(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】多孔質ブロック物品
(51)【国際特許分類】
C08J 9/33 20060101AFI20241018BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20241018BHJP
C08J 9/24 20060101ALI20241018BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20241018BHJP
C08K 7/22 20060101ALI20241018BHJP
C08L 77/02 20060101ALI20241018BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241018BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C08J9/33 CFG
C02F1/28 A
C08J9/24
C08L77/00
C08K7/22
C08L77/02
C08K3/04
C08K3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523259
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 US2022047549
(87)【国際公開番号】W WO2023076148
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アザーズ・エイ・バホラ
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・メルマン
【テーマコード(参考)】
4D624
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4D624AA01
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4J002HA09
(57)【要約】
本発明は、1つ又は複数の種類の相互作用粒子又は繊維を相互接続するポリアミドバインダーを有する複合ブロック物品に関する。ブロック物品は、液体に溶解又は懸濁した物質の分離に役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ブロック物品であって、
a)1~15重量パーセントのポリアミドバインダー、及び
b)85~99重量パーセントの、0.1~3,000ミクロンの平均粒径を有する相互作用粒子(重量パーセントは、ポリアミドと相互作用粒子の合計に基づく)
を含み、
前記ポリアミドは、1~50ミクロンの平均粒径を有し、粒子サイズ分布として、粒子の80%が平均粒子サイズの0.5倍と平均粒子サイズの2倍の間のサイズを有し、前記ポリアミドは、0.5m2/gを超える比表面積を有すると測定されるような多孔質である、複合ブロック物品。
【請求項2】
前記ポリアミドが、PA6、PA11、PA12、PA6.12、PA6.6、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項3】
前記ポリアミドがポリアミド6又はポリアミド12を含む、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項4】
前記ポリアミドバインダーの平均粒径が1~22ミクロンである、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項5】
前記ポリアミドバインダーが10000センチポアズ以上の溶融粘度を有する、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項6】
前記ポリアミドバインダーが、前記複合ブロック物品の総重量の少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも3重量%を構成する、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項7】
前記ポリアミドバインダーが、前記複合ブロック物品の総重量の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも6重量%を構成する、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項8】
前記相互作用粒子が活性炭を含む、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項9】
前記複合ブロック物品が、ポリオレフィン、ポリエステル、PVDF、及びエチレン酢酸ビニルから選択される追加のポリマーバインダーをさらに含む、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項10】
前記相互作用粒子が、以下の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の複合ブロック物品:410、304、及び316ステンレス鋼の金属粒子、銅、アルミニウム及びニッケル粉末、強磁性材料、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、アクリル粉及び繊維、セルロース繊維、ガラスビーズ、各種研磨剤、シリカなどの一般的な鉱物、木材チップ、イオン交換樹脂、セラミックス、ゼオライト、珪藻土、ポリエステル粒子及び繊維、並びにポリカーボネートなどのエンジニアリング樹脂の粒子。
