(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】暴風雨/ハリケーン/台風/サイクロンの積極的かつ逆転可能な緩和のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B63B 35/00 20200101AFI20241018BHJP
E02B 1/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B63B35/00 Z
B63B35/00 T
E02B1/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522679
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022044829
(87)【国際公開番号】W WO2023064096
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524141795
【氏名又は名称】チェン,フランク ボー-ハー
【氏名又は名称原語表記】CHEN,Frank Bor-Her
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フランク ボー-ハー
(57)【要約】
熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンを緩和するための水面システムであって、水面システムは、太陽の照射および水の蒸発による水面温度の上昇を最小限に抑えることができる1つまたは複数の浮遊物体と、指定エリアに浮遊物体を収容することができる、1つまたは複数のブーム様構造とを備える。効果的な緩和のために、指定エリアは、歴史的に暴風雨/ハリケーン/台風/サイクロンが最も頻繁に発生していた発生源および進路である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンを緩和するための水面システムであって、
太陽の照射および水の蒸発による水面温度の上昇を最小限に抑えることができる1つまたは複数の浮遊物体と、
1つまたは複数のブーム様浮遊構造および/または1つまたは複数のタグボートおよび/またはトウボートであって、指定エリアに前記浮遊物体を収容することができる、1つまたは複数のブーム様浮遊構造および/または1つまたは複数のタグボートおよび/またはトウボートとを備える、水面システム。
【請求項2】
前記指定エリアが、セネガルおよびモーリタニアの海岸の西にあるサハラ砂漠ジェットの低気圧トラフの進路下の海洋領域、ならびに/または歴史的に暴風雨/ハリケーン/台風/サイクロンが最も頻繁に発生していた発生源および進路を含む、請求項1に記載の水面システム。
【請求項3】
前記浮遊物体が、反射性の上面を有する、請求項1に記載の水面システム。
【請求項4】
1つまたは複数の視覚モニタをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項5】
財産所有権を識別することができる1つまたは複数の旗をさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項6】
1つまたは複数の警告標識、音声警告システム、光警告システム、またはそれらの組合せを備える1つまたは複数の警告デバイスをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項7】
1つまたは複数の照明デバイスをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項8】
前記水面システムを前記指定エリアに保持するための1つまたは複数のGPS(全地球測位システム)および/またはDGPS(差動型全地球測位システム)と、1つまたは複数のサイバー保護デバイスを備えたAI技術とをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項9】
少なくとも1つのドローンを装備しているもしくは装備していない、警備員が駐在する1つまたは複数の警備ステーションをさらに備え、前記警備員が巡回して、動物および海賊のような侵入者を追い出すことができる、請求項1に記載の水面システム。
【請求項10】
前記指定エリアが、熱帯暴風雨/ハリケーン/台風/サイクロンの統計に基づいて、熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンが発生または移動する可能性が最も高い場所である、請求項1に記載の水面システム。
【請求項11】
前記浮遊物体が、排水構成を有する物体を備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項12】
前記浮遊物体が、発泡体、金属、布、プラスチック、熱可塑性プラスチック、ガラス繊維、熱硬化性材料、ゴム、アスファルト、炭素繊維、竹材、木材、セラミック、複合材料、ソーラーパネル、天然製品、またはそれらの任意の組合せで作られた日陰を生成するおよび/または太陽を反射する海洋水面カバーを含む、請求項1に記載の水面システム。
【請求項13】
前記浮遊物体が、チューブ、ボール、棒、トランク、ドラム、バレル、シート、膨張式シート、マット、膨張式マット、ゴムボート、膨張式ゴムボート、スクリーンワイヤ、浮遊デッキ、浮遊光起電力システム、ボート、船、浮遊デッキ、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の水面システム。
