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特表2024-539015広角シャンデリア照明器のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】広角シャンデリア照明器のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61F9/007 180
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522416
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 IB2022060003
(87)【国際公開番号】W WO2023089407
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/264,183
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】キン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー シー.ライアン
(72)【発明者】
【氏名】イェン ユイ
(57)【要約】
手術処置のために眼のハンズフリー照明を容易にするための器具。器具は、提供される100°よりも大きい広いビーム広がり角で眼内部を十分に照明する間、器具が不動のままであり得るように、独特な構造の光学端部及び表面加工を含む。更に、光学端部の端部円錐体に施される研磨表面加工は、向上した配光を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
向上した配光特性を持つ光学端部を含む、眼科手術中に固定されるシャンデリア器具であって、
約300マイクロメートル~約600マイクロメートルの実質的に一定の直径を有するベースと、
前記ベースから延びる端部円錐体であって、前記端部円錐体は、約700マイクロメートル~約850マイクロメートルの長さを有し、約8.5°よりも大きいテーパ角度を有する、端部円錐体と、
前記端部円錐体の外側研磨表面であって、実質的に均一な光散乱特性を持つ表面と、
を含む、シャンデリア器具。
【請求項2】
前記端部円錐体は、実質的に傷がなく、約100°を超える広いビーム広がり角を分布するように調整されている、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記ベース直径は、約350マイクロメートル~約450マイクロメートルであり、前記テーパ角度は、約9°~13°である、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記光学端部は、鈍端を更に含む、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記鈍端は、外側研磨表面を含む、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
シャンデリア照明器具に組み込むための光学端部を有する光ファイバースレッドであって、前記光学端部は、
実質的に一定の直径を持つベースと、
約9°~13°のテーパ角度を有する端部円錐体と、
向上した配光を容易にするための均一な光散乱特性を持つ前記端部円錐体の外側研磨表面と、
を含む、光ファイバースレッド。
【請求項7】
前記ベース直径は、約375マイクロメートル~約425マイクロメートルであり、前記端部円錐体のテーパ長さは、約0.70mm~約0.85mmである、請求項6に記載の光ファイバースレッド。
【請求項8】
前記テーパ角度は、約10°~12°であり、前記広いビーム広がり角は、約103°を超える、請求項7に記載の光ファイバースレッド。
【請求項9】
約700マイクロメートル~約850マイクロメートルのテーパ長さにわたって約8.5°を超えるテーパ角度を有する端部円錐体を形成するために、光ファイバースレッドを研磨システムに呈することと、
約100°を超える、前記端部円錐体からの広いビーム広がり角によって手術処置を容易にするために、前記端部円錐体をシャンデリア照明器具に組み込むことと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記テーパ角度は、約10°~12°であり、前記テーパ長さは、約0.70mm~約0.85mmであり、前記広がり角は、約103°よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記呈することは、研磨パッドを用いて、前記手術処置に対する向上した配光を容易にするための前記端部円錐体を画定する外側研磨表面を研磨することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記研磨することは、前記外側研磨表面を形成するためのポリシングを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記研磨することは、前記研磨パッドを所定の円形の回転パターン及び不規則な回転パターンのうちの一方で回転させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記研磨することは、前記端部円錐体へと鈍端を研磨することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記研磨パッドは、約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲のサイズのアルミニウム、シリケート粒子、及びダイヤモンド粒子のうちの1つを組み込んだフィルムである、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、“METHODS