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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】位相ロックループパルス切り捨て
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/085 20060101AFI20241018BHJP
   H03L 7/089 20060101ALI20241018BHJP
   H03L 7/14 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H03L7/085
H03L7/089
H03L7/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522642
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022078976
(87)【国際公開番号】W WO2023078674
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】17/519,438
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ボルケンハーゲン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケッセルリンク、グラント
(72)【発明者】
【氏名】シュトローム、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン、クリストファー
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106AA04
5J106BB10
5J106CC03
5J106CC26
5J106CC34
5J106CC42
5J106CC52
5J106GG04
5J106HH02
5J106JJ02
5J106KK06
5J106LL02
5J106SS01
(57)【要約】
位相ロックループは、位相周波数検出器とチャージポンプの間にパルスリミッタを含む。位相周波数検出器はクロックパルスを生成し、パルスリミッタに送信する。パルスリミッタは、クロックパルスが位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいことを示す第1の信号を生成する。パルスリミッタは、パルスリミッタ内の複数のバッファのうちの1つのバッファを選択するパルスリミッタバッファ選択信号を受信する。パルスリミッタは、位相周波数検出器の最小パルス幅にパルスリミッタバッファ選択信号に関連する遅延期間を加えたものとして、切り捨てられたパルス幅を示す第2の信号を生成する。パルスリミッタはクロックパルスを切り捨てられたパルス幅に切り捨て、切り捨てられたクロックパルスをチャージポンプに送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスリミッタ回路によって、遅延期間を示す遅延バッファ選択を受信することと、
前記パルスリミッタ回路によって、位相周波数検出器からのパルスを受信することと、
前記パルスリミッタ回路によって、前記受信されたパルスの幅が前記位相周波数検出器の最小パルス幅に前記遅延期間を加えたものよりも大きいかどうかを判定することと、
前記パルスリミッタ回路によって、前記パルスを切り捨てることと、
前記パルスリミッタ回路によって、前記切り捨てられたパルスをチャージポンプに送信することと、
を含む、
位相ロックループパルス切り捨て方法。
【請求項2】
前記遅延バッファ選択は、単一の一連の遅延バッファの中から遅延バッファを選択する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単一の一連の遅延バッファは、複数の選択不可能な遅延バッファと複数の選択可能な遅延バッファとを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単一の一連の遅延バッファのそれぞれの前記遅延バッファは電気的に直列に接続されている、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
XORゲートが、前記単一の一連の遅延バッファの第1の選択不可能な遅延バッファに直列に電気的に接続されている、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パルスリミッタ回路によって、切り捨てがイネーブルかどうか、および前記位相ロックループがロックされているかどうかを判定することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
クロックパルスを生成し、クロックパルスをパルスリミッタに送信するように適合される位相周波数検出器を含み、
前記パルスリミッタは、前記クロックパルスが前記位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいことを示す第1の信号を生成するように適合され、前記パルスリミッタ内の複数のバッファのうちの1つのバッファを選択するパルスリミッタバッファ選択信号を受信するように適合され、切り捨てられたパルス幅を、前記位相周波数検出器の前記最小パルス幅に前記パルスリミッタバッファ選択信号に関連する遅延期間を加えたものとして示す第2の信号を生成するように適合され、前記クロックパルスを前記切り捨てられたパルス幅に切り捨てるように適合され、前記切り捨てられたクロックパルスをチャージポンプに送信するようにさらに適合される、
位相ロックループ。
【請求項8】
前記複数のバッファは電気的に直列に接続されている、
請求項7に記載の位相ロックループ。
【請求項9】
前記複数のバッファは、複数の選択不可能なバッファと複数の選択可能なバッファを含む、
請求項8に記載の位相ロックループ。
【請求項10】
前記パルスリミッタは、第1の選択不可能なバッファと電気的に直列に接続されたXORゲートを含む、
請求項9に記載の位相ロックループ。
【請求項11】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたクロックパルスが、切り捨てられたUPクロックパルスであることを示す、UP切り捨て信号を判定して格納する第1のラッチ
をさらに含む、
請求項10に記載の位相ロックループ。
【請求項12】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたクロックパルスが、切り捨てられたDWMクロックパルスであることを示すDWM切り捨て信号を判定して格納する第2のラッチ
を含む、
請求項11に記載の位相ロックループ。
【請求項13】
位相周波数検出器からUP_PREクロックパルスを受信する第1の遅延素子と、前記位相周波数検出器からDWN_PREクロックパルスを受信する第2の遅延素子と、
前記UP_PREクロックパルスと前記DWN_PREクロックパルスを受信し、UP_PREクロックパルスまたは前記DWN_PREクロックパルスが前記位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいかどうかを示すXOR出力を生成するXORゲートと、
前記XORゲートに電気的に直列に接続された複数の遅延バッファと、