【請求項14】
前記浮遊物体が、二峰性球状ボールまたは多峰性球状ボールを含む、請求項9に記載の水面システム。
【請求項15】
前記浮遊物体が、充填材を含む中空発泡チューブ、充填材を含まない中空発泡チューブ、充填材を含む任意の形状の中空ボックス、充填材を含まない任意の形状の中空ボックス、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の水面システム。
【請求項16】
前記浮遊物体が、藻類を備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項17】
前記浮遊物体が、部分的または全体的に逆転可能に相互連結することができる、請求項1に記載の水面システム。
【請求項18】
前記ブーム様浮遊構造が、部分的または全体的に逆転可能に相互連結することができる、請求項1に記載の水面システム。
【請求項19】
前記浮遊物体と前記ブーム様浮遊構造が、部分的または全体的に逆転可能に相互連結することができる、請求項1に記載の水面システム。
【請求項20】
前記ブーム様浮遊構造に接続された錨泊、係留、もしくは動的位置決めデバイス、またはそれらの任意の組合せをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項21】
前記ブーム様浮遊構造に接続された1つまたは複数のタグボートおよび/またはトウボートをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項22】
熱帯海洋の深層から冷水を汲み上げ、前記指定エリアに位置する洋面の周りに前記冷水を噴霧することができる1つまたは複数のポンプをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項23】
前記ウォーターポンプを収容し、かつ1つまたは複数の冷水貯蔵構造を備えた大型船の1つまたは複数のフリートと、冷水貯蔵構造を備えた前記フリートから前記冷水を汲み上げることができる水貯蔵装置および前記指定エリアの周りに前記冷水を噴霧することができる高性能水砲を備えたフリートとをさらに備える、請求項22に記載の水面システム。
【請求項24】
前記ポンプが、2つの隣接する表面水システムの間、水面システムの西、水面システムの東、またはそれらの組合せに配置される、請求項22に記載の水面システム。
【請求項25】
前記浮遊物体および/またはブーム様浮遊構造上の光起電力システムと、
前記光起電力システムを少なくとも1つの電力網に接続することができる1つまたは複数の電気ケーブルとをさらに備える、
請求項1に記載の水面システム。
【請求項26】
前記浮遊物体および/またはブーム様浮遊構造上の光起電力システムと、
光起電力システムから生成された電気エネルギーを貯蔵できる光起電力発電機を搭載した1つまたは複数のコンテナ船をさらに備える、
請求項1に記載の水面システム。
【請求項27】
船舶の通行に道を空け、前記水面システムのメンテナンスを容易にするために、前記浮遊構造を分割することができる1つまたは複数の水路をさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項28】
海のうねりの力によって電気エネルギーを発生させることができる1つまたは複数の表面フロートをさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項29】
前記ブーム様浮遊構造が、前記浮遊物体が前記指定エリアから離れるのを防止し、前記ブーム様浮遊構造の乾舷面を低くすることができる、網で接続されたフロータを備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項30】
前記浮遊構造が、必要に応じて日常的にごみおよび鳥の糞を清掃することができる少なくとも1つのロボットを備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項31】
前記音声警告システムが、鳥を怖がらせて追い払うことができる音を含む、請求項6に記載の水面システム。
【請求項32】
前記浮遊物体を全体的または部分的に逆転可能に相互連結することができる工具をさらに備え、前記工具が伸縮性材料を含む、請求項17に記載の水面システム。
【請求項33】
前記伸縮性材料が、コイル、バンド、バックル、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項32に記載の水面システム。
【請求項34】
前記ブーム様浮遊物体を全体的または部分的に逆転可能に相互連結することができる工具をさらに備え、前記工具が伸縮性材料を含む、請求項18に記載の水面システム。
【請求項35】
前記伸縮性材料が、コイル、バンド、バックル、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項34に記載の水面システム。
【請求項36】
前記システムが、建設中に、暴風雨/ハリケーン/台風/サイクロンとの正面衝突を回避するために前記指定エリア以外で構築してから、前記指定エリアに移動することができる、請求項1に記載の水面システム。
【請求項37】
少なくとも1つの避雷針をさらに備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項38】
