(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】多形膠芽腫処置
(51)【国際特許分類】
C07D 413/04 20060101AFI20241018BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20241018BHJP
C07D 271/06 20060101ALI20241018BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20241018BHJP
C07D 498/10 20060101ALI20241018BHJP
C07D 413/06 20060101ALI20241018BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20241018BHJP
C07D 413/10 20060101ALI20241018BHJP
C07D 413/12 20060101ALI20241018BHJP
C07D 487/08 20060101ALI20241018BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20241018BHJP
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C07D 471/04 20060101ALI20241018BHJP
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C07D 498/04 20060101ALI20241018BHJP
C07D 417/04 20060101ALI20241018BHJP
C07D 417/12 20060101ALI20241018BHJP
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C07D 249/08 20060101ALI20241018BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20241018BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20241018BHJP
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A61K 31/4439 20060101ALI20241018BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20241018BHJP
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A61K 31/5383 20060101ALI20241018BHJP
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A61K 31/55 20060101ALI20241018BHJP
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A61K 31/7105 20060101ALI20241018BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241018BHJP
【FI】
C07D413/04 CSP
C07D417/14
C07D271/06
C07D413/14
C07D498/10
C07D413/06
C07D519/00 311
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C07D471/04 104Z
C07D491/052
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C07D403/06
A61K31/4709
A61K31/427
A61K31/4245
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A61K31/4439
A61K31/5386
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A61K31/454
A61K31/437
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A61K31/4196
A61K31/55
A61K31/165
A61K31/167
A61K31/7105
A61P35/00
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522278
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022077910
(87)【国際公開番号】W WO2023064771
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518223753
【氏名又は名称】ブラウン ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】500430718
【氏名又は名称】ロード アイランド ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】タピノス, ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン, オラ
(72)【発明者】
【氏名】カラムビジ, デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC62
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4C086BC67
4C086BC71
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4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C206AA01
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4C206ZC20
4C206ZC41
(57)【要約】
HDAC-7インヒビターおよびその使用(脳がんおよび/または固形腫瘍(例えば、多形膠芽腫(GBM))を処置するための治療剤としてのそれらの使用が挙げられる)が、提供される。一部の実施形態において、小分子、siRNA、もしくはHDACクラスIIaインヒビター(例えば、TMP269)、またはそれらの薬学的に受容可能な塩から選択されるHDAC-7インヒビターが、本明細書において提供される。これらのHDAC-7インヒビターまたはそれらの薬学的に受容可能な塩は、脳がんおよび/または固形腫瘍(例えば、多形膠芽腫(GBM))を処置することにおいて有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【化2-4】
【化2-5】
【化2-6】
【化2-7】
【化2-8】
【化2-9】
【化2-10】
【化2-11】
【化2-12】
【化2-13】
から選択される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む、組成物。
【請求項4】
がんまたは腫瘍を処置することを必要とする対象においてがんまたは腫瘍を処置する方法であって、治療有効量のヒストンデアセチラーゼ7(HDAC-7)インヒビターを該対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項5】
前記HDAC-7インヒビターが、請求項1に記載の化合物または請求項2もしくは3に記載の組成物のうちの1種または複数種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記HDAC-7インヒビターが、TMP269、トリコスタチンA、ボリノスタット、またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記HDAC-7インヒビターが1種または複数種のsiRNAもしくはその薬学的に受容可能な塩を含むか、または該siRNAもしくはその薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む医薬組成物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記siRNAが配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記がんまたは腫瘍が多形膠芽腫を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記HDAC-7インヒビターが前記がんまたは腫瘍の少なくとも部分の外科的除去前、外科的除去後、あるいは外科的除去と同時に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記HDAC-7インヒビターが以下:前記がんまたは腫瘍の増殖の減少、前記がんまたは腫瘍の細胞増殖の減少、前記がんまたは腫瘍の1つまたは複数の細胞のアポトーシスの増加、前記多形膠芽腫の転移性播種の阻害、対象の生存の改善、前記がんまたは腫瘍の細胞がコロニーを形成する能力の減少、あるいは前記がんまたは腫瘍の細胞が遊走する能力の減少のうちの1つまたは複数を引き起こすのに十分な量で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記HDAC-7インヒビターが抗体療法の施行前、施行後、または施行と同時に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記HDAC-7インヒビターが放射線療法の施行前、施行後、または施行と同時に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
多形膠芽腫を処置するための医薬組成物であって、
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
【化3-6】
【化3-7】
【化3-8】
【化3-9】
【化3-10】
【化3-11】
【化3-12】
【化3-13】
またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む、医薬組成物。
【請求項15】
多形膠芽腫を処置するための医薬組成物であって、siRNAまたはその薬学的に受容可能な塩;TMP269またはその薬学的に受容可能な塩;トリコスタチンAまたはその薬学的に受容可能な塩;あるいはボリノスタットまたはその薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含み、該siRNAは配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本出願は、サイズが4,589バイトであり、2022年9月26日に作成された、ファイル名「GLIOBLASTOMA MULTIFORME TREATMENT.xml」を有する配列表を含む。この配列表の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2021年10月12日に出願された米国仮特許出願第63/254,826号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
(分野)
本開示は、ヒストンデアセチラーゼ7(HDAC-7)のインヒビターを使用する、脳がんおよび/または固形腫瘍(例えば、多形膠芽腫(GBM))の処置に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
多形膠芽腫(GBM)は、最も悪性で侵襲性の原発性脳腫瘍である。GBMは、不良な予後を有し、診断後14か月~15か月の生存率である。治療アプローチを最適化するための世界的な取り組みにも関わらず、GBMは、依然として、臨床腫瘍学において処置するのが最も困難な疾患および再発するのが最も速い疾患の一つである。GBMの治療抵抗性およびその避けられない腫瘍再発は、主に、腫瘍始原細胞またはグリオーマ幹細胞(GSC)の存在に帰せられる。
【0005】
上記の欠点が原因で、有効なGBM処置について緊急の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
ヒストンデアセチラーゼ7(HDAC-7)が膠芽腫において正常な脳組織と比較して高度に発現されるという発見と、HDAC-7を阻害することはGBM増殖に対して顕著な効果を有し、GSC特性、トランスクリプトーム発現、およびがん細胞の浸潤を阻害するという発見とに基づいて、ヒストンデアセチラーゼ7(HDAC-7)のインヒビターが、可能性のある治療標的として選択された。
【0007】
他のクラスIIaヒストンデアセチラーゼと比較してHDAC-7に対する顕著な特異性を示す小分子インヒビターライブラリーが設計され、ヒトの脳腫瘍および他の固形腫瘍に対する可能性のある薬物を決定するためにスクリーニングされた。これらの小分子またはそれらの薬学的に受容可能な塩が、本明細書において開示される。
【0008】
それらの小分子に加えて、GACAAGAGCAAGCGAAGUG(配列番号1)、GCAGAUACCCUCGGCUGAA(配列番号2)、GGUGAGGGCUUCAAUGUCA(配列番号3)、またはUGGCUGCUCUUCUGGGUAA(配列番号4)というsiRNAから選択されるインヒビターが、本明細書において開示される。他のHDAC-7インヒビターとしては、TMP269、トリコスタチンA、およびボリノスタットが挙げられる。
【0009】
これらのHDAC-7インヒビターまたはそれらの薬学的に受容可能な塩は、脳がんおよび/または固形腫瘍(例えば、多形膠芽腫(GBM))を処置することにおいて有用である。
【0010】
(図面の簡単な説明)
以下の図面は本開示の特定の態様を例示するために含まれ、これらの図面は排他的な実施形態として見なされるべきではない。開示されている主題は、本開示の利点を有する当業者が想到するとおり、形式および機能において相当な改変、変更、組合せ、および均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、GBM治療として可能性のある1つのヒストンHDAC-7阻害モデルアプローチのグラフィカルアブストラクトを示し、これは、解明されたHDAC-7インタラクトームの概略図、ならびに特定の細胞周期プロセスおよび細胞分裂シグナル伝達を阻害してGSCの自己複製を調節するためのHDAC-7阻害後の翻訳後修飾の概略図を含む。
【0012】
【
図2-1】
図2A~
図2Fは、IDH野生型膠芽腫についての5遺伝子エピジェネティックシグネチャーを示す。インビボでプールした過剰発現エピジェネティックスクリーニングの概要(
図2A)。腫瘍対ベースライン対照において差次的に提示された遺伝子(
