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特表2024-538995電動ウォーターポンプのロータアセンブリ及び電動ウォーターポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電動ウォーターポンプのロータアセンブリ及び電動ウォーターポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/22 20060101AFI20241018BHJP
   F04D 29/044 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F04D29/22 C
F04D29/22 H
F04D29/044
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522039
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2022133383
(87)【国際公開番号】W WO2023088475
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202122906945.8
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】王 俊杰
(72)【発明者】
【氏名】周 小偉
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA13C
3H130BA13D
3H130BA13E
3H130BA13G
3H130BA95C
3H130BA95D
3H130BA95E
3H130BA95G
3H130BA97C
3H130BA97D
3H130BA97E
3H130BA97G
3H130BA98C
3H130BA98D
3H130BA98E
3H130BA98H
3H130CB05
3H130CB19
3H130DA02X
3H130DB15X
3H130DD01X
3H130EA02C
3H130EA02D
3H130EA02E
3H130EA02H
3H130EA07C
3H130EA07D
3H130EA07E
3H130EA07G
3H130EB01C
3H130EB01D
3H130EB01E
3H130EB01H
3H130ED01C
3H130ED01D
3H130ED01E
3H130ED01G
3H130ED02C
3H130ED02D
3H130ED02E
3H130ED02G
(57)【要約】
電動ウォーターポンプのロータアセンブリ、及び、このロータアセンブリを含む電動ウォーターポンプである。このロータアセンブリは、軸受アセンブリ(1)、磁気リングアセンブリ(2)、インペラ座(3)及びインペラキャップ(4)を含む。軸受アセンブリ(1)は、第1中心貫通孔(11)を有し、端部に第1制限部(12)を有し、磁気リングアセンブリ(2)は、軸受アセンブリ(1)に嵌合され且つインターフェアランスフィットされ、軸受アセンブリ(1)の少なくとも一端は、磁気リングアセンブリ(2)から突出し、インペラ座(3)は、軸受アセンブリ(1)の端部を包み、インペラ座(3)は、第1制限部(12)に制限係合される第2制限部(31)を有する。このロータアセンブリは、ロータアセンブリの射出回数を減らし、ロータアセンブリの動的平衡の精度を確保する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に嵌合されるための第1中心貫通孔を有し、端部に第1制限部を有する軸受アセンブリと、
磁気リングアセンブリであって、前記軸受アセンブリに嵌合され、前記軸受アセンブリとインターフェアランスフィットされ、且つ前記軸受アセンブリの少なくとも一端が前記磁気リングアセンブリから突出する、磁気リングアセンブリと、
前記軸受アセンブリの端部を包み、前記第1制限部に制限係合される第2制限部を有するインペラ座と、
前記インペラ座の前記軸受アセンブリから離れた側に固定接続されるインペラキャップと、
を含む、電動ウォーターポンプのロータアセンブリ。
【請求項2】
前記軸受アセンブリは、軸スリーブを含み、
前記インペラ座は、前記軸スリーブの軸方向に延在し且つ前記第1中心貫通孔の孔壁に密着されたブッシュを有する、請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項3】