前記浮遊構造が、ソーラーパネルの損傷および、例えば鳥類、海の動物、および海賊などの侵入者を検出することができる少なくとも1つの視覚および/または熱カメラを装備した少なくとも1つのドローンを備える、請求項1に記載の水面システム。
【請求項39】
前記システムが、建設中に、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンとの衝突を回避するために指定エリア外で構築してから、前記指定エリアに移動することができる、請求項1に記載の水面システム。
【請求項40】
前記光起電力システムが、撥水性があり、水およびごみがソーラーパネル表面から容易に滑り落ちるように滑りやすくコーティング処理されたソーラーパネルを備える、請求項13に記載の水面システム。
【請求項41】
海上の強太陽照射エリアで太陽エネルギーを収集する方法であって、
強風および高波からの脅威を最小限に抑えるために水面システムを設置することであって、前記水面システムが、
太陽の照射および水の蒸発による水面温度の上昇を最小限に抑えることができる1つまたは複数の浮遊物体と、
1つまたは複数のブーム様浮遊構造ならびに/または1つまたは複数のタグボートおよび/もしくはタグボート様牽引ボートならびに/またはトウボートおよび/もしくはトウボート様牽引ボートであって、指定エリアに前記浮遊物体を収容することができる、1つまたは複数のブーム様浮遊構造ならびに/または1つまたは複数のタグボートおよび/もしくはタグボート様牽引ボートならびに/またはトウボートおよび/もしくはトウボート様牽引ボートとを備える、ことと、
太陽エネルギーを収集するために強太陽照射の水上に浮遊太陽発電所を設置し、前記収集された太陽エネルギーをインバータを介して送電網に接続された電気ケーブルに伝送し、および/または蓄電池を備えた少なくとも1つの船によってインバータを介して送電網に伝送することとを含む、方法。
【請求項42】
強太陽照射が、3.0kWh/m
2またはそれ以上である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記太陽発電所の前記ソーラーパネルが、撥水性があり、水およびごみが前記ソーラーパネル表面から容易に滑り落ちるように滑りやすくコーティング処理されている、請求項42に記載の水面システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月14日に出願された米国仮出願第63/255,503号に基づき、その優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、積極的なハリケーン/台風/サイクロン緩和に関し、より具体的には、限定するものではないが、セネガルおよびモーリタニアの海岸の西にあるサハラ砂漠低気圧トラフジェットの進路上、および熱帯暴風雨やハリケーン/台風/サイクロンの発生源と進路上における、洋面構造とその洋面上の選択的配置に関し、いくつかの利点がある。(1)ハリケーン/台風/サイクロンの季節が始まる前に、選択した場所(単数または複数)に上記洋面構造(単数または複数)を設置することによって積極的に行われる。(2)コストが負担可能である。(3)物流的に実施可能である。(4)設計の監視およびその操作の維持がより安全かつ容易である。(5)逆転可能である。一旦熱帯暴風雨、ハリケーン、台風、およびサイクロンを弱めると、より穏やかな洋面は、洋面の太陽照射をより良好に利用することができる浮遊太陽発電所を構築するのにより適したものになり得る。
【背景技術】
【0003】
地球温暖化により、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンの年間の数、ならびにそれらの勢力および強度が増すと予想される。大西洋地域を例とすると、2020年に米国では、最高風速が39mphを超える記録的な数の30個の暴風雨が発生し、そのうち13個は、風速が74マイル/時を超えるハリケーンに変わった。
【0004】
カテゴリー1のハリケーンの影響を受ける可能性がある米国の住宅の数は、80万を超える。カテゴリー5のハリケーンの場合、この数は700万を超える。推定保険損失は、2005年のハリケーン「Katrina(カトリーナ)」だけで約850億ドルで、中程度の保険損失は、2004年のハリケーン「Ivan(イアン)」だけで約120億ドルであった。このように、平均的に言えば、毎年の熱帯暴風雨およびハリケーンに関連する、人命の損失を含まない物的損害は、米国だけで数百億超から数千億超に達するというのが妥当な推定である。
【0005】
ハリケーンを弱めるための多くの緩和方法または試みが、特許および特許公報において提案されている。一般に、3つのアプローチがある。1)発生後アプローチ-ハリケーンを破壊するか、またはその勢力を低減するか、またはその方向を変える。2)半積極的アプローチ-発生した熱帯低気圧を消滅させる。3)積極的アプローチ-ハリケーンの発生を防ぐ。
【0006】
David B.Romanoff(特許文献1)は、液体または固体窒素を使用して、材料を暴風雨の頂上から暴風雨の中に落とすことによって暴風雨を冷却することを提案した。ハリケーン/台風/サイクロンがいつ襲来するかを正確に把握していないと、この緩和操作に備えて膨大な原材料在庫の蓄積および航空機のフリートを確保する必要がある。ハリケーン/台風/サイクロンのパワーは、数百個の水爆のパワーに等しい可能性があるため、ハリケーン/台風/サイクロンを冷却するのに必要な液体または固体窒素の量は非常に膨大になる。これは、緩和実行の物流にとってほぼ不可能に近い。
