(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】金属-セラミック基材、その製造方法及びモジュール
(51)【国際特許分類】
C04B 37/02 20060101AFI20241018BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20241018BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20241018BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20241018BHJP
H05K 3/38 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C04B37/02 B
B32B15/04 B
B32B7/12
H05K1/03 610E
H05K3/38 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522664
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022080423
(87)【国際公開番号】W WO2023094120
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523396772
【氏名又は名称】ヘレウス エレクトロニクス ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】シュヴォーベル,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】シュネー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ニエヲラク,レシェク
(72)【発明者】
【氏名】ラウアー,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】デナディック,ルジカ
【テーマコード(参考)】
4F100
4G026
5E343
【Fターム(参考)】
4F100AA19B
4F100AB01A
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4G026BA01
4G026BB22
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4G026BH07
5E343AA23
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5E343BB67
5E343CC07
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5E343GG02
5E343GG20
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、金属-セラミック基材に関する。対処される問題は、金属層とセラミック体との間の非常に安定した接合と、また、高い熱伝導性及び電気伝導性とを有する、金属-セラミック基材を提供することである。金属-セラミック基材は、(a)セラミック体、(b)金属層、及び(c)セラミック体と金属層との間に位置する接合層を含む。接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。接合層は、以下の特性:(c1)M(M2)
EDX=10~20重量%、(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]
ICP
*1000重量%+M(M2)
EDX≦100重量%、及び(c3)M(Ag)
EDX<10重量%、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)セラミック体と、
(b)金属層と、
(c)前記セラミック体と前記金属層との間に位置する接合層であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、接合層と、
を含む、金属-セラミック基材であって、
前記接合層は、以下の特性:
(c1)M(M2)
EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]
ICP
*1000重量%+M(M2)
EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)
EDX<10重量%
を有することを特徴とし、
式中、
M(M2)
EDXは、EDXを用いて決定される、前記接合層中の前記金属M2含有量の含有量[重量%]であり、
[M(M4)/M(M2)]
ICPは、ICPを用いて決定される、前記接合層中の金属M4の、前記接合層中の前記金属M2の含有量に対する比であり、
M(Ag)
EDXは、EDXを用いて決定される、前記接合層中の銀含有量[重量%]である、
金属-セラミック基材。
【請求項2】
前記セラミック体のセラミックが、窒化アルミニウムセラミック、窒化ケイ素セラミック、及び酸化アルミニウムセラミックからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の金属-セラミック基材。
【請求項3】
前記金属層の金属が銅であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項4】
前記金属M1が銅であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項5】
前記金属M2がスズであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項6】
前記金属M3が、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム及びセリウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項7】
前記金属M4がビスマスであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項8】
前記接合層が、以下の特性:
(c1’)M(M2)
EDX=10~15重量%
を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項9】
前記接合層が、以下の特性:
(c2’)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]
ICP
*1000重量%+M(M2)
EDX≦70重量%
を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項10】
前記接合層が、以下の特性:
(c3’)M(Ag)
EDX<1重量%
を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材。
【請求項11】
金属-セラミック基材の製造方法であって、
a)積層体であって、
a1)セラミック体と、
a2)金属箔と、
a3)前記セラミック体及び前記金属箔と接触しているはんだ材料であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、はんだ材料と、
を含む、積層体を準備するステップと、
b)前記積層体を加熱して、金属-セラミック基材を得るステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の金属-セラミック基材を含む、モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属-セラミック基材、金属-セラミック基材の製造方法、及び金属-セラミック基材を有するモジュールに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
金属セラミック基材は、パワーエレクトロニクスの分野において重要な役割を果たす。それらは、電子成分を構築するときに重要な要素であり、当該成分の動作中に大量の熱の迅速な放散を確実にする。金属-セラミック基材は、典型的には、セラミック層と、セラミック層に接合された金属層と、からなる。
【0003】
金属層をセラミック層に接合するためのいくつかの方法が従来技術から知られている。いわゆるDCB(direct copper bonding)「直接銅接合」法では、銅と反応性ガス(通常は酸素)とを反応させて、銅箔の表面に銅よりも融点の低い銅化合物(通常は酸化銅)を設ける。このように処理された銅箔をセラミック体に適用し、複合体を焼成すると、銅化合物が溶融し、セラミック体の表面を濡らし、銅箔とセラミック体との間で安定した凝集接合が達成される。この方法は、例えば、米国特許第3744120(A)号又は独国特許第2319854(C2)号に記載されている。
【0004】
明らかな利点にもかかわらず、DCB方法は、2つの主な不利点を有する。第1に、方法は、比較的高い温度、すなわち、銅の融点をやや下回る温度で実施されなければならない。第2に、方法は、酸化アルミニウム又は表面上酸化した窒化アルミニウムなどの酸化物ベースのセラミックのみに使用され得る。したがって、より低い厳密性の条件下で金属-セラミック基材を製造するための代替の方法の必要性がある。代替の方法では、金属箔は、約650~1000℃の温度でセラミック体に接合され得、ここで、特有のはんだが使用され、はんだは、少なくとも700℃の融点を有する金属(通常、銀)と、活性金属とを含有する。活性金属の役割は、セラミック材料と反応し、したがってセラミック材料の残りのはんだへの接合を容易にし、反応層を形成することであり、一方、少なくとも700℃の融点を有する金属は、当該反応層を金属箔に接合するのに役立つ。例えば、特許第4812985(B2)号は、50~89重量%の銀、並びに銅、ビスマス及び活性金属を含有するはんだを使用して、銅箔をセラミック体に接合することを提案している。この方法により、銅箔をセラミック体に安定に取り付けることができる。
【0005】
銀の移動に関連する問題を回避するために、金属箔をセラミック体に接合するために銀を含まないはんだを使用することが有利であり得る。これらのはんだは、例えば、高融点金属(特に、銅)、低融点金属(ビスマス、インジウム、又はスズなど)、及び活性金属(チタンなど)をベースにする。このような技法は、例えば、独国特許出願公開第102017114893(A1)号に提案されている。この技術は、基本的に、使用されるはんだの基礎が別の金属(銀の代わりに銅)によって形成されるため、新しい独立したクラスの化合物をもたらし、材料特性の変化を導き、他のはんだ成分及び変更された接合条件に関する適合をもたらす。したがって、このようにして製造された金属-セラミック基材は、金属層及びセラミック体に加えて、金属層と活性金属を含有するセラミック体との間に接合層を含む。
【0006】
パワーエレクトロニクスの分野における絶えず増加する要件はまた、金属-セラミック基材内の金属層とセラミック体との間の接合の安定性、並びに金属-セラミック基材の熱伝導性及び電気伝導性に対する要件の増加を見ている。金属層とセラミック体との間の接合の安定性は、接合層中の低融点金属の含有量が増加するにつれて増加することが見出された。しかしながら、接合層における低融点金属の含有量が多くなると、金属-セラミック基材の金属層への低融点金属の拡散が多くなるという問題がある。この作用により、金属-セラミック基材の熱伝導性及び電気伝導性が低下する。
【0007】
したがって、一方では金属層とセラミック体との間に非常に安定した接合を含み、他方では高い熱伝導性及び電気伝導性を有する金属-セラミック基材が必要とされている。銀移動に関連して生じる問題を回避するために、少なくとも大部分が銀を含まないそのような金属-セラミック基材も必要とされている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、一方では金属層とセラミック体との間に非常に安定した接合を含み、他方では高い熱伝導性及び電気伝導性を有する金属-セラミック基材を提供することである。したがって、本発明の更なる目的は、銀移動に関連して生じる問題を有さないそのような金属-セラミック基材を提供することである。
【0009】
これらの目的は、請求項1の金属-セラミック基材によって達成される。したがって、本発明は、
(a)セラミック体と、
(b)金属層と、
(c)セラミック体と金属層との間に位置する接合層であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、接合層と、
を含む、金属-セラミック基材であって、
接合層は、以下の特性:
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX<10重量%
を有することを特徴とし、
式中、
M(M2)EDXは、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M2含有量であり、
[M(M4)/M(M2)]ICPは、ICPを用いて決定される、接合層中の金属M4の、接合層中の金属M2の含有量に対する比であり、
M(Ag)EDXは、EDXを用いて決定される接合層中の銀含有量である、
金属-セラミック基材を提供する。
【0010】
更に、本発明は、金属-セラミック基材の製造方法及び金属-セラミック基材を有するモジュールを提供する。
【0011】
本発明による金属-セラミック基材は、セラミック体と、金属層と、接合層と、を含む。
【0012】
金属-セラミック基材において、接合層は、セラミック体と金属層との間に位置する。したがって、接合層は、セラミック体及び金属層と接触していることが好ましい。好ましい実施形態によれば、金属-セラミック基材は、セラミック体と、(第1の)金属層と、セラミック体及び第1の金属層に接触する(第1の)接合層と、第2の金属層と、セラミック体及び第2の金属層に接触する第2の接合層と、を含む。この実施形態によれば、セラミック体と(第1の金属)層との間に(第1の)接合層が位置していることが好ましく、セラミック体と第2金属層との間に第2の接合層が位置していることが好ましい。更には、この実施形態によれば、第1の接合層の組成は、第2接合層の組成に対応していることが好ましい。
【0013】
セラミック体は、好ましくは、第1の表面及び第2の表面を含む。金属層は、好ましくは、第1の表面を含む。第2の金属層は、存在する場合、好ましくは第1の表面を含む。好ましい実施形態によれば、(第1の)接合層は、セラミック体の第1の表面と(第1の)金属層の第1の表面との間の金属-セラミック基材内に位置する。更に好ましい実施形態によれば、金属-セラミック基材は、セラミック体の第2の表面及び第2の金属層の第1の表面に接触する第2の接合層を含む。この実施形態によれば、(第1の)接合層は、好ましくは、セラミック体の第1の表面と(第1の)金属層の第1の表面との間の金属-セラミック基材内に位置し、第2の接合層は、好ましくは、セラミック体の第2の表面と第2の金属層の第1の表面との間に位置する。更に好ましい実施形態によれば、本発明による接合層に加えて、セラミック体と(第1の)金属層との間に更なる層は配置されない。更に別の実施形態によれば、本発明による接合層に加えて、存在する場合、セラミック体と第2の金属層との間に更なる層は配置されない。
