(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】軟骨保護栄養補助食品組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/17 20160101AFI20241018BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20241018BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241018BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241018BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241018BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241018BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241018BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20241018BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20241018BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20241018BHJP
A61K 33/10 20060101ALI20241018BHJP
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A23K 20/147 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
A23L33/17
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A61P19/08
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A61K9/20
A61K9/48
A61K9/10
A61K9/107
A23K20/147
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522648
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022047076
(87)【国際公開番号】W WO2023069475
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522346729
【氏名又は名称】ロンザ・グリーンウッド・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ジュツル,ビジャヤ
(72)【発明者】
【氏名】サイード,ザイヌラベディン
(72)【発明者】
【氏名】ダーキー,シェーン
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA06
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2B150DC23
4B018LB08
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(57)【要約】
哺乳動物の骨格構造におけるカルシウムの吸収及び保持を増加させることができる軟骨保護栄養補助食品組成物及び方法が開示される。この軟骨保護栄養補助食品組成物は、コラーゲンを含有する。カルシウム摂取量の改善に加えて、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、様々な他の骨の健康マーカーを改善することができる。組成物は、骨疾患を予防し、及び/又は骨の病気を治療するためのサプリメントの形態で使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物におけるカルシウム吸収を増加させるための方法であって、前記哺乳動物がカルシウムを含む食事を摂取しており、前記方法が、
前記哺乳動物においてカルシウム吸収を増加させるのに十分な治療有効量の軟骨保護栄養補助食品組成物を前記哺乳動物に投与することを含み、前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、コラーゲンを含む、方法。
【請求項2】
前記哺乳動物が、カルシウム欠乏症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記哺乳動物が、健康であるか、関節損傷若しくは骨格疾患に罹患しているか、又は骨発達の成長段階にある健康な若年成人である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記哺乳動物が、閉経後のメスである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、骨疾患、関節疾患、又は糖尿病、心臓代謝症候群、炎症性及び免疫性の疾患状態若しくはそれらに関連する任意の慢性疾患状態を含む併存疾患を治療するためのものである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記哺乳動物における治療目的又は薬学的目的のための栄養上の必要性又は要件を満たすものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記軟骨保護栄養補助食品組成物を投与する前の前記哺乳動物と比較して、前記哺乳動物における骨塩密度を、例えば、約4%超増加させるのに十分な量で前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記軟骨保護栄養補助食品組成物の投与前の前記哺乳動物と比較して、前記哺乳動物におけるカルシウムのパーセント吸収率を、例えば、約1%超、例えば、約5%超、例えば、約10%超、例えば、約15%超増加させるのに十分な量で前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記軟骨保護栄養補助食品組成物の投与前の前記哺乳動物と比較して、前記哺乳動物におけるカルシウムのパーセント保持率を、例えば約15%超増加させるのに十分な量で前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記哺乳動物における大腿骨乾燥重量を増加させるのに十分な量で前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記軟骨保護栄養補助食品組成物の投与前の前記哺乳動物と比較して、前記哺乳動物におけるオステオカルシンを、例えば約10%超増加させるのに十分な量で前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記軟骨保護栄養補助食品組成物の投与前の前記哺乳動物と比較して、前記哺乳動物における骨形成タンパク質2を、例えば、約30%超増加させるのに十分な量で前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コラーゲンが、非変性II型コラーゲンを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コラーゲンが、鶏、魚、ウシ又はブタの軟骨から得られる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳動物が、ヒトである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、少なくとも週に1回、例えば、少なくとも3日ごと、例えば、少なくとも毎日前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記哺乳動物の血液中にあるカルシウムの量に基づいて前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記コラーゲンが、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、又はV型コラーゲンを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、1用量当たり少なくとも約10mgのコラーゲン、例えば1用量当たり少なくとも約20mgのコラーゲン、例えば1用量当たり少なくとも約40mgのコラーゲン、例えば1用量当たり少なくとも約60mgのコラーゲン、例えば1用量当たり少なくとも約80mgのコラーゲン、及び1用量当たり約3,000mg未満のコラーゲン、例えば1用量当たり約1,000mg未満のコラーゲン、例えば1用量当たり約500mg未満のコラーゲン、例えば1用量当たり約350mg未満のコラーゲンのコラーゲン用量レベルで前記哺乳動物に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、前記哺乳動物にカルシウムサプリメントと併用して投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記カルシウムサプリメントが、前記軟骨保護栄養補助食品組成物内に含まれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記軟骨保護栄養補助食品組成物が、抗酸化剤、抗炎症剤、又はそれらの混合物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記哺乳動物の前記食事が、カルシウム欠乏である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物における骨の健康を改善するための軟骨保護サプリメントであって、
骨健康添加物と、
前記骨健康添加物のための骨健康補助剤であって、前記骨健康補助剤が、コラーゲンを含み、前記コラーゲンが、前記骨健康添加物の哺乳動物の骨への吸収を増加させるのに十分な治療有効量で前記軟骨保護サプリメント中に存在する、骨健康補助剤と、を含む、軟骨保護サプリメント。
【請求項25】
前記骨健康添加物が、カルシウムを含み、カルシウムが、前記サプリメント中に、約250mg~約2,500mgの量で存在する、請求項24に記載の軟骨保護サプリメント。
【請求項26】
前記骨健康添加物が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、又はそれらの混合物を含む、請求項25に記載の軟骨保護サプリメント。
