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特表2024-539072自動車内のエネルギー貯蔵器の監視のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】自動車内のエネルギー貯蔵器の監視のための方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20241018BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20241018BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20241018BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20241018BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20241018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/389
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/392
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523216
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022076742
(87)【国際公開番号】W WO2023066615
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021211870.4
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,アレクサンダー・ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーアー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】サルファート,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】ロールマン,マーティン・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ペーラー,イェルク
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA01
2G216BA21
2G216BA51
2G216BA57
2G216BA58
2G216CA01
2G216CA11
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA09
(57)【要約】
本発明は、自動車内のエネルギー貯蔵器(16、32、42)の監視のための方法であって、このエネルギー貯蔵器(16、32、42)は、好ましくは自動走行機能のための、少なくとも1つのとりわけ安全性に関連する消費機器(36、46)に供給し、このとき、エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの特性量(Up)が予測され、この特性量(Up)の予測は、エネルギー貯蔵器(16、32、42)の内部抵抗(Ri)と分極抵抗(Rpol)の比に依存して行われる、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内のエネルギー貯蔵器(16、32、42)の監視のための方法であって、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)が、好ましくは自動走行機能のための、少なくとも1つのとりわけ安全性に関連する消費機器(36、46)に供給し、このとき、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの特性量(Up)が予測される方法において、前記特性量(Up)の前記予測が、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の内部抵抗(Ri)と分極抵抗(Rpol)の比に依存して行われ、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つのその時々の状態量(T、U0、SOC)および/または前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つのその時々の測定量(U、I、T)に依存して、帰属の前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比が選択され、かつ前記特性量(Up)の前記予測のために使用される、方法。
【請求項2】
前もって、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の様々な周囲条件または状態量(T、U0、SOC)、例えば温度(T)、充電状態(SOC)、休止電圧(U0)に依存して、前記内部抵抗(Ri)および分極抵抗(Rpol)を決定するための測定が、前記内部抵抗(Ri)と分極抵抗(Rpol)の比を確定するために実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内部抵抗(Ri)および/または分極抵抗(Rpol)を確定するために負荷プロファイル(50)が使用され、前記負荷プロファイル(50)が設定可能なピーク負荷(53)を含み、前記ピーク負荷(53)時には、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)が少なくともある特定の電圧(Ulimit)に達することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
分極抵抗(Rpol)が、前記負荷プロファイル(50)の印加後に生じる電圧差(U1-U0)に依存して、および/または電流差(I1-I0)に依存して、および/または前記内部抵抗(Ri)に依存して確定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予測特性量(Up)が、分極電圧(Upol)および/または前もって格納された前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比に依存して、その時々に確定された前記内部抵抗(Ri)を乗じて、かつ前記負荷プロファイル(50)のピーク負荷(53)を表す特性量、とりわけピーク電流(Ipeak)を乗じて確定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記特性量(Up)を予測するために、前記休止電圧(U0)から、前記分極電圧(Upol)および/または前記内部抵抗(Ri)での電圧降下(URi)が差し引かれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の特定の測定量、とりわけ、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)での電圧(U)および/または前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)に負荷をかける電流(I)および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の温度(T)が、センサー(34、44)によって捕捉されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
とりわけ前記センサー(34、44)内で実現される前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の状態認識(82)が、少なくとも前記測定量(U、I、T)に依存して、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの状態量(Ri、SOC、U0、T)、とりわけ前記内部抵抗(Ri)、および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の充電状態(SOC)および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の休止電圧(U0)および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の温度(T)を確定することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの周囲量および/または状態量(U0、SOC、T)に依存した、前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する様々な比、とりわけ、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の最大負荷を再現する比が保存されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
