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特表2024-539029エンジンの熱面燃焼サポートシステム
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  • 特表-エンジンの熱面燃焼サポートシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】エンジンの熱面燃焼サポートシステム
(51)【国際特許分類】
   F02B 23/02 20060101AFI20241018BHJP
   F02B 23/10 20060101ALI20241018BHJP
   F02P 13/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F02B23/02 P
F02B23/10 M
F02P13/00 301J
F02P13/00 303Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522604
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2022125554
(87)【国際公開番号】W WO2023226279
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202210573636.X
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518060538
【氏名又は名称】チョンチン リ-マーク テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING LE-MARK TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】15-1,Fengsheng Road,Jiulongpo District,Chongqing 401329 China
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ピーター
【テーマコード(参考)】
3G019
3G023
【Fターム(参考)】
3G019AA01
3G019AA02
3G019AC01
3G019CB13
3G019KA01
3G019KA15
3G019KA21
3G023AA01
3G023AA08
3G023AA17
3G023AB03
3G023AB05
3G023AB08
3G023AC04
3G023AC06
3G023AE04
(57)【要約】
本発明は、圧縮点火エンジンの燃焼サポートの技術分野に関し、メタノールには直接圧縮点火できないということから、エンジンでのメタノールの直接使用が制限されるという先行技術における課題を解決するための、エンジンの熱面燃焼をサポートするシステムを提供する。このシステムは、熱面点火装置と、コントローラーとを含み、熱面点火装置は、エンジンの燃料に点火するのに使用され;コントローラーは、熱面点火装置の温度制御を行うのに使用され、エンジンのECUと通信もでき、ECUのコントロール信号およびプリセット温度値を受信し、受信したコントロール信号およびプリセット温度値に基づいて熱面点火装置のオンまたはオフを制御するのに使用される。圧縮点火エンジンで液化天然ガス(LNG)等の蒸発潜熱や点火温度が高い燃料を使用することにも共通の課題があり、本発明ではこの課題に対応し、本発明はこの課題に対して利用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの熱面燃焼をサポートするシステムであって、
熱面点火装置と、コントローラーとを含み、
前記熱面点火装置が、エンジンの燃料に点火するのに使用され;
前記コントローラーが、前記熱面点火装置の温度制御を行うのに使用され、前記エンジンのECUと通信もでき、前記ECUのコントロール信号およびプリセット温度値を受信し、受信したコントロール信号およびプリセット温度値に基づいて前記熱面点火装置のオンまたはオフを制御するのに使用される、エンジンの熱面燃焼をサポートするシステム。
【請求項2】
温度測定用熱電対をさらに含み、前記温度測定用熱電対が、前記熱面点火装置の点火温度値を測定するのに使用され、
前記コントローラーがさらに、前記点火温度値を受信して前記プリセット温度値と比較し;この比較によって前記点火温度値が前記プリセット温度値より低いことが決定されると、前記コントローラーが前記熱面点火装置を制御して前記点火温度を上昇させ、前記比較によって前記点火温度値が前記プリセット温度値より高いことが決定されると、前記コントローラーが前記熱面点火装置を制御して前記点火温度を下降させることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの熱面燃焼をサポートするシステム。
【請求項3】
前記温度測定用熱電対が、前記熱面点火装置中に位置する、請求項2に記載のエンジンの熱面燃焼をサポートするシステム。
【請求項4】
前記熱面点火装置が、セラミック点火装置である、請求項1~3のいずれか1項に記載のエンジンの熱面燃焼をサポートするシステム。
