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特表2024-539086内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネント、そのためのキット及び器具、並びに使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネント、そのためのキット及び器具、並びに使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523398
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022079430
(87)【国際公開番号】W WO2023091863
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/264,332
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/053,196
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522226683
【氏名又は名称】マイクロポート オーソペディックス ホールディングス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ブライアン、アール.、ジュニア
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC13
4C097DD01
4C097DD06
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE02
4C097SC07
(57)【要約】
本開示は、脛骨ベースプレート(45)と、脛骨ベースプレートの下面(41)から延在するキール(43)と、を備える、内部プロテーゼ膝インプラントのための脛骨コンポーネントに関する。脛骨ベースプレートは、キールに対してキール後方角度(Θ)で配置され、脛骨ベースプレートはまた、キールに対してキール内反角度(δ)で配置される。本開示は、モジュール型キールの実施形態、例示的な脛骨コンポーネントを近位脛骨の中及びその上に埋め込むために使用することができる例示的な器具、それに関連する方法、及びそのためのキットを更に説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントであって、
脛骨ベースプレートと、
前記脛骨ベースプレートの下面から延在するキールと、を備え、
キール長手方向軸線は、前記キールを通って軸線方向に延在し、
前記脛骨ベースプレートは、前記キール長手方向軸線に対してキール後方角度で配置され、
前記脛骨ベースプレートは、前記キール長手方向軸線に対してキール内反角度で配置される、脛骨コンポーネント。
【請求項2】
前記キール後方角度は、90度未満であり、約75度以上である、請求項1に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項3】
前記キール内反角度は、90度未満であり、約83度以上である、請求項1又は2に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項4】
遠位ステム延在部は、前記キールに取り外し可能に係合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項5】
前記キールはモジュール型キールであり、前記モジュール型キールは前記脛骨ベースプレートに取り外し可能に係合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項6】
前記脛骨コンポーネントが設置された構成で配置されるとき、前記キール長手方向軸線は、矢状面及び冠状面の両方で脛骨の長手方向軸線と位置合わせされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項7】
脛骨コンポーネントであって、
上面と、下面と、後方側から遠位に配置された前方側と、外側から遠位に配置された内側と、を有する脛骨ベースプレートであって、
前記前方側と前記後方側とを接続する第1の線は、前方-後方線を画定し、
前記内側を前記外側に接続する第2の線は、内側-外側線を画定し、
前記前方-後方線は、脛骨ベースプレート面上で前記内側-外側線に対して垂直に配置される、脛骨ベースプレートと、
前記脛骨ベースプレートの前記下面から下降するキールと、を備え、
前記脛骨ベースプレートの前記前方-後方線は、前記脛骨コンポーネントと交差する横断面に対して後方傾斜で配置され、
前記脛骨ベースプレートの前記内側-外側線は、前記脛骨コンポーネントと交差する前記横断面に対して内反傾斜で配置される、脛骨コンポーネント。
【請求項8】
前記後方傾斜は、0度超であり、約15度以下である、請求項7に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項9】
前記内反傾斜は、0度超であり、約7度以上である、請求項7又は8に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項10】
遠位ステム延在部は、前記キールに取り外し可能に係合されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項11】
前記キールは、前記脛骨ベースプレートに取り外し可能に係合されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項12】
キール長手方向軸線は前記キールの高さに沿って延在し、前記キール長手方向軸線は、前記脛骨コンポーネントが設置された構成にあるとき、脛骨の長手方向軸線と位置合わせされる、請求項7~11のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項13】
前記脛骨ベースプレート面は、前記前方-後方線及び前記内側-外側線に平行である、請求項7~12のいずれか一項に記載の脛骨コンポーネント。
【請求項14】
モジュール型キールであって、
キール本体と、
キール近位端部と、を備え、
キール長手方向軸線は、前記キール本体を通って軸線方向に延在し、
前記キール近位端部は、前記キール長手方向軸線に対してキール後方角度で配置され、
前記キール近位端部は、前記キール長手方向軸線に対してキール内反角度で配置される、モジュール型キール。
【請求項15】
前記キール本体から横方向に延在するフィンを更に備える、請求項14に記載のモジュール型キール。
【請求項16】
前記キール近位端部に受容部を更に備え、前記受容部は、脛骨ベースプレートの下方端部から延在する相補的な突起部に選択的に固定係合するように構成されている、請求項14又は15に記載のモジュール型キール。
【請求項17】
前記キール近位端部に突起部を更に備え、前記突起部は、脛骨ベースプレートによって画定される相補的な受容部に選択的に係合するように構成されている、請求項14~16のいずれか一項に記載のモジュール型キール。
【請求項18】
器具アセンブリであって、
キールパンチであって、本体に沿ってパンチ遠位端部から遠位に配置されたパンチ近位端部を有するキールパンチであって、
前記パンチ近位端部は、前記キールパンチの高さ寸法に沿って延在するキール長手方向軸線に対してキール後方角度で配置され、
前記パンチ近位端部は、前記キールパンチの前記高さ寸法に沿って延在する前記キール長手方向軸線に対してキール内反角度で配置される、キールパンチと、
前記キールパンチを密接に収容するように構成されたパンチガイドであって、前記パンチガイドは、ガイド本体に沿ってガイド近位端部から遠位に配置されたガイド遠位端部を有し、
前記ガイド遠位端部は、前記パンチガイドの高さ寸法に沿って延在するガイド長手方向軸線に対してガイド後方角度で配置され、
前記ガイド遠位端部は、前記パンチガイドの前記高さ寸法に沿って延在するガイド長手方向軸線に対してガイド内反角度で配置される、パンチガイドと、を備える、器具アセンブリ。
【請求項19】
試験的脛骨ベースプレートを更に備え、前記ガイド遠位端部は、前記試験的脛骨ベースプレートの穴を通って延在するように構成されたスパイクを更に備える、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記パンチガイドの前記ガイド本体の内壁によって画定される貫通チャネルを通って前記ガイド近位端部から前記ガイド遠位端部まで延在する、リーマを更に備える、請求項18又は19に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2021年11月19日に出願された米国仮特許出願第63/264,332号及び2022年11月7日に出願された米国特許出願第18/053,196号に対する優先権の利益を主張する。これらの関連出願の開示は、それらの全体が本開示に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、全般的には、膝インプラントの分野に関し、特に、運動学的アラインメント、解剖学的アラインメント、及びその移植方法に適合した内部プロテーゼ膝インプラントのための脛骨コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
膝関節形成術は、整形外科医が、重度の疾患を罹患した膝関節の部分を、関節機能を修復し痛みを軽減することを意図した人工の内部プロテーゼインプラントで置換する処置である。処置自体は、概して、外科医が、曲げられた膝(すなわち、屈曲状態の膝)に垂直正中前方切開を行うことからなる。次いで、外科医は、続けて組織を切開して関節包にアクセスする。穿孔されると、膝蓋骨は引っ込められ、大腿骨の遠位顆、軟骨性半月板、及び近位脛骨プラトーが露出される。
【0004】
次いで、外科医は、軟骨性半月板を取り外し、器具類を使用し、内部プロテーゼ膝インプラントを適合させるために遠位大腿骨及び近位脛骨を測定及び切除し得る。内部プロテーゼ膝インプラントは、概して、3つの主要コンポーネント、すなわち、大腿骨コンポーネントと、脛骨コンポーネントと、設置された大腿骨コンポーネントと脛骨コンポーネントとの間に配置される半月板インサートコンポーネントと、を備える。
【0005】
切除自体は、罹患骨の領域を除去することが多い。これらの切除はまた、必然的に、関連するインプラントコンポーネントの相補的な形状をより良く適合させるために、残りの遠位大腿骨及び近位脛骨の外形を修正する。すなわち、切除された遠位大腿骨は、最終的に、相補的な大腿骨コンポーネントに嵌合する。同様に、切除された近位脛骨は、最終的に相補的な脛骨コンポーネントを支持する。
【0006】
内部プロテーゼインプラントの脛骨コンポーネントは、通常、脛骨ベースプレートの下面から下方に垂直に下降する一体型キールを含む。切除された近位脛骨上に設置されると、キールは、脛骨の髄内管の孔の中に延在する。設置された脛骨コンポーネントのキールは、冠状面に配置されていると考えることができ、脛骨ベースプレートの下面に対して垂直に配向される。
【0007】
膝関節形成術の分野において、遠位大腿骨顆及び近位脛骨の切除が行われるべき角度に関するいくつかの思想が存在する。切除の角度は、インプラントコンポーネントが関節内にどのように位置することになるかをほぼ決定し、人工関節が経時的にどのように機能することになるかに影響を及ぼし得る。
【0008】
思想の1つは、解剖学的アラインメント方法である。解剖学的アラインメント方法では、外科医は、脛骨を内反3度で切除する。これが、本来の関節線の平均角度であると考えられているためである。更に、大腿骨切除及び靭帯解放は、肢の真っ直ぐな股関節-膝関節-足首軸線を維持するために行われる。
【0009】
別の思想は、機械的アライメント方法である。機械的アラインメントにおける優先事項は、脛骨幹の長さ又は軸線に対して垂直に(すなわち、身体横断面に並行に)脛骨を切除することである。機械的に切除された脛骨プラトーは、0度の内反傾斜(varus tilt)を有する。次いで、遠位大腿骨は、切除された脛骨の0度の内反傾斜を考慮して調節され、任意の必要な靭帯解放は、真っ直ぐな股関節-膝関節-足首軸線を維持するために行われる。
【0010】
対照的に、運動学的アラインメント方法では、外科医は、手術前及び手術中の両方で外科医に利用可能にされたデータに基づいて、患者の特定の自然な罹患前の関節線を復元しようとする。ほとんどの運動学的アラインメント技法は、遠位大腿骨を参照することから始まり、概して、脛骨切除の傾斜を、膝が伸展しているときに遠位大腿骨切除に平行になるように、かつ膝が屈曲しているときに大腿骨顆の後方切除に平行になるように調節する。
【0011】
従来の脛骨コンポーネントの有用性は、近位脛骨がある角度で切除されるとき、著しく制限され得る。平均して、単一脛骨コンポーネントは、約35ミリメートル(「mm」)~約65mmの範囲の長さを有するキールを有してもよい。脛骨ベースプレートが、切除された脛骨上にある角度で配置されるとき、キールは、同様に、手術された脛骨の長手方向軸線に対してある角度で配置される。脛骨切除の角度が大きすぎる場合、又はキールが長すぎる場合、キールは、脛骨の内側又は外側の内側皮質壁に当接する。極端な場合には、内側皮質壁に対するキールの繰り返される圧力は、皮質(すなわち、骨の緻密で、一般的に非海綿状の外壁)を弱めるか、又は貫通する可能性がある。
【0012】
キールを過度に短くすることは、通常不可能である。短縮されたキールは、通常の使用中に膝から脛骨への力の伝達が無効になる危険性がある。これにより、脛骨コンポーネントが通常の活動中に外れ得る危険性が増大する。
【0013】
