(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】レーザ切断機のための動的レーザビーム形状の自動決定
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20241018BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20241018BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/38 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522651
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022079623
(87)【国際公開番号】W WO2023072846
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーガー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハース タイタス
(72)【発明者】
【氏名】シャイディガー ジーモン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB00
4E168CB04
4E168DA43
(57)【要約】
一態様において、本発明は、例えば、レーザビームの形状を変更するための動的ビーム成形モジュールを備えるレーザ切断機(L)を制御するために、動的レーザビーム形状を決定する制御部(100)であって、ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信するように構成され、各部分は、切断部位組に区分される切断輪郭により画定され、各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、切断計画インタフェース(101)と、特に3つ以上の動的レーザビーム形状である、動的レーザビーム形状組を格納する形状格納部(ShS)に対するインタフェース(102)と、前記ワークから切り出される全部分について繰り返し、前記切断部位のそれぞれに対して、前記形状格納部(ShS)に格納された前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動計算するように構成され、前記割り当ての計算(S3)は、前記ワークの前記特性インジケータに基づいて、前記各切断部位について個別に行われる、プロセッサ(P)と、を備え、
前記プロセッサ(P)は更に、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機(L)を制御するために、出力インタフェース(103)を通じて制御指示(CI)を提供するように構成される、制御部に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームの形状を動的に変更するための少なくとも1つの光学モジュールを備えるレーザ切断機(L)によるレーザ切断のために、動的レーザビーム形状を決定する、コンピュータにより実施される方法であって、
・ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信するステップ(S1)であって、各部分は、切断部位組から成る切断輪郭により画定され、各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、ステップと、
・特に3つ以上の動的レーザビーム形状である、動的レーザビーム形状組を格納するように構成された形状格納部(ShS)を提供するステップ(S2)と、
・プロセッサ(P)により、前記形状格納部(ShS)にアクセスして、前記ワークから切り出される全部分について繰り返し、前記切断部位のそれぞれに対して、前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動計算するステップ(S3)であって、前記割り当ての計算(S3)は、前記ワークの前記特性インジケータに基づいて、前記各切断部位について個別に行われる、ステップと、
・前記プロセッサ(P)により、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機(L)を制御するために、出力インタフェース(103)に対して制御指示(CI)を提供するステップ(S4)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記切断部位の種類は、
・直線、
・設定可能な特定の半径を有する円又は円の部位、
・設定可能な角度を有する角、
・パラメータ化された曲線、
・穿刺、
・引き込み、
・引き出し、及び/又は
・彫刻、
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記割り当てを計算するステップは、特に、部位の特定の種類が入力され、特定の動的レーザビーム形状を出力するニューラルネットワークモデルである、訓練済みモデルにより実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記モデルは、
・テスト切断に使用される選択された動的レーザビーム形状と、
・テスト切断された前記ワークの前記特性インジケータと、
・テスト切断された切断部位の種類と、
・注釈付きデータラベルとなる、評価データセット付きの、前記テスト切断された部位に対して選択された動的レーザビーム形状と、
から成る訓練データにより訓練されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記評価データセットは、品質評価、要件評価、性能評価、エネルギ消費評価、加工安定性評価、バリ高さ評価、粗さ評価、送り速さ評価、切り口幅評価、ガス消費評価、輪郭誤差評価、傾斜角/直角度評価、切断面平坦度評価、熱影響部評価を含む多数の異なる一般的な評価基準を設定することを含み、及び/又は前記異なる評価基準は、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)上に設けられたユーザインタフェース選択ボタン上で調整される相互依存性を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モデルは、
・前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状を事前選択するステップと、
・前記事前選択された動的レーザビーム形状により、切断部位固有テスト切断を実行するステップと、
・各テスト切断に対して、評価データセットを提供することで、前記テスト切断の結果の評価を実行するステップと、
・前記評価データセットを最適化するために、目的関数などの前記モデルの重みを調整するステップと、
を実行することで訓練されることを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記評価データセットは、ユーザインタフェースを利用して手動で、及び/又は触覚自動評価部により自動で提供されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記切断部位それぞれに対して、前記自動的に決定された動的レーザビーム形状は、ある種類の切断機に対して個別に決定されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
・X及びY、好ましくはX、Y及びZ方向における周波数、
・X及びY、好ましくはX、Y及びZ方向における振幅、及び/又は
・X方向に対するY方向、好ましくはX方向に対するY及びZ方向における位相ずれ
に対して、材料表面及び/又は焦点面上のレーザエネルギの時空間分布を通じて焦点変動形状を生成することで、前記動的レーザビーム形状組における前記動的レーザビーム形状を動的に変更することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
遷移領域が、線形、非線形、及び/又は対数、及び/又はその他の遷移関数により決定されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記動的レーザビーム形状は、リサージュ形状として実現されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
・バリ高さ、粗さ、送り速さ、切り口幅、エネルギ消費、ガス消費、加工安定性、輪郭誤差、傾斜角/直角度、切断面平坦度、及び/又は熱影響部から成る群から選択される、切断要件を、ユーザインタフェースを通じて受信することを含み、
