び、バッテリ分岐部(40)及び冷却器回路(31)に流体を導くように結合可能な、及び/又は冷却装置(6)及びトラクションバッテリ(46)をリング状のバッテリ回路(53)へ接続可能な第2の弁装置(49;81;111;121;131;141)を備えた第2の結合部(48:103)と、
バッテリ分岐部(40)と冷却器回路(31)の間の第3の結合部(55)であって、バッテリ分岐部(40)において第1の結合部(39)と第3の結合部(48;103)の間に冷却装置(6)が配置されている前記第3の結合部と
を有する、原動機付き車両用の熱マネジメントシステムにおいて、
第2の結合部(48;103)と第1の結合部(39)の間で延びる凝縮器分岐部(57;71;143)が設けられており、該凝縮器分岐部(57;71;143)が凝縮器(3)を備えており、該凝縮器(3)が、流体的に凝縮器分岐部(57;71;143)とは分離して低温媒体回路(1;14;18;23)によっても通流されることが可能であることを特徴とする熱マネジメントシステム。
【請求項2】
凝縮器分岐部(57;71;143)が、第1の熱源(35)をう回しつつ第2の結合部(48;103)と第1の結合部(39)の間で延びていることを特徴とする請求項1に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項3】
通流制御弁(61)又は第1の弁装置(142)を用いて、凝縮器分岐部(57;71;143)の通流を調整可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項4】
第1の熱源(35)をう回しつつ凝縮器分岐部(57;71;143)に対して並列に、第2の結合部(48;103)と第1の結合部(39)の間で延びる分岐部を更に有し、該別の分岐部には第2の熱源(64)が配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項5】
バッテリ分岐部(40)が、第1の結合部(39)と冷却装置(6)の間に熱源(41)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項6】
バッテリ分岐部(40)が、第3の結合部(55)とトラクションバッテリ(46)の間に熱源(44)を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項7】
凝縮器分岐部(57)には加熱熱交換器(60)が配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項8】
バッテリ分岐部(40)から分岐するとともにトラクションバッテリ(46)をう回してバッテリ分岐部(40)へ再び開口するバッテリバイパス管路(54)を更に備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項9】
冷却装置(6)の上流でバッテリ分岐部(40)から分岐するとともに冷却装置(6)の下流でバッテリ分岐部(40)へ再び開口する冷却装置バイパス管路(92)を更に備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項10】
第2の弁装置(49;111;121;131)に直接接続されているとともに冷却器(32)の下流かつ第1の熱源(35)の上流の冷却器回路(31)の箇所(52)へ延びる結合管路(50;104)を第2の結合部(48;103)が更に備えていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項11】
NT冷却器(101)を更に有し、該NT冷却器から冷却器回路(31)の供給管路が分岐しているとともにその排出管路が結合管路(104)へ開口しており、結合管路(104)において、当該開口部と冷却器回路(31)の間に、冷却器回路(31)から結合管路(104)への流れを閉止する一方向弁(106)が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項12】
凝縮器分岐部(57;71)が結合管路(104)から分岐していることを特徴とする請求項10に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項13】
凝縮器分岐部(57;71)が第2の弁装置に直接接続されており、第2の弁装置(111;121;131)が、結合管路(111;121;131)及び凝縮器分岐部(57;71)を同時に閉止する切換位置を有していることを特徴とする請求項10に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項14】
第2の弁装置(111;121;131)が少なくとも3つの切換位置を有しており、第1の切換位置では、冷却装置(6)及びトラクションバッテリ(46)をリング状に閉じたバッテリ回路(52)に接続可能であり、第2の切換位置では、バッテリ分岐部(40)が凝縮器分岐部(57;71)に流体を導くように結合されているとともに結合管路(50)が閉止されており、第3の切換位置では、バッテリ分岐部(40)が、凝縮器分岐部(57;71)及び結合管路(50)に同時に流体を導くように結合されていることを特徴とする請求項10に記載の熱マネジメントシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の熱マネジメントシステムを有する原動機付き車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調温回路及び当該調温回路と協働する低温媒体回路を有する熱マネジメントシステムに関するものである。熱マネジメントシステムは、車両構成要素の調温及び車両内室の調温に用いられる。さらに、本発明は、このような熱マネジメントシステムを有する原動機付き車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
請求項1の上位概念による熱マネジメントシステムが特許文献1から知られている。当該熱マネジメントシステムにおいて、車両内室の加熱(暖房)は、凝縮器42及び電気的なヒータ46を介してヒートポンプ機能を用いて行われる。高電圧バッテリ16の加熱は、例えば駆動モータ24の非効率な動作(調整)を介して行われる。電気的なヒータ46又はヒートポンプ機能を介した高電圧バッテリの加熱のためには冷却器26を通流する必要があり、これは、周囲への熱損失につながることがある。これは、同様に効率損失及び加熱出力損失につながり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3711983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を少なくとも部分的に解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1による熱マネジメントシステム及び請求項14による原動機付き車両によって解決される。