(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ヘイズを低減した熱処理可能なコーティング
(51)【国際特許分類】
C03C 17/36 20060101AFI20241018BHJP
B32B 17/00 20060101ALI20241018BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20241018BHJP
C03C 27/06 20060101ALI20241018BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20241018BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20241018BHJP
【FI】
C03C17/36
B32B17/00
B32B9/00 A
C03C27/06 101H
G02B5/26
G02B1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521829
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022045208
(87)【国際公開番号】W WO2023064111
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】カーリス、ニール
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン、メアリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブラカモンテ、マーティン
【テーマコード(参考)】
2H148
2K009
4F100
4G059
4G061
【Fターム(参考)】
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4G061DA14
(57)【要約】
コーティングされた物品は、第1の表面及び第2の表面を有する基板と、その表面の上に適用される機能性コーティングとを含む。機能性コーティングは、基板の少なくとも一部の上のベース層と、 ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、 金属層の少なくとも一部の上のトップ層とを含む。ベース層は、基板の少なくとも一部の上の酸化スズの第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。コーティングされた物品を製造する方法、散乱中心形成を低減する方法、及び赤色ヘイズ形成を低減する方法も提供される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基板と、
第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングと、
を含む、コーティングされた物品であって、
機能性コーティングは、
第1の表面の少なくとも一部の上のベース層と、
ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、
金属層の少なくとも一部の上のトップ層と、
を含み、
ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む、
上記コーティングされた物品。
【請求項2】
コーティングされた物品が、焼戻し可能である、請求項1に記載のコーティングされた物品。
【請求項3】
金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた物品。
【請求項4】
金属層が、銀を含む、請求項3に記載のコーティングされた物品。
【請求項5】
トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項6】
トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、請求項5に記載のコーティングされた物品。
【請求項7】
金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含み、
プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項8】
保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、
保護層は、Si
3N
4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項9】
第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、
金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、
中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、
をさらに含み、
トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項10】
第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、
金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、
第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、
第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、
第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、
をさらに含み、
トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項11】
第1の表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、
金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、
第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、
第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、
第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、
第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、
第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層と、
をさらに含み、
トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項12】
第1のフィルムが、10nm~45nmの厚さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項13】
第1のフィルムが、少なくとも90%の酸化スズを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティングされた物品。
【請求項14】
コーティングされた物品の金属層内の散乱中心形成を低減する方法であって、
当該方法は、
第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基板を提供する工程と、
第1の表面の少なくとも一部の上にベース層を形成する工程と、
ベース層の少なくとも一部の上に金属層を形成する工程と、
金属層の少なくとも一部の上にトップ層を形成し、それによってコーティングされた物 品を形成する工程と、
コーティングされた物品を1,185°F以上の温度に加熱する工程と、
を含み、
前記ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含み、
前記コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、金属層内の散乱中心形成が低減している、上記方法。
【請求項15】
No.1表面及びNo.1表面の反対側のNo.2表面を有する第1のプライと、
No.3表面及びNo.4表面を有する第2のプライと、
No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上の機能性コーティングと、
を含む、断熱ガラスユニットであって、
第2のプライは第1のプライから離間しており、
第1のプライと第2のプライとは互いに接続されており、
機能性コーティングは、
No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上のベース層と、
ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、
金属層の少なくとも一部の上のトップ層と、
を含み、
前記ベース層は、No.2表面又はNo.3表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む、上記断熱ガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月11日日に出願された米国仮出願第63/254,237号及び2022年9月28日に出願された米国特許出願第17/954,441号に対する優先権を主張し、それらの開示は参照により全体が組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、ベース層に関し、より詳細には、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びナトリウムイオン及び亜鉛イオンなどの金属イオンが、ガラス基板から媒体(例えば、太陽光制御コーティングなどのコーティング)に、又は媒体(例えば、太陽光制御コーティングなどのコーティング)からガラス基板に、拡散するのを防止するための酸化スズの第1のフィルムを有するベース層に関する。
【背景技術】
【0003】
(技術的な考慮事項)
太陽光制御コーティングは、建築用及び車両用透明体の分野で知られている。これらの太陽光制御コーティングは、太陽赤外線又は太陽紫外線放射の範囲などの選択された範囲の電磁放射をブロッキング又はフィルタリングして、車両又は建物に入る太陽エネルギーの量を低減する。この太陽エネルギー透過率の低減は、車両又は建物の冷却ユニットの負荷を軽減するのに役立つ。
【0004】
これらの太陽光制御コーティングは、典型的には、特に太陽赤外線領域で太陽エネルギー反射を提供するために、1つ以上の連続金属層を含む。臨界厚さ未満の厚さで堆積された金属層(本明細書では「亜臨界層」と称する)は、連続層ではなく、不連続領域、島、又は島と島の間に覆われていない領域を有する相互接続された島を形成する。これらの不連続層は、表面プラズモン共鳴として知られる効果を通じて電磁放射を吸収する。これらの亜臨界層は、典型的には、同じ材料の連続層よりも可視領域での吸光度が高く、太陽エネルギーの反射率も低くなる。
【0005】
太陽光制御コーティングを有するコーティングされた物品を加熱すると、太陽光制御コーティングの層の光学特性及びモフォロジーの変化により、望ましくないヘイズが発生し得る。コーティングの吸収及び/又はコーティングされた物品の色が加熱前及び加熱後に維持され得る太陽光制御コーティングを製造することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、基板を含むコーティングされた物品に関する。基板は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える。機能性コーティングは、第1の表面の少なくとも一部の上に適用される。機能性コーティングは、第1の表面の少なくとも一部の上のベース層と、ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、金属層の少なくとも一部の上のトップ層とを含む。ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。
【0007】
本発明は、コーティングされた物品の金属層内の散乱中心形成を低減する方法にも関する。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える基板が提供される。ベース層は、第1の表面の少なくとも一部の上に形成される。金属層は、ベース層の少なくとも一部の上に形成される。トップ層は、金属層の少なくとも一部の上にあり、それによってコーティングされた物品が形成される。ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱される。コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、金属層内の散乱中心形成が低減している。
【0008】
本発明は、コーティングされた物品の赤色ヘイズを低減する方法にも関する。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える基板が提供される。ベース層は、第1の表面の少なくとも一部の上に形成される。金属層は、ベース層の少なくとも一部の上に形成される。トップ層は、金属層の少なくとも一部の上に形成され、それによってコーティングされた物品が形成される。ベース層は、第1の表面の一部の少なくとも一部の上の酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱される。コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、赤色ヘイズが低減している。
【0009】
本発明は、No.1表面及びNo.1表面の反対側のNo.2表面を有する第1のプライと、No.3表面及びNo.4表面を有する第2のプライとを含む断熱ガラスユニットにも関する。第2のプライは第1のプライから離間している。第1のプライと第2のプライとは互いに接続されている。機能性コーティングは、No.2表面又はNo.3表面の上に適用される。機能性コーティングは、No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上のベース層と、ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、金属層の少なくとも一部の上のトップ層とを含む。ベース層は、No.2表面又はNo.3表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。
【0010】
本発明は、コーティングされた物品を製造する方法にも関する。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える基板が提供される。第1の表面の少なくとも一部の上のベース層が形成される。ベース層の少なくとも一部の上の金属層が形成される。金属層の少なくとも一部の上のトップ層が形成される。ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。
【0011】
本発明は、No.1表面及びNo.1表面の反対側のNo.2表面を有する第1のプライと、No.3表面及びNo.4表面を有する第2のプライとを含むフロントガラスにも関する。第2のプライは第1のプライから離間している。第1のプライと第2のプライとは中間層で互いに接続されている。機能性コーティングは、No.2表面又はNo.3表面の上に適用される。機能性コーティングは、No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上のベース層と、ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、金属層の少なくとも一部の上のトップ層とを含む。ベース層は、No.2表面又はNo.3表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。
【0012】
本発明はまた、コーティングされた物品内の金属イオンの移動を低減する方法にも関する。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備えるガラス基板が提供される。ベース層は、第1の表面の少なくとも一部の上に形成される。金属層は、ベース層の少なくとも一部の上に形成される。トップ層は、金属層の少なくとも一部の上に形成され、それによってコーティングされた物品が形成される。ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む。コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱される。コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、金属イオンの移動が低減している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のコーティングを有する例示的な断熱ガラスユニット(「IGU」)の側面図である(縮尺通りではない)。