【請求項11】
前記相互作用粒子がゼオライトを含む、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項12】
前記ブロックが、最初の1リットルの濾過水の透過率によって測定されるとき、75%を超える透過率を有する微細保持性を有する、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項13】
前記ポリアミドバインダーの平均粒径が1~12ミクロンであり、前記ポリアミドが、1.4m2/gを超える比表面積を有すると測定されるような多孔質である、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項14】
前記物品が、水の濾過又は流体の工業用濾過のためのカーボンブロックシステムの一部である、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項15】
前記物品が二次濾過システムをさらに含むハイブリッド物品である、請求項1に記載の複合ブロック物品。
【請求項16】
請求項1に記載の複合ブロック物品に流体を通過させることを含む、流体から化合物を分離する方法。
【請求項17】
前記流体が、分離可能な溶解又は懸濁物質を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
分離可能な溶解又は懸濁物質が、以下からなる群から選択される、請求項17に記載の方法:微粒子;生物学的及び医薬品の有効成分;有機化合物;酸、塩基、フッ化水素酸;水素、アルミニウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの陽イオン;硝酸塩、シアン化物、塩素の陰イオン;金属、クロム、亜鉛、鉛、水銀、ヒ素、銅、銀、金、プラチナ、鉄;塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム。
【請求項19】
前記流体がガスを含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
前記流体が水性液体又は非水性液体を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項21】
前記流体が、水性液体、有機溶媒、医薬もしくは生物学的製剤、炭化水素ベースの流体、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項22】
流体の流れから成分を分離するための分離/濾過装置としての、請求項1に記載の複合ブロック物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の種類の相互作用性粉末材料又は繊維を相互接続するポリアミドバインダーを有する多孔質ブロック物品に関する。小さな粒子サイズ、狭い粒子サイズ分布、及び多孔質ポリアミドバインダーを備え、流速と強度が向上した多孔質ブロック物品。
【背景技術】
【0002】
カーボンブロックフィルターの性能基準は、機械的強度、フィルターを通過する流体の流量(透過性)、カーボン微粒子の保持、及び化学物質/汚染物質の除去である。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)など、カーボンブロックフィルターに使用できる現在のバインダーは、十分な機械的強度を得るために大量に添加する必要があるが、微細な保持には依然として苦労している。低密度ポリエチレン(LDPE)など、その他の使用済みバインダーを使用すると、水からの汚染物質の除去が低下する。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)で作られたKyblockバインダーは、化学物質や汚染物質の除去においてクラス最高の性能を備えているが、機械的強度が低くなる傾向がある。すべての性能基準を1つのシステムに統合できるバインダーに対するまだ満たされていないニーズがある。
【0003】
米国特許第5,019,311号、米国特許第5,147,722号及び米国特許第5,331,037号には、ポリマーバインダーによって互いに結合された相互作用粒子を含む多孔質構造を製造するための押出プロセスが記載されている。多孔質構造は、「連続ウェブマトリックス」又は「強制点結合」と呼ばれる。この複合物品は、カーボンブロックフィルターなどの高性能水フィルターとして有用である。
【0004】
国際公開第2014055473号は、ブロック物品に使用するためのPVDF及びポリアミドバインダーの使用を教示している。使用されるポリアミドの粒径又は粒径分布に関する教示はない。ポリアミドブロックの特性を示すデータはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、ある種のポリアミドバインダーは、小さい粒径、狭い粒径分布を有し、そして、粒子及び/又は繊維の相互接続性を生み出すような方法で、相互作用する粒子及び/又は繊維を一緒に結合するために、高い多孔率を使用することができる。結合した粒子又は繊維は、流体に溶解又は懸濁した材料を分離するための製品に成形できる。記載されたポリアミドを使用して製造されたブロックは、高い微細保持力、高い透過性、高い機械的強度、及び高い化学物質/汚染物質の除去性を備えている。
【0006】