本発明の有利な発展形成は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明の一実施例によれば、冷却器、冷却器回路ポンプ及び第1の熱源が直列に接続されている冷却器回路と、冷却装置及びトラクションバッテリが直列に接続されたバッテリ分岐部(ストリング、ライン)であって、冷却装置が、流体的にバッテリ分岐部とは分離して(別々に)低温媒体回路(冷凍媒体回路)によって通流されることが可能である、前記バッテリ分岐部と、冷却器回路において第1の熱源の下流かつ冷却器の上流に配置された第1の結合部であって、該第1の結合部では、第1の弁装置を用いて、冷媒がバッテリ分岐部へ選択的に導入可能である、前記第1の結合部と、バッテリ分岐部から冷却器の下流かつ第1の熱源の上流における冷却器回路の箇所へ延び、バッテリ分岐部及び冷却器回路に流体を導くように結合可能な、及び/又は冷却装置及びトラクションバッテリをリング状のバッテリ回路へ接続可能な第2の弁装置を備えた第2の結合部と、バッテリ分岐部と冷却器回路の間の第3の結合部であって、バッテリ分岐部において第1の結合部と第3の結合部の間に冷却装置が配置されている前記第3の結合部とを有する、原動機付き車両用の熱マネジメントシステムが提供される。熱マネジメントシステムは、第2の結合部と第1の結合部の間で延びる凝縮器分岐部(ストリング、ライン)を備えており、該凝縮器分岐部が凝縮器を備えており、該凝縮器が、流体的に凝縮器分岐部とは分離して低温媒体回路によっても通流されることが可能である。液体を冷却する凝縮器の当該変更された結合によって、冷却器をう回しつつトラクションバッテリの直接的な加熱が可能である。車両内室の加熱は、ヒートポンプ機能を介して効率的に実行可能である。これにより、効率及び加熱出力に関して改善が得られる。
【0007】
本発明の別の一実施例によれば、凝縮器分岐部は、第1の熱源をう回しつつ第2の結合部と第1の結合部の間で延びている。特に、凝縮分岐部は、第1の熱源に対して並列に接続されている。凝縮器分岐部及び第1の熱源が互いに無関係に通流されることが可能であるため、追加的な動作モードが生じる。
【0008】
本発明の別の一実施例によれば、通流制御弁又は第1の弁装置を用いて、凝縮器分岐部の通流を調整可能である。
【0009】
本発明の別の一実施例によれば、熱マネジメントシステムは、第1の熱源をう回しつつ凝縮器分岐部に対して並列に、第2の結合部と第1の結合部の間で延びる分岐部を更に備え、該別の分岐部には第2の熱源が配置されている。第1の熱源としての他の分岐部における第2の熱源の結合により、特に個々の熱源の調温要求に対応することが可能となる。
【0010】
本発明の別の一実施例によれば、バッテリ分岐部は、第1の結合部と冷却装置の間に熱源を備えている。
【0011】
本発明の別の一実施例によれば、バッテリ分岐部は、第3の結合部とトラクションバッテリの間に熱源を備えている。
【0012】
本発明の別の一実施例によれば、凝縮器分岐部には加熱熱交換器が配置されている。これにより、凝縮器分岐部は、車両内室の加熱のための加熱分岐部としても機能する。
【0013】
本発明の別の一実施例によれば、熱マネジメントシステムは、バッテリ分岐部から分岐するとともにトラクションバッテリをう回してバッテリ分岐部へ再び開口するバッテリバイパス管路を更に備えている。これにより、バッテリ分岐部は通流されるがトラクションバッテリはう回される動作状態を実行可能である。
【0014】
本発明の別の一実施例によれば、熱マネジメントシステムは、冷却装置の上流でバッテリ分岐部から分岐するとともに冷却装置の下流でバッテリ分岐部へ再び開口する冷却装置バイパス管路を更に備えている。これにより、冷却装置が不要な動作状態では、冷却装置によるハイドロリックな圧力損失を回避することができ、又は冷却装置が低温媒体(冷凍媒体)側で閉止可能でなければ、冷却回路における熱損失を阻止することができる。
【0015】
本発明の別の一実施例によれば、第2の弁装置に直接接続されているとともに冷却器の下流かつ第1の熱源の上流の冷却器回路の箇所へ延びる結合管路を第2の結合部が更に備えている。
【0016】
本発明の別の一実施例によれば、凝縮器分岐部は結合管路から分岐している。
【0017】
本発明の別の一実施例によれば、熱マネジメントシステムは、NT冷却器を更に備え、該NT冷却器から冷却器回路の供給管路が分岐しているとともにその排出管路が結合管路へ開口しており、結合管路において、当該開口部と冷却器回路の間に、冷却器回路から結合管路への流れを閉止する一方向弁が配置されている。NT冷却器によって、後続配置される構成要素の流動温度を低減することが可能である。
【0018】
本発明の別の一実施例によれば、凝縮器分岐部が第2の弁装置に直接接続されており、第2の弁装置が、結合管路及び凝縮器分岐部を同時に閉止する切換位置を有している。これにより、弁側の閉止によって所定の動作状態における逆流が防止されるため、一方向弁を削減することが可能である。
【0019】
本発明の別の一実施例によれば、第2の弁装置が少なくとも3つの切換位置を有しており、第1の切換位置では、冷却装置及びトラクションバッテリをリング状に閉じたバッテリ回路に接続可能であり、第2の切換位置では、バッテリ分岐部が凝縮器分岐部に流体を導くように結合されているとともに結合管路が閉止されており、第3の切換位置では、バッテリ分岐部が、凝縮器分岐部及び結合管路に同時に流体を導くように結合されている。
【0020】
さらに、本発明は、このような熱マネジメントシステムを有する原動機付き車両を提供する。
【0021】
以下に、添付の図面を参照しつつ本発明の好ましい実施例を説明する。図面には、以下のものが図示されている:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】低温回路の第1の構成を概略的に示す図である。
【
図2】低温回路の第2の構成を概略的に示す図である。
【
図3】低温回路の第3の構成を概略的に示す図である。
【
図4】低温回路の第4の構成を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施例による調温回路30を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施例による調温回路70を示す図である。
【
図7】第2の実施例による調温回路70の第1の動作状態を示す図である。
【
図8】第2の実施例による調温回路70の第2の動作状態を示す図である。
【
図9】第2の実施例による調温回路70の第3の動作状態を示す図である。
【
図10】第2の実施例による調温回路70の第4の動作状態を示す図である。
【
図11】第2の実施例による調温回路70の第5の動作状態を示す図である。
【
図12】第2の実施例による調温回路70の第6の動作状態を示す図である。
【
図13】本発明の第3の実施例による調温回路80を示す図である。
【
図14】本発明の第4の実施例による調温回路90を示す図である。
【
図15】本発明の第5の実施例による調温回路100を示す図である。
【
図16】
図15に基づく調温回路100の第1の動作状態を示す図である。
【
図17】
図15に基づく調温回路100の第2の動作状態を示す図である。
【
図18】本発明の第6の実施例による調温回路110を示す図である。
【
図19】本発明の第7の実施例による調温回路120を示す図である。
【
図20】本発明の第8の実施例による調温回路130を示す図である。
【
図21】第8の実施例による
図20に基づく調温回路130の動作状態を示す図である。
【
図22】本発明の第9の実施例による調温回路140を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に説明する本発明による熱マネジメントシステムの低温媒体回路(冷凍媒体回路)及び調温回路は、不図示の原動機付き車両、特に乗用車、例えば電動車両において個別に、又は組み合わせて組み込まれることが可能である。
【0024】