【0014】
【
図2】
図2は、本発明のコーティングを有する例示的なモノリシック透明体の断面図である。
【0015】
【
図3】
図3は、非限定的なフロントガラスの概略図である(縮尺通りではない)。
【0016】
【
図4】
図4A、
図4B、及び
図4Cは、本発明の一例による単一の金属コーティングの断面図である(縮尺通りではない)。
図4Aは、基板、ベース層、金属層、プライマー層、トップ層、及び保護コーティングを含む単一の金属コーティングである。
図4Bは、2つのフィルムを含むベース層、2つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図4Aの単一の金属コーティングである。
図4Cは、2つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図4の単一の金属コーティングである。
【0017】
【
図5】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、本発明の一例による二重の金属コーティングの断面図である(縮尺通りではない)。
図5Aは、基板、ベース層、金属層、プライマー層、第1の中間層、第2の金属層、プライマー層、トップ層、及び保護コーティングを含む二重の金属コーティングである。
図5Bは、2つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含む第1の中間層、2つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図5Aの二重の金属コーティングである。
図5Cは、3つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含む第1の中間層、3つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図5Aの二重の金属コーティングである。
【0018】
【
図6】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、本発明の一例による三重の金属コーティングの断面図である(縮尺通りではない)。
図6Aは、基板、ベース層、金属層、プライマー層、第1の中間層、第2の金属層、第2のプライマー層、第2の中間層、第3の金属層、第3のプライマー層、トップ層、及び保護コーティングを含む三重の金属コーティングである。
図6Bは、2つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含む第1の中間層、3つのフィルムを含む第2の中間層、2つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図6Aの三重の金属コーティングである。
図6Cは、2つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含む第1の中間層、3つのフィルムを含む第2の中間層、3つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図6Aの三重の金属コーティングである。
【0019】
【
図7】
図7A、
図7B、及び
図7Cは、本発明の一例による四重のコーティングの断面図である(縮尺通りではない)。
図7Aは、基板、ベース層、金属層、プライマー層、第1の中間層、第2の金属層、第2のプライマー層、第2の中間層、第3の金属層、第3のプライマー層、第3の中間層、第4の金属層、第4のプライマー層、トップ層、及び保護コーティングを含む四重の金属コーティングである。
図7Bは、2つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含む第1の中間層、3つのフィルムを含む第2の中間層、3つのフィルムを含む第3の中間層、2つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図7Aの四重の金属コーティングである。
図7Cは、2つのフィルムを含むベース層、3つのフィルムを含む第1の中間層、3つのフィルムを含む第2の中間層、3つのフィルムを含む第3の中間層、3つのフィルムを含むトップ層、及び2つのフィルムを含む保護コーティングを示す、
図7Aの四重の金属コーティングである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用される場合、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などの空間的又は方向的な用語は、それが図面に示されるように本発明に関連する。ただし、本発明は様々な代替の向きを想定することができ、したがって、そのような用語は限定的であると考えられるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される場合、明細書及び特許請求の範囲で使用される、寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の量、反応条件などを表すすべての数字は、いずれの場合も用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載される数値は、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値は、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、範囲の開始値及び終了値、並びにそこに包まれるありとあらゆる部分範囲を包含するものと理解されるべきである。例えば、「1~10」の記述された範囲は、最小値1と最大値10との間の(かつそれらを含む)ありとあらゆる部分範囲、すなわち、最小値1以上で始まり、最大値10以下で終わるすべての部分範囲、例えば、1~3.3、4.7~7.5、5.5~10などを含むと考えられるべきである。「A」又は「an」は、1つ又は複数を指す。
【0021】
さらに、本明細書で使用される場合、「上に形成される(formed over)」、「上に堆積される(deposited over)」、又は「上に提供される(provided over)」という用語は、表面上に形成される、堆積される、又は提供されるが、必ずしも表面と接触する必要はないことを意味する。例えば、基板「上に形成される」コーティング層は、形成されたコーティング層と基板との間に位置する同じ又は異なる組成の1つ以上の他のコーティング層又はフィルムの存在を排除しない。さらに、限定するものではないが、発行された特許及び特許出願など、本明細書で参照されるすべての文書は、その全体が「参照により組み込まれる」と見なされる。本明細書で使用される場合、「フィルム」という用語は、所望の又は選択されたコーティング組成物のコーティング領域を指す。「層」は、1つ以上の「フィルム」を含むことができ、「コーティング」又は「コーティングスタック」は、1つ以上の「層」を含むことができる。「非対称反射率」という用語は、片側からのコーティングの可視光反射率が、反対側からのコーティングの可視光反射率とは異なることを意味する。「臨界厚さ」という用語は、それより厚いとコーティング材料が連続した途切れのない層を形成し、それより薄いとコーティング材料が連続層ではなくコーティング材料の不連続な領域又は島を形成する厚さを意味する。「亜臨界厚さ(subcritical thickness)」という用語は、コーティング材料がコーティング材料の孤立した非接続領域を形成するような、臨界厚さ未満の厚さを意味する。「島状」という用語は、コーティング材料が連続層ではなく、むしろ材料が堆積されて孤立した領域又は島を形成することを意味する。
【0022】
以下の説明を進めるために、本明細書に記載のコーティングされた物品は、限定するものではないが、断熱ガラスユニット(IGU)など、建築用透明体との使用を参照して説明することができる。本明細書で使用される場合、「建築用透明体」という用語は、限定するものではないが、窓や天窓など、建物に配置される任意の透明体を指す。ただし、本明細書に記載のコーティングされた物品は、そのような建築用透明体との使用に限定されるものではなく、任意の所望の分野の透明体、例えば、積層又は非積層の住宅用及び/又は商業用窓、断熱ガラスユニット、及び/又は陸上、空中、宇宙、水上及び水中車両用の透明体で実施し得ることが理解される。一態様又は実施形態では、本明細書に記載のコーティングされた物品は、窓又はサンルーフなどの車両に使用するための透明体である。したがって、具体的に開示される例示的な態様又は実施形態は、本発明の一般的な概念を説明するために単に提示されており、本発明は、これらの特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。さらに、典型的な「透明体(transparency)」は、透明体を通して材料を見ることができるように十分な可視光透過率を有することができるが、「透明体」は可視光に対して透明である必要はなく、半透明又は不透明であってもよい。すなわち、「透明(transparent)」とは、0%より大きく100%までの可視光透過率を有することを意味する。
【0023】
本発明の特徴を組み込んだ非限定的な透明体10が、
図1に示されている。透明体10は、任意の所望の可視光、赤外線放射又は紫外線放射の透過率及び/又は反射を有することができる。
【0024】
図1の例示的な透明体10は、従来の断熱ガラスユニットの形態であり、第1主表面14(No.1表面)及び対向する第2主表面16(No.2表面)を有する第1のプライ12を含む。図示された非限定的な実施形態では、第1主表面14は建物の外側に面し、すなわち、外側主表面であり、第2主表面16は建物の内側に面している。透明体10はまた、内側(第1)主表面20(No.3表面)及び外側(第2)主表面22(No.4表面)を有し、第1のプライ12から離隔した第2のプライ18を含む。いくつかの実施形態では、断熱ガラスユニットは、第1主表面(No.5表面)及び対向する第2主表面(No.6表面)を有する第3プライを含む。プライ表面のこの番号付けは、開窓技術における従来の慣行と一致している。第1及び第2のプライ12、18は、任意の適切な方法で、例えば、従来のスペーサフレーム24に接着接合されることによって、互いに接続することができる。2つのプライ12、18の間に間隙又はチャンバ26が形成される。チャンバ26は、空気などの選択された雰囲気、又はアルゴン若しくはクリプトンガスなどの非反応性ガスで満たすことができる。コーティング30(又は下記の他のコーティングのいずれか)は、No.1表面14の少なくとも一部、No.2表面16の少なくとも一部、No.3表面20の少なくとも一部、又はNo.4表面22の少なくとも一部、又はNo.5表面の少なくとも一部、又はNo.6表面の少なくとも一部の上に形成される。コーティング30(又は下記の他のコーティングのいずれか)は、No.2表面16の少なくとも一部、又はNo.3表面20の少なくとも一部の上に形成される。断熱ガラスユニットの例は、例えば、米国特許第4,193,228号、米国特許第4,464,874号、米国特許第5,088,258号及び米国特許第5,106,663号に見出される。
【0025】
いくつかの実施形態では、コーティングをモノリシックグレージングの表面に適用することができる。「モノリシック」とは、単一の構造支持体又は構造部材を有すること、例えば単一の基板を有することを意味する。
図2の例示的な透明体は、窓又はサンルーフなどの車両用の従来のモノリシック透明体110の形態である。わかりやすくするために、シール、コネクタ、及び開閉機構は示しておらず、完全な車両も示していない。透明体は、車両118(部分的に示す)のボディに取り付けられた第1主表面114(No.1表面)及び対向する第2主表面116(No.2表面)を有する第1プライ112を含む。図示された非限定的な実施形態では、第1主表面114は車両の外側に面しており、したがって外側主表面であり、第2主表面116は車両の内側に面している。車体の非限定的な例には、サンルーフの場合の自動車の屋根、自動車の窓の場合の自動車のドア又はフレーム、又は飛行機の胴体が含まれる。車両技術において広く知られているように、透明体は、自動車の窓又はサンルーフなどの透明体を開閉できる機構に取り付けることができる。コーティング130、又は本明細書に記載される他のコーティングのいずれかは、第1の表面114上に形成されるように示されているが、第2の表面116の少なくとも一部上に形成されてもよい。
【0026】
図3に見られるように、透明体410は、車両の外側に面する第1主表面414(No.1表面)、すなわち外側主表面414(No.1表面)と、対向する第2主表面又は内側主表面416(No.2表面)とを有する第1のプライ又は第1の基板412を含むフロントガラスとすることができる。フロントガラス透明体410はまた、外側(第1)主表面422(No.4表面)と、内側(第2)主表面420(No.3表面)とを有する第2のプライ又は第2の基板418を含む。プライ表面のこの番号付けは、自動車技術における従来の慣行に沿ったものである。第1及び第2のプライ412、418は、任意の適切な方法で、例えば、従来の中間層25によって、一緒に接合することができる。必須ではないが、任意の所望の方法で、積層中及び/又は積層後に、従来のエッジシーラントを積層透明体410の周囲に適用することができる。装飾バンド、例えば、セラミックバンドなどの不透明、半透明、又は着色されたシェードバンド27を、プライ412、418の少なくとも一つの表面上、例えば、第1のプライ412の内側主表面416の周囲に設けることができる。機能性コーティング430、又は本明細書に記載の他のコーティングのいずれかは、プライ412、418の一方の少なくとも一部の上、例えば、No.2表面416又はNo.3表面420の上に形成される。
【0027】
図3に示す非限定的な実施形態では、バスバーアセンブリは、外側プライ412の内側表面416上に形成され、バスバー間の距離Dによって分離された第1又は底部バスバー96と第2又は上部バスバー98とを含む。バスバー96、98は、機能性コーティング430と電気的に接触している。本発明の非限定的な一実施形態では、バスバー96、98は、
図3に示すように、装飾バンド27上に少なくとも部分的に、又は完全に配置することができる。
【0028】
本発明の広範な実施において、透明体10、110、410のプライ12、18、112、412、418は、同じ又は異なる材料とすることができる。プライ12、18、112、412、418は、任意の所望の特性を有する任意の所望の材料を含むことができる。例えば、プライ12、18、112、412、418のうちの1つ以上は、可視光に対して透明又は半透明であり得る。「透明」とは、0%より大きく100%までの可視光透過率を有することを意味する。あるいは、プライ12、18、112、412、418の1つ又は複数は、半透明であることができる。「半透明」とは、電磁エネルギー(例えば、可視光)を通過させるが、このエネルギーを拡散させて、観察者の反対側の物体がはっきりと見えないことを意味する。適切な材料の例としては、プラスチック基板(例えば、ポリアクリレートなどのアクリルポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;又はこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、又はそれらの任意の混合物);セラミック基板;ガラス基板;又は上記のいずれかの混合物又は組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、プライ12、18、112、412、418の1つ又は複数は、従来のソーダ石灰ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、又は鉛ガラスを含むことができる。ガラスは、クリアガラスとすることができる。「クリアガラス」とは、ノンティンテッド(non-tinted)ガラス又は無着色のガラスを意味する。あるいは、ガラスはティンテッド(tinted)ガラスか、そうでなければ着色されたガラスであってもよい。ガラスは、アニールされた又は熱処理されたガラスとすることができる。本明細書で使用される場合、「熱処理された」という用語は、焼戻し又は少なくとも部分的に焼戻しされたことを意味する。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意のタイプのものとすることができ、任意の光学特性、例えば、可視透過率、紫外線透過率、赤外線透過率、及び/又は全太陽エネルギー透過率の任意の値を有する任意の組成のものとすることができる。「フロートガラス」とは、溶融ガラスを溶融金属浴上に堆積させ、制御可能に冷却してフロートガラスリボンを形成する従来のフロート法によって形成されたガラスを意味する。フロートガラスプロセスの例は、米国特許第4,466,562号及び第4,671,155号に開示されている。