【0007】
Lawrence Sirovich(特許文献2)は、熱帯暴風雨またはハリケーンを修正するために、切り立った表面および/またはフィンを備えた潜水艦を使用して、水域の一区画の上層を水域の下部と混合することを提案した。いくつかの潜水艦が熱帯暴風雨領域を横断するか、またはハリケーンに先行して横断するように調整することにより、冷却された水は、暴風雨の強度および動きを促進するために利用可能な熱エネルギーの量を減らす。ハリケーン/台風/サイクロンの典型的な半径は、半径約150マイルであり得る。この提案は、世界中のほぼすべての潜水艦がこの操作に参加することを必要とする。
【0008】
Boris Feldman(特許文献3)は、エネルギーを減らすために、雪片のようなエネルギー変換小粒子をハリケーンに注入することを推奨した。Manilal J.SalvaおよびVishal T.Shah(特許文献4)は、構造内にアフターバーナーを備えたジェット機を飛ばせることを提案した。大規模なスケールでの温度の小さな変化は、より小規模なスケールでの他の変数の大きな変化をもたらして、ハリケーンの方向および強度を変える。
【0009】
Brian P.Sandler(特許文献5)は、4つの水面下の魚雷形の船体を有する下部と、3つのファンチューブがV字の両側に垂直に積み重ねられたV字形の上部とからなる船を使用することを提案した。当該機械は、ハリケーンの目の近くのハリケーンの目の壁に配置された。当該機械は、目の壁から目に空気を機械的に吹き付けて、目の壁を曲げ、目の中にそらす。当該機械は、目の壁内の空気を減速させ、目の中の低気圧は空気を吸い込む。低気圧がないことは循環がないことに等しい。循環がないことはハリケーンがないことに等しい。これはせいぜい非常に危険な策略である。
【0010】
Jeffrey A.Bowerら(特許文献6)は、ハリケーンを緩和するための積極的な方法を提案した。この方法は、一般に、環境改変と説明される。この方法は、波によって誘起されるダウンウェリングによって水中のより低い深さに水を移動させることができる少なくとも1つの船舶の配置を決定することを含む。この方法はまた、少なくとも1つの船舶を決定された配置に配置することを含む。さらに、方法は、配置に応じて、水面に隣接する水の動きを生成することを含む。より冷たい水を海洋のより深い部分から表面に汲み上げ、洋面から海洋のより深い部分に暖かい水を配置することによって、熱帯暴風雨またはハリケーンが発生しないように洋面水を26.5℃未満に冷却することができる。深海はCO2濃度が高く、したがって、これは、海水の酸性度を高める可能性がある。この操作はまた、船舶のフリートおよび膨大な量の高速ウォーターポンプを必要とする。これは高コストの策略である。
熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンの発生を止めることは、強風および豪雨に関連する死傷者数を最小限に抑えるが、農業、生態系、および山火事の防止にとってきわめて必要である。その結果、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンの大きさおよび勢力を積極的に制御することができるだけでなく、必要に応じて、緩和が過剰に行われるたびに緩和を逆転させることができる、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロン緩和方法を有することが望ましい。暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンの緩和の操作は、この自然パワーの大きさによって気の遠くなるようなタスクであるため、物流的制約に加えて、大量の機械的動力および材料の持続的な投入を必要とするあらゆる操作は、費用がかかる。したがって、化学物質、エネルギー、航空機のフリート、または船舶もしくは潜水艦のフリートの持続的な非常に高い投入量なしに、20年から40年にわたって続くことができる固定経費がかかる手法はいずれも望ましい低コストの操作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0264230号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0008365号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0270389号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0072297号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0047480号明細書
【特許文献6】米国特許第8,685,254号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は概して、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンが頻繁に発生する発生源場所および進路に沿って、熱い太陽による海水の蒸発を最小限に抑えるために、熱帯海洋に広大な遮蔽体を選択的に設置することに関する。例えば、過去1世紀にわたる熱帯暴風雨およびハリケーンの歴史に基づいて、大西洋には、ハリケーンが最も頻繁に発生する場所と、熱帯の海におけるこれらのハリケーンの最も一般的な進路が存在する。海洋上の熱帯暴風雨の発生源場所は、