一般に、バインダーの粘度が低いと、化学物質や汚染物質の除去性能が低下すると考えられている。(粘度は、200℃、0.1Hzの周波数を使用して平行平板レオロジーによって測定)。低粘度とは、温度200℃、周波数0.1Hzでの粘度が5.1E+06Cpoise(mPa・s)未満であることを意味する。
【0007】
【0008】
本発明は、好ましくは相互作用材料として活性炭を含む、1つ又は複数の種類の相互作用材料又は繊維を相互接続するポリアミドバインダーを有する多孔質ブロック物品に関する。相互接続性は、バインダーが相互作用する材料又は繊維を完全なコーティングとしてではなく個別のスポットで接続することで、材料又は繊維が流体と直接接触し、流体と相互作用することを可能にする。結果として得られる物品は、形成された多成分の相互接続された多孔質ウェブである。このブロック物品は、水の浄化、工業用途における水系と非水系の両方の溶解又は懸濁物質の分離、及びガス貯蔵に役立つ。ブロック物品は、周囲温度だけでなく高温でも機能する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は、粒子サイズ、粒子サイズ分布、及び多孔質を特徴とするある種のポリアミド粉末が、驚くべきことに、流量(透過性)、機械的強度、微細保持、及び化学物質/汚染物質の除去の独特の組み合わせを備えたカーボンブロックをもたらすことを発見した。このバインダーは、市販のバインダーとは異なり、カーボンブロックフィルターの重要な側面において全体的なパフォーマンスを向上させることができる。
【0010】
本発明は、非常に狭い粒径分布(粒子の80%は、平均粒子サイズの0.5倍から平均粒子サイズの2倍までのサイズを持っている)とともに、小さい(50ミクロン以下)粒径を有し、カーボンブロックフィルターのバインダーとして使用できる高い多孔質(0.5~100m2/gBET比表面積)を有する特定のクラスのポリアミド粉末グレードを開示する。この一連のバインダーの特性により、飲料水の濾過において、高い機械的強度、高い水流量、高い微粒子保持力、及び高い化学物質/汚染物質の除去を備えたカーボンブロックフィルターが実現する。さらに、このタイプのポリアミドバインダーの粘度が低い場合でも、飲料水からの化学物質/汚染物質(塩素)の除去能力が高くなり、これは、粘度が低いと化学物質や汚染物質の除去が低下するポリオレフィンバインダーの挙動とは大きく異なる。
【0011】
本発明は、以下を含む複合ブロック物品組成物に関する:
i)全ブロックに基づいて、1~15重量%のポリアミドバインダー、及び
ii)99~85重量%の、0.1~3,000ミクロンの平均粒径を有する相互作用粒子;
ここで、前記ポリアミドバインダーは、1~50ミクロン、好ましくは1~25ミクロンの範囲の平均粒径を有することを特徴とし、粒子サイズ分布として、粒子の80%が平均粒子サイズの0.5倍と平均粒子サイズの2倍の間のサイズを有し、BET比表面積(m2/g)が0.5より大きい、好ましくは、1.4より大きい、最も好ましくは3m2/gより大きい。ポリアミドバインダー粒子は、高いBET比表面積によって示されるように、高い多孔質を有する。
【0012】
本発明の態様
態様1は、以下を含む複合ブロック物品を提供する:
a)1~15重量パーセントのポリアミドバインダー、及び
b)85~99重量パーセントの、0.1~3,000ミクロンの平均粒径を有する相互作用粒子(重量パーセントは、ポリアミドと相互作用粒子の合計に基づく);
ここで、前記ポリアミドは、1~50ミクロンの平均粒径を有し、粒子サイズ分布として、粒子の80%が平均粒子サイズの0.5倍と平均粒子サイズの2倍の間のサイズを有し、前記ポリアミドは、0.5m2/gを超える比表面積を有すると測定されるような多孔質である、複合ブロック物品。
【0013】
態様2:前記ポリアミドが、PA6、PA11、PA12、PA6.12、PA6.6、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1に記載の複合ブロック物品。
【0014】
態様3:前記ポリアミドがポリアミド6又はポリアミド12を含む、態様1に記載の複合ブロック物品。
【0015】
態様4:前記ポリアミドバインダーの平均粒径が1~22ミクロンである、態様1~3のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0016】
態様5:前記ポリアミドバインダーが10000センチポアズ以上の溶融粘度を有する、態様1~4のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0017】
態様6:前記ポリアミドバインダーが、前記複合ブロック物品の総重量の少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも3重量%を構成する、態様1~5のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0018】
態様7:前記ポリアミドバインダーが、前記複合ブロック物品の総重量の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも6重量%を構成する、態様1~5のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0019】
態様8:前記相互作用粒子が活性炭を含む、態様1~7のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0020】