キールを内側皮質壁に当接させる問題は、再置換又は外傷の場合において特に顕著である。このような場合、外科医は、通常、近位脛骨を更に切除し、健康な骨を露出させる。なお、再置換の場合、先に設置されたインプラントは、通常、頸骨にセメント接合される。外科医は、下にある骨を切除することによって、先に設置されたインプラントを除去する。結果として、以前に設置されたインプラントを除去した後に外科医が作業するために利用可能な健康な骨が少なくなることが多い。外傷の場合、複雑骨折は、再建を容易にするために、複雑骨折領域の下の脛骨を切除することを推奨する場合がある。しかしながら、脛骨は、遠位方向に先細りになっている。これにより、髄内管(特に骨幹端及び骨幹)及び当接する内側皮質壁が狭くなる。簡単に言えば、利用可能な脛骨コンポーネントでは、外科医が近位脛骨を切除する量が多いほど、外科医が脛骨の切除角度を設定する余地が少なくなる。角度が急すぎる場合、脛骨コンポーネントのキールは、脛骨皮質に当接するか、又は脛骨皮質を貫通する。
【0014】
この問題を回避するために、外科医は、0度の内反で脛骨を切除することを選択し、機械的アライメント処置を進めることができる。機械的アラインメント技術は、患者の脚が伸展しているとき(例えば、患者が立っているとき)に良好な安定性を提供することができるが、この技術と共に一般的に使用されるインプラントは、多くの場合、前十字靭帯(「ACL」)の解放を必要とする。ある状況では、後十字靭帯(posterior cruciate ligament「PCL」)も解放され得る。ACLは、通常、脛骨が前方に過度に摺動すること及び大腿骨に対して過度に回転することを防止する。これらの靭帯のいずれかが存在しないと、脚部が屈曲状態にあるときに、脆弱性の感覚をもたらす可能性がある。更に、患者の自然な関節線の位置を変えることは、不快感をもたらす可能性がある。新しい関節線に合わせて歩行を変える患者は、残りの筋肉に慢性的にストレスを与える可能性があり、このことが、不快感を更に悪化させ、将来、更なる筋骨格問題の一因となる可能性がある。
【発明の概要】
【0015】
近位脛骨が横断面に対してある角度で切除される状況における、内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントの可動域が制限されるという問題は、脛骨ベースプレートと、脛骨ベースプレートの下面から延在するキールと、を備える内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントによって軽減され、キール軸線はキールを通って軸線方向に延在し、脛骨ベースプレートはキール軸線に対してキール後方角度で配置され、脛骨ベースプレートはキール軸線に対してキール内反角度で配置される。
【0016】
これらの状況及び他の状況では、固有の内反傾斜(すなわち、キール内反角度)及び固有の後方傾斜(すなわち、キール後方角度)を提供するように構成された内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントを有することは有利である。
【0017】
したがって、本明細書に記載される特性及び特徴を有する運動学的及び/又は解剖学的膝関節形成術に適合した、内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントを有することは、独特かつ有利であろう。
【0018】
本開示による特定の例示的な実施形態は、運動学的又は解剖学的膝関節形成処置における使用に特に適合した、内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントを提供し得ることが企図される。
【0019】
更に、本開示による特定の例示的な実施形態は、運動学的又は解剖学的膝関節形成処置における使用に特に適合した、内部プロテーゼ膝インプラントの例示的な脛骨コンポーネントを外科的に設置するための例示的な器具を含むことができることが企図される。
【0020】
また更に、本開示による特定の例示的な実施形態は、例示的な脛骨コンポーネント、そのための例示的な器具、又はこれらの組み合わせを備えるキットを含むことができることが企図される。
【0021】
また更に、例示的な脛骨コンポーネント、そのための器具、及びそのキットは、再置換処置及び一次処置、並びに一次処置のうち、特にステム付き一次処置において有用であり得ることが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上記は、添付の図面に例解されるように、本開示の例示的な実施形態についての、以下に示すより具体的な説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに開示される実施形態を例解することに重点が置かれている。
図1A】内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントの例示的な実施形態の側面図であり、キールに対して内反傾斜及び後方傾斜を有する基部を備える、右膝一体型脛骨コンポーネントを特徴とする。
図1B図1Aの例示的な脛骨コンポーネントの上面図である。
図1C図1Aの例示的な脛骨コンポーネントの正面図である。
図2A】内部プロテーゼ膝インプラントの左側脛骨コンポーネントの例示的な実施形態の上面図であり、キールに対して内反傾斜及び後方傾斜を有する基部を備える、左膝一体型脛骨コンポーネントを特徴とする。
図2B図2Aの例示的な脛骨コンポーネントの正面図であり、切除された脛骨上及びその中に移植された状態が示されている。切除された脛骨は、断面図で示されている。
図2C図2Aの例示的な脛骨コンポーネントの側面図であり、切除された脛骨上及びその中に移植された状態が示されている。切除された脛骨は、断面図で示されている。
図3A】内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントの例示的な実施形態の側面図であり、横断面に対して内反傾斜及び後方傾斜を有するベースプレートを備える、右膝モジュール型脛骨コンポーネントを特徴とする。
図3B図3Aの例示的な脛骨コンポーネントの上面図である。
図3C図3Aの例示的な脛骨コンポーネントの正面図である。
図4A】内部プロテーゼ膝インプラントの脛骨コンポーネントの例示的な実施形態の上面図であり、横断面に対して内反傾斜及び後方傾斜を有するベースプレートを備える、左膝モジュール型脛骨コンポーネントを特徴とする。
図4B図4Aの例示的な脛骨コンポーネントの正面図であり、切除された脛骨上及びその中に移植された状態が示されている。切除された脛骨は、断面図で示されている。
図4C図4Aの例示的な脛骨コンポーネントの側面図であり、切除された脛骨上に移植された状態が示されている。切除された脛骨は、断面図で示されている。
図5】横断面、冠状面、及び矢状面を示すために使用される、ヒトの斜視図である。
図6】切除された遠位大腿骨及び切除された近位脛骨に設置された、例示的な内部プロテーゼ膝インプラントを示す。
図7A】組み立てられていない構成における、右膝用のモジュール型キールの正面図である。
図7B図7Aのモジュール型右側キールの上面図である。
図7C】組み立てられていない構成における、左膝用のモジュール型キールの正面図である。
図7D図7Cのモジュール型左側キールの上面図である。
図7E】組み立てられていない構成における、モジュール型キールの側面図である。
図7F】組み立てられていない構成における、モジュール型キールの別の側面図である。
図8A】例示的なモジュール型キール及びモジュール型ベースプレートの拡大正面図である。
図8B】例示的なモジュール型キール及びモジュール型ベースプレートの拡大側面図である。
図9】試験的ベースプレートの上方に配置された(すなわち、組み立てられていない構成における)例示的なキールパンチ及びパンチガイドの拡大上面斜視図である。
図10A図10Dの例示的アセンブリの上面図である。
図10B】線B-Bに沿った、図10Aのアセンブリの断面図である。
図10C】線A-Aに沿った、図10Aのアセンブリの断面図である。
図10D】試験的ベースプレートに係合するキールパンチ及びパンチガイドを備える、例示的アセンブリ(すなわち、組み立てられた構成における図9のコンポーネント)の前面図である。
図11A】対称脛骨ベースプレートを備える、例示的な脛骨コンポーネントの上面図である。
図11B】キール長手方向軸線が、図11Aの脛骨ベースプレートを二等分する前後面からオフセットされている、例示的な脛骨コンポーネントの前面図である。
図11C図11Bの例示的な脛骨コンポーネントの内側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、理解を助ける例解目的でのみ提示されており、網羅的であること、又は本発明の範囲及び趣旨を限定することを意図するものではない。実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を最良に説明するために選択及び記載されている。当業者は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明に多くの変形がなされ得ることを認識するであろう。
【0024】
特に明記しない限り、同様又は同じの参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。図面は、本開示による様々な特徴及び構成要素の実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、特定の特徴は、本開示の実施形態をより良好に例解するために誇張されている場合があり、そのような例示は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0025】
本明細書で別途明示的に述べられたものを除いて、以下の解釈の規則が本明細書に適用される。(a)本明細書で使用されるすべての語は、かかる状況で必要とされるかかる性別又は数(単数又は複数)であると解釈されるものとする。(b)本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形の参照を含む。(c)列挙された範囲又は値に適用される先行詞「約」は、当技術分野において既知の、又は測定から予想される範囲又は値の偏差を有する近似値を示す。(d)特に明記しない限り、「本明細書に(herein、hereby、hereto)」、「前述の(hereinbefore)」、及び「後述の(hereinafter)」という語、及び類似する意味の語は、何らかの特定の段落、請求項、又は他の細目を指すのではなく、本明細書全体を指すものである。(e)説明見出しはあくまでも便宜上のものであり、本明細書の一部の構成の意味を制御するものでも影響を与えるものでもない。(f)「又は」及び「任意の」は排他的ではなく、「含む(include、including)」は限定的ではない。更に、「備える、含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「収容する、含む(containing)」は、制限のない用語(すなわち、「...を含むがこれに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。
【0026】
本明細書における「一実施形態(one embodimet、an embodiment)」、「例示的な実施形態」、などの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含み得るものではないことを示している。更に、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性が記載される場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことは当業者の知識の範囲内であることが示唆される。
【0027】
記述的な支持を提供するのに必要な範囲で、添付の特許請求の範囲の主題及び/又はテキストは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別途明確に示されない限り、その間の任意の部分範囲の範囲内にあるそれぞれの別個の値を個々に参照する簡単な方法としての役割を果たすことを単に意図する。列挙された範囲内のそれぞれの別個の値は、それぞれの別個の値が本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書又は特許請求の範囲に組み込まれる。特定の範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1以下までのそれぞれの介在値と、その部分範囲の記載された範囲内の任意の他の記載値又は介在値とは、文脈が別段明確に指示しない限り、本明細書に含まれることが理解される。すべての部分範囲も含まれる。これらのより小さい範囲の上限及び下限も、記載された範囲内の任意の具体的かつ明示的に除外された制限に従うことを条件として、そこに含まれる。
【0029】
本明細書で使用される用語のいくつかは相対的な用語であることに留意されたい。例えば、「上部」及び「下部」という用語は、場所的に互いに相対的であり、すなわち、上部構成要素は、それぞれの配向で下部構成要素よりも高位に位置するが、これらの用語は、配向が反転される場合に変わり得る。
【0030】
「水平」及び「垂直」という用語は、絶対基準、すなわち、地表レベルに対する方向を示すために使用される。しかしながら、これらの用語は、互いに絶対的に平行又は絶対的に垂直である構造を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、第1の垂直構造及び第2の垂直構造は、必ずしも互いに平行ではない。
【0031】