【0014】
セラミック体のセラミックは、好ましくは、絶縁セラミックである。好ましい実施形態によれば、セラミックは、酸化物セラミック、窒化物セラミック、及び炭化物セラミックからなる群から選択される。更に好ましい実施形態によれば、セラミックは、金属酸化物セラミック、酸化ケイ素セラミック、金属窒化物セラミック、窒化ケイ素セラミック、窒化ホウ素セラミック、及び炭化ホウ素セラミックからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、セラミックは、窒化アルミニウムセラミック、窒化銀セラミック、及び酸化アルミニウムセラミック(ZTA(zirconia toughened alumina)「ジルコニア強化アルミナ」セラミックなど)からなる群から選択される。更に非常に特に好ましい実施形態によれば、セラミック体は、(1)ケイ素及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの元素、(2)酸素及び窒素からなる群から選択される少なくとも1つの元素、任意選択的に(3)(3a)希土類金属、(3b)元素の周期表の第2族元素の金属、(3c)ジルコニウム、(3d)銅、(3e)モリブデン及び(3f)ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素、並びに任意選択的に(4)不可避の不純物からなる。更に別の非常に特に好ましい実施形態によれば、セラミック体は、ビスマス、ガリウム、及び亜鉛を含まない。
【0015】
セラミック体は、好ましくは0.05~10mm、より好ましくは0.1~5mmの範囲、特に好ましくは0.15~3mmの範囲の厚さを有する。
【0016】
金属層の金属は、好ましくは、銅、アルミニウム、及びモリブデンからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属層の金属は、銅及びモリブデンからなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属層の金属は銅である。更に非常に特に好ましい実施形態によれば、金属層は、銅及び不可避の不純物からなる。
【0017】
金属層は、好ましくは0.01~10mmの範囲、特に好ましくは0.03~5mmの範囲、非常に特に好ましくは0.05~3mmの範囲の厚さを有する。
【0018】
接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。
【0019】
接合層は、好ましくは、セラミック体と金属層との間に位置する金属-セラミック基材の領域を意味すると理解される。
【0020】
接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1を含む。少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、好ましくは少なくとも850℃の融点を有し、特に好ましくは少なくとも1000℃の融点を有する。好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、銅、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、銅である。
【0021】
接合層(ii)は、700℃未満の融点を有する金属M2を含む。700℃未満の融点を有する金属M2は、好ましくは600℃未満の融点を有し、特に好ましくは550℃未満の融点を有する。特に好ましい実施形態によれば、700℃未満の融点を有する金属M2は、スズである。
【0022】
接合層は、(iii)活性金属の群から選択される金属M3を含む。したがって、金属M3は、化学反応によってセラミックとの接合を生成する金属であることが好ましい。好ましい実施形態によれば、金属M3は、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、タンタル及びバナジウムからなる群から選択される。より好ましい実施形態によれば、金属M3は、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、及びセリウムからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属M3は、ハフニウム、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属M3はチタンである。
【0023】
接合層は、(iv)金属M4を含む。金属M4は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属である。特に好ましい実施形態によれば、金属M4は、ビスマス、ガリウム、及び亜鉛からなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属M4はビスマスである。
【0024】
金属M1、M2、M3、及びM4は異なる金属である。したがって、セラミック体と金属層との間に位置する接合層は、金属M1、M2、M3、及びM4の各々を含む。したがって、セラミック体と金属層との間に位置する接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、及び(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含み、金属M1、M2、M3及びM4は異なる。したがって、700℃未満の融点を有する金属M2は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択されない。更に、金属M2は、活性金属ではない。同様に、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、ゲルマニウムではない。更には、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、活性金属ではない。
【0025】
本発明によれば、接合層は、以下の特性:
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX<10重量%
を有し、
式中、
M(M2)EDXは、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M2含有量の含有量[重量%]であり、
[M(Bi)/M(M2)]ICPは、ICPを用いて決定される、接合層中の金属M4の、接合層中の金属M2の含有量に対する比であり、
M(Ag)EDXは、EDXを用いて決定される、接合層中の銀含有量[重量%]である。
【0026】
特性(c1)によれば、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M2の含有量は、10~20重量%である。好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c1’)M(M2)EDX=10~18重量%
を有する。
【0027】
特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c1’’)M(M2)EDX=10~15重量%
を有する。
【0028】
特性(c2)によれば、金属M4の含有量と金属M2の含有量との間には関係があり、そのため接合層は以下の特性:
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%
を有する。
【0029】
好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c2’):15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦80重量%
を有する。
【0030】
特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c2’’):15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦70重量%
を有する。
【0031】
驚くべきことに、少量の金属M4の添加によって、セラミック体と金属層との間の特に安定した接合に必要な700℃未満の融点を有する金属M2の量を既に低減することができ、その結果、金属M2が金属層に拡散することによる金属-セラミック基材の電気伝導性及び熱伝導性が損なわれないことが見出された。更に、驚くべきことに、接合層中の金属M2の含有量が規定の領域内にある場合、特に安定した接合が達成されることが見出された。この効果に必要な接合層中の金属M2とM4の割合の関係は、特性(c1)及び(c2)で表される。したがって、驚くべきことに、700℃未満の融点を有する金属M2の含有量と、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4の含有量とを調整することによって、一方ではセラミック体と金属層との間に特に安定した接合を有し、他方では高い電気伝導性及び熱伝導性を有する金属-セラミック基材が提供される。
【0032】
特性(c3)によれば、EDXを用いて決定される、接合層中の銀の含有量は、10重量%以下である。したがって、本発明はまた、接合層が銀を含まない、すなわち、接合層中のEDXを用いて決定される銀の含有量が0重量%である実施形態を含む。
【0033】
特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c3’)M(Ag)EDX<5重量%
を有する。
【0034】
非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c3’’)M(Ag)EDX<1重量%
を有する。
【0035】
銀が存在しないか、又は少量の銀のみが存在することは、金属-セラミック基材内の接合層の縁部における銀の望ましくない移動を回避又は低減することができることを意味する。
【0036】
好ましい実施形態によれば、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M1の含有量(M(M1)EDX)は、65~89重量%の範囲である。特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M1の含有量(M(M1)EDX)は、67~88重量%の範囲である。非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M1の含有量(M(M1)EDX)は、70~88重量%の範囲である。
【0037】
好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M3の含有量(M(M3)EDX)は、0.5~15重量%の範囲である。特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M3の含有量(M(M3)EDX)は、0.5~14重量%の範囲である。非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M3の含有量(M(M3)EDX)は、1~14重量%の範囲である。
【0038】
好ましい実施形態によれば、接合層中の、ICPを用いて決定される金属M4の含有量(M(M4)ICP)は、0.01~2重量%の範囲である。特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、ICPを用いて決定される金属M4の含有量(M(M4)ICP)は、0.01~1.5重量%の範囲である。非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、ICPを用いて決定される金属M4の含有量(M(M4)ICP)は、0.1~1重量%の範囲である。
【0039】
本発明による金属-セラミック基材は、当分野における標準的な実施を構成する方法で製造することができる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、本発明による金属-セラミック基材を製造するための方法は、
a)積層体であって、
a1)セラミック体と、
a2)金属箔と、
a3)セラミック体及び金属箔と接触しているはんだ材料であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、はんだ材料と、
を含む積層体を準備するステップと、
b)積層体を加熱して、金属-セラミック基材を得るステップと、
を含む。
【0041】
したがって、最初に、セラミック体と、金属箔と、セラミック体及び金属箔と接触するはんだ材料と、を含む積層体が提供されることが好ましい。
【0042】
したがって、積層体において、はんだ材料は、セラミック体と金属箔との間に位置することが好ましい。好ましい実施形態によれば、積層体は、セラミック体と、(第1の)金属箔と、セラミック体及び第1の金属箔と接触している(第1の)はんだ材料と、第2の金属箔と、セラミック体及び第2の金属箔と接触している第2のはんだ材料と、を含む。この実施形態によれば、(第1の)はんだ材料は、好ましくは、セラミック体と(第1の)金属箔との間に位置し、第2のはんだ材料は、好ましくは、セラミック体と第2の金属箔との間に位置する。更に、この実施形態によれば、第1のはんだ材料は、好ましくは、第2のはんだ材料に相当する。
【0043】
セラミック体、金属箔及びはんだ材料は、本発明による金属-セラミック基材が加熱後に製造されるように設計されることが好ましい。
【0044】
したがって、セラミック体及び金属箔は、金属-セラミック基材のセラミック体及び金属層に関して上述したように設計されることが好ましい。
【0045】
はんだ材料は、好ましくは、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。金属M1、金属M2、金属M3及び金属M4は、金属-セラミック基材の接合層に関して上述したように設計されることが好ましい。
【0046】