AND APPARATUS FOR WIDE ANGLE CHANDELIER ILLUMINATOR”と題する、2021年11月17日出願の米国仮特許出願第63/264,183号明細書(発明者Qing Xiang、Timothy C.Ryan及びYu Yan)の優先権の利益を主張し、この全体を、本明細書で十分に及び完全に説明したかのように、参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
(例えば硝子体切除を伴う)眼科手術中、眼は照明されることがある。直接的な又は顕微鏡を介した視覚化を、シャンデリア照明器具の使用によって向上させる場合がある。眼科手術中、硝子体切除プローブ針及びシャンデリアの本体はそれぞれ、眼の表面に予め配置されたカニューレを通して挿入されることがある。各カニューレは、毛様体扁平部などの眼の前部のオフセットされた位置に戦略的に配置された構造的支持用の導管を提供する。このようにして、プローブ針又はシャンデリアは、患者の水晶体又は角膜への損傷を回避するやり方で、眼内に案内されるようにして挿入されてもよい。
【0003】
当然のことながら、硝子体切除又は他のそのような介入を成功裏に達成するために、いくつかの追加的なツールが必要とされ得る。これは、照明器具が硝子体切除プローブなどのより介入的なツールと共に手で持たれる場合、プローブを取り外して他のツールと交換する必要があることを意味する。このように、外科医は、照明器具の保持に特化した手を維持する可能性がある。当然のことながら、より多くの介入ツールの操作のために外科医の両手を空けておくために、別の外科医又は医療助手が、照明器具を所定の位置に維持する可能性はある。しかしながら、眼を対象とした手術の限られた空間の制約内では、これは現実的ではない場合がある。更に、外科医が照明器具に対する操作的な制御を放棄すると、外科医が意図する眼の領域に正確に光を向けるという点で困難が生じる可能性がある。
【0004】
照明器具に対する手動制御を維持する代わりに、予め配置されたシャンデリア器具を用いることがある。より具体的には、可撓性のシャンデリア照明器が、眼でカニューレにより不動化され(又は直接挿入され)、安定位置に曲げられ得る。したがって、照明器具は、眼科手術の間、所定の位置にセットされ得る。これにより、外科医は、照明器具に対する制御を維持することの心配なく、複数の他の介入ツールを自ら自由に操作する。
【0005】
視認性又は照明の課題は様々な理由から存在する。しかしながら、主な理由の1つは、サイズ及び寸法の制約によるものである。例えば、最小限の侵撃性という点での進歩により、従来のシャンデリア照明器具は、一般に、約25ゲージよりも小さい場合がある。これは、作業を行うには信じられないほど小さい量の構造的フットスペースである。その結果、照明器具の光ファイバー端部からの配光は、照明が眼の狭い標的位置内にかなり集束した程度の集束スポットを示すことがある。
【0006】
理想的に満たない光の分布の別の理由は、光ファイバー端部の小ゲージ寸法が、製造中に切断器具によって幾何学的に提供されることである。即ち、照明器具の光ファイバー端部構成要素は、切断器具によって、端部を終端し、ある程度のテーパが提供されるように形作られる。理想的には、切断器具による光ファイバー端部のテーパリングにより、配光の程度の向上がもたらされる。
【0007】
残念ながら、光ファイバー端部の切断により、傷の付いた、配光の点で妥協のある可能性のある成形表面がもたらされる可能性が高い。したがって、テーパを付けた切断により配光がいくらか向上する可能性はあるが、その効果は最小限である。一般的に、配光の制約により、外科医は、眼科手術を通して意図した場所に光が向けられるようにするために、光源を手で操作する必要がある場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
眼科手術を支援する固定用器具。器具は、向上した発光構造を持つ光学端部を含む。具体的には、器具は、ベースから延びるテーパした終端を支持する実質的に一定の直径を持つベースを含む。終端は、角度を成したテーパを有する所定の長さのものであり、所定の成角も持つ。更に、終端の表面は、実質的に傷がなく、均一な光散乱特性を有するように独自に研磨される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】眼科手術を支援するための独特な構造及び表面を持つシャンデリア器具光学端部の一実施形態の側断面図である。
図2図1の光学端部の独特な表面加工を容易にするための研磨システムの斜視図である。