・前記制御指示(CI)は、前記受信した切断要件を考慮して生成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ユーザ入力データに基づいて、前記レーザビーム形状が決定されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記動的レーザビーム形状はそれぞれ、幾何学的形状を示す幾何学的データセットと、前記幾何学的形状がいかにして実施される必要があるか、特に、速度、及び/又は加速度、及び/又は加加速度を示す時間関連データセットと、を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
レーザビームの形状を変更するための少なくとも1つの光学モジュール、特に動的ビーム成形モジュール(DBSM)を備えるレーザ切断機(L)を制御するために、動的レーザビーム形状を決定する、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された制御部(100)であって、
・ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信するように構成され、各部分は、切断部位組から成る切断輪郭により画定され、各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、切断計画インタフェース(101)と、
・特に3つ以上の動的レーザビーム形状である、動的レーザビーム形状組を格納する形状格納部(ShS)に対するインタフェース(102)と、
・前記ワークから切り出される全部分について繰り返し、前記切断部位のそれぞれに対して、前記形状格納部(ShS)に格納された前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動計算するように構成され、前記割り当ての計算(S3)は、前記ワークの前記特性インジケータに基づいて、前記各切断部位について個別に行われる、プロセッサ(P)と、
を備え、
・前記プロセッサ(P)は更に、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機(L)を制御するために、出力インタフェース(103)を通じて制御指示(CI)を提供するように構成されることを特徴とする、制御部。
【請求項16】
プロセッサにより実行されると、前記制御部に、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラムコードを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを記憶することを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的ビーム成形モジュール、又はレーザビームの形状を動的に変化させるその他少なくとも1つの光学モジュールが設けられたレーザ切断機による、レーザ切断に関する。特に本発明は、レーザ切断時に動的レーザビーム形状を決定する方法、制御部、並びにコンピュータプログラム及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断用途において、高品質及び性能がとりわけ重要な要素である。
【0003】
概して、レーザ切断処理は、特に生産性と品質のような、相反する要求に対して最適化され得る。レーザ切断ヘッドの送り速さが速いほど、生産性が上がるが、品質が下がり得る。というのも、レーザビームは、例えば、スポットサイズ、レーザビーム形状、及びレーザ出力により定義される、所定のエネルギ分布で、材料に作用するためである。切断の重要な要素として、吸収されたレーザエネルギを、材料を溶かすための熱に変換することが挙げられる。例えば、エネルギ結合は、様々な要素で決定され、切り口条件と相互作用する。
【0004】
上述の要求に対する最適化のため、現行の技術では、例えば、強度分布、スポットサイズ、レーザビーム形状、及び焦点位置を変えることにより、ビームプロファイルに影響を与えることが知られている。そのような変更を実現するための第1の選択肢として、空間的方法として普及している静的ビーム成形(static beam shaping(SBS))が挙げられる。SBSを利用する場合、レーザビームは処置開始前に提供されて、それ以上変更が効かない。第2の選択肢は、動的性質を持つレーザビームを変更することである。この場合、動的レーザビーム成形(dynamic laser beam shaping(DBS))による処理の最中にレーザビームの性質が変更され得る。或いは、例えば、適応型光学部品により、動的に実施され得る空間変調方法もいくつか存在する。これについては、非特許文献1に言及されている。
【0005】
DBSを使用する場合、材料表面上のレーザエネルギの時空間分布により、極めて重要な課題について対処がなされる。即ち、実現可能なレーザエネルギを得るために、スポットサイズを低減した上で、切り口を十分な大きさにすることである。この目的で、小さなスポットサイズの高レーザエネルギが、周期的に振動し、送り速さに重畳される。これにより、生成された切り口の周囲にエネルギが分布し、その結果人工的なより大きなスポットとなる。したがって、切り口幅が広がり、溶融物が妨げられることなく排出される。更に、上記分布により熱蓄積が防止される。これは、レーザビームの材料との相互作用時間が短縮されるためである。
【0006】
DBSを適用するために、レーザ切断機に動的レーザビーム成形モジュールが設けられる。特許文献1に、当該DBS適用による例示的実施形態が記載されている。
【0007】
特許文献2により、レーザ加工ビーム、特にその空間強度プロファイルを迅速に変更することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2019/145536A1号
【特許文献2】米国特許出願公開2010/0059490A1号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Cindy Goppold、Thomas Pinder、Patrick Herwig、IWS、「Dynamic beam shaping for thick sheet metal cutting」、Lasers in Manufacturing Conference、2017年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、切断結果の品質向上、及び適切な動的レーザビーム形状について選択又は決定を、異なる種類の切断部位間で区別することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、添付の独立請求項で実現される。従属請求項及び以下の説明において、更なる有利な実施形態及び特徴が言及される。
【0012】
一態様において、本発明は、レーザビームの形状を動的に変更するための少なくとも1つの光学モジュールを備えるレーザ切断機によるワークのレーザ切断のために、動的レーザビーム形状を決定する、コンピュータにより実施される方法に関する。方法は、
・ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信することであって、各部分は、切断部位組から成る切断輪郭により画定され、(切断される)各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、ことと、
・特に3つ以上の動的レーザビーム形状である、動的レーザビーム形状組を有する形状格納部を提供することと、
・プロセッサにより、前記ワークから切り出される全部分について繰り返し、前記切断部位のそれぞれに対して、前記形状格納部に格納され、アクセスされた、前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動計算することであって、前記割り当ての計算は、前記ワークの前記特性インジケータに基づいて、又は考慮して、又は踏まえて行われ、前記割り当ての計算は、前記各切断部位について個別に行われる、ことと、
・前記プロセッサにより、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機を制御するために、制御指示を提供することと、
を少なくとも含み得る。
【0013】
概して、レーザ切断機は、レーザビームの動的変化を補助する、又は生じる、2つ以上の光学モデルを含み得る。例えば、2つのガルバノスキャナミラーが使用され得る。1つはX移動用、1つはY移動用である。或いは又は更に、3Dビーム成形が、X/Y変化用の2軸モジュール、及び/又はビーム軸方向における移動用のZワブリングモジュールにより実現され得る。或いは又は更に、例えば、32個の単一光学モジュールの相互接続により、CIVANレーザシステムがビーム成形に使用され得る。
【0014】
割り当ては、部位固有である。異なる動的レーザビーム形状が、異なる種類の部位(例えば、直線、曲線)に割り当てられる。具体的に、異なる速さで切断される部位には、異なる処理がなされ、特に、異なる動的レーザビーム形状が、異なる速さで切断される当該異なる部位に割り当てられる。典型的には、部位は、切断計画で定義された形状について不変であるため、動的レーザビーム形状が(特定の)部位に割り当てられるものであって、その逆とはならない。
【0015】