【請求項5】
前記比較によって前記点火温度値が前記プリセット温度値より低いことが決定されると、前記コントローラーが前記熱面点火装置の回路を制御して電圧を上昇させ、前記比較によって前記点火温度値が前記プリセット温度値より高いことが決定されると、前記コントローラーが前記熱面点火装置の前記回路を制御して電圧を下降させることを特徴とする、請求項2に記載のエンジンの熱面燃焼をサポートするシステム。
【請求項6】
前記熱面点火装置の前記回路が電圧コントローラーを含み、前記電圧コントローラーが、前記熱面点火装置の前記電圧の上昇と下降を制御するのに使用されることを特徴とする、請求項5に記載のエンジンの熱面燃焼をサポートするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮点火エンジンの燃焼サポートの技術分野に関し、特に、エンジンの熱面燃焼をサポートするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
別形態のエネルギーを力学的エネルギーに変換可能な機械としてのエンジンは、多様な産業で広く使用されている。なかでも、内燃機関は、機械中で燃料を燃焼し、放出された熱エネルギーを動力に直接変換する熱機関である。現在、石油資源供給についての懸念があるが、石炭化学工業において、メタノールは安価である。さらに、メタノールは燃焼の際にすすを発生しないか、窒素酸化物の発生が少なく、排出量の観点から、従来の自動車の燃料油よりはるかに優れているため、エンジンの代替エネルギー源として非常に好適である。
【0003】
しかし、メタノール材料は、蒸発潜熱が高いことや、点火温度が高い等の性質があり、メタノール材料が圧縮点火エンジンの燃焼室に直接噴射されると、燃料に点火できない。既存のメタノール・ディーゼル二元燃料の技術的解決法では、メタノールの使用割合が低いことから燃料コストの低減と排出量の改善が限られること、システムが複雑であること、そしてハードウエアのアップグレードコストが高すぎることといった課題があり、市場で受け入れられていない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、メタノールには直接圧縮点火できないということから、エンジンでのメタノールの直接使用が制限されるという先行技術における課題を解決するための、エンジンの熱面燃焼をサポートするシステムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、以下の基本的解決法を提供する:エンジンの熱面燃焼をサポートするシステムであって、熱面点火装置と、コントローラーとを含み、熱面点火装置は、エンジンの燃料に点火するのに使用され、コントローラーは、熱面点火装置の温度制御を行うのに使用され、エンジンのECUと通信もでき、ECUのコントロール信号およびプリセット温度値を受信し、受信したコントロール信号およびプリセット温度値に基づいて熱面点火装置のオンまたはオフを制御するのに使用される。
【0006】
この基本的解決法の有益な効果は、以下の通りである:圧縮点火エンジンの燃料としてメタノールを使用するプロセスにおいて、メタノール燃料の自己発火温度は比較的高いため、圧縮点火エンジンを使用すると、メタノール燃料に圧縮点火燃焼を行うのが困難であり、通常の点火と使用ができないという課題が発生する。さらに、エンジンに噴射されたメタノールに即時に点火できない場合、未燃メタノールがシリンダ壁に沿って流れ落ち、シリンダ壁表面の潤滑油膜を破壊し、シリンダの摩耗を増加させる。未燃メタノールはまた、エンジン潤滑システムの潤滑油とエマルションを形成し、エンジンの様々なパーツ上で潤滑油の潤滑効果を減らし、これによってエンジンの様々なパーツの摩耗を加速させ、最終的には、エンジンの寿命を縮める。
【0007】
よって、この解決法において、熱面燃焼をサポートするシステムは、メタノールの燃焼をサポートするのに使用され、これによってメタノールに点火でき、動作環境や環境変化の影響を受けること無しに、メタノールを直接使用する場合にエンジンが確実に使用できるようにする。さらに、メタノールの点火が上手くいくことによって、未燃メタノールがエンジン内部に入ることによるエンジン寿命の短命化という問題を避け、エンジンの寿命を延ばすことができる。
【0008】
好ましい解決法I:基本的解決法において、好ましくは、温度測定用熱電対をさらに含み、温度測定用熱電対は、熱面点火装置の点火温度値の測定に使用され;コントローラーはまた、点火温度値を受信してプリセット温度値と比較し;比較によって点火温度値がプリセット温度値より低いことが決定されると、コントローラーは、熱面点火装置を制御して点火温度を上昇させ、比較によって点火温度値がプリセット温度値より高いことが決定されると、コントローラーが熱面点火装置を制御して点火温度を下降させる。有益な効果:この解決法において、温度測定用熱電対とコントローラーを共に使用することによって、熱面点火装置の温度制御効果も達成でき、エンジンの通常始動をさらに確実に行うことができる。
【0009】