【0029】
プライ12、18、112、412、418はそれぞれ、例えば、クリアフロートガラスを含むか、ティンテッド(tinted)ガラス若しくは着色ガラスとすることができ、又は一方のプライ12、18、412、418をクリアガラスとし、他方のプライ12、18、412、418を着色ガラスとすることができる。限定するものではないが、第1のプライ12、412及び/又は第2のプライ18、418に適したガラスの例は、米国特許第4,746,347号、4,792,536号、5,030,593号、5,030,594号、5,240,886号、5,385,872号、及び5,393,593号に記載されている。プライ12、18、112、412、418は、任意の所望の寸法、例えば、長さ、幅、形状、又は厚さを有することができる。1つの例示的な自動車用透明体では、第1及び第2のプライはそれぞれ、1mm~10mmの厚さ、例えば1mm~8mmの厚さ、例えば2mm~8mm、例えば3mm~7mm、例えば5mm~7mm、例えば6mmの厚さとすることができる。
【0030】
本明細書に記載のコーティングされた物品の非限定的な実施形態では、本発明のコーティング30、130、430は、ガラスプライ12、18、112、412、418のうちの1つの少なくとも1つの主表面の少なくとも一部の上に堆積される。
図1による例では、コーティング30は、インボードガラスプライ18の内側表面20の少なくとも一部の上に形成され;追加的又は代替的に、本開示と一致する非限定的な例では、太陽光制御コーティングが、インボードガラスプライ18の外側表面22の少なくとも一部の上に形成され得ることを理解されたい。本明細書で使用される場合、「太陽光制御コーティング」という用語は、コーティングされた物品の太陽光特性(例えば、これらに限定されるものではないが、コーティングされた物品から反射される、コーティングされた物品によって吸収される、又はコーティングされた物品を通過する太陽放射(例えば、可視、赤外、又は紫外放射)の量;シェーディング係数;放射率など)に影響を与える1つ以上の層又はフィルムから構成されるコーティングを指す。太陽光制御コーティング30は、太陽スペクトルの選択された部分、例えば、限定されないが、IRスペクトル、UVスペクトル、及び/又は可視スペクトルを、ブロッキング、吸収、又はフィルタリングすることができる。
【0031】
太陽光制御コーティング30、130、430などの本明細書に記載のコーティングは、限定するものではないが、従来の化学気相堆積(CVD)法及び/又は物理気相堆積(PVD)法などの任意の有用な方法によって堆積させることができる。CVDプロセスの例には、噴霧熱分解が挙げられる。PVDプロセスの例には、電子ビーム蒸着及び真空スパッタリング(マグネトロンスパッタ気相堆積(magnetron sputter vapor deposition)(MSVD)など)が挙げられる。限定するものではないが、ゾルゲル堆積、スロットダイコーティング堆積、又は印刷堆積(例えば、スクリーン印刷若しくはインクジェット印刷)などの他のコーティング方法も使用することもできる。非限定的な一実施形態では、コーティング30、130、430は、MSVDによって堆積させることができる。MSVDコーティング装置及び方法の例は、当業者によってよく理解されており、例えば、米国特許第4,379,040号、米国特許第4,861,669号、米国特許第4,898,789号、米国特許第4,898,790号、米国特許第4,900,633号、米国特許第4,920,006号、米国特許第4,938,857号、米国特許第5,328,768号及び米国特許5,492,750号に記載されている。
【0032】
コーティングされた物品は、基板210を含む。基板210は、任意の所望の特性を含むことができ、任意の所望の厚さを有することができる。基板210は、例えば、限定されないが、プライ12、18、112、412、及び418との関連で上述したポリマー、ガラス、及び/又はセラミック基板などの任意の適切な透明材料又は複数の材料を含むことができる。非限定的な例では、基板210は、
図1、
図2、又は
図3に示すように、プライ12、18、112、412、418に関して上述したガラス基板を含んでもよい。しかし、本発明は、太陽電池で使用される基板などの他の基板にも適用できることを理解されたい。
【0033】
機能性コーティング30、130、430は、例えば、限定されないが、米国特許出願公開第2019/0043640号に開示されているような、透明導電性酸化物(TCO)を含んでもよい。機能性コーティング30、130、430は、米国特許出願公開第2017/0341977号、第2014/0272453号、第2011/0228715号、及び/又は米国特許出願第15/669,414号のいずれか、又はその一部に記載されているようなスタックを含むことができる。
【0034】
コーティング30、130、430は、単一の金属コーティング31、131、231(例えば、1つの金属層)、又は二重の金属コーティング32、132、232(例えば、2つの金属層)、又は三重の金属コーティング33、133、233(例えば、3つの金属層)、又は四重の金属コーティング34、134、234(例えば、4つの金属層)であり得る。単一の金属コーティング31、131、231に適した例示的な非限定的なコーティングが、
図4A~
図4Cに示されている。二重の金属コーティング32、132、232に適した例示的な非限定的なコーティングが、
図5A~
図5Cに示されている。三重の金属コーティング33、133、233に適した例示的な非限定的なコーティングが、
図6A~
図6Cに示されている。四重の金属コーティング34、134、234に適した例示的な非限定的なコーティングが、
図7A~
図7Cに示されている。
【0035】
例示的なコーティング30、130、430は、
図4Aに示すように、1つの金属層(すなわち、単一の金属コーティング31、131、231)を含む。単一の金属コーティング31、131、231は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の上に、それと直接接触して配置されたベース層220を含む。ベース層220は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の一部又は全体の上に、それと直接接触して配置されてもよい。金属層228は、ベース層220の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第1のプライマー層230は、金属層228の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置してもよい。トップ層300は、任意の第1のプライマー層230若しくは金属層228の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の最外保護コーティング320は、トップ層300の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置してもよい。
【0036】
例示的なコーティング30、130、430は、
図5Aに示すように、2つの金属層(すなわち、二重の金属コーティング32、132、232)を含む。二重の金属コーティング32、132、232は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の上に、それと直接接触して配置されたベース層220を含む。ベース層220は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の一部又は全体の上に、それと直接接触して配置されてもよい。金属層228は、ベース層220の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第1のプライマー層230は、金属層228の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置されてもよい。第1の中間層240は、任意の第1のプライマー層230又は金属層228の少なくとも一部の上に配置される。第2の金属層248は、第1の中間層240の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第2のプライマー層250は、第2の金属層248の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。トップ層300は、任意の第2のプライマー層250若しくは第2の金属層248の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の最外保護コーティング320は、トップ層300の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置してもよい。
【0037】
例示的なコーティング30、130、430は、
図6Aに示すように、3つの金属層(すなわち、三重の金属コーティング33、133、233)を含む。三重の金属コーティング33、133、233は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の上に、それと直接接触して配置されたベース層220を含む。ベース層220は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の一部又は全体の上に、それと直接接触して配置されてもよい。金属層228は、ベース層220の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第1のプライマー層230は、金属層228の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置されてもよい。第1の中間層240は、任意の第1のプライマー層230又は金属層228の少なくとも一部の上に配置される。第2の金属層248は、第1の中間層240の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第2のプライマー層250は、第2の金属層248の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。第2の中間層260は、任意の第2のプライマー層250若しくは第2の金属層248の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。第3の金属層268は、第2の中間層260の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第3のプライマー層270は、第3の金属層268の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。トップ層300は、任意の第3のプライマー層270若しくは第3の金属層268の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の最外保護コーティング320は、トップ層300の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置してもよい。
【0038】
例示的なコーティング30、130、430は、
図7Aに示すように、4つの金属層(すなわち、四重の金属コーティング34、134、234)を含む。四重の金属コーティング34、134、234は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、又はIGUの場合には、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)の上に、それと直接接触して配置されたベース層220を含む。ベース層220は、基板210(例えば、モノリシック物品の基板の第1の表面、第1のプライ12のNo.2表面16、若しくは第2のプライ18のNo.3表面20、又はフロントガラスの場合には、第1のプライ412のNo.2表面416、若しくは第2のプライ418のNo.3表面420)全体の上に、それと直接接触して配置されてもよい。金属層228は、ベース層220の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第1のプライマー層230は、金属層228の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置されてもよい。第1の中間層240は、任意の第1のプライマー層230又は金属層228の少なくとも一部の上に配置される。第2の金属層248は、第1の中間層240の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第2のプライマー層250は、第2の金属層248の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。第2の中間層260は、任意の第2のプライマー層250若しくは第2の金属層248の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。第3の金属層268は、第2の中間層260の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第3のプライマー層270は、第3の金属層268の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。第3の中間層280は、任意の第3のプライマー層270若しくは第3の金属層268の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。第4の金属層288は、第3の中間層280の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の第4のプライマー層290は、第4の金属層288の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。トップ層300は、任意の第4のプライマー層290若しくは第4の金属層288の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置される。任意の最外保護コーティング320は、トップ層300の少なくとも一部の上に、又はそれと直接接触して配置することができる。
【0039】
本明細書に記載の金属層はいずれも、連続層又は不連続層とすることができる。
【0040】
本発明の例示的で非限定的な機能性コーティング30、130、430が、
図4A~
図4C、
図5A~
図5C、
図6A~
図6C、及び
図7A~
図7Cに示されている。この機能性コーティング30、130、430は、基板210の上に、それと接触して配置されたベース層220を含む。ベース層220は、亜鉛、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルカリ金属元素、アルカリ土類元素、又はそれらの組合せの拡散を防止する第1のフィルム222を含む。
図4B~
図4C、
図5B~
図5C、
図6B~
図6C、及び
図7B~
図7Cに示すように、ベース層220は、基板210の上に、それと直接接触して配置された第1のフィルム222と、第1のフィルム222の上に、それと直接接触して配置された第2のフィルム224とを含み、第2のフィルム224が基板210に接触しないようにしている。
【0041】
機能性コーティング30、130、430は、基板の上に、それと直接接触して配置されたベース層220を含む。ベース層220は、基板210の上に、それと直接接触して配置された第1のフィルム222と、第1のフィルム222全体の上に、それと直接接触して配置された第2のフィルム224とを含む。第1のフィルム222は、基板210の一部又は基板210全体の上に、それと直接接触して配置されてもよい。第2のフィルム222は、基板210に接触しない。ベース層220は、可視光に対して透明であることができる。
【0042】