切り捨てられたパルス幅を、前記位相周波数検出器の前記最小パルス幅に前記複数の遅延バッファのうちの1つを識別する遅延バッファ選択信号に関連付けられた遅延期間を加えたものとして示す遅延段階信号を出力するマルチプレクサと、
前記第1の遅延素子に電気的に接続され、前記切り捨てられたパルス幅を含む切り捨てられたUPクロックパルスをチャージポンプに出力する第1のANDゲートと、
前記第2の遅延素子に電気的に接続され、前記切り捨てられたパルス幅を含む切り捨てられたDWNクロックパルスを前記チャージポンプに出力する第2のANDゲートと、
を含む、
位相ロックループ。
【請求項14】
前記遅延段階信号を受信し、前記XOR出力を受信し、切り捨てイネーブル信号を受信し、前記第1のANDゲートおよび前記第2のANDゲートに送信されるNAND出力を生成する、NANDゲートをさらに含む、
請求項13に記載の位相ロックループ。
【請求項15】
前記複数の遅延バッファは、前記遅延バッファ選択信号によって選択不可能な複数の選択不可能な遅延バッファと、前記遅延バッファ選択信号によって選択可能な複数の選択可能な遅延バッファとを含む、
請求項14に記載の位相ロックループ。
【請求項16】
前記XORゲートは、第1の選択不可能なバッファに電気的に直列に接続されている、
請求項15に記載の位相ロックループ。
【請求項17】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたUPクロックパルスを前記チャージポンプに出力する前記第1のANDゲートによって、前記UP_PREクロックパルスが切り捨てられたことを示すUP切り捨て信号を判定して格納する第1のラッチをさらに含む、
請求項16に記載の位相ロックループ。
【請求項18】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたDWNクロックパルスを前記チャージポンプに出力する第2のANDゲートによって、前記DWN_PREクロックパルスが切り捨てられたことを示すDWN切り捨て信号を判定して格納する第2のラッチを含む、
請求項17に記載の位相ロックループ。
【請求項19】
前記第1のラッチは、前記UP_PREクロックパルスを受信し、前記NAND出力の論理反転を受信し、前記切り捨てイネーブル信号の論理反転を受信する、
請求項18に記載の位相ロックループ。
【請求項20】
前記第2のラッチは、前記DWN_PREクロックパルスを受信し、前記NAND出力の前記論理反転を受信し、前記切り捨てイネーブル信号の前記論理反転を受信する、
請求項19に記載の位相ロックループ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プロセッサ、集積回路(IC)などの処理ユニットを含む電子システムに関し、より具体的には、PLL位相周波数検出器から受信されるパルスを切り捨てる位相ロックループ(PLL)に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一態様では、位相ロックループパルス切り捨て方法が提示される。この方法は、パルスリミッタ回路で、遅延期間を示す遅延バッファ選択を受信することを含む。この方法はさらに、パルスリミッタ回路で、位相周波数検出器からパルスを受信することを含む。この方法はさらに、パルスリミッタ回路で、受信したパルスの幅が位相周波数検出器の最小パルス幅に遅延期間を加えたものよりも大きいかどうかを判定することを含む。この方法はさらに、パルスリミッタ回路で、パルスを切り捨てることを含む。この方法はさらに、パルスリミッタ回路で、切り捨てられたパルスをチャージポンプに送信することを含む。
【発明の概要】
【0003】
本発明の別の態様では、位相ロックループが提示される。位相ロックループは、クロックパルスを生成し、パルスリミッタに送信するように適合された位相周波数検出器を含む。パルスリミッタは、クロックパルスが位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいことを示す第1の信号を生成するように適合される。パルスリミッタは、パルスリミッタ内の複数のバッファのうちの1つのバッファを選択するパルスリミッタバッファ選択信号を受信するように適合される。パルスリミッタは、切り捨てられたパルス幅を、位相周波数検出器の最小パルス幅にパルスリミッタバッファ選択信号に関連する遅延期間を加えたものとして示す第2の信号を生成するように適合される。パルスリミッタは、クロックパルスを切り捨てられたパルス幅に切り捨てるように適合される。パルスリミッタはさらに、切り捨てられたクロックパルスをチャージポンプに送信するように適合される。
【0004】
本発明の別の態様では、位相ロックループが提示される。位相ロックループは、位相周波数検出器からUP_PREクロックパルスを受信する第1の遅延素子と、DWN_PREクロックパルスを受信する第2の遅延素子を含む。位相ロックループは、UP_PREクロックパルスとDWN_PREクロックパルスを受信し、UP_PREクロックパルスまたはDWN_PREが位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいかどうかを示すXOR出力を生成するXORゲートを含む。位相ロックループは、XORゲートに電気的に直列に接続された複数の遅延バッファを含む。位相ロックループは、切り捨てられたパルス幅を、位相周波数検出器の最小パルス幅に複数の遅延バッファのうちの1つを識別する遅延バッファ選択信号に関連付けられた遅延期間を加えたものとして示す遅延段階信号を出力するマルチプレクサを含む。位相ロックループは、第1の遅延素子に電気的に接続され、切り捨てられたパルス幅を含む切り捨てられたUPクロックパルスをチャージポンプに出力する第1のANDゲートを含む。位相ロックループは、第2の遅延素子に電気的に接続され、切り捨てられたパルス幅を含む切り捨てられたDWNクロックパルスをチャージポンプに出力する第2のANDゲートを含む。
【0005】
上記および他の実施形態、特徴、態様および利点は、以下の説明、補正された請求項、および添付の図面を参照することで、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】1つ以上の実施形態による、パルスリミッタを含む位相ロックループを図示しているブロック図である。
図2】1つ以上の実施形態による、パルスリミッタを図示しているブロック論理図である。
図3】1つ以上の実施形態による、パルスリミッタの特徴を図示しているブロック論理図である。
図4】1つ以上の実施形態による、位相ロックループによって受信される基準クロック信号と、位相ロックループからの帰還クロック信号の波形図である。
図5】1つ以上の実施形態に従って説明されるパルスリミッタを含まない位相ロックループの波形応答である。
図6】1つ以上の実施形態に従って説明されるパルスリミッタを含む位相ロックループの波形応答である。
図7】1つ以上の実施形態による、位相ロックループパルス切り捨て位相ロックループパルス切り捨て方法を図示しているブロック図である。
【0007】
一般的な方法に従い、図面に図示されている様々な特徴は、縮尺通りに描かれていない場合がある。したがって、様々な特徴の寸法は、明確性のために任意に拡大または縮小される場合がある。さらに、図面の一部は、所定のシステム、方法、または装置の構成要素のすべてを描写していない場合がある。最後に、同様の参照数字は、本明細書および図面全体を通して同様の特徴を示すために使用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