好ましくはエネルギー貯蔵器(16、32、42)の各タイプに関し、前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比から、極値、とりわけ最大値が保存されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
決定された前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比が、対応表(72)に保存され、かつ/または少なくとも1つの周囲量(U0、T)および/もしくは状態量(U0,T)に依存して関数とりわけ多項式の形態で表されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記特性量(Up)の前記予測が、前もって少なくとも1つの状態量(U0、T、SOC、Q、Ri)に依存して格納された、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の負荷履歴の影響を前記特性量(Up)に再現する量(Udyn,τ)を使用して行われ、前記量(Udyn,τ)が、前記状態量(U0、T、SOC、Qbat、Ri)に依存して選択されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)が、とりわけ少なくとも1つのベース負荷(51)およびピーク負荷(53)を含む負荷プロファイル(50、52)で印加され、かつとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の休止電圧(U0)に達するまでの休止期の後、さらなる負荷プロファイル(50)、とりわけピーク負荷(53)で印加されること、ならびにこのときに生じる電圧推移(U)が、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の負荷履歴の影響を前記特性量(Up)に再現する前記量(Udyn,τ)を確定するために評価されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記測定量(U、I、T)を捕捉するセンサー(34、44)が設けられること、および/またはセンサー(34、44)が前記状態認識(82)を含むこと、および/または前記センサー(34、44)が前記分極抵抗(Rpol)と内部抵抗(Ri)との間の比を保存するために使用されること、および/または前記センサー(34、44)が前記特性量(Up)を予測するために使用されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記予測特性量(Up)による限界値(Ulimit)の到達の場合、例えばとりわけ安全性に関連する機能の遮断および/または警告通知の出力のような措置が開始されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の分野に基づく自動車内のエネルギー貯蔵器の監視のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DE102019219427A1は、自動車内のエネルギー貯蔵器の監視のための方法に関し、このエネルギー貯蔵器は、好ましくは自動走行機能のための、少なくとも1つのとりわけ安全性に関連する消費機器に供給し、このとき、負荷推移に依存して、エネルギー貯蔵器の少なくとも1つの特性量が予測されることにより、エネルギー貯蔵器の少なくとも1つの性能が確定され、その際、エネルギー貯蔵器が交換されたかどうかが確定され、かつエネルギー貯蔵器の交換が認識されると、交換されたエネルギー貯蔵器が許容されるエネルギー貯蔵器かどうかが確定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基礎となる課題は、オンボードネットワークの安全性および信頼性をさらに高めることである。この課題は独立請求項の特徴によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特性量の予測が、エネルギー貯蔵器の内部抵抗と分極抵抗の比に依存して行われることにより、予測の品質がさらに改善され得る。これは、例えば自律走行時の安全性に関連する用途にとってとりわけ、非常に重要である。さらにこの相応の抵抗比は、簡単にエネルギー貯蔵器の老朽化挙動が考慮されることに加え、予測に関しては余裕をみることを保証する。この比の格納は、特定の測定量または状態量に依存して行われるので、その後、予測のためには、実際の周囲条件を考慮して該当する抵抗比が基礎に置かれる。これにより、様々な周囲条件の場合の、様々なタイプのエネルギー貯蔵器を格納することで、予測の際に適切なパラメータを使用することもできる。
【0005】
特に有用なのは、前もって、様々な周囲条件または状態量に依存して、内部抵抗および/または分極抵抗を決定するための測定が実施されることである。これらの測定は、走行動作中の本来の使用前にオフラインで、様々なタイプのエネルギー貯蔵器に対して実施でき、これによって精度をさらに上げることができ、極端な状況もシミュレーションでき、影響を再現できる。
【0006】
有用な一変形形態では、内部抵抗および/または分極抵抗を確定するために負荷プロファイルが使用され、この負荷プロファイルは設定可能なピーク負荷を含み、このピーク負荷時には、エネルギー貯蔵器が少なくともある特定の電圧に達する。これにより、既に前もってワーストケースの動作事例をシミュレーションでき、後に走行動作中にこの極端な負荷プロファイルが特性量の予測のためにアクティブ化されなくてよい。これが走行動作中の動作安全性を高める。
【0007】
有用な一変形形態では、分極抵抗は、負荷プロファイルの印加後に生じる電圧差に依存して、および/または電流差に依存して、および/または内部抵抗に依存して確定される。これにより、刺激の種類に応じて、好ましくは様々な周囲条件または状態量の場合の相応の測定値により、生じる分極抵抗が高い信頼性で確定され得る。
【0008】
有用な一変形形態では、予測特性量は、分極電圧および/または前もって格納された分極抵抗の内部抵抗に対する比に依存して、その時々に確定された内部抵抗を乗じて、かつ負荷プロファイルのピーク負荷を表す特性量を乗じて確定される。これにより、とりわけエネルギー貯蔵器で生じている電圧が予測され、この電圧は上記の量に依存し、これらの量に、抵抗比が相応に影響を及ぼす。これに加えて、特性量を予測するために、休止電圧および/または内部抵抗での電圧降下も考慮されることが特に有用である。これにより、エネルギー貯蔵器の充電状態およびその時々の周囲条件も、予測のために相応に考慮され、よって予測の品質がさらに上がる。
【0009】
分極抵抗の内部抵抗に対する比から、極値、とりわけ最大値が保存されることが特に有用であり、これにより、エネルギー貯蔵器が動作中に確実に乗り切らなければならない最大負荷事例のみが的確に予測の基礎に置かれる。これにより、メモリー要求量を過大に増やすことなく、簡単に様々な種類のエネルギー貯蔵器が再現され得る。
【0010】
有用な一変形形態では、決定された分極抵抗の内部抵抗に対する比が、対応表に格納され、かつ/または少なくとも1つの関数に依存して格納される。これにより、メモリー要求量がさらに低減され得る。
【0011】
有用な一変形形態では、特性量の予測が、前もって少なくとも1つの状態量に依存して格納された、エネルギー貯蔵器の負荷履歴の影響を特性量に再現する量を使用して行われ、この量は、状態量に依存して選択される。これにより、エネルギー貯蔵器の動的負荷または負荷履歴も簡単に考慮でき、よって予測の品質がさらに上がる。
【0012】
さらなる有用な変形形態は、さらなる従属請求項および発明の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】安全性に関連する消費機器を備えた車両のための有り得るオンボードネットワークを示す図である。