図1には、低温回路(冷凍回路)1の第1の構成が概略的に示されている。低温回路1は、低温媒体圧縮機2と、液体コレクタ4を有する凝縮器3と、空調蒸発器5と、冷却装置(チラー)6と、内部の熱交換器7あるいは内部の熱伝達器とを備えている。さらに、蒸発器弁8及び冷却装置弁9が設けられている。当該弁8,9は、通流を閉止し、又は(部分的に又は完全に)許容するように適合されている。また、これら弁は、部分的に開放されている状態で膨張機器として機能する。
【0025】
空調蒸発器5及び冷却装置6は、互いに並列に接続されている。より正確には、蒸発器弁8と、空調蒸発器5と、一方向弁10あるいは逆止弁とから成る直列接続は、冷却装置弁9及び冷却装置6から成る直列接続に対して並列に配置されている。上記要素は、各直列接続において、特に流れ方向において上述の順序で配置されている。
【0026】
低温回路1では、特に低温回路1の構成要素を通して低温媒体、例えばR134a、R1234yf、R290、R744又はこれらに類するものが循環する。
【0027】
低温回路1では、低温媒体圧縮機2と、凝縮器3と、空調蒸発器5及び冷却装置6から成る並列接続とが直列に接続されている。特に、上記構成要素は、低温媒体の流れ方向に見て、この順序でリング状に閉じて直列に接続されている。
【0028】
空調蒸発器5は、特に、低温媒体が通流可能で空調機器11に配置された空気-液体熱伝達器(空気-液体熱交換器)である。より正確には、空調蒸発器5は空調機器11の空気ガイド部に配置されており、空気が空調蒸発器5を用いて調温可能、特に冷却可能であるように、空気ガイド部を介して空気(外気又は循環空気)を車両内室へ供給可能である。
【0029】
低温媒体と、後述の調温回路の冷媒とが凝縮器3を通流可能である。このとき、低温媒体及び冷媒は、凝縮器3において流体的に互いに分離され、互いに熱交換される。したがって、凝縮器3は、いわゆる液体冷却された凝縮器である。
【0030】
冷却装置6は、低温回路1の低温媒体と調温回路(
図5以降参照)の冷媒との間で熱エネルギーを伝達する熱伝達器である。このために、低温媒体及び冷媒は流体的に互いに分離され、かつ、互いに熱交換して冷却装置6を通流する。
【0031】
空調蒸発器5の通流を調整するために、空調蒸発器5の手前での低温媒体の膨張を調整するために、したがって、その冷却管路を調整するために、蒸発器弁8が当該空調蒸発器の手前に接続されている。冷却装置6の通流を調整するために、及び冷却装置6の手前での低温媒体の膨張を調整するために、冷却装置弁8が当該冷却装置の手前に接続されている。これは、例えば、自己制御式の電気的に閉止可能な膨張機器であり得るか、又は自由に選択可能な開放断面を有するモータ式に制御(作動)される膨張機器であり得る。
【0032】
低温回路1は内部の熱交換器7を更に備えており、当該熱交換器は、熱接触するものの流体的に互いに分離して通流されることが可能な2つのチャンバを有している。ここで、凝縮器3と空調蒸発器5及び冷却装置6から成る並列接続との間に1つチャンバが配置され、当該並列接続と低温媒体圧縮機2との間に他のチャンバが配置されている。これらチャンバは、好ましくは逆方向に通流され、したがって、向流熱交換器を形成している。したがって、気体状の低圧レベルにある低温媒体が、1つのチャンバにおいて、低温媒体圧縮機2の上流へ内部の熱交換器7を通流し、他のチャンバでは、凝縮器3から来る高圧の液体状の低温媒体が通流する。内部の熱交換器7によって、熱エネルギーが液体状の低温媒体から奪われ、これにより、低温媒体が更に冷却されることとなる。当該エネルギーは、大部分が気体状の低温媒体へ供給され、これにより、更により多くの割合が蒸発されて気体状で存在することとなる。このことは、低温回路1の性能向上及び効率向上に寄与する。しかし、内部の熱交換器7は、低温回路1の機能のために必ずしも必要ではない。
【0033】
さらに、低温媒体圧縮機2の入口側には圧力・温度センサ12が配置されており、出口側には圧力・温度センサ13が配置されている。
【0034】
図2には、低温回路14の第2の構成が概略的に示されている。低温回路14は、当該低温回路14では、加熱凝縮器15と、当該加熱凝縮器15に割り当てられた空気側の温度センサ16と、凝縮器3の下流かつ内部の熱交換器7の上流に配置された圧力・温度センサ17とが設けられている点で
図1に基づく低温回路1とは異なっている。
【0035】
したがって、低温回路14では、低温媒体圧縮機2と、加熱凝縮器15と、凝縮器3と、空調蒸発器5及び冷却装置6から成る並列接続とが直列に接続されている。特に、上記構成要素は、低温媒体の流れ方向に見て、この順序でリング状に閉じて直列に接続されている。しかし、他の順序も可能であり、例えば、加熱凝縮器15及び凝縮器3を順序に関して入れ替えることが可能である。
【0036】
加熱凝縮器15は、特に、低温媒体が通流可能で空調機器11に配置された空気-液体熱伝達器(空気-液体熱交換器)である。より正確には、加熱凝縮器15は空調蒸発器5と共に空調機器11の空気ガイド部に配置されており、空気が加熱凝縮器15を用いて調温可能、特に加熱可能であるように、空気ガイド部を介して空気を車両内室へ供給可能である。通常、加熱凝縮器15は、空気側で、空調機器11において空気フラップ弁を介して完全に、又は部分的に閉止可能である。
【0037】
当該差異以外については、繰返しを避けるために、
図1における低温回路の説明が参照される。
【0038】
図3には、低温回路18の第3の構成が概略的に示されている。低温回路18は、第1の弁19と、リターン管路20と、リターン管路に設けられた第2の弁21とが更に設けられている点で
図2に基づく低温回路14とは異なっている。弁19,21は、通流を閉止し、又は許容するように、特に閉止し、部分的に許容し、又は完全に許容するように適合されている。また、これら弁は、部分的に開放されている状態で膨張機器として機能する。
【0039】
低温回路18にはメイン回路22が形成されており、当該メイン回路では、低温媒体圧縮機2と、第1の弁19と、加熱凝縮器15と、凝縮器3と、空調蒸発器5及び冷却装置6から成る並列接続とが直列に接続されている。特に、上記構成要素は、低温媒体の流れ方向に見て、この順序でリング状に閉じて直列に接続されている。
【0040】
リターン管路20は、低温媒体圧縮機2の高圧側、特に低温媒体圧縮機2と第1の弁19の間でメイン回路22から分岐し、冷却装置6の上流で、正確には冷却装置弁9と冷却装置6の間でメイン回路22へ戻る。
【0041】
両弁19,21の代わりに、1つの弁、例えば1つの入口及び2つの出口を有する3ポート2位置切換弁を設けることが考えられる。そして、当該弁は、メイン回路22からのリターン管路20の分岐部に設けられ得る。
【0042】
第1の弁19が通流を閉止し、第2の弁21が通流を許容している動作状態においては、リターン回路20を介してバイパス回路が形成され、当該バイパス回路は、低温媒体圧縮機2と、第2の弁21を含むリターン管路20と、冷却装置6と、内部の熱交換器7とを備えている。当該動作状態では、低温媒体は、当該バイパス回路においてのみ循環し、第1の弁19の閉鎖により、メイン回路22においては循環しない。
【0043】
高温気体の形態の低温媒体は、当該バイパス回路を介して高圧側から取り出され、第2の弁21によって低圧レベルへ膨張され、低圧側において低温媒体圧縮機2へ供給される。低温媒体圧縮機2の低圧側における当該低温媒体高温気体噴射によって、特に始動段階において、低温回路18の非常に迅速な起動を達成することが可能である。なぜなら、熱エネルギーが低温媒体圧縮機2を介して低温媒体へ供給され、当該熱エネルギーは、低温媒体から再び本質的に奪われることなく、低温媒体圧縮機2の入口へ戻るように循環し、新たに熱エネルギーを受けるためである。