【請求項27】
前記コラーゲンが、前記サプリメント中に、約10mg超の量、例えば、約40mg超の量、例えば、約60超の量、例えば、約80mg超の量、例えば、約100mg超の量、例えば、約120mg超の量、例えば、約200mg超の量、かつ約500mg未満の量で存在する、請求項24~26のいずれか一項に記載の軟骨保護サプリメント。
【請求項28】
前記骨健康補助剤が、前記哺乳動物におけるオステオカルシン及び/又は前記哺乳動物における骨形成タンパク質2を増加させるのに十分な量で前記サプリメントに存在する、請求項24~27のいずれか一項に記載の軟骨保護サプリメント。
【請求項29】
前記サプリメントが、錠剤、カプセル、懸濁液、又はエマルションの形態にある、請求項24~28のいずれか一項に記載の軟骨保護サプリメント。
【請求項30】
前記骨健康補助剤が、前記哺乳動物における前記骨健康添加物のパーセント吸収率又はパーセント保持率を増加させるのに十分な量で前記サプリメント中に存在する、請求項24~29のいずれか一項に記載の軟骨保護サプリメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月19日に出願された米国仮特許出願第63/257,170号の利益に対する優先権を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の骨格は、支持を提供し、歩行、座位、及び屈曲を可能にし、また脳及び体内に収容される様々な器官を保護する。骨の健康状態が悪化すると、イヌ、家畜、及びヒトを含む全ての異なるタイプの哺乳動物に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、骨の健康状態の悪化は、骨折又は破損を引き起こす骨にストレスがかかるまで、個体が通常、問題に気づかないという点で検出することが困難であり得る。特に哺乳動物が老化するにつれて、骨は体が修復することができるよりも早くすり減る可能性があり、その結果、その状態が怪我を引き起こすまで全く認知される副次的影響がなく起こり得る脆弱な骨構造につながる可能性がある。
【0003】
例えば、人間は50歳に達した後、毎年最大2%の骨密度を失う可能性がある。骨密度の低下は、骨粗鬆症を引き起こす可能性がある。骨粗鬆症は、骨量の低下及び骨格構造の微細構造的劣化を特徴とする身体障害性疾患であり、骨強度の低下につながり、ヒトなどの哺乳動物の脆弱性骨折のリスク増加の素因である。骨粗鬆症は、米国、ヨーロッパ、日本だけで7,000万を超える人々に影響を及ぼし、毎年数百万人の患者が骨折している。骨粗鬆症は、全ての閉経後女性の25%超に影響を及ぼす可能性があり、人口が高齢化するにつれて増加する。例えば、50歳を超える全ての女性の30%超が骨粗鬆症性骨折を有することになる。高齢の男性も同様に骨粗鬆症の影響を受け、何度もの股関節骨折につながる可能性がある。
【0004】
骨粗鬆症は、体内の代謝変化と骨の健康栄養素が低い食事と組み合わせなど、様々な異なる要因によって引き起こされ得る。骨粗鬆症はまた、薬物療法の結果として、又は疾患にかかる副次的影響として発生する可能性がある。実際、新型コロナウイルスのパンデミックによる骨の健康への長期的な影響はまだ分かっていない。
【0005】
生涯を通じて、骨は、破骨細胞によって行われる古い骨の吸収(異化プロセス)及び骨芽細胞によって行われる新しい骨の堆積(同化プロセス)によって継続的に再構築される。骨のリモデリングはランダムなプロセスではなく、そこで吸収及び形成が連動している、骨芽細胞、破骨細胞、及びそれらの前駆体を含むリモデリング単位である局所的骨多細胞単位(BMU)で行われる。骨吸収は、局所的な機械的ストレスシグナルに応答して起こる最初の事象である可能性が高い。骨粗鬆症に見られる骨密度の低下は、吸収と形成の間の不均衡に起因し、吸収の速度は、形成の速度を上回る。骨粗鬆症は、複数の発症のメカニズムが集中して骨量の低下及び骨格構造の微細構造的劣化を引き起こす連続的なものを表す。骨粗鬆症は、骨細胞機能の局所的及び全身的調節因子間の複雑な相互作用によって引き起こされる可能性が高い。骨粗鬆症の不均一性は、全身及び局所的な調節因子の産生の違いだけでなく、受容体、シグナル伝達機構、核転写因子、並びに局所的な調節因子を産生又は不活性化する酵素の変化にも起因する可能性がある。
【0006】
骨の強度は、骨密度と骨の質という2つの主な特徴の統合を反映している。骨密度は、面積又は体積当たりのミネラルのグラムとして表され、任意の所与の個体において、到達したピーク骨量及びその後の骨損失量によって決定される。骨の質とは、構造、代謝回転、損傷の蓄積(すなわち、微小骨折)及び石灰化を指す。骨密度の低い骨粗鬆症の骨に外傷が加えられると、骨折が頻繁に発生する。したがって、骨粗鬆症は、骨折の重大なリスク因子である。
【0007】
上記に示されるように、骨粗鬆症の診断は困難であり得る。典型的には、骨粗鬆症は、骨塩密度検査によって検出される。しかしながら、罹患した患者の大部分は、何らかの骨折が発生するまで、低い骨密度を有するか、又はリスクにあることを認識していない。
【0008】
上記を考慮すると、骨粗鬆症などの骨疾患の発症を予防するための方法及びサプリメントに対する当該技術分野での必要性が依然として存在する。別の態様では、哺乳動物の骨格系に関連する腱及び靭帯の健康を含む骨及び関節の健康を改善することができる方法及びサプリメントに対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【0009】
一般に、本開示は、関連する腱及び靭帯を含む哺乳動物の骨格系への少なくとも1つの骨健康添加物の吸収を増加させることができる軟骨保護栄養補助食品組成物に関する。哺乳動物は、限定されるものではなく、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどであり得る。本開示はまた、治療有効量及び/又は栄養有効量の軟骨保護栄養補助食品組成物を哺乳動物に投与することによって、哺乳動物の骨、腱、及び靭帯への少なくとも栄養素、例えば骨健康添加物の吸収を増加させるための方法を対象とする。骨健康添加物は、哺乳動物の食事中に既に存在してもよく、及び/又は軟骨保護栄養補助食品組成物と併せて添加されてもよい。本開示によれば、軟骨保護栄養補助食品組成物は、少なくとも1つのコラーゲン源を含有する。
【0010】
例えば、一実施形態では、本開示は、哺乳動物におけるカルシウム吸収を増加させるための方法を対象とする。哺乳動物は、カルシウムを含む食事を摂食することができる。方法は、哺乳動物におけるカルシウム吸収を増加させるのに十分な治療有効量の軟骨保護栄養補助食品組成物を哺乳動物に投与することを含む。軟骨保護栄養補助食品組成物は、II型コラーゲンを含み得る。
【0011】
軟骨保護栄養補助食品組成物は、様々な骨の健康パラメータを増加又は改善するために、哺乳動物に投与することができる。例えば、軟骨保護栄養補助食品組成物は、哺乳動物の食事に含まれるカルシウムのパーセント吸収率及び/又はパーセント保持率を増加させるのに十分な量で哺乳動物に投与することができる。カルシウムに加えて、軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、ビタミンD、ビタミンK2、マグネシウム、ハーブなどを含む様々な栄養素の摂取量を増加させることができる。軟骨保護栄養補助食品組成物は、乾燥大腿骨重量などの骨重量を増加させるのに十分な量で哺乳動物に投与することもできる。軟骨保護栄養補助食品組成物は、オステオカルシンの増加などの様々な骨の健康マーカーを増加させるのに十分な量で哺乳動物に投与することもできる。別の態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、骨形成タンパク質2を増加させるのに十分な量で哺乳動物に投与することができる。
【0012】
組成物は、1型、II型又はIII型コラーゲンを含む任意の好適なコラーゲン源を含有することができる。一実施形態において、コラーゲンは、非変性II型コラーゲンを含むことができる。コラーゲンは、鶏胸骨軟骨などの鶏軟骨から得ることができる。
【0013】
軟骨保護栄養補助食品組成物は、少なくとも週に1回、例えば少なくとも3日ごとに哺乳動物に投与することができる。一実施形態では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、哺乳動物に毎日投与することができる。軟骨保護栄養補助食品組成物は、II型コラーゲンなどのコラーゲンを、約10mg~約3,000mgのコラーゲンの用量レベルで含有することができる。カプセル、錠剤、懸濁液等を含む任意の好適な送達形態を使用することができる。
【0014】
一実施形態において、本開示の方法は、哺乳動物にカルシウムサプリメントを投与するステップを更に含む。カルシウムサプリメントは、例えば、軟骨保護栄養補助食品組成物内に含有することができ、又は哺乳動物に別々に投与することができる。
【0015】
一実施形態において、本方法は、食事にカルシウムが欠乏している哺乳動物に投与される。
【0016】
本開示はまた、関連する軟骨、腱及び靭帯を改善することを含む、哺乳動物の骨の健康を改善するための軟骨保護サプリメントを対象とする。軟骨保護サプリメントは、骨健康補助剤と組み合わせた骨健康添加物を含む。骨健康補助剤は、非変性II型コラーゲンなどのII型コラーゲンを含む。骨健康補助剤は、哺乳動物の骨格構造又は骨への、骨健康添加物の吸収を増加させるのに十分な治療有効量でサプリメントに存在する。
【0017】
一実施形態では、骨健康添加物は、カルシウムを含む。カルシウムは、例えば、約250mg~約2,500mgの量で、軟骨保護サプリメント中に存在し得る。カルシウムは、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトカルシウム、又はそれらの混合物などの任意の好適な形態であり得る。
【0018】
コラーゲンは、約20mg超の量、例えば約30mg超の量、例えば約40mg超の量、例えば約80mg超の量、例えば約100mg超の量で、かつ約1000mg未満の量、例えば約350mg未満の量で、軟骨保護サプリメント中に存在し得る。
【0019】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【0020】
