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特表2024-539049流動場分画装置に関連する溶媒の管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】流動場分画装置に関連する溶媒の管理
(51)【国際特許分類】
   B03B 5/00 20060101AFI20241018BHJP
   G05D 7/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B03B5/00 Z
G05D7/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522692
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022046793
(87)【国際公開番号】W WO2023064607
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/502,007
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524141924
【氏名又は名称】ワイアット・テクノロジー・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トレイノフ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ラームロウ,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4D071
5H307
【Fターム(参考)】
4D071AA90
4D071AB03
4D071AB24
4D071AB25
4D071BA13
4D071BB03
4D071BB12
5H307AA15
5H307BB05
5H307BB14
5H307DD17
5H307EE02
5H307FF01
(57)【要約】
本開示は、流動場分画装置に関連する溶媒を管理する装置について記載する。例示的な実施形態では、装置は、(1)流動場分画装置に接続された少なくとも1つの検出器からの検出器フロー出力に接続されたユニオン組立体と、(2)ユニオン組立体の出力と流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力とに接続された再循環及び廃棄組立体とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動場分画装置に接続された少なくとも1つの検出器からの検出器フロー出力に接続されたユニオン組立体と、
ユニオン組立体の出力と流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力とに接続された再循環及び廃棄組立体と、
を備える装置。
【請求項2】
ユニオン組立体は、流動場分画装置に接続された少なくとも1つのパージフロー出力に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された3つのパージフロー出力に接続された5ポートユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された3つのパージフロー出力に接続された複数のユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された2つのパージフロー出力に接続された4ポートユニオンと、
流動場分画装置と4ポートユニオンの出力ポートとに接続された第3のパージフロー出力に接続された3ポートユニオンと、
を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された3つのパージフロー出力に接続された複数のユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置に接続された4つのパージフロー出力と、流動場分画装置に接続された希釈制御モジュール廃棄フロー出力と、検出器フロー出力とに接続された7ポートユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された2つのパージフロー出力に接続された第1の4ポートユニオンと、
第1の4ポートユニオンの出力と流動場分画装置とに接続された2つのパージフロー出力に接続された第2の4ポートユニオンと、
第2の4ポートユニオンの出力ポートと流動場分画装置とに接続された希釈制御モジュール廃棄フロー出力に接続された3ポートユニオンと、
を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置に接続された4つのパージフロー出力と、流動場分画装置に接続された希釈制御モジュール廃棄フロー出力と、検出器フロー出力とに接続された複数のユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
ユニオン組立体は、検出器フロー出力に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ユニオン組立体は、
複数のユニオンの少なくともサブセットを収容するためのマニホールドを更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
ユニオン組立体は、
複数のユニオンの少なくともサブセットを収容するためのマニホールドを更に備える、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
再循環及び廃棄組立体は、