図2B)。3つのGBMコホートにおける臨床的に適切な遺伝子の選択(
図2C)。Gravendeelコホートに適用されているTCGA由来の類似するカットオフを示すウォーターフォールプロット(
図2D)。訓練セットおよび検証セットにおいて5遺伝子シグネチャーを使用して層化した高リスク(HR)サブグループおよび低リスク(LR)サブグループの全生存期間解析(
図2E)。HRサブグループおよびLRサブグループのサブクラスマッピング解析(SubMapソフトウェア)。有意なp値は、TCGAコホートのHRサブグループがGravendeelのHRサブグループと有意な対応を有したことを確認した;LRについても同じであった(
図2F)。
【0013】
【
図3-1】
図3A~
図3F。NanoStringデータの概要。84個のGBM患者サンプルのNanoString解析の概要(
図3A)。5遺伝子シグネチャーで層化したHRサブグループ対LRサブグループの全生存期間解析(
図3B)および無増悪生存期間解析(
図3C)。HR腫瘍対LR腫瘍で差次的に発現される遺伝子を示すヒートマップ(
図3D)。HR腫瘍/LR腫瘍での発現変動遺伝子のDAVID解析(
図3E)。HR腫瘍/LR腫瘍で発現された遺伝子の差次的発現解析のボルケーノプロット表示(
図3F)。
【0014】
【
図4-1】
図4A~
図4Bは、Chinese Glioma Genome Atlas(CGGA)におけるHDAC-7発現を示す。このCGGAデータに由来する患者についての種々の形態のグリア腫瘍におけるHDAC-7の発現であり、GBMが最も高いHDAC-7発現を示す(
図4A)。CGGAデータ由来のGBM患者すべてについてのKaplan-Meyer生存分析が2つの群(「高HDAC-7発現」および「低HDAC-7発現」)に分割されており、HDAC-7「高発現」群がHDAC-7「低発現」群と比較して少ない生存を示す(
図4B)。
【0015】
【
図5-1】
図5A~
図5Dは、The Cancer Genome Atlas(CGGA)におけるHDAC-7発現を示す。このTCGAデータ由来のGBM腫瘍対非腫瘍におけるHDAC-7の発現であり、GBMが非腫瘍と比較して顕著に高いHDAC-7発現を示す(
図5A)。TCGAデータ由来のGBM患者すべてについてのKaplan-Meyer生存分析が2つの群(「高HDAC-7発現」および「低HDAC-7発現」)に分割されており、HDAC-7「高発現」リスク患者群が「低発現」リスク患者と比較して少ない生存を示す(
図5B)。TCGAデータ由来のGBMコホートにおいてHDAC-7高発現群対HDAC-7低発現群において発現された遺伝子の差次的発現解析の、それぞれ、ヒートマップ表示およびボルケーノブロット表示(
図5C~
図5D)。
【0016】
【
図6】
図6A~
図6Dは、HDACクラスIIaインヒビターで処理したGSCが2週間限界希釈アッセイにおいてニューロスフェアを形成不可能であることを示す。限界希釈アッセイ「LDA」においてDMSO(対照)およびHDACクラスIIaインヒビターでそれぞれ処理したGSC培養物の画像。ここで、非常に初期の時点でスフェア形成能力を示した対照GSCと比較して、HDACクラスIIaインヒビターで処理したGSCは2週間LDAにおいてニューロスフェアを形成不可能である(
図6Aおよび
図6C)。DMSOで処理したGSCおよびHDACクラスIIaインヒビターで処理したGSCそれぞれの自己複製能力をスコア付けおよび評価するためにオンラインアルゴリズムを使用したグラフ(
図6Bおよび
図6D)。
【0017】
【
図7-1】
図7A~
図7Dは、HDAC-7 siRNAについてのトランスクリプトーム解析を示す。初代GSCにおいてsiRNAノックダウン後に適用されたRNASeqに由来するHDAC-7ノックダウン対対照における発現変動遺伝子の、それぞれ、ヒートマップ表示およびボルケーノブロット表示(
図7A~
図7B)。初代GSCにおいてsiRNAノックダウン後に適用されたRNASeqに由来するHDAC-7ノックダウン対対照における発現変動遺伝子の遺伝子エンリッチメント解析(
図7C)。種々の幹細胞型におけるインプットのダウンレギュレートされた遺伝子間のオーバーラップを示すオーバーラップレーダーチャート(
図7D)。
【0018】
【
図8-1】
図8A~
図8Bは、HDAC-7阻害がGSCについて間葉系表現型および前神経表現型の各々を抑制することを示す。2つの異なるシグネチャー遺伝子セットを使用した、HDAC-7ノックダウンGSC対対照のGSEAエンリッチメントプロットであり、これはHDAC-7阻害が間葉系表現型および前神経表現型のシグネチャー遺伝子を阻害することを示す(
図8A)。正規化したエンリッチメントスコア(NES)が各プロットについて示されている。HDAC-7発現は、TCGAの公衆に利用可能なデータに由来する種々のGSCのサブタイプにおいて比較的近い(
図8B)。
【0019】
【
図9】
図9A~
図9Bは、野生型(WT)GSC中およびsiRNAノックダウン後のHDAC-7相対的タンパク質レベルを示す。GSCにおけるハウスキーピング遺伝子と比較して相対的に低いHDAC-7タンパク量(
図9A)。HDAC-7 siRNA後のGSC対対照におけるHDAC-7の相対的タンパク質レベル(
図9B)。
【0020】
【
図10】
図10は、HDAC-7阻害がGSCにおけるヒストンの翻訳後修飾(PTM)に対する特定の変化をもたらすことを示す。Mod Specを通じて検出したHDAC-7ノックダウン対対照におけるヒストンの翻訳後修飾(PTM)の量の変化のヒートマップ表示。実験は、技術的反復として3つの独立した試験を実行した。
【0021】
【
図11-1】
図11は、HDAC-7阻害がGSCにおいて他のHDACメンバーに対する特定の変化をもたらすことを示す。プロットは、siRNAを使用してHDAC-7をノックダウンした後のGSC対対照における他のHDACに対する影響についてRNASeqデータ由来の正規化した個数を示し、調整済みのP<0.05である。
【0022】
【
図12】
図12は、GSCの細胞生存度に対して同等の阻害効果を有するクラスIIa HDACインヒビターを示す。HDACクラスIIaインヒビター(TMP269)で処理したGSCと比較した、汎HDACインヒビターであるTSA(トリコスタチンA)で処理したGSC、SAHA(ボリノスタット)で処理したGSCについての用量反応曲線。細胞生存アッセイは、72時間の時点で漸増用量の各々の対応する薬物で処理した後にMTSによって決定し、P値<0.0001であった。
【0023】
【
図13】
図13A~
図13B。RIH由来のGBM患者についてのKaplan-Meier生存分析。データは2つの群に分割されており、HDAC-7「高発現」患者群が「低発現」患者と比較して少ない生存を示す(
図13A)。TCGA由来のGBM腫瘍対非腫瘍におけるHDAC-7の発現であり、GBMが非腫瘍と比較して高HDAC-7発現を示す(
図13B)。
【0024】
【
図14-1】
図14A~
図14E。HDAC-7 siRNAについてのトランスクリプトーム解析。初代GSCにおけるHDAC-7 siRNAノックダウン対対照における4963個の発現変動遺伝子のヒートマップ(
図14A)およびボルケーノブロット表示(
図14B)。HDAC-7ノックダウン対対照における発現変動遺伝子のGene Ontologyエンリッチメント解析(
図14C)。格子状の表は、種々の幹細胞性シグネチャーデータベースにおける各個のノックダウンされた遺伝子の存在およびその存在を示す(
図14D)。種々の幹細胞型におけるsi-HDAC-7でダウンレギュレートされた遺伝子間でのオーバーラップを示すレーダーチャート(
図14E)。
【0025】
【
図15-1】
図15A~
図15B。HDAC-7 siRNAについてのプロテオミクス解析。Mod Spec(質量分析)を通じて検出したHDAC-7ノックダウン対対照におけるヒストンの翻訳後修飾の量の変化のヒートマップ表示(
図15A)。RIMEを通じて同定したDNA結合タンパク質およびクロマチン関連タンパク質パートナーとHDAC-7とについての概略表示(
図15B)。同定したタンパク質は、GSCにおいてHDAC-7に近接していた(2.3Å~2.7Å)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な説明)
GBMを処置することにおける困難の一つは、GBMにおいて示される腫瘍間および腫瘍内の不均一性および可塑性を克服し得る治療の欠如である。ここで、HDAC-7は膠芽腫において正常な脳組織と比較して高度に発現されることが、発見された。HDAC-7(ヒストンデアセチラーゼ7)を阻害することはGBM増殖に対して顕著な効果を有し、GSC特性、トランスクリプトーム発現、およびがん細胞の浸潤を阻害することもまた、発見された。
【0027】
さらに、HDAC-7もしくはCLOCK(Circadian Locomotor Output Cycles Kaput)を阻害すること、またはASF1A(Anti-Silencing Function 1A Histone Chaperone)、SUV39H2(Suppressor Of Variegation 3-9 Homolog 2)、もしくはWHSC1L1(Wolf-Hisrchhorn Syndrome Candidate 1-Like 1)をダウンレギュレートすることにより、インビトロGSC培養物において表現型変化が示され、インビボGBMヒト異種移植片マウスモデルの生存が減少したことが、発見された。
【0028】
したがって、一実施形態において、HDAC-7インヒビターであるGBMインヒビターが、本明細書において提供される。一部の実施形態において、小分子、siRNA、それらの薬学的に受容可能な塩、またはそれらの組合せから選択されるHDAC-7インヒビターが、本明細書において提供される。一部の実施形態において、そのインヒビターとしては、HDACクラスIIaインヒビター(例えば、TMP269)またはそれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられる。一部の実施形態において、そのインヒビターとしては、HDAC-7標的指向性siRNAまたはそれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられる。一部の実施形態において、そのインヒビターとしては、以下のHDAC7:NM_001098416;NM_001308090;NM_015401;XM_011538478;XM_011538479;XM_011538480;XM_011538481;XM_011538482;XM_011538483;XM_017019455;XM_017019456;またはXR_001748761の転写物のうちの1つまたは複数を標的とするsiRNAが挙げられる。一部の実施形態において、そのsiRNAは、GACAAGAGCAAGCGAAGUG(配列番号1)、GCAGAUACCCUCGGCUGAA(配列番号2)、GGUGAGGGCUUCAAUGUCA(配列番号3)、またはUGGCUGCUCUUCUGGGUAA(配列番号4)のうちの1つまたは複数を含む。
【0029】
上記のインヒビターに加えて、他のクラスIIaヒストンデアセチラーゼと比較してHDAC-7に対して顕著な特異性を示す小分子インヒビターライブラリーが、設計された。これらの小分子は表1に開示される。したがって、一部の実施形態において、表1から選択される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【0030】
HDAC-7は結晶化されており、クラスI、クラスII、およびクラスIVの他のメンバーと同様に、HDAC-7は亜鉛媒介性電荷リレー系を通じてその基質に結合する。クラスIIa HDACは、その活性部位に隣接する別の特定の亜鉛結合モチーフを有し、これは、認識およびタンパク質-タンパク質間相互作用を指示し、補因子および調節タンパク質のドッキングのための部位である可能性が最も高く、活性の調節のための部位を提供する。HDAC-7における顕著な構造的多様性が活性部位入口付近のループ領域において見出され、このループ領域は、従来とは異なり他のHDACの基質の二座配位ではなく基質の単座配位を媒介し、したがって、基質の結合および特異性を媒介している可能性がある。
【0031】
他のHDACクラスIIaメンバーと比較してHDAC-7に対する特異性が増加した新規な小分子インヒビター(例えば、表1中の小分子インヒビター)を設計するために、HDAC IIaインヒビターの構造的に関連する化合物の構造ベースのバーチャルスクリーニングを実行した。このスクリーニングは15億個を含むデジタル化合物ライブラリーに対して実施し、HDAC-7への結合をHDAC-4およびHDAC-5への結合と比較した。それらのヒットを、市販の汎クラスIIa HDACインヒビターであるTMP269の阻害性結合ともまた比較した。それらの結晶構造を一緒に重ね合わせることによって、本発明者らは、種々の結合基の化学結合をTMP269と比較して、可能性のあるいずれかの結合基が、HDAC-7に対する親和性を増加し、HDAC-4およびHDAC-5に対する親和性を減少するか否かを評価した。インプットするHDAC構造の重ね合わせの際のインヒビター結合の構造的差異を調べることによって、後者のアプローチを連続的パイプラインにおいて適用した。その後、Schrodingerコンピュータリガンドデザイナー(computational ligand designer)ソフトウェアを使用して、物理ベースの予測方法と、コンビナトリアル化学結合、ドッキング、親和性計算における機械学習技術とを統合し、HDAC-7とHDAC-4およびHDAC-5との対比においてその可能性のある化合物をモデリングした。したがって、結合基の伸長を許容するTMP269中の部位を手作業で予測する代わりに、このソフトウェアは、信頼できる予測を提供する。これらの予測部位において多くの結合基を試すことによって、より高い親和性をHDAC-7に対して有する化合物を首尾よくドッキングした。最後に、これらの化合物におけるHDAC-7に対する親和性計算のために物理的相互作用およびエネルギー摂動を計算するために、より複雑な考慮事項((動的シミュレーションならびに水分子、隣接イオン、および必要とされる補因子との相互作用など)をその結合に組み込む、このSchrodingerソフトウェアのための複雑な方のライブラリーを使用した。このアプローチは、生物学的に使用した場合により良好な薬物動態および薬力学を示し得る、より適用可能な「創薬可能な」化合物を生じた。
【0032】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている化合物(例えば、HDAC-7インヒビターまたはそれらの塩)は、互変異性体として存在する。
【0033】