当業者を対象とした、本発明のその最良のモードを含む、本発明の完全かつ実現可能な開示は、添付の図を参照する本明細書の残りの部分でより具体的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図2】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図3】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図4】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図5】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図6】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図7】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図8】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図9】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図10】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図11】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図12】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図13】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【
図14】以下に説明する実施例で得られた結果の一部を例解するグラフである。
【0022】
本明細書及び図面における参照文字の反復使用は、本発明の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【0023】
定義
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、又は「一般的に」という用語は、値を修飾するために使用されるとき、その値は、一態様では10%、例えば一態様では8%、例えば5%、例えば4%、例えば3%、例えば2%、例えば1%増減することができ、開示される態様の範囲内に留まることができることを示す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」及び/又は「栄養補助有効量」という用語は、そのような治療を必要とする哺乳動物に組成物が投与又は送達される、特定の薬理学的若しくは栄養学的反応を提供する、組成物のその投薬量又は量を意味するものとする。特定の事例で特定の対象に投与される「有効量」は、そのような投薬量が、当業者によって「有効量」であるとみなされるとしても、本明細書に記載されるように病気を治療するか、又はその他の健康を改善する上で必ずしも有効ではないことが強調される。特定の対象は、実際には、「有効量」に対して「難治性」であり得る。例えば、難治性対象は、特定の受容体、代謝経路、又は臨床的有効性が得られないような応答能力において、低い生物学的利用能又は遺伝的変動を有し得る。特定の場合、組成物又はサプリメントは、経口投与量として、又は血液中で測定され得る成分レベルに関して測定され得ることを更に理解されたい。他の実施形態では、投与量は、組成物が局所製剤と共に含まれる場合、皮膚に塗布される量で測定することができる。
【0025】
「サプリメント」という用語は、哺乳動物の通常の食事に加えて生成物を意味するが、哺乳動物の通常の食物又は飲料組成物と組み合わされてもよい。サプリメントは、固体、液体、ゲル、カプセル、錠剤又は粉末に限定されないが、任意の形態であってもよい。サプリメントはまた、食品、飲料、ペットフード、軽食、若しくはおやつを含み得る食品組成物の構成成分と共に、又は構成成分として同時に投与されてもよい。一実施形態では、飲料は、アクティビティドリンクであり得る。
【0026】
「栄養機能食品」という用語は、その基本的な栄養価に加えて、健康又は医療上の利益を提供する栄養源(例えば、食品、飲料、又は栄養補助食品)に添加される任意の化合物を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「送達すること」又は「投与すること」という用語は、医学界により標準として受け入れられているように、組成物、製品、又は栄養機能食品を対象に提供するための任意の経路を指す。例えば、本開示は、経口摂取と、経皮、静脈内、腹腔内、筋肉内、局所及び皮下を含む任意の他の好適な送達経路とを、含む、送達又は投与の経路を企図する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、改善された関節の健康、回復力、及び回復から利益を得ることができる任意の哺乳動物を含み、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒト、又はブタ哺乳動物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「健常な」とは、疾患又は傷害の不在を指す。
【0030】
別段の記載がない限り、本明細書で使用される場合、「コラーゲン」は、変性の有無にかかわらず、塩又は安定剤の有無にかかわらず、全ての形態のコラーゲン、並びに短鎖コラーゲン(一般的にはVII型及びX型)、基底膜(IV型)、Multiplexin(中断を伴う複数の三重らせんドメイン)(XV型、XVIII型)、及び他のタイプのコラーゲン(VI型、VII型)を含む、中断された三重らせん(FACIT、IX型、XII型、XIV型、XIX型、XXI型)を伴う原線維関連コラーゲンに限定されない原線維及び非原線維型コラーゲンを指す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
当業者であれば、本考察は、例示的な実施形態の説明に過ぎず、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことが、理解されるべきである。
【0032】
一般に、本開示は、骨格系に関連する軟骨、腱及び靭帯の健康を改善することを含む、骨の健康を改善するための軟骨保護栄養補助食品組成物に関する。本開示はまた、軟骨保護栄養補助食品組成物を哺乳動物に投与する方法を対象とする。一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、サプリメントの形態で哺乳動物に経口投与することができる。軟骨保護栄養補助食品組成物は、一実施形態では、哺乳動物の骨格系への1つ以上の骨健康添加物の吸収を増加させるのに十分な量で哺乳動物に投与される。治療有効量で哺乳動物に投与する場合、例えば、哺乳動物は、体重の増加、カルシウムなどの1つ以上の骨健康添加物の保持の増加、乾燥大腿骨重量などの乾燥骨重量の増加などを経験し得る。本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、骨塩密度を増加させ、骨塩量を増加させ、及び/又は骨中のカルシウムの量を増加させることができる。
【0033】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、健康な哺乳動物及び骨格系の根本的な損傷又は病気を有し得る哺乳動物に投与することができる。加えて、軟骨保護栄養補助食品組成物は、骨発達の成長段階にある健康な若年成人(例えば、哺乳動物又はヒト)に投与されることに特によく適している。全体として、軟骨保護栄養補助食品組成物は、1つ以上の骨健康添加物の吸収及び保持を強化することができる。組成物はまた、生物活性添加物又は骨健康添加物の活性を増強し得る。軟骨保護栄養補助食品組成物は、単独で、又は任意のミネラル若しくはビタミンと組み合わせて、骨発達の成長段階にある哺乳動物を含む、健康な哺乳動物集団及び病気の哺乳動物集団において、これら全ての転帰を増強することができる。本開示に従って治療又は予防され得る状態には、骨粗鬆症、任意の他の骨疾患、関節疾患、骨及び関節における炎症性疾患状態、糖尿病、心臓代謝症候群、及び/又は任意の他の慢性疾患などの併存疾患が含まれる。
【0034】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、治療有効量で哺乳動物に投与される場合、様々な異なる骨マーカーに正の影響を与えることもできる。例えば、哺乳動物は、オステオカルシンの増加及び副甲状腺ホルモンの減少を経験し得る。哺乳動物はまた、オステオプロテゲリンの増加、骨形成を促進するRANKの増加、及び骨吸収を調節するRANK-Lの減少を経験し得る。哺乳動物はまた、軟骨細胞で発現される軟骨形成分化のためのSOX-9の減少を経験し得る。哺乳動物はまた、骨塩密度と相関するIGF-1の増加、及び骨芽細胞分化において役割を果たす骨形態形成タンパク質2の増加を経験し得る。
【0035】
本開示によれば、軟骨保護栄養補助食品組成物は、単独で、又は他の骨健康添加物と組み合わせてコラーゲンを含む。コラーゲンが様々な濃度で関節の健康を改善することが見出されているが、コラーゲンが1つ以上の骨健康補助剤と組み合わせたときに、骨の健康の改善に劇的かつ相乗的な影響を及ぼすことができることは全く予想外であった。1つ以上の骨健康添加物は、組成物中に存在し得るか、哺乳動物の食事中に存在し得るか、又は両方に存在し得る。
【0036】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、様々な異なる骨疾患又は状態を予防又は治療するために使用することができる。例えば、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、骨粗鬆症、骨減少症、骨折(労役動物、馬、運動選手などのヒトを含む)などを発症する素因又はリスクにある哺乳動物に投与されることに特によく適している。この組成物はまた、骨発達の成長期にある健康な哺乳動物又はヒトに投与されるのにもよく適している。本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、上記の骨の病気のいずれかを有する哺乳動物の治療にもよく適している。例えば、組成物は、骨粗鬆症又は骨減少症の進行を遅延又は停止するか、又はそれらの発症を実質的に遅延又は防止するために使用することができる。
