(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】バッテリー欠陥診断方法およびその方法を提供するサーバー
(51)【国際特許分類】
G01R 31/396 20190101AFI20241018BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20241018BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/389
H02J7/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522094
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 KR2022018749
(87)【国際公開番号】W WO2023249174
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0077533
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンヨル・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・キム
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA51
2G216BA58
2G216BB02
2G216BB03
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD06
(57)【要約】
本発明は、バッテリー欠陥診断方法およびその方法を提供するサーバーに関するもので、本発明のサーバーは、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとにバッテリーの内部抵抗値の変化を反映する基準値を設定してバッテリーの欠陥を診断するため診断の精密度を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧、前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流、および前記バッテリーの温度であるバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含むバッテリーデータをBMS(Battery Management System)から受信するサーバー通信部と、
前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、前記バッテリーデータに基づいて算出される前記バッテリーの内部抵抗値を記憶するサーバー記憶部と、
前記診断時点ごとに、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記内部抵抗値を前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断するサーバー制御部と
を含むバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項2】
前記サーバー制御部は、
前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の標準偏差の平均である標準偏差平均値と所定の倍数をかけて誤差値を算出し、
前記移動平均値に前記誤差値を加算して前記上限値を算出し、
前記移動平均値から前記誤差値を減算して前記下限値を算出する、請求項1に記載のバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項3】
前記サーバー制御部は、
前記内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、
前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したと診断する、請求項1または2に記載のバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項4】
前記サーバー制御部は、
前記内部抵抗値が前記下限値未満であれば、
前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したと診断する、請求項2に記載のバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項5】
前記サーバー記憶部は、
所定の方法で推定される充電状態(SOC、State of Charge)および前記測定されたバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含む環境データをさらに記憶し、
前記サーバー制御部は、
所定の範囲内で前記診断時点の環境データに対応する環境データを含む第1条件および前記診断時点を基準にして前記標本個数に対応する以前の診断時点である第2条件に基づいて前記複数の診断時点を抽出する、請求項2に記載のバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項6】
前記第1条件は、
所定の温度大きさ間隔で設定される複数の温度区間のうちの前記診断時点に対応するバッテリー温度が属する所定の温度区間に所定の診断時点のバッテリー温度が属するという条件である、請求項5に記載のバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項7】
前記第1条件は、
所定の充電状態大きさ間隔で設定される複数の充電状態区間のうちの前記診断時点に対応する充電状態が属する所定の充電状態区間に所定の診断時点の充電状態が属するという条件である、請求項5に記載のバッテリー欠陥診断サーバー。
【請求項8】
サーバーがBMS(Battery Management System)からバッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧、前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流、および前記バッテリーの温度であるバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含むバッテリーデータを受信するデータ受信段階と、
前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点で、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出する標本集団決定段階と、
前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値、前記移動平均値より所定値が大きい上限値、および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を算出する基準値決定段階と、
前記診断時点に対応する内部抵抗値を前記上限値および前記下限値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する欠陥診断段階とを含む、バッテリー診断方法。