好ましい実施形態において、方法は更に、中間検証ステップを含み得る。特にアルゴリズム(割り当てアルゴリズム)により、(部位と、動的レーザビーム形状との)割り当てがプロセッサにより計算された後に、この割り当ては、検証のためにユーザインタフェース上に提供され得る。検証信号が検出されれば、割り当てが適用され得る。されなければ、修正手順が開始し得る。修正手順はアルゴリズムにより、オンライン(例えば、切断手順中)、又はオフライン(例えば、切断手順から独立して、及び/又は切断手順中以外に)実行され得、割り当てのずれを計算するように構成され得る。例えば、ユーザは手動で異なる割り当て(例えば、特定の部位に対して別の動的レーザビーム形状)を選択し得る。或いは、アルゴリズムにより、異なる割り当てが提案され得る。この際、例えば、別の割り当ての履歴データ、又は統計的評価(例えば平均値)が考慮される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、前記切断部位の種類は、
直線、
設定可能な特定の半径を有する円又は円の部位、
設定可能な角度を有する角、
パラメータ化された曲線、
穿刺、
引き込み、
引き出し、及び/又は
彫刻、
を含む群から選択される。
本発明の別の好ましい実施形態において、(自動で)割り当てを計算するステップは、特に、特定の部位が入力され、特定の動的レーザビーム形状を出力するニューラルネットワークモデルである、訓練済みモデルにより実行される。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記モデルは、
・テスト切断に使用される選択された動的レーザビーム形状と、
・テスト切断された前記ワークの前記特性インジケータ(材料の種類及び/又は材料の厚さ)と、
・テスト切断された切断部位の種類と、
・注釈付きデータラベルとなる、評価データセット、特に、品質評価又は別の評価(以下でより詳述する)付きの、前記テスト切断された部位に対して選択された動的ビーム形状と、
から成る訓練データにより訓練される。
【0018】
好ましくは、前記モデルは、
・前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状を事前選択するステップと、
・前記事前選択された動的レーザビーム形状により、切断部位固有テスト切断を実行するステップと、
・各テスト切断に対して、評価データセットを提供することで、前記テスト切断の結果の評価を実行するステップと、
・前記評価データセットを最適化するために、目的関数などの前記モデルの重みを調整するステップと、
を実行することで訓練される。
【0019】
モデルは、特定の動的レーザビーム形状を、特定の種類の部位に割り当てるように訓練済みである。学習又は訓練アルゴリズムは、自動的に「最高」の割り当て、又は「最高」評価に基づく割り当てを見つけるように構成される。訓練アルゴリズムは、評価データセットに基づき得る。
【0020】
評価は、品質評価、性能評価、エネルギ消費評価、加工安定性評価、バリ高さ評価、粗さ評価、送り速さ評価、切り口幅評価、ガス消費評価、輪郭誤差評価、傾斜角/直角度評価、切断面平坦度評価、熱影響部評価であり得る。加工安定性評価について、以下の例が提示される。極めて良好な品質に帰結するが、安定性を欠き、システム及び/又は材料の些細な変化が品質低下につながってしまうような設定もあり得る。したがって、好ましい実施形態においては、評価及び評価データセットにおいて、加工安定性が考慮される。本発明の好ましい実施形態において、例えば、品質評価と、性能評価と、エネルギ消費評価のような、複数種類の評価が実施され、異なる評価の組み合わせが提供される。
【0021】
概して、触覚自動評価部により評価は、機械又はソフトウェアで自動的に実行され得る。触覚自動評価部は、特にカメラ、及び/又はダイオードのような、インプロセス光学システムを含み得る。光学システムは、切断ヘッドに取り付けられ、加工対象ワークの加工領域に向けられ得る。
【0022】
或いは又は更に、評価はユーザ入力により手動で実行され、ヒューマンマシンインタフェース上で受信され得る。評価データセットは、上述のような品質評価、性能評価、及び/又は加工安定性評価、及び/又はその他評価を含む、多数の異なる一般的な評価基準を手動又は自動で設定することを含み得る。異なる評価基準は相互依存し得るため、多数の異なる評価基準を手動設定する場合、それらはヒューマンマシンインタフェース(HMI)上に設けられた、ユーザインタフェース選択ボタン上で調整され得る。
【0023】
更に、上述の両選択肢(手動又は自動評価)は組み合わされ得る。これにより、両モードが検証ステップとして使用され得る。最初に自動評価が実施され、ヒューマンマシンインタフェース上に出力され、次にユーザにより検証され得る。ユーザは、自動評価を受け入れる、又は拒絶し得る。拒絶した場合、手動評価を表す、ユーザ入力信号を提供し得る。
【0024】
好ましい実施形態によると、前記切断部位それぞれに対して、前記自動的に決定された動的レーザビーム形状は、特定の種類の切断機に対して個別に決定される。切断機の種類は、レーザ切断機の、慣性インジケータ(例えば、レーザ切断ヘッド、及びレーザ切断ヘッドを移動させる各要素の)、サイズインジケータ、及び/又は機械特性を含む。
【0025】
別の好ましい実施形態によると、
X及びY、好ましくはX、Y及びZ方向における周波数、
X及びY、好ましくはX、Y及びZ方向における振幅、及び/又は
X方向に対するY方向、好ましくはX方向に対するY及びZ方向における位相ずれ
に対して、材料表面及び/又は焦点面上のレーザエネルギの時空間分布を通じて焦点変動形状を生成することで、前記(異なる)動的レーザビーム形状組における前記動的レーザビーム形状を動的に変更する。
【0026】
或いは又は更に、レーザビーム径変化によるワブリング(Z方向における)と組み合わされ得る、X及びY方向における(周波数及び/又は振幅に対する)焦点の変動により、動的レーザビーム形状は変化する。
【0027】
或いは又は更に、輪郭誤差が判定(推定、及び/又は測定)され得る。これら判定された輪郭誤差は補償される。輪郭誤差の補償は、割り当てを補正計算することで実行され得る。輪郭誤差の測定は、例えば同軸カメラにより実行され得る。
【0028】
輪郭誤差は、各位置又は時間ステップについてのX及びY方向における以前の測定(cx(t),cy(t))により既知である。
【0029】
輪郭誤差補償方法は、少なくとも2つ存在する(オフセット、DBS振幅)。
【0030】
方法
オフセット:
この輪郭誤差値が、動的レーザビーム形状に対するオフセット値として使用される。部分/時間に応じて輪郭誤差は変化するため、各位置/時間ステップは、異なるオフセット値を有する。
例
・動的レーザビーム形状はリサージュ図形LF_1となる。
【数1】
・輪郭誤差補償リサージュ図形をLF_2で示す。
【数2】
【0031】
DBS振幅:
オフセットを使用する代わりに、動的レーザビーム形状の振幅を、部分/時間に亘って適用することができる。
例
【数3】
【0032】
別の好ましい実施形態によると、遷移領域が、線形、非線形、及び/又は対数、及び/又はその他の遷移関数により決定される。遷移領域は、空間及び/又は時間的に解釈され得る。遷移領域は、ワークの2つの連続した部位間の遷移として定義され得る。例えば、遷移領域は、曲線部位と、直線部位との間、及び直線部位と、別の種類の部位との間の領域であり得る。切断されるワーク輪郭の複数部位への分割は、切断計画に応じて定義され得る。
【0033】
別の好ましい実施形態によると、動的レーザビーム形状の種類を、特定の種類の切断部位に割り当てることは、部位内での予測輪郭誤差に依存する。予測輪郭誤差は、輪郭予測アルゴリズムにより提供される。輪郭予測アルゴリズムは、レーザ切断ヘッドの慣性を考慮する。輪郭のずれ又は不正につながり得る「オーバーシュート」(慣性に基づく目標輪郭から逸脱した動き)が疑われる場合、それに応じて動的ビーム成形モジュールを調整することで対処がなされ得る。
【0034】
別の好ましい実施形態によると、前記(動的)レーザビーム形状は、リサージュ形状として実現される。形状格納部に、リサージュ図形組が記憶され得る。独立してアクセスされ得る特定の形状格納部を提供する利点として、形状組が、連続的に、延いては動的レーザビーム形状を決定する方法の適用中に、修正及び拡張され得る。
【0035】
別の好ましい実施形態によると、方法は、バリ高さ、粗さ、送り速さ、切り口幅、エネルギ消費、ガス消費、加工安定性、輪郭誤差、傾斜角/直角度、切断面平坦度、及び/又は熱影響部から成る群から選択される、切断要件を、ユーザインタフェースを通じて受信することを含む。前記制御指示は、前記受信した切断要件を考慮して生成される。
【0036】
別の好ましい実施形態によると、ユーザ入力データに基づいて、前記(動的)レーザビーム形状が決定される。ユーザ入力データは、品質要件、材料要件、及び/又はその他加工条件であり得る、又はそれを含み得る。概して、割り当てステップは自動で実行される。ただし、本発明の別の好ましい実施形態において、自動割り当てを検証するために、半自動モードも適用され得る。この場合、システムは、例えば、部位ごとに1つのリサージュ図形についてのコンピュータ生成(自動)提案を作成する。これはユーザに表示され、ユーザは自動決定を検証でき、又はこの提案を「却下」して別の図形、又は形状を手動で選択できる。