【0037】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、一般に、コラーゲン源であって、単独で、又は1つ以上の骨健康添加物と組み合わせてコラーゲンを含有するコラーゲン源を含有する。一実施形態では、例えば、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、任意の他の骨健康添加物を含有しない。その代わりに、組成物中に含まれるコラーゲンは、哺乳動物の骨格系への骨健康添加物の吸収を増加させるために、カルシウムなどの哺乳動物の食事中に含有される骨健康添加物と相乗的に組み合わされる。このようにして、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、哺乳動物の食事に既に含まれる様々な添加物の活性を高めることができる。例えば、哺乳動物は、カルシウムなどの1つ以上の骨健康添加物が不足している食事を有し得る。本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、追加の量の添加物が哺乳動物の食事に必要とされないように、哺乳動物への骨健康添加物の吸収を最適化及び最大化することができる。
【0038】
代替的に、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、1つ以上の骨健康添加物との組み合わせでコラーゲンを含んでもよい。上記のように、組成物に組み込んでもよい1つの骨健康添加物は、カルシウムを含有する添加物であってもよい。カルシウム添加物は、例えば、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトカルシウム、又はそれらの混合物などの任意の好適なカルシウム塩であり得る。
【0039】
組成物中に存在し得る他の骨健康添加物としては、ビタミンD3及び/若しくはビタミンK2などのビタミン、並びに1つ以上のミネラルを単独で、又は1つ以上のビタミンと組み合わせて含む。一態様において、骨健康組成物は、cissus quadrangularisを含む植物抽出物であり得る。
【0040】
他の実施形態では、コラーゲンは、骨吸収抑制剤、タンパク質同化剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、変形性関節症を治療するための任意の薬物、又はそれらの組み合わせと組み合わせることができる。そのような薬剤には、ビスホスホネート、デノスマブ、エストロゲン、カルシトニン、ロモソズマブ、テリパラチド、又はそれらの組み合わせが含まれる。存在する可能性があるビスホスホネートとしては、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、マグネシウム源、マンガン源などの様々な他のミネラル及び栄養素を含有することができる。
【0042】
軟骨保護栄養補助食品組成物が治療有効量で哺乳動物に投与されると、哺乳動物に存在する骨健康添加物と相乗的に組み合わせることによって、哺乳動物の骨の健康を劇的かつ予期せずに改善することができる。特に有利なことに、哺乳動物の骨塩密度を増加させることができる。例えば、12週間などの一定の期間後、哺乳動物の骨塩密度は、少なくとも約4%、例えば、少なくとも8%、例えば、少なくとも12%、例えば、少なくとも18%、例えば、少なくとも22%、例えば、少なくとも26%、例えば、少なくとも31%、例えば、少なくとも35%、かつ一般的には、約100%未満、例えば、約80%未満(mg/cm2)増加する可能性がある。同様に、哺乳動物の骨塩量は、少なくとも約8%、例えば少なくとも約15%、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約25%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約35%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約45%、かつ一般的には約110%未満増加する可能性がある。オステオカルシンは、例えば12週間などの同様の期間にわたって、約10%超、例えば約15%超、例えば約25%超、例えば約35%超、例えば約45%超、例えば約55%超、例えば約65%超、例えば約75%超、例えば約85%超、かつ一般的には約200%未満増加する可能性がある。他方では、副甲状腺ホルモン(PTH)は、軟骨保護栄養補助食品組成物の投与中に減少する可能性がある。例えば、PTHは、約5%超、例えば約15%超、例えば約25%超、例えば約35%超、例えば約45%超減少する可能性がある。上記のパーセンテージは、治療を受ける前の哺乳動物と比較することができるか、又は軟骨保護栄養補助食品組成物を投与されていない同じ哺乳動物又は同じ哺乳動物の群と比較することができる。
【0043】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物を投与した哺乳動物は、コラーゲン源をカルシウムと組み合わせて哺乳動物に投与した場合、カルシウムが哺乳動物の通常の食事の一部であるか、哺乳動物に投与した組成物に含まれるか、又はその両方であるかにかかわらず、カルシウム吸収率及びカルシウム保持率の顕著な増加を示すことが見出されている。カルシウムなどのミネラルの吸収量は、次の式によって計算される。
吸収量(mg/日又はμg/日)=摂取量-糞便中排泄量
吸収率(%)=吸収量/摂取量×100
ミネラルの保持量は、以下のように計算される:
保持量(mg/日又はμg/日)=吸収量-尿中排泄量
保持率(%)=保持量/摂取量×100
【0044】
軟骨保護栄養補助食品組成物をカルシウムと組み合わせて治療有効量で哺乳動物に投与すると、カルシウム吸収率及びカルシウム保持率は、治療前の同じ哺乳動物に対して、又は軟骨保護栄養補助食品組成物を投与しない哺乳動物若しくは哺乳動物群に対して、約15%超、例えば約20%超、例えば約25%超、例えば約30%超、例えば約35%超、例えば約40%超、例えば約45%超、例えば約50%超、例えば約55%超、例えば約60%超、例えば約65%超、例えば約70%超増加することができる。
【0045】
加えて、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物を投与された哺乳動物は、軟骨保護栄養補助食品組成物を投与されていない同じ哺乳動物又は哺乳動物群と比較して、大腿骨乾燥重量の劇的な増加を示し得る。例えば、治療有効量で軟骨保護栄養補助食品組成物を12週間投与した後、大腿骨乾燥重量は、約10%超、例えば、約20%超、例えば、約30%超、例えば、約40%超、例えば、約50%超、かつ一般的には約80%未満、例えば、約70%未満増加し得る。
【0046】
様々な異なる骨マーカー及び/又は遺伝子発現マーカーも、本開示による軟骨保護栄養補助食品組成物の影響を受ける可能性がある。例えば、軟骨保護栄養補助食品組成物を治療有効量で哺乳動物に投与することは、(治療前の同じ哺乳動物に対して、又は軟骨保護栄養補助食品組成物を投与されていない哺乳動物若しくは哺乳動物群に対して)、骨形成を促進するRANKを約50%超の量で、例えば約80%超の量で、例えば約100%超の量で、例えば約120%超の量で、例えば約150%超の量で、かつ一般的には約250%未満の量で増加させることができる。骨吸収のマーカーであるRANK-Lは、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、例えば、少なくとも約30%、例えば、少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%減少する可能性がある。過度の骨吸収から骨格を保護するオステオプロテゲリンは、少なくとも約25%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約75%、例えば、少なくとも約100%、例えば、少なくとも約125%、かつ一般的には約300%未満増加する可能性がある。SOX-9は、性決定領域Yに関連する骨のマーカーである。本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、哺乳動物におけるSOX-9レベルを、例えば約15%超、例えば約20%超、例えば約25%超、例えば約30%超、例えば約40%超、例えば約50%超、例えば更に約55%超で顕著に低下させることができることが発見された。
【0047】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、哺乳動物の体内のインスリン様成長因子1(IGF-1)及び/又は骨形成タンパク質2(BMP2)に劇的な影響を与えることができる。例えば、12週間などの期間にわたって治療有効量の軟骨保護栄養補助食品組成物を哺乳動物に投与することで、軟骨保護栄養補助食品組成物を投与していない同じ哺乳動物と比較して、IGF-1を100%超、例えば約150%超、例えば約200%超、例えば約250%超、かつ一般的に約500%未満増加させることができる。
【0048】
12週間などの期間にわたって、治療有効量の軟骨保護栄養補助食品組成物を哺乳動物に投与することで、軟骨保護栄養補助食品組成物を投与していない同じ哺乳動物と比較して、BMP2を少なくとも約30%超、例えば少なくとも約50%超、例えば少なくとも約75%超、例えば少なくとも約100%超、例えば少なくとも約125%超、例えば少なくとも約150%超、例えば少なくとも約175%超、かつ一般的には約300%未満増加させることができる。
【0049】
軟骨保護栄養補助食品組成物は、1つ以上の任意のコラーゲンを含み得、かつ/あるいは一態様では、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、若しくはコラーゲンペプチドのうちの1つ以上、又はそれらの混合物を含み得る。一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、II型コラーゲンを単独で、又はI型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、若しくはコラーゲンペプチドのうちの1つ以上と組み合わせて含有する。一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、II型コラーゲン(時には天然II型コラーゲンと称される)及び非変性II型コラーゲンの混合物を含んでもよい。追加的又は代替的に、軟骨保護栄養補助食品組成物は、I型、III型、IV型、又はコラーゲンペプチドなどの更なるコラーゲンに加えて、天然II型コラーゲン及び非変性II型コラーゲンの混合物を含んでもよい。更に、一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、全コラーゲンタンパク質、コラーゲンの生物学的に活性なペプチド断片、又はそれらの組み合わせを含む。
【0050】