本開示を通して、「遠位」、「近位」、「内側」、「外側」、「前方」、及び「後方」などの様々な位置用語は、人体解剖学的構造を指すときに慣習的な方法で使用される。より具体的には、「遠位」は、本体への取り付け点から離れた領域を指し、「近位」は、本体への取り付け点近くの領域を指す。例えば、遠位大腿骨は、脛骨の近くの大腿骨の部分を指し、近位大腿骨は、股関節の近くの大腿骨の部分を指す。「内側」及び「外側」という用語も本質的に反対である。「内側」は、本体の中央寄りに配置されるものを指す。「外側」は、あるものが、本体の中央よりも本体の右側寄り又は左側寄りに配置されることを意味する。「前方」及び「後方」に関して、「前方」は、本体の正面寄りに配置されたものを指す一方、「後方」は、本体の背面寄りに配置されたものを指す。
【0032】
しかしながら、本明細書に記載される例示的な内部プロテーゼインプラント又は器具の任意のコンポーネント(例えば、例示的な脛骨コンポーネント)に言及する場合、特に、そのようなコンポーネントが設置されていない又は組み立てられていない構成である場合、「遠位」、「近位」、「内側」、「外側」、「前方」及び「後方」などの様々な位置に関する用語は、添付の図面に示される関連する位置を指し、空間のコンポーネントの配向に対して変化しない絶対的な用語である。例えば、モジュール型キールの「近位端部」は、基準(例えば、ヒト又は地球の表面)に対するそのような「近位端部」の配向にかかわらず、添付の図面に示される端部を指す。
【0033】
「内反」及び「外反」は広義の用語であり、限定するものではないが、膝関節に対する内側方向及び/又は外側方向の回転運動を含む。
【0034】
「大腿骨の機械軸線」という語句は、大腿骨頭の中心から膝における遠位大腿骨の中心まで引かれた想像線を指す。
【0035】
「脛骨の機械軸線」という語句は、近位脛骨の中心からくるぶしの真上にある遠位脛骨の中心まで引かれた想像線を指す。
【0036】
「解剖学的軸線」という用語は、使用に応じて、大腿骨幹又は脛骨幹の中央を縦に引いた想像線を指す。脛骨の機械軸線及び脛骨の解剖学的軸線は、一般に、同一直線上にあると考えられる。
【0037】
図6を参照すると、例示的な内部プロテーゼ膝インプラント1は、大腿骨10の切除された遠位端部12及び脛骨20の切除された近位端部13に設置されて示されている。特に明記しない限り、「内部プロテーゼ膝インプラント」は、図6に示すものなどの試験的インプラント、又は患者に外科的に埋め込まれ、長期間にわたって人工関節として使用されるように設計された実際の内部プロテーゼ膝インプラントのいずれかを指すことができる。内部プロテーゼ膝インプラント1は、一般に、大腿骨10の切除された遠位端部12に係合されるように構成された大腿骨コンポーネント30と、脛骨20の切除された近位端部13に係合されるように構成された脛骨コンポーネント40と、患者に設置されたときに大腿骨コンポーネント30と脛骨コンポーネント40との間に配置される半月板インサート50と、を備える。
【0038】
典型的な再置換膝関節形成術を開始するために、外科医は、手術する膝の前方側に垂直正中切開を行う。切開は、一般に、脛骨粗面で又は脛骨粗面より下において屈曲状態の膝で行われ、かつ膝蓋骨より上に数インチ延びてもよい。
【0039】
一次膝関節形成術において、次いで、外科医は、続けて脂肪組織を切開し、関節包の前面を露出させる。次いで、外科医は、内側膝蓋関節切開術を実行し、関節包に穿孔し、内側膝蓋支帯を切除し得る。次いで、通常、開創器を使用し、一般的に、膝蓋骨を外側に移動して、大腿骨の遠位顆及び近位脛骨プラトー上に静止している軟骨性半月板を露出させる。次いで、外科医は、半月板を取り外し、器具類を使用して、試験的インプラントを適合させるために遠位大腿骨及び近位脛骨を測定及び切除する。試験的インプラントは、実際の内部プロテーゼの同じ機能的寸法を一般的に有する試験用の内部プロテーゼであるが、試験的インプラントは、実際の内部プロテーゼの適合を評価する目的で、及び膝関節を運動学に評価する目的で、一時的に付け外しされるように設計されている。外科医は、試験的インプラントのサイジング及び膝関節の運動学に満足すると、試験的インプラントを取り外し、実際のインプラントを設置する。
【0040】
測定及び設置方法は、異なる。外科医は、一般的に、好み、患者の解剖学的構造、手術関節の状態、及び利用可能な器具に従って、機械的アライメント、解剖学的アライメント、又は運動学的アライメント技術を実行する。
【0041】
運動学的アラインメント技術を強調するために、例として、外科医は、Steensenらに対する米国特許第11,246,603号に説明するように進めてもよい。運動学的アラインメントの原理は、外科医が器具類及びインプラントを使用し、患者の罹患前の自然な関節線を確認し、修復することである。米国特許第11,246,603号に記載されている器具は、運動学的技術において遭遇するいくつかの問題を解決しており、例えば、現在の関節面又は自然な関節面の角度を、大腿骨及び脛骨の両方で測定すること、測定された骨切除量が、大腿骨及び脛骨の両方で関節面をその罹患前レベルに修復するように、摩耗係数を使用すること、外科医が、大腿骨及び脛骨の両方の関節面の内側面及び外側面から特定の量の骨を切除すること、外科医が、切除の角度を可視化すること、切除角度が、特定の増分ではなく、無限に変動すること(大腿骨及び脛骨の両方で許容可能な範囲内で)、外科医が、必要に応じて、角度を選択的にロックすること、及び、外科医が、内側及び外側大腿骨顆又は内側及び外側脛骨半プラトーの切除を測定すること、を可能にする。
【0042】
遠位切除工程を要約すると、外科医は、大腿骨の遠位顆の軟骨摩耗の量を確認し、露出した遠位大腿骨に可動切除ガイド器具を取り付け、測定した関節軟骨の損失及びインプラントのサイズを考慮して切除ガイド器具を調整することができる。例えば、インプラントのサイズが10mmであり、外科医が内側遠位大腿顆の欠損軟骨を2mm及び外側大腿顆の欠損軟骨を1mmと測定する場合、外科医は、内側顆の8mmの骨及び外側顆の9mmの骨を切除するために切除スロットを位置付けるように切除ガイド器具を調整することができる。次いで、外科医は、切除スロットを通して鋸又は他の切断器具を挿入し、所望の角度及び位置で遠位切除面5を作成する。
【0043】
この角度で遠位大腿骨を切除することによって、外科医は、膝が伸展しているとき、患者の罹患前の自然な関節線の角度と一致する角度で、大腿骨コンポーネントのための第1の嵌合面を作成する(すなわち、図6に示されるように)。それにより、内側の8mmの切除に2mmの測定した軟骨損失を加えたものが、内側Mで10mmの内部プロテーゼインプラント1を収容するようにサイズ決めされる。同様に、それにより、外側の9mmの切除に1mmの測定した軟骨損失を加えたものが、外側Lで10mmの内部プロテーゼインプラント1を収容するようにサイズ決めされる。
【0044】
次いで、外科医は、膝を屈曲させて(すなわち、膝を曲げて)配置し、測定及び切除プロセスを繰り返して、後方切除面3を作成し得る。
【0045】
遠位切除面5及び場合によっては後方切除面3を作成した後、外科医は、遠位切除面5上に4つ一体の切断ブロック(又は別個の切除ガイド)を配置し、事前に作成されていない場合は面取り切除面8a、8b、前方切除面2、及び後方切除面3を作成することができる。大腿骨コンポーネント30は、大腿骨コンポーネント30が図6に示されるような設置された構成で配置されるとき、それぞれの切除面5、8a、8b、2及び3に対して配置される相補的な面を有する。
【0046】
大腿骨コンポーネント30のそれぞれの切除面5、8a、8b、2及び3並びに相補的な嵌合面の存在は、大腿骨コンポーネント30が大腿骨10の切除された遠位端部12に「係合されるように構成される」主要な手段であることを理解されたい。更に、大腿骨コンポーネント30の係合側は、大腿骨10の切除された遠位端部12への大腿骨コンポーネント30の係合を更に容易にするために、切除面5、8a、8b、2及び3のいずれか1つに挿入されるように設計された1つ以上の突起部(例えば、スパイク)を更に備え得ることを理解されたい。更なる例として、圧入大腿骨コンポーネントは、通常、係合側に多孔質粗面を有する。多孔質面は、時間の経過と共に、骨がこれらの注入物に再成長するのを可能にする。
【0047】
外科医はまた、生体適合性「骨セメント」を塗布し、大腿骨10の切除された遠位端部12に大腿骨コンポーネント30を固定するのを助けることができる。「骨セメント」は、骨セメント自体は一般に接着特性を有さないが、整形外科産業の人々によって使用される専門用語であることを理解されたい。骨セメントは、一般に、骨の不規則な表面と内部プロテーゼの接続側の表面との間の密接な機械的連結に依存する。骨セメントは、使用目的に応じて抗生物質を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。一般的な骨セメントとしては、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)、リン酸カルシウムセメント(「CPC」)、及びグラスポリアルケノエートアイオノマーセメント(「GPIC」)が挙げられる。存在する場合、したがって、大腿骨10の遠位端部12への大腿骨コンポーネント30の係合を更に容易にするための突起部、多孔質粗面、及び/又は「骨セメント」の使用はまた、「大腿骨10の切除された遠位端部12に係合されるように構成された大腿骨コンポーネント30」という用語の範囲内に含まれ得ることを理解されたい。骨セメントは、いったん硬化すると除去することが困難である。骨セメントの存在は、再置換処置で支持骨を切除する必要性を高める重要な要因である。
【0048】
脛骨20の切除された近位端部13の作成は、大腿骨10が切除される前又は後に完了され得る。切断ガイドは、通常、脛骨20の前方面上に配置され、外科医は、選択された膝アラインメント方法(例えば、解剖学的、機械的又は運動学的)に応じて、切除の内反角度及び外反角度、並びに任意選択で切除の後方傾斜を調整することができる。切除角度が設定されると、外科医は、脛骨切除ガイド内の切除スロットを通して鋸又は他の切断器具を挿入し、切除された脛骨面23を作成する。例えば、運動学的手術では、脛骨長手方向軸線LA(すなわち、投影ステム軸線)が決定され、脛骨20は、脛骨長手方向軸線LAに対して切除される。脛骨20は、外側Lから内側M側へ下方に傾斜する内反傾斜90-δで、一般的にはキール長手方向軸線KLAに対して約3度で切除される。脛骨は更に、患者の脛骨20の前方側Aから後方側Pへ下方に傾斜する後方傾斜90-θで、一般的にはキール長手方向軸線KLAに対して約3度で切除される。次いで、外科医は、以下で更に説明される例示的なパンチガイド83を使用し、リーマ及び/又はパンチ(73、図9を参照されたい)を、切除された脛骨面23の露出された髄内管の露出された骨端又は骨幹端の中に挿入し、空洞を作成し得る。この空洞は、脛骨コンポーネント40のキール43(図1A)を収容するように望ましくサイズ決めすることができる。
【0049】
次いで、キール43が空洞に挿入され(図2B参照)、外科医は、ベースプレート45の下面41が脛骨20の切除された近位端部13上に(すなわち、切除された脛骨面23上に)載置されるように、脛骨コンポーネント40を所定の位置に打ち込むことができる。このようにして、脛骨コンポーネント40は、脛骨20の切除された近位端部13に「係合されるように構成される」と言うことができる。大腿骨コンポーネントと同様に、ベースプレート45の下面41は、特定の実施形態では、突起部(例えば、スパイク)を備えてもよい。更なる例として、圧入脛骨コンポーネントは、通常、係合側に多孔質粗面を有する。多孔質面は、時間の経過と共に、骨がこれらの注入物に再成長するのを可能にする。特定の用途では、外科医は、切除された脛骨面23とベースプレート45の下面41との間に骨セメントを配置することを選択してもよい。存在する場合、説明するような突起部、多孔質粗面、及び/又は骨セメントの使用は、「脛骨20の切除された近位端部13に係合されるように構成された脛骨コンポーネント40」という言葉の範囲内に含まれ得る。
【0050】
再置換処置(すなわち、外科医が先に設置された内部プロテーゼ膝インプラントを除去して交換する、その後の膝関節形成術)では、外科医は、最初の切開を行った後に膝蓋腱の周りの瘢痕組織を解放することができる。次に、外科医は、膝蓋又は膝蓋インプラントを概ね横方向に移動させ(すなわち、その亜脱臼を予備形成して)、先に設置されたインプラントを露出させることができ、このインプラントは、通常、遠位大腿に設置された大腿コンポーネントと、近位頸骨に設置された頸骨コンポーネントと、大腿コンポーネントと頸骨コンポーネントとの間に配置された半月板インサートと、を有する。次いで、外科医は、先に設置されたインプラントを除去する。
【0051】
先に設置されたインプラントの種類は、場合によって異なり得ることを理解されたい。先に設置されたインプラントは、膝関節を固定するために遠位大腿骨及び近位脛骨内の位置合わせされた髄内孔の中に挿入された静的スペーサー、又は外傷を受けた膝関節の部分を再構築するために使用された複合インプラントを含むことができる。しかしながら、一般的な先に設置されたインプラントは、一次全膝関節形成術もしくは部分膝関節形成術の間に設置されたインプラント、又は以前の再置換インプラントを含む。
【0052】
先に設置されたインプラントの除去は、一般に、骨セメントの下にある骨、又は圧入インプラントの場合には圧入インプラントの下にある骨を切除することを伴う。この切除は、再置換圧入又は骨セメント結合可能インプラントを収容することができる新鮮な骨を露出させる。先に設置されたインプラントを除去するために骨を除去することは、再置換インプラントが新しく切除された骨を置換するようにサイズ決めされていない場合、関節線を移動させるであろう。
【0053】
