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特表2024-538973ポリメラーゼ連鎖反応によるターゲット識別を向上させるオフターゲットブロック配列
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ポリメラーゼ連鎖反応によるターゲット識別を向上させるオフターゲットブロック配列
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20241018BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20241018BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20241018BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/6886 Z
C12Q1/6888 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521169
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022078666
(87)【国際公開番号】W WO2023076908
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,522
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523331935
【氏名又は名称】ジーティー モレキュラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GT MOLECULAR, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ケイン, サラ
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ, ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェット, カール
(72)【発明者】
【氏名】バーバリ, ステファニー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA07
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ04
4B063QQ05
4B063QQ18
4B063QQ42
4B063QQ43
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS40
4B063QX02
(57)【要約】
本明細書では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において標的配列と参照配列を識別する方法及びキットであって、標的配列に相補的であり、それに特異的に結合し、参照配列に非特異的に結合することができる、フルオロフォア及びクエンチャーを含む標識プローブ、並びに参照配列に特異的に結合し、標的配列に非特異的に結合することができるプロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(PBNJ)を含み、PBNJが、参照結合領域及びポリメラーゼによる伸長を防止する伸長ブロッカーを含む、方法及びキットを提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生物学的サンプル中の標的配列と参照配列を識別する方法であって、
フルオロフォア及びクエンチャーを含む標識プローブを用意するステップであって、前記標識プローブは、前記標的配列に相補的であり、それに特異的に結合し、前記参照配列に非特異的に結合することができる、ステップと;
プロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(PBNJ)を用意するステップであって、前記PBNJは、前記参照配列に特異的に結合し、前記標的配列に非特異的に結合することができ、前記PBNJは、参照結合領域及びポリメラーゼによる伸長を防止する伸長ブロッカーを含む、ステップと;
以下:
前記参照配列及び/又は前記標的配列を含むサンプルと;
前記標識プローブと;
前記標識プローブの濃度に対して競合濃度の前記PBNJと;
PCR試薬と;
を含む溶液にPCRを行うステップであって、
前記PBNJの前記参照配列に対する特異的結合は、前記参照配列に結合する前記標識プローブと競合関係にあり、増幅に関して前記参照配列に結合した標識プローブを抑制する、ステップ;
それにより、前記標的配列と前記参照配列を識別するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記生物学的サンプルが、
前記参照配列が野生型ウイルス又は親ウイルスに由来し、前記標的配列が前記参照配列中に少なくとも1つの変異を含む、ウイルス;
前記参照配列が低病態状態を反映し、前記標的配列が病態リスクの上昇又は疾患の存在を反映するものである前記参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する哺乳動物細胞;
前記参照配列が体細胞の野生型配列であり、前記標的配列が腫瘍又はがん性細胞に由来し、病態リスクの上昇又は疾患の存在を反映するものである前記参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する、循環無細胞腫瘍DNA;
前記参照配列が母体DNA配列を反映し、前記標的配列が胎児DNA配列を反映するものである前記参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する、循環無細胞胎児DNA;
前記参照配列が野生型細菌又は細菌の1つの種に由来し、前記標的配列が前記参照配列中に少なくとも1つのバリエーションを含む、細菌;
前記参照配列が野生型真菌又は真菌の1つの種に由来し、前記標的配列が前記参照配列中に少なくとも1つのバリエーションを含む、真菌;及び
前記参照配列が野生型植物又は植物の1つの種に由来し、前記標的配列が前記参照配列中に少なくとも1つのバリエーションを含む、植物:
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PBNJが前記参照配列の非特異的増幅の検出を90%以上排除する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記参照配列と前記標的配列が、
1ヌクレオチド置換;
1つ又は複数のヌクレオチドのヌクレオチド挿入;及び/又は
1つ又は複数のヌクレオチドのヌクレオチド欠失
によって異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記参照配列及び前記標的配列がDNA配列又はRNA配列である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記PCRが、dPCR、qPCR、RT-dPCR及びRT-qPCRからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標識プローブが、蛍光分子及び少なくとも1つのクエンチャー分子を含む二重標識プローブである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記標識プローブが、プローブの5’末端に共有結合したフルオロフォアと、プローブの3’末端におけるクエンチャー、又は内部クエンチャーとを有する単一塩基変異(SNV)特異的プローブである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
SNV、挿入又は欠失を含むDNA配列又はRNA配列を検出するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記PCRがdPCRであり、前記dPCRが、区画又は液滴に基づくPCRを含み、前記PBNJが、低効率の非特異的オフターゲット増幅に関連するシグナルを低減又は排除し、それによって前記標的配列の特定の増幅に対するシグナル対ノイズ比を増加させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記PBNJをより低い濃度で用意することによってプローブ出力振幅を調整するステップと;
単一又はマルチチャンネル蛍光検出器における複数の標的配列の多重検出のために複数のプローブ出力振幅を検出するステップと
をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記標的配列と前記参照配列が、1塩基多型(SNP)である又は短ヌクレオチド多型の一部である1ヌクレオチドミスマッチによって異なる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記標的配列と前記参照配列が挿入によって異なる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記標的配列と前記参照配列が欠失によって異なる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記伸長ブロッカーが、C3、C6若しくはC12等の3’炭素に基づくスペーサー又はブラックホールクエンチャー等の3’クエンチャーである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記PBNJがSNP位置にロックド核酸(LNA)を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記PBNJが、
10~50ヌクレオチドの間の長さを有し;
前記標的配列の少なくとも一部に対する90%~95%の間の標的配列相補性を有し;
前記標的配列相補性よりも大きい参照配列相補性を有することにより、
前記参照配列に対する前記PBNJの結合親和性が前記標的配列に対する前記PBNJの結合親和性よりも大きい;
前記参照配列に対する前記PBNJの結合親和性が前記参照配列に対する前記標識プローブの結合親和性よりも大きい;及び/又は
前記標的配列に対する前記PBNJの結合親和性が前記標的配列に対する前記標識プローブの結合親和性よりも小さい、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記標的配列中の特定の位置にあるいずれの可能なSNPに特異的に結合する複数のPBNJを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記標的配列の長さが10~50ヌクレオチドの間であり、前記プローブ及び前記PBNJの長さがそれぞれ10~50ヌクレオチドの間である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
がんのリスクの上昇又はがんの存在に関連する変異の検査をするために生物学的サンプルにおいて使用される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ウイルス、細菌又は真菌である病原体が含まれる病原体のバリアントの検査をするために生物学的サンプルにおいて使用される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記生物学的サンプルが、廃水、環境サンプル、体液、組織、細胞培養物又は腫瘍に由来する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記標識プローブが、前記PBNJ配列とは1つ又は複数のヌクレオチドによって異なるポリヌクレオチド配列を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記PBNJが、変異体配列の一部である標的配列の濃縮をもたらすための、PCR増幅サイクル中のPCRブロッカーである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
標識プローブ濃度に対するPBNJ濃度の比率が、等モル以上;又は等モル未満である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生物学的サンプル中の標的配列と参照配列を識別するためのキットであって:
参照鎖及び標的鎖の両方を増幅するのに役立つフォワードプライマー及びリバースプライマーと;
前記標的配列に特異的に結合し、前記参照配列に非特異的に結合することができる、フルオロフォア及びクエンチャーを含む標識プローブと;
前記参照配列に特異的に結合し、前記標的配列に非特異的に結合することができるプロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(PBNJ)と;
任意選択で、前記参照配列のポジティブコントロールと;
任意選択で、前記標的配列のポジティブコントロールと
を含む、キット。
【請求項27】
フォワードプライマーが50nM~1100nMの間の濃度で提供され;
リバースプライマーが50nM~1100nMの間の濃度で提供され;
前記標識プローブが20~800nMの間の濃度で提供され;及び/又は
前記PBNJが前記標識プローブの濃度の0.25倍~16倍の間の濃度で提供される、
請求項1~26のいずれか一項に記載の方法又はキット。
【請求項28】
dPCR、qPCR、RT-dPCR又はRT-qPCRのための試薬をさらに含む、請求項26又は27に記載のキット。
【請求項29】
アッセイ試薬が、PBNJを含まない第1の反応及び少なくとも1つのPBNJを含む第2の反応のために提供される、請求項26~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