前記インペラ座の材料は、ポリフェニレンスルフィドを含む、請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項4】
前記軸受アセンブリは、軸スリーブと軸受とを含み、
前記軸受は、前記第1中心貫通孔を有し、
前記軸スリーブは、前記軸受に嵌合され且つ前記軸受とインターフェアランスフィットされ、
前記インペラ座は、前記軸受の端部と前記軸スリーブの端部とのうちの少なくとも一方を包む、請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項5】
前記軸受は、グラファイト軸受である、請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
前記軸受の外壁と前記軸スリーブの内壁とのうちの一方は、凹溝を有し、他方は、前記凹溝内に制限された突起を有する、請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
前記軸受の外壁と前記軸スリーブの外壁とのうちの少なくとも一方は、前記第1制限部を有する、請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項8】
前記軸受アセンブリの端部の側壁は、周方向において複数の前記第1制限部を有し、
前記インペラ座は、前記軸受アセンブリの端部を収容する嵌め込み溝を有し、
前記嵌め込み溝の溝壁は、前記周方向においてそれぞれ複数の前記第1制限部内に対応して制限される複数の前記第2制限部を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
前記磁気リングアセンブリは、鉄心アセンブリ、第1カバープレート、第2カバープレート及びスリーブを含み、
前記第1カバープレート、前記鉄心アセンブリ、前記第2カバープレートは、前記軸受アセンブリに順に嵌合され、
前記鉄心アセンブリと前記軸受アセンブリとは、インターフェアランスフィットされ、
前記第1カバープレートの内側環と前記第2カバープレートの内側環とは、いずれも前記軸受アセンブリに封止され且つ固定接続され、
前記スリーブは、前記鉄心アセンブリに嵌合され、それぞれ前記第1カバープレートの外側環及び前記第2カバープレートの外側環に封止され且つ固定接続される、請求項1から7のいずれか一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
ハウジングと、請求項1から9のいずれか一項に記載のロータアセンブリと、を含み、
前記ハウジングは、チャンバと、前記チャンバに位置する回転軸と、を有し、
前記ロータアセンブリは、前記チャンバ内に収容され且つ前記回転軸に回転可能に嵌合される、
電動ウォーターポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本開示は、2021年11月22日に出願番号が202122906945.8であり、名称が「電動ウォーターポンプのロータアセンブリ及び電動ウォーターポンプ」である中国特許出願の優先権を主張し、この中国特許出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電動ウォーターポンプの技術分野に関し、具体的には、電動ウォーターポンプのロータアセンブリ及び電動ウォーターポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
ロータアセンブリは、電動ウォーターポンプが作動するための核心部材であり、電動ウォーターポンプが作動するとき、ロータアセンブリは通電され、且つ自身の機械エネルギーを流体の運動エネルギーに変換する。ロータアセンブリの品質は電動ウォーターポンプの作動効率に重大な影響を与え、例えば、ロータアセンブリの動的平衡の精度が比較的悪いと、電動ウォーターポンプの振動を引き起こして電動ウォーターポンプの使用寿命を低下させ、且つ比較的大きい騒音を発して環境汚染を引き起こす。
【0004】
なお、上記の背景技術の部分で開示された情報は、単に本開示の背景に対する理解を高めるためのものにすぎず、当業者に知られている従来技術を構成しない情報を含んでもよい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ロータアセンブリの動的平衡の精度を確保し、電動ウォーターポンプの使用寿命を向上させるとともに、騒音汚染を低減させることができる電動ウォーターポンプのロータアセンブリ及び電動ウォーターポンプを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様によれば、回転軸に嵌合されるための第1中心貫通孔を有し、端部に第1制限部を有する軸受アセンブリと、