したがって、金属M1、M2、M3、及びM4は、異なる金属である。したがって、セラミック体及び金属層と接触するはんだ材料は、金属M1、M2、M3、及びM4の各々を含む。したがって、セラミック体及び金属層と接触しているはんだ材料は、i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含み、金属M1、M2、M3及びM4は異なる。したがって、700℃未満の融点を有する金属M2は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択されない。更に、金属M2は、活性金属ではない。同様に、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、ゲルマニウムではない。更には、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、活性金属ではない。
【0047】
好ましい実施形態によれば、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4は、少なくとも1つの金属成分の構成成分として存在する。したがって、はんだ材料は、好ましくは、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4を含む少なくとも1つの金属成分を含む。例えば、はんだ材料は、金属M1を含有する金属成分(i)と、金属M2を含有する金属成分(ii)と、金属M3を含有する金属成分(iii)と、金属M4を含有する金属成分(iv)とを含むことが好ましい場合がある。更に、はんだ材料は、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4からなる群からのメンバーを含有する金属成分(i)と、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4からなる群からのメンバーを含む少なくとも1つの更なる金属成分(ii)と、を含み、これらは金属成分(i)に含有されないことが好ましい場合もある。「金属成分」という用語は、更に限定されない。金属及び金属合金に加えて、金属間相及び他の化合物(例えば、金属水素化物など)などの金属化合物も含まれる。したがって、好ましい実施形態によれば、金属成分は、金属、金属合金、及び金属化合物からなる群から選択される。
【0048】
はんだ材料は、好ましくは、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、少なくとも700℃の融点を有する金属M1を含有する金属成分(i)を含む。特に好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、銅を含有する金属成分(i)を含む。更に好ましい実施形態によれば、金属成分(i)は、銅である。
【0049】
はんだ材料は、好ましくは、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、700℃未満の融点を有する金属M2を含有する金属成分(ii)を含む。特に好ましい実施形態によれば、金属成分(ii)は、700℃未満の融点を有する金属M2と更なる金属との合金である。更なる金属は、例えば、700℃未満の融点を有する金属M1、少なくとも700℃の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、インジウム、ゲルマニウム、ガリウム、及び亜鉛からなる群から選択される金属M4からなる群から選択することができる。更に好ましい実施形態によれば、700℃未満の融点を有する金属M2を含有する金属成分(ii)は、スズ、スズ-銅合金、スズ-ビスマス合金、スズ-アンチモン合金、スズ-亜鉛-ビスマス合金、及びインジウム-スズ合金からなる群から選択される。
【0050】
はんだ材料は、好ましくは、活性金属の群から選択される金属M3を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、活性金属の群から選択される金属M3を含有する金属成分(iii)を含む。特に好ましい実施形態によれば、金属成分(iii)は、活性金属合金又は活性金属化合物、特に好ましくは活性金属水素化物である。金属成分(iii)は、好ましくは、水素化チタン、チタン-ジルコニウム-銅合金、水素化ジルコニウム、及び水素化ハフニウムからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属成分(iii)は、水素化ハフニウム、水素化チタン、及び水素化ジルコニウムからなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属成分(iii)は、水素化チタンである。
【0051】
はんだ材料は、好ましくは金属M4を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含有する金属成分(iv)を含む。特に好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、ビスマスを含有する金属成分(iv)を含む。更に好ましい実施形態によれば、金属成分(iv)はビスマスである。
【0052】
好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、65~89重量%、特に好ましくは67~88重量%、非常に特に好ましくは70~88重量%である。更に好ましい実施形態によれば、700℃未満の融点を有する金属M2の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、10~20重量%、特に好ましくは10~18重量%、非常に特に好ましくは10~15重量%である。更に別の好ましい実施形態によれば、活性金属の群から選択される金属M3の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、0.5~15重量%、特に好ましくは0.5~14重量%、非常に特に好ましくは1~14重量%である。更に好ましい実施形態によれば、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて0.01~2重量%、特に好ましくは0.01~1.5重量%、非常に特に好ましくは0.1~1重量%である。はんだ材料は、好ましくは銀を含まないか、又は銀が少ない。したがって、銀の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、非常に特に好ましくは1重量%未満である。
【0053】
はんだ材料は、セラミック体及び金属箔と接触している。したがって、はんだ材料は、好ましくは、セラミック体と金属箔との間に位置する。例えば、はんだ材料をセラミック体に設けた後、金属箔をはんだ材料に適用してもよい。はんだ材料は、好ましくは、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含むペースト、箔及び堆積物からなる群から選択される少なくとも1つの材料である。
【0054】
はんだ材料は、ペーストとすることができる。ペーストは、好ましくは、(a)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分、並びに(b)有機媒体を含む。
【0055】
有機媒体は、関連技術分野において通常用いられる有機媒体であることが好ましい。有機媒体は、有機バインダー、有機分散剤又はこれらの混合物を含有することが好ましい。
【0056】
有機バインダーは、好ましくは、加熱中に、はんだ材料から除去される。有機バインダーは、好ましくは熱可塑性物質又は熱硬化性物質である。有機バインダーの例には、セルロース誘導体(エチルセルロース、ブチルセルロース、及びセルロースアセタートなど)、ポリエーテル(ポリオキシメチレンなど)、及びアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート及びポリブチレンメタクリレートなど)が挙げられる。
【0057】
有機分散剤は、好ましくは、ペーストに適切な粘度を付与し、ペーストの乾燥中又は加熱中に排出される有機化合物である。有機分散剤は、例えば、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、脂環式アルコール、芳香族環状カルボン酸エステル、脂環式エステル、カルビトール及び脂肪族ポリオールから選択することができる。有機分散剤の例には、オクタノール、デカノール、テルピネオール(例えばジヒドロテルピネオール)、シクロヘキサノール、フタル酸ジブチル、カルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、ブタンジオール及びグリセロールが含まれる。
【0058】
ペーストは更に、当分野における標準的な実施において使用される添加剤を含有することができる。そのような添加剤の例には、無機バインダー(ガラスフリットなど)、安定剤、界面活性剤、分散剤、レオロジー調整剤、湿潤助剤、消泡剤、充填剤、及び硬化剤が含まれる。
【0059】
好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分の割合は、ペーストの総重量に対して20~95重量%、より好ましくは30~95重量%、特に好ましくは75~95重量%である。更に好ましい実施形態によれば、有機媒体の割合は、ペーストの総重量に対して5~80重量%、より好ましくは5~70重量%、特に好ましくは5~25重量%である。
【0060】
更に好ましい実施形態によれば、(a)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分の総重量と、(b)有機媒体の重量との比は、少なくとも5:1、特に好ましくは少なくとも7:1、非常に特に好ましくは少なくとも8:1である。好ましい実施形態によれば、(a)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分の総重量と、(b)有機媒体の重量との比は、1:1~20:1の範囲、特に好ましくは2:1~20:1の範囲、特に好ましくは5:1~15:1の範囲である。
【0061】
積層体を準備するために、ペーストは、好ましくは、セラミック体の表面に適用される。ペーストは、例えば、分散方法又は印刷方法によって、適用され得る。好適な印刷方法としては、例えば、スクリーン印刷プロセス、インクジェット印刷法、オフセット印刷プロセスが挙げられる。好ましくは、ペーストは、スクリーン印刷方法によって、セラミック体の表面に適用される。
【0062】
ペーストを適用した後、必要に応じてペーストを予備乾燥することができる。予備乾燥は、室温又は高温で行うことができる。予備乾燥についての条件は、ペーストに含有された有機媒体に依存して、変わり得る。予備乾燥温度は、例えば、50~180℃の範囲内であってもよく、好ましくは80~150℃の範囲である。予備乾燥は、通常、2分間~2時間にわたって、好ましくは5分間~1時間にわたって、実施される。
【0063】
その後、金属箔の表面にペーストが適用され、必要に応じて予備乾燥して積層体を得ることができる。
【0064】
はんだ材料はフィルムとすることができる。
【0065】
フィルムは、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。更に、フィルムは、例えば、適切なバインダーなどの更なる構成要素を含むことができる。
【0066】
フィルムは、例えば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分によって、任意選択で、均質化され、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4の融点より低い温度であるが、金属間の接合を形成するのに十分である温度に加熱される更なる成分によって得ることができる。この温度は、例えば、少なくとも200℃であり得る。
【0067】
あるいは、フィルムは、例えば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分と、バインダーとを混合し、混合物を形成及び加熱して成形体を形成することによって得ることができる。加熱中に、バインダーは、硬化することができ、金属がその内に分配されているマトリックスを形成することができる。
【0068】
積層体を準備するために、フィルムは、例えば、セラミック上に配置することができる。次いで、金属箔の表面は、積層体を得るために、セラミック上に位置するフィルムに適用され得る。
【0069】
更なる実施形態によれば、はんだ材料は、堆積物とすることができる。はんだ材料の堆積は、例えば、ガルバニック堆積又は蒸着によって生成することができる。好ましくは、はんだ材料堆積物はセラミック体上に生成される。その後、積層体を得るために、セラミック上に堆積されたはんだ材料に金属箔を適用することができる。
【0070】
積層体を加熱して金属-セラミック基材を得る。好ましい実施形態によれば、加熱は、セラミック体と金属箔との間に凝集接合を形成するはんだ材料によって金属-セラミック基材を得るために行われる。凝集接合は、好ましくは、金属M3が加熱中にセラミック体に接合され、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4、並びに金属箔の金属が接合されて合金を形成することによって形成される。その後の凝固中に、セラミック体及び得られた合金に接合された活性金属M3を介して、セラミック体と金属箔との間に凝集接合が形成される。
【0071】
加熱中に、積層体は、ピーク温度に加熱される。ピーク温度は、更に限定されず、好ましくは、少なくとも700℃の融点を有する金属M1の融点以下であり、金属箔の金属の融点よりも低い。好ましい実施形態によれば、ピーク温度は、金属箔の金属の融点を、少なくとも10℃、特に好ましくは少なくとも50℃下回る。更に好ましい実施形態によれば、ピーク温度は、少なくとも700℃である。ピーク温度は、好ましくは700~1100℃の範囲、特に好ましくは750~1050℃の範囲、非常に特に好ましくは800~1000℃の範囲である。本明細書で使用されるピーク温度は、熱電対によって積層体で測定された温度を指す。ピーク温度は、積層体において測定される最大温度である。溶融金属の過度の流動性に起因する溶融金属の過度の収縮又は膨潤などの不都合な作用を防止するために、当業者は、過度に高いピーク温度を回避するように努力する。
【0072】
加熱中、積層体は高温加熱期間にわたって熱を供給される。本明細書における高温加熱期間は、好ましくは、積層体が、ピーク温度である250℃に少なくとも等しい温度に曝される期間を指す。したがって、900℃の例示的なピーク温度では、高温加熱期間は、加熱中に積層体が少なくとも650℃の温度に曝される期間に対応する。好ましい実施形態によれば、高温加熱期間は、60分以下、より好ましくは50分以下、特に好ましくは45分以下、非常に特に好ましくは40分以下である。高温加熱期間は、好ましくは2~60分の範囲、より好ましくは3~50分の範囲、特に好ましくは5~45分の範囲、非常に特に好ましくは10~40分の範囲である。
【0073】