スパイク残基HV69~70、R408、K417、L452、T478、N501、N679、L704、Q954及びL981からなる群から選択されるSARS-CoV-2変異の野生型参照配列に対してPBNJが提供される、請求項26~29のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記参照配列が:
親SARS-CoV-2であり、前記標的配列が、アルファバリアント、ベータバリアント、ガンマバリアント、デルタバリアント、デルタプラスバリアント、ミューバリアント、ラムダバリアント、オミクロンバリアント及びオミクロンサブバリアントからなる群から選択されるSARS-CoV-2のバリアントを含むか;又は
がん原遺伝子であり、前記標的配列が前記がん原遺伝子をがんの発症のより高いリスク又はがんの存在を示すがん遺伝子に変換する変異を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法又はキット。
【請求項32】
前記参照配列ががん原遺伝子である、請求項31に記載の方法又はキット。
【請求項33】
前記がん原遺伝子がKRASである、請求項32に記載の方法又はキット。
【請求項34】
前記標的が、G12C,G12A,G12D,G12R又はG13Dから選択されるKRAS変異である、請求項33に記載の方法又はキット。
【請求項35】
前記PBNJが、1つ又は複数の非特異的増幅集団が陰性の区画集団と光学的に区別できないような濃度で提供される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法又はキット。
【請求項36】
前記PBNJが、前記標的配列の検出のための閾カットオフ値が前記PBNJを含まない方法又はキットの閾カットオフ値と比較して低下するような濃度で提供される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法又はキット。
【請求項37】
前記PBNJが前記標識プローブの80%~100%の間の長さを有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、本明細書に矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれている2021年10月25日に出願した米国特許仮出願第63/271,522号の利益を主張するものである。
【0002】
[電子的に提出された資料の参照による組み込み]
[0002]本明細書と同時に提出されたコンピュータにより読み込み可能なヌクレオチド/アミノ酸の配列表は、その全体が参照により組み込まれ、下記のように識別される:2022年10月24日にWIPO Sequenceで作成した「97-21WO_Seq_Listing_10-24-2022.XML」という名称の1つの71KBのXMLファイル。
【0003】
[発明の分野]
[0003]本出願は、一般には、オフターゲット増幅産物の検出を低減又は回避するためにオリゴヌクレオチドを使用した、PCR産物の検出及び定量のためのアッセイに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]以下の説明は本出願に関連する情報の概要を提供するものであり、本明細書で提供する情報又は参照する出版物のうちのいずれかが本出願の先行技術であることを認めるものではない。
【0005】
[0005]PCRはDNAサンプルのコピーを作製する方法であり、鋳型鎖に対するプライマー及びプライマーの伸長のためのDNAポリメラーゼを使用することによって、鋳型DNA又はRNA鎖に相補的な新しいDNA鎖が作製される。定量的PCR(qPCR、リアルタイムPCRとも呼ばれる)は、反応中の標的DNA配列の増幅をDNA濃度の定量化と結びつける、PCRに基づく技術である。デジタルPCR(dPCR)は従来のPCR法の改良版であり、サンプルのサブサンプルへの分割又は液滴形成を適用し、核酸鎖を直接定量したり、クローン的に増幅したりするのに使用できる。逆転写PCR(RT-PCR)は、RNAの相補的DNAへの逆転写とPCRを組み合わせたものであり、PCRはdPCR又はqPCRのいずれかとすることができる。dPCR又はqPCRでは、DNA標的領域に特異的にハイブリダイズするように設計された標識プローブを使用して、増幅されたDNAを検出及び定量する。しかし、プローブは非標的領域に非特異的にハイブリダイズする可能性があり、これによりDNA/RNAの検出及び定量の精度が大幅に低下する可能性がある。非標的領域への非特異的ハイブリダイゼーションは、プロミスキュイティー(promiscuity)と呼ばれる。加えて、幾分かのオフターゲット増幅が予想され、これも精度に影響を与える可能性がある。本明細書では、非常に微量の目的の標的核酸を含む、dPCR若しくはqPCRにおけるDNA又はRT-PCR(例えば、RT-dPCR及びRT-qPCR)によるRNAを正確に検出及び定量する方法及びキットに対する当該技術分野における必要性に対処する方法、キット及び関連組成物を提供する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]dPCR及びqPCRアッセイ(DNA又はRNAから逆転写された相補的DNAの場合)の精度は、標識プローブの非特異的結合及び/又はオフターゲット増幅によって制限され、ターゲット配列の検出及び定量の不正確さにつながる。本開示は、標識プローブの非特異的結合を減少させることにより、dPCR又はqPCRを含むPCRによって生物学的サンプル中の標的配列と参照配列を識別するための方法及びキットを提供する。本明細書で提供する方法、キット及び組成物は、標的配列が天然のバリエーション又は変異誘発若しくはゲノム編集などの人為的修飾に由来する、様々な生物のいずれかからの生物学的材料の識別にも有用である。標的と参照の違いは、1塩基対(bp)置換ほど小さい場合もあれば、インデル(挿入又は欠失)に相当する場合もある。本明細書では、ここで提供するプラットフォームなくしてはオフターゲット結合並びにそれに関連する増幅及び検出のために確実には検出できない標的配列と参照配列間の配列における様々な差異のいずれをも、核酸の差異の種類に関係なく、確実に検出するためにdPCR及び/又はqPCRの精度を向上させるプラットフォームを提供する。非標的配列の検出を減らすことにより、参照配列と比較して非常に低濃度であっても、オンターゲット増幅がより確実に検出される。これらの方法、キット及び組成物は、従来の「プローブに基づく」PCRアッセイに組み込むことができ、それにより、追加の複雑で時間のかかる又は高価な構成要素を必要とせずに、高効率で正確な検出を提供できるため、特に有用である。
【0007】
[0007]これらの方法、キット及び組成物は、PCRに基づく検出及び診断で使用される様々な標的と適合しており、少なくとも1ヌクレオチドの差異が検出されることが望ましく、それ故、標的配列と参照配列をより良く識別するためにオフターゲット増幅の抑制が重要である。
【0008】
[0008]本明細書では、このセクションで「側面」として説明される様々な方法が提供され、例えば、側面1:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生物学的サンプル中の標的配列と参照配列を識別する方法であって、
a.フルオロフォア及びクエンチャーを含む標識プローブを用意するステップであって、上記標識プローブは、上記標的配列に相補的であり、それに特異的に結合し、上記参照配列に非特異的に結合することができる、ステップと;
b.プロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(PBNJ:Promiscuity-Blocking Nucleotide Juror oligonucleotide)を用意するステップであって、上記PBNJは、上記参照配列に特異的に結合し、上記標的配列に非特異的に結合することができ、上記PBNJは、参照結合領域及びポリメラーゼによる伸長を防止する伸長ブロッカーを含む、ステップと;
c.以下:
i.上記参照配列及び/又は上記標的配列を含むサンプルと;
ii.上記標識プローブと;
iii.上記標識プローブの濃度に対して競合濃度の上記PBNJと;
iv.PCR試薬と
を含む溶液にPCRを行うステップであって、
上記PBNJの上記参照配列に対する特異的結合は、上記参照配列に結合する上記標識プローブと競合関係にあり、増幅に関して上記参照配列に結合した標識プローブを抑制する、ステ;
それにより、上記標的配列と上記参照配列を識別するステップ
を含む、方法。PBNJ:プローブの競合濃度は目的の用途に依存するため、様々な濃度に適合する。例としては、0.2~20の間の比率が含まれるが、これに限定されない。
【0009】
[0009]2.上記生物学的サンプルが、
a.上記参照配列が野生型ウイルス又は親ウイルスに由来し、上記標的配列が上記参照配列中に少なくとも1つの変異を含む、ウイルス;
b.上記参照配列が低病態状態を反映し、上記標的配列が病態リスクの上昇又は疾患の存在を反映するものである上記参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する哺乳動物細胞;
c.上記参照配列が体細胞の野生型配列であり、上記標的配列が腫瘍又はがん性細胞に由来し、病態リスクの上昇又は疾患の存在を反映するものである上記参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する、循環無細胞腫瘍DNA;
d.上記参照配列が母体DNA配列を反映し、上記標的配列が胎児DNA配列を反映するものである上記参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する、循環無細胞胎児DNA;
e.上記参照配列が野生型細菌又は細菌の1つの種に由来し、上記標的配列が上記参照配列中に少なくとも1つのバリエーションを含む、細菌;
f.上記参照配列が野生型真菌又は真菌の1つの種に由来し、上記標的配列が上記参照配列中に少なくとも1つのバリエーションを含む、真菌;及び
g.上記参照配列が野生型植物又は植物の1つの種に由来し、上記標的配列が上記参照配列中に少なくとも1つのバリエーションを含む、植物:
からなる群から選択される、側面1に記載の方法。
【0010】
[0010]当然のことながら、本発明は、(アルツハイマー病、がん、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、サラセミア、ハンチントン病、希少疾患及びその他の疾患等の様々な疾患に対する)「遺伝子検査」等のその他の用途並びに様々な用途(がんの診断、遺伝病の診断、心血管疾患の診断及びその他の用途)に関連する配列にも適合する。別の重要な用途は、微生物遺伝子の小さな変化が抗菌剤耐性につながる可能性がある抗菌剤耐性(AMR:antimicrobial resistance)遺伝子の検出である。このようなAMRの迅速で確実な早期検出は、食品、飲料及び農業(大麻を含む)産業において、特に大腸菌、サルモネラ菌及びCDCによって懸念事項として特定された様々な細菌標的のいずれかに対して、健康転帰及び安全性の向上にとって重要である。
【0011】
[0011]3.上記PBNJが上記参照配列の非特異的増幅の検出を90%以上排除する、側面1又は2に記載の方法。当然のことながら、本明細書で提供する方法及びキットは、意義のある閾値の取得に基づいて、90%未満の排除に適合する。
【0012】
[0012]4.上記参照配列と上記標的配列が、
a.1ヌクレオチド置換;
b.1つ又は複数のヌクレオチドのヌクレオチド挿入;及び/又は
c.1つ又は複数のヌクレオチドのヌクレオチド欠失
によって異なる、側面1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0013】
[0013]5.上記参照配列及び上記標的配列がDNA配列又はRNA配列である、側面1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
[0014]6.上記PCRが、dPCR、qPCR、RT-dPCR及びRT-qPCRからなる群から選択される、側面1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
[0015]7.上記標識プローブが、蛍光分子及びクエンチャー分子を含む二重標識プローブである、側面1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
[0016]8.上記標識プローブが、単一塩基変異(SNV:single-nucleotide variant)特異的タックマン(TaqMan)(登録商標)プローブ(プローブの5’末端に共有結合したフルオロフォアと、プローブの3’末端におけるクエンチャー、又は内部クエンチャー)である、側面1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
[0017]9.SNV、挿入又は欠失を含むDNA配列又はRNA配列を検出するための、側面1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
[0018]10.上記PCRがdPCRであり、上記dPCRが、区画又は液滴に基づくPCRを含み、上記PBNJが、低効率の非特異的オフターゲット増幅に関連するシグナルを低減又は排除し、それによって上記標的配列の特定の増幅に対するシグナル対ノイズ比を増加させる、側面1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
[0019]11.