コンピュータ処理装置は、外部水晶発振器チップからクロックソースを得ることが多い。発振器クロック信号に関連するエラーは、処理装置自体の信頼性、もしくは処理装置を利用する上位のコンピュータシステムの信頼性、またはその両方に影響を与える場合がある。そのため、これらのコンピュータ処理装置は、発振器クロック信号を同期、フィルタ処理等をすること、もしくはエラーの影響を最小限に抑えること、またはその組み合わせを試み、位相ロックループを含む場合がある。最終的に、このエラーは、コンピュータシステムが故障することにつながる可能性があり、再起動などが必要になる可能性がある。このような休止時間といった災難からの復旧には時間がかかり、関連する業務に悪影響が及ぶとコストがかかる場合がある。したがって、冗長クロックスイッチ(RCS)が設けられる場合がある。RCSは、処理装置に基準クロック出力を提供する。最初は、基準クロックは第1の発振器クロック信号から生成される。RCSが第1の発振器クロック信号に関連するエラーを検知した場合、RCSは第2の冗長発振器クロック信号から基準クロック出力を生成する。そのため、発振器クロック信号のエラーによる災難を低減または回避できる場合がある。
【0009】
典型的なRCSは、2つの独立したクロックソースと、2つの独立したクロックソースを整列させて切り替える回路を含む。独立したクロックソースが完全に整列されていない場合、この切り替えイベントによって不要なジッターが位相ロックループに侵入し、さらなるエラーが発生する可能性がある。既知のRCSは、2つのクロックソースを312.5ps以内に合わせるための複雑なアナログ回路を含む。312.5psのクロック位相の不確実性があるため、位相ロックループは、例えば切り替え時に発生する可能性のある312.5psの過渡ノイズまたはジッターに対抗するために、低ゲインの動作環境で構成されなければならない。しかし、低ゲインに設定された位相ロックループは一般にノイズの影響を受けやすいため、これは理想的ではない。したがって、低ゲイン動作環境用に構成される必要がなく、ノイズに応答するフェーズロックループが必要とされている。
【0010】
添付の図面に図示された例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の詳細が本明細書に記載されている。しかし、いくつかの実施形態は、具体的な詳細の多くがなくても実施されてもよく、特許請求の範囲は、請求項に具体的に記載された特徴および態様によってのみ限定される。さらに、周知の方法、構成要素、回路などは、本明細書に記載される実施形態のより適切な態様を不必要に不明瞭にしないように、網羅的に詳細に記載されていない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態による、位相ロックループ(PLL)100のブロック図を示し、位相周波数検出器102、パルスリミッタ104、チャージポンプ106、ループフィルタ108、電圧制御発振器(VCO)110、もしくは帰還分周器112またはその組み合わせを含んでもよい。位相周波数検出器102は、パルスリミッタ104に電気的に接続されている。パルスリミッタ104は、チャージポンプ106に電気的に接続されている。チャージポンプ106は、ループフィルタ108に電気的に接続されている。ループフィルタ108はVCO110に電気的に接続されている。VCO110は帰還分周器112に電気的に接続されている。帰還分周器112は位相周波数検出器102に電気的に接続されている。
【0012】
位相周波数検出器102は、基準クロック信号16の位相および周波数を、帰還分周器112からの帰還クロック信号14の位相および周波数と比較する。位相周波数検出器102は、UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20を含む出力を生成する。UP_PREパルス19は、インクリメント(INC)パルスなどとも呼ばれることがある。同様に、DWN_PREパルス20は、デクリメント(DEC)パルスなどとも呼ばれることがある。
【0013】
UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20は、基準クロック信号16と帰還クロック信号14の位相差と周波数差を表す。帰還クロック信号14の位相が基準クロック信号16の位相より遅れている場合、UP_PREパルス19のパルス幅はDWN_PREパルス20のパルス幅より広く設定される。帰還クロック信号14の位相が基準クロック信号16の位相をリードしている場合、DWN_PREパルス20のパルス幅はUP_PREパルス19のパルス幅よりも広く設定される。帰還クロック信号14の位相が基準クロック信号16の位相とほぼ等しい場合、DWN_PREパルス20のパルス幅はUP_PREパルス19のパルス幅とほぼ等しくなる。この場合、UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20の両方のパルス幅は、位相周波数検出器102によって生成される「最小パルス幅」と定義される。
【0014】
パルスリミッタ104は、位相周波数検出器102によって生成されたUP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20を低減、制限、またはその他の方法で切り捨ててもよい。パルスリミッタ104は、UPパルス21とDWNパルス22を含む出力を生成する。UPパルス21は、INCパルスなどと呼ばれることもある。同様に、DWNパルス22は、DECパルスなどと呼ばれることもある。
【0015】
パルスリミッタ104がUP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20を切り捨てると、PLL100は、フィルタ処理され、制限され、抑制され、またはスロットルされる、過渡ノイズに対する応答を有し、したがってPLLゲインを低下させる。パルスリミッタ104による切り捨ては、ANDゲート114への切り捨てイネーブル信号29もしくはロック信号30またはその両方によって無効にすることができる。すなわち、パルスリミッタ104による切り捨ては、切り捨てイネーブル信号29とロック信号30の両方に切り捨てが発生することを示すとき(例えば、切り捨てイネーブル信号29が高「1」で、ロック信号30が高「1」)に発生する。切り捨てイネーブル信号29は、例えば、位相ロックループ100の外部で制御される場合がある広帯域レジスタ(複数可)またはラッチ(複数可)によって生成される場合がある。ロック信号30は、たとえば、位相ロックループ100に内蔵され、PLL100がロックされたことを示す既知のロック検出器によって生成される場合がある。ANDゲート114は、切り捨てが発生するか否かを示すイネーブル信号31を生成する。
【0016】
パルスリミッタ104による切り捨ては、遅延選択信号32によって示されるような遅延素子の選択に基づいて構成可能とすることが可能である(すなわち、切り捨てられたUP信号21および切り捨てられたDWN信号22のパルス幅が示される場合がある)。遅延選択信号32は、図2に例示的に示されるように、UP_XOR_DWN信号207が遅延されるパルスリミッタ104の一連の遅延素子の量または数を示す。
【0017】