流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力に接続された第1の弁と、
ユニオン組立体の出力に接続された第2の弁と、
第1の弁及び第2の弁に接続された第1の3ポートユニオンであって、第1の3ポートユニオンの出力は再循環貯蔵部に接続されている、第1の3ポートユニオンと、
第1の弁及び第2の弁に接続された第2の3ポートユニオンであって、第2の3ポートユニオンの出力は廃棄貯蔵部に接続されている、第2の3ポートユニオンと、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
流動場分画装置に接続された比例制御弁に接続されたパージ弁を更に備え、パージ弁は、パージ弁を比例制御弁に接続する流路から空気を除去し、かつ溶媒を除去するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
比例制御弁は、流動場分画装置の注入フロー制御部及び注入フローポートに接続されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
比例制御弁は、流動場分画装置の入口フロー制御部及びチャネル入口ポートに接続されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項16】
比例制御弁は、流動場分画装置のクロスフロー制御部及びチャネルクロスフローポートに接続されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項17】
比例制御弁は、流動場分画装置の圧力制御部及び希釈制御モジュールポートに接続されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項18】
流動場分画装置の試料注入ポートに接続されるように構成されたマスフローコントローラを更に備え、
マスフローコントローラは、流動場分画装置のチャネルに試料を注ぐ速度を制御するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月14日に出願された米国特許出願第17/502,007号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、流動場分画装置(field flow fractionator)に関し、より具体的には、流動場分画装置に関連する溶媒の管理に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、流動場分画装置に関連する溶媒を管理する装置について記載する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実施形態では、装置は、(1)流動場分画装置に接続された少なくとも1つの検出器からの検出器フロー出力(detector flow output)に接続されたユニオン組立体と、(2)ユニオン組立体の出力と流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力とに接続された再循環及び廃棄組立体とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的な実施形態による装置を示す。
図2】例示的な実施形態による装置を示す。
図3A】例示的な実施形態による装置を示す。
図3B】例示的な実施形態による装置を示す。
図4】例示的な実施形態による装置を示す。
図5】例示的な実施形態による装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、流動場分画装置に関連する溶媒を管理する装置について記載する。例示的な実施形態では、装置は、(1)流動場分画装置に接続された少なくとも1つの検出器からの検出器フロー出力に接続されたユニオン組立体と、(2)ユニオン組立体の出力と流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力とに接続された再循環及び廃棄組立体とを含む。
【0007】
一実施形態では、図1図2図4及び図5は、AF4(非対称流流動場分画)システムに関連する配管を示す。ほとんどの制御要素はFFF(流動場分画)プロセスの制御に関連しているが、赤いボックスで強調表示されている弁及びユニオンはISMシステムである。弁V1及びV2は、クロスフロー及び検出器フローの廃棄/再循環の経路決定を制御する。また、青色で示されているのは、各制御弁の抽気ポートに接続された一連の二方向弁である。それらは、検出器フローと共に右上の赤色ボックス内の4ポートユニオンで経路決定され、廃棄又は再循環へ送流される。
【0008】
より高度なFFF装置は、図2に示すように、追加の流体流を含んでもよい。例えば、希釈制御モジュール(DCM)の導入によって、更なる廃棄流が追加される。通常動作中、この流れは常に汚染されないことが期待される。しかしながら、試料がこの経路を流れ下る可能性がある。システム配管を単純化するために、我々は、DCM廃棄流と検出器流とを別々に制御するのではなく、双方を組み合わせること、すなわち双方が一緒に切り替わることを選択する。DCM流を別個に濾過することもできるが、これには余分なメンテナンス負担が加わる。
【0009】
本開示は、検出器ポート、クロスフローポート及び制御弁抽気ポートからの溶媒フローを方法ごとに再循環又は廃棄のいずれかに自動的に経路決定することができる高機能な溶媒管理システムについて記載する。溶媒の使用量及び注入回数を追跡して、システムが溶媒を使い尽くすのを防ぎ、膜を交換する必要があることをユーザに警告する。
【0010】