【請求項9】
前記基準値決定段階は、
前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の標準偏差の平均である標準偏差平均値と所定の倍数をかけて誤差値を算出し、
前記移動平均値に前記誤差値を加算して前記上限値を算出し、
前記移動平均値から前記誤差値を減算して前記下限値を算出する、請求項8に記載のバッテリー診断方法。
【請求項10】
前記欠陥診断段階は、
前記診断時点に対応する内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、
前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したと診断する、請求項8または9に記載のバッテリー診断方法。
【請求項11】
前記欠陥診断段階は、
前記診断時点に対応する内部抵抗値が前記下限値未満であれば、
前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したと診断する、請求項8に記載のバッテリー診断方法。
【請求項12】
前記標本集団決定段階は、
所定の範囲内で前記診断時点の環境データに対応する環境データを含む第1条件および前記診断時点を基準にして前記標本個数に対応する以前の診断時点である第2条件に基づいて前記複数の診断時点を抽出し、
前記環境データは、
所定の方法で推定される充電状態(SOC、State of Charge)および前記測定されたバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含む、請求項8に記載のバッテリー診断方法。
【請求項13】
前記第1条件は、
所定の温度大きさ間隔で設定される複数の温度区間のうちの前記診断時点に対応するバッテリー温度が属する所定の温度区間に所定の診断時点のバッテリー温度が属するという条件である、請求項12に記載のバッテリー診断方法。
【請求項14】
前記第1条件は、
所定の充電状態大きさ間隔で設定される複数の充電状態区間のうちの前記診断時点に対応する充電状態が属する所定の充電状態区間に所定の診断時点の充電状態が属するという条件である、請求項12に記載のバッテリー診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2022年6月24日付韓国特許出願第10-2022-0077533号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、並列接続された複数のバッテリーセルを含むバッテリーの状態を精密に診断することができるバッテリーの欠陥を診断する方法およびその方法を提供するサーバーを提供するものである。
【背景技術】
【0003】
電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などに搭載される大型バッテリーは、携帯用端末、ノートパソコンなどに搭載される小型バッテリーより高容量のバッテリーであることが要求される。高容量のバッテリーは、複数のバッテリーを直列および/または並列接続して構成できる。この時、複数のバッテリーは、並列接続された複数のバッテリーセルを含むことができる。
【0004】
一方、バッテリーに含まれるバッテリーセルの個数が多くなれば、バッテリーセル自体の問題および/またはバッテリーセル間の接続問題によってバッテリーに欠陥(defect)が発生することがある。例えば、バッテリーセル間の断線(disconnection)、短絡(short)などの欠陥が発生することがある。バッテリーに欠陥が発生する場合、速い診断と欠陥修正で、バッテリーが搭載されるシステム(例えば、自動車、エネルギー貯蔵装置など)が正常に運営されるようにする必要がある。
【0005】
しかし、複数のバッテリーセルが並列に接続される場合、接続上の構造的な問題などによって、個別バッテリーセルのセル電圧などを直接測定(sensing)することは容易ではない。即ち、バッテリーセル自体の欠陥を直接推定して、全体バッテリーの欠陥を診断することは難しい。
【0006】
また、バッテリー単位で直流内部抵抗(DCIR;Direct Current Internal Resistance)を推定し、推定された直流内部抵抗(DCIR)値を予め設定された(固定された)基準値と比較してバッテリーの欠陥を診断する技術は、バッテリー内に多数のバッテリーセルが同時に断線または短絡される場合には欠陥を検出することができない限界がある。そして、老化によって直流内部抵抗値が変化した程度を欠陥が発生したと誤診断する問題が発生することがある。
【0007】
それだけでなく、バッテリーの直流内部抵抗(DCIR)値に基づいてバッテリーの欠陥を診断する技術は、外部温度が急変する場合、バッテリーの充電状態(SOC;State of Charge)などによって誤差範囲が過度に大きくなって、診断が精密でない問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために従来のバッテリーの欠陥を診断するための方法に対する多様な研究が行われた。但し、従来の方法はBMS(Battery Management System)で行われる簡単な欠陥診断方法が大部分であったが、診断の精密度が低い問題がある。多量の累積データが必要な高精密の欠陥診断方法はBMS内に含まれている少ないメモリ容量では容易に実現できない限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、並列接続された複数のバッテリーセルを含むバッテリーの状態を精密に診断することができるバッテリーの欠陥を診断する方法およびその方法を提供するサーバーを提供するものである。
【0010】
本発明は、BMS(Battery Management System)内部のメモリ限界を克服しながらバッテリーの欠陥に対する精密診断が可能なバッテリーの欠陥を診断する方法およびその方法を提供するサーバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一特徴によるバッテリー欠陥診断サーバーは、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧、前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流、および前記バッテリーの温度であるバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含むバッテリーデータをBMS(Battery Management System)から受信するサーバー通信部と、前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、前記バッテリーデータに基づいて算出される前記バッテリーの内部抵抗値を記憶するサーバー記憶部と、前記診断時点ごとに、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記内部抵抗値を前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断するサーバー制御部とを含む。