切り捨ては、PLL100がロック状態に収束しているときに無効にされ、PLL100がロックされているときに有効にされてもよい。これにより、PLL100が収束しているときには通常のゲイン動作が可能になり、PLL100がロックしているときには低ゲイン(すなわち、切り捨て)動作(例えば、過渡ノイズなどを透過することができる)が可能になる。言い換えれば、UPパルス21もしくはDWNパルス22またはその両方は、PLL100がロック状態に収束する間、それぞれUP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20に対して、切り捨てられない場合がある(例えば、UP_PREパルス19のパルス幅はUPパルス21のパルス幅にほぼ等しく、もしくはDWN_PREパルス20のパルス幅はDWNパルス22のパルス幅にほぼ等しい、またはその両方)。同様に、UPパルス21もしくはDWNパルス22またはその両方は、PLL100がロックされているときに、UP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20に対して、切り捨てられる場合がある(例えば、UP_PREパルス19のパルス幅がUPパルス21のパルス幅よりも広い、もしくは、DWN_PREパルス20のパルス幅がDWNパルス22のパルス幅よりも広い、またはその両方)。
【0018】
実施形態では、パルスリミッタ104は、UP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20を切り捨てるための単一ブロックまたは単一の一連の遅延素子と、位相周波数検出器102の最小位相パルス幅を伝搬するための組み合わせ論理素子250とを含む。単一ブロックまたは単一の一連の遅延素子は、UP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20の両方を切り捨ててもよいが、他の既知の切り捨てシステムは、INCパルスとDECパルスをそれぞれ独立に切り捨てる専用のサブシステムを含んでもよい。このように、パルスリミッタ104の単一ブロックまたは単一の一連の遅延素子は、既知の切り捨てシステムのサイズを半分に縮小することができる。
【0019】
さらに、パルスリミッタ104による位相周波数検出器102の最小位相パルス幅の伝播は、先行技術の位相ロックループと比較した場合、遅延要素の数をさらに2N(ここで、Nは位相周波数検出器102内の遅延要素の数である)減らしてもよい。位相ロックループ100において、組み合わせ論理素子250は、位相周波数検出器102の最小パルス幅が切り捨てられずに残されることを保証する場合があり、これにより遅延素子の全体数を減少させる。より具体的には、UP_XOR_DWN207を生成するXORゲート206、および切り捨てない信号201を生成するNANDゲート200は、位相周波数検出器102の最小パルス幅が切り捨てられずに残されることを保証する場合がある。UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20の両方が真、高、「1」などである場合、XORゲート206によって示されるように、切り捨ては起こらない場合がある。このように、UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20の両方は、位相周波数検出器102の最小パルス幅の間、高になる。一般に、すべての位相周波数検出器は、チャージポンプが活発に刺激されることを保証するために最小パルス幅を有する。先行技術の位相ロックループでは、パルスリミッタ回路は通常、最小パルス幅の部分を含むINCパルスまたはDECパルス全体を切り捨てる。これに対抗するため、先行技術の位相ロックループは少なくともN個の遅延素子を含み、これは位相周波数検出器内(最小パルス幅を生成する)のN個の遅延素子のレプリカである。そうすれば、先行技術の位相ロックループのパルス制限回路は、最小位相周波数検出器のパルス幅がそのまま伝搬することを保証する(位相周波数検出器の遅延素子=パルス制限器の遅延素子)。次に、先行技術の位相ロックループは、最小パルス幅を超えるものを切り捨てるために、通常、さらにM個の遅延素子を含む。合計でN+M個の遅延素子が与えられる。INCパルスとDECパルスの両方を切り捨てるため、先行技術の位相ロックループは通常、このような遅延素子の数を2倍(N+M)にする。
【0020】
パルスリミッタ104の単一ブロックまたは単一の一連の遅延素子を使用することにより、トランジスタのミスマッチをなくす場合もある。先行技術の位相ロックループは、通常、専用のINCパルスリミッタ・ブロックと、別の専用のDECパルスリミッタ・ブロックとを含む。この構成では、物理的な製造に起因して、2つの同一のブロック間にトランジスタのミスマッチがある可能性がある。遅延素子を介した時間遅延が2つのブロック間で異なり、同じパルス幅設定でもINCパルスがDECパルスより切り捨てられる、あるいはその逆の現象が発生する可能性がある。チャージポンプへ行くUP信号とDWN信号は、通常立ち下がりエッジを整列させる必要があり、2つの別々のリミッタブロックを持つことは、そのような整列を困難にし、トランジスタのミスマッチをより普及させる。ここで、位相ロックループ100は、このようなトランジスタのミスマッチを低減または排除する、UPパルスとDWNパルスの両方を切り捨てるために、遅延素子260の1つのグループを使用する。
【0021】
UPパルス21とDWNパルス22はチャージポンプ106に送信される。UPパルス21もしくはDWNパルス22は、FILTイン信号23と反転FILTNイン信号24をループフィルタ108へ、またはループフィルタ108からソースまたはシンクするために、チャージポンプ106を制御する。FILTイン信号23とFILTNイン信号24の量と方向(すなわち、ソースまたはシンク)に基づいて、ループフィルタ108は制御FILTアウト信号25と制御反転FILTNアウト信号26を生産する。
【0022】
FILTアウト信号25とFILTNアウト信号26は、基準クロック信号16を追跡する(すなわち、VCO_アウト信号27が基準クロック信号16の位相および周波数を追跡する)出力VCOアウト信号27を生産するようにVCO110を制御する。一般に、PLL回路100は、VCOアウト信号27が基準クロック信号16の位相および周波数を追跡する場合に「ロックされた」と呼ばれる。プロセスのミスマッチや回路性能により、PLL100がロックされていても、VCOアウト信号27の位相と基準クロック信号16の位相との間に小さな差が存在する場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態では、VCOアウト信号27は帰還クロック信号14である(すなわち、PLL100は帰還分周器112を含まない)。他の実施形態では、帰還分周器112は、帰還クロック信号14を生成するためにVCOアウト信号27を分周してもよい。
【0024】
図2は、1つ以上の実施形態による、パルスリミッタ104を図示しているブロック論理図である。パルスリミッタ104は、位相周波数検出器102の最小位相パルス幅を伝搬するための直列バッファおよび組み合わせ論理素子250の単一ブロック260を含んでもよい。
【0025】
組み合わせ論理素子250で適切なタイミングまたは十分なタイミングを達成するために、UP_PREパルス19が、バッファ202を通してUP遅延パルス203を作成するために送信され、DWN_PREパルス20がバッファ204を通してDWN遅延パルス205を生成するために送信される場合がある。
【0026】
組み合わせ論理素子250の1つは、XORゲート206であってもよい。XORゲート206は、UP_XOR_DWN信号207を生成してもよい。UP_XOR_DWN信号207は、位相周波数検出器102が最小パルス幅よりも大きいパルスを生成することをいつでも、または任意の実例で示すために使用されてもよい。