図2Bは、切除された脛骨20に配置された例示的な脛骨コンポーネント40の前面図である。切除された脛骨20は、断面図で示されている。例示的な脛骨コンポーネント40は、概して、下面41から遠位に配置された上面42と、後方側Pに対して遠位に配置された前方側Aと、を有するベースプレート45を備える(図2A参照)。ベースプレート45は、外側Lから遠位に配置された内側Mを有する。内側-外側線M-Lは、内側Mからベースプレート45を直接横切って(そして、図2Aに示される配向で見たときに水平に)ベースプレート45の外側Lまで延在すると想像することができる。同様に、前方-後方線A-Pは、前方側Aからベースプレート45を直接横切って(そして、図2Aに示される配向で見たときに垂直に)ベースプレート45の後方側Pまで延在すると想像することができる。前方-後方線A-Pは、内側-外側線M-Lに対して垂直である。
【0054】
図示した実施形態では、所与の脛骨20の切除された脛骨面23は完全に対称ではない。更に、左脛骨は、右脛骨に対してキラルである。図示した実施形態では、所与のベースプレート45は、通常、左脛骨又は右脛骨のいずれかのために設計される。所与のベースプレート45の前方側A、後方側P、内側M、及び外側Lは、切除された脛骨面23の外形(すなわち、周囲の長さ)に厳密に近似するようなサイズ及び形状であることが望ましい(図2A参照)。他の例示的な実施形態では、ベースプレート45は対称であり得る。そのような例示的な対称の実施形態は、以下の図7A図8Bを参照して更に説明される、モジュール型キール43と共に使用することができる。そのような例示的な実施形態では、対称ベースプレート45は、左又は右モジュール型キール43と共に組み立てられた構成に配置されると、左又は右脛骨コンポーネント40のサブコンポーネントになり得ることが企図される。他の例示的な実施形態では、対称脛骨ベースプレート及びキール43は、一体型であってもよい。
【0055】
図1A図4Cに示される例示的な実施形態では、キール43は、ベースプレート45の下面41から下方に延在する。キール43は、キール43から外向きに延在する1つ以上のフィン46を備えることができる。
【0056】
一般に、大腿骨コンポーネント30、脛骨コンポーネント40、及び半月板インサート50は、膝の繰り返される通常の使用の応力に耐えるように設計された、任意の生体適合性材料から作製することができる。実際には、大腿骨コンポーネント30及び脛骨コンポーネント40は、コバルト-クロム合金、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニッケル、又はニッケル合金から作製されることが多い。特定の実施形態では、これらのコンポーネント、特に、大腿骨コンポーネント30は、関節面上にセラミックコーティングを有してもよい(又は、外側セラミック層を備えてもよい)。他の実施形態では、大腿骨コンポーネント30全体を、セラミックから作製することができる。更に他の実施形態では、脛骨コンポーネント40全体を、セラミックから作製することができる。半月板インサート50は、通常、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)又はセラミックから作製される。
【0057】
ヒトの解剖学的構造に関して一般的に使用される3つの標準的な解剖学的身体面を示す、図5を参照する。冠状面CP又は前額面は、身体50を腹側部分V及び背側部分Dに分割する、任意の仮想垂直面である。図5は、身体50の正中線MLと交差する冠状面CPを示すが、冠状面CPは、冠状面CPが身体50を腹側部分V及び背側部分Dに分割するという条件で、身体50を通る任意の垂直位置で想像され得ることを理解されたい。矢状面SP又は長手方向面は、身体50を左部分及び右部分に分割する仮想垂直面である。矢状面SPは、正中線MLにおいて身体50と交差するように示されているが、矢状面SPは、正中線から離れて想像され、不均等な右部分及び左部分を示すことができることを理解されたい。横断面TRP又は軸平面は、身体50を上位部分及び下位部分(すなわち、上側部分及び下側部分)に分割する仮想平面である。横断面TRPは、冠状面CP及び矢状面SPの両方に対して垂直である。横断面TRPは、横断面TRPが身体50を上位部分と下位部分とに分割するという条件で、正中線MLに沿った任意の位置で身体50の垂直正中線MLから概して水平に延在すると想像することができる。これらの解剖学的平面への言及は、本開示の例示的な実施形態の特定の部分の関係を説明するために使用される。本明細書に記載される例示的なインプラントは、解剖学的平面に言及するために患者に物理的に埋め込まれる必要はないことを理解されたい。
【0058】
図1A図4Cに示すように、本開示による例示的な実施形態は、一般に、ベースプレート45と、ベースプレート45から下方に延在するキール43と、を有する内部プロテーゼ膝インプラント1の脛骨コンポーネント40を備え、ベースプレート45は、ベースプレート45の長さl及び幅wと同一平面上にあるベースプレート面BPPを画定し、ベースプレート45(したがって、ベースプレート面BPP)は、キール長手方向軸線KLAに対して合成角度で配向され、キール長手方向軸線KLAは、キール43を通って長さ方向に延在し(すなわち、キール43の高さ寸法hに平行であり)、合成角度は、「キール内反角度」δ及び「キール後方角度」θを含むと言うことができる。
【0059】
本開示の目的のために、「キール後方角度」θは、ベースプレート面BPP(図1A及び図3AでBPPで表される)の前方-後方線A-Pとキール長手方向軸線KLAとの間の交点によって画定される鋭角であり、鋭角は、前方側Aよりもキール43の後方側Pの近くに配置される。例示的な実施形態では、キール後方角度θは90度未満であり、好ましくは75度以上である。この提供された範囲内で、87度又は約87度のキール後方角度θが、いくつかの実施形態で望ましくあり得ることが企図される。それは、切除された脛骨面23を3度の後方傾斜(例えば、90-θ)に配向することによって、平均的な患者の本来の罹患前の関節線が部分的に複製され得ると考えられるためである。しかしながら、他の例示的な実施形態では、後方傾斜90-θは、外科医の好み及び患者の自然な解剖学的構造に応じて、0度超~約15度以下であり得る。
【0060】
この文脈における「後方傾斜」は、通常、切除された脛骨面23の前方から後方への配向を指す、専門用語である。「後方傾斜」は、通常、交差横断面TRPに対する切除された脛骨面23の前方-後方線A-Pの角度と考えられる。ベースプレート45の下面41は、望ましくは、切除された脛骨面23上に配置され、設置された構成において切除された脛骨面23に平行に配向されるので、「後方傾斜」はまた、配向にかかわらず、本明細書に記載の例示的な脛骨コンポーネント40のベースプレート45の前方から後方への配向を指すことができる。しかしながら、この関係は、当該ベースプレート45が設置された構成にあるように配向されるときに特に顕著である。図1A及び図3Aは、ベースプレート45の後方側Pで横断面TRPと交差する、ベースプレート45の前方-後方線A-P(ベースプレート平面BPPによって表される)を示すことによって、この概念を図示する。キール後方角度θに対する後方傾斜の関係は、90度からθを引いたものであるので(θはキール後方角度の値である)、キール後方角度θを含む合成角度は、必然的に後方傾斜(90-θ)を含むと言うことができる。
【0061】
本開示の目的のために、「キール内反角度」δは、ベースプレート面BPP(図1C及び図3CではBPPで表す)の内側外側線M-Lとキール長手方向軸線KLAとの交点によって画定される、鋭角として説明することができ、鋭角は、外側Lよりもキール43の内側Mの近くに配置される。例示的な実施形態では、キール内反角度δは90度未満であり、好ましくは83度以上である。この提供された範囲内で、87度又は約87度のキール内反角度δが、特定の実施形態で望ましくあり得ることが企図される。それは、切除された脛骨面23を3度の内反傾斜(例えば、90-δ)に配向することによって、平均的な患者の本来の罹患前の関節線が部分的に複製され得ると考えられるためである。しかしながら、他の例示的な実施形態では、内反傾斜90-δは、外科医の好み及び患者の自然な解剖学的構造に応じて、0度超~約7度以下であり得る。
【0062】
この文脈における「内反傾斜」は、切除された脛骨面23の内側から外側への配向を指す、専門用語である。「内反傾斜」は、通常、交差横断面TRPに対する切除された脛骨面23の内側-外側線M-Lの角度と考えられる。ベースプレート45の下面41は、望ましくは、切除された脛骨面23上に配置され、設置された構成において切除された脛骨面23に平行に配向されるので、「内反傾斜」はまた、配向にかかわらず、本明細書に記載の例示的な脛骨コンポーネント40のベースプレート45の内側から外側への配向を指すことができる。しかしながら、この関係は、当該ベースプレート45が設置された構成にあるように配向されるときに特に顕著である。図1C及び図3Cは、横断面TRPと交差する、ベースプレート45の内側-外側線M-L(ベースプレート面BPPによって表される)を示すことによって、この概念を図示する。キールの内反角度δに対する内反傾斜の関係は、90度からδを引いたものであるので(δはキール内反角度の値である)、キール内反角度δを含む合成角度は、必然的に内反傾斜(90-δ)を含むと言うことができる。
【0063】
このようにして、本明細書に記載される例示的な脛骨コンポーネント40の合成角度はまた、後方傾斜(90-θ)及び内反傾斜(90-δ)を含むと言うことができる。
【0064】
内部プロテーゼ膝インプラント1の例示的な脛骨コンポーネント40は、一体型(すなわち、非モジュール型、単体構造型、単一部品を含む)の実施形態で提供することができる。他の例示的な実施形態では、キール43及びベースプレート45は、以下で記載するようにモジュール型であり得る。
【0065】
図1Aは、設置されていない構成における、内部プロテーゼ膝インプラント1の例示的な脛骨コンポーネントの一実施形態の側面図を示す。図示した実施形態は、一体型又は非モジュール型の右膝脛骨コンポーネント40である。本明細書に記載される例示的な脛骨コンポーネント40は、脛骨コンポーネント40が切除された近位脛骨20上及びその中に配置される設置された構成(例えば、図2B参照)と、脛骨コンポーネント40が切除された近位脛骨20上及びその中に配置されない設置されていない構成(例えば、図1A図1C参照)と、を有することを理解されたい。
【0066】
脛骨コンポーネント40は、ベースプレート45と、ベースプレート45の下面41から下方に延在する一体型キール43と、を含む。キール43は、キール43から外向きに延在する1つ以上のフィン46を備えることができる。フィン46は、通常、脛骨コンポーネント40が設置された構成にあるとき、横断面TRP内に配置される。例示的な実施形態では、フィン46は、ベースプレート面BBPに対して合成角度で配置することができ、合成角度は、本明細書で記載するようにキール後方角度及びキール内反角度を含む。他の例示的な実施形態では、フィン46は、フィン46が機械的に位置合わせされた脛骨コンポーネントのためのものであるように、キール43に対して配向され得る。
【0067】
本明細書に記載の「非モジュール型」又は「一体型」の実施形態は、単一部品として製造された(例えば、鋳造、機械加工、付加製造などによって)脛骨コンポーネント40、及び別個の部品として製造された(例えば、ベースプレート部分45及びキール部分43)が、手術処置のために外科医が利用できるようになったときに容易に取り外せないように互いに固定係合される脛骨コンポーネント40を指すことができることを理解されたい(モジュール型の実施形態については、図7図8を参照)。モジュール型システム及び一体型システムの両方では、キール43は、通常、脛骨コンポーネント40を近位脛骨20上で安定させる際に使用するためのサイズ及び構成である。モジュール型システムでは、キール43の近位端部61は、ベースプレート45に選択的に取り付けられるように構成することができる。非モジュール型又はモジュール型の実施形態のいずれかの例示的な実施形態では、キール43の遠位端部44は、遠位ステム延伸部100に選択的に取り付けられ(図3C参照)、脛骨20内で脛骨コンポーネント40を更に安定させるように構成することができる。
【0068】
特定の例示的な実施形態では、キール43の遠位端部44は、丸みを帯びていることが好ましい。丸みを帯びた遠位端部44は、設置プロセス中に隣接する海綿骨及び骨髄を不必要に削り取る危険性を低減する。他の例示的な実施形態では、キール43の遠位端部44は、実質的に直線、くさび形、丸みを帯びた端部を有するくさび形、円錐形、丸みを帯びた端部を有する円錐形、切頭円錐形、丸みを帯びた端部を有する切頭円錐形、角錐形、丸みを帯びた端部を有する角錐形、切頭角錐形、丸みを帯びた端部を有する切頭角錐形、又はこれらの組み合わせであってもよい。概して凸状の外形を有する形状は、設置プロセス中に海綿骨及び骨髄を不必要に切除する危険性を低減するために、概して好ましい。概して凸状の外形を有するすべての形状は、本開示の範囲内にあるとみなされる。ベースプレートの上面42は、半月板インサート50をベースプレート45に選択的に固定するように構成される。キール43は、それを通って長手方向に延在するキール長手方向軸線KLAを有する(すなわち、キール長手方向軸線KLAは、キール43の高さh寸法に平行に配置される)。従来の脛骨コンポーネント40とは異なり、ベースプレート45は、キール43に対して垂直に配向されず、その代わりに、キール後方角度θ及びキール内反角度δを含む合成角度で配向される。理論に束縛されるものではないが、そのような実施形態は、運動学的又は解剖学的アラインメント手順を支援することができると考えられる。更に、本明細書に記載の例示的な脛骨コンポーネント40の使用は、外科医が、従来の脛骨コンポーネントを使用して不可能であった可能性がある再置換膝関節形成術において、運動学的アラインメント又は解剖学的アラインメント手順を使用することを可能にし得ることが企図される。