図2】簡略化された負荷プロファイルを示すグラフである。
図3A】さらなる簡略化された負荷プロファイルを示すグラフである。
図3B】さらなる簡略化された負荷プロファイルを示すグラフである。
図3C】さらなる簡略化された負荷プロファイルを示すグラフである。
図4】エネルギー貯蔵器の負荷プロファイルおよび帰属の予測特性量を示すグラフである。
図5】静的モデル用のパラメータを確定するためのブロック図である。
図6】静的モデルに基づいてエネルギー貯蔵器の予測特性量を確定するためのブロック図である。
図7】エネルギー貯蔵器の特定の特性量の時間依存の推移を示すグラフである。
図8】エネルギー貯蔵器の動的特性量を予測するために動的パラメータを決定するための負荷プロファイルを示すグラフである。
図9】動的モデル用のパラメータを確定するためのブロック図である。
図10】静的および動的モデルに基づいてエネルギー貯蔵器の予測特性量を確定するためのブロック図である。
図11】動的モデルに基づいてエネルギー貯蔵器の予測特性量を確定するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、実施形態に基づいて図面に概略的に示されており、以下に図面を参照しながら詳細に説明される。
例示的実施形態では、有り得るエネルギー貯蔵器として例示的にバッテリーまたは蓄電池が説明されている。ただしその代わりに、本課題に適したその他のエネルギー貯蔵器、例えば誘導性もしくは容量性に基づくもの、燃料電池、コンデンサー、またはその類似物が同じように使用され得る。
【0015】
図1は、例示的に図示された少なくとも1つのベース消費機器24に供給するベース・オンボードネットワーク22から成るエネルギー供給システムの有り得るトポロジーを示している。代替策として、ベース・オンボードネットワーク22内に、帰属の(バッテリー)センサーを備えたエネルギー貯蔵器もしくはバッテリーおよび/またはスタータ、および/または安全性に関連しない複数のコンフォート消費機器が設けられていてもよいであろうし、これらは、電気負荷分散によって安全確保または制御され得るであろう。ベース・オンボードネットワーク22は、高電圧オンボードネットワーク10より低い電圧レベルを有し、例えば14Vオンボードネットワークであり得る。ベース・オンボードネットワーク22と高電圧オンボードネットワーク10の間には直流電圧変換器20が配置されている。高電圧オンボードネットワーク10は、例示的に、場合によってはバッテリーマネジメントシステムを組み込まれた高電圧エネルギー貯蔵器16、例えば高電圧バッテリー、および具体例として示された安全性に関連しない負荷18、つまりコンフォート消費機器、例えば上昇させた電圧レベルを供給されるエアコン等、および電気機械12を含んでいる。エネルギー貯蔵器16は、高電圧オンボードネットワーク10に供給するためにスイッチ手段14を介して接続され得る。高電圧とは、この関連ではベース・オンボードネットワーク22の電圧レベルより高い電圧レベルのことである。つまり例えば48ボルトのオンボードネットワークであり得る。その代わりに、まさに電動パワートレインを備えた車両の場合、もっと高い電圧レベルであってよい。その代わりに高電圧オンボードネットワーク10を完全になくすことができるであろうし、この場合、スタータ、ジェネレータ、およびエネルギー貯蔵器のようなコンポーネントは、ベース・オンボードネットワーク22に割り当てられる。
【0016】
ベース・オンボードネットワーク22と、例えば2つの安全性に関連するチャネル30、40が接続されている。第1の安全性に関連するチャネル30は、分離要素28を介してベース・オンボードネットワーク22と接続されている。さらなる安全性に関連するチャネル40は、さらなる分離要素26を介してベース・オンボードネットワーク22と接続されている。第1の安全性に関連するチャネル30は、エネルギー貯蔵器32によってエネルギーを供給され得る。エネルギー貯蔵器32の特徴的な特性量はセンサー34によって捕捉される。センサー34がエネルギー貯蔵器32に隣接して配置されることが好ましい。第1の安全性に関連するチャネル30は、安全性に関連する消費機器36に供給する。この安全性に関連する消費機器36は単に具体例として示されている。必要に応じて、これ以外の安全性に関連する消費機器36も、安全性に関連するチャネル30によって供給される。
【0017】
さらなる安全性に関連するチャネル40も、さらなるエネルギー貯蔵器42によって供給され得る。さらなるエネルギー貯蔵器42の特性量はさらなるセンサー44が捕捉する。さらなるセンサー44は、さらなるエネルギー貯蔵器42に隣接して配置されている。このさらなる安全性に関連するチャネル40は、少なくとも1つのさらなる安全性に関連する消費機器46に供給する。必要に応じて、このさらなる安全性に関連するチャネル40内でも、これ以外の安全性に関連する消費機器46が供給され得る。
【0018】
図1に示したトポロジーは、単に例示的に、多くの例示的実施形態の1つとして選択されている。安全性に関連するチャネル30、40が取り付けられる非常に様々な可能性が存在する。例示的に、さらなる安全性に関連するチャネル40が、安全性に関連するチャネル30に連結されるか、またはさらなる直流電圧変換器を介してチャネル10に連結されてもよいであろう。
【0019】
分離要素26、28は、それぞれの安全性に関連するチャネル30、40の安全確保に役立ち、これにより、ことによるとベース・オンボードネットワーク22内および/または一方の安全性に関連するチャネル30、40内で発生している欠陥は、もう一方の安全性に関連するチャネル30、40には影響し得ない。これは、部分ネットワークの分離もしくは接続を可能にする相応のスイッチ手段またはさらには直流電圧変換器であり得る。その代わりに分離要素26、28を完全になくすことができるであろうし、これによりチャネル30、40は直接的に直流電圧変換器20と接続される。
【0020】
両方の安全性に関連するチャネル30、40によって供給可能な、冗長的な、とりわけ機能冗長的な、安全性に関連する消費機器36、46は、車両を自動走行動作(運転者の介入が必要ない)から、例えば危機的な欠陥の場合に安全な状態に移すのに必要な消費機器である。安全な状態とは、すぐにであれ、車道端にまたはようやく最寄りの休憩スペースなどにであれ、車両の停止であり得る。
【0021】
それにもかかわらず、1つまたは複数の安全性に関連する消費機器36に供給するためのエネルギー貯蔵器16、32、42の機能的能力が、有り得る欠陥の場合にも重要な役割を果たす。電気的な操縦およびブレーキの導入ならびに車両の進化していく自動化の導入により、これらの安全性に関連するコンポーネントまたは消費機器36、46の確実な電気供給を保証することがますます重要になっている。エネルギー貯蔵器16、32、42はこれに関して決定的な役割を果たすので、いまや、エネルギー貯蔵器16、32、42の性能を決定するに違いない機能は、例えばISO 26262に記されているような特に高い要求に基づいて開発されなければならない。これは、機能およびアルゴリズムの開発に、ならびにこれらの機能を適用するハードウェアにも、広範囲に及ぶ結果を有する。以下で解説する方法は、ISO 26262に基づく、例えばエネルギー貯蔵器16、32、42の電圧Upのような特性量の確実な予測を可能にする。安全基準に基づいて安全なオンボードネットワーク30、40のために、エネルギー貯蔵器16、32、42の特性量Upの予測は必須の構成要素である。
【0022】
安全性に関連する消費機器36、46に確実に供給するという文脈で性能を予測する場合、車両が安全な状態になるまで(車両が安全に道路端、駐車スペースなどにいる)、エネルギー貯蔵器16、32、42が少なくとも1つまたは複数の安全性に関連する消費機器36、46に供給可能であることの保証が重要であり、これは例えば、操縦プロセスとブレーキプロセスが重なることから明らかである。安全性に関連する消費機器36、46の負荷推定は、いわゆるState-of-Function(SOF)の(電流)プロファイルによって表される。このような負荷プロファイル50が、例えば、そのためにエネルギー貯蔵器16、32、42によって必要とされる不可欠な電流Iの形態で、具体例として図2に示されている。これに関し、それぞれの負荷プロファイル50がエネルギー貯蔵器16、32、42への最大要求を規定することができ、この場合、負荷プロファイル50の実施時には、特性量Upがある特定の限界値Ulimitより下がってはならない。