図3図1の器具及び光学端部によって容易になる手術のための準備が整った眼の部分断面図である。
図4図3に示すような器具及び光学端部によって容易になる手術中の眼の部分断面図である。
図5図1の器具の光学端部の様々な構造に関する目標製造可能範囲を強調するチャートである。
図6A-6B】図6A及び図6Bは、眼科手術を容易にするためのシャンデリア器具の光学端部の製造及び利用の実施形態を要約したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本開示の理解を提供するために、多数の詳細が記述される。しかしながら、説明される実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが当業者に理解されるであろう。更に、具体的に説明する実施形態において依然として企図される多数の変形形態又は修正形態が採用され得る。
【0011】
実施形態を、特定のタイプの硝子体切除プローブ手術処置を参照して説明する。特に、硝子体出血に対処するために硝子体液を除去する処置が示される。しかし、本明細書中に詳述するツール及び技術は、他の様々な手法で用いられ得る。具体的には、シャンデリア器具の実施形態は、網膜剥離、黄斑パッカー、黄斑円孔、硝子体浮遊物、糖尿病性網膜症、又は他の様々な眼の状態に対処する際に、硝子体切除プローブなどのツールを支援するために用いられ得る。いずれにせよ、手術処置が、眼内の照明を向上させるための独特な構造及び研磨表面を持つ光学端部を有する照明器具の使用によって支援される限り、かなりの利益が実現される可能性がある。
【0012】
ここで図1を参照すると、眼科手術を支援するための独特な構造及び表面175を持つシャンデリア器具光学端部100の一実施形態の側断面図が示されている。光学端部100は、端部円錐体150と共に製造されたベース125を有する光ファイバースレッドを含み得る。図3を追加的に参照すると、端部円錐体150は、最終的に広いビーム広がり角及び配光(330)を分布させるために、図示のようにテーパが付けられている。最終的に、光学端部100を組み込むシャンデリア器具350が手術中に固定位置にあり得る場合でも、器具350の位置を変える必要なしに十分な光が眼350の内部全体に広がる可能性がある。
【0013】
図示の実施形態では、ベース125は、直径が約300マイクロメートル~600マイクロメートルであり得、端部円錐体150は、そこからテーパしている。これは、従来の23~29ゲージの器具と一致し得る。図示の実施形態では、端部円錐体150のテーパは、長さ(L)が約1ミリメートル未満まで、おそらく約700~約850マイクロメートル延びている可能性がある。図示のように、この長さにわたって延びるテーパが存在し、端部円錐体150に円錐体の外観及び特徴を与える。図示の実施形態では、このテーパは、約8.5°よりも大きい角度(α)によって定義され得る。より具体的には、角度(α)は、約9°~13°であり得る。以下で説明するように、研磨された端部円錐体表面175と組み合わせた場合、このタイプの構造は、100°を超える広いビーム広がり角(Θ)を有する光330の分布を提供する(図3を参照)。本明細書で使用する場合、「広がり角」という用語は、従来の全幅最大値(Full Width Maximum)(FW5%M)基準の観点から評価される角度を指す。しかしながら、他の照明測定基準も適用可能である。
【0014】
図示の実施形態では、端部円錐体150は鈍端160を備えている。鈍端160の形状により、光学端部100に光学的又は他の性能の課題を呈する可能性があるように破損又は割れが生じやすくなる可能性のある実用的でないほど尖った終端を有する端部円錐体150を単に回避することができる。それにもかかわらず、円錐体表面175と同様に、鈍端160の面は、以下に更に説明するように、研磨及び/又はポリシングによって形成され得る。どのような場合でも、円錐体表面175と同様に、従来の機械的な切断は、傷を与えるような、又は他の非拡散的若しくは不均一な表面の特徴の可能性を軽減するために回避され得る。
【0015】
ここで、図1の光学端部125の独特な表面加工を容易にするための研磨システム100の斜視図である図2を参照する。即ち、上記の図1を追加的に参照すると、表面175の形成は、少なくとも部分的に、従来の切断ではなく研磨技術によって達成される。このようにして、向上した配光特性を持つ表面175を有する端部円錐体150が残る。図示の実施形態では、システム200は、研磨プレート240を含み、研磨プレート240に固定された研磨パッド275の調整された円形の研磨を容易にする。一実施形態では、円形の研磨は、パッド275が回転する際に回転プレート240の中心の位置が移動する不規則な手法で行われる。更に、本明細書で使用する場合、「研磨」という用語は、以下に記載されるようにより粗い材料のパッドでの研磨、又はより細かいポリシングを指すことがある。いずれにせよ、均一な直径の光ファイバーから端部円錐体150の形状までの端部円錐体150の表面175が、従来の切断によって達成可能なものに比べてあまり粗くならない技術によって達成される。
【0016】