a.上記PBNJをより低い濃度で用意することによってプローブ出力振幅を調整するステップと;
b.単一又はマルチチャンネル蛍光検出器における複数の標的配列の多重検出のために複数のプローブ出力振幅を検出するステップと
をさらに含む、側面1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
[0020]12.上記標的配列と上記参照配列が、1塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)である又は短ヌクレオチド多型の一部である1ヌクレオチドミスマッチによって異なる、側面1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
[0021]13.上記標的配列と上記参照配列が挿入によって異なる、側面1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
[0022]14.上記標的配列と上記参照配列が欠失によって異なる、側面1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
[0023]15.上記伸長ブロッカーが、C3、C6若しくはC12等の3’炭素に基づくスペーサー又はブラックホールクエンチャー等の3’クエンチャーである、側面1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
[0024]16.上記PBNJがSNP位置にロックド核酸(LNA:locked nucleic acid)を含む、側面1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
[0025]17.上記PBNJが、
10~50ヌクレオチドの間の長さを有し;
上記標的配列の少なくとも一部に対する90%~95%の間の標的配列相補性を有し;
標的配列相補性よりも大きい参照配列相補性を有することにより、
上記参照配列に対する上記PBNJの結合親和性が上記標的配列に対する上記PBNJの結合親和性よりも大きい;
上記参照配列に対する上記PBNJの結合親和性が上記参照配列に対する上記標識プローブの結合親和性よりも大きい;及び/又は
上記標的配列に対する上記PBNJの結合親和性が上記標的配列に対する上記標識プローブの結合親和性よりも小さい、側面1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
[0026]18.上記標的配列中の特定の位置にあるいずれの可能なSNPに特異的に結合する複数のPBNJを含む、側面1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
[0027]19.上記標的配列の長さが10~50ヌクレオチドの間であり、上記プローブ及び上記PBNJの長さがそれぞれ10~50ヌクレオチドの間である、側面1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
[0028]20.がんのリスクの上昇又はがんの存在に関連する変異の検査をするために生物学的サンプルにおいて使用される、側面1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
[0029]21.ウイルス、細菌又は真菌である病原体が含まれる病原体のバリアントの検査をするために生物学的サンプルにおいて使用される、側面1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
[0030]22.上記生物学的サンプルが、廃水、環境サンプル、体液、組織、細胞培養物又は腫瘍に由来する、側面1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
[0031]23.上記標識プローブが、上記PBNJ配列とは1つ又は複数のヌクレオチドによって異なるポリヌクレオチド配列を有する、側面1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
[0032]24.上記PBNJが、変異体配列の一部である標的配列の濃縮をもたらすための、PCR増幅サイクル中のPCRブロッカーである、側面1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
[0033]25.標識プローブ濃度に対するPBNJ濃度の比率が、等モル以上(例えば、1:1~16:1);又は等モル未満(例えば、0.1:1~0.99:1)である、請求項1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
[0034]26:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生物学的サンプル中の標的配列と参照配列を識別するためのキットであって:
参照鎖及び標的鎖の両方を増幅するのに役立つフォワードプライマー及びリバースプライマーと;
上記標的配列に特異的に結合し、上記参照配列に非特異的に結合することができる、フルオロフォア及びクエンチャーを含む標識プローブと;
上記参照配列に特異的に結合し、上記標的配列に非特異的に結合することができるプロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(PBNJ)と;
任意選択で、上記参照配列のポジティブコントロールと;
任意選択で、上記標的配列のポジティブコントロールと
を含む、キット。
【0035】
[0035]27:
フォワードプライマーが200nM~1100nMの間の濃度で提供され;
リバースプライマーが200nM~1100nMの間の濃度で提供され;
上記標識プローブが50~800nMの間の濃度で提供され;
上記PBNJが上記標識プローブの濃度の0.25倍~16倍の間の濃度で提供される、
側面1~26のいずれか1つに記載の方法又はキット。
【0036】
[0036]28.dPCR、qPCR、RT-dPCR又はRT-qPCRのための試薬をさらに含む、側面26又は27に記載のキット。
【0037】
[0037]29.アッセイ試薬が、PBNJを含まない第1の反応及び少なくとも1つのPBNJを含む第2の反応のために提供される、側面26~28のいずれか1つに記載のキット。
【0038】
[0038]30.スパイク残基HV69~70、R408、K417、L452、T478、N501、N679、L704、Q954及びL981からなる群並びに、任意選択で、K417、478及びL452からも選択されるSARS-CoV-2変異の野生型参照配列に対してPBNJが提供される、側面26~29のいずれか1つに記載のキット。
【0039】
[0039]31.上記参照配列が:
a.親SARS-CoV-2であり、上記標的配列が、アルファバリアント、ベータバリアント、ガンマバリアント、デルタバリアント、デルタプラスバリアント、ミューバリアント、ラムダバリアント及びオミクロンバリアントからなる群から選択されるSARS-CoV-2のバリアントを含むか;又は
b.がん原遺伝子であり、上記標的配列が上記がん原遺伝子をがんの発症のより高いリスク又はがんの存在を示すがん遺伝子に変換する変異を有する、
側面1~30のいずれか1つに記載の方法又はキット。
【0040】
[0040]32.上記参照配列ががん原遺伝子である、側面31に記載の方法又はキット。
【0041】
[0041]33.上記がん原遺伝子がKRASである、側面32に記載の方法又はキット。
【0042】
[0042]34.上記標的が、G12C,G12A,G12D,G12R又はG13Dから選択されるKRAS変異である、側面32に記載の方法又はキット。
【0043】
[0043]35.上記PBNJが、1つ又は複数の非特異的増幅集団が陰性の区画集団と光学的に区別できないような濃度で提供される、側面1~34のいずれか1つに記載の方法又はキット。
【0044】
[0044]36.上記PBNJが、上記標的配列の検出のための閾カットオフ値が上記PBNJを含まない方法又はキットの閾カットオフ値と比較して低下するような濃度で提供される、側面1~35のいずれか1つに記載の方法又はキット。
【0045】
[0045]37.上記PBNJが上記標識プローブの80%~100%の間の長さを有する、側面1~36のいずれか1つに記載の方法又はキット。
【0046】
[0046]本明細書で説明されるアッセイ及び構成要素は、キアゲン キアキュイティ(QIAcuity)(登録商標)ワンデジタルPCRシステム又はバイオラッド QX200ドロップレットデジタルPCRシステムを含む従来のデジタルPCRプラットフォーム並びにバイオラッド CFX96及びサーモサイエンティフィック QuantStudio5を含む従来の定量PCRシステムとともに使用され得る。本明細書で説明されるアッセイ及び構成要素は、従来のRT-PCRプラットフォームとともに使用され得る。
【0047】
[0047]また、本明細書では、本明細書で説明される方法のいずれかを実施するのに有用な物質の組成物も提供され、これには、あらゆる1つ又は複数のPBNJが、LNAの有り又は無しで、クエンチャー並びに1つ又は複数のプライマー、プローブ及びPCR溶液等のその他の構成要素の有り又は無しで、単独で又は組み合わせで(例えば、代表的な配列について、LNA(+で示される)、伸長(例えば、C3等)、クエンチャー及び/又は光学的に検出可能なタグの有り及び無しで表されている表1~6を参照)含まれる。
【0048】