【0037】
別の好ましい実施形態によると、前記動的レーザビーム形状はそれぞれ、幾何学的形状を示す幾何学的データセット、並びに/或いは前記幾何学的形状がいかにして実施される必要があるか、特に、速度、及び/又は加速度、及び/又は加加速度を示す時間関連データセットを含む。
【0038】
或いは又は更に、割り当ての計算は、幾何学的データセット及び/又は時間関連データセットに基づく、又はそれを考慮する。上述の要素を考慮して、事前選択された割り当て候補が提供されることで、より小さなデータセットで(最終)計算が実行され得るため、効率向上が図られ得る。
【0039】
或いは又は更に、割り当ての計算は、切断速さに依存して実行される。これは品質を向上し得、連続した切断部位間の速さの開きを防止し得る。
【0040】
ここまで、請求された方法に関して発明を説明した。ここでの特徴、利点、又は別の実施形態はその他請求された対象(例えば、コンピュータプログラム又は制御部)に適用可能で、その逆も可である。言い換えると、方法の文脈で記載又は請求された特徴により装置又はデバイスが改善でき、その逆も可である。この場合、方法の機能的特徴は、装置、デバイス、又はシステムそれぞれの構造的ユニットにより実施され、その逆も同様である。概して、コンピュータサイエンスにおいて、ソフトウェア実装と、対応するハードウェア実装(例えば、内蔵型システムとして)は等価である。したがって、例えば、データ(例えば、切断計画)を「受信」する方法ステップは、インタフェースと、データ受信のためのそれぞれの指示により実行され得る。デバイスも、方法を参照して説明される別の実施形態において使用され得るが、重複を避けるため、これら実施形態は、デバイスについて明示的に繰り返し説明されない。
【0041】
別の態様によると、本発明は、レーザビームの形状を変更するための少なくとも1つの光学モジュール(特に動的ビーム成形モジュール)を備えるレーザ切断機を制御するために、動的レーザビーム形状を決定する、上述の方法を実行するように構成された制御部であって、
・ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信するように構成され、各部分は、切断部位組から成る(又はこれによって画定され得る)切断輪郭により画定され、各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、切断計画インタフェースと、
・特に3つ以上の動的レーザビーム形状である、(異なる)動的レーザビーム形状組を格納する形状格納部に対するインタフェースと、
・前記受信された切断計画に応じて、前記切断輪郭の前記切断部位のそれぞれに特定の動的レーザビーム形状を自動的に割り当てる(又は割り当てを計算する)ために、繰り返し前記切断部位のそれぞれを有する前記形状格納部にアクセスするように構成されたプロセッサであって、自動的に割り当てることは、前記各切断部位について個別に行われ、前記ワークの前記特性インジケータに基づく、プロセッサと、
を備え、
・前記プロセッサは更に、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機を制御するために、出力インタフェースを通じて、又はこれに対して制御指示を提供するように構成される、制御部に関する。
【0042】
別の態様によると、本発明は、プロセッサにより実行されると、前記制御部に、上述の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラムに関する。
【0043】
更に別の態様によると、本発明は、上述のコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0044】
本出願で使用される用語の定義を以下に記載する。
【0045】
ワークは、切断される材料として解されるものである。ワークは、特性が変化する金属シートのような、平坦なシート状ワークであり得る。又は、ワークはチューブ状ワークであり得る。又は異なる断面(長方形、又は正方形)の他の閉じた形状、又は例えばU字又はV字形状のような、開いた3D形状であり得る。ワークは、金属ワークであり得る。ワークは、例えば異なる種類の、及び/又は異なる厚さを有する金属シートであり得る。典型的には、切断計画は、ワークから切り出す必要のある部分を定義する。ワークから切り出される部分は、部分ごとに異なり得る、固有の輪郭を有し得る。例えば、ワークから第1の円部分組を完全に切り出す必要があり、第2の長方形部分組を切り出す必要がある。切り出される各部分が、切断輪郭により画定され得る。切断輪郭は、一組又は複数の切断部位から成り得る。例えば、長方形部分は、第1直線部位である第1部位と、それに続く角部位(半径)である第2部位と、それに続く第2直線部位である第3部位と、それに続く角部位である第4部位と、それに続く、再度第1直線部位である第5部位、などを含み得る。切断輪郭は、上面視で、部分の形状を確定する。
【0046】
切断部位組は、連続して順序付けられ得る。順番は、切断ヘッドの移動方向により定義される。この連続は、順次切断される、順序付けられた切断部位のリストである。
【0047】
切断輪郭は、最低でも1つの単一部位を含む部位組から成り得る。例えば、円部分をワークから切り出す必要がる場合、円部分は通常、単一(円)部位のみを含む。より複雑な輪郭を切り出す必要があれば、輪郭は、部位組に区分され得る。例えば、正方形輪郭を切り出す必要がある場合、正方形輪郭は、正方形の4辺を表す4つの等しい直線部位と、正方形の四隅を表す4つの角又は曲線部位とに区分され得る。
【0048】
部分の輪郭を部位組に区分することは、セグメンテーションアルゴリズムにより自動で実行され得る。これに関して、セグメンテーションアルゴリズムは画像処理における「通常の」セグメンテーションアルゴリズムであることを付言すべきであろう。例えば、臓器を身体の解剖学的部分に区分する、医療画像処理で公知のものである。ここでのセグメンテーションアルゴリズムは、二次元輪郭を異なる複数の箇所、又は部分に細分化することに関する。好ましい極めて簡易的な実施形態において、セグメンテーションアルゴリズムは単純に切断計画にアクセスし得、その中のデータを処理して、一連の部位に切断される輪郭の区分を決定し得る。或いは又は更に、セグメンテーションアルゴリズムは、輪郭に沿って移動した場合のレーザ切断ヘッド構成の慣性に関して、レーザ切断処理に対する各輪郭部分間の違いを考慮し得る。即ち、セグメンテーションアルゴリズムは、レーザ切断ヘッド構成の慣性を考慮する。或いは又は更に、セグメンテーションアルゴリズムはまた、その他レーザ切断特性も考慮し得る。例えば、セグメンテーションアルゴリズムは、ワーク内の単位長さごとのエネルギ入力、エネルギ分布、及び/又は機械軸の動的能力を考慮し得る。セグメンテーションアルゴリズムは、人工知能(AI)、特にレーザ切断機特性(慣性、質量、速度、速さなど)を考慮して、輪郭の区分を発見するように訓練された機械学習モジュールに基づき得る。
【0049】
上述のように、直線箇所は、角箇所よりも高速で切断され得る。したがって、このような輪郭は、直線部位と、角部位とに区分され得る。或いは又は更に、区分するステップ(即ち、区分)は、ヒューマンマシンインタフェース上のユーザ入力により手動で実行され得る。
【0050】
切断部位は典型的に、順序付けられた一連、又は連続する切断部位として提供される。順序付けられた連続する切断部位の各切断部位は、特定の動的レーザビーム形状が割り当てられる。
【0051】
切断部位は、第1切断部位が、第2部位の前に来て、第2部位が第3部位の前に来て、以下同様となるように順序付けられる。切断部位及び/又は切断部位の連続は、切断計画内で定義され得、又は切断計画内のデータから計算され得る。この連続は、特に、切断されるワークの表面上を移動するレーザ切断ヘッドの切断方向に基づく。切断部位は、実行される切断計画に応じた形状に対する異なる切断の種類を表す。切断部位は、例えば、直線、角を表し得る半径が変化する曲線(パラメータ化された曲線)、円又は円の部位、穿刺、引き込み、引き出し、及び/又は彫刻であり得る。
【0052】
典型的には、異なる部位は、レーザ切断の異なる種類、又はモードを表す、又はそれに関する。即ち、第1部位は、第1切断パラメータ組(例えば、第1速さ)で切断され得、一方、第2部位は、第2切断パラメータ組(例えば、切断ヘッドの第2速さ)で切断され得る。速さと、速度は、本明細書において、同じ内容/意味を示し得る。部位は、直線、半径が変化する曲線、角、穿刺、引き込み、端切などであり得る。輪郭は、異なる、又は同じ種類の部位に分割又は区分され得る。即ち、切断される輪郭は、複数の当該同一、及び/又は異なる部位から成る。例えば、長方形を輪郭として切断する場合、2つの長い直線部位、2つの短い直線部位、4つの90°角部位が定義され得る。円を切断する場合、各円輪郭に対して、単一の部位のみ存在し得る。
【0053】