ベース層220の第1のフィルム222は、酸化スズを含むフィルムである。酸化スズは、酸素(O2)環境で、スズターゲットから、又はターゲットのスパッタリング特性を改善するために他の材料を含むスズターゲットから堆積することができる。例えば、O2流量(すなわち、材料が堆積されるチャンバの雰囲気中のO2の濃度)は、最大80%O2、例えば80%O2、75%O2、70%O2とすることができる。雰囲気の残りは、アルゴンなどの不活性ガスとすることができる。酸化スズは、スズのターゲット又はスズ及び亜鉛のターゲットからのマグネトロンスパッタリング真空堆積から得ることができる。例えば、スズターゲットは、少量(例えば、最大20重量、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%)の亜鉛を含むことができる。その場合、得られる酸化スズフィルムは、少量の酸化亜鉛、例えば最大20重量%の酸化亜鉛、例えば最大10重量%の酸化亜鉛、例えば最大5重量%の酸化亜鉛を含むことになる。0重量%から最大20重量%の亜鉛を有するスズターゲットから堆積されたコーティング層を、本明細書では「酸化スズフィルム」と称する。ベース層220の第1のフィルム222は、スズが第1のフィルム222中の実質的に唯一の金属である酸化スズフィルムであってもよい。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、酸化スズフィルムがスズ以外の追加の金属を0.5重量%未満しか含有しないことを意味する。酸化スズフィルム222は、80重量%の酸化スズと20重量%の酸化亜鉛を含むことができる。酸化スズ-酸化亜鉛フィルム222は、90重量%の酸化スズと10重量%の酸化亜鉛を含むことができる。
【0043】
ベース層220の第1のフィルム222は、10nm~45nm、例えば15nm~40nm、例えば20nm~35nm、例えば22nm~30nmの合計厚さを有することができる。
【0044】
ベース層220の第2のフィルム224は、反射防止材料及び/又は誘電体材料の2つ以上のフィルムを含むことができ、例えば、限定されないが、金属酸化物、金属合金の酸化物、窒化物、酸窒化物、又はそれらの混合物を含むことができる。ベース層220の第2のフィルム224に適した金属酸化物の例には、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、アルミニウム、シリコン、及びそれらの混合物の酸化物が含まれる。これらの金属酸化物には、酸化ビスマスのマンガン、酸化インジウムのスズなど、少量の他の物質が含まれる場合がある。これに加えて、金属合金又は金属混合物の酸化物を用いることができ、例えば、亜鉛及びスズを含有する酸化物(例えば、以下に定義するスズ酸亜鉛)、インジウム-スズ合金の酸化物、亜鉛及びアルミニウムを含有する酸化物、シリコン窒化物、シリコンアルミニウム窒化物、又はアルミニウム窒化物を用いることができる。さらに、ドープされた金属酸化物、例えば、アンチモン又はインジウムでドープされた酸化スズ、又はニッケル若しくはホウ素でドープされたシリコン酸化物を用いることができる。
【0045】
ベース層220の第2のフィルム224は、亜鉛/スズ合金酸化物とすることができる。「亜鉛/スズ合金酸化物」とは、真の合金及び酸化物の混合物の両方を意味する。酸化亜鉛は、ターゲットのスパッタリング特性を改善するために他の材料を含む亜鉛ターゲットから堆積させることができる。そのようにして、亜鉛/スズ合金酸化物は、亜鉛及びスズのターゲットからのマグネトロンスパッタリング真空堆積から得ることができる。例えば、亜鉛ターゲットは、スパッタリングを改善するために、少量(例えば、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%又は最大5重量%)のスズを含むことができる。その場合、得られる酸化亜鉛フィルムは、少量の酸化スズ、例えば最大10重量%の酸化スズ、例えば最大5重量%の酸化スズを含むことになる。最大10重量%のスズ(ターゲットの導電性を高めるために添加される)を有する亜鉛ターゲットから堆積されたコーティング層は、少量のスズが存在し得る場合であっても、本明細書では「酸化亜鉛フィルム」と称する。1つの非限定的なターゲットは、5重量%~95重量%の亜鉛と95重量%~5重量%のスズの割合で、例えば10重量%~90重量%の亜鉛と90重量%~10重量%のスズの割合で、亜鉛とスズを含むことができる。しかしながら、亜鉛対スズの他の比率も使用することができる。
【0046】
ベース層220の第2のフィルム224は、酸化亜鉛のフィルム又はアルミニウム亜鉛酸化物(AlxZn1-x酸化物)フィルムを含むことができる。「アルミニウム/亜鉛合金酸化物」とは、真の合金及び酸化物の混合物の両方を意味する。そのようにして、アルミニウム/亜鉛合金酸化物は、亜鉛及びアルミニウムのターゲットからのマグネトロンスパッタリング真空堆積から得ることができ、スパッタリングを改善するために少量(例えば、10重量%未満、例えば0重量%超~5重量%)のスズを含むことができる。その場合、得られるアルミニウム亜鉛酸化物フィルムは、少量の酸化スズ、例えば0重量%~10重量%未満、例えば0重量%~5重量%の酸化スズを含む。ベース層220の第2のフィルム224は、AlxZn1-x酸化物を含むことができ、式中、xは1重量%~25重量%、例えば1重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の範囲内である。非限定的な一実施形態では、xは3重量%である。
【0047】
ベース層220の第2のフィルム224は、5nm~20nm、例えば8nm~20nm、例えば10nm~15nmの合計厚さを有することができる。
【0048】
ベース層220の第1のフィルム222は、基板210の上に、それと直接接触して配置された酸化スズを含み、ベース層220の第2のフィルム224は、第1のフィルム222の上に、それと直接接触して配置された酸化亜鉛を含み、第2のフィルム224が基板210に接触しないようにしている。
【0049】
ベース層220は、3つのフィルムを含んでもよい。ベース層220は、基板210の上に、それと直接接触して配置された第1のフィルム222と、第1のフィルム222全体の上に、それと直接接触して配置された第2のフィルム224と、第2のフィルム224全体の上に、それと直接接触して配置された第3のフィルムとを含む。
【0050】
ベース層220の第1のフィルム222は、基板210の上に、それと直接接触して配置された酸化スズを含み、第2のフィルム224は、第1のフィルム222の上に、それと直接接触して配置されたスズ酸亜鉛を含み、第2のフィルム224が基板210に接触しないようにしており、第3のフィルムは、第2のフィルム224の上に、それと直接接触して配置された酸化亜鉛を含む。
【0051】
ベース層220は、20nm~50nm、例えば25nm~45nm、例えば30nm~45nmの合計厚さ(例えば、第1及び第2のフィルム222、224を合わせた厚さ)を有することができる。
【0052】
金属層228は、ベース層220の少なくとも一部の上に堆積することができる。金属層228は、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はそれらの混合物、それらの合金、又はそれらの組合せなどの反射金属を含むことができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、金属層228は金属銀層を含む。金属層228は連続層である。「連続層」とは、コーティングが材料の連続フィルムを形成し、孤立したコーティング領域を形成しないことを意味する。
【0053】
第1の金属層228は、5nm~25nm、例えば8nm~23nm、例えば8nm~20nm、例えば8nm~17nmの範囲の厚さを有することができる。
【0054】
第1のプライマー層230は、金属層228の上に配置され得る。第1のプライマー層230は、単一フィルム又は複数フィルム層とすることができる。第1のプライマー層230は、スパッタリングプロセス又はその後の加熱プロセス中の金属層228の劣化又は酸化を防止するために、堆積プロセス中に犠牲となり得る酸素捕捉材料を含むことができる。第1のプライマー層230は、機能性コーティング30、130、430を通過する、可視光などの電磁放射の少なくとも一部を吸収することもできる。第1のプライマー層230に有用な材料の例としては、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、シリコン酸窒化物、ニッケル、ジルコニウム、アルミニウム、コバルト、クロム、チタン、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物が含まれる。非限定的な一実施形態では、第1のプライマー層230は、チタン、チタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムを含み、これらは金属として堆積され、チタン、又はチタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムの少なくとも一部は、その後、酸化される。別の実施形態では、プライマー層230は、インコネルなどのニッケルクロム合金を含む。別の実施形態では、プライマー層230は、Stellite(登録商標)などのコバルトクロム合金を含む。
【0055】
第1のプライマー層230は、0.5nm~5nm、例えば1nm~4nm、例えば1nm~2.5nmの範囲の厚さを有することができる。
【0056】
第1の中間層240は、金属層228の少なくとも一部の上に(例えば、第1のプライマー層230の上に)配置される。第1の中間層240は、ベース層220の第2のフィルム224に関して上述したような、1つ以上の金属酸化物又は金属合金酸化物含有フィルムを含むことができる。例えば、第1の中間層240は、第1のプライマー層230の少なくとも一部の上に堆積された金属酸化物(例えば、酸化亜鉛又はアルミニウム亜鉛酸化物)を含む第1のフィルム242と、第1のフィルム242の少なくとも一部の上の金属酸化物(例えば、スズ酸亜鉛フィルム)を含む第2のフィルム244と、第2のフィルム244の少なくとも一部の上の金属酸化物(例えば、酸化亜鉛フィルム又はアルミニウム亜鉛酸化物フィルム)を含む第3のフィルム246とを備えることができる。
【0057】
第1の中間層240の第2のフィルム244は、スズ酸亜鉛のフィルムを含むことができる。「スズ酸亜鉛」とは、ZnXSn1-XO2-X(式1)の組成を意味し、式中、「x」は0より大きく1より小さい範囲で変化する。例えば、「x」は0より大きく、0より大きく1より小さい任意の分数又は小数にすることができる。例えば、x=2/3の場合、式1は、Zn2/3Sn1/3O4/3であり、これは、より一般的には「Zn2SnO4」と記載される。スズ酸亜鉛含有フィルムは、層内に式1の形態のうちの1つ以上を主な量で有する。
【0058】
一例では、第1及び第3のフィルム242、246の両方が存在し、それぞれが1nm~20nm、例えば5nm~20nm、例えば6nm~15nm、例えば8nm~10nmの範囲の厚さを有する。第2のフィルム244は、5nm~80nm、例えば5nm~70nm、例えば10nm~70nm、例えば20nm~70nm、例えば30nm~70nm、例えば50nm~70nmの範囲の厚さを有することができる。
【0059】
第1の中間層240は、20nm~100nm、例えば20nm~85nm、例えば25nm~80nmの範囲の合計厚さ(例えば、複数のフィルムを合わせた厚さ)を有することができる。
【0060】
第2の金属層248は、第1の中間層の少なくとも一部の上に形成することができる。第2の金属層248は、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はそれらの混合物、それらの合金、又はそれらの組合せなどの反射金属を含むことができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、第2の金属層248は金属銀層を含む。
【0061】
一実施形態では、第2の金属層248は、第1の中間層240の少なくとも一部の上に形成された連続層である。第2の金属層248は、5nm~30nm、例えば10nm~20nm、例えば10nm~15nm、例えば10nm~12nmの合計厚さを有する連続層である。
【0062】
別の実施形態では、第2の金属層248は、第1の中間層240の少なくとも一部の上に形成された亜臨界厚さを有する不連続層である。金属材料、例えば、限定されないが、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はそれらの混合物、それらの合金、又はそれらの組合せは、材料の連続層ではなく、材料の孤立した領域又は島が形成されるように、亜臨界厚さで適用される。銀の場合、臨界厚さは5nm未満、例えば4nm未満、例えば3nm未満、例えば2.5nm未満であることが決定されている。銀の場合、連続層と亜臨界層の間の遷移は、2.5nm~5nmの範囲で発生する。銅の場合、有効厚さは、最大で9nm、例えば5nm、4nm、例えば3.6nm、例えば2.6nm、例えば2nm、例えば1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば0.2nm、例えば0.3nm、例えば0.4nm、例えば0.5nm、例えば0.6nm、例えば0.7nmであることが決定されている。銅、金、及びパラジウムは、この範囲で同様の亜臨界挙動を示すと推定されている。非限定的な一実施形態では、第2の金属層248は、島状の銀を含み、島の有効厚さは、最大で7nm、例えば最大で4nm、例えば最大で3.5nm、例えば最大で3nm、例えば最大で2.5nm、例えば最大で2nm、例えば最大で1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば少なくとも0.2nm、例えば少なくとも0.4nm、例えば少なくとも0.5nm、例えば少なくとも0.7nm、例えば少なくとも1nmである。別の実施形態では、第2の金属層248は、島状の銅を含み、島の有効厚さは、最大で9nm、例えば5nm、4nm、例えば3.6nm、例えば2.6nm、例えば2nm、例えば1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば0.2nm、例えば0.3nm、例えば0.4nm、例えば0.5nm、例えば0.6nm、例えば0.7nmである。第2の金属層248は、任意に、島状の銀を含み、島の有効厚さは、最大で7nm、例えば最大で4nm、例えば最大で3.5nm、例えば最大で3nm、例えば最大で2.5nm、例えば最大で2nm、例えば最大で1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば少なくとも0.2nm、例えば少なくとも0.4nm、例えば少なくとも0.5nm、例えば少なくとも0.7nm、例えば少なくとも1nmである。第2の金属層248は、プラズモン共鳴理論に従って、電磁放射を吸収する。この吸収は、少なくとも部分的に、金属島の界面における境界条件に依存する。第2の金属層248は、金属層248のような赤外線反射層ではない。銀と銅の場合、亜臨界厚さ未満の厚さで堆積された銀金属と銅金属の金属島又は球(metallic islands or balls)は、約2nm~7nm、例えば5nm~7nmの高さを有することができると推定される。亜臨界金属層を均一に広げることができれば、その厚さは約1.1nmになると推定される。光学的には、不連続金属層は2.6nmの有効厚さとしてふるまうと推定される。酸化亜鉛又はアルミニウム亜鉛酸化物ではなくスズ酸亜鉛上に不連続金属層を堆積させると、コーティング、例えば不連続金属層の可視光吸光度が増加するように見える。
【0063】
第2のプライマー層250は、第2の金属層248の上に配置され得る。第2のプライマー層250は、単一フィルム又は複数フィルム層とすることができる。第2のプライマー層250は、スパッタリングプロセス又はその後の加熱プロセス中の金属層248の劣化又は酸化を防止するために、堆積プロセス中に犠牲となり得る酸素捕捉材料を含むことができる。第2のプライマー層250は、機能性コーティング30、130、430を通過する、可視光などの電磁放射の少なくとも一部を吸収することもできる。第2のプライマー層250に有用な材料の例としては、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、シリコン酸窒化物、ニッケル、ジルコニウム、アルミニウム、コバルト、クロム、チタン、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物が含まれる。非限定的な一実施形態では、第2のプライマー層250は、チタン、チタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムを含み、これらは金属として堆積され、チタン、又はチタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムの少なくとも一部は、その後、酸化される。別の実施形態では、第2のプライマー層250は、インコネルなどのニッケルクロム合金を含む。別の実施形態では、第2のプライマー層250は、Stellite(登録商標)などのコバルトクロム合金を含む。