[0048]あらゆる特定の理論に束縛されることを望まないが、本明細書では、本明細書に開示される装置及び方法に関する基礎的な原理の信念又は理解について議論することができる。あらゆる機構的説明又は仮説の最終的な正しさに関係なく、本発明の実施形態は、それでも機能し、有用であり得ると認識される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】参照配列(「WT鋳型」)、標的配列(「変異鋳型」)、プライマー対、二重標識プローブ及びプロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(「PBNJ」)を含む試薬を示す。図1はこれらの同じ試薬を用いたPCR反応並びにPBNJ存在下での標識プローブの参照配列に対する低下した親和性及び標識プローブ存在下でのPBNJの標的配列に対する低下した親和性をさらに示す。
【0050】
図2A】蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図2Aは特異的増幅及び非特異的増幅の結果を示しており、プローブは反応においてオンターゲット分子及びオフターゲット分子の両方に結合する。
図2B】蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図2Bは特異的増幅の検出向上を図示しており、PBNJによる非特異的シグナルの消失が見られる。
【0051】
図3A】多重化された結果を含む、PBNJ存在下で蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図3Aは、非特異的増幅の非存在を含む、特定のシグナルAの特異的増幅を示す。
図3B】多重化された結果を含む、PBNJ存在下で蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図3Bは、非特異的増幅の非存在を含む、特定のシグナルBの特異的増幅を示す。
図3C】多重化された結果を含む、PBNJ存在下で蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図3Cは、特定のシグナルAについての特異的増幅、特定のシグナルBについての特異的増幅を示し、非特異的増幅の非存在を含む、単一チャンネルを使用した多重戦略のための振幅調整を実証している。
【0052】
図4A】多重化された結果を含む、PBNJ存在下で蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図4Aは同一のチャンネルにおける2つのプローブによる増幅を示す。
図4B】多重化された結果を含む、PBNJ存在下で蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図4Bは同一の代替チャンネルにおける2つのプローブによる増幅を示す。
図4C】多重化された結果を含む、PBNJ存在下で蛍光シグナルによって検出された増幅結果を示す。図4Cは、複数のチャンネル及び2次元に基づく分析を使用した多重戦略のための振幅調整を示す。
【0053】
図5A】SARS CoV-2の484K変異に向けた二重標識プローブに対するPBNJの濃度において、PBNJ:プローブの濃度比が2:1~8:1の間で非特異的シグナルが低減することを示す。図5Aにおいては、[PBNJ]=0であり、非特異的シグナルを矢印で示す。
図5B】SARS CoV-2の484K変異に向けた二重標識プローブに対するPBNJの濃度において、PBNJ:プローブの濃度比が2:1~8:1の間で非特異的シグナルが低減することを示す。図5Bにおいては[PBNJ]=400nM。
図5C】SARS CoV-2の484K変異に向けた二重標識プローブに対するPBNJの濃度において、PBNJ:プローブの濃度比が2:1~8:1の間で非特異的シグナルが低減することを示す。図5Cにおいては[PBNJ]=800nM。
図5D】SARS CoV-2の484K変異に向けた二重標識プローブに対するPBNJの濃度において、PBNJ:プローブの濃度比が2:1~8:1の間で非特異的シグナルが低減することを示す。図5Dにおいては[PBNJ]=1600nM。
【0054】
図6】SARS-CoV-2バリアント変異アッセイを使用したオフターゲット増幅の蛍光レベルを低減するためのPBNJの滴定を示しており、417N変異の識別を向上させることが可能になることを示す。
【0055】
図7】PBNJを使用して発がん性KRASのオフターゲット増幅の蛍光レベルを低減し、対立遺伝子G12Cの識別を向上させることが可能になることを示す。
【0056】
図8】第1の反応又は第2の反応のいずれかにおける、様々なSARS-CoV-2バリアントの検出のためのチャンネル割り当てを示す。
【0057】
図9】SARS-CoV-2バリアント識別におけるPBNJへのRT-qPCRの利用例を示す。上のパネルに見られるように、左側の増幅曲線からのHEX(上側の曲線)のトレースは、E484鋳型への484Qプローブの非特異的ハイブリダイゼーションを示す。下のパネルに見られるように、PBNJを添加するとプローブの非特異的ハイブリダイゼーションが完全に阻害される。
【0058】
図10】PBNJの最小要件の分析に関連する遺伝子及びがん関連変異を要約している。
【0059】
図11A】特異性に対する温度、配列長及びLNAの存在の影響を図示する。図11Aは、温度(Tm)の、混合されたWT及び変異型合成DNAのKRAS-G12C(FAM、青色;上のパネル)及びEGFR-T790M(HEX、緑色;下のパネル)に対する、PBNJの非存在下での標的特異性に対する影響。特異性は高いTmでのみ達成されるが、PCR効率及びシグナル対ノイズ比は犠牲になる。図11Bは、SNPの位置にLNAが有る場合及び無い場合の、14倍の濃度及び59℃でのアニーリング/伸長におけるPBNJ長の影響を図示する。PBNJ長がプローブ長の少なくとも80%であると、特異性が向上し、非特異的シグナルが減少する。全ての場合においてLNAの存在により特異性が向上する。100%長において、LNAが存在していると、完全な特異性が達成され、両標的の非特異的シグナルが排除される。非特異的シグナルは破線のボックスで表されている。
図11B】特異性に対する温度、配列長及びLNAの存在の影響を図示する。図11Aは、温度(Tm)の、混合されたWT及び変異型合成DNAのKRAS-G12C(FAM、青色;上のパネル)及びEGFR-T790M(HEX、緑色;下のパネル)に対する、PBNJの非存在下での標的特異性に対する影響。特異性は高いTmでのみ達成されるが、PCR効率及びシグナル対ノイズ比は犠牲になる。図11Bは、SNPの位置にLNAが有る場合及び無い場合の、14倍の濃度及び59℃でのアニーリング/伸長におけるPBNJ長の影響を図示する。PBNJ長がプローブ長の少なくとも80%であると、特異性が向上し、非特異的シグナルが減少する。全ての場合においてLNAの存在により特異性が向上する。100%長において、LNAが存在していると、完全な特異性が達成され、両標的の非特異的シグナルが排除される。非特異的シグナルは破線のボックスで表されている。
【0060】
図12A】特異性に対するPBNJ:プローブ比、長さ及びLNAの存在の影響を図示する。PBNJ比及びLNAの存在の、80%PBNJ長(図12A)及び100%PBNJ長(図12B)における、混合されたWT及び変異型合成DNAのKRAS-G12C(FAM、青色;上部パネル)及びEGFR-T790M(HEX、緑色;下部パネル)標的特異性への影響。非特異的シグナルは赤色の破線のボックスで表されている。
図12B】特異性に対するPBNJ:プローブ比、長さ及びLNAの存在の影響を図示する。PBNJ比及びLNAの存在の、80%PBNJ長(図12A)及び100%PBNJ長(図12B)における、混合されたWT及び変異型合成DNAのKRAS-G12C(FAM、青色;上部パネル)及びEGFR-T790M(HEX、緑色;下部パネル)標的特異性への影響。非特異的シグナルは赤色の破線のボックスで表されている。
【0061】
図13A】PBNJが純粋なKRAS-G12C(図13A)又はEGFR-T790M(図13B)合成DNAの標的増幅に影響を及ぼさないことを図示する。標的DNAの濃度を定量する。z-検定で測定したところによると、PBNJの濃度の差は、PBNJの非存在時との比較で、統計的に異ならない。n.s.、有意差なし。
図13B】PBNJが純粋なKRAS-G12C(図13A)又はEGFR-T790M(図13B)合成DNAの標的増幅に影響を及ぼさないことを図示する。標的DNAの濃度を定量する。z-検定で測定したところによると、PBNJの濃度の差は、PBNJの非存在時との比較で、統計的に異ならない。n.s.、有意差なし。
【0062】
図14A】PBNJ-GがSARS-CoV2バリアント鋳型のRT-PCR増幅におけるオフターゲット増幅を阻害することを図示する。プロットは、オフターゲット鋳型(上のパネル)及びオンターゲット鋳型(下のパネル)に対するPBNJ無し(図14A)、PBNJ-G C3(図14B)及びPBNJ-G BHQ-1(図14C)についての増幅サイクル数の関数としての相対蛍光単位(RFU:Relative Fluorescence Unit)である。両種類のPBNJともオンターゲット増幅に悪影響を与えることなく、オフターゲット増幅を阻害する。
図14B】PBNJ-GがSARS-CoV2バリアント鋳型のRT-PCR増幅におけるオフターゲット増幅を阻害することを図示する。プロットは、オフターゲット鋳型(上のパネル)及びオンターゲット鋳型(下のパネル)に対するPBNJ無し(図14A)、PBNJ-G C3(図14B)及びPBNJ-G BHQ-1(図14C)についての増幅サイクル数の関数としての相対蛍光単位(RFU:Relative Fluorescence Unit)である。両種類のPBNJともオンターゲット増幅に悪影響を与えることなく、オフターゲット増幅を阻害する。