【0044】
また、低温回路18は、メイン回路22が動作中であり(低温媒体が循環する)、バイパス回路は動作していない(低温媒体が循環しない)ように、第1の弁19が部分的に、又は完全に開放されているとともに第2の弁21が通流を閉止する動作状態においても動作することが可能である。そして、当該動作状態は、例えば、(例えば車両内室の加熱のための)低温回路性能要求がそれほど大きくない場合に適しているため、バイパス回路からの上述の追加的な熱エネルギーは不要である。
【0045】
さらに、低温回路18は、バイパス回路も、またメイン回路22も動作中であるように、第1の弁19が部分的に、又は完全に開放されているとともに第2の弁21も同様に部分的に、又は完全に開放されている動作状態において動作することが可能である。当該動作状態は、例えば始動段階後に適しており、継続動作においては、依然として(車両内室の加熱のための)高い低温回路性能が必要である。
【0046】
図4には、低温回路23の第4の構成が概略的に示されている。低温回路23は、空調蒸発器5及び冷却装置6から成る並列接続がやや異なって構成されている点で
図3に基づく低温回路18とは異なっている。すなわち、冷却装置6の下流には、一方向弁24あるいは逆止弁が設けられている。より正確には、蒸発器弁8と、空調蒸発器5と、逆止弁10とから成る直列接続は、冷却装置弁9と、冷却装置6と、逆止弁24とから成る直列接続に対して並列に配置されている。上記要素は、各直列接続において、特に流れ方向において上述の順序で配置されている。
【0047】
さらに、低温回路23は、空調蒸発器5及び冷却装置6の並列接続のために、空調蒸発器5及び冷却装置6から成る並列接続に対して並列に延在するバイパス管路25が設けられている点で低温回路18とは異なっている。バイパス管路25にはバイパス弁26が配置されており、当該バイパス弁は、通流を閉止し、又は許容するように、特に閉止し、部分的に許容し、又は完全に許容するように適合されている。
【0048】
バイパス弁26は、特に、バイパス回路及びメイン回路22が動作中であるときに当該バイパス弁が通流を(完全に、又は部分的に)許容するように制御(作動)される。空調蒸発器5及び冷却装置6の通流は、これらが高圧側では蒸発器弁8及び冷却装置弁9を介して閉止され、低圧側では逆止弁10,24を介して閉止されることで阻止される。したがって、バイパス回路の動作時に、逆止弁10,24を介して、冷却装置6及び空調蒸発器5の出口において、その入口よりも低い圧力が生じていることが回避されるため、冷却装置6及び蒸発器5へ低温媒体を吸引することが可能である。
【0049】
さらに、低温回路23は、第2の弁21が配置されたリターン管路27が低温媒体圧縮機2の高圧側で、特に低温媒体圧縮機2と第1の弁19の間でメイン回路22から分岐し、冷却装置6の下流、より正確には逆止弁10の下流かつ逆止弁24の下流及び内部の熱交換器7の上流でメイン回路22へ戻るように開口している点で低温回路18とは異なっている。
【0050】
上記差異を除いて、低温回路23は低温回路18に対応するため、その説明が参照される。
【0051】
図5には、本発明の第1の実施例による調温回路30が示されている。当該調温回路30は冷却器回路31を含んでおり、当該冷却器回路には、冷却器32と、冷却器回路ポンプ33と、第1の熱源35と、第1の弁装置36とが直列に配置されている。
図5に図示された第1の弁装置36の切換状態では、冷却器回路31の構成要素が閉じた回路を形成しており、当該閉じた回路では、例えば添加剤が混合された水である冷媒が、冷却器回路ポンプ33が起動しているときに循環可能である。
【0052】
冷却器32は、特にいわゆる高温冷却器である。当該冷却器には公知の態様でファン37が割り当てられている。さらに、冷媒補償容器38が公知の態様で設けられている。
【0053】
一方向弁34及び/又は冷却装置回路ポンプ33の搬送方向によって、冷媒の流れ方向が設定されている。第1の熱源35の下流かつ冷却器32の上流には第1の結合部39が配置されており、当該第1の結合部では、バッテリ分岐部(バッテリストリング、バッテリライン)40が分岐している。バッテリ分岐部40の経過は、
図6及び
図6において破線で示唆されている。図示の実施例では、第1の結合部39は第1の弁装置36によって形成されているが、必ずしもこうである必要はないことに留意すべきである。したがって、例えば、第1の結合部39も単純に管路分岐部であってよく、第1の弁装置は、2つの閉止弁(1つはバッテリ分岐部40及び他方は冷却器回路31における第1の結合部の下流)の形態で形成される。
【0054】
バッテリ分岐部40には、第3の熱源41と、冷却装置6と、バッテリポンプ43と、第4の熱源44と、バッテリバイパス弁45と、トラクションバッテリ(走行用バッテリ)46と、一方向弁47とが直列に配置され、特に上述の順序で直列に配置されている。一方向弁47は、内部のトラクションバッテリ漏れの場合に、バッテリバイパス弁45と共に、トラクションバッテリ46への冷媒の流入を防止する。トラクションバッテリ46は多数の電気化学的な蓄電セルを備えており、当該蓄電セルは、電気エネルギーを蓄えるとともに、電気エネルギーを少なくとも原動機付き車両の駆動のために提供する。さらに、蓄電セルひいてはトラクションバッテリ46は再充電可能である。
【0055】
さらに、第2の結合部48が設けられており、当該第2の結合部は、図示の実施例では、第2の弁装置49及び結合管路50を含んでいる。結合管路50は、第2の弁装置49から冷却器回路31まで、冷却器回路ポンプ33の下流かつ第1の熱源35の上流、特に一方向弁34の下流かつ第1の熱源35の上流における箇所52へ延びている。また、循環管路51が設けられており、当該循環管路は、第2の弁装置49からバッテリ分岐部40まで第1の結合部39と冷却装置6の間、特に第1の結合部39と第3の熱源41の間の箇所へ延びている。
【0056】
第2の弁装置49は、
図5に図示された第1の切換状態を有しており、当該第1の切換状態では、バッテリ分岐部40から来る冷媒は回路管路51へ導かれ、結合管路50は第2の弁装置49によって閉止されているため、リング状に通流可能なバッテリ冷却回路53(一点鎖線で示す)が形成され、当該バッテリ冷却回路53では、バッテリ分岐部40の構成要素が直列であり、リング状の回路の形態で冷媒を通流させることが可能である。
【0057】
そのほか、第2の弁装置49は第2の切換状態を有しており、当該第2の切換状態では、バッテリ分岐部40から来る冷媒が結合管路50へ導かれ、回路管路51は第2の弁装置49によって閉止されるため、バッテリ分岐部40から来る冷媒を冷却器回路31へ案内可能である。
【0058】
冷媒は回路管路51及び結合管路50へ同時に流れるように、中間位置も考えられる。
【0059】
バッテリバイパス管路54は、バッテリ分岐部40から分岐するとともに、トラクションバッテリ46及び一方向弁47をう回し、特にトラクションバッテリ46及び一方向弁47のみをう回し、一方向弁47と第2の弁装置49の間の箇所でバッテリ分岐部40へ戻るように開口する。冷却器回路ポンプ33から来る冷媒流は、バッテリバイパス弁45によって、選択的に、バッテリバイパス管路54へ案内されるか、又はトラクションバッテリ46を通って案内されることが可能である。バッテリバイパス管路54及びトラクションバッテリ46を同時に通流するように、中間位置も考えられる。
【0060】