【0064】
第2のプライマー層250は、0.5nm~5nm、例えば1nm~4nm、又は例えば1nm~2.5nmの範囲の厚さを有することができる。
【0065】
第2の中間層260は、第2の金属層248の少なくとも一部の上に(例えば、第2のプライマー層250の上に)配置される。第2の中間層260は、第1の中間層240に関して上述したような、1つ以上の金属酸化物又は金属合金酸化物含有フィルムを含むことができる。例えば、第2の中間層260は、第2のプライマー層250の少なくとも一部の上に堆積された金属酸化物(例えば、酸化亜鉛又はアルミニウム亜鉛酸化物)を含む第1のフィルム262と、第1のフィルム262の少なくとも一部の上の金属酸化物(例えば、スズ酸亜鉛フィルム)を含む第2のフィルム264と、第2のフィルム264の少なくとも一部の上の金属酸化物(例えば、酸化亜鉛フィルム又はアルミニウム亜鉛酸化物フィルム)を含む第3のフィルム266とを備えることができる。
【0066】
第2の中間層260は、20nm~100nm、例えば20nm~80nm、例えば20nm~50nm、例えば20nm~40nmの範囲の合計厚さ(例えば、複数の層を合わせた厚さ)を有する。
【0067】
一例では、第1及び第3のフィルム262、266の両方が存在し、それぞれが5nm~20nm、例えば5nm~20nm、例えば7.5nm~15nm、例えば8nm~15nm、例えば9.5nm~10nmの範囲の厚さを有する。第2のフィルム264は、10nm~80nm、例えば20nm~70nm、例えば30nm~60nm、例えば38nm~50nm、例えば38nm~45nmの範囲の厚さを有することができる。
【0068】
第3の金属層268は、第2の中間層260の少なくとも一部の上に形成することができる。第3の金属層268は、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はそれらの混合物、それらの合金、又はそれらの組合せなどの反射金属を含むことができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、第3の金属層268は金属銀層を含む。
【0069】
一実施形態では、第3の金属層268は、第2の中間層の少なくとも一部の上に形成された連続層である。第3の金属層268は、例えば2.5nm~30nm、例えば5nm~30nm、例えば5nm~20nm、例えば7nm~20nm、例えば12nm~18nm、例えば15nm~18nmの合計厚さを有する連続層である。
【0070】
別の実施形態では、第3の金属層268は、第2の中間層の少なくとも一部の上に形成された亜臨界厚さを有する不連続層である。金属材料、例えば、限定されないが、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はそれらの混合物、それらの合金、又はそれらの組合せは、材料の連続層ではなく、材料の孤立した領域又は島が形成されるように、亜臨界厚さで適用される。銀の場合、臨界厚さは5nm未満、例えば4nm未満、例えば3nm未満、例えば2.5nm未満であることが決定されている。銀の場合、連続層と亜臨界層の間の遷移は、2.5nm~5nmの範囲で発生する。銅の場合、有効厚さは、最大で9nm、例えば5nm、4nm、例えば3.6nm、例えば2.6nm、例えば2nm、例えば1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば0.2nm、例えば0.3nm、例えば0.4nm、例えば0.5nm、例えば0.6nm、例えば0.7nmであることが決定されている。銅、金、及びパラジウムは、この範囲で同様の亜臨界挙動を示すと推定されている。非限定的な一実施形態では、第3の金属層268は、島状の銀を含み、島の有効厚さは、最大で7nm、例えば最大で4nm、例えば最大で3.5nm、例えば最大で3nm、例えば最大で2.5nm、例えば最大で2nm;例えば最大で1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば少なくとも0.2nm、例えば少なくとも0.4nm、例えば少なくとも0.5nm、例えば少なくとも0.7nm、例えば少なくとも1nmである。別の実施形態では、第3の金属層268は、島状の銅を含み、島の有効厚さは、最大で9nm、例えば5nm、40nm、例えば3.6nm、例えば2.6nm、例えば2nm、例えば1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば0.2nm、例えば0.3nm、例えば0.4nm、例えば0.5nm、例えば0.6nm、例えば0.7nmであり、第3の金属層268は、任意に、島状の銀を含み、島の有効厚さは、最大で7nm、例えば最大で4nm、例えば最大で3.5nm、例えば最大で3nm、例えば最大で2.5nm、例えば最大で2nm、例えば最大で1.7nm、及び少なくとも0.1nm、例えば少なくとも0.2nm、例えば少なくとも0.4nm、例えば少なくとも0.5nm、例えば少なくとも0.7nm、例えば少なくとも1nmである。第3の金属層268は、プラズモン共鳴理論に従って、電磁放射を吸収する。この吸収は、少なくとも部分的に、金属島の界面における境界条件に依存する。第3の金属層268は、金属層228のような赤外線反射層ではない。銀と銅の場合、亜臨界厚さ未満の厚さで堆積された銀金属と銅金属の金属島又は球(metallic islands or balls)は、約2nm~7nm、例えば5nm~7nmの高さを有することができると推定される。亜臨界金属層を均一に広げることができれば、その厚さは約1.1nmになると推定される。光学的には、不連続金属層は2.6nmの有効厚さとしてふるまうと推定される。
【0071】
第3のプライマー層270は、第3の金属層268の上に配置される。第3のプライマー層270は、単一フィルム又は複数フィルム層とすることができる。第3のプライマー層270は、スパッタリングプロセス又はその後の加熱プロセス中の第3の金属層268の劣化又は酸化を防止するために、堆積プロセス中に犠牲となり得る酸素捕捉材料を含むことができる。第3のプライマー層270は、機能性コーティング30、130、430を通過する、可視光などの電磁放射の少なくとも一部を吸収することもできる。第3のプライマー層270に有用な材料の例としては、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、シリコン酸窒化物、ニッケル、ジルコニウム、アルミニウム、コバルト、クロム、チタン、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物が含まれる。非限定的な一実施形態では、第3のプライマー層270は、チタン、チタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムを含み、これらは金属として堆積され、チタン、又はチタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムの少なくとも一部は、その後、酸化される。別の実施形態では、第3のプライマー層270は、インコネルなどのニッケルクロム合金を含む。別の実施形態では、第3のプライマー層270は、Stellite(登録商標)などのコバルトクロム合金を含む。
【0072】
第3のプライマー層270は、0.5nm~5nm、例えば1nm~4nm、又は例えば1nm~2.5nmの範囲の厚さを有することができる。
【0073】
第3の中間層280は、第3の金属層268の少なくとも一部の上に(例えば、第3のプライマー層の上に)配置される。第3の中間層280は、第1の中間層240に関して上述したような、1つ以上の金属酸化物又は金属合金酸化物含有フィルムを含むことができる。例えば、第3の中間層は、第3のプライマー層270の少なくとも一部の上に堆積された金属酸化物(例えば、酸化亜鉛又はアルミニウム亜鉛酸化物)を含む第1のフィルム282と、第1のフィルム282の少なくとも一部の上の金属酸化物(例えば、スズ酸亜鉛フィルム)を含む第2のフィルム284と、第2のフィルム284の少なくとも一部の上の金属酸化物(例えば、酸化亜鉛フィルム又はアルミニウム亜鉛酸化物フィルム)を含む第3のフィルム286とを備えることができる。
【0074】
第3の中間層280は、20nm~100nm、例えば40nm~90nm、例えば50nm~90nm、例えば65nm~80nm、例えば30nm~40nmの範囲の合計厚さ(例えば、複数の層を合わせた厚さ)を有する。
【0075】
一例では、第1及び第3のフィルム282、286の両方が存在し、それぞれが5nm~20nm、例えば7.5nm~15nm、例えば8nm~15nm、例えば9.5nm~10nmの範囲の厚さを有する。第2のフィルム284は、10nm~80nm、例えば20nm~70nm、例えば30nm~60nm、例えば38nm~50nm、例えば38nm~45nmの範囲の厚さを有することができる。
【0076】
第4の金属層288は、第3の中間層280の少なくとも一部の上に形成される。第4の金属層288は、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はそれらの混合物、それらの合金、又はそれらの組合せなどの反射金属を含むことができるが、これらに限定されるものではない。第4の金属層288は連続層である。いくつかの実施形態では、第4の金属層288は金属銀層を含む。
【0077】
第4の金属層288は、5nm~30nm、例えば6nm~15nm、例えば6nm~10nm、例えば10nm~25nm、例えば15nm~25nm、例えば20nm~25nm、例えば21nm~23nmの合計厚さを有する連続層である。
【0078】
第4のプライマー層290は、第4の金属層288の上に配置される。第4のプライマー層290は、単一フィルム又は複数フィルム層とすることができる。第4のプライマー層290は、スパッタリングプロセス又はその後の加熱プロセス中の第4の金属層288の劣化又は酸化を防止するために、堆積プロセス中に犠牲となり得る酸素捕捉材料を含むことができる。第4のプライマー層290は、機能性コーティング30、130、430を通過する、可視光などの電磁放射の少なくとも一部を吸収することもできる。第4のプライマー層290に有用な材料の例としては、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、シリコン酸窒化物、ニッケル、ジルコニウム、アルミニウム、コバルト、クロム、チタン、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物が含まれる。非限定的な一実施形態では、第4のプライマー層290は、チタン、チタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムを含み、これらは金属として堆積され、チタン、又はチタン及びアルミニウム、又は亜鉛及びアルミニウムの少なくとも一部は、その後、酸化される。別の実施形態では、第4のプライマー層290は、インコネルなどのニッケルクロム合金を含む。別の実施形態では、第4のプライマー層290は、Stellite(登録商標)などのコバルトクロム合金を含む。
【0079】
第4のプライマー層290は、0.5nm~5nm、例えば1nm~4nm、又は例えば1nm~2.5nmの範囲の厚さを有することができる。
【0080】
トップ層300は、最上金属層の上に(例えば、最上プライマー層の上に)配置される。単一の金属層機能性コーティング31、131では、トップ層300は、金属層228の少なくとも一部の上に(例えば、第1のプライマー層230の上に)形成される。二重の金属層機能性コーティング32、132では、トップ層300は、第2の金属層248の少なくとも一部の上に(例えば、第2のプライマー層250の上に)形成される。三重の金属層機能性コーティング33、133では、トップ層300は、第3の金属層268の少なくとも一部の上に(例えば、第3のプライマー層270の上に)形成される。四重の金属層機能性コーティング34、134では、トップ層300は、第4の金属層288の少なくとも一部の上に(例えば、第4のプライマー層290の少なくとも一部の上に)形成される。
【0081】
トップ層300は、第1の中間層220に関して上述したような、1つ以上の金属酸化物又は金属合金酸化物含有フィルムを含むことができる。例えば、トップ層300は、最上金属層の上に(例えば最上プライマー層の上に)堆積された第1の金属酸化物フィルム302(例えば、酸化亜鉛フィルム)と、第1の金属酸化物フィルム302の少なくとも一部の上に堆積された第2の金属合金フィルム304(例えば、スズ酸亜鉛フィルム)とを備えることができる(
図4B、
図5B、
図6B、及び
図7B)。例えば、トップ層300は、最上金属層の上に(例えば最上プライマー層の上に)堆積された第1の金属合金フィルム302(例えば、スズ酸亜鉛フィルム)と、第1の金属合金フィルム302の少なくとも一部の上に堆積された金属酸窒化物フィルム304(例えば、シリコンアルミニウム酸窒化物フィルム)とを備えることができる。別の実施形態では、トップ層300は、最上金属層の上に(例えば最上プライマー層の上に)堆積された第1の金属酸化物フィルム302(例えば、酸化亜鉛フィルム又はアルミニウム亜鉛酸化物フィルム)と、第1のフィルム302の少なくとも一部の上に堆積された第2の金属合金フィルム304(例えば、スズ酸亜鉛フィルム)と、第2のスズ酸亜鉛フィルム304の上に堆積された第3の金属合金酸窒化物フィルム306(例えば、シリコンアルミニウム酸窒化物フィルム)とを備えることができる(
図4C、
図5C、
図6C、及び7C)。
【0082】
トップ層300は、5nm~100nm、例えば20nm~90nm、例えば5nm~75nm、例えば25nm~60nm、例えば30nm~55nm、例えば30nm~40nm、例えば10nm~80nmの範囲の合計厚さ(例えば、複数の層を合わせた厚さ)を有することができる。
【0083】
任意の最外保護コーティング320は、トップ層300の少なくとも一部の上に形成することができ、コーティングされた物品の最上層とすることができる。最外保護コーティング320は、下にある機能性コーティング層を、機械的及び/又は化学的攻撃から保護するのに役立つことができる。最外保護コーティング320は、加熱中又は曲げ中などに、周囲の酸素がコーティングの下層に通過するのを防止し又は低減するための酸素バリアコーティング層とすることができる。最外保護コーティング320は、任意の所望の材料又は材料の混合物とすることができ、1つ又は複数の保護フィルムで構成することができる。最外保護コーティング320は保護層を含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、SiAlO、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
一実施形態では、最外保護層は、第1の保護フィルム322と、第1の保護フィルム322の少なくとも一部の上の第2の保護フィルム324とから構成されてもよい。一実施形態では、第1の保護フィルム322は、トップ層300の金属酸窒化物フィルムの上に(例えばシリコンアルミニウム酸窒化物の上に)配置され、これと接触する金属窒化物フィルム(例えば、シリコンアルミニウム窒化物)を含み、第2の保護フィルム324は、第1保護フィルム322の上に配置され、これと接触する金属合金酸化物(チタンアルミニウム酸化物)を含む。
【0085】
一実施形態では、トップ層300の金属酸窒化物フィルムは、トップ層300の金属酸窒化物フィルムと接触する第1の保護金属窒化物フィルム322と同じ金属の金属酸窒化物である。別の実施形態では、トップ層300の金属酸窒化物フィルムは勾配層である。ここで、例えば上述した原子比で、トップ層300の最上部の金属合金フィルムに最も近い金属酸窒化物フィルムの部分は、より多くの量の酸素を含み、金属酸窒化物フィルムの反対の部分(例えば、第1の保護金属窒化物フィルム322に最も近い金属酸窒化物フィルムの部分)は、より多くの量の窒素を含む。一実施形態では、トップ層300の金属酸窒化物フィルム及び第1の保護金属窒化物フィルム322は、連続した単一の勾配層を形成する。別の実施形態では、トップ層300の金属酸窒化物フィルムは、金属合金酸化物フィルムの上に、及び/又は金属合金酸化物フィルムと第1の保護金属窒化物フィルム322との間に、適用される。別の実施形態では、第1の保護金属窒化物フィルム322は存在せず、トップ層300の金属酸窒化物フィルムは勾配層であり、トップ層300の金属酸窒化物フィルム中の酸素の量は、トップ層300の金属合金酸化物フィルム層からの距離が増すにつれて減少する。例えば、トップ層300の最上部の金属合金酸化物フィルムに最も近いトップ層300の金属酸窒化物フィルムの部分は、より多くの量の酸素を含み、トップ層300の酸窒化物フィルムの反対の部分は、より多くの窒素を含む。ここで、金属酸窒化物中の酸素と窒素の原子比は、窒素(N2)の流量とO2の流量に基づく近似値である。トップ層300の酸窒化物フィルムは、0重量%以上の酸素、及び50重量%以下の酸素;40重量%以下の酸素;30重量%以下の酸素;20重量%以下の酸素;10重量%以下の酸素;又は5重量%以下の酸素を含む。トップ層300の酸窒化物フィルム中の酸素と窒素の有用な原子比の非限定的な例としては、例えば、限定するものではないが、5%~45%のOと95%~55%のN;10%~50%のOと90%~50%のN;15%~40%のOと85%~60%のN;20%~50%のOと80%~50%のN;25%~45%のOと75%~55%のN;30%~50%のOと70%~50%のN;40%~50%のOと60%~50%のN;又は50%のOと50%のN、が挙げられる。