図14C】PBNJ-GがSARS-CoV2バリアント鋳型のRT-PCR増幅におけるオフターゲット増幅を阻害することを図示する。プロットは、オフターゲット鋳型(上のパネル)及びオンターゲット鋳型(下のパネル)に対するPBNJ無し(図14A)、PBNJ-G C3(図14B)及びPBNJ-G BHQ-1(図14C)についての増幅サイクル数の関数としての相対蛍光単位(RFU:Relative Fluorescence Unit)である。両種類のPBNJともオンターゲット増幅に悪影響を与えることなく、オフターゲット増幅を阻害する。
【発明を実施するための形態】
【0063】
[0063]次に、本発明の代表的な実施形態について詳細に言及する。列挙した実施形態に関連して本発明を説明するが、本発明をそれらの実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。逆に、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正及び均等物を網羅することを意図する。
【0064】
[0064]当業者であれば、本明細書で説明したものと類似の又は同等の多くの方法及び材料を認識し、それらは本発明の実施において使用され、本発明の実施の範囲内にある。本発明は、説明された方法及び材料に決して限定されない。
【0065】
[0065]一般に、本明細書で使用される用語及び語句は、当業者公知の標準的なテキスト、参考文献及び文脈を参照することによって見出すことができる、当該技術分野で認識されている意味を有する。以下の定義は、本発明の文脈における用語及び語句の特定の使用を明確にするために提供される。
【0066】
[0066]本出願で引用される全ての刊行物、公開特許文書及び特許出願は、本出願が関連する技術分野の技術レベルを示すものである。本明細書で引用される全ての刊行物、公開特許文書及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、公開特許文書又は特許出願が参照により組み込まれると具体的且つ個別に示されるのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
[0067]添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される時、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数への言及を含み、「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」と互換的に使用される。
【0068】
[0068]本明細書で使用する時、「約」という用語は、その数値が関連する項目の基本的な機能が変化しないような、数値のわずかな変更又はバリエーションを表す。特定の側面では、約は記載された値の90%を示す。
【0069】
[0069]本明細書で使用する時、「生物学的サンプル」、「サンプル」及び「検査用サンプル」という用語は、本明細書では互換的に使用され、個体から得られる、又は個体に由来するあらゆる材料、体液、組織又は細胞を指す。これには、血液(全血、白血球、末梢血単核球、軟膜、血漿及び血清を含む)、乾燥血液スポット(例えば、乳児から採取したもの等)、喀痰、涙、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、息、尿、精液、唾液、腹膜洗浄液、腹水、嚢胞液、髄膜液、羊水、腺液、膵液、リンパ液、胸水、乳首吸引液、気管支吸引液、気管支擦過物、関節液、関節吸引液、臓器分泌物、細胞、細胞抽出物及び脳脊髄液が含まれる。これには、上記の全てのものから実験的に分離された部分も含まれる。例えば、血液サンプルは、血清、血漿又は赤血球若しくは白血球(white blood cell)(白血球(leucocyte))等の特定の種類の血球を含む画分に分別することができる。必要に応じて、サンプルは、組織サンプルと体液サンプルの組み合わせなど、個体からのサンプルの組み合わせであり得る。「生物学的サンプル」という用語には、便サンプル、組織サンプル又は組織生検等からの、均質化された固体材料を含む材料も含まれる。「生物学的サンプル」という用語には、組織培養物又は細胞培養物に由来する物質も含まれる。生物学的サンプルを取得するためのあらゆる適切な方法を用いることができる;例示的な方法には、例えば、瀉血、拭い取り(例えば、頬の内側の拭い取り)及び細針吸引生検手順が含まれる。細針吸引が行われることが多い組織の例としては、リンパ節、肺、肺洗浄液、気管支肺胞洗浄(BAL:bronchoalveolar lavage)、甲状腺、乳房、膵臓及び肝臓が挙げられる。サンプルは、例えば、顕微解剖(例えば、レーザーキャプチャー顕微解剖(LCM:laser capture micro dissection)又はレーザー顕微解剖(LMD:laser micro dissection))、膀胱洗浄、塗抹(例えば、PAP塗抹)又は管洗浄によっても収集され得る。個体から取得する又は個体に由来する「生物学的サンプル」には、その個体から取得した後にあらゆる適切な方法で処理されたあらゆるサンプルが含まれる。特定の側面では、生物学的サンプルは、疾患リスクの上昇に関連する変異を検査するために使用される。特定のさらなる側面では、疾患のリスクを検査する場合、参照配列は低病態状態を反映し、標的配列は、病態リスクの上昇又は疾患の存在を反映する参照配列中の1つ又は複数のヌクレオチド変化を有する。特定の側面では、生物学的サンプルは、がん、認知症及び/又は心血管状態のリスクの上昇に関連する変異を検査するために使用される。特定の側面では、生物学的サンプルは、ウイルスである病原体を含む病原体のバリアントを検査するために使用される。特定のさらなる側面では、ウイルスのバリアントの検査をする場合、参照配列は野生型ウイルス又は親ウイルスに由来し、標的配列は参照配列中に少なくとも1つの変異を含む。特定の側面では、生物学的サンプルは、廃水、環境サンプル、体液、組織、細胞培養物又は腫瘍に由来する。
【0070】
[0070]本明細書で使用する時、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(contain)」、「含む(containing)」という用語及びそれらのあらゆるバリエーションは、非排他的包含を含める意図があり、ある要素又は要素のリストを含む(comprise)、含む(include)又は含む(include)プロセス、方法、プロダクトバイプロセス又は物質の組成物には、それらの要素のみが含まれるのではなく、明示的には列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、プロダクトバイプロセス又は物質の組成物に固有ではないその他の要素が含まれる場合がある。
【0071】
[0071]本明細書で使用する時、「識別する」とは、2つ又はそれ以上のものに区別をつけること又はそれらを区別することを指す。特定の側面では、「識別する」とは、参照オリゴヌクレオチド配列と標的オリゴヌクレオチド配列を区別することを指す。
【0072】
[0072]本明細書で使用する時、「dPCR」とは、サンプルの分割のことを指し、分割された各サンプルはアンプリコンの有無について分析され、全ての区画についてアンプリコン検出の統計分析が行われ、個々の区画に供給された複数の標的を補正する。このようにして高い感度及び定量性が達成される。dPCRは、元々DNAを含んでいたサンプル又はRNAの逆転写から得られた相補的DNAを含むサンプルに適用することができる。
【0073】
[0073]本明細書で使用する時、「非特異的に結合する」とは、結合剤の特異性と相関しない結合剤の結合又はハイブリダイゼーションを指す。特定の側面では、結合剤はオリゴヌクレオチドであり、このオリゴヌクレオチド結合剤の配列に完全には相補的ではないオリゴヌクレオチド配列に非特異的にハイブリダイズする。
【0074】
[0074]本明細書で使用する時、「プロミスキュイティー」とは、核酸の非特異的ハイブリダイゼーションを指す。
【0075】
[0075]本明細書で使用する時、「定量PCR」、「qPCR」又は「リアルタイムPCR」は、標的DNA配列の増幅を反応中のDNA濃度の定量化と結びつける、PCRに基づく技術である。qPCRは、元々DNAを含んでいたサンプル又はRNAの逆転写から得られた相補的DNAを含むサンプルに適用することができる。
【0076】
[0076]本明細書で使用する時、「参照配列」とは、標的配列との比較の基礎として選択されるオリゴヌクレオチド配列を指す。特定の側面では、標的配列は、参照配列とは1つ又は複数の1塩基多型、挿入又は欠失によって異なる配列である。しかしながら、参照配列という用語は、本明細書では広範に使用されることを意図している。例えば、PBNJの使用には親配列又は野生型配列に対する用途があるが、PBNJはプローブ結合領域内で発生するあらゆる変異にも使用できる。説明的な例として、野生型PBNJも含み得るG12Cプローブとして設計されたPBNJは、G12A、G12R、G13D等のPBNJ等のその他の異なる参照配列も含み得る。最も広範には、「参照配列」とは、単に、標的配列と比較して1つ又は複数のヌクレオチドの違いを有する配列を指す。
【0077】
[0077]本明細書で使用する時、「標的」又は「標的配列」は互換的に使用され、プライマーにハイブリダイズし、dPCR及びqPCR分析によって検出及び定量できる核酸を指す。標的又は標的配列は、病原体(例えば、ウイルス又は細菌)に関連する配列及び患者のゲノム(例えば、ヒト等の哺乳動物)に関連する配列を含む、目的とするあらゆるオリゴヌクレオチド配列を指すために広く使用される。標識プローブは標的又は標的配列に特異的に結合し、それ故、標的又は標的配列に対して相補性を有する。特定の側面では、標的又は標的配列は、選択された参照配列とは1つ又は複数の1塩基多型、挿入又は欠失によって異なるオリゴヌクレオチド配列である。特定の側面では、標的又は標的配列の長さは10~50ヌクレオチドの間である。特定のさらなる側面では、標的又は標的配列は、実質的により長いポリヌクレオチド内の10~50ヌクレオチドの領域である。