一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物中の1つ以上のタイプのコラーゲンは、オートクレーブなどによって加熱滅菌されてもよく、並びに/あるいはアルカリ化若しくは酸などの塩、及び/又は有機塩若しくは無機塩を含んでもよい。したがって、一態様では、コラーゲンの一部分は、少なくとも部分的に加水分解されてもよい。一態様では、コラーゲンは、酸塩基剤、酵素、熱又は他の極端な温度、化学物質、UV、塩、又はそれらの組み合わせを含む任意のプロセス又は化合物によって加水分解される。一態様では、加水分解されたコラーゲンは、任意の方法によって少なくとも部分的に加水分解されている非変性コラーゲンであり、一態様では、変性されている任意の部分を有する非変性コラーゲンを含み得る。しかしながら、考察されるように、一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物の少なくとも一部分は非変性である。
【0051】
本開示で使用するためのII型コラーゲンは、任意の好適な供給源から得ることができる。例えば、コラーゲンは、様々な哺乳動物供給源、鳥類供給源に由来し得るか、又は様々な魚種又はそれらの組み合わせに由来し得る。例えば、コラーゲンは、サーモン、サメ、家禽、ブタ、卵殻、シチメンチョウ軟骨、ウシ軟骨などから得ることができる。一実施形態では、例えば、II型コラーゲンは、参照により組み込まれる、Schillingに対する米国特許第7,083,820号に開示されているように得ることができる。例えば、非変性II型コラーゲンは、InterHealth NutraceuticalsからUC-II(登録商標)ブランドとして市販されている。UC-II(登録商標)ブランドは、グリコシル化された非変性II型コラーゲンを含有する天然成分である。軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、加水分解されたコラーゲンを含み得る。軟骨保護栄養補助食品組成物はまた、純粋なタンパク質又は活性ペプチド断片を含み得る。一実施形態では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、任意の骨又は骨材料を含まなくてもよい。他の実施形態では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、あらゆるトランスフォーミング成長因子(TGF)、骨形成タンパク質(BMP)、又はその両方を含まなくてもよい。更に別の実施形態では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、II型コラーゲンを含み、I型コラーゲンを全く含まない。
【0052】
経口投与のための動物組織の調製において、一実施形態では、II型コラーゲン含有組織は、まず、周囲の組織を含まない状態に切開され、小立方体にされるか、又はそれ以外の方法で粒子に粉砕され得る。粒子状の、又は粉砕された軟骨は、低温処理など、組織中のII型コラーゲンの大部分の構造に影響を及ぼさず、又は変性させない手段によって滅菌することができ、治療有効レベルの非変性II型コラーゲンを含む用量に形成することができる。天然物であるため、試料ごとに多少の差異があることが予想される。これらの差異は、粉砕後にブレンドすることによって最小限に抑えることができる。ブレンドは、非変性II型コラーゲン及び他の成分の量の測定を可能にする分析技術によって支援され得る。
【0053】
上で考察されたように粒子を形成し、II型コラーゲンを滅菌することによって、非変性II型コラーゲンは、胃内の胃酸及び消化酵素に対して耐性であり得る。この滅菌プロセスのため、未変性II型コラーゲンもまた、その三次元形状を保持し、生理活性エピトープ領域を保存する。理論に拘束されることを望むものではないが、エピトープ領域は、経口免疫寛容を誘導する能力を含むと考えられている。特にエピトープ領域は、非変性コラーゲンが、経口免疫寛容プロセスを誘導する能力を有するパイエル板に結合することを可能にする。
【0054】
本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物は、個別の投与容器の形態で哺乳動物に経口投与することができる。各用量は、治療される哺乳動物のタイプ、哺乳動物の状態、及び様々な他の要因に基づいて、治療有効量のコラーゲンを含むことができる。一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物の各用量は、少なくとも約10mg、例えば、少なくとも約20mg、例えば、少なくとも約40mg、例えば、少なくとも約60mg、例えば、少なくとも約80mg、例えば、少なくとも約100mg、例えば、少なくとも約150mg、例えば、少なくとも約200mg、例えば、少なくとも約250mg、例えば、少なくとも約300mg、例えば、少なくとも約350mg、例えば、少なくとも約400mg、例えば、少なくとも約500mg、例えば、少なくとも約600mg、例えば、少なくとも約700mg、例えば、少なくとも約800mg、例えば、少なくとも約900mg、例えば、少なくとも約1,000mg、例えば、少なくとも約1,100mg、例えば、少なくとも約1,200mg、例えば、少なくとも約1,300mg、例えば、少なくとも約1,400mg、例えば、少なくとも約1,500mg、例えば、少なくとも約1,600mg、例えば、少なくとも約1,700mg、例えば、少なくとも約1,800mg、例えば、少なくとも約1,900mg、例えば、少なくとも約2,000mgの量のコラーゲンを含有することができる。一般に、軟骨保護栄養補助食品組成物の各用量は、約5,000mg未満、例えば、約3,000mg未満、例えば、約2,000mg未満、例えば、約1,500mg未満の量のコラーゲンを含有することができる。更に、一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、軟骨保護栄養補助食品組成物中のコラーゲンの実質的に全てがII型コラーゲンである、II型軟骨保護栄養補助食品組成物であり得ることを理解されたい。
【0055】
一態様では、サプリメント中に存在するII型軟骨保護栄養補助食品組成物の量は、哺乳動物のタイプ及び/又は健康な哺乳動物の体重に基づく。例えば、コラーゲンは、各用量において、体重1kg当たり約0.2mg超、例えば体重1kg当たり約0.5mg超、例えば体重1kg当たり約1mg超、例えば体重1kg当たり約3mg超、例えば体重1kg当たり約5mg超の量、かつ一般的に体重1kg当たり約10mg未満、例えば体重1kg当たり約3mg未満の量で存在することができる。
【0056】
一態様では、非変性II型コラーゲンは、軟骨保護栄養補助食品組成物中の総II型コラーゲンの全て、又は実質的に全てを形成することができ、したがって、上で考察された量でサプリメント中に存在し得る。しかしながら、一態様では、非変性II型コラーゲンは、総II型コラーゲン及び/又は軟骨保護栄養補助食品組成物の約0.5%~約95%、例えば、総II型コラーゲン又は総軟骨保護栄養補助食品組成物の約1%~約75%、例えば、約1.5%~約50%、例えば、約2%~約40%、約2.5%~約15%、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値を占め得る。
【0057】
一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、塩化カリウムなどの保存剤の塩を更に含み得る。したがって、一態様では、上で考察された軟骨保護栄養補助食品組成物の総量は、II型コラーゲン及び/又は非変性II型コラーゲンを、単独で、又は更なるコラーゲン、保存剤の塩、又はそれらの組み合わせと組み合わせて含み得る。例えば、態様において、天然及び非変性II型コラーゲンを含む総II型コラーゲンは、軟骨保護栄養補助食品組成物の約1%~約99%、例えば、約2.5%~約90%、例えば、約5%~約80%、例えば、約7.5%~約70%、例えば、約10%~約60%、例えば、約15%~約50%、例えば、約20%~約35%、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値を占め得る。
【0058】
一態様では、II型コラーゲンが非変性II型コラーゲンを含む場合、非変性II型コラーゲンは、ORAC6.0に従って測定した場合、大きい酸素ラジカル吸収能(ORAC)を有し得る。特に、ORAC試験は、老化及び一般的な疾患の病因に関与することが知られている酸素ラジカルに対する抗酸化物質消去活性を測定し、一次反応性酸素種、ペルオキシルラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン、及びペルオキシ亜硝酸に対する材料の抗酸化能力を評価する6タイプのORACアッセイから構成される。特に、ORACアッセイは、活性酸素種(ROS)イントロデューサーをアッセイシステムに導入することを含み、ROSイントロデューサーは、プローブを分解し、その発光波長又は強度を変化させる特異的ROSの放出を引き起こす。したがって、試験されるアッセイが抗酸化物質を含む場合、抗酸化物質は、ROSを吸収し、プローブを分解から保護する。プローブ保存の程度は、材料の抗酸化能力を示し、結果は、試験材料のμmolトロロックス当量(TE)/gとして表される。
【0059】
例えば、ペルオキシルラジカルに対するORACアッセイは、2,2′アゾビス(2アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)から生成されるペルオキシルラジカルによる損傷から蛍光タンパク質(フルオレセイン)を保護するための試料の抗酸化能力を測定する。ヒドロキシルラジカルに対するORACアッセイは、コバルトと過酸化水素との反応から生成されるヒドロキシルラジカルによる損傷から蛍光タンパク質(フルオレセイン)を保護するための試料の抗酸化能力を測定する。ペルオキシン亜硝酸に対するORACアッセイは、3-モルホリノシンドノニミン塩酸塩から生成されるペルオキシン亜硝酸ラジカルによる、損傷からジヒドロローダミン-123を保護するために試料の抗酸化能力を測定する。スーパーオキシドに対するORACアッセイは、キサンチンオキシダーゼから生成されるスーパーオキシドによる損傷からヒドロエチジンを保護するために試料の抗酸化能力を測定する。一重項酸素に対するORACアッセイは、モリブデン酸リチウムと過酸化水素との反応から生成される一重項酸素による損傷からヒドロエチジンを保護するための試料の抗酸化能力を測定する。最後に、次亜塩素酸塩に対するORACアッセイは、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸ラジカルによる損傷から蛍光タンパク質フルオレセインを保護するための試料の抗酸化能力を測定する。