本明細書において記載されている化合物はまた、同位体標識化合物を含み、この同位体標識化合物において、1つまたは複数の原子が、同じ原子番号だが天然で主に見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられている。本明細書において記載されている化合物中に含めるのに適切な同位体の例としては、2H、3H、11C、13C、14C、36Cl、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32P、および35Sが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、同位体標識化合物は、薬物または基質の組織分布研究において有用である。別の実施形態において、より重い同位体(例えば、ジュウテリウム)での置換は、より高い代謝安定性(例えば、増加したインビボ半減期または減少した必要投与量)を提供する。なお別の実施形態において、陽電子放出性同位体(例えば、11C、18F、15Oおよび13N)での置換は、基質のレセプター占有を調べるための陽電子放射断層撮影(PET)研究において有用である。同位体標識化合物は、任意の適切な方法によって、または他の方法で使用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用するプロセスによって、調製される。
【0034】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている化合物は、他の手段(発色団もしくは蛍光部分の使用、生物発光標識、または化学発光標識が挙げられるが、これらに限定されない)によって標識される。
【0035】
本明細書において記載されている化合物、および種々の置換基を有する他の関連化合物は、本明細書において記載され、例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、第1巻~第17巻(John Wiley and Sons、1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、第1巻~第5巻および補遺(Elsevier Science Publishers、1989);Organic Reactions,第1巻~第40巻(John Wiley and Sons、1991)、Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989)、March、Advanced Organic Chemistry、第4版(Wiley、1992);CareyおよびSundberg、Advanced Organic Chemistry、第4版、第A巻および第B巻(Plenum、2000、2001)、ならびにGreenおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版(Wiley、1999)(これらすべては、そのような開示の参照により援用される)に記載されている、技術および材料を使用して合成される。本明細書において記載されている化合物の調製のための一般的な方法は、本明細書において提供されている式において見出される種々の部分の導入のために、適切な試薬および条件の使用によって改変される。
【0036】
本明細書において記載されている化合物は、商業的供給源から入手可能な化合物から出発して任意の適切な手順を使用して合成されるか、または本明細書において記載されている手順を使用して調製される。
【0037】
一部の実施形態において、反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、チオ基、またはカルボキシ基)が、反応におけるそれらの望まれない関与を回避するために保護される。保護基が使用されてそれらの反応性部分のうちの一部またはすべてがブロックされ、そのような基は、その保護基が除去されるまで化学反応に関与するのを防止される。別の実施形態において、各保護基は種々の手段によって除去可能である。全く異なる反応条件下で切断される保護基が、差次的除去の要件を満たす。
【0038】
一部の実施形態において、保護基は、酸、塩基、還元条件(例えば、水素化分解による)、または酸化条件によって、除去される。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール、およびt-ブチルジメチルシリルなどの基は酸不安定性であり、これらの基は、Cbz基(これは水素化分解により除去可能である)で保護されたアミノ基およびFmoc基(これは塩基不安定性である)で保護されたアミノ基の存在下で、カルボキシ反応性部分およびヒドロキシ反応性部分を保護するために使用される。カルボン酸反応性部分およびヒドロキシ反応性部分は、酸不安定性基(例えば、t-ブチルカルバメート)でブロックされたアミン、または酸および塩基の両方に安定であるが加水分解的に除去可能であるカルバメートでブロックされたアミンの存在下で、塩基不安定性基(例えば、メチル、エチル、およびアセチルであるが、これらに限定されない)でブロックされる。
【0039】
したがって、一部の実施形態において、表1の化合物1またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0040】
一部の実施形態において、表1の化合物2またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物2またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0041】
一部の実施形態において、表1の化合物3またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物3またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0042】
一部の実施形態において、表1の化合物4またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物4またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0043】
一部の実施形態において、表1の化合物5またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物5またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0044】
一部の実施形態において、表1の化合物6またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物6またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0045】
一部の実施形態において、表1の化合物7またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物7またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0046】
一部の実施形態において、表1の化合物8またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物8またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0047】
一部の実施形態において、表1の化合物9またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物9またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0048】
一部の実施形態において、表1の化合物10またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物10またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0049】
一部の実施形態において、表1の化合物11またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物11またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0050】
一部の実施形態において、表1の化合物12またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物12またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0051】
一部の実施形態において、表1の化合物13またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物13またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0052】
一部の実施形態において、表1の化合物14またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物14またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0053】
一部の実施形態において、表1の化合物15またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物15またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0054】
一部の実施形態において、表1の化合物16またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物16またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0055】
一部の実施形態において、表1の化合物17またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物17またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0056】
一部の実施形態において、表1の化合物18またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物18またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0057】
一部の実施形態において、表1の化合物19またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物19またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0058】
一部の実施形態において、表1の化合物20またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物20またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0059】
一部の実施形態において、表1の化合物21またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物21またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0060】
一部の実施形態において、表1の化合物22またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物22またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0061】
一部の実施形態において、表1の化合物23またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物23またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0062】
一部の実施形態において、表1の化合物24またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物24またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0063】
一部の実施形態において、表1の化合物25またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物25またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0064】
一部の実施形態において、表1の化合物26またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物26またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0065】
一部の実施形態において、表1の化合物27またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物27またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0066】
一部の実施形態において、表1の化合物28またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物28またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0067】
一部の実施形態において、表1の化合物29またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物29またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0068】
一部の実施形態において、表1の化合物30またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物30またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0069】
一部の実施形態において、表1の化合物31またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物31またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0070】
一部の実施形態において、表1の化合物32またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物32またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0071】
一部の実施形態において、表1の化合物33またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物33またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0072】