引き続き図2を参照すると、研磨プレート240及びパッド275は、研磨テーブル260の下に位置するドライブによって指示されるが、他のシステム構成が用いられてもよい。システム200の他のハードウェアは、管状延長部250をパッド275に対して提示するように角度を付けられる向き付けデバイス225又はワークホルダを含む。したがって、光ファイバー端部125は、図1に示されるような角度(α)を有するテーパ付き端部円錐体150を形成するための意図された向きでパッド275に対して提示され得る。パッド275は、研磨フィルムを含んでもよい。一実施形態では、このフィルムは、光ファイバーを端部円錐体150の形状及び形態に微細研磨又はポリシングするためのシリケート又はダイヤモンド粒子を組み込み得る12マイクロメートルのアルミニウムフィルムである。他の実施形態では、フィルムは、約1~約40マイクロメートルの範囲であってもよい。したがって、このプロセスは、ポリシングから研磨までに及ぶと考えることができ、本明細書ではそのいずれも、研磨と呼ばれることがある。いずれにせよ、以下に更に説明するように、広がり角の増大及び滑らかな配光のためのテーパの幾何学的形状の向上及び表面加工が達成される。
【0017】
説明したような研磨による端部円錐体150のテーパ形成プロセスは、管状延長部250による又は管状延長部250内での光ファイバーの周期的な回転を含み得る。ワークホルダ/向き付けデバイス225は、端部円錐体150の形状が得られるまで光ファイバーの傾斜回転を案内及び維持するために使用され得る。同時に、所定のプロトコルに従ったパッド275の案内された回転もシステム200によって維持される。一実施形態では、端部円錐体150は先細の終端を有して形成され、先細の終端は、プロセスを継続し、鈍端160を形成するために、向き付けデバイス225をパッド275に対して垂直又は直角の向きに向き変更することによって、同じシステム200を用いて図1の鈍端160へと後にポリシング又は研磨される。
【0018】
図示の実施形態では、延長部250から出る器具スリーブ280が存在することに留意されたい。このスリーブ280は、図3に示される照明器具300の最終形態に存在する構造部品であり得、また、説明される研磨プロセス中に、下にある光ファイバーに追加的な安定性又は安全性を与える可能性がある。図示の実施形態では、図3の器具300は、27ゲージの器具であり得、これは主に、以下に説明するように、予め配置されたカニューレ325を横断するように設定される器具300の最大部分を含むスリーブ280の寸法によって決定される。しかしながら、他の適切なサイジングを用いてもよい。
【0019】
ここで図3を参照すると、図1の器具300及び光学端部100によって容易になる手術のための準備が整った眼350の部分断面図が示されている。この図では、シャンデリア器具300の固定された性質が明らかである。これは、器具300が、手持式である代わりに、光学端部100の更なる前進が妨げられ、光学端部100が眼内部310の不変の位置から光330を提供するように、固定位置にあることを意味する。一般に直径約1インチ未満の眼内部310の限られた大きさを考えると、このことは、実施される手術処置に対して安全性の一要素を提供する。例えば、器具300及び光学端部100が、眼350の後部にある視神経360又は網膜460(図4を参照)に意図せずに達したり害を与えたりすることは妨げられる。いくつかの実施形態では、光330は、100°を超える(100°未満又は超などの他の角度も可能である)広がり角(Θ)を有する向上した分布のものである。したがって、外科医のための視覚化が、処置に対して最適化される。更に、これは、視覚化が実質的に妨げられないと同時に、他の外科タスクを行うために外科医の手が空くことを意味する。
【0020】
引き続き図3を参照すると、予め配置されたカニューレ325は、より繊細な水晶体380、角膜390、又は眼350の前部にある他の繊細な特徴の損傷を回避するために、強膜370のオフセット位置に配置されている。したがって、器具300は、スリーブ280及び光学端部100を図示の位置に前進させるために、カニューレ325に係合し、これを横断し得る。安定化のために、器具ハンドル340を所定の位置に曲げ、医療用テープの使用など、器具300を所定の位置に固定するための他の対策をとってもよい。
【0021】
図示のように、光学端部100から放出される光330の広がり角(Θ)は、100°を超え得る。図1を追加的に参照すると、ベース125で測定した場合に約350マイクロメートル~450マイクロメートルの光学スレッドに関しては、これは、約9°~13°の研磨製造テーパ角度(α)を用いることによって達成可能であり得る。光学端部100において、これは、約700マイクロメートル~約850マイクロメートルのテーパ長さ(L)に相当する。
【0022】
ビーム広がり角(Θ)が大きくなると、高温の中心又は鋭いエッジのビームパターンのない滑らかなビーム分布を伴う可能性がある。更に、従来の器具出力と比較した場合に光束出力の増加なしに眼内部310全体が比較的明るくなる可能性がある。
【0023】