定義
粒子
粒子は、液体試料アリコートの構成要素であってもよい。そのような粒子は、様々な種類及び寸法の分子、ナノ粒子、ウイルス様粒子、リポソーム、エマルジョン、細菌及びコロイドであってもよい。これらの粒子は、ナノメートルからミクロン程度の寸法の範囲であってもよい。
【0011】
溶液中の高分子種又は粒子種の分析
溶液中の高分子種又は粒子種の分析は、適切な溶媒中で試料を調製し、次いで、そのアリコートを液体クロマトグラフィ(LC)カラム又は流動場分離(FFF)チャネルなどの分離システムに注入することによって達成することができ、ここで、試料中に含まれる異なる種の粒子は、それらの様々な構成要素に分離される。一般に寸法、質量又はカラム親和性に基づいて分離されると、試料は、光散乱、屈折率、紫外線吸収、電気泳動移動度及び粘度応答による分析に供され得る。
【0012】
流動場分画
流動場分画、FFFによる溶液中の粒子の分離は、1960年初頭、J.C.Giddingsによって広範に研究及び開発された。これらの技術の基礎は、チャネルに拘束された試料と、流れ方向に垂直に加えられた印加場との相互作用にある。これらの技術の中でも現在注目されているのは、対称流(SFlFFF)としばしば呼ばれるクロスフローFFFであり、印加場は、チャネル内の試料キャリア流体に垂直な2次流れを導入することによって達成される。この技術には、非対称流FFF(すなわち、A4F)及び中空糸(H4F)流れ分離を含むいくつかの変形例がある。
【0013】
他のFFF技術には、(i)重力/遠心交差力がチャネルフローの方向に対して垂直に加えられる沈降FFF(SdFFF)、(ii)電場がチャネルフローに対して垂直に加えられる電気FFF(EFFF)、及び(ii)温度勾配が横方向に加えられる熱FFF(ThFFF)が含まれる。
【0014】
これら全ての流動場分画方法に共通しているのは、流体又は移動相であり、その中に試料のアリコートが注入され、クロス場の印加によってその構成画分への分離が達成される。流動場分画装置の多くは、電場、クロスフロー、温度勾配又は他の可変の場にかかわらず、試料アリコートがチャネルを流れ下る間のクロス場の強度の制御及び変動が可能である。
【0015】
対称流クロスフロー分画装置(SFlFFF)
流動場分離による粒子の分離の説明として、おそらく最も平易なシステムであるSFlFFFを簡略化したものを説明する。試料は消費移動相と共に入口ポートに注入される。試料は、いわゆる「緩和段階」を経ることができ、ここでは、加えられるチャネルフローはないが、常に加えられるクロスフローによって、より大きな粒子は、より小さな粒子よりもチャネル高さの更に下方へ押しやられる。チャネルフローが再開されると、試料アリコートは、チャネルフローの断面の、チャネルフローが最も速い、チャネル高さ中心近くの領域に存在するため、チャネル長さを下流へ移動する間に、より小さい粒子がより大きい粒子を先導するように非立体的分離を受け始める。クロスフロー速度を上げることにより、全ての種の分離が継続し、一方、より大きな画分は、より寸法の小さな画分の更に後方に遅れ始める。分画試料は、排出ポートを通ってチャネルを出た後、様々な検出器を用いて分析することができる。
【0016】
非対称流FFF(A4F)
非対称流FFF(A4F)は、一般に、以前に開発されたSFlFFFの変形と考えられる。A4Fチャネル組立体は、(1)密封Oリングによって囲まれた液体透過性フリットを保持する底部組立体構造と、(2)フリット上にある透過性膜と、(3)空洞が切り込まれた厚さ約75μm~800μmのスペーサと、(4)一般にポリカーボネート材料又はガラスの透明板を保持する上部組立体構造とを含むことができる。
【0017】
結果として得られる挟持体は、ボルト又は他の手段、例えば漏れに対してチャネルを密封するのに十分な圧力を印加することによって一体的に保持され、そのような圧力は、漏れが生じないようにチャネル組立体全体に比較的均一な圧力を提供することができる限りにおいて、万力又はクランプ機構によって印加することができる。スペーサ内のほぼ棺形又は先細の空洞は、分離を生じさせるチャネルとして機能する。上部組立体構造は、通常、上部板を貫通し、チャネルの上方に中心決めされた、ポートと呼ばれる3つの穴を含み、そのポートには取付具を取り付けることができる。これらのポートは、(a)チャネルの開始部付近に位置し、キャリア液体、いわゆる移動相を圧送する移動相入口ポート、(b)入口ポートの下流にあり、分離される試料のアリコートがチャネルに導入され、その下に集束される試料ポート、及び(c)分画されたアリコートが空洞の端部付近でチャネルを出る出口ポートである。
【0018】
非対称流流動場分離(AF4)システムは、周知の流れFFF原理によって分子及び粒子を分画するために使用される。試料がチャネルに導入され、チャネルから抽出される方法が異なるAF4システムのいくつかの変形例があるが、一般に、それらは常に少なくとも3つのポートを有する。チャネルに流体を導入する入口ポート、分画された流体流を収容する検出器出力ポート、及び蓄積壁を形成する半透膜を通過した流体を収容するクロスフロー出力ポートがある。入口付近に試料を導入するための注入入口などの追加のポート、又は検出器ポート付近の試料を含まないキャリア溶媒を除去するための追加のスプリット出力ポートが存在し得るが、最も単純なもので、常に少なくとも3つのポートが存在しなければならない。更に、制御弁又は圧力変換器などの内部構成要素の多くはまた、気泡又は停滞した溶媒を除去するために定期的に洗い流す必要がある抽気ポートを有してもよい。
【0019】
現在の技術