一部の実施形態において、表1の化合物34またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物34またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0073】
一部の実施形態において、表1の化合物35またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物35またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0074】
一部の実施形態において、表1の化合物36またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物36またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0075】
一部の実施形態において、表1の化合物37またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物37またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0076】
一部の実施形態において、表1の化合物38またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物38またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0077】
一部の実施形態において、表1の化合物39またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物39またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0078】
一部の実施形態において、表1の化合物40またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物40またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0079】
一部の実施形態において、表1の化合物41またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物41またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0080】
一部の実施形態において、表1の化合物42またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物42またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0081】
一部の実施形態において、表1の化合物43またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物43またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0082】
一部の実施形態において、表1の化合物44またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物44またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0083】
一部の実施形態において、表1の化合物45またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物45またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0084】
一部の実施形態において、表1の化合物46またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物46またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0085】
一部の実施形態において、表1の化合物47またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物47またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0086】
一部の実施形態において、表1の化合物48またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物48またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0087】
一部の実施形態において、表1の化合物49またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物49またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0088】
一部の実施形態において、表1の化合物50またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物50またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0089】
一部の実施形態において、表1の化合物51またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物51またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0090】
一部の実施形態において、表1の化合物52またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物52またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0091】
一部の実施形態において、表1の化合物53またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物53またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0092】
一部の実施形態において、表1の化合物54またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物54またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0093】
一部の実施形態において、表1の化合物55またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物55またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0094】
一部の実施形態において、表1の化合物56またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物56またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0095】
一部の実施形態において、表1の化合物57またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物57またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0096】
一部の実施形態において、表1の化合物58またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物58またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0097】
一部の実施形態において、表1の化合物59またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物59またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0098】
一部の実施形態において、表1の化合物60またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物60またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0099】
一部の実施形態において、表1の化合物61またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物61またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0100】
一部の実施形態において、表1の化合物62またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物62またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0101】
一部の実施形態において、表1の化合物63またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物63またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0102】
一部の実施形態において、表1の化合物64またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物64またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0103】
一部の実施形態において、表1の化合物65またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物65またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0104】
一部の実施形態において、表1の化合物66またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物66またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0105】
一部の実施形態において、表1の化合物67またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物67またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0106】
一部の実施形態において、表1の化合物68またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物68またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0107】
一部の実施形態において、表1の化合物69またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物69またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0108】
一部の実施形態において、表1の化合物70またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物70またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0109】
一部の実施形態において、表1の化合物71またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物71またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0110】
一部の実施形態において、表1の化合物72またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物72またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0111】
一部の実施形態において、表1の化合物73またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物73またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0112】
一部の実施形態において、表1の化合物74またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物74またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0113】
一部の実施形態において、表1の化合物75またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物75またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0114】
一部の実施形態において、表1の化合物76またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物76またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0115】
一部の実施形態において、表1の化合物77またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物77またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0116】
一部の実施形態において、表1の化合物78またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物78またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0117】
一部の実施形態において、表1の化合物79またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物79またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0118】
一部の実施形態において、表1の化合物80またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物80またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0119】
一部の実施形態において、表1の化合物81またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物81またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0120】
一部の実施形態において、表1の化合物82またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物82またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0121】