【0086】
トップ層300の金属酸窒化物フィルムは、0nm超~40nm、例えば、7nm~40nm、10nm~40nm、28nm~33nm、又は12nm~22nmの範囲の厚さを有することができる。トップ層300の金属酸窒化物フィルムが傾斜層である実施形態、又は最外保護コーティング内に金属窒化物フィルムがない実施形態では、20nm~40nm、例えば22.5nm~39nm、例えば25nm~38nm、例えば28nm~37.5nmの厚さを有することができる。
【0087】
第1の保護金属窒化物フィルム322は、0nm超~40nm、例えば7nm~40nm、例えば10nm~40nm、例えば25nm~40nm、例えば28nm~33nm、例えば20nm~25nm、例えば20nm~40nm、例えば10nm~16nmの範囲の厚さを有することができる。トップ層300の金属酸窒化物フィルムがない、及び/又は第2の保護フィルムがない実施形態では、第1の保護金属窒化物フィルム322は、10nm~40nm、好ましくは25nm~40nm、最も好ましくは28nm~33nmの範囲の厚さを有することができる。トップ層300が金属酸窒化フィルムを有し、最外保護コーティング320が第2の保護フィルム324を有する実施形態では、第1の保護金属窒化物フィルム322は、10nm~40nm、例えば10nm~33nm、例えば10.5nm~30nm、例えば11.5nm~25nmの厚さを有することができる。保護コーティング320が第1の保護金属窒化物フィルム322と第2の保護フィルム324の両方を有する実施形態では、トップ層300の金属酸窒化物フィルムは、5nm~28nm、例えば7.5nm~26nm、例えば10nm~24nm、例えば12nm~22nmの厚さを有することができる。
【0088】
特定の実施形態では、本発明は、トップ層300の金属酸窒化物フィルム(存在する場合)及び/又は第1の保護金属窒化物フィルム322(存在する場合)を合わせた厚さが、20nmと80nmの間、例えば、32nm~80nm、32nm~38nm、又は28nm~37nmである。
【0089】
特定の実施形態では、保護コーティング320は、TiAlOを含む第2の保護フィルム324を含むことができる。第2の保護フィルム324の非限定的な例は、例えば10nm~40nm、例えば20nm~37nm、例えば24.5nm~30nm、例えば28.5nm~30nmの範囲の厚さを有することができる。第2の保護フィルム324は、例えば、最もトップ層として、本開示と一致するトップ層、金属窒化物フィルム、及び金属酸窒化物フィルムの任意の他の構成に適用され得ることが理解されるべきである。あるいは、追加の機能性層又は保護層を第2の保護フィルム324上に適用することができる(図示せず)。この追加の保護フィルムは、保護コーティング320又は第2の保護フィルム324を形成するために使用される任意の材料、又はトップコートとして使用され得る任意の材料とすることができる。同様に、コーティングされた物品は、第2の保護フィルム324を含む必要がないことを理解されたい。
【0090】
最外保護コーティング320は、20nm~80nm、例えば30nm~70nm、例えば35nm~60nm、例えば40nm~55nmの範囲の合計厚さ(すなわち、保護コーティング320内の層又はフィルムのすべての厚さの合計)を有する。
【0091】
最外保護コーティング320は、単一のチタニアフィルムも含むことができる。単一のチタニアフィルムは、1nm~10nm、例えば2nm~8nm、又は2nm~3nmの厚さを有することができる。
【0092】
本発明の実施において、金属層に特定の金属を選択し、プライマー材料及び厚さを選択し、誘電体材料及び厚さを選択することによって、コーティングの吸収された色(例えば、色合い)を変えることができる。本発明のコーティングされた物品は、焼戻し可能でなくてもよい。本発明のコーティングされた物品は、焼戻し可能であってもよい。本発明の実施において、焼戻しの前後でコーティングされた物品の色を維持することが望ましい。
【0093】
単一の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、5オーム毎平方(Ω/□)~10.00Ω/□、例えば6.00Ω/□~9.00Ω/□、又は例えば6.50Ω/□~8.50Ω/□のシート抵抗を有してもよい。単一の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、アニール後に、6.00Ω/□~11.00Ω/□、例えば6.75Ω/□~10.50Ω/□、又は例えば7.75Ω/□~9.50Ω/□のシート抵抗を有してもよい。
【0094】
二重の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、1.50Ω/□~2.50Ω/□、例えば1.60Ω/□~2.10Ω/□、又は例えば1.75Ω/□~1.95Ω/□のシート抵抗を有してもよい。二重の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、アニール後に、1.50Ω/□~3.50Ω/□、例えば2.00Ω/□~3.00Ω/□、又は例えば2.25Ω/□~2.80Ω/□のシート抵抗を有してもよい。
【0095】
三重の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、0.50Ω/□~1.25Ω/□、例えば0.60Ω/□~1.00Ω/□、又は例えば0.75Ω/□~0.90Ω/□のシート抵抗を有してもよい。三重の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、アニール後に、0.60Ω/□~2.00Ω/□、例えば0.75Ω/□~1.50Ω/□、又は例えば1.00Ω/□~1.30Ω/□のシート抵抗を有してもよい。
【0096】
四重の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、0.60Ω/□~1.00Ω/□、例えば0.70Ω/□~0.90Ω/□、又は例えば0.72Ω/□~0.85Ω/□のシート抵抗を有してもよい。四重の金属コーティングを有する本発明のコーティングされた物品は、アニール後に、0.80Ω/□~2.00Ω/□、例えば0.90Ω/□~1.70Ω/□、又は例えば1.00Ω/□~1.50Ω/□のシート抵抗を有してもよい。コーティングされた物品は、基板210の主表面の少なくとも一部の上に堆積されたベース層220を含む。ベース層220は、金属層内の微視的な散乱中心形成を低減し、焼戻し後のコーティングされた物品における赤色ヘイズを低減することができる。
【0097】
非限定的な一実施形態は、金属層内の微視的な散乱中心形成を低減する方法である。
【0098】
「散乱中心」とは、金属層内又は金属層上の分岐状、樹木状、若しくは樹枝状の特徴、又はコーティングの上部の、若しくは機能性コーティングの複数の層のいずれか1層の中の円形の凝集体の特徴を意味する。例えば、散乱中心は、結晶又は結晶塊である可能性がある。散乱は、金属層が加熱された後に発生するボイドである可能性がある。これらの散乱中心は、典型的には、焼戻しプロセス中に、金属層内又は金属層上に形成される。
【0099】
コーティングされた物品が華氏1,185度(°F、摂氏641度(℃))以上、例えば1,200°F(649°C)以上、例えば1,260°F(682°C)以上の温度に加熱されると、コーティングされた物品に散乱中心が形成される可能性がある。コーティングされた物品が1,185°F以上の温度に加熱されたときに形成される散乱中心は、その後、コーティングされた物品が1,200°F以上の温度に加熱されると、サイズが増大する可能性がある。本明細書で使用される場合、この温度は、コーティングを含む基板の表面の温度を指す。
【0100】
本発明のベース層を有しないコーティングされた物品は、コーティングされた物品が1,185°F以上、例えば1,200°F以上の温度に加熱されると、散乱中心を形成する可能性がある。
【0101】
金属層内の散乱中心の形成を低減するために、基板が提供される。基板は、本明細書に記載の基板のいずれであってもよい。基板は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する。第1の表面又は第2の表面の少なくとも一部の上にベース層が形成される。ベース層は、基板の少なくとも一部の上の酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体の上の第2のフィルムとを含む。第2のフィルムは、本明細書に記載の材料のいずれであってもよい。金属層は、本明細書に記載のいずれの金属層であってもよい。金属層の少なくとも一部の上にトップ層が形成される。トップ層は、本明細書に記載のいずれのトップ層であってもよい。ベース層、金属層、及びトップ層の形成により、コーティングされた物品が作製される。コーティングされた物品は、本明細書に記載されるように、追加の層をさらに含んでもよい。コーティングされた物品が、1,185°F以上、例えば1,200°F以上の温度に加熱されると、金属層内の散乱中心形成は、本発明のベース層のないコーティングされた物品、又は本発明のベース層とは異なるベース層を有するコーティングされた物品と比較して低減する。
【0102】
別の非限定的な実施形態は、コーティングされた物品の赤色ヘイズを低減する方法である。金属層内に形成される散乱中心は、本明細書で上述したように、光散乱特徴であることができ、光散乱特徴は、コーティングされた物品のヘイズ(すなわち、光散乱)を増加させる。金属層内の散乱中心により、電磁エネルギーの光波が、よりランダムに伝わって導波管効果を妨害し、金属層を通過して基板に入り、その後、基板の底面から出る電磁エネルギーの量が増加する。本明細書に記載の「赤色ヘイズ(red haze)」は、コーティングされた物品が暗い背景の前で明るい光によって照らされた場合に見える光散乱効果に関する。赤色ヘイズは、焼戻し又は熱強化プロセス中に金属層内に形成されるボイド(空乏又は空孔)の結果として形成される。加熱中のガラス及びコーティングスタック内のアルカリ金属イオン(ナトリウムイオンなど)の移動は、核生成及び成長をもたらし、その結果、散乱中心が形成され、コーティングされた物品に赤色ヘイズが生じる。赤色ヘイズは、基板上にベース層を形成することによって低減される。ベース層は、基板の少なくとも一部の上の酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体の上の第2のフィルムとを含む。第2のフィルムは、本明細書に記載の材料のいずれであってもよい。ベース層の少なくとも一部の上に金属層が形成される。金属層は、本明細書に記載のいずれの金属層であってもよい。金属層の少なくとも一部の上にトップ層が形成される。トップ層は、本明細書に記載のいずれのトップ層であってもよい。ベース層、金属層、及びトップ層の形成により、コーティングされた物品が作製される。コーティングされた物品は、本明細書に記載されるように、追加の層を含んでもよい。コーティングされた物品が、1,185°F以上、例えば1,200°F以上の温度に加熱されると、コーティングされた物品の赤色ヘイズは、本発明のベース層のないコーティングされた物品、又は本発明のベース層とは異なるベース層を有するコーティングされた物品の赤色ヘイズよりも小さい。
【0103】
コーティングされた物品内の金属イオンの移動は、ガラス基板の第1の表面上にベース層を形成することによって低減することができる。第1の表面又は第2の表面の少なくとも一部の上にベース層が形成される。ベース層は、基板の少なくとも一部の上の酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体の上の第2のフィルムと、任意の第3のフィルムとを含む。第2のフィルムは、本明細書に記載の材料のいずれであってもよい。金属層は、本明細書に記載のいずれの金属層であってもよい。金属層の少なくとも一部の上にトップ層が形成される。トップ層は、本明細書に記載のいずれのトップ層であってもよい。ベース層、金属層、及びトップ層の形成により、コーティングされた物品が作製される。コーティングされた物品は、本明細書に記載されるように、追加の層をさらに含んでもよい。コーティングされた物品が、1,185°F以上、例えば1,200°F以上の温度に加熱されると、金属イオンの移動は、本発明のベース層のないコーティングされた物品、又は本発明のベース層とは異なるベース層を有するコーティングされた物品と比較して低減する。金属イオンは、ナトリウムイオンなどアルカリ金属イオン、又は亜鉛イオンなどの金属イオンであってもよい。
【0104】
以下の番号付きの条項は、本発明の様々な態様を例示するものである:
【0105】
条項1:第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基板と、第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングとを含む、コーティングされた物品であって、機能性コーティングは、基板の少なくとも一部の上のベース層と、ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、金属層の少なくとも一部の上のトップ層とを含み、ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む、上記コーティングされた物品。
【0106】
条項2:コーティングされた物品が、焼戻し可能である、条項1に記載のコーティングされた物品。
【0107】
条項3:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項1又は2に記載のコーティングされた物品。
【0108】
条項4:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項1~3のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0109】
条項5:金属層が、銀を含む、条項5に記載のコーティングされた物品。
【0110】
条項6:金属層が、連続金属層である、条項1~5のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0111】
条項7:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項1~5のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0112】
条項8:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項7に記載のコーティングされた物品。
【0113】
条項9:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項1~8のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0114】
条項10:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項9に記載のコーティングされた物品。
【0115】
条項11:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項1~10のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0116】
条項12:保護層が、チタニアを含む、条項11に記載のコーティングされた物品。
【0117】
条項13:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項11に記載のコーティングされた物品。
【0118】