図1に示すように、西と南の両方のカーボベルデ付近、ならびに発生源から、プエルトリコ、アンチグアおよびバルブダ、グアドループの東へのそれらの西向きの進路を含むが、これらに限定されない。西へ向かうサハラ砂漠ジェット気流は、これらの暴風雨およびハリケーンを西向きに中米および北米へと移動させる。ハリケーンの季節の前に、西へ向かうサハラ砂漠低気圧ジェットの発生源場所および通路に沿って洋面構造を積極的に設置することによって、システムは、熱帯暴風雨およびハリケーンを弱めまたは緩和するための積極的なアプローチを可能にする。当然のことながら、年々、統計データに基づく我々の予測から予想されたものではない、いくつかの特定のエリアで発生する熱帯暴風雨およびハリケーン/台風がある。しかしながら、これらの統計的に可能性の低い発生源地点およびそれらの進路に沿った追加の積極的な熱帯洋面構造を追加することにより、危険な熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンを毎年積極的に緩和する成功率は向上する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この広大な遮蔽体、すなわち洋面構造は、以下を含み得る。1)断熱特性を有するもしくは有しない、および/または太陽光反射特性を有するもしくは有しない涼しい日陰を生成することができ、湿気凝縮水、高波からの水、または雨水が海に排出または滴下することを可能にすることができ得る浮遊物体(単数または複数)のアセンブリ。2)熱を、ブーム様設計のアセンブリの外側の周囲の暖かい海面の水から、ブーム様設計のアセンブリの内側の表面の水へと絶縁するための断熱特徴を有するもしくは有しない浮遊ブーム様設計のアセンブリ。このブーム様設計はまた、強風によって吹き飛ばされたり、高潮によってブームクロージャから流れ出されたりするのを防ぐために、浮遊物体を囲むことができる。このブーム様設計はまた、錨泊、係留、または動的位置決め能力、またはそれらの組合せを有し得る。他の設計は、高波の衝撃を回避するための高い屋根のような設計と、波および風による引張力を最小限に抑えるための低い乾舷面とを有する1つまたは複数の浮遊構造を備えることができる。浮遊構造のフロータ設計は、形状が球状または円筒形であってもよく、風および波からの衝突力を受けて自由に回転してもよい。回転エネルギーは、さらに電気エネルギーに変換されてもよい。タグボート(単数または複数)もしくはタグボート様牽引ボート(単数または複数)および/またはトウボート(単数または複数)もしくはトウボート様牽引ボート(単数または複数)をブーム様構造または浮遊構造に追加することができる。ボートは、浮遊物体および/または浮遊構造アセンブリの位置を調整するためのGPSおよび/またはDGPS(差動型GPS)を備え得る。
【0014】
標的の洋面エリア上の浮遊物体の表面被覆率を調整することにより、熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロン発生の制御度を調整することができる。
【0015】
これらの洋面構造は、最初に、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風の発生源が最も頻繁に発生する洋面上に構築することができる。それらはまた、緩和の有効性を高めるために進路の通路上に追加されてもよい。それらはまた、セネガルおよびモーリタニアの西にある、サハラ砂漠ジェットの低気圧トラフの進路下の洋面上に追加されてもよい。次いで、これらは、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンの発生源および進路が発生する可能性が2番目に高い洋面上に構築することができる。
【0016】
この段階的な構築手法は、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンを負担可能なコストで緩和することを可能にし、人間が地球温暖化をある程度制御できるようになったと仮定して、熱帯サイクロンによる被害の割合を年々段階的に下げることが可能になる。これは、人間が、中国では古代の万里の長城を、イタリアではローマを建設したやり方に似ている。洋面構造はまた、ハリケーン/台風/サイクロンが、より少ない雨およびより弱い風だけを陸地および洋面構造の方にもたらすように弱められるように、それらの大きさおよび位置において、ならびに水蒸発速度のそれらの制御度においてより選択的に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】主な熱帯サイクロンゾーンとその発生源および進路を示すマップである。
【0018】
他の利点および特徴は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で論じられるデバイスおよび方法は、本発明を作成および使用する特定の方法の単なる例示であり、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0020】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、デバイスおよび方法をある程度詳細に説明してきたが、デバイスおよび構成要素の構築および配置の詳細において多くの修正を行うことができることに留意されたい。デバイスおよび方法は、例示の目的で本明細書に記載の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0021】