【0027】
UP_XOR_DWN信号207は、遅延した遅延段階信号245として選択されるマルチプレクサ出力信号(例えば、信号235、237、239、241、243など)のための複数の可能性マルチプレクサ(possibility multiplexers)のうちの選択されたマルチプレクサを示すために、遅延選択信号32によって示されるように、Nが選択可能であるN個の遅延バッファを通して送信されてもよい。遅延した遅延段階信号245は、遅延選択<0:5>遅延選択信号32によって示されるように、パルスが所望のパルス幅よりも大きいことを示すために使用される。描写されている例では、パルスリミッタ104は、遅延バッファ212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、および232を含み、マルチプレクサ234、236、238、240、242、および244を含む。
【0028】
例示的な描写では、XORゲート206はバッファ212に電気的に直列に接続されてもよい。XORゲート206は、UP_XOR_DWN信号207を遅延させ、第1段階バッファ出力信号213を生成するバッファ212にUP_XOR_DWN信号207を送信してもよい。バッファ212は、バッファ214に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ212は、第1段階バッファ出力信号213をバッファ214に送信してもよく、バッファ214はこの受信信号を遅延させ、第2段階バッファ出力信号215を生成する。バッファ214は、バッファ216に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ214は、第2段階バッファ出力信号215をバッファ216に送信してもよく、バッファ216はこの受信信号を遅延させ、第3段階バッファ出力信号217を生成する。バッファ216は、バッファ218に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ216は、第3段階バッファ出力信号217をバッファ218に送信してもよく、バッファ218はこの受信信号を遅延させ、第4段階バッファ出力信号219を生成する。バッファ218は、バッファ220に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ218は、第4段階バッファ出力信号219をバッファ220に送信してもよく、バッファ220はこの受信信号を遅延させ、第5段階バッファ出力信号221を生成する。
【0029】
さらに例示的な描写では、バッファ220は、バッファ222に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ220は、第5段階バッファ出力信号221をバッファ222に送信してもよく、バッファ222はこの受信信号を遅延させ、第6段階バッファ出力信号223を生成する。バッファ220はさらに、マルチプレクサ234に電気的に並列に接続されてもよい。バッファ220は、第5段階バッファ出力信号221をマルチプレクサ234に送信してもよい。バッファ222は、バッファ224に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ222は、第6段階バッファ出力信号223をバッファ224に送信してもよく、バッファ224はこの受信信号を遅延させ、第7段階バッファ出力信号225を生成する。バッファ222はさらに、マルチプレクサ234に並列に電気的に接続されてもよい。バッファ222は、第6段階バッファ出力信号223をマルチプレクサ234に送信してもよい。遅延選択信号<0>の受信後すぐに、マルチプレクサ234は、受信した第5段階バッファ出力信号221または第6段階バッファ出力信号223のいずれかをマルチプレクサ出力信号235としてマルチプレクサ236に出力する。
【0030】
さらに例示的な描写では、バッファ224は、バッファ226に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ224は、第7段階バッファ出力信号225をバッファ226に送信してもよく、バッファ226はこの受信信号を遅延させ、第8段階バッファ出力信号227を生成する。バッファ224はさらに、マルチプレクサ236に電気的に並列に接続されてもよい。バッファ224は、第7段階バッファ出力信号225をマルチプレクサ236に送信してもよい。遅延選択信号<1>の受信後すぐに、マルチプレクサ236は、受信したマルチプレクサ出力信号235または第7段階バッファ出力信号225のいずれかをマルチプレクサ出力信号237としてマルチプレクサ238に出力する。
【0031】
さらに例示的な描写では、バッファ226は、バッファ228に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ226は、第8段階バッファ出力信号227をバッファ228に送信してもよく、バッファ228はこの受信信号を遅延させ、第9段階バッファ出力信号229を生成する。バッファ226はさらに、マルチプレクサ238に電気的に並列に接続されてもよい。バッファ226は、第8段階バッファ出力信号227をマルチプレクサ238に送信してもよい。遅延選択信号<2>の受信後すぐに、マルチプレクサ238は、受信したマルチプレクサ出力信号237または第8段階バッファ出力信号227のいずれかをマルチプレクサ出力信号239としてマルチプレクサ240に出力する。
【0032】
さらに例示的な描写では、バッファ228は、バッファ230に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ228は、第9段階バッファ出力信号229をバッファ230に送信してもよく、バッファ230はこの受信信号を遅延させ、第10段階バッファ出力信号231を生成する。バッファ228はさらに、マルチプレクサ240に電気的に並列に接続されてもよい。バッファ228は、第9段階バッファ出力信号229をマルチプレクサ240に送信してもよい。遅延選択信号<3>の受信後すぐに、マルチプレクサ240は、受信したマルチプレクサ出力信号239または第9段階バッファ出力信号229のいずれかをマルチプレクサ出力信号241としてマルチプレクサ242に出力する。
【0033】
さらに例示的な描写では、バッファ230は、バッファ232に電気的に直列に接続されてもよい。バッファ230は、第10段階バッファ出力信号231をバッファ232に送信してもよく、バッファ232はこの受信信号を遅延させ、第11段階バッファ出力信号233を生成する。バッファ230はさらに、マルチプレクサ242に電気的に並列に接続されてもよい。バッファ230は、第10段階バッファ出力信号231をマルチプレクサ242に送信してもよい。遅延選択信号<4>の受信後すぐに、マルチプレクサ242は、受信したマルチプレクサ出力信号241または第10段階バッファ出力信号231のいずれかをマルチプレクサ出力信号243としてマルチプレクサ244に出力する。
【0034】
さらに例示的な描写では、バッファ232はマルチプレクサ244に電気的に並列に接続されてもよい。バッファ232は、第11段階バッファ出力信号233をマルチプレクサ244に送信してもよい。遅延選択信号<5>の受信後すぐに、マルチプレクサ244は、受信したマルチプレクサ出力信号243または第11段階バッファ出力信号233のいずれかを遅延した遅延段階信号245として出力する。
【0035】