一部の実施形態において、表1の化合物83またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物83またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0122】
一部の実施形態において、表1の化合物84またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物84またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0123】
一部の実施形態において、表1の化合物85またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物85またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0124】
一部の実施形態において、表1の化合物86またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物86またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0125】
一部の実施形態において、表1の化合物87またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物87またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0126】
一部の実施形態において、表1の化合物88またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物88またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0127】
一部の実施形態において、表1の化合物89またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物89またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0128】
一部の実施形態において、表1の化合物90またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物90またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0129】
一部の実施形態において、表1の化合物91またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物91またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0130】
一部の実施形態において、表1の化合物92またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物92またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0131】
一部の実施形態において、表1の化合物93またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物93またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0132】
一部の実施形態において、表1の化合物94またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物94またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0133】
一部の実施形態において、表1の化合物95またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物95またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0134】
一部の実施形態において、表1の化合物96またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物96またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0135】
一部の実施形態において、表1の化合物97またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物97またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0136】
一部の実施形態において、表1の化合物98またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物98またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0137】
一部の実施形態において、表1の化合物99またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物99またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0138】
一部の実施形態において、表1の化合物100またはその薬学的に受容可能な塩が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、化合物100またはその薬学的に受容可能な塩は、脳がん(例えば、GBMが挙げられる)を処置することにおいて有用である。
【0139】
本開示の態様は、脳がんおよび/または固形腫瘍を処置することを必要とする対象において脳がんおよび/または固形腫瘍を処置する方法に関する。この方法は、治療有効量のヒストンデアセチラーゼ7(HDAC-7)インヒビターをその対象に投与する工程を含む。
【0140】
本開示の別の態様は、多形膠芽腫を処置することを必要とする対象において多形膠芽腫を処置する方法に関する。この方法は、治療有効量のヒストンデアセチラーゼ7(HDAC-7)インヒビターをその対象に投与する工程を含む。
【0141】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターは、表1中の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種、あるいは表1中の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む医薬組成物を含む。
【0142】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターは、TMP269、トリコスタチンA、ボリノスタット、またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種、あるいはTMP269、トリコスタチンA、ボリノスタット、またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む医薬組成物を含む。
【化1】
【0143】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターは、1種または複数種のsiRNAもしくはその薬学的に受容可能な塩、あるいはそのsiRNAもしくはその薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む医薬組成物を含む。
【0144】
一部の実施形態において、そのsiRNAはGACAAGAGCAAGCGAAGUG(配列番号1)、GCAGAUACCCUCGGCUGAA(配列番号2)、GGUGAGGGCUUCAAUGUCA(配列番号3)、またはUGGCUGCUCUUCUGGGUAA(配列番号4)を含む。
【0145】
一部の実施形態において、その多形膠芽腫は少なくとも部分的には腫瘍として存在する。
【0146】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターはその腫瘍の少なくとも部分の外科的除去前、外科的除去後、あるいは外科的除去と同時に投与される。
【0147】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターは以下のうちの1つまたは複数を引き起こすのに十分な量で投与される:腫瘍の増殖の減少、腫瘍の細胞増殖の減少、腫瘍の細胞のアポトーシスの増加、多形膠芽腫の転移性播種(metastatic dissemination)の阻害、対象の生存の改善、腫瘍の細胞がコロニーを形成する能力の減少、あるいは腫瘍の細胞が遊走する能力の減少。
【0148】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターは抗体療法の施行前、施行後、または施行と同時に投与される。
【0149】
一部の実施形態において、そのHDAC-7インヒビターは放射線療法の施行前、施行後、または施行と同時に投与される。
【0150】
本開示のさらなる態様は、脳がんおよび/または固形腫瘍を処置するための医薬組成物に関する。一部の実施形態において、その組成物は、表1中の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む。
【0151】
本開示の別の態様は、多形膠芽腫を処置するための医薬組成物に関する。一部の実施形態において、その組成物は、表1中の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩のうちの1種または複数種を含む。
【0152】
本開示の別の態様は、脳がんおよび/または固形腫瘍を処置するための医薬組成物に関する。一部の実施形態において、その組成物は、1種または複数種のsiRNAまたはその薬学的に受容可能な塩を含む。一部の実施形態において、そのsiRNAは配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号4を含む。
【0153】
本開示の別の態様は、多形膠芽腫を処置するための医薬組成物に関する。一部の実施形態において、その組成物は、1種または複数種のsiRNAまたはその薬学的に受容可能な塩を含む。一部の実施形態において、そのsiRNAは配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号4を含む。
【0154】
本明細書において使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とは、対イオンと合わせられて中性複合体を形成した、イオン化可能な治療剤を指す。適切な塩のリストは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985、p.1418;Journal of Pharmaceutical Science、66、2(1977);ならびに「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(P.Henrich StahlおよびCamille G.Wermuth(編.)、VHCA & Wiley-VCH、2002)において見出される。
【0155】
用語「医薬(の)」および「薬学的に受容可能な」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性も、刺激も、アレルギー性反応も、他の問題も合併症も伴わずに、妥当なベネフィット/リスク比に相応して、ヒトの組織および動物の組織と接触する使用に適している、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指し得る。
【0156】
本明細書において使用される場合、用語「細胞」とは、インビトロ、エクスビボまたはインビボにある細胞を指すことを意味する。一部の実施形態において、エクスビボ細胞は、生物(例えば、哺乳動物)から切除された組織サンプルの部分であり得る。一部の実施形態において、インビトロ細胞は、細胞培養物中の細胞であり得る。一部の実施形態において、インビボ細胞は、生物(例えば、哺乳動物)中で生存している細胞である。
【0157】
本明細書において使用される場合、互換可能に使用される用語「個体」、「患者」、または「対象」とは任意の動物を指し、これには、哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類が挙げられ、最も好ましくはヒトが挙げられる。
【0158】
本明細書において使用される場合、句「有効量」または「治療有効量」とは、研究者、獣医、医師、または他の臨床家によって組織、系、動物、個体またはヒトにおいて探求されている生物学的反応または医学的反応を惹起する、活性化合物または薬剤の量を指す。
【0159】
用語「有効量」または「治療有効量」とは、望ましい治療効果を生じるために有効な(例えば、キナーゼの活性に影響を与えること、キナーゼの活性を減少させること、もしくはキナーゼの活性を阻害すること、またはキナーゼの活性化を防止することのために有効な、あるいは動物(好ましくはヒト)において望ましいインビボ効果(例えば、眼圧の減少)をもたらすことにおいて有効な)、単回投与または一連の投与の部分のいずれかとして、対象(例えば、哺乳動物対象、すなわち、ヒト対象)に投与される、治療剤の量(すなわち、投与量)を指す。
【0160】
本明細書において使用される場合、用語「処置すること」または「処置」とは、1)疾患を阻害すること(例えば、疾患、状態もしくは障害の病態または症候を経験または呈している個体においてその疾患、状態もしくは障害を阻害すること(すなわち、その病態および/または症候のさらなる発展を停止すること));あるいは2)疾患を軽減すること(例えば、疾患、状態もしくは障害の病態または症候を経験または呈している個体においてその疾患、状態もしくは障害を軽減すること(すなわち、その病態および/または症候を逆転すること))を指す。
【0161】
用語「処置」とは、疾患の軽減のために使用される1種または複数種の特定の手順の適用を指し得る。特定の実施形態において、その特定の手順は、1種または複数種の薬剤の投与である.個体(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)または細胞の「処置」とは、その個体または細胞の自然な推移を変化させる試みにおいて使用されるあらゆる種類の介入である。処置としては、治療剤または医薬組成物の投与が挙げられるが、これらに限定されず、処置は、予防的に実施されるか、または病理学的事象の開始もしくは病原因子との接触の後に実施されるかのいずれかであり得る。処置は、疾患または状態の症状もしくは病態に対する望ましいあらゆる効果を含み、処置は、例えば、処置される疾患または状態の1種もしくは複数種の測定可能なマーカーの最小限の変化または改善を含み得る。「予防的」処置もまた含まれ、これは、処置される疾患または状態の進行速度を減少させること、その疾患または状態の発症を遅延させること、あるいはその発症の重篤度を減少させることに関し得る。