FFFチャネルを操作する最も簡単な方法は、溶媒をクロスフローして廃棄し、検出器ポートから出た流れを分析機器に送流し、次いでこれも廃棄することである。チャネルを洗い流したとき、又は試料が完全に溶出した後、クロスフローと検出器フローの両方は本質的に清浄な溶媒となるため、これらの流れを溶媒貯留部に再循環させ、それによって分析に必要な溶媒の量を減少させる機会ができる。
【0020】
したがって、実行される実験に応じて出口流体流を廃棄又は再循環のいずれかに経路決定することができる高機能な溶媒管理システムを介して、流動場分画装置に関連する溶媒を管理することが必要とされる。
【0021】
例示的な実施形態において図1及び図2を参照すると、装置は、流動場分画装置150、250に接続された少なくとも1つの検出器120、220からの検出器フロー出力122、222に接続されたユニオン組立体110、210と、(2)ユニオン組立体110、210の出力116、218及び流動場分画装置150、250のチャネルクロスフロー出力152、252に接続された再循環及び廃棄組立体130、230とを含む。
【0022】
ユニオン組立体
一実施形態では、図1に示すように、ユニオン組立体110は、流動場分画装置150に接続された少なくとも1つのパージフロー出力140、142、144に接続されている。一実施形態では、ユニオン組立体110は、流動場分画装置150と検出器フロー出力122とに接続された3つのパージフロー出力140、142、144に接続された5ポートユニオン110を含む。一実施形態では、図1A及び図1Bに示すように、ユニオン組立体110は、流動場分画装置と検出器フロー出力150とに接続された3つのパージフロー出力140、142、144に接続された複数のユニオン112、114を含む。
【0023】
一実施形態では、図1に示すように、ユニオン組立体110は、(a)流動場分画装置150と検出器フロー出力122とに接続された2つのパージフロー出力140、142に接続された4ポートユニオン112と、(b)流動場分画装置150と4ポートユニオン112の出力ポートとに接続された第3のパージフロー出力144に接続された3ポートユニオン114とを含む。
【0024】
希釈制御モジュール
一実施形態では、図2に示すように、ユニオン組立体210は、流動場分画装置250に接続された4つのパージフロー出力240、242、244、246に接続された7ポートユニオン210と、流動場分画装置250に接続された希釈制御モジュール(DCM)廃棄フロー出力260と、検出器フロー出力222とを含む。一実施形態では、図2A及び図2Bに示すように、ユニオン組立体210は、流動場分画装置250に接続された4つのパージフロー出力240、242、244、246に接続された複数のユニオン212、214、216をと、検出器フロー出力222とを含む。一実施形態では、ユニオン組立体210は、検出器フロー出力222に接続される。
【0025】
一実施形態では、ユニオン組立体210は、(a)流動場分画装置250と検出器フロー出力222とに接続された2つのパージフロー出力240、244に接続された第1の4ポートユニオン212と、(b)第1の4ポートユニオン212の出力213と流動場分画装置250とに接続された2つのパージフロー出力242、246に接続された第2の4ポートユニオン214と、(c)第2の4ポートユニオン214の出力ポート215と流動場分画装置250とに接続されたDCM廃棄フロー出力260に接続された3ポートユニオン216とを含む。一実施形態では、第1の4ポートユニオン212に接続された2つのパージフロー出力240、244は、クロスフロー制御部のパージフロー出力244及び注入フロー制御部のパージフロー出力240を含む。一実施形態では、第1の4ポートユニオン212に接続された2つのパージフロー出力240、244は、クロスフロー制御部のパージフロー出力244及び注入フロー制御部のパージフロー出力240である。
【0026】
一実施形態では、第2の4ポートユニオン214に接続された2つのパージフロー出力242、246は、希釈制御モジュール圧力制御部のパージフロー出力246及び入口フロー制御部のパージフロー出力242を含む。一実施形態では、第2の4ポートユニオン214に接続された2つのパージフロー出力242、246は、希釈制御モジュール圧力制御部のパージフロー出力246及び入口フロー制御部のパージフロー出力242である。
【0027】
マニホールド
更なる実施形態では、図3A及び図3Bに示すように、ユニオン組立体110、210は、複数のユニオン112、114、212、214、216の少なくともサブセットを収容するマニホールド310を更に含む。マニホールド310は、装置の信頼性を高め、装置内の漏れ箇所を少なくし、装置を設置及び維持するために必要な労力を少なくすることができる。
【0028】
図1及び図2に示す溶媒管理スキームは、配管によって接続された個別の構成要素の組み合わせを含む。しかしながら、これらの構成要素の多く又は全ては、図3A及び図3Bに示すように、マニホールドに組み合わせることができる。マニホールドは、システムの空間要件の低減を支援することができ、流体接続の数を減らすことによって製造性を改善することができる。
【0029】
再循環及び廃棄組立体
一実施形態では、図1及び図2に示すように、再循環及び廃棄組立体130、230は、(a)流動場分画装置150、250のチャネルクロスフロー出力152、252に接続された第1の弁132、232(V1)と、(b)ユニオン組立体110、210の出力116、218に接続された第2の弁134、234(V2)と、(c)第1の弁132、232(V1)及び第2の弁134、234(V2)に接続され、出力が再循環貯蔵部170、270に接続されている、第1の3ポートユニオン136、236(U1)と、(d)第1の弁132、232(V1)及び第2の弁134、234(V2)に接続され、出力が廃棄貯蔵部172、272に接続されている、第2の3ポートユニオン138、238(U2)とを含む。