態様9:前記複合ブロック物品が、ポリオレフィン、ポリエステル、PVDF、ポリアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、及びエチレン酢酸ビニルから選択される追加のポリマーバインダーをさらに含む、態様1~8のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0021】
態様10:前記相互作用粒子が、以下の少なくとも1つを含む、態様1~9のいずれか一項に記載の複合ブロック物品:410、304、及び316ステンレス鋼の金属粒子、銅、アルミニウム及びニッケル粉末、強磁性材料、活性アルミナ、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、シリカゲル、アクリル粉及び繊維、セルロース繊維、ガラスビーズ、各種研磨剤、シリカなどの一般的な鉱物、木材チップ、イオン交換樹脂、セラミックス、ゼオライト、珪藻土、ポリエステル粒子及び繊維、並びにポリカーボネートなどのエンジニアリング樹脂の粒子。
【0022】
態様11:前記相互作用粒子がゼオライトを含む、態様1~10のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0023】
態様12:前記ブロックが、最初の1リットルの濾過水の透過率によって測定されるとき、75%を超える透過率を有する微細保持性を有する、態様1~11のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0024】
態様13:前記ポリアミドバインダーの平均粒径が1~12ミクロンであり、前記ポリアミドが、1.4m2/gを超える、又は3m2/gを超える比表面積を有すると測定されるような多孔質である、態様1~12のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0025】
態様14:前記物品が、水の濾過又は流体の工業用濾過のためのカーボンブロックシステムの一部である、態様1~13のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0026】
態様15:前記物品が二次濾過システムをさらに含むハイブリッド物品である、態様1~14のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0027】
態様16:前記物品複合ブロック物品が少なくとも0.310、好ましくは少なくとも0.32以上の透過性(ダーシー値)を有する、態様1~15のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0028】
態様17:前記物品の密度が0.58~0.74g/cm3である、態様1~16のいずれか一項に記載の複合ブロック物品。
【0029】
態様18:態様1~17のいずれか一項に記載の複合ブロック物品に流体を通過させることを含む、流体から化合物を分離する方法。
【0030】
態様19:前記流体が、分離可能な溶解又は懸濁物質を含む、態様18に記載のプロセス。
【0031】
態様20:分離可能な溶解又は懸濁物質が、以下からなる群から選択される、態様19に記載の方法:微粒子;生物学的及び医薬品の有効成分;有機化合物;酸、塩基、フッ化水素酸;水素、アルミニウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの陽イオン;硝酸塩、シアン化物、塩素の陰イオン;金属、クロム、亜鉛、鉛、水銀、ヒ素、銅、銀、金、プラチナ、鉄;塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム。
【0032】
態様21:前記流体がガスを含む、態様18~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【0033】
態様22:前記流体が水性液体又は非水性液体を含む、態様18~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【0034】
態様23:前記流体が、水性液体、有機溶媒、医薬もしくは生物学的製剤、炭化水素ベースの流体、又はそれらの混合物からなる群から選択される、態様18~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【0035】
態様24:流体の流れから成分を分離するための分離/濾過装置としての、態様1~17のいずれか一項に記載の複合ブロック物品の使用。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】透水性とブロック密度の評価結果を説明する図である。
【
図2】破壊強度とブロック密度の評価結果を説明する図である。
【
図3】NSF42による塩素削減の評価結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書で使用されるコポリマーは、2つ以上の異なるモノマー単位を有する任意のポリマーを指し、ターポリマー及び3つを超える異なるモノマー単位を有するものが含まれる。
【0038】
本出願で引用した参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