【0069】
図1Aの側面図に見られるように、ベースプレート45は、キール長手方向軸線KLSに対して脛骨コンポーネント40の前方側Aから後方側Pへ下向きに傾斜する。ベースプレート面BPPは、ベースプレート45の前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lと同一平面上にあると想像することができる(図1B)(言い換えれば、ベースプレート面BPPは、ベースプレート45の幅w寸法及び長さl寸法と同一平面上にあると想像することができる)。ベースプレート面BPPは、ベースプレート45の前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lと同一平面上にあるので、ベースプレート面BPPは、ベースプレート45のそれぞれの前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lと同一直線上にある、前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lを有するものとして説明することができる。キール長手方向軸線KLAを参照して測定されるとき、キール後方角度θは、ベースプレート面BPPの前方-後方線A-P(図1Aでは、BPPによって表される。)とキール長手方向軸線KLAとの間の交差によって画定される鋭角として説明することができ、鋭角は、前方側Aよりもキール43の後方側Pの近くに配置される。
【0070】
別の言い方をすれば、ベースプレート面BPPの前方-後方線A-P線と横断面TRPとの交点は、後方傾斜(90-θ)を画定する。
【0071】
横断面TRPは、冠状面CP(図5)及び矢状面SP(図5)の両方において、キール43のキール長手方向軸線KLAに対して垂直に配置されると想像することができる。例示的な実施形態では、後方傾斜90-θは、0度超~15度以下、好ましくは1度~10度の間であってもよい。しかしながら、多くの用途では、後方傾斜90-θは、約3度に設定される。
【0072】
図1Bは、例示的な脛骨コンポーネント40の上面図を示す。参照のために、脛骨ベースプレート45の上面42上に係止機構47が示されている。諸実施形態では、係止機構47は、ベースプレート45の前方側Aに、後方側Pに、並びに部分的に外側L及び内側Mに配置され得る、部分的外周縁部52を備えることができる。これらの係止機構はまた、半月板インサート50内の相補的なキー締め要素54(図6)内に挿入され得る(又は、構成に応じて収容し得る)キー締め要素53を備えることができる。このようにして、半月板インサート50が脛骨ベースプレート45の上面42上に設置されるとき、これらの係止機構47は、半月板インサート50上の相補的な係止機構(54参照)と嵌合する。したがって、ベースプレート45の上面42は、半月板インサート50をベースプレート45に「選択的に固定するように構成される」と言うことができる。
【0073】
図1Cは、脛骨コンポーネント40の正面図(すなわち、A-P図)である。図1Cがより明確に示すように、脛骨ベースプレート45は、キール長手方向軸線KLAに対して脛骨コンポーネント40の外側Lから内側Mへ下向きに傾斜する。ベースプレート面BPPは、ベースプレート45の前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lと同一平面上にあるので、ベースプレート面BPPは、ベースプレート45のそれぞれの前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lと同一直線上にある、前方-後方線A-P及び内側-外側線M-Lを有するものとして説明することができる。キール長手方向軸線KLAを参照して測定されるとき、キール内反角度δは、ベースプレート面BPPの内側-外側線M-L(図1Cでは、BPPによって表される)とキール長手方向軸線KLAとの間の交差によって画定される鋭角として説明することができ、鋭角は、外側Lよりもキール43の内側Mの近くに配置される。
【0074】
別の言い方をすれば、ベースプレート面BPPの内側-外側線M-Lは、内側Mで横断面TRPと交差し、内反傾斜90-δを画定する。内反傾斜90-δは、0度超~7度以下であり得る。しかしながら、多くの用途では、内反傾斜90-δは、約3度に設定される。予め設定されたキール内反角度δ及びキール後方角度θの異なる組み合わせを有する脛骨コンポーネント40(したがって、対応する現在の内反傾斜90-δ及び後方傾斜90-θ)は、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0075】
図2Aは、例示的な脛骨コンポーネント40の一実施形態の上面図である。図2Aの脛骨コンポーネント40は、左膝で使用するために構成され、したがって、実質的に、図1A図1Cに示す脛骨コンポーネントの鏡像である。
【0076】
図2Bは、切除された脛骨20に設置された図2Aの例示的な脛骨コンポーネントの前面図である(すなわち、脛骨コンポーネント40は、設置された構成にある)。示されるように、ベースプレート45は、キール内反角度δを有し、ベースプレート45はまた、膝関節の前方側Aから後方側Pに下向きに傾斜する(すなわち、キール後方角度θを有する、図2C参照)。脛骨20の髄内管27の境界を表すために、内側の内側皮質壁25m及び外側の内側皮質壁25lが示されている。腿骨60も、参照のために示されている。図2Bは、視線が脛骨20の近位端部13から脛骨20の遠位端部に移動するにつれて、内側の内側皮質壁25m及び外側の内側皮質壁25lが、骨幹端が骨幹に移行するにつれて先細りになることをより明確に示す。先に設置された脛骨コンポーネントが、先に切除された脛骨面の下の近位脛骨をアンダーカットすることにより除去される再置換処置では、髄内管27の使用可能な総面積は、特に、近位端部13で減少する(すなわち、切除された脛骨面23の位置が更に低く位置付けられる場合、近位端部13付近の髄内管27の骨幹端(すなわち、概ね、くさび形状部分の面積)がどのように更に減少するかを留意されたい)。
【0077】
図2Cは、切除された脛骨20に埋め込まれた図2Aの脛骨コンポーネント40の側面図を提供する。図2Cの側面図に見られるように、ベースプレート45は、膝の前方側Aから後方側Pに下向きに傾斜するキール後方角度θを有する。更に、脛骨コンポーネント40のキール長手方向軸線KLAは、脛骨コンポーネント40が設置された構成にあるとき、矢状面SP及び冠状面CPに垂直である一方で、脛骨20の長手方向軸線LAと本質的に位置合わせして示されている。脛骨の長手方向軸線はまた、当業者によって脛骨の解剖学的軸線としても公知である。「脛骨の解剖学的軸線」はまた、脛骨の解剖学的軸線及び脛骨の機械的軸線がほとんどの患者にとって同軸線上にあるので、「脛骨の機械的軸線」と互換的に使用されることがある。
【0078】
理論に束縛されるものではないが、脛骨コンポーネント40が設置された構成にあるときに髄内管27内に延在する、記載した方法でキール長手方向軸線KLAに対して傾斜したベースプレート45を有することによって、キール43が脛骨20の長手方向軸線LAと実質的に位置合わせされている(すなわち、同軸上にある)こと、及びキール43が矢状面SP(図5を参照)及び冠状面CP(図5を参照)に対して垂直に配置されていることが企図され、例示的な脛骨コンポーネント40は、キール43の遠位端部44又はキール43の他の部分が脛骨20の内側皮質壁25に接触することなく、キール43が脛骨20の髄内管27内を概ね下方に延在することを可能にする。このようにして、例示的な脛骨コンポーネント40は、ベースプレート45を、患者の本来の罹患前の関節線をより正確に再構築するために使用することができる合成角度に配向しながら、ステム構築物の遠位端部51が近位皮質骨を破断する危険性を実質的に低減する。図2Cでは、後方内側皮質壁25p及び前方内側皮質壁25aが示される。
【0079】
しかしながら、例示的な脛骨コンポーネント40は、設置された構成にあるときに、脛骨20の長手方向軸線LAと完全に位置合わせされるキール長手方向軸線KLAを必ずしも有する必要はないことを理解されたい。そのような実施形態では、キール43は、矢状面SP及び冠状面CPの両方に対して必ずしも垂直に配置されない(図5を参照)。完全アラインメントは、髄内管27内の利用可能な残りの空間を最大化すると考えられるため、望ましいとみなされるが、部分的アラインメントは、患者の解剖学的構造、反応の位置、及び外科医の好みを含む、いくつかの要因に応じて、所与の状況においてより適切であり得る。したがって、脛骨20の長手方向軸線LAに対してある角度でキール長手方向軸線KLAを配置することは、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0080】
結果として、かつ理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される例示的な実施形態は、特に、脛骨20の切除された近位端部13が傾斜して(特に、内反傾斜90-δ及び後方傾斜90-θを含む合成角度で)配置された場合に、外科医が、以前に可能であったよりも長いキール43を脛骨20に挿入することを可能にし得ることが企図される。より長いキール43は、運動学的アラインメント処置及び解剖学的アラインメント処置において、以前に可能であったものよりも、脛骨コンポーネント40を脛骨20によりしっかりと安定させ、固定することができる。キール長手方向軸線KLAを脛骨20の長手方向軸線LAと位置合わせすることによって、膝の自然な歩行動作から生じる力ベクトルを、脛骨コンポーネント40を介して脛骨20により安定して伝達することができ、それによって、内部プロテーゼ膝インプラント1の耐用年数を延ばすことが更に企図される。例えば、ヒトが立っているとき、脛骨コンポーネント40の上の人の質量から脛骨コンポーネント40に及ぼされる力は、脛骨コンポーネント40のキール43が望ましくは脛骨20の機械軸線(すなわち、長手方向軸線LA)のより近くに配向されるため、ヒトの足により安定して伝達され得ると考えられる。脛骨は、ヒトの質量の力を概ね機械軸線に沿って足に向かって分散させるように自然に進化している。キール長手方向軸線KLAを脛骨の長手方向軸線と実質的に位置合わせすることによって、本明細書に記載の例示的な実施形態は、以前に可能であったものを上回る、罹患前の自然な膝の自然な力分布及び運動学を保存し得ると考えられる。
【0081】
図3A図4Cは、内部プロテーゼ膝インプラント1の脛骨コンポーネント40の例示的な実施形態を示しており、キール43の遠位端部44は、遠位ステム延在部100を選択的に取り付けるように構成される。外科医は、脛骨20の髄内管27内で脛骨コンポーネント40を更に安定させる必要がある場合、遠位ステム延在部100を使用することを選択してもよい。図3Aは、キール内反角度δ(図3Cでより良好に可視化されている)及びキール後方角度θを有する、右膝脛骨コンポーネント40の側面図を示す。図示した脛骨コンポーネント40は、図1A図2Cに示される例示的な実施形態に類似する。しかしながら、丸みを帯びた遠位端部44を有するのではなく、図示したキール43は、遠位ステム延在部100に選択的に接続するように構成される。キール43の遠位端部44及びステム延在部100の近位端部49上の接続要素は、相補的な嵌合要素であり得ることを理解されたい。例えば、遠位端部44は、1つ以上の突起部を有してもよく、近位端部49は、1つ以上の突起部を選択的かつ密接に収容するように設計された1つ以上の相補的な受容部を有してもよく、又はその逆であってもよい。このようにして、キール43は、遠位ステム延在部100に「選択的に接続するように構成される」又は「選択的に取り付けるように構成される」と言うことができる。同様に、遠位ステム延在部100は、キール43に「取り外し可能に係合される」と言うことができる。特定の例示的な実施形態では、突起部及び相補的な受容部は、望ましくは、設置された構成で互いに固定係合する。例えば、特定の例示的な実施形態は、キール43の遠位端部44又はステム延在部100の近位端部49のいずれかに切頭円錐形又は切頭角錐形の突起部を有することができる。例を続けると、受容部(すなわち、突起部がキール43の遠位端部44を含む場合、ステム延在部100の近位端部49、逆もまた同様)は、係合要素の突起部を選択的かつ密接に収容するように設計された相補的な切頭円錐形又は切頭角錐形の受容部であってもよい(例えば、キール43の遠位端部44、又はステム延在部100の近位端部49のいずれか)。他の例示的な実施形態では、突起部及び相補的な受容部は、ねじ山であってもよい。前述の組み合わせは、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0082】
図示された実施形態では、キール43の遠位端部44は、先細った孔を備え、孔は、圧入固定構成で遠位ステム延在部100の近位端部49の先細った延在部を密接に収容するようにサイズ決めされる。図3Aに見られるように、キール43及び遠位ステム延在部100は一緒になって、実質的に連続したキール長手方向軸線KLAを有する、ステム構築物143を形成する。
【0083】
図3A図4Cは、選択的に取り付け可能なステム延在部100を備える例示的な脛骨コンポーネント40を示すが、オフセットアダプタ及び角度アダプタは、遠位ステム延在部100と同じ方法でキール43の遠位端部44に取り付けるように構成され得ることを理解されたい。そのようなオフセットアダプタ又は角度アダプタは、遠位ステム延在部100の代わりに、又はそれに加えて使用することができる。アダプタ及びステム延在部の両方が存在する場合、オフセットアダプタ、角度アダプタ又はこれらの組み合わせは、一般に、キール43の遠位端部44と遠位ステム延在部100の近位端部49との間に配置される。しかしながら、モジュール型キール43を備える例示的な実施形態(図7A図8を参照)では、オフセットアダプタもしくは角度アダプタ又はこれらの組み合わせは、モジュール型キール43の近位端部61とベースプレート45の下方端部41との間に配置され得る。