さらに、第3の結合部55が設けられており、当該第3の結合部は、バッテリ分岐部40を冷却装置6とバッテリポンプ43の間の箇所で、第1の結合部39の下流かつ冷却器32の上流において冷却器回路31と結合する。図示の実施例では、第3の結合部は、弁を有さない結合管路56を含んでいるが、弁が設けられていてもよい。
【0061】
第2の結合部48と第1の結合部39の間には凝縮器分岐部(凝縮器ストリング、凝縮器ライン)57が設けられている。特に、凝縮器分岐部57は、第2の結合部48の下流かつ第1の結合部39の上流に配置されている。図示の実施例では、凝縮器分岐部57は、第1の熱源35と並列に接続されている。しかし、凝縮器分岐部57が第1の熱源35と直列に接続される構成も考えられ、これには、低温回路の適合が必要となる。図示の実施例では、凝縮器分岐部57は、箇所52の下流において冷却器回路31から分岐している。凝縮器分岐部57には、凝縮器分岐部ポンプ58と、凝縮器3(
図1~
図4に関連して上述)と、電気的なヒータ59と、加熱熱交換器60と、凝縮器分岐部弁61とが直列に、特に上述の順序で第2の結合部48から第1の結合部39の方向に配置されている。電気的なヒータ59は、電気的に動作可能であって選択的に凝縮器分岐部57を通って流れる冷媒を加熱する補助ヒータである。加熱熱交換器61は空気が周囲を流れることが可能な熱伝達器であり、当該熱伝達器は、これにより車両内室に供給されるべき空気を加熱するために空調機器11、特に空調機器11の空気ガイド部に配置されている。凝縮器分岐部弁61は、凝縮器分岐部57の通流を制御可能な比例弁である。凝縮器分岐部ポンプ58の入口側へ延びるリターン管路62が加熱熱交換器60と凝縮器分岐部弁61の間で分岐している。リターン管路62には一方向弁63が設けられており、当該一方向弁は、凝縮器分岐部ポンプ58の入口側の方向への流れのみを許容する。
【0062】
そのほか、第2の熱源64が、第1の熱源53に対して並列に、かつ、凝縮器分岐部57に対して並列に接続されている。
【0063】
第1の熱源35及び第2の熱源64は、例えば、電気的な駆動機械、電気的なヒータ、制御機器、パワーエレクトロニクス、DC-DCコンバータである。これら熱源は、効率的な動作点において、又は非効率的な動作点において、加熱出力を生成するために動作されることが可能である。
【0064】
第3の熱源41及び第4の熱源44は、例えば、電気的なヒータ、制御機器、パワーエレクトロニクス、DC-DCコンバータである。これら熱源も、同様に、効率的な動作点において、又は非効率的な動作点において、加熱出力を生成するために動作されることが可能である。
【0065】
また、冷却器32の下流の出口には温度センサ65が設けられている。別の温度センサ66が、冷却器32の上流に、より正確には冷却器回路31における第3の結合部56と冷却器32の間に設けられている。また、温度センサ67が第4の熱源44とバッテリバイパス弁45の間に設けられている。
【0066】
図5に基づく調温回路30は、例えば、
図1に基づく低温回路1と協働する。例えば、低温回路1では、熱エネルギーが、蒸発器5及び/又は冷却装置6を介して吸収され、凝縮器3を介して凝縮器分岐部57へ放出される。そこでは、車両内室を調温する空調機器11の空気流への熱エネルギーの伝達は、加熱熱交換器60を用いて行われる。
【0067】
調温回路30の様々な具体的な動作モードについては後述する。
【0068】
図6には、本発明の第2の実施例による調温回路70が示されている。当該調温回路70は、凝縮器分岐部71が変更されている点及びリターン管路62がない点で
図5に基づく調温回路30とは異なっている。凝縮器分岐部71には、凝縮器分岐部57に比べて、凝縮器分岐部ポンプ58、電気的なヒータ59及び加熱熱交換器60がない。換言すれば、凝縮器分岐部71には、凝縮器3及び凝縮器分岐部弁61が直列となっている。
【0069】
上記差異を除いて、調温回路70は調温回路30に対応するため、繰返しを避けるためにその説明が参照される。
【0070】
調温回路70には設けられていない加熱熱交換器61は、低温媒体側の加熱凝縮器15(
図2~
図4参照)を用いることで、車両内室の加熱のために代替される。すなわち、調温回路70は、特に
図2~
図4に記載された第2~第4の構成の低温回路と協働する。車両内室に対する十分な加熱出力が提供されるように、凝縮器分岐部弁61を介して調温回路70への凝縮器15の制御された熱放出が可能である。
【0071】
図7~
図12には、第2の実施例による調温回路70の後述の異なる動作状態が図示されている。しかし、当該説明は、同一の動作状態となり得る第1の実施例による調温回路30についても対応して当てはまる。
図7~
図12並びに
図14、
図16、
図17及び
図21では、それぞれ実線として示された冷媒分岐部(冷媒ストリング、冷媒ライン)を冷媒が通流し、すなわち、冷媒が分岐部に対して移動する。これに対して、破線で示された冷媒分岐部は通流されず、あるいは冷媒は、分岐部において当該分岐部に対して移動しない。さらに、弁は、動作状態にかかわらず常に同一の切換位置において記入されているが、当業者は、当然、調温回路における記入及び/又は記載された流れ経過によって、弁のどの切換位置がこれに対応しているかを認識する。
【0072】
図7には、第2の実施例による調温回路70の第1の動作状態が図示されている。当該動作状態では、冷却器回路ポンプ33は非作動であり、冷却器32を介した逆流(リターン流れ)は、一方向弁34によって阻止される。第1の弁装置36、第2の弁装置49及びバッテリバイパス弁45は、第1及び第2の熱源35,64並びに凝縮器3が互いに並列に通流されるように接続されている。一方、当該並列接続は、第4の熱源44及びトラクションバッテリ46に対して直列に通流される。これにより、第1の熱源35、第2の熱源64、第4の熱源44及び凝縮器3の排熱を用いたトラクションバッテリ46の加熱が可能である。ここでは凝縮器分岐部71への所定の熱放出を行うように、凝縮器3を通る冷媒体積流量は、凝縮器分岐部弁61を用いて調整される。このことは、特に、加熱凝縮器15を用いた車両内室の同時の加熱が行われる場合、すなわち、加熱凝縮器15と同時に凝縮器3を用いて低温回路から熱が放出される場合に必要である。凝縮器分岐部弁61を用いた体積流量制御は、過剰な熱を低温回路から取り出さないために必要である。なぜなら、これにより、車両内室の加熱(暖房)性能と、低温回路における圧力レベル及び温度レベルとが低下し、したがって、車両内室の快適な調温が困難となるためである。
【0073】
冷却装置6及び第3の熱源41は、当該第1の動作状態では、う回されるとともに通流されない。このことは、2つの理由から好都合であり得る。1つ目として、冷却装置6及び第3の熱源41による油圧的な圧力損失が回避され、これは、より良好な効率、高められた体積流量又はバッテリポンプ43のより小さな寸法につながり得る。2つ目として、例えば
図3におけるように、圧縮機バイパスを有する低温回路構成において、低温の冷媒(約15℃未満)が冷却装置6を通流することが好都合ではない。なぜなら、これにより、冷却装置6が低温媒体側で閉止可能でないため、過剰な熱が低温回路から奪われるためである。その結果、特に車両内室に対して十分な加熱性能が提供されない。低温回路の第4の構成(
図4)は、当該制限を有していない。なぜなら、膨張機器として機能するバイパス弁26を用いて冷却装置6が低温媒体側でバイパス動作においてう回されることができるためである。したがって、冷媒による継続的な通流及びより低い温度レベルを必要とする熱源、例えば多くの電子部品は、当該動作状態では、第4の熱源44の箇所においてのみ、又は第2の弁装置49の直接上流に位置決めされることが可能である。