磁気リングアセンブリであって、軸受アセンブリに嵌合され、軸受アセンブリとインターフェアランスフィットされ、且つ軸受アセンブリの少なくとも一端が磁気リングアセンブリから突出する磁気リングアセンブリと、
軸受アセンブリの端部を包み、第1制限部に制限係合される第2制限部を有するインペラ座と、
インペラ座の軸受アセンブリから離れた側に固定接続されるインペラキャップと、
を含む電動ウォーターポンプのロータアセンブリを提供する。
【0007】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、軸受アセンブリは軸スリーブを含み、インペラ座は、軸スリーブの軸方向に延在し且つ第1中心貫通孔の孔壁に密着されたブッシュを有する。
【0008】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、インペラ座の材料は、ポリフェニレンスルフィドを含む。
【0009】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、軸受アセンブリは、軸スリーブと軸受とを含み、
軸受は第1中心貫通孔を有し、軸スリーブは、軸受に嵌合され且つ軸受とインターフェアランスフィットされ、
インペラ座は、軸受の端部と軸スリーブの端部とのうちの少なくとも一方を包む。
【0010】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、軸受は、グラファイト軸受である。
【0011】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、軸受の外壁と軸スリーブの内壁とのうちの一方は凹溝を有し、他方は凹溝内に制限された突起を有する。
【0012】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、軸受の外壁と軸スリーブの外壁とのうちの少なくとも一方は、第1制限部を有する。
【0013】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、軸受アセンブリの端部の側壁は、周方向において複数の第1制限部を有し、インペラ座は、軸受アセンブリの第1端を収容する嵌め込み溝を有し、嵌め込み溝の溝壁は、周方向においてそれぞれ複数の第1制限部内に対応して制限される複数の第2制限部を有する。
【0014】
本開示の一実施形態のロータアセンブリによれば、磁気リングアセンブリは、鉄心アセンブリ、第1カバープレート、第2カバープレート及びスリーブを含み、
第1カバープレート、鉄心アセンブリ、第2カバープレートは、軸受アセンブリに順に嵌合され、
鉄心アセンブリと軸受アセンブリとは、インターフェアランスフィットされ、
第1カバープレートの内側環と第2カバープレートの内側環とは、いずれも軸受アセンブリに封止され且つ固定接続され、
スリーブは、鉄心アセンブリに嵌合され、それぞれ第1カバープレートの外側環及び第2カバープレートの外側環に封止され且つ固定接続される。
【0015】
本開示の他の態様によれば、ハウジングと上記の一態様に記載のロータアセンブリとを含み、
ハウジングは、チャンバと、チャンバに位置する回転軸と、を有し、
ロータアセンブリは、チャンバ内に収容され且つ回転軸に回転可能に嵌合される、電動ウォーターポンプを提供する。
【0016】
本開示の実施形態において、磁気リングアセンブリと軸受アセンブリとのインターフェアランスフィットにより、磁気リングアセンブリと軸受アセンブリとの間の同軸度を確保してから、インターフェアランスフィットされた磁気リングアセンブリと軸受アセンブリとをインペラ座に接続する。これにより、本開示の実施形態において、ロータアセンブリを作製して得る際に、インサート射出成形プロセスの回数を減らすことで、ロータアセンブリの動的平衡の精度を確保し、このロータアセンブリを有する電動ウォーターポンプの作動時の振動を回避し、電動ウォーターポンプの使用寿命を延ばすとともに、環境に対する騒音汚染を回避する。
【0017】