【0084】
図3Aの側面図に見られるように、ベースプレート45は、キール長手方向軸線KLAに対して脛骨コンポーネント40の前方側Aから後方側Pへ下向きに傾斜し、上述のようにキール後方角度θを画定するように構成される。別の言い方をすれば、ベースプレート面BPPの前方-後方線A-P線と、ベースプレート45の後方側Pにおける横断面TRPとの交点は、後方傾斜90-θを画定する。後方傾斜90-θは、0度超~15度以下、好ましくは1度~10度の間であってもよい。しかしながら、多くの用途では、後方傾斜90-θは、約3度に設定される。
【0085】
遠位ステム延在部100は、キール43に設置されたときにキール長手方向軸線KLAに概ね平行に配置された溝98を有することができる。これらの溝98は、特に、遠位ステム延在部100が圧入ステム延在部である場合に、遠位ステム延在部100の髄内管27内への設置を容易にすることができる(図4)。これらの溝98は、遠位ステム延在部100が脛骨骨幹内に挿入されるときに、髄質骨及び骨髄の置換を軽減することができる。置換された髄質骨及び骨髄は、これらの溝98を通って、依然として露出している脛骨の切除面23に向かって上向きに流れ、それによって、収集されて廃棄されることができる。これらの溝98がなければ、遠位ステム延在部100は、髄内管27内に空気を捕捉するか、又は他の方法で圧力を蓄積し、骨の近位皮質を破壊する危険性がある。溝98はまた、遠位ステム延在部100を髄内管27内で回転可能に固定することができる。遠位ステム延在部100が、図3Aに示されるものなどのセメント接合された遠位ステム延在部である場合、溝98はまた、遠位ステム延在部100と髄内管27の壁との間に骨セメントを配置することができる、追加の空間を提供する。
【0086】
遠位ステム延在部100の遠位端部51は、様々な形状から選択することができる。特定の例示的な実施形態では、遠位ステム延在部100の遠位端部51は、丸みを帯びた、実質的に直線、くさび形、丸みを帯びた端部を有するくさび形、円錐形、丸みを帯びた端部を有する円錐形、切頭円錐形、丸みを帯びた端部を有する切頭円錐形、角錐形、丸みを帯びた端部を有する角錐形、切頭角錐形、丸みを帯びた端部を有する切頭角錐形、又はこれらの組み合わせであってもよい。概して凸状の外形を有する形状は、設置プロセス中に海綿骨及び骨髄を不必要に切除する危険性を低減するために、概して好ましい。このような凸状の外形を有するすべての形状は、本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0087】
理論に束縛されるものではないが、取り外し可能な遠位ステム延在部100は、外科医が、処置の日にキットに提供される利用可能な遠位ステム延在部100の群から選択することを可能にし得ることが企図される。遠位ステム延在部100の一般的な種類としては、圧入ステム延在部及びセメント接合ステム延在部が挙げられる。外科医又は技術者は、提供された利用可能なステム延在部100の群から選択し、複数の一体型脛骨コンポーネント40を選択的に試験及び除去することに依存する必要なく、脛骨コンポーネント40の全体高さを効果的に変更することができる。外科医に利用可能な遠位ステム延在部100の数は、X線撮影又は他の撮像方法を通して脛骨20の内部から取られた術前測定の存在を含む、いくつかの要因に依存し得る。
【0088】
図3Bは、図3Aの例示的な脛骨コンポーネント40の上面図を示す。図3Cの例示的な脛骨コンポーネント40の正面図又はA-P図に見られるように、ベースプレート45は、キール長手方向軸線KLAに対して脛骨コンポーネント40の外側Lから内側Mに下向きに傾斜するように構成され、それによって、上述のようにキール内反角度δを画定する。別の言い方をすれば、ベースプレート面BPPの内側-外側線M-Lは、横断面TRPと交差して、内反傾斜90-δを画定する。内反傾斜90-δは、0度超~7度以下の範囲内であり得る。しかしながら、多くの用途では、内反傾斜90-δは、約3度に設定される。予め設定された後方傾斜90-θ及び内反傾斜90-δの異なる組み合わせを有する脛骨コンポーネント40は、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0089】
図4Aは、本開示による、例示的な脛骨コンポーネント40の一実施形態の上面図である。図4Bは、切除された近位脛骨20に埋め込まれた脛骨コンポーネント40を示す。図4Aの脛骨コンポーネント40は、左膝で使用するために構成され、したがって、実質的に、図3A図3Cに示される脛骨コンポーネント40の鏡像である。図2Bの前面図に見られるように、脛骨ベースプレート45は、膝の外側Lから内側Mに下向きに傾斜するキール内反角度δを有する。
【0090】
図4Cは、切除された脛骨20に埋め込まれた図4Aの例示的な脛骨コンポーネント40の側面図を提供する。図4Cの側面図に見られるように、脛骨ベースプレート部分45は、前方側Aから後方側Pに下向きに傾斜するキール後方角度θを有する。特定の場合(例えば、再置換の場合)、オーグメントをベースプレート45の下面41に取り付け、不良又は欠損した骨を補うことができる。
【0091】
理論に束縛されるものではないが、脛骨コンポーネント40が設置された構成にあるときに髄内管27内に延在する、記載した方法でキール長手方向軸線KLAに対して傾斜したベースプレート45を有することによって、ステム構築物143が脛骨20の長手方向軸線LAと実質的に位置合わせされていること、及びステム構築物143が矢状面SP(図5を参照)及び冠状面CP(図5を参照)に対して垂直に配置されていることが企図され、例示的な脛骨コンポーネント40は、ステム構築物143の遠位端部51又はステム構築物143の他の部分が脛骨20の内側皮質壁25に接触することなく、ステム構築物143が脛骨20の髄内管27内を概ね下方に延在することを可能にする。このようにして、例示的な脛骨コンポーネント40は、ベースプレート45を、患者の本来の罹患前の関節線をより正確に再構築するために使用することができる合成角度に配向しながら、ステム構築物の遠位端部51が近位皮質骨を破断する危険性を実質的に低減する。図4Cでは、後方内側皮質壁25p及び前方内側皮質壁25aが、参照のために示される。
【0092】
結果として、本明細書に開示される例示的な実施形態は、外科医が、脛骨20の切除された近位端部13が傾斜して配置された場合に(すなわち、従来の運動学的アラインメント又は解剖学的アラインメント処置において)、以前に可能であったよりも長いステム構築物143を脛骨20に挿入することを可能にし得ることが企図される。以前は、ステム付き再置換型脛骨コンポーネントは、患者が一次運動学的アラインメント又は一次解剖学的アラインメント処置を受けたかどうかにかかわらず、再置換機械的アラインメント処置と共にのみ使用可能であった。既存のインプラントを抜去するために除去されなければならない骨の量のため、及び既存の骨の除去が、安定化キール43又はステム構築物143を挿入するための残りの髄内管27内の利用可能な容積の量(特に、長さ及び幅寸法)を必然的に減少させたため、そのような処置は、以前は不可能であった。
【0093】
更に、本明細書に記載の例示的な実施形態は、外科医が、再置換処置(すなわち、元のインプラントが除去される二次手術)において、又は重度に損なわれた脛骨を特徴とする外傷の場合に、運動学的アラインメント又は解剖学的アラインメント処置を行うことを可能にし得ることが企図される。理論に束縛されるものではないが、一次又は従来の再置処置中に機械的アラインメント膝関節形成術を受けた患者は、現在、運動学的又は解剖学的アラインメント処置から利益を得ることが可能であり得ることが考えられる。
【0094】
しかしながら、本開示では、例示的な脛骨コンポーネント及び関連する器具の使用を、したがって再置換処置に限定するものはない。本明細書に記載のそのような例示的な脛骨コンポーネント及び/又は例示的な器具は、一次処置において使用され得ることが企図される。外科医は、ステム付き一次処置において本開示の実施形態から特に利益を得ることができると考えられる。
【0095】
ステム付き一次処置は、肥満度指数が高い患者又は骨質が悪い患者に使用されることが多い。これらの場合における遠位ステム延在部100の使用は、患者及びステム構築物143を有する脛骨コンポーネント40が経験する静止力及び歩行力を、より確実かつより効果的に分散させることができると考えられる。
【0096】
このようにして、より長いステム構築物143は、運動学的アラインメント処置及び解剖学的アラインメント処置において、以前に可能であったものよりも、脛骨コンポーネント40を脛骨20によりしっかりと安定させ、固定することができると考えられる。キール長手方向軸線KLAを脛骨20の長手方向軸線LAと位置合わせすることによって、膝の自然な歩行動作から生じる力ベクトルを、脛骨コンポーネント40を介して脛骨20により安定して伝達することができ、それによって、内部プロテーゼ膝インプラント1の耐用年数を延ばすことが更に企図される。
【0097】
前述の説明から理解されるように、脛骨コンポーネント40のすべての実施形態は、右膝又は左膝で使用するために構成されることができる。他の例示的な実施形態では、例示的な脛骨コンポーネントは、対称ベースプレート45を備えることができる。
【0098】
図7A図7Dを参照すると、特定の例示的な実施形態では、キール43はモジュール型である。すなわち、キール43自体は、ベースプレート45の下面41から選択的に係合解除することができる(図8A及び図8Bを参照)。モジュール型キール43は、多数の異なる寸法で製造することができる。ベースプレート45の下面41及びモジュール型キール43の近位端部61上の接続要素は、相補的嵌合要素であり得ることを理解されたい。例えば、ベースプレート45の下面41は、1つ以上の突起部を有してもよく、モジュール型キール43の近位端部61は、1つ以上の突起部を選択的かつ密接に収容するように設計される1つ以上の相補的な受容部を有してもよく、又はその逆であってもよい。特定の例示的な実施形態では、突起部及び相補的な受容部は、望ましくは、設置された構成で互いに固定係合する。前述の組み合わせは、本開示の範囲内であるとみなされる。このようにして、モジュール型キール43の近位端部は、ベースプレート45の下面41に係合するように構成される。
【0099】
モジュール型キールの近位端部61は、キール内反角度δ及びキール後方角度θを含む合成角度を画定することができることを理解されたい。結果として、モジュール型キール43は、キラルであり得ることが企図される。すなわち、左側モジュール型キール43は、左側ベースプレート45に係合するように構成され、右側モジュール型キール43は、右側ベースプレート45に係合するように構成される。
【0100】
図7Aは、組み立てられていない構成における、右膝用のモジュール型キール43を示す。図示したモジュール型キール43は、本体48と、そこから横方向に延在するフィン46と、を備える。キール長手方向軸線KLAは、モジュール型キール43の本体48の高さhに沿って軸線方向に延在する。モジュール型キール43は、遠位端部44から遠位に配置される近位端部61と、外側Lから遠位に配置される内側Mと、後方側Pから遠位に配置される前方側Aと、を備える。
【0101】
モジュール型キール43は、近位端部61において合成角度を画定し、合成角度は、キール後方角度θ(図7Eを参照)及びキール内反角度δを含む。図7Aは、モジュール型キール43が概ね垂直に配向される(すなわち、キール長手方向軸線KLAが概ね上下に延在する)、例示的モジュール型キール43の前面図である。図示した配向は、キール内反角度δ及び内反傾斜90-δの両方をより明確に示す。図示した実施形態は右膝用であり、図示したモジュール型キール43は前面図において垂直に配向されているので、外側フィン46lの近位端部61l(図7Aの図の左側に示す)は、内側フィン46mの近位端部61m(図7Aの図の右側に示す)の上方に配置されている。このようにして、キール43の近位端部61は、内側-外側線M-Lを画定すると想像することができる。キール内反角度δは、内側-外側線M-Lとキール長手方向軸線KLAとの交差から生じる鋭角として可視化することができ、鋭角は、外側Lよりも内側Mの近くに配置される。
【0102】
図示した配向で見ると、キール43の近位端部61はまた、横断面TRPに対して内反傾斜90-δで配置されていると想像することができる。図示したモジュール型キール43がモジュール型ベースプレート45と組み立てられるとき(図8を参照)(すなわち、組み立てられた構成)、モジュール型キール43の近位端部61の内側-外側線M-Lは、ベースプレート面BPPの内側-外側線M-Lに平行に配置されることを理解されたい。
【0103】
一体型の実施形態と同様に、モジュール型キール43の実施形態の内反傾斜90-δは、ほとんどの患者について約3度であり得るが、0度超~7度以下の角度は、本開示の範囲内であると考えられる。複数のモジュール型キール43は、外科的処置時に提供されてもよい。提供されるモジュール型キール43のうち、1つ以上の提供されるキールは、異なる合成角度を有してもよい(例として、異なるキール内反角度δ、異なるキール後方角度θ、又はこれらの組み合わせを有する提供されるキール43を含むが、これらに限定されない)。
【0104】