本明細書で使用される「相互接続性」とは、相互作用粒子又は繊維が、相互作用粒子又は繊維を完全にコーティングすることなく、ポリアミドバインダーによって永久的に結合されていることを意味する。バインダーは相互作用粒子を特定の離散点で接着し、組織化された多孔質構造を生成する。多孔質構造により、相互接続された粒子又は繊維を流体が通過でき、流体組成物は相互作用する粒子又は繊維の表面に直接露出し、これにより、粒子と流体組成物の成分との相互作用が促進され、成分が分離される。ポリマーバインダーは相互作用粒子に個別の点でのみ接着するため、完全な接続のために使用されるバインダーの量はコーティングよりも少なくなる。
【0040】
本明細書で使用されるパーセンテージは、特に断りのない限り重量パーセンテージであり、分子量は、特に断りのない限り、重量平均分子量である。
【0041】
狭い粒径分布とは、粒子の80%が平均粒径の0.5倍から平均粒径の2倍までのサイズを持っていることを意味する。例えば、平均粒子サイズが10ミクロンの場合、粒子の80%は5~20ミクロンの範囲にあり、平均粒子サイズが5ミクロンの場合、粒子の80%は2.5~10ミクロンの範囲にある。
【0042】
粒径分析:本明細書における粉末の粒径分布は、コールターLS230ブランドの粒度測定器を使用し、規格ISO13319に従って測定される。これにより、粉末の粒度分布を取得することができ、そこから平均直径と分布の幅、又は分布の標準偏差を決定することができる。本発明による粉末の粒度分布は、Beckman-Coulter社のCoulterLS230粒度測定装置を使用する通常の技術に従って測定される。粒度分布から、対数計算法、ソフトウェアのバージョン2.11a、及び標準偏差(これは、分布の狭まり、又は平均直径の周りの分布の幅を測定する)を使用して、体積による平均サイズ(直径)を決定することができる。
【0043】
空隙率及びBET比表面積:「多孔質粒子」という表現は、細孔を含む粒子を示すことを意図している。多孔質は、比表面積(SSAとも呼ばれる)によって定量的に特徴付けられる。本発明の多孔質粒子は、BET法に従って測定して0.5m2/g以上の比表面積(SSA)を示す。BET(ブルナウアー・エメット・テラー)法は、当業者に周知の方法である。それは特に、「The Journal of the American Chemical Society」、vol.60、309ページ、1938年2月に準拠しており、国際規格ISO9277に対応する。BET法に従って測定される比表面積は、全比表面積に相当し、すなわち細孔によって形成される表面積を含む。
【0044】
優れたフィルターはブロック内に粒子を保持する機能を備えているため、濾過された流体が炭素、他の吸着剤、又はバインダー自体で汚染されない。高い微粒子保持力とは、カーボンブロックフィルターを通って洗い流される最初の1リットルの水の透過率が75%を超えることを意味する。カーボンブロックで濾過された最初の数リットルの水は、透過テストのために瓶に集められる。濾過された水サンプルの最初の1リットルが収集され、視覚テストと透過率テストが行われた。透過率が低いということは、濾過された流体が炭素粒子や他の吸着剤、あるいはバインダー自体で汚染されていることを意味する。さらに、より微細な炭素粒子は汚染物質の除去速度が高いことが知られているため、ブロックから濾過水への炭素粒子の放出は、ブロックの化学物質/汚染物質の除去性能が低下することを意味する。
【0045】
透過性と流量:透過性(k)はダーシー(Darcy)の法則を使用して測定される。ハウジングにフィルターを設置し、市水を流した。フィルターの両側で圧力を測定し、流量計を使用して流量を測定した。理論的には、入口水の圧力は約60psiで、これは市水の標準圧力である。水をフィルターの細孔に通す能力は、ダーシーの法則から導かれた方程式を使用して計算できる透過率kによって定量化できる。
【数1】
式中、kは透過率(m
2、1m2=1.01325E+12darcy)、Qは流量(m
3/秒)、ΔPはフィルターによる圧力降下(ハウジングによる圧力降下とは独立)(Pa)(フィルターのデルタPを決定するには、フィルターの有無にかかわらずハウジングに水を流す;その差はフィルターの圧力損失である)、μは流体の動粘度(Pa・s)、D
0はフィルターの外径(m)、D
Iはフィルターの内径(m)、Hはフィルターの高さ(m)、Hはフィルターの高さ(m)である。
【0046】
破壊強度:機械的強度は、1.27mm・min-1の速度で移動する平坦な荷重を使用した横方向の圧縮によって測定される。高さ2インチのブロックにこの圧縮試験を実施した。ブロックが壊れる前に加えられた最大の力が報告される。
【0047】
汚染物質/化学物質の除去テスト:カーボンブロックフィルターの除去能力を評価するために、代表的な汚染物質/化学物質として塩素を使用した。塩素削減テストは、NSF42標準プロトコルを使用して実行された。塩素の削減パーセントは、カーボンブロックを通して濾過された水の量の関数として報告される。テストの条件は以下の通りである:
a.フィルター:1.5×0.5×2インチ
b.汚染物質:塩素
c.流量:0.5GPM(1.89リットル/分)
d.入力水圧:60±3PSI
e.運転サイクル:20分ON/20分OFF
【0048】
ポリアミド
ポリアミドという用語は一般に、1つ又は複数のアミノ酸(アミノカプロン酸、7アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸など)、又は、1つ又は複数のラクタム(カプロラクタム、エナントラクタム及びラウリルラクタムなど);及びジアミンの1つ又は複数の塩又は混合物(ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタンなど)、及びトリメチルヘキサメチレンジアミンと二酸(イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸など)の縮合生成物を指す。