【0012】
前記サーバー制御部は、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の標準偏差の平均である標準偏差平均値と所定の倍数をかけて誤差値を算出し、前記移動平均値に前記誤差値を加算して前記上限値を算出し、前記移動平均値から前記誤差値を減算して前記下限値を算出することができる。
【0013】
前記サーバー制御部は、前記内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したと診断することができる。
【0014】
前記サーバー制御部は、前記内部抵抗値が前記下限値未満であれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したと診断することができる。
【0015】
前記サーバー記憶部は、所定の方法で推定される充電状態(SOC、State of Charge)および前記測定されたバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含む環境データをさらに記憶し、前記サーバー制御部は、所定の範囲内で前記診断時点の環境データに対応する環境データを含む第1条件および前記診断時点を基準にして前記標本個数に対応する以前の診断時点である第2条件に基づいて前記複数の診断時点を抽出することができる。
【0016】
前記第1条件は、所定の温度大きさ間隔で設定される複数の温度区間のうちの前記診断時点に対応するバッテリー温度が属する所定の温度区間に所定の診断時点のバッテリー温度が属するという条件であってもよい。
【0017】
前記第1条件は、所定の充電状態大きさ間隔で設定される複数の充電状態区間のうちの前記診断時点に対応する充電状態が属する所定の充電状態区間に所定の診断時点の充電状態が属するという条件であってもよい。
【0018】
本発明の他の特徴によるバッテリー診断方法は、サーバーがBMS(Battery Management System)からバッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧、前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流、および前記バッテリーの温度であるバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含むバッテリーデータを受信するデータ受信段階と、前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点で、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出する標本集団決定段階と、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値、前記移動平均値より所定値が大きい上限値、および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を算出する基準値決定段階と、前記診断時点に対応する内部抵抗値を前記上限値および前記下限値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する欠陥診断段階とを含むことができる。
【0019】
前記基準値決定段階は、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の標準偏差の平均である標準偏差平均値と所定の倍数をかけて誤差値を算出し、前記移動平均値に前記誤差値を加算して前記上限値を算出し、前記移動平均値から前記誤差値を減算して前記下限値を算出することができる。
【0020】
前記欠陥診断段階は、前記診断時点に対応する内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したと診断することができる。
【0021】
前記欠陥診断段階は、前記診断時点に対応する内部抵抗値が前記下限値未満であれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したと診断することができる。
【0022】
前記標本集団決定段階は、所定の範囲内で前記診断時点の環境データに対応する環境データを含む第1条件および前記診断時点を基準にして前記標本個数に対応する以前の診断時点である第2条件に基づいて前記複数の診断時点を抽出し、前記環境データは、所定の方法で推定される充電状態(SOC、State of Charge)および前記測定されたバッテリー温度のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0023】
前記第1条件は、所定の温度大きさ間隔で設定される複数の温度区間のうちの前記診断時点に対応するバッテリー温度が属する所定の温度区間に所定の診断時点のバッテリー温度が属するという条件であってもよい。
【0024】
前記第1条件は、所定の充電状態大きさ間隔で設定される複数の充電状態区間のうちの前記診断時点に対応する充電状態が属する所定の充電状態区間に所定の診断時点の充電状態が属するという条件であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、欠陥診断に必要な大容量のデータおよび複雑なアルゴリズムを記憶するなどの役割をサーバーが負担することによって、バッテリーシステムは記憶空間に対する負担は減らしながら同時に精密度の高い欠陥診断を受けることができる効果を有する。
【0026】
本発明は、固定された基準値を使用してバッテリーの欠陥を診断する従来のものとは異なり、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとにバッテリーの内部抵抗値の変化を反映する基準値を設定してバッテリーの欠陥を診断するため、バッテリーの使用期間による老化をバッテリー自体の欠陥と誤診断する問題を解決して診断の精密度を高めることができる。
【0027】
本発明は、バッテリーの欠陥を診断する現在診断時点と類似の環境(例えば、外部温度、SOCなど)にある複数の内部抵抗値に基づいて基準値を設定することによって、外部環境的な差をバッテリー自体の欠陥と誤診断する問題を解決して診断の精密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態によるバッテリー欠陥診断システムを説明する図である。
【
図2】
図1に示されたバッテリーシステム100を説明するブロック図である。
【
図3】
図1に示されたサーバー200の構成を説明するブロック図である。
【
図4】実施形態によるバッテリー欠陥診断方法を説明するフローチャートである。
【
図5】