【0023】
安全性の文脈におけるこのアプローチの特殊性は、結局のところどのエネルギー貯蔵器16、32、42が使用されるのかが分かっていることを前提とはできないことである。エネルギー貯蔵器16、32、42の交換が監視されていない場合、例えば、前もって測定されておらず、その特性が知られていないエネルギー貯蔵器16、32、42が使用されるという状況になり得る。したがって本解決策のさらなる重要な部分は、安全目標を違えることなく多数のエネルギー貯蔵器16、32、42をカバーするパラメータセット78、80を生成することにある。
【0024】
パラメータセット78、80を決定するための測定コンセプトは汎用的に設計されており、したがって非常に多くの様々なSOFプロファイル(顧客の要望)が、1つの相応のパラメータ化によって作成され得る。負荷プロファイル50の周りの包囲線52は、顧客のための柔軟な解決策(例えば図3A図3B図3Cでの電流プロファイルのような)を実現させる一般化されたアプローチをもたらす。
【0025】
解空間が非常に大きくなり得るので、多数のパラメータ値78、80を保存することが重要である。車両内の計算リソースおよびメモリーリソースは一般的に非常に制限されており、センサー34、44のような、とりわけ例えばバッテリーのスロット内にフィットしなければならないバッテリーセンサーのようなコンポーネントの場合は特にそうなので、メモリーの理由からこれはもう不可能である。したがって、必要なメモリー量ができるだけ少なく保たれるよう回帰が実施された。ルックアップテーブルまたは対応表72が解決可能性として使用され得る。代替的なアプローチは、ルックアップテーブルまたは対応表72の代わりに、例えば多項式関数76のような関数により、メモリー量をさらに大きく低減させる。
【0026】
エネルギー貯蔵器16、32、42において、このエネルギー貯蔵器が必要な出力をもたらし得るかどうかの予測に重要な量は、有り得るエネルギー貯蔵器16、32、42としての蓄電池の場合、内部抵抗Riと並んで分極抵抗Rpolである。分極抵抗Rpolの決定は、分極抵抗の多因子依存性(時間t、電流の高さI、温度T、エネルギー貯蔵器の充電状態SOC、老朽化の種類および進行、エネルギー貯蔵器の構造形式および構造タイプ、事前負荷)に基づき、複素量であり、決定するのが難しい。
【0027】
これは関数またはアルゴリズムに関し、安全性に関連する文脈では、アルゴリズムが、すべての考え得る動作シナリオのために多因子関連性を認識しなければならず、かつ多因子関連性を相応に重み付けしなければならないことを意味する。これに関しては常に、エネルギー貯蔵器16、32、42の重要な特性量Upの確実な予測がなされなければならない。例えばエネルギー貯蔵器16、32、42の老朽化が考慮されなければならない。
【0028】
安全性の文脈において、非常に良好に確定され得るのは、エネルギー貯蔵器16、32、42またはバッテリーのオーム内部抵抗Riである。このオーム内部抵抗Riは、蓄電池の老朽化につれて変化し、したがって、唯一のではないとしても、老朽化に関する指標である。それにもかかわらず内部抵抗Riの値の変化は、エネルギー貯蔵器16、32、42の耐用期間中も、エネルギー貯蔵器16、32、42の存在しているまたはもう存在していない性能の確実な予測のために使用され得る。
【0029】
本解決策は、エネルギー貯蔵器16、32、42に対して寿命初期に非常に良好に決定され得る内部抵抗Riの分極抵抗Rpolに対する比が、老朽化の進行中に特徴的に変化するという事実に基づく。とりわけ、老朽化に基づく内部抵抗Riの上昇が常に、老朽化に基づく分極抵抗Rpolの上昇と同じまたはそれどころかより大きいことを前提とし得る(図7)。この両方の量Ri、Rpolの比を求め、エネルギー貯蔵器16、32、42が老朽化してもこの比を維持する場合、余裕をみることになり、これは、例えば規格ISO 26262に基づく安全性の観点の下での予測に適っている。
【0030】
図2は、例示的に、負荷プロファイル50の経時的推移を示している。この負荷プロファイル50は、例示的に、安全性に関連する消費機器36、46の有り得る典型的な負荷推移を再現しており、この負荷推移は、例えば、とりわけ欠陥の場合の典型的な状況、例えば路肩での停車の実施、または類似の、いずれにしてもさらに実施されるべき走行操作のための最低要求として呼び出される。負荷プロファイル50の、経時的に場合によっては強く変動する推移は、包囲線52によって近似される。この近似は、機能の保証に鑑みて、疑わしい場合に、包囲線52を使用するとエネルギー貯蔵器16、32、42でのより高い負荷が、これを基礎とする予測のために呼び出されるように行われる。この例示的実施形態では、負荷プロファイル50として、エネルギー貯蔵器16、32、42によって提供されるべき電流Iが使用されている。
【0031】
エネルギー貯蔵器16、32、42またはバッテリーの出力または特性量Up(いわゆるState-of-Function SOF)を予測するため、規定の時間の長さを有する一段階または二段階の負荷プロファイル50、例えば電流プロファイルが規定され、この負荷プロファイル50は、安全な場合の推定負荷プロファイル50の周りの包囲線52を形作るために使用される。負荷プロファイル50または帰属の包囲線52は、顧客の要望に応じて、値、とりわけ電流値、および持続時間を変えることができる。本解決策は、様々な電流プロファイルのために柔軟に使用可能である(図3A図3C)。負荷プロファイル50は、顧客の要望に応じて柔軟に適合され得る。ただし、エネルギー貯蔵器16、32、42の容量、とりわけバッテリー容量に依存する特定の最大限度がある。つまり最大限度は、例えば、ある特定のピーク負荷53(Ipeak 最大で例えば1時間当たりのバッテリー容量Cの5倍、例えば300A)に対して、ある特定のタイムスパン(tpeak 例えば最大15秒)内で、および例えばベース負荷51(最大で例えば1時間当たりのバッテリー容量Cの2倍、例えば120A)に対して、60秒の長さ内で規定され得るであろう。これらの例示的な値は図3から読み取れる。
【0032】
この規定され、かつ顧客と意見の調整を図った負荷プロファイル50または帰属の包囲線52は、図4に示したように、出力予測のために、つまり特性量、例えば電圧Up(オンボードネットワーク電圧、エネルギー貯蔵器16、32、42での電圧)の予測のために使用される。その際、負荷プロファイル52は、必要に応じてベース負荷51およびピーク負荷53を含む。ピーク負荷53は、最大負荷、例えば最大電流Ipeakによって規定され、最大電流は、一般的にはベース負荷51より短い持続時間tpeakで印加される。ベース負荷51は一般的により低い負荷でのより長い負荷推移を特色とする。必要に応じて、さらなる量、例えば温度Tまたはエネルギー貯蔵器16、32、42での電流Iが、例えばそれぞれのセンサー34、44によって測定される。後の図5および図6でより詳しく解説するように、生じているであろう特性量Upの予測、例えば電圧予測のために、規定された負荷プロファイル50または帰属の包囲線52が、負荷根拠として使用される。
【0033】
図5に基づく例示的実施形態では、ブロック62で、様々なエネルギー貯蔵器32.1、32.2...32.nの測定が実施される。これには、測定ブロック62に提供される汎用の測定仕様60が使用される。様々なエネルギー貯蔵器に対するこれらの測定はオフラインで、つまり本方法の開始前に、例えばセンサー34、44内で、好ましくは車両外で行われる。この測定の際には、図2および図3と関連して例示的に説明したような顧客固有の負荷プロファイル50が基礎に置かれる。実質的には、負荷プロファイル50でのエッジ変化の初めおよび/または終わりに生じている電流および電圧の値が捕捉される。有り得るエネルギー貯蔵器16、32、42としての鉛蓄電池に関しては、最初は、エネルギー貯蔵器16、32、42での負荷なしで、OCV開回路電圧または休止電圧とも言うある特定の電圧U0が生じている。電流プロファイルまたは電流エッジを印加すると、電圧応答は、初めに即時の、時間に依存しない電圧降下において、Ri*Iの高さに推移する(内部抵抗Riに基づく電圧降下)。その後(Ri*Iの高さへのほぼ即時の電圧降下の後)に続くさらなる電圧降下Upolは、ある特定の時定数に基づいて分極電圧Upolの高さへのさらなる電圧降下Upolが生じるまで、負荷プロファイル50の時間tに強く依存する。この負荷プロファイル(I)の場合に生じているであろう電圧値(Up=U0-I*Ri-Upol)は、最低許容電圧Ulimitより大きくなければならず、これにより、エネルギー貯蔵器16、32、42はさらに確実な動作を保証する。