【0074】
図8には、第2の実施例による調温回路70の第2の動作状態が図示されている。当該動作状態では、第1の弁装置36は、
図7に基づく第1の動作状態とは異なり、更に冷却装置6及び第3の熱源41を通流するように、すなわち直列に接続されるように切り換えられている。このことは、特に
図1、
図2及び
図4の低温回路との組合せにおいて好都合である。当該第2の動作状態は、約15℃を超える冷媒温度から
図3の低温回路23との組合せにおいても考えられる。なぜなら、この場合、調温回路70からの熱が低温回路23へ伝達されるためである。調温回路70における温度レベルが低温回路23における吸引圧力に対応する温度レベル(圧力・温度センサ12における圧力レベル)よりも大きいと、加熱性能を増大させる措置として、冷却装置6を介して、低温回路23における追加的な負荷をもたらすことが可能である。これにより、低温媒体圧縮機2の出力消費(エネルギー消費)が増大し、加熱性能が増大することとなる。当該加熱性能は、車両内室又はトラクションバッテリ41に用いられることが可能である。
【0075】
加えて、同一の切換(接続)状態では、冷却器32がう回されることで効率に関して最適な温度(約50℃)への駆動分岐部(駆動ストリング、駆動ライン)、特に駆動モータの予熱が行われる動作状態が可能である。これは、ヒートポンプ動作が行われ、外部温度が例えば20℃より高い場合に有利である。
【0076】
図9には、第2の実施例による調温回路70の第3の動作状態が図示されている。当該動作状態では、リング状に閉じられたバッテリ冷却回路53(
図5及び
図6参照)及びリング状の閉じられた冷却器回路31が形成され、両回路では、これら両回路間で本質的な冷媒交換が行われることなく冷却が同時に循環する。第3の動作状態は、第1~第4の熱源35,64,41,44が効率的な動作点で動作される冷却動作である。熱の放出は、冷却器32を介して周囲へ行われる。第3及び第4の熱源41,44並びのトラクションバッテリ46の排熱は、冷却装置6を用いて低温回路へ放出される。
【0077】
特に効率的な動作では、トラクションバッテリ46の熱質量における第3の熱源41及び第4の熱源44の排熱の緩衝が考えられる。これは、冷却装置6が動作される必要はなくバッテリポンプ43のみが動作される必要があるという利点を有している。排熱は、低温時にはトラクションバッテリ46の加熱に用いられることができ、又は車両内室の効率的な加熱のための下流のヒートポンプ用途のために用いられることが可能である。
【0078】
図10には、第2の実施例による調温回路70の第4の動作状態が図示されている。当該第4の動作状態では、第1の弁装置36、第2の弁装置49及びバッテリバイパス弁45は、第4の熱源44が第1及び第2の熱源35,64並びに凝縮器3に対して並列に接続されるように接続されている。このとき、トラクションバッテリ46がバッテリバイパス管路54を介してう回され、第4の熱源44及びバッテリポンプ43(非作動)が逆向きに通流される。換言すれば、冷却器回路31がリング状に通流され、箇所52では並列分岐部(並列ストリング、並列ライン)が分岐し、当該並列分岐部は、第3の結合部55が再び冷却器回路31へ開口するように、結合管路50、バッテリバイパス管路54、第4の熱源44及び結合管路56に沿って延在している。このとき、バッテリポンプ43及び冷却装置6が動作される必要がないため、第4の熱源44の特にエネルギー効率的な冷却の利点が得られる。
【0079】
任意で、バッテリバイパス弁45を切り換えるによるトラクションバッテリ46の通流も考えられるが、このためには一方向弁47が省略される必要がある。
【0080】
図11には、第2の実施例による調温回路70の第5の動作状態が図示されている。当該第5の動作状態では、
図10に基づく第4の動作状態とは異なり、第1の弁装置36は、他の切換位置にあり、第3の熱源41及び冷却装置6が第1の熱源35、第2の熱源64及び凝縮器分岐部57から成る並列接続に対して直列に接続されるように接続されている。当該接続は、ここでも第4の熱源44に対して並列に接続されており、当該第4の熱源は逆向きに通流される。当該動作状態は、特に、第3及び第4の熱源41,44の効率的な冷却について有意義である。換言すれば、当該動作状態では、冷却器32、冷却器回路ポンプ33、並列接続(第1の熱源35、第2の熱源64及び凝縮器3)、第3の熱源41、冷却装置6及び第3の結合部55の直列接続から成るリング状の回路が形成される。このために、箇所52において分岐するとともに結合管路50、バッテリバイパス管路54、第4の熱源44から成る直列接続を備え、かつ、第3の結合部55において上述の回路へ戻るように開口する並列分岐部が形成される。
【0081】
図12には、第2の実施例による調温回路70の第6の動作状態が図示されている。当該動作状態では、第2の弁装置49は、結合管路50が通流されずにバッテリ冷却回路53(
図5及び
図6参照)がトラクションバッテリ46をう回しつつ形成されるように接続されている。同時に、冷却器32、冷却器回路ポンプ33、並列接続(第1の熱源35、第2の熱源64及び凝縮器3)、第3の熱源41、冷却装置6及び第3の結合部55の直列接続から成るリング状の回路が形成される。バッテリポンプ43が作動している場合には、第4の熱源44は、反時計回りに通流されるため、第3の熱源41の上流における回路管路51の開口部において冷媒流の混合に至り、当該冷媒流は、一方では第4の熱源44から来るものであり、他方では第1の熱源35、第2の熱源64及び凝縮器3から来るものである。当該動作モードは、特にヒートポンプ動作において有意義である。なぜなら、これにより、第4の熱源44の排熱を、冷却装置6を介して車両内室の加熱に利用可能なためである。
【0082】
バッテリポンプ43が非作動であれば、当該バッテリポンプは逆向きにパッシブに通流され、これにより、第4の熱源44は、冷却装置6及び第3の熱源41に対して並列に通流される。当該動作状態は、特にポンプ出力に関して有利である。なぜなら、バッテリポンプ43を動作させる必要がないためである。第4及び第5の動作状態に比して、第4の熱源44が第1及び第2の熱源並びに凝縮器3に対して並列ではなく直列に配置されており、したがってこれを介して体積流量が減少しないという利点が得られる。
【0083】
図13には、本発明の第3の実施例による調温回路80が示されている。当該調温回路80は、第2の結合部48が1つの第2の弁装置81のみを備え、結合管路50を備えていない点のみで調温回路70とは異なっている。バッテリ冷却回路53における第2の弁装置81の配置は、第2の弁装置49の配置に対応する。例えば、第2の弁装置81は2ポート2位置切換弁として構成されている。第2の弁装置81は2つの切換位置を備えており、第1の切換位置では、バッテリバイパス管路54又はトラクションバッテリ46から来る冷媒流が回路管路51へ導かれる。同時に、当該切換位置では、第2の弁装置81によって、冷却器32から来る冷媒は、凝縮器3、第1の熱源35及び第2の熱源64から成る並列接続へ導かれる。
図13による第2の結合部48は、
図5及び
図6では第2の弁装置と結合管路50を用いた接続が実現され、
図13では第2の弁装置81のみを用いた接続が実現される点でのみ
図5及び
図6による第2の結合部48に機能的に対応する。
【0084】
そのほか、調温回路70とは異なり、冷却器回路ポンプ33が冷却器回路31において第2の結合部48の下流あるいは第2の弁装置81の下流に配置されている。
【0085】