図4の基準値決定段階(S300)を詳細に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本明細書に開示された実施形態を詳しく説明するが、同一であるか類似の構成要素には同一、類似の図面符号を付与し、これに関する重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞“モジュール”および/または“部”は明細書作成の容易さのみが考慮されて付与されるか混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するのではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明することにおいて、関連する公知技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態の要旨を不明にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むと理解されるべきである。
【0030】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明することに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0031】
ある構成要素が他の構成要素に“結合されて”いるとか“接続されて”いると言及された時は、その他の構成要素に直接的に結合されているかまたは接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されるべきである。反面、ある構成要素が他の構成要素に“直接結合されて”いるとか“直接接続されて”いると言及された時は、中間に他の構成要素が存在しないと理解されるべきである。
【0032】
本出願で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されるべきである。
【0033】
図1は、一実施形態によるバッテリー欠陥診断システムを説明する図である。
【0034】
図1を参照すれば、バッテリー欠陥診断システム1は、バッテリーシステム100およびサーバー200を含む。
【0035】
バッテリーシステム100は、バッテリーに貯蔵された電力を外部装置に供給するためのシステムであってもよい。
図1で、バッテリーシステム100は自動車システムAに搭載されて、自動車に電力を供給することを示しているが、これに限定されるのではない。バッテリーシステム100はバッテリーの電力が必要なシステムであればどこにも搭載できる。例えば、バッテリーシステム100はエネルギー貯蔵システム(ESS、Energy Storage System)、ロボット、ロケット、飛行機など多様なシステムに搭載されて、搭載された上位システムに電力を供給することができる。
【0036】
サーバー200は、所定の周期または実時間でバッテリーシステム100からバッテリーデータを受信することができる。この時、バッテリーデータは、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧、バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流、およびバッテリーの温度であるバッテリー温度のうちの少なくとも一つのデータを含むことができる。
【0037】
一実施形態によって、サーバー200は、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、バッテリーシステム100から受信したバッテリーデータに基づいて基準値を設定し、設定した基準値に基づいてバッテリーの欠陥を診断することができる。欠陥が発生したと診断されれば、サーバー200は、欠陥診断に対応する警告メッセージをバッテリーシステム100に伝送することができる。
【0038】
図2は、
図1に示されたバッテリーシステム100を説明するブロック図である。
【0039】
図2を参照すれば、バッテリーシステム100は、バッテリー10、リレー20、電流センサー30、およびバッテリー管理システム(Battery Management System、以下、BMS)40を含む。
【0040】
バッテリー10は、直列および/または並列接続された複数のバッテリーセルを含むことができる。
図2では、並列接続された3個のバッテリーセルが示されているが、これに限定されるのではなく、バッテリー10は、直列および/または並列接続された多様な個数のバッテリーセルを含むことができる。ある実施形態で、バッテリーセルは充電可能な二次電池であってもよい。
【0041】
例えば、バッテリー10は、所定個数のバッテリーセルが並列接続されてバッテリーバンク(battery bank)を構成し、所定個数のバッテリーバンクが直列接続されてバッテリーパック(battery pack)を構成して、所望の電力を外部装置に供給することができる。他の例として、バッテリー10は、所定個数のバッテリーセルが並列接続されてバッテリーバンク(battery bank)を構成し、所定個数のバッテリーバンクが並列接続されてバッテリーパック(battery pack)を構成して、所望の電力を外部装置に供給することができる。しかし、このような接続に限定されるのではなく、バッテリー10は、直列および/または並列接続された複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含み、複数のバッテリーバンクも直列および/または並列接続できる。
【0042】
図2では、バッテリー10は、バッテリーシステム2の二つの出力端OUT1、OUT2の間に接続されている。また、バッテリーシステム2の正極と第1出力端OUT1の間にリレー20が接続されており、バッテリーシステム2の負極と第2出力端OUT2の間に電流センサー30が接続されている。
図2に示された構成および構成間の接続関係は一例で、発明がこれに限定されるのではない。
【0043】
リレー20は、バッテリーシステム2と外部装置間の電気的接続を制御する。リレー20がオンされれば、バッテリーシステム2と外部装置が電気的に接続されて充電または放電が行われ、リレー20がオフされれば、バッテリーシステム2と外部装置が電気的に分離される。この時、外部装置はバッテリー10に電力を供給して充電する充電サイクルでは充電器であり、バッテリー10が外部装置に電力を放電する放電サイクルでは負荷であってもよい。
【0044】
電流センサー30はバッテリー10と外部装置間の電流経路に直列接続されている。電流センサー30はバッテリー10に流れるバッテリー電流、即ち、充電電流および放電電流を測定し、測定結果をBMS40に伝達することができる。
【0045】
BMS40は、測定部41、記憶部43、通信部45、および制御部47を含む。
【0046】
測定部41は、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧、バッテリー温度、バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流などを測定することができる。バッテリー電圧およびバッテリー電流はバッテリーの内部抵抗または充電状態(SOC;State of Charge)を算出することに必要なバッテリーデータであり得る。バッテリー温度は、以下説明する環境区間を決定するために必要なバッテリーデータであり得る。例えば、内部抵抗は、直流内部抵抗(DCIR;Direct Current Internal Resistance)を含むことができる。
【0047】