【0078】
[0078]標的又は標的配列は、対応するプライマー及びプローブ、ポリメラーゼ、任意選択で逆転写酵素及びヌクレオチドの存在下、適切なpH、温度、金属及びイオン濃度において、一本鎖標的配列に特異的にハイブリダイズし、標的に相補的な第2鎖の合成が開始される。この増幅は、繰り返し行われるハイブリダイゼーション及び分離のために温度を循環させることによって繰り返すことができ、それによってあらゆる標的配列を増幅することができる。
【0079】
[0079]プライマーは鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、鋳型にハイブリダイズするために十分に相補的である必要がある。プライマーは、鋳型に対して非相補的である追加のヌクレオチドを含む「テール」をプライマーの5’末端にさらに含み得る。典型的には、プライマーの長さは、10~30、15~60、20~40等の7~100ヌクレオチドの間の範囲内の長さであり、より典型的には、15~35ヌクレオチドの間の範囲内の長さであり、あらゆるそれらの部分的な範囲内である。一般に、プライマー分子が短いほど、鋳型と十分に安定したハイブリッド複合体を形成するには、より低い温度を必要とする。「プライマー部位」又は「プライマー結合部位」という用語は、プライマーがハイブリダイズする標的DNAのセグメントを指す。典型的には、増幅されるDNA配列の5’末端の相補配列にハイブリダイズする5’「上流プライマー」又は「フォワードプライマー」及び増幅される配列の3’末端にハイブリダイズする3’「下流プライマー」又は「リバースプライマー」を含むプライマーのセットを標的ポリヌクレオチドの増幅のために使用する。有用なプライマーは、アンプリコンの長さに基づいた第1の標的及び異なる標的のアンプリコンの区別を容易にするために異なる5’テールの長さを含み、参照により本明細書に具体的に組み込まれる米国特許第10,465,238号が提供する教示のいずれかに従って設計することができる。
【0080】
[0080]本明細書で使用する時、「配列相補性」とは、チミンがアデニンと対になり、シトシンがグアニンと対になる等の、ヌクレオチドの塩基の、対を形成するのに反対側となる塩基に関連した標準的な配置を指す。特定の側面では、配列相補性はオリゴヌクレオチド内の全ての塩基位置において完全に又は正確に相補的である。RNAはチミンの代わりにウラシルを有する。
【0081】
[0081]本明細書で使用する時、「特異的に結合する」とは、相補的なオリゴヌクレオチド又はヌクレオチド配列間のハイブリダイゼーションを指す。特定の側面では、プローブは標的領域に特異的となるように設計され、プローブは標的領域のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する。一側面では、プローブは標的に対して完全に(例えば、100%)相補的であり得る。
【0082】
[0082]本明細書で使用する時、「標識プローブを抑制する」とは、プローブに完全には相補的ではないハイブリダイゼーション領域でのプローブ結合における競合者(例えば、PBNJ)との競合のことをいい、それによって、そのような非特異的なプローブ結合及びそのような非特異的なプローブ結合からのシグナルの検出が減少する。
【0083】
[0083]本明細書で使用する時、「実質的に排除する」とは、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の減少を指す。閾値を使用するという状況においては、閾値の設定によって異なる集団が定義され(例えば、図11~13の破線ボックス並びに図2Bの線200及び集団を描いている図中の同様の他の線を参照)、PBNJによるシグナルを20%ノックダウンしても、標的とオフターゲットを確実に区別するのに十分であり得る。
【0084】
[0084]本開示は、PCRによって生物学的サンプル中の標的配列と参照配列を識別するための方法を提供する。特定の側面では、PCRはdPCRである。特定のさらなる側面では、標的配列と参照配列間の識別は、参照配列に特異的に結合し、標的配列に非特異的に結合する可能性があり、参照結合領域及びポリメラーゼによる伸長を防止する伸長ブロッカーを含むプロミスキュイティーブロックヌクレオチドジュラーオリゴヌクレオチド(PBNJ)のPCR反応への導入によって達成される。
【0085】
[0085]図1に示すように、PBNJは、標的配列に特異的であるが参照配列に非特異的に結合することができる標識プローブと、参照配列への結合において競合することができる。PBNJとの競合によってもたらされる、参照配列に対する標識プローブの低下した親和性により、参照配列に対するプローブの非特異的結合によって生成されるエラーシグナルが減少する。
【0086】
[0086]特定の側面では、PBNJ配列は、フルオロフォア及びクエンチャーの両方で標識されたプローブオリゴヌクレオチド、すなわち二重標識プローブの配列に類似している。図1に示すように、特定の側面では、1塩基多型(SNP)塩基のみが変えられる(SNPは内部又は3’末端のいずれかに位置し得る)。したがって、標的配列及び参照配列は、1塩基多型(SNP)又は欠失若しくは挿入等の短ヌクレオチド多型の一部である1ヌクレオチドミスマッチを有する可能性がある。
【0087】
[0087]特定の側面では、フルオロフォア及びクエンチャーの両方で標識されたプローブは、5’末端にフルオロフォア(F)を含み、通常は3’末端にクエンチャー(Q)を含む、qPCRで使用される従来のプローブであり、図1を参照されたい。特定の側面では、プローブの長さは10~50ヌクレオチドである。
【0088】
[0088]特定の側面では、PBNJは、DNAポリメラーゼによる5’から3’への伸長を防止するために、3’末端にC3スペーサー修飾を有する。特定のさらなる側面では、PBNJ及びプローブはハイブリダイゼーション中に競合し、図1に示すように、特にPBNJが過剰な場合、それぞれの標的に対する親和性の変化によりプローブの標的に対する特異性が高まる。特定の側面では、PBNJの3’末端の修飾は、C3スペーサー又はブラックホールクエンチャー等の3’クエンチャーである。PBNJは、延長されたカーボンスペーサー(C6、C9、C12等)で修飾することもできる。PBNJは、本発明の方法において有用なあらゆる長さを有することができ、10~50ヌクレオチドの長さが挙げられるが、これに限定されない。特定の側面では、PBNJは、9/10ヌクレオチド~49/50ヌクレオチドの間の範囲に等しい又はそれ未満の、標的配列の少なくとも一部との標的配列相補性(例えば、PBNJの長さ全体にわたって、1つ以上のミスマッチ)を有する。特定の側面では、PBNJは標的配列相補性よりも大きい参照配列相補性を有することにより、参照配列に対するPBNJの結合親和性が、標的配列に対するPBNJの結合親和性よりも大きい;参照配列に対するPBNJの結合親和性が、参照配列に対する標識プローブの結合親和性よりも大きい、及び/又は標的配列に対するPBNJの結合親和性が、標的配列に対する標識プローブの結合親和性よりも低い。特定の側面では、PBNJは、変異対立遺伝子の一部である標的配列の濃縮をもたらすための、PCR増幅サイクル中のPCRブロッカーである。特定の側面では、PBNJは、DNAポリメラーゼによる消化を防止することによってその安定性を高めるために、5’末端に修飾を有し得る。
【0089】
[0089]特定の側面では、PBNJに対するプローブの比率は、PBNJの濃度がプローブの濃度を超えるようなものである。特定の側面では、二重標識プローブ濃度に対するPBNJ濃度の比率は少なくとも1.5:1である。特定のさらなる側面では、PBNJが増幅サイクル中にPCRブロッカーとして作用することで、変異対立遺伝子の濃縮につながる。特定の側面では、反応を多重化して、2つ以上のPBNJを利用することができる。
【0090】
[0090]本明細書で提供する方法、キット及び組成物の実際的な影響の1つを図2A~4Cに図示する。蛍光シグナルによって検出される増幅結果によって示されているように、特にPBNJの使用は、望ましくないアンプリコンの検出を効果的に低減している(PBNJ無しの図2AとPBNJ有りの図2Bを比較されたい)。非特異的増幅に関連している可能性のある干渉シグナルは、本明細書で提供するPBNJの使用によって低減されている。これは、閾値を適切に200に設定する能力を向上させる。図2Aは、特異的増幅及び非特異的増幅の結果を示しており、プローブは反応においてオンターゲット分子及びオフターゲット分子の両方に結合している。図2Bは、特異的増幅の検出向上を図示しており、PBNJによる非特異的シグナルの消失が見られる。
【0091】
[0091]特定の側面では、参照配列と標的配列は、1ヌクレオチド;1つ又は複数のヌクレオチドのヌクレオチド挿入;及び/又は1つ又は複数のヌクレオチドのヌクレオチド欠失によって異なる。
【0092】
[0092]本明細書で開示する方法及びキットはあらゆるオリゴヌクレオチドとともに利用することができ、これにはDNA及び/又はRNAが含まれるが、これらに限定されない。特定の側面では、本明細書で開示する方法及びキットは、dPCR、qPCR、RT-dPCR及びRT-qPCRに適用される。
【0093】
[0093]特定の側面では、標識プローブは単一塩基変異(SNV)特異的タックマン(登録商標)プローブ(プローブの5’末端に共有結合したフルオロフォアと、プローブの3’末端におけるクエンチャー)である。
【0094】
[0094]特定の側面では、dPCRは、区画及び液滴に基づくPCRを含み、PBNJは、低効率の非特異的オフターゲット増幅に関連するシグナルを排除し、それによって標的配列の特異的増幅に対するシグナル対ノイズ比を増加させる。
【0095】