部位は、ワークから切り出される輪郭に関する。したがって、部位は(間接的に)、具体的にはワークの材料インジケータ、厚さインジケータ、及び/又はその他特性である特性インジケータを有するワークにも関する。したがって、部位は(対応するワークの)特性インジケータに関する。したがって、例えば、第1ワークの第1輪郭の第1部位は、第2ワークの第1輪郭の第1部位と異なり得る。更に、第1ワークの第1輪郭の第1部位は、第1ワークの第2輪郭の第1部位と異なり得る。
【0054】
したがって、別の有利な実施形態において、プロセッサは、特にニューラルネットワークモデルである、訓練済みモデルにアクセスすることで、自動的に割り当てを計算するステップを実行する。ニューラルネットワークは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であり得る。
【0055】
ニューラルネットワークは、すべての切断部位に対して繰り返し、特定の種類の部位に対して動的レーザビーム形状を決定するように訓練済みである。例えば、ニューラルネットワーク又は機械学習モデルは、部位種類1に対して、第1動的レーザビーム形状を提供し、部位種類2に対して、別の第2動的レーザビーム形状を提供し、部位種類3に対して、再度第1動的レーザビーム形状を提供し、以下同様となるように訓練される。
【0056】
訓練済みニューラルネットワークモデルは例えば、制御部とデータ交換するクラウド型サーバ上に記憶され得る。或いは又は更に、ニューラルネットワークモデルは、レーザ機械の記憶部に、そのコントローラと同様にローカルに記憶され得る。(深層)機械学習アルゴリズムは、データであり、計算負荷が高い。したがって、好ましくは画像処理装置(GPU)、テンソルプロセッシングユニット(TPU)、又はプロセッサのネットワーク上で計算される。ニューラルネットワークの各層は、特にマルチコア、又はメニーコアプロセッサのような、強力で、大規模な、並列化可能プロセッサ上で計算され得る。計算ユニットは、好ましくは、グラフィックカード、又は上述のその他ハードウェアモジュールとして設計される、又はそれを含むことが好ましい。
【0057】
自動で「ワークから切り出される部分すべてについて、各切断部位に対して、動的ビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当て(部位/ビーム形状)を繰り返し計算する」ステップ(以下では、「割り当てを計算するステップ」と省略する)は、特定の種類の部位(例えば、直線、異なる直径の曲線)(入力)に対して、動的レーザビーム形状(出力)を提供する、又は決定する、特にニューラルネットワークモデルである訓練済みモデルに基づいて、人工知能、及び/又は機械学習アルゴリズムにより実行され得る。
【0058】
或いは又は更に、機械学習モデルは、部位(種類)と、動的レーザビーム形状との間の割り当てを、特に、事前の特性分析(又は特徴、即ち特徴抽出)なしで、認識するように訓練される。切断部位の、特に化学的、空間的、及び/又は時間的特性のような特性/特徴は、動的レーザビーム形状の決定に関連する。
【0059】
自動で「割り当てを計算する」ステップは、特徴抽出不要(又は特徴不要)処理、特にアルゴリズムで実施され得る。或いは又は更に、自動で「割り当てを計算する」ステップは、いわゆるンドツーエンドアルゴリズムで実施され得る。この文脈における「エンドツーエンド」とは、特に、大規模な前処理なく、機械学習アルゴリズム(以下では省略してMLアルゴリズムとも称する)を使用して結果を得るように、後に更に処理される(例えば、分類される)、切断部位における特徴及びその処理を手動で決定することなく、生データ、即ち取得された輪郭部位が使用可能であることを意味する。この文脈において、「大規模な前処理なく」とは、ヒストグラム均等化、画像深度低減及び/又は関心領域(ROI)トリミングなどの、周辺前処理がないことを意味する。
【0060】
特に、エンドツーエンドアルゴリズム又は手法の場合、学習に重要な「特徴」を抽出するのに、生データを個別に前処理する必要がない。事前の特徴抽出を伴う従前のML手法に対して、ここで提示する考えられる解決法においては、分類器だけでなく、好ましくは特徴抽出器も、同じステップでアルゴリズムにより訓練される。これは、アルゴリズムが独立して、入力データ(切断部位)から標示、即ち「特徴」も計算又は学習することを意味する。この関係を認識するために、アルゴリズムは独立して、分類のために、入力データの最良の標示を見つける必要がある。本発明の好ましい実施形態において、特徴値(「特徴」)を抽出する必要がないということは、いくつかの意味で有利である。まず、アルゴリズム開発の労力簡素化が図られる。これは、重要な特徴の検出、決定、抽出が不要だからである。更に、「特徴を要さない」アルゴリズム(エンドツーエンドアルゴリズム)開発の場合、最も多くの情報を含む、最も重要な特徴を見過ごす危険性がない。結局、必須情報は、非常に複雑で、重畳され、又は認識困難な、切断シーケンス特徴の信号、画像、又は標示に含まれることも多いため、理想的な特徴分析は困難になる。したがって、ここで実施される特徴抽出を一切伴わないディープラーニング手法は、特徴抽出器に基づく手法よりも優れることは驚くべきことではない。
【0061】
ニューラルネットワークは、動的レーザビーム形状を各部位に適用した切断結果の評価を含む、注釈付き、又は部分注釈付きの訓練データに基づく、訓練アルゴリズムにより訓練済みであり得る。訓練アルゴリズムは、教師あり学習方法、又は半教師あり学習方法であり得る。訓練アルゴリズムは、履歴データに基づき得る。モデルの更新、又は適用のために、強化学習方法も使用され得る。強化学習によって、レーザ切断処理、及び遷移フェーズについての初期データ及び(事前)知識なしで、この複雑な問題に対する解決法を発見できるようになる。更に、強化学習によると、時間のかかる、訓練データの収集及び処理が不要となる。
【0062】
動的レーザビーム形状を、一連の切断部位における特定の部位の種類に対応付けるために、CNN、又はこの場合はディープニューラルネットワーク(DNN)が、時間依存性特徴の学習に適用可能である。いわゆるゲート付き回帰型ユニット(GRU)、又は特に長・短期記憶メモリネットワーク(LSTM)を、CNNと組み合わせて適用可能である。
【0063】
レーザ切断機は、レーザ照射によるワーク材料からの熱分離のために、ワークにレーザビームを印加するように構成される。ワークは、切断長が最長12メートルで、幅が2から3メートルである、チューブ状ワーク、又は平坦なシート状ワークであり得る。レーザ切断機は、屈曲、鋳造、又は「印刷」(積層造形)、又は溶接された部分のような3D金属シート用に構成され得る。
【0064】
レーザ切断機は、少なくとも1つの光学モジュールが設けられる。光学モジュールは、動的ビーム成形モジュールとして実施され得る。或いは又は更に、光学モジュールは、切断計画、及び/又は切断される切断輪郭に従って、切断中、よってワーク上のレーザ切断ヘッドの移動中に、レーザビーム形状を動的に変化するためのミラー型システムを含み得る。
【0065】
上述のように、光学モジュールは、動的レーザビーム成形モジュールとして実施され得る。例えば、レーザスキャナ光学系(例えば、特許文献1に記載)、又はレーザビーム軸に直交するx及びy方向に作動、又は振動されるレンズ光学系(例えば、特許文献1に記載)が含まれ得る。動的レーザビーム成形(モジュール)、DBSMの技術的目的は、品質及び/又は性能の向上である。特定の態様において、ワークのより大きな面積にエネルギを提供するために、DBSMが利用され得る。具体的には、より大きな切り口幅(後続の自動化/部分のソートを容易にする)に対して、スポットサイズを大きくするために、動的レーザビーム形状のより大きな振幅、及び/又は異なる焦点位置が選択及び使用され得る。更に、DBSMは、より強度の高いレーザで、相互作用時間を短くする(熱蓄積を低減する)ことで、材料特性の損失を低減することができる。これは大幅な向上である。品質向上に関して、追加的に動的レーザビーム形状を使用することで、より大きなパラメータ空間寸法により、より良い品質、及び/又は性能を実現するように、一般的な切断パラメータ(焦点位置、レーザ出力、ガス圧…)の中から、適応的に切断及び動的レーザビーム成形パラメータを選択することができるようになる。更に、動的レーザビーム形状を変化できることで、全体的な品質(角及び遷移部分も含む)、及び/又は性能が向上でき、直線及び角において、妥協した設定は不要である。
【0066】
遷移フェーズ時に(例えば、切断速さ又は速度に依存して)、動的レーザビーム形状を適用することが好ましい。異なるビーム成形周波数で、動的ビーム成形が適用され得る。ビーム成形周波数は、100ヘルツから1メガヘルツ以上の範囲内、好ましくは、100ヘルツから900キロヘルツ、又は100ヘルツから数百キロヘルツの範囲内となる。好ましくは、ビーム成形周波数は、上述の方向、即ちX、Y更にはZ方向のそれぞれにおいて変更され得る。好ましい実施形態において、これら方向それぞれにおいて、異なるビーム成形周波数が設定され得ることに言及すべきであり、したがって、例えば、X方向においては、例えば200ヘルツの第1ビーム成形周波数が適用され得、Y方向においては、例えば900キロヘルツの第2ビーム成形周波数が使用され得る。各方向におけるビーム成形周波数の設定は、ユーザインタフェース上で、互いに独立して設定及び構成され得る。