積層体は、好ましくは、加熱ゾーンから開始して積層体の方向に行われる加熱に必要なエネルギー入力によって加熱される。凝集接合は、好ましくは、セラミック体と接合を形成する金属M3、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、700℃未満の融点を有する金属M4、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4と、金属箔の金属とが接合して合金を形成することによって形成される。その後の凝固中に、セラミック体及び合金に接合された活性金属M3を介して、セラミック体と金属箔との間に凝集接合が形成される。
【0074】
特に好ましい実施形態によれば、積層体は、オーブン内、好ましくは連続炉内又はチャンバ炉内で加熱される。
【0075】
非酸化性雰囲気が、好ましくは、加熱ゾーン内に存在する。非酸化性雰囲気は、好ましくは、不活性ガス雰囲気である。窒素雰囲気、ヘリウム雰囲気、又はアルゴン雰囲気が、好ましくは、加熱ゾーン内に存在する。特に好ましい実施形態によれば、窒素雰囲気が、加熱ゾーン内に存在する。非酸化性雰囲気中の反応性ガス、特に、酸素の割合は、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満、特に好ましくは40ppm未満である。
【0076】
積層体が加熱されているとき、好ましくは、セラミック体と、金属層と、セラミック体と金属層との間に位置する接合層とを含む金属-セラミック基材を得るために、はんだ材料を介してセラミック体と金属箔との間に凝集接合が形成される。必要に応じて、金属-セラミック基材に更なる処理ステップを施すことができる。例えば、金属-セラミック基材、好ましくは金属-セラミック基材の金属層の露出面を研磨することができる。好ましくは、金属-セラミック基材の金属層の表面は、物理的又は化学的に研磨される。更に、金属-セラミック基材を構成することができる。例えば、金属-セラミック基材には、導体トレースが提供され得る。導体トレースは、好ましくは、エッチングによって生成される。
【0077】
本発明による金属-セラミック基材は、特に、エレクトロニクスにおける用途、特にパワーエレクトロニクスの分野に使用することができる。
【0078】
したがって、本発明は、上述の金属-セラミック基材を有するモジュールも提供する。
【0079】
好ましい実施形態によれば、そのようなモジュールはベースプレートを含む。当該ベースプレートは、好ましくは、金属-セラミック基材の金属層に広範囲に接合される。更に好ましい実施形態によれば、モジュールは少なくとも1つのチップを含む。少なくとも1つのチップは、好ましくは、少なくとも1つの金属-セラミック基材の金属層に広範囲に接合される。更に好ましい実施形態によれば、モジュールは、第1の金属層及び第2の金属層(第1の金属層は好ましくは第2の金属層の反対側にある)を含む金属-セラミック基材と、ベースプレートと、少なくとも1つのチップと、を含み、少なくとも1つのチップは金属-セラミック基材の第1の金属層に接合されており、ベースプレートは金属-セラミック基材の第2の金属層に接合されている。
【0080】
金属-セラミック基材の接合層の特性は、以下に記載する測定方法を用いて決定されることが好ましい。
【0081】
測定方法:
(i)接合層における金属M1、M2、M3及び銀の含有量(特性M(M1)EDX、M(M2)EDX、M(M3)EDX及びM(Ag)EDX)の決定方法:
接合層中の金属M1、M2、M3及び銀の含有量は、好ましくは以下のように決定される。
【0082】
第1のステップでは、まず、検査される金属-セラミック基材から、100mm2~400mm2の範囲の矩形の底辺を有する直方体状のサンプルブランクを、低回転速度のダイヤモンドソーブレードを用いて、金属-セラミック基材の金属層が広がる平面に垂直な油性潤滑剤(Buehler)を用いてのこ引き(sawing)することによって切り出す。したがって、サンプルブランクは、検査に供給されるサンプル表面を有する。したがって、このサンプル表面は、のこ引き前の金属-セラミック基材の金属層が広がる平面に対して垂直に延びる。したがって、サンプルブランクは、セラミック体、金属層、及びそれらの間の接合層上に部分を有する。サンプルブランクは、まず低収縮エポキシ樹脂(Epo-Fix,Struers)を含む鋳型に埋め込まれ、サンプル表面は鋳型壁に対して垂直に配向される。次いで、エポキシ樹脂を室温で硬化させる。硬化後、サンプルブランクのサンプル表面は、1μm以下の粗さを達成するために、自動研磨装置(Tegrapole,Struers)で機械的に研磨される。
【0083】
第2のステップでは、金属スパッタリング装置(Q150T、Quorum Technologies)を用いて、研磨されたサンプル表面を1~5nmの厚さでイリジウムで導電コーティングする。
【0084】
第3のステップでは、サンプル表面の分析ゾーンが、走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)によって検査される。SEM-EDXでは、集束された一次電子ビームが、サンプル表面上を点ごとに誘導(スクリーニング)される。散乱電子は、検出器を使用して検出され、ピクセル当たりの電子の数は、グレースケールのサンプル表面の顕微鏡画像をもたらす。更に、一次電子ビームは、特徴的なX線放射を放出するようにサンプルを励起し、サンプル中の元素及びそれらの重量割合は、EDX検出器を使用してエネルギースペクトルを分析することによって決定することができる。検査には、シリコンドリフトEDX検出器(NORAN,Thermo Scientific Inc)を備えた走査型電子顕微鏡(JSM-6060 SEM,JEOL Ltd)及び分析ソフトウェア(Pathfinder Mountaineer EDS System、例えばバージョン2.8、Thermo Scientific Inc)を使用する。走査型電子顕微鏡の場合、以下の設定が使用される:倍率:1000倍、加速電圧=15kV、作動距離=10mm、スポットサイズ(50~60)(EDX検出器のデッドタイムの25%+/-5%に達するように設定)。
【0085】
第4のステップでは、電子顕微鏡写真(後方散乱電子顕微鏡写真)としてEDXソフトウェアを使用してサンプル表面を検出する。少なくとも125μm(水平)×90μm(垂直)の矩形視野が得られ、分析ゾーンはEDXソフトウェアの点分析機能を使用して定義される。分析ゾーンは、
図1を参照して以下のように説明することができる。
a)サンプル表面は、電子顕微鏡写真100において、セラミック体120のカットアウトが底部にあり、金属層110のカットアウトが頂部にあるように配向されている。電子顕微鏡写真100では、セラミック体(暗)120と接合層又は金属層(明)110との間に遷移部5が見える。分析ゾーン130の矩形の下側境界線10は、当該遷移部5に平行な線によって描写され、この線は、この遷移部5で排他的にセラミック体120を通って直接延びている。
b)この配向で、サンプル表面を、700℃未満の融点を有する金属M2の存在及び活性金属M3の存在について調べる。接合層又は金属層110内の電子顕微鏡写真100のグレースケール画像が調査され、金属M2は最も明るいピクセルを有し、金属M3は最も暗いピクセルを有する(セラミック体を除く)。分析ゾーン130の矩形の下側境界線10に平行な電子顕微鏡写真100の線は、700℃未満の融点を有する金属M2又は金属M3のいずれかが検出される最も遠い点を通り、分析ゾーン130の矩形の上側境界線20を形成する。
c)分析ゾーン130の矩形の左境界線30及び右境界線40は、サンプル表面の視野の境界線の距離(好ましくは125μm)に相当する距離で互いに平行に延びており、下側境界線10及び上側境界線20に垂直である。
【0086】
第5のステップでは、EDX検出器の以下の設定を使用してEDXスペクトルを検出する:ライブ時間=30秒、速度=自動、低エネルギーカットオフ=100keV、高エネルギーカットオフ=自動(SEM加速電圧当たり)。
【0087】
第6のステップでは、スペクトルが分析される。この目的のために、検査される元素が選択され、セラミック体に含有される元素(その存在は、任意選択的に従来の試験方法によって事前に決定することができる)、イリジウム及びエポキシ樹脂の元素が選択解除される。検査される元素のそれぞれの量は重量%で示され、合計量は100%に相当する。
【0088】
第3~第6のステップは、異なる点で9回繰り返される。次いで、合計10回の個々の測定から得られた値から平均値を決定する。
【0089】
(ii)接合層中の元素M4の含有量の、接合層中の金属M2の含有量に対する比(特性[M(M4)/M(M2)]ICPの決定方法:
金属-セラミック基材の接合層中の比[M(M4)/M(M2)]ICPは、好ましくは以下のように決定される。
【0090】
検査される金属-セラミック基材をHDPE(高密度ポリエチレン)製のプラスチックビーカーに移し、低熱供給で塩酸(濃度=30%)及び硝酸(濃度=65%)と混合する。フッ化水素酸(濃度=40%)を消化に添加して、更なる不溶性成分を溶解する。従来の寸法の金属-セラミック基材の場合、以下の量の酸が有利であることが判明している:塩酸30mL(濃度=30%)、硝酸20mL(濃度=65%)及びフッ化水素酸50μL(濃度=40%)。
【0091】
このようにして得られたサンプル溶液を、風袋引きしたポリエチレンボトルに移す。次いで、サンプル溶液を、検査される元素の含有量に関する期待値に従って水で希釈する。サンプル溶液の一定分量を100mLメスフラスコに移し、10mLの塩酸(30重量%)、10mLの緩衝生理食塩水(10g/Lの塩化ナトリウム)及び較正標準(例えば1g/Lイットリウム溶液)を準備した。このようにして得られた測定溶液を、ICP-OES(誘導接合プラズマ-発光分光分析)を用いて、較正標準に対する比[M(M4)/M(M2)]ICPに関して測定する。この目的のために、ICP発光分光分析装置iCAP 6500 Duo(Thermo Scientific Inc)が使用され、測定のために以下のプラズマ設定が構成される:パージポンプ速度(rpm):35;分析ポンプ速度(rpm):35;ポンプチューブタイプ:Tygon Orange/white;HF電力:1150W;アトマイザーガス:0.60L/分;補助ガス:0.5L/分。
【0092】
本発明は、以下の例示的な実施形態によって説明され、これらは限定として理解されるべきではない。
【0093】
実施例
金属-セラミック基材(実施例1~8及び比較例1~7)の製造:
実施例1~8及び比較例1~7では、接合層の組成が異なる金属-セラミック基材を製造した。これにより、セラミック体と、金属箔と、セラミック体及び金属箔に接触するはんだ材料とを含む積層体をそれぞれ用意し、その後、加熱した。次いで、このようにして得られた金属-セラミック基材を、それらの接合強度並びにそれらの熱伝導性及び電気伝導性に関して試験した。
【0094】
本発明による金属-セラミック基材1~8及び比較例1~7の製造のために、表1に示す組成によるペーストを最初に調製した。
【0095】
【0096】
この目的のために、テキサノールを含有する指示量の有機ビヒクルに、スズ、水素化チタン、及びビスマスを粉末として連続して記載量で導入し、それぞれの場合で均質なペーストが得られるまで固定混合装置内で35Hzで20分間混合した。その後、銅粉を少しずつ添加した。このように生成された混合物を、均質なペーストが得られるまで撹拌した。
【0097】
このようにして生成されたペーストを用いて、セラミック体の両面を銅箔に接合した。この目的のために、177.8×139.7×0.32mm(Toshiba Materialsから入手)の寸法を有するセラミック体を使用し、これは同じ表面及び裏面を有していた。それぞれのペーストを、165メッシュのスクリーンを使用して、寸法137×175mm2の領域に、このようなセラミック体の裏面にスクリーン印刷し、125℃で15分間予備乾燥した。予備乾燥後のペースト厚さは35+/-5μmであった。次いで、このようにして製造された装置を回転させ、ペーストをセラミック体の表面に均一に印刷し、予備乾燥した。続いて、両面にペーストが設けられたセラミックに、以下の構造:銅箔-予備乾燥ペースト-セラミック-予備乾燥ペースト-銅箔を有する積層体を得るために、純度99.99%及び174×137×0.3mmの寸法を有する無酸素高電気伝導性銅からなる銅箔を両面に設けた。
【0098】
次いで、積層体は、連続炉において加熱された。この目的のために、グラファイト箔が適用された炭化ケイ素プレートを最初に連続炉の輸送チェーン上に置いた。積層体は、グラファイト箔上に置かれ、次いで、積層体は、更なるグラファイト箔で覆われ、積層体には、更なる炭化ケイ素板(重量=600g)で重みがかけられた。次いで、構造体を連続炉の加熱ゾーンを通して輸送チェーン上で輸送し、50℃から開始して25分以内に935℃のピーク温度(Temperatur Messelemente Hettstedt GmbH製のタイプK熱電対を使用して積層体で測定)に2分間加熱した。次いで、構造体の温度を25分以内に再び50℃に冷却した。
【0099】
次に、このようにして得られた金属-セラミック基材を室温まで冷却して、両面それぞれの銅層に接合層を介して接合されたセラミック層を含む金属-セラミック基材を得た。
【0100】
評価:
表2による値を、実施例1~8及び比較例1~7の金属-セラミック基材について決定した:
【0101】
【0102】
更に、実施例1~8及び比較例1~7の金属-セラミック基材上で、剥離強度試験によって接合強度を決定し、電気伝導性及び熱伝導性を決定した。
【0103】
結果を表3に示す。
【0104】
【表3】
説明:
+++:剥離強度試験の接着強度>100N/cm。
++:剥離強度試験の接着強度=75<100N/cm。
+:剥離強度試験の接着強度=40<75N/cm。
-:剥離強度試験の接着強度<40N/cm。
【0105】
例示的な実施形態は、以下の条件を満たす金属-セラミック基材を示す。
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX=0~10重量%
【0106】
接合層に関して、金属層とセラミック体との間に安定した接合を有し、同時に高い熱伝導性及び電気伝導性を有する。これらの金属-セラミック基材は銀を含まないため、銀移動に関連する問題もない。それと比較して、条件(c1)及び(c2)を満たさない金属-セラミック基材の場合、金属層とセラミック体との安定しない接合がもたらされるか、又は得られた金属-セラミック基材はそれと比較して低い熱伝導性及び電気伝導性を有する。
【0107】
金属-セラミック基材(実施例9及び10並びに比較例8)の調製:
実施例9及び10並びに比較例8では、実施例1~8及び比較例1~7と同様に、ただし接合層の組成が異なる金属-セラミック基材を製造し、次いで、それらの接合強度並びにそれらの熱伝導性及び電気伝導性に関して検証する。