以上の一般的な説明及び以下の細部の説明は、単に例示的且つ解釈的なものにすぎず、本開示を制限するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここでの図面は、明細書に組み込まれ、本明細書の一部として構成され、本開示に合致する実施例を示し、本開示の原理を解釈するために明細書とともに使用される。以下の説明における図面は、単に本開示のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとって創造的な労力なしにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることは明らかである。
【0019】
図1】関連技術で提供されるロータアセンブリの構造模式図である。
図2】本開示の実施形態で提供されるロータアセンブリの構造模式図である。
図3】本開示の実施形態で提供されるロータアセンブリの部分構造の分解模式図である。
図4】本開示の実施形態で提供される別のロータアセンブリの部分構造模式図である。
図5】本開示の実施形態で提供される別のロータアセンブリの構造模式図である。
図6】本開示の実施形態で提供されるロータアセンブリの部分構造模式図である。
【0020】
1 軸受アセンブリ、2 磁気リングアセンブリ、3 インペラ座、4 インペラキャップ、
11 第1中心貫通孔、12 第1制限部、13 軸スリーブ、14 軸受、
21 鉄心アセンブリ、22 第1カバープレート、23 第2カバープレート、24 スリーブ、
31 第2制限部、32 ブッシュ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これから、図面を参照して例示的な実施形態をより全面的に説明する。ただし、例示的な実施形態は様々な形式で実施することができ、且つここに記述する実施形態に制限されると理解されるべきではなく、逆に、これらの実施形態を提供することで、本開示が全面で完全になるとともに、例示実施形態の思想を全面的に当業者に伝達する。図面における同一の符号は、同一又は類似の構成を示すため、それらの詳細な説明を省略する。更に図面は単に本開示の模式的な図解にすぎず、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【0022】
本明細書では、例えば、「上」、「下」のような相対的な用語を使用して図示の一方のアセンブリの他方のアセンブリに対する相対関係を説明しているが、これらの用語は、例えば、図面に記載の例示的な方向のように単に便宜のために本明細書で使用される。図示の装置を転倒して上下を反転させると、説明される「上」にあるアセンブリは「下」にあるアセンブリになることが理解できる。ある構造が他の構造の「上」にある場合、ある構造が他の構造上に一体に形成されること、又は、ある構造が他の構造上に「直接」に設けられること、あるいは、ある構造が別の構造を介して他の構造上に「間接」に設けられることを意味する可能性がある。
【0023】
「1つ」、「一」、「この」及び「少なくとも1つ」という用語は、1つ以上の要素/構成部分/等が存在することを示すために用いられ、「含む」及び「有する」という用語は、開放式に含む意味を示すために用いられるとともに、列挙された要素/構成部分/等の他に、別の要素/構成部分/等が存在してもよいことを示し、「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は、単に表記として用いられ、その対象に対する数量を限制するものではない。
【0024】
本開示の実施形態で提供される電動ウォーターポンプは、ハウジングとロータアセンブリとを含み、ハウジングは、チャンバと、チャンバに位置する回転軸と、を有し、ロータアセンブリは、チャンバ内に収容され且つ回転軸に回転可能に嵌合される。
【0025】
ここで、ハウジングのハウジング壁は、チャンバに連通される給水口及び出水口を有し、電動ウォーターポンプが作動するとき、ロータアセンブリは外部電源に接続されて自転し、流体は給水口に沿ってハウジングのチャンバに入り込み、このとき、ロータアセンブリは、自身の機械エネルギーを流体の運動エネルギーに変換して、流体がより高い流速で出水口に沿って流れ出るように促進する。
【0026】
ここで、ハウジングの具体的な構造は関連技術を参照することができ、ロータアセンブリは、主に、軸スリーブ13、磁気リングアセンブリ2、インペラ座3及びインペラキャップ4を含み、磁気リングアセンブリ2は鉄心及び電磁鋼を含み、具体的には図2に示される実施形態を参照する。
【0027】