[0095]特定の側面では、プローブ出力振幅を、PBNJをより低い濃度で提供することによって調整する。特定のさらなる側面では、複数のプローブ出力振幅を、単一又はマルチチャンネル蛍光検出器における複数の標的配列の多重検出のために調整する。
【0096】
[0096]特定の側面では、本明細書で開示する方法又はキットは親SARS-CoV-2である参照配列用に設計されており、標的配列はアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ及びオミクロン等のSARS-CoV-2のバリアントを含む。特定の側面では、本明細書で開示する方法又はキットは、がん原遺伝子である参照配列及びがん原遺伝子をがんの発症のより高いリスク又はがんの存在を示すがん遺伝子に変換する変異を有する標的配列用に設計される。
【0097】
[0097]特定の側面では、本明細書で開示する方法又はキットは、1つ又は複数の非特異的増幅集団が陰性の区画集団と光学的に区別できないような濃度でPBNJを提供する。
【0098】
[0098]本明細書で開示する方法を実施するためのキットを開示する。キットは、dPCR又はRT-PCRによる生物学的サンプルにおける標的配列と参照配列を識別するために提供される。特定の側面では、キットは、緩衝液、プライマー、ポリメラーゼ、1つ又は複数の標識プローブ及び1つ又は複数のPBNJを含む。特定の側面では、フォワードプライマーを50nM~1100nMの間の濃度で提供する。特定の側面では、リバースプライマーを50nM~1100nMの間の濃度で提供する。特定の側面では、標識プローブを20~800nMの濃度で提供する。特定の側面では、1つ又は複数のPBNJを、標識プローブの濃度の0.25倍~16倍の間の濃度で提供する。
【0099】
[0099]1つの側面では、アッセイ溶液当たり200×26k反応(400×8.5k区画反応)を含むキットを提供する。特定のさらなる側面では、キットは、2つの多重化dPCRウェルにおけるSARS-CoV-2のアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、デルタプラス、ミュー及びラムダバリアントの検出及び識別のための全てのプライマー、プローブ及びコントロールを含む。
【0100】
[0100]特定のさらなる側面では、キットは、図8に描写されるような反応のための試薬を含み、オリゴヌクレオチドは表1に特定されている配列を含む。特定のさらなる側面では、キットは、反応1用アッセイ溶液-20×(400μL);反応2用アッセイ溶液-20×(400uL);親(非バリアント/武漢)陽性コントロール-少なくとも20回の検査に十分な量及び7種類全てのバリアント鋳型を含む混合バリアント陽性コントロール-少なくとも20回の検査に十分な量、を含む。
【0101】
[0101]特定の側面では、図8に示すように、第1の反応(反応1)及び/又は第2の反応(反応2)に表されるようにチャンネルの割り当てを行うことができる。表1は、図8に示すように、本明細書で開示する方法に従って反応1又は反応2に有用な配列を提供する。反応1のコントロールには、親SARS-CoV-2陽性コントロールが含まれ得る。反応2のコントロールには、アルファバリアント陽性コントロール、デルタバリアント陽性コントロール、デルタプラスバリアント陽性コントロール、ミューバリアント陽性コントロール、ラムダバリアント陽性コントロール、ガンマバリアント陽性コントロール及びベータバリアント陽性コントロールが含まれ得る。別段の記載がない限り、記号+はLNAの位置を指す(+Aはアデニン上のLNAを指す)。
【0102】
[0102]
【表1】
【実施例
【0103】
[0103]以下の実施例は、説明を目的としてのみ提供されており、添付の特許請求の範囲によって定義される本出願の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書で説明する全ての実施例は、当業者にとって周知であり日常的な、標準的な技術を使用して実施された。以下の実施例に説明されている日常的な分子生物学技術は、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3編.、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, N.Y.、(2001)等の標準的な実験室マニュアルに説明されているように実行できる。
【0104】
[0104]
実施例1:PBNJによるオフターゲットE484シグナルの低減
【0105】
[0105]この実施例では、E484Kプローブ使用時のオフターゲット増幅を低減するためのPBNJの使用について説明する。二重標識プローブを変異体484K配列に向けて設計した。使用した試薬の濃度は次の通りであった:共通フォワードプライマー-500nM;共通リバースプライマー-500nM;484Kに対する二重標識プローブ-200nM;そしてPBNJ濃度は可変とした。アッセイはキアゲン-キアキュイティ(登録商標)機器で実施した。
【0106】
[0106]図5Aは、プローブはSARS-CoV-2バリアント「ベータ」の484Kを検出するが、PBNJの非存在下(すなわち、[PBNJ]=0)では、オフターゲット増幅を引き起こすことを示している。図5Aの矢印は、座位484において野生型である「親/野生型」及び「アルファ」コントロールにおける二次的な、低効率の、より低い振幅集団を示している。
【0107】
[0107]図5B~5Dは、PBNJの濃度を増加させた結果を示す。図5Bは、[2:1](PBNJ:プローブ)の比率に相当する400nMの競合濃度でPBNJを添加すると、オフターゲットE484シグナルが消失することを示している。図5Cは、[PBNJ]=800nMにおける同様の結果を示している。図5Dは、[PBNJ]=1600nMにおける同様の結果を示している。したがって、過剰なPBNJ(比率8:1まで)は、非特異的シグナルを消滅させつつ、オンターゲット検出に影響を与えない。
【0108】
[0108]
実施例2:PBNJによるオフターゲット417Nシグナルの低減
【0109】
[0109]この実施例では、417Nプローブ使用時のオフターゲット増幅を低減するためのPBNJの使用について説明する。二重標識プローブを変異体417N配列に向けて設計した。二重標識プローブをSARS-CoV-2の親、ベータバリアント、ガンマバリアント及びデルタバリアントからなる鋳型の混合物に対して使用した。ウェルG02では、プローブは、417N変異を含むSARS-CoV-2のベータバリアント由来の鋳型のオンターゲット増幅から生じる高振幅の液滴集団を生成し(図6の矢印で強調表示)、オフターゲットのより低効率の増幅により、オフターゲットの低振幅の区画集団を生成した。アッセイはキアゲン-キアキュイティ(登録商標)機器で実施した。
【0110】
[0110]野生型K417対立遺伝子に相補的な配列を含むように設計されたPBNJの滴定をすると、オフターゲット増幅集団の振幅(図6の矢印で強調表示)は、非特異的増幅集団が陰性の液滴と区別できなくなるまで減少した(これもまた図6の矢印で強調表示)。
【0111】
[0111]
実施例3:PBNJによるオフターゲットヒトKRAS G12Cシグナルの低減
【0112】
[0112]この実施例では、KRAS G12Cプローブ使用時のオフターゲット増幅を低減するためのPBNJの使用について説明する。二重標識プローブを変異体KRAS G12C配列に向けて設計した。使用した試薬の濃度は次の通りであった:共通フォワードプライマー-900nM;共通リバースプライマー-900nM;G12Cに対する二重標識プローブ-250nM;及びPBNJ-500nM。アッセイはバイオラッド-ドロップレットデジタルQX200機器で実施した。配列情報及び検査した濃度については表2~5を参照されたい。
【0113】
[0113]
【表2】
【0114】
[0114]
【表3】
【0115】
[0115]
【表4】
【0116】
[0116]
【表5】
【0117】
[0117]プローブは、G12C変異を含む鋳型について高振幅の液滴集団を生成した。図7に示されるように、このプローブは、野生型鋳型(B01、E01)及び代替G12R変異を含む鋳型(E01)におけるより低い振幅のオフターゲット集団の存在によって実証されるように、WT鋳型及びG12R鋳型についてもより低振幅のオフターゲット液滴集団を生成した。
【0118】
[0118]G12R鋳型に相補的な配列を含むように設計されたPBNJを使用すると、G12Rオフターゲットのより低振幅の液滴集団が消失する(D01)。この遺伝子座の野生型配列に相補的な第2のPBNJを使用し、そのオフターゲットのより低振幅の液滴集団を消失させることもでき得る。この使用法は、ユーザーの好みのオフターゲット集団を選択的に除去するようにPBNJを設計できることを示している。
【0119】
[0119]
実施例4:標的特異性(がん関連変異)に関するPCR及びPBNJパラメータの特性評価。
【0120】
[0120]図10は、がんに関連する標的遺伝子及びその変異(本明細書では例としてKRAS及びEGFRを示す)を、図11A図13Bに関連する、対応する変異及びSNPとともに要約する。本明細書で説明する方法で使用される例示的な配列を表6(EGFR)及び表7(KRAS)に提供する。
【0121】
[0121]
【表6】




【0122】
[0122]図11Aは、野生型(WT)及び変異型合成DNAが混合されたサンプルにおけるPBNJ無しのKRAS-G12C(上のパネル)及びEGFR-T790M(下のパネル)の標的増幅に対するTmの影響を示す。特異性(例えば、オンターゲット増幅)はTmの増加とともに向上するが、それに伴うPCR効率の低下(例えば、シグナル出力の低下)及びシグナル対ノイズ(STN)比の低下という欠点がある。図11Bは同等のPCR実験であるが、59℃(アニーリング/伸長)でPBNJ有りでの実施である。また、(プローブ長に対する)PBNJの長さ、PBNJを0%(例えば、PBNJ無し)~100%の範囲で、及び(SNPの位置での)LNAの存在(+)/非存在(-)も変化させた。PBNJ:プローブ比は14倍である。したがって、非特異的シグナルを低減するための好ましい実施形態は、LNAを有した、(プローブ長に対して)100%のPBNJ長が含まれる、LNAを有した、少なくとも80%のPBNJ長であり、これにより、少なくとも99%が含まれる、少なくとも95%の非特異的シグナルが除去される。