測定部41は、バッテリーの両断に電気的に接続されてバッテリー電圧を測定する電圧センサー(図示せず)、バッテリーと直列接続されてバッテリー電流を測定する電流センサー(図示せず)、およびバッテリーと隣接した位置でバッテリー温度を測定する温度センサー(図示せず)を含むことができる。例えば、測定部41は、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとにバッテリー電圧、バッテリー電流、およびバッテリー温度を測定し、測定結果を制御部47に伝達することができる。
【0048】
記憶部43は、測定部41によって測定されるバッテリー電圧値、バッテリー電流値、およびバッテリー温度値を記憶することができる。
【0049】
通信部45は、ネットワークを通じてサーバー200と通信するための無線通信モジュールを含むことができる。また、通信部45は、車両システムAと通信するためのCAN通信モジュールまたはデイジー通信モジュールなどを含むことができる。
【0050】
通信部45は、バッテリー10の欠陥を診断する診断時点ごとに、制御部47の制御でバッテリーデータをサーバー200に伝送することができる。この時、バッテリーデータはバッテリー電圧、バッテリー電流、およびバッテリー温度のうちの少なくとも一つのデータを含むことができる。
【0051】
制御部47はBMS40を全般的に制御する。一実施形態によって、制御部47はサーバー200の命令によって必要なバッテリーデータをサーバー200に伝送することができる。例えば、サーバー200からバッテリー10の欠陥診断に対応する警告メッセージを通信部45が受信すれば、制御部47は警告メッセージに対応するアラームメッセージなどを通信部45を通じて車両システムAに伝送することができる。
【0052】
図3は、
図1に示されたサーバー200の構成を説明するブロック図である。
【0053】
図3を参照すれば、サーバー200は、サーバー通信部210、サーバー記憶部230、およびサーバー制御部250を含む。
【0054】
サーバー通信部210はネットワークを通じてBMS40と通信するための無線通信モジュールを含むことができる。例えば、バッテリー10の欠陥を診断する診断時点ごとに、サーバー通信部210はBMS40からバッテリーデータを受信することができる。バッテリーデータは、バッテリー電圧値、バッテリー電流値、およびバッテリー温度値のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0055】
サーバー記憶部230は、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、バッテリーデータに基づいてサーバー制御部250が算出する内部抵抗値を記憶することができる。サーバー記憶部230は、バッテリーデータに基づいてサーバー制御部250が推定する充電状態(SOC、State of Charge)を記憶することができる。また、サーバー記憶部230は、BMS40から受信したバッテリーデータを記憶することができる。
【0056】
一実施形態によって、以下説明するバッテリー欠陥診断のために、サーバー記憶部230は、診断周期ごとに算出される内部抵抗値、推定されるSOC、および測定されるバッテリーデータを累積して記憶することができる。例えば、サーバー記憶部230は、サーバー200内部に設置できるが、これに限定されず、別途の外部空間に設置されるデータベース(DB、database)から構成できる。
【0057】
サーバー制御部250は、予め設定された条件による診断時点(N)が到来すれば、移動平均値(MA;Moving Average)、移動平均値より所定値が大きい上限値(UB_Th;Upper Band Threshold)、移動平均値より所定値が小さい下限値(LB_Th;Lower Band Threshold)、および診断時点(N)に対応する内部抵抗値を算出する。
【0058】
実施形態によって、バッテリーの充電が始まる時点またはバッテリーの放電が終了する時点がバッテリーの欠陥を診断する診断時点(N)であってもよい。例えば、診断時点(N)が到来すれば、BMS40は診断時点(N)の到来したことを知らせるメッセージと共にバッテリーデータをサーバー200に伝送することができる。しかし、これに限定されるのではなく、多様な方法で、サーバー制御部250は診断時点(N)の到来有無を判断することができる。
【0059】
一実施形態によって、サーバー制御部250は、現在診断時点(N)を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、抽出した複数の診断時点それぞれに対応する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値を算出することができる。また、サーバー制御部250は、移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を決定することができる。サーバー制御部250は、現在診断時点(N)に対応する内部抵抗値を上限値および下限値と比較してバッテリー10の欠陥を診断することができる。
【0060】
他の実施形態によって、サーバー制御部250は、複数の環境区間のうちの現在診断時点(N)の環境データが属する環境区間に環境データが属し(第1条件)、現在診断時点(N)を基準にして以前の診断時点方向に診断時点をカウントする時、予め設定された標本個数(the number of sample、SN)に対応(第2条件)する複数の診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。この時、標本個数(SN)は、標本集団に含まれる複数の診断時点の個数で、実験などに基づいて最適な個数に決定できる。標本集団は、母集団である過去複数の診断時点の部分集団で、以下説明する移動平均値(MA)および標準偏差平均値(σ_ave)などを算出するための集団であってもよい。
【0061】
以下表1は、複数の診断時点それぞれで測定、推定、および算出されたバッテリー温度、充電状態(SOC)、内部抵抗(DCIR)値、移動平均値(MA)、上限値(UB_Th)、下限値(LB_Th)を記憶するルックアップテーブルに関する一例示である。ルックアップテーブルは、サーバー記憶部230に記憶できる。
【0062】
以下、標本個数(SN)は、5であり、所定の温度大きさ間隔(例えば、20℃間隔)で区別される複数の温度区間(例えば、0℃~20℃、21℃~40℃、41℃~60℃、…)が設定され、所定の充電状態(SOC)大きさ間隔(例えば、20%間隔)で区別される複数の充電区間(例えば、11%~30%、31%~50%、51%~70%、71%~90%)が設定されると仮定する。
【0063】
一実施形態によって、下記表1で、環境データはバッテリー温度および充電状態(SOC)のうちの少なくとも一つを含むと仮定する。この時、環境データはバッテリー10の内部抵抗値に影響を与える要素であり得る。例えば、他の全ての条件は同一であるが、バッテリー温度が異なると仮定する時、バッテリー10の内部抵抗値は異なってもよい。他の例として、他の全ての条件は同一であるが、充電状態(SOC)が異なると仮定する時、バッテリー10の内部抵抗値は異なってもよい。
【0064】