一般に、第1の態様では、本発明は、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンを緩和するように設計された洋面構造に関し、いくつかの利点を有する。1)積極的である。2)コストが負担可能である。3)設計の監視およびその操作の維持がより安全かつ容易である。4)物流的に実施可能である。5)逆転可能である。
【0022】
熱帯低気圧が発生されるには、海面下50メートル下から海面までの海水の温度が26.5Cより高いことが必要である。また、湿った空気および地球の回転も必要である。熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンの大部分が夏季に発生するのはこのためである。地球の回転を止めることはできないので、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンが最も頻繁に発生する場所およびそれらの進路に沿って、海水が26.5Cを超えて加熱するのを防ぎ、海水蒸発を最小限に抑えることは、それらが発生するのを防ぐ、またはそれらの頻度、勢力、および進路を緩和するための可能な方法となる。
【0023】
本明細書で論じられる洋面構造は、特定の設計の単なる例示であり、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、構造をある程度詳細に説明してきたが、構築および配置デバイスおよび構成要素の詳細において多くの修正を行うことができることに留意されたい。構造および構成要素は、例示の目的で本明細書に記載の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0024】
この広大な遮蔽体、すなわち洋面構造は、以下を含み得る。1)断熱特性を有するもしくは有しない、および/または太陽光反射特性を有するもしくは有しない、湿気凝縮水、高波からの水、または雨水が海に排出または滴下することを可能にすることができ得る浮遊物体のアセンブリ。2)熱を、ブーム様設計のアセンブリの外側の周囲の暖かい海面の水から、ブーム様設計のアセンブリの内側の表面の水へと絶縁するための断熱特徴、すなわち太陽光反射特徴を有するもしくは有しない浮遊ブーム様設計のアセンブリ。このブーム様設計はまた、強風によって吹き飛ばされたり、高潮によってブームエンクロージャから流れ出されたりするのを防ぐために、浮遊物体を囲むことができる。このブーム様設計はまた、錨泊、係留、または動的位置決め能力、またはそれらの任意の組合せを有し得る。
【0025】
浮遊物体の表面被覆率、またはハリケーン/台風/サイクロン通路または進路の表面被覆率、または両方を調整することにより、熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロン発生の制御度を調整することができる。
【0026】
選択された場所でのこれらの洋面構造は、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンの季節が始まる前に実施することができるため、熱帯暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンの目の周辺または中心での緩和操作の実施に関連する安全上のリスクを大幅に低減する。これはまた、上記の表面構造をハリケーン/台風/サイクロンの通路および進路の近くに設置し、次いでこの表面構造を通路および進路内に動かせることによっても達成され得る。これにより、設置中に、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンによる強風および高波との表面構造の正面衝突を回避することができる。また、これにより、原材料および工具供給に関連する高い在庫ストレスも軽減される。暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンを、それらが発生してから数週間という短期間で緩和するように取り組むのではなく、本発明は、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンを緩和するために、数ヶ月から数年にわたる積極的な準備を可能にする。これはまた、上記の表面構造をハリケーン/台風/サイクロンの通路および進路の近くに設置し、次いでこの表面構造を通路および進路内に動かせることによっても達成され得る。これにより、設置中に、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンによる強風および高波との表面構造の正面衝突を回避することができる。
【0027】
洋面構造の完全性を監視し、安全性および適時な補修を図るためにビデオモニタを配置することができる。所有権、および水面構造に接近する船舶または飛行機などの任意の移動物体への安全通信のために、水面構造の現場またはその近くに旗および目に見える夜間照明を配置することもできる。安全のために、水面構造の現場またはその近くに注意標識を配置することもできる。
【0028】