関連技術において、ロータアセンブリは、少なくとも2回の射出成形プロセスを経てから加工成形することができる。図1に示されるように、まず、磁気リングアセンブリ2(鉄心及び電磁鋼)をインサート材として射出成形して、インペラ座3(包む部材)と磁気リングアセンブリ2(包まれる部材)とを含む第1射出成形体が得られ、その後、更に射出成形された第1射出成形体をインサート材として射出成形して、第1射出成形体(包む部材)と軸スリーブ13(包まれる部材)とを含む第2射出成形体が得られ、最後に、インペラキャップ4を第2射出成形体のインペラ座3の一端に固定することにより、ロータアセンブリが得られる。
【0028】
関連技術において、ロータアセンブリを作製して得る際に、少なくとも2回のインサート射出成形プロセスを必要とするが、発明者は、インサート射出成形プロセスにおいて、包む部材と包まれる部材との同軸度を確保することが難しいため、インサート射出成形プロセスの回数が多いほど、ロータアセンブリの動的平衡の精度を確保しにくくなることを見出した。このように、このロータアセンブリを有する電動ウォーターポンプは、作動中に振動が発生するため、電動ウォーターポンプの使用寿命を低下させ、更には大きな騒音を発することで環境汚染を引き起こす。
【0029】
図2は、本開示の実施形態の電動ウォーターポンプのロータアセンブリの構造模式図を示す。図2に示されるように、このロータアセンブリは、軸受アセンブリ1、磁気リングアセンブリ2、インペラ座3及びインペラキャップ4を含み、軸受アセンブリ1は、回転軸に嵌合されるための第1中心貫通孔11を有し、端部に第1制限部12を有し、磁気リングアセンブリ2は、軸受アセンブリ1に嵌合され、軸受アセンブリ1とインターフェアランスフィットされ、且つ軸受アセンブリ1の少なくとも一端が磁気リングアセンブリ2から突出し、インペラ座3は軸受アセンブリ1の端部を包み、インペラ座3は第1制限部12に制限係合される第2制限部31を有し、インペラキャップ4は、インペラ座3の軸受アセンブリ1から離れた側に固定接続される。
【0030】
本開示の実施形態において、磁気リングアセンブリ2と軸受アセンブリ1とのインターフェアランスフィットにより、磁気リングアセンブリ2と軸受アセンブリ1との間の同軸度を確保してから、インターフェアランスフィットされた磁気リングアセンブリ2と軸受アセンブリ1とをインペラ座3に接続する。これにより、本開示の実施形態において、ロータアセンブリを作製して得る際に、インサート射出成形プロセスの回数を減らすことで、ロータアセンブリの動的平衡の精度を確保し、このロータアセンブリを有する電動ウォーターポンプの作動時の振動を回避し、電動ウォーターポンプの使用寿命を延ばすとともに環境に対する騒音汚染を回避することができる。更に、本開示の実施形態において、軸受アセンブリ1の第1端に射出成形によりインペラ座3を形成した後、第1制限部12と第2制限部31との係合により軸受アセンブリ1とインペラ座3との相対的な回転を制限することができ、軸受アセンブリ1とインペラ座3との間のスリップ現象を回避し、ロータアセンブリの作動効率を確保する。
【0031】
ここで、第1制限部12が制限溝であり、第2制限部31が制限ブロックであり、又は、第1制限部12が制限ブロックであり、第2制限部31が制限溝であり、第1制限部12と第2制限部31との制限係合を実現することができればよく、本開示の実施形態はこれに対して限定しない。軸受アセンブリ1の第1端は、磁気リングアセンブリ2から突出し、軸受アセンブリ1の第2端は、磁気リングアセンブリ2から突出するか又は磁気リングアセンブリ2の端面と面一となる。
【0032】
本開示の実施形態において、インペラキャップ4とインペラ座3とは溶接により固定され、具体的には、インペラキャップ4とインペラ座3とは超音波溶接により固定される。当然ながら他の接続形態であってもよく、インペラキャップとインペラ座との固定接続を実現することができればよく、本開示の実施形態はこれについて限定しない。
【0033】
いくつかの実施形態において、図3に示されるように、磁気リングアセンブリ2は、主に第2中心貫通孔を有する鉄心アセンブリ21を含み、鉄心アセンブリ21が第2中心貫通孔に基づいて軸受アセンブリ1に嵌合され、鉄心アセンブリ21と軸受アセンブリ1とがインターフェアランスフィットされて、鉄心アセンブリ21と軸受アセンブリ1との同軸度を確保する。
【0034】