別の組み合わせ論理素子250は、NANDゲート200であってもよい。NANDゲート200は、切り捨てない信号201を生成するために、遅延した遅延段階信号245、イネーブル信号31、およびUP_XOR_DWN信号207をNANDしてもよい。
【0036】
さらに他の組み合わせ論理素子250は、ANDゲート208およびANDゲート210であってもよい。ANDゲート208は、UPパルス21を生成するために、切り捨てない信号201とUP遅延パルス203を論理ANDしてもよい。同様に、ANDゲート210は、DWNパルス22を生成するために、切り捨てない信号201とDWN遅延パルス205を論理ANDしてもよい。
【0037】
例示的な描写では、パルスリミッタ104は、以下の3つの基準が満たされるとき、UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20の両方を切り捨てる:(1)イネーブル信号31は、切り捨てが有効であることを示す。例えば、イネーブル信号31が真、高、「1」などである、(2)UP_PREパルス19またはDWN_PREパルス20のいずれかが真、高、「1」などであるが、その両方ではなく、1つ以上の遅延バッファ280内の遅延素子の数よりも大きい時間である。例えば、位相周波数検出器102は、最小パルス幅よりも広いUP_PREパルス19もしくはDWN_PREパルス20またはその両方を出力し、(3)UP_PREパルス19およびDWN_PREパルス20の両方が真、高、「1」などになる前に、UP遅延パルス203またはDWN遅延パルス205のいずれかが真、高、「1」などになる。例えば、UP_PREパルス19もしくはDWN_PREパルス20またはその両方は、単一ブロック260または一連の遅延素子の中にある選択されたバッファに関連する遅延を加えた最小パルスよりも大きいか、または広い。
【0038】
明確性のために、パルスリミッタ104は、INCパルスの切り捨てのための専用のブロックまたは一連の遅延素子と、DWNパルスの切り捨てのための別の専用のブロックまたは一連の遅延素子とは対照的に、単一のブロック260または一連の遅延素子またはバッファ(例えば、バッファ212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、もしくは232またはその組み合わせ)で、UP_PREパルス19とDWN_PREパルス20の両方の切り捨てを可能にする。これにより、位相ロックループに必要な総遅延素子の数が減少するだけでなく、UPおよびDWNの切り捨て信号に対するトランジスタのミスマッチの懸念も取り除く。
【0039】
さらなる明確性のために、単一のブロック260または一連の遅延要素は、遅延選択信号32によって個別に選択可能でない1つ以上の遅延バッファ270と、遅延選択信号32によって個別に選択可能な1つ以上の遅延バッファ280を含んでもよい。
【0040】
さらなる明確性のために、パルスリミッタ104は、有利な場合には、位相周波数検出器102の最小パルス幅が切り捨てられずに回路を伝搬することを可能にし、ループフィルタ108内での適切な充電を可能にする。
【0041】
図3は、1つ以上の実施形態による、パルスリミッタ104の特徴を図示しているブロック論理図である。いくつかの実施形態において、パルスリミッタ104は、ラッチ331およびラッチ333をさらに含んでもよい。ラッチ331は、UP_PREパルス19が切り捨てられたかどうかを判定し、指示してもよく、ラッチ333は、DWN_PREパルス20が切り捨てられたかどうかを判定し、指示してもよい。ラッチ331およびラッチ333は、UP_PREパルス19もしくはDWN_PREパルス20またはその両方が切り捨てられたのがどの信号か、もしくはいつの信号かまたはその両方、もしくはいつかを効果的に識別することができる。
【0042】
パルスリミッタ104は、反転バッファ300および反転バッファ310をさらに含んでもよい。反転バッファ300は、NANDゲート200に電気的に接続されてもよく、切り捨てない信号201を受信して遅延させ、さらに切り捨てない信号201を切り捨て信号301に論理反転させてもよい。反転バッファ310は、ANDゲート114に電気的に接続されてもよく、イネーブル信号31を受信して遅延させ、さらにイネーブル信号31を無効信号(not_enable signal)311に論理反転させてもよい。
【0043】
ラッチ331は、反転バッファ300に電気的に接続され、そこから切り捨て信号301を受信してもよい。ラッチ331はさらに、反転バッファ310に電気的に接続され、そこから無効信号(not_enable signal)311を受信してもよい。ラッチ331はさらに、位相周波数検出器102に電気的に接続され、そこからUP_PREパルス19を受信してもよい。ラッチ331は、切り捨て信号301の立ち上がりエッジによってクロックされてもよく、データ入力はUP_PREパルス19であってもよい。このように、データ入力は、切り捨て信号301が真、高、「1」などのときにラッチされてもよい。その結果、出力UP_WAS_TRUNCATED信号320は、UP_PREパルス19が切り捨てられたことを反映する。UP_WAS_TRUNCATED信号320は、例えば、位相ロックループ100が速度を上げるべきか遅くすべきかを決定するためなどに、外部構成要素によって使用できる。
【0044】
同様に、ラッチ333は、反転バッファ300に電気的に接続され、そこから切り捨て信号301を受信してもよい。ラッチ333はさらに、反転バッファ310に電気的に接続され、そこから無効信号(not_enable signal)311を受信してもよい。ラッチ333はさらに、位相周波数検出器102に電気的に接続され、そこからDWN_PREパルス20を受信してもよい。ラッチ333は、切り捨て信号301の立ち上がりエッジによってクロックされてもよく、データ入力はDWN_PREパルス20であってもよい。このように、データ入力は、切り捨て信号301が真、高、「1」などのときにラッチされてもよい。その結果、出力DWN_WAS_TRUNCATED信号322は、DWN_PREパルス20が切り捨てられたことを反映する。DWN_WAS_TRUNCATED信号322は、例えば、位相ロックループ100が速度を上げるべきか遅くすべきかを決定するためなどに、外部構成要素によって使用できる。
【0045】
図4は、1つ以上の実施形態による、位相ルックループからの基準クロック信号16および帰還クロック信号14の例示的な周波数図である。この周波数図は、1サイクル1ナノ秒の基準クロック信号16パルス拡張に対する例示的な位相ロックループ100の応答を描写している。このような事象は、例えば、スイッチオーバ事象と同様であってよい。領域400は、図5に描写されている例示的な位相ロックループ100の波形応答の時間領域を定義する。
【0046】
図5は、切り捨てイネーブル信号29が論理的に偽、低、「0」などに設定され、それによって切り捨てが無効であることを示す、位相ロックループ100の例示的な波形応答である。位相ロックループ100は、1ナノ秒の基準クロック信号16のパルス拡張に対して、1ナノ秒のDWN_PREパルス20(すなわち、矢印402)と40ピコ秒(たとえば、位相周波数検出器102の最小パルス幅)のUP_PREパルス19(すなわち、矢印404)で応答する。この大きなDWN_PREパルス20は、例示的な280mVの電圧制御発振器110の制御電圧シフトと、帰還クロック14周波数の例示的な1Mhz(1%)の変化をもたらす。既知のダウンストリームのクロックおよびデータリカバリ回路は、1%の瞬時の帰還クロック14周波数の変化を追跡できない可能性が高く、巡回冗長検査(CRC)が必要になる可能性が高い。