図7Bは、図7Aのモジュール型右側キール43の上面図である。図7Bでは、キール43の配向は、モジュール型キール43の近位端部61が横断面TRPと同一平面上にあるように調整されている。この配向では、合成角度をより良好に可視化することができる。キール内反角度δは、モジュール型キール43の遠位端部44が外側Lよりもモジュール型キール43の内側Mに向かってより延在していることを示すことによって可視化される。キール後方角度θは、モジュール型キール43の遠位端部44が前方側Aよりもモジュール型キール43の近位側Pに向かってより延在していることを示すことによって図示される。図8を参照してより明確に示されるように、モジュール型キール43の近位端部61は、ステム延在部100をキール43の遠位端部44に選択的に接続又は取り付けることができるすべての方法を含む、当業者によって認識されるいくつかの方法で、モジュール型ベースプレート45に選択的に固定係合することができる(「取り外し可能に係合される」としても知られ得る)。図7A図7Dは、モジュール型脛骨ベースプレート45の下面41から延在する突起部65(図8A図8B)を密接に収容し、それによって、モジュール型キール43をモジュール型脛骨ベースプレート45に選択的に固定係合することができる、受容部56を示す。
【0105】
図7Cは、組み立てられていない構成における、左膝用のモジュール型キール43を示す。図7Cのモジュール型キール43は、本質的に、図7Aに示されるモジュール型キール43の鏡像である。図示した実施形態は左膝用であり、図示したモジュール型キール43は前面図において垂直に配向されているので、外側フィン46lの近位端部61l(図7Cの右側に示す)は、内側フィン46mの近位端部61m(図7Cの左側に示す)の上方に配置されている。このようにして、キール43の近位端部61は、内側-外側線M-Lを画定すると想像することができる。キール内反角度δは、内側-外側線M-Lとキール長手方向軸線KLAとの交差から生じる鋭角として可視化することができ、鋭角は、外側Lよりも内側Mの近くに配置される。
【0106】
図示した配向で見ると、キール43の近位端部61はまた、横断面TRPに対して内反傾斜90-δで配置されていると想像することができる。図示したモジュール型キール43がモジュール型ベースプレート45と組み立てられるとき(図8)(すなわち、組み立てられた構成)、モジュール型キール43の近位端部61の内側-外側線M-Lは、ベースプレート面BPPの内側-外側線M-Lに平行に配置されることを理解されたい。
【0107】
図7Dは、図7Cの例示的なモジュール型左側キール43の上面図である。図7Dは、本質的に、図7Bに示されるモジュール型キール43の鏡像である。図7Dでは、キール43の配向は、モジュール型キール43の近位端部61が横断面TRPと同一平面上にあるように調整されている。この配向では、合成角度をより良好に可視化することができる。キール内反角度δは、モジュール型キール43の遠位端部44が外側Lよりもモジュール型キール43の内側Mに向かってより延在していることを示すことによって可視化される。キール後方角度θは、モジュール型キール43の遠位端部44が前方側Aよりもモジュール型キール43の近位側Pに向かってより延在していることを示すことによって図示される。
【0108】
図7Eは、キール後方角度θを強調するように位置付けられる、例示的なモジュール型キール43の内側側面図である。キール後方角度θは、キール長手方向軸線KLAとの前方-後方線A-Pの交差から生じる鋭角として可視化されることができ、鋭角は、前方側Aよりも後方側Pの近くに配置される。図示した配向で見ると、キール43の近位端部61はまた、横断面TRPに対して後方傾斜90-θで配置されていると想像することができる。図示したモジュール型キール43がモジュール型ベースプレート45と組み立てられるとき(図8A図8Bを参照)(すなわち、組み立てられた構成)、モジュール型キール43の近位端部61の前方-後方線A-Pは、ベースプレート面BPPの前方-後方線A-Pに平行に配置されることを理解されたい。
【0109】
一体型の実施形態と同様に、モジュール型キール43の実施形態の後方傾斜90-θは、ほとんどの患者について約3度であり得るが、0度超~15度以下の角度は、本開示の範囲内であると考えられる。
【0110】
図7Fは、近位端部がキール長手方向軸線KLAに対して合成角度で配置された例示的なモジュール型キール43の側面図であり、合成角度は、キール後方角度θ及びキール内反角度δを含む。図7Fは、本質的に、図7Eに示される例示的なモジュール型キール43の鏡像である。
【0111】
特定の例示的な実施形態では、モジュール型キール43は、遠位ステム延在部100に係合するように構成されていない、遠位端部44を有することができる。そのような実施形態では、モジュール型キール43の遠位端部44は、丸みを帯びた、実質的に直線、くさび形、丸みを帯びた端部を有するくさび形、円錐形、丸みを帯びた端部を有する円錐形、切頭円錐形、丸みを帯びた端部を有する切頭円錐形、角錐形、丸みを帯びた端部を有する角錐形、切頭角錐形、丸みを帯びた端部を有する切頭角錐形、又はこれらの組み合わせであってもよい。概して凸状の外形を有する形状は、設置プロセス中に海綿骨及び骨髄を不必要に切除する危険性を低減するために、概して好ましい。このような概して凸状の形状はまた、骨セメント内の応力集中を低減することができる。
【0112】
モジュール型キール43を備える他の例示的な実施形態では、遠位端部44は、上記と実質的に同じ方法で、遠位ステム延在部100に選択的に係合するように構成されることができる(概して、図3A及び図3Cを参照)。
【0113】
理論に束縛されるものではないが、モジュール型キール43と遠位ステム延在部100との組み合わせにより、外科医が、脛骨20が合成角度(後方傾斜90-θ及び内反傾斜90-δを含む)で切除された後に、以前に利用可能であったものよりも、患者の解剖学的構造により密接に適合する構築された脛骨コンポーネント40を選択することを可能にし得ると考えられる。モジュール型キール43及び遠位ステム延在部100は、キール長手方向軸線KLAが脛骨長手方向軸線LAと実質的に位置合わせされる一方で、交差矢状面SP及び冠状面CPに対して概して垂直に配置されるように、外科医が最適な高さのステム構築物143を挿入することを可能にし得る。このようにして、外科医は、脛骨コンポーネント40上でより短いキール43又はステム構築物100を使用する危険性を伴わずに、かつキール43又はステム構築物100が脛骨20の内側皮質壁25a、25l、25m、25pに接触する危険性を伴わずに、運動学的及び解剖学的アラインメント方法を実践することができる。
【0114】
図8Aは、分解図に示すように、モジュール型キール43及びモジュール型脛骨ベースプレート45を備える、例示的な脛骨コンポーネント40の正面図である。モジュール型キール43及びモジュール型ベースプレート45が互いに係合していないとき、モジュール型キール43及び/又はモジュール型ベースプレート45は、設置されておらず、組み立てられていない構成であると言うことができることを理解されたい。ベースプレート45がモジュール型キール43に固定的に係合するとき(例えば、ベースプレート45の下面41から下降する突起部65がキール43の近位端部61で受容部56内に配置されるとき)、キール43及び/又はベースプレート45は、組み立てられた構成にあると言うことができる。このようにして、組み立てられたキール43及びベースプレート45は、例示的な脛骨コンポーネント40を備えると言うことができる。組み立てられたキール43及びベースプレート45が患者に外科的に埋め込まれるとき、組み立てられたキール43及びベースプレート45は、設置された構成にあると言うことができる。
【0115】
図示した実施形態では、突起部65は先細った突起部であり、受容部56は、先細った突起部を密接に収容する先細った受容部であり、このようにして、モジュール型ベースプレート45をモジュール型キール43に「固定係合」する。しかしながら、モジュール型キール43をモジュール型ベースプレート45に機械的かつ確実に係合させるすべての方法は、本開示の範囲内であると考えられる。そのような他の機械的係合機構の例としては、ねじ、ピン、及び当業者に公知の任意の他の係止突起及び受容機構が挙げられる。図8Aは、キール近位端部61の合成角度のキール内反角度δを強調し、上で更に説明されるように、内反傾斜90-δを図示する。
【0116】
図8Bは、図8Aに示される例示的な脛骨コンポーネント40の側面図である。図8Bは、合成角度のキール後部角度θを強調し、上で更に説明されるように、後方傾斜90-θを図示する。
【0117】
図11Aは、ベースプレート45がA-P二等分線を中心にして対称である、例示的な脛骨コンポーネント40の上面図である。組み立てられていない構成のサブコンポーネントとして、図示されたベースプレート45は、右膝又は左膝のいずれかに使用することができる。
【0118】
図11Bは、例示的な脛骨コンポーネント40の正面図であり、キール43は、図11Aに示されるA-P線に沿って延在する、中央前方-後方面APPからオフセットされている(図11Cも参照)。図示した実施形態及び配向では、中央前方-後方面APPは、前方-後方面APPを画定するようにA-P線に沿って垂直にベースプレート45を二等分し、キール長手方向軸線KLAは、前方-後方面APPから内側にオフセットされる。他の例示的な実施形態では、キール長手方向軸線KLAは、前方-後方面APPから横方向にオフセットされ得る。更に他の例示的な実施形態では、キール長手方向軸線KLAは、内側-外側面から前方又は後方にオフセットされ得ることが企図される。前方、後方、内側及び外側のオフセットの組み合わせは、本開示の範囲内であるとみなされる。大部分の切除された脛骨20内の利用可能な空間が制限されるので、大部分のオフセットは10mm未満であると企図される。
【0119】
図11Bの実施形態は、フィン46の一般的な配置が、オフセットキール43に適合するために必ずしも変化する必要がないことを示す。内側フィン46mは外側フィン46lよりも小さく、脛骨の内側に更に低減した空間に適合する。オフセットキール43の存在に部分的に起因して、空間は更に低減する。前述した例示的な実施形態と同様に、キール43の近位面61は、キール長手方向軸線KLAに対して合成角度で配置され、合成角度は、キール後方角度θ(図11C)及びキール内反角度δを含む。
【0120】
図示した実施形態は、ステム構築物143を画定するように、遠位ステム延在部100に係合するキール43の遠位端部を示す。しかしながら、他の例示的な実施形態では、オフセットキール43の遠位端部は、上述のように概して丸みを帯びていてもよい。他の例示的な実施形態では、オフセットキール43はモジュール型であり、脛骨ベースプレート45に選択的に取り付け可能であり得る。モジュール型オフセットキール43及び一体型オフセット脛骨コンポーネント40は、左膝及び右膝の構成で提供され得ることが企図される。
【0121】
本明細書に記載の脛骨コンポーネント40は、キットの形態で提供され得る。例えば、脛骨コンポーネント40、モジュール型脛骨ベースプレート45、遠位ステム延在部100、及びモジュール型キール43(限定されないが、非オフセットモジュール型キール及びオフセットモジュール型キールを含む)のいずれも、複数の異なるサイズで提供することができる。左膝及び右膝に、キラルコンポーネントを提供することができる。脛骨コンポーネント40及び/又はモジュール型キール43は、いくつかの異なる合成角度で提供することができ、いくつかの異なる合成角度のうち、合成角度は、キール後方角度θ及び/又はキール内反角度δの差のうちの少なくとも1つによって異なる。任意選択で、例示的なキットは更に、オフセットアダプタ、角度アダプタ、オーグメント、半月板インサート、大腿骨コンポーネント、試験的コンポーネント、又はこれらのいずれかの組み合わせを備えてもよい。キットのコンポーネントは、好ましくは、外科用トレイ又はケースなどの便利な形式で配置される。しかしながら、キットコンポーネントは、それらが手術時に使用するために手術室で一緒に組み立てられるか又は収集されるのであれば、一緒に包装されるか又は配達される必要はない。
【0122】
例示的なキットは、例示的な脛骨コンポーネント40の任意の適切な実施形態、本明細書に記載の例示的な脛骨コンポーネント40の変形、及び一実施形態による任意の他の例示的な脛骨コンポーネント40(モジュール型キール43及びモジュール型ベースプレート45などのそのサブコンポーネントを含む)を含むことができる。例示的なキットは、1つ以上の脛骨コンポーネント40及び1つ以上の遠位ステム延在部100を含み得ることが企図されるが、特定のキットは、これらのコンポーネントの一部又は全部を欠いていてもよいことを理解されたい。
【0123】
脛骨ベースプレート45の任意の好適な実施形態、本明細書に記載の脛骨ベースプレート45の変形、及び一実施形態による任意の他の脛骨ベースプレート45は、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0124】
同様に、モジュール型キール43の任意の好適な実施形態、本明細書に記載のモジュール型キール43の変形、及び一実施形態による任意の他のモジュール型キール43は、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0125】
なお更に同様に、遠位ステム延在部100の任意の好適な実施形態、本明細書に記載の遠位ステム延在部100の変形、及び一実施形態による任意の他の遠位ステム延在部100は、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0126】
特定の実施形態によるキットに含めるための脛骨コンポーネント40、脛骨ベースプレート45、モジュール型キール43、及び遠位ステム延在部100の適切な数又は種類の選択は、キットに含まれるコンポーネントを使用して実行されることが意図された処置などの、様々な考慮事項に基づくことができる。
【0127】