条項14:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項13に記載のコーティングされた物品。
【0119】
条項15:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項13に記載のコーティングされた物品。
【0120】
条項16:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項1~15のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0121】
条項17:第1の中間層が、第1のフィルム、第2のフィルム、及び第3のフィルムを含む、条項16に記載のコーティングされた物品。
【0122】
条項18:第1の中間層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含み、第3のフィルムが、第2のフィルムの少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含む、条項17に記載のコーティングされた物品。
【0123】
条項19:第2の金属層が連続層である、条項16~18のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0124】
条項20:第2の金属層が不連続層である、条項16~18のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0125】
条項21:第2の金属層の上に形成された第2のプライマー層をさらに含む、条項16~20のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0126】
条項22:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項1~15のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0127】
条項23:第2の中間層が、第1のフィルム、第2のフィルム、及び第3のフィルムを含む、条項22に記載のコーティングされた物品。
【0128】
条項24:第2の中間層の第1のフィルムが、第2の金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含み、第3のフィルムが、第2のフィルムの少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含む、条項23に記載のコーティングされた物品。
【0129】
条項25:第3の金属層が連続層である、条項22~24のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0130】
条項26:第3の金属層が不連続層である、条項22~24のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0131】
条項27:第3の金属層の上に形成された第3のプライマー層をさらに含む、条項22~26のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0132】
条項28:条項28:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項1~15のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0133】
条項29:第3の中間層が、第1のフィルム、第2のフィルム、及び第3のフィルムを含む、条項28に記載のコーティングされた物品。
【0134】
条項30:第3の中間層の第1のフィルムが、第3の金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含み、第3のフィルムが、第2のフィルムの少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含む、条項29に記載のコーティングされた物品。
【0135】
条項31:第4の金属層が連続層である、条項28~30のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0136】
条項32:第4の金属層の上に形成された第4のプライマー層をさらに含む、条項28~31のいずれかに記載のコーティングされた物品。
【0137】
条項33:コーティングされた物品の金属層内の散乱中心形成を低減する方法であって、当該方法は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基板を提供する工程と、第1の表面の少なくとも一部の上にベース層を形成する工程と、ベース層の少なくとも一部の上に金属層を形成する工程と、金属層の少なくとも一部の上にトップ層を形成し、それによってコーティングされた物品を形成する工程と、コーティングされた物品を1,185°F以上の温度に加熱する工程と、を含み、前記ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含み、前記コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、金属層内の散乱中心形成が低減している、上記方法。
【0138】
条項34:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項33に記載の方法。
【0139】
条項35:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項33又は34に記載の方法。
【0140】
条項36:金属層が、銀を含む、条項35に記載の方法。
【0141】
条項37:金属層が、連続金属層である、条項33~36のいずれかに記載の方法。
【0142】
条項38:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項33~37のいずれかに記載の方法。
【0143】
条項39:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項38に記載の方法。
【0144】
条項40:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項33~39のいずれかに記載の方法。
【0145】
条項41:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項40に記載の方法。
【0146】
条項42:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項33~41のいずれかに記載の方法。
【0147】
条項43:保護層が、チタニアを含む、条項42に記載の方法。
【0148】
条項44:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項42に記載の方法。
【0149】
条項45:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項44に記載の方法。
【0150】
条項46:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項44に記載の方法。
【0151】
条項47:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項33~46のいずれかに記載の方法。
【0152】
条項48:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項33~46のいずれかに記載の方法。
【0153】
条項49:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項33~46のいずれかに記載の方法。
【0154】
条項50:コーティングされた物品が、1,200°F以上の温度に加熱される、条項33~49のいずれかに記載の方法。
【0155】
条項51:コーティングされた物品が、異なるベース層を有するコーティングされた物品と比較して、散乱中心形成が低減している、条項33~50のいずれかに記載の方法。
【0156】
条項52:コーティングされた物品の赤色ヘイズを低減する方法であって、当該方法は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基板を提供する工程と、第1の表面の少なくとも一部の上にベース層を形成する工程と、ベース層の少なくとも一部の上に金属層を形成する工程と、金属層の少なくとも一部の上にトップ層を形成し、それによってコーティングされた物品を形成する工程と、コーティングされた物品を1,185°F以上の温度に加熱する工程と、を含み、前記ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含み、前記コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、赤色ヘイズが低減している、上記方法。
【0157】
条項53:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項52に記載の方法。
【0158】
条項54:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項52又は53に記載の方法。
【0159】
条項55:金属層が、銀を含む、条項54に記載の方法。
【0160】
条項56:金属層が、連続金属層である、条項52~55のいずれかに記載の方法。
【0161】
条項57:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項52~56のいずれかに記載の方法。
【0162】
条項58:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項57に記載の方法。
【0163】
条項59:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項52~58のいずれかに記載の方法。
【0164】
条項60:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項59に記載の方法。
【0165】
条項61:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項52~60のいずれかに記載の方法。
【0166】
条項62:保護層が、チタニアを含む、条項61に記載の方法。
【0167】
条項63:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項61に記載の方法。
【0168】
条項64:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項63に記載の方法。
【0169】
条項65:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項63に記載の方法。
【0170】
条項66:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項52~65のいずれかに記載の方法。
【0171】
条項67:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項52~65のいずれかに記載の方法。
【0172】
条項68:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項52~65のいずれかに記載の方法。
【0173】
条項69:コーティングされた物品が、1,200°F以上の温度に加熱される、条項52~68のいずれかに記載の方法。
【0174】
条項70:コーティングされた物品が、異なるベース層を有するコーティングされた物品と比較して、散乱中心形成が低減している、条項52~69のいずれかに記載の方法。
【0175】
条項71:No.1表面及びNo.1表面の反対側のNo.2表面を有する第1のプライと、No.3表面及びNo.4表面を有する第2のプライと、No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上の機能性コーティングと、を含む、断熱ガラスユニットであって、第2のプライは第1のプライから離間しており、第1のプライと第2のプライとは互いに接続されており、機能性コーティングは、No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上のベース層と、ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、金属層の少なくとも一部の上のトップ層と、を含み、前記ベース層は、No.2表面又はNo.3表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む、断熱ガラスユニット。
【0176】
条項72:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項71に記載の断熱ガラスユニット。
【0177】
条項73:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項71又は72に記載の断熱ガラスユニット。
【0178】
条項74:金属層が、銀を含む、条項73に記載の断熱ガラスユニット。
【0179】
条項75:金属層が、連続金属層である、条項71~74のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0180】
条項76:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項71~75のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0181】
条項77:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項76に記載の断熱ガラスユニット。
【0182】
条項78:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項71~77のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0183】
条項79:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項78に記載の断熱ガラスユニット。
【0184】
条項80:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項71~79のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0185】
条項81:保護層が、チタニアを含む、条項80に記載の断熱ガラスユニット。
【0186】
条項82:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項80に記載の断熱ガラスユニット。
【0187】
条項83:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項82に記載の断熱ガラスユニット。
【0188】
条項84:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項82に記載の断熱ガラスユニット。
【0189】
条項85:No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項71~84のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0190】
条項86:No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項71~84のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0191】
条項87:No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項71~84のいずれかに記載の断熱ガラスユニット。
【0192】
条項88:コーティングされた物品を製造する方法であって、当該方法は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基板を提供する工程と、第1の表面の少なくとも一部の上にベース層を形成する工程と、ベース層の少なくとも一部の上に金属層を形成する工程と、金属層の少なくとも一部の上にトップ層を形成する工程と、を含み、前記ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む、上記方法。