【0108】
金属-セラミック基材の製造には、表4に示す組成によるペーストを用いた。
【0109】
表4:
評価:
実施例9及び10並びに比較例8の金属-セラミック基材について、表2による値を決定した。更に、実施例9及び10並びに比較例8の金属-セラミック基材上の接合強度を剥離強度試験によって決定し、電気伝導性及び熱伝導性を決定した。
【0110】
【0111】
【表5】
説明:
+++:剥離強度試験の接着強度>100N/cm。
++:剥離強度試験の接着強度=75<100N/cm。
+:剥離強度試験の接着強度=40<75N/cm。
-:剥離強度試験の接着強度<40N/cm。
【0112】
例示的な実施形態9及び10は、以下の条件を満たす金属-セラミック基材を確認する。
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX=0~10重量%
【0113】
接合層に関して、金属層とセラミック体との間に安定した接合を有し、同時に高い熱伝導性及び電気伝導性を有する。これらの金属-セラミック基材は銀を含まないため、銀移動に関連する問題もない。それと比較して、条件(c1)及び(c2)を満たさない金属-セラミック基材の場合、金属層とセラミック体との安定しない接合がもたらされるか、又は得られた金属-セラミック基材はそれと比較して低い熱伝導性及び電気伝導性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】
図1は、金属-セラミック基材の接合層の電子顕微鏡写真である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属-セラミック基材、金属-セラミック基材の製造方法、及び金属-セラミック基材を有するモジュールに関する。
【0002】
金属セラミック基材は、パワーエレクトロニクスの分野において重要な役割を果たす。それらは、電子成分を構築するときに重要な要素であり、当該成分の動作中に大量の熱の迅速な放散を確実にする。金属-セラミック基材は、典型的には、セラミック層と、セラミック層に接合された金属層と、からなる。
【0003】
金属層をセラミック層に接合するためのいくつかの方法が従来技術から知られている。いわゆるDCB(direct copper bonding)「直接銅接合」法では、銅と反応性ガス(通常は酸素)とを反応させて、銅箔の表面に銅よりも融点の低い銅化合物(通常は酸化銅)を設ける。このように処理された銅箔をセラミック体に適用し、複合体を焼成すると、銅化合物が溶融し、セラミック体の表面を濡らし、銅箔とセラミック体との間で安定した凝集接合が達成される。この方法は、例えば、米国特許第3744120(A)号又は独国特許第2319854(C2)号に記載されている。
【0004】
明らかな利点にもかかわらず、DCB方法は、2つの主な不利点を有する。第1に、方法は、比較的高い温度、すなわち、銅の融点をやや下回る温度で実施されなければならない。第2に、方法は、酸化アルミニウム又は表面上酸化した窒化アルミニウムなどの酸化物ベースのセラミックのみに使用され得る。したがって、より低い厳密性の条件下で金属-セラミック基材を製造するための代替の方法の必要性がある。代替の方法では、金属箔は、約650~1000℃の温度でセラミック体に接合され得、ここで、特有のはんだが使用され、はんだは、少なくとも700℃の融点を有する金属(通常、銀)と、活性金属とを含有する。活性金属の役割は、セラミック材料と反応し、したがってセラミック材料の残りのはんだへの接合を容易にし、反応層を形成することであり、一方、少なくとも700℃の融点を有する金属は、当該反応層を金属箔に接合するのに役立つ。例えば、特許第4812985(B2)号は、50~89重量%の銀、並びに銅、ビスマス及び活性金属を含有するはんだを使用して、銅箔をセラミック体に接合することを提案している。この方法により、銅箔をセラミック体に安定に取り付けることができる。
【0005】
銀の移動に関連する問題を回避するために、金属箔をセラミック体に接合するために銀を含まないはんだを使用することが有利であり得る。これらのはんだは、例えば、高融点金属(特に、銅)、低融点金属(ビスマス、インジウム、又はスズなど)、及び活性金属(チタンなど)をベースにする。このような技法は、例えば、独国特許出願公開第102017114893(A1)号に提案されている。この技術は、基本的に、使用されるはんだの基礎が別の金属(銀の代わりに銅)によって形成されるため、新しい独立したクラスの化合物をもたらし、材料特性の変化を導き、他のはんだ成分及び変更された接合条件に関する適合をもたらす。したがって、このようにして製造された金属-セラミック基材は、金属層及びセラミック体に加えて、金属層と活性金属を含有するセラミック体との間に接合層を含む。
【0006】
パワーエレクトロニクスの分野における絶えず増加する要件はまた、金属-セラミック基材内の金属層とセラミック体との間の接合の安定性、並びに金属-セラミック基材の熱伝導性及び電気伝導性に対する要件の増加を見ている。金属層とセラミック体との間の接合の安定性は、接合層中の低融点金属の含有量が増加するにつれて増加することが見出された。しかしながら、接合層における低融点金属の含有量が多くなると、金属-セラミック基材の金属層への低融点金属の拡散が多くなるという問題がある。この作用により、金属-セラミック基材の熱伝導性及び電気伝導性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、一方では金属層とセラミック体との間に非常に安定した接合を含み、他方では高い熱伝導性及び電気伝導性を有する金属-セラミック基材が必要とされている。銀移動に関連して生じる問題を回避するために、少なくとも大部分が銀を含まないそのような金属-セラミック基材も必要とされている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、一方では金属層とセラミック体との間に非常に安定した接合を含み、他方では高い熱伝導性及び電気伝導性を有する金属-セラミック基材を提供することである。したがって、本発明の更なる目的は、銀移動に関連して生じる問題を有さないそのような金属-セラミック基材を提供することである。
【0009】
これらの目的は、請求項1の金属-セラミック基材によって達成される。したがって、本発明は、
(a)セラミック体と、
(b)金属層と、
(c)セラミック体と金属層との間に位置する接合層であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、接合層と、
を含む、金属-セラミック基材であって、
接合層は、以下の特性:
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX<10重量%
を有することを特徴とし、
式中、
M(M2)EDXは、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M2含有量であり、
[M(M4)/M(M2)]ICPは、ICPを用いて決定される、接合層中の金属M2の含有量に対する接合層中の金属M4の含有量の比であり、
M(Ag)EDXは、EDXを用いて決定される接合層中の銀含有量である、
金属-セラミック基材を提供する。
【0010】
更に、本発明は、金属-セラミック基材の製造方法及び金属-セラミック基材を有するモジュールを提供する。
【0011】
本発明による金属-セラミック基材は、セラミック体と、金属層と、接合層と、を含む。
【0012】
金属-セラミック基材において、接合層は、セラミック体と金属層との間に位置する。したがって、接合層は、セラミック体及び金属層と接触していることが好ましい。好ましい実施形態によれば、金属-セラミック基材は、セラミック体と、(第1の)金属層と、セラミック体及び第1の金属層に接触する(第1の)接合層と、第2の金属層と、セラミック体及び第2の金属層に接触する第2の接合層と、を含む。この実施形態によれば、セラミック体と(第1の金属)層との間に(第1の)接合層が位置していることが好ましく、セラミック体と第2金属層との間に第2の接合層が位置していることが好ましい。更には、この実施形態によれば、第1の接合層の組成は、第2接合層の組成に対応していることが好ましい。
【0013】
セラミック体は、好ましくは、第1の表面及び第2の表面を含む。金属層は、好ましくは、第1の表面を含む。第2の金属層は、存在する場合、好ましくは第1の表面を含む。好ましい実施形態によれば、(第1の)接合層は、セラミック体の第1の表面と(第1の)金属層の第1の表面との間の金属-セラミック基材内に位置する。更に好ましい実施形態によれば、金属-セラミック基材は、セラミック体の第2の表面及び第2の金属層の第1の表面に接触する第2の接合層を含む。この実施形態によれば、(第1の)接合層は、好ましくは、セラミック体の第1の表面と(第1の)金属層の第1の表面との間の金属-セラミック基材内に位置し、第2の接合層は、好ましくは、セラミック体の第2の表面と第2の金属層の第1の表面との間に位置する。更に好ましい実施形態によれば、本発明による接合層に加えて、セラミック体と(第1の)金属層との間に更なる層は配置されない。更に別の実施形態によれば、本発明による接合層に加えて、存在する場合、セラミック体と第2の金属層との間に更なる層は配置されない。
【0014】
セラミック体のセラミックは、好ましくは、絶縁セラミックである。好ましい実施形態によれば、セラミックは、酸化物セラミック、窒化物セラミック、及び炭化物セラミックからなる群から選択される。更に好ましい実施形態によれば、セラミックは、金属酸化物セラミック、酸化ケイ素セラミック、金属窒化物セラミック、窒化ケイ素セラミック、窒化ホウ素セラミック、及び炭化ホウ素セラミックからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、セラミックは、窒化アルミニウムセラミック、窒化銀セラミック、及び酸化アルミニウムセラミック(ZTA(zirconia toughened alumina)「ジルコニア強化アルミナ」セラミックなど)からなる群から選択される。更に非常に特に好ましい実施形態によれば、セラミック体は、(1)ケイ素及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの元素、(2)酸素及び窒素からなる群から選択される少なくとも1つの元素、任意選択的に(3)(3a)希土類金属、(3b)元素の周期表の第2族元素の金属、(3c)ジルコニウム、(3d)銅、(3e)モリブデン及び(3f)ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素、並びに任意選択的に(4)不可避の不純物からなる。更に別の非常に特に好ましい実施形態によれば、セラミック体は、ビスマス、ガリウム、及び亜鉛を含まない。
【0015】
セラミック体は、好ましくは0.05~10mm、より好ましくは0.1~5mmの範囲、特に好ましくは0.15~3mmの範囲の厚さを有する。
【0016】
金属層の金属は、好ましくは、銅、アルミニウム、及びモリブデンからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属層の金属は、銅及びモリブデンからなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属層の金属は銅である。更に非常に特に好ましい実施形態によれば、金属層は、銅及び不可避の不純物からなる。
【0017】
金属層は、好ましくは0.01~10mmの範囲、特に好ましくは0.03~5mmの範囲、非常に特に好ましくは0.05~3mmの範囲の厚さを有する。
【0018】
接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。
【0019】
接合層は、好ましくは、セラミック体と金属層との間に位置する金属-セラミック基材の領域を意味すると理解される。
【0020】
接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1を含む。少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、好ましくは少なくとも850℃の融点を有し、特に好ましくは少なくとも1000℃の融点を有する。好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、銅、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、銅である。
【0021】
接合層(ii)は、700℃未満の融点を有する金属M2を含む。700℃未満の融点を有する金属M2は、好ましくは600℃未満の融点を有し、特に好ましくは550℃未満の融点を有する。特に好ましい実施形態によれば、700℃未満の融点を有する金属M2は、スズである。
【0022】
接合層は、(iii)活性金属の群から選択される金属M3を含む。したがって、金属M3は、化学反応によってセラミックとの接合を生成する金属であることが好ましい。好ましい実施形態によれば、金属M3は、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、タンタル及びバナジウムからなる群から選択される。より好ましい実施形態によれば、金属M3は、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、及びセリウムからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属M3は、ハフニウム、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属M3はチタンである。
【0023】
接合層は、(iv)金属M4を含む。金属M4は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属である。特に好ましい実施形態によれば、金属M4は、ビスマス、ガリウム、及び亜鉛からなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属M4はビスマスである。
【0024】
金属M1、M2、M3、及びM4は異なる金属である。したがって、セラミック体と金属層との間に位置する接合層は、金属M1、M2、M3、及びM4の各々を含む。したがって、セラミック体と金属層との間に位置する接合層は、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、及び(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含み、金属M1、M2、M3及びM4は異なる。したがって、700℃未満の融点を有する金属M2は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択されない。更に、金属M2は、活性金属ではない。同様に、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、ゲルマニウムではない。更には、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、活性金属ではない。