図9は、分解された(例えば、組み立てられていない構成)で示される、例示的な器具アセンブリ70の斜視図である。例示的なアセンブリのコンポーネントは、キールパンチ73及びパンチガイド83を含む。図示したパンチガイド83は、リーマガイドとして機能することもできる。キールパンチ73は、パンチ本体78に沿ってパンチ遠位端部74から遠位に配置されたパンチ近位端部71を有する。パンチ近位端部71は、キールパンチ73の高さ寸法khに沿って延在するキール長手方向軸線KLAに対してキール後方角度θで配置される。パンチ近位端部71は、キールパンチ73の高さ寸法khに沿って延在するキール長手方向軸線KLAに対してキール内反角度δで配置される。パンチ遠位端部74は、鋭い縁部を備える。パンチフィン76は、パンチ本体78から横方向に延在する。パンチフィン76の遠位端部77は、鋭利であることが望ましい。パンチ遠位端部74の鋭い縁部及びパンチフィン76の鋭い遠位縁部77は、脛骨20の切除面23に挿入されたときに、髄内骨及び骨髄の置換を容易にする。
【0128】
パンチガイド83は、ガイド本体88に沿ってガイド近位端部81から遠位に配置されたガイド遠位端部84を有する。図10A図10Cでより明確に見られるように、ガイド本体88の内壁89は、ガイド近位端部81からガイド遠位端部84までガイド本体88を通して延在する、貫通チャネル85を画定する。貫通チャネル85は、キールパンチ73の外周外形と相補的であり、キールパンチ73の外周外形よりもわずかに大きい。このように、パンチガイド83は、キールパンチ73を「密接に収容するように構成されている」と言うことができる。突起部は、使用時にパンチガイド83を切除された脛骨面23に固定するために、ガイド遠位端部84から延在することができる。
【0129】
図示したパンチガイドの貫通チャネル85の中央部分は更に、リーマを脛骨の髄内管27内に案内するようなサイズ及び寸法にされる。図10Aに見られるように、ガイド本体88の内壁89は、後方突起部89cから遠位に配置される前方突起部89aと、外側突起部89dから遠位に配置される内側突起部89bと、を備えることができる。突起部89a、89b、89c、89dの最も突出した表面は、望ましくは、リーマの概して円筒形の外形に適合するように、凹状に湾曲することができる。
【0130】
実際には、例示的な器具が組み立てられて設置された構成で配置されている場合(以下で更に説明する)、外科医は、最初に、貫通チャネル85を通してリーマ(概して、大きなねじ山付きドリルビットに似ている)を挿入し、元の髄内空洞を作成することができる。患者の脛骨のサイズに応じて、徐々に大きくなるサイズの複数のリーマが、貫通チャネル85を通して挿入され、元の髄内空洞の寸法を反復して拡大してもよい。元の髄内管が所望の寸法にリーマ加工された後、外科医は、リーマを除去し、次いで、貫通チャネル85を通して例示的なキールパンチ73を挿入し、キールパンチ73の外形に概して相補的である髄内空洞を画定することができる。特定の例示的な処置では、漸進的に大きくなるサイズの複数のキールパンチ73は、1つ以上のパンチガイド83を通して挿入され、例示的な脛骨コンポーネント40の例示的なキール43の所望のサイズの外形に概ね相補的な髄内空洞を画定することができる。複数の例示的なパンチガイド83が、外科的処置時に異なるサイズで提供され得ることが企図される。
【0131】
特に図10Bを参照して、図示した例示的なパンチガイド83の構造に戻ると、ガイド遠位端部84は、パンチガイド83の高さ寸法ghに沿って延在するガイド長手方向軸線GLA(図10D)に対してガイド後方角度gθで配置される。同様に、内面89の前方側89a1及び内面89の後方側89c1は、望ましくは、パンチガイド83の貫通チャネル85がガイド近位端部81からガイド遠位端部84まで前方から後方に傾斜するように、ガイド長手方向軸線GLAに対して遠位ガイド端部84と同じガイド後方角度gθで配置される。しかしながら、他の例示的な実施形態では、内面89の前方側89a1及び後方側89c1のガイド後方角度gθは、ガイド遠位端部84のガイド後方角度gθとは異なり得ることを理解されたい。ガイド後方補角度180-gθも、示されている。
【0132】
更に、図10Cでより良くわかるように、ガイド遠位端部84は、パンチガイド83の高さ寸法ghに沿って延在するガイド長手方向軸線GLAに対してガイド内反角度gδで配置される。同様に、内面89の内側89b1及び内面89の外側89d1は、望ましくは、パンチガイド83の貫通チャネル85がガイド近位端部81からガイド遠位端部84まで外側から内側に傾斜するように、ガイド長手方向軸線GLAに対して遠位ガイド端部84と同じガイド内反角度gδで配置される。しかしながら、他の例示的な実施形態では、内面89の内側89b1及び外側89d1のガイド内反角度gδは、ガイド遠位端部84のガイド内反角度gδと異なってもよいことを理解されたい。ガイド内反補角180-gδも、示されている。
【0133】
図10Dは、組み立てられた構成における例示的な器具アセンブリ70を示す。手術において、外科医は、最初に、脛骨20の切除面23に試験的脛骨ベースプレート45を配置してもよい。位置付けられると、外科医は、パンチガイド83の突起部75(例えば、スパイク)を試験的ベースプレート45の受容穴に挿入することができる。外科医は、マレットを使用し、パンチガイド83の突起部75を受容穴を通して切除された脛骨20の中に打ち込み、それによって、試験的ベースプレート45及びパンチガイド83を脛骨20の切除面23に固定してもよい。
【0134】
キールパンチ73は、ブローチハンドルの遠位端部に取り付けることができる。外科医は、キールパンチ73を貫通チャネル85に挿入することができ、これは、キールパンチ73を脛骨20の切除面23にキール後方角度θ及びキール内反角度δで案内する。外科医は、木槌を使用して、ブローチハンドルの近位端部を打ち込み、キールパンチ73を脛骨20の切除面23に挿入してもよい。このように、外科医は、例示的な脛骨コンポーネント40の例示的なキール43を収容するために、所望のキール後方角度θ及びキール内反角度δで、脛骨20の髄内管27内にキール空洞を作成することができる。
【0135】
キールパンチ73及びパンチガイド83は、異なるサイズで提供され得ることを理解されたい。外科医は、脛骨コンポーネント40のキール43の所望のサイズが達成されるまで、連続的により大きいサイズのパンチガイド83及びキールパンチ73を挿入し取り出して、髄内管27に連続的により大きなキール空洞を反復して作成することができる。所望のサイズを達成し、任意選択でキール空洞から任意の残留材料を排出すると、外科医は、本明細書に記載の例示的な脛骨コンポーネント40のいずれかのキール43を、所望の角度及び位置でキール空洞に挿入することができる。
【0136】
本明細書に記載の例示的な器具アセンブリ70は、キットの形態で提供され得る。例えば、例示的なキールパンチ73及び例示的なパンチガイド83は、複数の異なるサイズで提供され得る。左膝及び右膝に、キラルコンポーネントを提供することができる。キールパンチ73及び/又はパンチガイド83は、いくつかの異なる合成角度で提供することができ、いくつかの異なる合成角度のうち、合成角度は、キール後方角度θ及び/又はキール内反角度δの差のうちの少なくとも1つによって異なる。任意選択で、例示的なキットは更に、マレット、試験的脛骨ベースプレート、ブローチハンドル、又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでもよい。キットのコンポーネントは、好ましくは、外科用トレイ又はケースなどの便利な形式で配置される。しかしながら、キットコンポーネントは、それらが手術時に使用するために手術室で一緒に組み立てられるか又は収集されるのであれば、一緒に包装されるか又は配達される必要はない。
【0137】
例示的なキットは、例示的なキールパンチ73の任意の好適な実施形態、本明細書に記載の例示的なキールパンチ73の変形、及び一実施形態による任意の他の例示的なキールパンチ73を含むことができる。例示的なキットは更に、1つ以上の試験的脛骨ベースプレート45を含み得ることが企図されるが、特定のキットは、これらのコンポーネントの一部又は全部を欠いていてもよいことを理解されたい。
【0138】
パンチガイド83の任意の好適な実施形態、本明細書に記載のパンチガイド83の変形、及び一実施形態による任意の他のパンチガイド83は、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0139】
特定の実施形態によるキットに含めるためのキールパンチ73及びパンチガイド83の適切な数又は種類の選択は、キットに含まれるコンポーネントを使用して実行されることが意図された処置などの、様々な考慮事項に基づくことができる。
【0140】
内部プロテーゼ膝インプラントの例示的な脛骨コンポーネントは、脛骨ベースプレートと、脛骨ベースプレートの下面から延在するキールと、を備え、キール長手方向軸線はキールを通って軸線方向に延在し、脛骨ベースプレートはキール長手方向軸線に対してキール後方角度で配置され、脛骨ベースプレートはキール長手方向軸線に対してキール内反角度で配置される。
【0141】
例示的な脛骨コンポーネントでは、キール後方角度は、90度未満であってもよく、約75度以上であってもよい。
【0142】
例示的な脛骨コンポーネントでは、キール内反角度は、90度未満であってもよく、約83度以上であってもよい。
【0143】
例示的な脛骨コンポーネントでは、遠位ステム延在部は、キールに取り外し可能に係合されることができる。
【0144】
例示的な脛骨コンポーネントでは、キールはモジュール型キールであってもよく、モジュール型キールは脛骨ベースプレートに取り外し可能に係合される。
【0145】
例示的な脛骨コンポーネントでは、脛骨コンポーネントが設置された構成で配置されるとき、キール長手方向軸線は、矢状面及び冠状面の両方で脛骨の長手方向軸線と位置合わせされることができる。
【0146】
例示的な脛骨コンポーネントは、上面と、下面と、後方側から遠位に配置された前方側と、外側から遠位に配置された内側と、を有する脛骨ベースプレートであって、前方側と後方側とを接続する第1の線は前方-後方線を画定し、内側と外側とを接続する第2の線は内側-外側線を画定し、前方-後方線は脛骨ベースプレート面上で内側-外側線に対して垂直に配置される、脛骨ベースプレートと、脛骨ベースプレートの下面から下降するキールであって、脛骨ベースプレートの前方-後方線は、脛骨コンポーネントと交差する横断面に対して後方傾斜で配置され、脛骨ベースプレートの内側-外側線は、脛骨コンポーネントと交差する横断面に対して内反傾斜で配置される、キールと、を備える。
【0147】
例示的な脛骨コンポーネントでは、後方傾斜は、0度超でもよく、約15度以下であってもよい。
【0148】
例示的な脛骨コンポーネントでは、内反傾斜は、0度超でもよく、約7度以上であってもよい。
【0149】
例示的な脛骨コンポーネントでは、キール長手方向軸線はキールの高さに沿って延在することができ、キール長手方向軸線は、脛骨コンポーネントが設置された構成にあるとき、脛骨の長手方向軸線と位置合わせされることができる。
【0150】
例示的な脛骨コンポーネントでは、脛骨ベースプレート面は、前方-後方線及び内側-外側線に平行であり得る。
【0151】
例示的なモジュール型キールは、キール本体と、キール近位端部と、を備え、キール長手方向軸線はキール本体を通って軸線方向に延在し、キール近位端部はキール長手方向軸線に対してキール後方角度で配置され、キール近位端部はキール長手方向軸線に対してキール内反角度で配置される。
【0152】
例示的なモジュール型キールは更に、キール本体から横方向に延在するフィンを備えることができる。
【0153】
例示的なモジュール型キールは更に、キール近位端部に受容部を備えることができ、受容部は、脛骨ベースプレートの下方端部から延在する相補的な突起部に選択的に固定係合するように構成される。
【0154】
例示的なモジュール型キールは更に、キール近位端部に突起部を備えることができ、突起部は、脛骨ベースプレートによって画定された相補的な受容部に選択的に係合するように構成される。
【0155】
例示的な器具アセンブリは、本体に沿ってパンチ遠位端部から遠位に配置されたパンチ近位端部を有するキールパンチであって、パンチ近位端部はキールパンチの高さ寸法に沿って延在するキール長手方向軸線に対してキール後方角度で配置され、パンチ近位端部はキールパンチの高さ寸法に沿って延在するキール長手方向軸線に対してキール内反角度で配置される、キールパンチと、キールパンチを密接に収容するように構成されたパンチガイドであって、パンチガイドはガイド近位端部からガイド本体に沿って遠位に配置されたガイド遠位端部を有し、ガイド遠位端部はパンチガイドの高さ寸法に沿って延在するガイド長手方向軸線に対してガイド後方角度で配置され、ガイド遠位端部はパンチガイドの高さ寸法に沿って延在するガイド長手方向軸線に対してガイド内反角度で配置される、パンチガイドと、を備えることができる。
【0156】
例示的な器具アセンブリは更に、試験的脛骨ベースプレートを備えることができ、ガイド遠位端部は更に、試験的脛骨ベースプレートの穴を通って延在するように構成されたスパイクを備える。
【0157】
例示的な器具アセンブリは更に、パンチガイドのガイド本体の内壁によって画定された貫通チャネルを通ってガイド近位端部からガイド遠位端部まで延在する、リーマを備えることができる。
【0158】
本発明は、特定の実施形態に関して説明されてきたが、それらの代替例及び修正例が当業者にとって疑いなく明らかになることが期待される。したがって、以下の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨及び範囲内に含まれるすべての代替例及び修正例をカバーするものとして解釈されるべきであることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】