【0162】
本明細書において使用される場合、疾患、状態または障害を「予防すること」あるいは疾患、状態または障害の「予防」という用語は、対象または一群の対象(例えば、その疾患、状態または障害の素因があるかあるいはその疾患、状態または障害に感受性である、対象または一群の対象)において、その疾患、状態または障害の発症リスクを減少させることを指す。一部の実施形態において、疾患、状態または障害を予防することとは、その疾患、状態または障害および/あるいはその関連症状を得る確率を減少させることを指す。一部の実施形態において、疾患、状態または障害を予防することとは、その疾患、状態または障害が発生することを完全もしくはほぼ完全に停止させることを指す。
【0163】
その脳がんおよび/または固形腫瘍、多形膠芽腫の治療は、がんを処置するための任意の周知の治療法(そのがんの外科的除去、化学療法の施行、放射線の施行、抗体療法の施行、および抗がん薬の投与が挙げられるが、これらに限定されない)をさらに含み得る。
【0164】
用語「化学療法」とは、悪性細胞および悪性組織、ウイルス、細菌、または他の微生物に対して選択的に毒性および破壊的である特定の化学物質、薬物、もしくは放射性薬剤を使用する、がん、またはウイルス、細菌、他の微生物によって引き起こされる疾患もしくは障害、または不適切な免疫応答の処置を指す。がん、炎症性疾患、または自己免疫疾患を処置することにおいて有用な、化学療法剤もしくは薬物(例えば、葉酸代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート))または他の任意の薬剤もしくは薬物が、好ましい。適切な化学療法剤および薬物としては、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルトレタミン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、リポソーム化ドキソルビシン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン(mitozantrone)、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ステロイド類、ストレプトゾシン、タキソール、タキソテール、テモゾロミド、チオグアニン、チオテパ、トムデックス(tomudex)、トポテカン、トレオスルファン、uft(ウラシル-テガフール(tegufur))、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
本明細書において使用される場合、そのような方法において、用語「生体サンプル」とは、体液または組織を指す。その体液としては、全血、血清、血漿、末梢血、滑液、脳脊髄液、唾液、尿、精液、または他の液体分泌物が挙げられ得るが、これらに限定されない。用語「組織」としては、骨髄およびリンパ節、ならびに他の組織サンプルが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0166】
本開示はまた、有効量の本明細書において開示されているHDAC-7インヒビター化合物またはその薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示はまた、本明細書において記載されている追加の治療剤のうちいずれか1種を含む、医薬組成物および剤形を提供する。そのキャリア(複数可)は、その製剤の他の成分と適合性があるという意味で「受容可能」であり、薬学的に受容可能なキャリアの場合は、その医薬において使用される量でそのレシピエントに対して有害ではない。
【0167】
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、医薬組成物の調製のために有用なキャリアを意味し、それは、その組成物の他の成分と一般的には適合性であり、レシピエントに対して有害ではなく、生物学的に望ましくないものまたは他の点で好ましくないもののいずれでもない。「薬学的に受容可能なキャリア」は、1種のキャリアおよび1種より多くのキャリアの両方を含む。実施形態は、局所投与のためのキャリア、眼内投与のためのキャリア、非経口投与のためのキャリア、静脈内投与のためのキャリア、腹腔内投与のためのキャリア、筋肉内投与のためのキャリア、舌下投与のためのキャリア、経鼻投与のためのキャリア、および経口投与のためのキャリアを含む。「薬学的に受容可能なキャリア」はまた、注射用または分散物用の、水分散物および滅菌粉末の調製のための薬剤を含む。
【0168】
本開示の医薬組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、ホスフェート)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、プロタミン硫酸塩)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム(potassium hydrogen phosphate)、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ(colloidal silica)、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
その組成物または剤形は、本明細書において記載されている化合物および治療剤のうちのいずれか1種を0.005%~100%の範囲で含み得、その平衡は適切な薬学的に受容可能な賦形剤から構成され得る。企図される組成物は、本明細書において提供されている化合物および治療剤のうちのいずれか1種を0.001%~100%含み得、一実施形態においては0.1%~95%含み得、別の実施形態においては75%~85%含み得、さらなる実施形態においては20%~80%含み得、その平衡は、本明細書において記載されている任意の薬学的に受容可能な賦形剤、またはこれらの賦形剤の任意の組合せで構成され得る。
【0170】
(投与経路および剤形)
本開示の医薬組成物は、任意の受容可能な投与経路のために適切な医薬組成物を含む。受容可能な投与経路としては、頬側、皮膚、子宮頸管内、洞内(endosinusial)、気管内、経腸、硬膜外、間質、腹腔内、動脈内、気管支内、嚢内、脳内、槽内、冠内、皮内、管内(intraductal)、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内、リンパ内、髄内、髄膜内、筋肉内、鼻腔内、卵巣内、腹腔内(intraperitoneal)、前立腺内、肺内、洞内(intrasinal)、脊髄内、滑膜内、精巣内、髄腔内、管内(intratubular)、腫瘍内、子宮内、血管内、静脈内、経鼻、経鼻胃(nasogastric)、経口、非経口、経皮(percutaneous)、硬膜外(peridural)、直腸、呼吸器(吸入)、皮下、舌下、粘膜下、局所、経皮(transdermal)、経粘膜、経気管、尿管、尿道および腟内が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
本明細書において記載されている組成物および製剤は、単位剤形(例えば、錠剤)、徐放カプセル剤、およびリポソーム中で簡便に提供され得、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore、MD(第20版、2000)を参照のこと。そのような調製方法は、1種または複数種の補助成分を構成するキャリアなどの成分を、投与されるべき分子と合わせる工程を含む。一般に、その組成物は、その活性成分を液体キャリア、リポソームもしくは微細化固体キャリアまたはそれらの両方と均一で密接に合わせること、その後、必要な場合は、その生成物を成形することによって、調製される。また、例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Wolters Kluwer Health(第11版、2018)も参照のこと。
【0172】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物および治療剤のうちのいずれか1種が、経口投与される。経口投与のために適切な本開示の組成物は、各々が所定量(例えば、有効量)の活性成分を含む別個の単位(例えば、カプセル剤、サシェ剤(sachet)、顆粒剤または錠剤)として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体中の溶液または分散液として;水中油液体エマルションとして;油中水液体エマルションとして;リポソーム中に充填された状態で;あるいはボーラスとしてなどで、提供され得る。軟ゼラチンカプセル剤が、このような懸濁物を含むために有用であり得、これは、化合物吸収速度を有益に増加し得る。経口用途のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアとしては、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ならびにケイ酸およびデンプンが挙げられる。他の受容可能な賦形剤としては、a)充填剤(filler)または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアガムなど)、c)保湿剤(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム)、e)溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど)、h)吸収剤(例えば、カオリン粘土およびベントナイト粘土)、ならびにi)滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物)が、挙げられ得る。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口投与される場合、その活性成分は乳化剤および懸濁剤と合わせられる。望ましい場合は、特定の甘味料および/または矯味矯臭剤および/または着色料が添加され得る。経口投与のために適切な組成物としては、風味付きベース成分(通常は、スクロース、およびアラビアガムまたはトラガント)中に成分を含むロゼンジ剤(lozenge);ならびに不活性ベース成分(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアガム)中に活性成分を含むトローチ剤(pastille)が挙げられる。
【0173】
非経口投与のために適切な組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張性にする溶質を含み得る、水性および非水性の、滅菌した注射溶液または注入溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の滅菌した懸濁物が挙げられる。その製剤は、単位用量容器または多用量容器(例えば、密封したアンプルおよびバイアル)中で提供され得、フリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保管され得、使用直前に、滅菌した液体キャリア(例えば、注射用水、食塩水(例えば、0.9%食塩水溶液)または5%デキストロース溶液)の追加だけを必要とする。即時注射溶液および即時注射懸濁物は、滅菌した粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。その注射溶液は、例えば、滅菌した注射可能な水性懸濁物または油性懸濁物の形態であり得る。この懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術にしたがって製剤化され得る。その滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の、滅菌した注射可能な溶液または懸濁物(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、マンニトール、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のために、任意の刺激の少ない不揮発性油(合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが挙げられる)が使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)が、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョン)と同様に、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液または油懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または長鎖アルコール分散剤を含み得る。
【0174】
注射または注入のために適切な医薬剤形としては、必要に応じてリポソーム中に封入された、滅菌した注射可能もしくは注入可能な溶液または分散物の即時調製のために適合された、活性成分を含む滅菌した水溶液もしくは分散物または滅菌した粉末が挙げられ得る。すべての場合で、その最終的剤形は、滅菌しており、流体であり、製造条件下および保管条件下で安定であるべきである。その液体キャリアまたはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または液体分散媒体であり得る。その適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によってか、分散物の場合に必要な粒径の維持によってか、または界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止が、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合において、等張化剤(例えば、糖、緩衝液または塩化ナトリウム)を含むことが、好ましい。注射可能組成物の長期吸収は、その組成物における吸収遅延剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0175】
本開示の医薬組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、本開示の化合物と、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸で融解してその活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。そのような物質としては、カカオバター、ミツロウ、およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