【0049】
PA12は、米国特許第12/521082号に記載されているように、アニオン重合によっても得ることができる。
【0050】
ポリアミドの例としては、PA6、PA11及びPA12及びPA6/12が挙げられる。
【0051】
コポリアミドを有利に使用することも可能である。少なくとも2つのアルファ、オメガアミノカルボン酸、又は2つのラクタム、又は1つのラクタムと1つのアルファ、オメガアミノカルボン酸の縮合から得られるコポリアミドを挙げることができる。少なくとも1つのアルファ、オメガアミノカルボン酸(又は1つのラクタム)、少なくとも1つのジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の縮合から得られるコポリアミドも挙げることができる。
【0052】
挙げることができるラクタムの例としては、主環上に3~12個の炭素原子を有するラクタムが挙げられ、これらのラクタムは置換されていてもよい。例えば、β,β-ジメチルプロピオラクタム、α,α-ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタム及びラウリルラクタムを挙げることができる。
【0053】
アルファ,オメガ-アミノカルボン酸の例としては、アミノウンデカン酸及びアミノドデカン酸が挙げられる。ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ブタン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸、二量化脂肪酸(これらの二量化脂肪酸は、二量体含量が少なくとも98%であり、好ましくは水素添加されている)、ドデカン二酸、HOOC-(CH2)10-COOHのナトリウム塩又はリチウム塩を挙げることができる。
【0054】
ジアミンは、6~12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンであり得る。それはアリール及び/又は飽和環状タイプであってもよい。例としては、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5-ジアミノヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、ジアミンポリオール、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、及びビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)を挙げることができる。
【0055】
コポリアミドの例としては、カプロラクタムとラウリルラクタムのコポリマー(PA6/12)、カプロラクタム、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6-6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/12/6-6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、アゼライン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6-9/11/12)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6-6/11/12)、及びラウリルラクタム、アゼライン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6-9/12)を挙げることができる。
【0056】
ポリアミド6、ポリアミド12、PA6/12が特に好ましい。
【0057】
本発明に使用されるポリアミドバインダーは、1~50ミクロン、好ましくは1~25、より好ましくは1~22、さらにより好ましくは1~15ミクロンの範囲の平均粒径を有することを特徴とし、ここで、粒子サイズ分布は、粒子の80%が平均粒子サイズの0.5倍と平均粒子サイズの2倍の間のサイズを有するようなものである。ポリアミドバインダーは、高いBET比表面積によって示されるような多孔質である。
【0058】
本発明で使用されるポリアミドバインダー粉末の特徴は次のとおりである:
a.規格ISO13319による、粒子の小さい平均粒子サイズ(体積平均直径)、1μmから50μm、より有利には1から25μmである。
b.粒度分布が狭い。粉末の粒度分布は、規格ISO13319に従って、例えばCoulter MultisizerII粒度測定器を使用するなど、通常の技術に従って測定される。粒子サイズ分布から、平均直径と粒子サイズの分散(標準偏差)を決定することができ、これにより分布の狭さを測定できる。
c.ポリアミド粉末粒子は球状の形状を有する。すなわち、粒子は回転楕円体の形をしており、これはほぼ球状の固体を意味する。