【0060】
したがって、一態様では、本開示による非変性II型コラーゲンを有する軟骨保護栄養補助食品組成物は、約200μmol TE/g以上の総ORAC、例えば、約250μmol TE/g以上、例えば、約300μmol TE/g以上、例えば、約350μmol TE/g以上、例えば、約400μmol TE/g以上、例えば、約450μmol TE/g以上、例えば、約500μmol TE/g以上、例えば、約550μmol TE/g以上、例えば、約600μmol TE/g以上、例えば、約700μmol TE/g以上、例えば、約750μmol TE/g以上、例えば、約800μmol TE/g以上、例えば、約825μmol TE/g以上、最大約1000μmol TE/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の総ORACを有し得る。
【0061】
更に、一態様では、本開示による非変性II型コラーゲンを有する軟骨保護栄養補助食品組成物は、約1μmol TE/g以上のペルオキシルラジカルに対するORAC、例えば、約2.5μmol TE/g以上、例えば、約5μmol TE/g以上、例えば、約7.5μmol TE/g以上、例えば、約10μmol TE/g以上、例えば、最大約10.5μmol TE/g以上、最大約50μmol TE/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値のペルオキシルラジカルに対するORACを有し得る。
【0062】
同様に、一態様では、本開示による非変性II型コラーゲンを有する軟骨保護栄養補助食品組成物は、約10μmol TE/g以上のヒドロキシルラジカルに対するORAC、例えば、約15μmol TE/g以上、例えば、約20μmol TE/g以上、例えば、約25μmol TE/g以上、例えば、約27.5μmol TE/g以上、例えば、約30μmol TE/g以上、最大約40μmol TE/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値のヒドロキシルラジカルに対するORACを有し得る。
【0063】
追加的又は代替的に、一態様では、本開示による非変性II型コラーゲンを有する軟骨保護栄養補助食品組成物は、約0.5μmol TE/g以上のペルオキシ亜硝酸塩に対するORAC、例えば、約1μmol TE/g以上、例えば、約1.5 μmol TE/g以上、例えば、約2μmol TE /g以上、例えば、約2.25μmol TE /g以上、最大約5μmol TE/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値のペルオキシ亜硝酸塩に対するORACを有し得る。
【0064】
一態様では、本開示による非変性II型コラーゲンを有する軟骨保護栄養補助食品組成物は、約500μmol TE/g以上の一重項酸素に対するORAC、例えば約550μmol TE/g以上、例えば約600μmol TE/g以上、例えば約650μmol TE/g以上、例えば約700μmol TE/g以上、例えば約725μmol TE/g以上、最大約1000μmol TE/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の一重項酸素に対するORACを有し得る。
【0065】
更に、一態様では、本開示による非変性II型コラーゲンを有する軟骨保護栄養補助食品組成物は、約25μmol TE/g以上の次亜塩素酸塩に対するORAC、例えば、約30μmol TE/g以上、例えば、約35μmol TE/g以上、例えば、約40μmol TE/g以上、例えば、約45μmol TE/g以上、例えば、最大約50μmol TE/g以上、最大約75μmol TE/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の次亜塩素酸塩に対するORACを有し得る。
【0066】
II型コラーゲンが非変性II型コラーゲンを含む場合、非変性II型コラーゲンは、約10,000ダルトン以上の分子量、例えば、約15,000ダルトン以上、例えば、約20,000ダルトン以上、例えば、約25,000ダルトン以上、例えば、約30,000ダルトン以上、例えば、約35,000ダルトン以上、例えば、約40,000ダルトン以上、例えば、約45,000ダルトン以上、例えば、約50,000ダルトン以上、例えば、約55,000ダルトン以上、例えば、約60,000ダルトン以上、例えば、約65,000ダルトン以上、例えば、約70,000ダルトン以上、例えば、約75,000ダルトン以上、例えば、約80,000ダルトン以上、例えば、約85,000ダルトン以上、例えば、約90,000ダルトン以上、例えば、約95,000ダルトン以上、例えば、約100,000以上、最大約350,000ダルトン以下、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の分子量を有し得る。
【0067】
様々な態様及び利点が考察されてきたが、一態様では、軟骨保護栄養補助食品組成物は、以下で考察されるように、剤形に組み込まれる前に、好適な送達形態に組み込まれる。一態様では、本開示の組成物は、送達形態として水中油エマルションとして含まれ得る。特に、一態様では、そのような構成は、1つ以上の油溶性有効成分及び/又は1つ以上の水溶性有効成分を、同じ送達形態で含有することを可能にし得る。代替的に、油溶性構成成分のみを使用してもよく(例えば、II型コラーゲン)、エマルションを使用して、組成物を水性用途に組み込んでもよい。しかしながら、一態様では、水溶性II型コラーゲンがサプリメントに使用され得ることが理解されるべきである。
【0068】
それにもかかわらず、水中油エマルションはまた、アラビアガムなどの少なくとも1つの機能性ガムも含有し得る。概して、アラビアガムは、アラビノース及びガラクトースを含む糖タンパク質及び多糖類の複雑な混合物である。アラビアガムは一般に水に溶けやすく、食用である。いくつかの実施形態では、アラビアガムは、Ticamulsion(登録商標)A-2010アラビアガム粉末などの100%加工アラビアガムを含み得る。ある特定の実施形態では、アラビアガムは、アラビアガム及び加工アラビアガムの混合物又はブレンドであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、アラビアガムは、Ticamulsion(登録商標)3020を含み得る。
【0069】
ある特定の態様では、水中油エマルションは、約10重量%~約30重量%のアラビアガムを含有する。いくつかの実施形態では、水中油エマルションは、約15重量%~約25重量%のアラビアガムを含有する。いくつかの実施形態では、水中油エマルションは、約20重量%未満のアラビアガム、例えば15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満を含有する。
【0070】
水中油エマルションはまた、水を含有してもよい。ある特定の態様では、水中油エマルションは脱イオン水を含有する。なおもある特定の態様では、水中油エマルションは、ヒト摂取、及びヒト摂取用に設計された栄養補助食品への組み込みに好適な任意の水を含有し得る。
【0071】
水中油エマルションに組み込まれる水の量は、水中油エマルションに組み込まれる所望の吸湿性成分及び水溶性成分に応じて変化し得る。ある特定の態様では、水中油エマルションは、約5重量%~35重量%の水を含有し得る。いくつかの実施形態では、水中油エマルションは、約10重量%~約30重量%の水を含有し得る。いくつかの実施形態では、水中油エマルションは、約15重量%~約20重量%の水を含有し得る。いくつかの実施形態では、水中油エマルションは、約20重量%未満の水、例えば約15重量%未満の水、例えば約10重量%未満の水を含有してもよい。
【0072】
いくつかの態様では、水中油エマルションは、1つ以上の安定剤又は懸濁促進剤を含有し得る。例えば、ある特定の態様では、水中油エマルションは、ゲランガム又はキサンタムガムなどの1つ以上のガムを含有し得る。含まれる場合、ゲランガム又はキサンタムガムは、水中油エマルションの約3.5重量%未満、例えば約2.5重量%未満、例えば約1.5重量%未満、例えば約1.0重量%未満、例えば約1.0重量%未満の量で存在してもよい。
【0073】
他の態様では、水中油エマルションは、シリカなどの1つ以上の安定剤を含有し得る。含まれる場合、シリカは、約2重量%未満、例えば約1.5重量%未満、例えば約1重量%未満、例えば約0.5重量%未満の量で存在し得る。
【0074】
更に、一態様では、水中油エマルションは、1つ以上の脂溶性成分又は栄養素も含有し得る。ある特定の態様では、1つ以上の脂溶性成分又は栄養素は、水中油相エマルションの油相に組み込まれ得る。好適な脂溶性成分としては、レチノール、混合トコフェロールから供給されるビタミンE、ベータカロテン、ユビキノン、レシチン、ヒマワリレシチン、ビタミンD、カンナビノイド、麻抽出物、ビタミンK、ホスファチジルコリン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
ある特定の態様では、少なくとも1つ以上の脂溶性成分が、約0重量%~約50重量%の量で水中油エマルションに組み込まれてもよい。例えば、いくつかの態様では、水中油エマルションは、約50重量%未満の1つ以上の脂溶性成分、例えば約40重量%未満、例えば約30重量%未満、例えば約20重量%未満、例えば約10重量%未満、例えば約5重量%未満を含有する。
【0076】
更に、一態様では、水中油型エマルションは、水溶性相、又は油/脂溶性相のうちの1つ以上において、1つ以上の追加の抗酸化剤を含有してもよい。
【0077】
いくつかの態様では、本明細書に開示される水中油エマルションは、錠剤、グミチューアブル、食用フィルム、トローチ剤、液体懸濁液、シロップ、脂質ミセル、噴霧乾燥分散液、ナノ粒子などの任意の好適な剤形で使用されてもよく、これらはまた、更なるサプリメントに組み込まれてもよい。
【0078】
代替的に、水中油エマルションは、サプリメント、食品、又は飲料などの栄養製品中に含有され得る。例えば、ある特定の態様では、水中油エマルションは、哺乳動物が消費する栄養補助食品又は乳児用調製粉乳などの液体栄養製品に組み込まれてもよい。更に、本明細書に提供される水中油エマルションは、哺乳動物に栄養補給を提供するように設計された任意の液体栄養製品に添加され得る。
【0079】