【0025】
本発明によれば、接合層は、以下の特性:
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX<10重量%
を有し、
式中、
M(M2)EDXは、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M2含有量の含有量[重量%]であり、
[M(Bi)/M(M2)]ICPは、ICPを用いて決定される、接合層中の金属M2の含有量に対する接合層中の金属M4の含有量の比であり、
M(Ag)EDXは、EDXを用いて決定される、接合層中の銀含有量[重量%]である。
【0026】
特性(c1)によれば、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M2の含有量は、10~20重量%である。好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c1’)M(M2)EDX=10~18重量%
を有する。
【0027】
特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c1’’)M(M2)EDX=10~15重量%
を有する。
【0028】
特性(c2)によれば、金属M4の含有量と金属M2の含有量との間には関係があり、そのため接合層は以下の特性:
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%
を有する。
【0029】
好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c2’):15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦80重量%
を有する。
【0030】
特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c2’’):15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦70重量%
を有する。
【0031】
驚くべきことに、少量の金属M4の添加によって、セラミック体と金属層との間の特に安定した接合に必要な700℃未満の融点を有する金属M2の量を既に低減することができ、その結果、金属M2が金属層に拡散することによる金属-セラミック基材の電気伝導性及び熱伝導性が損なわれないことが見出された。更に、驚くべきことに、接合層中の金属M2の含有量が規定の領域内にある場合、特に安定した接合が達成されることが見出された。この効果に必要な接合層中の金属M2とM4の割合の関係は、特性(c1)及び(c2)で表される。したがって、驚くべきことに、700℃未満の融点を有する金属M2の含有量と、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4の含有量とを調整することによって、一方ではセラミック体と金属層との間に特に安定した接合を有し、他方では高い電気伝導性及び熱伝導性を有する金属-セラミック基材が提供される。
【0032】
特性(c3)によれば、EDXを用いて決定される、接合層中の銀の含有量は、10重量%以下である。したがって、本発明はまた、接合層が銀を含まない、すなわち、接合層中のEDXを用いて決定される銀の含有量が0重量%である実施形態を含む。
【0033】
特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c3’)M(Ag)EDX<5重量%
を有する。
【0034】
非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層は、以下の特性:
(c3’’)M(Ag)EDX<1重量%
を有する。
【0035】
銀が存在しないか、又は少量の銀のみが存在することは、金属-セラミック基材内の接合層の縁部における銀の望ましくない移動を回避又は低減することができることを意味する。
【0036】
好ましい実施形態によれば、EDXを用いて決定される、接合層中の金属M1の含有量(M(M1)EDX)は、65~89重量%の範囲である。特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M1の含有量(M(M1)EDX)は、67~88重量%の範囲である。非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M1の含有量(M(M1)EDX)は、70~88重量%の範囲である。
【0037】
好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M3の含有量(M(M3)EDX)は、0.5~15重量%の範囲である。特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M3の含有量(M(M3)EDX)は、0.5~14重量%の範囲である。非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、EDXを用いて決定される金属M3の含有量(M(M3)EDX)は、1~14重量%の範囲である。
【0038】
好ましい実施形態によれば、接合層中の、ICPを用いて決定される金属M4の含有量(M(M4)ICP)は、0.01~2重量%の範囲である。特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、ICPを用いて決定される金属M4の含有量(M(M4)ICP)は、0.01~1.5重量%の範囲である。非常に特に好ましい実施形態によれば、接合層中の、ICPを用いて決定される金属M4の含有量(M(M4)ICP)は、0.1~1重量%の範囲である。
【0039】
本発明による金属-セラミック基材は、当分野における標準的な実施を構成する方法で製造することができる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、本発明による金属-セラミック基材を製造するための方法は、
a)積層体であって、
a1)セラミック体と、
a2)金属箔と、
a3)セラミック体及び金属箔と接触しているはんだ材料であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、はんだ材料と、
を含む積層体を準備するステップと、
b)積層体を加熱して、金属-セラミック基材を得るステップと、
を含む。
【0041】
したがって、最初に、セラミック体と、金属箔と、セラミック体及び金属箔と接触するはんだ材料と、を含む積層体が提供されることが好ましい。
【0042】
したがって、積層体において、はんだ材料は、セラミック体と金属箔との間に位置することが好ましい。好ましい実施形態によれば、積層体は、セラミック体と、(第1の)金属箔と、セラミック体及び第1の金属箔と接触している(第1の)はんだ材料と、第2の金属箔と、セラミック体及び第2の金属箔と接触している第2のはんだ材料と、を含む。この実施形態によれば、(第1の)はんだ材料は、好ましくは、セラミック体と(第1の)金属箔との間に位置し、第2のはんだ材料は、好ましくは、セラミック体と第2の金属箔との間に位置する。更に、この実施形態によれば、第1のはんだ材料は、好ましくは、第2のはんだ材料に相当する。
【0043】
セラミック体、金属箔及びはんだ材料は、本発明による金属-セラミック基材が加熱後に製造されるように設計されることが好ましい。
【0044】
したがって、セラミック体及び金属箔は、金属-セラミック基材のセラミック体及び金属層に関して上述したように設計されることが好ましい。
【0045】
はんだ材料は、好ましくは、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。金属M1、金属M2、金属M3及び金属M4は、金属-セラミック基材の接合層に関して上述したように設計されることが好ましい。
【0046】
したがって、金属M1、M2、M3、及びM4は、異なる金属である。したがって、セラミック体及び金属層と接触するはんだ材料は、金属M1、M2、M3、及びM4の各々を含む。したがって、セラミック体及び金属層と接触しているはんだ材料は、i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含み、金属M1、M2、M3及びM4は異なる。したがって、700℃未満の融点を有する金属M2は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択されない。更に、金属M2は、活性金属ではない。同様に、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、ゲルマニウムではない。更には、少なくとも700℃の融点を有する金属M1は、活性金属ではない。
【0047】
好ましい実施形態によれば、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4は、少なくとも1つの金属成分の構成成分として存在する。したがって、はんだ材料は、好ましくは、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4を含む少なくとも1つの金属成分を含む。例えば、はんだ材料は、金属M1を含有する金属成分(i)と、金属M2を含有する金属成分(ii)と、金属M3を含有する金属成分(iii)と、金属M4を含有する金属成分(iv)とを含むことが好ましい場合がある。更に、はんだ材料は、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4からなる群からのメンバーを含有する金属成分(i)と、(i)金属M1、(ii)金属M2、(iii)金属M3、及び(iv)金属M4からなる群からのメンバーを含む少なくとも1つの更なる金属成分(ii)と、を含み、これらは金属成分(i)に含有されないことが好ましい場合もある。「金属成分」という用語は、更に限定されない。金属及び金属合金に加えて、金属間相及び他の化合物(例えば、金属水素化物など)などの金属化合物も含まれる。したがって、好ましい実施形態によれば、金属成分は、金属、金属合金、及び金属化合物からなる群から選択される。
【0048】
はんだ材料は、好ましくは、(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、少なくとも700℃の融点を有する金属M1を含有する金属成分(i)を含む。特に好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、銅を含有する金属成分(i)を含む。更に好ましい実施形態によれば、金属成分(i)は、銅である。
【0049】
はんだ材料は、好ましくは、(ii)700℃未満の融点を有する金属M2を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、700℃未満の融点を有する金属M2を含有する金属成分(ii)を含む。特に好ましい実施形態によれば、金属成分(ii)は、700℃未満の融点を有する金属M2と更なる金属との合金である。更なる金属は、例えば、700℃未満の融点を有する金属M1、少なくとも700℃の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、インジウム、ゲルマニウム、ガリウム、及び亜鉛からなる群から選択される金属M4からなる群から選択することができる。更に好ましい実施形態によれば、700℃未満の融点を有する金属M2を含有する金属成分(ii)は、スズ、スズ-銅合金、スズ-ビスマス合金、スズ-アンチモン合金、スズ-亜鉛-ビスマス合金、及びインジウム-スズ合金からなる群から選択される。
【0050】
はんだ材料は、好ましくは、活性金属の群から選択される金属M3を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、活性金属の群から選択される金属M3を含有する金属成分(iii)を含む。特に好ましい実施形態によれば、金属成分(iii)は、活性金属合金又は活性金属化合物、特に好ましくは活性金属水素化物である。金属成分(iii)は、好ましくは、水素化チタン、チタン-ジルコニウム-銅合金、水素化ジルコニウム、及び水素化ハフニウムからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属成分(iii)は、水素化ハフニウム、水素化チタン、及び水素化ジルコニウムからなる群から選択される。非常に特に好ましい実施形態によれば、金属成分(iii)は、水素化チタンである。
【0051】
はんだ材料は、好ましくは金属M4を含む。好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含有する金属成分(iv)を含む。特に好ましい実施形態によれば、はんだ材料は、ビスマスを含有する金属成分(iv)を含む。更に好ましい実施形態によれば、金属成分(iv)はビスマスである。
【0052】
好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、65~89重量%、特に好ましくは67~88重量%、非常に特に好ましくは70~88重量%である。更に好ましい実施形態によれば、700℃未満の融点を有する金属M2の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、10~20重量%、特に好ましくは10~18重量%、非常に特に好ましくは10~15重量%である。更に別の好ましい実施形態によれば、活性金属の群から選択される金属M3の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、0.5~15重量%、特に好ましくは0.5~14重量%、非常に特に好ましくは1~14重量%である。更に好ましい実施形態によれば、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて0.01~2重量%、特に好ましくは0.01~1.5重量%、非常に特に好ましくは0.1~1重量%である。はんだ材料は、好ましくは銀を含まないか、又は銀が少ない。したがって、銀の割合は、はんだ材料の総金属重量に基づいて、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、非常に特に好ましくは1重量%未満である。
【0053】