【0067】
或いは又は更に、上述のようにビーム成形周波数を変更するために、レーザパルス周波数も変更され得る。レーザパルス周波数は、0から5キロヘルツの間で変更され得る。典型的には、レーザパルス周波数は、例えば彫刻、パルス型切断(例えば、曲線、角に穿刺する場合)のような特殊用途にのみ使用される。これにより、エネルギ入力がパルシングにより制限され得る。特定の態様において、ワークに提供されるエネルギを低減するのに、レーザビームのパルス周波数変更が利用され得る。レーザパルス周波数の設定は、HMI、即ちヒューマンマシンインタフェース、又はユーザインタフェース上に構成され得る。HMIは、各方向に対して個別に、またレーザパルス周波数の構成に加えて、組み合わせて、又は独立して、ビーム成形周波数を構成するための設定を提供し得る。
【0068】
切断計画は、ワークから切り出される部分と、移動方向とのデジタル表現であり、切断計画実行のための制御指示である。例えば、切断計画においてどの部分が次に切断されるか、及び/又は一つの輪郭内のどの部位が次に切断されるかを定義するシーケンスである。切断計画は、典型的には、デジタルファイルフォーマット、例えばXML型フォーマットにおいて表現される。
【0069】
形状格納部は、メモリ構造又はデータベースとして実施され得る。この形状格納部は、異なる動的レーザビーム形状を記憶するように構成される。動的レーザビーム形状は、例えば異なる複数のリサージュ図形を含み得る。或いは又は更に、その他パターン、及び/又は形状も記憶及びアクセスされ得る。
【0070】
特定の切断部位に対して、特定の動的レーザビーム形状への割り当てを自動的に計算することは、動的レーザビーム形状を特定の種類の部位に自動で割り当てることを意味する。好ましくは、割り当てを決定又は計算することは、割り当てアルゴリズムを適用することで、アルゴリズム的に実行され得る。単純な形態において、割り当てアルゴリズムは、特定の動的レーザビーム形状と、特定の部位及び目的(例えば、性能、品質、バリ高さ、粗さ、堅牢性など)の、材料の種類、材料の厚さ、レーザ出力、送り速さから成るリストから選択される物理的特性との間の、事前に計算された割り当てを有するあらかじめ定義されたデータ構造におけるルックアップテーブルとして実施され得る。例えば、材料種類M、厚さT、レーザ出力Pによる物理特性の設定が、動的レーザビーム形状Sに対応付けられる。
【0071】
或いは又は更に、割り当てアルゴリズムは、各対応付けられた動的レーザビーム形状を検索するために、特定の部位に対してルールベースをアクセスする。ルールベースにおいては、ルール組が記憶される。ルールベースは、形状格納部にアクセスすることで、実現、又は実行され得る。例えば、ルールは、以下の設定を表し得る。より大きな切り口幅で切断するために、切断方向に直交する横断方向発振(のみ)が適切である。例えば、切断速さを上げるために、切断方向における長手発振(のみ)が最適となる。したがって、ルールベースには構成可能なルール組が提供される。これらルールを適用することで、割り当てアルゴリズムは割り当てを決定するように構成される。
【0072】
或いは又は更に、割り当てアルゴリズムは、特定の動的レーザビーム形状を所定の(ワーク輪郭)部位に対応付けること又は割り当てることが、直前及び/又は後続の部位、及び/又はその動的レーザビーム形状もそれぞれ考慮するように構成され得る。これは、2つの連続した部位の形状間のスムーズな遷移を実現するための、切断品質の向上に寄与する。
【0073】
より複雑な実施形態において、割り当てアルゴリズムは、上述のように、各種類の部位に対する最適な動的レーザビーム形状を見つけるように訓練された訓練済みのニューラルネットワークに基づき得る。
【0074】
制御指示は、部位に対して個別に決定された動的レーザビーム形状を適用することで、レーザ切断機を制御するものである。
【0075】
制御部及び/又はプロセッサは、プロセッサを有するハードウェアモジュール内に実現される電子モジュールであり、又はソフトウェアモジュールであり得、或いは、ハードウェアモジュール(例えば後述するFPGA、ASIC)であり得る。本発明の文脈において、「プロセッサ」は、例えば、機械又は電子回路を意味するものと理解され得る。特に、プロセッサは、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ、例えば、プログラム命令を保存するためのメモリユニットと組み合わされ得る特定用途向け集積回路又はデジタル信号プロセッサなどであり得る。プロセッサは、例えば、IC(集積回路)、特にFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路)、又は例えば、マルチチップモジュール、例えば、特にいくつかのいわゆるダイが互いに直接又はインターポーザを介して接続された2.5D又は3Dマルチチップモジュール、又はDSP(デジタル信号プロセッサ)又はGPU(グラフィックプロセッシングユニット)でもあり得る。プロセッサは、仮想化プロセッサ、仮想マシン、又はソフトCPUでもあり得る。また例えば、FPGA又はASICのように、本発明に係る前述の方法を実施するための構成ステップを備える、又はプログラム可能プロセッサが、本発明の方法、コンポーネント、モジュール、又はその他態様、及び/又は部分態様の本発明に係る特徴を実施するように構成ステップにより構成されたプログラム可能プロセッサでもあり得る。割り当てツール、及び/又は遷移ツールは、レーザ切断機を制御するためのコントローラの一部であり得、或いは、コントローラとデータ接続される個別モジュールであり得る。
【0076】
本発明の方法のステップが本明細書で記載される順序は、必ずしも当該ステップが実行される時系列順とはならない。例えば、割り当てツールを提供するステップと、遷移ツールを提供するステップとは、別のシーケンスで実行され得る。
【0077】
上述の本発明の特性、特徴、及び利点、並びに、それらがいかにして実現されるかは、図面に沿ってより詳細に説明される、以下の説明及び実施形態に照らして、より明確に、より理解可能となる。以下の説明は、含まれる実施形態に本発明を制限するものではない。同じコンポーネント又は部分は、異なる図面で、同じ参照符号が付され得る。概して、図面は実寸を反映しない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】切断部位種類組について、動的レーザビーム形状を決定する制御部の概略図である。
【
図2】切断部位種類組に対する、動的レーザビーム形状の割り当てを訓練するための、訓練アルゴリズムの概略図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態に係る、切断輪郭の各部位について、動的レーザビーム形状を決定する方法のフローチャートである。
【
図4】異なる種類の部位を有する切断輪郭の例である。
【
図5】複数の部位を有する切断輪郭の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、レーザ切断機Lによるレーザ切断のために、動的レーザビーム形状を決定する方法を実行するように構成された、制御部100の概略図を示す。
【0080】
レーザ切断機Lは、少なくとも1つの光学モジュールを備え得る切断ヘッドCHを有する。光学モジュールは、動的レーザビーム成形モジュールDBSMとして、又は動的にレーザビームの形状を変化させるための、別の種類の光学モジュールとして実施され得る。更に、レーザはコントローラPLCが設けられる。制御部100は、レーザ切断機L、特にそのコントローラPLCとデータ交換する、個別の実体として提供され得る。或いは又は更に、制御部100は、レーザ切断機LのコントローラPLC上に直接実現され得る。
【0081】
制御部100は、ワークの部分を切り出すため、レーザ切断機L上で処理される切断計画を受信するように構成される、切断計画インタフェース101を有する。各部分は、切断計画に応じて、切断輪郭により画定される。切断輪郭そのものは、異なる切断部位種類組に区分又は細分化され、例えば、直線部位、第1半径の曲線部位と第2半径の別の曲線部位、角部位、引き込み部位などである。概して、上記部分は、ワークから切り出されるものであるため(切断前に、部分とワークは離れていない)、ワークの特性を共有する。ワークは特性を有する。具体的に、ワークは、特定種類の材料製であり、特定種類の厚さを有する。また、更なる特性も処理され得る。特性は、特性インジケータにより符号化される。即ち、材料種類は材料インジケータに符号化され、及び/又は厚さは厚さインジケータに符号化される。
【0082】
制御部100は、形状格納部ShSに対するインタフェースとなるインタフェース102を更に備える。形状格納部ShSは、異なる動的レーザビーム形状組、具体的には3つ以上の当該異なる動的レーザビーム形状を記憶するように構成される。