第2の切換位置では、回路管路51が第2の弁装置81において閉止され、同様に、冷却器32から来る分岐部が第2の弁装置81において閉止される。バッテリバイパス管路54又はトラクションバッテリ46から来る冷媒流は、冷却回路ポンプ33へ、及び熱源35、第2の熱源64及び凝縮器3から成る並列接続へ案内される。これにより、第2の切換位置では、例えば並列接続(第1及び第2の熱源35,64並びに凝縮器3)、第4の熱源44及び選択的にトラクションバッテリ46及び/又はバッテリバイパス管路54がリング状に閉じられて直列に接続されることとなる。並列接続と第4の熱源44の間の第3の熱源41及び冷却装置6から成る直列接続の選択的な有無は、第1の弁装置36の切換位置に応じたものである。
【0086】
したがって、当該第3の実施例により、上述の第1及び第2の動作状態における冷却器回路ポンプ33及びバッテリポンプ43の直列接続の実現が可能となる。当該第1及び第2の動作状態では、冷却器回路ポンプ33も、またバッテリポンプ43も制御(作動)され、これは、バッテリポンプ43のより小さな寸法をもたらすことが可能である。一方向弁34を省略可能である。そのほか、温度センサ82が設けられており、当該温度センサは、第2の弁装置82と冷却器回路ポンプ33の間に配置されている。なぜなら、これにより、トラクションバッテリ46又は冷却器32のリターン流れ温度を検出することができるためである。
【0087】
図14には、本発明の第4の実施例による調温回路90が示されている。当該実施例は、調温回路70と比べて、冷却装置弁91及び冷却装置バイパス管路92を更に備えている。
【0088】
冷却装置バイパス管路92は、バッテリ分岐部40から分岐しているとともに、冷却装置6(のみ)をう回し、バッテリ分岐部40へ再び戻るように開口している。第3の熱源41から来る冷媒流は、冷却装置バイパス弁91によって、選択的に、バッテリバイパス管路92へ案内されるか、又はトラクションバッテリ6を通って案内されることが可能である。冷却装置バイパス管路92及び冷却装置6を同時に通流するように、中間位置も考えられる。
【0089】
既に上述したように、冷媒は、
図14においてそれぞれ実線として図示された冷媒分岐部を通流し、破線で図示された冷媒分岐部を通流しない。
【0090】
当該実施例により、第1の動作状態では、第3の熱源41の通流及びこれにつづく冷却装置バイパス管路92の通流が可能である。
【0091】
図15には、本発明の第5の実施例による調温回路100が示されている。当該実施例は、調温回路70と比べて、NT冷却器(いわゆる低温冷却器)を更に備えている。当該NT冷却器はNT冷却器分岐部(NTストリング、NT冷却器ライン)102に配置されており、当該NT冷却器分岐部は、冷却器回路ポンプ33の下流、特に冷却器回路ポンプ33と一方向弁34の間で冷却器回路31から分岐しており、第2の結合部103へ、より正確には結合管路104へ開口している。結合管路104は、NT冷却器分岐部102が結節点105において結合管路へ開口し、凝縮器分岐部71が結節点105において結合管路から分岐し、同様に第2の熱源64の分岐部が結節点において結合管路から分岐し、結節点105と箇所52の間に一方向弁106が配置されている点でのみ結合管路50とは異なっている。一方向弁106は、結節点から箇所52への通流のみを許容する。結合管路50に対する結合管路104の当該差異を除き、第2の結合部104は第2の結合部48に対応している。
【0092】
さらに、結節点105とNT冷却器101の間には一方向弁107が配置されており、当該一方向弁は、NT冷却器101から結節点105の方向の流れのみを許容する。
【0093】
その他の点については、
図6に基づく調温回路70の説明が参照される。
【0094】
当該実施例により、凝縮器3及び第2の熱源64の流動温度を低下させることが可能である。
【0095】
図16には、
図15に基づく調温回路100の第1の動作状態が図示されている。
【0096】
調温回路100の当該第1の動作状態は加熱動作である。このとき、冷却器回路ポンプ33は非作動であり、両冷却器32,101を通るリターン流れは、一方向弁34,107によって阻止される。そのほか、機能に関しては、第1の動作状態は
図7に図示された第1の動作状態に対応している。
【0097】
既に上述したように、冷媒は、
図16及び
図17においてそれぞれ実線として図示された冷媒分岐部を通流し、破線で図示された冷媒分岐部を通流しない。
【0098】
図17には、
図15に基づく調温回路100の第2の動作状態が図示されている。
【0099】
調温回路100の当該第2の動作状態は冷却動作である。このとき、冷却回路ポンプ33が作動している。箇所52から凝縮器分岐部71及び/又は第2の熱源64への不意の流れが一方向弁106によって阻止される。なぜなら、箇所52では、冷却器回路ポンプ33及びNT冷却器101による圧力損失により結節点105での圧力レベルよりも高い圧力レベルが生じているためである。
【0100】
当該第2の動作状態は本質的に
図9に図示された動作状態に対応し、当該動作状態とは異なり、両冷却器32,101が通流され、これは、既に上述したように、凝縮器3及び第2の熱源64のより低い流動温度につながる。
【0101】
図18には、本発明の第6の実施例による調温回路110が示されている。当該実施例では、
図15に基づく第5の実施例による調温回路100に対する差異についてのみ言及し、その他の点についてはその説明(第5の実施例による調温回路100の説明)が参照される。
【0102】
第2の弁装置111は、弁接続部のうち1つにおいて2つの別々の管路が接続されていることによって第2の弁装置49とは異なっている。第2の弁装置111の第1の切換位置では、当該弁接続部は非作動あるいは閉止されているため、第2の弁装置111における2つの管路も互いに分離されている。第2の切換位置では、第2の弁装置111は、一方向弁47及びバッテリバイパス管路54を分離された当該両管路と結合する。このとき、管路のうち1つは結合管路50であり、他の管路は結節点112へ延び、当該結節点から凝縮器分岐部71が延在し、当該凝縮器分岐部には第2の熱源64が並列に接続されている。
【0103】
NT冷却器分岐部102は、
図15とは異なり、結節点112へ開口している。そのため、
図15に基づく一方向弁106を省略することが可能である。冷却動作時の箇所52から結合管路50を介した凝縮器分岐部71及び/又は第2の熱源64への不意の流れは、第2の弁装置111によって阻止される。
【0104】
図19には、本発明の第7の実施例による調温回路120が示されている。当該実施例については、
図6に基づく第2の実施例による調温回路70に対する差異についてのみ説明する。その他についてはその説明が参照される。
【0105】
調温回路70とは異なり、調温回路120は第2の弁装置121を備えており、当該第2の弁装置は、3つの切換位置を有している点で第2の弁装置49とは異なっている。第2の弁装置121と箇所52の間では結合管路50が延在している。凝縮器分岐部71及び第2の熱源64から成る並列接続は、第2の弁装置121から第1の結合部39へ延びている。第2の弁装置が接続された当該並列接続の側と箇所52の間には一方向弁122が設けられている。
【0106】
第2の弁装置121の第1の切換位置では、例えばバッテリ冷却回路53が形成されるように、冷媒流がトラクションバッテリ46又はバッテリバイパス管路54から回路管路51へ導かれる。第2の弁装置121から凝縮器分岐部71、第2の熱源64及び結合管路50への冷却媒体流は閉止される。
【0107】