d.粉末の比表面積(SSA)によって特徴付けられる多孔質は、BET法による窒素吸収により測定して、0.5~150m2/g、より好ましくは0.5~100m2/g、有利には0.5~50m2/g、さらにより有利には0.5~40m2/g、より好ましくは0.5~20m2/g、より好ましくは1~15m2/gである。SSAは、1.4m2/g以上、又は3m2/g以上とすることができる。比表面積SSAは、国際規格ISO9277に記載されているBET(ブルナウアー・エメット・テラー)法に従って測定される。BET比表面積は、粉末の総比表面積(したがって微細孔を含む)に相当する。
【0059】
相互作用する粒子又は繊維
1つ又は複数の種類の相互作用粒子又は繊維がポリアミドバインダーと組み合わされる。本発明の相互作用粒子又は繊維は、流体(液体又は気体)組成物中の溶解又は懸濁物質に接近又は接触したときに物理的、電気的又は化学的相互作用を有するものである。相互作用粒子の活性の種類に応じて、粒子は、化学反応、物理的捕捉、物理的結合、電気的(電荷又はイオン)引力、又は類似の手段によって、溶解又は懸濁した物質を分離することができる。本発明によって予想される相互作用の例には、活性炭や触媒など、流体からの化合物の物理的捕捉手段;電磁粒子;中和のための酸又は塩基性粒子などが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
相互作用粒子又は繊維の例としては、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、アクリル粉末及び繊維、木材チップが挙げられるが、これらに限定されない。活性炭が特に好ましい。
【0061】
ブロックに添加できる追加の機能性添加剤として、以下が含まれる:ポリマーイオン交換樹脂、セラミックイオン交換樹脂、ゼオライト(又はアルミノケイ酸塩)、金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄など)、金属(銀、亜鉛、鉄、チタン、銅、及び銀、亜鉛、鉄、チタン、銅の合金など)、リン酸塩鉱物(アストリフィライト、モナザイト、ヒンスダライト、パイロモルファイト、バナジナイト、エリスライト、アンブリゴナイト、ラズライト、ターコイズ、オーチュナイト、フォスフォフィライト、ストルバイト、ゼノタイムなど)、マグネシウム鉱物(ペリクレースなど)、水酸化鉱物(ゲーサイトブルーサイト、マンガナイトなど)、粘土鉱物、雲母、石英、有機金属フレーム(MOF)、高分子材料(キトサン、リグニン、ポリピロール、セルロース、セルロース誘導体など)。イオン交換樹脂、ゼオライト、金属酸化物が好ましい機能性添加剤である。ゼオライトが特に好ましい。
【0062】
本発明の相互作用粒子は、直径0.1~3,000マイクロメートルのサイズ範囲にあり、繊維は直径0.1~250マイクロメートルであり、長さ対幅の比は本質的に無制限である。繊維は、好ましくは長さ5mm以下に切断される。繊維又は粉末は、粉末混合物の加熱を可能にするのに十分な熱伝導率を備えている必要がある。さらに、押出成形プロセスでは、両方の物質が溶融して、通常望ましい多相系ではなく連続溶融相が生成されるのを防ぐために、粒子と繊維の融点がポリアミドバインダーの融点より十分に高い必要がある。
【0063】
ポリアミドバインダーと相互作用粒子又は繊維の比率は、ポリアミドが1~20重量パーセント、相互作用粒子又は繊維が80~99重量パーセントであり、好ましくはポリアミドが1~15重量パーセント、相互作用粒子又は繊維が85~99重量パーセントであり、より好ましくはポリアミドが1~10重量パーセント、相互作用粒子又は繊維が90~99重量パーセントである。ポリアミドの使用量が少ないと完全な相互接続が達成されない可能性があり、ポリアミドの使用量が多いと相互作用粒子とブロック物品を通過する流体との接触が減少する。
【0064】
複合ブロック物品は、少なくとも0.310、好ましくは少なくとも0.32以上の透過性(ダーシー値)を有する。
【0065】
好ましくは、分離に使用される複合ブロック物品は、0.58~0.74g/cm3の密度を有する。
【0066】
本発明のブロック物品は膜とは異なる。膜は、指定された孔径を持ち、孔径より大きな粒子が膜を通過するのを防ぐ、除去濾過によって機能する。その代わりに、本発明のブロック物品は、相互作用粒子による吸着又は吸収に依存して、ブロック物品を通過する流体から物質を除去する。
【0067】
相互作用粒子の相互接続性を有する本発明のブロック物品は、物品を形成するための当技術分野で知られている手段によって形成することができる。本発明のブロック物品を形成するための有用なプロセスには、米国特許第5,019,311号に教示されているような押出プロセス、圧縮成形、共噴霧乾燥粉末、及び(水性)分散結合プロセスが含まれるが、これらに限定されない。これらのプロセスは、例えば国際公開第2014055473号(参照により本明細書に組み込まれる)から当技術分野で知られている。
【0068】
ポリアミドは、相互接続性を生み出すために特定の離散点でのみ相互作用粒子又は繊維を一緒に結合するポリマー粒子とのバインダーとして機能する。
【0069】
本発明の一実施形態では、ブロック物品は、流体がポリアミドブロック物品を通過する前に大きな粒子を除去するための二次フィルターを備えるハイブリッド濾過物品であってもよい。この二次濾過コンポーネントは、より大きなメッシュのフィルター、紡績繊維、ルーズファイバーフィル、スクリーン、又は他の既知の二次濾過手段であり得る。二次濾過には任意の材料を使用できるが、化学的及び生物学的に不活性であり、機械的及び熱機械的特性が高いポリアミド材料が特に有用である。
【0070】
用途