【0030】
パージ弁
更なる実施形態では、図1及び図2に示すように、装置は、流動場分画装置150、250に接続された比例制御弁に接続されたパージ弁(PV)を更に含み、パージ弁は、パージ弁を比例制御弁に接続する流路から空気を除去し、かつ溶媒を除去するように構成される。一実施形態では、比例制御弁190、290(PV1)が流動場分画装置150、250の注入フロー制御部101、201及び注入フローポート154、254に接続される。一実施形態では、比例制御弁192、292(PV2)が流動場分画装置150、250の入口フロー制御部103、203及びチャネル入口ポート156、256に接続される。一実施形態では、比例制御弁194、294(PV3)が流動場分画装置150、250のクロスフロー制御部105、205及びチャネルクロスフローポート158、258に接続される。一実施形態では、比例制御弁296(PV4)が、流動場分画装置250の圧力制御部207及び希釈制御モジュール(DCM)ポート259に接続される。
【0031】
マスフローコントローラ
更なる実施形態では、装置は、分画装置150、250の試料注入ポートに接続されるように構成されたマスフローコントローラを更に含み、マスフローコントローラは、分画装置150、250のチャネルに試料を注入する速度を制御するように構成される。
【0032】
実施例
高機能な溶媒管理の有用性を説明するには、単純な例で十分である。タンパク質試料を分画するための典型的なAF4実験を考える。入口フローは4ml/分、検出器フローは1ml/分、クロスフローは3ml/分である。更に、各実行に30分かかると仮定する。全ての流れが廃棄に送流される場合、各実行で120mlの溶媒が消費される。しかしながら、これらの廃棄流の大部分は、清浄で汚染されていない溶媒からなる。分画分子量5kDの膜がFFFチャネルで使用される場合、この膜によって濾過されたクロスフローは試料タンパク質を含まず、安全に再循環される。この場合、3ml/分のクロスフローが元の溶媒貯留部に戻される。ここで、30分間の実行で消費されるのは30mlのみであり、これは以前に必要とされた溶媒の25%に過ぎない。清浄な溶媒は調製又は処分に費用がかかり得るため、節減には明らかな利点がある。
【0033】
廃棄又は再循環のいずれかに別々に経路決定できる2つの排出口があることを考えると、表1に要約された4つの再循環状態が可能である。上記の仮想実験の間、再循環状態は実験の過程で変更される。
1.ハードウェアのセットアップ時、再循環状態は「なし」に設定され、システムから汚染物質を洗い流す。
2.実験の前後に、再循環状態は「検出器+クロスフロー」に設定され、回収される。
3.実験中、再循環状態は「クロスフロー」に設定され、溶媒の大部分が回収され、汚染された検出器出力は廃棄へ経路決定される。
【0034】
ここで、チャネル膜を通過するのに十分小さなペプチドと混合されたタンパク質とを分画することからなる、別の実験を考える。この場合、クロスフローはペプチドで汚染され、供給源貯留部に再循環されるべきではないので、全ての出口流を廃棄へ送流することに戻すべきである。最後の例は夜間洗浄であり、この場合試料は使用されないものの、システムは、流体の停滞を避けるために、チャネル内に遅い流れを流したままにされる。この場合、両方の流れを再循環させることは安全であり、溶媒は消費されない。最後の状態は、可能ではあるが一般的には使用されない。すなわち、クロスフローは廃棄へ送流されるが、検出器フローは再循環される場合である。チャネル膜によって濾過されたクロスフローが、再循環するのに十分清浄であると考えられない場合、濾過されていない検出器フローも再循環できる可能性は低い。
【0035】
【表1】
【0036】
重要なのは、溶媒貯留部が乾燥するのを防ぐことである。乾燥により、システム内のポンプ及びフィルタが損傷する可能性がある。ISMシステムでは、機器制御ソフトウェアは、各流れの量及びそれがどのポートに経路決定されるかを知っている。廃棄ポートへ失われる流体の総量と、再循環される量を計算する。ユーザが供給源貯留部の初期容積をソフトウェアに入力すると、残りの溶媒の実行タブを保持することができる。ユーザには、2つの選択肢が与えられる。第1は、実験を許可するか否かを決定するための溶媒の閾値である。第2の選択肢は、システムの溶媒が少ない場合に起こるべきことを選択することである。流れを停止するか、又はシステムを完全再循環に切り替えることができる。これらの両方によって、溶媒レベルが更に低下するのを防ぎ、溶媒貯留部が確実に乾燥しないようにする。
【0037】
最後に、各実験は異なる再循環の必要性を有するので、実験方法設定パネルによって、ユーザは上述の様々な再循環モードから選択することができる。選択肢は、再循環なし、全て再循環、及びXF再循環(クロスフローのみ)である。これらは、上述の再循環状態に対応する。
【0038】
溶媒消費量を追跡するソフトウェアはまた、チャネルを通過した流体の総体積及び分画膜を通過した画分を追跡することができる。これは、システムの経年変化を追跡し、膜を交換する必要があるときにユーザに通知するために使用することができる。このソフトウェアはまた、チャネルに注入された試料の回数をカウントし、注入回数をユーザに提示する。これを図4に示す。これらの特徴は、一貫した性能を保証するために注入回数及び膜使用量を追跡することが望ましい品質管理用途に有用である。それらが予め設定された最大値を超える場合、警告がユーザに提示される。