本開示の医薬組成物は、経鼻エアゾールまたは吸入によって投与され得る。そのような組成物は医薬製剤の分野で周知の技術にしたがって調製され、そのような組成物は、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存料、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/あるいは当該分野で公知の他の可溶化剤または分散剤を使用して、食塩水中の溶液として調製され得る。例えば、米国特許第6,803,031号を参照のこと。鼻腔内投与のためのさらなる製剤および方法は、Ilium,L.、J Pharm Pharmacol、56:3~17、2004およびIlium,L.、Eur J Pharm Sci、11:1~18、2000において見出される。
【0177】
本開示の局所組成物は、エアゾールスプレー、クリーム、エマルション、固体、液体、分散物、フォーム、オイル、ゲル、ヒドロゲル、ローション、ムース、軟膏、粉末、パッチ、ポマード、溶液、ポンプスプレー、スティック、タオレット(towelette)、石鹸、または局所投与ならびに/もしくは化粧製剤およびスキンケア製剤の分野で一般的に使用される他の形態で、調製および使用され得る。その局所組成物は、エマルション形態であり得る。本開示の医薬組成物の局所投与は、望ましい処置が局所適用によって容易に接近可能な領域または器官を含む場合に、特に有用である。一部の実施形態において、その局所組成物は、本明細書において開示されている化合物および治療剤のうちのいずれか1腫と、1種または複数種の追加成分、キャリア、賦形剤、または希釈剤(吸収剤、刺激抑制剤(anti-irritant)、抗ニキビ剤、保存料、抗酸化剤、着色料/色素、皮膚軟化剤(保湿剤)、乳化剤、被膜形成剤/被膜保持剤、香料、残置型角質除去剤(leave-on exfoliant)、処方薬、保存料、スクラブ剤、シリコーン、皮膚同質(skin-identical)剤/皮膚修復剤、スリップ剤、日焼け止め活性物質、界面活性剤/洗浄剤、透過促進剤、および増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない)との組合せを含む。
【0178】
その化合物を皮膚に送達するために使用され得る有用な皮膚科学的組成物の例は、当該分野で公知であり、例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照のこと。
【0179】
本開示の化合物および治療剤は、移植型医療用デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、血管移植物、ステント、またはカテーテル)をコーティングするために組成物中に組み込まれ得る。適切なコーティングおよびコーティングされた移植型デバイスの一般的調製は、当該分野で公知であり、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号において例示されている。そのコーティングは、典型的には生体適合性ポリマー物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの混合物)である。そのコーティングは、その組成物において徐放特徴を付与するために、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組合せの適切なトップコートで必要に応じてさらに覆われ得る。侵襲性デバイスのためのコーティングは、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルの用語が本明細書において使用される場合には、これらの用語の定義内に含まれるべきである。
【0180】
別の実施形態にしたがって、本開示は、化合物もしくは治療剤、または本開示の化合物もしくは治療剤を含む組成物に含浸されたかあるいはそれらを含む、移植型薬物放出デバイスを提供し、その化合物もしくは治療剤はそのデバイスから放出されて治療的に活性であるようになっている。
【0181】
(投与量およびレジメン)
本開示の医薬組成物において、式(I)の化合物は、有効量(例えば、治療有効量)で存在する。
【0182】
有用用量は、処置される疾患、その疾患の重篤度、投与経路、対象の性別、対象の年齢および対象の全体的健康状態、賦形剤の使用、ならびに他の治療処置(例えば他の薬剤の使用)との併用の可能性ならびに治療担当医の判断に依存して、変化し得る。
【0183】
一部の実施形態において、HDAC-7インヒビターの有効量は、例えば、約0.001mg/kg~約500mg/kg(例えば、約0.001mg/kg~約200mg/kg;約0.01mg/kg~約200mg/kg;約0.01mg/kg~約150mg/kg;約0.01mg/kg~約100mg/kg;約0.01mg/kg~約50mg/kg;約0.01mg/kg~約10mg/kg;約0.01mg/kg~約5mg/kg;約0.01mg/kg~約1mg/kg;約0.01mg/kg~約0.5mg/kg;約0.01mg/kg~約0.1mg/kg;約0.1mg/kg~約200mg/kg;約0.1mg/kg~約150mg/kg;約0.1mg/kg~約100mg/kg;約0.1mg/kg~約50mg/kg;約0.1mg/kg~約10mg/kg;約0.1mg/kg~約5mg/kg;約0.1mg/kg~約2mg/kg;約0.1mg/kg~約1mg/kg;または約0.1mg/kg~約0.5mg/kg)の範囲であり得る。
【0184】
一部の実施形態において、HDAC-7インヒビターの有効量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、または約5mg/kgである。
【0185】
上記の投与量は、毎日(例えば、単回投与として、または2回もしくは2回より多くの分割投与として、例えば、1日1回、1日2回、1日3回)または毎日ではない方式で(例えば、1日おきに、2日毎に、3日毎に、1週間に1回、1週間に2回、2週間毎に1回、1か月に1回)投与され得る。
【0186】
(キット)
一部の実施形態において、治療有効量の本明細書において提供されているHDAC-7インヒビターまたはその塩を保持する容器と、本明細書において提供されている方法のうちの1つまたは複数にしたがって剤形を使用するための指示書とを含む包装された剤形が、本明細書において提供される。
【0187】
本剤形および関連する物質は、本分野において実施される通常の工程によって(例えば、適切な滅菌工程および包装工程によって)商業製品として仕上げられ得る。例えば、その物質は、例えば、種々の吸収波長を有する光重合開始剤(例えば、Irgacure 184、2959)、好ましくは水溶性重合開始剤(例えば、Irgacure 2959)を使用して、UV/可視光照射(200nm~500nm)によって処理され得る。そのような照射は、通常は1分~60分の照射時間の間で実施されるが、もっと長い照射時間が、その特定の方法に依存して適用され得る。本開示にしたがう物質は、使用まで滅菌性を保持するように最後に滅菌して包まれ得、適切な容器(箱など)中に(例えば、特定の製品情報印刷物の追加によって)包装され得る。
【0188】
さらなる実施形態にしたがって、記載されている剤形はまた、患者への物質の投与のために必要な他の成分と合わせたキット形態で提供され得る。例えば、本明細書において記載されている処置における使用のためなどの開示されたキットは、例えば、投与物質をさらに含み得る。
【0189】
それらのキットは、それらが処置するように設計される特定の欠乏症に基づいて、種々の形態で設計され得る。
【0190】
本明細書において提供されている剤形は、調製されて、周囲温度または高温での保管のために容器中に配置され得る。商業的に実行可能な剤形の輸送は、輸送中および使用場所での保管中に、冷蔵環境または氷点下環境を必要とする温度よりも高い温度での安定性から恩恵を受け得るという理由で、これは有益である。
【0191】
本明細書において提供されている剤形が、例えば、ポリ塩化ビニルプラスチック容器と比較してポリオレフィンプラスチック容器中で保管される場合、その剤形の変色は減少され得る。理論によって拘束されることは望まないが、その容器は、可視光(例えば、約380nm~約780nmの波長を有する)であろうと、紫外(UV)光(例えば、約190nm~約320nmの波長(UV B光)もしくは約320nm~約380nmの波長(UV A光)を有する)であろうと、電磁放射線に対するその容器の内容物の曝露を減少させ得る。一部の容器はまた、その容器の表面への活性成分の吸着または吸収(これは、含まれる溶液中の活性成分の濃度を効果的に希釈し得る)を減少させる能力を含む。一部の容器はまた、赤外光に対するその容器の内容物の曝露を減少させる能力、またはそのような能力を有する第2の成分を含む。一部の容器は、熱または湿気に対するその容器の内容物の曝露を減少させる能力をさらに含む。使用され得る容器としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリブテン、またはそれらの組合せ(特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの組合せ))から作製された容器が挙げられる。一部の実施形態において、その容器はガラス容器である。その容器は、UV光、可視光、または赤外光に対するその容器の内容物の曝露をさらに減少させるために、第2の容器(例えば、紙容器、段ボール容器、厚紙容器、金属フィルム容器、もしくはホイル容器、またはそれらの組合せ)内にさらに配置され得る。保管中の変色の減少、分解の減少、またはその両方から恩恵を受ける製造物品としては、本明細書において提供されているHDAC-7インヒビターまたはその塩のうちの1種または複数種を含む剤形が挙げられる。本明細書において提供されている剤形は、3か月まで、またはそれよりも長く継続し、一部の場合では1年まで、またはそれよりも長く継続する、保管を必要とし得る。その容器は、内容物を含むために適切な任意の形態(例えば、バッグ、ボトル、または箱)であり得る。
【0192】
以下の実施例は、本開示の実施形態をさらに例示する。しかし、それらは、本明細書において記載されている教示または開示の限定では決してない。
【実施例】
【0193】
(実施例)
GBMヒト異種移植片マウスモデルならびにGSC培養物におけるすべてのエピジェネティック調節因子のウイルスライブラリースクリーニングを通じて、過剰発現された場合に、GBMマウスモデルの生存を減少もしくは増加させるか、またはGSCインビトロ培養物の自己複製表現型を変化させる、エピジェネティック調節因子を同定した。インビトロおよびインビボでの5種の重要なエピジェネティック調節因子を同定した。これらはHDAC-7、CLOCK、ASF1A、SUV39H2およびWHSC1L1である。ここで、HDAC-7およびCLOCKのアップレギュレーションならびにASF1A、SUV39H2およびWHSC1L1のダウンレギュレーションは、インビトロでの表現型変化を示し、GBMマウスモデルの生存を減少させた(
図2B)。
【0194】
次に、RNAを、GBM患者由来のパラフィン包埋サンプルから収集し、NonoString技術を使用して、これらのRNAサンプルを700個の遺伝子からなるPanCancer進行パネルに対して実行した。エピジェネティックシグネチャーとしてのそれらの5種の遺伝子の発現から誘導したリスクに基づいて、33人の患者についてのデータを精選し、高リスク(HR)および低リスク(LR)として分類した。差次的遺伝子発現解析をこのHR群とLR群との対比に対して適用し、293個/700個の遺伝子がこのHR群とLR群との間で差次的に発現されていることを見出した(
図3Dおよび
図3F)。これらの発現変動遺伝子の機能的重要性は、創傷治癒および細胞増殖の生物学的プロセスのための濃縮を示した(
図3E)。この患者のデータを調べて、ログランク検定およびGehan-Breslow-Wilcoxon法を使用して、同じHR/LR層化に基づいてKaplan Meier生存分析を実施した。これらの患者の全生存期間(
図3B)および無増悪生存期間(
図3C)の両方における顕著な減少を、エピジェネティックシグネチャーとしての5種の遺伝子(HDAC-7、CLOCK、ASF1A、SUV39H2およびWHSC1L1)の発現から誘導したリスクに基づいて見出した。
【0195】
RNAを、Rhode lsland Hospital(RIH)のGBM患者由来のパラフィン包埋サンプルから収集し、生存分析をHDAC-7およびmRNA発現にしたがって実施した。HDAC-7高リスク(HR)群についての患者の生存の顕著な減少を見出した(
図13A)。GBMにおけるHDAC-7 mRNA発現を、GlioVisウェブツール(Bowman,R.L.ら、Neuro.Oncol.、19、139~141(2017))を使用してTCGAデータ由来の非腫瘍サンプルと比較し、GBMにおけるHDAC-7発現が非腫瘍と比較してGBMにおいてのみ高いことを見出した(
図13A)。
【0196】
RNASeqを、初代GSCにおいてHDAC-7 siRNAノックダウン後に実施し、その後、トランスクリプトーム解析を行った。HDAC-7 siRNAノックダウンと対照siRNA細胞との間で偽発見率<0.01で差次的遺伝子発現解析を実施した。遺伝子エンリッチメント解析のために、Gene OntologyおよびKEGGエンリッチメントパスウェイを使用した(Smith.R.N.ら、Bioinformatics、28、3163~3165(2012))。さらに、HDAC-7ノックダウンによってダウンレギュレートされた遺伝子が幹細胞性において役割を有するか否かを、ウェブツールであるStem Checker(Pinto.J.P.ら、Nucleic Acids Res.、43、W72~W77(2015))を使用することにより調べた。質量分析をHDAC-7ノックダウン後のGSCに対して使用して、全体的レベルでヒストンの翻訳後修飾を調節することにおけるHDAC-7の役割を決定した。全体的クロマチンランドスケープ(global chromatin landscape)に対するHDAC-7阻害の酵素的脱アセチル化の影響を解明するために、siRNAを使用してHDAC-7をGSC中でノックダウンし、その後、Mod Specを使用して質量分析を実施した。これは、GSC中のヒストンマークにおいて最小限の脱アセチル化を示した。そのGSC核中のHDAC7についてのタンパク質パートナーを解明するために、HDAC-7抗体を使用して、そのGSCに対して内在タンパク質の急速免疫沈降-質量分析(Rapid-immunopreciptation-rnass-spectrometry-of-endogenous-protein)(RlME)を実施した。
【0197】
HDAC-7を、上記のウイルススクリーニングにおいてアップレギュレートされた2種のエピジェネティック調節因子のうちの1種として、ならびにGBMにおける新規な標的を提示するために、調べた。GlioVisウェブツール6を使用してChinese Glioma Genome Atlas(CGGA)由来のデータを分析した際に、GBMにおけるHDAC-7 mRNA発現を他の形態の悪性グリオーマと比較し、GBMにおけるHDAC-7発現が他のすべてのグリア腫瘍の間で最も顕著な発現であったことを見出した(