【0047】
図6は、切り捨てイネーブル信号29が論理的に真、高、「1」などに設定され、それによって切り捨てが有効であることを示す、位相ロックループ100の例示的な波形応答である。例示的に描写された波形応答において、パルスリミッタ104は、対応する遅延(例えば、約50ピコ秒の遅延など)に対応する第5バッファ220(すなわち、第5段階バッファ出力信号221は、遅延選択信号32によって遅延した遅延段階信号245となるように選択される)からタップするように構成される。このように、パルスリミッタ104は、設定された対応する遅延に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えたものよりも大きい任意のUP_PREパルス19幅または任意のDWN_PREパルス20を切り捨てるように設定される。対応する遅延は、切り捨てられたUPパルス21および切り捨てられたDWNパルス22の意図されたパルス幅であってもよい。したがって、描写された例では、パルスリミッタ104は、90ピコ秒(すなわち、設定された対応する遅延50ピコ秒に位相周波数検出器102の最小パルス幅40ピコ秒を加えたもの)よりも大きいUP_PREパルス19幅またはDWN_PREパルス20を切り捨てるように設定される。
【0048】
DEC_PREパルス20(矢印402)は位相周波数検出器102のDEC_PREパルス20出力を表し、DWNパルス22(矢印502)はパルスリミッタ104からの切り捨てられた出力を表す。位相周波数検出器102からの1ナノ秒のDEC_PREパルス20はパルスリミッタ104に送信され、その結果生じるDWNパルス22(矢印502)は50ナノ秒に減少する。また、40ピコ秒の位相周波数検出器102の最小パルス幅は、そのまま(例えば、40ピコ秒など)位相ロックループ100を通って伝搬されてもよいことに注意されたい。このような方法でDEC_PREパルス20およびUP_PREパルス19をパルスリミッタ104で切り捨てることにより、電圧制御発振器110の制御電圧シフトが27mV(例えば、桁数など)小さくなり、帰還クロック14周波数の7khz、または0.007%の変化(例えば、何桁も小さい変化)が例示的に小さくなる可能性がある。
【0049】
図7は、1つ以上の実施形態による、位相ロックループパルス切り捨て方法600を図示しているブロック図である。方法600は、パルスリミッタ104を含む位相ロックループ100によって利用されてもよく、ブロック602で開始してもよい。方法600は、位相周波数検出器102がUP_PREパルス19もしくはDWN_PREパルス20またはその両方を生成してパルスリミッタ104に送信し、パルスリミッタ104が送信されたUP_PREパルス19もしくは送信されたDWN_PREパルス20またはその両方を受信する(ブロック604)ことで継続してもよい。
【0050】
方法600は、切り捨てが有効であるかどうかを判定すること(ブロック606)で継続してもよい。たとえば、イネーブル信号31が、切り捨てが有効であることを示すことにより、切り捨てが有効になる場合がある。イネーブル信号31は、PLL100がロック状態に収束しているときには切り捨てが無効であり、PLL100がロックされているときには有効であることを示す場合がある。
【0051】
方法600は、切り捨てが無効である場合(ブロック608)、パルスリミッタ104が、受信したUP_PREパルス19もしくは受信したDWN_PREパルス20またはその両方をチャージポンプ106に送信することで継続してもよい。あるいは、切り捨てが有効である場合、方法600は、受信されたUP_PREパルス19の幅もしくは受信されたDWN_PREパルス20の幅またはその両方が、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えたものよりも大きいかどうかをパルスリミッタ104が判定することで継続してもよい(ブロック612)。事前に指定された遅延期間は、遅延選択信号32に関連する単一ブロック260または一連の遅延素子の1つ以上の遅延バッファ280の中で選択される特定の遅延バッファに関連してもよい。
【0052】
受信したUP_PREパルス19の幅もしくは受信したDWN_PREパルス20の幅またはその両方が、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えた値以下である場合、方法600は、ブロック608に戻って継続してもよい。あるいは、受信したUP_PREパルス19の幅もしくは受信したDWN_PREパルス20の幅またはその両方が、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えたものよりも大きい場合、方法600は、受信したUP_PREパルス19の幅もしくは受信したDWN_PREパルスの幅またはその両方を、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えたものの幅に切り捨てるか、またはそれに関連する幅に切り捨て、それによって、切り捨てられたUPパルス21もしくは切り捨てられたDWNパルス22またはその両方をそれぞれ生成することで継続してもよい(ブロック614)。方法600は、パルスリミッタ104が、切り捨てられたUPパルス21もしくは切り捨てられたDWNパルス22またはその両方をチャージポンプ106に送信することで継続してもよく(ブロック616)、ブロック618で終了してもよい。
【0053】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品が実行可能な実装の構成、機能、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表してよい。いくつかの代替の実施形態では、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序とは異なる場合がある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されるか、またはブロックは、関係する機能に応じて逆の順序で実行される場合がある。
【0054】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものではなく、開示される実施形態に限定されることを意図するものでもない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者が本明細書に記載の実施形態を理解できるようにするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスリミッタ回路によって、遅延期間を示す遅延バッファ選択を受信することと、
前記パルスリミッタ回路によって、位相周波数検出器からのパルスを受信することと、
前記パルスリミッタ回路によって、前記受信されたパルスの幅が前記位相周波数検出器の最小パルス幅に前記遅延期間を加えたものよりも大きいかどうかを判定することと、
前記パルスリミッタ回路によって、前記パルスを切り捨てることと、
前記パルスリミッタ回路によって、前記切り捨てられたパルスをチャージポンプに送信することと、
を含む、
位相ロックループパルス切り捨て方法。
【請求項2】