【0034】
ブロック62に基づく測定が、各エネルギー貯蔵器32.1、32.2、32.3、32.4...32.nに対して繰り返される。この場合、図2図4と関連して説明したような相応の負荷プロファイル50または帰属の包囲線52が基礎に置かれる。
【0035】
これによりこのコンセプトは、1つの基礎になっている特定のバッテリーの相応のパラメータセットによる顧客固有の解決策に(図5のブロック75を参照)または任意の数の選択されたバッテリーに対して一般化して(図5のブロック74を参照)、モデル86が適合される(図6)可能性を提供する。この場合、根拠として、汎用の測定仕様60によるバッテリー測定データの捕捉が用いられる。この(バッテリー)測定を使って、電圧挙動の個々の影響因子がバッテリーごとに分析され得る。パラメータ化は、なかでも、エネルギー貯蔵器16、32、42またはバッテリーの内部抵抗Riへの分極電圧Upolの依存性を内包する。この関係性は、解析関数の形態で近似されて使用される。モデル86のパラメータ化は、ある特定の負荷プロファイル50または包囲線52に対して実施される。
【0036】
これらの測定値U、Iまたは既知の負荷プロファイル50から、バッテリーごとに回帰分析が実施される(ブロック64)。したがってブロック66での内部抵抗Riを確定するための測定は、様々な周囲条件および様々なエネルギー貯蔵器16、32、42に対して繰り返される。周囲条件は変化させ得る。これはつまり、エネルギー貯蔵器16、32、42の休止電圧U0および/または温度Tであり得る。しかしその代わりに、その他の影響量またはそれと関連する影響量、例えば充電状態SOCまたはそれに類するものも使用され得る。したがってこの例示的実施形態では、各々の測定されたエネルギー貯蔵器タイプのために、休止電圧U0および温度Tに依存した2次元のRi場が作成される(Ri(U0,T))。測定のための刺激としては、説明したように、個別に顧客によって設定可能な、ワーストケースのシナリオを再現し得る負荷プロファイル50または帰属の包囲線52が使用された。
【0037】
ブロック68では分極抵抗Rpolが確定され、ここでも特定の周囲条件に依存する。この例示的実施形態では、周囲条件として電流Iおよび温度Tが使用され、各エネルギー貯蔵器タイプのために的確に変化させ、変化した条件下で分極抵抗Rpolが確定される。休止電圧U0がさらなる周囲条件として使用されてもよいであろう。原則的に、分極抵抗Rpolの確定は下記の方程式を使用して行われる。
【0038】
【数1】
【0039】
式中、U0は休止電圧、U1は負荷プロファイル50の終わりに発生している電圧値、I0は負荷プロファイル50の初めに使用されている電流、およびI1は負荷プロファイル50の終わりに使用されている電流、ならびにRiは内部抵抗である。
【0040】
これにより、変化させた負荷プロファイル52または電流プロファイルおよび変化させた温度プロファイルTでの、各エネルギー貯蔵器タイプに関する分極抵抗Rpolが捕捉される。したがってこの例示的実施形態では、各々の測定されたエネルギー貯蔵器タイプのために、それぞれの負荷プロファイル52、温度T、および休止電圧U0に対する、それぞれの最大電流Ipeakの電流Iに依存した3次元Rpol場が作成される(Rpol(I,T,U0))。
【0041】
ブロック66、68の出力量は、(上で簡単に言及したようなブロック74および/または75を経て)ブロック72に行き着き、ブロック72では、分極抵抗Rpolの内部抵抗Riに対する比(Rpol/Ri)が、とりわけ対応表の形態で形成される。この比Rpol/Riは、バッテリー温度Tに依存して、および休止電圧U0に依存して形成されて、対応表の形態で格納される。各バッテリータイプのために、個々の値Rpol(U0,T)またはRi(U0,T)の、それぞれ同一の休止電圧U0または同一の温度Tに対する相応の比Rpol/Riが確定される。この関数は、1つの固有のバッテリー解決策32.1もしくは32.2もしくは32.3などに(ブロック67)またはバッテリーもしくはエネルギー貯蔵器16、32、42の群全体に(ブロック69)適合され得る。ブロック69で、安全な設計の意味において、各動作点に対し、バッテリー群16、32、42ごとの最大値Rpol/Riが選択されることが好ましい。この(最大)比Rpol/Riは、例えば、任意の数の休止電圧値U0(例えば11.5~13Vの間)および温度値T(例えば-20℃~70℃の間)に依存して保存されて、値ペアとして対応表72から呼び出され得る。
【0042】
その代わりに、ワーストケースの値ペアが、解析関数、例えば多項式関数またはその他の適切な関数によって再現され得る。よってモデル挙動を保存するためのメモリー消費がさらに低減され得る。これはブロック76で行われる。
【0043】
これにより、温度Tおよび/または休止電圧U0に依存する関数f=(T,U0)としての値ペア(Rpol/Ri)が、対応表72の形態であれ、ブロック76に基づく関数または多項式による一般化の形態であれ、パラメータ78として提供される。これでオフラインのパラメータ化が終了する。パラメータ78は、図6で以下に説明するような、車両の動作中のさらなる使用のために提供される。
【0044】
図6では、車両の動作中のエネルギー貯蔵器16、32、42のその時々の状態の評価が説明されている。この評価は、例えばセンサー34、44内で実現され得る。その代わりにこれが、車両内のさらなる制御機器内で、または車両外で、例えばクラウド内で行われてもよいであろう。
【0045】
図6に基づき、センサー34、44によって捕捉されるような様々な測定データ、例えば電圧U、電流I、温度Tは、エネルギー貯蔵器16、32、42のための状態認識82に行き着く。状態認識82は、センサー34、44内で、またはその代わりに車両内のさらなる制御機器内でも、または車両外で、例えばクラウド内でも実現され得る。
【0046】
状態認識82では、測定量U、I、Tおよび必要に応じて基礎に置かれたモデルまたはそれに類するものを使用して、エネルギー貯蔵器16、32、42の特徴的な量、つまり状態量、例えば内部抵抗Ri、エネルギー貯蔵器16、32、42の温度T、休止電圧U0、および必要に応じてさらなる量が確定される。状態認識82は、例えば測定されたASIC温度T(測定量)を根拠として、ある特定のアルゴリズムに基づき、エネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tを状態量Tとして確定し得る。特定の状態量、例えば内部抵抗Ri、温度T、休止電圧U0は、静的モデル86に行き着く。この静的モデル86には、図5で確定されるようなパラメータ78および/または負荷プロファイル50、52、とりわけ電流プロファイルが送られている。この静的モデル86は、分極抵抗Rpolの内部抵抗Riに対する比(Rpol/Ri)を介し、(静的)分極電圧Upolを確定する。状態認識82による内部抵抗Riの確定には、必要に応じて負荷を的確に接続することによる、オンボードネットワークの小さな刺激が必要である。このアプローチの主要な特徴は、予測のためのロジックが、最大電流高さIpeakまたは最大持続時間tpeakをもつ負荷プロファイル52と似たような負荷プロファイルを必要としないことである。
【0047】
下記の方程式により、エネルギー貯蔵器16、32、42での分極電圧Upolが確定され得る。このために、センサー34、44もしくは状態認識82によって確定された温度Tまたは状態認識82によって確定された休止電圧U0に依存する相応の比Rpol/Riが、対応表72または多項式76から確定される(最大負荷(Ipeak,tpeak)の場合)。電流Iとしては、図4でそれぞれ基礎に置かれた負荷プロファイル50、52からの最大電流Ipeakが使用される。内部抵抗Riおよび休止電圧U0は、状態認識82によって提供される。これにより、下記の第2の方程式を使用して分極電圧Upolが確定され得る。
【0048】
Rpol=f(tpeak,Ipeak,U0,T)
Ri=f(U0,T)
【0049】
【数2】
【0050】
内部抵抗での電圧降下URiは下式で計算される。
Ri(T,U0)=Ri(U0,T)・Ipeak
式中、Ri(U0,T)は、測定された電流値および電圧値I、Uを基に状態認識82で決定され、必要に応じてフィルタリングされる。
【0051】