参照として、下記表1で最初診断時点(1)の移動平均値(MA)、標準偏差(σ)、標準偏差平均値(σ_ave)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)は直接算出が難しいことがある(よって、表1で対応する値は空欄で表示される)。それだけでなく、最初診断時点(1)に隣接した診断時点(2、3、…)での移動平均値(MA)、標準偏差(σ)、標準偏差平均値(σ_ave)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)も算出するための過去診断値がないか不足して直接算出が難しいことがある。この場合、実験によって平均的に算出される値を初期診断時点(1、2、3、…)での移動平均値(MA)、標準偏差(σ)、標準偏差平均値(σ_ave)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)で代替することができる。また、以下説明に使用されない第N-8診断周期で内部抵抗値、移動平均値などに関する例示値は省略した。
【0065】
【表1】
上記表1で、現在診断時点(N)のバッテリー温度(25℃)が属する温度区間は21℃~40℃である。また、現在診断時点(N)の充電状態(60%)が属する充電状態区間は51%~70%である。
【0066】
サーバー制御部250は、現在診断時点(N)、即ち、第N診断時点と類似の環境(21℃~40℃および51%~70%)に属しながら、同時に現在診断時点(N)を基準にして以前の診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する第N-1診断時点、第N-2診断時点、第N-3診断時点、第N-5診断時点、および第N-7診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。この時、第N-4診断時点は、対応するバッテリー温度(8℃)が第N診断時点のバッテリー温度(25℃)が属する温度区間(21℃~40℃)と異なる温度区間(0℃~20℃)に属する。第N-6診断時点は、対応する充電状態(11%)が第N診断時点の充電状態(60%)が属する充電状態区間(51%~70%)と異なる充電状態区間(11%~30%)に属する。第N-8診断時点は、第N診断時点と類似の環境(21℃~40℃および51%~70%)にあるが、第N診断時点と時間的な間隔が大きくて標本個数(SN)に含まれない。即ち、第N-4診断時点、第N-6診断時点、および第N-8診断時点は標本集団に含まれない。
【0067】
他の実施形態によって、環境データはバッテリー温度または充電状態(SOC)を含むことができる。例えば、前記表1で、環境データがバッテリー温度のみを含むと仮定すれば、サーバー制御部250は、第N診断時点と類似の環境(21℃~40℃)に属する第N-1診断時点(23℃)、第N-2診断時点(23℃)、第N-3診断時点(20℃)、第N-5診断時点(22℃)、および第N-6診断時点(23℃)を標本集団に含ませることができる。他の例として、前記表1で、環境データが充電状態(SOC)のみを含むと仮定すれば、サーバー制御部250は、第N診断時点と類似の環境(51%~70%)に属する第N-1診断時点(55%)、第N-2診断時点(55%)、第N-3診断時点(50%)、第N-4診断時点(60%)、および第N-5診断時点(55%)を標本集団に含ませることができる。
【0068】
整理すれば、サーバー制御部250は、所定の診断時点(N)と類似の環境にありながら同時に診断時点(N)と隣接した複数の診断時点を抽出して標本集団を決定することができる。例えば、サーバー制御部250は、先に説明した基準によって複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)を抽出して標本集団を決定し、標本集団内に属する複数の診断時点で算出された内部抵抗値に基づいて欠陥診断に使用される基準値(以下説明する上限値および下限値)を決定することができる。そうすれば、バッテリーを長期間使用することによる老化程度および/または一時的な内部抵抗値の変動をバッテリーの欠陥と誤診断する問題を解決することができる。
【0069】
その次に、サーバー制御部250は、標本集団に属する複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)それぞれで算出された内部抵抗値に基づいて第N診断時点でバッテリーの欠陥を診断する基準値(上限値および下限値)を決定する。
【0070】
一実施形態によって、サーバー制御部250は、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIR)値を上限値(UB_Th)および下限値(LB_Th)と比較して、バッテリーの欠陥を診断する。例えば、表1を参照すれば、第N診断時点で、サーバー制御部250は、内部抵抗値((1))、上限値((5))および下限値((6))を算出し、算出した内部抵抗値((1))を上限値((5))および下限値((6))と比較してバッテリーの欠陥を診断する。この時、上限値((5))および下限値((6))を算出するために、移動平均値((2))および標準偏差平均値((4))が必要である。但し、標準偏差((3))は、第N診断時点の欠陥診断時に必要な値ではないが、以後診断時点(N+1、N+2、…)の欠陥診断時に必要であるので、第N診断時点で算出されて記憶部43に記憶できる。
【0071】
以下、表1の第N診断時点で制御部47が算出する内部抵抗値((1))、移動平均値((2))、標準偏差((3))、標準偏差平均値((4))、上限値((5))および下限値((6))を説明する。
【0072】
サーバー制御部250は、バッテリー10の両端電圧であるバッテリー電圧およびバッテリー10に流れる電流であるバッテリー電流に基づいて第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。例えば、下記の式(1)によって、内部抵抗(DCIRN)((1))値は算出できる。
【0073】
【0074】
例えば、制御部47は、充電が始まる第1時点に対応するバッテリー電圧(V1)および第1時点から所定の時間が経過した第2時点に対応するバッテリー電圧(V2)間の電圧差(ΔV=|V1-V2|)を算出することができる。サーバー制御部250は、バッテリーに流れる充電電流(I)および電圧差(ΔV)に基づいて内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。例えば、第N診断時点(N)に対応する内部抵抗(DCIRN)値は30Ωと算出されると仮定する。
【0075】
サーバー制御部250は、前記表1を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の内部抵抗値(25Ω、23Ω、20Ω、21Ω、23Ω)を平均(25Ω+23Ω+20Ω+21Ω+23Ω/5=22.4)して第N診断時点(N)に対応する移動平均値(MAN)((2))を算出することができる。即ち、第N診断時点(N)に対応する内部抵抗(DCIRN)値は22.4Ωであり得る。
【0076】
【0077】
サーバー制御部250は、下記表2を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する内部抵抗値(DCIR)および移動平均値(MA)に基づいて第N診断時点(N)に対応する標準偏差σN((3))を算出することができる。