ここで図4を参照すると、図3に示すような器具300及び光学端部100によって容易になる手術中の眼350の部分断面図が示されている。この図では、所与の眼領域における出血の処置など眼の課題に対処するために硝子体切除針400が用いられている。これは、針400が別の予め配置されたカニューレ425を通して挿入されることにより開始される。吸引を適用することができ、針400のポート477が、出血の血液及び硝子体液の吸い上げのために用いられ得る。カニューレ425は、この場合も、強膜370においてオフセットして配置されることに留置されたい。このようにして、より繊細な角膜390及び水晶体380を回避する。同様に、視神経360も極めて繊細である。したがって、視認性は、針400が、神経360、網膜460、又は眼350の後部にある他の繊細な特徴に意図せずに接触しないようにするために重要となり得る。
【0024】
この求められる視覚化は、ここに図示し、上記で詳述した器具300及び光学端部100によって十二分に容易になる。具体的には、100°を超える広がり角(Θ)を有して滑らか且つ均一に分布される光330が提供される(図3を参照)。その結果、手術のパフォーマンスだけでなく、図示の処置を実施する際の安全性も向上する。したがって、外科医の観察角が中心から外れている可能性があるなどの他の課題にもかかわらず、処置のための良好な照明及び視覚化が提供され得る。
【0025】
ここで図5を参照すると、図1の器具の光学端部100の様々な構造に関する目標製造可能範囲500を強調するチャートが示されている。実際の実施では、チャートのy軸に記される広がり角の結果は、図5のチャートによって示されるシミュレーション結果の曲線と1~2度だけ異なる場合がある。それにもかかわらず、チャート及びこれらの曲線は、製造の補助として、期待される結果の再現性を求める点での有用なガイドを提供し得る。
【0026】
図1を追加的に参照しながら引き続き図5を参照すると、ベース125で測定した場合に約375マイクロメートル~約425マイクロメートルの光ファイバースレッドが用いられ得る。そのようなスレッドが利用可能であり、100°の最小広がり角(Θ)が求められる場合、異なるテーパ長さ及び角度の発光特性が検討され得る。例えば、8°~14°の範囲の異なるテーパ角度(α)が異なるテーパ長さ(L)にわたって検討される。
【0027】
テーパ長さ(L)が0.70mm、0.75mm、又は0.85mmのいずれであれ、テーパ角度(α)が示される8°~14°の範囲内である限り、予想される広がり角(Θ)は100°を超えることは明らかである。より厳密な結果のために、製造者は、テーパ角度(α)のオプションの範囲を、より大きい広がり角(Θ)が繰り返し観察され得るピーク範囲500まで狭めようとする可能性がある。図示の実施形態では、評価されるテーパ長さ(L)に対して、約10°~12°のテーパ角度(α)が用いられる限り、最小で103°の広がり角(Θ)が達成可能であることは明らかである。当然ながら、結果は異なってもよく、これは、そのような範囲500が製造補助としてどのように確立される可能性があるかの単なる例である。
【0028】
ここで図6A及び図6Bを参照すると、眼科手術を容易にするためのシャンデリア器具の光学端部の製造及び利用の実施形態を示すフローチャートが示されている。具体的には、図6Aに示すように、本明細書の上記で詳述した研磨システムを用いて、テーパ角度付きの端部円錐体が光ファイバースレッドの光学端部に形成され得る(参照番号610を参照)。光学端部の構造的パラメータは、同様に上述した試験結果及び予想結果に照らして、予め決定され得る。それにもかかわらず、用いられる所定の研磨技術が実行されると、参照番号630に示されるように、光学端部は、眼科手術用のシャンデリア器具に組み込まれ得る。したがって、図6Bに示すように、照明器具は、眼科手術のために固定され得る(参照番号650を参照)。これは、手術中に眼の内部で光学端部を通して100°を超える広がり角が得られ得ることを意味する(参照番号670を参照)。その結果、参照番号690に示されるように、外科医が照明器具を手で保持する必要なしに手術処置が行われ得る。更に、これは、眼内部の照明を犠牲にすることなく行われ得る。
【0029】
本明細書で上述した実施形態は、光の広角放出を容易にするための独特な構造の光学端部を有する照明器具の使用を可能にするツール及び技術を含む。再度述べるが、光学端部の表面は、手術中に眼内部にわたる分布の均一性を更に向上させるために、従来の切断の代わりに研磨によって形成又は強化され得る。
前述の説明は、現在の好ましい実施形態を参照して提示されている。しかし、上に開示されたが詳述されなかった実施形態の他の実施形態及び/又は特徴が採用されてもよい。更に、これらの実施形態が属する技術分野及び技術の当業者は、説明された構造及び動作方法における更に他の改変形態及び変更形態が、これらの実施形態の原理及び範囲から有意に逸脱することなく実施され得ることを理解するであろう。加えて、前述の説明は、説明し、添付の図面に示す正確な構造にのみ関係するものとして読まれるべきではなく、むしろ、それらの最大限且つ最も適正な範囲を有することになる以下の特許請求の範囲と整合し、それらを支持するものとして読まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-6B】
【国際調査報告】