その後のブロック90では、エネルギー貯蔵器16、32、42で生じている電圧Upが予測される。ブロック90でのこの予測は、(定常)分極電圧Upol、休止電圧U0、および内部抵抗Riでの電圧降下URiに依存して、下記の方程式に基づいて行われる。
【0052】
=U-URi-Upol
予測電圧Upが、電圧限界値Ulimit、例えば9Vを下回る場合、警告または対抗措置が開始される(Up<Ulimit)。この場合には、エネルギー貯蔵器16、32、42はもう性能を発揮しているとは見なされない。
【0053】
かくして、モデル86は入力データとして、電流プロファイルまたは負荷プロファイル50、52と共にそれぞれのエネルギー貯蔵器16、32、42の確定されたパラメータ78を使用する(図6)。
【0054】
関数値は、センサー34、44内で、変化した動作条件、例えばエネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tまたは変化した充電状態SOCまたは休止電圧U0によって常に適合される。老朽化についての電圧予測Upの適合は、以下に詳述するように分極抵抗Rpolの内部抵抗Riに対する比によって内在的に確実に設計されており、したがって老朽化についての適合は必要ない。
【0055】
有り得るエネルギー貯蔵器16、32、42としての鉛蓄電池内で非常にしばしば発生する老朽化メカニズムは、腐食(1)および活物質損失(2)である。
(1):腐食は、なかでも内部抵抗Riの上昇によって表面化する。老朽化していないエネルギー貯蔵器16、32、42またはバッテリーの分極抵抗の内部抵抗に対する比(Rpol/Ri)がパラメータセットとして選択されるので、主たる老朽化メカニズムとしての腐食により、比Rpol/Riが腐食によって低下すること、少なくとも上昇しないことが推測される。
【0056】
(2):同じことが、活物質損失(Loss of active mass;LAM)に当てはまる。活物質損失は、反応力のある活性のバッテリー表面積を減らし、それにより両方の抵抗種類RpolおよびRiは上昇するが、比Rpol/Riは上昇しない。非常に強くLAM老朽化したバッテリーに関してのみ、Rpol/Riの上昇が起こり得るが、ただしこの状態では、バッテリーはもうどのみち取り除かなければならないほど老朽化している。
【0057】
最後に分極抵抗Rpolは、その時々に印加されている老朽化した内部抵抗Ri_gにより、分極抵抗のエネルギー貯蔵器16、32、42の寿命初期(BOL Begin of Life)に対する比Rpol/Riに依存して決定される:(Rpol/Ri)BOL*Ri_g。
【0058】
【数3】
【0059】
図7では、時間t、つまり老朽化に依存する説明した関連性が明示されている。つまり、エネルギー貯蔵器16、32、42の腐食に基づく寿命末期(EOL)の内部抵抗Riは、分極抵抗Rpolに比べて不釣り合いに大きく上昇する。腐食に基づく比Rpol/Ri(Kor)を考察すると、この比は線形に低下している。腐食とは異なり、活物質損失(LAM)に基づく分極抵抗Rpolは、寿命末期EOLに向かって比較的強く増加する。ここでも、活物質損失LAMに基づく比Rpol/Ri(LAM)は最初は上昇しない。この比は、LAMが非常に強く現れたときにようやく、エネルギー貯蔵器16、32、42の寿命初期の最初のレベルに再び到達する。この時点以降は、エネルギー貯蔵器16、32、42の寿命末期(EOL)に達していることが推測され得る。
【0060】
図9に基づく例示的実施形態は、図5の例示的実施形態に対し、動的モデル88のためのパラメータ80を作成するための手順が補充されている。動的モデル88は、後で図10と関連して詳しく説明する。
【0061】
このコンセプトの本質的な特徴は、電圧予測Upのための、エネルギー貯蔵器16、32、42、とりわけバッテリーの負荷履歴の考慮である。走行動作においては動的な負荷状況が存在し、この動的な負荷状況は、走行パターンに応じて、エネルギー貯蔵器16、32、42に対する様々な負荷をも意味する。つまり、エネルギー貯蔵器16、32、42の強い負荷(エネルギー貯蔵器16、32、42の放電)下での動的な走行状況で、電圧予測Upを確実で信頼できるものにし得るためには、静的な動作点(エネルギー貯蔵器16、32、42のいわゆる平衡状態での)を考察するだけでなく、とりわけ動作履歴を算入すればよい。ここで紹介されるコンセプトは、任意に導き出された電圧予測Up(例示的に図5と関連して説明したような一定の推定値または任意の負荷プロファイル50、52)を、動的な負荷事例のために拡張する可能性を提供する。これにより、電圧予測Upが著しくより正確に実施され得る。このコンセプトの1つの特徴は、発生した負荷の時間的重み付けであり、すなわちエネルギー貯蔵器16、32、42に任意の負荷が発生する場合に、予測値Up(図6に基づくブロック90で静的な動作事例において例示的に確定されたような)が適応される。ただし、予測特性量Upの静的部分に関し、図6を活用しない別の予測または推定法も可能である。
【0062】
この場合、根拠として、汎用の測定仕様60を使ったエネルギー貯蔵器16、32、42の測定データの捕捉が用いられる。これらの測定を使って、電圧挙動の影響因子が、エネルギー貯蔵器16、32、42ごとに別々に分析され得る。このパラメータ化は、エネルギー貯蔵器16、32、42の動的挙動も内包する。エネルギー貯蔵器16、32、42、とりわけバッテリーの動的な抵抗挙動は、解析関数の形態で近似されて使用される。予測値が、図2および図3と関連して説明したような負荷プロファイル50、52を介して導き出される場合、追加的な入力量としてのバッテリーのその前の負荷が、動的アルゴリズムをさらにより正確にし得る。
【0063】
負荷プロファイル50の電流の高さIおよび負荷時間tが入力量として使用される。電荷蓄積が実施され、休止期における時間依存の減衰挙動を経てリセットされる。時間依存の減衰関数は、e関数またはpT1要素によって実施され得る。解析関数は、電荷履歴Qと追加的な過電圧Uとの関連性を説明する。過電圧Uの発生も減衰挙動も、測定データに基づいてバリデートされた(汎用の測定プランを参照)。これにより、高動的プロセスでも電圧予測Upがいっそう確実に進行し得る。つまりこのアルゴリズムは、エネルギー貯蔵器16、32、42の負荷履歴の影響を特性量Upに再現する量Udyn,τで表されたエネルギー貯蔵器16、32、42の事前負荷に依存して、予測値Upを重み付けする。
【0064】
エネルギー貯蔵器16、32、42の分極抵抗Rpolは、エネルギー貯蔵器16、32、42の動作条件に応じて非常に様々であり得る。基本的に、分極抵抗Rpolの一部は常に、エネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tおよび充電状態SOCに依存する電荷移動抵抗(過電圧)である。分極抵抗Rpolの追加的な成分は、エネルギー貯蔵器16、32、42内での物資輸送限界、例えば拡散プロセスであり得る。拡散効果は、実質的に、エネルギー貯蔵器16、32、42の状態によって影響を及ぼされる。したがって負荷履歴と過電圧との関連性の関数において、エネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tおよび充電状態SOCの関数として表される。
【0065】
電圧予測Upが動的負荷状況のために拡張される(図11)。図5および図6に基づく例示的実施形態では、例示的に、エネルギー貯蔵器16、32、42の分極電圧Upolを動作点に依存して予測し得るアルゴリズムが説明されている。分極電圧Upolは、規定の周囲条件(エネルギー貯蔵器16、32、42が緩和状態にある休止からの動作点)で測定される。これは、動作条件(パルスの電流の高さIpeak、バッテリー温度T、電流パルスIpeakの持続時間tpeak、エネルギー貯蔵器16、32、42の充電状態SOCまたは休止電圧U0)を考慮して、基本的な依存性を認識するために重要である(図10)。
【0066】
エネルギー貯蔵器32.1、32.2、32.3、32.4,...32.nの様々なタイプに対し、様々な負荷プロファイル52に関して帰属の電圧推移Uが確定され、例えば、図8に示したような、一旦はベース負荷51およびピーク負荷53を有する負荷プロファイル(図3A)、これに続いてベース負荷なしでピーク負荷53だけを有するさらなる負荷プロファイル(図3C)に関し、帰属の電圧推移Uが確定される。本質をなすのは、両方の負荷の間に休止期つまり緩和期があることである。休止期における電圧Uの上昇は、緩和時定数つまり減衰挙動τで起こり、これは温度依存τ(T)である。本方法は、幾つかのバッテリータイプにまたはバッテリー群に適用され得る。この休止期は、少なくとも、エネルギー貯蔵器16、32、42がその間に再び回復する、つまり再び休止電圧U0が生じる長さに選択され得る。第1の負荷プロファイル52も(さらなる負荷プロファイル52と同様に)、エネルギー貯蔵器16、32、42が規定の状態にある場合に、とりわけ休止電圧U0が印加されている場合に印加される。このようにして、少なくとも1つの状態量U0、T、SOC、Q、Riに依存して格納されて、エネルギー貯蔵器16、32、42の負荷履歴の影響を特性量Upに再現する量Udyn、τが確定される。