【0078】
【表2】
先に説明したように、第N診断時点(N)に対応する標準偏差σ
N((3))は、第N診断時点の欠陥診断時に必要な値ではないが、以後診断時点(N+1、N+2、…)の欠陥診断時に必要である。したがって、第N診断時点(N)に対応する標準偏差σ
N((3))は、第N診断時点(N)で算出されてサーバー記憶部230に記憶できる。
【0079】
サーバー制御部250は、下記表3を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の標準偏差(σN-7、σN-5、σN-3、σN-2、σN-1)に基づいて第N診断時点(N)に対応する標準偏差平均値σN_ave((4))を算出することができる。
【0080】
【表3】
サーバー制御部250は、移動平均値(MA
N)より所定値が大きい上限値(UB
N_Th)および移動平均値(MA)より所定値が小さい下限値(LB
N_Th)を算出することができる。実施形態によって、サーバー制御部250は、標準偏差平均値σ
N_aveに所定の第1倍数をかけて第1誤差値を算出し、移動平均値(MA
N)に第1誤差値を加算して上限値(UB
N_Th)を算出することができる。また、サーバー制御部250は、標準偏差平均値σ
N_aveに所定の第2倍数をかけて第2誤差値を算出し、移動平均値(MA
N)から第2誤差値を減算して下限値(LB
N_Th)を算出することができる。この時、第1倍数および第2倍数は同一であってもよいが、これに限定されず、多様な倍数で算定できる。
【0081】
一実施形態によって、サーバー制御部250は、標本集団の標準偏差の平均である標準偏差平均値σN_ave((4))と所定の倍数(Q)をかけて誤差値(E=σN_ave×Qを算出することができる。この時、倍数(Q)は、所定の誤差を反映するための値で、実験によって多様な値に決定できる。例えば、倍数(Q)は、自然数3と仮定する。
【0082】
サーバー制御部250は、下記式(3)のように、標本集団の移動平均値(MAN=22.4)に誤差値(E=σN_ave×Q=1.69×3)を加算して上限値(UBN_Th)27.47を算出することができる。また、制御部47は、下記式(4)のように、標本集団の移動平均値(MAN=22.4)から誤差値(E=σN_ave×Q=1.69×3)を減算して下限値(LBN_Th)17.33を算出することができる。
【0083】
【0084】
その次に、サーバー制御部250は第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値を第N診断時点(N)に対応する上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較してバッテリーの欠陥を診断することができる。
【0085】
一実施形態によって、内部抵抗(DCIRN)値が上限値(UBN_Th)を超過すれば、サーバー制御部250はバッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥(disconnection defect、DD)が発生したと診断することができる。内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)未満であれば、サーバー制御部250はバッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥(short defeat、SD)が発生したと診断することができる。即ち、内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)以上上限値(UBN_Th)以下に対応する正常範囲外であれば、サーバー制御部250はバッテリー10に欠陥(断線欠陥または短絡欠陥)が発生したと診断することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値が正常範囲内であれば、サーバー制御部250はバッテリー10の状態を正常と診断することができる。
【0086】
例えば、先に表1および表3、ならびに式(1)~式(4)を通じて説明したように、第N診断時点に対応する内部抵抗値(DCIRN)、上限値(UBN_Th)、および下限値(LBN_Th)それぞれは、30(Ω)、27.47、17.33と算出できる。この場合、サーバー制御部250は内部抵抗値(DCIRN=30)が上限値(UBN_Th=27.47)を超過することに基づいて、バッテリーの欠陥(断線、disconnection defect)を診断することができる。
【0087】
図4は、実施形態によるバッテリー欠陥診断方法を説明するフローチャートである。
【0088】
以下、
図1~
図4を参照して、バッテリー欠陥診断方法およびその方法を提供するサーバーを説明する。
【0089】
まず、サーバー制御部250は、バッテリーシステム100からバッテリーデータを受信する(S100)。この時、バッテリーデータは、バッテリー10の両端電圧であるバッテリー電圧、およびバッテリー温度、バッテリー10に流れる電流であるバッテリー電流のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0090】
例えば、バッテリー電圧およびバッテリー電流はバッテリーの内部抵抗(DCIR;Direct Current Internal Resistance)または充電状態(SOC;State of Charge)を算出するのに必要なバッテリーデータであり得る。バッテリー温度は、以下説明する環境区間を決定するために必要なバッテリーデータであり得る。
【0091】
その次に、サーバー制御部250は、所定の診断時点(N)と類似の環境にありながら同時に診断時点(N)と隣接した複数の診断時点を抽出して、標本集団を決定する(S200)。
【0092】
サーバー制御部250は、所定の診断時点(N)、即ち、1)第N診断時点の環境データが属する所定の環境区間に環境データが属する第1条件、および2)第N診断時点を基準にして以前の診断時点方向に診断時点をカウントする時、予め設定された標本個数(SN)に対応する第2条件を満足する複数の診断時点を抽出して標本集団を決定する。一実施形態によって、サーバー制御部250は、第1条件および第2条件を全て満足する複数の診断時点を抽出して標本集団を決定することができる。他の実施形態によって、サーバー制御部250は、第2条件を満足する複数の診断時点を抽出して標本集団を決定することができる。
【0093】
例えば、環境データはバッテリー温度および充電状態(SOC)を全て含み、標本個数(SN)は5である場合であると仮定しよう。前記表1で、サーバー制御部250は、第N診断時点(N)と類似の環境(21℃~40℃および51%~70%)に属しながら、同時に第N診断時点(N)を基準にして以前の診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する第N-1診断時点、第N-2診断時点、第N-3診断時点、第N-5診断時点、および第N-7診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。