栄養製品は、哺乳動物による摂取のための任意の好適な組成物を含むことができる。そのような組成物には、哺乳動物にとって必要な食事要件又はお菓子及び軽食などの食品サプリメントを供給することを目的とした完全食品又は飲料が含まれる。食品組成物は、ペレット、飲料、バー、缶入り調理食品、ミルクシェイクドリンク、ジュース、乳製品、又は任意の他の機能性食品組成物を含み得る。食品組成物はまた、丸薬、軟質ゲル、グミフィギュア(gummy figurine)、ウエハース、粉末などの任意の形態のサプリメントを含み得る。
【0080】
一態様では、本開示によるサプリメントは、全コラーゲンタンパク質又はコラーゲンの生物学的に活性なペプチド断片の経口、経腸又は吸入投与を含めて哺乳動物に投与してもよい。例えば、一態様では、コラーゲンの全コラーゲンタンパク質又は生物学的に活性なペプチド断片は、コラーゲンII型に含まれるアミノ酸の総重量に基づくtrans-L-ヒドロキシプロリンの含有量を高め、trans-L-ヒドロキシプロリンの効率的な産生を可能し、薬効を高めると考えられている。
【0081】
本開示のサプリメント組成物は、組成物中の更なる添加物として、1つ以上の賦形剤を更に含み得る。例示的であるが非限定的な賦形剤及び/又は添加物としては、ステアリン酸マグネシウムなどの抗付着剤;糖類、糖アルコール、ゼラチン、及び合成ポリマーなどの結合剤;セルロースエーテルヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシプロテインゼイン、ゼラチン、脂肪酸、脂肪、油及び/又はワックスなどのコーティング剤;酸化チタン及びアゾ色素などの着色剤;ポリビニルピロリドン及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む加工デンプンデンプングリコール酸ナトリウム及び架橋ポリマーなどの崩壊剤;マルトデキストリンなどの充填剤;ミント、リコリス、アニス、バニラ、及びモモ、バナナ、ブドウ、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、及びミックスベリーを含むフルーツ風味などの着香料;ヒュームドシリカ、タルク、及び炭酸マグネシウムなどの流動促進剤;タルク、シリカ、並びに植物性ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸を含む脂肪などの潤滑剤;抗酸化剤、ビタミン、パルミチン酸レチニル、セレニウム、アミノ酸システイン、及びメチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、及びパラベンなどの防腐剤;吸着剤;スクロース及びスクラロースなどの甘味料;並びにペトロラタム及び鉱油などのビヒクルが挙げられる。
【0082】
一態様では、本開示のサプリメント組成物は、組成物の1つ以上の特性を改善することができる様々な添加物及び構成成分と組み合わされてもよい。例えば、一実施形態では、添加組成物は、組成物の少なくとも1つの特性を安定化するのに役立ち得る安定剤パッケージと組み合わされてもよい。特定の一実施形態では、例えば、安定剤パッケージは、組成物の疎水特性を低減する、及び/又は組成物が水分を吸収することを防止するのに十分な量で組成物に添加されてもよい。安定剤パッケージはまた、組成物の取扱特性を改善するために、組成物と組み合わされてもよい。例えば、安定剤パッケージは、特に顆粒状の場合に、組成物がより良い流動特性を有することを可能にし得る。
【0083】
一態様では、サプリメント組成物は、安定剤パッケージと併せてポリマー結合剤と組み合わされてもよい。加えて、コーティング材料は、組成物がポリマー結合剤及び安定剤パッケージと組み合わされた後に組成物に塗布されてもよい。コーティング材料は、例えば、少なくとも1つの脂肪を含有してもよい。本開示によれば、上記構成成分は、本開示の組成物に加えて、任意の好適な医薬組成物に添加することができる。例えば、上記の構成成分は、カルニチン又はアミノ酸を含有する任意の医薬組成物に添加されてもよい。
【0084】
ポリマー結合剤及び安定剤パッケージは、安定剤パッケージを製品に均一に組み込む様式で、サプリメント組成物と組み合わされてもよい。一実施形態では、例えば、本開示の組成物は、まず、噴霧乾燥プロセスなどによりポリマー結合剤と組み合わされ、次いで、安定剤パッケージと組み合わされる。ポリマー結合剤は、膜形成ポリマー及び/又は多糖類などの任意の好適な薬学的に許容されるポリマーを含んでもよい。本開示に従って使用され得るポリマー結合剤の特定の例としては、デンプン、マルトデキストリン、アラビアガム、アラビノガラクタン、ゼラチン、及びそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ポリマー結合剤は、少なくとも約5重量%、例えば、少なくとも約8重量%、例えば、少なくとも約10重量%、例えば、少なくとも約15重量%の量で医薬組成物に添加される。1つ以上のポリマー結合剤は、組成物中に、約50重量%未満の量、例えば、約45重量%未満の量、例えば、約40重量%未満の量、例えば、約35重量%未満の量、例えば、約30重量%未満の量で存在する。
【0085】
一実施形態では、ポリマー結合剤は、加工デンプンなどのデンプンを含み得る。デンプンは、例えば、トウモロコシ又はワックストウモロコシに由来し得る。一実施形態では、デンプンは、National Starch and Chemical Companyによって販売されるHI-CAP100デンプンを含んでもよい。
【0086】
代替的な実施形態では、ポリマー結合剤は、アラビノガラクタンを含み得る。アラビノガラクタンは、ポリマー結合剤として機能するだけでなく、他の利益をもたらし得る可溶性多糖類である。例えば、アラビノガラクタンは、いくつかの状況において、適応免疫応答を増強し得る。アラビノガラクタンは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,784,844号に記載されている。
【0087】
一実施形態では、アラビノガラクタンは、ポリマー結合剤として使用され得る。カラマツアラビノガラクタンは、ガラクトース単位及びアラビノース単位で、およそ6:1の比率で構成される高度に分岐した多糖である。カラマツアラビノガラクタンは、大きい木から抽出される。多糖は、ガラクトース及びアラビノースの側鎖と共にガラクタン骨格を有する。アラビノガラクタンは、Morristown,NJ USAにオフィスを有するLonza Consumer Health Incから市販されている。
【0088】
ポリマー結合剤が、噴霧乾燥プロセスなどにより組成物と組み合わされると、次いで、得られた混合物を安定剤パッケージと組み合わせることができる。一実施形態では、安定剤パッケージは、カルボン酸の塩と組み合わせた酸化物粒子を含む。特定の一実施形態では、安定剤パッケージは、組成物及びポリマー結合剤と組み合わせた粉末又は粒状生成物などの乾燥生成物を含んでもよい。酸化物粒子とカルボン酸の塩との組み合わせは、組成物と組み合わせた場合、多数の利点及び利益を提供することが見出された。例えば、安定剤パッケージは、組成物を安定化し、組成物の疎水性を低下させることが見出されている。この組成物はまた、取扱が容易であり、顆粒状で、流動可能な生成物を生成する。
【0089】
サプリメント組成物に添加され得る酸化物粒子は、シリカを含んでもよい。例えば、酸化物粒子は、沈降シリカ粒子を含んでもよい。シリカ粒子は、約55ミクロン未満、例えば、約40ミクロン未満、例えば、約30ミクロン未満、例えば、約25ミクロン未満、例えば、約20ミクロン未満、例えば、約15ミクロン未満、例えば、約12ミクロン未満、例えば、約10ミクロン未満、例えば、約8ミクロン未満、例えば、約6ミクロン未満、例えば、約4ミクロン未満、例えば、約2ミクロン未満、例えば、約1ミクロン未満の粒径(d50、ISO試験13320後のレーザー回析)を有してもよい。粒径は、典型的には、約0.5ミクロン超であり、例えば、約1ミクロン超である。粒子は、約120m2/g超、例えば、約130m2/g超、例えば、約150m2/g超、例えば、約170m2/g超、例えば、約200m2/g超、例えば、約220m2/g超の比表面積(ISO試験9277)を有してもよい。比表面積は、一般に、約500m2/g未満である。シリカ粒子などの酸化物粒子は、約0.01重量%を超える量、例えば、約0.05重量%を超える量、例えば、約0.1重量%を超える量で、医薬組成物中に存在することができる。酸化物粒子は、一般に、5重量%未満の量、例えば、約2重量%未満の量、例えば、約1.5重量%未満の量、例えば、0.5重量%未満の量で存在する。
【0090】
酸化物粒子に加えて、安定剤パッケージは、カルボン酸の塩も含み得る。カルボン酸の塩は、脂肪酸の塩を含み得る。脂肪酸は、例えば、約6個の炭素原子~約40個の炭素原子、例えば、約12個の炭素原子~約28個の炭素原子の炭素鎖長を有し得る。一実施形態では、カルボン酸の塩は、ステアリン酸塩を含み得る。使用され得るステアリン酸塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、これらの混合物などが挙げられる。一実施形態では、カルボン酸の塩は、親水性基及び疎水性基の両方を含み得る。カルボン酸の塩は、組成物中に、約0.5重量%を超える量、例えば、約1重量%を超える量、例えば、約1.5重量%を超える量で存在し得る。カルボン酸の塩は、概して、約5重量%未満の量、例えば、約4重量%未満の量、例えば、約3重量%未満の量で存在する。
【0091】
ポリマー結合剤及び安定剤パッケージに加えて、組成物は、様々な他の構成成分及び成分を含み得る。一実施形態では、例えば、組成物は、脂肪酸のモノグリセリド及び/又はジグリセリドのクエン酸エステルなどのクエン酸エステルを含有し得る。組成物はまた、ナタネ、ヒマワリなどから得られるレシチンなどのレシチンを含有してもよい。上記構成成分は、組成物中に、約2重量%未満、例えば、約1.5重量%未満、例えば、約1重量%未満の比較的少量で存在し得る。上記構成成分は、概して、約0.05重量%を超える量、例えば、約0.1重量%を超える量で存在する。
【0092】
上記のように、本開示の軟骨保護栄養補助食品組成物又はサプリメントは、1つ以上の骨健康添加物と組み合わせてコラーゲンを含有することができる。一実施形態では、例えば、組成物又はサプリメントは、カルシウム源を含有する。カルシウム源は、例えば、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトカルシウム、又はそれらの混合物を含み得る。カルシウムは、各用量において、約100mg超、例えば約200mg超、例えば約250mg超、例えば約300mg超、例えば約350mg超、例えば約400mg超、例えば約500mg超、例えば約600mg超、例えば約700mg超、例えば約800mg超、例えば約900mg超、例えば約1,000mg超、例えば約1,200mg超、例えば約1,400mg超、例えば約1,600mg超、例えば約1,800mg超、例えば約2,000mg超、例えば約2,500mg超、かつ一般的に約5,000mg未満、例えば約3,000mg未満、例えば約2,500mg未満の量で存在することができる。