【0193】
条項89:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項88に記載の方法。
【0194】
条項90:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項88又は89に記載の方法。
【0195】
条項91:金属層が、銀を含む、条項90に記載の方法。
【0196】
条項92:金属層が、連続金属層である、条項88~91のいずれかに記載の方法。
【0197】
条項93:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項88~92のいずれかに記載の方法。
【0198】
条項94:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項93に記載の方法。
【0199】
条項95:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項88~94のいずれかに記載の方法。
【0200】
条項96:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項95に記載の方法。
【0201】
条項97:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項88~96のいずれかに記載の方法。
【0202】
条項98:保護層が、チタニアを含む、条項97に記載の方法。
【0203】
条項99:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項97に記載の方法。
【0204】
条項100:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項99に記載の方法。
【0205】
条項101:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項99に記載の方法。
【0206】
条項102:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項88~101のいずれかに記載の方法
【0207】
条項103:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項88~101のいずれかに記載の方法。
【0208】
条項104:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項88~101のいずれかに記載の方法。
【0209】
条項105:No.1表面及びNo.1表面の反対側のNo.2表面を有する第1のプライと、No.3表面及びNo.4表面を有する第2のプライと、No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上の機能性コーティングと、を含む、フロントガラスであって、第2のプライは第1のプライから離間しており、第1のプライと第2のプライとは中間層で互いに接続されており、機能性コーティングは、No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上のベース層と、ベース層の少なくとも一部の上の金属層と、金属層の少なくとも一部の上のトップ層と、を含み、前記ベース層は、No.2表面又はNo.3表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含む、フロントガラス。
【0210】
条項106:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項105に記載のフロントガラス。
【0211】
条項107:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項105又は106に記載のフロントガラス。
【0212】
条項108:金属層が、銀を含む、条項107に記載のフロントガラス。
【0213】
条項109:金属層が、連続金属層である、条項105~108のいずれかに記載のフロントガラス。
【0214】
条項110:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項105~109のいずれかに記載のフロントガラス。
【0215】
条項111:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項110に記載のフロントガラス。
【0216】
条項112:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項105~111のいずれかに記載のフロントガラス。
【0217】
条項113:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項112に記載のフロントガラス。
【0218】
条項114:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項105~113のいずれかに記載のフロントガラス。
【0219】
条項115:保護層が、チタニアを含む、条項114に記載のフロントガラス。
【0220】
条項116:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項114に記載のフロントガラス。
【0221】
条項117:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項116に記載のフロントガラス。
【0222】
条項118:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項116に記載のフロントガラス。
【0223】
条項119:No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項105~118のいずれかに記載のフロントガラス。
【0224】
条項120:No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項105~118のいずれかに記載のフロントガラス。
【0225】
条項121:No.2表面又はNo.3表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項105~118のいずれかに記載のフロントガラス。
【0226】
条項122:コーティングされた物品内の金属イオンの移動を低減する方法であって、当該方法は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有するガラス基板を提供する工程と、第1の表面の少なくとも一部の上にベース層を形成する工程と、ベース層の少なくとも一部の上に金属層を形成する工程と、金属層の少なくとも一部の上にトップ層を形成し、それによってコーティングされた物品を形成する工程と、コーティングされた物品を1,185°F以上の温度に加熱する工程と、を含み、前記ベース層は、第1の表面の一部と直接接触する酸化スズを含む第1のフィルムと、第1のフィルムの全体を覆う第2のフィルムとを含み、前記コーティングされた物品は、1,185°F以上の温度に加熱した後、金属イオンの移動が低減している、上記方法。
【0227】
条項123:第2のフィルムが、第1のフィルムの全体を覆う酸化亜鉛を含む、条項122に記載の方法。
【0228】
条項124:金属層が、銀、金、パラジウム、銅、それらの合金、それらの混合物、又はそれらの組合せを含む、条項122又は123に記載の方法。
【0229】
条項125:金属層が、銀を含む、条項124に記載の方法。
【0230】
条項126:金属層が、連続金属層である、条項122~125のいずれかに記載の方法。
【0231】
条項127:トップ層が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、条項122~126のいずれかに記載の方法。
【0232】
条項128:トップ層の第1のフィルムが、金属層の少なくとも一部の上に酸化亜鉛を含み、第2のフィルムが、第1のフィルムの少なくとも一部の上にスズ酸亜鉛を含む、条項127に記載の方法。
【0233】
条項129:金属層の上に形成された第1のプライマー層をさらに含む、条項122~128のいずれかに記載の方法。
【0234】
条項130:プライマー層が、チタン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、クロム、アルミニウム、それらの合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項129に記載の方法。
【0235】
条項131:保護層を含む最外保護コーティングをさらに含み、保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項122~130のいずれかに記載の方法。
【0236】
条項132:保護層が、チタニアを含む、条項131に記載の方法。
【0237】
条項133:保護層が、第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムを含み、第2の保護フィルムが、第1の保護フィルムの少なくとも一部の上に配置される、条項131に記載の方法。
【0238】
条項134:第1の保護フィルムが、SiAlOを含む、条項133に記載の方法。
【0239】
条項135:第2の保護フィルムが、TiAlOを含む、条項133に記載の方法。
【0240】
条項136:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層とをさらに含み、トップ層が、第2の金属層の少なくとも一部の上にある、条項122~135のいずれかに記載の方法。
【0241】
条項137:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される機能性コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層とをさらに含み、トップ層が、第3の金属層の少なくとも一部の上にある、条項122~135のいずれかに記載の方法。
【0242】
条項138:第1の表面の少なくとも一部の上に適用される前記コーティングが、金属層の少なくとも一部の上の第1の中間層と、第1の中間層の少なくとも一部の上の第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上の第2の中間層と、第2の中間層の少なくとも一部の上の第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上の第3の中間層と、第3の中間層の少なくとも一部の上の第4の金属層とをさらに含み、トップ層が、第4の金属層の少なくとも一部の上にある、条項122~135のいずれかに記載の方法。
【0243】
条項139:金属イオンが、ナトリウムイオンである、条項122~138のいずれかに記載の方法。
【0244】
条項140:金属イオンが、亜鉛イオンである、条項122~138のいずれかに記載の方法。
【0245】
条項141:コーティングされた物品が、1,200°F以上の温度に加熱される、条項122~140のいずれかに記載の方法。
【0246】
条項142:コーティングされた物品が、異なるベース層を有するコーティングされた物品と比較して、金属イオンの移動が低減している、条項122~141のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0247】
基板を、表1に従って、機能性コーティングでコーティングした。基板はガラスであった。SnO
xは、追加の金属を実質的に含まない酸化スズである。Sn
80Zn
20O
x及びSn
90Zn
10O
xは、酸化亜鉛を用いてスパッタリングした酸化スズである。次いで、コーティングされた基板を、1,260°F±3~4°Fの温度に加熱した。
【表1】
【0248】
比較例を、表2に従って、コーティングで基板をコーティングすることによって調製した。基板はガラスであった。SiAlO
xは、シリコンアルミニウム酸化物である。次いで、コーティングされた基板を、1,260°F±3~4°Fの温度に加熱した。
【表2】
【0249】
試料番号1及び試料番号CE-1のコーティングされた基板を、X線光電子分光法(XPS)を用いて分析した。試料番号1のコーティングされた基板は、ガラス基板から、機能性コーティングへの、ナトリウム原子の移動が減少していた。試料CE-1のコーティングされた基板は、ガラス基板から、第1の層の第1のフィルム及び第2のフィルムへ、並びにガラス基板に最も近い金属層への、ナトリウムイオンの移動が認められた。試料CE-1のコーティングされた基板は、第1の層の第2のフィルムから、ガラス基板への、亜鉛イオンの移動も認められた。
【0250】
[理論実施例]
基板は、表3に従って、機能性コーティングでコーティングしてもよい。基板はガラスであってもよい。SnO
xは、追加の金属を実質的に含まない酸化スズである。
【表3】
【0251】
試料番号4~7のトップ層は、窒化シリコン(Si3N4)、酸窒化シリコン(SiON)、SiONからSi3N4、又はSiONの勾配層を含んでもよい。試料番号4~7は、保護層を有する最外保護コーティングを有してもよい。保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、SiAlO、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0252】
基板は、表4に従って、機能性コーティングでコーティングしてもよい。基板はガラスであってもよい。SnO
xは、追加の金属を実質的に含まない酸化スズである。
【表4】
【0253】
試料番号8~11のトップ層は、Si3N4、SiON、SiONからSi3N4、又はSiONの勾配層を含んでもよい。試料番号8~11は、保護層を有する最外保護コーティングを有してもよい。保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、SiAlO、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せであってもよい。
【0254】
基板は、表5に従って、機能性コーティングでコーティングしてもよい。基板はガラスであってもよい。SnO
xは、追加の金属を実質的に含まない酸化スズである。
【表5】
【0255】
試料番号12~15のトップ層は、Si3N4、SiON、SiONからSi3N4、又はSiONの勾配層を含んでもよい。試料番号12~15は、保護層を有する最外保護コーティングを有してもよい。保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、SiAlO、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せであってもよい。
【0256】
基板は、表6に従って、機能性コーティングでコーティングしてもよい。基板はガラスであってもよい。SnO
xは、追加の金属を実質的に含まない酸化スズである。
【表6】
【0257】
試料番号16及び17のトップ層は、Si3N4、SiON、SiONからSi3N4、又はSiONの勾配層を含んでもよい。試料番号16及び17は、保護層を有する最外保護コーティングを有してもよい。保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、SiAlO、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せであってもよい。
【0258】
基板は、表7に従って、機能性コーティングでコーティングしてもよい。基板はガラスであってもよい。SnO
xは、追加の金属を実質的に含まない酸化スズである。
【表7】
【0259】
試料番号18~21のトップ層は、Si3N4、SiON、SiONからSi3N4、又はSiONの勾配層を含んでもよい。試料番号18~21は、保護層を有する最外保護コーティングを有してもよい。保護層は、Si3N4、SiAlN、SiAlON、SiAlO、TiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの組合せであってもよい。
【0260】
前述の説明において開示された概念から逸脱することなく、本発明に変更を加えることができることは、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書で詳細に説明される特定の実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのありとあらゆる均等物の全範囲に及ぶものとする。
【国際調査報告】