【0094】
その次に、サーバー制御部250は、バッテリー10の欠陥診断の基準値を決定する(S300)。一実施形態によって、基準値は、上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)を含むことができる。
【0095】
S300段階で、
図5を参照すれば、サーバー制御部250は、標本集団に属する複数の診断時点それぞれに対応する複数の内部抵抗値を平均して標本集団の移動平均値(MA
N)を算出する(S310)。
【0096】
前記表1および前記式(2)を参照すれば、サーバー制御部250は、標本集団に属する複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の内部抵抗値(25Ω、23Ω、20Ω、21Ω、23Ω)を平均して第N診断時点(N)に対応する移動平均値(MAN)22.4を算出することができる。
【0097】
S300段階で、サーバー制御部250は、標本集団の標準偏差平均値σN_aveに基づいて誤差値(E)を算出する(S320)。
【0098】
例えば、標本集団の標準偏差平均値σN_aveは、標本集団に属する複数の診断時点それぞれに対応する複数の標準偏差を平均して算出できる。
【0099】
前記表1および前記表3を参照すれば、サーバー制御部250は、標本集団に属する複数の診断時点(N-7、N-5、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の標準偏差(σN-7、σN-5、σN-3、σN-2、σN-1)に基づいて診断時点(N)に対応する標準偏差平均値(σN_ave、1.69)を算出することができる。また、サーバー制御部250は、標準偏差平均値σN_aveと所定の倍数(Q)をかけて誤差値(E=σN_ave×Q=1.69×3)を算出することができる。この時、倍数(Q)は、所定の誤差を反映するための値で、実験によって多様な値に決定できる。例えば、倍数(Q)は、自然数3と仮定する。
【0100】
S300段階で、サーバー制御部250は、標本集団の移動平均値(MAN)および誤差値(E)に基づいて、上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)を算出する(S330)。
【0101】
前記式(3)を参照すれば、サーバー制御部250は、標本集団の移動平均値(MAN=22.4)に誤差値(E=σN_ave×Q=1.69×3)を加算して上限値(UBN_Th)27.47を算出することができる。また、前記式(4)を参照すれば、サーバー制御部250は、標本集団の移動平均値(MAN=22.4)から誤差値(E=σN_ave×Q=1.69×3)を減算して下限値(LBN_Th)17.33を算出することができる。
【0102】
その次に、サーバー制御部250は、第N診断時点(N)に対応する内部抵抗(DCIRN)値を第N診断時点(N)に対応する上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較してバッテリー10の欠陥を診断する(S400)。
【0103】
サーバー制御部250は、バッテリー10の両端電圧であるバッテリー電圧およびバッテリー10に流れる電流であるバッテリー電流に基づいて第N診断時点(N)に対応する内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値はS200段階またはS300段階で算出でき、診断時点であるS400段階以前に算出されるものであれば、算出される時点が制限されない。
【0104】
例えば、サーバー制御部250は、バッテリー10の充電が始まる第1時点に対応するバッテリー電圧(V1)および第1時点から所定の時間が経過した第2時点に対応するバッテリー電圧(V2)間の電圧差(ΔV=|V1-V2|)を算出することができる。サーバー制御部250は、バッテリー10に流れる充電電流(I)および電圧差(ΔV)に基づいて内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。例えば、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値は30Ωと算出されると仮定する。
【0105】
S400段階で、サーバー制御部250は、内部抵抗(DCIRN)値が上限値(UBN_Th)を超過するかどうかを判断する(S410)。
【0106】
S400段階で、判断結果、超過すれば(S410、Yes)、サーバー制御部250は、バッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥(disconnection defect)が発生したと診断する(S420)。
【0107】
例えば、並列接続されている複数のバッテリーセルのうちの一部のバッテリーセルの並列接続が切れれば、バッテリー10の内部抵抗値が増加できる。
【0108】
S400段階で、判断結果、超過しなければ(S410、No)、サーバー制御部250は、内部抵抗値(DCIRN)が下限値(LBN_Th)未満であるかどうかを判断する(S430)。
【0109】
S400段階で、判断結果、未満であれば(S430、Yes)、サーバー制御部250は、バッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥(short defect)が発生したと診断する(S440)。
【0110】
例えば、並列接続されている複数のバッテリーセルのうちの一部のバッテリーセル同士が互いに接触(short)すれば、バッテリー10の全体抵抗である内部抵抗値が減少できる。
【0111】
S400段階で、判断結果、以上であれば(S430、No)、サーバー制御部250は、バッテリー10の状態を正常と診断する(S450)。
【0112】
内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)以上、上限値(UBN_Th)以下に対応する正常範囲外であれば、サーバー制御部250は、バッテリー10の状態を欠陥(断線欠陥または短絡欠陥)と診断することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値が正常範囲内であれば、サーバー制御部250は、バッテリー10の状態を正常と診断することができる。
【0113】
その次に、サーバー制御部250は、バッテリー10に対する診断結果に対応するアラームメッセージをBMS40に伝送することができる(S500)。
【0114】
例えば、断線欠陥(S420)および短絡欠陥(S440)と判断されれば、サーバー制御部250は、欠陥診断に対応する警告メッセージをBMS40に伝送することができる(S500)。他の例として、正常診断と判断されれば、サーバー制御部250は、正常状態に対応するアラームメッセージをBMS40に伝送することができる(S500)。
【0115】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるのではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。
【国際調査報告】