【0093】
組成物に含まれ得る他の骨健康添加物としては、ビタミンK2、ビタミンD3、骨吸収抑制剤、タンパク質同化剤、又はそれらの混合物が挙げられる。各骨健康添加物は、コラーゲンに対して、約5:1~約1:1,000の重量比で組成物中に存在することができる。例えば、骨健康添加物は、コラーゲンに対して約1:1~約1:500、例えば、約1:10~約1:300、例えば、約1:100~約1:200の重量比で存在することができる。
【0094】
カルシウムに加えて、組成物は、カリウム、マンガン、マグネシウム、亜鉛、又はそれらの混合物などの1つ以上の他のミネラルを含有することができる。ミネラルは、約1mg/g~約50mg/g、例えば、約2.5mg/g~約45mg/g、例えば、約5mg/g~約40mg/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の量でサプリメント中に含まれ得る。上記の範囲は、任意の1つのミネラル又は1つのミネラルの総量であってもよい。一態様において、サプリメントは、約9.5mg/g~約12mg/g、例えば、約9.75mg/g~約11.5mg/g、例えば、約10mg/g~約11mg/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の量のカリウムを含有する。同様に、一態様において、サプリメントは、約1mg/g~約10mg/g、例えば、約2.5mg/g~約7.5mg/g、例えば、約4mg/g~約6mg/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の量のマグネシウムを含有する。更に、一態様では、サプリメントは、約1mg/g~約50mg/g、例えば、約2.5mg/g~約47.5mg/g、例えば、約5mg/g~約45mg/g、例えば、約10mg/g~約40mg/g、例えば、約20mg/g~約37.5mg/g、例えば、約30mg/g~約35mg/g、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値の量のカルシウムを含有する。
【0095】
サプリメントは、様々な他の健康添加物と共に、又はそれらと組み合わせて投与することができる。例えば、軟骨保護栄養補助食品組成物は、抗酸化剤、抗炎症剤、又はそれらの組み合わせを含有するか、又はそれらと共に投与することができる。
【0096】
サプリメントは、任意の哺乳動物への投与に好適であり得る。例えば、哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどであり得る。組成物は、哺乳動物における分娩から成体期までのあらゆる年齢の哺乳動物に供給することができる。様々な実施形態では、哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、又はウシであり得る。
【実施例】
【0097】
本開示は、以下の実施例に従ってより良く理解され得、これは、本質的に非限定的かつ例示的であることが意図される。
【0098】
実施例1
材料及び方法
約4週齢の、体重約60~80グラムの同性の離乳したラットを、各群10匹ずつ使用した。動物を、温度(22±2℃)、湿度(55±5%)、及び12/12時間の明暗サイクルで飼育した。1週間の適応期間後、生後4週間で離乳したラットを12時間絶食させ、体重を量り、体重に応じてランダムにグループ分けし、別々のケージで飼育した。飲料水からのカルシウムの摂取を回避するため、脱イオン水を与えた。
【0099】
【0100】
実験設計
Ca吸収骨質に対する未変性形態のII型コラーゲン(UCII)の有効性を評価するために、研究前の1週間の適応期間、4週齢の雄Wistarラットに、通常の食事を与えた。
【0101】
ラットを以下のように6つの食事群にランダムに割り当てた:
1)陰性対照(0.150%Ca)
2)陰性対照(0.150%Ca)+0.66mg/kgBW UCII(60kgBWに基づいて40mgHED)
3)陰性対照(0.150%Ca)+1.32mg/kgBW UCII(60kgBWに基づいて80mgHED)
4)陰性対照(0.150%Ca)+3.3mg/kgBW UCII(60kgBWに基づいて200mgHED)
5)陰性対照(0.150%Ca)+6.6mg/kgBW UCII(60kgBWに基づいて400mgHED)
6)陰性対照(0.150%Ca)+19.8mg/kgBW UCII(60kgBWに基づいて1200mgHED)
【0102】
被験物質は経口強制摂取によって与えられ、強制摂取が失敗した場合は被験物質を飼料に混合した。各ラットの体重を毎週決定した。12週間後、血液、肝臓、腎臓及び骨(右大腿骨重量を測定し、同時に左大腿骨をBMDの測定のために切除した)試料を採取した。
【0103】
代謝実験
実験の最後の週に、カルシウム代謝実験を3日間実施した。3日間の食物摂取量を記録し、72時間分の糞便を収集して、飼料及び糞便中のカルシウム含有量を決定した。
【0104】
血液、飼料及び糞便中のカルシウムの決定:原子吸収分光光度法による決定
飼料試料を均一に混合し、20メッシュのふるいに通し、ラットの便試料を60℃のオーブンで乾燥させ、デシケーターで冷却し、ミネラル分析のために粉砕した。密閉型マイクロ波消化システム(Berghof、Eningen,Germany)を使用して、およそ0.3gの粉砕試料をHNO3(5ml)中でミネラル化した。次いで、飼料及び糞便試料を脱イオン水で希釈し、糞便及び食事中のCa含有量を決定した。塩化ランタン(Merck、Darmstadt,Germany)を、Ca g分析のための干渉抑制剤として添加した。全ての試料中のCaレベルを、ゼーマンバックグラウンド補正を用いる、422.7nmの波長のアセチレン-空気中での炎噴霧による原子吸収分光法(AAS,Perkin-Elmer、Analyst 800、Norwalk,CT,USA)によって測定した。評価は、三連で実施された。血清Caレベルもまた、原子吸収分光法によって測定した。
【0105】
計算
カルシウム摂取量(mg/d)=飼料中のカルシウム含有量(mg/g)×飼料消費量(g/d)
【0106】
糞便カルシウム(mg/d)=糞便カルシウム含有量(mg/g)×糞便排泄量(g/d)
【0107】
見かけのカルシウム吸収率(%)=(カルシウム摂取量-糞便中のカルシウム)/カルシウム摂取量×100%
【0108】
大腿骨重量測定
動物を3ヶ月間給餌した後に屠殺した。右大腿骨を剥がし、105℃のオーブンで一定の重量まで焼き、絶乾重量を測定した。
【0109】
大腿骨塩密度の決定
骨塩密度を、二重エネルギーX線骨密度測定装置によって大腿骨の中点及び大腿骨の遠位端で測定した。大腿骨の遠位端及び大腿骨の中点にマークを描き、測定点を決定した。大腿骨の全長を測定し、その中点から断面方向に沿って直線を描いた。大腿骨の遠位端の測定点は、大腿骨遠位端の関節溝の下端で決定され、この点を通って大腿骨の中点でマークに平行な直線が描かれた。これは大腿骨の遠位端の測定点である。
【0110】
測定点のマーカー線が、測定テーブル上のプローブの移動経路の垂直投影と一致するように、測定される骨を移動させた。測定を開始し、各点について2回繰り返した。2つの結果が平行でない場合(誤差が10%を超える場合)、測定を繰り返した。2つの結果を平均し、BMC(骨塩量)、BW(骨幅)、その結果としてのBMD(骨塩密度)を決定した。
【0111】
骨カルシウム含有量及び飼料材料中のカルシウムの決定
骨カルシウム含有量及び飼料カルシウム含有量を原子吸収分光法(AAS)により測定した。密閉型マイクロ波消化システム(Berghof、Eningen,Germany)を使用して、およそ0.3gの粉砕試料をHNO3(5ml)中でミネラル化した。次いで、試料を脱イオン水で希釈し、組織及び食事中のCa含有量を決定した。塩化ランタン(Merck、Darmstadt,Germany)を、Ca g分析のための干渉抑制剤として添加した。全ての試料中のCaレベルを、ゼーマンバックグラウンド補正を用いる、422.7nmの波長のアセチレン-空気中での炎噴霧による原子吸収分光法(AAS,Perkin-Elmer、Analyst 800、Norwalk,CT,USA)によって測定した。評価は、三連で実施された。
【0112】
血清中のオステオカルシンレベルを、製造業者の指示に従ってラットに特異的な市販キットを使用して、ELISA(Elx-800、Bio-Tek Instruments Inc、Vermont,USA)デバイスで検出した。
【0113】
WBによってOPG、RANK、RANKL、SOX-9、BMP2、IGF-1を測定した。
【0114】
体重測定の結果を以下に示し、
図1に示す。
【表2】
【0115】
カルシウムの吸収及び保持結果は以下の通りである:
【表3】
【0116】
12週間後、研究中のラットにおける大腿骨乾燥重量、骨塩密度、骨塩量、骨カルシウム、血清カルシウム、オステオカルシン、及び副甲状腺ホルモンレベルに対する異なる用量の非変性コラーゲンII型の効果を、以下に提示する。
図2~8はまた、結果を例解する。
【表4】
【0117】
12週間、低Ca(0.15%)含有食事を与えられたラットの骨における核内因子κB活性化受容体(RANK、パネルA)、核内因子κB活性化受容体リガンド(RANKL、パネルB)、オステオプロテゲリン(OPG、パネルC)、性決定領域Yボックス9(SOX-9、パネルD、及びRANKL/OPG比(パネルE)のレベルに対する異なる用量の非変性コラーゲンII(UCII)の効果を
図9~12に例解する。
【0118】
12週間、低Ca(0.15%)含有食事を与えられたラットの骨におけるインスリン様成長因子1(IGF-1、パネルA)及び骨形成タンパク質2(BMP2、パネルB)タンパク質のレベルに対する異なる用量の非変性コラーゲンII(UCII)の効果を
図13及び14に例解する。
【0119】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が例としてのみであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【国際調査報告】