はんだ材料は、セラミック体及び金属箔と接触している。したがって、はんだ材料は、好ましくは、セラミック体と金属箔との間に位置する。例えば、はんだ材料をセラミック体に設けた後、金属箔をはんだ材料に適用してもよい。はんだ材料は、好ましくは、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含むペースト、箔及び堆積物からなる群から選択される少なくとも1つの材料である。
【0054】
はんだ材料は、ペーストとすることができる。ペーストは、好ましくは、(a)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分、並びに(b)有機媒体を含む。
【0055】
有機媒体は、関連技術分野において通常用いられる有機媒体であることが好ましい。有機媒体は、有機バインダー、有機分散剤又はこれらの混合物を含有することが好ましい。
【0056】
有機バインダーは、好ましくは、加熱中に、はんだ材料から除去される。有機バインダーは、好ましくは熱可塑性物質又は熱硬化性物質である。有機バインダーの例には、セルロース誘導体(エチルセルロース、ブチルセルロース、及びセルロースアセタートなど)、ポリエーテル(ポリオキシメチレンなど)、及びアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート及びポリブチレンメタクリレートなど)が挙げられる。
【0057】
有機分散剤は、好ましくは、ペーストに適切な粘度を付与し、ペーストの乾燥中又は加熱中に排出される有機化合物である。有機分散剤は、例えば、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、脂環式アルコール、芳香族環状カルボン酸エステル、脂環式エステル、カルビトール及び脂肪族ポリオールから選択することができる。有機分散剤の例には、オクタノール、デカノール、テルピネオール(例えばジヒドロテルピネオール)、シクロヘキサノール、フタル酸ジブチル、カルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、ブタンジオール及びグリセロールが含まれる。
【0058】
ペーストは更に、当分野における標準的な実施において使用される添加剤を含有することができる。そのような添加剤の例には、無機バインダー(ガラスフリットなど)、安定剤、界面活性剤、分散剤、レオロジー調整剤、湿潤助剤、消泡剤、充填剤、及び硬化剤が含まれる。
【0059】
好ましい実施形態によれば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分の割合は、ペーストの総重量に対して20~95重量%、より好ましくは30~95重量%、特に好ましくは75~95重量%である。更に好ましい実施形態によれば、有機媒体の割合は、ペーストの総重量に対して5~80重量%、より好ましくは5~70重量%、特に好ましくは5~25重量%である。
【0060】
更に好ましい実施形態によれば、(a)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分の総重量と、(b)有機媒体の重量との比は、少なくとも5:1、特に好ましくは少なくとも7:1、非常に特に好ましくは少なくとも8:1である。好ましい実施形態によれば、(a)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分の総重量と、(b)有機媒体の重量との比は、1:1~20:1の範囲、特に好ましくは2:1~20:1の範囲、特に好ましくは5:1~15:1の範囲である。
【0061】
積層体を準備するために、ペーストは、好ましくは、セラミック体の表面に適用される。ペーストは、例えば、分散方法又は印刷方法によって、適用され得る。好適な印刷方法としては、例えば、スクリーン印刷プロセス、インクジェット印刷法、オフセット印刷プロセスが挙げられる。好ましくは、ペーストは、スクリーン印刷方法によって、セラミック体の表面に適用される。
【0062】
ペーストを適用した後、必要に応じてペーストを予備乾燥することができる。予備乾燥は、室温又は高温で行うことができる。予備乾燥についての条件は、ペーストに含有された有機媒体に依存して、変わり得る。予備乾燥温度は、例えば、50~180℃の範囲内であってもよく、好ましくは80~150℃の範囲である。予備乾燥は、通常、2分間~2時間にわたって、好ましくは5分間~1時間にわたって、実施される。
【0063】
その後、金属箔の表面にペーストが適用され、必要に応じて予備乾燥して積層体を得ることができる。
【0064】
はんだ材料はフィルムとすることができる。
【0065】
フィルムは、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む。更に、フィルムは、例えば、適切なバインダーなどの更なる構成要素を含むことができる。
【0066】
フィルムは、例えば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分によって、任意選択で、均質化され、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4の融点より低い温度であるが、金属間の接合を形成するのに十分である温度に加熱される更なる成分によって得ることができる。この温度は、例えば、少なくとも200℃であり得る。
【0067】
あるいは、フィルムは、例えば、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、活性金属の群から選択される金属M3、並びにビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4を含む少なくとも1つの金属成分と、バインダーとを混合し、混合物を形成及び加熱して成形体を形成することによって得ることができる。加熱中に、バインダーは、硬化することができ、金属がその内に分配されているマトリックスを形成することができる。
【0068】
積層体を準備するために、フィルムは、例えば、セラミック上に配置することができる。次いで、金属箔の表面は、積層体を得るために、セラミック上に位置するフィルムに適用され得る。
【0069】
更なる実施形態によれば、はんだ材料は、堆積物とすることができる。はんだ材料の堆積は、例えば、ガルバニック堆積又は蒸着によって生成することができる。好ましくは、はんだ材料堆積物はセラミック体上に生成される。その後、積層体を得るために、セラミック上に堆積されたはんだ材料に金属箔を適用することができる。
【0070】
積層体を加熱して金属-セラミック基材を得る。好ましい実施形態によれば、加熱は、セラミック体と金属箔との間に凝集接合を形成するはんだ材料によって金属-セラミック基材を得るために行われる。凝集接合は、好ましくは、金属M3が加熱中にセラミック体に接合され、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4、並びに金属箔の金属が接合されて合金を形成することによって形成される。その後の凝固中に、セラミック体及び得られた合金に接合された活性金属M3を介して、セラミック体と金属箔との間に凝集接合が形成される。
【0071】
加熱中に、積層体は、ピーク温度に加熱される。ピーク温度は、更に限定されず、好ましくは、少なくとも700℃の融点を有する金属M1の融点以下であり、金属箔の金属の融点よりも低い。好ましい実施形態によれば、ピーク温度は、金属箔の金属の融点を、少なくとも10℃、特に好ましくは少なくとも50℃下回る。更に好ましい実施形態によれば、ピーク温度は、少なくとも700℃である。ピーク温度は、好ましくは700~1100℃の範囲、特に好ましくは750~1050℃の範囲、非常に特に好ましくは800~1000℃の範囲である。本明細書で使用されるピーク温度は、熱電対によって積層体で測定された温度を指す。ピーク温度は、積層体において測定される最大温度である。溶融金属の過度の流動性に起因する溶融金属の過度の収縮又は膨潤などの不都合な作用を防止するために、当業者は、過度に高いピーク温度を回避するように努力する。
【0072】
加熱中、積層体は高温加熱期間にわたって熱を供給される。本明細書における高温加熱期間は、好ましくは、積層体が、ピーク温度である250℃に少なくとも等しい温度に曝される期間を指す。したがって、900℃の例示的なピーク温度では、高温加熱期間は、加熱中に積層体が少なくとも650℃の温度に曝される期間に対応する。好ましい実施形態によれば、高温加熱期間は、60分以下、より好ましくは50分以下、特に好ましくは45分以下、非常に特に好ましくは40分以下である。高温加熱期間は、好ましくは2~60分の範囲、より好ましくは3~50分の範囲、特に好ましくは5~45分の範囲、非常に特に好ましくは10~40分の範囲である。
【0073】
積層体は、好ましくは、加熱ゾーンから開始して積層体の方向に行われる加熱に必要なエネルギー入力によって加熱される。凝集接合は、好ましくは、セラミック体と接合を形成する金属M3、少なくとも700℃の融点を有する金属M1、700℃未満の融点を有する金属M2、700℃未満の融点を有する金属M4、ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4と、金属箔の金属とが接合して合金を形成することによって形成される。その後の凝固中に、セラミック体及び合金に接合された活性金属M3を介して、セラミック体と金属箔との間に凝集接合が形成される。
【0074】
特に好ましい実施形態によれば、積層体は、オーブン内、好ましくは連続炉内又はチャンバ炉内で加熱される。
【0075】
非酸化性雰囲気が、好ましくは、加熱ゾーン内に存在する。非酸化性雰囲気は、好ましくは、不活性ガス雰囲気である。窒素雰囲気、ヘリウム雰囲気、又はアルゴン雰囲気が、好ましくは、加熱ゾーン内に存在する。特に好ましい実施形態によれば、窒素雰囲気が、加熱ゾーン内に存在する。非酸化性雰囲気中の反応性ガス、特に、酸素の割合は、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満、特に好ましくは40ppm未満である。
【0076】
積層体が加熱されているとき、好ましくは、セラミック体と、金属層と、セラミック体と金属層との間に位置する接合層とを含む金属-セラミック基材を得るために、はんだ材料を介してセラミック体と金属箔との間に凝集接合が形成される。必要に応じて、金属-セラミック基材に更なる処理ステップを施すことができる。例えば、金属-セラミック基材、好ましくは金属-セラミック基材の金属層の露出面を研磨することができる。好ましくは、金属-セラミック基材の金属層の表面は、物理的又は化学的に研磨される。更に、金属-セラミック基材を構成することができる。例えば、金属-セラミック基材には、導体トレースが提供され得る。導体トレースは、好ましくは、エッチングによって生成される。
【0077】
本発明による金属-セラミック基材は、特に、エレクトロニクスにおける用途、特にパワーエレクトロニクスの分野に使用することができる。
【0078】
したがって、本発明は、上述の金属-セラミック基材を有するモジュールも提供する。
【0079】
好ましい実施形態によれば、そのようなモジュールはベースプレートを含む。当該ベースプレートは、好ましくは、金属-セラミック基材の金属層に広範囲に接合される。更に好ましい実施形態によれば、モジュールは少なくとも1つのチップを含む。少なくとも1つのチップは、好ましくは、少なくとも1つの金属-セラミック基材の金属層に広範囲に接合される。更に好ましい実施形態によれば、モジュールは、第1の金属層及び第2の金属層(第1の金属層は好ましくは第2の金属層の反対側にある)を含む金属-セラミック基材と、ベースプレートと、少なくとも1つのチップと、を含み、少なくとも1つのチップは金属-セラミック基材の第1の金属層に接合されており、ベースプレートは金属-セラミック基材の第2の金属層に接合されている。
【0080】
金属-セラミック基材の接合層の特性は、以下に記載する測定方法を用いて決定されることが好ましい。
【0081】
測定方法:
(i)接合層における金属M1、M2、M3及び銀の含有量(特性M(M1)EDX、M(M2)EDX、M(M3)EDX及びM(Ag)EDX)の決定方法:
接合層中の金属M1、M2、M3及び銀の含有量は、好ましくは以下のように決定される。
【0082】
第1のステップでは、まず、検査される金属-セラミック基材から、100mm2~400mm2の範囲の矩形の底辺を有する直方体状のサンプルブランクを、低回転速度のダイヤモンドソーブレードを用いて、金属-セラミック基材の金属層が広がる平面に垂直な油性潤滑剤(Buehler)を用いてのこ引き(sawing)することによって切り出す。したがって、サンプルブランクは、検査に供給されるサンプル表面を有する。したがって、このサンプル表面は、のこ引き前の金属-セラミック基材の金属層が広がる平面に対して垂直に延びる。したがって、サンプルブランクは、セラミック体、金属層、及びそれらの間の接合層上に部分を有する。サンプルブランクは、まず低収縮エポキシ樹脂(Epo-Fix,Struers)を含む鋳型に埋め込まれ、サンプル表面は鋳型壁に対して垂直に配向される。次いで、エポキシ樹脂を室温で硬化させる。硬化後、サンプルブランクのサンプル表面は、1μm以下の粗さを達成するために、自動研磨装置(Tegrapole,Struers)で機械的に研磨される。
【0083】
第2のステップでは、金属スパッタリング装置(Q150T、Quorum Technologies)を用いて、研磨されたサンプル表面を1~5nmの厚さでイリジウムで導電コーティングする。
【0084】
第3のステップでは、サンプル表面の分析ゾーンが、走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)によって検査される。SEM-EDXでは、集束された一次電子ビームが、サンプル表面上を点ごとに誘導(スクリーニング)される。散乱電子は、検出器を使用して検出され、ピクセル当たりの電子の数は、グレースケールのサンプル表面の顕微鏡画像をもたらす。更に、一次電子ビームは、特徴的なX線放射を放出するようにサンプルを励起し、サンプル中の元素及びそれらの重量割合は、EDX検出器を使用してエネルギースペクトルを分析することによって決定することができる。検査には、シリコンドリフトEDX検出器(NORAN,Thermo Scientific Inc)を備えた走査型電子顕微鏡(JSM-6060 SEM,JEOL Ltd)及び分析ソフトウェア(Pathfinder Mountaineer EDS System、例えばバージョン2.8、Thermo Scientific Inc)を使用する。走査型電子顕微鏡の場合、以下の設定が使用される:倍率:1000倍、加速電圧=15kV、作動距離=10mm、スポットサイズ(50~60)(EDX検出器のデッドタイムの25%+/-5%に達するように設定)。