ここで、鉄心アセンブリ21は、上記の鉄心と電磁鋼とを含み、鉄心と電磁鋼との同軸度を確保するために、鉄心と電磁鋼とを予め一体成形の製造プロセスにより得ることができ、鉄心と電磁鋼との一体成形の製造プロセスは関連技術を参照することができる。当然ながら、鉄心と電磁鋼とは他のプロセスによって得られてもよく、鉄心と磁場との同軸度を確保できればよく、本開示の実施形態はこれについて限定しない。
【0035】
選択的に、第2中心貫通孔の内壁に突起を有し、軸受アセンブリ1の外壁には突起に係合される凹溝を有し、又は第2中心貫通孔の内壁に凹溝を有し、軸受アセンブリ1の外壁には凹溝に係合される突起を有し、突起と凹溝とはいずれも第2中心貫通孔の軸方向に沿っている。このように、突起と凹溝との係合により、鉄心アセンブリ21と軸受アセンブリ1との間の接触面積を増大させるとともに、鉄心アセンブリ21と軸受アセンブリ1とが相対的に回転することを更に回避する。
【0036】
鉄心アセンブリ21に対する封止を実現するために、図3に示されるように、磁気リングアセンブリ2は、第1カバープレート22、第2カバープレート23及びスリーブ24を更に含む。第1カバープレート22及び第2カバープレート23は、軸受アセンブリ1に嵌合され、且つそれぞれ鉄心アセンブリ21の両端に位置し、即ち、磁気リングアセンブリ2が含む第1カバープレート22、鉄心アセンブリ21、第2カバープレート23が軸受アセンブリ1に順に嵌合され、第1カバープレート22の内側環と第2カバープレート23の内側環とはいずれも軸受アセンブリ1に封止され且つ固定接続される。スリーブ24は、鉄心アセンブリ21に嵌合され、それぞれ第1カバープレート22の外側環及び第2カバープレート23の外側環に封止され且つ固定接続される。
【0037】
このように、第1カバープレート22、第2カバープレート23がそれぞれ軸受アセンブリ1に接続され、第1カバープレート22、第2カバープレート23がそれぞれスリーブ24に接続されることにより、鉄心アセンブリ21を収容するための密封チャンバが形成されて、鉄心アセンブリ21に対する封止保護を実現することができる。
【0038】
第1カバープレート22、第2カバープレート23と軸受アセンブリ1との間のそれぞれの接続、及び第1カバープレート22、第2カバープレート23とスリーブ24との間のそれぞれの接続はいずれも溶接であってもよく、具体的にはレーザ溶接を採用することができる。当然ながら他の接続形態であってもよく、鉄心アセンブリ21に対する封止保護を実現できればよく、本開示の実施形態はこれについて限定しない。
【0039】
いくつかの実施形態において、図4又は図5に示されるように、軸受アセンブリ1は、第1中心貫通孔11を有し且つ端部に第1制限部12を有する軸スリーブ13を含む。軸スリーブ13は、回転可能に回転軸に嵌合されるために用いられる。
【0040】
ここで、軸スリーブ13をインサート材として、軸スリーブ13の端部に、インサート射出成形プロセスによりインペラ座3を形成してもよい。当然ながら、インペラ座3を予め射出成形して得てから、インペラ座3を軸スリーブ13の端部に接続するとともに、第1制限部12と第2制限部31との制限係合を確保してもよい。
【0041】
軸スリーブ13及び回転軸はいずれも剛性部材であるため、ロータアセンブリが回転するときの軸スリーブ13と回転軸との間の摩擦力が比較的大きいため、軸スリーブ13と回転軸との間の摩擦力を低減させるために、インペラ座3を射出成形するとき、図4又は図5に示されるように、第1中心貫通孔11の内壁にブッシュ32が更に形成されている。即ち、インペラ座3は、軸スリーブ13の軸方向に延在し且つ第1中心貫通孔11の孔壁に密着されたブッシュ32を有する。このように、ロータアセンブリが回転するとき、ブッシュ32は回転軸に直接接触され、且つ相対的に回転するため、軸スリーブ13と回転軸との接触を回避することができる。
【0042】
ブッシュ32が回転軸に対して回転するとき、ブッシュ32の摩耗を回避するとともに摩擦力を低減させるために、高温耐性、摩耗耐性等の機械的性能が比較的良好である材料を選択して、ブッシュ32を有するインペラ座3を射出成形して形成することができる。例示的に、インペラ座3の材料はPPS(Polyphenylene sulphide、ポリフェニレンスルフィド)を含む。
【0043】
いくつかの他の実施形態において、図2又は図6に示されるように、軸受アセンブリ1は軸スリーブ13と軸受14とを含み、軸受14は第1中心貫通孔11を有し、軸スリーブ13は、軸受14に嵌合され且つ軸受14とインターフェアランスフィットされ、インペラ座3は、軸受14の端部と軸スリーブ13の端部とのうちの少なくとも一方を包む。