好ましい解決法II:好ましい解決法Iにおいて、好ましくは、温度測定用熱電対は、熱面点火装置内に位置する。有益な効果:この解決法において、温度測定用熱電対が熱面点火装置内に位置する構成は、熱面点火装置の温度測定の精度を高め、これによって熱面点火装置の正確な温度制御を確実に行う。
【0010】
好ましい解決法III:基本的解決法から好ましい解決法IIのいずれか1つにおいて、好ましくは、熱面点火装置は、セラミック点火装置である。有益な効果:セラミックは耐腐食性があり、寿命が長く、容易に酸化されないため、要件が厳しい特定のシナリオにおける使用に好適である。
【0011】
好ましい解決法IV:好ましい解決法IIにおいて、好ましくは、点火温度値がプリセット温度値より低いことが、これらの温度値の比較により決定されると、コントローラーが熱面点火装置の回路を制御して電圧を上昇させ、点火温度値がプリセット温度値より高いことが、これらの温度値の比較により決定されると、コントローラーが熱面点火装置の回路を制御して電圧を下降させる。有益な効果:この解決法において、熱面点火装置の点火温度の上昇と下降は、熱面点火装置の回路の電圧の上昇と下降を制御することにより実現され、作動を簡単にしている。
【0012】
好ましい解決法V:好ましい解決法IVにおいて、好ましくは、熱面点火装置の回路に電圧コントローラーを提供し、熱面点火装置の電圧の上昇と下降の制御に使用される。有益な効果:この解決法において、熱面点火装置の電圧の上昇と下降は、熱面点火装置の回路に提供された電圧コントローラーにより実現され、構成を簡単にしている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態による、エンジンの熱面燃焼をサポートするシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態を参照することにより本発明をさらに詳細に説明する:
本明細書に添付した図面中の参照番号は、以下を含む:熱面燃焼をサポートするシステム10、オイル供給システム1、ECU2、コントローラー3、熱面点火装置4、ピストン5、エンジン6、およびオイル噴射システム7。
【0015】
一実施形態は、基本的に、図1に示す通りである:エンジンの熱面燃焼をサポートするシステム10は、熱面点火装置4を含み、熱面点火装置4は、エンジン6の燃料に点火するのに使用され、本実施形態において、熱面点火装置4は、セラミック点火装置であり;
エンジンの熱面燃焼をサポートするシステム10はさらに、熱面点火装置4の点火温度値を測定するのに使用される、熱面点火装置4内に位置する温度測定用熱電対と;
エンジン6のECU2と通信し、ECUのコントロール信号およびプリセット温度値を受信し、受信したコントロール信号に基づいて熱面点火装置4のオンまたはオフを制御するのに使用されるコントローラー3とを含み;コントローラーはさらに、点火温度値を受信しプリセット温度値と比較し;比較によって点火温度値がプリセット温度値より低いことが決定されると、熱面点火装置4を制御して点火温度を上昇させ、比較によって点火温度値がプリセット温度値より高いことが決定されると、熱面点火装置4を制御して点火温度を下降させる。
【0016】
特に、熱面点火装置4の電圧を上昇および下降するための電圧コントローラー3を熱面点火装置4の回路に提供し; 前述の比較によって点火温度値がプリセット温度値より低いことが決定されると、コントローラー3が電圧コントローラー3を制御して電圧を上昇させ; 前述の比較によって点火温度値がプリセット温度値より高いことが決定されると、コントローラー3が電圧コントローラー3を制御して電圧を下降させる。
【0017】
具体的な実施プロセスは、以下の通りである:本実施形態の熱面燃焼をサポートするシステム10が使用される前に、熱面点火装置4の加熱端を直接噴射式エンジン6のシリンダ内に挿入し、加熱端をピストン5の上に位置させる必要がある。使用時、エンジン6のオイル供給システム1が燃料を供給し、燃料がオイル噴射システム7によってシリンダに内に噴射される;燃料がシリンダ内に噴射される間、エンジン6のECU2がコントローラー3に信号を送信する;コントローラー3は、熱面点火装置4を起動させ;熱面点火装置4の加熱端の温度が上昇し、熱面燃焼をサポートし燃料の点火を行う。本実施形態において、燃料はメタノールである。
【0018】
上記は単に本発明の一実施形態であり、解決法において、当技術分野において周知の具体的構造および特徴等の、一般的な知識は詳細に説明されていない。当業者は、出願日または優先日より以前に本発明が属する技術分野の一般的な技術的知識を全て有し、その時点で存在した技術が全て利用でき、この日以前にすべての慣用的実験手段を適用することが可能である。本願における動機、そしてこの動機を自己の能力と組み合わせることによって、当業者は、本解決法を改良し実施でき、当業者にとって、典型的に周知の構造または周知の方法は、本願の実施の妨げにはならない。当業者は、本発明の構成から逸脱することなくさらに多様な変形や改良が可能であり、これらの変形や改良は本発明の保護範囲に属し、これらの変形や改良が本発明の実装の効果および特許の利用可能性に影響しないと考えるべきである。本願の保護範囲は、請求項の内容に基づき、具体的な実施形態等の明細書中の開示を、請求項の内容の解釈に使用できる。
図1
【国際調査報告】