【0039】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であること、又は開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の用途又は市場で見られる技術に対する技術的改善を説明するために、又は当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動場分画装置に接続された少なくとも1つの検出器からの検出器フロー出力に接続されたユニオン組立体と、
ユニオン組立体の出力と流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力とに接続された再循環及び廃棄組立体と、
を備える装置。
【請求項2】
ユニオン組立体は、流動場分画装置に接続された少なくとも1つのパージフロー出力に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された3つのパージフロー出力に接続された5ポートユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された3つのパージフロー出力に接続された複数のユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された2つのパージフロー出力に接続された4ポートユニオンと、
流動場分画装置と4ポートユニオンの出力ポートとに接続された第3のパージフロー出力に接続された3ポートユニオンと、
を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された3つのパージフロー出力に接続された複数のユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置に接続された4つのパージフロー出力と、流動場分画装置に接続された希釈制御モジュール廃棄フロー出力と、検出器フロー出力とに接続された7ポートユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置と検出器フロー出力とに接続された2つのパージフロー出力に接続された第1の4ポートユニオンと、
第1の4ポートユニオンの出力と流動場分画装置とに接続された2つのパージフロー出力に接続された第2の4ポートユニオンと、
第2の4ポートユニオンの出力ポートと流動場分画装置とに接続された希釈制御モジュール廃棄フロー出力に接続された3ポートユニオンと、
を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
ユニオン組立体は、
流動場分画装置に接続された4つのパージフロー出力と、流動場分画装置に接続された希釈制御モジュール廃棄フロー出力と、検出器フロー出力とに接続された複数のユニオンを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
ユニオン組立体は、検出器フロー出力に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ユニオン組立体は、
複数のユニオンの少なくともサブセットを収容するためのマニホールドを更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
ユニオン組立体は、
複数のユニオンの少なくともサブセットを収容するためのマニホールドを更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
再循環及び廃棄組立体は、
流動場分画装置のチャネルクロスフロー出力に接続された第1の弁と、
ユニオン組立体の出力に接続された第2の弁と、
第1の弁及び第2の弁に接続された第1の3ポートユニオンであって、第1の3ポートユニオンの出力は再循環貯蔵部に接続されている、第1の3ポートユニオンと、
第1の弁及び第2の弁に接続された第2の3ポートユニオンであって、第2の3ポートユニオンの出力は廃棄貯蔵部に接続されている、第2の3ポートユニオンと、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
流動場分画装置に接続された比例制御弁に接続されたパージ弁を更に備え、パージ弁は、パージ弁を比例制御弁に接続する流路から空気を除去し、かつ溶媒を除去するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項15】
比例制御弁は、流動場分画装置の注入フロー制御部及び注入フローポートに接続されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
比例制御弁は、流動場分画装置の入口フロー制御部及びチャネル入口ポートに接続されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項17】
比例制御弁は、流動場分画装置のクロスフロー制御部及びチャネルクロスフローポートに接続されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項18】
比例制御弁は、流動場分画装置の圧力制御部及び希釈制御モジュールポートに接続されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項19】
流動場分画装置の試料注入ポートに接続されるように構成されたマスフローコントローラを更に備え、
マスフローコントローラは、流動場分画装置のチャネルに試料を注ぐ速度を制御するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【国際調査報告】