【0123】
[0123]図12A~12Bは、WT及び変異型合成DNAが混合しているサンプルにおけるKRAS-G12C標的(それぞれの図の上のパネル)及びEGFR-T790M標的(それぞれの図の下のパネル)に対する、(プローブに対して)0.25倍~14倍の様々なPBNJ比率、LNAの有無、2つの異なるPBNJ長(80%-図12A;100%-図12B)の影響を示す。オフターゲット増幅の減少は、PCRアッセイにおける濃度という点に反映される可能性があるPBNJ:プローブ量の増加、並びにKRAS及びEGFR標的の両方に対する、(プローブに対して)100%長のPBNJに関して実証されている。したがって、好ましい実施形態は、100%長及び少なくともプローブに対して0.5倍のPBNJ~1倍のPBNJである。特に長さの短いPBNJの場合には、LNAが存在することが好ましい。
【0124】
[0124]図13A~13Bは、(プローブに対して)80%又は100%のPBNJ長のいずれかについても、PBNJが純粋なKRAS-G12C(図13A)又はEGFR-T790M(図13B)合成DNAの標的増幅に悪影響を及ぼさないことを確認している。下のパネルは、PBNJ濃度(0倍~6倍の範囲)のいずれにおいても、定量されたアンプリコンの濃度に有意な差が生じないことを図示している。
【0125】
[0125]この実施例は、本発明が、様々なPCRパラメータ(融解温度(Tm)、標的配列)並びにPBNJ関連パラメータ(LNA+/-;プローブ長に対するPBNJ;及びPBNJ:プローブ濃度)にわたって適合性があり、1つのパラメータの選択が別のパラメータの選択に影響を与えることを実証している。これらの実験はDNA標的(KRAS及びEGFR遺伝子)に基づいているが、実施例5で説明されるように、これらの方法はRNA標的に対するRT-PCRに確実に適合する。
【0126】
[0126]
実施例5:RT-PCRへのPBNJの使用
【0127】
[0127]図14A~14Cは、SARS-CoV-2バリアント由来の標的によって反映されるように、PBNJがRT-PCRによく適していること、並びにPBNJが使用される場合、非標的配列の増幅及び付随する検出が減少することを実証している。これにより、参照配列と比較して非常に低濃度であっても、より確実に検出可能なオンターゲット増幅がもたらされる。
【0128】
[0128]議論したように、短ヌクレオチドバリアントアッセイ開発の主な障害物はオフターゲット増幅及び検出である。多くの場合において、核酸は1ヌクレオチドでのみ異なる。スパイクタンパク質遺伝子内の1ヌクレオチドが異なるSARS-CoV-2バリアント鋳型を使用して適用したPBNJによって実証されるように、本明細書で説明したPBNJブロック技術は、この種類の用途に特に適している。具体的には、プローブはE484Q変異に対して設計され、PBNJはE484野生型配列(PBNJ-Gと表示)に対して設計される。PBNJは3’C3又はBHQ-1ポリメラーゼ伸長ブロッカーのいずれかと共に合成され、バイオラッドCFX-96でタックパス(TaqPath)(登録商標)(Thermo)を使用したRT-PCRでオンターゲット及びオフターゲット鋳型に対して検査する。図14A~14Cに示されるように、E484 PBNJは、オンターゲット検出を全く損なうことなく、非特異的増幅を効率的にブロックすることができる。
【0129】
[0129]この実施例は、PBNJがC3(及びより長い鎖、例えばC6等)並びにBHQ-1のいずれかで修飾され得、効率的な非特異的増幅ブロックを示すことを実証している。さらに、PBNJはRT-PCRに対して適合性がある。
【0130】
[参照による組み込み及び変形に関する陳述]
[0130]本出願全体を通した全ての参考文献、例えば、発行された若しくは付与された特許又は同等物が含まれる特許文書;特許出願公開;及び非特許文献文書又はその他の情報源の資料;は、これら参考文献のそれぞれが本出願の開示と少なくとも部分的に矛盾していない限りにおいて、参照により個別に組み込まれているかのように、全体が参照により本明細書に組み込まれている(例えば、部分的に矛盾している参考文献は、その参考文献の部分的に矛盾している部分を除いて参照により組み込まれている)。
【0131】
[0131]本明細書で用いられている用語及び表現は、限定の用語ではなく、説明の用語として使用されており、このような用語及び表現の使用において、示された、及び説明された特徴のあらゆる同等物又はそのような同等物の一部分を排除する意図はなく、請求された本発明の範囲内で様々な変更が可能であると認められる。したがって、本発明は好ましい実施形態、例示的な実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示されている概念の変更及び変形が当業者によって行われ得ることと、そのような変更及び変形が添付の請求項によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることは理解されるべきである。本明細書で提供されている特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本発明が、本説明において明記されている装置、装置の構成要素、方法工程の数多くのバリエーションを用いて実行され得ることは、当業者には明白である。当業者には明らかであるように、本発明の方法に有用な方法及び装置は、数多くの任意選択の組成物、処理要素及び工程を含み得る。
【0132】
[0132]1群の置換基が本明細書に開示されるとき、その群の全ての個々のメンバー及び全ての下位群は別々に開示されるものと理解されたい。マーカッシュ形式の群又は他の群分けが本明細書で使用される時、群の全ての個々のメンバー、群の可能な全ての組み合わせ及び下位の組み合わせは、開示に個別に含まれることが意図されている。
【0133】
[0133]別段の記載がない限り、本明細書で説明又は例示されている全ての処方又は構成要素の組み合わせは本発明を実施するために用いられ得る。
【0134】
[0134]例えば、温度の範囲、比率の範囲、時間の範囲又は濃度の範囲等、本明細書において範囲が与えられている時はいつでも、全ての中間の範囲及び下位の範囲並びに与えられた範囲に含まれる全ての個々の値は本開示に含まれると意図される。本明細書の説明に含まれるあらゆる下位範囲又は範囲内若しくは下位範囲内の個々の値は本明細書の請求項から除外され得ることを理解されたい。
【0135】
[0135]本明細書で言及されている全ての特許及び刊行物は、本発明が関連する技術分野における当業者の技術の度合いを示している。本明細書で引用した参考文献は、それらの公開日又は出願日の時点での技術水準を示すためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれており、この情報は、先行技術に存在する特定の実施形態を除外するために、必要により本明細書で用いられ得ることが意図される。
【0136】
[0136]本明細書で使用する時、「含む(comprising)」は「含む(including)」、「含む(containing)」又は「~によって特徴付けられる(characterized by)」と同意語であり、包括的又は無制限であり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではない。本明細書で使用する時、「~から成る(consisting of)」は、請求項要素において特定されていないあらゆる要素、工程又は原材料を除外する。本明細書で使用する時、「~から本質的に成る(consisting essentially of)」は、請求項の基本的な新規の特性に実質的に影響を与えない材料又は工程を除外しない。本明細書における各々の例において、「含む(comprising)」、「~から本質的に成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えられ得る。本明細書で適切に例示的に説明されている本発明は、本明細書で具体的に開示されていないあらゆる1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定がなくても実施され得る。
【0137】
[0137]そのようなあらゆる材料及び方法の当該技術分野で公知の全ての機能的同等物は、本発明に含まれることが意図される。用いられた用語及び表現は、限定の用語ではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現を用いることに際し、示された、及び説明された特徴のあらゆる同等物又はそのような同等物の一部分を除外するような意図はなく、請求された本発明の範囲内で様々な変更が可能であることと認められる。したがって、本発明は好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書で開示されている概念の変更及び変形が当業者によって行われ得ること及びそのような変更及び変形が、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることは理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
【配列表】
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【国際調査報告】