前記遅延バッファ選択は、単一の一連の遅延バッファの中から遅延バッファを選択する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単一の一連の遅延バッファは、複数の選択不可能な遅延バッファと複数の選択可能な遅延バッファとを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単一の一連の遅延バッファのそれぞれの前記遅延バッファは電気的に直列に接続されている、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
XORゲートが、前記単一の一連の遅延バッファの第1の選択不可能な遅延バッファに直列に電気的に接続されている、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パルスリミッタ回路によって、切り捨てがイネーブルかどうか、および前記位相ロックループがロックされているかどうかを判定することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
クロックパルスを生成し、クロックパルスをパルスリミッタに送信するように適合される位相周波数検出器を含み、
前記パルスリミッタは、前記クロックパルスが前記位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいことを示す第1の信号を生成するように適合され、前記パルスリミッタ内の複数のバッファのうちの1つのバッファを選択するパルスリミッタバッファ選択信号を受信するように適合され、切り捨てられたパルス幅を、前記位相周波数検出器の前記最小パルス幅に前記パルスリミッタバッファ選択信号に関連する遅延期間を加えたものとして示す第2の信号を生成するように適合され、前記クロックパルスを前記切り捨てられたパルス幅に切り捨てるように適合され、前記切り捨てられたクロックパルスをチャージポンプに送信するようにさらに適合される、
位相ロックループ。
【請求項8】
前記複数のバッファは電気的に直列に接続されている、
請求項7に記載の位相ロックループ。
【請求項9】
前記複数のバッファは、複数の選択不可能なバッファと複数の選択可能なバッファを含む、
請求項8に記載の位相ロックループ。
【請求項10】
前記パルスリミッタは、第1の選択不可能なバッファと電気的に直列に接続されたXORゲートを含む、
請求項9に記載の位相ロックループ。
【請求項11】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたクロックパルスが、切り捨てられたUPクロックパルスであることを示す、UP切り捨て信号を判定して格納する第1のラッチ
をさらに含む、
請求項10に記載の位相ロックループ。
【請求項12】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたクロックパルスが、切り捨てられたDWMクロックパルスであることを示すDWM切り捨て信号を判定して格納する第2のラッチ
を含む、
請求項11に記載の位相ロックループ。
【請求項13】
位相周波数検出器からUP_PREクロックパルスを受信する第1の遅延素子と、前記位相周波数検出器からDWN_PREクロックパルスを受信する第2の遅延素子と、
前記UP_PREクロックパルスと前記DWN_PREクロックパルスを受信し、前記UP_PREクロックパルスまたは前記DWN_PREクロックパルスが前記位相周波数検出器の最小パルス幅よりも大きいかどうかを示すXOR出力を生成するXORゲートと、
前記XORゲートに電気的に直列に接続された複数の遅延バッファと、
切り捨てられたパルス幅を、前記位相周波数検出器の前記最小パルス幅に前記複数の遅延バッファのうちの1つを識別する遅延バッファ選択信号に関連付けられた遅延期間を加えたものとして示す遅延段階信号を出力するマルチプレクサと、
前記第1の遅延素子に電気的に接続され、前記切り捨てられたパルス幅を含む切り捨てられたUPクロックパルスをチャージポンプに出力する第1のANDゲートと、
前記第2の遅延素子に電気的に接続され、前記切り捨てられたパルス幅を含む切り捨てられたDWNクロックパルスを前記チャージポンプに出力する第2のANDゲートと、
を含む、
位相ロックループ。
【請求項14】
前記遅延段階信号を受信し、前記XOR出力を受信し、切り捨てイネーブル信号を受信し、前記第1のANDゲートおよび前記第2のANDゲートに送信されるNAND出力を生成する、NANDゲートをさらに含む、
請求項13に記載の位相ロックループ。
【請求項15】
前記複数の遅延バッファは、前記遅延バッファ選択信号によって選択不可能な複数の選択不可能な遅延バッファと、前記遅延バッファ選択信号によって選択可能な複数の選択可能な遅延バッファとを含む、
請求項14に記載の位相ロックループ。
【請求項16】
前記XORゲートは、第1の選択不可能なバッファに電気的に直列に接続されている、
請求項15に記載の位相ロックループ。
【請求項17】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたUPクロックパルスを前記チャージポンプに出力する前記第1のANDゲートによって、前記UP_PREクロックパルスが切り捨てられたことを示すUP切り捨て信号を判定して格納する第1のラッチをさらに含む、
請求項16に記載の位相ロックループ。
【請求項18】
前記パルスリミッタは、
前記切り捨てられたDWNクロックパルスを前記チャージポンプに出力する前記第2のANDゲートによって、前記DWN_PREクロックパルスが切り捨てられたことを示すDWN切り捨て信号を判定して格納する第2のラッチを含む、
請求項17に記載の位相ロックループ。
【請求項19】
前記第1のラッチは、前記UP_PREクロックパルスを受信し、前記NAND出力の論理反転を受信し、前記切り捨てイネーブル信号の論理反転を受信する、
請求項18に記載の位相ロックループ。
【請求項20】
前記第2のラッチは、前記DWN_PREクロックパルスを受信し、前記NAND出力の前記論理反転を受信し、前記切り捨てイネーブル信号の前記論理反転を受信する、
請求項19に記載の位相ロックループ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
受信したUP_PREパルス19の幅もしくは受信したDWN_PREパルス20の幅またはその両方が、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えた値以下である場合、方法600は、ブロック608に戻って継続してもよい。あるいは、受信したUP_PREパルス19の幅もしくは受信したDWN_PREパルス20の幅またはその両方が、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えたものよりも大きい場合、方法600は、受信したUP_PREパルス19の幅もしくは受信したDWN_PREパルス20の幅またはその両方を、事前に指定された遅延期間に位相周波数検出器102の最小パルス幅を加えたものの幅に切り捨てるか、またはそれに関連する幅に切り捨て、それによって、切り捨てられたUPパルス21もしくは切り捨てられたDWNパルス22またはその両方をそれぞれ生成することで継続してもよい(ブロック614)。方法600は、パルスリミッタ104が、切り捨てられたUPパルス21もしくは切り捨てられたDWNパルス22またはその両方をチャージポンプ106に送信することで継続してもよく(ブロック616)、ブロック618で終了してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】