【0067】
その際、例示的に負荷プロファイル52またはさらなる負荷プロファイル52で使用されるようなピーク負荷53は、持続時間tpeakで印加される最大負荷、例えば最大電流Ipeakによって規定される。ベース負荷51は、一般的により低い最大負荷でのより長い負荷推移を特色とする。ベース負荷51の印加によって電圧Uが下がり、ピーク負荷53の印加によってまたさらに落ち込む。関心量は、その際に生じる総電圧降下UDCPである。ピーク負荷53によるエネルギー貯蔵器16、32、42の印加の終了後、電圧Uは、ある程度の休止時間後には再び上昇している。その後、エネルギー貯蔵器16、32、42は、事前のベース負荷51での印加なしで、ピーク負荷53しか印加されない。このとき電圧Uは、より少ない値USCPに低下する。実際の電圧挙動Udyn、つまり実際に測定される動的電圧Udynの値は、下記の方程式によって計算される。
【0068】
Udyn(Q,U0,T)=UDCP-USCP
上式は、温度に指数関数的に依存し、かつ電荷に線形に依存する項によって近似され得る。動的電圧Udynは、電荷Q(温度依存の減衰挙動込みの電流推移Iの積分としての電荷Qまたは負荷52)、充電状態SOCまたは休止電圧U0、およびエネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tに依存する。動的電圧Udynは、エネルギー貯蔵器16、32、42の負荷履歴に関する尺度を、エネルギー貯蔵器16、32、42の負荷履歴の影響を特性量Upに再現する量Udyn、τとして表し得る。
【0069】
電圧推移の測定が、周囲パラメータ、例えば温度T、事前負荷Q(電流推移Iの積分としての電荷Q)、および充電状態SOCまたは休止電圧U0を変えて繰り返される。これは、図9に基づくブロック62で行われる。
【0070】
その後のブロック64では、様々な状態量Q、SOC、Tに対する測定値に基づいて、各エネルギー貯蔵器16、32、42に対して回帰が行われる。上で確定された、状態量Q、U0またはSOC、Tに依存する動的電圧Udynに関し、以下の典型的な方程式のための係数が決定され得る。
【0071】
Udyn(Q,U0,T)=a(U0)*exp(b(U0)/T)*Q+c(U0)
式中、a、b、cは、測定値に依存して決定されるべき一定のパラメータであり、この場合a、b、cは休止状態U0(または充電状態SOC)に依存する量である。
【0072】
緩和挙動は、電圧Uが、フル負荷53の終了後に、ただしその前にベース負荷51によって印加される場合に、再びどのように戻っていくのかを提示する。これは例えば、図11に示したように、新たな状態量Qbatによってモデル化され得る。このQbatは、放電期には電流積分Qを再現し、しかし休止期には時間依存の減衰挙動の電荷値Qを再現させる。時間依存の減衰挙動τは温度依存τ(T)である。
【0073】
Qbat=f(I,Q,τ(T))
式中、Qbatは、実効的にバッテリーに印加されている負荷に関する電荷Qの状態量を表す。
【0074】
緩和挙動の分析は、例えば図8に示したようなバッテリー測定から行われ得る。緩和時間τは、例えば対応表に温度Tに依存して格納され得る(τ(T))。温度Tが低ければ低いほど緩和時間τは長い。これは、オフラインで測定された1つの特定の(ブロック75)または各々の(ブロック74)エネルギー貯蔵器16、32、42に対して行われ得る。
【0075】
その代わりに、エネルギー貯蔵器16、32、42のそれぞれの種類に対し、確定された測定値の組合せ(Udyn(Q,SOC,T))が、後のオンラインの予測電圧Upの確定(以下で説明する図11に基づく)のために、回帰なしでも保存され得る。
【0076】
一般化74の代わりに、それぞれのエネルギー貯蔵器16、32、42に固有の解決策の枠内でも、パラメータ80が確定され得る(ブロック75)。説明したこれらのステップが、ここでもオフラインで進行すること、つまり本方法の運用開始前に実施されることが好ましい。
【0077】
ブロック74で行われたパラメータの一般化の後、図11に基づく動的モデル88のためにパラメータ80が決定される。この動的モデルでは、状態量Qbatの決定と、電圧決定94(電圧決定Upol,dyn(予測された動的な分極電圧))とが区別される。状態量Qbatは、その時々の電荷曲線Q(電流積分)、バッテリー温度T、およびその時々の電流値Iを入力データとして利用する。ブロック92(Qbatの決定)では、電流が流れていない状態の電荷Qは、時間遅れ要素によってリセットされる。このQbatは、後の予測Upol,dynにおいて、上記の方程式によって使用される。
【0078】
図10および図11に基づく形態は、自動車の動作中に実施される。これは、とりわけ図9で確定されたパラメータ80を活用してエネルギー貯蔵器16、32、42の負荷履歴を再現する動的モデル88を使用して行われる。ここでもセンサー34、44は、相応の測定データ、例えば電圧U、電流I、エネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tを確定し、かつエネルギー貯蔵器16、32、42の状態認識82を提供する。状態認識82は、相応の測定データを基に決定されるエネルギー貯蔵器16、32、42の状態量を確定し、これらの状態量、例えばエネルギー貯蔵器16、32、42の温度Tおよび/またはエネルギー貯蔵器16、32、42の電荷QもしくはQbatおよび/またはエネルギー貯蔵器16、32、42の内部抵抗Riおよび/または充電状態SOCおよび/または休止電圧U0は、動的モデル88にも提供される。さらに動的モデル88は、図9で確定されたパラメータ80を得る。必要に応じて負荷プロファイル50、52が動的モデル88に提供される。動的モデル88は、負荷履歴に関する尺度として、生じている動的電圧Upol,dynを予測する。
【0079】
したがって図10では例示的に、総分極電圧Upolが、静的分極電圧Upol,stat(または図10に基づくUp,stat)と動的分極電圧Upol,dyn(または図10に基づくUp,dyn)の足し合わせから決定される。
【0080】
Upol=Upol,stat+Upol,dyn
Upol,dyn=a(U0)*exp(b(U0)/T)*Qbat+c(U0)
予測特性量Upは下記の方程式から生じる。
【0081】
Up=U0-Upol-URi
式中、U0は休止電圧、Upolは分極電圧、およびURiは内部抵抗での電圧降下を表す。
【0082】
予測電圧Upが危機的な限界値Ulimitを下回ると(Up<Ulimit)、これはもう健全なエネルギー貯蔵器16、32、42を示しておらず、相応の対抗措置または警告指示が開始される。
【0083】
必要に応じて、定常量、例えばUpol,statが、図5および図6と関連して説明したのとは違うやり方でも確定され得ること、または動的量Upol,dynが既にそれ自体で、エネルギー貯蔵器16、32、42の品質についての表明を可能にすることを、ここでも言及しておく。
【0084】
エネルギー貯蔵器16、32、42の実際の機能的能力が達成されない場合、対抗措置が開始される。つまり例えば警告通知が行われ、かつ/または安全性に関連する機能が遮断される。警告通知は、車両運転者に対してディスプレイまたはその他の表示手段内で表示され得る。その代わりに、相応の警告通知が適切な通信チャネルを介して、例えば修理工場、車両団の事業主などに表示されてもよいであろう。車両を安全な状態、例えば道路端での停止、最寄りの駐車スペースまたはそれに類する場所への走行(車両のいわゆるセーフストップ)へと、手動でまたは自動的に移行させることが開始されてもよいであろう。
【0085】