【0044】
軸スリーブ13と軸受14とがインターフェアランスフィットされると、軸スリーブ13と軸受14との同軸度を確保して、ロータアセンブリの動的平衡の精度を確保することができる。軸受14は、回転軸に回転可能に制限されるために用いられ、軸受14の第1端及び/又は軸スリーブ13の第1端は、いずれもインサート材として射出成形することによりインペラ座3を得ることができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、軸受14の外壁と軸スリーブ13の外壁とのうちの少なくとも一方は、第1制限部12を有する。ここで、軸受14の外壁と軸スリーブ13の外壁について、具体的には、軸受14と軸スリーブ13との位置関係に基づいて決めることができる。
【0046】
軸受14の第1端は軸スリーブ13の第1端から突出し、このとき、軸受14の第1端がインペラ座3に包まれ、軸受14の第1端に第1制限部12を有することで、軸受14における第1制限部12とインペラ座3における第2制限部31との係合により制限され、又は図2に示されるように、軸受14の第1端と軸スリーブ13の第1端とがいずれもインペラ座3に包まれ、軸受14の第1端と軸スリーブ13の第1端とがいずれも第1制限部12を有することで、軸スリーブ13における第1制限部12と、軸受14における第1制限部12とインペラ座3における第2制限部31と、の係合により制限される。
【0047】
当然ながら、軸受14の第1端は軸スリーブ13の第1端から突出せず、このとき、軸スリーブ13の第1端がインペラ座3に包まれ、軸スリーブ13の第1端が第1制限部12を有することで、軸スリーブ13の第1端の第1制限部12とインペラ座3における第2制限部31との係合により制限されてもよい。
【0048】
本開示の実施形態において、図2に示されるように、軸受14の両端に近接した外側壁のいずれにも第1制限部12が設けられており、これにより、軸受14と軸スリーブ13とを組み立てるときに逆に取り付けることを防止して、組み立ての効率を向上させる。
【0049】
ロータアセンブリが回転するときの軸受14と回転軸との摩擦力を減少させるとともに軸受14の摩耗を回避するために、高温耐性、摩耗耐性、自己潤滑性等の機械的性能が比較的良好である材料を選択して軸受14を作製して得ることができる。例示的に、軸受14の材料はグラファイトであり、即ち、軸受14はグラファイト軸受である。
【0050】
選択的に、軸スリーブ13と軸受14との密着係合を更に確保するために、軸受14の外壁と軸スリーブ13の内壁とのうちの一方は凹溝を有し、他方は凹溝内に制限された突起を有する。このように、凹溝と突起との係合により、軸スリーブ13と軸受14との間の接触面積を増大させるとともに、軸スリーブ13と軸受14とが相対的に回転することを更に回避する。いくつかの実施形態において、軸受アセンブリ1の端部の側壁は周方向において複数の第1制限部12を有し、インペラ座3は軸受アセンブリ1の第1端を収容する嵌め込み溝を有し、嵌め込み溝の溝壁は周方向において複数の第2制限部31を有する。このように、複数の第1制限部12と複数の第2制限部31との対応制限により、軸受アセンブリ1とインペラ座3との相対的な回転が発生する可能性を回避することができる。第1制限部12が制限溝であり、第2制限部31が制限ブロックであることを例とすると、複数の第2制限部31はそれぞれ複数の第1制限部12内に対応して制限される。
【0051】
当然ながら、軸受アセンブリ1の端部のサイドアームは、軸方向に沿って複数の第1制限部12を有し、嵌め込み溝の溝壁は軸方向において複数の第2制限部31を有してもよく、軸受アセンブリ1をインサート材としてインペラ座3を形成することに影響を与えなければよく、本開示の実施形態はこれについて限定しない。
【0052】
本考案は、上記の実施例によって説明されているが、上記の実施例は例示及び説明する目的のみで用いられるものにすぎず、本考案を説明された実施例の範囲内に限定しようとするものではないことを理解すべきである。更に、当業者が理解できるように、本考案は上記の実施例に制限されるものではなく、本考案の教示に従ってより多くの種類の変形及び改定を行うことができ、これらの変形及び改定はいずれも本考案の保護を求める範囲内に収まる。本考案の保護範囲は、付属の特許請求の範囲及びその同等範囲によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】