【0085】
第4のステップでは、電子顕微鏡写真(後方散乱電子顕微鏡写真)としてEDXソフトウェアを使用してサンプル表面を検出する。少なくとも125μm(水平)×90μm(垂直)の矩形視野が得られ、分析ゾーンはEDXソフトウェアの点分析機能を使用して定義される。分析ゾーンは、
図1を参照して以下のように説明することができる。
a)サンプル表面は、電子顕微鏡写真100において、セラミック体120のカットアウトが底部にあり、金属層110のカットアウトが頂部にあるように配向されている。電子顕微鏡写真100では、セラミック体(暗)120と接合層又は金属層(明)110との間に遷移部5が見える。分析ゾーン130の矩形の下側境界線10は、当該遷移部5に平行な線によって描写され、この線は、この遷移部5で排他的にセラミック体120を通って直接延びている。
b)この配向で、サンプル表面を、700℃未満の融点を有する金属M2の存在及び活性金属M3の存在について調べる。接合層又は金属層110内の電子顕微鏡写真100のグレースケール画像が調査され、金属M2は最も明るいピクセルを有し、金属M3は最も暗いピクセルを有する(セラミック体を除く)。分析ゾーン130の矩形の下側境界線10に平行な電子顕微鏡写真100の線は、700℃未満の融点を有する金属M2又は金属M3のいずれかが検出される最も遠い点を通り、分析ゾーン130の矩形の上側境界線20を形成する。
c)分析ゾーン130の矩形の左境界線30及び右境界線40は、サンプル表面の視野の境界線の距離(好ましくは125μm)に相当する距離で互いに平行に延びており、下側境界線10及び上側境界線20に垂直である。
【0086】
第5のステップでは、EDX検出器の以下の設定を使用してEDXスペクトルを検出する:ライブ時間=30秒、速度=自動、低エネルギーカットオフ=100keV、高エネルギーカットオフ=自動(SEM加速電圧当たり)。
【0087】
第6のステップでは、スペクトルが分析される。この目的のために、検査される元素が選択され、セラミック体に含有される元素(その存在は、任意選択的に従来の試験方法によって事前に決定することができる)、イリジウム及びエポキシ樹脂の元素が選択解除される。検査される元素のそれぞれの量は重量%で示され、合計量は100%に相当する。
【0088】
第3~第6のステップは、異なる点で9回繰り返される。次いで、合計10回の個々の測定から得られた値から平均値を決定する。
【0089】
(ii)接合層中の元素M4の含有量の、接合層中の金属M2の含有量に対する比(特性[M(M4)/M(M2)]ICPの決定方法:
金属-セラミック基材の接合層中の比[M(M4)/M(M2)]ICPは、好ましくは以下のように決定される。
【0090】
検査される金属-セラミック基材をHDPE(高密度ポリエチレン)製のプラスチックビーカーに移し、低熱供給で塩酸(濃度=30%)及び硝酸(濃度=65%)と混合する。フッ化水素酸(濃度=40%)を消化に添加して、更なる不溶性成分を溶解する。従来の寸法の金属-セラミック基材の場合、以下の量の酸が有利であることが判明している:塩酸30mL(濃度=30%)、硝酸20mL(濃度=65%)及びフッ化水素酸50μL(濃度=40%)。
【0091】
このようにして得られたサンプル溶液を、風袋引きしたポリエチレンボトルに移す。次いで、サンプル溶液を、検査される元素の含有量に関する期待値に従って水で希釈する。サンプル溶液の一定分量を100mLメスフラスコに移し、10mLの塩酸(30重量%)、10mLの緩衝生理食塩水(10g/Lの塩化ナトリウム)及び較正標準(例えば1g/Lイットリウム溶液)を準備した。このようにして得られた測定溶液を、ICP-OES(誘導接合プラズマ-発光分光分析)を用いて、較正標準に対する比[M(M4)/M(M2)]ICPに関して測定する。この目的のために、ICP発光分光分析装置iCAP 6500 Duo(Thermo Scientific Inc)が使用され、測定のために以下のプラズマ設定が構成される:パージポンプ速度(rpm):35;分析ポンプ速度(rpm):35;ポンプチューブタイプ:Tygon Orange/white;HF電力:1150W;アトマイザーガス:0.60L/分;補助ガス:0.5L/分。
【0092】
本発明は、以下の例示的な実施形態によって説明され、これらは限定として理解されるべきではない。
【0093】
実施例
金属-セラミック基材(実施例1~8及び比較例1~7)の製造:
実施例1~8及び比較例1~7では、接合層の組成が異なる金属-セラミック基材を製造した。これにより、セラミック体と、金属箔と、セラミック体及び金属箔に接触するはんだ材料とを含む積層体をそれぞれ用意し、その後、加熱した。次いで、このようにして得られた金属-セラミック基材を、それらの接合強度並びにそれらの熱伝導性及び電気伝導性に関して試験した。
【0094】
本発明による金属-セラミック基材1~8及び比較例1~7の製造のために、表1に示す組成によるペーストを最初に調製した。
【0095】
【0096】
この目的のために、テキサノールを含有する指示量の有機ビヒクルに、スズ、水素化チタン、及びビスマスを粉末として連続して記載量で導入し、それぞれの場合で均質なペーストが得られるまで固定混合装置内で35Hzで20分間混合した。その後、銅粉を少しずつ添加した。このように生成された混合物を、均質なペーストが得られるまで撹拌した。
【0097】
このようにして生成されたペーストを用いて、セラミック体の両面を銅箔に接合した。この目的のために、177.8×139.7×0.32mm(Toshiba Materialsから入手)の寸法を有するセラミック体を使用し、これは同じ表面及び裏面を有していた。それぞれのペーストを、165メッシュのスクリーンを使用して、寸法137×175mm2の領域に、このようなセラミック体の裏面にスクリーン印刷し、125℃で15分間予備乾燥した。予備乾燥後のペースト厚さは35+/-5μmであった。次いで、このようにして製造された装置を回転させ、ペーストをセラミック体の表面に均一に印刷し、予備乾燥した。続いて、両面にペーストが設けられたセラミックに、以下の構造:銅箔-予備乾燥ペースト-セラミック-予備乾燥ペースト-銅箔を有する積層体を得るために、純度99.99%及び174×137×0.3mmの寸法を有する無酸素高電気伝導性銅からなる銅箔を両面に設けた。
【0098】
次いで、積層体は、連続炉において加熱された。この目的のために、グラファイト箔が適用された炭化ケイ素プレートを最初に連続炉の輸送チェーン上に置いた。積層体は、グラファイト箔上に置かれ、次いで、積層体は、更なるグラファイト箔で覆われ、積層体には、更なる炭化ケイ素板(重量=600g)で重みがかけられた。次いで、構造体を連続炉の加熱ゾーンを通して輸送チェーン上で輸送し、50℃から開始して25分以内に935℃のピーク温度(Temperatur Messelemente Hettstedt GmbH製のタイプK熱電対を使用して積層体で測定)に2分間加熱した。次いで、構造体の温度を25分以内に再び50℃に冷却した。
【0099】
次に、このようにして得られた金属-セラミック基材を室温まで冷却して、両面それぞれの銅層に接合層を介して接合されたセラミック層を含む金属-セラミック基材を得た。
【0100】
評価:
表2による値を、実施例1~8及び比較例1~7の金属-セラミック基材について決定した:
【0101】
【0102】
更に、実施例1~8及び比較例1~7の金属-セラミック基材上で、剥離強度試験によって接合強度を決定し、電気伝導性及び熱伝導性を決定した。
【0103】
結果を表3に示す。
【0104】
【表3】
説明:
+++:剥離強度試験の接着強度>100N/cm。
++:剥離強度試験の接着強度=75<100N/cm。
+:剥離強度試験の接着強度=40<75N/cm。
-:剥離強度試験の接着強度<40N/cm。
【0105】
例示的な実施形態は、以下の条件を満たす金属-セラミック基材を示す。
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX=0~10重量%
【0106】
接合層に関して、金属層とセラミック体との間に安定した接合を有し、同時に高い熱伝導性及び電気伝導性を有する。これらの金属-セラミック基材は銀を含まないため、銀移動に関連する問題もない。それと比較して、条件(c1)及び(c2)を満たさない金属-セラミック基材の場合、金属層とセラミック体との安定しない接合がもたらされるか、又は得られた金属-セラミック基材はそれと比較して低い熱伝導性及び電気伝導性を有する。
【0107】
金属-セラミック基材(実施例9及び10並びに比較例8)の調製:
実施例9及び10並びに比較例8では、実施例1~8及び比較例1~7と同様に、ただし接合層の組成が異なる金属-セラミック基材を製造し、次いで、それらの接合強度並びにそれらの熱伝導性及び電気伝導性に関して検証する。
【0108】
金属-セラミック基材の製造には、表4に示す組成によるペーストを用いた。
【0109】
表4:
評価:
実施例9及び10並びに比較例8の金属-セラミック基材について、表2による値を決定した。更に、実施例9及び10並びに比較例8の金属-セラミック基材上の接合強度を剥離強度試験によって決定し、電気伝導性及び熱伝導性を決定した。
【0110】
【0111】
【表5】
説明:
+++:剥離強度試験の接着強度>100N/cm。
++:剥離強度試験の接着強度=75<100N/cm。
+:剥離強度試験の接着強度=40<75N/cm。
-:剥離強度試験の接着強度<40N/cm。
【0112】
例示的な実施形態9及び10は、以下の条件を満たす金属-セラミック基材を確認する。
(c1)M(M2)EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]ICP
*1000重量%+M(M2)EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)EDX=0~10重量%
【0113】
接合層に関して、金属層とセラミック体との間に安定した接合を有し、同時に高い熱伝導性及び電気伝導性を有する。これらの金属-セラミック基材は銀を含まないため、銀移動に関連する問題もない。それと比較して、条件(c1)及び(c2)を満たさない金属-セラミック基材の場合、金属層とセラミック体との安定しない接合がもたらされるか、又は得られた金属-セラミック基材はそれと比較して低い熱伝導性及び電気伝導性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】
図1は、金属-セラミック基材の接合層の電子顕微鏡写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)セラミック体と、
(b)金属層と、
(c)前記セラミック体と前記金属層との間に位置する接合層であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム、及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、接合層と、
を含む、金属-セラミック基材であって、
前記接合層は、以下の特性:
(c1)M(M2)
EDX=10~20重量%、
(c2)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]
ICP
*1000重量%+M(M2)
EDX≦100重量%、及び
(c3)M(Ag)
EDX<10重量%
を有することを特徴とし、
式中、
M(M2)
EDXは、EDXを用いて決定される、前記接合層中の前記金属M2含有量の含有量[重量%]であり、
[M(M4)/M(M2)]
ICPは、ICPを用いて決定される、前記接合層中の金属M4の、前記接合層中の前記金属M2の含有量に対する比であり、
M(Ag)
EDXは、EDXを用いて決定される、前記接合層中の銀含有量[重量%]である、
金属-セラミック基材。
【請求項2】
前記セラミック体のセラミックが、窒化アルミニウムセラミック、窒化ケイ素セラミック、及び酸化アルミニウムセラミックからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の金属-セラミック基材。
【請求項3】
前記金属層の金属が銅であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項4】
前記金属M1が銅であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項5】
前記金属M2がスズであることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項6】
前記金属M3が、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム及びセリウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項7】
前記金属M4がビスマスであることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項8】
前記接合層が、以下の特性:
(c1’)M(M2)
EDX=10~15重量%
を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項9】
前記接合層が、以下の特性:
(c2’)15重量%≦[M(M4)/M(M2)]
ICP
*1000重量%+M(M2)
EDX≦70重量%
を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項10】
前記接合層が、以下の特性:
(c3’)M(Ag)
EDX<1重量%
を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材。
【請求項11】
金属-セラミック基材の製造方法であって、
a)積層体であって、
a1)セラミック体と、
a2)金属箔と、
a3)前記セラミック体及び前記金属箔と接触しているはんだ材料であって、
(i)少なくとも700℃の融点を有する金属M1、
(ii)700℃未満の融点を有する金属M2、
(iii)活性金属の群から選択される金属M3、並びに
(iv)ビスマス、ガリウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、アルミニウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属M4
を含む、はんだ材料と、
を含む、積層体を準備するステップと、
b)前記積層体を加熱して、金属-セラミック基材を得るステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1
又は2に記載の金属-セラミック基材を含む、モジュール。
【国際調査報告】