説明した方法は、安全性に関連する用途のための、例えばとりわけ自律走行時の自動車内の安全性に関連する消費機器に供給するためのエネルギー貯蔵器16、32、42を監視するのにとりわけ適している。ただし使用はこれに制限されていない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内のエネルギー貯蔵器(16、32、42)の監視のための方法であって、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)が、好ましくは自動走行機能のための、少なくとも1つのとりわけ安全性に関連する消費機器(36、46)に供給し、このとき、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの特性量(Up)が予測される方法において、前記特性量(Up)の前記予測が、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の内部抵抗(Ri)と分極抵抗(Rpol)の比に依存して行われ、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つのその時々の状態量(T、U0、SOC)および/または前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つのその時々の測定量(U、I、T)に依存して、帰属の前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比が選択され、かつ前記特性量(Up)の前記予測のために使用される、方法。
【請求項2】
前もって、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の様々な周囲条件または状態量(T、U0、SOC)、例えば温度(T)、充電状態(SOC)、休止電圧(U0)に依存して、前記内部抵抗(Ri)および分極抵抗(Rpol)を決定するための測定が、前記内部抵抗(Ri)と分極抵抗(Rpol)の比を確定するために実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内部抵抗(Ri)および/または分極抵抗(Rpol)を確定するために負荷プロファイル(50)が使用され、前記負荷プロファイル(50)が設定可能なピーク負荷(53)を含み、前記ピーク負荷(53)時には、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)が少なくともある特定の電圧(Ulimit)に達することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
分極抵抗(Rpol)が、前記負荷プロファイル(50)の印加後に生じる電圧差(U1-U0)に依存して、および/または電流差(I1-I0)に依存して、および/または前記内部抵抗(Ri)に依存して確定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記予測特性量(Up)が、分極電圧(Upol)および/または前もって格納された前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比に依存して、その時々に確定された前記内部抵抗(Ri)を乗じて、かつ前記負荷プロファイル(50)のピーク負荷(53)を表す特性量、とりわけピーク電流(Ipeak)を乗じて確定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記特性量(Up)を予測するために、前記休止電圧(U0)から、前記分極電圧(Upol)および/または前記内部抵抗(Ri)での電圧降下(URi)が差し引かれることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の特定の測定量、とりわけ、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)での電圧(U)および/または前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)に負荷をかける電流(I)および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の温度(T)が、センサー(34、44)によって捕捉されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
とりわけ前記センサー(34、44)内で実現される前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の状態認識(82)が、少なくとも前記測定量(U、I、T)に依存して、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの状態量(Ri、SOC、U0、T)、とりわけ前記内部抵抗(Ri)、および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の充電状態(SOC)および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器16、32、42)の休止電圧(U0)および/またはとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の温度(T)を確定することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の少なくとも1つの周囲量および/または状態量(U0、SOC、T)に依存した、前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する様々な比、とりわけ、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の最大負荷を再現する比が保存されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
好ましくはエネルギー貯蔵器(16、32、42)の各タイプに関し、前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比から、極値、とりわけ最大値が保存されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
決定された前記分極抵抗(Rpol)の内部抵抗(Ri)に対する比が、対応表(72)に保存され、かつ/または少なくとも1つの周囲量(U0、T)および/もしくは状態量(U0,T)に依存して関数とりわけ多項式の形態で表されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記特性量(Up)の前記予測が、前もって少なくとも1つの状態量(U0、T、SOC、Q、Ri)に依存して格納された、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の負荷履歴の影響を前記特性量(Up)に再現する量(Udyn,τ)を使用して行われ、前記量(Udyn,τ)が、前記状態量(U0、T、SOC、Qbat、Ri)に依存して選択されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)が、とりわけ少なくとも1つのベース負荷(51)およびピーク負荷(53)を含む負荷プロファイル(50、52)で印加され、かつとりわけ前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の休止電圧(U0)に達するまでの休止期の後、さらなる負荷プロファイル(50)、とりわけピーク負荷(53)で印加されること、ならびにこのときに生じる電圧推移(U)が、前記エネルギー貯蔵器(16、32、42)の負荷履歴の影響を前記特性量(Up)に再現する前記量(Udyn,τ)を確定するために評価されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記測定量(U、I、T)を捕捉するセンサー(34、44)が設けられること、および/またはセンサー(34、44)が前記状態認識(82)を含むこと、および/または前記センサー(34、44)が前記分極抵抗(Rpol)と内部抵抗(Ri)との間の比を保存するために使用されること、および/または前記センサー(34、44)が前記特性量(Up)を予測するために使用されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記予測特性量(Up)による限界値(Ulimit)の到達の場合、例えばとりわけ安全性に関連する機能の遮断および/または警告通知の出力のような措置が開始されることを特徴とする請求項に記載の方法。

【国際調査報告】