図4A)。
【0198】
その後、生存分析を2つのGBM患者コホート(HDAC-7高発現患者およびHDAC-7低発現患者)に対して実施し、ここで、患者は、ログランク検定ならびにGehan-Breslow-Wilcoxon法を使用してHDAC-7発現ならびに最大ランク付け統計(maximally ranked statistics)に基づいてこれらの2つの群に分割した。HDAC-7発現は、GBM患者の全生存期間の減少と正に相関した(
図4B)。
【0199】
同様に、The Cancer Genome Atlas(TCGA)由来のデータを分析した際に、GBMにおけるHDAC-7 mRNA発現を非腫瘍サンプルと比較し、GBMにおけるHDAC-7発現が非腫瘍と比較してGBMにおいてのみ高かったことを見出した(
図5A)。また、生存分析を2つのGBM患者コホート(HDAC-7高発現患者およびHDAC-7低発現患者)に対して実施し、患者は、ログランク検定ならびにGehan-Breslow-Wilcoxon法を使用して、HDAC-7発現ならびに最大ランク付け統計にしたがってこれらの2つの群に分割した。これは、HDAC-7発現がGBM患者の全生存期間の減少と正に相関することを示した(
図5B)。さらに、差次的遺伝子発現解析をTCGA由来のRNASeqデータに対して実施し、ほぼ1600個の差次的に発現された遺伝子がHDAC-7発現レベルに基づいて2つの別個のカテゴリーにクラスター化された(
図5C)こと、その差示的発現の倍数変化は、アップレギュレーションでは「4」までであり、ダウンレギュレーションでは「-2.5」までである(
図5D)ことを見出した。CGGAおよびTCGAに由来するこれらのデータは、HDAC-7がGBM病理において重要な役割を果たすという結論を支持する。
【0200】
HDAC-7阻害が初代GSCにおける表現型変化を示すか否かを解明するために、GSCの自己複製を改変することに対するその影響を調べた。選択的HDAC-7インヒビターとして現在利用可能な小分子薬物は存在しないので、クラスIIa HDACインヒビターであるTMP269(これはHDAC-4、HDAC-5、HDAC-7、HDAC-9を阻害する)を使用した。集団内の自己複製細胞の頻度を試験する2週間限界希釈アッセイ「LDA」を適用した。細胞に、DMSO処理対照細胞との対比でそのインヒビターを与え、TMP269薬物処理細胞の自己複製において顕著な減少を観察した。これを、そのGSCがニューロスフェアを形成する能力として、およびオンラインアルゴリズムスコア付けシステムを通じて、評価される。さらに、同じ顕著な結果を、種々の遺伝子型に由来するGSCを試験した場合に観察した(
図6A~
図6D)。
【0201】
GSCに対するHDAC-7選択的阻害の遺伝的影響を試験するために、siRNA(配列番号1~4)を使用してGSC中のHDAC-7をノックダウンし、その後、RNASeqを使用してトランスクリプトーム解析を適用した。偽発見率(FDR)0.05未満の差次的遺伝子発現解析は、6270個の遺伝子がHDAC-7 siRNAノックダウンとSiRNA陰性対照との間で差次的に発現され、アップレギュレートされた遺伝子およびダウンレギュレートされた遺伝子において3倍までの変化であったことを、示した(
図7A~
図7B)。それらの遺伝子の機能的重要性を理解するために、遺伝子エンリッチメントのための種々のツール(Gene OntologyおよびKEGGエンリッチメントパスウェイが挙げられる)を使用して、遺伝子エンリッチメント解析をそれらの発現変動遺伝子に対して適用した。主に抑制された濃縮されたパスウェイは細胞周期活性および細胞分裂のための生物学的プロセス用であったことを、見出した(
図7C)。さらに、HDAC-7ノックダウンによってダウンレギュレートされた遺伝子が幹細胞性において役割を有するか否かを、ウェブツールであるStem Checkerを使用することによって調べた。3150個のダウンレギュレートされた遺伝子のうちの653個の遺伝子が幹細胞性において役割を有し、それらの遺伝子は胚性幹細胞の表現型および胚性癌腫の表現型により近いことを、見出した(
図7D)。
【0202】
細胞の間葉系から上皮になる表現型が低侵襲性腫瘍と通常は関連する他の多くのがんにおいてと同様に、GBMもまた同じ特徴を示す。HDAC-7阻害がこの表現型転換において役割を果たすか否かを理解するために、Broad InstituteのGene Set Enrichment AnalysisウェブツールGSEAを使用し、これに、TCGA13およびCarroシグネチャー層化にしたがう間葉系シグネチャー表現型および前神経シグネチャー表現型の各々の遺伝子セット分類子を供給した。各遺伝子セットにおけるランクにしたがってエンリッチメントスコアを計算することによって、HDAC-7阻害は間葉系遺伝子セットシグネチャーおよび前神経遺伝子セットシグネチャーの両方を阻害することが、わかった(
図8A)。または、これらの結果を確認するために、TCGA由来の公衆に利用可能なデータにおける種々のGSCのサブタイプのシグネチャー遺伝子の発現を、GlioVisウェブツール6を使用して調べて、GSCの4種のサブタイプが近い比率のHDAC-7 mRNA発現を示すことを見出した(
図8B)。このデータは、HDAC-7阻害がすべてのGSCサブタイプを抑制し得、そのパスウェイは間葉系から前神経への分化にはなかったという立場を支持する。
【0203】
HDAC-7のインタラクトームは理解されていない。全体的クロマチンランドスケープに対するHDAC-7阻害の影響を解明するために、siRNAを使用してHDAC-7をGSCにおいてノックアウトし、ウェスタンブロットによって検証し、平均73.4%のタンパク質阻害であった(
図9A)。GSCの溶解物中のHDAC-7のタンパク質レベルはハウスキーピング遺伝子と比較して相対的に低いことに気付いた(
図9B)。その後、Mod Spec技術を使用する質量分析をHDAC-7ノックダウンGSCに対して適用して、HDAC-7についての翻訳後ヒストン修飾標的を全体的レベルで決定した。興味深いことに、そのノックダウンは、対照と比較して多くのヒストン修飾を示した。これらの変化は、N末端ヒストンテールにおけるリジンアミノ酸、アルギニンアミノ酸、およびグルタミンアミノ酸の、アセチル化およびメチル化における、減少または増加を含む。このMod Specで試験した80個を超えるヒストン修飾のうち、主に15個のヒストン修飾の相対的な量の顕著な変化が、そのノックダウンと対照との間で見出された。HDAC-7ノックダウンにおけるH3:K122ACのアセチル化の相対的な増加が、特に興味深かった(
図10)。最近、H3K122acは転写を刺激するために十分であることが示され、H3K122の変異はその転写活性化を阻害し、これは、ヒストン-DNA結合に対するH3:K122ACの望ましい効果であることが示された。
【0204】
トランスクリプトームレベルで、他のHDACの影響を伴わずにHDAC-7を阻害することの顕著な効果が、観察される(
図7)。RNASeqデータから、HDAC-7をノックダウンするとHDAC-1、HDAC-5、HDAC-6、およびHDAC-11の各々をアップレギュレートし、他方で、HDAC-2およびHDAC-9をダウンレギュレートしたことを、見出した(
図11)。したがって、理論によって拘束はされないが、これは、HDAC-7 siRNA阻害後の多くの翻訳後修飾(PTM)標的におけるアセチル化の増加を説明し得る。アセチル化の減少を示したヒストン標的の中には、HDAC-7ノックダウンにおけるH4:K20ACのためのヒストン標的があった。H4:K20ACは、遺伝子抑制に関連する独特なアセチル化マークであり、H4:K20ACは、最小限しか発現されない遺伝子およびサイレント遺伝子の転写開始点(TSS)付近で濃縮される。H4K20は高度に活性な遺伝子においてアセチル化され得、一方で、そのアセチル化は、より低発現の遺伝子と関連する。別の標的はH3R2UN:K4ACである。
【0205】
HDACクラスIIaインヒビター(TMP269)が、汎HDACインヒビター「ボリノスタット」(これは抗がん剤としてFDAにより承認された薬物である)から観察されるのと同じ阻害傾向によってGSCの生存度を減少させることを、見出した(
図12)。表現型実験からの予備的結果(
図6および
図12)ならびに遺伝子型実験(
図7)からの予備的結果は、HDACの範囲を狭くすることが汎HDACに匹敵する阻害効果を提供し、したがって、より少ないオフターゲット効果およびより少ない副作用を提供することを、示唆する。HDAC-7は結晶化されており、クラスI、クラスII、およびクラスIVの他のメンバーと同様に、HDAC-7は亜鉛媒介性電荷リレー系を通じてその基質に結合する。クラスIIa HDACは、その活性部位に隣接する別の特定の亜鉛結合モチーフを有し、これは、認識およびタンパク質間相互作用を指示する。しかし、インヒビターの作製に対して困難を提起する、活性部位入口付近のループ領域において見出されるHDAC-7における顕著な構造的多様性が、存在する。
【0206】
別段の指示がない限りは、本明細書および特許請求の範囲において使用されている成分、特性(例えば、分子量)、反応条件などの量を表すすべての数は、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。本明細書において使用される場合、用語「約」および「およそ」とは、10%~15%以内、好ましくは5%~10%以内を意味する。したがって、別段の指示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において示されている数的パラメータは、本発明によって得られるように努められる望ましい特性に依存して変化し得る、近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲の範囲へと限定する試みとしてはではなく、各数的パラメータは、報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数的範囲および数的パラメータが近似値であることにも関わらず、特定の実施例において示された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、どの数値も、その個別の試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を生得的に含む。
【0207】
本発明を記載する文脈において(特に、添付の特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「ある(1つの)(a)」、「ある(1つの)(an)」、「その(該)(前記)(the)」は、本明細書において別段の指示もなく文脈によって明らかに矛盾することもない限りは、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内にある各個の値に個別に言及する省略表現法として役立つことが意図されるに過ぎない。本明細書において別段の指示がない限りは、各個の値は、それが本明細書において個別に記載されたかのように本明細書中に組み込まれている。本明細書において記載されているすべての方法は、本明細書において別段の指示もなく文脈によって明らかに矛盾することもない限りは、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書において提供されているありとあらゆる例または例示の語句(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く例示することを意図するに過ぎず、別に特許請求されている発明の範囲に対する限定は提起しない。本明細書におけるいかなる語句も、本発明の実施のために必須であるなんらかの特許請求されていない構成要件を示すとして解釈されるべきではない。
【0208】
本明細書において開示されている本発明の代替的な構成要件または実施形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各群の要素は、個別に、またはその群の他の要素または本明細書において見出される他の構成要件と任意に組み合わせて、言及され得、特許請求され得る。ある群の1つまたは複数の要素は、便宜上および/または特許性の理由で、ある群に含まれ得、またはある群から欠失され得ることが、予期される。なんらかのそのような包含または欠失が生じる場合は、本明細書は改変された群を含むと考えられ、それにより、添付の特許請求の範囲において使用されるマーカッシュ群すべての記載要件を満たす。
【0209】
本発明の特定の実施形態が本明細書において記載されており、その特定の実施形態は、本発明を実施するために本発明者らが知るベストモードを含む。当然、これらの記載された実施形態に関する変化形は、以下の説明を読めば、当業者には明らかになる。本発明者は、当業者がこのような変化形を適切に使用すると予期し、本発明者らは、本発明が、本明細書において具体的に記載されているのとは異なって実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法で認められているとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲において記載されている主題のすべての改変形および均等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示もなく文脈によって明らかに矛盾することもない限りは、その可能なすべての変化形における上記の構成要件のあらゆる組合せが、本発明によって包含される。
【0210】
本明細書において開示されている特定の実施形態は、「からなる」または「から本質的になる」の語句を使用して特許請求の範囲においてさらに限定され得る。出願時のとおりであろうと補正により追加されたものであろうと、特許請求の範囲において使用される場合は、移行句「からなる」は、特許請求の範囲において特定されていないいかなる構成要件も、工程も、成分も除外する。移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲の範囲を、特定された物質または工程、およびその基本的かつ新規な特徴((複数可))に実質的には影響しない物質または工程に限定する。そのように特許請求される発明の実施形態は、本明細書において生得的または明示的に記載されており、実施可能にされている。
【0211】
さらに、多数の参照が、本明細書全体を通じて特許および刊行物に対して行われた。上記の参考文献および刊行物の各々は、それらの全体が参照により本明細書に個別に援用される。
【0212】
最後に、本明細書において開示されている発明の実施形態は本発明の原理の例示であることが、理解されるべきである。使用され得る他の改変形は本発明の範囲内にある。したがって、例として、限定されないが、本発明の代替的構成が、本明細書における教示にしたがって利用され得る。したがって、本発明は、厳密に示され記載されているとおりの発明に限定されない。
【配列表】
【国際調査報告】