第2の弁装置121の第2の切換位置では、第2の弁装置121からの冷媒流は、回路管路51へは閉止され、凝縮器分岐部71及び第2の熱源64へは許容され、結合管路50へは閉止される。
【0108】
第2の弁装置121の第3の切換位置では、第2の弁装置121からの冷媒流は、回路管路51へは閉止され、凝縮器分岐部71及び第2の熱源64へは許容され、同様に結合管路50へも許容される。
【0109】
図20には、本発明の第8の実施例による調温回路130が示されている。当該実施例については、
図18に基づく第6の実施例による調温回路110に対する差異についてのみ説明し、その他の点についてはその説明(第6の実施例による調温回路110の説明)が参照される。
【0110】
調温回路130は第2の弁装置131を備えており、当該第2の弁装置は、2つの切換位置に代えて3つの切換位置を有している点で第2の弁装置111とは異なっている。
【0111】
第2の弁装置131の第1の切換位置では、例えばバッテリ冷却回路53が形成されるように、冷媒流がトラクションバッテリ46又はバッテリバイパス管路54から回路管路51へ導かれる。第2の弁装置131から凝縮器分岐部71、第2の熱源64及び結合管路50への冷却媒体流は閉止される。
【0112】
第2の弁装置131の第2の切換位置では、第2の弁装置131からの冷媒流は、回路管路51へは閉止され、凝縮器分岐部71及び第2の熱源64へは許容され、結合管路50へは閉止される。
【0113】
第2の弁装置131の第3の切換位置では、第2の弁装置131からの冷媒流は、回路管路51へは閉止され、凝縮器分岐部71及び第2の熱源64へは許容され、同様に結合管路50へも許容される。
【0114】
図21には、
図20に基づく調温回路130の動作状態が図示されている。既に上述したように、冷媒は、
図21においてそれぞれ実線として図示された冷媒分岐部を通流し、破線で図示された冷媒分岐部を通流しない。
【0115】
当該動作状態では、冷却回路ポンプ33は非作動である。結合管路50の閉止により、第1の熱源35の通流が阻止される。これは、第1の熱源35が体積流量を要求せず、加熱出力も生成しない場合に特に有意義である。これにより、凝縮器3及び第2の熱源64の加熱出力を目的に合わせてトラクションバッテリ46又は冷却装置6へ供給することができるため、第1の熱源35の熱質量を加熱する必要がない。加えて、第1の熱源35が通流される必要がなく、これにより、より良い効率、凝縮器3及び第2の熱源64を介したより大きな体積流量、又はバッテリポンプ43のより小さな寸法となるため、ハイドロリックな利点が得られる。
【0116】
図22には、本発明の第9の実施例による調温回路140が示されている。当該実施例については、
図13に基づく第3の実施例による調温回路80に対する差異についてのみ説明し、その他の点についてはその説明(第3の実施例による調温回路80の説明)が参照される。
【0117】
調温回路80のように、調温回路140も、第2の結合部48において1つの第2の弁装置141のみを備え、結合管路50を備えていない。ここで、第2の弁装置141は、第2の弁装置141が第2の弁装置81の上述の2つの切換位置に加えて第3の切換位置を有している点で第2の弁装置81とは異なっている。バッテリ冷却回路53における第2の弁装置14の配置は、第2の弁装置81の配置に対応する。
【0118】
弁装置141の第3の切換位置では、バッテリ冷却回路53が中断され、すなわち、バッテリバイパス管路54又はトラクションバッテリ46から来る冷媒流が閉止される。同時に、冷却器回路31が形成され、すなわち、冷却器32から来る冷媒は、凝縮器分岐部71、第1の熱源35及び第2の熱源64から成る並列接続へ更に導かれる。
【0119】
調温回路80に対する調温回路140の別の差異は、調温回路140では第1の調温回路80の凝縮器分岐部弁61及び第1の弁装置36が第1の弁装置142にまとめられていることにある。すなわち、調温回路140の第1の弁装置142は、凝縮器分岐部弁61及び第1の弁装置36と同様の接続及び機能を可能とするものであり、このために、弁装置142は4つの切換位置を有している。第1の弁装置142は、第1の結合部39に配置されている。
【0120】
弁をまとめることにより、凝縮器分岐部143は凝縮器3を有するものの、凝縮器分岐部弁をもはや有さない。凝縮器分岐部143は、一端において第1の熱源35及び第2の熱源64の入口側に結合されている。凝縮器分岐部143の他端は、第1の弁装置142の入口接続部に直接接続されている。これとは別の入口接続部は、第1の熱源35及び第2の熱源64の出口側に接続されている。弁装置142の2つの出口接続部のうち1つにバッテリ分岐部40が接続されており、他方は、冷媒を冷却器回路31に沿って第3の結合部56へ更に導く。
【0121】
第1の弁装置142は、上述の全ての実施例において、凝縮器分岐部弁61及び第1の弁装置36に代えて用いられることが可能である。
【0122】
本明細書で説明した動作状態は最終的なものではなく、当業者は、図示の回路図及び熱マネジメントシステムの機能に基づき別の動作モードを有利に利用することが確実に可能である。
【0123】
本発明を図面及び上述の説明において詳細に図示及び説明した一方、当該説明は、例示的なものであって制限的に理解されるべきではなく、本発明を開示した実施例に限定することを意図したものではない。特定の特徴が異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せが有利に利用されることができないことを示唆するものではない。
【符号の説明】
【0124】
1 低温回路
2 低温媒体圧縮機
3 凝縮器
4 液体コレクタ
5 空調蒸発器
6 冷却装置
7 内部の熱交換器
8 蒸発器弁
9 冷却装置弁
10 一方向弁
11 空調機器
12 圧力・温度センサ
13 圧力・温度センサ
14 低温回路
15 加熱凝縮器
16 温度センサ
17 圧力・温度センサ
18 低温回路
19 第1の弁
20 リターン管路
21 第2の弁
22 メイン回路
23 低温回路
24 逆止弁
25 バイパス管路
26 バイパス弁
27 リターン管路
30 調温回路
31 冷却器回路
32 冷却器
33 冷却器回路ポンプ
34 一方向弁
35 第1の熱源
36 第1の弁装置
37 ファン
38 冷媒補償容器
39 第1の結合部
40 バッテリ分岐部
41 第3の熱源
43 バッテリポンプ
44 第4の熱源
45 バッテリバイパス弁
46 トラクションバッテリ
47 一方向弁
48 第2の結合部
49 第2の弁装置
50 結合管路
51 回路管路
52 箇所
53 バッテリ冷却回路
54 バッテリバイパス管路
55 第3の結合部
56 結合管路
58 凝縮器分岐部ポンプ
59 電気的なヒータ
60 加熱熱交換器
61 凝縮器分岐部弁
62 リターン管路
63 一方向弁
64 第2の熱源
65 温度センサ
66 温度センサ
67 温度センサ
70 調温回路
71 凝縮器分岐部
80 調温回路
81 第2の弁装置
82 温度センサ
90 調温回路
91 冷却装置バイパス弁
92 冷却装置バイパス管路
100 調温回路
101 NT冷却器
102 NT冷却器分岐部
103 第1の結合部
104 結合管路
105 結節点
106 一方向弁
107 一方向弁
110 調温回路
111 第2の弁装置
112 結節点
120 調温回路
121 第2の弁装置
122 一方向弁
130 調温回路
131 第2の弁装置
140 調温回路
141 第2の弁装置
142 第1の弁装置
143 凝縮器分岐部
【国際調査報告】