【0083】
制御部100は、プロセッサPを更に備え、このプロセッサPは、ワークから切り出されるすべての部分について繰り返し、各切断部位に対して、自動的に、形状格納部ShSに格納された動的レーザビーム形状組の内の、特定の動的レーザビーム形状への割り当てを計算するように構成される。割り当て計算は、該当するワークの特性インジケータに基づく。特性インジケータ(1又は複数)は、切断計画から導出され得る。「切断部位の種類と、選択された動的レーザビーム形状と」の割り当ての自動計算は、切断部位の各種類について具体的に実行される。言い換えると、第1種類の切断部位(例えば、直線部位)が、第1動的レーザビーム形状に割り当てられ、第2種類の切断部位(例えば、角部位)が、第2動的レーザビーム形状に割り当てられ、第3種類の切断部位(例えば、引き込み部位)が、再度第1動的レーザビーム形状に割り当てられ、その他以下同様である。部位の種類と、動的レーザビーム形状の種類との間の関係は、n対m関係であり得る。割り当ては、割り当てアルゴリズムを実行することで提供され得る。割り当てアルゴリズムは、ルールデータベースR-DBにアクセスし得る。ルールデータベースは、部位の種類と、動的レーザビーム形状の種類との間の関係を決定するルールを記憶するように構成される。或いは又は更に、割り当てアルゴリズムは、機械学習アルゴリズム及び/又はニューラルネットワークを適用し得る。
【0084】
プロセッサPは、制御部100をレーザ切断機Lに接続する、出力インタフェース103に対して制御指示CIを提供するように構成される。提供される制御指示CIは、各切断部位、又は具体的には各種類の切断部位に対して、決定された動的レーザビーム形状を適用することで、受信した切断計画を実行するようにレーザ切断機Lを制御するように構成される。
【0085】
レーザ切断機は、例えば以下のような材料、及び厚さに対して加工/切断を実行するように構成される。
・鋼、軟鋼などの各種合金鋼、0.8mmから30mm、より薄い及び厚い材料も切断され得る
・クロム鋼(別名イノックス)、0.8mmから30mm、より薄い及び厚い材料も切断され得る
・アルミニウム、0.8mmから30mm、より薄い及び厚い材料も切断され得る
・銅などの非鉄金属、0.8mmから15mm、又は真鍮、0.8mmから15mm、いずれもより薄く又は厚いものでもよい
【0086】
材料特性は、以下を含み得る。
・物理的特性、とりわけ材料組成(Fe、C、Si、S、…)を含むものが、材料証明書により提供され得て、これは、デジタルコード(バーコード、QRコード(登録商標))に符号化され、ワーク又は切断計画とともに提供され得る、
・融点、
・表面張力、
・粘度、
・吸収係数、
・熱容量、
・熱伝導率、
・固体の密度、溶融物の密度、
・金属板の実際の温度、
・表面品質(材料上の粗さ)、
・結晶構造、及び/又は
・回転方向
【0087】
図2は、それぞれ割り当てアルゴリズムの訓練用のモジュール又は方法を示す。図示のとおり、プロセッサ及び/又は制御部とは異なり得る、処理実体に対して訓練が行われる。好ましくは、訓練が実施される処理実体は、個別ユニットである。処理実体は、具体的な動的レーザビーム形状i(例えば、各種方向における発振周波数などの、そのインジケータにより表される)、及び具体的な部位の種類aから構成されるタプルを受信するように構成された入力インタフェース21を備える。動的レーザビーム形状、及び部位の種類はいずれも、割り当てアルゴリズムの結果データセットとして提供される。言い換えると、割り当てアルゴリズムは、動的レーザビーム形状iを部位の種類aに対応させている。割り当てアルゴリズムの結果は、出力インタフェース23を介して、処理実体に送られる。割り当てアルゴリズムにより割り当て済みの、決定された具体的な動的レーザビーム形状により、具体的な部位を切断した後、切断結果の評価が実行される。評価は、例えば、品質評価であり得る。評価は、評価データセットに符号化される。入力インタフェース22により、評価データセットは処理実体に提供される。処理実体は、評価データセットを評価し、任意でそれを参照評価データセットと比較することで、出力インタフェース23により割り当ての評価を提供するように構成される。割り当ての評価は、受信した具体的な動的レーザビーム形状iと、受信した具体的な部位aとに関する。訓練データセット及び/又は重みが、割り当てアルゴリズムを較正する及び/又は訓練するために、割り当てアルゴリズムにフィードバックされ得る。
【0088】
概して、動的レーザビーム形状と、部位種類との間の割り当ては、当該割り当ての評価が良好であれば報酬が与えられ、当該割り当ての評価が悪ければペナルティが課される。
【0089】
図3は、本発明の好ましい実施形態に係る、切断計画に応じて、輪郭をレーザ切断するための、部位に応じた動的レーザビーム形状を決定する方法のフローチャートである。
【0090】
方法が開始すると、ステップS1において、切断計画が受信される。切断計画は、ワークから切り出される部分の輪郭を符号化する。切断計画は更に、材料の種類及び/又は材料の厚さを示すワーク特性を含む。ワークの特性は、ワークから切り出される部分の特性と一致する。
【0091】
ステップS2において、前ステップで切断計画とともに受信された、切断部位組の切断部位により、形状格納部ShSがアクセスされる。この形状格納部ShSには、動的レーザビーム形状組が記憶されており、具体的には、3つ以上、好ましくはある程度の数の動的レーザビーム形状が記憶されている。概して、X/Y/Z方向における周波数及び/又は振幅は原則的に、調整範囲内で任意に選択可能である。数としては穿刺、曲線部位、直線部位の最低3つから、数百又は千の動的レーザビーム形状まで、特に3から100の間の範囲となり得る。
【0092】
ステップS3は、ワークから切り出される全部分について繰り返し、各切断部位に対して、形状格納部ShS内でアクセスされる、動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動で計算することに関する。S3での割り当ての計算は、ワークの特性インジケータに基づく。割り当ての計算は、各種類の切断部位について、個別に行われる。
【0093】
ステップS4は、具体的に各切断部位に対して、決定された動的レーザビーム形状を適用することで、受信された切断計画を実行するように、レーザ切断機Lを制御するために、制御指示CIを提供することに関する。この後、方法は繰り返されても、又は終了してもよい。
【0094】
図4は、異なる種類の部位を有する切断輪郭の例である。
図4に示す例から理解できるように、切断輪郭は、切込み付きの1つの円と、切込みの上であって、円切断輪郭の右上部分における小円切断部位と、を有する円要素の一部を含む。
図4において、遷移領域及び部位が、左上がりの斜線パターンで示される。
【0095】
参照符号81a(
図4の右手側)は、外円切断輪郭に対する「穿刺」切断部位を示す。参照符号81a2は、部位81aから部位82aまでの、動的レーザビーム成形遷移領域を示す。後者の部位82aは、「引き込み直線」切断部位を示す。参照符号82a3は、部位82aから部位83までの、動的レーザビーム成形遷移領域を示す。後者の部位83は、角部位と比較して、レーザ切断ヘッドがより高速に移動し得る、「直線」切断部位を示す。参照符号834は、部位83と、部位84との間の、動的レーザビーム成形遷移領域又はフェーズを示す。部位84は、「右折角」切断部位である。参照符号845は、部位84と、部位85との間の動的レーザビーム成形遷移領域又はフェーズを示す。部位85は、別の直線切断部位を示す。参照符号856は、部位85と、部位86との間の動的レーザビーム成形遷移領域又はフェーズを示す。部位86は、「左折角」切断部位を示す。
【0096】
図4からわかるように、輪郭は更に別の円切断部位を含む。これは
図4において参照符号87で示す。この円輪郭は、「穿刺」切断部位を有する。これは
図4において、参照符号81bで示す。
図4において、部位81bと、部位82bとの間の動的レーザビーム成形遷移領域を参照符号81b2bで示す。
【0097】
図5は、異なる種類の部位を有する切断輪郭の別の例である。この例において、輪郭は、直線部位51を含む。輪郭における時計回りで次の部位は、角部位である部位52である。次の部位53は更にまた別の直線部位であり、次に角部位54があり、半径が異なる別の角部位55が続く。部位56は直線部位であり、それに参照符号56-1、56-2、56-3、及び56-4で
図5に示される、一連の角又は半径部位が続く。図示のとおり、異なる部位56間で半径が異なる。これら半径部位56-1から56-4の後に、部位57が設けられる。それに異なる半径部位58、59が続き、更なる直線部位60が続く。その後、レーザ切断ヘッドHは、閉輪郭構造を再度閉じるために、角部位61上に移動する必要がある。
【0098】