洋面構造は、最初に、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンが最も頻繁に発生する発生源および進路に沿って洋面上に構築することができる。次いで、これらは、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンの発生源および進路が2番目に頻繁に発生する洋面上に構築することができる。それらはまた、セネガルおよびモーリタニアの海岸の西にあるサハラ砂漠ジェットの低気圧トラフの進路下の海面上を含むこともできる。
【0029】
太陽光遮蔽および/または太陽光反射浮遊物体および/または浮遊構造からなるこれらの巨大な海洋遮蔽体は、熱帯の海への全太陽照射エネルギーの最大1%を反射することができると推定される。その結果、浮遊物体および/または浮遊構造は、海水の蒸発を最小限に抑えることができるだけでなく、太陽光を吸収してそれらを蓄積された電気エネルギーに変えることもできる。これは大きな利点となり得る。太陽発電所を備えた浮遊洋面構造の設置により、ユーザは世界の公共エネルギーおよび電気自動車エネルギーの需要全体を供給できるようになり、化石燃料の燃焼からの温室効果ガス排出を削減し、地球温暖化を和らげ、また暴風雨およびハリケーン/台風/サイクロンの頻度および勢力も低減することを達成することもできる。
【0030】
浮遊物体/構造は、ソーラーパネル、発泡材、プラスチック材、ゴム材料、竹材、布材、木材、自然から得られる他の材料、人工島、ボトルのようなリサイクル材、金属材、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0031】
浮遊物体/構造の設計は、物体に衝突する湿気凝縮水、雨、または海水が排出されて海に流れ込むことができるような形状にすることができる。この形状は、表面海水の蒸発および海水を加熱する太陽エネルギーを最小限に抑えるために、物体を密に詰め合わせることを可能にすることができる。例えば、物体は、その表面輪郭設計によって雨または海水の排出を可能にすることができる、表面太陽光反射材料有するもしくは有しないウレタン発泡シートを含むことができる。加えてまたは代わりに、物体は、排水用の表面輪郭を備えた発泡チューブ、ピンポンボール、バスケットボール、ビーチボール、竹チューブまたは竹棒、金属製ドラム、プラスチック製ドラム、木製バレル、ゴムボート、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。言及されているすべての材料は、輸送コストおよび材料コストを削減することが可能である場合、膨脹式のものとする選択肢も含むことができる。
【0032】
球状ボールが使用される場合、詰め合わせる密さの程度を高めるために、二峰性または多峰性のボールの大きさを使用することができる。排水用の表面輪郭設計を備えていれば、ヘキサプロテクト・アクア・タイルのような、形状が特別に設計された他の浮遊物体も使用することができる。浮遊物体はまた、空気をボールのように浮遊するための材料の一部とするか、または水を軽量物体が吹き飛ばされるのを回避するために軽量物体の密度を高めるための充填材とする複合材料を含んでもよい。浮遊ソーラーパネルは、排水目的のマイクロソーラーセルを備えた四面体構造、多面体構造、または球状構造を含むことができる。
【0033】
この段階的な海洋海水構築手法は、熱帯暴風雨およびハリケーン/台風を負担可能なコストで緩和することを可能にすることができ、人間が地球温暖化をある程度制御できるようになったと仮定して、熱帯サイクロンによる被害の割合を年々段階的に下げることが可能になる。これは、目標を達成するのに何年もかかるので、万里の長城またはローマの建設に似ている。
【0034】
洋面構造の考えられる場所は、カーボベルデの(北緯16.4度、西経27.8度を中心とする)西と(北緯13.3度、西経23.9度を中心とする)南の両方の付近、およびメキシコのメリダの北の北緯21.0度と西経90.0度を中心とする洋面付近、メキシコのメキシコシティの西の北緯14度と西経100度を中心とする洋面付近、北緯14.7度、東経137.5度を中心とする洋面付近とフィリピンに到達するまでの西向きの台風通路、フィリピンのイロイロの西の北緯10度、東経123.8度を中心とする洋面付近、スリランカの東の北緯8.0度、東経90.0度を中心とする洋面付近、インドのコーチの西の北緯10.0度、東経71.4度を中心とする洋面付近、ビスマルク海の南緯5.0度、東経152.3度を中心とする洋面付近、アラフラ海の南緯9.6度、東経140.0度を中心とする洋面付近、またはサハラ砂漠ジェットの低気圧トラフの進路下、セネガルおよび/またはモーリタニアの海岸の西にあるサハラ砂漠低気圧トラフジェットの進路下の海洋水を含む任意の他の所望の場所を含み得る。
実施の形態
【0035】
断熱ポリエチレンプラスチック製水容器を、遮蔽の概念を検証するために本研究で使用した。遮蔽の概念は、1つまたは複数の浮遊物体を使用して、太陽によって加熱されることから水の表面を覆うことである。浮遊物体はまた、容器内の水の重量損失によって測定される、空気中への水の蒸発を最小限に抑える。
【0036】
水温は、覆われていない水または浮遊物体で覆われた水を正午に長時間日光にさらした後、1つが水底付近にあり、もう1つが水面付近にある熱電対によって測定した。正午は、太陽の下の木の影の形状および位置によって決定された。
【0037】
実施の形態1:5.75インチ×5.75インチの断熱ポリエチレン製容器をデジタル天秤上に配置した。容器に0.595ポンドの暖かい水(約60C)を充填した。熱帯ハリケーン/台風を発生するために利用可能な暖かく湿った空気に関連している水蒸発速度を評価するために、時間の関数としての水の重量損失を記録した。開始温度が60Cであった理由は、この研究に必要な時間を短縮するために水蒸発速度を加速させるためであった。