一般に使用されるポリエチレンなどの他のバインダー材料と比較して、機械的特性及び熱機械的特性を含むポリアミド材料の有利な特性により、本発明のブロック物品は、さまざまな異なる要求の厳しい環境で使用することができる。ブロック物品を使用すると、ブロック物品を通過する流体から不要な物質を精製及び除去することができ、その結果、さまざまな商業用途又は消費者用途で使用されるより純粋な流体が得られる。多孔質ブロック物品は、飲料水から化学物質や汚染物質の除去;液体又は気体の産業の流れからの化学物質/汚染物質の分離;ガス貯蔵、生物学的及び薬学的活性部分、貴金属などの流体の流れからの小分子の捕捉と回収、及び触媒作用などによる特定の化学反応の実行に特に役立つ。相互作用粒子の活性の種類に応じて、粒子は、化学反応、物理的捕捉(吸着)、電気(電荷又はイオン)引力、又は類似の手段によって、溶解又は懸濁した物質を分離することができる。
【0071】
ブロック物品は、流体の流れ(「分離装置」)から材料を捕捉及び濃縮するために使用することもでき、その後、これらの捕捉された材料は、さらなる使用のためにブロック物品から除去される。
【0072】
分離装置は、例えば飲料水(温水と冷水)の精製に使用でき、また工業用途にも使用できる。工業的用途とは、高温(50℃超、75℃超、100℃超、125℃超、さらには150℃超、一部の用途では220℃超、ポリマーバインダーの軟化点まで)での使用;有機溶剤との使用;製薬及び生物学的用途での使用;水溶液及び懸濁液から有機化合物を除去するための用途;及び炭化水素流体の洗浄又は濾過での使用を意味する。
【0073】
このブロックは水から塩素を除去するために使用できる。塩素は、他の多くの有機汚染物質の代替として使用される。ブロック物品が塩素に対して機能する場合、NSF42にリストされているクロロアミン、発泡剤、硫化水素、クロロホルムなどの他の汚染物質に対しても機能することが期待される。
【0074】
例示的な用途のリスト及び本明細書の記載に基づいて、当業者は、本発明の複合物品の他の多種多様な用途を想像することができる。
【実施例】
【0075】
例1:外径1.5インチ、内径0.5インチ、及びおよそ長さ2±0.1インチの濾過ブロックを圧縮成形によって調製した。ブロックは、オーブン内のプロセス温度(以下の表に記載)で25~30分間、予熱した金型内で処理した。ブロックは、以下に挙げる8~25重量%(重量パーセント)のバインダー、8重量%のゼオライトを使用して調製され、残りはJacobi Aquasorb CX活性炭80×325メッシュであった。
【0076】
【0077】
小さな粒子の保持力(微粒子保持力)は、約4barのタップ圧力でブロックを通して脱イオン水(ブロックの全長を通ってブロックの外側から内側に流れる水)を濾過することによって測定された。最初の6リットルの濾過では、一度に1リットルずつ水を集めた。濾過した水を集め、0.5リットルのガラス瓶を通る透過率を測定した。脱イオン水を入れたジャーの透過率は86%であった。ブロック強度(破壊強度)は、毎分0.05インチのクロスヘッド速度を使用する上記の圧縮試験を使用して、Instron4201汎用試験フレーム上で測定した。フィルターを通過する流量は流量計を使用して測定され、圧力は上でも説明したダーシーの法則に従って透過率を計算するために前後に監視された。以下の表に示すように、PA-1及びPA-2バインダーを使用したカーボンフィルターは、より優れた破壊強度、透過性、及び微細保持を示す。ただし、サイズが大きく粒度分布が広いPA-3バインダーは、PA-1及びPA-2に比べて微細保持力が低く、流速が低くなる。
【0078】
PA-1=粒径5がミクロン、粒度分布(PSD)が2.5~10ミクロン、BET比表面積(SSA)が9m2/g表面積、粘度が123000cpoiseであるポリアミド。
【0079】
PA-2=粒径が10ミクロン、PSDが5~20ミクロン、BET SSAが20m2/gmのポリアミド
【0080】
PA-3=平均粒径が25ミクロン、PSDが2~30ミクロン(広いPSD)、BET SSAが1m2/gm未満の粉砕ポリアミド粉末
【0081】
GUR(登録商標)2122は、CelaneseからのUHMWPEである。
【0082】
FN510は、LyondellBasellからのLLDPEである。
【0083】
【0084】
同等のロードレベルでの各ブロック密度について、PA-1及びPA-2は他のバインダーよりも優れた性能を発揮した。所定の密度と充填量では、ポリアミド(PA-1及びPA-2)ブロックの破壊と透過性の両方が比較ブロックよりもかなり高くなる。
【0085】
ポリアミドバインダーの中でも、サイズが小さく粒度分布が狭いバインダーであるPA-1及びPA-2を使用したブロックは、より高い流速と改善された微粒子保持力が測定される。
【0086】
微粒子保持特性はバインダー粒子が小さいほど良好であるが、粉末粒子の形成方法にも影響される。粉砕された粉末は、同等の粒径(50ミクロン未満)ではパフォーマンスが低下する。
【0087】
例2:外径1.5インチ、内径0.5インチ、及びおよそ長さ2±0.1インチの濾過ブロックを圧縮成形によって調製した。ブロックを、予熱した金型内で、オーブン内の処理温度(実施例1の表に記載)で25~30分間処理した。ブロックは、8、12、又は25重量%のバインダー(前述のとおり)を使用して調製され、残りはJacobi Aquasorb CX活性炭80×325メッシュであった。ブロックは、流入水中の塩素が2ppmで、0.5gpmの流量及び50:50のオン:オフサイクルを使用して、NSF42プロトコルに従って水からの塩素除去についてテストされた。
【国際調査報告】