まだ明示的に上述していなくても、図面に関連して記載された個々の実施形態、又はそれらの個別の態様及び特徴は、記載された本発明の範囲を制限又は拡大することなく、それらの組み合わせ又は交換が、有意で本発明の趣旨に沿う限り、互いに組み合わせる又は交換することができる。本発明の特定の実施形態に関して記載されている、又は特定の図に関して記載されている利点は、該当する場合には、本発明の他の実施形態の利点ともなる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームの形状を動的に変更するための少なくとも1つの光学モジュールを備えるレーザ切断機(L)によるレーザ切断のために、動的レーザビーム形状を決定する、コンピュータにより実施される方法であって、
・ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信するステップ(S1)であって、各部分は、切断部位組から成る切断輪郭により画定され、各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、ステップと、
・3つ以上の動的レーザビーム形状である、動的レーザビーム形状組を格納するように構成された形状格納部(ShS)を提供するステップ(S2)と、
・プロセッサ(P)により、前記形状格納部(ShS)にアクセスして、前記ワークから切り出される全部分について繰り返し、前記切断部位のそれぞれに対して、前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動計算するステップ(S3)であって、
前記割り当ては、異なる動的レーザビーム形状が、異なる種類の部位に割り当てられるように部位固有であり、前記切断部位の種類は、直線、設定可能な特定の半径を有する円又は円の部位、設定可能な角度を有する角、パラメータ化された曲線、穿刺、引き込み、引き出し、及び/又は彫刻、を含む群から選択され、前記割り当ての計算(S3)は、前記ワークの前記特性インジケータに基づいて、前記各切断部位について個別に行われる、ステップと、
・前記プロセッサ(P)により、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機(L)を制御するために、出力インタフェース(103)に対して制御指示(CI)を提供するステップ(S4)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記割り当てを計算するステップは
、部位の特定の種類が入力され、特定の動的レーザビーム形状を出力するニューラルネットワークモデルである、訓練済みモデルにより実行されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記モデルは、
・テスト切断に使用される選択された動的レーザビーム形状と、
・テスト切断された前記ワークの前記特性インジケータと、
・テスト切断された切断部位の種類と、
・注釈付きデータラベルとなる、評価データセット付きの、前記テスト切断された部位に対して選択された動的レーザビーム形状と、
から成る訓練データにより訓練されることを特徴とする、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記評価データセットは、品質評価、要件評価、性能評価、エネルギ消費評価、加工安定性評価、バリ高さ評価、粗さ評価、送り速さ評価、切り口幅評価、ガス消費評価、輪郭誤差評価、傾斜角/直角度評価、切断面平坦度評価、熱影響部評価を含む多数の異なる一般的な評価基準を設定することを含み、及び/又は前記異なる評価基準は、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)上に設けられたユーザインタフェース選択ボタン上で調整される相互依存性を有することを特徴とする、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記モデルは、
・前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状を事前選択するステップと、
・前記事前選択された動的レーザビーム形状により、切断部位固有テスト切断を実行するステップと、
・各テスト切断に対して、評価データセットを提供することで、前記テスト切断の結果の評価を実行するステップと、
・前記評価データセットを最適化するために、目的関数などの前記モデルの重みを調整するステップと、
を実行することで訓練されることを特徴とする、請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記評価データセットは、ユーザインタフェースを利用して手動で、及び/又は触覚自動評価部により自動で提供されることを特徴とする、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記切断部位それぞれに対して、前記自動的に決定された動的レーザビーム形状は、ある種類の切断機に対して個別に決定されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
・X及び
Y方向における周波数、
・X及び
Y方向における振幅、及び/又は
・X方向に対するY方
向における位相ずれ
に対して、材料表面及び/又は焦点面上のレーザエネルギの時空間分布を通じて焦点変動形状を生成することで、前記動的レーザビーム形状組における前記動的レーザビーム形状を動的に変更することを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
遷移領域が、線形、非線形、及び/又は対数、及び/又はその他の遷移関数により決定されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記動的レーザビーム形状は、リサージュ形状として実現されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
・バリ高さ、粗さ、送り速さ、切り口幅、エネルギ消費、ガス消費、加工安定性、輪郭誤差、傾斜角/直角度、切断面平坦度、及び/又は熱影響部から成る群から選択される、切断要件を、ユーザインタフェースを通じて受信することを含み、
・前記制御指示(CI)は、前記受信した切断要件を考慮して生成されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
ユーザ入力データに基づいて、前記レーザビーム形状が決定されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
前記動的レーザビーム形状はそれぞれ、幾何学的形状を示す幾何学的データセットと
、速度、及び/又は加速度、及び/又は加加速度を示す時間関連データセットと、を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
レーザビームの形状を変更するための少なくとも1つの光学モジュー
ルを備えるレーザ切断機(L)を制御するために、動的レーザビーム形状を決定する、請求項1から
13のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された制御部(100)であって、
・ワークの部分を切り出すために処理される切断計画を受信するように構成され、各部分は、切断部位組から成る切断輪郭により画定され、各ワークは、材料インジケータ及び/又は厚さインジケータから成る群から選択される特性インジケータにより特徴付けられる、切断計画インタフェース(101)と、
・3つ以上の動的レーザビーム形状である、動的レーザビーム形状組を格納する形状格納部(ShS)に対するインタフェース(102)と、
・前記ワークから切り出される全部分について繰り返し、前記切断部位のそれぞれに対して、前記形状格納部(ShS)に格納された前記動的レーザビーム形状組の動的レーザビーム形状への割り当てを自動計算するように構成され
るプロセッサ(P)であって、前記割り当ては、異なる動的レーザビーム形状が、異なる種類の部位に割り当てられるように部位固有であり、前記切断部位の種類は、直線、設定可能な特定の半径を有する円又は円の部位、設定可能な角度を有する角、パラメータ化された曲線、穿刺、引き込み、引き出し、及び/又は彫刻、を含む群から選択され、前記割り当ての計算(S3)は、前記ワークの前記特性インジケータに基づいて、前記各切断部位について個別に行われる、プロセッサ(P)と、
を備え、
・前記プロセッサ(P)は更に、各切断部位に対して個別に、決定された前記動的レーザビーム形状を適用することで、前記受信した切断計画を実行するように、前記レーザ切断機(L)を制御するために、出力インタフェース(103)を通じて制御指示(CI)を提供するように構成されることを特徴とする、制御部。
【請求項15】
プロセッサにより実行されると、前記制御部に、請求項1から
13のいずれか1項に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラムコードを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項
15に記載のコンピュータプログラムを記憶することを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】