【0038】
表1に示すように、水の表面を完全に空気に開放した状態で、56度の室内相対湿度で26分で約0.25ポンドの水が蒸発した。
【表1】
【0039】
水面の98%超を覆う浮遊発泡ウレタンチューブを使用することを除いてすべてが同じ研究を行ったとき、水蒸発速度は30分で0.010ポンドに低下した。これは、海洋の水面が浮遊物体で覆われている場合、海水の蒸発速度が低下し、水面上の暖かく湿った空気のレベルも低下することを示唆している。25Cでは、飽和水蒸気圧は23.76mmHgであり、30Cでは、飽和水圧は31.86mmHgで、25Cの場合よりも1.34倍高い。発泡ウレタンチューブを用いない場合の相対的な水蒸発速度は、水面被覆率が98%超で発泡ウレタンチューブを用いた場合の約2.5倍である。海水上の空気のような開放環境では、表面被覆法は、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンの発生を助けるのに必要な暖かい湿気の臨界量を減少させるのに十分であると予想される。26.5Cでの飽和水蒸気レベル対25Cでの飽和水蒸気レベルは、1.34未満であるべきである。
【0040】
暖かく湿った空気は、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンがより大きく、より速い風速で成長するのを助ける燃料のような役割を果たすので、表面被覆構造によるこの暖かく湿った空気の減少は、暴風雨またはハリケーン/台風/サイクロンの成長を弱めることができる。
【0041】
実施の形態2:以下のすべての研究は、太陽照射、屋外温度、風速、または湿度による差の影響を最小限に抑えるために同時に行われた。表2に示すように、浮遊物体による水面被覆率を増やすと、水蒸発速度を低下させることに加えて、太陽の照射による水の加熱速度も低下させた。
【表2】
【0042】
実施の形態3:2つの断熱ポリエチレン製容器に各々17.70ポンドの水を充填した。1つは、1/2インチのスタイロン発泡シートで100%覆い、もう1つは、太陽反射のためのアルミニウム箔の上層を備えた1/2インチのスタイロン発泡シートで100%覆った。熱伝導性アルミニウム箔は水と接触していなかった。正午に、周囲温度は89Fであった。晴天で風もなかった。
【0043】
表3に示すように、太陽光反射アルミニウムシートを備えた断熱発泡材は、熱い太陽による水の加熱に対してより良好な断熱性を示す。
【表3】
【0044】
アフリカの西海岸を離れた後のサハラ砂漠ジェットは、典型的には、真夏に約590マイルにわたって暖かい水上を移動した後、熱帯暴風雨を発生させ始める。そこは、熱帯暴風雨の発生源のあるカーボベルデ付近の場所であった。この特定の場所で約100マイル×300マイルの水面構造を設置することにより、熱帯暴風雨の発生を減衰させることが期待される。西向きのサハラ砂漠ジェットがプエルトリコに向かって移動し続けると、強い熱帯暴風雨やハリケーンの発生を回避するために、最初の水面構造から350マイルおきの間隔、または任意の他の所望の間隔で水面構造を設置することができる。
【0045】
実施の形態4:2つの断熱ポリエチレン製容器に各々17.70ポンドの水を充填した。1つは、光起電力システムの4フィート(幅)×8フィート(高さ)のソーラーパネルの日陰の下に配置した。ソーラーパネルは、45度の傾斜角で、南方向に面して配置した。もう一方は日陰のない太陽の下に配置した。両方が4フィート離れている。屋外温度は97Fであり、相対湿度は36度であった。検出された風は微風であった。
【0046】
表4に示すように、ソーラーパネルは、暖かくならないように水に対して効果的な太陽光遮蔽を提供した。したがって、例えば、浮遊プラットフォームの隆起部に、灼熱の太陽によって海水が熱くなりすぎるのを最小限に抑えるために、例えば、南に面するソーラーパネルを配置し、かつ、例えば、北に面する撥水性の布または太陽を反射するガルバリウムシートを配置することができる。ソーラーパネルに基づく光起電力システムはまた、海水が熱くなりすぎてハリケーンが発生するのを最小限に抑えるべく、涼しい日陰を提供することに加えて、太陽エネルギーをグリーン電気エネルギーに変換する。次いで、浮遊海洋太陽発電所を隆起部から隆起部に設置して、巨大な海洋水面上に日陰を提供することができる。ハリケーンや台風が最も発生しやすい低姿勢では、ソーラーパネルを浮遊プラットフォーム上に0に近い傾斜角で配置することができる。
【表4】
【0047】
以下の実施の形態5では、2つの断熱ポリエチレン製容器に122Fの暖かい水を充填した。各容器の表面を伸縮性のある布(厚さ1.5mmナイロン/SBR/ナイロン)で覆った。次いで、各容器の重量を24分間にわたってモニタリングした。表5に示すように、布製遮蔽体は、水蒸気透過率を約2.66倍低下させることができる。
【0048】
布を日除けや水蒸気バリア素材として使用すると、必要な表面構造を設置する速度が速くなる。伸縮性特性はまた、海のうねりの力にも耐えられる構造を提供する。
【表5】
【0049】
ここにおいて、デバイスおよび方法は、図面および特許請求の範囲に関連して説明されているが、本明細書に示されまたは示唆されたものとは別に、本発明の趣旨および範囲内で他のおよびさらなる修正を行うことができることを理解されたい。
【国際調査報告】